特殊な繊維切断および制止システムを有する繊維貼付ヘッド
本発明は、複合材料の部品を作成するために繊維を貼付けるヘッドに関する。上記ヘッドは、多数の繊維から形成される幅広のストリップを表面に貼付けるために、変位システムの端部に取付けることを目的としている。上記ヘッドは、貼付ローラー(R)と、貼付ローラーに繊維を案内するための案内手段(3)と、作動システムによって作動される、貼付ローラー(R)の上流側の繊維を切断するための刃(41)を備える切断手段と、切断されたばかりの繊維を制止するように作動システムによって作動される制止スタッド(43)を備える制止手段とを有する。制止スタッド(43)および刃(41)は、共通の作動システム(42)によって作動され、共通の作動システム(42)は、切断および制止される繊維毎に1つの刃および1つのスタッドを移動させて、繊維を切断および制止する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、複合材料の部品を作成するために繊維を貼付けるヘッドに関し、より詳細には、特殊な繊維切断および制止システムを有する繊維貼付ヘッドに関する。
【0002】
繊維配置機として一般に知られる、繊維貼付機が公知である。繊維貼付機は、幅広のストリップの雄型のまたは雌型の鋳型に用いられるものであり、上記幅広のストリップは、樹脂を含浸させた、リボン型の多数の平らな繊維、特に熱硬化性または熱可塑性の樹脂を含浸させた炭素繊維から形成されている。この機械は、繊維貼付ヘッドを移動させるためのシステム、繊維貯蔵手段、および、繊維を繊維貯蔵手段から繊維貼付ヘッドまで搬送する手段を備えている。
【0003】
従来の繊維配置ヘッドは、具体的には国際公開第2006/092514号パンフレットに記載されているように、ストリップに貼付けるために鋳型に対して接触することを目的とする貼付ローラーと、貼付ローラー上に繊維を案内する案内手段と、貼付ローラーの上流側の各繊維を個別に切断するための切断手段と、切断手段の上流側に設けられた再ルーティング手段とを有している。再ルーティング手段は、どの時点であっても、ストリップへの貼付を停止および再開すること、並びにストリップの幅を選択することが可能なように、切断されたばかりの各繊維を新ルートにて送るものである。案内手段は、導管または滑車の2つのシステムを有しており、これら2つのシステムは、下流側から上流側にかけて接近し合う2つの案内面に沿って互い違いの列に配置されており、繊維の2つの層または束を貼付ローラーの方向に別々に案内するようになっている。切断手段は、繊維毎に1つの平刃を含み、平刃は、気圧ジャッキによって作動され、固定カウンターツールに対向して配置されている。再ルーティング手段は、キックローラーを含み、キックローラーは、ジャッキによって作動され、駆動ローラーに面して配置されている。第1の層の平刃およびキックローラー、並びに、これらに関連する作動ジャッキは、ローラー側、換言すると、使用時のヘッドの前進運動に対して繊維から下流側に配置されており、その一方で、別の層の平刃およびキックローラー、並びに、これらに関連する作動ジャッキは、繊維の上流側に配置されている。
【0004】
上流側の作動ジャッキは、貼付ローラーよりも高い位置に配置される必要がある。これは、ヘッドを異なる凹面上で使用可能にするため、特に、ヘッドを設置面と案内手段から接近する繊維のストリップとの間のアタック角が低い状態で使用可能にするためである。繊維は、2つの層に対するローラーからほぼ同じ間隔で切断されるため、全ての作動ジャッキの操作は簡略化される。従ってヘッドの精度および信頼性は最適化される。このため、下流側のジャッキは、上流側のジャッキと同じ高さに配置されている。作動ジャッキの当該構成は、ヘッドを最適に小型化する可能性を制限すると共に、例えば、ストリップの先頭部分に関して繊維の切り口を可能な限り揃えるように、ヘッドの位置を新たに変更する精度を制限する。
【0005】
繊維の移動を停止させるために、切断されたばかりの各繊維をそれぞれ制止する制止手段が設けられている。これらの制止手段は、通常、再ルーティング手段の上流側に配置されており、それぞれに独自の作動ジャッキを備えている。これらの新しい作動ジャッキは、場所を必要とするという問題以外にも、制御し難いという問題を有しており、切断されたばかりの各繊維を確実に制止するような複雑且つ精密な制御システムを必要としている。
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つの欠点を克服することを目的とした解決方法を提供することにある。本発明によって、特に、繊維配置ヘッドは最適に小型化されると共に、高い信頼性を有した繊維の切断、再ルーティング、および/または、制止が保証される。
【0007】
このため、本発明の対象は、変位システムの端部に取付けて、多数の繊維から形成される幅広のストリップを表面に貼付けるための繊維貼付ヘッドである。繊維貼付ヘッドは、
−ストリップの状態の繊維を貼付けるための貼付ローラーと、
−上記貼付ローラー上に繊維を案内するための案内手段と、
−作動システムによって定位置および切断動作位置の間にて作動される刃を備え、繊維の前進運動の方向に対して上記貼付ローラーの上流側の繊維を切断することが可能な切断手段と、
−上記切断手段の上流側に配置され、作動システムによって定位置および制止動作位置の間を作動される制止スタッドを備え、切断されたばかりの繊維を制止することが可能な制止手段とを有する繊維貼付ヘッドにおいて、上記制止スタッドおよび上記刃は、共通の作動システムによって定位置および動作位置の間を作動されることが好ましい。共通の作動システムは、切断および制止される繊維毎に1つの刃および1つの制止スタッドを移動させて、繊維を切断および制止すること、好ましくは繊維を切断した後に制止することが可能である。
【0008】
本発明によれば、繊維の切断および制止に同一の作動システムを用いることによって、作動システムの数を減少させることができる。これによって、より小型のヘッドを実現すると共に、作動システムの制御を簡略化させ、信頼性を有して且つ極めて高い精度で繊維の制止を行い、従って切断された繊維を極めて正確に貼付ローラーまで新ルートにて送ることが可能である。好ましくは、繊維は切断された後に制止されることが好ましいが、切断と制止とを完全に同時に行うことも想定可能である。
【0009】
一特徴点として、作動システムは、繊維毎に1つのジャッキ、好ましくは空気圧ジャッキを備えている。上記ジャッキは、当該ジャッキのロッドの端部において、繊維を個別に切断および制止するための制止スタッドおよび平刃を支えている。この刃先は、好ましくは、制止スタッドの支持面よりもわずかに突出しているため、繊維は切断された後に制止される。
【0010】
一実施形態によれば、刃は、その近位部によって、刃制止システムを備えるジャッキロッド内の第1の縦型ハウジング内に取付けられる。刃制止システムは、上記ロッド内の第2の縦型ハウジング内をスライドするように取付けられた作動ピンと、これら2つのハウジングを接続する横孔に取付けられた制止ボールとを有している。作動ピンは、作動ピンが第1のハウジングに少なくとも部分的に噛み合った制止ボールを支え、特に、その第1のハウジングにおいて刃を制止するように刃の凹部または開口部において刃を軸方向に制止する定位置において、弾性手段によって弾性的に作用する。作動ピンはまた、外部からツールによって、制止ボールが第2のハウジングに部分的に噛み合って刃の制止を解除する制止解除位置の方に移動されることが可能である。
【0011】
好ましくは、制止スタッドは、その近位部によって第2のハウジングに取付けられる。この案内スタッドは縦通路を有し、縦通路は、当該縦通路内に挿入されたツールを用いて、制止スタッドと第2の縦型ハウジングの底部との間に取付けられた作動ピンを移動させることが可能である。従って刃を、ジャッキロッドの端部を介して容易に取り除くことができ、その際に、ジャッキを取り除く必要は無い。このロッキングシステムは、上記スタッドと合うように中央揃えされ、当該スタッドによって作動される。この構成によって、ジャッキロッドの直径を拡大させることなく、急動作用ロッキングシステムを集積することが可能になる。
【0012】
一実施形態によれば、制止手段は、制止スタッドの支持面と対向して配置された制止カウンターツールを有している。制止スタッドは、制止カウンターツールに接触して、制止動作位置において停止する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ロボットの手首に連結された、本発明に係る貼付ヘッドを示す側面図である。
【図2】図1の貼付ヘッドを示す斜視図であり、モジュールの内部がより詳細に表示されるように、貼付ヘッドのいくつかの支持素子は除去されている。
【図3】図1の貼付ヘッドの正面図である。
【図4】容易に取り外し可能な貼付ヘッドの種々の部品を示す、図1の貼付ヘッドの分解斜視図である。
