説明

特典供与システム及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体

【課題】広告視聴者に対して好適に特典情報を供与する。
【解決手段】特典供与システムは、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、広告の特典情報を供与する。特典供与システムは、広告の特典情報を広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶手段(102)と、視聴者が保有する公共の場所の利用履歴情報を取得する取得手段(103)と、取得された利用履歴情報に対応する特典情報を記憶手段から抽出する抽出手段(104)と、抽出された特典情報を出力する出力手段(105)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルサイネージ等の広告情報に対応する特典を供与する特典供与システム及び方法、並びにコンピュータをこのような特典供与システムとして機能させるコンピュータプログラム及び該コンピュータプログラムを記録した記録媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムとして、例えばデジタルサイネージ等の公共の場で表示される広告の視聴者に対して、広告に対応した特典情報を供与するものが知られている。例えば特許文献1では、広告表示装置にサーバ機能を持たせて、広告視聴者の携帯機器に特典を供与するシステムが提案されている。特許文献2では、広告映像にQRコードを埋め込み、それを視聴者の携帯機器で読み込んだ場合に特典を供与するというシステムが提案されている。
【0003】
他方で、ユーザの行動範囲に基づいて特典を供与するシステムも知られている。例えば特許文献3では、交通機関に乗車する際に利用するICカード等の履歴を読取り、乗車区間内にある店舗の特典を供与するというシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−49543号公報
【特許文献2】特開2007−49584号公報
【特許文献3】特開2009−3688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1及び2に記載されているような技術では、広告表示装置にサーバ機能を持たせる、或いは広告映像自体にQRコードを埋め込むといったことが必要となるため、追加の設備投資が求められてしまうという技術的問題点が生ずる。また、視聴者が有する携帯機器等に特典を取得するための特別な機能を持たせることが求められてしまうという技術的問題点が生ずる。
【0006】
他方、特許文献3に記載されているような技術では、特典を供与できる対象がユーザの行動範囲内に存在する店舗に限られてしまうため、その効果が制限されてしまうという技術的問題点が生ずる。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、広告視聴者に対して好適に特典情報を供与することが可能な特典供与システム及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の特典供与システムは上記課題を解決するために、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与システムであって、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶手段と、前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得手段と、前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出された特典情報を出力する出力手段とを備える。
【0009】
本発明の特典供与方法は上記課題を解決するために、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与方法であって、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶工程と、前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得工程と、前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶工程で記憶された前記特典情報の中から抽出する抽出工程と、前記抽出された特典情報を出力する出力工程とを備える。
【0010】
本発明のコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを上述した本発明の特典供与システム(但し、その各種態様も含む)として機能させる。
【0011】
本発明の記録媒体は上記課題を解決するために、上述した本発明のコンピュータプログラムを記録している。
【0012】
本発明の作用及び利得は次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の入力処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施例に係る特典供与システムに記憶される特典情報の一例を示す概念図である。
【図4】第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の出力処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施例に係る特典供与システムに取得される利用履歴情報の一例を示す概念図である。
【図6】第2実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【図7】第2実施例に係る特典供与システムにおける端末側の特典情報の出力処理を示すフローチャートである。
【図8】第2実施例に係る特典供与システムにおけるサーバ側の特典情報の出力処理を示すフローチャートである。
【図9】第2実施例に係る特典供与システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【図10】第3実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【図11】第3実施例に係る特典供与システムにおける広告表示処理を示すフローチャートである。
