説明

特定の小胞透過性を有する小胞を含む水性組成物

表面に対して水溶性活性物質を有効に放出するための組成物であって、
(a)前記組成物の約1重量%〜約30重量%の下式:
【化1】


又は
【化2】


又は
【化3】


のジアルキル第四級アンモニウム化合物〔式中、R及びRは独立してC12〜C20飽和アルキル鎖であり;Yは
【化4】


又は
【化5】


式中、Rはエチル又はイソプロピルであり;R及びRは独立して、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピルであり;mは1、2、又は3であり;nは1又は2であり;pは0又は1であり;及びXは適したアニオンである〕;
(b)前記組成物の約0.01重量%〜約10重量%の、約2.0未満のClogPを有する水溶性活性物質;及び
(c)前記組成物の少なくとも約60重量%の水;
を含む、
ここで、前記組成物は、約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞を含有する、水溶性組成物。組成物の製造方法は、ジアルキル第四級アンモニウム化合物及び水溶性活性物質を水溶液に分散し、約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞の形成方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
Inventor(s) - Full Names (as they also on Declaration and Assignment 本発明は、約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞を含む水性組成物であって、約2.0未満のClogPを有する水溶性活性物質の前記組成物で処理される表面への放出を容易にする水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの市販製品、例えば、布地柔軟仕上げ剤、硬質表面洗浄剤、ヘアコンディショナー、農業用化学製品及び塗料は、水溶性である活性物質を含有する。しばしば、これらの製品は、これらの製品で処理される表面に付着することが意図される水溶性活性物質を含有する。しかし、これらの水溶性物質が高度に水性の環境におかれる場合、表面に水溶性活性物質を有効に付着させることは困難である場合がある。例えば、布地柔軟組成物は、典型的には、大量の水を含有する布地洗濯工程においてすすぎ溶液に添加される。すすぎサイクルが完了すると、すすぎ溶液は排水管から廃棄され、通常はそれと共に大部分の水溶性活性物質が廃棄される。従って、ほんの少量の水溶性活性物質が実際には処理された布地に付着する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、組成物で処理される表面に対して水溶性活性物質が、有効に付着可能なような水溶性活性物質を含有する組成物を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は組成物であって、
(a)前記組成物の約1重量%〜約30重量%の下式:
【化1】

又は
【化2】

又は
【化3】

を有するジアルキル第四級アンモニウム化合物〔式中、R及びRは独立してC12〜C20飽和アルキル鎖であり;Yは
【化4】

又は
【化5】

であり、
式中、Rはエチル又はイソプロピルであり;R及びRは独立して、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピルであり;mは1、2、又は3であり;nは1又は2であり;pは0又は1であり;及びXは適したアニオンである〕;
(b)前記組成物の約0.01重量%〜約10重量%の、約2.0未満のClogPを有する水溶性活性物質;及び
(c)前記組成物の少なくとも約60重量%の水;
を含む、
ここで、前記組成物は約1.3未満、好ましくは約1.1未満、更に好ましくは約1.0未満の小胞透過性指数を有する小胞を含有する、組成物。本組成物の完全に飽和なジアルキル第四級アンモニウム化合物は、少なくとも1つのエステル結合を含有し、水溶性活性物質を内包することができ、小胞の膜を通した拡散速度が低い小胞を形成することがわかっている。小胞が前記組成物で処理された表面上に付着するため、これまでは達成するのが困難であった、小胞が表面に水溶性活性物質を有効に放出することができる。
【0005】
本発明は更に、ジアルキル第四級アンモニウム化合物及び水溶性活性物質を水溶液に分散し、約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞の形成方法含む、本組成物の製造方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(小胞組成物)
本発明は、水溶性活性物質の本組成物で処理された表面への放出を容易にするために、小胞を含有する組成物に関する。本明細書で使用する時、用語「小胞」は、密閉した、通常は球形中に配置される1以上の二層を意味し、前記二層は、本明細書中上で記載されるような第四級アンモニウム剤を含む。本明細書中の組成物では、小胞は、好ましくは実質的に球形である。本組成物中の小胞の存在は、顕微鏡分析によって検出することができる(例えば、60倍の偏光顕微鏡)。好ましくは、本組成物中の小胞は、光子相関分光法によって決定される場合、約50nm〜約20μm、更に好ましくは約100nm〜約5μm、最も好ましくは約200nm〜約2μmの数平均径を有する。
【0007】
本組成物中の小胞は、一般に、溶融したジアルキル第四級アンモニウム化合物を、前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物の遷移温度よりも高い温度を有する温水中に分散することによって形成される。前記小胞が水溶性活性物質を内包し、処理された表面に対してこれらの種を有効に放出可能であると考えられる。
【0008】
本組成物中の小胞は、本明細書中で記載される試験方法に従って測定される場合、特定の小胞透過性を示す。形成される小胞の小胞透過性は、ジアルキル第四級アンモニウム化合物の温度及び構造によって、より具体的には、不飽和度及びアルキル鎖と窒素との間の連結基、例えばエステルの存在又は非存在によって影響を受ける場合がある。
【0009】
本発明の組成物は、通常、約2〜約7、好ましくは約2〜約6、更に好ましくは約2.5〜約5.0のpHを有する。
【0010】
(ジアルキル第四級アンモニウム化合物)
本組成物は、下式:
【化6】

