説明

特殊景品の計数装置

【課題】 偽造の発見及び偽造行為の防止について、より信頼性の高い特殊景品の計数装置を提供すること。
【解決手段】 ケース110の内部にIC回路120及び貴金属130を設けてなる特殊景品100をカウントする計数装置において、当該計数装置は、特殊景品100を搬送する搬送手段600と、IC回路120に記憶された情報を読み取る第1センサ700と、貴金属130の導電率を検出する第2センサ800とを備え、特殊景品100が搬送手段600により第1センサ700の検出位置及び第2センサ800の検出位置を通過するものであり、IC回路120の情報に基づいて特殊景品100をカウントするとともに、貴金属130の導電率に基づいて特殊景品100の真贋を判断する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される特殊景品をカウントする計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特殊景品としては、カード型のケースの内部に貴金属及びIC回路を設け、IC回路に景品としての価値をはじめとする各種情報を記憶させたものが知られている。
【0003】
特殊景品は、所定の計数装置にてIC回路の情報を読み取ることによりカウントされる。特許文献1乃至5には、この種の特殊景品が開示されている。特許文献6及び7には、特殊景品をカウントするための計数装置が開示されている。
【0004】
尚、特許文献8及び9に開示されているように、金属製の有価物そのものを記憶媒体として利用することも可能である。ただし、記憶する情報の量、流通の利便性、有価物の製造性等を考慮すると、IC回路を利用する構成が優れており、IC回路を備えた特殊景品が主流となりつつあるのが現状である。
【特許文献1】特開平5−16580号公報
【特許文献2】特開平9−185692号公報
【特許文献3】特開2004−21977号公報
【特許文献4】特開2006−209226号公報
【特許文献5】実用新案登録第3124519号公報
【特許文献6】特開平7−271936号公報
【特許文献7】特許第3916122号公報
【特許文献8】特開平5−317517号公報
【特許文献9】特開平6−126038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、IC回路を備えた特殊景品は、その記憶情報に基づいて流通されるため、貴金属のみを偽物に置き換えるなどの偽造を防止する構成が重要とされる。すなわち、偽造を試みる者は、特殊景品の構成部材を分離し、貴金属を取り出した後に復元し、これを流通させようとする。特殊景品の計数装置については、こうした偽造行為を防止するべく、偽造がなされた特殊景品を発見するための構成が必要とされている。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、偽造の発見及び偽造行為の防止について、より信頼性の高い特殊景品の計数装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願第1請求項に記載した発明は、ケースの内部にIC回路及び貴金属を設けてなる特殊景品をカウントする計数装置において、当該計数装置は、前記特殊景品を搬送する搬送手段と、前記IC回路に記憶された情報を読み取る第1センサと、前記貴金属の導電率を検出する第2センサとを備え、前記特殊景品が前記搬送手段により前記第1センサの検出位置及び前記第2センサの検出位置を通過するものであり、前記IC回路の情報に基づいて前記特殊景品をカウントするとともに、前記貴金属の導電率に基づいて前記特殊景品の真贋を判断する構成の特殊景品の計数装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、偽造の発見及び偽造行為の防止について、より信頼性の高い特殊景品の計数装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示す本例の計数装置1は、特殊景品100をカウントするものである。図2乃至4に示すように、本例の特殊景品は、ケース110の内部に非接触式IC回路120及び貴金属130を設けてなるものである。貴金属130としては、金又は銀といった小型のプレートを採用している。
【0010】
特殊景品100の具体的構成は、特に限定はしないが、本例ではカード型のものを採用している。ケース110は、その厚さ方向に第1ケース部材111及び第2ケース部材112を接合して構成されている。非接触式IC回路120及び貴金属130は、第1ケース部材111及び第2ケース部材112の間に設けられている。各ケース部材111,112は、所定の形状に射出成形された合成樹脂製の部材であり、それらの一方には、非接触式IC回路120の位置決め部111a及び貴金属130の位置決め部111bが設けられている。各ケース部材111,112は、それらの一方に非接触式IC回路120及び貴金属130を配置し、これに他方を接着剤で張り合わせて接合される。また、第1ケース部材111及び第2ケース部材112の少なくとも一方には、貴金属130を目視可能とする透明部112aが設けられている。
【0011】
非接触式IC回路120は、フレキシブル基板121にICチップ122及びアンテナ123を搭載してなるものである。フレキシブル基板121は、絶縁体からなるフィルム状の薄膜基板である。アンテナ123は、フレキシブル基板121の表面にプリント成形されている。ICチップ122には、特殊景品100の代価、特殊景品100を扱う店舗のID、特殊景品100の交換日時、及び特殊景品100の通し番号表す固有の識別データ等がそれぞれ記憶されている。特殊景品100の代価は、ケース110の内部に設けられた貴金属130の種類や大きさによって異なる。
【0012】
本例の計数装置1は、当該装置を制御する制御手段200と、データ解読用の初期設定データ及びカウント情報等を記憶する記憶手段300と、当該装置を操作する操作手段400と、カウント結果等の所定の情報を表示する表示手段500と、特殊景品100を搬送する搬送手段600と、非接触式IC回路120に記憶された情報を読み取る第1センサ700と、貴金属130の導電率を検出する第2センサ800とを備えている。そして、特殊景品100が搬送手段600により第1センサ700の検出位置及び第2センサ800の検出位置を通過するものであり、非接触式IC回路120の情報に基づいて特殊景品100をカウントするとともに、貴金属130の導電率に基づいて特殊景品100の真贋を判断する構成となっている。
【0013】
制御手段200は、CPU、RAM、ROM等を配置した基板からなり、記憶手段300は、その基板に配置したEEPROMである。EEPROMは、電気的に内容の変更が可能なPROMであり、本例では、フラッシュメモリを採用している。
