説明

特定生物成分検出方法

【課題】試料中における特定の微生物又はウイルスを、高い検出精度で安定して検出することができる特定生物成分検出方法を提供すること。
【解決手段】試料に対して第1励起光及び第2励起光をそれぞれ照射し、試料の表面をそれぞれ撮影して第1励起時デジタル画像及び第2励起時デジタル画像を取得する(S1〜S4)。第1励起時デジタル画像と第2励起時デジタル画像について画素単位ごとの色空間データを求め、これらの色空間データに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、演算処理データを求める(S5及びS6)。演算処理データを、特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、試料中における微生物又はウイルスを検出する(S7〜S11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中における特定の微生物、ウイルスなどを検出する特定生物成分の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
学校等で実施されるぎょう虫(卵)検査においては、例えば被験者がセロハンを肛門にあてて採取した試料を検査機関又は医療機関などにおいて検査している。この検査においては、セロハンに付着したぎょう虫卵の有無を顕微鏡で目視により確認する必要がある。そのため、検査員には熟練を要し、検査精度及び検査効率ともにあまり優れているといえない。例えば、特許文献1には、ぎょう虫検査紙を顕微鏡によって観察するぎょう虫卵自動検査設備が示されている。
【0003】
一方、例えば特許文献2の異物の検出方法においては、寄生虫に可視光を照射して励起したときには、寄生虫が蛍光することが示されている。そして、この性質を利用して、肉類に寄生する寄生虫の有無を検出している。また、特許文献2においては、デジタルカメラ、CCDカメラ等により、被写体が発する蛍光の画像を得て、二値化等の画像処理を行って、コンピュータによって異物の有無を判断させることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3090492号公報
【特許文献2】特開2007−286041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2等の従来のぎょう虫卵等の検査においては、ぎょう虫卵を励起させる際に用いる励起光は、UV励起、B励起、G励起等の1種類のみである。したがって、コンピュータによる画像処理を利用してぎょう虫卵の有無を検出しようとした場合には検出精度が低く、安定した検出結果を得ることができていない。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、試料中における特定の微生物又はウイルスを、高い検出精度で安定して検出することができる特定生物成分検出方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、試料中の特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応を検出することにより、上記特定の微生物又はウイルスを検出する特定生物成分検出方法であって、
上記試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する第1励起光照射工程と、
上記第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する第1デジタル画像取得工程と、
上記試料に対して、上記第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる第2励起光を照射する第2励起光照射工程と、
上記第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する第2デジタル画像取得工程と、
少なくとも上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを求めてそれぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに演算処理データを求める画像処理工程と、
上記画素単位ごとの演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する検出工程とを有することを特徴とする特定生物成分検出方法にある(請求項1)。
【0008】
第2の発明は、試料中の特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応を検出することにより、上記特定の微生物又はウイルスを検出する特定生物成分検出方法であって、
上記試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する第1励起光照射工程と、
上記第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する第1デジタル画像取得工程と、
上記試料に対して、上記第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる第2励起光を照射する第2励起光照射工程と、
上記第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する第2デジタル画像取得工程と、
上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちのいずれか一方について、画素単位ごとの色空間データを基準用色空間データとして求め、該基準用色空間データのうち、所定の規定範囲内にある画素単位の集まりを仮ヒット画素として求め、該仮ヒット画素を囲む大きさの画素領域を仮ヒット領域として特定し、かつ上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちの他方における上記仮ヒット領域に相当する領域のみについて、画素単位ごとの色空間データを照合用色空間データとして求め、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記基準用色空間データと、上記仮ヒット領域に相当する領域内の上記画素単位ごとの上記照合用色空間データとに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算して、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとに演算処理データを求める画像処理工程と、
上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する検出工程とを有することを特徴とする特定生物成分検出方法にある(請求項5)。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明の特定生物成分検出方法においては、上記第1照射工程と、上記第1デジタル画像取得工程と、上記第2励起光照射工程と、上記第2デジタル画像取得工程と、上記画像処理工程とを少なくとも行う。
上記第1照射工程においては、試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する。このとき、上記試料中に上記第1励起光により励起され蛍光を発する成分が存在する場合には、これらが蛍光反応を示す。
【0010】
次いで、上記第1デジタル画像取得工程においては、上記第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する。即ち、上記試料の表面を例えばデジタルカメラ等により撮影することにより、上記試料中に含まれる成分が発する蛍光状態をデジタル画像として取得することができる。蛍光を発する成分としては、微生物又はウイルスの他、ゴミ等の異物(検出対象外の異物)等が想定される。
【0011】
