説明

特定のブロックコポリマーから調製される最終使用用途

本発明は、特定のブロックコポリマーから調製される様々な最終使用用途に関する。該ブロックコポリマーは、1つまたは複数のAもしくはA’ブロックまたはBブロックと、1つまたは複数の末端Mブロックを含む。各AおよびA’は、主に重合化アルケニル芳香族化合物を含むブロックまたはセグメントであり、各Bは、主に重合化共役アルカジエンを含むブロックまたはセグメントであり、各Mは、6員の無水環および/または酸基である。無水環は、t−ブチルメチルアクリレートなどの(1−メチル−1−アルキル)アルキルアクリル酸エステルの隣接単位を熱分解することによって調製される。ポリマー主鎖において安定な無水環を有する多種多様なポリマーが開示される。本発明は特に、かかるブロックコポリマーと、様々な反応性樹脂、反応性モノマーおよび金属誘導体との反応生成物から調製される様々な最終使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無水物および/または酸基を有する特定のブロックコポリマーから調製される様々な最終使用用途に関する。本発明は特に、かかるブロックコポリマーと、様々な反応性樹脂、反応性モノマーおよび金属誘導体との反応生成物から調製される様々な最終使用に関する。部分的に、本発明は、無水物および/または酸基を有する特定のブロックコポリマーから調製される特定の官能化ブロックコポリマーでグラフトしたアクリルポリマーを含む配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
当技術分野では、2つ以上のモノマーのホモポリマーおよびポリマー両方のエラストマーポリマーが周知である。特に有用な種類の合成エラストマーは、周囲温度ではエラストマー特性を示すが、幾らか高い温度では、非エラストマー熱可塑性物質にごく普通に使用される方法によって処理可能な種類の熱可塑性エラストマーである。かかる熱可塑性エラストマーは、例えば、アルケニル芳香族化合物および共役アルカジエンのブロックポリマーを含む幾つかの種類のブロックポリマーによって例示される。スチレンおよびブタジエンのブロックポリマーが実例である。この特定の種類のブロックポリマーは、当技術分野で周知であり、それにはKRATON(登録商標)ブロックコポリマーが含まれる。
【0003】
さらに、同じまたは類似のモノマーを含有するブロックポリマーの特性は、ブロックポリマー内のモノマーブロックの配列および各ブロックのそれぞれの分子量に伴い、かなり大幅に変わることになる。この種類のブロックポリマーの酸化耐性などの特性の幾つかは、ポリアルカジエンまたは分子の脂肪族部分における炭素−炭素不飽和の幾らかまたは全ての選択的水素化によって、時に、ポリ(アルケニル芳香族化合物)および分子の芳香族部分における不飽和を含む、実質的に全ての炭素−炭素不飽和の水素化によって改善されることも知られている。KRATON(登録商標)Gブロックコポリマーなどの幾つかの選択的に水素化したブロックポリマーも周知であり、市販されている。
【0004】
ブロックポリマーの選択された特性を改変する代替方法は、官能基を置換基として分子内に導入することによって、または1つもしくは複数の追加のブロックを、極性の性質のポリマー構造内に付与することによって、ブロックポリマー内に極性または官能性を付与することである。かかるポリマーには、KRATON(登録商標)FGブロックコポリマーなどのマレイン酸化ブロックコポリマーが含まれていた。
【0005】
従来技術のブロックコポリマーの多くに伴う問題は、それらが極性でも反応性でも親水性でもないということである。米国特許第5,218,053号は、無水環を含有する新規なポリマーを開示している。無水環は、ポリ(t−ブチルメチルアクリレート)ブロックなどにおいて、(1−メチル−1−アルキル)アルキルエステルの隣接単位を熱分解することによって調製される。この熱反応は、幾つかのカルボン酸基に加えて、主に6員のグルタル酸無水環を形成する。低反応変換の場合、未反応エステル基も存在し得る。さらに無水環は、水との接触時に少なくとも幾つかのカルボン酸基を形成することになる。したがって得られるポリマーは、エステル、無水物および酸基を含有することができる。ポリマー主鎖に無水環を有する幾つかのポリマーが、’053特許に開示された。
【0006】
接着剤、封止剤およびコーティング
ブロックコポリマーを含有するかかる無水物は、US5,403,658およびUS SIR H1251に開示されている通り、様々な接着剤、封止剤およびコーティングを製造するために使用されてきた。US5,403,658は、クラフト紙に十分に接着する、強力な粘着性を有する接着剤(感圧接着剤)を開示している。US SIR H1251は、鋼およびガラスを含む極性基材に十分に接着する、ホットメルト接着剤を開示している。両特許文献は、ブロックコポリマーを含有する水素化無水物を開示している。しかし従来技術は、コンタクト接着剤およびコーティングを開示しておらず、無水物を含有するブロックコポリマーと、反応性樹脂、反応性モノマーおよび反応性金属誘導体との反応生成物を開示していない。
【0007】
アクリル感圧接着剤
一般的なアクリル感圧接着剤配合物は、アルキルエステルモノマー、アクリル酸などの官能性モノマーのコポリマーであり、例えばアルミニウムキレート剤を使用して架橋することができる。これらの接着剤は一般に、低エネルギー表面への接着性が不足している。これらの接着剤は、ロジン酸エステルとの粘着力を増大して、低い表面エネルギーの接着性を改善することができるが、増粘は耐熱性を喪失させ、経時特性を悪化させる。良好な経時特性が損なわれるとしても、増粘したアクリル分散液は、幾つかの用途、例えば殆どの紙ラベルの使用に対して十分であり、実際に主な紙ラベル技術となっている。しかし、これらの増粘アクリル接着剤は、アクリル溶液が従来使用されている殆どのグラフィックおよび工業用テープの適用に対して十分な分解耐性を有していない。
【0008】
ゴム−樹脂配合物は、ポリオレフィンおよび他の低エネルギー基材への接着に使用されることが多い。一般的な組成物は、天然ゴムまたはロジン酸エステルとの粘着力が増大したスチレンブロックコポリマーである。これらの配合物は、優れた粘着性および結合強度をもたらすが、経時に関して酸化およびUV光によって誘発される分解により脱色し、粘着性を喪失する。完全に水素化したゴムおよび樹脂の配合物は、一般により費用がかかることに加えて、必要とされる接着性能を有していない。
【0009】
US5,625,005は、ゴム−アクリル感圧接着剤を、非極性表面への高い接着性と共に良好UV耐性および経時特性を有するものとして記載している。US6,642,298および6,670,417は、水素化ゴムマクロマでグラフトしたアクリルポリマーを含有する改善されたアクリル感圧接着剤を開示している。当技術分野におけるこれらの進歩にもかかわらず、工業用テープおよび転写フィルムなどの用途および表面への接着が困難な低エネルギーでの屋外用グラフィック用途に対して十分な接着性および化学耐性の特性を有する感圧接着剤を調製するために使用できる改善されたポリマー組成物が、依然として必要とされている。
【0010】
構造用アクリル接着剤
多種多様な基材を結合するための構造用アクリル接着剤が周知である。これらは、費用、審美性および遮音を含む幾つかの理由で、機械的接合法の一代替として使用される。これらは一般に、メタクリレートエステルモノマー、重合触媒および幾つかの他の成分の混合物によって製造される。構造用アクリル接着剤は、低い可撓性および非極性表面に対する低い接着性を含む幾つかの潜在的な欠点を有している。US6,989,416は、スチレンおよびイソプレンまたはブタジエンのブロックコポリマーを含むエラストマー材料を含むメタクリレート構造用アクリル接着剤を開示している。エラストマー材料は、接着剤の衝撃強度および可撓性を改善する。これらのブロックコポリマーは、それらをメタクリレートモノマーと混合して、均一な混合物を作り出すことができ、フリーラジカルグラフトを介してアクリルポリマーにグラフトすることができるという理由で使用される。しかし、イソプレンおよびブタジエンのブロックコポリマーは、アクリルポリマーと比較してUV耐性および経時性が低いという欠点を有している。
【0011】
アクリル封止剤およびコーティング
従来技術では、様々な封止剤組成物が開示されてきた。スチレンブロックコポリマーを含む封止剤に関する基本的な特許文献は、HarlanのUS3,239,478であり、これは、広範な封止剤および接着剤を製造するための、スチレン−ジエンブロックコポリマーと粘着力を増大する樹脂等の組合せを示している。US4,101,482に開示のものなどの非水素化スチレン−ジエンブロックコポリマーにより製造された封止剤は、必要な酸化およびUV安定性が欠けている。US4,113,914に開示のものなどの市販の水素化スチレン−ジエンブロックコポリマー系封止剤も、幾つかの欠点を有している。これらの封止剤は、良好な硬度、温度耐性およびUV耐性を有しているが、その障害(failure)機構は接着障害であり、この障害機構は封止剤においては許容されない。さらに、多くの商業操作に対して溶融粘度が高すぎる。新規な封止剤組成物が、US4,296,008に開示されており、これは良好な粘着力およびより低い溶融粘度を付与するだけでなく(特に可塑剤を含有しない配合物において)、接着障害とは対照的に結合性をもたらす。しかし、スチレンブロックコポリマーを含む封止剤は、粘度を低減するための溶媒を含有していることが多い。一般的な傾向は、環境問題のために溶媒系封止剤から離れつつある。アクリル格子系の封止剤は、シリコーンおよびウレタン封止剤と適合しない性能だが、これらはそれ程高価ではなく、店頭および日曜大工用の建設市場で使用されている。一般に、メチルメタクリレート、酢酸ビニルおよびメチルアクリレートなどの硬質アクリル酸エステルは、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを含む可撓性を付与するモノマーと組み合わせて使用される。一般に、アクリル接着剤、封止剤およびコーティングは、優れた紫外線(UV)安定性および熱分解耐性を示す。しかし、アクリル系接着剤封止剤およびコーティングは一般に、低エネルギーおよび低極性表面への接着性が低いという問題があり、剛性アクリルは、可撓性および衝撃強度が低いという問題がある。
【0012】
放射線硬化接着剤、封止剤、コーティングおよび印刷版
モノアルケニルアレーン/共役ジエンブロックコポリマーは、感圧接着剤(PSA)として広く使用されている。これらのポリマー系PSAは、周囲温度において高い強度および弾性を有しており、したがってこれらのPSAは、多くの一般目的用途における、ならびに包装および布テープにおける使用に十分適するものとなっている。これらのPSAの高い強度および弾性は、モノアルケニルアレーンのエンドブロックが相分離して、ゴム性の中間ブロック相を物理的に架橋するように働く領域を形成する、周知のミクロ相分離した網状構造によるものである。しかし、エンドブロックのガラス転移温度に近い温度においては、または適切な溶媒の存在下では、その領域は軟化して物理的架橋を解放し、PSAはその強度および弾性を喪失する。したがってブロックコポリマー系PSAは、高温または自動車のマスキングテープなどの溶媒耐性テープにおける使用には適していない。高温または溶媒の存在下においてブロックコポリマー系PSAにおける高い結合強度を維持する唯一の方法は、ポリマーがその強度に対する物理的架橋に依存しなくなるように、該ポリマーを化学的に架橋することである。
【0013】
放射線硬化接着剤、封止剤およびコーティングは当技術分野で周知であり、紫外光(UV)、可視光硬化および電子ビーム硬化配合物に分類することができる。従来技術の例には、US5,777,039、US4,556,464およびUS4,133,731が含まれる。一般に、接着剤、封止剤およびコーティングは硬化(架橋)して、結合強度、せん断強度および耐クリープ性などの高温での機械的特性を改善する。放射線による硬化は、官能基を有するモノマーおよびポリマーを必要とする。アクリル官能性を有するモノマーおよびポリマーがしばしば使用される。エポキシ官能性を有するモノマーおよびポリマーは、カチオン硬化のために使用することができ、チオール官能性を有するモノマーおよびポリマーも、放射線硬化に使用できる。しかし従来技術のポリマーは、経時およびUV光に対する許容できる耐性の欠乏を含む幾つかの欠点を依然として有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,218,053号明細書
【特許文献2】米国特許第5,403,658号明細書
【特許文献3】米国法定発明登録H1251
【特許文献4】米国特許第5,625,005号明細書
【特許文献5】米国特許第6,642,298号明細書
【特許文献6】米国特許第6,670,417号明細書
【特許文献7】米国特許第6,989,416号明細書
【特許文献8】米国特許第3,239,478号明細書
【特許文献9】米国特許第4,101,482号明細書
【特許文献10】米国特許第4,113,914号明細書
【特許文献11】米国特許第4,296,008号明細書
【特許文献12】米国特許第5,777,039号明細書
【特許文献13】米国特許第4,556,464号明細書
【特許文献14】米国特許第4,133,731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
今や、本発明の新規なブロックコポリマー組成物は、驚くべき特性の利点を有し、様々な最終使用用途において有望な利用性を示すことが見出された。本発明は、従来技術における幾つかの制限を克服し、例えば結合強度が改善したコンタクト接着剤および靭性または可撓性が改善されたコーティングを調製することを可能にする。本発明は、既存のアクリル接着剤、封止剤およびコーティングを上回る改善であり、本明細書で特許請求される新規な配合物は、低エネルギーおよび低極性表面への優れた接着性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の要旨)
本明細書で使用される場合、「ハイブリッドブロックコポリマー」という用語は、(1)重合化共役ジエン(または水素化したもの)または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロック、および6員の無水環の繰返し単位(または対応するカルボン酸を形成する6員の無水環と水の反応生成物)を含む少なくとも1つのエンドブロック、ならびに(2)無水物および/または酸基と反応することになる反応性モノマーまたは反応性樹脂または反応性金属誘導体を含むブロックコポリマー組成物を指す。さらに、ベースとなるブロックコポリマーは、無水物または開環カルボン酸に加えて、未反応アルキルメタクリレートの繰返しを含有することもできる。好ましい一実施形態では、ハイブリッドブロックコポリマーは、以下の、
(a)共役アルカジエンまたはアルケニル芳香族化合物をアニオン重合して、リビングポリマー分子を形成するステップ、
(b)(1−メチル−1−アルキル)アルキルエステルを担持するメタクリルまたはアクリルモノマーをアニオン重合して、リビングポリマー分子上にエステルの隣接単位を形成するステップ、
(c)ポリマー分子を回収するステップ、
(d)ポリマー分子を加熱して、隣接するエステル基の少なくとも幾つかを無水環に変換するステップ((c)の過程は、エステル基を無水物に変換するのに十分な熱を提供することができる)、および
(e)得られたポリマーを、反応性モノマーまたは樹脂または金属誘導体と反応させるステップ