【0014】
操作手段400は、カウントの開始や終了等を操作するプッシュ式の操作ボタン等を複数配列して構成されている。
【0015】
表示手段500としては、デジタル表示部又は液晶ディスプレイを採用している。
【0016】
搬送手段600は、その駆動源たるモータ610と、一対のプーリ620と、プーリ620に装着されたベルト630と、景品100を重ねてセットするセット部640とを備え、カウントの開始とともにモータ610が駆動することにより、セット部640にセットされた特殊景品100が、ベルト630の移動に伴い連続して一枚ずつ各センサ700,800の検出位置を通過する構成となっている。図1中の白矢印は、景品100の排出方向を示している。
【0017】
第1センサ700は、電波を発射してICを励振させ、その応答電波を受信するものである。景品100のカウントは、第1センサ700にて検出された情報を制御手段200が解読することによってなされる。制御手段200によると、検出情報に応じて特殊景品100の個数と、それらの代価のトータルがカウントされ、カウント情報が表示手段500に表示される。
【0018】
第2センサ800は、駆動コイルにて交流磁界を発生して貴金属130に渦電流を生じさせ、これを検出コイルにて検出することにより、貴金属130の導電率を検出するものである。記憶手段300には、特殊景品100に設けられた貴金属130固有の導電率が記憶されており、制御手段200は、第1センサ700にて検出された特殊景品100の代価と、第2センサ800にて検出された貴金属130の導電率とを照合し、それらが一致することを確認することにより、特殊景品100の真贋を判断する。
【0019】
図5は、この計数装置1の制御を示すフローチャートである。特殊景品100のカウントは、オペレータが特殊景品100をセット部640にセットした後、操作手段400の所定のボタンを押すことによって開始される(S1)。カウントが開始されると、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が作動し(S2)、セット部640にセットされた特殊景品100が1つずつカウントされていく。
【0020】
カウントが終了すると(S3)、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が停止し(S4)、カウント結果が表示手段500に表示される(S5)。
【0021】
また、カウント時においては、貴金属130の導電率の値が正常であることが確認される(S6)。すなわち、特殊景品100が第1センサ700及び第2センサ800を通過すると同時に、その特殊景品100の代価と貴金属130の導電率とを照合し、それらが不一致の場合は、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が停止し(S7)、エラー表示が表示手段500に表示される(S8)。
【0022】
このような構成によると、貴金属130が異なる偽造品は、見た目が精巧に造られていても、これを速やかに発見することができる。貴金属130を取り出して真鍮製の偽物に置き換えたとしても、それがカウントされることはない。
【0023】
以上説明したように、本例の特殊景品の計数装置は、特殊景品の偽造の発見、及び偽造行為の防止という点で極めて信頼性の高いものである。IC回路の記憶情報に基づいて特殊景品を流通する場合は、貴金属を抜き出して復元する行為を防止する必要があるところ、本例の計数装置よれば、特殊景品をカウントする際に貴金属の導電率に基づいて特殊景品の真贋を判断するので、偽造品の流通を未然に防ぐことができる。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の特殊景品の計数装置は、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される景品をカウントする装置として好適に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例に係り、計数装置を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係り、(a)は特殊景品を示す正面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、特殊景品の分解断面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、非接触式IC回路の正面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、計数装置の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1 計数装置
100 特殊景品
110 ケース
111 第1ケース部材
111a 非接触式IC回路の位置決め部
111b 貴金属の位置決め部
112 第2ケース部材
112a 透明部
120 非接触式IC回路
121 フレキシブル基板
122 ICチップ
123 アンテナ
130 貴金属
200 制御手段
300 記憶手段
400 操作手段
500 表示手段
600 搬送手段
610 モータ
620 プーリ
630 ベルト
640 セット部
700 第1センサ
800 第2センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部にIC回路及び貴金属を設けてなる特殊景品をカウントする計数装置において、
当該計数装置は、前記特殊景品を搬送する搬送手段と、前記IC回路に記憶された情報を読み取る第1センサと、前記貴金属の導電率を検出する第2センサとを備え、
前記特殊景品が前記搬送手段により前記第1センサの検出位置及び前記第2センサの検出位置を通過するものであり、
前記IC回路の情報に基づいて前記特殊景品をカウントするとともに、前記貴金属の導電率に基づいて前記特殊景品の真贋を判断することを特徴とする特殊景品の計数装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−82209(P2010−82209A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254940(P2008−254940)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【出願人】(595020780)株式会社日商物産 (2)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】