【図5】第1の層の繊維用の案内通路を示す、図3の平面V−Vに沿って貼付ヘッドを切断した断面図である。
【図6】図5の細部D1を示す拡大図である。
【図7】作動ジャッキのロッドの端部における制止スタッドおよび切断刃を示す、繊維切断システムの部分斜視図である。
【図8】切断ジャッキのロッドを示す縦部分断面図である。
【図9】第2の層の繊維用の案内通路を示す、図3の平面IX−IXに沿って貼付ヘッドを切断した断面図である。
【図10】図9の細部D2を示す拡大図である。
【図11】案内システムを構成する3つのプレートを示す、2つの分解斜視図である。
【図12】案内システムを構成する3つのプレートを示す、2つの分解斜視図である。
【図13】冷却モジュールの保護プレートを省略した、温度調整システムを示す斜視図である。
【図14】温度調整システムを示す部分斜視図である。
【図15】熱風吹き込み口を省略した、温度調整システムの別の斜視図である。
【0014】
添付の図面を参照することによって、本願の現時点で特に好ましい一実施形態の詳細な説明をする過程にて、本発明はより良好に理解されると共に、他の目的、詳細、特徴、および利点はより明らかとなろう。
【0015】
図1〜6を参照すると、繊維配置ヘッド1は、上部に取付けられた支持デッキ10を有しており、支持デッキ10は、支持デッキを、組立軸Aに沿って、変位システムS、特に6軸ロボット型の多関節アームの端部の手首に固定するためのフランジ11を備えている。
【0016】
支持デッキ10は、その下部においてモジュール2を取り外し可能に支えている。モジュール2は、貼付ローラーRと、繊維を2つの案内面P1、P2に沿って、2つの繊維の束または繊維の層の状態で貼付ローラーの方向に案内することが可能な案内システム3と、各繊維を個別に切断および制止するための切断および制止システム4A、4Bと、切断されたばかりの各繊維を個別に新ルートにて送るための再ルーティングシステム5A、5Bとを有している。
【0017】
図4および図5によれば、上記モジュールは、横材231〜234によって互いに接続された2つのフランジ21、22を含み、これら2つのフランジの間に、貼付ローラーR、案内システム3、切断および案内システム4A、4B、並びに、再ルーティングシステム5A、5Bが取付けられている。これら2つのフランジの後方の端部には、垂直レール24が取付けられている。垂直レール24は、2つの垂直支持プレート12、13の前方の端部に取付けられた相補型スライダ14内にスライド可能である。2つの垂直支持プレート12、13は、支持デッキと一体化されており、支持デッキの下面から下方に延びている。上記モジュールは、支持デッキと一体化された2つの圧縮ジャッキのシャフトに連結される。圧縮ジャッキ81は、そのボディ81bによって、支持デッキの下面に連結される。圧縮ジャッキ81のロッド81aには、いわゆる第1の空気圧接続プレート82が連結される。2つのフランジ21、22の外縁には、第2の空気圧接続プレート83が取付けられる。モジュールを取付けるには、垂直レール24をスライダ14内にスライドさせながら、空気圧接続プレート82、83が、互いに接触して平坦になるまで、モジュール2を垂直に上方に移動させる。モジュールは、トグルレバーボルトといった急動作用制止手段25によって上記のプレートに連結される。これらの接続プレートは、複数の垂直通路を有している。これらの垂直通路は、モジュールを取付ける時に、密閉された状態で互いに対向するように位置しており、上記モジュールの異なるシステム間に空気圧接続を提供する。この点を以下に説明する。
【0018】
貼付ローラーRは、直角掛けコネクタ型の急動作用組立システム26を用いて、自転するように上記2つのフランジの下端部に取付けられる。この際、貼付ローラーの回転軸は、組立軸Aおよび圧縮ジャッキロッド85aに直角に配置される。貼付ローラーの回転軸、組立軸、および圧縮ジャッキロッドは、ほぼ同一平面に沿って配置される。
【0019】
このモジュール2には、繊維投入システム6が取付けられる。繊維投入システム6は、繊維が上述の案内面P1、P2に沿って2つの層の状態にて投入されることを可能にする。例えば、繊維は、国際公開第2006/092514号パンフレットに係る出願に記載されるような可撓性のチューブを介して繊維貼付ヘッドの方向に送られる。各可堯性チューブはその内部通路内に繊維を受け入れる。繊維投入システムはまた、アンカー斜面61から成る。アンカー斜面61には、互い違いの2つの列である可撓性のチューブの端部62が固定される。アンカー斜面は、例えば、モジュール2と一体化された2つのロッド271の上に取付けられ、2つのロッド271にネジ留めされる蝶形ネジ272によって定位置に保持される。図示した実施形態では、繊維貼付ヘッドは、1つの層が16の繊維から成る2つの層である32の繊維のストリップを配置することが可能である。
【0020】
案内システム3は、好ましくは金属製の3つのプレートを含む。これら3つのプレートは、プレート間に第1の案内通路および第2の案内通路を形成するように、互いに接触し合ってモジュールに平坦に取付けられている。第1の案内通路および第2の案内通路を、第1の層の繊維および第2の層の繊維がそれぞれ通過して、接線方向に貼付ローラーまで送られる。図5、図6、および、図9〜図12を参照すると、第1の外側プレート31は、第1の主面311によって、いわゆる中央プレート32の第1の主面321に対して取付けられており、第2の外側プレート33は、第1の主面331によって、中央プレートの第2の主面322に対して取付けられている。中央プレートは、横方向の三角形の断面を有しており、中央プレートの2つの主面321、322間の勾配は、2つの案内面P1、P2間の角度に相当する。第1の案内通路C1(図6)は、第1の外側プレートの第1の主面311に設けられた縦溝313によって構成されており、中央プレートの第1の主面321に取り囲まれている。これらの縦溝は、平らな繊維の幅にほぼ相当する幅を有しており、溝の幅にほぼ相当する間隔で、横方向に互いに離間されている。第2の案内通路C2(図10)は、中央プレートの第2の主面322上に設けられた縦溝323によって形成されており、第2の外側プレートの第1の主面331に取り囲まれている。これらの縦溝323は、第1の外側プレートの縦溝と同様であり、縦溝323は、第1の外側プレートの縦溝に対して、1つの溝幅の分だけずれるように配置されているので、第1の通路および第2の通路が互い違いの列に配置され、2つの層の繊維F1、F2はほぼ端から端まで貼付ローラー上に配置され、これによって、ストリップの貼付が形成される。図6および図10に示すように、2つの案内面P1、P2が交差する点は、案内システムから下流側に位置し、貼付ローラーと同じ高さである。
【0021】
図4、図11および図12によれば、3つのプレートは、フランジ21、22の先端に、つまり、使用時のヘッドの移動方向に対して貼付ローラーの上流側に取付けられている。プレートの取付けは、差し込まれた上部ロッド281および下部ロッド282によって行われている。上部ロッド281および下部ロッド282は、フランジ上で旋回するように取付けられていると共に、第2の外側プレート33の上部横ノッチ339aおよび下部横ノッチ339bの中に挿入される。第2の外側プレート33の幅は、他の2つのプレート31、32の幅よりも広い。上記の上部および下部ロッドの各端部には、ナット283がネジ留めされており、第2の外側プレートに接触して、3つのプレートを互いに強固に支えている。第1の外側プレートは、その第2の主面を介して、第1の横材231に接触している。3つのプレートの中心を揃えるために、第1の外側プレートおよび中央プレートは、センタリングスタッド318a、328aを有しており、センタリングスタッド318a、328aは、中央プレートの相補型凹部328b、第2の外側プレートの相補型凹部338bの中にそれぞれ挿入される。第1の外側プレートも、第1の横材の相補型スタッドを受け入れるための凹部318bを有している。
【0022】
上記モジュールは、繊維毎に1つの切断および制止システムを含む。各システムは、気圧ジャッキのロッドの端部に取付けられた平刃および制止スタッド、並びに、刃に対向して配置された切断カウンターツール、および、制止スタッドに対向して配置された制止カウンターツールを備えている。
【0023】
図5、図7、および図8を参照する。各切断および制止システムに、平刃41が取付けられており、平刃41は、ジャッキ40の円筒形のロッド42の端部に固定され、このジャッキロッドに直角に配置された斜角の刃先411を有している。繊維を完全に切断することを保証するために、刃先の幅は、案内通路C1、C2の幅よりもわずかに大きくなっている。刃は、刃先が設けられた幅広の遠位部412を有しており、遠位部412は、より幅の狭い近位取付部413まで延びている。この刃は、近位取付部413によって、ロッド42の端部平面421に設けられた長方形の断面を有する縦型の第1のハウジング422の中に嵌め込まれている。制止スタッドは、円筒形の遠位部432を有し、ジャッキロッドに直角な平らな支持面431を形成すると共に、近位取付部または円筒形のベースプレート433まで延びている。制止スタッドは、ベースプレート433によって、端部平面421の円筒形の第2のハウジング423内に固定されている。これらの2つのハウジングは、平列かつ上記ロッドの軸の一端に配置されている。刃の刃先411は、制止スタッドの支持面431よりもわずかに突出するように配置されている。
