説明

特定のジスルフィド染料を含む染色組成物およびその染料を使用するヒトのケラチン繊維を染色する方法

【課題】ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、具体的には毛髪を染色するためであって、既存の直接染料の不都合を有さない新規な方式を提供すること。特に継続的なシャンプーに対して非常に堅ろうである色あざやかな着色を得ることを可能にする直接染色方式を提供すること。
【解決手段】本発明の対象は、特定のジスルフィド染料を含む染色組成物およびその組成物を使用して毛髪等のヒトのケラチン繊維を染色する方法であり、該組成物は、特に堅ろうで色あざやかな着色を得ることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、特定のジスルフィド染料を含む染色組成物およびその組成物を使用して、ケラチン繊維、具体的にはヒトのケラチン繊維、特に毛髪を染色する方法である。本発明の対象は、また、新規なジスルフィド染料である。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維、具体的にはヒトのケラチン繊維を、直接染料により染色することは知られている。直接染色において従来使用されている方法は、有色である直接染料をケラチン繊維に塗布してその繊維に対して親和力を有する分子を染め付け、それらを拡散し、次にその繊維をすすぐことにある。
【0003】
従来使用されている直接染料は、例えば、ニトロベンゼンタイプの染料、アントラキノン染料、ニトロピリジン、アゾ、キサンテン、アクリジン、アジンまたはトリアリールメタンタイプの染料である。
【0004】
直接染料を使用することに由来する着色は、直接染料をケラチン繊維に結合する相互作用ならびに表面からおよび/または繊維のコアからのそれらの脱着の性質が、それらの弱い染色力およびそれらの洗髪および発汗に対する乏しい堅ろう度が関与するために、一時的であるかまたは半永続的な着色である。
【0005】
オルト-またはパラ-フェニレンジアミン、オルト-またはパラ-アミノフェノールおよび複素環化合物等の一般に酸化ベースと呼ばれる酸化染料前駆体を含有する染料組成物により永久着色を得ることもまた知られている。これらの酸化ベースは、無色またはかすかに有色の化合物であり、酸化性生成物と組み合わせ、酸化縮合の工程を通して、有色化合物を生じさせることができる。
【0006】
これらの酸化ベースを、カプラーまたは色調節剤(後者は、特に、芳香族メタジアミン類、メタアミノフェノール類、メタジフェノール類およびインドール化合物類等の一定の複素環化合物から選択される)と組み合わせることによって得られる色相を変化させることが可能であることもまた知られている。
【0007】
さまざまな分子を酸化ベースおよびカプラーに使用することにより、豊富な色のパレットを得ることが可能となる。
【0008】
この酸化染色法は、ケラチン繊維に塩基または塩基の混合物およびカプラーを酸化剤としての過酸化水素と共に塗布し、拡散させ、次いでその繊維をすすぐものである。それによって得られる着色は、永続性で、高濃度であり、外部の作用因子、特に光に、不利な気象条件に、洗浄に、発汗に、および摩擦に耐性を示す。
【0009】
酸化染色方式は、シャンプーに対して比較的堅固である背景をなす着色を得ることを可能にはするが、色あざやかな色合いを得ることを可能にはしない。
【0010】
直接染料の堅ろう度を増すために、直接染料を共有結合により毛髪に固定することが知られている。例えば、反応性基を有する染料と、毛髪繊維中に非常に多数存在するシスチンまたはシステインとの反応を生じさせることが知られている。ブンテ塩およびイソチウロニウム官能基またはその他のチオール保護基を有するいくつかの染料もまた記載されている。しかしながら、反応性の形状の染料の生成には、一般に強い塩基性媒体を使用することを必要とする。その上、チオール官能基は、一般に過剰に生成し、そのために染色の後に中和ステップを続けることが必要となる。
【0011】
ケラチン繊維を染色するものとして知られている他のジスルフィド染料は、アミノチオフェノール誘導体のジスルフィド誘導体である。その染料は、例えば、特許FR1156407に記載されている。これらの染料は、わずかに還元性の媒体の存在する中、または毛髪を還元する前処理の後の比較的マイルドな条件下で使用することができる。しかしながら、これらの染料は、塗布中に色の変化を引き起こすことがあり得る。
【0012】
さらに、論文「The role of the vinylsulphonyl reactive dyes in prevention of wool damage」、J. Soc. Dyers Colourists、107巻、1991年10月、357〜362頁の中で、羊毛を、ジスルフィド染料により高温(100℃)で染色すると、そのジスルフィド基がビニルスルホニル基を生成することに寄与し、その結果羊毛繊維の劣化が低減されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】FR1156407
【特許文献2】WO 95/15144
【特許文献3】WO 95/01772
【特許文献4】EP-714 954
【特許文献5】US 5888252
【特許文献6】EP 1133975
【特許文献7】WO 03/029359
【特許文献8】EP 860636
【特許文献9】EP 318294
【特許文献10】EP 850636
【特許文献11】FR 2788433
【特許文献12】EP 920856
【特許文献13】WO 99/48465
【特許文献14】FR 2757385
【特許文献15】EP 850637
【特許文献16】EP 918053
【特許文献17】WO 97/44004
【特許文献18】FR 2570946
【特許文献19】FR 2285851
【特許文献20】DE 2538363
【特許文献21】FR 2189006
【特許文献22】FR 1560664
【特許文献23】FR 1540423
【特許文献24】FR 1567219
【特許文献25】FR 1516943
【特許文献26】FR 1221122
【特許文献27】DE 4220388
【特許文献28】DE 4137005
【特許文献29】WO 01/66646
【特許文献30】US 5708151
【特許文献31】WO 51/15144
【特許文献32】GB 1195386
【特許文献33】US 3524842
【特許文献34】US 5879413
【特許文献35】EP 1062940
【特許文献36】EP 1133976
【特許文献37】GB 738585
【特許文献38】DE 2527638
【特許文献39】FR 2275462
【特許文献40】GB 1974-27645
【特許文献41】FR 2586913
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】The role of the vinylsulphonyl reactive dyes in prevention of wool damage」、J. Soc. Dyers Colourists、107巻、1991年10月、357〜362頁
【非特許文献2】the Colour Index International 第3版
【非特許文献3】K. Venkataramanによる百科事典「The chemistry of synthetic dye」、1952年、Academic Press、1巻〜7巻
【非特許文献4】Kirk-Othmerの百科事典「Chemical Technology」の中の「Dyes and Dye Intermediate」の章、1993年、Wiley & Sons
【非特許文献5】百科事典「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」第7版、Wiley & Sons
【非特許文献6】Acta Histochem、(1978年)、61(1)、48〜52頁
【非特許文献7】Tsitologiya (1968年)、10(3)、403〜5頁
【非特許文献8】Zh. Obshch、Khim、(1970年)、40(1)、195〜202頁
【非特許文献9】Ann. Chim. (ローマ) (1975年)、65(5〜6)、305〜14頁
【非特許文献10】Rev. Roum. Chim. (1988年)、33(4)、377〜83頁
【非特許文献11】Text. Res. J. (1984年)、54(2)、105〜7頁
【非特許文献12】Chim. Ind. (モラノ) (1974年)、56(9)、600〜3頁
【非特許文献13】Khim. Tekhnol. (1979年)、22(5)、548〜53頁
【非特許文献14】Ger. Monatsh. Chem. (1975年)、106(3)、643〜8頁
【非特許文献15】MRL Bull. Res. Dev. (1992年)、6(2)、21〜7頁
【非特許文献16】Lihua Jianyan、Huaxue Fence (1993年)、29(4)、233〜4頁
【非特許文献17】Dyes Pigm. (1992年)、19(1)、69〜79頁、Dyes Pigm. (1989年)、11(3)、163〜72頁
【非特許文献18】Advanced Organic Chemistry、March著、第4版
【非特許文献19】Journal of the Chinese Chemical Society (台北) (1998年)、45(1)、209〜211頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、具体的には毛髪を染色するためであって、既存の直接染料の不都合を有さない新規な方式を提供することである。とりわけ、本発明の目的の1つは、特に継続的なシャンプーに対して非常に堅ろうである色あざやかな着色を得ることを可能にする直接染色方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的は、本発明により達成され、その目的は、ヒトのケラチン繊維に染色する方法であって、以下の式(I)、(II)、(III)または(IV):
【0017】
【化1】