一方、上記第2照射工程においては、試料に対して、上記第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる励起光からなる第2励起光を照射する。このとき、上記試料中に上記第2励起光により励起され蛍光を発する成分が存在する場合には、これらが蛍光反応を示す。上記第2励起光は、波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが上記第1励起光とは異なるため、上記試料は上記第1励起光の場合とは異なるパターンで蛍光を発生する。
【0012】
次いで、上記第2デジタル画像取得工程においては、上記第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する。上記第1デジタル画像取得工程と同様に、上記試料中に含まれる成分が発する蛍光状態をデジタル画像として取得することができる。蛍光を発する成分としては、微生物又はウイルスの他、ゴミ等の異物(検出対象外の異物)等が想定される。
上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像は、励起光が異なるため異なる蛍光状態を示す。
【0013】
次に、上記画像処理工程においては、少なくとも上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを求める。そして、上記第1励起時デジタル画像における画素単位ごとの色空間データと、上記第2励起時デジタル画像における画素単位ごとの色空間データとに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに演算処理データを求める。上記照合演算を行うことにより、後工程に行う検出工程における検出が容易になる。即ち、上記試料が微生物又はウイルスを含む場合に、これらが発生する蛍光をより際立たせることができる。また、上記試料がゴミ等の異物を含む場合には、該異物が発する蛍光を目立たなくさせることができる。
【0014】
次に、上記検出工程においては、上記画素単位ごとの演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する。ここで、上記特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲は、上記特定の微生物又はウイルスについて得た複数の励起時デジタル画像に特定蛍光反応を映した画素の演算処理データを分析して設定したものである。
【0015】
特定蛍光反応の検出時に用いる励起光(第1励起光及び第2励起光)の条件は、上記規定範囲を設定する基準設定時に用いた励起光の条件と同じにする。そして、検出時の演算処理データと基準設定時の演算処理データの規定範囲とを比較するのは、励起光の条件を同じにした場合同士とする。
このように、上記検出工程においては、上記画素単位ごとの演算処理データが、予め上記特定蛍光反応について求めた演算処理データの規定範囲内にある場合には、上記試料中に上記特定の微生物又はウイルスが発する特定蛍光反応が存在し、上記特定の微生物又はウイルスの存在を推定することができる。
【0016】
ところで、一般的に、試料中には、微生物又はウイルス以外にも、ゴミ等の検出対象外の異物が含まれ、該異物も励起光により蛍光を発生することになる。ただし、微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応と、ゴミ等の異物が発生する蛍光反応とは、励起光の波長、強度、照射時間(撮影時期)の各条件によって、蛍光の性質が異なる。
そこで、上記第1の発明のように、上記第1励起光及び第2励起光という少なくとも2種類の励起光を照射し、上記第1励起時デジタル画像及び上記第2励起時デジタル画像という少なくとも2種類の励起時デジタル画像を撮影した際に、例えば特定蛍光反応がいずれの励起時デジタル画像にも撮影される一方で、いずれかの励起時デジタル画像と他の励起時デジタル画像とにおいて、蛍光の強弱により撮影のされ方が異なる場合が想定される。この場合には、上記照合演算を行うことにより、微生物又はウイルスによる蛍光反応を、ゴミ等の異物による蛍光反応と明確に区別することができる。
また、上記第1励起時デジタル画像及び上記第2励起時デジタル画像という少なくとも2種類の励起時デジタル画像を撮影した際に、例えば異物による蛍光は、すべての励起時デジタル画像に撮影される一方、特定蛍光反応は、いずれかの励起時デジタル画像に明確に撮影される場合が想定される。この場合には、上記照合演算を行うことにより、異物による蛍光反応の影響を取り除くことができ、微生物又はウイルスによる特定蛍光反応を際立たせて検出することができる。そして、微生物又はウイルスによる蛍光反応を、ゴミ等の異物による蛍光反応と明確に区別することができる。
【0017】
次に、上記第2の発明においては、上記第1の発明と同様に、上記第1励起光照射工程と、上記第1デジタル画像取得工程と、上記第2励起光照射工程と、上記第2デジタル画像取得工程と、上記画像処理工程と、上記検出工程とを行って、特定生物成分の検出を行うが、上記画像処理工程が上記第1の発明と異なる。
即ち、上記第2の発明の上記画像処理工程においては、上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちのいずれか一方についての画素単位ごとの基準用色空間データについて、所定の規定範囲内にあるか否かを判定している。そして、デジタル画像の全体の画素領域のうち、規定範囲内にある1つ又は複数の特定の画素領域についてのみ、その後の演算処理データを求める際に用いる仮ヒット領域とする。
【0018】
そして、他方の励起時デジタル画像について、仮ヒット領域に相当する領域のみについて、それぞれ画素単位ごとの照合用色空間データを求める。これにより、照合用色空間データを求める処理を少なくすることができる。
このようにして、デジタル画像の全体の画素領域のうち、特定の限られた画素領域についてのみ、演算処理データを求める。これにより、演算処理データを求める処理を少なくすることができる。
その他、第2の発明においても、第1の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
以上のように、本発明の特定生物成分検出方法によれば、試料中における微生物又はウイルスの有無を高い検出精度で、安定して検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1にかかる、蛍光反応検出装置の構成を示す説明図。
【図2】実施例1にかかる、第1励起時デジタル画像を概略的に示す説明図。
【図3】実施例1にかかる、第2励起時デジタル画像を概略的に示す説明図。
【図4】実施例1にかかる、第1励起時デジタル画像と第2励起時デジタル画像とに対して照合演算を行った結果を可視化して、照合画像として概略的に示す説明図。
【図5】実施例1にかかる、第1色空間データと第2色空間データとを、1ドットごとの画素単位において照合する状態を可視化して示す説明図。
【図6】実施例1にかかる、第1色空間データと第2色空間データとを、1ドットごとの画素単位において照合して得た演算処理データが、規定範囲内にあるか否かの2値化処理を行った結果を可視化して示す説明図。
【図7】実施例1にかかる、ヒット画素を囲んでなるヒット領域を示す説明図。
【図8】実施例1にかかる、素デジタル画像について、ヒット領域に相当する画素領域をモニタに拡大表示した状態を概略的に示す説明図。
【図9】実施例1にかかる、微生物等の特定蛍光反応を検出する手順を示すフローチャート。
【図10】実施例2にかかる、第1励起時デジタル画像において、仮ヒット画素及び仮ヒット領域を特定した状態を可視化して概略的に示す説明図。
【図11】実施例2にかかる、第2励起時デジタル画像において、仮ヒット領域に相当する領域を可視化して概略的に示す説明図。
【図12】実施例2にかかる、仮ヒット領域内の基準用色空間データと、仮ヒット領域に相当する領域内の照合用色空間データとに照合演算を行った結果を、可視化した画像として概略的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、上記第1及び第2の発明の特定生物成分検出方法の好ましい実施形態につき説明する。
上記特定生物成分検出方法においては、試料中の特定の微生物又はウイルスを検出することができる。
