説明

特定の置換スルフィルイミン類を殺虫性スルホキシイミン類に酸化する方法

式(Ia)の殺虫性スルホキシイミン類は、対応する式(I)のスルフィルイミンを四酸化ルテニウム又はアルカリ金属過マンガン酸塩で酸化することによって効率的及び高収率で生成される。式(Ia)及び式(I)中、Het、R、R、R、L、及びnは特許請求の範囲の定義の通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺虫性スルホキシイミン類を特定の置換スルフィルイミン類から調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
置換スルフィルイミン類は、特定の新規な殺虫剤の調製の中間体として有用であり、例えば米国特許出願公開第2005/0228027号を参照されたい。対応するスルフィルイミン類から殺虫性スルホキシイミン類を効率的かつ高収率で生成できれば好都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0228027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以下の一般構造(I)
【化1】


(式中
Hetは、
【化2】


を表し、
Xは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR又はCONRを表し;
Yは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリール、又はヘテロアリールを表し;
nは0〜3の整数であり;
Lは、単結合、−CH(CH−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが4、5、又は6員環を表し、pは1〜3の整数である)、−CH(CHOCH)−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが6員環を表す)、又は−CH−(この場合、L、R、及びこれらが結合する共通の炭素を合わせたものが最高で1つ以下のヘテロ原子を有する4、5、又は6員環を表す)のいずれかを表す。
【0005】
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、又は−CH−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが4、5、又は6員環を表す)を表し;
及びRは独立に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルを表すか、又はR及びR及びそれらが結合する共通の炭素が3〜6員環を形成し;
及びRは独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル;C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを表す)
を有する特定の置換スルフィルイミン類を酸化して、構造(Ia)、
【化3】


(式中、
、R、R、Het、L、及びnは前出の定義の通りである)
を有する殺虫性スルホキシイミン類を形成する方法に関する。この方法において、式Iのスルフィルイミンは、スルフィルイミンを強酸化条件に対して実質的に不活性である適切な有機溶媒中で、四酸化ルテニウム又はアルカリ金属過マンガン酸塩を含む酸化剤と−10〜45℃の温度で接触させることで、対応する式Iaのスルホキシイミンに酸化される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方法は以下の種類のスルフィルイミン類の酸化に特に適している。
(1)Hetが(6−置換)ピリジン−3−イル又は(2−置換)チアゾール−5−イルであり、Xがハロゲン又はC〜Cハロアルキルであり、Yが水素である式(I)の化合物
(2)R及びRが前出の定義の通りであり、Rがメチルであり、nが1であり、Lが単結合であり、構造、
【化4】


を有する式(I)の化合物
(3)nが1であり、R、S、及びLを合わせたものが標準的な4、5、又は6員環を形成し、そのためLは−CH(CH−であり、pは1〜3の整数であり、Rは−CH−であり、構造、
【化5】


を有する式(I)の化合物
(4)nが0であり、R、S、及びLを合わせたものが標準的な4、5、又は6員環を形成し、そのためLは−CH(CH−であり、pは1〜3の整数であり、Rは−CH−であり、構造、
【化6】