を含む方法によって調製される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「感圧接着剤」という用語は、殆どの基材に、わずかな圧力の適用により瞬時に接着し、恒久的に粘着質のままである粘弾性材料を指す。ポリマーは、それ自体が感圧接着剤の特性を有し、または増粘樹脂、可塑剤もしくは他の添加剤との混合物によって感圧接着剤として機能する場合、本明細書で使用される通りの用語の意味の範囲内にある感圧接着剤である。本明細書で使用される場合、「構造用接着剤」という用語は、接着剤間の負荷を伝達するために使用される結合剤を指す。構造用接着剤は、剛性または可撓性であってよく、一般に、高い強度、耐久性および耐熱性を有することができる。「封止剤」という用語は、2つの基材間の隙間を充填し、水などの液体またはガスもしくは水蒸気などの蒸気の通過に対して完全な密閉を付与する材料を指す。「コーティング」という用語は、基材上に拡大し、それに接着し、該基材に幾つかの特性の利点をもたらす材料を指す。
【0018】
好ましくは、反応性樹脂は、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂およびポリウレタンからなる群から選択される。好ましくは、反応性モノマーは、ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、金属誘導体は、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酢酸亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
本発明は、特定のアクリルポリマーまたはアクリルモノマー、ならびに無水物および/または酸基を有する特定のブロックコポリマーから調製された特定の官能化ブロックコポリマーから調製された接着剤、封止剤およびコーティング配合物を提供する。
【0020】
これらの様々な配合物は新規であり、予想外の特性の利点を有する生成物をもたらす。例えば、得られた接着剤配合物は、傑出したコーティング特性、低エネルギー表面を含む多種多様な基材への接着性を有すると共に、より高温においてそれらの乾燥状態で、これらの性能特性を維持する。
【0021】
本発明は、以下を含む物質の様々な新規な組成物を特許請求する。
(1)(i)重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/またはこの環および水の反応から形成される対応するカルボン酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)少なくとも1つの反応性モノマーとの反応生成物を含む官能化ブロックコポリマー。好ましい一実施形態では、反応性モノマーは、ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物から選択される。
(2)(i)重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/またはこの環および水の反応から形成される対応するカルボン酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)少なくとも1つのペンダント反応基を含有する少なくとも1つのアクリルコポリマーとの反応生成物を含む官能化ブロックコポリマー。
(3)(i)重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/またはこの環および水の反応から形成される対応するカルボン酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの反応性樹脂との反応生成物を含む官能化ブロックコポリマー、ならびに
(4)ブロックコポリマーと反応したアクリルポリマーを含むアクリル組成物(但し、前記アクリルコポリマーは、0℃未満のガラス転移温度を有し、前記ブロックコポリマーと反応することができるペンダント反応基を有する少なくとも1つのビニルコモノマー単位を含有し、前記ブロックコポリマーは、重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含む。)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
さらに好ましい一実施形態では、無水環を形成するための加熱および官能性モノマーとの反応前のハイブリッドブロックコポリマーは、(a)重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合(enchainment)を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックを含む(但し、該ブロックコポリマーは、式
A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−M
を有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有する。)。
【0023】
本発明の一態様では、本発明者らは、少なくとも1つのブロックコポリマー、反応性樹脂および溶媒を含む新規なコンタクト接着剤組成物を発見した。好ましい一実施形態では、コンタクト接着剤は、少なくとも1つのベースブロックコポリマーを100重量部、熱反応性フェノール樹脂を20から500重量部、酸化マグネシウムなどの金属酸化物およびトルエンなどの溶媒またはトルエン、ヘキサンもしくはヘプタンおよびアセトンの溶媒ブレンドを1から10重量部含む。
【0024】
本発明の別の態様では、本発明者らは、少なくとも1つのハイブリッドブロックコポリマーを100重量部、少なくとも1つの増粘樹脂を25から300重量部、ならびに可塑剤および溶媒または溶媒混合物を0から200重量部含む新規な溶媒系の接着剤組成物を発見した。本発明の別の態様では、本発明者らは、ベースポリマーとモノマーの反応によって調製された本発明のハイブリッドブロックコポリマー、ならびにエポキシ、イソシアネートおよびアミン官能基を含有する樹脂を含む新規な組成物を発見した。これらの組成物には、新規なエポキシ組成物、周囲環境で硬化するウレタン組成物および焼成によって硬化する組成物が含まれる。
【0025】
本発明の一態様は、(a)ペンダント反応基を含有するアクリルポリマー、および/または(b)ペンダント反応基を含有するアクリルモノマーを含むアクリル組成物に関し、前記モノマーまたはポリマーは、重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと反応する。好ましいアクリルポリマーは、0℃未満のガラス転移温度を有し、ペンダント反応基を有する少なくとも1つのコモノマー単位を含有し、好ましいアクリルモノマーには、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレートが含まれる。
【0026】
本発明の別の態様は、ブロックコポリマーと共重合したアクリルポリマーを含む感圧接着剤を対象とし、但し前記アクリルポリマーは、(a)アルキル基において約4個から約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマー、(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマー、ならびに(c)ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの反応性モノマーを含み、前記ブロックコポリマーは、重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含む。
【0027】
本発明の別の態様は、官能化ブロックコポリマーと共重合したアクリルポリマーを含む感圧接着剤を対象とし、但し前記アクリルポリマーは、(a)アルキル基において約4個から約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマー、ならびに(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、前記官能化ブロックコポリマーは、(i)重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの反応性モノマーとの反応生成物を含む。
【0028】
本発明のさらに別の態様は、(a)アルキル基において約4個から約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマーを、(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよびそれらの混合物およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーと、ならびに(c)官能化ブロックコポリマーと反応させるステップを含む、感圧接着剤の製造方法を対象とし、但し前記官能化ブロックコポリマーは、(i)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックのブロックコポリマーと、(ii)ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの反応性モノマーとの反応生成物を含む。
【0029】
本発明のさらに別の態様は、感圧接着剤ハイブリッドポリマーを含む接着剤用品、例えば工業用テープ、転写フィルム等を対象とする。特に好ましい一実施形態では、ハイブリッドポリマーは、官能化ブロックコポリマーと共重合したアクリルポリマーを含み、但し前記アクリルポリマーは、(a)アルキル基において約4個から約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマー、ならびに(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、酢酸ビニルおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、前記官能化ブロックコポリマーは、(i)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマーおよびそれらの混合物から選択される少なくとも1つの反応性モノマーとの反応生成物を含む。
【0030】
アクリル接着剤および封止剤の最大の消費は、エマルション重合によって調製されるアクリルポリマーによるものである。エマルション重合したアクリルは、低費用で環境に優しい、アクリルポリマー、接着剤、封止剤およびコーティングの製造方法ならびに最終使用者による適用方法を付与する。本発明は、溶液として、モノマーの混合物として、モノマーのエマルションもしくは懸濁液として、または溶融物として調製できるハイブリッドゴム−アクリルポリマーを記載する。
【0031】
ブロックコポリマーは、共重合化の間にアクリルモノマーと反応することができ(「マクロマ」過程)、あるいはブロックコポリマーは、アクリルポリマーの官能性モノマーと、6員の無水環またはこの環および水の反応によって形成される酸を含むエンドブロックの反応によって、重合化アクリルポリマーと反応することができる(重合反応後の過程)。これらの2つの過程は、以下に概略的に示される。
【0032】
【化1】


【0033】
本発明は、前述のブロックコポリマーでグラフトしたアクリルポリマーを記載する。したがって水素化ブロックコポリマーセグメント、特にゴム相は、従来技術のように低エネルギー表面に対して改善された接着性を付与するが、感圧接着剤の場合には、従来技術と比較して高温における改善された結合強度および流れ抵抗をもたらし、構造用接着剤の場合には、従来技術と比較して改善されたUV風化作用および熱劣化安定性をもたらす。
【0034】
本発明の非常に重要な成分は、先に定義のハイブリッドブロックコポリマー組成物である。出発ベースブロックコポリマーの製造方法は、その開示を参照により本明細書に組み込む米国特許第5,218,053号に記載され、特許請求されている。
【0035】
無水環の形成前の本発明のベースポリマーは、以下の構造によって例示される。
【0036】
A−M I
B−M II
B−M−B III
M−B−M IV
(B−M−)−X V
(M−B−)−Z VI
A−B−M VII
B−A−M VIII
A−B−A’−M IX
M−A−B−A’−M X
(A−B−M−)−X XI
(M−A−B−)−Z XII
(M−B−A−)−Z XIII
(A−M−)−X XIV
(M−A−)−Z XV
式中、各AおよびA’は、主に重合化アルケニル芳香族化合物を含むブロックまたはセグメントであり、各Bは、主に重合化共役アルカジエンを含むブロックまたはセグメントであり、各Mは、重合化(1−メチル−1−アルキル)アルキルエステルの少なくとも2つの隣接単位を含むセグメントまたはブロックであり、yは、星型の多数アームを表す整数であり、Xは、多官能性カップリング剤の残基であり、Zは、多官能性カップリング剤または多官能性重合開始剤の架橋済みのコアである。
【0037】
先の構造の幾つかにおいて各AおよびA’ブロックまたはセグメントとして使用されるアルケニル芳香族化合物は、最大18個の炭素原子の炭化水素化合物であり、この化合物は、最大2個の芳香族環の芳香族環系の環の炭素原子に結合している最大6個の炭素原子のアルケニル基を有する。かかるアルケニル芳香族化合物は、スチレン、2−ブテニルナフタレン、4−t−ブトキシスチレン、3−イソプロペニルビフェニルおよびイソプロペニルナフタレンによって例示される。好ましいアルケニル芳香族化合物は、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンおよびα,4−ジメチルスチレンなどのスチレンおよびスチレンホモログによって例示される通りの、ベンゼン環に結合した最大3個の炭素原子のアルケニル基を有する。1,1−ジフェニルエチレンモノマー、1,2−ジフェニルエチレンモノマーおよびそれらの混合物などのモノマーも含まれる。スチレンおよびα−メチルスチレンは、特に好ましいアルケニル芳香族化合物であり、特にスチレンが好ましい。
【0038】
ポリマーの各AおよびA’ブロックまたはセグメントは、好ましくは少なくとも80重量%の重合化アルケニル芳香族化合物であり、最も好ましくはホモポリマーである。式II−XIIIの構造における各Bブロックまたはセグメントは、好ましくは、重合化共役アルカジエンを少なくとも90重量%含む。最も好ましくは、Bセグメントまたはブロックは、1つまたは複数の共役アルカジエンのホモポリマーまたはコポリマーである。共役アルカジエンは、好ましくは最大8個の炭素原子を有する。かかる共役アルカジエンの例は、1,3−ブタジエン(ブタジエン)、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、1,3−ペンタジエン(ピペリレン)、1,3−オクタジエンおよび2−メチル−1,3−ペンタジエンである。好ましい共役アルカジエンは、ブタジエンおよびイソプレン、特にブタジエンである。式II−XIIIのポリマーの好ましいポリアルカジエンブロックまたはセグメント内において、1,4重合によって生成される単位の割合(%)は、少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約20%である。さらに、共役ジエンおよびアルケニル芳香族のコポリマーも含まれ、該構造は、ランダムコポリマー、テーパードコポリマーまたは制御分布ブロックコポリマーであってよい。制御分布ブロックコポリマーは、その開示を参照により本明細書に組み込むUS7,169,848に開示されている。
【0039】
各Mは、好ましくは、重合化(1−メチル−1−アルキル)アルキルメタクリレートの少なくとも2つの隣接単位を含むメタクリレートブロックまたはセグメントである。(1−メチル−1−アルキル)アルキルメタクリレートのホモポリマーMセグメントまたはブロックが最も好ましい。
【0040】
