説明

特定疾患の治療に要する期間を予測するシステム

【解決課題】特定疾患の外観的形態から、二次的にマーチする特定疾患に対する確かな治療期間を算出することができるシステムとTh生体反応検査によるテーラーメイド医療の施術期間を提供する。
【解決手段】特定疾患の外観的形態に関するユーザからの入力に基づいて、前記特定疾患の治療に要する期間を予測するシステムである。処理手段は、外観的形態に関係する複数の症状項目の各症状項目について、症状の程度に応じて複数の選択肢をユーザに提供し、当該ユーザが前記複数の選択肢の少なくとも一つを選択できるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定疾患の治療に要する期間を予測とその管理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年医療の分野では、アレルギー(Th2)マーチに基づいたテーラーメイド療法による疾患への早期介入(二次的巡行疾患の治療)が実践されている。また、医療の均一を、臨床的アウトカムを目指したクリニカルパスによって、医療チームよる治療と管理の有効性が強調されている。クリニカルパスとは、ある種の疾患をもつ患者個体に対する医療チーム(患者本人を含む)による治療・検査・ケア・処置・指導などの内容やタイミング、患者の状態などを時間軸に沿ってまとめた工程管理表に相当するものである。
【0003】
近年の医療機関はこの疾患毎にクリニカルパスを作成し、クリニカルパスリスト(チェック表)に基づいて患者のトータルケアを行っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
新規に開発(発見)したTh疾患マーチ(多くの疾患は発症する時期とその疾患とに規律があって、一見関係のない疾患も巡行(march)する。このことを明らかにしたので二次的にマーチングする疾患の早期介入(治療)が可能となる方法(例:Th1あるいはTh1疾患のリウマチ→Th2にシフト(アレルギーの発生をみる)を実施したn=2)を具現化した。
【0005】
この方法をアウトカムにしたクリニカルパスを作成する上で、治療に要する期間を見積もることが必要(当該疾患群を同一化して比較するために日数に変換)であるが、疾患によっては、治療に要した期間が大きくばらつき、患者に確かな治療期間あるいは治癒に要する日数を伝えることができないという問題があった。例えば、アトピー性皮膚炎(Th2優位疾患)などは固体差や治療方法によってその治療期間が大きくばらつき、また予測をしたテーラーメイド療法の日数を伝えることはできない。
【0006】
そこで、本発明は、特定疾患の外観的形態から、二次的にマーチする特定疾患に対する確かな治療期間を算出することができるシステムとTh生体反応検査によるテーラーメイド医療の施術期間を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は特定疾患の外観的形態に関するユーザからの入力に基づいて、前記特定疾患の治療に要する期間を予測するシステムと刻一刻と変化する症状の推定治療必要日数とを予測するシステムにおいて、前記両システムは、記憶手段と処理手段とを備え、前記処理手段は、前記外観的形態に関係する複数の症状項目の各症状項目について、テーラーメイド療法による症状の程度に応じて複数の選択肢をユーザに提供し、当該ユーザが前記複数の選択肢の少なくとも一つを選択できるようにする手段を備え、前記記憶手段は、前記予測に用いられる評価関数であって、複数の実モデルついて、前記複数の症状項目の各症状項目と治療期間の実測値とについて因子分析を行って、前記複数の各症状項目の前記治療期間に与える重み付け係数を求め、前記各症状項目に前記重み付け係数を適用したものを合計してなる前記評価関数と、前記ユーザによって選択された選択肢に対するスコアと、を記録しており、前記処理手段は、さらに、前記評価関数と前記スコアとを前記記憶手段から読み出し、前記読み出したスコアを前記読み出した評価関数の該当する前記症状項目に代入して治療期間を算出する手段を備える、ことを特徴とするものである。
【0008】
また、クリニカルパスを医療チームとして共有できることを特徴とするインターネット軽量化医療システムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特定疾患の外観的形態から、この特定疾患に対する確かな治療期間を算出することと、Th疾患としてマーチングする二次疾患の早期介入ができるシステムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施形態について説明する。図1は、特定疾患の治療に要する期間を予測するシステムを実現するためのコンピュータシステムである。このコンピュータシステムは、入力装置と、メモリと、演算処理ユニットと、表示デバイスと、を備えて構成されている。
【0011】
次に、このコンピュータシステムの動作を、リウマチ(Th1)に二次的マーチング疾患である犬のアトピー性皮膚炎の治療に要する期間を予測することを例にして説明する。発明者は、犬のアトピー性皮膚炎の外観的症状を次の各症状項目から評価した。
【0012】
深さ、滲出液、皮膚患部の大きさ、炎症と感染の評価(合併症)、肉芽組織、壊死組織、皮膚ポケットの存在(薬疹:アナジー)。
【0013】
さらに、発明者は各項目について、次の通り複数の選択肢を設定した。
〔深さ〕
○皮膚異常も発赤もない状態
○持続する発赤の状態
○皮膚表面から真皮まで
○皮下組織までに及ぶ
○皮膚が完全に断裂
○皮膚が断裂しているが深さが判定できない
〔滲出液〕
○滲出液はない
○少量(ガーゼが滲出液で少し濡れる程度)
○中等量(1日1回ガーゼを交換する程度)
○多量(1日2回以上交換する程度)