【0018】
の染料、それらの塩、異性体および水和物等の溶媒和物から選択された少なくとも1種のジスルフィド染料を、適当な化粧品媒体中に含む染色組成物を前記繊維に塗布するものであり、上式中:
・AおよびA'は、同一であるかまたは異なり、少なくとも1つのカチオン性または非カチオン性発色団を含有する基を表し、
・VおよびV'は、同一であるかまたは異なり、橋かけ基を表し、
・vおよびv'は、同一であるかまたは異なり、0または1を表し、
・Xは、同一であるかまたは異なり、飽和または不飽和の直鎖または分枝のC1〜C30炭化水素鎖であって、
- -N(R)-、-N+(R)(R)-、-0-、-S-、-CO-、-SO2-(Rは、同一であるかまたは異なり、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキル基から選択される)、
- 場合により置換されている、飽和または不飽和の、縮合又は非縮合の、1つまたは複数の同一であるかまたは異なるヘテロ原子を場合により含む芳香族または非芳香族(複素)環式基、
から選択された1つまたは複数の二価の基またはそれらの組み合わせにより、場合により割り込まれておりかつ/またはその末端の一方または両方が場合により終結している炭化水素鎖、
・係数pは、0または1に等しく、
・Csat、C'satは、同一であるかまたは異なり、場合により置換されており、場合により環状、直鎖または分枝のC1〜C18アルキレン鎖を表し、
・Dは、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシラート、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基から選択された基に対応する
方法である。
【0019】
本発明の方法は、シャンプー、通常の攻撃(日光、発汗)およびその他のヘアトリートメントに対して堅ろうな有彩色または背景色を得ることを可能にする。
【0020】
本発明の対象は、また、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維を染色するための適当な化粧品媒体中に、式(I)、(II)、(III)または(IV)の染料から選択した少なくとも1種のジスルフィド染料を含んでいる染色組成物である。
【0021】
本発明の他の対象は、式(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも1種のジスルフィド染料の、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維とりわけ毛髪を染色するための用途である。
【0022】
本発明の対象は、最後に、式(I)、(II)、(III)または(IV)のジスルフィド染料そのもの、それらの塩、それらの異性体およびそれらの溶媒和物である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の目的に対して、特に明記しない限り、
- アリールもしくはヘテロアリール基または基のアリールもしくはヘテロアリール部分は、炭素原子によって所有されている少なくとも1つの置換基によって置換されていてもよく、その置換基は以下から選択される:
・C1〜C16、好ましくはC1〜C8のアルキル基[基類の、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、アシルアミノ、2つのC1〜C4アルキル基によって置換されているアミノ(その2つのアルキル基は、同一であるかまたは異なり、場合によって少なくとも1つのヒドロキシル基を有するか、または2つの基が、それらが結合している窒素原子と共に、場合によって置換されており、5から7員、好ましくは5または6員を含み、窒素と同一かまたは異なる別のへテロ原子を場合によって含む飽和または不飽和の複素環を形成することが可能である)から選択された1つまたは複数の基によって場合によって置換されている]、
・塩素、フッ素または臭素等のハロゲン原子、
・ヒドロキシル基
・C1〜C2アルコキシ基、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ基、
・アミノ基、1つまたは2つのC1〜C4アルキル基によって置換されているアミノ基(そのアルキル基は、同一であるかまたは異なり、2つの場合によって置換されているC1〜C3アルキル基と共に、少なくとも1つのヒドロキシルまたはアミノ基を場合によって有しており、前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、場合によって置換されており、5から7員を含み、窒素とは異なるかまたは同一の他のへテロ原子を場合によって含む飽和または不飽和の複素環を形成することが可能である)
・アシルアミノ(-NR-COR')基(式中、Rは、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合によって有しているC1〜C4アルキル基であり、基R'は、C1〜C2アルキル基である)、カルバモイル((R)2N-CO-)基(式中、基Rは、同一であるかまたは異なり、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合によって有しているC1〜C4アルキル基を表す)、アルキルスルホニルアミノ(R'SO2-NR-)基(式中、基Rは、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合によって有しているC1〜C4アルキル基を表し、基R'は、C1〜C4アルキル基、フェニル基を表す)、アミノスルホニル((R)2N-SO2-)基(式中、基Rは、同一であるかまたは異なり、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合によって有しているC1〜C4アルキル基を表す)、
・酸の形または塩形成された形(好ましくはアルカリ金属または置換または非置換のアンモニウムによる)のカルボキシル基、
・ニトロ基、
・ニトリル(CN)基、
・トリフルオロメチル(CF3)基、
- 非芳香族基の環状または複素環部分は、以下の基から選択された炭素原子により所有されている少なくとも1つの置換基によって置換されている:
・ヒドロキシル、
・C1〜C4アルコキシ、C2〜C4(ポリ)ヒドロキシアルコキシ、
・アルキルカルボニルアミノ(RCO-NR'-)[式中、基R'は、水素原子、少なくとも1つのヒドロキシル基を場合によって有しているC1〜C4アルキル基であり、基Rは、C1〜C2アルキル基、2つのC1〜C4アルキル基によって置換されているアミノ基(その2つのアルキル基は、同一であるかまたは異なり、場合によって少なくとも1つのヒドロキシル基を有しており、前記アルキル基は、それらが結合している窒素原子と共に、5から7員を含み、窒素と異なるかまたは同一の他のへテロ原子を場合によって含む場合によって置換されている飽和または不飽和の複素環を形成することが可能である)である]、
- 炭化水素鎖は、それが1つまたは複数の二重結合および/または1つまたは複数の三重結合を含有するとき、不飽和であり、
- ヘテロ芳香族またはヘテロアリール基は、少なくとも1つの炭素原子が、窒素、酸素または硫黄から選択されたへテロ原子によって置き換えられている芳香族基に対応する。
【0024】
さらに、特に明記しない限り、値域の大きさの範囲を定める限界は、この値域内に含まれる。
【0025】
本発明によれば、「発色団」という表現は、染料から生じた基、すなわち、発光の可視領域(400と800nmの間)において吸光する分子に由来するものと理解される。
【0026】
式(I)、(II)、(III)および(IV)のAおよびA'は、同一であるかまたは異なる1つまたは複数の発色団を含有することができる。
【0027】
本発明の目的に対して、その発色団は、それらが化学構造に相違があるときは、異なると言える。上記発色団は、それらが異なる化学構造を有することを条件として、異なる仲間からまたは同じ仲間から生じた発色団であり得る。例えば、その発色団(複数)は、アゾ染料の仲間から選択することができるが、それらが構成されている基の化学構造またはこれらの基のそれぞれの位置に違いがある。
【0028】
本発明において有用な発色団としては、以下の染料から生じた基を挙げることができる:アクリジン、アクリドン、アントラントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、アジン、アゾ、アゾメチン、ベンズアントロン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、ベンゾキノン、ビスアジン、ビスイソインドリン、カルボキシアニリド、クマリン、シアニン(アザカルボシアニン、ジアザカルボシアニン、ジアザヘミシアニン、ヘミシアニンおよびテトラアザカルボシアニンなど)、ジアジン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルアミン、ジフェニルメタン、ジチアジン、フラバントロンおよびフラボン等のフラボノイド、フルオリンジン、ホルマザン、ヒドラゾン特にアリールヒドラゾン、ヒドロキシケトン、インダミン、インダントロン、インジゴイドおよび擬似インジゴイド、インドフェノール、インドアニリン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ラクトン、メチン、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフトラクタム、ナフトキノン、ニトロ染料特にニトロ(ヘテロ)芳香族染料、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、フタロシアニン、ポリエン/カロチノイド、ポルフィリン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピラゾロン、ピリミジノアントロン、ピロニン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、スクアラン、スチルベン、テトラゾリウム、チアジン、チオインジゴ、チオピロニン、トリアリールメタン、キサンテン。
【0029】
本発明により使用することができるニトロ発色団の中では、非限定で、以下の染料から生じた基を挙げることができる:
1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン
1-アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)ベンゼン
1-アミノ-2-ニトロ-4-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン
1,4-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-2-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-ビス-(β-ヒドロキシエチル-アミノ)ベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-アミノベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロ-4-(エチル)(β-ヒドロキシ-エチル)アミノベンゼン
1-アミノ-3-メチル-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-6-ニトロベンゼン
1-アミノ-2-ニトロ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-クロロベンゼン
1,2-ジアミノ-4-ニトロベンゼン
1-アミノ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
1,2-ビス(β-ヒドロキシエチルアミノ)-4-ニトロベンゼン
1-アミノ-2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]-5-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-2-アミノ-4-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン
1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルオキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
1-メトキシ-2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
1-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-β,γ-ジヒドロキシプロピルオキシ-2-ニトロベンゼン
1-β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-4-トリフルオロメチル-2-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-メチル-2-ニトロベンゼン
1-β-アミノエチルアミノ-5-メトキシ-2-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-2-クロロ-6-アミノ-4-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-6-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼン
1-β-ヒドロキシエチルアミノ-2-ニトロベンゼン
1-ヒドロキシ-4-β-ヒドロキシエチルアミノ-3-ニトロベンゼン。
【0030】
本発明により使用することができるアゾ発色団の中では、特許出願WO 95/15144、WO 95/01772およびEP-714 954に記載されているカチオン性アゾ染料から生じた基を挙げることができる。
【0031】
さらに挙げることができるアゾ発色団は、the Colour Index International第3版に記載されているもので、特に以下の化合物である:
Disperse Red 17
Acid Yellow 9
Acid Black 1
Basic Red 22
Basic Red 76
Basic Yellow 57
Basic Brown 16
Acid Yellow 36
Acid Orange 7
Acid Red 33
Acid Red 35
Basic Brown 17
Acid Yellow 23
Acid Orange 24
Disperse Black 9
【0032】
1-(4'-アミノジフェニルアゾ)-2-メチル-4-[ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンゼンおよび4-ヒドロキシ-3-(2-メトキシフェニルアゾ)-l-ナフタレンスルホン酸もまた挙げることができる。
【0033】
キノン発色団の中では、上記のColour Index Internationalに挙げられているものが適しており、その中で、とりわけ、以下の染料から生じた基を挙げることができる:
Disperse Red 15
Solvent Violet 13
Acid Violet 43
Disperse Violet 1
Disperse Violet 4
Disperse Blue 1
Disperse Violet 8
Disperse Blue 3
Disperse Red 11
Acid Blue 62
Disperse Blue 7
Basic Blue 22
Disperse Violet 15
Basic Blue 99
およびまた以下の化合物:
1-N-メチルモルホリニウムプロピルアミノ-4-ヒドロキシアントラキノン
1-アミノプロピルアミノ-4-メチルアミノアントラキノン
1-アミノプロピルアミノアントラキノン
5-β-ヒドロキシエチル-l,4-ジアミノアントラキノン
2-アミノエチルアミノアントラキノン
1,4-ビス(β,γ-ジヒドロキシプロピルアミノ)アントラキノン
【0034】
アジン発色団の中で適切なものは、the Colour Index Internationalに記載されているものおよび例えば以下の染料に由来する基である:
Basic Blue 17
Basic Red 2
【0035】
トリアリールメタン発色団の中で本発明により使用することができるものとしては、the Colour Indexに記載されているものに加えて以下の染料に由来する基を挙げることができる:
Basic Green 1
Acid Blue 9
Basic Violet 3
Basic Violet 14
Basic Blue 7
Acid Violet 49
Basic Blue 26
Acid Blue 7
【0036】
インドアミン発色団の中で本発明により使用することができるものとしては、以下の染料に由来する基を挙げることができる:
2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-[ビス(β-4'-ヒドロキシエチル)-アミノ]アニリノ-l,-4-ベンゾキノン、
2-β-ヒドロキシエチルアミノ-5-(2'-メトキシ-4'-アミノ)アニリノ-1,4-ベンゾキノン、
3-N(2'-クロロ-4'-ヒドロキシ)フェニルアセチルアミノ-6-メトキシ-1,4-ベンゾキノンイミン、
3-N(3'-クロロ-4'-メチルアミノ)フェニルウレイド-6-メチル-1,4-ベンゾキノンイミン、
3-[4'-N-(エチルカルバミルメチル)アミノ)フェニルウレイド-6-メチル-l,4-ベンゾキノンイミン。
【0037】
文献US 5888252、EP 1133975、WO 03/029359、EP 860636、WO 95/01772、WO 95/15144およびEP 714954に記載されている発色団もまた挙げることができる。また、K. Venkataramanによる百科事典「The chemistry of synthetic dye」、1952年、Academic Press、1巻〜7巻、Kirk-Othmerの百科事典「Chemical Technology」の中の「Dyes and Dye Intermediate」の章、1993年、Wiley & Sons、および百科事典「Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」第7版、Wiley & Sonsの中のさまざまな章に挙げられているものを挙げることができる。
【0038】
好ましくは、発色団は、アゾ、アントラキノンおよびヒドラゾン型の染料に由来するものである。
【0039】
1つの変形形態は、式(I)、(II)、(III)または(IV)のAおよび/またはA'が、少なくとも1つの発色団により所有されているかまたはその中に誘発された少なくとも1つのカチオン性基を含有している。
【0040】
好ましくは、そのカチオン性基は第四級アンモニウムである。
【0041】
これらのカチオン性基は、例えば、アルキルアンモニウム、アクリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ベンゾビストリアゾリウム、ベンゾピラゾリウム、ベンゾピリダジニウム、ベンゾキノリウム、ベンゾチアゾリウム、ベンゾトリアゾリウム、ベンゾキサゾリウム、ビピリジニウム、ビス-テトラゾリウム、ジヒドロチアゾリウム、イミダゾピリジニウム、イミダゾリウム、インドリウム、イソキノリニウム、ナフチミダゾリウム、ナフトキサゾリウム、ナフトピラゾリウム、オキサジアゾリウム、オキサゾリウム、オキサゾロピリジニウム、オキソニウム、フェナジニウム、フェノキサゾリウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、ピラゾイルトリアゾリウム、ピラジニウム、ピリジノイミダゾリウム、ピロリウム、キノリウム、テトラゾリウム、チアジアゾリウム、チアゾリウム、チアゾロピリジニウム、チアゾイルイミダゾリウム、チオピリリウム、トリアゾリウム、またはキサンチリウム基である。
【0042】
本発明において有用であるカチオン性発色団の例は、既に記載した。その他の例は、特許出願WO 95/01772、WO 95/15144、EP 714954、EP 318294およびWO 03/029359に示されている。
【0043】
特定の実施形態によれば、式(I)、(II)、(III)または(IV)における基A、A'は、例えば、EP 850636、FR 2788433、EP 920856、WO 99/48465、FR 2757385、EP 850637、EP 918053、WO 97/44004、FR 2570946、FR 2285851、DE 2538363、FR 2189006、FR 1560664、FR 1540423、FR 1567219、FR 1516943、FR 1221122、DE 4220388、DE 4137005、WO 01/66646、US 5708151、WO 95/01772、WO 51/15144、GB 1195386、US 3524842、US 5879413、EP 1062940、EP 1133976、GB 738585、DE 2527638、FR 2275462、GB 1974-27645、Acta Histochem、(1978年)、61(1)、48〜52頁、Tsitologiya (1968年)、10(3)、403〜5頁、Zh. Obshch、Khim、(1970年)、40(1)、195〜202頁、Ann. Chim. (ローマ) (1975年)、65(5〜6)、305〜14頁、Journal of the Chinese Chemical Society (台北) (1998年)、45(1)、209〜211頁、Rev. Roum. Chim. (1988年)、33(4)、377〜83頁、Text. Res. J. (1984年)、54(2)、105〜7頁、Chim. Ind. (ミラノ) (1974年)、56(9)、600〜3、Khim. Tekhnol. (1979年)、22(5)、548〜53、Ger. Monatsh. Chem. (1975年)、106(3)、643〜8頁、MRL Bull. Res. Dev. (1992年)、6(2)、21〜7頁、Lihua Jianyan、Huaxue Fence (1993年)、29(4)、233〜4頁、Dyes Pigm. (1992年)、19(1)、69〜79頁、Dyes Pigm. (1989年)、11(3)、163〜72頁、に記載されている少なくとも1つのカチオン性アゾ発色団を含む。
【0044】
上で示したように、式(I)、(II)、(III)および(IV)において、CsatおよびC'satは、互いに独立して、場合によって置換されており、場合によって環状、直鎖または分枝したC1〜C18アルキレン鎖である。置換基としては、硫黄原子のβ位またはγ位の炭素上に好ましくは存在するカルボキシラート、エステルまたはアミド基を挙げることができる。
【0045】
好ましくは、式(I)、(II)、および(IV)の場合、Csatは、-(CH2)n-(nは、1と8の間の整数)を表す。
【0046】
好ましくは、式(III)の場合、Csatは、基-(CH2)n-を表し、C'satは、基-(CH2)n-C'H-(nは、上と同じ意味を有する)を表す。
【0047】
本発明の特定の実施形態によれば、上記の式(I)、(II)、(III)および(IV)において、pが1に等しいとき、Xは、次の配列:
-(T)t-(Y)y-(Z)z-
を表し、前記配列は、式(I)、(II)、(III)または(IV)において次の:
-Csat(またはC'sat)-(T)t-(Y)y-(Z)z-(AまたはA')のように連結されており、ただし、
Tは、-SO2-、-0-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(R)-CO-(Rは、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキルを表す)から選択された1つまたは複数の基およびそれらの組み合わせを表し、係数tは、0または1に等しく、
Yは:
- -(CH2)2-S02-、-CH2-CHR-CO-NR'-(R、R'は、同一であるかまたは異なり、水素原子、C1〜C4アルキル基を表す)から選択された基
- 式(a)、(a')または(a''):
【0048】
【化2】