【図12】電車内での広告表示において各区間で表示される広告内容を示す概念図である。
【図13】位置情報を含む広告表示履歴の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態に係る特典供与システムは、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与システムであって、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶手段と、前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得手段と、前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶手段から抽出する抽出手段と、前記抽出された特典情報を出力する出力手段とを備える。
【0015】
本実施形態に係る特典供与システムによれば、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、広告の特典情報が供与される。尚、ここでの「特典情報」とは、店舗における割引情報やプレゼント情報を意味するだけではなく、広告視聴者にとって何らかの便益をもたらす各種情報を含む広い概念である。
【0016】
本実施形態に係る特典供与システムでは、広告の特典情報が、広告の表示位置及び表示時間と共に記憶手段に記憶される。記憶手段は、例えば複数の特典情報を記憶するデータベースとして構成され、広告の特典情報を、どのような場所でどのような日時に広告が表示されるかといった情報と共に記憶する。記憶手段への特典情報の記憶は、例えば広告の提供者や管理者(具体的には、システム管理者や各店舗の担当者等)によるデータの打ち込みや外部装置を用いたデータの読み込み等によって行われる。
【0017】
本実施形態では、広告の特典情報を得ようとする視聴者に対して、先ず視聴者が保有する公共の場所の利用履歴情報を要求する。尚、ここでの「利用履歴情報」とは、表示された広告を実際に視聴したか否かを判定するための情報であり、例えば利用場所や利用時間等を含む情報である。利用履歴情報は、視聴者が広告の表示された公共の場所を利用する際に用いた記憶媒体(例えば、入場の際に利用するICカードや携帯端末等)に記憶されており、取得手段によって取得される。
【0018】
利用履歴情報が取得されると、利用履歴情報に対応する特典情報が記憶手段から抽出される。具体的には、例えば利用履歴情報に含まれる利用場所及び利用時間と、特典情報と共に記憶されている広告の表示位置及び表示時間とが比較され、互いに重複する部分がある場合に、視聴者が広告を視聴したと判定され、対応する特典情報が抽出される。
【0019】
抽出された特典情報は出力手段によって出力される。具体的には、特典情報は各店舗の端末や視聴者が持つ携帯端末等の表示画面に表示される。これにより、広告の視聴者は、広告の特典を利用することが可能となる。尚、特典情報が抽出されない(即ち、利用履歴情報に対応する特典情報が記憶手段に存在しない)場合には、利用できる特典情報が存在しない旨を出力すればよい。
【0020】
以上のように、本発明の特典供与システムによれば、広告の視聴者は、特別な操作をすることなく視聴した広告の特典情報を得ることができる。即ち、利用履歴情報によって広告を視聴したことを証明することができるため、広告の視聴者は極めて簡便に特典情報を得ることができる。一方、広告の提供者は、どのような場所でどのような広告が視聴され、その結果としてどのような商品が購入されたかというデータを取得できる。即ち、広告費用の効果を場所や時間帯など詳細な条件別に知ることができる。よって、極めて効率的にマーケティングを行うことが可能となる。
【0021】
本実施形態に係る特典供与システムの一態様では、前記公共の場所は、公共交通機関であり、前記利用履歴情報は、乗車区間情報及び乗車時刻情報を含む。
【0022】
この態様によれば、公共交通機関(例えば、電車やバス等)の利用履歴情報(即ち、乗車履歴情報)が利用される。公共交通機関の利用履歴情報は、例えば乗車する際に用いるICカード等にログとして一定量記憶される。よって、特典供与システムにおいて、容易且つ確実に利用履歴情報を取得することができる。
【0023】
本態様では特に、公共交通機関の利用履歴情報は、乗車区間情報及び乗車時刻情報を含んでいる。このため、表示されていた広告を視聴したか否かを判定することが容易となる。尚、利用履歴情報は、上述した乗車区間情報及び乗車時刻情報に加えて、路線情報等の他の情報を含んでいてもよい。典型的には、利用履歴情報に含まれる情報の種類が多いほど、広告を実際に視聴したか否かを高精度で判定できる。
【0024】
本実施形態に係る特典供与システムの他の態様では、前記記憶手段は、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間、並びに前記特典情報を供与すべき前記視聴者の属性と共に記憶し、前記取得手段は、前記利用履歴情報に加えて、前記視聴者の属性を示す属性情報を取得し、前記抽出手段は、前記利用履歴情報及び前記属性情報に対応する前記特典情報を前記記憶手段から抽出する。
【0025】
この態様によれば、記憶手段には、広告の特典情報が広告の表示位置及び表示時間、並びに特典情報を供与すべき視聴者の属性と共に記憶されている。記憶される属性としては、例えば性別、年齢、学生/非学生等が挙げられる。
【0026】
本態様では、利用履歴情報を取得する際に、上述した属性を示す属性情報が取得される。そして、特典情報を抽出する際に、利用履歴情報に併せて属性情報が用いられる。これにより、例えば女性限定、20代限定、学生限定等の属性限定での特典情報を供与することが可能となる。
【0027】
本実施形態に係る特典供与システムの他の態様では、前記記憶手段及び前記抽出手段を含む配信装置と、前記取得手段及び前記出力手段を含む出力装置とを備え、前記配信装置は、前記取得された利用履歴情報を受信すると共に、前記抽出された特典情報を送信する第1通信部を有し、前記出力装置は、前記取得された利用履歴情報を送信すると共に、前記抽出された特典情報を受信する第2通信部を有する。