【0024】
制止スタッドは、コッターピン44によってロッドに取付けられており、コッターピン44は、ロッドの横孔に挿入され、このスタッドを制止するようにベースプレート433内の周辺の凹部の中を通っている。
【0025】
刃は、2つのハウジング422、423を接続する横孔424内に配置された制止ボール45によって、ロッドに取付けられている。制止ボール45は、横孔の長さよりも長い直径を有し、刃の近位部にある開口部414内に部分的に噛み合い、刃を制止することが可能である。
【0026】
第2のハウジングの底部と制止スタッドのベースプレートとの間の第2のハウジングをスライドするピン46が取付けられている。このピンは、いわゆる制止位置において、例えば、ハウジングの底部とピンの環状段部462との間に取付けられた圧縮バネ(図示しない)といった弾性手段によって、スタッドのベースプレートに対して弾性的に動作する。ピンは、第2のハウジングの直径にほぼ相当する外径を有しており、その直径は遠位端の方向に進むにつれて徐々に狭くなっているため、制止ボールが部分的に受け入れられる環状溝461が形成される。制止スタッドは、その全長に亘って延びる縦通路434を有しており、メタルポイントといった工具を縦通路の中に挿入して、ピンをバネに対して移動させることができる。図6に示す制止位置では、ピンは、刃の開口部においてボールを保持して刃を制止している。刃を後退させるには、工具を通路434の中に挿入することによって、ピンがその近位端によってハウジングの底部に接触するまで、ピンをハウジングの内部に移動させる。このいわゆる非制止位置では、ピンの溝は、ボールに面して配置される。刃に牽引力がかかると、ボールは溝の方向に移動し、その結果開口部414から出てきて、刃の制止を解除する。ピンは、刃を取付ける時にも、制止を解除された位置に動く。
【0027】
参照番号4Aを付した第1の切断および制止システムは、第1の繊維の層を切断および制止するためのものであり、参照番号4Bを付した第2の切断および制止システムは、第2の繊維の層を切断および制止するためのものである。
【0028】
図5、図6、図11、および図12を参照すると、第1の切断および制止システム4Aのジャッキ40は、それらのボディ40aによって、第1の横方向の列231に沿った第2の横材232に固定されている。ジャッキの各ロッド41は第1の横材を貫通して、この第1の横材内の孔231aの中に案内される。案内システム内の第1の外側プレートは、当該プレートを貫通すると共に溝313に対して垂直に配置される横スロット314を有しているので、全ての第1の切断および制止システムの刃は挿入され得る。ジャッキは、ロッドが第1の通路C1に沿って、実質的には第1の案内面P1に対して垂直に中心を揃えるように、隣り合って配置されている。第1の外側プレートはさらに、その第2の主面上に、ジャッキロッドが貫通するための一列の円筒形の凹部315を有しており、横スロット314は、各凹部315の底部を貫通し、各凹部315の底部は、スタッドが貫通するための丸孔316を備えている。丸孔316は、繊維の移動の方向に対してスロット314の上流側の溝313上に形成される。
【0029】
これらの第1の切断および制止システム4Aの切断カウンターツールは、ここで、中央プレートの第1の主面321内の凹部に収容されたエラストマーの横棒47aから形成されている。第1の切断および制止システム4Aの制止カウンターツールは、エラストマーの横棒と同一の凹部に収容された同一の金属の棒48aから形成されており、エラストマーの横棒に平行且つ上流側に配置されている。この2つの棒は、繊維の厚さにもよるが、ほぼ第1の主面321と同一平面上にある。
【0030】
第1の切断および制止システムのジャッキは、その刃およびそのスタッドを、図6に示す定位置から動作位置に向かって移動させて、繊維を切断および制止することが可能である。定位置では、刃およびスタッドは、凹部315内に配置されており、刃の刃先311およびスタッドの支持面431は、案内通路C1から分離されている。ジャッキが動作位置に移動する時は、ジャッキロッドが凹部315の中に戻ってきて、刃はスロット314を貫通し、スタッドは凹部内の孔316を貫通する。制止スタッドよりもわずかに長い刃は、エラストマーの棒47aに接触して停止すると共に繊維を切断し、その後制止スタッドは、その支持面で、金属の棒48aに接触して停止し、刃の上流側の繊維を挟む。
【0031】
図9および図10を参照する。第2の切断および制止システム4Bのジャッキは、第1の切断および制止システム4Aのジャッキの第1の列の上に配置された第2の横方向の列に従って、そのボディによって第3の横材233に固定されている。ジャッキロッドは、それらの刃およびそれらのスタッドが、第2の通路C2において、垂直に、第2の層の繊維を切断および制止するように、第1の横材231、第1の外側プレート31、および中央プレート32内の孔231bを貫通することが可能である。
【0032】
案内システム内の第1の外側プレート31は、横方向に一列の貫通孔317を含み、横方向に一列の貫通孔317は、凹部315に対して互い違いの列に配置されると共に、繊維の前進運動の方向に対して凹部315の上流側に配置されている。これらの貫通孔は、溝313間の第2の主面上に現れる。第2の外側プレートは、その第1の主面321上に、横方向に一列の円筒形の凹部325を有している。凹部325は、切断および制止カウンターツール47a、48aの上流側に配置される。プレートを組み立てる時には、凹部325および孔317は揃えられ、それらの軸は、中央プレートの第2の主面322に垂直に配置される。これらの凹部325の底部は、制止スタッドが貫通するための貫通孔326を備えている。各貫通孔326は、溝323内に現れる。刃が貫通するように、中央プレートの第2の主面から縦方向にスロット324が設けられている。このスロットは、部分的に、中央プレートの第1の主面上に現れる。切断および制止カウンターツールは、上述のように、エラストマーの横棒47bおよび金属の棒48bによって形成されている。横棒47bおよび金属の棒48bは、ここでは、中央プレートの第1の主面内の凹部に収容されている。これらの第2の切断および制止システム4Bのジャッキは、ジャッキの定位置において、ロッドが凹部325内のスタッドおよび刃と共に、孔317の中まで延びるように固定されている。ジャッキが動作位置に向かって動かされると、ロッドは、凹部325の中に戻ってきて、刃はスロット324を貫通すると共に、スタッドは孔326を貫通する。制止スタッドよりもわずかに長い刃は、エラストマーの棒に接触して繊維を切断し、その後刃の上流側の繊維は、スタッドと金属の棒との間に挟まれる。
【0033】
この、貼付ローラーから最も離れた第2の層の繊維用のジャッキが第1の層用のジャッキの上方に配置された、第1および第2の切断および制止システムの構成によって、繊維を貼付ローラーに可能な限り近い位置で切断および制止することが可能になり、同時に、第1の層の繊維の再ルーティング距離と、第2の層の繊維の再ルーティング距離との間の隙間が最小限に低減される。
【0034】
上記モジュールは、第1の層の繊維を新ルートにて送るための第1の再ルーティングシステム5Aを有する。図5によれば、これらの第1の再ルーティングシステムは、気圧ジャッキロッド54の端部の駆動ローラー51aおよびキックローラー52を含む。ジャッキは、それらのボディによって、第1の横材231上に一列に取付けられており、その結果、キックローラーは、切断および制止システム4A、4Bの上流側の、第1の外側プレートを貫通している横開口部319(図11および図12)内に配置される。各キックローラーは、第1の通路C1に沿って中心が揃えられる。駆動ローラー51aは、中央プレート32の横孔内を回転するように設けられている。この横孔は、開口部319に対向した第1の主面321上に現れ、駆動ローラーは、主面に対して接線方向に、横孔内に配置される。各ジャッキ54は、そのキックローラーが案内通路C1よりも後退している定位置と、キックローラーが繊維を駆動ローラーで平らにするように動作する動作位置との間において制御されて、繊維を前方に押し出す。
【0035】