上記微生物としては、例えば寄生虫、寄生虫卵、細菌等がある。寄生虫としては、ぎょう虫、回虫、鞭虫、吸虫、鉤虫、縮小条虫、広節列頭条虫、東洋毛様線虫、無鉤条虫などがある。寄生虫卵は、それらの卵である。
また、細菌としては、球菌、桿菌、らせん菌などがある。
また、ウイルスとしては、核酸とタンパク質とからなる種々のウイルスである。
【0022】
また、上記試料は、大便、血液等とすることができる。上記微生物又はウイルスは、大便、血液等の中に存在するものとすることができる。血液虫に潜む寄生虫としては、例えばウエステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫、住血胞子虫、マラリア病原虫、日本住血吸虫、糸状虫、フィラリア、広東住血線虫などがある。
【0023】
上記第1の発明においては、上記試料に対して、上記第1励起光及び上記第2励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかを変えてさらに励起光を照射し、該励起光を照射した試料の表面を撮影し、励起時デジタル画像を取得する励起光照射−デジタル画像取得工程を少なくとも1回以上行い、上記画像処理工程においては、上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像と共に、上記励起光照射−デジタル画像取得工程において取得した少なくとも1つ以上の励起時デジタル画像について、上記演算処理データを求めることが好ましい(請求項2)。
【0024】
また、上記第2の発明においても、上記第1励起光及び上記第2励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかを変えてさらに励起光を照射し、該励起光を照射した試料の表面を撮影し、励起時デジタル画像を取得する励起光照射−デジタル画像取得工程を少なくとも1回以上行い、上記画像処理工程においては、上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちのいずれか一方について、上記仮ヒット画素及び上記仮ヒット領域を求め、かつ上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちの他方における上記仮ヒット領域に相当する領域、及び上記励起光照射−デジタル画像取得工程において取得した少なくとも1つ以上の上記励起時デジタル画像における上記仮ヒット領域に相当する領域について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを照合用色空間データとして求め、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記基準用色空間データと、上記仮ヒット領域に相当する領域内の上記画素単位ごとの上記照合用色空間データとに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算して、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとに演算処理データを求めることが好ましい(請求項6)。
【0025】
上記のように上記励起光照射−デジタル画像取得工程を行って上記照合演算を行うことにより、異物による蛍光反応の影響をより一層取り除くことができる。即ち、この場合には、3種類以上の励起光を照射してそれぞれ得られた3種類以上の励起時デジタル画像について上記照合演算を行うことができるため、異物による蛍光反応の影響をより一層取り除き、微生物又はウイルスによる特定蛍光反応をより一層際立たせて検出することができる。したがって、この場合には、微生物又はウイルスによる特定蛍光反応を、異物による蛍光反応とより明確に区別することができる。
【0026】
次に、上記第1の発明について、上記検出工程においては、上記画素単位ごとの上記演算処理データのうち、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位をヒット画素として求め、該ヒット画素が並んで形成される形状及び面積が予め上記特定蛍光反応について求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、上記試料中に上記特定の微生物又はウイルスが存在すると検出することが好ましい(請求項3)。
また、上記第2の発明について、上記検出工程においては、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記演算処理データのうち、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位をヒット画素として求め、該ヒット画素が並んで形成される形状及び面積が予め上記特定蛍光反応について求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、上記試料中に上記特定の微生物又はウイルスが存在すると検出することが好ましい(請求項7)。
【0027】
これらの場合には、上記検出工程において、微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応が検出された試料について、この特定蛍光反応の形状及び大きさを確認して、微生物又はウイルスを検出することができる。そのため、微生物又はウイルスの検出精度を向上させることができる。
【0028】
また、上記第1及び第2の発明において、上記検出工程において上記ヒット画素が並んで形成される形状を囲む大きさの画素領域をヒット領域として特定し、上記励起光を照射していないときの素デジタル画像を取得し、上記素デジタル画像において上記ヒット領域に相当する画素領域をモニタに拡大表示する表示工程を行うことが好ましい(請求項4及び8)。
この場合には、上記特定蛍光反応の存在を検出した画素領域をモニタに拡大表示することにより、素デジタル画像において微生物又はウイルスが存在すると検出した領域を目視により確認することが可能になる。
【0029】
また、上記色空間データは、赤色、緑色、青色の色相、及び輝度のうち少なくとも1つのデータであり、上記画像処理工程における上記照合演算は、上記色相及び輝度のうち少なくとも1つ同士に対して行う誤差演算又は算術演算であることが好ましい(請求項9)。
この場合には、上記画像処理工程において、上記画像単位ごとの上記演算処理データを適切に求めることができる。
【0030】
また、上記第1励起光及び上記第2励起光の波長は、それぞれUV励起、B励起、又はG励起のうちのいずれかに該当する波長であることが好ましい(請求項10)。
この場合には、微生物又はウイルスの励起を適切に行うことができる。
ここで、UV励起(近紫外線)は、波長320〜380nmの励起光とすることができる。また、B励起(青色光)は、波長380〜495nmの励起光とすることができる。また、G励起(緑色光)は、波長495〜570nmの励起光とすることができる。
なお、上記励起光照射−デジタル画像取得工程を行う場合にも、励起光の波長は、それぞれUV励起、B励起、又はG励起のうちのいずれかに該当する波長であることが好ましい。
【0031】
また、上記第1励起光及び第2励起光のうちの少なくとも1つは、波長と強度との少なくとも一方を異ならせた複数種類の励起光からなることが好ましい(請求項11)。
即ち、第1励起光及び第2励起光の少なくとも一方として、波長及び/又は強度が異なる複数種類の励起光を同時に照射することが好ましい。
この場合には、上記第1励起時デジタル画像及び第2励起時デジタル画像のうちの少なくとも一方として、波長と強度との少なくとも一方を異ならせた複数種類の励起光を同時に照射したときのデジタル画像を得ることができる。そして、この場合には、1種類の波長及び強度の励起光を微生物又はウイルスに照射するだけでは得られなかった特定蛍光反応を得ることができる場合がある。そして、微生物又はウイルスの検出精度を格段に向上させることができる場合がある。例えばぎょう虫(卵)においては、特に検出精度を向上させることができる。
【実施例】
【0032】
(実施例1)
次に、本発明の特定生物成分検出方法にかかる実施例につき、説明する。
本例の特定生物成分検出方法においては、第1励起光照射工程と第1励起時デジタル画像取得工程と第2励起光照射工程と第2励起時デジタル画像取得工程と画像処理工程と検出工程とを行って、試料中の特定の微生物又はウイルスを検出する。
