説明

特定コポリアミドの層とバリヤー層とを含む多層構造物

【課題】特定コポリアミドの層とバリヤー層とを含む多層構造物を提供する。
【解決手段】層(L1)と層(L2)を有する多層構造物であり、層(L1)は少なくとも80モル%が下記の2つの単位(s)と(a)を含み、(s)/(a)のモル比が1以上かつ3以下で、少なくとも220℃の融点を有する半結晶コポリアミド(H)を主成分とする組成物からなり、層(L2)はテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマーを主成分とする組成物からなる。前記単位(s)は芳香族二酸に由来するサブ単位と9個以上かつ13個以下の炭素原子を有する脂肪族ジアミンに由来する半芳香族単位に由来するサブ単位とで形成される一種または複数の単位であり、前記単位(a)は一つの窒素原子当たりの炭素原子数が8以上かつ13以下である脂肪族単位を表す単位である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一種または複数の特定半結晶性コポリアミドを主として含む組成物の層(外側層)と、特定のフッ素化ポリマーを含むバリヤー層(内側層)とを含む多層構造物と、オイル、尿素溶液ベースの液体、燃料、特にアルコール化燃料、冷却液体、貯蔵流体さらには駆動ガス発散剤(emanation de gas moteur)等の流体の移送および/または貯蔵でのその使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
輸送および車両の分野では、ガソリン(アルコールを含むこともある)、冷却液(アルコールおよび水)、ブレーキオイル、空調設備の回路中の冷却液体、オイル、駆動ガス発散剤、尿素溶液等の流体を輸送するために、ポリマーをベースにした組成物から成る多くのパイプが使われる。
【0003】
これらのパイプやタンクでは、環境保護観点から上記流体が蒸発して失われるのを避けるためにバリヤー特性を良くする必要がある。このバリヤー特性とは上記流体の輸送または貯蔵中に流体がパイプやタンクの材料を透過(permeable)しないということを意味する。
【0004】
さらに、安全性の観点から、これらのパイプやタンクは激突時または事故時に機械的かつ化学的に極めて強くなければならず、特に耐クリープ性が良くなければならない。また、車両での使用を容易にするため、特に取付けを容易にするために十分な可撓性も有していなければならない。
【0005】
一般には、外側層としの耐久性のあるポリマー層と内側層としての少なくとも一つのバリヤー層とを組み合わせた多層構造のチューブやタンクが使用されている。特に、外側層は可撓性のある炭素数の多い脂肪族ポリアミドにすることができる。その機能は特に多層構造全体の機械的強度および耐薬品性を確実にすることにある。
この可撓性のある炭素数の高い脂肪族ポリアミドの例としてはポリアミド12(PA12)、PA11、PA10.10、PA10.12またはPA12.12をベースにした組成物が挙げられる。
【0006】
これらのポリアミドは多くの有利な特性を有し、優れた機械特性と低温での耐衝撃抵抗性を有し、高い耐破断伸びを有する。さらに、耐化学特性、特に耐塩化亜鉛性および耐加水分解性を有し、吸水性が小さく、寸法安定性にも優れている。また、酸素存在(thermooxidation)下の高温での劣化にも強く、可撓性があり、必要に応じて可塑剤を加えることで簡単に軟化させることができる。
【0007】
これらのポリアミドの融点(Tm)は約200℃以下(ISO 11357規格に従ってDSCで測定)である。
【0008】
非透過層を構成するのに一般に用いられているバリヤーは、官能化したポリフッ化ビニリデン(PVDF)のようなフッ素化ポリマー、PA9.T、PA10.T/6.T、PAMXD.6のような半芳香族ポリアミドあるいはエチレンとビニールアルコールのコポリマー(EVOH)のようなポリマー、フェニレンポリスルフィド(PPS)または官能化したポリブチレンナフタレート(PBN)である。
【0009】
最近の輸送および車両の分野ではエンジンカバー下の温度が高くなっており、エンジンが高温になり、密閉性が高くなっている。さらに、重量を軽くするために金属またはゴムの配管を高温で使用可能なポリマーに代えることが計画されている。エンジンカバー下の温度は外側層を構成するポリマー、特に、高炭素数の可撓性ポリアミドの層の融点(Tm)を越えている。従って、ゴムまたは金属の配管の代替品を見付けるというニーズがある。しかし、この代替品は一般に使用されている高炭素数の可撓性脂肪族ポリアミドの基本的特性を維持していなければならない。特に要求される特性は柔軟性、耐化学薬品性、低吸水性、耐低温衝撃性、高い破断伸び、空気中および加熱流体中での耐劣化性、過度に高くない温度での加工特性である。
【0010】
低炭素数の脂肪族ポリアミド、例えばPA6、PA6.6、PA4.6は周知で、高い炭素数の可撓性ポリアミドの融点Tmより高い融点、一般には220℃〜300℃を有するが、耐化学薬品性が悪い。特に、耐塩化亜鉛性がない。また、耐吸水性が極めて悪く、可撓性ポリマー、例えば耐衝撃改良と組み合わせても低温耐衝撃性および耐劣化性が低い。従って、これら低炭素数の脂肪族ポリアミドでは上記問題を解決することができない。
【0011】
PA6.T/6.I、PA6.T/6.I/6.6、PA4.T/6.T/6.6およびPAMXD.6のような半芳香族ポリアミドは一般240℃〜340℃の高い融点Tmを有するが、リジッドであり、可撓性ポリマー、例えば衝撃改良剤と組み合わせても破断伸びが低い。その他の特性に関しても高炭素数脂肪族ポリアミド以下である。従って、これらのポリアミドも許容可能な代替品にはならない。
【0012】
最近では、PA9.T、PA9.T/9'.T(9'は2-メチル−18-ノナンジアミン、ノナンジアミンの異性体から生じる下位単位を表す)、PA10.T/6.TおよびPA10.Tのような高炭素数半芳香族ポリアミドもでてきた。これらは高炭素数脂肪族ポリアミドよりはるかに高い融点Tm、一般には260℃〜320℃の融点を有する。これらは耐吸水性、耐化学薬品性にも優れているが、極めてリジッドであり、可塑剤を入れても軟化させることができない。他の不利な点は加工に極めて高い温度、一般には300〜340℃を必要とすることである。多層構造を作る場合、この温度では他のポリマーの温度が局部的に高くなり、他のポリマーを劣化させることになる。従って、これらのポリアミドも許容可能な代替品にはならない。
【0013】
特許文献1(欧州特許第EP 1 864 796号公報)には、外側層の耐衝撃改良剤の比率を内側層より多くした、9.T型の高炭素数半芳香族ポリアミドをベースにした少なくとも2つの層から成る多層構造の使用が記載されている。この方法で耐衝撃性不足の問題は解決できるが、破断伸びの問題は解決できず、剛性がまだ高く、可塑剤の存在下でも外側層を軟化させるのは不可能であり、耐劣化性も悪い。従って、上記課題は解決できない。
【0014】
特許文献2(欧州特許第EP 1 470 910号公報)、特許文献3(欧州特許第EP 1 245 657号公報)、特許文献4(国際特許第WO 2006/056581号公報)にはポリアミドとフッ素化ポリマーとをベースにした多層構造が記載されているが、その性能は充分なものではない(実施例20、21、22および24の構造参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許第EP 1 864 796号公報