〔炎症と感染の評価〕
○合併症が存在するが局所の炎症兆候がみられないもの
○患部に炎症兆候が見られるもの(発赤、ブドウ球菌感染症など)
○患部に明らかな感染兆候が見られるもの(ブドウ球菌感染症、マラセチア感染症などを含む)
○全身的影響が見られるもの(合併症の存在が確実な上に皮膚の発赤などを伴う)

〔肉芽組織〕
○既に治癒したか、または肉芽形成の評価ができない
○良性肉芽が90%以上を占める
○良性肉芽が50%〜90%を占める
○良性肉芽が10%〜50%を占める
○良性肉芽が10%未満
○良性肉芽が全く無い

〔壊死組織〕
○壊死組織は見られない
○柔らかい壊死組織がある
○硬く厚く密着した壊死組織がある

〔皮膚ポケットの存在〕
○ポケットなし
○4未満
○4〜16未満
○16〜36未満
○36以上

発明者は各症状項目の各選択肢とアトピー性皮膚炎の治療まで要した実例(500例)について因子分析を行い、治療期間に与える各症状項目の重み付け(重相関係数の固有値)を求め、治療期間を予測する評価関数を得た。評価関数(疾患の根本原因に対する因子係数)は次のとおりである。
【0014】

アトピー性皮膚炎の皮膚の推定治療日数(days)=
((0.875*1.5)ד深さ” )+(((1.028*1.5)ד滲出液”) - 1.4)+(((1.175*1.5)ד皮膚病変の大きさ”) -4)+(((1.571*1.5)ד合併症”)-16)

各症状項目に対応する数値は重み付けの結果得られた特性値である。“ ”内の各症状項目には、ユーザによって選択された選択肢に対応するスコアが代入される。但し、“皮膚病変の大きさ”には皮膚病変の面積(平方cm)が代入される。
【0015】
前記評価関数メモリに予め記録されている。前記症状項目毎に前記選択肢を表示するためのプログラム及びデータが予めメモリに記録されている。各選択肢に対するスコアが予めメモリに記録されている。
【0016】
次に図1に示すシステムの動作について説明する。ユーザがシステムを起動すると、処理装置は表示デバイスに既述の症状項目と既述の選択肢を表示デバイスに表示する。
【0017】
次いでユーザが犬の皮膚形態を観察して、入力装置を利用して症状項目毎に該当する選択肢を選択する。“皮膚病変の大きさ”には皮膚病変の面積(平方cm)を入力する。
【0018】
また、根本原因(Th2反応優位=衛生仮説)は別途に要治療日数を計量化する因子があり、実際には上記日数に根本日数を加算して評価するコンピュータシステムである。同様にしてすべてのTh疾患を日数化して使用可能であるシステムステムの体裁としてインターネットに構築した。
【0019】
処理ユニットは、ユーザから入力がある都度入力結果をメモリに記録する。ユーザの入力が終了すると、処理ユニットはメモリから既述の評価関数と入力結果である既述のスコアと皮膚病変の面積を読み出し、入力結果を評価関数に代入して、アトピー性皮膚炎の皮膚の推定治療日数(days)を求め、推定治療日数を表示デバイスに表示する。根本原因であるTh2の変化をも評価可能である。
【0020】
発明者が鋭意検討したところ、アトピー性皮膚炎はTh2反応(真の病因)がTh1反応に対して優位であることによって発症する。そこで、Th1反応値に対するTh2反応値の比を既述の評価関数に外挿することによって、アトピー性皮膚炎の根本原因を含めて推定治療日数を求めることができる。またこのことにより推定した日に完治させることも可能である。
【0021】
なお、Th1反応とは、リンパ球等の細胞が異物を攻撃する細胞性免疫反応であり、Th1細胞から産生され、免疫細胞の機能を調節する蛋白質(サイトカイン)のひとつであるインターフェロンγの産生を特徴とする。同じくサイトカインのひとつであるインターロイキン4の産生を特徴とするTh2反応とは排他的に作用する。
【0022】
既述の実施形態では、犬のアトピー性皮膚炎に対する治療日数を予測するシステムについて説明したが、これに限られること無く本発明が有効なかぎりいかなる疾患モデルについても治療日数を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】特定疾患の治療に要する期間を予測するシステムを実現するコンピュータ装置のハードウエアブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定疾患の外観的形態に関するユーザからの入力に基づいて、前記特定疾患の治療に要する期間を予測するシステムにおいて、
前記システムは、記憶手段と処理手段とを備え、
前記処理手段は、前記外観的形態に関係する複数の症状項目の各症状項目について、症状の程度に応じて複数の選択肢をユーザに提供し、当該ユーザが前記複数の選択肢の少なくとも一つを選択できるようにする手段を備え、
前記記憶手段は、前記予測に用いられる評価関数であって、複数の実モデルついて、前記複数の症状項目の各症状項目と治療期間の実測値とについて因子分析を行って、前記複数の各症状項目の前記治療期間に与える重み付け係数を求め、前記各症状項目に前記重み付け係数を適用したものを合計してなる前記評価関数と、前記ユーザによって選択された選択肢に対するスコアと、を記録しており、
前記処理手段は、さらに、前記評価関数と前記スコアとを前記記憶手段から読み出し、前記読み出したスコアを前記読み出した評価関数の該当する前記症状項目に代入して治療期間を算出する手段を備える、
特定疾患の治療に要する期間を予測するシステム。

【図1】
image rotate