同様に、第1の再ルーティングシステム5Aの上流側では、第2の再ルーティングシステムが、そのボディによって第4の横材234上に一列に取付けられたジャッキを有している。第2の再ルーティングシステムのキックローラーは、中央プレートを貫通している横開口部329内に配置される。各キックローラーは、第2の通路C2に沿って中心が揃えらえる。第1の外側プレートは、他の2つのプレートよりも短く、開口部328は、第1の外側プレートの上流側に配置された、中央プレートの厚さが低減された部分に設けられている。図5から明らかなように、ジャッキロッド上のキックローラーのサポートシステム55は、ノッチ55aを有しており、第1の層の繊維を横方向に貫通させることが可能である。駆動ローラー51bは、第2の外側プレート33の横孔内を回転するように、その主面に対して接線方向に取付けられている。
【0036】
図4および図5によれば、上記の2つの駆動ローラーは、デッキ10上に取付けられた単一のモータ85によってベルト84を用いて回転する。モジュールの取付けを容易にするために、ベルト84の張力は、ベルト張力システムによって制御される。ベルト張力システムは、ジャッキ863によって作動される旋回アーム862の端部に取付けられた滑車861を備えている。
【0037】
切断および案内システム、および、再ルーティングシステムを作動させるためのジャッキは、デッキ上に取付けられた空気圧切換弁87に接続されており、ヘッド制御ユニットによってサーボ制御されている。この接続は、モジュールが急動作用ロッキングシステム25によってデッキに取付けられる時に、2つの接続プレート82、83によって自動的に行われる。全ての作動ジャッキは、パイプ(図示しない)によって、第2の接続プレート83の導管の下部開口部に接続されており、その一方、切換弁の排出部は、パイプによって、第1の接続プレート82の導管の上部開口部に接続されている。第1の接続プレートの導管の下部開口部に設けられたO字型リングによって、上記接続を密閉して行うことが保証される。
【0038】
図4および図13〜図15を参照すると、繊維貼付ヘッドは、温度調整システム7をさらに有する。温度調整システム7は、案内システム4を冷却するためのペルチェ効果型熱電モジュールといった冷却手段と、繊維が貼付ローラーの上流側の案内システムおよび/または処理モールドを離れる時に、繊維を加熱するための加熱手段とを含む。
【0039】
温度調節システムは、U字型の支持部71を含む。支持部71の2つの枝711の端部は、支持プレート72によって接続され合っている。支持プレート72の上には、例えば3つのペルチェ効果型熱電モジュール73が取付けられている。U字型の支持部は、その低部712に2つの軸713を備えているため、投入システム6の傾斜面上で、2つのアーム74によって旋回するように、U字型の支持部を取付けることが可能である。そのため、モジュールの低温のセラミック製プレートは、特に図5に示した第2の外側プレート33に対向して配置される。モジュールの出力部73aは電気回路に接続され、モジュールは保護プレート75にて覆われる。保護プレート75は、第2の外側プレートの第2の主面332の凹部336内に収容される。モジュールは、これらの金属のプレートと、中央プレートおよび外側プレートに一体化された駆動ローラー51a、51bとを冷却する。差し込まれた下部ロッド282が、保護プレート内の横方向のノッチ751に受け入れられ、ナット283が、保護プレートに接触するように上記ロッドの上にネジ留めされることが好ましい。これによって、保護プレートは案内システムに対して強く支えられる。上記加熱手段は2つの導管76を有しており、これら2つの導管76は、支持部に取付けられており、加熱システム77を備え、圧縮空気源に接続するように意図されている。これら2つの導管は、支持プレート72の反対側、つまりペルチェ効果型モジュールの反対側に配置された熱風吹き込みノズル78に供給を行うものである。支持部を案内システムに接触させると、ノズル78は、熱風の流れを貼付ローラーの方向に向ける。
【0040】
支持プレートは、高温のセラミック製のプレートから熱を消散させるためのヒートシンクとして機能することが好ましい。支持プレートは、モジュールの反対側の表面に、複数の平行溝721を有している。平行溝721は、支持プレートの先端に現れ、横溝722によって互いに接続されている。これらの溝271、272は、中間プレート79によって閉鎖され、横溝の端部には、横通路723を介して外気が供給される。横通路723は、コネクタ724によって圧縮空気源に接続されるようになっている。
【0041】
モジュール2には、繊維貼付ヘッドの繊維と接触する全ての部品が集積されている。繊維貼付ヘッドを別の清潔なモジュールと共に使用する必要が生じた場合、単に駆動ローラーからベルトを外し、場合によっては繊維投入システムおよび温度調整システムを取り外した後、ジャッキの空気圧接続に接触することなく、モジュールを、掃除のために容易に取り外すことが可能である。案内システム内のプレートは、1つずつ引き出すことが可能であり、そのため、繊維に接触する全ての表面、および貼付ローラーを清浄に保ち、場合によってはカウンターツールを交換することも可能である。プレートを引き出した後は、キックローラー、スタッド、および刃に容易に接近することができ、容易に掃除をすることが可能である。上述のように、刃を交換することも容易である。
【0042】
本発明を、特定の一実施形態において説明してきたが、本発明は、決して当該実施形態に制限されるものでなく、説明した技術的に同等の全ての手段、および、これらの組み合わせが本発明に係る構成の範囲内にあるのであれば、当該組み合わせを含むものであることは明らかであろう。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、複合材料の部品を作成するために繊維を貼付けるヘッドに関し、より詳細には、特殊な繊維切断および制止システムを有する繊維貼付ヘッドに関する。
【0002】
繊維配置機として一般に知られる、繊維貼付機が公知である。繊維貼付機は、幅広のストリップの雄型のまたは雌型の鋳型に用いられるものであり、上記幅広のストリップは、樹脂を含浸させた、リボン型の多数の平らな繊維、特に熱硬化性または熱可塑性の樹脂を含浸させた炭素繊維から形成されている。この機械は、繊維貼付ヘッドを移動させるためのシステム、繊維貯蔵手段、および、繊維を繊維貯蔵手段から繊維貼付ヘッドまで搬送する手段を備えている。
【0003】
従来の繊維配置ヘッドは、具体的には国際公開第2006/092514号パンフレットに記載されているように、ストリップに貼付けるために鋳型に対して接触することを目的とする貼付ローラーと、貼付ローラー上に繊維を案内する案内手段と、貼付ローラーの上流側の各繊維を個別に切断するための切断手段と、切断手段の上流側に設けられた再ルーティング手段とを有している。再ルーティング手段は、どの時点であっても、ストリップへの貼付を停止および再開すること、並びにストリップの幅を選択することが可能なように、切断されたばかりの各繊維を新ルートにて送るものである。案内手段は、導管または滑車の2つのシステムを有しており、これら2つのシステムは、下流側から上流側にかけて接近し合う2つの案内面に沿って互い違いの列に配置されており、繊維の2つの層または束を貼付ローラーの方向に別々に案内するようになっている。切断手段は、繊維毎に1つの平刃を含み、平刃は、気圧ジャッキによって作動され、固定カウンターツールに対向して配置されている。再ルーティング手段は、キックローラーを含み、キックローラーは、ジャッキによって作動され、駆動ローラーに面して配置されている。第1の層の平刃およびキックローラー、並びに、これらに関連する作動ジャッキは、ローラー側、換言すると、使用時のヘッドの前進運動に対して繊維から下流側に配置されており、その一方で、別の層の平刃およびキックローラー、並びに、これらに関連する作動ジャッキは、繊維の上流側に配置されている。
【0004】
上流側の作動ジャッキは、貼付ローラーよりも高い位置に配置される必要がある。これは、ヘッドを異なる凹面上で使用可能にするため、特に、ヘッドを設置面と案内手段から接近する繊維のストリップとの間のアタック角が低い状態で使用可能にするためである。繊維は、2つの層に対するローラーからほぼ同じ間隔で切断されるため、全ての作動ジャッキの操作は簡略化される。従ってヘッドの精度および信頼性は最適化される。このため、下流側のジャッキは、上流側のジャッキと同じ高さに配置されている。作動ジャッキの当該構成は、ヘッドを最適に小型化する可能性を制限すると共に、例えば、ストリップの先頭部分に関して繊維の切り口を可能な限り揃えるように、ヘッドの位置を新たに変更する精度を制限する。
【0005】
繊維の移動を停止させるために、切断されたばかりの各繊維をそれぞれ制止する制止手段が設けられている。これらの制止手段は、通常、再ルーティング手段の上流側に配置されており、それぞれに独自の作動ジャッキを備えている。これらの新しい作動ジャッキは、場所を必要とするという問題以外にも、制御し難いという問題を有しており、切断されたばかりの各繊維を確実に制止するような複雑且つ精密な制御システムを必要としている。