【0028】
この態様によれば、特典供与システムは、記憶手段及び抽出手段を含む配信装置、及び取得手段及び出力手段を含む出力装置を備えて構成される。配信装置は、例えば複数の出力装置に対応するサーバとして構成される。一方、出力装置は各店舗に夫々設置される店舗端末或いはユーザが保有する携帯端末として構成される。配信装置及び出力装置は、各々に設けられた第1通信部及び第2通信部によって互いに通信可能とされる。第1通信部及び第2通信部の通信には、例えばインターネット等を用いることができる。
【0029】
本態様では、視聴者が広告の特典情報を得ようとする際に、先ず出力装置における取得手段によって利用履歴情報が取得される。取得された利用履歴情報は、第2通信部によって配信装置へと送信される。配信装置は、第1通信部によって取得された利用履歴情報を受信すると、抽出手段によって記憶手段に記憶されている特典情報の中から利用履歴情報に対応する特典情報を抽出する。抽出された特典情報は、第1通信部によって出力装置へと送信される。出力装置は、第2通信部によって抽出された特典情報を受信すると、出力手段によって特典情報を出力する。
【0030】
このような構成によれば、複数の出力装置において供与されるべき特典情報を、一の配信装置において一括管理することが可能となるため、極めて効率的に特典情報を管理することができる。また、配信装置が記憶手段及び抽出手段を備えるため、各店舗に設けられる或いは各ユーザが保有する出力装置の構成を比較的簡単なものとすることができる。具体的には、出力装置は、膨大な特典情報を記憶するための記憶手段や、記憶手段に特典情報を入力するための装置を備えていなくとも済む。よって、システム全体としての構成を簡単なものとすることができる。
【0031】
上述した配信装置及び出力装置を備える態様では、前記第2通信部は、前記取得された利用履歴情報を分割送信し、前記抽出された特典情報を受信した場合に前記分割送信を停止するようにしてもよい。
【0032】
この場合、出力装置における第2通信部は、取得した利用履歴情報を一括して配信装置へと送信するのではなく、分割して順次送信する。また第2通信部は、配信装置において抽出された特典情報を受信した場合には、利用履歴情報の送信を停止する。より具体的には、第2通信部は、例えば広告の視聴者が保有する利用履歴情報が複数の履歴を含んでいる場合に、利用履歴情報を1件単位で配信装置へと送信する。この際、第2通信部は、1件の利用履歴情報を送信した後、送信した利用履歴情報に対応する特典情報が抽出されなかった(即ち、対応する特典情報が記憶手段に存在しなかった)場合に、次の1件を送信するようにする。
【0033】
広告の視聴者が保有する利用履歴情報は、例えばICカード等に順次蓄えられていくため、複数件であることが多い。ここで特に、利用履歴情報は一種の個人情報と考えられるため、必要以上の利用履歴情報が外部へ送信されることは望ましくない。これに対し、上述した分割送信によれば、特典情報が抽出された時点で利用履歴情報の送信が停止されるため、極めて効果的に情報の漏洩を防止することができる。
【0034】
本実施形態に係る特典供与システムの他の態様では、前記広告を表示した広告表示装置から、前記広告の表示位置及び表示時刻を取得する第2の取得手段を備え、前記抽出手段は、前記利用履歴情報を前記広告表示装置から取得した表示位置及び表示時刻と比較して前記特典情報を抽出する。
【0035】
この態様によれば、広告を表示する広告表示装置は、広告の表示位置及び表示時刻を送信可能とされている。より具体的には、広告表示装置は、例えばGPS(Global Positioning System)機能を有しており、広告を表示した際の位置をリアルタイムで取得可能とされている。広告表示装置は、取得した表示位置及び表示時刻を、例えばインターネット等の通信方法を用いて特典供与システムが備える第2の取得手段へと送信する。
【0036】
本態様に係る特典供与システムでは、広告表示装置から広告の表示位置及び表示時刻を取得すると、利用履歴情報と、広告表示装置から取得した表示位置及び表示時刻とを比較して特典情報を抽出する。即ち、抽出手段では、特典情報と共に記憶手段に記憶されている広告の表示位置及び表示時間に加えて又は代えて、広告表示装置から取得した広告の表示位置及び表示時刻を用いて特典情報が抽出される。
【0037】
特典情報と共に記憶手段に記憶されている広告の表示位置及び表示時間は、例えば実際に広告が表示される前に記憶されることもあるため、何らかの理由で正確性を損なうおそれがある。例えば、公共交通機関において広告を表示している場合、運行の遅れにより、当初は表示すべき予定であった区間において表示されないといった問題が生じる。
【0038】
しかるに本態様では、広告表示装置が実際に広告を表示した位置及び時刻を取得することができるため、利用履歴情報に対応する特典情報を的確に抽出することが可能となる。これにより、本来は供与すべき特典情報が供与されない、或いは供与すべきでない特典情報が供与されてしまうといった不都合を回避することが可能である。
【0039】
本実施形態に係る特典供与方法は、公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与方法であって、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶工程と、前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得工程と、前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶工程で記憶された前記特典情報の中から抽出する抽出工程と、前記抽出された特典情報を出力する出力工程とを備える
本実施形態に係る特典供与方法によれば、上述した本実施形態に係る特典供与システムと同様に、広告の視聴者が保有する利用履歴情報を用いて特典情報を抽出し出力することが可能である。よって、広告視聴者に対して好適に特典情報を供与することが可能である。
【0040】
尚、本実施形態に係る特典供与方法においても、上述した本実施形態に係る特典供与システムにおける各種態様と同様の各種態様を採ることが可能である。