を有する式(I)の化合物。
【0007】
特に明記しない限り、本明細書全体にわたって、すべての温度は℃の単位で提供され、すべての%は重量%である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、用語「アルキル」、「アルケニル」、及び「アルキニル」、並びに派生される用語、例えば「アルコキシ」、「アシル」、「アルキルチオ」、「アリールアルキル」、「ヘテロアリールアルキル」、及び「アルキルスルホニル」は、それらの範囲内で直鎖、分岐鎖、及び環状部分を含む。従って、典型的にはアルキル基は、メチル、エチル、1−メチル−エチル、プロピル、1,1−ジメチルエチル、及びシクロプロピルである。特に明記しない限り、それぞれが、非置換であってもよいし、限定するものではないがハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、C〜Cアシル、ホルミル、シアノ、アリールオキシ、又はアリールから選択される1つ又はそれ以上の置換基で置換されていてもよく、但しこれらの置換基は、立体的に適合性であり、化学結合及び歪みエネルギーの法則を満たすものである。用語「ハロアルキル」及び「ハロアルケニル」は、1から可能な最大数のハロゲン原子で置換されたアルキル基及びアルケニル基を含み、あらゆる組み合わせのハロゲンが含まれる。用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を含み、フッ素が好ましい。用語「アルケニル」及び「アルキニル」は1つ又はそれ以上の不飽和結合を含むことを意図している。
【0009】
用語「アリール」はフェニル基、インダニル基、又はナフチル基を意味する。用語「ヘテロアリール」は、1つ又はそれ以上のヘテロ原子、すなわちN、O、又はSを含有する5又は6員芳香環を意味し;これらの複素環式芳香環は別の芳香族系と縮合することができる。アリール又はヘテロアリール置換基は、非置換であってもよいし、もしくは、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アリールオキシ、ホルミル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン化C〜Cアルキル、ハロゲン化C〜Cアルコキシ、C〜Cアシル、C〜Cアルキルチオ、C〜Cアルキルスルフィニル、C〜Cアルキルスルホニル、アリール、C〜COC(O)アルキル、C〜CNHC(O)アルキル、C(O)OH、C〜CC(O)Oアルキル、C(O)NH、C〜CC(O)NHアルキル、又はC〜CC(O)N(アルキル)から選択される1つ又はそれ以上の置換基によって置換されていてもよいが、但しこれらの置換基は、立体的に適合性であり、化学結合及び歪みエネルギーの法則を満たすものである。
【0010】
式Iのスルフィルイミン出発物質は、本出願と同時に出願された特許出願の主題であり、それらの一部は米国特許出願公開第2005/0228027号に開示されている。これらは以下のスキームA及びBにより、対応するスルフィド類から調製することができる。
【0011】
、R、R、n、及びLが前出の定義の通りである式(I)の化合物は、スキームAに示される方法によって調製することができる。
【化7】

【0012】
スキームAのステップaにおいて、式(A)のスルフィドは、クロラミンT三水和物極性溶媒を使用して25〜60℃でイミノ化することで式(B)のN−トシルスルフィルイミンが得られる。ほとんどの場合、アセトニトリルがこのイミノ化の好ましい溶媒である。
【0013】
スキームAのステップbにおいて、N−トシルスルフィルイミン(B)を純粋な硫酸中で加水分解して、N−非置換スルフィルイミン(C)が得られる。典型的にはこの生成物は、さらに精製することなく次の反応に直接使用される。
【0014】
スキームAのステップcにおいて、スルフィルイミン(C)の窒素を塩基の存在下でシアノゲンブロマイドでシアン化してN−置換スルフィルイミン(I)を得ることができる。
【0015】
Het、R、R、R、n、及びLが前出の定義の通りである式(Ia)の化合物は、スキームBに示される方法によって調製することができる。従って、前駆体スルフィドをシアナミドの存在下0℃においてヨードベンゼンジアセテートで酸化するとスルフィルイミン(Ia)が得られる。この反応はCHClなどの極性非プロトン性溶媒中で行うことができる。
【化8】

【0016】
次に、前駆体スルフィド(A)はスキームC、D、E、F、G、H、及びIに示されるような異なる方法で調製することができる。
【0017】
スキームC中、Lが単結合であり、nが1であり、R=Hであり、R、R、及びHetが前出の定義の通りである式(A)のスルフィドは、アルキルチオールのナトリウム塩を使用した求核置換によって式(D)のハライド類から調製することができる。
【化9】

【0018】
スキームD中、Lが単結合であり、nが3であり、R=Hであり、R、R、及びHetが前出の定義の通りである式(A)のスルフィドは、式(E)のクロライドを、塩基、例えばカリウムtert−ブトキシドの存在下で2−モノ置換メチルマロネートと反応させて、2,2−二置換マロネートを得て、塩基条件下で加水分解して二酸を形成し、加熱することによってその二酸を脱炭酸して一酸を得て、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を使用してその一酸を還元してアルコールを得て、トルエンスルホニルクロライド(トシルクロライド)をピリジンなどの塩基の存在下で使用してそのアルコールをトシル化してトシレートを得て、そのトシレートを所望のチオールのナトリウム塩で置換することによって調製することができる。
【化10】