【0006】
本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つの欠点を克服することを目的とした解決方法を提供することにある。本発明によって、特に、繊維配置ヘッドは最適に小型化されると共に、高い信頼性を有した繊維の切断、再ルーティング、および/または、制止が保証される。
【0007】
このため、本発明の対象は、変位システムの端部に取付けて、多数の繊維から形成される幅広のストリップを表面に貼付けるための繊維貼付ヘッドである。繊維貼付ヘッドは、
−ストリップの状態の繊維を貼付けるための貼付ローラーと、
−上記貼付ローラー上に繊維を案内するための案内手段と、
−作動システムによって定位置および切断動作位置の間にて作動される刃を備え、繊維の前進運動の方向に対して上記貼付ローラーの上流側の繊維を切断することが可能な切断手段と、
−上記切断手段の上流側に配置され、作動システムによって定位置および制止動作位置の間を作動される制止スタッドを備え、切断されたばかりの繊維を制止することが可能な制止手段とを有する繊維貼付ヘッドにおいて、上記制止スタッドおよび上記刃は、共通の作動システムによって定位置および動作位置の間を作動されることが好ましい。共通の作動システムは、切断および制止される繊維毎に1つの刃および1つの制止スタッドを移動させて、繊維を切断および制止すること、好ましくは繊維を切断した後に制止することが可能である。
【0008】
本発明によれば、繊維の切断および制止に同一の作動システムを用いることによって、作動システムの数を減少させることができる。これによって、より小型のヘッドを実現すると共に、作動システムの制御を簡略化させ、信頼性を有して且つ極めて高い精度で繊維の制止を行い、従って切断された繊維を極めて正確に貼付ローラーまで新ルートにて送ることが可能である。好ましくは、繊維は切断された後に制止されることが好ましいが、切断と制止とを完全に同時に行うことも想定可能である。
【0009】
一特徴点として、作動システムは、繊維毎に1つのジャッキ、好ましくは空気圧ジャッキを備えている。上記ジャッキは、当該ジャッキのロッドの端部において、繊維を個別に切断および制止するための制止スタッドおよび平刃を支えている。この刃先は、好ましくは、制止スタッドの支持面よりもわずかに突出しているため、繊維は切断された後に制止される。
【0010】
一実施形態によれば、刃は、その近位部によって、刃制止システムを備えるジャッキロッド内の第1の縦型ハウジング内に取付けられる。刃制止システムは、上記ロッド内の第2の縦型ハウジング内をスライドするように取付けられた作動ピンと、これら2つのハウジングを接続する横孔に取付けられた制止ボールとを有している。作動ピンは、作動ピンが第1のハウジングに少なくとも部分的に噛み合った制止ボールを支え、特に、その第1のハウジングにおいて刃を制止するように刃の凹部または開口部において刃を軸方向に制止する定位置において、弾性手段によって弾性的に作用する。作動ピンはまた、外部からツールによって、制止ボールが第2のハウジングに部分的に噛み合って刃の制止を解除する制止解除位置の方に移動されることが可能である。
【0011】
好ましくは、制止スタッドは、その近位部によって第2のハウジングに取付けられる。この案内スタッドは縦通路を有し、縦通路は、当該縦通路内に挿入されたツールを用いて、制止スタッドと第2の縦型ハウジングの底部との間に取付けられた作動ピンを移動させることが可能である。従って刃を、ジャッキロッドの端部を介して容易に取り除くことができ、その際に、ジャッキを取り除く必要は無い。このロッキングシステムは、上記スタッドと合うように中央揃えされ、当該スタッドによって作動される。この構成によって、ジャッキロッドの直径を拡大させることなく、急動作用ロッキングシステムを集積することが可能になる。
【0012】
一実施形態によれば、制止手段は、制止スタッドの支持面と対向して配置された制止カウンターツールを有している。制止スタッドは、制止カウンターツールに接触して、制止動作位置において停止する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ロボットの手首に連結された、本発明に係る貼付ヘッドを示す側面図である。
【図2】図1の貼付ヘッドを示す斜視図であり、モジュールの内部がより詳細に表示されるように、貼付ヘッドのいくつかの支持素子は除去されている。
【図3】図1の貼付ヘッドの正面図である。
【図4】容易に取り外し可能な貼付ヘッドの種々の部品を示す、図1の貼付ヘッドの分解斜視図である。
【図5】第1の層の繊維用の案内通路を示す、図3の平面V−Vに沿って貼付ヘッドを切断した断面図である。
【図6】図5の細部D1を示す拡大図である。
【図7】作動ジャッキのロッドの端部における制止スタッドおよび切断刃を示す、繊維切断システムの部分斜視図である。
【図8】切断ジャッキのロッドを示す縦部分断面図である。
【図9】第2の層の繊維用の案内通路を示す、図3の平面IX−IXに沿って貼付ヘッドを切断した断面図である。
【図10】図9の細部D2を示す拡大図である。
【図11】案内システムを構成する3つのプレートを示す、2つの分解斜視図である。
【図12】案内システムを構成する3つのプレートを示す、2つの分解斜視図である。
【図13】冷却モジュールの保護プレートを省略した、温度調整システムを示す斜視図である。
【図14】温度調整システムを示す部分斜視図である。
【図15】熱風吹き込み口を省略した、温度調整システムの別の斜視図である。
【0014】
添付の図面を参照することによって、本願の現時点で特に好ましい一実施形態の詳細な説明をする過程にて、本発明はより良好に理解されると共に、他の目的、詳細、特徴、および利点はより明らかとなろう。
【0015】
図1〜6を参照すると、繊維配置ヘッド1は、上部に取付けられた支持デッキ10を有しており、支持デッキ10は、支持デッキを、組立軸Aに沿って、変位システムS、特に6軸ロボット型の多関節アームの端部の手首に固定するためのフランジ11を備えている。
【0016】
支持デッキ10は、その下部においてモジュール2を取り外し可能に支えている。モジュール2は、貼付ローラーRと、繊維を2つの案内面P1、P2に沿って、2つの繊維の束または繊維の層の状態で貼付ローラーの方向に案内することが可能な案内システム3と、各繊維を個別に切断および制止するための切断および制止システム4A、4Bと、切断されたばかりの各繊維を個別に新ルートにて送るための再ルーティングシステム5A、5Bとを有している。
【0017】
図4および図5によれば、上記モジュールは、横材231〜234によって互いに接続された2つのフランジ21、22を含み、これら2つのフランジの間に、貼付ローラーR、案内システム3、切断および案内システム4A、4B、並びに、再ルーティングシステム5A、5Bが取付けられている。これら2つのフランジの後方の端部には、垂直レール24が取付けられている。垂直レール24は、2つの垂直支持プレート12、13の前方の端部に取付けられた相補型スライダ14内にスライド可能である。2つの垂直支持プレート12、13は、支持デッキと一体化されており、支持デッキの下面から下方に延びている。上記モジュールは、支持デッキと一体化された2つの圧縮ジャッキのシャフトに連結される。圧縮ジャッキ81は、そのボディ81bによって、支持デッキの下面に連結される。圧縮ジャッキ81のロッド81aには、いわゆる第1の空気圧接続プレート82が連結される。2つのフランジ21、22の外縁には、第2の空気圧接続プレート83が取付けられる。モジュールを取付けるには、垂直レール24をスライダ14内にスライドさせながら、空気圧接続プレート82、83が、互いに接触して平坦になるまで、モジュール2を垂直に上方に移動させる。モジュールは、トグルレバーボルトといった急動作用制止手段25によって上記のプレートに連結される。これらの接続プレートは、複数の垂直通路を有している。これらの垂直通路は、モジュールを取付ける時に、密閉された状態で互いに対向するように位置しており、上記モジュールの異なるシステム間に空気圧接続を提供する。この点を以下に説明する。
【0018】
貼付ローラーRは、直角掛けコネクタ型の急動作用組立システム26を用いて、自転するように上記2つのフランジの下端部に取付けられる。この際、貼付ローラーの回転軸は、組立軸Aおよび圧縮ジャッキロッド85aに直角に配置される。貼付ローラーの回転軸、組立軸、および圧縮ジャッキロッドは、ほぼ同一平面に沿って配置される。
【0019】