【特許文献2】欧州特許第EP 1 470 910号公報
【特許文献3】欧州特許第EP 1 245 657号公報
【特許文献4】国際特許第WO 2006/056581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、以下の特徴の全て、すなわち、少なくとも200℃の高温で経時的に耐久性が良く、機械特性(特に柔軟性、破断伸び、低温耐衝撃抵抗性)に優れ、輸送および貯蔵される流体に対する耐化学薬品性(特に耐ZnCl2性)、優れた耐バリヤー性を有し、しかも、経時劣化が極めて少ない多層構造物を提供することにある。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明者は外側層としての特定の配合比率の半芳香族単位と脂肪族単位のコポリアミドをベースにした組成物と、内側層としての特定のフッ素化ポリマーのバリヤー層とを組み合わせた特定の多層構造物を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために下記の層(L1)と層(L2)を有する多層構造物を提供する:
外側層としての層(L1)
この層(L1)は下記の2つの単位(s)と単位(a):
単位(s):
芳香族二酸(Sr)に由来する一種または複数のサブ単位と9個以上かつ13個以下の炭素原子を有する脂肪族ジアミンに由来する半芳香族単位(sa)に由来する一種または複数のサブ単位とで形成される一種または複数の単位(s)と、
単位(a):、
一つの窒素原子当たりの炭素原子数が8以上かつ13以下である一種または複数の脂肪族単位を表す一種または複数の単位(a)と、
を少なくとも80モル%含み、(s)/(a)のモル比が1以上かつ3以下で、少なくとも220℃の融点を有する一種または複数の半結晶コポリアミド(H)を主成分とする組成物からなる、
層(L2):
この層(L2)は一種または複数のテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマーを主成分とする組成物から成り、上記(TFE)のコポリマーは層(L2)が層(L1)と接触するか、一種または複数のポリアミドを主成分とする中間層と接触する時に必然的に官能化される。
【0019】
本発明はさらに、上記多層構造物を有するチューブにも関するものである。
本発明はさらに、極性および/または無極性の流体、特に車両中に存在する流体の輸送用流での上記多層構造物の使用にも関するものである。
本発明の上記以外の目的、観点および特徴は以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】は製造した構造物を示す表。
【図2】はテスト結果を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明で、特に断らない限り、百分比(%)は全てモル百分率である。また、「a〜b」という表現はaより大きく、bより小さい(すなわち両端のaとbは除く)ということを意味し、「a以上かつb以下」という表現はa以上で、b以下(すなわち両端のaとbを含む)ということを意味する。
【0022】
記号「//」は多層構造物の各層を区切るために用い、記号「/」はコポリマーの単位を区切るために用いる。
【0023】
本発明で「単位」とはラクタム、アミノ酸またはジアミンと二酸の縮合重合で得られるポリアミド構造の鎖を意味する。
【0024】
外側層(L1)
本発明の多層構造物は外側層としての層(L1)が一種または複数の半結晶性コポリアミド(H)を主成分とする組成物から成る。
【0025】
本発明で「主成分」とは層(L1)を形成する組成物の全重量と比較して半結晶性コポリアミド(H)が50重量%以上の高い含有量で層(L1)中に存在することを意味する。
【0026】
本発明の好ましい実施例では、層(L1)は空気と接触する層である。
【0027】
半結晶性コポリアミド(H)
本発明で「半結晶性ポリマー」とはガラス遷移温度(Tg)を越えて固体状態を維持するポリマーを意味する。
【0028】
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は下記の構造すなわち下記の2つの単位(s)と単位(a)を少なくとも80モル%含む:
(1)単位(s)は芳香族二酸(sr)に由来する一種または複数のサブ単位と脂肪族ジアミン(sa)に由来する一種または複数のサブ単位とで構成される一種または複数の半芳香族単位を表し、脂肪族ジアミン(sa)は9個以上かつ13個以下の炭素原子を有し、
(2) 単位(a)は一つの窒素原子当たり8個以上かつ13個以下の炭素原子を有する一種または複数の脂肪族単位を表し、
(s)/(a)のモル比は1以上かつ3以下である。
【0029】
半結晶性コポリアミド(H)はさらに、少なくとも220℃の融点(Tm)を有する。
【0030】
半芳香族単位(s)
脂肪族化合物は一般的な有機化学と同様に、芳香族化合物を除く飽和または不飽和の非環式または環式炭質化合物である。本発明で脂肪族という用語は環式化合物および芳香族化合物以外の飽和または不飽和の非環式炭素化合物を示す。従って、脂肪族という用語は直鎖または分岐鎖の飽和または不飽和炭素化合物のみをカバーする。
【0031】
半芳香族単位(s)は芳香族二酸(sr)に由来する一種または複数のサブ単位と脂肪族ジアミン(sa)に由来する一種または複数のサブ単位とから形成され、脂肪族ジアミンは9個以上かつ13個以下の炭素原子を有する。
【0032】
脂肪族ジアミン(sa)に由来するサブ単位は10個以上かつ13個以下の炭素原子を有する。
【0033】
芳香族二酸はTで表されるテレフタル酸、Iで表されるイソフタル酸、ナフタレン酸およびこれらの混合物の中から選択できる。
【0034】
脂肪族ジアミン(Caで表され、Caはジアミンの炭素原子数を表す)はノナンジアミン(a=9)、2-メチル-18-ノナンジアミン(a=9')、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)およびトリデカンジアミン(a=13)の中から選択できる。
【0035】
本発明の半芳香族単位(s)の例としては9.T、9'.T(9'は2−メチル−18−ノナンジアミンから来)、10.Tおよびこれらの組合せ、例えば9.T/9'.Tが挙げられる。10.Tを用いるのが好ましい。
【0036】
テレフタル酸(T)ベースの半芳香族単位は結晶化度が高く、融点が高いポリアミドとなるので特に有利である。従って、結晶化度が高く、融点が高くなるテレフタル酸(T)ベースの単位がリッチな半芳香族ポリアミドを選択するのが好ましい。サブ単位(Sr)はテレフタル酸のみにするのが好ましい。
【0037】
半芳香族単位(s)の比率は40モル%以上かつ75モル%以下にするのが好ましい。
【0038】
脂肪族単位(a)
脂肪族単位(a)は一つの窒素原子当たり8個以上かつ13個以下の炭素原子を有し、好ましくは一つの窒素原子当たり9個以上かつ13個以下の炭素原子を有する。
【0039】
X.Y型の単位の場合の一つの窒素原子当たりの炭素原子の数はサブ単位Xとサブ単位Yのモル平均値である。
コポリアミドの場合の一つの窒素原子当たりの炭素原子の数は同じ原則に従って計算され、各アミド単位のモル比率で計算される。
ラクタム、アミノ酸、ジアミンと二酸は一つの窒素原子当たりの上記炭素原子数の範囲の関数で選択する。
【0040】
脂肪族単位(a)がラクタムの縮重合に由来する場合、ラクタムはカプリロラクタム、エナンチオラクタム、ペラルゴンラクタム、デカノラクタム、ウンデカノラクタムおよびラウロラクタムの中で選択できる。