又は
【化7】

又は
【化8】

を有するジアルキル第四級アンモニウム化合物を含み、式中、R及びRは独立してC12〜C20飽和アルキル鎖であり;Yは
【化9】

又は
【化10】

であり、
式中、Rはエチル又はイソプロピルであり;R及びRは独立して、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピルであり;mは1、2、又は3であり;nは1又は2であり;pは0又は1である。上記化合物中の対イオン、Xは、相容性のあるいずれかの陰イオンとすることができるが、好ましくは強酸の陰イオン、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン、メチルサルフェートイオン、エチルサルフェートイオン、硫酸イオン、硝酸イオンなど、更に好ましくは塩化物イオン又はメチルサルフェートイオンとすることができる。
【0011】
本発明の好適なジアルキル第四級アンモニウム化合物としては、R及びRがC16或いはC18又は硬化タロー又は硬化パーム或いはそれらの混合物であるアルキル鎖が挙げられる。ジアルキル第四級アンモニウム化合物の非限定例としては、N,N−ジ(ステアロイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N−ステアリル−N−(ステアロイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(ステアロイル−オキシ−エチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート;及び1,2−ジステアロイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンクロライドが挙げられる。
【0012】
ジアルキル第四級アンモニウム化合物は、典型的には、本組成物の約1重量%〜約30重量%、好ましくは約2重量%〜約25重量%、更に好ましくは約3重量%〜約20重量%のレベルで本発明の組成物中に存在する。
【0013】
(水溶性活性物質)
本組成物は、水溶性活性物質を更に含む。本組成物中の活性物質の親水性度は、そのオクタノール/水分配係数Pと関連付けることができる。活性物質のオクタノール/水分配係数は、オクタノール中及び水中におけるその平衡濃度の間の比である。より大きな分配係数Pを有する活性物質はより疎水性である。逆に、より小さな分配係数Pを有する活性物質はより親水性である。活性物質の分配係数は通常は高い値を有するため、それらは10を底とするそれらの対数、logPの形でより簡便に表される。
【0014】
多くの物質のlogPが報告されている;例えば、カリフォルニア州アーヴァイン(Irvine)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems,Inc.)(デイログCIS(Daylog CIS))より入手可能なポモナ92データベース(Pomona92 database)には、原文の引用と共に多くのものが含まれている。しかし、logP値は、米国のカリフォルニア州アーヴァイン(Irvine)のデイライト・ケミカル・インフォメーション・システムズ社(Daylight Chemical Information Systems,Inc.)より入手可能な「ClogP」プログラムバージョン4.01(logP(油/水)として疎水性を計算)によって最も簡便に計算される。この物理化学的特性のために最も信頼できかつ広く用いられている推定値であるClogP値は、本発明で有用な水溶性活性物質の選択において実測logP値の代わりに用いられる。
【0015】
本組成物中の水溶性活性物質は、約2.0未満、更に好ましくは約1.0未満のClogPを有する。
【0016】
水溶性活性物質の例としては、香料原材料(「PRM」)、シクロデキストリン、殺生物剤、肥料、薬物などが挙げられる。水溶性香料原材料の非限定例としては、βγヘキセノール、クマリン、アセト酢酸エチル、及び2部のベンズアルデヒド、2部のβγヘキセノール、10部のクマリン、10部のアセト酢酸エチル及び40部のフェニルエチルアルコールの混合物が挙げられる。水溶性シクロデキストリンの非限定例としては、ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリンが挙げられる。水溶性殺生物剤の非限定例としては、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、グルタルアルデヒド、及びカトン(登録商標)が挙げられる。
【0017】
水溶性活性物質は、典型的には、本組成物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは約0.05重量%〜約5重量%、及び更に好ましくは約0.1重量%〜約2重量%のレベルで本発明の組成物中に存在する。
【0018】
本発明の一実施形態では、組成物は、例えば、PCT国際公開特許WO98/22085、WO98/18444及びWO97/01326に記載されるような湿潤剤、及び/又は、例えば、サガリン(Sagarin)、化粧品、科学と技術(Cosmetics,Science and Technology)、第2編、第1巻、pp.32〜43(1972)に記載されるような皮膚軟化剤を含まない。
【0019】
(水)
本組成物は、更に水を、典型的には、組成物の約60重量%〜約99重量%、好ましくは約70重量%〜約97重量%、更に好ましくは約75重量%〜約97%のレベルで含む。
【0020】
(添加物質)
本組成物は、任意に更に多くの種々の補助剤成分を、組成物の種類及び用途によって、含むことができる。好ましい実施形態では、本組成物は、洗濯工程中に布地に対して柔軟性及び新鮮さ(香料)を付与するための布地柔軟組成物を含む。このような組成物は、典型的には、洗濯工程のすすぎサイクルに添加されるが、特定の組成物も、洗浄サイクル中に添加することができる。布地柔軟組成物の典型的な補助剤成分は、例えば、米国特許第5,574,179号;米国特許第5,562,849号;米国特許第5,545,350号;米国特許第5,545,340号;米国特許第4,981,239号;米国特許第4,767,547号;米国特許第4,550,862号;及び米国特許第4,424,134号に記載されている。