の基
[式中、
・Bは、-N-、-CRa(Raは、水素原子、塩素またはフッ素から選択されたハロゲン原子、ニトロ基、場合により置換されているピリジニウム基を表す)を表し、
・R'は、上と同じ定義を有しており、
・R'aは、
- 水素原子
- 塩素原子またはフッ素原子
- 少なくとも1つの基Rcによって場合により置換されているピリジニウム基{Rcについては、C1〜C4アルキル、ハロゲン原子、カルボキシル基-COOM(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基または1つまたは複数の直鎖または分枝の同一または異なる場合によって少なくとも1つのヒドロキシルを有するC1〜C18アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)、エステル基-COORd(Rdは、C1〜C4アルキル基を表す)、アミド基-CON(Rd)2(Rdは、同一であるかまたは異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す)であることが可能である}
- ヒドロキシル基
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、Oから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
- 基NHNHCOR(Rは、直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基を表す)
を表す]
- 次式(b):
【0049】
【化3】

の基
(式中、
・R'は、上と同じ定義を有しており
・Rbは、
- 塩素原子
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、O、Sから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
- 置換されていてもよい飽和または不飽和の窒素含有複素環
- アリール基が好ましくはC6であるアリールアミノ基
を表し、
yは、0または1に等しく、
Zは、
- -(CH2)m-(mは、1と8の間の整数である)
- -(CH2CH2O)q-または-(OCH2CH2)q-(qは、1と15の間の整数である)
- アリールまたはアルキルアリールまたはアリールアルキル基(アルキル基はC1〜C4であり、アリール基は好ましくはC6であり、少なくとも1つの基SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基または1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C18アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)
を表し、
zは、0または1に等しい。
【0050】
有利には、Yは、下の基の1つを表し、
【0051】
【化4】

式中、基R、R'aおよびRbが、上で定義したものであり、R''aが、互いに独立して、R'aと同じ定義を有しており、R'''aが、水素原子またはアルキル基を表す。
【0052】
好ましくは、Yは、次の基の1つを表し、
【0053】
【化5】

【0054】
式中、
・Rは、水素原子またはメチル基を表し、
・R'a、R''aは、同一であるかまたは異なり、塩素、フッ素または水素原子を表し、
・Rcは、C1〜C4アルキル基、カルボキシル基-COOM(Mは、水素原子、アルカリ金属、置換もしくは非置換のアンモニウム基を表す)、エステル基-COORd(Rdは、C1〜C2アルキル基を表す)またはアミド基-CON((Rd)2(Rdは、同一であるかまたは異なり、水素原子もしくはC1〜C2アルキル基を表す)を表し、
・R'''aは、水素原子、有利にはC1〜C2であるC1〜C4アルキル基を表し、pは、0と2の間である。
【0055】
さらに、本発明の特定の実施形態によれば、Zは、
【0056】
【化6】

【0057】
を表す。
【0058】
上で示したように、式(II)において、Vは、同一であるかまたは異なる2つの基A'を橋かけする基を表し、vは、0または1に等しい。
【0059】
この変形形態において、2つの発色団A'を橋かけしている基Vは、2つの末端の1つが、アミン、アミドまたはエステルから選択された基によって場合により停止しているC1〜C8基を表す。
【0060】
本発明の特定の実施形態に合致するジスルフィド染料は、vが0に等しいものに該当する。
【0061】
特定の例として、ジスルフィド染料は、
【0062】
【化7】

【0063】
(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基または1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)、および酸性、塩基性または中和された形態の以下の化合物:
【0064】
【化8】

【0065】
【化9】

【0066】
【化10】

【0067】
から選択される。
【0068】
これらの特定の化合物は、遊離または塩となった形およびそれらの調製の方式の選択とは関係なく、当技術分野においては知られている。
【0069】
特定の例として、新規であってその製法が本発明に記載されている以下の化合物
【0070】
【化11】

【0071】
(Mは、上と同じ意味を有する)もまた挙げることができる。
【0072】
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの発色団AおよびA'を含有する2つの基は、発色団の中にまたはそれに付着して所有または含まれている少なくとも1つのカチオン性基を含有している。例として、次式
【0073】
【化12】

の化合物、それらの塩、水和物または溶媒和物を挙げることができる。
【0074】
これらの4つの化合物は、遊離または塩となった形およびそれらの調製の方式の選択とは関係なく、当技術分野においては知られている。
【0075】
本発明の別の好ましい変形によれば、ジスルフィド染料は、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含んでおり、pが1に等しい式(I)において:
Aは、W-N=N-Ar-または-W-N=N-Arを表し、Wは、縮合または非縮合の第四級アンモニウムを含む芳香族または非芳香族の複素環を表し、Arは、1つまたは複数のハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素原子により、1つまたは複数のアルキル基、好ましくはC1〜C4アルキル基により、1つまたは複数のアルコキシ基により、1つまたは複数のヒドロキシルアルキル基により、1つまたは複数のアミノまたは好ましくはアルキル部分がC1〜C4である(ジ)アルキルアミノ基により、場合により置換されているC5またはC6アリール基またはナフチル型の芳香族二環を表すものに該当する。
【0076】
好ましい変形によれば、p=1、y=z=0、t=lおよびTは、アゾ官能基に関して好ましくはArのパラ位の-N(R)-を表す。
【0077】
好ましくは、Wは、1つまたは複数の同一であるかまたは異なるC1〜C4アルキル基によって場合により置換されているイミダゾリウム、ピリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ピラゾリウム、ベンゾチアゾリウムである。
【0078】
本発明の好ましいジスルフィド染料の中で、特に次の化合物:
【0079】
【化13】

【0080】
【化14】

【0081】
式中、M'は、有機酸または無機酸を表す)を挙げることができる。
【0082】
より特定すれば、有機酸または無機酸の前記塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、メチルスルファートおよびエチルスルファートを含む硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、酢酸塩、メトスルファート、トシラート、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩および酢酸塩から選択される。
【0083】
ジスルフィド染料は、当該技術に熟達した者には知られている方法に従って調製することができる。
【0084】
最初に可能であるべきことは、2つの好ましくは第一級または第二級アミン官能基を含むジスルフィド化合物を、十分な量の「反応性発色団」または該「反応性発色団」を含む、すなわち、求電子性官能基を含む化合物と反応させることができることである。
【0085】
「反応性発色団」の中では、そのようなものとしてthe Colour Indexに記載されており、特に、ビニルスルホン、スルファトエチルスルホン、モノまたはジクロロトリアジン、モノまたはジクロロピリミジン、ジフルオロクロロピリミジン、ジクロロキノキサジンまたはブロモビニルスルホン官能基を含有する反応性染料を挙げることができる。
【0086】
反応性発色団としては、アミン官能基と反応してスルファミド基(-S02-N-)またはアミド基(-CO-N-)を生じることができる少なくとも1つの基を含む化合物もまた適している。例えば、既知の方法によって、-SO2Clまたは-COCl基としてそれぞれ事前に活性化することができる-SO2M'、-COOM'(M'は、水素原子、ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属、アンモニウム基、1つまたは複数の同一であるかまたは異なる、少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有する直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)を挙げることができる。
【0087】
したがって、反応性発色団として、そのようなものとしてthe Colour Indexに記載されている酸性染料を使用することをもくろむことは可能である。
【0088】
使用する操作条件のさらなる詳細を把握するために、特に書籍Advanced Organic Chemistry、March著、第4版を参照することもできる。
【0089】
さらに、この最初に可能であるべきことに関連して、発色団に直接結合するとか何とかしており、アミン基、例えば、Cl、Br、F、O-アルキル(例えばO-Me)、O-アリール、O-アルキルアリール(例えばO-ベンジル)などにより置換されていてもよい反応活性基を含んでいる発色団を使用することも可能である。
【0090】
そのジスルフィド染料は、また、この可能であるべきことに関連して、付加反応が行われるアクリル酸エステル官能基(-OCO-C=C-)を所有する発色団を使用して得ることもできる。
【0091】
別の可能であるべきことは、そのジスルフィド染料が、ジスルフィド化合物を、常法(例えば、カルボジイミドまたは塩化チオニルとの反応)により活性化された、2つのカルボン酸官能基を有する化合物と反応させることによって得ることができることである。得られた生成物は、次に、例えば、第一級または第二級アミン型、または脂肪族またはフェノールなどの芳香族アルコール型の求核性官能基を有する発色団と反応させる。
【0092】
ここで再び、使用する操作条件のさらなる詳細を把握するために、書籍Advanced Organic Chemistry、March著、第4版を参照することができる。
【0093】
3番目の可能であるべきことは、そのジスルフィド染料が、離脱基として予め活性化されているジスルフィド基および2つのヒドロキシル基を含む化合物(例えば、メシラート、トシラート)の、有利には、例えば、ピリジン、イミダゾールまたはベンズイミダゾール型のヘテロ芳香族であるかまたはない、第一級、第二級または第三級アミン型の求核性官能基を有する発色団との反応によって得ることができることである。
【0094】
4番目の可能であるべきことは、そのジスルフィド染料が、SH官能基を有する染料の制御された酸化によって得ることができることである。
【0095】
5番目の可能であるべきこと、そして特に、式(III)および(IV)に対応する化合物の調製のためには、そのジスルフィド染料が、発色団基を含有する試薬のモル量と同等以上のジスルフィド試薬のモル量を使用して上記のさまざまな可能であるべきことの1つ、2つまたは3つによって得ることができることである。
【0096】
式(I)に対応するジスルフィド染料の調製は、他方で、ジスルフィド試薬の量の好ましくは2倍以上の発色団基を含有するモル量の試薬を使用することによって促進される。
【0097】
6番目の可能であるべきこと、そして特に、式(I)に対応し、その中で、一方で、2つの基A、および他方で、2つの基Xが異なる化合物の調製のためには、そのジスルフィド染料が、式(IV)に対応するジスルフィド化合物から得ることができることである。
【0098】
本発明の方法において有用な染色組成物は、1つまたは複数の式(I)、(II)、(III)または(IV)のジスルフィド染料を含有することができる。
【0099】
その組成物は、組成物全体の重量に対して、0.001から50重量%の間の量のジスルフィド染料を一般に含有する。好ましくは、この量は、組成物全体の重量に対して、0.005と20重量%の間、より好ましくはさらに0.01と5重量%の間である。
【0100】
その染色組成物は、式(I)、(II)、(III)または(IV)のジスルフィド染料以外の直接染料をさらに含有することができる。これらの直接染料は、例えば、前に記載した直接染料から、および特に、中性、酸性またはカチオン性ニトロベンゼン直接染料、中性、酸性またはカチオン性アゾ直接染料、テトラアザペンタメチン染料、中性、酸性またはカチオン性キノン、特にアントラキノン染料、アジン直接染料、トリアリールメタン直接染料、インドアミン直接染料および天然の直接染料から選択される。
【0101】
使用することができるテトラアザペンタメチン型染料の中では、下の表に示す以下の化合物を挙げることができる(Anは、上で定義した有機または無機のアニオンを一般に表す)。
【0102】
【表1】