【0041】
単位(a)がアミノ酸の縮重合の縮重合に由来する場合は9-アミノノナン酸、10-アミノデカン酸、12-アミノドデカン酸、11-アミノウンデカン酸性およびこれらの誘導体、特に、N-ヘプチル-11-アミウンデカン酸の中から選択される。
【0042】
単位(a)がジアミン(Caで表され、Caはジアミンの炭素原子数を表す)と二酸Cb(Cbで表し、Cbは二酸の炭素原子数を表す)との縮重合に由来する場合、脂肪族ジアミンはブタンジアミン(a=4)、ペンタンジアミン(a=5)、ヘキサンジアミン(a=6)、ヘプタンジアミン(a=7)、オクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、2-メチル-18-ノナンジアミン(a=9 ')、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)、トリデカンジアミン(a=13)、テトラデカンジアミン(a=14)、ヘキサデカンジアミン(a=16)、オクタデカンジアミン(a=18)、オクタデセンジアミン(a=18)、エイコサンジアミン(a=20)、
ドコサンジアミン(a=22)および脂肪酸から得られるジアミンの中から選択できる。
【0043】
ジアミンCaはオクタンジアミン(a=8)、ノナンジアミン(a=9)、2-メチル-18-ノナンジアミン(a=9')、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)およびトリデカンジアミン(a=13)の中から選択するのが好ましい。
【0044】
脂肪族二酸は琥珀酸(b=4)、ペンタン二酸(b=5)、アジピン酸(b=6)、ヘプタン二酸(b=7)酸、オタン二酸(b=8)、アゼライン二酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル二酸(b=13)、テトラデカン二酸(b=14)、ヘキサン二酸(b=16)、オクタデカ二酸(b=18)、オクタデセン二酸(b=18)、エイコサ二酸(b=20)、ドコサ二酸(b=22)および脂肪酸の二量体の中から選択できる。
【0045】
二酸Cbはオタン二酸(b=8)、アゼライン二酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)、ブラシル二酸(b=13)の中から選択するのが有利である。
上記の脂肪酸の二量体は特許文献5に記載のような長い炭化水素鎖を有する不飽和一塩基脂肪酸(例えば、リノール酸)のオリゴマー化または重合で得られるダイマー化された脂肪酸である。
【特許文献5】欧州特許第EP0471566号公報
【0046】
ジアミンはノナンジアミン(a=9)、2-メチル-18-ノナンジアミン(a=9')、デカンジアミン(a=10)、ウンデカンジアミン(a=11)、ドデカンジアミン(a=12)およびトリデカンジアミン(a=13)の中から選択するのが好ましく、二酸はアゼライン酸(b=9)、セバシン酸(b=10)、ウンデカン二酸(b=11)、ドデカン二酸(b=12)およびブラシル酸(b=13)酸の中から選択するのが好ましい。
【0047】
脂肪族単位(a)は直鎖であるのが好ましい。脂肪族単位(a)は単位12、11、10.10、10.12、12.12、6.14および6.12の中から選択するのが好ましい。
で選ばれることができる。特に、単位12、10.10、10.12および12.12を用いるのが好ましい。
脂肪族単位(a)の比率は20モル%以上かつ5モル%以下であるのが好ましい。
【0048】
(s)/(a) 比
本発明では、脂肪族単位(a)に対する半芳香族単位(s)のモル比(s)/(a)は1以上かつ3以下、好ましくは1.5以上かつ2.5以下である。
【0049】
融点
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は少なくとも220℃、好ましくは220℃以上かつ320℃以下、特に220℃以上かつ280℃以下の融点(Tm)を有する。220℃を越えると結晶化度および引張り耐久性が許容範囲にならない。融点はISO 11357規格でDSC(Differential Scanning Calorimetry)で測定する。
【0050】
溶融エンタルピー
本発明の半結晶性コポリアミド(H)の溶融エンタルピーはISO 11357規格でDSCで測定され、10J/g以上であり、好ましくは25J/g以上である。すなわち、コポリアミドを最初に340℃の温度まで20℃/分の速度で加熱し、次いで、20℃の温度まで20℃/分の速度で冷却し、さらに、340℃の温度まで20℃分の速度で第2回目の加熱をする。この第2回目の加熱時に溶融エンタルピーを測定する。
【0051】
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は上記の2つの単位(s)および(a)を少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%含む。従って、上記単位(s)および(a)と異なる構造の他の単位を含むことができる。
【0052】
他の単位
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は上記の半芳香族単位(s)および脂肪族単位(a)と異なる構造の一種または複数の他の単位を0%以上かつ20%、含むことができる。他の単位としては以下が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は/芳香族二酸に由来するサブ単位とジアミンに由来するサブ単位で形成される一種または複数の半芳香族単位を含むことができる。このジアミンの炭素数は4以上かつ8以下にするか14以上の炭素原子数を有することができる。
【0054】
本発明の半結晶性コポリアミド(H)は一つの窒素原子当たりの炭素原子数が4以上かつ7以下であるか、14以上である一種または複数の脂肪族単位を含むことができる。
【0055】
二酸およびジアミン縮重合に由来する脂環式単位の場合には、これら2つの化合物の一つが脂環式にすることができる。
【0056】
脂環式ジアミンはビス(3,5-ジアルキル-4-アミノヒクロヘキシル)メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノ-シクロヘキシル)、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)ブタン、ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシルl)-メタン(BMACMまたはMACM)、p-ビス(アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)およびイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)(PACP)の中から選択できる。これはさらに、下記の炭素骨格を有することができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。これらの脂環式ジアミンのリストは下記文献に記載されているが、これらに限定されるものではない。
【0057】
【非特許文献1】Cycloaliphatic Amines " (Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pp. 386-405).