【0033】
第1励起光照射工程においては、試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する。第1励起時デジタル画像取得工程においては、第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する。
【0034】
第2励起光照射工程においては、試料に対して、第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる第2励起光を照射する。第2励起時デジタル画像取得工程においては、第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する。
【0035】
また、画像処理工程においては、少なくとも第1励起時デジタル画像と第2励起時デジタル画像について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを求めてそれぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに演算処理データを求める。
検出工程においては、画素単位ごとの演算処理データを、特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、試料中における微生物又はウイルスを検出する。
【0036】
本例においては、図1に示すごとく、光源2、カメラ4、制御部51、画像処理部52、及び判定部53を備えた蛍光検出装置1を用いて、上述の第1励起光照射工程と第1励起時デジタル画像取得工程と第2励起光照射工程と第2励起時デジタル画像取得工程と画像処理工程と検出工程とを行う。
【0037】
蛍光検出装置1において、光源2は、試料8に対して、特定波長の励起光Xを、フィルタ3を通過させて照射可能である。カメラ4は、試料8の表面をデジタル画像として撮影するよう構成されている。
制御部51、画像処理部52、及び判定部53は、コンピュータ5に構築してあり、光源2及びカメラ4は、コンピュータ5に接続してある。
【0038】
制御部51は、フィルタ3を透過させる励起光Xの波長と強度との少なくとも一方の変更、又は光源2から励起光Xの照射を開始した時点からカメラ4によって撮影する時点までの時間の変更のいずれかを行って、複数種類の励起時デジタル画像D1,D2をカメラ4によって撮影するよう構成してある。
画像処理部52は、複数種類の励起時デジタル画像D1,D2について、それぞれ1つの画素単位ごとの色空間データを求め、複数種類の励起時デジタル画像D1,D2におけるそれぞれ同じ位置にある画素単位の色空間データ同士で照合演算して、画素単位ごとに演算処理データを求めるよう構成してある。
判定部53は、画素単位ごとの演算処理データを、励起光照射時に特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、試料8中における特定蛍光反応の有無を検出するよう構成してある。
【0039】
光源2及び制御部51により、上述の第1励起光照射工程と第2励起光照射工程を行い、カメラ4及び制御部51により、上述の第1デジタル画像取得工程及び第2デジタル画像取得工程を行うことができる。また、画像処理部52及び判定部53により、上述の画像処理工程及び検出工程を行うことができる。
【0040】
以下に、本例の蛍光反応検出装置1及びこれを用いた特定生物成分検出方法につき、図1〜図9を参照して詳説する。
図1は、蛍光反応検出装置1の構成を概略的に示す図である。同図に示すごとく、本例の光源2は、紫外線及び可視光の波長の光を発する紫外線ランプ2によって構成されている。紫外線ランプ2の光通過位置には、特定の波長の光を透過するフィルタ3が配置してあり、フィルタ3を適宜交換することにより、所望の波長、強度の励起光Xを試料8に照射することができる。
【0041】
フィルタ3を透過させて試料8へ照射する励起光Xの波長は、UV励起(320〜380nm)、B励起(380〜495nm)又はG励起(495〜570nm)のうちのいずれかに該当する波長である。フィルタ3は、紫外線ランプ2から発せられた光からUV励起の波長の光を透過させるUV励起フィルタ3と、紫外線ランプ2から発せられた光からB励起の波長の光を透過させるB励起フィルタ3と、紫外線ランプ2から発せられた光からG励起の波長の光を透過させるG励起フィルタ3とがある。
また、光源2は、減光フィルタ30を透過させることによって、励起光Xの強度を変更できるよう構成してある。減光フィルタ30は、フィルタ3に対向する位置に配置してある。そして、使用するフィルタ3及び減光フィルタ30を変更することにより、励起光Xの波長及び強度を変更することができる。
また、光源2から試料8へは、ミラー43によって反射させて励起光Xを照射することができる。
【0042】
本例のカメラ4は、コンピュータ5によってデジタル処理可能なCMOSカメラ(デジタルカメラ)41に対して、所定の倍率の光学レンズ42を組み合わせて構成されている。カメラ4は、微生物又はウイルスの各検出対象に合わせて、適宜画素数のものを選択し、光学レンズ42の倍率とCMOSカメラ41のデジタルズームによる倍率とによって、1000〜10000倍にデジタル画像を拡大することができる。また、本例においては、カメラ4の光学レンズ42の前には、紫外線を遮断してカメラ4を保護するためのフィルタ44が配置してある。
本例の制御部51は、光源2に対して制御信号を送信して、光源2から光を出射させ、カメラ4に対して制御信号を送信して、カメラ4によって試料8の表面の撮影を行うよう構成されている。
【0043】
本例の蛍光反応検出装置1においては、光源2及びフィルタ3から発せられる励起光Xの波長を互いに異ならせて2種類の励起光をそれぞれ試料8に照射する(第1励起光照射工程及び第2励起光照射工程)。そして、カメラ4によって、励起時デジタル画像(第1励起時デジタル画像及び第2励起時デジタル画像)D1,D2を撮影する(第1デジタル画像取得工程及び第2デジタル画像取得工程)。
2種類の励起時デジタル画像D1,D2は、第1励起光照射工程及び第2励起光照射工程における励起光Xの波長を異ならせるとともに、励起光Xの強度又は照射時間(撮影時期)も互いに異ならせて撮影することができる。また、2種類の励起時デジタル画像D1,D2は、第1励起光照射工程及び第2励起光照射工程における励起光Xの強度又は照射時間(撮影時期)のみ互いに異ならせて撮影することもできる。
【0044】
また、2種類の励起時デジタル画像D1,D2のうちの少なくとも一方は、互いに波長が異なる励起光Xを、光源2及びフィルタ3から試料8に対して同時に照射したときのデジタル画像とすることができる。また、この同時に照射する励起光Xは、波長を互いに異ならせるとともに、強度も互いに異ならせて照射することができる。また、この同時に照射する励起光Xは、強度のみ互いに異ならせて照射することもできる。
なお、各励起時デジタル画素D1,D2は、励起光Xを試料8に照射している間に撮影することができ、励起光Xを試料8に照射した直後に撮影することもできる。
【0045】
図2には、第1励起時デジタル画像D1を概略的に示し、図3には、第2励起時デジタル画像D2を概略的に示す。また、図4には、第1励起時デジタル画像D1と第2励起時デジタル画像D2とに対して照合演算を行った結果を可視化して、照合画像D3として概略的に示す。
【0046】
励起光Xの波長は、UV励起、B励起又はG励起のいずれかの波長として、2種類の励起時デジタル画像D1,D2において互いに異ならせることができる。この場合、例えば、図2、図3に示すごとく、2種類の励起時デジタル画像D1,D2のいずれにもゴミ等の検出対象外の異物による蛍光反応82及び微生物等による特定蛍光反応81が撮影されるが、少なくとも特定蛍光反応81については、一方の励起時デジタル画像D1と他方の励起時デジタル画像D2とにおいて、蛍光の強弱により撮影のされ方が異なる場合が想定される。このとき、図4に示すごとく、2種類の励起時デジタル画像D1,D2についての画素単位ごとの色空間データを求めて照合演算を行ったときには、微生物又はウイルスによる特定蛍光反応81を、ゴミ等の異物による蛍光反応82と明確に区別することができる。なお、図2において点線で示した特定蛍光反応81は、図3に示す実線で示した特定蛍光反応81よりも弱いことを意味する。