アルキルエステルは、以下の構造を有する。
【0041】
モノマー:
【0042】
【化2】

【0043】
無水環:
【0044】
【化3】

【0045】
エステルの無水物への反応
【0046】
【化4】

式中、Rは、水素または1個から10個の炭素原子を含むアルキルもしくは芳香族基であり、Rは、1個から10個の炭素原子を含むアルキル基である。
【0047】
隣接する(1−メチル−1−アルキル)アルキルエステル基は、反応後に6員を有する安定な無水環に熱変換する。
【0048】
(1−メチル−1−アルキル)アルキルエステルの例には、
1,1−ジメチルエチルアクリレート(t−ブチルアクリレート)、
1,1−ジメチルプロピルアクリレート(t−ペンチルアクリレート)、
1,1−ジメチルエチル−α−プロピルアクリレート、
1−メチル−1−エチルプロピル−α−ブチルアクリレート、
1,1−ジメチルブチル−α−フェニルアクリレート、
1,1−ジメチルプロピル−α−フェニルアクリレート(t−ペンチルアトロパート(atropate))、
1,1−ジメチルエチル−α−メチルアクリレート、(t−ブチルメチルアクリレート)、および
1,1−ジメチルプロピル−α−メチルアクリレート(t−ペンチルメタクリレート)が含まれる。
【0049】
最も好ましいアルキルエステルは、日本の三菱レイヨンから市販の高純度のt−ブチルメタクリレートである。高純度モノマーの別の供給源は、BASFから得ることができる。無水物基に熱変換しない先のアルキルエステルおよび他のエステルの混合物、好ましくはイソブチルメチルアクリレート(3−メチルプロピル−α−メチルアクリレート)は、エステルおよび無水物官能基の両方を有するMブロックが望ましい場合に使用することができる。あるいは、無水物反応温度および滞留時間を低減して、未反応エステルおよび6員の無水物の混合ブロックを得ることができる。
【0050】
式I−XVのポリマーの生成方法は、エステル基がポリマーリチウム種との副反応を受けやすいために、少なくとも部分的にやや特別である。より従来のポリマー、例えばスチレンおよび1,3−ブタジエンのブロックポリマーの生成方法において、様々な方法スキームが利用できる。かかる手順には、いずれかの種類のモノマーのリビングポリマーを、他の種類のモノマーの重合に交差する(crossing over)前にアニオン重合することによって生成することが含まれる。また、逐次重合によって、またはカップリング剤を使用して分岐もしくは放射状ポリマーを得ることによってかかるブロックポリマーを生成するのが通常である。本発明のポリマーの生成において、脂肪族および芳香族部分は逐次重合によって生成され、次いでエステルブロックが、終了前のまたはカップリング剤の任意の添加前の最終重合ステップとして生成される。
【0051】
式I−XVのポリマーを形成する各手順において、モノマーは、金属アルキル開始剤、好ましくはアルカリ金属アルキルの存在下で、アニオン重合される。アニオン重合におけるかかる開始剤の使用は周知であり、慣習的である。特に好ましい開始剤は、sec−ブチルリチウムである。
【0052】
アルケニル芳香族化合物の重合は、シクロヘキサンなどの非極性炭化水素溶媒中、または混合極性/非極性溶媒、例えばシクロヘキサンおよびテトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどのエーテルの混合物中で行われる。適切な反応温度は、約20℃から約80℃であり、反応圧力は、混合物を液相中に維持するのに十分な圧力である。得られた生成物は、さらなる重合に使用される末端有機金属部位を有するリビングポリ(アルケニル芳香族化合物)ブロックを含む。
【0053】
共役アルカジエンの重合は、重合様式を制御するように選択された溶媒中で行われる。反応溶媒が非極性である場合、所望の度合いの1,4重合が行われるが、混合溶媒中の極性材料の存在によって、1,2重合の割合が増大する。約6%から約95%の1,2重合をもたらすポリマーが特に興味深い。1,4重合の場合、ポリマー鎖中のエチレン性不飽和の存在は、シスおよびトランス立体配置をもたらす。シス立体配置をもたらす重合が大部分である。
【0054】
エステルの重合は、重合化共役アルカジエンを含有する混合溶媒中、約−80℃から約100℃、好ましくは約10℃から約50℃の温度で行われる。
【0055】
アクリルブロックまたはセグメントの生成後、重合は、プロトン性材料、一般にはメタノールもしくはエタノールなどのアルカノールとの反応、またはカップリング剤との反応のいずれかによって終了する。当技術分野では、様々なカップリング剤が知られており、本発明のカップリングしたブロックコポリマーの調製に使用することができる。これらには、例えばジハロアルカン、ハロゲン化ケイ素、シロキサン、多官能性エポキシド、シリカ化合物、一価アルコールとカルボン酸のエステル、(例えば安息香酸メチルおよびアジピン酸ジメチル)およびエポキシ化油が含まれる。星型ポリマーは、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込む米国特許第3,985,830号、同第4,391,949号および同第4,444,953号、ならびにカナダ特許第716,645号に開示の通り、ポリアルケニルカップリング剤を用いて調製される。適切なポリアルケニルカップリング剤は、ジビニルベンゼン、好ましくはm−ジビニルベンゼンを含む。好ましいのは、テトラ−メトキシシラン(TMOS)およびテトラ−エトキシシラン(TEOS)などのテトラ−アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン(MTMS)などのトリ−アルコキシシラン、アジピン酸ジメチルおよびアジピン酸ジエチルなどの脂肪族ジエステル、ならびにビス−フェノールAおよびエピクロルヒドリンの反応に由来するジグリシジルエーテルなどのジグリシジル芳香族エポキシ化合物である。ジビニルベンゼンなどの重合可能なモノマーとのカップリングでは、重合反応が終了しない。リチウムを除去するための終了は、ジビニルベンゼンとのカップリング後が好ましいが、所望に応じて、終了前に追加のアームがリチウム部位から成長することができる。次いでポリマーは、沈殿または溶媒除去などの周知の手順によって回収される。
【0056】
先の手順によって生成されたポリマーは、リビングポリマー鎖が、1,1−ジフェニルエチレンまたはα−メチルスチレンの単位で第1の末端をキャップされない限り、終了前に、隣接するそのリビング分子上のエステル基を介して幾らかカップリングされることになる。エステルカップリングは、放置される場合、約10−50重量%のポリマーを生じる。かかるカップリングは、特に所望のポリマー構造が、エステルの重合後にカップリングを必要とする場合に許容されることが多い。
【0057】
式IVおよびXのポリマーの生成は、その方法技術が概して古いとはいえ、手続き上幾らか困難である。この修飾において、共役アルカジエンは、二官能性開始剤、例えば1,3−ビス(1−リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンゼンの存在下で重合して、2つの反応性有機金属部位を有するリビングポリアルカジエン種を生成する。次いでこのポリマー種は、残りのモノマーと反応して、示される構造を生成する。
【0058】
式VI、XIIおよびXIIIおよびXVのポリマーの生成も、方法技術がやはり概して古いとはいえ、手続き上困難である。この修飾では最初に、リビングポリスチレンまたはリビング共役アルカジエンの小分子をアニオン重合し、該小分子をジビニルベンゼンとカップリングさせることによって、コアZと同定される多官能性開始剤を生成して、さらなる重合のための多数の有機金属部位を提供する。
【0059】
各Bセグメントまたはブロックは、任意のカップリングの前に、2,000から500,000、好ましくは2,000から200,000の分子量を有する。各Aブロックは、任意のカップリングの前に、500から30,000、好ましくは1,000から20,000の分子量を有する。各非カップリングMセグメントまたはブロックは、無水物への変換前に、200から100,000、好ましくは200から30,000の分子量を有する。
【0060】
本発明で使用される式II−XIIIのベースポリマーのさらなる修飾において、ベースポリマーは、ブロックコポリマーの任意の芳香族部分の芳香族炭素−炭素不飽和を実質的に低減することなく、ポリマーの脂肪族部分における不飽和度を低減するために、選択的に水素化される。しかし幾つかの場合、芳香族環の水素化が望ましい。したがって、選択性の低い触媒が機能することになる。
【0061】
幾つかの触媒、特に遷移金属触媒は、アルケニル芳香族化合物および共役アルカジエンのコポリマーの脂肪族不飽和を選択的に水素化することができるが、Mセグメントまたはブロックの存在によって、選択的水素化がより困難なものになり得る。脂肪族不飽和を選択的に水素化するために、可溶性ニッケルまたはコバルト化合物およびトリアルキルアルミニウムから形成された「均一系」触媒を使用することが好ましい。ナフテン酸ニッケルまたはオクチル酸ニッケルが好ましいニッケル塩である。この触媒系は、アルキルメタクリレートブロックがない場合に選択的水素化に従来使用されている触媒の1つであるが、他の「従来の」触媒は、エステル含有ポリマーにおける共役アルカジエンの選択的水素化に適していない。
【0062】
選択的水素化法では、ベースポリマーはその場で反応し、または単離される場合には、シクロヘキサンもしくはシクロヘキサン−エーテル混合物などの適切な触媒に溶解し、得られた溶液を、均一系ニッケルまたはコバルト触媒の存在下で水素ガスと接触させる。水素化は、約25℃から約150℃の温度および約15psig(約1.2Mpa)から約1000psig(約7Mpa)の水素圧力下で行われる。水素化は、核磁気共鳴分光法によって決定され得る通り、ベースポリマーの脂肪族部分の炭素−炭素不飽和の少なくとも約90%、好ましくは少なくとも98%が飽和した場合に完了したと見なされる。選択的水素化の条件下、AおよびA’ブロックの約5%以下、好ましくはさらに少ない単位は、水素と反応することになる。選択的水素化ブロックポリマーは、酸水溶液で洗浄して触媒残渣を除去し、蒸発または蒸留によって溶媒および他の揮発物を除去するなどの通常の手順によって回収される。
【0063】
本発明のポリマーにおける無水物基は、ベースポリマーを、180℃を超える、好ましくは220℃から260℃の温度に加熱することによって生成される。加熱は、好ましくは、1つの無水基を生成する2つの隣接するエステル基の組合せによって形成される揮発性副産物を除去するために、液化区分を有する押出機内で実施される。
【0064】
ポリマーは、好ましくはゲル浸透クロマトグラフィーによって測定して、無水物への変換後に以下の数平均分子量を有する。
【0065】
【表1】

【0066】
絶対平均および数平均分子量の両方を、以下の実施例に記載の通り、通常のGPCによって決定する。
【0067】
主に無水物基を含有するハイブリッドポリマーを使用することができるが、無水物基の幾つかは、水との接触によって酸基に変換する可能性が高い。多くの場合、これは望ましい態様であり、例えばエマルションでは、ポリマーまたは配合物粒子の表面の無水物基は、水と接触し、酸を形成し、または水酸化ナトリウムなどの塩基が水に添加される場合には酸塩を形成する。酸または酸塩の形態のハイブリッドポリマーは、界面活性剤として活性であるため、エマルションを安定化する一助となり、低濃度の低分子量の界面活性剤で安定性を付与する。どんな場合でも、Mブロック含量の範囲は、以下に示す通り変わり得る。エステル、無水物および酸の形態の合計は、100wt%に等しくなる。
【0068】
【表2】

【0069】
カルボキシ官能性モノマーは、カルボン酸を含む。かかるカルボン酸は、好ましくは約3個から約5個の炭素原子を含有し、中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等を含む。アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物が好ましい。ヒドロキシ官能性モノマーの具体的な例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートが含まれる。グリシジル官能性モノマーの具体的な例には、グリシジルメタクリレートおよびグリシジルアクリレートが含まれる。アクリルアミド官能性モノマーの具体的な例には、t−オクチルアクリルアミドなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド、シアノエチルアクリレートおよびジアセトンアクリルアミドが含まれる。他の官能性モノマーには、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物が含まれる。官能性樹脂の例には、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂が含まれる。金属誘導体の具体的な例には、それに限定されるものではないが、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酢酸亜鉛等が含まれる。金属誘導体は、ベースポリマー上の無水物もしくは酸基と、または樹脂上の酸もしくはフェノール基とイオン結合を形成できなければならない。
【0070】
官能性モノマーは、ベースポリマー分子1個につき官能性モノマー約1個から、ベースポリマー上の出発無水物および酸基1個当たり官能性モノマー約1個の範囲の量で、ブロックコポリマーに添加される。反応条件は、室温から350℃、好ましくは室温から260℃で変わる。反応条件は、特定の官能性モノマーに依存して決まる。例えば、ヒドロキシル基を含有するモノマーは、室温でベースポリマーと反応することができるが、この反応は緩慢であり、したがってより高温で反応を実施することが有利であるが、ベースポリマーの分解を生じる温度ではない。場合によって、この反応の一助にするために触媒を使用することができる。
【0071】
得られるポリマーの特徴は、ベースポリマーと反応した特定の官能性モノマー、反応性樹脂または金属誘導体に依存して決まることになる。一般に、様々な分離方法と組み合わせたIRおよびNMRなどの方法を使用して、ベースポリマー上の無水物および酸基と、反応性モノマー、樹脂および金属誘導体との間で化学反応が起こったことを示すことができる。GPCは、反応の結果として大きい分子量の変化が生じる場合に、特徴付けのために使用することができる。硬化系を付与する反応の場合、得られるポリマーまたは配合物は、不溶性物質の観点から(ゲル濃度)、または機械的特性およびレオロジー特性によって特徴付けることができる。
【0072】
コンタクト接着剤
「コンタクト接着剤」という用語は、使用時に各接着表面に塗布され、好ましくは実質的に粘着性がなく、または手で触れられる程度の乾燥状態まで乾燥され、その後その各表面が一緒になって結合する接着剤組成物を意味する。本発明によれば、2つの表面を一緒に接着する方法は、本明細書に定義のワンパート(one−part)コンタクト接着剤組成物を各接着表面に塗布するステップ、および少なくとも幾つかの有機液が蒸発した後、それらの表面が互いに接するようにするステップを含む。
【0073】
好ましくは本発明の接着剤は、静置状態で周囲温度において流体ではなく、またはゲルのようである。しかし、そのチキソトロピー性により、本発明の接着剤は、例えば撹拌または振動によってかき混ぜられる場合に液体になる。
【0074】