【0058】
この場合、二酸は上記のような直鎖または分岐鎖の脂肪族、脂環式または芳香族にすることができる。
【0059】
脂環式二酸の場合には下記の炭素骨格を有することができる:ノルボルニルメタン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0060】
この場合、ジアミンは上記のような直鎖または分岐鎖の脂肪族、脂環式または芳香族にすることができる。
【0061】
本発明のコポリアミド(H)は下記単位から成るのが好ましい:
(1)40モル%以上かつ75モル以下の一種または複数の半芳香族単位(s)、
(2)20モル以上かつ50モル%以下の一種または複数の脂肪族単位(a)、
(3)0モル以上かつ20モル%以下の上記(s)および(a)の単位とは異なる一種または複数の単位。
【0062】
本発明のコポリアミド(H)は上記脂肪族単位(a)および半芳香族単位(s)以外の単位は含まないのが好ましい。従って、下記から成るのが好ましい:
(1)50モル%以上かつ75モル%以下の一種または複数の半芳香族単位(s)、
(2)25モル%以上かつ50モル%以下の一種または複数の脂肪族単位(a)。
【0063】
半結晶性コポリアミド(H)はPA12/9.T、PA6.12/10.T、PA10.10/10.T、PA10.10/10.T/6.T、PA10.10/10.T/10.IおよびPA10.12/10.Tの中から選択するのが好ましい。
【0064】
アミン鎖末端
本発明の半結晶性コポリアミド(H)のアミン鎖末端の含有量は40μeq/g以上であるのが好ましい。このアミン鎖末端の含有量は42μeq/g以上かつ100μeq/g以下、有利には45μeq/g以上かつ70μeq/g以下にする。
【0065】
このアミン鎖末端の含有量は当業者に公知のポテンショメトリによって従来法で測定される。
【0066】
上記組成物はさらに、上記コポリアミド(H)の混合物から主として作ることもできる。
【0067】
全てのポリマ材料と同様に、多層構造物の外側層(L1)の組成物は一種または複数のポリマーおよび/または一種または複数の添加剤をさらに含むことができる。
【0068】
従って、外側層(L1)の組成物は種または複数の追加のポリマーを含むことができる。この追加のポリマーは例えば一つの窒素に対して9つ以上の炭素原子を有する脂肪族ポリアミド、ポリオレフィン(官能化されていてもよい)およびこれらの混合物の中から選択できる。
【0069】
耐撃緩性の範囲では、上記追加のポリマーは一種または複数の無水物基または酸基を有する官能化されたコポリオレフィンにすることができ、
必要に応じて一種または複数のエポキシ基を有するポリマーと混合することもできる。
【0070】
外側層(L1)を形成する組成は少なくとも一種または複数の追加のポリマー、例えば無水物基で官能化した耐衝撃性ポリマーを少なくとも18重量%含むのが好ましく、耐衝撃性ポリマーはTgが-10℃以下で、ISO178の曲げモジュールが100MPa以下であるコポリオレフィンにするのが有利である。
【0071】
外側層(L1)を形成する組成物は組成物の全重量に対して少なくとも30重量%の追加のポリマーを含むのが好ましい。この追加のポリマーは架橋したエラストマー相を形成する。この架橋したエラストマー相無水物基または酸基で官能化されたる耐衝撃性改良剤、エポキシ基を有する少なくとも一つのポリマーまたは分子、必要な場合には複数の酸基を有する少なくとも一つのポリマーまたは分子から成るのが好ましい。これらのポリマーはTgが-10℃以下で、ISO178の曲げモジュールが100MPa以下であるコポリオレフィンにするのが好ましい。
【0072】
外側層(L1)を形成する組成物はさらに添加剤を含むことができる。添加剤としては安定化剤、着色剤、可塑剤、充填剤、繊維、界面活性剤、顔料、染料、抗酸化剤、天然ワックスおよびこれらの混合物が挙げられる。可塑剤の含有量は組成物の全重量の15重量%までにすることができる。
【0073】
バリヤー層(L2)
本発明構造物のバリヤー層(L2)は内側層である。この内側層は流体と接触とする層であるのが好ましい。
【0074】
構造物が2層以上の層から成る場合には、中間層を有するか、複数の内側層で構成することができる。さらに、構造物に追加の機能または性能を与えるために複数のバリヤー層を設けることもできる。バリヤー層はバリヤー材料すなわち流体を浸透させない材料、例えば、従来から外側層で使用されている高炭素数(hautement carbone)の脂肪族ポリアミドを主成分にする。使用する流体は特にガソリン、アルコール、冷却液体、冷蔵流体または尿素溶液にすることができる。60℃でのアルコール化規格ガソリンCE10(イソオクタン45%+45%トルエン+10%エチルアルコール)に対する透過性に応じて材料を分類することができる。例えば、透過度がPA-12の少なくとも5倍ある場合にその材料でバリヤー層を構成することができるとみなすことができる。
【0075】
本発明の構造物に存在するバリヤー層(L2)は一種または複数のテトラフルオロエチレンのコポリマー(TFE)を主とした組成物である。この層(L2)は層(L1)と接触した時またはポリアミドを主成分とする中間層と接触した時に必然的に官能化される。本発明で「主成分」とは中間層を形成する組成物の全重量に対してポリアミドの含有量が50重量%以上であることを意味する。
【0076】
TFEのコポリマーは単位TFEのモル比率がこのコポリマーを形成する他の単位に対して大多数となるコポリマーであるのが有利である。この場合の他の単位とはエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンまたはパーフルオロアルキルビニル、例えばパーフルオロプロピルビニルエーテルから得ることができる。
【0077】
TFEのコポリマーはエチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレンとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)のコポリマーおよびこれらの混合物の中から有利に選択できる。官能化した場合、これらTFEのコポリマーは一種または複数の無水物基、エポキ基、酸基または酸ハロゲン化物基の官能基を有する。
【0078】
層(L2)が層(L1)と接触するか、一種または複数のポリアミドを主成分とする中間層と接触すると、テトラフルオロエチレンコポリマーは必然的に官能化される。上記のようにテトラフルオロエチレンコポリマーは無水物基、エポキ基、酸基または酸ハロゲン化物基によって官能化されてる。TFEコポリマーの官能基は隣接する層の(コ)ポリアミド、すなわち、層(L2)のTFEコポリマーと直接接触して(コ)ポリアミドと化学反応し、特に、(コ)ポリアミドの官能基と反応してこれら2つの層を互いに接着させる。
【0079】
上記TFEコポリマーはダイキンからNeoflon(登録商標)EP7000の名称で市販のものまたは旭ガラスからFluon (登録商標)AH2000の名称で市販のものを使用できる。
【0080】
上記組成物はTFEの複数のコポリマーの混合物から成ることができる。
【0081】
外側層(L1)ほどエンジンの熱環境下に直接曝されることはなく、熱遮蔽層が下側層として使用されるので、バリヤー層(L2)は220℃以下の融点を有することができるが、このバリヤー層の組成物は220℃以上の高い融点Tm、さらには220℃以上かつ280℃以下の融点Tmを有するものを選択するのが有利である。
【0082】
本発明構造物のバリヤー層(L2)の組成物は一種または複数の他のポリマー材料および/または一種または複数の添加剤をさらに含むことができるが、主として上記のTFEコポリマー・バリヤーのみから成るのが好ましい。