【0041】
本実施形態に係るコンピュータプログラムは上記課題を解決するために、コンピュータを上述した本実施形態に係る特典供与システム(但し、その各種態様も含む)として機能させる。
【0042】
本実施形態に係るコンピュータプログラムによれば、コンピュータを上述した本実施形態に係る特典供与システムとして機能させることができるため、広告視聴者に対して好適に特典情報を供与することが可能である。
【0043】
本実施形態に係る記録媒体は上記課題を解決するために、上述した本実施形態に係るコンピュータプログラムを記録している。
【0044】
本実施形態に係る記録媒体によれば、記録されているコンピュータプログラムによって、コンピュータを上述した本実施形態に係る特典供与システムとして機能させることができるため、広告視聴者に対して好適に特典情報を供与することが可能である。
【0045】
本実施形態に係る特典供与システム及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体の作用及び他の利得については、以下に示す実施例において、より詳細に説明する。
【実施例】
【0046】
以下では、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0047】
<第1実施例>
先ず、第1実施例に係る特典供与システムの構成について、図1を参照して説明する。ここに図1は、第1実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【0048】
図1において、第1実施例に係る特典供与システムは、特典情報入力装置10と、利用履歴情報読み取り装置20と、特典情報出力装置30と、特典供与装置100とを備えて構成されている。
【0049】
特典情報入力装置10は、特典供与装置100に広告の特典情報を記憶させるための入力装置であり、例えばキーボードのようにデータの打ち込みを行うような装置であってもよいし、記憶媒体からデータを読み取るような読み取り装置であってもよい。
【0050】
利用履歴情報読み取り装置20は、ユーザが保有する利用履歴情報を読み取るための装置であり、例えばICカードから利用履歴情報を読み取るカードリーダ等として構成される。
【0051】
特典情報出力装置30は、特典供与装置100によって抽出された特典をユーザが利用可能な状態となるよう出力するための装置であり、例えば特典情報を画像として表示するモニタ等として構成される。
【0052】
特典供与装置100は、入力受信部101と、特典情報データベース102と、利用履歴情報取得部103と、抽出部104と、出力部105とを備えている。
【0053】
入力受信部101は、特典情報入力装置10によって入力された特典情報を受信し、特典情報データベース102へと記憶する。
【0054】
特典情報データベース102は、本発明の「記憶手段」の一例であり、特典情報入力装置10によって入力された特典情報を、入力受信部101から受け取り記憶する。特典情報データベース102は、入力された特典情報を、広告の表示位置及び表示時刻と共に記憶する。
【0055】
利用履歴情報取得部103は、本発明の「取得手段」の一例であり、利用履歴情報読み取り装置20によって読み取られた利用履歴情報を取得し、抽出部104へと送る。尚、本実施形態に係る利用履歴情報取得部103は、利用履歴情報に加えて、ユーザの属性情報を取得可能に構成されている。
【0056】
抽出部104は、本発明の「抽出手段」の一例であり、利用履歴情報取得部103によって取得した利用履歴情報に対応する特典情報を、特典情報データベース102から抽出する。ここでの特典情報の抽出方法については、後に詳述する。
【0057】
出力部105は、本発明の「出力手段」の一例であり、抽出部104によって抽出された特典情報を特典情報出力装置30へと出力する。
【0058】
上述した特典供与システムは、例えば特典を利用可能な店舗に夫々設けられており、来店したユーザから利用履歴情報を取得することで、ユーザが視聴した広告に対応する特典情報を供与することが可能である。
【0059】
次に、第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の入力処理について、図2及び図3を参照して説明する。ここに図2は、第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の入力処理を示すフローチャートである。また図3は、第1実施例に係る特典供与システムに記憶される特典情報の一例を示す概念図である。
【0060】
図2において、特典情報の入力処理では、特典情報入力装置10によって特典情報が入力されると(ステップS101:YES)、入力された特典情報が入力受信部101を介して特典情報データベース102へ登録される(ステップS102)。
【0061】
図3に示すように、例えば電車内において表示される広告の特典情報は、ID、表示期間、開始位置、終了位置、路線、特典内容、対象を含む情報として特典情報データベース102に記憶される。
【0062】
具体的には、図中のID“01”で示される特典情報は、2011年の1月1日から1月31日の8:00から11:00までに、ABC線のA駅からB駅間で表示される広告に対応する特典情報である。特典を供与すべき対象は限定されておらず、特典内容は全品10%オフである。また、図中のID“02”で示される特典情報は、2011年の1月1日から2月28日の9:00から15:00までに、XYZ線のC駅からD駅間で表示される広告に対応する特典情報である。特典を供与すべき対象は学生であり、特典内容は全品200円引きである。
【0063】
尚、図3で示した特典情報に含まれる各種情報は一例であり、利用履歴情報に対応する特典情報を抽出するための情報を含むのであれば、他の情報を含むものとして登録されてもよい。
【0064】
図2に戻り、特典情報の入力後は、更に追加される特典情報がある場合(ステップS103:YES)、再び上述したS101からの処理が繰り返される。一方で、追加される特典情報がない場合は(ステップS103:NO)、特典情報の入力処理を終了する。
【0065】