このモジュール2には、繊維投入システム6が取付けられる。繊維投入システム6は、繊維が上述の案内面P1、P2に沿って2つの層の状態にて投入されることを可能にする。例えば、繊維は、国際公開第2006/092514号パンフレットに係る出願に記載されるような可撓性のチューブを介して繊維貼付ヘッドの方向に送られる。各可堯性チューブはその内部通路内に繊維を受け入れる。繊維投入システムはまた、アンカー斜面61から成る。アンカー斜面61には、互い違いの2つの列である可撓性のチューブの端部62が固定される。アンカー斜面は、例えば、モジュール2と一体化された2つのロッド271の上に取付けられ、2つのロッド271にネジ留めされる蝶形ネジ272によって定位置に保持される。図示した実施形態では、繊維貼付ヘッドは、1つの層が16の繊維から成る2つの層である32の繊維のストリップを配置することが可能である。
【0020】
案内システム3は、好ましくは金属製の3つのプレートを含む。これら3つのプレートは、プレート間に第1の案内通路および第2の案内通路を形成するように、互いに接触し合ってモジュールに平坦に取付けられている。第1の案内通路および第2の案内通路を、第1の層の繊維および第2の層の繊維がそれぞれ通過して、接線方向に貼付ローラーまで送られる。図5、図6、および、図9〜図12を参照すると、第1の外側プレート31は、第1の主面311によって、いわゆる中央プレート32の第1の主面321に対して取付けられており、第2の外側プレート33は、第1の主面331によって、中央プレートの第2の主面322に対して取付けられている。中央プレートは、横方向の三角形の断面を有しており、中央プレートの2つの主面321、322間の勾配は、2つの案内面P1、P2間の角度に相当する。第1の案内通路C1(図6)は、第1の外側プレートの第1の主面311に設けられた縦溝313によって構成されており、中央プレートの第1の主面321に取り囲まれている。これらの縦溝は、平らな繊維の幅にほぼ相当する幅を有しており、溝の幅にほぼ相当する間隔で、横方向に互いに離間されている。第2の案内通路C2(図10)は、中央プレートの第2の主面322上に設けられた縦溝323によって形成されており、第2の外側プレートの第1の主面331に取り囲まれている。これらの縦溝323は、第1の外側プレートの縦溝と同様であり、縦溝323は、第1の外側プレートの縦溝に対して、1つの溝幅の分だけずれるように配置されているので、第1の通路および第2の通路が互い違いの列に配置され、2つの層の繊維F1、F2はほぼ端から端まで貼付ローラー上に配置され、これによって、ストリップの貼付が形成される。図6および図10に示すように、2つの案内面P1、P2が交差する点は、案内システムから下流側に位置し、貼付ローラーと同じ高さである。
【0021】
図4、図11および図12によれば、3つのプレートは、フランジ21、22の先端に、つまり、使用時のヘッドの移動方向に対して貼付ローラーの上流側に取付けられている。プレートの取付けは、差し込まれた上部ロッド281および下部ロッド282によって行われている。上部ロッド281および下部ロッド282は、フランジ上で旋回するように取付けられていると共に、第2の外側プレート33の上部横ノッチ339aおよび下部横ノッチ339bの中に挿入される。第2の外側プレート33の幅は、他の2つのプレート31、32の幅よりも広い。上記の上部および下部ロッドの各端部には、ナット283がネジ留めされており、第2の外側プレートに接触して、3つのプレートを互いに強固に支えている。第1の外側プレートは、その第2の主面を介して、第1の横材231に接触している。3つのプレートの中心を揃えるために、第1の外側プレートおよび中央プレートは、センタリングスタッド318a、328aを有しており、センタリングスタッド318a、328aは、中央プレートの相補型凹部328b、第2の外側プレートの相補型凹部338bの中にそれぞれ挿入される。第1の外側プレートも、第1の横材の相補型スタッドを受け入れるための凹部318bを有している。
【0022】
上記モジュールは、繊維毎に1つの切断および制止システムを含む。各システムは、気圧ジャッキのロッドの端部に取付けられた平刃および制止スタッド、並びに、刃に対向して配置された切断カウンターツール、および、制止スタッドに対向して配置された制止カウンターツールを備えている。
【0023】
図5、図7、および図8を参照する。各切断および制止システムに、平刃41が取付けられており、平刃41は、ジャッキ40の円筒形のロッド42の端部に固定され、このジャッキロッドに直角に配置された斜角の刃先411を有している。繊維を完全に切断することを保証するために、刃先の幅は、案内通路C1、C2の幅よりもわずかに大きくなっている。刃は、刃先が設けられた幅広の遠位部412を有しており、遠位部412は、より幅の狭い近位取付部413まで延びている。この刃は、近位取付部413によって、ロッド42の端部平面421に設けられた長方形の断面を有する縦型の第1のハウジング422の中に嵌め込まれている。制止スタッドは、円筒形の遠位部432を有し、ジャッキロッドに直角な平らな支持面431を形成すると共に、近位取付部または円筒形のベースプレート433まで延びている。制止スタッドは、ベースプレート433によって、端部平面421の円筒形の第2のハウジング423内に固定されている。これらの2つのハウジングは、平列かつ上記ロッドの軸の一端に配置されている。刃の刃先411は、制止スタッドの支持面431よりもわずかに突出するように配置されている。
【0024】
制止スタッドは、コッターピン44によってロッドに取付けられており、コッターピン44は、ロッドの横孔に挿入され、このスタッドを制止するようにベースプレート433内の周辺の凹部の中を通っている。
【0025】
刃は、2つのハウジング422、423を接続する横孔424内に配置された制止ボール45によって、ロッドに取付けられている。制止ボール45は、横孔の長さよりも長い直径を有し、刃の近位部にある開口部414内に部分的に噛み合い、刃を制止することが可能である。
【0026】
第2のハウジングの底部と制止スタッドのベースプレートとの間の第2のハウジングをスライドするピン46が取付けられている。このピンは、いわゆる制止位置において、例えば、ハウジングの底部とピンの環状段部462との間に取付けられた圧縮バネ(図示しない)といった弾性手段によって、スタッドのベースプレートに対して弾性的に動作する。ピンは、第2のハウジングの直径にほぼ相当する外径を有しており、その直径は遠位端の方向に進むにつれて徐々に狭くなっているため、制止ボールが部分的に受け入れられる環状溝461が形成される。制止スタッドは、その全長に亘って延びる縦通路434を有しており、メタルポイントといった工具を縦通路の中に挿入して、ピンをバネに対して移動させることができる。図6に示す制止位置では、ピンは、刃の開口部においてボールを保持して刃を制止している。刃を後退させるには、工具を通路434の中に挿入することによって、ピンがその近位端によってハウジングの底部に接触するまで、ピンをハウジングの内部に移動させる。このいわゆる非制止位置では、ピンの溝は、ボールに面して配置される。刃に牽引力がかかると、ボールは溝の方向に移動し、その結果開口部414から出てきて、刃の制止を解除する。ピンは、刃を取付ける時にも、制止を解除された位置に動く。
【0027】
参照番号4Aを付した第1の切断および制止システムは、第1の繊維の層を切断および制止するためのものであり、参照番号4Bを付した第2の切断および制止システムは、第2の繊維の層を切断および制止するためのものである。
【0028】
図5、図6、図11、および図12を参照すると、第1の切断および制止システム4Aのジャッキ40は、それらのボディ40aによって、第1の横方向の列231に沿った第2の横材232に固定されている。ジャッキの各ロッド41は第1の横材を貫通して、この第1の横材内の孔231aの中に案内される。案内システム内の第1の外側プレートは、当該プレートを貫通すると共に溝313に対して垂直に配置される横スロット314を有しているので、全ての第1の切断および制止システムの刃は挿入され得る。ジャッキは、ロッドが第1の通路C1に沿って、実質的には第1の案内面P1に対して垂直に中心を揃えるように、隣り合って配置されている。第1の外側プレートはさらに、その第2の主面上に、ジャッキロッドが貫通するための一列の円筒形の凹部315を有しており、横スロット314は、各凹部315の底部を貫通し、各凹部315の底部は、スタッドが貫通するための丸孔316を備えている。丸孔316は、繊維の移動の方向に対してスロット314の上流側の溝313上に形成される。
【0029】
これらの第1の切断および制止システム4Aの切断カウンターツールは、ここで、中央プレートの第1の主面321内の凹部に収容されたエラストマーの横棒47aから形成されている。第1の切断および制止システム4Aの制止カウンターツールは、エラストマーの横棒と同一の凹部に収容された同一の金属の棒48aから形成されており、エラストマーの横棒に平行且つ上流側に配置されている。この2つの棒は、繊維の厚さにもよるが、ほぼ第1の主面321と同一平面上にある。
【0030】