【0083】
使用可能な追加のポリマーは外側層(L1)の組成物で上記した物の中から選択できる。使用可能な添加剤は安定剤、着色剤、可塑剤、充填剤、ナノ充填剤、特にナノ粘度(nanoargiles)のようなバリヤーを補強する物質にすることができる。
【0084】
バリヤ層(L2)は導電性充填剤、例えば帯電防止用のカーボンブラックを含むのが有利である。
【0085】
多層構造物
本発明の半結晶性コポリアミド(H)の外側層(L1)およびバリヤー層(L2)は例えば外側から内側に向かって下記の構造を有する単純な二層チューブにすることができる:
コポリアミド(H)の層(L1)//官能化バリヤー層(L2)
【0086】
本発明構造物は種類の異なる複数の追加の層を含むことができる。
【0087】
本発明の第2の態様では、本発明構造物は層(L1)と層(L2)との間に中間層(L3)を有する3層構造にすることができる。このタイプの多層構造物は外側から内側へ向かって下記の構造を有することができる:
層質(L1)//層(L3)//官能化バリヤー層(L2)
【0088】
中間層(L3)は例えば高炭素数の脂肪族ポリアミド(すなわち一つの窒素原子当たり9個以上かつ36個以下の炭素原子数を有する一種または複数の脂肪族(コ)ポリアミド)(例えばPA11)にすることができる。
【0089】
中間層(L3)はさらに、バリヤー特性を有する層、例えば一種または複数のポリフタルアミドの層にすることもできる。
【0090】
本発明の第3の実施態様では、層(L2)が主として一種または複数の上記のような官能化したTFEのポリマーから成る場合に、本発明構造物は構造物の最内側層を形成する上記層(L2)と接触する追加の層を有することができる。この追加の層はバリヤー層にすることができる。
【0091】
本発明の多層構造は外側から内側へ向かって下記の層を有することができる:
コポリアミド(H)の層(L1)//官能化したバリヤー層(L2)//追加のバリヤー層(伝導性充填剤を含むことができる)
追加の層はバリヤー層、例えば官能化されていない上記の一種または複数のフッ素化ポリマーの層にすることができ、伝導性充填剤を含むことができる。
【0092】
多層構造は外側から内側へ向かって下記の層を有することができる:
コポリアミド(H)の層(L1)//官能化したバリヤー層(L2)//官能化していないバリヤー層(L2)(伝導性充填剤を含むことができる)
【0093】
本発明の第4の実施態様では、対称な多層構造物が外側から内側へ向かって下記の層を有することができる:
コポリアミド(H)の層(L1)//官能化したバリヤー層(L2)//コポリアミド(H)の層(L1)
【0094】
本発明の第5の実施態様では、別の官能化層を有し、外側から内側へ向かって例えば下記の層を有することができる:
コポリアミド(H)の層(L1)//官能化したバリヤー層(L2)//導電性脂肪族PA層
【0095】
上記の肪族PA層は内側層を構成する。この内側層はエンジン環境に曝される外側層より温度が低い。
【0096】
上記の全ての多層構造物、特に、最内側層をTFEのコポリマーで形成する場合には、最内側層の組成物中に静電荷を逃がすための伝導性充填剤を加えるのが有利である。
【0097】
この種の多層構造物を作る上で重要な観点は各層の間の接着性である。優れた接着力を得るためには、外側層(L1)のコポリアミド(H)の鎖末端を反応性官能基で官能化する。
【0098】
これは例えば上記旭硝子のETFEフルオン(登録商標)AH2000の場合で、無水物官能基を有するバリヤーポリマーである。この無水物がコポリアミド(H)のアミン鎖末端と反応する。接着性を良くするのに十分なアミン鎖末端NH2がリッチ、例えばアミン鎖末端が40μeq/g以上のポリアミド、特にコポリアミド(H)を選択するがよい。
【0099】
外側層(L1)を構成するコポリアミド(H)とバリヤーポリマー層(L2)との間の接着をよくするための他の方法は、これらの層の間に結合剤の中間層を配置することである。この結合剤は上記2つの層の組成物の混合物であるのが有利であり、好ましくは相溶剤を加えるのが好ましい(この点に関しては下記文献を参照されたい)
【特許文献6】欧州特許第EP 1162061号公報
【特許文献7】欧州特許第EP 2098580号公報
【0100】
組成物の製造方法
本発明コポリアミド(H)は普通の重合方法、特に縮重合方法で合成できる。
【0101】
コポリアミド(H)を含む組成物は2軸押出し機で溶融状態で通常のコンパウンディング方法で製造できる。
【0102】
本発明多層構造物は各層を溶融状態で共押出して製造できる。多層構造物の典型例は多層チューブである。
【0103】
一般に、多層チューブを製造する場合には、製造する構造および相溶性に応じて選択した温度に制御した複数の押出し機を使用する必要がある。押出し機は共押出ヘッドとよばれる温度が制御された、流れを収束し、分配するチャンバを有する。共押出しヘッドの役目は各押出し機から来る溶融ポリマーを最適化し、ツールの出口で可能な限り最も均一なプロフィル速度にすることである。各層のプロフィル厚さを均一にするためにはプロフィル速度を均一にする必要がある。各層の合体は溶融で行う。各層は合体され、溶融状態でツール(先端/ダイ)を通り、加熱空気中に引き出され、成形具を使用して較正される。この較正と同時に冷却される。次に、成形物は水浴(5℃<T<80℃)中に通されるか、ノズルを使用して散水される。チューブの真円性を良くし、寸法精度を上げ、仕様に合わせるために、上記較正は一般に減圧(20−500mbar)下で行う。チューブの冷却は一連の水浴に沿って行うことができる。チューブは引抜き機を用いて引張りライン速度(一般に10〜80メートル/分)で引き抜かれる。特定仕様(直径または厚さのライン制御等)を行うための付属装置を用いることもできる。押出し機械およびライン全体のパラメータを調節して、チューブの品質(直径、厚さ、機械特性または光学特性等)および生産性(押出しの経時安定性、吐出速度等のパラメータ)を制御することは当業者が容易になし得ることである。
【0104】
用途に応じて多層チューブをアニールして柔軟性または幾何ストレスを取ることもできる。このアニールは共押出ヘッドの下流に配置したツール(金型/ダイ)を使用し、加熱したチューブを特定金型内部で生成するアニール台を使用して行うことができる。
【0105】
この種の多層構造物、特に多層チューブは多段回で作ることができる。すなわち、回収の第2段階で追加の正方形のヘッドを用いて外側層をカバーして加えることができる。
【0106】
回収の第2段階で上記多層構物に追加の層を追加する、例えば外側層(L1)上に摩擦を減らし、ノイズの問題を最小にするための追加の保護層を設けるためにエラストマーの層を追加しても本発明を逸脱するものではない。また、例えば圧力下での破裂強度を増すために多層構造物の内部に組み紐を加えても本発明を逸脱するものではない。
【0107】
本発明の他の対象は上記構造を有するチューブにある。
【0108】
本発明はさらに、極性および/または無極性の流体、特に、車両中に存在する流体の輸送または貯蔵での、本発明構造物、特にチューブの使用にも関するものである。
【0109】
上記流体はオイル、滑剤、尿素、アムモニア、アムモニアを含む溶液、石油およびその化合物、燃料、特にアルコール化燃料、特にバイオ-ガソリン、液圧流体、冷却流体、冷蔵剤(例えばCO2または例えば1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは2,3,3,3-テトラフルオロプロパン等のフッ素化炭化水素)、冷却剤、特に、グリコール含有冷却液体、駆動気体発射剤、例えばカルテールエスまたは燃焼ガスの中から選択できる。