【0021】
本組成物は、例えば、洗浄される表面に対して水溶性殺生物剤又は香料物質を放出するための硬質表面洗浄組成物も含むことができる。硬質表面洗浄組成物の典型的な補助剤成分は、例えば、米国特許第5,382,376号及び米国特許第4,111,854号に記載される。
【0022】
本組成物は、例えば、処理される毛髪に対して水溶性香料原材料又はシクロデキストリンを放出するためのヘアコンディショニング組成物も含むことができる。ヘアコンディショニング組成物の典型的な補助剤成分は、例えば、米国特許第6,589,517号;米国特許第6,468,515号;及び米国特許第5,876,705号に記載される。
【0023】
本組成物は、例えば、植物の葉及び土に対して水溶性殺生物剤、肥料、又は薬物を標的に対して放出するための農業用化学組成物も含むことができる。農業用化学組成物の典型的な補助剤成分は、例えば、米国特許第6,200,586号;米国特許第2003/0013799A1;及び殺虫剤処方物及び補助剤技術(Pesticide Formulation and Adjuvant Technology)、チェスターL.フォイ(Chester L.Foy)及びデイビッドW.ピッチャード(David W.Pitchard)編、1996年、CRCプレス社(CRC Press Inc)に記載される。
【0024】
本組成物は、例えば、塗られる表面、例えば、ボートの船体に対して水溶性殺生物剤を放出し付着させるための塗料組成物を含むことができる。塗料組成物の典型的な補助剤成分は、例えば、米国特許第6,479,566号;米国特許第6,242,526号;PCT国際公開特許WO96/41842;及びWO97/00919に記載されている。
【0025】
(製造方法)
本組成物中の小胞組成物は、溶融したジアルキル第四級アンモニウム化合物を、機械剪断力をかけた状態で、前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物の遷移温度よりも高い温度を有する水中に分散することによって製造される。水温は、ジアルキル第四級アンモニウム化合物の小胞の分散液の形成を確実にするために分散工程中は遷移温度より高い温度に維持される。
【0026】
処理された表面に放出される水溶性活性物質は、好ましくは、溶融したジアルキル第四級アンモニウム化合物の添加前に温水に添加される。代替の工程では、水溶性活性物質は、ジアルキル第四級アンモニウム化合物の熱分散液への添加と共に又は添加後に添加され、分散液は、小胞内の水ドメイン中に水溶性活性物質が、確実に分配されるように機械剪断力をかけた状態で十分な時間高温に維持される。
【0027】
小胞分散液は、次いで室温まで冷却され、小胞中の水溶性活性物質の有効な封入を確実にする。
【0028】
(小胞透過性指数を決定するための試験方法)
NMR拡散法は、構成要素に分割した様式で、種によって拡散した距離についての情報を提供する。例えば、水、界面活性剤及び他の溶媒と共に小胞分散液を形成する分子の混合物では、この方法は、混合物中の全ての構成要素の拡散速度の決定を可能にする。水の非常に高いS/N比に起因して、水は、小胞膜を通る透過性についてのプローブとして作用するように使用される。NMR拡散実験における構成要素に分割したシグナル減衰は、障壁の存在によって影響を受ける。小胞の濃縮混合物中で、シグナルは、おおよそ2つの異なる種類の水、即ち、小胞の内部に捕らえられた水及び小胞の外部の水、を含有する。化学変換に起因して、内部又は外部の水の一部分は、許容される拡散時間に強く依存する。理解されるべき重要なことは、内部からの分子が一旦外部に出ると、その水が最初から外部に属していたように思われることである。最初に外部にあった水については、状況はまったく逆である。この水は、常に外部に属していると考えられる。実質的に、内部の水からのシグナルは、許容された拡散時間が長くなるにつれて減少し、外側からのシグナルは増加する。
【0029】
それ故に、より長い拡散時間(例えば80ms)での小胞内部の見かけの体積分率に対するより短い拡散時間(例えば10ms)での小胞内部の見かけ体積分率の比率は、小胞透過性の測定値を与える。
【0030】
本組成物中の小胞は、以下の試験方法に従って決定される特定の透過性指数Pを有する。小胞内部及び外部の水拡散は、パルス磁場勾配(「PFG」)NMRを用いて測定され、「コロイド及び表面A、ジアルキル及びジアルキルエステルアンモニウム界面活性剤の多重膜小胞中の水の拡散(Colloids and Surfaces A,Diffusion of water in multilamellar vesicles of dialkyl and dialkyl ester ammonium surfactants)」、セシリア・グロス(Cecilia Groth)、ジョアンナ・ベンダー(Johanna Bender)及びマグナス・ナイデン(Magnus Nyden)(印刷中)中に記載される方法に従って評価される。拡散測定は20℃で行われる。拡散時間は、10〜80ms間に対数間隔の5個の異なる値を用いた10ms〜1sの範囲である。パルス磁場勾配の強度は、その中に配置された45の線形の勾配強度を有する(合計47)0.005〜3.74T/mの間を変動する。基本的なハーン−エコー(Hahn-echo)順序は、δ=4ms及び変動する拡散時間Δ=10、20、40及び80及びΔ=1000msを用いて使用され、刺激されたエコー順序が使用される。
【0031】
エコー減衰の固定値から、特定の拡散時間tでの小胞中の水の見かけの一部分を計算することができる。透過性指数Pは、
【数1】