第1の切断および制止システムのジャッキは、その刃およびそのスタッドを、図6に示す定位置から動作位置に向かって移動させて、繊維を切断および制止することが可能である。定位置では、刃およびスタッドは、凹部315内に配置されており、刃の刃先311およびスタッドの支持面431は、案内通路C1から分離されている。ジャッキが動作位置に移動する時は、ジャッキロッドが凹部315の中に戻ってきて、刃はスロット314を貫通し、スタッドは凹部内の孔316を貫通する。制止スタッドよりもわずかに長い刃は、エラストマーの棒47aに接触して停止すると共に繊維を切断し、その後制止スタッドは、その支持面で、金属の棒48aに接触して停止し、刃の上流側の繊維を挟む。
【0031】
図9および図10を参照する。第2の切断および制止システム4Bのジャッキは、第1の切断および制止システム4Aのジャッキの第1の列の上に配置された第2の横方向の列に従って、そのボディによって第3の横材233に固定されている。ジャッキロッドは、それらの刃およびそれらのスタッドが、第2の通路C2において、垂直に、第2の層の繊維を切断および制止するように、第1の横材231、第1の外側プレート31、および中央プレート32内の孔231bを貫通することが可能である。
【0032】
案内システム内の第1の外側プレート31は、横方向に一列の貫通孔317を含み、横方向に一列の貫通孔317は、凹部315に対して互い違いの列に配置されると共に、繊維の前進運動の方向に対して凹部315の上流側に配置されている。これらの貫通孔は、溝313間の第2の主面上に現れる。第2の外側プレートは、その第1の主面321上に、横方向に一列の円筒形の凹部325を有している。凹部325は、切断および制止カウンターツール47a、48aの上流側に配置される。プレートを組み立てる時には、凹部325および孔317は揃えられ、それらの軸は、中央プレートの第2の主面322に垂直に配置される。これらの凹部325の底部は、制止スタッドが貫通するための貫通孔326を備えている。各貫通孔326は、溝323内に現れる。刃が貫通するように、中央プレートの第2の主面から縦方向にスロット324が設けられている。このスロットは、部分的に、中央プレートの第1の主面上に現れる。切断および制止カウンターツールは、上述のように、エラストマーの横棒47bおよび金属の棒48bによって形成されている。横棒47bおよび金属の棒48bは、ここでは、中央プレートの第1の主面内の凹部に収容されている。これらの第2の切断および制止システム4Bのジャッキは、ジャッキの定位置において、ロッドが凹部325内のスタッドおよび刃と共に、孔317の中まで延びるように固定されている。ジャッキが動作位置に向かって動かされると、ロッドは、凹部325の中に戻ってきて、刃はスロット324を貫通すると共に、スタッドは孔326を貫通する。制止スタッドよりもわずかに長い刃は、エラストマーの棒に接触して繊維を切断し、その後刃の上流側の繊維は、スタッドと金属の棒との間に挟まれる。
【0033】
この、貼付ローラーから最も離れた第2の層の繊維用のジャッキが第1の層用のジャッキの上方に配置された、第1および第2の切断および制止システムの構成によって、繊維を貼付ローラーに可能な限り近い位置で切断および制止することが可能になり、同時に、第1の層の繊維の再ルーティング距離と、第2の層の繊維の再ルーティング距離との間の隙間が最小限に低減される。
【0034】
上記モジュールは、第1の層の繊維を新ルートにて送るための第1の再ルーティングシステム5Aを有する。図5によれば、これらの第1の再ルーティングシステムは、気圧ジャッキロッド54の端部の駆動ローラー51aおよびキックローラー52を含む。ジャッキは、それらのボディによって、第1の横材231上に一列に取付けられており、その結果、キックローラーは、切断および制止システム4A、4Bの上流側の、第1の外側プレートを貫通している横開口部319(図11および図12)内に配置される。各キックローラーは、第1の通路C1に沿って中心が揃えられる。駆動ローラー51aは、中央プレート32の横孔内を回転するように設けられている。この横孔は、開口部319に対向した第1の主面321上に現れ、駆動ローラーは、主面に対して接線方向に、横孔内に配置される。各ジャッキ54は、そのキックローラーが案内通路C1よりも後退している定位置と、キックローラーが繊維を駆動ローラーで平らにするように動作する動作位置との間において制御されて、繊維を前方に押し出す。
【0035】
同様に、第1の再ルーティングシステム5Aの上流側では、第2の再ルーティングシステムが、そのボディによって第4の横材234上に一列に取付けられたジャッキを有している。第2の再ルーティングシステムのキックローラーは、中央プレートを貫通している横開口部329内に配置される。各キックローラーは、第2の通路C2に沿って中心が揃えらえる。第1の外側プレートは、他の2つのプレートよりも短く、開口部328は、第1の外側プレートの上流側に配置された、中央プレートの厚さが低減された部分に設けられている。図5から明らかなように、ジャッキロッド上のキックローラーのサポートシステム55は、ノッチ55aを有しており、第1の層の繊維を横方向に貫通させることが可能である。駆動ローラー51bは、第2の外側プレート33の横孔内を回転するように、その主面に対して接線方向に取付けられている。
【0036】
図4および図5によれば、上記の2つの駆動ローラーは、デッキ10上に取付けられた単一のモータ85によってベルト84を用いて回転する。モジュールの取付けを容易にするために、ベルト84の張力は、ベルト張力システムによって制御される。ベルト張力システムは、ジャッキ863によって作動される旋回アーム862の端部に取付けられた滑車861を備えている。
【0037】
切断および案内システム、および、再ルーティングシステムを作動させるためのジャッキは、デッキ上に取付けられた空気圧切換弁87に接続されており、ヘッド制御ユニットによってサーボ制御されている。この接続は、モジュールが急動作用ロッキングシステム25によってデッキに取付けられる時に、2つの接続プレート82、83によって自動的に行われる。全ての作動ジャッキは、パイプ(図示しない)によって、第2の接続プレート83の導管の下部開口部に接続されており、その一方、切換弁の排出部は、パイプによって、第1の接続プレート82の導管の上部開口部に接続されている。第1の接続プレートの導管の下部開口部に設けられたO字型リングによって、上記接続を密閉して行うことが保証される。
【0038】
図4および図13〜図15を参照すると、繊維貼付ヘッドは、温度調整システム7をさらに有する。温度調整システム7は、案内システム4を冷却するためのペルチェ効果型熱電モジュールといった冷却手段と、繊維が貼付ローラーの上流側の案内システムおよび/または処理モールドを離れる時に、繊維を加熱するための加熱手段とを含む。
【0039】
温度調節システムは、U字型の支持部71を含む。支持部71の2つの枝711の端部は、支持プレート72によって接続され合っている。支持プレート72の上には、例えば3つのペルチェ効果型熱電モジュール73が取付けられている。U字型の支持部は、その低部712に2つの軸713を備えているため、投入システム6の傾斜面上で、2つのアーム74によって旋回するように、U字型の支持部を取付けることが可能である。そのため、モジュールの低温のセラミック製プレートは、特に図5に示した第2の外側プレート33に対向して配置される。モジュールの出力部73aは電気回路に接続され、モジュールは保護プレート75にて覆われる。保護プレート75は、第2の外側プレートの第2の主面332の凹部336内に収容される。モジュールは、これらの金属のプレートと、中央プレートおよび外側プレートに一体化された駆動ローラー51a、51bとを冷却する。差し込まれた下部ロッド282が、保護プレート内の横方向のノッチ751に受け入れられ、ナット283が、保護プレートに接触するように上記ロッドの上にネジ留めされることが好ましい。これによって、保護プレートは案内システムに対して強く支えられる。上記加熱手段は2つの導管76を有しており、これら2つの導管76は、支持部に取付けられており、加熱システム77を備え、圧縮空気源に接続するように意図されている。これら2つの導管は、支持プレート72の反対側、つまりペルチェ効果型モジュールの反対側に配置された熱風吹き込みノズル78に供給を行うものである。支持部を案内システムに接触させると、ノズル78は、熱風の流れを貼付ローラーの方向に向ける。
【0040】
支持プレートは、高温のセラミック製のプレートから熱を消散させるためのヒートシンクとして機能することが好ましい。支持プレートは、モジュールの反対側の表面に、複数の平行溝721を有している。平行溝721は、支持プレートの先端に現れ、横溝722によって互いに接続されている。これらの溝271、272は、中間プレート79によって閉鎖され、横溝の端部には、横通路723を介して外気が供給される。横通路723は、コネクタ724によって圧縮空気源に接続されるようになっている。
【0041】