【0110】
本発明の多層構造物は上記にリスト下流体のような流体の移送、輸送または貯蔵用装置、要素の一部または全体を作るための工業的プラントで有利に使用できる。これら流体は加熱されていても、冷却されていてもよい。これら機器は一般的産業分野(例えば、空気ライン、蒸気油圧ライン、水蒸気)、石油探索の分野(海底ガス、オフアョア分野)で使用することができる。
【0111】
本発明の多層構造物、特にチューブの形のものは輸送分野(自動車、トラック等)で有用であり、特に下記で使用できる:
(1)加圧または減圧下のガス循環装置(例えば、気体吸入またはベンチレーション装置またはブレーキ補助装置)、
(2)オイルまたは潤滑剤の循環装置(例えばオイル冷却装置、液圧装置またはブレーキ装置)、
(3)(水溶性または非水溶性)液体循環装置、例えばエンジン冷却装置または選択触媒還元装置、
(4)流体冷却または冷蔵剤の循環装置(例えば冷暖房回路)、
(5)流体、特に燃料の貯蔵、輸送または移送(または循環)装置。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0112】
1.成分
本発明のコポリアミド(H)
このコポリアミドは通常の縮重合方法で製造できる。その例としては下記文献が参照できる。
【特許文献8】米国特許第US 6 989 198号明細書(第18、19頁)
【0113】
Tはテレフタル酸を表し、Iはイソフタル酸を表す。
コポリアミド(A)は単位10.10の比率が41モル%であるPA10.10/10.Tである。固有粘度は1.21で、末端NH2基の含有量は55μeq/gで、融点Tmは260℃で、溶融エンタルピーは29J/gである。
【0114】
コポリアミド(Ab)は単位10.10が33モル%であるPA10.10/10.Tである。固有粘度は1.19で、末端NH2基の含有量は58μeq/gで、融点Tmは279℃で、溶融エンタルピーは38J/gである。
【0115】
コポリアミド(Ac)は単位10.10が23モル%であるPA10.10/10.Tである。固有粘度は1.12で、末端NH2基の含有量は59μeq/gで、融点Tmは279℃で、溶融エンタルピーは38J/gである。
【0116】
コポリアミド(D)は単位12が41モル%であるPA12/9.Tである。固有粘度は1.28で、末端NH2基の含有量は49μeq/gで、融点Tmは266℃で、溶融エンタルピーは30J/gである。
【0117】
コポリアミド(E)は、単位10.10が25モル%で、単位10.Tが55モル%であるPA10.10/10.T/6.Tである。固有粘度は1.09で、末端NH2基の含有量は62μeq/gで、融点Tmは283℃で、溶融エンタルピーは33J/gである。
コポリアミド(F)は、単位10.10が25モル%で、単位10.Tが55モル%であるPA10.10/10.T/10.Iである。固有粘度は1.12で、末端NH2基の含有量は59μeq/gで、融点Tmは274℃で、溶融エンタルピーは29J/gである。
【0118】
他の成分
コポリアミド(M)は、単位9'Tが50モル%のPA9.T/9'Tである。固有粘度は1.15で、融点Tmは264℃で、溶融エンタルピーは30J/gである。
【0119】
コポリアミド(P)は、単位6.T が50モル%、単位6.Iが40モル%、単位6.6が10モル%であるPA6.T/6.I/6.6である。固有粘度は1.08で、融点Tmは267℃で、溶融エンタルピーは30J/gである。
【0120】
コポリアミド(Q)は、単位6.Tが55モル%、単位6.Iが20モル%、単位6.6が25モル%であるPA6.T/6.I/6.6である。固有粘度は1.01で、融点Tmは301℃で、溶融エンタルピーは24J/gである。
【0121】
衝撃改質剤(L)はエチレン、ブチルアクリレートおよび無水マレイン酸のコポリマーPE/BA/MAHを表す。BAの含有量は30重量%で、MAHの含有量は1.5重量%で、5kg下のMFIは1〜235℃である。
【0122】
衝撃改質剤(X)はエチレン、メルアクリレートおよびグリシジルメタアクリレートのコポリマーPE/MA/GMAを表す。MAの含有量は30重量%で、GMAの含有量は5重量%で、5kg下のMFIは3〜235℃である。
【0123】
衝撃改質剤(EPRm)はエクソン社のExxelor VA1801タイプの無水反応基(0.5〜1重量%)で官能化されたエチレン-プロピレンエラストマーを表す。10kg下のMFIは9〜230℃である。
【0124】
衝撃改質剤(mPE)はDupont社のFusabond MN493Dタイプの無水反応基(0.5〜1重量%)で官能化されたエチレン-オクテンコポリマーを表す。2.16kg下のMFIは1.4〜190℃である。
【0125】
(StabCu)はCiba社のIodide P201タイプの沃化銅とカリウムの混合物をベースの無機安定剤を表す。
(Stab1)は80%のGreat Lake社のフェノールLowinox 44B25と、20%のCiba社の亜リン酸塩Irgafos 168との混合物を表す。
(BBSA)はブチル-ベンジル・スルホンアミド可塑剤を表す。
【0126】
ポリアミド(PA10.10)は固有粘度が1.65のホモポリアミドPA10.10を表す。
ポリアミド(PA12a)は固有粘度が1.3で、末端NH2の含有量が70μeq/gのポリアミドPA12を表す。
ポリアミド(PA12b)は固有粘度が1.6で、末端NH2の含有量が45μeq/gのポリアミドPA12を表す。
ポリアミド(PA6)は固有粘度が1.55で、末端NH2の含有量が53μeq/gのポリアミドPA6を表す。
【0127】
固有粘度(inhで表す)は100mlのメタクレゾールに0.5gのポリマーを溶かし、25℃でUBBELHODE粘度計を使用してメタクレゾール中で測定する。この測定原理は、ULLMANN Industrial Chemistry Encyclopedia, Vol. 20, p.527-528(1995,第5版)に記載されている。末端NH2の含有量はポテンショメトリで測定する。
【0128】
2.組成物
本発明のコポリアミド組成物は2軸押出し機で溶融状態でコンパウンディングして製造できる。ウエルナー402軸押出し機を用い、スクリュー回転速度は300回転/分にし、成分の融点が285℃以下の組成物の場合には300℃の温度で、また、成分の融点が285℃以上かつ310℃以下の組成物の場合には320℃の温度にして、吐出量70kg/時で押し出した。
【0129】
(A1)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(A)である組成物である。
(A2)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、5%の可塑剤(BBSA)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(A)である組成物である。
(A3)は12%の衝撃改良剤(L)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(A)である組成物である。
(A4)は20%の衝撃改良剤(EPRm)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(A)である組成物である。
(A5)は30%の衝撃改良剤(mPE)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(A)である組成物である。
【0130】
(Ab1)はコポリアミドがコポリアミド(Ab)であることを除いては組成物(A1)と同じ組成物を表す。