【0103】
【表2】

【0104】
天然の直接染料の中では、ラウソン、ユグロン、アリザリン、プルプリン、カルミン酸、ケルメス酸、プルプロガリン、プロトカテクアルデヒド、インジゴ、イサチン、クルクミン、スピニュロシンおよびアピゲニジンを挙げることができる。また、これらの天然染料を含有する抽出物または煎出物、特にヘンナに基づくパップまたは抽出物を使用することも可能である。
【0105】
その染色組成物は、1つまたは複数の酸化ベースおよび/またはケラチン繊維を染色するために常用されている1つまたは複数のカプラーを含有することができる。
【0106】
その酸化ベースの中では、パラフェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラアミノフェノール、ビスパラアミノフェノール、オルトアミノフェノール、複素環塩基およびそれらの付加塩が挙げられる。
【0107】
これらのカプラーの中では、特に、メタフェニレンジアミン、メタアミノフェノール、メタジフェノール、ナフタレンカプラー、複素環カプラーおよびそれらの付加塩が挙げられる。
【0108】
そのカプラー(1つまたは複数)は、それぞれ一般に、染色組成物の全重量に対して、0.001と10重量%の間の量、好ましくは0.005と6重量%の間で存在する。
【0109】
その酸化ベース(1つまたは複数)は、その染色組成物中に、それぞれ一般に、その染色組成物の全重量に対して、0.001と10重量%の間の量、好ましくは0.005と6重量%の間で存在する。
【0110】
一般に、本発明との関連で使用することができる酸化ベースおよびカプラーの付加塩は、特に、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシラート、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩および酢酸塩、ならびに、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属、水性アンモニア、アミンまたはアルカノールアミンなどの塩基との付加塩から選択される。
【0111】
染料支持体とも呼ばれる適当な染色用媒体は、一般に、水または水と少なくとも1つの有機溶媒との混合物からなる化粧品媒体である。有機溶媒としては、例えば、低級のC1〜C4アルカノール類、例えばエタノールおよびイソプロパノールなど、ポリオールおよびポリオールエーテル類、例えば、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびモノメチルエーテルなど、および芳香族アルコール類、例えばベンジルアルコールもしくはフェノキシエタノールなど、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。
【0112】
その溶媒は、それらが存在するときは、染色組成物の全重量に対して、好ましくは約1と40重量%の間、より好ましくはさらに約5と30重量%の間の割合で好ましくは存在する。
【0113】
その染色組成物は、また、例えば、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは両性イオン界面活性剤またはそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性もしくは両性イオンポリマーまたはそれらの混合物、無機もしくは有機増粘剤、特にアニオン性、カチオン性、非イオン性および両性の会合ポリマー増粘剤、酸化防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、例えば変性もしくは無変性の揮発性もしくは不揮発性シリコーンなどのコンディショニング剤、被膜剤、セラミド、防腐剤および不透明剤などの毛髪を染色するために常用されるさまざまな補助物質を含有することができる。
【0114】
上記補助物質は、一般に、それらのそれぞれについて、組成物の全重量に対して0.01と20重量%の間の量で存在する。
【0115】
その組成物は、また、上で詳述した式(I)から(IV)に対応するものとは異なる少なくとも1つのその他のさらなるジスルフィド化合物を含むことができる。目安として、そのジスルフィドは、少なくとも1つの脂肪鎖、より特定すれば少なくとも1つの飽和または不飽和の、場合によってへテロ原子により置換されており、場合により中和されているかまたは中和されていないカルボキシル基により割り込まれている直鎖または分枝したC5〜C30炭化水素鎖を含む化合物から選択することができる。この型の化合物の例として、CH3-(CH2)17-S-S-(CH2)17-CH3またはCH3-(CH2)-S-S-(CH2)10-CH3型のチオグリコール酸およびその誘導体を挙げることができる。
【0116】
それが存在する場合、この化合物の量は、組成物の重量に対して、0.001と10重量%の間である。
【0117】
勿論、当該技術に熟達した者であれば、1つまたは複数のこれら任意のさらなる化合物を、本発明により染色組成物に本質的に付与されている有利な特性が企てた添加(1つまたは複数)によって損なわれることがないかまたは実質的にないように、注意して選択するであろう。
【0118】
染色組成物のpHは、一般に、約3と14の間、好ましくは約5と11の間である。ケラチン繊維を染色するために慣例的に使用される酸性化剤またはアルカリ性化剤を用いるか、または別法では通常の緩衝系を利用してそれを調節することができる。
【0119】
酸性化剤の中では、例として、無機または有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸(例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸、乳酸など)、およびスルホン酸などを挙げることができる。
【0120】
アルカリ性化剤の中では、例として、水性アンモニア、アルカリ金属炭酸塩、モノ-、ジ-およびトリエタノールアミン等のアルカノールアミンおよびそれらの誘導体、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムおよび次式(A):
【0121】
【化15】

(式中、Wは、ヒドロキシル基またはC1〜C4アルキル基により場合によって置換されているプロピレン残基であり、R1、R2、R3およびR4は、同一であるかまたは異なり、水素原子、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ヒドロキシアルキル基を表す)の化合物を挙げることができる。
【0122】
その染色組成物は、さまざまな形態、例えば、液体、クリーム、ゲルの形態など、またはケラチン繊維特に毛髪を染色するための任意のその他適当な形態で提供することができる。
【0123】
特定の実施形態によれば、本発明の方法は、ジスルフィド結合を還元することができる還元剤による前処理を含む。その還元剤は、例えばチオール類、例えば、チオグリコール酸、システイン、ホモシステイン、チオ乳酸、これらチオール類の塩、ホスフィン類、重亜硫酸塩および亜硫酸塩から選択される。
【0124】
この還元剤は、また、水素化ホウ素類またはその誘導体、例えば水素化ホウ素、シアノ水素化ホウ素、トリアセトキシ水素化ホウ素およびトリメトキシ水素化ホウ素の塩類、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩および第四級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム)塩、カテコールボランから選択することができる。
【0125】
この前処理は、上記の還元剤による、0.1秒から30分、好ましくは0.1秒から5分の短い持続時間のものである。
【0126】
染色組成物の塗布は、一般に室温で行う。それは、しかしながら、20から180℃の範囲の温度で行うことができる。
【0127】
1つの変形によれば、還元剤は、使用する時点で染色組成物に添加する。
【0128】
別の変形によれば、染色組成物の塗布の後に、上記のチオールまたは水素化ホウ素型の還元剤による、0.1秒から30分、好ましくは0.1秒から5分の短時間の還元のステップが続く。
【0129】
別の変形によれば、染色組成物は、酸化剤を含有することができ、その組成物は、その場合、使える状態であると言える。
【0130】
通例では、前記組成物は、本発明による組成物を処理すべきケラチン材料に塗布する前に酸化組成物と混合することによって得る。
【0131】
その酸化剤は、当分野で常用されている任意の酸化剤であり得る。したがって、それは、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過ホウ酸塩および過硫酸塩等の過酸塩、ならびに酵素(その中では、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼ等の2個の電子を含有するオキシドレダクターゼ、およびラッカーゼ等の4個の電子を含有するオキシゲナーゼを挙げることができる)から選択することができる。過酸化水素の使用が特に好ましい。
【0132】
酸化剤の含量は、一般に、使える状態の組成物の重量に対して1と40重量%の間、好ましくは使える状態の組成物の重量に対して1と20重量%の間である。
【0133】
一般に、使用される酸化性組成物は、水性組成物であり、溶液またはエマルジョンでもあり得る。
【0134】
通例として、酸化剤を含まない染色組成物は、酸化性組成物の約0.5から10重量当量と混合する。
【0135】
使える状態の組成物のpHは、さらに特定すれば4と12の間、好ましくは7と11.5の間であることに注意すべきである。
【0136】
染色組成物の塗布の後には、酸化後処理のステップ、または場合によって酸化後処理のステップと組み合わせたコンディショニング後処理のステップを続けることができる。
【0137】
本発明の対象は、また、複数の区画装置すなわち染色用「キット」であって、第1の区画が、式(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも1種のジスルフィド染料を含む染色組成物を含有し、第2の区画が、その染料のジスルフィド結合を還元することができる還元剤を含有する。
【0138】
これらの区画の1つは、直接染料型すなわち酸化染料型の1つまたは複数の他の染料をさらに含有することができるが、ただしそれは、本発明において有用であるジスルフィド染料とその直接染料型すなわち酸化染料型の染料とがそのキットの同じ区画中ではないという条件付きである。
【0139】
それは、また、第1の区画が、式(I)、(II)、(III)または(IV)の少なくとも1種のジスルフィド染料を含む染色組成物を含有し、第2の区画が、その染料のジスルフィド結合を還元することができる還元剤を含有し、第3の区画が、酸化剤を含有する複数の区画装置にも関する。
【0140】
上記装置のそれぞれは、所望の混合物を毛髪に送達することを可能にする手段、例えば、特許FR 2586913に記載されている装置などを装備することができる。
【0141】
以下の実施例は、本発明を説明することを目的としており、いかなる限定もするものではない。
【実施例】
【0142】
(実施例)
合成の実施例
(実施例1)
【0143】
【化16】