モジュール2には、繊維貼付ヘッドの繊維と接触する全ての部品が集積されている。繊維貼付ヘッドを別の清潔なモジュールと共に使用する必要が生じた場合、単に駆動ローラーからベルトを外し、場合によっては繊維投入システムおよび温度調整システムを取り外した後、ジャッキの空気圧接続に接触することなく、モジュールを、掃除のために容易に取り外すことが可能である。案内システム内のプレートは、1つずつ引き出すことが可能であり、そのため、繊維に接触する全ての表面、および貼付ローラーを清浄に保ち、場合によってはカウンターツールを交換することも可能である。プレートを引き出した後は、キックローラー、スタッド、および刃に容易に接近することができ、容易に掃除をすることが可能である。上述のように、刃を交換することも容易である。
【0042】
本発明を、特定の一実施形態において説明してきたが、本発明は、決して当該実施形態に制限されるものでなく、説明した技術的に同等の全ての手段、および、これらの組み合わせが本発明に係る構成の範囲内にあるのであれば、当該組み合わせを含むものであることは明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変位システムの端部に取付けて、多数の繊維から形成される幅広のストリップを表面に貼付けるための繊維貼付ヘッドであって、
−ストリップの状態の繊維を貼付けるための貼付ローラーと、
−上記貼付ローラーに繊維を案内するための案内手段と、
−作動システムによって定位置および切断動作位置の間を作動される刃を備え、上記貼付ローラーの上流側の繊維を切断することが可能な切断手段と、
−上記切断手段の上流側に配置され、作動システムによって定位置および制止動作位置の間を作動される制止スタッドを備え、切断されたばかりの繊維を制止することが可能な制止手段とを有する繊維貼付ヘッドにおいて、
上記制止スタッド(43)および上記刃(41)は、共通の作動システム(40)によって、上記制止スタッド(43)および上記刃(41)の定位置および動作位置の間を作動され、上記共通の作動システムは、切断および制止される繊維毎に1つの刃および1つの制止スタッドを移動させて、上記繊維を切断および制止することが可能であることを特徴とする繊維貼付ヘッド。
【請求項2】
上記共通の作動システムは、繊維毎に1つのジャッキ(40)を含み、上記ジャッキ(40)は、当該ジャッキ(40)のロッド(422)の端部において、各繊維を切断および制止するための制止スタッド(43)および平刃(42)を支えていることを特徴とする、請求項1に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項3】
上記平刃(42)は、上記平刃(42)の近位部(413)によって、刃ロッキングシステムを備えるジャッキロッド(42)の第1の縦型ハウジング(42)内に取付けられており、上記刃ロッキングシステムは、上記ジャッキロッドの第2の縦型ハウジング(423)内をスライドするように取付けられた作動ピン(46)と、上記第1の縦型ハウジング(42)および上記第2の縦型ハウジング(423)を接続する横孔(424)内に取付けられた制止ボール(45)とを有し、上記作動ピンは、上記作動ピンが上記第1の縦型ハウジングに少なくとも部分的に噛み合った上記制止ボールを支えて上記平刃を軸方向に制止する定位置において、弾性手段によって弾性的に作用すると共に、外部から、上記制止ボールが上記第2の縦型ハウジングに部分的に噛み合って上記平刃の制止を解除する制止解除位置の方に移動されることが可能であることを特徴とする、請求項2に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項4】
上記制止スタッド(43)は、上記制止スタッド(43)の近位部(433)によって、第2の縦型ハウジング(423)内に取付けられており、上記案内スタッドは、縦通路(434)を有し、当該縦通路内に挿入されたツールを用いて、上記制止スタッドと上記第2の縦型ハウジングの底部との間に取付けられた作動ピン(46)を移動させることが可能であることを特徴とする、請求項3に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項5】
上記制止手段は、上記制止スタッド(43)に対向して配置された制止カウンターツール(51a、51b)を有しており、上記制止スタッドは、上記制止カウンターツールに接触して、制止動作位置において停止することを特徴とする、請求項4に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項1】
変位システムの端部に取付けて、多数の繊維から形成される幅広のストリップを表面に貼付けるための繊維貼付ヘッドであって、
−ストリップの状態の繊維を貼付けるための貼付ローラーと、
−上記貼付ローラーに繊維を案内するための案内手段と、
−作動システムによって定位置および切断動作位置の間を作動される刃を備え、上記貼付ローラーの上流側の繊維を切断することが可能な切断手段と、
−上記切断手段の上流側に配置され、作動システムによって定位置および制止動作位置の間を作動される制止スタッドを備え、切断されたばかりの繊維を制止することが可能な制止手段とを有する繊維貼付ヘッドにおいて、
上記制止スタッド(43)および上記刃(41)は、共通の作動システム(40)によって、上記制止スタッド(43)および上記刃(41)の定位置および動作位置の間を作動され、上記共通の作動システムは、切断および制止される繊維毎に1つの刃および1つの制止スタッドを移動させて、上記繊維を切断および制止することが可能であることを特徴とする繊維貼付ヘッド。
【請求項2】
上記共通の作動システムは、繊維毎に1つのジャッキ(40)を含み、上記ジャッキ(40)は、当該ジャッキ(40)のロッド(422)の端部において、各繊維を切断および制止するための制止スタッド(43)および平刃(42)を支えていることを特徴とする、請求項1に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項3】
上記平刃(42)は、上記平刃(42)の近位部(413)によって、刃ロッキングシステムを備えるジャッキロッド(42)の第1の縦型ハウジング(42)内に取付けられており、上記刃ロッキングシステムは、上記ジャッキロッドの第2の縦型ハウジング(423)内をスライドするように取付けられた作動ピン(46)と、上記第1の縦型ハウジング(42)および上記第2の縦型ハウジング(423)を接続する横孔(424)内に取付けられた制止ボール(45)とを有し、上記作動ピンは、上記作動ピンが上記第1の縦型ハウジングに少なくとも部分的に噛み合った上記制止ボールを支えて上記平刃を軸方向に制止する定位置において、弾性手段によって弾性的に作用すると共に、外部から、上記制止ボールが上記第2の縦型ハウジングに部分的に噛み合って上記平刃の制止を解除する制止解除位置の方に移動されることが可能であることを特徴とする、請求項2に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項4】
上記制止スタッド(43)は、上記制止スタッド(43)の近位部(433)によって、第2の縦型ハウジング(423)内に取付けられており、上記案内スタッドは、縦通路(434)を有し、当該縦通路内に挿入されたツールを用いて、上記制止スタッドと上記第2の縦型ハウジングの底部との間に取付けられた作動ピン(46)を移動させることが可能であることを特徴とする、請求項3に記載の繊維貼付ヘッド。
【請求項5】
上記制止手段は、上記制止スタッド(43)に対向して配置された制止カウンターツール(51a、51b)を有しており、上記制止スタッドは、上記制止カウンターツールに接触して、制止動作位置において停止することを特徴とする、請求項4に記載の繊維貼付ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2010−522099(P2010−522099A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552244(P2009−552244)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000276
【国際公開番号】WO2008/132301
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(507296621)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000276
【国際公開番号】WO2008/132301
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(507296621)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]