(Ac1)はコポリアミドがコポリアミド(Ac)であることを除いては組成物(A1)と同じ組成物は表す。
(Ac10)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、15%の(PA10.10)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(Ac)である組成物である。
【0131】
(D1)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(D)である組成物である。
(E1)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(E)である組成物である。
(F1)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(F)である組成物である。
(M1)は15%の衝撃改良剤(EPRm)と、1%の(Stab1)とを含み、100%の残りがコポリアミド(M)である組成物である。
(P1)は15%の衝撃改良剤(EPRm)と、1%の(Stab1)とを含み、100%の残りがコポリアミド(P)である組成物である。
【0132】
(Q1)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(Q)である組成物である。
(PA12h)は20%の衝撃改良剤(L)と、10%の衝撃改良剤(X)と、0.5%の(StabCu)とを含み、100%の残りがコポリアミド(PA12a)である組成物である。
(8PA12hip)は6%の衝撃改良剤(EPRm)と、6%の(BBSA)と、1%の(Stab1)とを含み、100%の残りがコポリアミド(PA12b)である組成物である。
(PA6hip)は6%の衝撃改良剤(EPRm)と、12%の(BBSA)と、1%の(Stab1)とを含み、100%の残りがコポリアミド(PA6)である組成物である。
【0133】
本発明のバリヤー層(L2)の組成物
以下の組成物は市販の化合物である。
(ETFE-1)はダイキン社からNeoflon(登録商標)EP7000の名称で市販の官能化されたETFE(エチレン(E)とテトラフルオロエチレン(TFE)とのコポリマー)を表す。ポリアミド鎖末端と反応する反応基で官能化される。この化合物は特許文献9に記載されている。
【特許文献9】米国特許第US 6 740 375号明細書
【0134】
(ETFE-2)は旭硝子社からフルオン(登録商標)AH2000の名称で市販の官能化されたETFEを表す。ポリアミド鎖末端と反応する反応性無水物基で官能化される。この化合物は特許文献10に記載されている。
【特許文献10】米国特許第US 6 740 375号明細書
【0135】
(Fluorinated-3)はダイキン社からNeoflon(登録商標)CPT LP-1030の名称で市販の官能化されたTFEコポリマーを表す。ポリアミド鎖末端と反応する反応基で官能化される。このTFEコポリマーは主としてTFEとCTFE(クロロトリフルオロエチレン)およびPPVE(パーフルオロプロピルビニルエーテル)で形成される。この化合物は特許文献11に記載されている。
【特許文献11】欧州特許第EP 2264086号公報
【0136】
(ETFE-cond)はダイキン社からNeoflon(登録商標)ET610ASの名称で市販のカーボンブラックを添加したるETFE組成物である。カーボンブラックによってこの組成物は帯電防止特性を有する。
【0137】
比較例組成物のバリヤー層
(PVDF-1)は0.5%無水物で官能化されたPVDF(ポリフッ化ビニリデン)で、5kg下のMFIは2〜230℃である。
【0138】
3.多層構造物
製造した多層構造物は共押出しで製造した直径が8mm、厚さが1mmの多層チューブである。この多層チューブは得られた組成物が互いに相溶するように選択され、制御された温度の複数の押出し機械を使用して製造した。
する。特に、組成物のポリマーの融点より十分に高い温度で押出した。共押出し方法に関しては上記した。
製造したる構造物は[表1]([図1]参照)に示してある。
【0139】
4.多層状構造物の評価

次いで、得られた多層状構造物を評価した。
【0140】
200℃での耐熱機械特性(耐久性200℃と記載)
このテストで使用温度を推定した。
チューブを200℃のオーブン中に30分間放置し、状態を観測した:
「パス」=チューブはその物理的一体性を保持し、実質的に変形せず、溶融しなかった。
「溶融」=チューブは実質的に変形し、溶融した。
【0141】
柔軟性(可撓性)
23℃で15日間、コンディショニングした後に相対湿度50%下でISO規格178に従って曲げモジュラスを測定した。評価基準は以下の通り:
B =<900MPaで、良し、
AB = 900〜1500MPaの間、許容範囲内、
Mv =>1500MPaで、悪い。
【0142】
破断伸び(伸びと記載)
23℃で15日間コンディショニングした後の相対湿度50%下のISO規格527に従って測定した破断伸びに対応する。評価基準は以下の通り。
良し:> 100%
悪い:< 50%
【0143】
耐塩化亜鉛性(ZnCl2と記載)
このテストは道路上での塩の攻撃に対する強度を調べるものである。チューブの外側表面およびチューブを切断した場所に対応する横部分でテストする。
【0144】
耐塩化亜鉛性の測定はSAE規格J2260に従って行う。予め40mmの屈曲半径で湾曲したチューブを50%ZnCl2溶液に浸す。クラックまたは破断が最初に生じた時間を測定する。評価基準は以下の通り。
「パス」=満足、時間>= 800hに対応
「切断」=悪い、時間<= 100hに対応。
【0145】
VW-40℃型の低温ショック(衝撃-40℃と記載)
このテストはTL規格 52435に従ったプロトコルVW(フォルクスワーゲン社)に従った衝突テストで行った。このテストのプロトコルに従ってチューブに-40℃で衝撃を与える。破断した百分比を測定。評価基準は以下の通り。
TB =切断0%、非常に良い、
B = 良い、切断<25%、
AB =まあ良い、切断は25〜50%の間、
Mv =悪い、切断>50%。
【0146】
接着性
層間接着力を測定し、N/cmで表す。これは23℃で15日間コンディショニングした後に、直径および厚さが1mm、8mmのチューブを50%の湿分中に入れて測定した剥離強度の測定結果を表し、N/cmで表される。
3層以上のチューブの場合には、分離の危険が最も高い所である最も弱い界面で接着値を示した。下記方法で90°の角度で50mm/分の速度で引っ張って界面剥離強度を測定した。
チューブから幅9mmのバンドを切出し、このバンドを常にチューブの全ての層を有するタイル形にする。評価したい界面の2層をへらを使用して分離させる。各層を引張試験機の別々のジョーにセットし、2層を180°かつ50mm/分で両側に引張って剥離する。バンドの界面は引張る方向に対して90°を維持する。評価基準は以下の通り:
B = 良し、>40N/cm、
Acc = まあ良し、許容範囲内、40〜20N/cmの間、
Mv = 普通〜悪い、<20N/cm
【0147】
耐熱劣化性(劣化と記載)
加熱空気中の酸化に対する層チューブの耐劣化性である。チューブを150℃の空気中で劣化させる。時間の経過とともに定期的にサンプルを採る。採取したチューブにDIN規格73378(-40℃で行う衝突試験)に従って衝撃を与える。テストしたチューブの50%が破断し始める時間に対応する半減期(時)を表す。
【0148】
冷却液体での耐劣化性(LLC劣化と記載)