【0144】
500mgのシスタミンジヒドロクロリド(2.22mmol)および20mlの0.05Mホウ酸塩緩衝液pH9からなる溶液を調製し、それを、モル濃度の水酸化ナトリウムを添加することによりpH9にする。60%純度の4.6グラムのReactive Blue 44 [Cas番号12225-56-8](すなわち4.44mmol)をこの溶液に加える。その混合物を室温で18時間攪拌し、沈殿した染料を濾別し乾燥する。1.67gの青色染料(I)を回収する。
【0145】
(実施例2)
【0146】
【化17】

【0147】
500mgのシスタミンジヒドロクロリド(2.22mmol)および20mlの0.05Mホウ酸塩緩衝液pH9からなる溶液を調製し、それを、モル濃度の水酸化ナトリウムを添加することによりpH9にする。50%純度の6.23グラムのReactive Orange 64 [Cas番号61901-80-2](すなわち4.44mmol)をこの溶液に加える。その混合物を室温で18時間攪拌し、沈殿した染料を濾別し乾燥する。2.03gのオレンジ色染料(II)を回収する。
【0148】
(実施例3)
【0149】
【化18】

【0150】
シスタミンジヒドロキシクロリドから水酸化ナトリウムの添加および酢酸エチルによる抽出により得たシスタミン塩基(552.2mg、3.620mmol)を、2mlのペンタノールに可溶化する。80mlのジクロロメタン中懸濁液の2-[(4-メトキシフェニル)-ジアゼニル]-1,3-ジメチル-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド(2.42g、9.1mmol)を加える。その混合物を50℃に加熱し、1時間攪拌したままにする。それを真空下で濃縮し(ジクロロメタンを除去)、20mlの水を加え、その反応混合物を50℃でさらに1時間保つ。それを次に冷却し、50mlのペンタノールに注ぐと赤色の沈殿が現れるのでそれを濾別し、アセトンで洗浄し、次いで真空下で乾燥させる。1.1gのえんじ色の粉末がかくして得られ、その粉末は、上の構造と一致する。
【0151】
(実施例4)
【0152】
【化19】

【0153】
シスタミン塩基(110.2mg、0.73mmol)を、2mlのメタノールに可溶化する。10mlのジクロロメタン中懸濁液の2-[(4-メトキシフェニル)-ジアゼニル]-1,3-ジメチル-1H-イミダゾール-3-イウムメチルスルファート(600mg、1.53mmol)を加える。その混合物を35℃に加熱し、酸素(空気)の存在する中で2時間攪拌したままにする。その工程の終わりに、200mlの酢酸エチルを入れる。
【0154】
得られた沈殿を濾別する。求める生成物を主として含有する黒色の粉末(278mg)を得る。
【0155】
(実施例5)
【0156】
【化20】

【0157】
4.18mgの4-[(E)-(4-メトキシフェニル)ジアゼニル]-1-メチルピリジニウムメチルスルファートを、275mlのジクロロメタンに溶解し、2mlのペンタノール中の1.25gのシスタミンに50℃で滴下して加える(ジクロロメタンを留去する、かくして得られた反応混合物は均質であり、濃縮される)。24時間攪拌後、その混合物を真空下で濃縮する。得られた油状物を、アセトンおよび100mlのシーライトと混合する。得られたペーストを、アセトン、ジクロロメタンおよび酢酸エチルで洗浄する。求める生成物を次にシーライトから水で抽出することによって脱着させる。得られた水溶液を真空下で濃縮する。2gの赤黒い固体がかくして回収される。この固体は、求める生成物を主として含有していることが分析により示される(m/z:272、λmax520)。
【0158】
(実施例6)
【0159】
【化21】

【0160】
1gの1-ブロモ-2-[(2-ブロモエチル)ジスルファニル]-エタンおよび2.14gの2-((2-ヒドロキシエチル)-{4-[(E)-ピリジン-4-イルジアゼニル]フェニル}アミノ)エタノールを、5mlのジメチルホルムアミドに溶解する。その混合物を、攪拌し、80℃で4時間加熱する。その混合物を冷却後、200mlのアセトンを加える。黒い油状物が静置すると分離する(1.94g)。この油状物を水/ブタノール液液抽出することにより精製し、水相を蒸発後、1.77gの黒いペーストを回収する。この油状物は、求める生成物を主として含有していることが分析により示される(m/z:346、λmax548nm)。
【0161】
(実施例7)
【0162】
【化22】

【0163】
1gの1-ブロモ-2-[(2-ブロモエチル)ジスルファニル]-エタンおよび1.7gのN,N-ジメチル-4-[(Z)-ピリジン-2-イルジアゼニル]アニリンを、5mlのジメチルホルムアミド中で混合する。その混合物を、攪拌し、80℃で4時間加熱する。その反応混合物を冷却後、200mlのアセトンを加える。沈殿が生じるので、それを濾別し、100mlのアセトンで3回洗浄し、次いで乾燥させる。その得られた生成物を50mlの1:1水/エタノール混合物に可溶化させ、アセトンを加えて再沈殿させる。その沈殿を濾別し、次いで乾燥する。1.34gの黒紫色の粉末がかくして得られる。分析結果は、求める生成物の構造と一致する(m/z286、λmax:534nm)。
【0164】
(実施例8)
【0165】
【化23】

【0166】
11.38gの2-({2-[(メチルスルホニル)オキシ]-エチル}ジスルファニル)エチルメタンスルホナートおよび15.50gの4-{(E)-[メチル(フェニル)ヒドラゾノ]メチル}ピリジンを、10mlのジメチルホルムアミド中で混合する。かくして得られた不均質混合物を加熱し、80℃で4時間攪拌する。ジメチルホルムアミドを真空下で留去する。得られた個体を、水/ブタノール液-液クロマトグラフィーにより精製する。溶媒を蒸発後7.64gの黄色固体が回収される。
分析結果は、求める生成物の構造と一致する(m/z:271、λmax:422nm)。
【0167】
(実施例9)
【0168】
【化24】

【0169】
500mgの1-ブロモ-2-[(2-ブロモエチル)ジスルファニル]-エタンおよび1.405gの1-アミノ-4-{[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}-2-メチルアントラ-9,10-キノンを、5mlのジメチルホルムアミドに溶解する。かくして得られた混合物を攪拌し、80℃で8時間加熱する。その混合物を冷却し、200mlのアセトンに注ぐ。得られた沈殿を、濾別し、100mlのアセトンで3回洗浄する。得られた個体を、50mlの1:1水/エタノール混合物中に可溶化させ、次いでアセトンを加えて再沈殿させる。その沈殿を濾別し、次いでオーブン中(66℃)で乾燥させる。465mgの黒色粉末が回収される。分析結果は、求める生成物の構造と一致する(m/z:397、λmax:564および610nm)。
【0170】
染色の実施例
(実施例10)
ステップ1:希薄還元溶液による前処理
90%が白である天然のパーマネントウェーブのまたは脱色した白髪の房を、パーマネントウェーブ用の還元溶液(脱イオン水中に1/2に希釈したL'Oreal Professionnelにより市販されているDulcia Vital No. 2)を30秒間染み込ませ、次に流水で30秒間すすぐ。
【0171】
ステップ2:染料の塗布
上の実施例2のジスルフィド染料のpH9に緩衝化した媒体(0.05Mホウ酸塩)中の1%w/wの溶液を、上記のステップ1によって前処理した毛髪に、毛髪1グラム当たり5gの溶液の割合で、室温で10分間塗布する。
【0172】
毛髪を流水で完全にすすぎ、次に乾燥させる。
【0173】
その髪房を、染色の前後に、ミノルタ(登録商標)CM2002分光測色計(Illuminant D65)を用いるL*a*b*システムでの数値を出す。
【0174】
L*a*b*システムにおいては、3つのパラメーターが、それぞれ明度(L*)、色合い(a*)および彩度(b*)を示す。このシステムによれば、Lの値が高いほど明るく、色は薄い。反対に、Lの値が低いほど暗く、色は濃い。a*およびb*は、2つの色の軸を示し、a*は、緑/赤の色軸を、b*は、青/黄色の色軸を示す。
【0175】
結果を下の表でグループにまとめる:
【0176】
【表3】