として計算することができる。
【0032】
非限定例として、HT−DEEDMACを含む組成物について、20℃で、Δ=10msでの水の見かけの一部分は
【数2】

であり、Δ=80msでは0.49である。この挙動の理由は、上に述べられるように、限定された勾配効果に起因する。透過性指数は、上に定義されるように、
【数3】

になる。この場合では、指数は、非常に低い水透過性と組み合わせて上述の効果に起因して、1よりも小さいことを注記する。
【実施例】
【0033】
本発明の組成物の非限定例は、実施例1〜11のような以下の表において提供される。本組成物は、洗濯工程のすすぎサイクル中に添加される布地柔軟組成物として使用することができ、洗濯される布地の柔軟性及び新鮮さを向上させる。
【表1】

【表2】

1:N,N−ジ(硬化タローイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド
2:N,N−ジ(硬化タローイル−オキシ−エチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート
3:1,2−ジ硬化タローオイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンクロライド
4:非水溶性香料
5:ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン
PRM1:βγヘキセノール
PRM2:クマリン
PRM3:アセト酢酸エチル
PRM4:2部のベンズアルデヒド、2部のβγヘキセノール、10部のクマリン、10部のアセト酢酸エチル及び40部のフェニルエチルアルコール
【0034】
以下の表では、実施例11の組成物は本発明の好ましい組成物であり、この組成物は、小胞分散液の形成中に熱生成物にPRM4を添加することによって製造され、一方、実施例12及び13の組成物は、小胞分散液が形成された後に冷生成物にPRM4を添加することによって製造される。
【表3】