内部に冷却液体を満たし、外側を空気に曝して多層チューブの耐劣化性をテストする。空気と冷却液体は130℃である。冷却液体は水/グリコールが重量で50/50の混合物である。この条件下でチューブを1500時間、劣化させる。次いで、DIN規格73378(-40℃での衝突テスト)に従ってチューブに衝撃を与える。破損したチューブの百分比を表す。
【0149】
冷却液体の透過性(バリヤー性と記載)
上記の劣化テスト時に透過性を測定して、冷却液体に対するバリヤーの品質を推定する。透過性は液体のロスで表し、g/m/24h/mmで表示した。
【0150】
耐尿素溶液劣化性(尿素劣化と記載)
チューブを複数のサイクルで32.5%尿素溶液中に浸す。24時間の1サイクルは70℃で23時間半と170℃で30分間から成る。破断伸が判定基準である。破断伸が初期値の50%になる半減期を測定する。半減期を時間で表す。
【0151】
5.結果
テスト結果は[表2]([図2]参照)と下記の[表3][表4]に示す。
[表3]は構造物の劣化評価テストの結果である。
【0152】
【表3】

【0153】
下記の[表4]は本発明の2つの構造物と比較例の構造物とを比較したテスト結果である。
【0154】
【表4】

【0155】
5.結論
上記の結果は、本発明構造物は熱機械耐久性、ZnCl2耐久性、柔軟性、耐衝撃性、耐劣化性、バリヤ特性が改善されることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の層(L1)と層(L2)を有する多層構造物:
層(L1)
少なくとも80モル%が下記の2つの単位(s)と(a)を含み、(s)/(a)のモル比が1以上かつ3以下である、少なくとも220℃の融点を有する一種または複数の半結晶コポリアミド(H)を主成分とする組成物からなる外側層としての層(L1):
単位(s):
芳香族二酸(Sr)に由来する一種または複数のサブ単位と9個以上かつ13個以下の炭素原子を有する脂肪族ジアミンに由来する半芳香族単位(sa)に由来する一種または複数のサブ単位とで形成される一種または複数の単位(s)、
単位(a):、
一つの窒素原子当たりの炭素原子数が8以上かつ13以下である一種または複数の脂肪族単位を表す一種または複数の単位(a)、
層(L2):
一種または複数のテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマーを主成分とする組成物から成る層(L2)であり、上記(TFE)のコポリマーは層(L2)が層(L1)と接触するか、一種または複数のポリアミドを主成分とする中間層と接触する時に必然的に官能化される。
【請求項2】
上記のテトラフルオロエチレンのコポリマーが、無水物、エポキシ、酸または酸ハロゲン化物で官能化されていてもよいエチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー(ETFE)、テトラフルオロエチレンとクロロトリフルオロエチレン(CTFE)とのコポリマーおよびこれらの混合物の中から選択される請求項1に記載の多層構造物。
【請求項3】
半結晶性コポリアミド(H)の溶融エンタルピーが10J/g以上であり、好ましくは25J/g以上である請求項1または2に記載の多層構造物。
【請求項4】
半結晶性コポリアミド(H)の融点が220℃以上かつ280℃以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項5】
半結晶性コポリアミド(H)が下記で構成される請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層構造物
(1)40モル%以上かつ75モル%以下の一種または複数の半芳香族単位(S)、
(2)20モル%以上かつ50モル%以下の一種または複数の脂肪族単位(A)、
(3)0モル%以上かつ20モル%以下の一種または複数の上記単位(a)および(s)とは異なる単位。
【請求項6】
半結晶性コポリアミド(H)が下記で構成される請求項1〜5のいずれか一項に記載の多層構造物:
(1)50モル%以上かつ75モル%以下の一種または複数の半芳香族単位(S)、
(2)25モル%以上かつ50モル%以下の一種または複数の脂肪族は(a)。
【請求項7】
サブ単位(Sr)がテレフタル酸のみから作られる請求項1〜6のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項8】
半結晶性コポリアミド(H)がPA12/9.T、PA6.12/10.T、PA10.10/10.T、PA10.10/10.T/6.T、PA10.10/10.T/10.IおよびPA10.12/10.Tの中から選択される請求項5に記載の多層構造物。
【請求項9】
外側層(L1)を形成する組成物が官能化されていてもよい脂肪族ポリアミド、ポリオレフィンおよびこれら混合物の中から選択される一種または複数の追加のポリマーを含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項10】
上記ポリオレフィンが一種または複数の無水物基または酸基を有する官能化されたコポリオレフィンであり、必要な場合には一つまたは複数のエポキシ基を有する少なくとも一種のポリマーとの混合物である請求項9に記載の多層構造物。
【請求項11】
外側層(L1)を形成する組成物が組成物の全重量に対して15重量%以下の可塑剤を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項12】
二層構造である請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層構造物。
(それが構造。
【請求項13】
層(L1)と層(L2)との間に配置された中間層(L3)を有する三層構造で、中間層(L3)が一つの窒素原子当たり9個以上かつ36個以下の炭素原子を有する一種または複数の脂肪族(コ)ポリアミドまたは一種または複数のポリフタルアミドを含むことができる請求項1〜11のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項14】
層(L2)の組成物が導電性充填剤を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項15】
層(L2)が請求項1で定義のような官能化されたフッ素化コポリマーを主成分とし、層(L2)と接触し、構造物の最内側層を形成する追加の層を有し、この追加の層が請求項1に定義のような官能化されていない一種または複数のフッ素化コポリマーを含むことができ必要に応じて導電性充填剤を含むことができる請求項1〜14のいずれか一項に記載の多層構造物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の多層構造物を含むチューブ。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の多層構造または請求項16に記載のチューブの、特に車両に存在する極性および/または無極性流体の輸送での
使用。
【請求項18】
上記流体がオイル、尿素溶液ベースの液体、燃料、特にアルコール化燃料、特にバイオガソリン、冷却流体、駆動気体発射剤、冷却液体、特にグリコールベースの冷却液体の中から選択される請求項17に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−224085(P2012−224085A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−93005(P2012−93005)
【出願日】平成24年4月16日(2012.4.16)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】