有機液は、ハイブリッドブロックコポリマーに溶解および/または分散するものならいずれでもよい。ハイブリッドブロックコポリマーは、有機液に部分的に溶解し、部分的に分散できることが多い。溶媒には、ヘキサンもしくはヘプタンなどの高価でない脂肪族炭化水素、またはそれらの異性体、トルエンおよびキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ならびにアセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトンを含む酸化溶媒、イソプロピルアルコールなどのアルコール、ならびに酢酸エチルおよび酢酸tertブチルなどのエステルが含まれる。溶媒の選択は、強度成長速度、開放時間、費用、粘度および噴霧性を含む、接着剤の幾つかの特性に影響を及ぼす。溶媒ブレンドは、接着剤の特性を制御するために使用されることが多い。
【0075】
特性を付与または改変するために、他の成分を組成物に入れることができる。さらなる成分の例は、充填剤、顔料、塩素化天然ゴム、ヒドロカルビル−フェノールの樹脂、ヒドロカルビル−フェノール樹脂改変剤、酸化マグネシウム、アルデヒドを有するアミノ化合物の樹脂、ポリスチレンブロックと相溶性のある樹脂および共役ジエンブロックと相溶性のある樹脂などの強化ポリマー材料である。ポリスチレンブロックと相溶性のある樹脂は、クマロン−インデン樹脂、ポリインデン樹脂、ポリ(メチルインデン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン樹脂、αメチルスチレン樹脂およびポリフェニレンエーテル、特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)からなる群から選択することができる。かかる樹脂は、例えば商標「HERCURES」、「ENDEX」、「KRISTALEX」、「NEVCHEM」および「PICCOTEX」で販売されている。水素化(共役ジエン)ブロックと相溶性のある樹脂は、相溶性のあるC炭化水素樹脂、水素化C炭化水素樹脂、スチレン化C樹脂、C/C樹脂、スチレン化テルペン樹脂、完全に水素化したまたは部分的に水素化したC炭化水素樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。これらの樹脂は、例えば商標「REGALITE」、「REGALREZ」、「ESCOREZ」、「OPPERA」、「WINGTACK」および「ARKON」で販売されている。
【0076】
結合強度、接着性および最高使用温度(室温を超える負荷の下での流れ抵抗)の改善が望ましい場合、特に各接着表面が無孔である場合、ヒドロカルビル−フェノールおよびホルムアルデヒド樹脂などの極性樹脂、またはアミノ化合物およびアルデヒドの生成物である樹脂を組成物に入れることがしばしば好ましい。ヒドロカルビル−フェノールの例は、オクチル、アミルおよび第三ブチルフェノール、ならびにパラ−クレゾールである。アミノ化合物の例は、尿素およびメラミンである。アルデヒドの例は、ホルムアルデヒドである。熱反応性ヒドロカルビル−フェノール樹脂が使用される場合、酸化マグネシウムなどの改変剤を使用することが好ましい。使用される酸化マグネシウムの量は、組成物中のハイブリッドブロックコポリマー100重量部当たり、例えば最大20重量部、好ましくは1から10重量部の範囲であってよい。酸化マグネシウム:樹脂の重量比は、適切には1:100から50:100の範囲であってよく、好ましくは5:100から40:100の範囲、特に5:100から25:100の範囲である。結合強度の大きな改善は、ベースブロックコポリマーおよび/または樹脂のいずれかが、それ自体または互いに反応できる場合に得られる。ハイブリッドブロックコポリマーを、接着剤を塗布する前に樹脂と予め反応させて、溶媒系組成物の相溶性および保存安定性を改善することができる。反応は、化学結合が形成されることを意味する。化学結合には、それに限定されるものではないが、共有結合、イオン結合および水素結合が含まれる。例えば、アミノ樹脂および無水物基を含有するベースポリマーを含むコンタクト接着剤が調製され、したがってアミドまたはイミド共有結合が、樹脂とポリマーの間に形成される。例えば、酸化金属または酸の金属塩などの金属誘導体、酸およびまたは無水物基を含有するベースポリマー、ならびに酸またはフェノール基を有する樹脂を含むコンタクト接着剤が調製される。金属誘導体の例には、それに限定されるものではないが、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、酢酸亜鉛、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド等が含まれる。金属誘導体は、ベースポリマー上の無水物もしくは酸基と、または樹脂上の酸もしくはフェノール基とイオン結合を形成できなければならない。金属誘導体には、それに限定されるものではないが、元素周期表のIA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIBおよびVIII族の正価イオンを含有する化合物が含まれる。これらの金属イオンは、錯体であっても錯体でなくてもよく、単独でまたは任意のそれらの混合物で使用することができる。適切な一価の金属イオンは、中でもNa+、K+、Li+である。適切な二価の金属イオンは、中でもMg++、Ca++、Zn++である。適切な三価の金属イオンは、中でもAl+++、Sc+++である。好ましい化合物は、先に言及した金属イオンの水酸化物、酸化物、アルコラート、カルボン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、メトキシド、エトキシド、硝酸塩、炭酸塩および重炭酸塩である。概して、金属イオンのより完全な一覧については、その開示を参照により本明細書に組み込む、米国特許第5,516,831号、カラム6、8−22行目を参照のこと。
【0077】
コンタクト接着剤組成物は、10から70重量%、好ましくは15から55重量%、より好ましくは20から50重量%の総固体含量を有することができる(ブロックコポリマーはクロロプレンよりも低い粘度を有することになり、したがってより高い固体含量で使用できることに留意されたい。)。
【0078】
溶媒系接着剤、封止剤およびコーティング
本発明の一態様では、本発明者らは、少なくとも1つのハイブリッドブロックコポリマーを100重量部、少なくとも1つの増粘樹脂を25から300重量部、エキステンダー油および溶媒または溶媒混合物を0から200重量部含む新規な接着剤組成物を発見した。
【0079】
本発明の接着剤および封止剤に使用される成分の1つは、増粘樹脂である。増粘樹脂は、ポリスチレンブロックと相溶性のある樹脂および中間ブロックと相溶性のある樹脂の両方を含む。ポリスチレンブロックと相溶性のある樹脂は、クマロン−インデン樹脂、ポリインデン樹脂、ポリ(メチルインデン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ビニルトルエン−αメチルスチレン樹脂、αメチルスチレン樹脂およびポリフェニレンエーテル、特にポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)からなる群から選択することができる。かかる樹脂は、例えば商標「HERCURES」、「ENDEX」、「KRISTALEX」、「NEVCHEM」および「PICCOTEX」で販売されている。水素化(中間)ブロックと相溶性のある樹脂は、相溶性のあるC炭化水素樹脂、水素化C炭化水素樹脂、スチレン化C樹脂、C/C樹脂、スチレン化テルペン樹脂、完全に水素化したまたは部分的に水素化したC炭化水素樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択することができる。これらの樹脂は、例えば商標「REGALITE」、「REGALREZ」、「ESCOREZ」、「WINGTACK」および「ARKON」で販売されている。
【0080】
本発明の接着剤および封止剤に使用される成分の別の1つは、ポリマーのエキステンダー油または可塑剤である。特に好ましいのは、ブロックコポリマーのエラストマーセグメントと相溶性のある種類の油である。芳香族含量がより高い油でも満足であるが、低揮発性であり、50%未満の芳香族含量を有するこれらの石油系白色油が好ましい。かかる油には、パラフィン油およびナフタレン油の両方が含まれる。油はさらに、低揮発性を有し、好ましくは約500°Fを超える初留点を有するべきである。
【0081】
本発明で使用できる代替可塑剤の例は、ランダムまたは逐次重合化スチレンおよび共役ジエン、ブタジエンまたはイソプレンなどの共役ジエンのオリゴマー、液体ポリブテン−1、ならびにエチレン−プロピレン−ジエンゴムであり、全て300から35,000mol重量の範囲、好ましくは約25,000mol重量未満の重量平均分子量を有する。使用される油または可塑剤の量は、ゴムまたはブロックコポリマー100重量部当たり約0から約300重量部、好ましくは約20から約150重量部で変わる。
【0082】
接着剤は、粘着性、剥離性、せん断および粘性の満足な平衡を付与するように配合される。様々な種類の充填剤および顔料を、接着剤配合物に入れて、接着剤を着色し、費用を低減することができる。適切な充填剤には、炭酸カルシウム、粘度、タルク、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン等が含まれる。充填剤の量は通常、使用する充填剤の種類および接着剤が企図される用途に応じて、配合物の溶媒を含まない部分に対して0から30重量%の範囲である。特に好ましい充填剤は、二酸化チタンである。
【0083】
接着剤が溶媒溶液から適用されるべき場合、配合物の有機部分は、溶媒または溶媒のブレンドに溶解することになる。トルエン、キシレンまたはShell Cyclo Sol 53などの芳香族炭化水素溶媒が適切である。ヘキサン、ナフサまたはミネラルスピリットなどの脂肪族炭化水素溶媒も使用できる。所望に応じて、炭化水素溶媒と極性溶媒からなる溶媒ブレンドを使用することができる。適切な極性溶媒には、酢酸イソプロピルなどのエステル、メチルイソブチルケトンなどのケトン、イソプロピルアルコールなどのアルコールが含まれる。使用される極性溶媒の量は、選択される特定の極性溶媒および配合物に使用される特定のポリマーの構造に依存して決まる。通常、使用される極性溶媒の量は、溶媒ブレンド中0%wtおよび50%wtの間である。
【0084】
本発明の組成物は、本発明の範囲から逸脱しない他のポリマー、油、充填剤、強化剤、抗酸化剤、安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、潤滑剤、ならびに他のゴムおよびプラスチック配合成分の添加によって、さらに改変することができる。かかる成分は、その開示を参照により組み込む米国特許第3,239,478号および米国特許第5,777,043号を含む様々な特許文献に開示されている。
【0085】
本発明の組成物は、多種多様な使用および適用に合わせて設計することができる。それらは、紙、板紙、木、金属ホイル、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、セロファン、フェルト、織布、非織布、ガラス等に、かかる材料の2つ以上を一緒に結合するために塗布することができる。接着剤は、マスキングテープなどの感圧テープ、接着シート、他の接着剤用の下塗り、接着テープ、メンディングテープ、電気絶縁テープ、積層、ホットメルト接着剤、マスチック、セメント、コーキング化合物、結合剤、封止剤、粘着遅延接着剤、接着格子(lattice)、カーペット裏地、セメント等に有用である。
【0086】
様々な成分の相対的な量に関して、これは、特定の最終使用およびその特定の最終使用のために選択される特定のブロックコポリマーに部分的に依存することになる。以下の表Aは、本発明に含まれる幾つかの概念上の組成物を示す。
【0087】
【表3】

【0088】
エポキシ、ウレタンおよびメラミン
本発明のハイブリッドブロックコポリマーは、ベースポリマーを、エポキシまたはイソシアネート官能基を含有するモノマーおよび樹脂、または活性なメチロール官能基を含有するアミノ樹脂と反応させることによって調製できる。例えば、ベースブロックコポリマーおよびエポキシ樹脂、イソシアネート、または樹脂がベースポリマーの無水物および/または酸基と反応したアミノ樹脂を含む接着剤組成物またはコーティング組成物を調製することができる。これらの樹脂と反応した本発明のハイブリッドブロックコポリマーは、木、コンクリート、金属、ならびにプラスチック基材上での、接着剤としてまたは保護および装飾コーティングとしての使用が期待されている。様々な成分の相対的な量は、特定の使用に依存して決まることになるが、一般に、ブロックコポリマー対樹脂またはモノマーの比は、1:20から20:1、より好ましくは1:10から10:1で変わり得る。溶媒系接着剤に対して先の部分に開示した増粘樹脂、油、可塑剤、充填剤、強化剤、抗酸化剤、安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤および潤滑剤を含む追加の成分を配合物に添加することもできる。
【0089】
アクリル感圧接着剤
本発明のアクリル感圧接着剤ポリマーは、特定の官能化ブロックコポリマーでグラフトしたアクリルポリマー主鎖を含むゴム−アクリルポリマーである。感圧アクリル接着剤は一般に、溶液およびエマルション重合によって製造される。より具体的には、本発明の実施における使用を企図したアクリルポリマー主鎖は、1つまたは複数の低Tgアルキルアクリレートのアクリレートモノマーから形成される。低い遷移温度のモノマーは、約0℃未満のTgを有するものである。本発明を実施するために使用できる好ましいアルキルアクリレートは、アルキル基において最大約18個の炭素原子、好ましくはアルキル基において約4個から約10個の炭素原子を有する。本発明で使用するためのアルキルアクリレートには、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、それらの異性体およびそれらの組合せが含まれる。本発明で使用するための好ましいアルキルアクリレートは、2−エチルヘキシルアクリレートである。
【0090】
アクリル主鎖ポリマーを生成するために使用されるモノマー系は、低いTgのアルキルアクリレートエステルモノマーのみをベースにすることができるが、好ましくは、高いTgのモノマーおよび/または官能性コモノマー、特にカルボキシ含有官能性モノマー、および/またはさらにより好ましくは、ヒドロキシ含有官能性モノマーを含むことによって改変される。
【0091】
存在することができる、幾つかの実施形態で好ましくは存在する高いTgのモノマー成分には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレートおよび/または酢酸ビニルが含まれる。高いTgのモノマーは、ハイブリッドポリマーの総重量に対して最大約50重量%、好ましくは約5から約50重量%、さらにより好ましくは約10から約40重量%の総量で存在することができる。
【0092】
アクリル主鎖ポリマーはまた、1つまたは複数の官能性モノマーを含むことができる。好ましいのは、カルボキシおよび/またはヒドロキシ官能性モノマーである。これは、官能化ブロックコポリマーを生成するためにベースポリマーに添加することができ、またはベースポリマーを個別に添加することができ、官能性モノマーにアクリルモノマーを添加することができる。
【0093】
カルボキシ官能性モノマーは一般に、モノマーの総重量に対して最大約7重量%、より一般的には約1から約5重量%の量で、ハイブリッドポリマー中に存在することになる。有用なカルボン酸は、好ましくは約3個から約5個の炭素原子を含有し、それには、中でもアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等が含まれる。アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物が好ましい。