【0019】
スキームE中、Lが単結合であり、nが2であり、R=Hであり、R、R、及びHetが前出の定義の通りである式(A)のスルフィドは、式(F)のニトリルを強塩基で脱プロトンし、アルキルヨージドでアルキル化してα−アルキル化ニトリルを得て、HClなどの強酸の存在下でそのα−アルキル化ニトリルを加水分解をして酸を得て、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を使用してその酸を還元してアルコールを得て、トシルクロライドを使用してピリジンなどの塩基の存在下でそのアルコールをトシル化してトシレートを得て、このトシレートを所望のチオールのナトリウム塩で置換することによって調製することができる。
【化11】

【0020】
スキームF中、nが0であり、Rが−CH−であり、Lが−CH(CH−であり、pが2又は3のいずれかであり、R、S、及びLを合わせたものが5又は6員環を形成し、Hetが前出の定義の通りである式(A)のスルフィドは、テトラヒドロチオフェン(p=2)又はペンタメチレンスルフィド(p=3)(G)から調製することができる。ベンゼン中でN−クロロスクシンイミドを使用して環状スルフィド出発物質を塩素化した後、特定のリチオ化複素環又はグリニャール試薬を使用してアルキル化することで、所望のスルフィド(A)を十分な収率で得ることができる。
【化12】

【0021】
式(A)の環状スルフィド類を得るためのより効率的なプロトコルをスキームGに示しており、式中、Hetは6−置換ピリジン−3−イルであり、Zは前出の定義の通りである。従って、チオ尿素を置換クロロメチルピリジンに加え、加水分解した後、水性塩基条件下で適切なブロモクロロアルカン(p=1、2、又は3)を使用してアルキル化するとスルフィド(H)が得られる。続いて(G)を、カリウム−t−ブトキシドなどの塩基の存在下、極性非プロトン性溶媒中、例えばTHF中で環化すると環状スルフィド(A)が得られる。
【化13】

【0022】
Hetが置換ピリジン−3−イルであり、Zが前出の定義の通りであり、R,R=CHである式(A)の特定のスルフィド類はスキームHに示される方法によっても調製することができる。従って、適切なエノンをジメチルアミノアクリロニトリルと結合させ、DMF中の酢酸アンモニウムを使用して環化すると、対応する6−置換ニコチノニトリルが得られる。メチル−マグネシウムブロマイドで処理し、ナトリウムボロハイドライドで還元し、塩化チオニルで塩素化し、アルキルチオールのナトリウム塩で求核置換することによって所望のスルフィド(A)が得られる。
【化14】

【0023】
スキームHの一変形がスキームIに示されており、この場合、ピロリジンなどのアミンに、特定のスルフィド類と適切な置換α,β−不飽和アルデヒド類とのマイケル付加体を使用し付加することによって形成されるエナミン類を、置換エノンと結合させ、酢酸アンモニウムをCHCN中で使用して環化させることで、R、R、R、及びZが前出の定義の通りである所望のスルフィド(A)が得られる。
【化15】