【0047】
また、UV励起、B励起又はG励起のいずれかの波長の励起光Xを用いた場合には、励起光Xの強度、又は撮影時期(光源2から励起光Xの照射を開始した時点からカメラ4によって撮影する時点までの時間)を異ならせて撮影した2種類の励起時デジタル画像D1,D2を用いることもできる。この場合、例えば、図2、図3に示すごとく、異物は、弱い強度の励起光Xの照射又は短い時間の励起光Xの照射によっても蛍光反応82を示す一方、図3に示すごとく、微生物等は、強い強度の励起光Xの照射又は長い時間の励起光Xの照射によってはじめて明確な特定蛍光反応81を示す場合を想定する。このとき、図4に示すごとく、2種類の励起時デジタル画像D1,D2についての画素単位ごとの色空間データを求めて照合演算を行ったときには、異物による蛍光反応82の影響が打ち消されて、微生物等による特定蛍光反応81を明確に検出することができる。この場合は、異物に比べて微生物等が蛍光反応を示す時期が遅い場合に有効である。
【0048】
画像処理部52においては、少なくとも上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを求めてそれぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに演算処理データを求める画像処理工程を行うことができる。ここで求める色空間データは、色の三原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の色相データを、所定数の階調における数値で示すものである。本例の色空間データは、カメラ4によって検出した特定の波長の光を、赤色、緑色、青色の各データに分解したものである。赤色、緑色、青色の各データには、それぞれ256階調が割り当てられ、各データ(各原色)は、0〜255の数値によって示される。
また、色空間データには、色の三原色を用いて表す輝度(明るさ)を含めることができる。この輝度Yは、a1〜a3を係数とし、Rを赤色、Gを緑色、Bを青色の各数値としたとき、Y=a1×R+a2×G+a3×Bから求めることができる。係数a1〜a3は、複数の波長の光をカメラ4によって撮影したときの複数のデジタル画像について、赤色、緑色、青色の各数値をY=(a1×X1+a2×X2+a3×X3)/3のX1〜X3にそれぞれ代入して求めることができる。
なお、微生物又はウイルスの検出対象によっては、色空間データは、輝度のデータのみとすることもできる。
【0049】
画像処理部52において、多数の画素によって示されるデジタル画像における同じ位置にある画素単位同士で行う照合演算は、以下の種々の演算とすることができる。
本例の照合演算は、2種類の励起時デジタル画像D1,D2の色空間データd1,d2における赤色、緑色、青色の各色相同士に対して行う誤差演算又は算術演算である。
【0050】
図5には、第1色空間データd1と第2色空間データd2とを、1ドットごとの画素単位において照合する状態を可視化して示す。同図に示すごとく、第1励起時デジタル画像D1についての第1色空間データd1における赤色、緑色、青色の0〜255で示される各数値をR1、G1、B1とし、第2励起時デジタル画像D2についての第2色空間データd2における赤色、緑色、青色の0〜255で示される各数値をR2、G2、B2とする。
誤差演算としては、|R1−R2|(R1−R2の絶対値)、|G1−G2|(G1−G2の絶対値)、|B1−B2|(B1−B2の絶対値)の少なくとも1つとして行うことができる。
【0051】
また、算術演算としては、R1+R2、G1+G2、B1+B2の少なくとも1つとして、R1−R2、G1−G2、B1−B2の少なくとも1つとして、R1×R2、G1×G2、B1×B2の少なくとも1つとして、R1/R2、G1/G2、B1/B2の少なくとも1つとして、R2−R1、G2−G1、B2−B1の少なくとも1つとして、又はR2/R1、G2/G1、B2/B1の少なくとも1つとして行うことができる。
また、誤差演算は、第1励起時デジタル画像D1についての第1色空間データd1における輝度の数値をY1とし、第2励起時デジタル画像D2についての第2色空間データd2における輝度の数値をY2として、|Y1−Y2|として行うこともできる。また、算術演算は、Y1+Y2、Y1−Y2、Y1×Y2、Y1/Y2、Y2−Y1、Y2/Y1のいずれかとして行うこともできる。
【0052】
なお、これらの演算において、R1〜R3、G1〜G3、B1〜B3の各数値が、0未満となる場合は0とし、255超過となる場合には、255とする。また、割算で分母となる数値が0である場合は255とし、割算で分子となる数値が0である場合は0とする。
こうして、画像処理部52において照合演算を行って得られる演算処理データは、0〜255の範囲の数値によって表される。
【0053】
判定部53においては、画素単位ごとの演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する検出工程を行うことができる。
判定部53における判定基準である演算処理データの規定範囲は、検出対象とする特定の微生物等に対して、波長と強度との少なくともいずれかが互いに異なる励起光Xを照射したときの複数(2つ)の励起時デジタル画像を撮影し、この励起時デジタル画像中において特定蛍光反応81を映した画素について照合演算を行った結果として求めておく。
また、判定部53における判定基準である演算処理データの規定範囲は、検出対象とする特定の微生物等に対して励起光Xの照射を開始した時点からカメラ4によって撮影する時点までの時間を異ならせて撮影したときの複数(2つ)の励起時デジタル画像において、この励起時デジタル画像中において特定蛍光反応81を映した画素について照合演算を行った結果として求めておくこともできる。
【0054】
演算処理データの規定範囲は、特定の微生物等について特定蛍光反応81を実際に撮影したときの色相、輝度の色空間データに対して、適度の余裕を設けて設定することができる。この際、特定蛍光反応81の撮影を複数回行って、規定範囲の幅を決定することができる。
そして、実際に試料8に対して特定蛍光反応81の検査を行う際には、判定基準である演算処理データの規定範囲を決定する際に使用した励起光Xと同じ条件の励起光Xを試料8に照射する。また、励起光Xの波長又は強度を異ならせた場合には、設定基準時と検出時とで用いる励起光Xの種類を同じにする。
【0055】
図6には、第1色空間データd1と第2色空間データd2とを(図5参照)、1ドットごとの画素単位において照合して得た演算処理データが、規定範囲内にあるか否かの2値化処理を行った結果を可視化して示す。
本例の判定部53は、画素単位ごとの演算処理データのうち、特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応81について予め求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位を、ヒット画素Hとして求める。そして、ヒット画素Hが並んで形成される形状及び面積が、特定蛍光反応81について予め求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、試料8中に微生物又はウイルスが存在すると検出する。ヒット画素Hは、各画素単位の演算処理データが、演算処理データの規定範囲内にある場合を1、演算処理データの規定範囲内にない場合を0として、2値化処理を行ったときの1である画素とする。
特定蛍光反応81についての形状及び面積の規定範囲は、検出対象とする特定の微生物等の形状及び面積を実測した値に、適度の余裕を設けて設定することができる。
【0056】
また、画像処理部52における各画素は、例えば誤差演算として、|R1−R2|、|G1−G2|、|B1−B2|を行った場合には、これらの値の全てが規定範囲内になったときに、ヒット画素Hとすることができる。また、これらの値の1つ又は2つが規定範囲内になったときに、ヒット画素Hとすることもできる。このことは、画像処理部52において、算術演算を行う場合についても同様である。