【0177】
(実施例11)
ステップ1:希薄還元溶液による前処理
90%が白である天然のパーマネントウェーブのまたは脱色した白髪の房を、還元溶液(0.05、0.2、1モル濃度のチオグリコール酸)に浸漬させるか単に染み込ませる(pHを8.5とし、溶液中の浸漬は10分間)。
【0178】
ステップ2:染料の塗布
上の実施例3のジスルフィド染料の、pH9に緩衝化した媒体(0.05Mホウ酸塩)中の染料の10-3mol/100gの水性配合物を、上記のステップ1によって前処理した毛髪に、毛髪1グラム当たり5gの溶液の割合で、室温で20分間塗布する。
【0179】
毛髪を流水で完全にすすぎ、次いで乾燥させる。
【0180】
髪房は、また、還元溶液による前処理ステップを省略して、実施例3のジスルフィド染料を含有する水性配合物で処理した。
【0181】
その髪房を、染色の前後に、実施例5の方法によるL*a*b*システムでの数値を出す。
【0182】
染色した髪房を、髪房を水に濡らし、シャンプーで洗い、水ですすいだ後乾燥させるステップを含むサイクルによる12回のシャンプー洗いにかける。
【0183】
12回の洗浄の前後の髪房の色相を、L*a*b*システムで数値化した。
【0184】
【数1】

【0185】
洗浄の前後の色相の変化は、最初の染色した髪房に対するL0*a0*b0*の値と、12回のシャンプー洗いの後で得られたL*a*b*の値とによる上の方程式によるΔEにより判定した。
【0186】
ΔE値が高ければ高いほど、洗浄の前後の色相の差は大きく、この場合は着色のシャンプー洗いに対する堅ろう度が低いことになる。
【0187】
結果を下の表でグループにまとめる:
【0188】
【表4】

【0189】
【表5】

【0190】
これらの結果は、本発明の組成物が、特に染色方法が還元の前処理を含むときに優れた洗浄堅ろう度を有していることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトのケラチン繊維を染色する方法であって、以下の式(I)、(II)、(III)または(IV):
【化1】

の染料、それらの塩、異性体および水和物等の溶媒和物から選択された少なくとも1種のジスルフィド染料を適当な化粧品媒体中に含む染色組成物を前記繊維に塗布することからなる方法(式中:
・ AおよびA'は、同一であるかまたは異なり、少なくとも1つのカチオン性または非カチオン性発色団を含有する基を表し、
・ VおよびV'は、同一であるかまたは異なり、橋かけ基を表し、
・ vおよびv'は、同一であるかまたは異なり、0または1を表し、
・ Xは、同一であるかまたは異なり、飽和または不飽和の直鎖または分枝のC1〜C30炭化水素鎖であって、
- -N(R)-、-N+(R)(R)-、-0-、-S-、-CO-、-SO2-(Rは、同一であるかまたは異なり、水素、C1〜C4アルキル、ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキル基から選択される)、
- 場合により置換されている、飽和または不飽和の、縮合又は非縮合の1つまたは複数の同一であるかまたは異なるヘテロ原子を場合により含む芳香族または非芳香族(複素)環式基
から選択された1つまたは複数の二価の基またはそれらの組み合わせにより、場合により割り込まれておりかつ/またはその末端の一方または両方が場合により終結している炭化水素鎖、
・ 係数pは、0または1に等しく、
・ Csat、C'satは、同一であるかまたは異なり、場合により置換されており、場合により環状、直鎖または分枝のC1〜C18アルキレン鎖を表し、
・ Dは、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシラート、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基から選択された基に対応する)。
【請求項2】
式(I)、(II)、(III)または(IV)において、pが1に等しいとき、Xは、次の配列:
-(T)t-(Y)y-(Z)z-
を表し、前記配列は、式(I)、(II)、(III)または(IV)において次の:
-Csat(またはC'sat)-(T)t-(Y)y-(Z)z-(AまたはA')のように連結されており、
Tは、-SO2-、-0-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(R)-CO-(Rは、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキルを表す)から選択された1つまたは複数の基およびそれらの組み合わせを表し、係数tは、0または1に等しく、
Yは:
- -(CH2)2-S02-から選択された基、
-CH2-CHR-CO-NR'-(R、R'は、同一であるかまたは異なり、水素原子、C1〜C4アルキル基を表す)、
- 式(a)、(a')または(a'')の基:
【化2】

(式中、
・ Bは、-N-、-CRa(Raは、水素原子、塩素またはフッ素から選択されたハロゲン原子、ニトロ基、場合により置換されているピリジニウム基を表す)を表し、
・ R'は、上と同じ定義を有しており、
・ R'aは、
- 水素原子
- 塩素原子またはフッ素原子
- 少なくとも1つの基Rcによって場合により置換されているピリジニウム基(Rcは、C1〜C4アルキル、ハロゲン原子、カルボキシル基-COOM(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基または1つまたは複数の直鎖または分枝の同一または異なる、場合によって少なくとも1つのヒドロキシルを有するC1〜C18アルキル基で置換されたアンモニウム基を表す)、エステル基-COORd(Rdは、C1〜C4アルキル基を表す)、アミド基-CON(Rd)2(Rdは、同一であるかまたは異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す)であることが可能である)
- ヒドロキシル基
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、Oから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
基NHNHCOR(Rは、直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基を表す)
を表す)
- 次式(b)の基:
【化3】

(式中、
・R'は、上と同じ定義を有しており
・ Rbは、
- 塩素原子
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、O、Sから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
- 置換されていてもよい飽和または不飽和の窒素含有複素環
- アリール基が好ましくはC6である、アリールアミノ基である)
を表し、
yは、0または1に等しく、
Zは、
- -(CH2)m-(mは、1と8の間の整数である)
- -(CH2CH2O)q-または-(OCH2CH2)q-(qは、1と15の間の整数である)
- アリールまたはアルキルアリールまたはアリールアルキル基(アルキル基はC1〜C4であり、アリール基は好ましくはC6であり、少なくとも1つの基SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基または1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C18アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)で場合によって置換されている)
を表し、
zは、0または1に等しい
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Yが、
【化4】

を表す(式中、基R、R'aおよびRbが、上で定義したものであり、R''aが、互いに独立して、R'aと同じ定義を有しており、R'''aが、水素原子またはアルキル基を表す)ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
Zが、
【化5】

を表すことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ジスルフィド染料が、vが0に等しいものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(I)、(II)、(III)または(IV)において、AおよびA'が、以下の型の染料:アクリジン、アクリドン、アントラントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、アジン、アゾ、アゾメチン、ベンズアントロン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾロン、ベンズインドール、ベンズオキサゾール、ベンゾピラン、ベンゾチアゾール、ベンゾキノン、ビスアジン、ビスイソインドリン、カルボキシアニリド、クマリン、シアニン、ジアジン、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、ジフェニルアミン、ジフェニルメタン、ジチアジン、フラボノイド、フルオリンジン、ホルマザン、ヒドラゾン、ヒドロキシケトン、インダミン、インダントロン、インジゴイドおよび擬似インジゴイド、インドフェノール、インドアニリン、イソインドリン、イソインドリノン、イソビオラントロン、ラクトン、メチン、ナフタルイミド、ナフトアニリド、ナフトラクタム、ナフトキノン、ニトロ染料、オキサジアゾール、オキサジン、ペリロン、ペリノン、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、フタロシアニン、ポリエン/カロチノイド、ポルフィリン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピラゾロン、ピリミジノアントロン、ピロニン、キナクリドン、キノリン、キノフタロン、スクアラン、スチルベン、テトラゾリウム、チアジン、チオインジゴ、チオピロニン、トリアリールメタン、キサンテンから誘導される少なくとも1つの発色団を含む基表すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)、(II)、(III)または(IV)において、AおよびA'が、アゾ、アントラキノンおよびヒドラゾン型の発色団から選択された発色団を含む基を表すことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ジスルフィド染料を、
【化6】

(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基または1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)、および酸性、塩基性または中和された形態の以下の化合物:
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

から選択する請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)、(II)、(III)または(IV)において、AおよびA'が、カチオン性発色団を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
カチオン性発色団が、第四級アンモニウムであるカチオン性基を含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ジスルフィド染料が、Aは、W-N=N-Ar-または-W-N=N-Arを表し、Wは、縮合または非縮合の第四級アンモニウムを含む芳香族または非芳香族の複素環を表し、Arは、1つまたは複数のハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素原子により、1つまたは複数のアルキル基、好ましくはC1〜C4アルキル基により、1つまたは複数のヒドロキシル基により、1つまたは複数のアルコキシ基により、1つまたは複数のヒドロキシルアルキル基により、1つまたは複数のアミノまたは好ましくはアルキル部分がC1〜C4である(ジ)アルキルアミノ基により、場合により置換されているC5またはC6アリール基またはナフチル型の芳香族二環を表すものであることを特徴とする請求項9および10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ジスルフィド染料が、pは、1に等しく、yおよびzは、0に等しく、Tは、アゾ官能基に関してArのパラ位の-N(R)-を表すものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
Wが、1つまたは複数の同一であるかまたは異なるC1〜C4アルキル基によって場合により置換されているイミダゾリウム、ピリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ピラゾリウム、ベンゾチアゾリウムであることを特徴とする請求項11および12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
ジスルフィド染料を、
【化11】