【0024】
本発明において使用される酸化剤は、四酸化ルテニウム又はアルカリ金属の過マンガン酸塩である。
【0025】
四酸化ルテニウムは強力な酸化剤であり、最も好都合には、アルカリ金属過ヨウ素酸塩から、四酸化ルテニウムに変化することができる水溶性テニウム塩の存在下でin situで生成する。この水溶性ルテニウム塩は、触媒量でのみ存在する必要があり、一般にスルフィルイミンの量を基準にして0.05〜2.0モル%である。化学量論量の過ヨウ素酸塩が一般には好ましいが、スルフィルイミンの量を基準にして0.9〜1.1モル当量で使用すると多くの場合好都合となる。四酸化ルテニウムに変化することができるルテニウム塩としては、限定するものではないが、二酸化ルテニウム及び塩化ルテニウムが挙げられ、塩化ルテニウムが好ましい。過ヨウ素酸ナトリウム及び過ヨウ素酸カリウムが好ましいアルカリ金属過ヨウ素酸塩である。
【0026】
過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸カリウムが好ましいアルカリ金属過マンガン酸塩であり、過マンガン酸ナトリウムが最も好ましい。過マンガン酸塩の当量範囲はスルフィルイミン基質に対して0.9〜1.1であってもよい。好ましい当量数は0.95である。過マンガン酸塩反応混合物の後処理を行う場合、過剰の過マンガン酸塩をクエンチすることが望ましい。後処理のクエンチステップでメタ重亜硫酸の塩(例えばナトリウム又はカリウム)を使用することができる。好ましい塩の選択はナトリウムである。メタ重亜硫酸塩の当量数は、過マンガン酸塩の化学量論に対して1.0〜5.0とすることができる。好ましい当量範囲は2.0〜4.0である。
【0027】
本発明の方法は、強酸化条件に対して実質的に不活性である適切な有機溶媒中で行われる。特に適切な有機溶媒は、ハロゲン化脂肪族及びハロゲン化芳香族炭化水素、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、及びジクロロベンゼン、並びに脂肪族及び芳香族ニトリル類、例えばアセトニトリル及びベンゾニトリルである。好ましい反応溶媒は、塩化メチレン及びアセトニトリルである。例えば、ハロゲン化脂肪族炭化水素、例えばジクロロメタンと水との混合物を含む二相溶媒系中で酸化を行うと多くの場合好都合である。
【0028】
反応温度は−10℃〜45℃の範囲とすることができる。好ましい範囲は10℃〜30℃である。
【0029】
スルフィルイミン基質は、有機溶媒中に溶解させて、それを酸化剤水溶液に加えることができるし、又は、水性酸化剤溶液をスルフィルイミンの有機溶媒中の溶液に加えることができる。好ましい添加順序は、スルフィルイミン溶液を酸化剤水溶液に加えることである。
【0030】
以下の実施例により本発明を説明する。
【実施例1】
【0031】
メチル−5−(2−クロロ)ピリジン−メチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化16】


5−(2−クロロ)ピリジン−メチル−N−シアノスルフィルイミン(151g、0.7mol)を4リットルのジクロロメタン中に溶解させて、過ヨウ素酸ナトリウム(302g、1.4mol)の水3リットル中の溶液に加えた。塩化ルテニウム(III)水和物(160mg)を加え、その混合物を20分間室温で撹拌した。その有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、チャコールで処理し、続いて濾過し、濃縮した。得られた黄褐色固体をアセトン及びヘキサンの混合物中で粉砕し、濾過により回収し、乾燥させて110gの生成物を得た。mp120〜122℃。H NMR(300MHz、CDCl)δ8.5(d,1H,J=1.9)、7.9(dd,1H,J=1.9,8.3)、7.6(d,1H,J=8.3)、5.1(s,2H)、3.45(s,3H)。
【実施例2】
【0032】
メチル−5−(2−クロロ)ピリジン−1−エチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化17】


3.1リットルの水中で300グラムの過ヨウ素酸ナトリウムの溶液を調製した。2リットルの四塩化炭素及び1.7リットルのアセトニトリルをこの溶液溶液に加え、続いて1.6グラムの塩化ルテニウム(III)水和物を加えた。5−(2−クロロ)ピリジン−1−エチル−N−シアノスルフィルイミン(161g、0.7mol)を350ミリリットルのアセトニトリル中に溶解させ、室温で上記の撹拌混合物中に加えた。20分後、その有機相を分離し、NaHSO水溶液で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、チャコールで処理し、続いて濾過し、濃縮した。得られた固体をヘキサン及びアセトンの混合物中で粉砕して、101gのジアステレオマーの3:2混合物を白色固体として得た。mp102〜110℃。H NMR(300MHz、d−DMSO)δ8.5(d,1H)、8.0(m,1H)、7.6(d,1H)、5.2(m,1H)、3.45(m,3H);1.8(d,3H)。
【実施例3】
【0033】
メチル−5−(2−クロロ−3−ニトロ)ピリジン−メチル-N−シアノスルホキシイミンの調製
【化18】


過ヨウ素酸ナトリウム(661mg、3.1mmol)を25℃の7ミリリットルの水に加え、次に7ミリリットルのジクロロメタンを加え、次に塩化ルテニウム(III)水和物(8.7mg、0.04mmol)を加えて溶液を調製した。5−(2−クロロ−3−ニトロ)ピリジン−メチル−N−シアノスルフィルイミン(400mg、1.5mmol)を3ミリリットルのジクロロメタン中に溶解させ、室温で上記溶液に滴下した。20分後、その有機層を分離し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで精製して生成物を得た。mp138〜140℃。H NMR(400MHz、CDCl/DMSO)δ8.44(d,1H)、8.31(d,1H)、4.82(s,2H)、3.04(s,3H)。LC−MS(ELSD):CClNSとして計算した質量[M+H]275。測定値275。
【実施例4】
【0034】
メチル−5−(2−クロロ−3−メトキシ)ピリジン−メチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化19】