【0057】
判定部53は、特定蛍光反応81が存在すると検出したヒット画素Hが並んで形成される形状を囲む大きさの画素領域を、ヒット領域Aとして特定する。
図4、図7には、ヒット画素Hを囲んでなるヒット領域Aを示す。
本例の判定部53においては、ヒット画素Hを抽出した2値化された演算処理データに対して、ヒット画素Hが並んで形成されたヒット画素形状の最大輪郭に合わせて、デジタル画像のX軸及びY軸に平行な辺を持つ矩形状によって囲む。そして、この矩形状によって囲まれた画素領域がヒット領域Aとして特定され、ヒット領域Aについて、ヒット画素形状が検出対象とする微生物等の特定蛍光反応81の形状と近似するか否かを判定する。
【0058】
判定部53においては、矩形状によって囲んだヒット画素形状の面積(ヒット画素Hの数)、重心位置等を検出することができる。また、ヒット画素形状が、微生物等についての特定蛍光反応81の形状及び面積の規定範囲内にある場合には、励起時デジタル画像中の全体におけるヒット画素形状の位置、数等を特定する。特定蛍光反応81の面積の規定範囲は、所定の面積以上であって所定の面積以下の所定の大きさの範囲を有している。ヒット画素形状が大き過ぎても小さ過ぎても、特定蛍光反応81の面積の規定範囲内には入らないことになる。
【0059】
また、判定部53は、上記ヒット画素形状を検出する以外にも、励起時デジタル画像を構成する全体の面積(画素数)のうち、ヒット画素Hが占める面積(画素数)の割合が所定の割合以上である場合に、試料8中に特定蛍光反応81があると判定することもできる。
本例の制御部51は、励起光Xを照射していないときの素デジタル画像D4をカメラ4によって撮影し、素デジタル画像D4においてヒット領域Aに相当する画素領域を、コンピュータ5に接続したモニタ6に拡大表示する表示工程を行うよう構成してある。
図8には、素デジタル画像D4について、ヒット領域Aに相当する画素領域Bをモニタ6に拡大表示した状態を概略的に示す。本例においては、素デジタル画像D4において微生物等が存在すると検出した領域を実際に目視により確認することができる。
【0060】
また、判定部53においては、特定蛍光反応81についての形状及び面積の規定範囲を、複数種類の微生物等について予め設定しておくことができる。そして、判定部53は、ヒット画素形状が並んで形成される形状及び面積が、予め複数種類の微生物等についてそれぞれ求めた形状及び面積の規定範囲のうちのいずれに含まれるかを判定し、試料8中に存在する微生物等の種類を推定することができる。この場合には、微生物等の有無だけでなく、種類も検出することができる。
また、判定部53は、矩形状のヒット領域Aの面積(画素数)に対し、ヒット領域A内において所定の形状を有するヒット画素Hの面積(画素数)の割合によって、微生物等の種類を推定することもできる。
【0061】
次に、蛍光反応検出装置1を用いて微生物等の特定蛍光反応81を検出する手順、即ち特定生物成分の検出方法につき、図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、光源2から、所定の波長及び強度を有する第1励起光Xを試料8に照射する(第1励起光照射工程;同図のステップS1)。そして、所定時間経過した後、試料8の表面をカメラ4によって撮影する(第1デジタル画像取得工程;S2)。このとき、試料8においては、第1励起光Xに励起されて種々の蛍光反応が起こり、カメラ4によって所定の可視光線の蛍光を撮影することになる。また、撮影を行った第1励起時デジタル画像D1は、コンピュータ5の画像処理部52(図1参照)に取り込んで記憶する。
【0062】
次いで、光源2から、波長と強度との少なくとも一方が第1励起光Xとは異なる第2励起光Xを試料8に照射する(第2励起光照射工程;S3)。そして、所定時間経過した後、試料8の表面をカメラ4によって撮影する(第2デジタル画像取得工程;S4)。このとき、試料8においては、第2励起光Xに励起されて種々の蛍光反応が起こり、カメラ4によって所定の可視光線の蛍光を撮影することになる。また、撮影を行った第2励起時デジタル画像D2は、コンピュータ5の画像処理部52に取り込んで記憶する。
【0063】
次に、以下のように画像処理工程(S5及びS6)を行う。
具体的には、まず、第1励起時デジタル画像D1における画素単位ごとの第1色空間データd1と、第2励起時デジタル画像D2における画素単位ごとの第2色空間データd2とを求める(S5)。次いで、画素単位ごとの第1色空間データd1と画素単位ごとの第2色空間データd2とに対して、誤差演算又は算術演算の照合演算を行い、画素単位ごとの演算処理データを求める(S6)。
【0064】
次に、以下のように検出工程(S7〜S11)を行う。
具体的には、まず、画素単位ごとの演算処理データが、検出対象となる特定の微生物又はウイルスが発生する蛍光(特定蛍光反応81;図3参照)について予め求めた演算処理データの規定範囲内にあるか否かを判定する(S7)。そして、規定範囲内にある画素をヒット画素Hとして抽出する(S8)。一方、全ての画素について規定範囲内にない場合には、試料8中に特定蛍光反応81の検出がなかったものとして終了する(S11)。
ヒット画素Hを抽出し、ヒット画素Hが集まって形成されるヒット画素形状が、予め特定蛍光反応81について求めた形状及び面積の規定範囲内にあるか否かを判定する(S9)。そして、ヒット画素形状が規定範囲内にある場合には、微生物等による特定蛍光反応81があったことを検出する(S10)。一方、ヒット画素形状が規定範囲内にない場合には、試料8中に特定蛍光反応81の検出がなかったものとして終了する(S11)。
【0065】
本例の特定生物成分検出方法1においては、上記のように、第1照射工程(S1)と、第1デジタル画像取得工程(S2)と、第2励起光照射工程(S3)と、第2デジタル画像取得工程(S4)と、画像処理工程(S5及びS6)と、検出工程(S7〜S11)を少なくとも行う(図9参照)。
第1照射工程においては、試料8に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光Xを照射する(図1参照)。次いで、第1デジタル画像取得工程においては、第1励起光Xを照射した試料8の表面をカメラ4により撮影し、第1励起時デジタル画像D1を得る(図2参照)。本例においては、試料8中に第1励起光により励起され蛍光を発する成分であるゴミ等の異物が存在するため、第1励起時デジタル画像D1においては、異物が蛍光反応82を示す(図2参照)。また、第1励起時デジタル画像D1においては、第1励起光によって微生物又はウイルスが励起し、これらが弱い特定蛍光反応81を示す。
【0066】
一方、第2照射工程においては、試料8に対して、第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる励起光からなる第2励起光Xを照射する。次いで、第2デジタル画像取得工程においては、第2励起光Xを照射した試料8の表面をカメラ4により撮影し、第2励起時デジタル画像D2を取得する。第1デジタル画像取得工程と同様に、試料8の表面を撮影することにより、試料8の蛍光状態をデジタル画像として取得することができる。第2励起光Xは、波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが第1励起光とは異なるため、試料8は第1励起光の場合とは異なるパターンで蛍光を発する。本例においては、試料8中に第1励起光だけでなく第2励起光Xによっても蛍光を発する異物が存在するため、第2励起時デジタル画像D2においてもこれらの異物が蛍光反応82を示す(図3参照)。さらに、第2励起時デジタル画像D2においては、第2励起光によって微生物又はウイルスが励起し、これらが強い特定蛍光反応81を示す。
このように1励起時デジタル画像D1と第2励起時デジタル画像D2は、励起光が異なるため異なる蛍光状態を示す(図2及び図3参照)。
【0067】
画像処理工程においては、第1励起時デジタル画像D1と第2励起時デジタル画像D2について、それぞれ画素単位ごとの色空間データd1,d2を求める。そして、第1励起時デジタル画像D1における画素単位ごとの色空間データd1と、第2励起時デジタル画像D2における画素単位ごとの色空間データd2とに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに誤差演算又は算術演算を行った演算処理データを求める。