【0094】
特に好ましい一実施形態では、アクリル主鎖は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートエステルなどのヒドロキシ官能性モノマーを含み、本発明の主鎖を形成するために使用されるアクリルポリマーは、好ましくはアクリル酸エステル/ヒドロキシ(メタ)アルキルエステルコポリマーである。ヒドロキシ官能性モノマーの具体的な例には、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレートが含まれる。ヒドロキシ官能性モノマーは一般に、約1から約10%、好ましくは約3から約7%の量で使用される。
【0095】
他のコモノマーを使用してアクリルポリマーのTgを改変し、様々な表面への接着性をさらに強化し、および/または高温でのせん断特性をさらに強化することができる。かかるコモノマーには、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、t−オクチルアクリルアミド、シアノエチルアクリレート、ジアセトンアクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、グリシジルメタクリレートなどのN−アルキル(メタ)アクリルアミド、ならびにアリルグリシジルエーテル、メチルメタクリレート、アクリロニトリルおよびスチレンが含まれる。
【0096】
アクリルポリマーのモノマーの割合は、主鎖ポリマーが、約−10℃未満、好ましくは約−20℃から約−60℃のガラス転移温度を有するような方法で調節される。
【0097】
好ましい感圧接着剤組成物は、好ましくは化学的架橋剤を使用して架橋される。アルミニウムおよびチタン架橋剤の使用は、本発明を実施するために用いることができるが、チタン含有金属アルコキシド架橋剤の使用は高温性能に必要であり、それはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートエステルの好ましい架橋剤であることが発見されている。チタン架橋剤の使用は、最終製品に黄色がかった色を付与するが、多くの用途について殆ど問題にならない。架橋剤は一般に、ハイブリッドポリマーの約0.3%から約2重量%の量で添加される。
【0098】
本発明の感圧接着剤組成物は、好ましくは増粘される。ハイブリッドポリマーのアクリルおよびゴム成分は、固体状態のミクロ相分離構造を形成すると考えられている。このことへの支持は、接着剤組成物の動的機械分析によって明らかとなる2つの異なるガラス転移温度の出現に由来する。これらの組成物に有用な増粘樹脂は、マクロマ相と相溶性がある。アクリル相と相溶性のある増粘剤は、当然のことながら、任意のアクリルポリマーと併用することができ、本発明のハイブリッドポリマーも例外ではない。しかしかかる増粘剤は、一般に天然ロジンに由来し、低い経時特性に関連する。本発明の一目的は、これらの問題を克服することである。したがって好ましい増粘剤は、石油に由来する合成炭化水素樹脂である。ゴム相会合性(associating)樹脂の非限定的な例には、GoodyearからWingtack(登録商標)で入手可能なもの、およびExxon製のEscorez(登録商標)1300シリーズなどの脂肪族オレフィンに由来する樹脂が含まれる。この種類において一般的なC5増粘樹脂は、約95℃の軟化点を有する、ピペリレンおよび2−メチル−2−ブテンのジエン−オレフィンコポリマーである。この樹脂は、商標Wingtack 95で市販されている。樹脂は通常、ASTM法E28によって測定して、約20℃および150℃の間の環境法による軟化点を有する。ExxonからEscorez 2000シリーズで入手できるC9芳香族/脂肪族オレフィンに由来する樹脂も有用である。水素化炭化水素樹脂は、酸化および紫外光曝露に対する長期的な耐性が必要とされる場合に特に有用である。これらの水素化樹脂には、Exxon製の水素化シクロ脂肪族樹脂のEscorez 5000シリーズなどの樹脂、Arakawa Chemical製の樹脂のArkon(登録商標)Pシリーズなどの水素化C9および/またはC5樹脂、Hercules Specialty Chemicals製の樹脂のRegalrez(登録商標)1018、1085およびRegalite(登録商標)Rシリーズなどの水素化芳香族炭化水素樹脂が含まれる。他の有用な樹脂には、日本の安原油脂工業製のClearon(登録商標)P−105、P−115およびP−125などの水素化ポリテルペンが含まれる。
【0099】
増粘樹脂は通常、接着剤組成物の5から50重量%の濃度、好ましくは接着剤組成物の約10から40重量%の濃度で存在することになる。
【0100】
配合済み接着剤は、賦形剤、希釈剤、軟化剤、可塑剤、抗酸化剤、抗刺激剤、乳白剤、粘土およびシリカなどの充填剤、顔料、ならびにそれらの混合物、保存剤、ならびに他の成分または添加剤を含むことができる。
【0101】
本発明の感圧接着剤は、それに限定されるものではないが、工業用テープおよび転写フィルムを含む接着剤用品の製造に有利に使用することができる。接着剤用品は、広範な温度範囲にわたって有用であり、改善されたUV耐性を有し、ポリオレフィン、例えばポリエチレンおよびポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、エチレン酢酸ビニル、アセタール、ポリスチレン、粉末コーティング済塗料などの低エネルギー表面を含む多種多様な基材に接着する。片面および両面テープ、ならびに支持および非支持フリーフィルムが本発明に包含される。それに限定されるものではないが、ラベル、デカール(decal)、ネームプレート、装飾および反射材料、再密封できる留め具、盗難防止および偽造防止装置も含まれる。
【0102】
一実施形態では、接着剤用品は、第1および第2の主な表面を有する裏打ちの、少なくとも1つの主な表面上にコーティングされる接着剤を含む。有用な裏打ち基材には、それに限定されるものではないが、発泡、金属、織布、ならびにポリプロピレン、ポリアミドおよびポリエステルなどの様々なポリマーフィルムが含まれる。接着剤は、裏打ちの一方または両方の表面上に存在することができる。接着剤が、裏打ちの両方の表面上にコーティングされる場合、各表面上の接着剤は、同じでも異なっていてもよい。
【0103】
構造用アクリル接着剤
構造用アクリル接着剤は、多種多様な基材を結合することが周知である。これらは、費用、審美性および騒音の低減を含む幾つかの理由により、機械的接合法の一代替として使用される。開示の構造用接着剤組成物は、少なくとも2つの成分を含む。組成物の第1のまたはモノマー成分は、メタクリレートエステルモノマー、追加のモノマーおよび少なくとも1つのエラストマー材料を含む幾つかの副成分を有することができる。モノマー成分は、中でも接着促進剤、架橋ゴム、第3級アミン開始剤、阻害剤、オープンタイム促進剤、チキソトロピック剤、抗酸化剤、可塑剤、タルクおよび凝集破壊状態(mode)促進剤を含むこともできる。組成物の第2のまたは触媒成分は、重合触媒を含む。
【0104】
メタクリレートエステルモノマーには、エステル基のアルコール部分が1個から8個の炭素原子を含有するものが含まれる。かかるエステルモノマーの例は、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロ−10ヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレートおよびそれらの混合物である。メタクリレートエステルモノマーは、テトラヒドロフルフリルおよびヒドロキシエチルエステルなどの揮発性が低い単官能性メタクリレートも含む。好ましいエステルモノマーは、MMA、テトラヒドロフルフリルメタクリレートおよびラウリルメタクリレートである。
【0105】
メタクリレートエステルモノマーと組み合わせて使用できるさらなるモノマーは、エステルのアルコール分が1個から8個の炭素原子を含有するアクリレートエステルであり、その例は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートである。他の有用なモノマーは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ビニルトルエン等である。
【0106】
メタクリレートエステルモノマーと組み合わせて使用できる他のさらなるモノマーは、重合可能なエチレン性不飽和モノまたはポリカルボン酸である。アクリル酸、メタクリル酸(MAA)、イソフタル酸(EPA)、クロトン酸、マレイン酸およびフマル酸が、かかる酸の例である。好ましい酸は、MAAまたはIPAである。
【0107】
これらの構造用接着剤組成物に使用されるエラストマー材料は、本発明のハイブリッドブロックコポリマーである。好ましくは、ハイブリッドブロックコポリマーは、無水物および酸基を有するベースブロックコポリマーと、ベースポリマーの無水物または酸基と反応する官能基およびフリーラジカル法において構造用接着剤のモノマー成分と反応することになる官能基の両方を含有する多官能性モノマーとの反応生成物である。後者の官能基は、好ましくはアクリレートまたはメタクリレート二重結合である。多官能性モノマーの例には、それに限定されるものではないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートが含まれる。
【0108】
第3級アミン開始剤は、メタクリレートエステルモノマーと重合触媒の反応を促進する一助となり、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルトルイジン(DMT)、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチルトルイジン、N,N−ビス[ジヒドロキシエチル]−p−トルイジン、N,N−ビス[ジヒドロキシプロピル]−p−トルイジン等から選択される。
【0109】
モノマー成分の副成分の添加には任意の順が利用できるが、好ましい順は以下の通りである。エラストマー溶液(複数可)に対して、存在する場合には、凝集破壊状態促進溶液を添加する。次いで、残りの純粋なメタクリレートエステルモノマーを添加し、その後可塑剤、接着促進剤、オープンタイム促進剤、抗酸化剤、阻害剤、追加のモノマー、および第3級アミン開始剤を添加する。全ての副成分が各モノマー成分に含まれる必要はない。含んだ副成分を、混合する。次に、混合速度を徐々に上げながら、タルク、架橋ゴムを添加する。次に、チキソトロピック剤を添加し、混合し続ける。混合機を止め、混合物を静置する。チキソトロピック剤を確実に適切に活性化し、架橋ゴムを確実に完全に膨張させるために、混合物を繰返し混合し、静置することができる。それを静置した後、混合物を混合して、均一な粘稠度を作り出す。最後に混合物を真空下で混合して、任意の封入された空気を除去する。一般に、メタクリレートエステルモノマーの量を増大して、真空適用に起因する喪失を相殺することができる。
【0110】
組成物の触媒成分は、重合触媒である。適切な触媒は、モノマー成分の重合を誘発するフリーラジカル発生剤を含む。かかる触媒は、過酸化物、ヒドロペルオキシド、パーエステルおよび過酸である。これらの触媒の例は、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ジクミル、過酸化酢酸第3ブチル、過安息香酸第3ブチル、ジ第3ブチルアゾジイソブチロニトリル等である。放射エネルギー、例えば紫外光および熱を、触媒として使用することもできる。好ましい触媒は、無水過酸化ベンゾイル18wt%のペーストである。
【0111】
エラストマーの全含量は、靭性および可撓性を確実にするために5−50%にする。ハイブリッドポリマーを他のエラストマーと組み合わせて、エラストマーの全含量を構成することができる。好ましくは、ハイブリッドポリマーは、低粘度を確実にするために5−20%で添加される。
【0112】
アクリル封止剤およびコーティング
アクリル封止剤およびコーティングは、本発明のエラストマーブロックコポリマー、アクリル酸エステルおよび可撓性を付与するモノマーを含む。一般に、メチルメタクリレート、酢酸ビニルおよびメチルアクリレートなどの硬質アクリル酸エステルは、ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートを含む可撓性を付与するモノマーと組み合わせて使用される。
【0113】
放射線硬化接着剤、封止剤、コーティングおよび印刷版
本発明のベースポリマーは、ベースポリマーの無水物または酸基と反応する官能基および放射硬化可能な官能基、例えばアクリル、エポキシまたはチオール部分の両方を含有するモノマーとの反応によって、放射線硬化可能なポリマーに容易に変換することができる。かかるモノマーの例には、それに限定されるものではないが、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルメタクリレートが含まれる。これらの反応生成物は、溶液、ホットメルトから、および水系分散液の両方から接着剤、封止剤、コーティングおよび印刷版を配合するために使用することができる、放射線硬化可能なハイブリッドブロックポリマーである。これらは、配合物中の主な成分として使用することができ、または配合物中の添加剤として使用することができる。該配合物は、それらが放射後に反応する開始剤も含有すること、ならびに放射線によって開始する化学反応を介して反応する他のモノマー、油、樹脂およびポリマーを含有し得るということを除き、非放射線硬化性の接着剤、封止剤およびコーティングと類似している。
【0114】
UV硬化では、例えば光開始剤を配合物に入れる。電子ビーム硬化を使用することも可能である。また、ジおよびトリアクリレートなどの多官能性モノマーを配合物に添加して、硬化を改善し加速することができる。例えば、アクリル官能基を有するハイブリッドポリマーを、アクリルモノマーおよび開始剤と混合し、接着剤、封止剤、コーティングまたは印刷版に加工し、次いで放射線によって硬化させることができる。放射線硬化可能なハイブリッドポリマーは、光開始剤、場合によって多官能性アクリルモノマー、場合によって非水素化および選択的水素化スチレンブロックコポリマーなどの他の放射線硬化可能なモノマーおよびポリマー、場合によって液体ポリブタジエンおよびポリイソプレン油などの他の放射線可能な可塑剤および樹脂、場合によって溶媒系接着剤に対して先の部分に開示した増粘樹脂、油、可塑剤、充填剤、強化剤、抗酸化剤、安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤および潤滑剤などの他の配合成分と組み合わされる。
【0115】
溶融方法および水系方法
溶融状態で各方法を実施し、したがって費用のかかる溶媒または水の除去ステップが回避され得ることがしばしば望ましい。本発明のハイブリッドポリマーは、当技術分野で周知の方法によって、溶媒、水系エマルションおよび分散液、ならびに溶融法で調製することができる。例えば、反応性官能基を有するアクリルコポリマーは、酸または無水物基を有するベースブロックコポリマーと、接着剤、封止剤またはコーティングの調製の前またはその間に、バッチミキサーまたは押出機内で混合することができる。他の配合成分は、混合過程中に存在し、または添加することができる。例えば、アクリルもしくはエポキシモノマーまたはメラミン樹脂または金属誘導体は、酸または無水物基を有するベースブロックコポリマーと、バッチミキサーまたは押出機内で反応することができる。酸または無水物基を有するベースブロックコポリマーを形成するための、出発ブロックコポリマーとTBMAエンドブロックの反応は、反応性モノマー、樹脂または金属誘導体との反応が生じる同じ溶融過程ステップで実施することができる。
【0116】