過ヨウ素酸ナトリウム(351mg、1.6mmol)を25℃の3ミリリットルの水に加え、次に3ミリリットルのジクロロメタンを加え、次に塩化ルテニウム(III)水和物(4.6mg、0.021mmol)を加えることによって溶液を調製した。5−(2−クロロ−3−メトキシ)ピリジン−メチル−N−シアノスルフィルイミン(200mg、0.82mmol)を2.5ミリリットルのジクロロメタン中に溶解させ、上記溶液に滴下し、室温で30分間撹拌した。濾過の後、有機相を分離し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色固体を得た。mp123〜125℃。H NMR(400MHz、CDCl)δ7.98(d,1H)、7.41(d,1H)、4.63(dd,1H)、3.99(s,3H)、3.11(s,3H)。LC−MS(ELSD):C11ClNSとして計算した質量[M+H]260。測定値260。
【実施例5】
【0035】
メチル−5−(2−クロロ−3−ブロモ)ピリジン−メチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化20】


過ヨウ素酸ナトリウム(246mg、1.2mmol)を25℃の3ミリリットルの水に加え、次に3ミリリットルのジクロロメタンを加え、次に塩化ルテニウム(III)水和物(6.6mg、0.029mmol)を加えることによって溶液を調製した。5−(2−クロロ−3−ブロモ)ピリジン−メチル−N−シアノスルフィルイミン(170mg、0.6mmol)を2ミリリットルのジクロロメタン中に溶解させ、上記溶液に滴下し、室温で1時間撹拌した。その有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色固体を得た。mp139〜142℃。H NMR(400MHz、CDCl/DMSO)δ8.6(d,1H)、8.4(d,1H)、5.1(s,2H)、3.5(s,3H)。LC−MS(ELSD):CBrClNOSとして計算した質量[M+H]308。測定値308。
【実施例6】
【0036】
メチル−5−(2−メトキシ)ピリジン−メチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化21】


過ヨウ素酸ナトリウム(818mg、3.8mmol)を25℃の6ミリリットルの水に加え、次に6ミリリットルのジクロロメタンを加え、次に塩化ルテニウム(III)水和物(22mg、0.095mmol)を加えることによって溶液を調製した。5−(2−メトキシ)ピリジン−メチル−N−シアノスルフィルイミン(400mg、1.9mmol)を3ミリリットルのジクロロメタン中に溶解させ、上記溶液に滴下した。その反応物をCHCl(10ミリリットル)で希釈し、珪藻土プラグに通した。その有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、スルホキシイミンを黄色固体として得た。mp=89〜91℃。H NMR(400MHz,CDCl/DMSO)δ8.2(d,1H)、7.7(dd,1H)、6.9(d,1H)、4.5(s,2H)、4.0(s,3H)、3.1(s,3H)。LC−MS(ELSD):C11Sとして計算した質量[M+H]225。測定値225。
【実施例7】
【0037】
3−[5−(2−トリフルオロメチル)ピリジン]−N−シアノ−シクロペンチルスルホキシイミンの調製
【化22】


過ヨウ素酸ナトリウム(861mg、4.07mmol)を14ミリリットルの水に加え、次に24ミリリットルのジクロロメタンを加え、次に塩化ルテニウム(III)水和物(8mg、0.04mmol)を加えることによって溶液を調製した。3−[5−(2−トリフルオロメチル)−ピリジン−N−シアノ−シクロペンチルスルフィルイミン(1.00mg、3.66mmol)を上記溶液に加えた。得られた溶液を室温で終夜撹拌した。イソプロピルアルコール(0.5ミリリットル)をこの溶液に加えた。その反応物を珪藻土パッドに通した。その有機相を分離し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、スルホキシイミンをオフホワイト固体として得た(360mg、34%)。H NMR(400MHz、アセトン−d)δ8.89(重複二重項、1H)、8.25(m,1H)、7.9(重複二重項、1H)、4.4〜3.9(m,2H)、3.8〜3.6(m,3H)、3.0〜2.5(m,2H)。
【実施例8】
【0038】
メチル−5−(2−トリフルオロメチル)ピリジン−1−エチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化23】