【0068】
次に、検出工程においては、画素単位ごとの演算処理データを、特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応81について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合する。そして、画素単位ごとの演算処理データが、予め特定蛍光反応81について求めた演算処理データの規定範囲内にある場合には、試料8中に微生物等が発する特定蛍光反応81があると判定し、微生物等を検出することができる。
【0069】
ところで、一般的に、試料8には、微生物又はウイルス以外にも、ゴミ等の異物が含まれ、該異物も励起光Xにより蛍光反応82を発生する(図2及び図3参照)。ただし、特定蛍光反応81と、ゴミによる蛍光反応82とは、励起光Xの波長、強度等の条件によって、蛍光の性質が異なる。そこで、本例のように、第1励起時デジタル画像と第2励起時デジタル画像という2種類の励起時デジタル画像D1,D2を撮影した際に、例えば特定蛍光反応81がいずれの励起時デジタル画像D1,D2にも撮影される一方で、いずれかの励起時デジタル画像D1(D2)と他の励起時デジタル画像D2(D1)とにおいて、蛍光(特定蛍光反応81)の強弱により撮影のされ方が異なる場合が想定される(図2及び図3参照)。この場合には、上記照合演算を行うことにより、微生物又はウイルスによる蛍光反応を、ゴミ等の異物による蛍光反応と明確に区別することができる。
したがって、本例の特定生物成分検出方法によれば、試料中における微生物又はウイルスの有無を高い検出精度で、安定して検出することができる。
【0070】
(実施例2)
本例は、画像処理工程及び検出工程における処理が、上記実施例1とは異なる例である。
本例の画像処理工程は、第1励起時デジタル画像D1について所定の蛍光反応がある画素領域を特定し、この画素領域についてのみ照合演算を行うことにより、画像処理量を低減させることができるものである。
【0071】
本例においても、実施例1と同様に、蛍光検出装置1を用いて、第1励起光照射工程と第1デジタル画像取得工程と第2励起光照射工程と第2デジタル画像取得工程とを行って、2種類の励起光Xを照射したときの2種類の励起時デジタル画像(第1励起時デジタル画像D1,第2励起時デジタル画像D2)をカメラ4によって撮影する(図1、図10、及び図11参照)。
【0072】
本例の画像処理工程においては、蛍光検出装置1の画像処理部52により、第1励起時デジタル画像D1について、それぞれ1つの画素単位ごとの第1色空間データ(基準用色空間データ)d1を求める。そして、画素単位ごとの基準用色空間データd1のうち、所定の規定範囲内にある画素単位の集まりを、仮ヒット画素H’として求め、仮ヒット画素H’を囲む大きさの画素領域を仮ヒット領域A’として特定する。
【0073】
図10には、第1励起時デジタル画像D1において、仮ヒット画素H’及び仮ヒット領域A’を特定した状態を可視化して概略的に示す。仮ヒット領域A’は、仮ヒット画素H’が並んで形成されたヒット画素形状の最大輪郭に合わせて、デジタル画像のX軸及びY軸に平行な辺を持つ矩形状によって囲んで形成される。
なお、上記所定の規定範囲は、予め特定蛍光反応81について求めた基準用色空間データd1の規定範囲とすることができる。
【0074】
また、画像処理工程においては、第2励起時デジタル画像D2について、仮ヒット領域A’に相当する領域A’のみについて、それぞれ1つの画素単位ごとの第2色空間データ(照合用色空間データ)d2を求める。
図11には、第2励起時デジタル画像D2において、仮ヒット領域A’に相当する領域A’を可視化して概略的に示す。そして、画像処理工程においては、仮ヒット領域A’内の画素単位ごとの基準用色空間データd1と、仮ヒット領域A’に相当する領域内の画素単位ごとの照合用色空間データd2とに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算して、仮ヒット領域A’内の画素単位ごとに演算処理データを求める。
図12には、仮ヒット領域A’内の基準用色空間データd1と、仮ヒット領域A’に相当する領域A’内の照合用色空間データd2とに照合演算を行った結果を、可視化した画像D3として概略的に示す。
【0075】
基準用色空間データd1と照合用色空間データd2とに行う照合演算は、上記実施例1と同様に、誤差演算又は算術演算とすることができる。
本例の検出工程においては、蛍光検出装置1の判定部53により、仮ヒット領域A’内の画素単位ごとの演算処理データのうち、予め特定蛍光反応81について求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位を、ヒット画素Hとして求める。そして、判定部53は、ヒット画素Hが並んで形成される形状及び面積が、予め特定蛍光反応81について求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、試料8中に微生物等が存在すると検出することができる。
【0076】
本例においては、2種類の励起時デジタル画像D1,D2を撮影した際に、例えば、特定蛍光反応81がいずれの励起時デジタル画像にも撮影される一方で、第1励起時デジタル画像D1と第2励起時デジタル画像D2とにおいて、撮影のされ方が異なる場合が想定される。この場合には、上記照合演算をすることにより、微生物又はウイルスによる蛍光反応を、他のゴミ(検出対象外の異物)による蛍光反応と明確に区別することができる。
【0077】
本例においては、第2励起時デジタル画像D2について、仮ヒット領域A’に相当する領域のみについて、それぞれ画素単位ごとの照合用色空間データd2を求める。これにより、照合用色空間データd2を求める処理を少なくすることができる。
こうして、デジタル画像の全体の画素領域のうち、特定の限られた画素領域についてのみ、演算処理データを求めことにより、演算処理データを求める処理を少なくすることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 蛍光反応検出装置
2 光源
3 フィルタ
4 カメラ
5 コンピュータ
51 制御部
52 画像処理部
53 判定部
6 モニタ
8 試料
81 特定蛍光反応
X 励起光
D1,D2 励起時デジタル画像
D4 素デジタル画像
d1,d2 色空間データ
H ヒット画素
A ヒット領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応を検出することにより、上記特定の微生物又はウイルスを検出する特定生物成分検出方法であって、
上記試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する第1励起光照射工程と、
上記第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する第1デジタル画像取得工程と、
上記試料に対して、上記第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる第2励起光を照射する第2励起光照射工程と、
上記第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する第2デジタル画像取得工程と、
少なくとも上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを求めてそれぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算し、画素単位ごとに演算処理データを求める画像処理工程と、