水系方法も、溶媒の放出に対する環境的な制限から、また水系エマルションおよび分散液が低粘度を有することから興味深いものである。酸または無水物基を有するベースブロックコポリマーは、反応性モノマーまたは樹脂または金属誘導体に添加することができ、この混合物を水に分散または乳化させ、その結果、水系中で、または水系生成物の適用およびさらなる処理後に、ハイブリッドブロックコポリマーが形成される。あるいはハイブリッドブロックコポリマーを調製し、次いで配合することができ、この配合物を、水に分散または乳化させることができる。
【実施例】
【0117】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。実施例は本発明の範囲を制限するものではなく、それらはそのように解釈されるべきではない。量は、別段の指定がない限り重量部または重量パーセントである。
【0118】
実施例1
ブロックコポリマーの調製:ポリマー#1、ポリマー#2、ポリマー#3
ポリマー#1を、シクロヘキサン90%およびジエチルエーテル10%を含む溶媒混合物中で重合した。スチレンを、ステップIの反応器中で重合し、リビングポリマーを、ステップIIの反応器に移して、ブタジエンに次いでtert−ブチルメタクリレート(「TBMA」)を逐次重合した。重合をメタノールで終了させた。TBMA1.61kgおよび全モノマー37.5kgを、標的ポリマーTBMA含量が4.3%wtになるように充填した。ポリスチレン相当物のピーク分子量を、UV検出器を備えたGPCによって、スチレン重合後の7,054、BD重合後の122,425、ならびにTBMA重合後の127,043の分子量を有する材料67%および250,264の分子量を有する種33%の混合物の各段階で特徴付けた。反応混合物を、TBMA重合後にNMRによって分析し、検出限界以内で未反応モノマーを含有しないことが示された。ポリマーを、コバルト触媒で水素化し、希リン酸で洗浄し、アンモニアで中和し、0.1%のIrganox 1010で安定化した。水素化ポリマーセメントを、NMRによって分析した。水素化ポリマーは、スチレン9.5%、残りの不飽和0.12meq/gmおよび1,2BD含量39.6%を含有していた。S−EB−TBMAポリマーを、サイクロン仕上げ(cyclone finishing)によって回収し、空気循環オーブン中で乾燥させた。
【0119】
ポリマー#2を、シクロヘキサン90%/ジエチルエーテル10%の溶媒中で重合した。スチレンを、ステップIの反応器中で重合し、リビングポリマーを、ステップIIの反応器に移して、ブタジエンに次いでTBMAを逐次重合した。重合をメタノールで終了させた。TBMA3.08kgおよび全モノマー37.5kgを、標的ポリマーTBMA含量が8.2%wtになるように充填した。ポリスチレン相当物のピーク分子量を、UV検出器を備えたGPCによって、スチレン重合後の7,117、BD重合後の127,360、ならびにTBMA重合後の130,562の分子量を有する材料66%および256,135の分子量を有する種34%の混合物の各段階で特徴付けた。反応混合物を、TBMA重合後にNMRによって分析し、検出限界以内で未反応モノマーを含有しないことが示された。ポリマーを、コバルト触媒で水素化し、希リン酸で洗浄し、アンモニアで中和し、0.1%のIrganox 1010で安定化した。水素化ポリマーセメントを、NMRによって分析した。水素化ポリマーは、スチレン9.2%、残りの不飽和0.20meq/gmおよび1,2BD含量39.5%を含有していた。S−EB−TBMAポリマーを、サイクロン仕上げによって回収し、空気循環オーブン中で乾燥させた。
【0120】
ポリマー#3は、シクロヘキサン90%/ジエチルエーテル10%中、ブタジエン30kgに次いでTBMA7.5kgを逐次重合することによって調製した。重合をメタノールで終了させた。標的ポリマーTBMA含量は20%であった。ポリスチレン相当物のピーク分子量を、屈折率検出器を備えたGPCによって、BD重合後の113,106ならびにTBMA重合後の116,479の分子量を有する材料62%および226,980の分子量を有する種38%の混合物の各段階で特徴付けた。ポリマーを、コバルト触媒で水素化し、希リン酸で洗浄し、アンモニアで中和し、0.1%のIrganox 1010で安定化した。EB−TBMAポリマーを、温水凝固によって回収した。
【0121】
ブロックコポリマーの無水物形態への変換
ポリマーを、Berstoff 25mmの二軸共回転(co−rotating)押出機で押し出すことによって、無水物/酸に変換した。2つの例を以下に示す。
【0122】
【表4】

【0123】
IR分光法は、S−EB−MAAnポリマーがTBMAエステルからTBMA無水物形態に実質的に変換したことを示した。ポリマー#1は、エステル基に特徴的な約1726cm−1のIR吸収ピークを有する。押出後、ポリマー#1Aおよびポリマー#1Bは、1726cm−1では実質的にピークをもたず、約1800cm−1および1760cm−1でIR吸収ピークを有する。これらは、無水物基に特徴的なピークである。
【0124】
実施例1a
ポリマー#4は、6,695のポリスチレンブロック分子量を有するS−EB−TBMAトリブロックコポリマーである(分子量は、実施例1の方法に従って測定し、ポリスチレン相当物におけるピーク分子量は、GPCによって特徴付けられる)。S−EBブロック分子量は99,184であり、TBMAを有する全ての分子のピーク分子量は102,800である。TBMA含量は約13wt%であり、ポリスチレン含量は9wt%である。GPC分析は、TBMA重合後に分子量250,264を有する種31%を明らかにした。
【0125】
予測実施例2
強化エポキシ組成物
190のエポキシド当量を有する芳香族エポキシ樹脂であるビスフェノールAのジグリシジルエーテル(Hexion製Epon 828)270グラムを、400mlのビーカー中、ホットプレート上で130℃に加熱する。S−EB−MAAn(押出ポリマー#2)30グラムを、Silverson Model L2Air高せん断ミキサーを使用して混合する。ポリマーを樹脂と混合した後、温度を190℃に上昇させ、混合を30分間継続する。室温におけるこのゴム改変エポキシ樹脂は、濁った濃い液体である。
【0126】
ゴム改変エポキシ樹脂90グラムを、トルエン10グラムと混合する。これを、アミン当量200を有する脂肪族ポリアミン付加物(Hexion製Curing Agent C111)130グラムと混合する。組成物を鋼製パネル上にコーティングする。室温で1週間硬化させた後、組成物は、良好な衝撃耐性を有するコーティングとなる。
【0127】
予測実施例3
周囲環境で硬化するウレタン組成物
酸当量1670を有するS−EB−MAA(押出ポリマー#2+大気中水分)16.7グラムを、トルエン150グラム(固体10%w)に溶解する。NCO当量405を有する芳香族ポリイソシアネート(Bayer製Mondur CB−60)4.05グラムを添加し、NCO/COOHが1/1の組成物を生成する。撹拌機で1時間混合した後、組成物を鋼製パネル上にコーティングする。室温で1週間硬化させた後、組成物はポリウレタンコーティングとなる。
【0128】
酸当量1670を有するS−EB−MAA(押出ポリマー#2+大気中水分)16.7グラムを、トルエン150グラム(固体10%w)に溶解する。NCO当量365を有する脂肪族ポリイソシアネート(Degussa製Vestanat T 1890L)3.65グラムを添加し、NCO/COOHが1/1の組成物を生成し、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)0.2グラムを添加する。撹拌機で1時間混合した後、組成物を鋼製パネル上にコーティングする。室温で1週間硬化させた後、組成物はポリウレタンコーティングとなる。
【0129】
酸当量1670を有するS−EB−MAA(押出ポリマー#2+大気中水分)16.7グラムを、トルエン150グラム(固体10%w)に溶解する。NCO当量365を有する脂肪族ポリイソシアネート(Vestanat T 1890L)10.95グラムを添加し、NCO/COOHが3/1の組成物を生成し、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)0.6グラムを添加する。撹拌機で1時間混合した後、組成物を鋼製パネル上にコーティングする。室温で1週間硬化させた後、組成物はポリウレタン/ポリ尿素コーティングとなる。
【0130】
予測実施例4
焼成によって硬化する組成物
酸当量1670を有するS−EB−MAA(押出ポリマー#2+大気中水分)16.7グラムを、トルエン150グラム(固体10%w)に溶解する。NCO当量930を有するブロック化脂肪族ポリイソシアネート(Bayer製Desmodur BL−1260A)9.3グラムを添加し、NCO/COOHが1/1の組成物を生成し、ジラウリン酸ジブチルスズ(DBTDL)0.2グラムを添加する。撹拌機で1時間混合した後、組成物を鋼製パネル上にコーティングする。コーティングしたパネルを160℃で20分間焼成して、ポリウレタンコーティングとなる組成物を得る。
【0131】
S−EB−MAA(押出ポリマー#2)9.0グラムを、トルエン90グラム(固体10%w)に溶解する。ヘキサメトキシメラミン樹脂(Cytec製Cymel 303)1.0グラムおよびドデシルベンゼンスルホン酸(Cytec製Cycat 600)0.02グラムを添加する。撹拌機で1時間混合した後、組成物を鋼製パネル上にコーティングする。コーティングしたパネルを190℃で10分間焼成して、メラミン硬化コーティングとなる組成物を得る。
【0132】
予測実施例5
コンタクト接着剤
S−EB−MAA(押出ポリマー#1+大気中水分)100グラムを、実験室用ローラーミキサーを用いて瓶中で混合することによって、以下の配合物に添加する。
【0133】
【表5】

【0134】
(a)酸化マグネシウムおよびAlAcAcを、マスターバッチとして、即ちトルエン中10%の固体分散液として配合物に添加する。酸化マグネシウムおよびAlAcAcなどの無機固体を含有する配合物をさらに均質化することによって、最高の結果が得られる。これは、Silverson Model L2Air高せん断ミキサー、Jiffy Mixer Co.製のものなどの縦と横の刃を備えたミキサー、および塗料を均質化するために使用されるさらに簡単なプロペラミキサーなどのミキサーで達成することができる。
【0135】
ここで、Schenectady SP−154は、SI Groupによって供給されている、約80℃の溶融点を有する混合アルキルフェノール熱反応性樹脂であり、Cymel 303は、Cytecによって供給されているヘキサメトキシメラミン樹脂である。Cycat 600は、Cytecから供給されているドデシルベンゼンスルホン酸である。Picco 5140は、Eastmanによって供給されている141℃の軟化点を有する芳香族樹脂である。Pentalyn HEは、Eastmanによって供給されている水素化ロジンのエステルである。SA120Mは、General Electricによって供給されている低分子量ポリフェニレンエーテルである。
【0136】
これらの組成物を、パーティクルボードおよびラミネート(Formica)の試験基材上に、乾燥コーティング重量約2.5gm/ftでコーティングする。これらを、2回のコーティングでキャンバス上にもコーティングして、均一なコーティングを生成する。コーティングされた基材およびキャンバスを静置して、24時間乾燥させた後、第2のコーティングをキャンバス上に結合させ、または置く。コーティングした基材およびキャンバスを乾燥させた後、これらを、Carverプレスを用いて35psiおよび160℃で一緒に圧縮して、180°剥離サンプル(キャンバス対パーティクルボード)およびパーティクルボード対ラミネートのラップせん断強度サンプルを形成する。これらの溶媒系コンタクト接着剤配合物は、低粘度、様々な基材に対する良好な接着性および高温での良好な結合強度を示す。
【0137】
予測実施例実施例6−マクロモノマーの調製
反応は、電動撹拌機、水コンデンサー(water condenser)および窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。予め無水物/酸の形態に定量的に変換した量のS−EB−TBMA(実施例1参照)をトルエンに溶解して、10wt%溶液を得た。このポリマー溶液に、グリシジルメタクリレート(「GMA」)およびトリ−イソブチルアミンを触媒として添加した。最初のサンプルをNMR分析のために取り出した。
【0138】
次いで、反応混合物を加熱還流し(約100℃)、窒素流の下で1時間撹拌した。周囲温度に冷却した後、第2のサンプルをNMR分析のために取り出した。未反応エポキシ対開いたエポキシの比を、反応収率の測度として使用した。収率を、プロトンNMRを使用して決定した。マクロモノマーを任意の未反応GMAから単離し、精製することができた。しかし未精製マクロモノマーは、ハイブリッド接着剤を形成するために、他のアクリルモノマーとの共重合に直接使用することができる。任意の未反応GMAは、実施例7の次のステップで概説する通り共重合することになる。
【0139】
予測実施例7−マクロモノマーとアクリルモノマーの共重合によるハイブリッドアクリル感圧接着剤の調製
反応は、先の実施例6に記載の通りのマクロモノマーを入れた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。2−エチルヘキシルアクリレート、酢酸エチルおよびヘキサンを、既存のマクロモノマー/トルエン溶液に添加した。次いで、ヘキサンに溶解した2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を添加した。反応混合物を徐々に加熱還流し、2時間撹拌した。冷却後、反応混合物をメタノール中で沈殿させて、任意の未反応モノマーを取り出す一助にした。得られた固体コポリマーは、粘着質の白色固体であった。
【0140】
実施例6a−マクロモノマーの調製
反応は、電動撹拌機、水コンデンサーおよび窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。ブロックコポリマーポリマー#4(押出機中で変換した無水物形態)1.0グラム、2−ヒドロキシエチルアクリレート3.0グラム、シクロヘキサン11.0gおよび酢酸エチル3.0gを組み合わせ、室温で撹拌してブロックコポリマーを溶解した。温度を約80℃(還流点)に上昇させ、反応混合物を4時間撹拌した。FT−IRによって、1705cm−1のカルボン酸のバンドの成長により、2HEAモノマーの幾らかの付加が明らかであることを確認した。
【0141】
実施例7a−マクロモノマーとアクリルモノマーの共重合によるハイブリッドアクリル感圧接着剤の調製
実施例6の冷却反応混合物に、n−ブチルアクリレート17グラムおよびAIBN開始剤0.05グラムを添加した。混合物を、フリーラジカル共重合のために、再度2時間還流した。バルクマクロモノマー溶液を室温に戻し、1グラムのRegalrez 1018、2グラムのRegalrez 1085、0.5グラムのDrakeol 34および54グラムのトルエンを添加し、撹拌して均質な溶液を生成した。この混合物を、180度剥離試験に直接使用した。
【0142】
接着性データ
実施例7の配合したマクロモノマー系接着剤は、ポリエチレンパネルに対して1.1pliの改善された剥離値を示した。
【0143】
当業者は、このマクロモノマー手法の多くの変形が想定され得ることを知るはずである。例えば、官能性アクリルモノマーは、エポキシドなどのグルタル酸無水物(グリシジルアクリレート)、イソシアネートおよび/またはカルボン酸(無水物との水素結合を形成するアクリル酸またはメタクリル酸)と反応することができる幾つかの他の反応性部分を含有することができる。
【0144】
予測実施例8−比較対照の調製