添加漏斗、還流冷却器、機械的撹拌機、及びサーモウェルを取り付けた4口の5L丸底フラスコに、1472g(0.845mol)の15%w/wのジクロロメタン中のスルフィルイミンを充填した。この溶液を撹拌しながら氷水浴中で3℃に冷却した。この溶液に299g(0.845mol)の40%w/w過マンガン酸ナトリウム水溶液を添加漏斗から2時間かけて滴下した。過マンガン酸塩の添加中に、内部温度が3℃から11℃まで上昇するように添加速度を制御した。添加漏斗を80mLの水で洗浄した。次に反応物を氷浴で冷却しながら1時間撹拌した。この混合物に645gのメタ重亜硫酸ナトリウム(3.38mol)の1200mLの水中の溶液を1.5時間かけて加えた。重亜硫酸塩溶液を最初に添加したときに明確な発熱が見られた(内部溶液の温度上昇は3℃〜30℃であった)。さらに250mLの水を加え、すべての褐色のマンガン副生成物が反応器壁面から溶蝕されるまで、反応物をさらに2時間撹拌した。この混合物に180mLのアセトニトリルを加えた。約2Lの反応混合物を粗いガラスフリット漏斗で吸引濾過し(濾過は迅速であった)、得られた濾過ケーキを250mLのジクロロメタンで洗浄した。次にその有機層をロトバップ(rotovap)上で濃縮した。反応混合物の残りの部分を同じフリット漏斗で濾過し、得られた濾過ケーキをさらなる250mLのジクロロメタンで洗浄した。底部の有機層を回収し、他方の部分に加え、ロトバップ上で濃縮して228g(理論を基準にして収率97%)のオフホワイト固体を得た。この粗材料のLC分析によると純度は96%であった。
【実施例9】
【0039】
メチル−5−(2−トリフルオロメチル)ピリジン−1−エチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化24】


5Lの4口丸底フラスコ中で、400mLのジクロロメタン、400mLの水、及び320mL(1.25mol)のNaMnOの40%水溶液の混合物を氷浴で13℃に冷却した。この混合物を高速で撹拌しながら、(約1.0mol)スルフィルイミンの1000mLのジクロロメタン(約1560g)中の溶液を1 3/4時間かけて滴下した。この時間の間、氷浴を下げたり上げたりして反応温度を13〜20℃に維持した。15℃で30分間撹拌した後、570g(3.0mol、3当量)のメタ重亜硫酸ナトリウムの900mLの水中の溶液を、高速で撹拌しながら1.5時間かけて加えた。激しく発熱し、最初は急激に温度が15から28℃まで上昇した。この混合物を室温(23℃)で30分間撹拌した後、濾過した。得られた固体を、ウェットケーキの2倍の体積のジクロロメタンで洗浄した。得られた透明な二相混合物を4Lの分液漏斗に移し、底部の有機物を回収した。水層を30mLのジクロロメタンで再度抽出し、その有機物を第1のカットと合わせた。この溶液を減圧濃縮して、275gの白色固体を得た。この固体をフード中で一晩かけて風乾させて260gを得て、最終的に真空オーブン中40℃で乾燥させて259g(93重量%)の白色固体を得た。LC分析より、30:68の(面積)比の2つの異性体、及び97面積%の純度が示された。
【実施例10】
【0040】
メチル−5−(2−トリフルオロメチル)ピリジン−1−エチル−N−シアノスルホキシイミンの調製
【化25】