次に、第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の出力処理について、図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、第1実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の出力処理を示すフローチャートである。また図5は、第1実施例に係る特典供与システムに取得される利用履歴情報の一例を示す概念図である。
【0066】
図4において、特典情報の出力処理では、先ず利用履歴情報読み取り装置20によって、ユーザの保有するICカード等から利用履歴情報が読み取られる(ステップS201)。読み取られた利用履歴情報は、利用履歴情報取得部103を介して、抽出部104へと送られる。
【0067】
図5に示すように、例えば電車を利用した場合の利用履歴情報(即ち、乗車履歴情報)は、乗車日時、乗車駅、降車駅、路線を含む情報として、ユーザが保有するICカード等に記憶されている。図5で示す例では、2011年の1月1日の10:00にABC線のA駅からB駅まで乗車したという履歴と、2011年の1月1日の18:00にPQR線のE駅からF駅まで乗車したという履歴が記憶されている。
【0068】
利用履歴情報が読み取られると、抽出部104によって、特典情報データベース102に記憶されている特典情報の中から、利用履歴情報に対応する特典情報が抽出される(ステップS201)。具体的には、利用履歴情報に含まれる利用場所及び利用時間と、特典情報と共に特典情報データベース102に記憶されている広告の表示位置及び表示時間とが比較され、互いに重複する部分がある場合に、ユーザが広告を視聴したと判定され、対応する特典情報が抽出される。
【0069】
例えば、図3に示した特典情報が特典情報データベース102に記憶されており、図5に示した利用履歴情報が読み取られたとする。この場合、ユーザは2011年の1月1日の10:00にABC線のA駅からB駅まで乗車しているため、ID“01”で示される特典情報を有する広告を視聴していると考えられる。よって、ID“01”で示される特典情報が抽出される。一方で、ユーザはID“02” 示される特典情報を有する広告が表示されるXYZ線のC駅からD駅を利用していない。よって、ユーザは、ID“02” 示される特典情報を有する広告を視聴していないと判定され、ID“02” 示される特典情報は抽出されない。
【0070】
特典情報が抽出されると(ステップS203:YES)、抽出部104において、抽出された特典情報が属性情報に依存するものであるか否かが判定される(ステップS204)。即ち、特典情報の供与対象が属性によって限定されているか否かが判定される。ここで、例えば図3に示すID“02”の特典情報が抽出されていたとすると、特典供与対象が学生に限定されているため、抽出された特典情報は属性情報に依存するものであると判定される(ステップS204:YES)。この場合、ユーザが保有する属性情報が取得可能であるか否かが判定される(ステップS205)。具体的には、ユーザが、利用履歴情報が記憶されているICカード等に、属性情報を出力可能な状態で保有している否かが判定される。
【0071】
属性情報が取得可能である場合(ステップS205:YES)、利用履歴情報読み取り装置20によって、ユーザが保有するICカード等から属性情報が読み取られる(ステップS206)。読み取られた属性情報は、利用履歴情報取得部103を介して、抽出部104へと送られる。尚、属性情報は、利用履歴情報が記憶された記憶媒体から読み取られることが好ましいが、利用履歴情報を記憶する記憶媒体以外の記憶媒体から読み取られてもよい。
【0072】
属性情報が取得されると、抽出部104によって、取得した属性情報が特典情報の供与対象である属性と一致するか否かが判定される(ステップS207)。そして、取得した属性情報が特典情報の供与対象である属性と一致する場合(ステップS207:YES)、抽出された特典情報が出力部105によって出力される(ステップS208)。出力された特典情報は、特典情報出力装置30において表示され、ユーザは特典を利用可能な状態となる。
【0073】
尚、抽出された特典情報が属性情報に依存しないものであった場合(ステップS204:NO)、上述したステップS205からステップS207の処理は省略され、抽出された特典情報が出力部105によって出力される。また、特典情報が抽出されない場合(ステップS203:NO)、属性情報が取得可能でない場合(ステップS205:NO)、及び取得した属性情報が特典情報の条件に一致しなかった場合(ステップS207:NO)には、出力する特典情報がないことが出力される(ステップS209)。即ち、特典情報は出力されない。
【0074】
以上説明したように、第1実施例に係る特典供与システムによれば、広告の視聴者は、特別な操作をすることなく視聴した広告の特典情報を得ることができる。即ち、利用履歴情報によって広告を視聴したことを証明することができるため、広告の視聴者は極めて簡便に特典情報を得ることができる。一方、広告の提供者は、どのような場所でどのような広告が視聴され、その結果としてどのような商品が購入されたかというデータを取得できる。即ち、広告費用の効果を場所や時間帯など詳細な条件別に知ることができる。よって、極めて効率的にマーケティングを行うことが可能となる。
【0075】
<第2実施例>
続いて、第2実施例に係る特典供与システムについて説明する。尚、第2実施例に係る特典供与システムは、上述した第1実施例に係る特典供与システムと比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の点については概ね同様である。このため、以下では第1実施例と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0076】
先ず、第2実施例に係る特典供与システムの構成について、図6を参照して説明する。ここに図6は、第2実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【0077】
図6において、第2実施例に係る特典供与システムは、特典情報入力装置10と、利用履歴情報読み取り装置20と、特典情報出力装置30と、サーバ110と、店舗端末120とを備えて構成されている。即ち、図1で示した特典供与装置100が、サーバ110及び店舗端末120として分割して備えられている。