【化12】

から選択することを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
組成物が、還元剤を含有する請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
還元剤による前処理を含む請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
還元剤による後処理を含む請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
還元剤を、チオール、ホスフィン、重亜硫酸塩および亜硫酸塩から選択する請求項15から17に記載の方法。
【請求項19】
還元剤を、チオグリコール酸、システイン、ホモシステイン、チオ乳酸およびこれらチオール類の塩から選択することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
還元剤を、水素化ホウ素類またはその誘導体、例えば水素化ホウ素、シアノ水素化ホウ素、トリアセトキシ水素化ホウ素およびトリメトキシ水素化ホウ素の塩類、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩、カルシウム塩およびテトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウムおよびベンジルトリエチルアンモニウム等の第四級アンモニウムの塩、カテコールボランから選択する請求項15から17に記載の方法。
【請求項21】
組成物が酸化剤を含む請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
酸化剤による後処理を含む請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
場合により酸化後処理と組み合わせたコンディショニング処理のステップを含む請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
酸化剤を、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過ホウ酸塩および過硫酸塩等の過酸塩、ならびに酵素から選択する請求項21および22のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
ジスルフィド染料が、組成物の全重量に対して、0.001と50重量%の間、好ましくは、0.005と20重量%の間、より好ましくはさらに0.01と5重量%の間の量で存在する請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
組成物が、式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物とは異なる少なくとも1つのさらなるジスルフィド化合物を含有する請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
式(I)、(II)、(III)または(IV)の化合物以外のジスルフィド化合物を、少なくとも1つの脂肪鎖を含む化合物から選択することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
組成物が、少なくとも1つの酸化ベース、1つのカプラーおよび/またはジスルフィド染料以外の1つの直接染料を含む請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
染色組成物であって、適当な化粧品媒体中に請求項1から14において上で定義した式(I)、(II)、(III)または(IV)のジスルフィド染料を含む組成物。
【請求項30】
式(I)のジスルフィド染料が、次の染料:
【化13】

とは異なる請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
ジスルフィド染料が、Aは、W-N=N-Ar-または-W-N=N-Arを表し、Wは、縮合または非縮合の第四級アンモニウムを含む芳香族または非芳香族の複素環を表し、Arは、1つまたは複数のハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素原子により、1つまたは複数のアルキル基、好ましくはC1〜C4アルキル基により、1つまたは複数のアルコキシ基により、1つまたは複数のヒドロキシアルキル基により、1つまたは複数のアミノまたは好ましくはアルキル部分がC1〜C4である(ジ)アルキルアミノ基により、場合により置換されているC5またはC6アリール基またはナフチル型の芳香族二環を表すものである請求項29および30のいずれかに記載の組成物。
【請求項32】
ジスルフィド染料が、pは、1に等しく、yおよびzは、0に等しく、Tは、-N(R)-を表すものであることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
Wが、1つまたは複数の同一であるかまたは異なるC1〜C4アルキル基によって場合により置換されているイミダゾリウム、ピリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ピラゾリウム、ベンゾチアゾリウムであることを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
少なくとも1つの酸化ベース、1つのカプラーおよび/またはジスルフィド染料以外の1つの直接染料を含む請求項29から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの酸化剤を含む請求項29から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
有機溶媒および/または増粘剤を含む請求項29から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
複数の区画装置であって、第1の区画が、請求項1から13において記載のジスルフィド染料を含み、第2の区画が、ジスルフィド結合を還元することができる還元剤を含有する装置。
【請求項38】
酸化剤を含有する第3の区画を含んでいる請求項37に記載の装置。
【請求項39】
ヒトのケラチン繊維、特に毛髪を染色するための請求項1から14に記載のジスルフィド染料の使用。
【請求項40】
着色の堅ろう度を改良するための請求項39に記載の使用。
【請求項41】
カチオン性ジスルフィド染料であって、以下の式(I)、(II)、(III)または(IV):
【化14】

の少なくとも1つの第四級アンモニウム基、それらの塩、異性体および水和物等の溶媒和物を含む染料
(式中:
・ AおよびA'は、同一であるかまたは異なり、少なくとも1つのカチオン性または非カチオン性発色団(この発色団は、アゾ、アントラキノンまたはヒドラゾンの仲間に属する)を含有する基を表し、
・ VおよびV'は、同一であるかまたは異なり、橋かけ基を表し、
・ vおよびv'は、同一であるかまたは異なり、0または1を表し、
・ Xは、次の配列:
-(T)t-(Y)y-(Z)z-
を表し、前記配列は、式(I)、(II)、(III)または(IV)において次の:
-Csat(またはC'sat)-(T)t-(Y)y-(Z)z-(AまたはA')のように連結されており、
Tは、-SO2-、-0-、-S-、-N(R)-、-N+(R)(R)-CO-(Rは、水素原子、C1〜C4アルキル基またはC1〜C4ヒドロキシアルキルを表す)から選択された1つまたは複数の基またはそれらの組み合わせを表し、係数tは、0または1に等しい)を表し、
Yは:
- -(CH2)2-S02-から選択された基、
- -CH2-CHR-CO-NR'-(R、R'は、同一であるかまたは異なり、水素原子、C1〜C4アルキル基を表す、
- 式(a)、(a')または(a'')の基:
【化15】

(式中、
・ Bは、-N-、-CRa(Raは、水素原子、塩素またはフッ素から選択されたハロゲン原子、ニトロ基、場合により置換されているピリジニウム基を表す)を表し、
・ R'は、上と同じ定義を有しており、
・ R'aは、
- 水素原子
- 塩素原子またはフッ素原子
- 少なくとも1つの基Rcによって場合により置換されているピリジニウム基(Rcは、C1〜C4アルキル、ハロゲン原子、カルボキシル基-COOM(Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム基または1つまたは複数の直鎖または分枝の同一または異なる場合によって少なくとも1つのヒドロキシルを有するC1〜C18アルキル基で置換されたアンモニウム基を表す)、エステル基-COORd(Rdは、C1〜C4アルキル基を表す)、アミド基-CON(Rd)2(Rdは、同一であるかまたは異なり、水素原子またはC1〜C4アルキル基を表す)であることが可能である)
- ヒドロキシル基
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアルキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、Oから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
- 基NHNHCOR(Rは、直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基を表す)
を表す)
- 次式(b)の基:
【化16】

(式中、
・ R'は、上と同じ定義を有しており
・ Rbは、
- 塩素原子
- アミノ、アルキルアミノ、またはジアキルアミノ基(同一または異なるC1〜C18アルキル基は、直鎖または分枝であり、N、O、Sから選択されたへテロ原子により場合により割り込まれており、1つまたは複数のヒドロキシル基により場合によって置換されている)
- 置換されていてもよい飽和または不飽和の窒素含有複素環、
- アリール基が好ましくはC6である、アリールアミノ基、を表し、
・ 係数pは、1に等しく、
・ yは、0または1に等しく、
・ Zは:
- -(CH2)m-(mは、1と8の間の整数である)
- -(CH2CH2O)q-または-(OCH2CH2)q-(qは、1と15の間の整数である)
- アリールまたはアルキルアリールまたはアリールアルキル基(アルキル基はC1〜C4であり、アリール基は好ましくはC6であり、少なくとも1つの基SO3M(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基または1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C18アルキル基で置換されているアンモニウム基を表す)で場合によって置換されている)
を表し、
・ zは、0または1に等しく、
・ Csat、C'satは、同一であるかまたは異なり、場合により置換されており、場合により環状、直鎖または分枝のC1〜C18アルキレン鎖を表し、
・ Dは、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、カルボキシル、カルボキシラート、アミノ、アルキルアミノおよびジアルキルアミノ基から選択された基に対応する
染料。
【請求項42】
同一であるかまたは異なるAまたはA'が、アゾ発色団を含有していることを特徴とする請求項41に記載の染料。
【請求項43】
ジスルフィド染料が、yおよびzが、0に等しく、Tが、-N(R)-を表すものであることを特徴とする請求項41および42のいずれか一項に記載の染料。
【請求項44】
Wが、1つまたは複数の同一であるかまたは異なるC1〜C4アルキル基によって場合により置換されているイミダゾリウム、ピリジニウム、ベンズイミダゾリウム、ピラゾリウム、ベンゾチアゾリウムであることを特徴とする請求項41から43のいずれか一項に記載の染料。
【請求項45】
ジスルフィド染料を、
【化17】

【化18】

から選択することを特徴とする請求項41から44のいずれか一項に記載の染料。
【請求項46】
染料であって、次式:
【化19】

(Mは、水素原子、アルカリ金属またはアンモニウム基もしくは1つまたは複数の同一であるかまたは異なる少なくとも1つのヒドロキシルを場合によって有している直鎖または分枝のC1〜C10アルキル基によって置換されているアンモニウム基を表す)、および酸性、塩基性、もしくは中和された形の化合物の染料。

【公開番号】特開2012−193190(P2012−193190A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−135077(P2012−135077)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2005−299150(P2005−299150)の分割
【原出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】