1:N,N−ジ(硬化タローイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド
4:非水溶性香料
5:ヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン
6.N,N−ジ(タローイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;
PRM4:2部のベンズアルデヒド、2部のβγヘキセノール、10部のクマリン、10部のアセト酢酸エチル及び40部のフェニルエチルアルコール
【0035】
(実施例14)
本実施例では、2枚のテリー織の材料見本40グラムをそれぞれ、上の実施例11〜13の組成物をそれぞれ2mL含有する水道水1Lで5分間すすぎ、テリー織の材料見本を市販の洗濯機で脱水した。材料見本を、一晩自然乾燥し、実施例11の組成物で処理された材料見本の臭気効果を実施例12及び13の組成物でそれぞれ処理された材料見本と比較する。
【0036】
以下の表は、本発明の好ましい組成物で処理されたテリー織の材料見本について更に高い臭気効果を示す。
【表4】

使用されたスケール:+3=わずかに強い;+5=強い。
【0037】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、その関連部分において本明細書に参考として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本発明に対する従来技術であることを認めるものと解釈すべきではない。
【0038】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含する。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる数値範囲は、より広い数値範囲内にあるあらゆるより狭い数値範囲を、そのような狭い数値範囲が本明細書に全て明示的に記載されたものとして包含する。
【0039】
本発明の特定の実施形態を例示し、記載してきたが、様々なその他の変更及び修正を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことが可能であることは、当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性組成物であって、
(a)前記組成物の約1重量%〜約30重量%の下式:
【化1】

又は
【化2】

又は
【化3】

を有するジアルキル第四級アンモニウム化合物〔式中、R及びRは独立してC12〜C20飽和アルキル鎖であり;Yは
【化4】

又は
【化5】

であり、
式中、Rはエチル又はイソプロピルであり;R及びRは独立して、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピルであり;mは1、2、又は3であり;nは1又は2であり;pは0又は1であり;及びXはアニオンである〕;
(b)前記組成物の約0.01重量%〜約10重量%の、約2.0未満のClogPを有する水溶性活性物質;及び
(c)前記組成物の少なくとも約60重量%の水;
を含む、
ここで、前記組成物は、約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞を含有する、水性組成物。
【請求項2】
前記小胞の前記小胞透過性指数が、約1.1未満である、請求項2に記載の組成物。
【請求項3】
前記小胞の前記小胞透過性指数が、約1.0未満である、請求項3に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性活性物質のClogPが、約1.0未満である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記水溶性活性物質が、香料原材料、シクロデキストリン、殺生物剤、肥料、薬物、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記水溶性活性物質が、香料原材料である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記水溶性活性物質が、シクロデキストリンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物が、N,N−ジ(ステアロイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(硬化タローイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N−ステアリル−N−(ステアロイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N−硬化タローイル−N−(硬化タローオイル−オキシ−エチル)−N,N−ジメチルアンモニウムクロライド;N,N−ジ(ステアロイル−オキシ−エチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート;N,N−ジ(硬化タローオイル−オキシ−エチル)−N−メチル,N−(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムメチルサルフェート;1,2−ジステアロイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンクロライド及び1,2−硬化タローオイルオキシ−3−N,N,N−トリメチルアンモニウムプロパンクロライドから成る群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物が、前記組成物の約2重量%〜約25重量%のレベルで存在する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
約1.3未満の小胞透過性指数を有する小胞、及び水溶性活性物質、を含む組成物の製造方法であって、
(a)下式:
【化6】

又は
【化7】

又は
【化8】

を有するジアルキル第四級アンモニウム化合物を提供する工程〔式中、R及びRは独立してC12〜C20飽和アルキル鎖であり;Yは
【化9】

又は
【化10】

であり
式中、Rはエチル又はイソプロピルであり;R及びRは独立して、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、又はヒドロキシプロピルであり;mは1、2、又は3であり;nは1又は2であり;pは0又は1であり;及びXはアニオンである〕;
(b)前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物を前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物の遷移温度より高い温度まで加熱する工程;
(c)前記水溶性活性物質を前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物に添加して混合物を形成する工程;及び
(d)前記混合物を前記ジアルキル第四級アンモニウム化合物の遷移温度より高い温度を有する水に分散する工程、
を含む、製造方法。

【公表番号】特表2007−508126(P2007−508126A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−527172(P2006−527172)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033655
【国際公開番号】WO2005/037973
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】