【0078】
サーバ110は、本発明の「配信装置」の一例であり、特典供与システムにおいて扱う広告情報を一括管理する管理センタ等に配置されている。
【0079】
店舗端末120は、本発明の「出力装置」の一例であり、特典を供与する各店舗に配置されている。店舗端末120は、典型的には一のサーバ110に対して複数配置される。言い換えれば、サーバ110は、複数の店舗端末120に対応している。
【0080】
サーバ110は、入力受信部110と、特典情報データベース102と、抽出部104と、サーバ側通信部108とを備えている。
【0081】
店舗端末120は、利用履歴情報取得部103と、出力部105と、制御部106と、端末側通信部107とを備えている。
【0082】
制御部106は、店舗端末120の動作を制御するコントローラとして構成されている。
【0083】
サーバ側通信部108は、本発明の「第1通信部」の一例であり、本発明の「第2通信部」の一例である端末側通信部107と互いに通信可能とされている。即ち、サーバ110及び店舗端末120は、互いに通信可能とされている。サーバ側通信部108及び端末側通信部107は、例えばインターネット等を用いて互いに通信可能とされる。
【0084】
次に、第2実施例に係る特典供与システムにおける特典情報の出力処理について、図7及び図8を参照して説明する。ここに図7は、第2実施例に係る特典供与システムにおける端末側の特典情報の出力処理を示すフローチャートである。また図8は、第2実施例に係る特典供与システムにおけるサーバ側の特典情報の出力処理を示すフローチャートである。
【0085】
図7において、特典情報の出力処理では、先ず店舗端末120側の利用履歴情報読み取り装置20によって、ユーザの保有するICカード等から利用履歴情報が読み取られる(ステップS301)。読み取られた利用履歴情報は、利用履歴情報取得部103を介して、制御部106へと送られる。続いて、制御部106は、端末側通信部107によって、取得した利用履歴情報をサーバ110へと送信する(ステップS302)。以降の処理は、サーバ110において行われる。
【0086】
尚、端末側通信部107は、ユーザが保有する利用履歴情報が複数の履歴を含んでいる場合に、利用履歴情報を1件単位でサーバ110へと送信する。そして、端末通信部107は、1件の利用履歴情報を送信した後、送信した利用履歴情報に対応する特典情報が抽出されなかった(即ち、対応する特典情報が特典情報データベース102に存在しなかった)場合に、次の1件を送信するようにする。
【0087】
ユーザが保有する利用履歴情報は、例えばICカード等に順次蓄えられていくため、複数件であることが多い。ここで特に、利用履歴情報は一種の個人情報と考えられるため、必要以上の利用履歴情報が外部へ送信されることは望ましくない。これに対し、上述した1件単位での送信によれば、特典情報が抽出された時点で利用履歴情報の送信が停止されるため、極めて効果的に情報の漏洩を防止することができる。
【0088】
図8において、サーバ110では、サーバ側通信部108によって利用履歴情報が受信されると(ステップS401:YES)、利用履歴情報が抽出部104へと送られる。抽出部104では、特典情報データベース102に記憶されている特典情報の中から、利用履歴情報に対応する特典情報が抽出される(ステップS402)。具体的には、利用履歴情報に含まれる利用場所及び利用時間と、特典情報と共に特典情報データベース102に記憶されている広告の表示位置及び表示時間とが比較され、互いに重複する部分がある場合に、ユーザが広告を視聴したと判定され、対応する特典情報が抽出される。
【0089】
特典情報が抽出された場合(ステップS403:YES)、抽出された特典情報が、サーバ側通信部108によって店舗端末120へと送信される(ステップS404)。一方で、特典情報が抽出されなかった場合(ステップS403:NO)、抽出された特典情報がないことが、サーバ側通信部108によって店舗端末120へと送信される(ステップS405)。以降の処理は、再び店舗端末120において行われる。
【0090】
図7に戻り、店舗端末120では、端末側通信部107においてサーバ110からの情報を受信すると(ステップS303:YES)、制御部106において特典情報が抽出されたか否かが判定される(ステップS304)。即ち、サーバ110から特典情報が送信されてきたのか、或いは特典情報がない旨が送信されてきたのかを判定する。
【0091】
特典情報が抽出された場合(ステップS304:YES)、制御部106において、抽出された特典情報が属性情報に依存するものであるか否かが判定される(ステップS305)。即ち、特典情報の供与対象が属性によって限定されているか否かが判定される。抽出された特典情報が属性情報に依存するものであると判定されると(ステップS305:YES)、ユーザが保有する属性情報が取得可能であるか否かが判定される(ステップS306)。属性情報が取得可能である場合(ステップS306:YES)、利用履歴情報読み取り装置20によって、ユーザが保有するICカード等から属性情報が読み取られる(ステップS307)。読み取られた属性情報は、利用履歴情報取得部103を介して、制御部106へと送られる。
【0092】
属性情報が取得されると、制御部106によって、取得した属性情報が特典情報の供与対象である属性と一致するか否かが判定される(ステップS308)。そして、取得した属性情報が特典情報の供与対象である属性と一致する場合(ステップS308:YES)、抽出された特典情報が出力部105によって出力される(ステップS309)。出力された特典情報は、特典情報出力装置30において表示され、ユーザは特典を利用可能な状態となる。
【0093】
尚、抽出された特典情報が属性情報に依存しないものであった場合(ステップS305:NO)、上述したステップS306からステップS308の処理は省略され、抽出された特典情報が出力部105によって出力される。また、特典情報が抽出されない場合(ステップS304:NO)、属性情報が取得可能でない場合(ステップS306:NO)、及び取得した属性情報が特典情報の条件に一致しなかった場合(ステップS308:NO)には、出力する特典情報がないことが出力される。即ち、特典情報は出力されない。