この実施例では、2−エチルヘキシルアクリレートのホモポリマーを、マクロモノマーなしに調製した。反応は、電動撹拌機、水コンデンサーおよび窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。N−ヘキシルアクリレート、酢酸エチルおよびヘキサンを、フラスコに添加した。次いで、ヘキサンに溶解したAIBNを添加した。反応混合物を徐々に加熱還流し、2時間撹拌した。反応混合物の粘性は、明らかに増大した。冷却後、反応混合物をメタノール中で沈殿させて、任意の未反応モノマーを回収する一助とした。
【0145】
実施例8a−比較対照の調製
この実施例では、n−ブチルアクリレートのホモポリマーを、マクロモノマーなしに調製し、実施例7に示した180度剥離測定の対照として使用した。反応は、電動撹拌機、水コンデンサーおよび窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。N−ブチルアクリレート、酢酸エチルおよびヘキサン各30グラムをフラスコに添加した。次いで、ヘキサンに溶解したAIBN25mgを添加した。反応混合物を徐々に加熱還流し、5時間撹拌した。反応混合物の粘性は、明らかに増大した。冷却後、反応混合物をメタノール中で沈殿させて、任意の未反応モノマーを取り出す一助とした。単離したポリマーは、粘着質の白色固体であった。
【0146】
接着性データ
ポリエチレンの非修飾ポリ(nブチルアクリレート)の対照剥離値は、0.46pliと測定された。
【0147】
予測実施例9−比較対照の調製
この実施例では、エチルヘキシルアクリレートのホモポリマーを、溶媒としてトルエンを使用して、ポリマーPolymer#1と物理的に混合した。この物理的ブレンドを使用して、ブレンドと、マクロモノマーをアクリルモノマーと共重合してハイブリッド接着剤を形成する場合との間の差異を示した。
【0148】
予測実施例10−反応性コモノマーを含有する官能性アクリルコポリマーの調製
反応は、電動撹拌機、水コンデンサーおよび窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で実施した。2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、酢酸エチルおよびヘキサンをフラスコに添加した。次いで、ヘキサンに溶解したAIBNを添加した。反応混合物を徐々に加熱還流し、2時間撹拌した。反応混合物の粘性は、増大すると予期された。冷却後、反応混合物をメタノール中で沈殿させて、任意の未反応モノマーを取り出す一助とした。プロトンNMRは、コポリマーが、該コポリマー中に2−ヒドロキシエチルアクリレートを含有していたことを明らかにすると予期される。
【0149】
実施例10a−反応性コモノマーを含有する官能性アクリルコポリマーの調製
n−ブチルアクリレート(NBA)および2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA)のコポリマーを、n−ブチルアクリレート20グラムおよび2−ヒドロキシルエチルアクリレート5グラムのフリーラジカル重合によって、酢酸エチル溶媒中で調製した。AIBN(25mg)を、反応器に添加し、溶媒が約66℃で還流するまで、温度を上昇させた。反応を、還流下で4時間撹拌した。アクリルコポリマーを、メタノール/水(90/10v/v)中で沈殿させることによって単離した。沈殿物である溶媒は、0.1wt%のIrganox 1010安定剤を含有していた。コポリマーを50℃で24時間、真空オーブンで乾燥させた。
【0150】
プロトンNMRによって、コポリマーが21.6wt%の2HEA繰返し単位を含有していることを確認した。GPCは、50,300g/molのピーク分子量を伴う非常に広範な分子量分布を示した(ポリスチレン標準に対して)。アクリルコポリマーは、粘着質の白色固体であった。
【0151】
予測実施例11−無水物官能性ブロックコポリマーおよびヒドロキシル官能性アクリルコポリマーの反応によるハイブリッドアクリル感圧接着剤の調製
この実施例は、実施例10のヒドロキシル官能性アクリルコポリマーを取り出し、これらのヒドロキシル基を、アルコール分解反応によって官能性ブロックコポリマーの無水環と反応させることによって、ハイブリッドPSAを調製する代替合成方法を示す。
【0152】
実施例10のヒドロキシル官能性アクリルコポリマーを、トルエンに溶解した。トルエンおよび無水物/酸官能化ブロックコポリマー(S−EB−MAA)の個別の溶液を、完全に溶解するまで振とうした。2つのポリマー溶液を一緒に混合し、前述の反応装置内で4時間加熱還流した。NMRは、反応度をモニタするための一方法として、ヒドロキシル基(2HEA単位)の消失を測定するために使用されることになる。
【0153】
実施例11−無水物官能性ブロックコポリマーおよびヒドロキシル官能性アクリルコポリマーの反応によるハイブリッドアクリル感圧接着剤の調製
この実施例は、実施例10のヒドロキシル官能性アクリルコポリマーを取り出し、これらのヒドロキシル基を、アルコール分解反応によって官能性ブロックコポリマーの無水環と反応させることによって、ハイブリッドPSAを調製する代替合成方法を示す。
【0154】
配合物A
ポリマー#1(グルタル酸無水物形態)100phr
Regalrez 1085樹脂(Eastman Chemical Co.)200phr
Regalrez 1018液体樹脂(Eastman Chemical Co.)100phr
Drakeol 34鉱油(Penreco)50phr
Irganox 1010抗酸化剤(Ciba Chemical Co.)3phr
【0155】
この配合物を、トルエン/酢酸エチルが80/20の混合物に溶解して、20wt%溶液を得た。
【0156】
別個の反応器内で、アクリルコポリマーの以下の混合物を調製した。
【0157】
アクリルコポリマー溶液B
n−ブチルアクリレート−co−2−ヒドロキシエチル(hydroxethyl)アクリレートコポリマー(実施例#10から)20グラム
トルエン80グラム
酢酸エチル20グラム
Irganox 1010 0.2グラム
【0158】
2種類の配合物を、電動撹拌機、水コンデンサー、窒素吸入/排出および添加漏斗を備えた1リットルのガラス製の3つ口丸底フラスコ中で一緒に混合した。配合物A1グラムが、アクリルコポリマー溶液B20グラムを組み合わさるように、混合物を組み合わせた。混合物を、1時間加熱還流した(約85℃)。この反応混合物を、ポリエチレンパネルに対して180°の剥離測定に直接使用した。
【0159】
接着性の結果
180°剥離(pli)ステンレス鋼:1.93pli
180°剥離(pli)ポリエチレン:1.43pli
【0160】
ポリエチレンに対して0.70pliの平均180°剥離を有していた実施例10aの対照(アクリルコポリマーのみ)と対比して、改善された接着性が観測された。
【0161】
予測実施例12−ハイブリッドPSAを生成するためのホットメルト調製
本発明のブロックコポリマーを用いた新規なハイブリッドアクリル感圧接着剤を生成する方法は、溶媒系化学反応に限定されない。官能性アクリルコポリマーおよび無水物含有ブロックコポリマーの両方を混合し、固体状態で反応させて、基本的に溶媒系の例と等価な、有用な組成物を形成することができる。混合は、押出機、オープンミキサーまたは高せん断ミキサー中で達成することができる。
【0162】
この実施例では、n−ブチルアクリレート(NBA)および2−ヒドロキシルエチルアクリレート(2HEA)のコポリマーを、n−ブチルアクリレート20グラムおよび2−ヒドロキシルエチルアクリレート5グラムのフリーラジカル重合によって、酢酸エチル溶媒中で調製した。AIBN(25mg)を反応器に添加し、溶媒が約66℃で還流するまで、温度を上昇させた。反応を、還流下で4時間撹拌した。アクリルコポリマーを、メタノール/水(90/10v/v)中で沈殿させることによって単離した。沈殿物である溶媒は、0.1wt%のIrganox 1010安定剤を含有していた。コポリマーを、真空オーブン中約50℃で乾燥させた。
【0163】
プロトンNMRによって、コポリマーが約21.6wt%の2HEA繰返し単位を含有していることを確認した。GPCは、50,300g/molのピーク分子量を伴う非常に広範な分子量分布を示した(ポリスチレン標準に対して)。アクリルコポリマーは、粘着質の白色固体であった。
【0164】
ハイブリッドブロックコポリマーPolymer#1(1グラム)およびNBA−HEAアクリルコポリマー(1グラム)の無水物形態を、トルエン/酢酸エチル(90/10v/v)に溶解した。フィルムを、剥離(release)コーティングを用いてアルミニウムシート上に流延した。このポリマーブレンドの乾燥フィルムは、わずかに不透明であり、相が分離した2つのポリマー成分を示していた。次いで、このフィルムを圧縮し、150℃の温度で10分間、Carver Press装置内で加熱して、アクリルコポリマー(2HEA単位)のヒドロキシル基と、Polymer#1ブロックコポリマーのグルタル酸無水物とのアルコール分解反応を誘発した。得られたポリマー生成物は、中程度の引張強度を有する粘着性のゴム様の固体であった。生成物はTHFに溶解し、流延フィルムは透明であり、このことは、反応が生じてアクリルコポリマーとブロックコポリマーが結合したことを示していた。
【0165】
官能性アクリルコポリマーと無水物含有ブロックコポリマーの間で、ハイブリッドまたはグラフトコポリマーが調製されたことが決定されると、このホットメルト法を使用して、より大きなサンプルを調製した。さらに水素化増粘樹脂を添加して、EBゴム相の係数を低減した。
【0166】
周知の低表面エネルギー基材であるポリエチレンフィルムに対する180°剥離を測定した。未修飾アクリルコポリマーと比較して、ハイブリッドグラフトポリマー(S−EB−MAA−g−NBA−2HEA)は、LSE基材に対して強化された接着性を有していた。この例はまた、ハイブリッド接着剤が溶媒系またはホットメルト系として調製できることを示している。
【0167】
【表6】

【0168】
実施例12a−無水物官能性ブロックコポリマーおよびヒドロキシル官能性アクリルコポリマーの反応によるハイブリッドアクリル感圧接着剤の調製
この実施例は、別のハイブリッドブロックコポリマー構造、ジブロックコポリマーPolymer#3を使用した点で、実施例11とは異なっている。このポリマーは、約60,000g/molのEBゴムブロックおよび約15,000g/molのTBMAポリマーブロックを有する。このジブロックコポリマーを、押出機内で変換させて、グルタル酸無水物ブロックを生成した。このハイブリッドブロックコポリマーは、追加のガラス状ポリスチレンブロックを含有していない。修飾アクリル接着剤を、以下の通り調製した。
【0169】
配合物A
ポリマー#3 100phr
Regalrez 1085樹脂 120phr
Drakeol 34 5phr
Irganox 1010 1phr
【0170】
この配合物を、80/20のトルエン/酢酸エチル中20wt%溶液として調製した。
【0171】
アクリルコポリマー溶液
NBA−co−2HEAコポリマー(実施例#10)の20wt%溶液を、トルエン10グラムおよび酢酸エチル2グラム中で調製した。
【0172】
修飾アクリル感圧接着剤
配合物A3.0グラムを、アクリルコポリマー溶液10グラムと混合し、4時間加熱還流した。反応混合物は、粘度が増大したことが観測されたが、ゲルではなかった。得られたグラフト生成物は、接着試験用に基材をコーティングするために直接使用した。
【0173】
接着性の結果
180°剥離(pli)ステンレス鋼:2.5pli
180°剥離(pli)ポリエチレン:2.5pli
【0174】
ポリエチレンに対して0.70pliの平均180°剥離を有する実施例10a(非修飾アクリルコポリマー)の対照と対比して、改善された接着性が観測された。
【0175】
予測実施例13−ハイブリッド感圧接着剤の低表面エネルギー(LSE)性能
これらの実施例では、標準のASTM試験を使用して、ポリエチレンフィルムに対する180°剥離を測定した。ハイブリッド接着剤を、ハイブリッドコポリマーおよび水素化増粘樹脂の10wt%溶液を生成することによって調製した。接着剤/樹脂溶液を調製して、接着剤をMylarテープ上にコーティングした。溶媒を、試験前に真空オーブン中で除去した。
【0176】
予測実施例14−構造用アクリル接着剤
実施例6のマクロモノマーを使用して、US6,989,416に記載の方法によって、構造用アクリル接着剤を調製し、試験した。触媒成分は、18%過酸化ベンゾイルのペーストであった。10:1(モノマー成分:触媒成分)の比を利用した。
【0177】
構造用接着剤を使用するために、モノマー成分を触媒成分と組み合わせ、作用片に適用し、次いでそれらを一緒に結合した。得られた組成物の引張強度、伸張および係数を、ASTM D638−95に示されている手順に従って測定し、ラップせん断強度を、ASTM D1002−94に従って測定した。組成物の弾性回復を、組成物の係数に対して強度対応力曲線を作成することによって算出した。曲線の直線部は、組成物の弾性回復に相当する。
【0178】
実施例6のマクロモノマーのメチルメタクリレート中35%溶液を調製し、メチルメタクリレート中ナフトキノンの1%溶液を調製した。さらに、IGI 1977(ワックス)のキシレン中10%溶液を調製した。マクロモノマー溶液に、残りのメチルメタクリレートを添加した。次に、場合によってIGI 1977(ワックス)溶液、ナフトキノン溶液、メタクリル酸およびDMT(第3級アミン促進剤)を順に添加した。これらの副成分を、約800rpmで10分間混合した。次に、Zealloy 1422(ニトリルゴム)を場合によって添加し、混合速度を約900rpmに徐々に増大し、その速度を約15分間保持する。混合物を少なくとも3時間静置した後、混合物を約1200rpmで20分間混合して、均一な粘稠度を得た。次に、混合物を約50rpmで混合し、真空を適用して、混合物から任意の封入空気を除去する。
【0179】
これらの配合物を試験したが、これらは強度、伸張、剛性および弾性回復の優れた平衡を示すことが予期された。さらに配合物は、エンジンもしくはマフラーは別にして自動車において、または高温気候において見られるものなどの高温における長期経時後でも、優れた特性を示すことが予期された。
【0180】
構造用接着剤として使用するための組成物は、ハイブリッドブロックコポリマー、場合によって他のエラストマー材料、またメタクリレートエステルモノマー、場合によって酸モノマー、場合によってリン酸エステル、場合によって架橋ゴム、第3級アミン開始剤、阻害剤およびチキソトロピー剤を含むエラストマー成分ならびに触媒成分を含む。ハイブリッドポリマー成分は、5−50%の濃度で、最も好ましくは5−20%の濃度で使用される。
【0181】
予測実施例15−放射線硬化接着剤
実施例6のマクロモノマーを使用して、US4,556,464に記載の方法によって、放射線硬化接着剤を調製し、試験した。実施例6のマクロモノマー10−100部を、スチレンブロックコポリマー0−100部、ハイブリッドブロックコポリマーの水素化ブタジエンブロックと相溶性のある増粘樹脂、例えばRegalrez 1126(Eastmanから入手可能な、72℃のガラス転移を有する水素化純粋モノマー樹脂)25−300部、および場合によってハイブリッドブロックコポリマーの水素化ブタジエンブロックと相溶性のある可塑剤、例えばDrakeol 7(Penreco製の鉱油)0−300部、および場合によって、放射線に反応して硬化化学反応を開始する開始剤、例えばUV光開始剤Irgacure 651(Ciba Geigy)、および場合によって、ヘキサンジオールジアクリレートのような二官能性または多官能性アクリレートなどのフリーラジカル系硬化において反応することができる架橋剤と混合した。接着剤を、シグマブレードミキサー中でブレンドすること、および実験室用ローラー上でトルエン中溶液をブレンドすることの両方によって調製した。これらをMylar上に流延し、溶液から流延したら乾燥させ、UV光で硬化させ、接着特性について試験した。接着剤は、せん断強度などの粘着性および高温結合強度の良好な平衡を示すことが予期される。