上記画素単位ごとの演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する検出工程とを有することを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載の特定生物成分検出方法において、上記試料に対して、上記第1励起光及び上記第2励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかを変えてさらに励起光を照射し、該励起光を照射した試料の表面を撮影し、励起時デジタル画像を取得する励起光照射−デジタル画像取得工程を少なくとも1回以上行い、上記画像処理工程においては、上記第1励起時デジタル画像と上記第2励起時デジタル画像と共に、上記励起光照射−デジタル画像取得工程において取得した少なくとも1つ以上の励起時デジタル画像について、上記演算処理データを求めることを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の特定生物成分検出方法において、上記検出工程においては、上記画素単位ごとの上記演算処理データのうち、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位をヒット画素として求め、該ヒット画素が並んで形成される形状及び面積が予め上記特定蛍光反応について求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、上記試料中に上記特定の微生物又はウイルスが存在すると検出することを特徴とする特定生物検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の特定生物成分検出方法において、上記検出工程において上記ヒット画素が並んで形成される形状を囲む大きさの画素領域をヒット領域として特定し、
上記励起光を照射していないときの素デジタル画像を取得し、上記素デジタル画像において上記ヒット領域に相当する画素領域をモニタに拡大表示する表示工程を行うことを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項5】
試料中の特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応を検出することにより、上記特定の微生物又はウイルスを検出する特定生物成分検出方法であって、
上記試料に対して、特定の波長、強度、及び照射時間で第1励起光を照射する第1励起光照射工程と、
上記第1励起光を照射した試料の表面を撮影し、第1励起時デジタル画像を取得する第1デジタル画像取得工程と、
上記試料に対して、上記第1励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかが異なる第2励起光を照射する第2励起光照射工程と、
上記第2励起光を照射した試料の表面を撮影し、第2励起時デジタル画像を取得する第2デジタル画像取得工程と、
上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちのいずれか一方について、画素単位ごとの色空間データを基準用色空間データとして求め、該基準用色空間データのうち、所定の規定範囲内にある画素単位の集まりを仮ヒット画素として求め、該仮ヒット画素を囲む大きさの画素領域を仮ヒット領域として特定し、かつ上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちの他方における上記仮ヒット領域に相当する領域のみについて、画素単位ごとの色空間データを照合用色空間データとして求め、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記基準用色空間データと、上記仮ヒット領域に相当する領域内の上記画素単位ごとの上記照合用色空間データとに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算して、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとに演算処理データを求める画像処理工程と、
上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記演算処理データを、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲と照合して、上記試料中における微生物又はウイルスを検出する検出工程とを有することを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の特定生物成分検出方法において、上記第1励起光及び上記第2励起光とは波長、強度、及び照射時間の少なくともいずれかを変えてさらに励起光を照射し、該励起光を照射した試料の表面を撮影し、励起時デジタル画像を取得する励起光照射−デジタル画像取得工程を少なくとも1回以上行い、上記画像処理工程においては、上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちのいずれか一方について、上記仮ヒット画素及び上記仮ヒット領域を求め、かつ上記第1励起時デジタル画像又は上記第2励起時デジタル画像のうちの他方における上記仮ヒット領域に相当する領域、及び上記励起光照射−デジタル画像取得工程において取得した少なくとも1つ以上の上記励起時デジタル画像における上記仮ヒット領域に相当する領域について、それぞれ画素単位ごとの色空間データを照合用色空間データとして求め、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記基準用色空間データと、上記仮ヒット領域に相当する領域内の上記画素単位ごとの上記照合用色空間データとに対し、それぞれ同じ位置にある画素単位同士で照合演算して、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとに演算処理データを求めることを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の特定生物成分検出方法において、上記検出工程においては、上記仮ヒット領域内の上記画素単位ごとの上記演算処理データのうち、上記特定の微生物又はウイルスが励起時に発生する特定蛍光反応について予め求めた演算処理データの規定範囲内にある画素単位をヒット画素として求め、該ヒット画素が並んで形成される形状及び面積が予め上記特定蛍光反応について求めた形状及び面積の規定範囲内にある場合に、上記試料中に上記特定の微生物又はウイルスが存在すると検出することを特徴とする特定生物検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の特定生物成分検出方法において、上記検出工程において上記ヒット画素が並んで形成される形状を囲む大きさの画素領域をヒット領域として特定し、
上記励起光を照射していないときの素デジタル画像を取得し、上記素デジタル画像において上記ヒット領域に相当する画素領域をモニタに拡大表示する表示工程を行うことを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の特定生物成分検出方法において、上記色空間データは、赤色、緑色、青色の色相、及び輝度のうち少なくとも1つのデータであり、
上記画像処理工程における上記照合演算は、上記色相及び輝度のうち少なくとも1つ同士に対して行う誤差演算又は算術演算であることを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の特定生物成分検出方法において、上記第1励起光及び上記第2励起光の波長は、それぞれUV励起、B励起、又はG励起のうちのいずれかに該当する波長であることを特徴とする特定生物成分検出方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の特定生物成分検出方法において、上記第1励起光及び第2励起光のうちの少なくとも1つは、波長と強度との少なくとも一方を異ならせた複数種類の励起光からなることを特徴とする特定生物成分検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−168084(P2012−168084A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30681(P2011−30681)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(511041640)株式会社エヌ・シー・ディ (7)
【Fターム(参考)】