スルフィルイミン(約0.022モル)のアセトニトリル(50mL)中の溶液を氷浴中で5℃まで冷却した。十分撹拌しながらこの溶液に(8.0グラム、0.022モル)の40重量%NaMnO水溶液を20分間かけて加えた。この添加中に反応温度が24℃に上昇した。得られた褐色反応スラリーを30分間撹拌した後、5℃に冷却した。30重量%メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(29.8グラム、0.047モル)を、激しく撹拌した反応混合物に数回にわけて20分間で加えた。この添加で発熱が起こり、添加の途中で温度が15〜20℃上昇した。反応混合物スラリーは添加中に粘度が上昇した。混合しやすくするために、さらにアセトニトリル(5mL)及び水(5mL)を加えた。クエンチした反応混合物を中程度の焼結ガラスフィルター漏斗で減圧濾過した。回収した灰色固体をアセトニトリル(5mL)で洗浄した。濾液と洗液とを合わせたものを分液漏斗に移して相分離させ、下の水相を取り除いた。上の有機層について、イソプロピルアルコール溶媒(40グラム)を追加して減圧濃縮して、5.2グラム(回収83重量%)の粗スルホキシイミンを黄色固体として得た。イソプロピルアルコール(4mL)から再結晶させて3.3グラム(52%)のスルホキシイミンを白色固体として得た。LC分析により、81:19の(面積)比の2つの異性体、及び89面積%の純度が示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫性スルホキシイミン類(Ia)
【化1】


(式中
Hetは、
【化2】


を表し、
Xは、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR又はCONRを表し;
Yは、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、NO、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリール、又はヘテロアリールを表し;
nは0〜3の整数であり;
Lは、単結合、−CH(CH−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが4、5、又は6員環を表し、pは1〜3の整数である)、−CH(CHOCH)−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが6員環を表す)、又は−CH−(この場合、L、R、及びこれらが結合する共通の炭素を合わせたものが最高で1つ以下のヘテロ原子を有する4、5、又は6員環を表す)のいずれかを表す。
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、又は−CH−(この場合、R、S、及びLを合わせたものが4、5、又は6員環を表す)を表し;
及びRは独立に、水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、C〜Cアルコキシ、C〜Cハロアルコキシ、CN、SO(式中のmは0〜2の整数である)、COOR、CONR、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルを表すか、もしくはR及びR及びそれらが結合する共通の炭素が3〜6員環を形成するかであり;
及びRは独立に、水素、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル;C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを表し;
は、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルケニル、アリールアルキル、又はヘテロアリールアルキルを表す)
の調製方法であって、式(I)
【化3】


(式中、
、R、R、L、Het、及びnは前出の定義の通りである)
のスルフィルイミンを、強酸化条件に対して実質的に不活性である適切な有機溶媒中、四酸化ルテニウム又はアルカリ金属過マンガン酸塩を含む酸化剤と−10〜45℃の温度で接触させて前記スルフィルイミンを酸化するステップを含む方法。
【請求項2】
Hetが(6−置換)ピリジン−3−イル又は(2−置換)チアゾール−5−イルであり、Xがハロゲン又はC〜Cハロアルキルであり、Yが水素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発スルフィルイミンが構造
【化4】


(式中、
Het、R、及びRは前出の定義の通りであり、Rはメチルであり、nは1であり、Lは単結合である)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記出発スルフィルイミンが構造
【化5】


(式中、
nが1であり、R、S、及びLを合わせたものが標準的な4、5、又は6員環を形成し、そのためLは−CH(CH−であり、pは1〜3の整数であり、Rは−CH−であり、Het、R、及びRは前出の定義の通りである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記出発スルフィルイミンが構造
【化6】


(式中、
nが0であり、R、S、及びLを合わせたものが標準的な4、5、又は6員環を形成し、そのためLは−CH(CH−であり、pは1〜3の整数であり、Rは−CH−であり、Hetは前出の定義の通りである)
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記温度が10℃〜30℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記酸化剤がアルカリ金属過マンガン酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記酸化剤が四酸化ルテニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記四酸化ルテニウムが、四酸化ルテニウムに変化することができる水溶性ルテニウム塩の存在下、アルカリ金属過ヨウ素酸塩からin situで生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記四酸化ルテニウムに変化することができる水溶性ルテニウム塩が塩化ルテニウムである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記有機溶媒が、ハロゲン化脂肪族又はハロゲン化芳香族炭化水素、もしくは脂肪族又は芳香族ニトリルである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ハロゲン化脂肪族炭化水素と水との混合物を含む二相溶媒系中で行われる、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−518078(P2010−518078A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549058(P2009−549058)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/003783
【国際公開番号】WO2008/097235
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】