【0182】
実施例16−印刷版(予測実施例)
印刷版配合物を、トルエン中合計20%wtの固体で調製し、ローラー上、瓶中で混合した(光への曝露を防止するためにホイルに包んだ)。溶液をMylarボートに注ぎ、フード内で25日間乾燥させた。乾燥中、フィルムを被覆して、光への曝露を防止した。0.08インチの厚さのフィルムを乾燥させ、次いでUVP CL1000チャンバー内で20分間、8ワットの365nmUVA電球5つで各側を照射した。印刷版は、トルエンから、実施例6のマクロモノマー89%、ヘキサンジオールジアクリレート10%およびIrgacure 651 1%の配合物を溶液流延することによって製造する。第2の印刷版は、マクロモノマーを、実施例8のマクロモノマーおよびKraton D1161P(イソプレン中間ブロックを有するスチレンブロックコポリマー)の1:1の混合物で置き換えることを除き、第1のものと同様に製造する。第3の印刷版は、マクロモノマーを、実施例6のマクロモノマーおよびKraton D1102K(ブタジエン中間ブロックを有するスチレンブロックコポリマー)の1:1の混合物で置き換えることを除き、第1のものと同様に製造する。ハイブリッドブロックコポリマーを含む印刷版は、従来技術の印刷版と比較して、改善されたオゾン耐性を示すことが予期される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックを有するベースブロックコポリマーと、(b)前記エンドブロックの無水物および/または酸基と反応することになる反応性モノマーまたは反応性樹脂または金属誘導体との反応生成物を含むハイブリッドブロックコポリマー、樹脂および溶媒を含むコンタクト接着剤組成物。
【請求項2】
無水環を形成するための加熱および前記反応性モノマーまたは反応性樹脂または金属誘導体との反応の前の前記ベースブロックコポリマーが、(a)少なくとも80モル%の重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロック(但し、前記ブロックコポリマーは、式A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−Mを有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有する。)を含む、請求項1に記載のコンタクト接着剤組成物。
【請求項3】
前記反応性モノマーが、イソシアネートモノマー、ヒドロキシ基を有するモノマー、グリシジル基を有するモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択され、前記反応性樹脂が、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂およびポリウレタンからなる群から選択される、請求項2のコンタクト接着剤組成物。
【請求項4】
前記反応性モノマーまたは反応性樹脂または金属誘導体との反応前の前記ハイブリッドブロックコポリマーの前記ブロックMが、Mブロックの重量に対して0から20wt%のエステル基、0から100wt%の無水物基および0から50wt%の酸基を含有し、前記エステル基、無水物基および酸基の合計が、ブロックMの100wt%に等しい、請求項3のコンタクト接着剤組成物。
【請求項5】
100重量部の前記ベースブロックコポリマー、20から500重量部の熱反応性フェノール樹脂、1から10重量部の金属酸化物および溶媒を含む、請求項4のコンタクト接着剤組成物。
【請求項6】
(a)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのベースブロックコポリマーならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックと、(b)前記エンドブロックの無水物および/または酸基と反応することになる反応性モノマーまたは反応性樹脂との反応生成物を含む、100重量部の少なくとも1つのハイブリッドブロックコポリマー、25から300重量部の少なくとも1つの増粘樹脂、0から200重量部のエキステンダー油を含む接着剤組成物。
【請求項7】
無水環を形成するための加熱および前記反応性モノマーまたは反応性樹脂との反応の前の前記ベースブロックコポリマーが、(a)少なくとも80モル%の重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロック(但し、前記ブロックコポリマーは、式A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−Mを有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有する。)を含む、請求項6に記載の接着剤組成物。
【請求項8】
前記反応性モノマーまたは反応性樹脂との反応前の前記ハイブリッドブロックコポリマーの前記ブロックMが、Mブロックの重量に対して0から20wt%のエステル基、0から100wt%の無水物基および0から50wt%の酸基を含有し、前記エステル基、無水物基および酸基の合計が、ブロックMの100wt%に等しい、請求項7に記載の接着剤組成物。
【請求項9】
前記反応性モノマーが、イソシアネートモノマー、ヒドロキシ基を有するモノマー、グリシジル基を有するモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択され、前記反応性樹脂が、フェノール樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂およびポリウレタンからなる群から選択され、前記増粘樹脂が、炭化水素樹脂、ロジンエステル、ロジン誘導体およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記エキステンダー油が、パラフィン油およびナフタレン油からなる群から選択され、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、極性酸素化溶媒およびそれらの混合物からなる群から選択される溶媒を含む、請求項8に記載の接着剤組成物。
【請求項10】
(a)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックを有するベースブロックコポリマーと、(b)エポキシ樹脂、ポリイソシアネートおよびアミノ樹脂からなる群から選択される反応性樹脂との反応生成物を含むハイブリッドブロックコポリマーを含む強化組成物。
【請求項11】
無水環を形成するための加熱および前記反応性樹脂との反応の前の前記ベースブロックコポリマーが、(a)少なくとも80モル%の重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロック(但し、前記ブロックコポリマーは、式A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−Mを有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有する。)を含む、請求項10に記載の強化組成物。
【請求項12】
前記反応性樹脂がエポキシ樹脂であり、(a)約25から50%wの前記反応性エポキシ樹脂、(b)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックを有するベースブロックコポリマーを含む約1から10%wのブロックコポリマー、ならびに(c)約40から約70%wの前記エポキシ樹脂用の反応性硬化剤を含む、請求項11に記載の強化組成物。
【請求項13】
前記反応性樹脂が、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたはそれらの混合物であり、(a)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックを有するベースブロックコポリマーを含む約50から90%wのブロックコポリマー、ならびに(b)約10から50%wの前記反応性樹脂を含む、請求項11に記載の強化組成物。
【請求項14】
前記反応性樹脂が、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂および尿素−ホルムアルデヒド樹脂からなる群から選択されるアミノ樹脂であり、(a)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環基および酸基を含む少なくとも1つのエンドブロックを有するベースポリマーを含む約60から90%wのブロックコポリマー、(b)約10から40%wのアミノ樹脂、ならびに(c)約0.01から3%wの酸触媒を含む、請求項11に記載の強化組成物。
【請求項15】
ブロックコポリマーと反応したアクリルコポリマーを含むアクリル組成物であり、前記アクリルコポリマーが、0℃未満のガラス転移温度を有し、前記ブロックコポリマーと反応することができるペンダント反応基を有する少なくとも1つのコモノマー単位を含有し、前記ブロックコポリマーが、重合化共役ジエンおよび/または重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含む、アクリル組成物。
【請求項16】
メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、メチルメタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択されるアクリルモノマーとさらに反応する、請求項15のアクリル組成物。
【請求項17】
前記アクリルコポリマーが、(メタ)アクリル酸エステル/ヒドロキシ(メタ)アルキルエステルコポリマー、(メタ)アクリル酸エステル/グリシジル(メタ)アルキルエステルコポリマー、(メタ)アクリル酸エステル/(メタ)アクリル酸コポリマーおよび(メタ)アクリル酸エステル/アクリルアミドコポリマーからなる群から選択される、請求項16のアクリル組成物。
【請求項18】
無水環を形成するための加熱および前記反応性モノマーまたは反応性樹脂または金属誘導体との反応の前の前記ベースブロックコポリマーが、(a)少なくとも80モル%の重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロック(但し、前記ブロックコポリマーは、式A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−Mを有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有する。)を含む、請求項15に記載のアクリル組成物。
【請求項19】
前記アクリルコポリマーが、(a)アルキル基中に約4個から約18個の炭素原子を含有する少なくとも1つのアルキルアクリレートモノマー、ならびに(b)メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレンおよびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを含み、前記官能化ブロックコポリマーが、(i)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/または酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)少なくとも1つの反応性モノマーとの反応生成物を含む、請求項15のアクリル組成物。
【請求項20】
前記反応性モノマーが、ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19のアクリル組成物。
【請求項21】
前記アクリレートモノマーが、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレートおよびヒドロキシ−エチルアクリレートからなる群から選択される、請求項20のアクリル組成物。
【請求項22】
前記アクリルコポリマーが、チタン架橋剤を使用して架橋される、請求項21のアクリル組成物。
【請求項23】
(i)重合化共役ジエンまたは重合化アルケニル芳香族の少なくとも1つのブロックならびに6員の無水環および/またはこの環と水の反応から形成される酸を含む少なくとも1つのエンドブロックを含むブロックコポリマーと、(ii)官能性モノマー、ペンダント反応基を含有するアクリルコポリマーおよび反応性樹脂からなる群から選択される少なくとも1つの反応性成分との反応生成物を含む、官能化ブロックコポリマー。
【請求項24】
(i)前記官能性モノマーが、ヒドロキシ官能性モノマー、カルボキシ官能性モノマー、グリシジル官能性モノマー、アクリルアミド官能性モノマー、アミン官能性モノマー、エポキシ官能性モノマー、イソシアネート官能性モノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択され、(ii)ペンダント反応基を含有する前記アクリルコポリマーが、10℃未満のガラス転移温度を有し、(iii)前記反応性樹脂が、フェノール樹脂、アミノ樹脂およびエポキシ樹脂からなる群から選択される、請求項23の官能化ブロックコポリマー。
【請求項25】
無水環を形成するための加熱および前記反応性成分との反応の前の前記ベースブロックコポリマーが、(a)少なくとも80モル%の重合化スチレンのブロック、(b)少なくとも幾つかの1,2−結合を有する重合化水素化ブタジエンのブロック、または重合化水素化イソプレンのブロック、または重合化水素化イソプレンおよびブタジエンのブロック、ならびに(c)そのエチレン性不飽和によって重合した重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロック(但し、前記ブロックコポリマーは、式A−M、B−M、B−A−M、A−B−MまたはA−B−A’−Mを有し、AおよびA’は、重合化芳香族スチレンのブロックであり、Bは、水素化重合化ブタジエン、イソプレンまたはブタジエンおよびイソプレンの混合物のブロックであり、Mは、重合化t−ブチルメタクリレートの末端ブロックであり、重合化スチレンの各ブロックは、約2,000から約50,000の数平均分子量を有し、水素化重合化ジエンのブロックは、約20,000から約500,000の数平均分子量を有し、末端Mブロックは、500から約100,000の数平均分子量を有し、前記官能性モノマーまたはアクリルコポリマーまたは反応性樹脂との反応前の前記ブロックコポリマーの前記ブロックMは、Mブロックの重量に対して0から20wt%のエステル基、0から100wt%の無水物基および0から50wt%の酸基を含有する。)を含む、請求項23の官能化ブロックコポリマー。

【公表番号】特表2011−500895(P2011−500895A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529008(P2010−529008)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/079225
【国際公開番号】WO2009/048968
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(509301219)クレイトン ポリマーズ ユー.エス. エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】