【0094】
ちなみに本実施例では、上述した属性情報に関する処理を店舗端末120の制御部106によって行っているが、同様の処理をサーバ110の抽出部104において行うようにしてもよい。即ち、店舗端末120側で取得された属性情報がサーバ110に送られ、サーバ110において属性情報に関する処理が行われてもよい。
【0095】
次に、第2実施例に係る特典供与システムの変形例について、図9を参照して説明する。ここに図9は、第2実施例に係る特典供与システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【0096】
図9において、第2実施例に係る特典供与システムは、特典情報入力装置10と、利用履歴情報読み取り装置20と、特典情報出力装置30と、サーバ110と、ユーザ端末130とを備えて構成されていてもよい。即ち、第2実施形態に係る特典供与システムは、店舗端末120に代えて、ユーザ端末130が備えられる構成でもよい。
【0097】
ユーザ端末130は、上述した店舗端末120と同様に、本発明の「出力装置」の一例であり、例えば各ユーザが保有する携帯端末として構成される。ここでのユーザ端末130は特に、電車を利用する際の乗車券として機能させることが可能である。
【0098】
ユーザ端末130は、利用履歴情報取得部103と、出力部105と、制御部106と、端末側通信部107と、利用履歴情報記録部190とを備えている。
【0099】
利用履歴情報記録部190は、ユーザの利用履歴情報を記録しており、必要に応じて、利用履歴情報取得部103に利用履歴情報を送ることが可能である。
【0100】
このようなユーザ端末130によれば、ユーザが特典情報を利用しようとする場合に、ユーザが有する記憶媒体を店舗端末120で読み取らずとも、ユーザ端末130の内部において利用履歴情報を直接取得することが可能である。これにより、実質的に店舗端末120を各店舗に配置する必要がなくなるため、システムのコストを低減できる。
【0101】
以上説明したように、第2実施例に係る特典供与システムによれば、第1実施例と同様に、ユーザに対して好適に特典を供与することが可能となる。加えて第2実施例では、複数の店舗端末120或いはユーザ端末130において供与されるべき特典情報を、一のサーバ110において一括管理することが可能となるため、極めて効率的に特典情報を管理することができる。また、サーバ110が特典情報データベース102及び抽出部104を備えるため、店舗端末120及びユーザ端末130の構成を比較的簡単なものとすることができる。よって、システム全体としての構成を簡単なものとすることができる。
【0102】
<第3実施例>
続いて、第3実施例に係る特典供与システムについて説明する。尚、第3実施例に係る特典供与システムは、上述した第2実施例に係る特典供与システムと比べて一部の構成及び動作が異なるのみであり、その他の点については概ね同様である。このため、以下では第2実施例と異なる部分について詳細に説明し、重複する部分については適宜説明を省略するものとする。
【0103】
先ず、第3実施例に係る特典供与システムの構成について、図10を参照して説明する。ここに図10は、第3実施例に係る特典供与システムの構成を示すブロック図である。
【0104】
図10において、第3実施例に係る特典供与システムは、特典情報入力装置10と、利用履歴情報読み取り装置20と、特典情報出力装置30と、サーバ110と、店舗端末120と、広告表示端末200と、広告表示装置250とを備えて構成されている。
【0105】
広告表示端末200は、例えばモニタ等として構成される広告表示装置250に広告を表示させるための制御を行う端末である。広告表示端末200は、制御部201と、広告表示履歴データベース202と、位置情報取得部203と、広告表示端末側通信部204とを備えている。
【0106】
制御部201は、広告表示端末200全体の制御を行うコントローラとして構成されている。
【0107】
広告表示履歴データベース202は、広告表示内容、開始時刻、終了時刻、開始位置、終了位置を含む情報を記憶可能に構成されている。
【0108】
位置情報取得部203は、例えばGPS機能を有しており、広告表示端末200の位置を取得可能に構成されている。
【0109】
広告表示端末側通信部204は、広告表示履歴データベース202に記憶された各種情報を、サーバ110におけるサーバ側通信部108に送信可能に構成されている。即ち、ここでのサーバ側通信部108は、本発明の「第2の取得手段」としても機能する。
【0110】
次に、第3実施例に係る特典供与システムにおける広告表示処理について、図11から図13を参照して説明する。ここに図11は、第3実施例に係る特典供与システムにおける広告表示処理を示すフローチャートである。また図12は、電車内での広告表示において各区間で表示される広告内容を示す概念図であり、図13は、位置情報を含む広告表示履歴の一例を示す概念図である。
【0111】
図11において、広告表示処理では、先ず制御部201によって、広告表示装置250における広告の表示が開始される(ステップS501)。この際、制御部201は、広告の表示が開始された時点の広告表示端末200の位置情報を、位置情報取得部203によって取得する(ステップS502)。制御部201は更に、表示されている広告の内容、表示開始時刻、表示開始位置を、広告表示履歴データベース202へと記憶させる(ステップS503)。
【0112】
広告の表示期間が終了すると、制御部201によって、広告表示装置250における広告の表示が終了される(ステップS504)。この際、制御部201は、広告の表示が終了された時点の広告表示端末200の位置情報を、位置情報取得部203によって取得する(ステップS505)。制御部201は更に、表示されている広告の内容、表示終了時刻、表示終了位置を、広告表示履歴データベース202へと記憶させる(ステップS506)。
【0113】
最後に、制御部201は、広告表示履歴データベース202に記憶させた広告の内容、表示開始時刻、表示開始位置、表示終了時刻、表示終了位置の各々を、広告表示端末側通信部204によってサーバ110へと送信する。これにより、サーバ110では、特典情報を有する広告が、いつどこで表示されたのかを正確に把握することが可能となる。以下では、広告の表示位置及び表示時刻について、具体例を挙げてより詳細に説明する。
【0114】
図12に示すように、ある電車の路線で3種類の広告を所定の間隔で切り替えながら表示したとする。この場合、サーバ110側では、開始駅及び終了駅との間で広告を表示するという情報は管理できるが、その日の運行状況によって、実際にどの区間でどの広告が表示されたかを正確に把握するのは難しい。
【0115】
ここで、図13に示すように、広告表示端末200が、広告内容の履歴を、開始時刻、開始位置、終了時刻、終了位置と共にサーバ110に送信するようにすれば、サーバ110は、どの広告がどの区間で表示されていたかを詳細に把握できる。従って、利用履歴情報を用いた特典情報の抽出を、より高い精度で行うことが可能となる。より具体的には、例えばある路線で、8:00から9:00の間に間隔を空けて3回広告を表示すると言った場合に、8:00から9:00の間に乗車していた人全てに特典を供与するのではなく、実際に表示された3回の区間に乗車していた人にのみ特典を供与するといったことが可能になる。
【0116】
以上説明したように、第3実施例に係る特典供与システムによれば、広告表示端末200から送信される情報を用いることで、高い精度で利用履歴情報に対応する特典情報を抽出することができる。よって、ユーザに対してより好適に特典を供与することが可能となる。
【0117】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う特典供与システム及び方法、並びにコンピュータプログラム及び記録媒体もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0118】
10…特典情報入力装置、20…利用履歴情報読み取り装置、30…特典情報出力装置、100…特典供与装置、101…入力受信部、102…特典情報データベース、103…利用履歴情報取得部、104…抽出部、105…出力部、106…制御部、107…端末側通信部、108…サーバ側通信部、109…利用履歴情報記録部、110…サーバ、120…店舗端末、130…ユーザ端末、200…広告情報表示端末、201…制御部、202…広告表示履歴データベース、203…位置情報取得部、204…広告表示端末側通信部、250…特典情報表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与システムであって、
前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶手段と、
前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得手段と、
前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶手段から抽出する抽出手段と、
前記抽出された特典情報を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする特典供与システム。
【請求項2】
前記公共の場所は、公共交通機関であり、
前記利用履歴情報は、乗車区間情報及び乗車時刻情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の特典供与システム。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間、並びに前記特典情報を供与すべき前記視聴者の属性と共に記憶し、
前記取得手段は、前記利用履歴情報に加えて、前記視聴者の属性を示す属性情報を取得し、
前記抽出手段は、前記利用履歴情報及び前記属性情報に対応する前記特典情報を前記記憶手段から抽出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の特典供与システム。
【請求項4】
前記記憶手段及び前記抽出手段を含む配信装置と、
前記取得手段及び前記出力手段を含む出力装置と
を備え、
前記配信装置は、前記取得された利用履歴情報を受信すると共に、前記抽出された特典情報を送信する第1通信部を有し、
前記出力装置は、前記取得された利用履歴情報を送信すると共に、前記抽出された特典情報を受信する第2通信部を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の特典供与システム。
【請求項5】
前記第2通信部は、前記取得された利用履歴情報を分割送信し、前記抽出された特典情報を受信した場合に前記分割送信を停止することを特徴とする請求項4に記載の特典供与システム。
【請求項6】
前記広告を表示した広告表示装置から、前記広告の表示位置及び表示時刻を取得する第2の取得手段を備え、
前記抽出手段は、前記利用履歴情報を前記広告表示装置から取得した表示位置及び表示時刻と比較して前記特典情報を抽出する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の特典供与システム。
【請求項7】
公共の場所において表示される広告の視聴者に対して、前記広告の特典情報を供与する特典供与方法であって、
前記広告の特典情報を前記広告の表示位置及び表示時間と共に記憶する記憶工程と、
前記視聴者が保有する前記公共の場所の利用履歴情報を取得する取得工程と、
前記取得された利用履歴情報に対応する前記特典情報を前記記憶工程で記憶された前記特典情報の中から抽出する抽出工程と、
前記抽出された特典情報を出力する出力工程と
を備えることを特徴とする特典供与方法。
【請求項8】
コンピュータを請求項1から6のいずれか一項に記載の特典供与システムとして機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のコンピュータプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−16102(P2013−16102A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149829(P2011−149829)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)