説明

特殊景品及びその計数装置

【課題】偽造の発見及び偽造行為の防止について信頼性が高いとともに、より合理的に構成された特殊景品及びその計数装置を提供する。
【解決手段】ケースの内部に貴金属を設けてなる特殊景品100において、ケースの内部には、貴金属とは別の金属片を配置する金属片配置部を複数設け、当該特殊景品は、ケースの内部に設ける貴金属の種類に応じて複数の金属片配置部に対する金属片の配置パターンを変更するようにした。計数装置は、特殊景品を搬送する搬送手段600と、金属片の配置パターンを読み取る第1センサ700と、貴金属の導電率を検出する第2センサ800とを備え、特殊景品が搬送手段により第1センサの検出位置及び第2センサの検出位置を通過するものであり、金属片の配置パターンに基づいて特殊景品の代価をカウントするとともに、貴金属の導電率に基づいて特殊景品の真贋を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される特殊景品、及び特殊景品の代価をカウントする計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、特殊景品としては、カード型のケースの内部に貴金属及びIC回路を設け、IC回路に景品としての代価をはじめとする各種情報を記憶させたものが知られている。特殊景品の代価は、貴金属の種類に応じて異なる。
【0003】
特許文献1には、特殊景品の対価をカウントするとともに貴金属の導電率を検出してその真贋を判断する計数装置が開示されている。IC回路を備えた特殊景品は、その記憶情報に基づいて流通されるため、貴金属のみを偽物に置き換えるなどの偽造を防止する構成が重要とされる。特許文献1の計数装置は、こうした偽造行為を防止するべく、貴金属の真贋を判断する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−82209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、この種の特殊景品の流通事情を考慮すると、特殊景品の代価は、貴金属の価値とほぼ同等であることが望ましい。この点、ケースの内部にIC回路を設けることによれば、特殊景品の製造コストが上がるとともに、情報の書込みが可能な記憶装置としての機能が付加されるため、これが特殊景品として相応しくないと判断される場合が考えられる。
【0006】
前述した特許文献1は、本願出願人が先に出願したものである。偽造防止の点で優れたものであるところ、これに対し、本願発明者は、コスト及び流通事情の観点から、IC回路のような記憶担体を用いずに特殊景品の代価を識別するための工夫が必要であると考えた。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、偽造の発見及び偽造行為の防止について信頼性が高いとともに、より合理的に構成された特殊景品及びその計数装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願第1請求項に記載した発明は、ケースの内部に貴金属を設けてなる特殊景品において、前記ケースの内部には、前記貴金属とは別の金属片を配置する金属片配置部を複数設け、当該特殊景品は、前記ケースの内部に設ける前記貴金属の種類に応じて前記複数の金属片配置部に対する前記金属片の配置パターンを変更するようにした構成の特殊景品である。
【0009】
本願第2請求項に記載した発明は、ケースの内部に貴金属を設けてなる特殊景品の代価をカウントする計数装置において、前記ケースの内部には、前記貴金属とは別の金属片を配置する金属片配置部を複数設け、前記特殊景品は、前記ケースの内部に設ける前記貴金属の種類に応じて前記複数の金属片配置部に対する前記金属片の配置パターンを変更するようにし、当該計数装置は、前記特殊景品を搬送する搬送手段と、前記金属片の配置パターンを読み取る第1センサと、前記貴金属の導電率を検出する第2センサとを備え、前記特殊景品が前記搬送手段により前記第1センサの検出位置及び前記第2センサの検出位置を通過するものであり、前記金属片の配置パターンに基づいて前記特殊景品の代価をカウントするとともに、前記貴金属の導電率に基づいて前記特殊景品の真贋を判断する構成の特殊景品の計数装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、偽造の発見及び偽造行為の防止について信頼性が高いとともに、より合理的に構成された特殊景品及びその計数装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係り、計数装置を示す説明図である。
【図2】本発明の実施例に係り、(a)は特殊景品を示す正面図、(b)は(a)のX−X断面図である。
【図3】本発明の実施例に係り、特殊景品の分解断面図である。
【図4】本発明の実施例に係り、第1ケース部材を示す正面図である。
【図5】本発明の実施例に係り、金属片の配置パターンを示す説明図である。
【図6】本発明の実施例に係り、計数装置の制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1に示す本例の計数装置1は、特殊景品100の代価をカウントするものである。図2乃至4に示すように、本例の特殊景品100は、ケース110の内部に貴金属130を設けてなるものである。貴金属130としては、金又はプラチナといった小型のプレートを採用している。
【0013】
この特殊景品100は、カード型のものである。ケース110は、その厚さ方向に第1ケース部材111及び第2ケース部材112を接合して構成されている。また、ケース110の内部には、貴金属130とは別の金属片120を配置する金属片配置部111aを複数設けている。特殊景品100は、ケース110の内部に設ける貴金属130の種類に応じて複数の金属片配置部111aに対する金属片120の配置パターンを変更する構成となっている。金属片120としては、コイン型の鉄製のプレートを採用している。
【0014】
金属片120及び貴金属130は、第1ケース部材111及び第2ケース部材112の間に設けられている。各ケース部材111,112は、所定の形状に射出成形された合成樹脂製の部材であり、それらの一方には、金属片120を配置する金属片配置部111aと、貴金属130を配置する貴金属配置部111bが設けられている。
【0015】
各ケース部材111,112は、それらの一方に金属片120及び貴金属130を配置し、これに他方を接着剤で張り合わせて接合される。金属片配置部111a及び貴金属配置部111bは、その貼り合せ面に形成された凹状の部位である。また、第1ケース部材111及び第2ケース部材112の少なくとも一方には、貴金属130を目視可能とする透明部112aが設けられている。
【0016】
複数の金属片配置部111aに対する金属片120の配置パターンは、そのケース110に設けられる貴金属130の種類と対応づけられている。計数装置1は、金属片120の配置パターンを読み取ることにより、特殊景品100の種類、すなわちその特殊景品100に設けられた貴金属130の種類を判別するものとなっている。特殊景品100の対価は、貴金属130の種類によって異なる。
【0017】
金属片配置部111aの位置や数、及び金属片配置部111aに対する金属片120の配置パターンは、特に限定はしないが、図5には、その一例として本例の構成を示す。同図に示すように、金属片配置部111aは、第1ケース部材111の四隅近傍にそれぞれ設けられており、貴金属配置部111bは、第1ケース部材111の中央に設けられている。金属片配置部111aの位置、及び貴金属配置部111bの位置は、矩形のケース110に対し、その正面から見て上下左右対称となるように設けられている。
【0018】
ケース110を扱う際にその裏表及び上下方向を区別しない場合、判別できる金属片120の配置パターンは、次の通りである。(a)金属片120を1つ配置したもの。(b)金属片120を上下方向に並べて2つ配置したもの。(c)金属片120を対角に2つ配置したもの。(d)金属片120を左右方向に並べて2つ配置したもの。(e)金属片120を3つ配置したもの。(f)金属片120を4つ配置したもの。尚、金属片120を配置しないものも、金属片120を配置したものと区別することは可能である。
【0019】
本例の計数装置1は、当該装置を制御する制御手段200と、データ解読用の初期設定データ及びカウント情報等を記憶する記憶手段300と、当該装置を操作する操作手段400と、カウント結果等の所定の情報を表示する表示手段500と、特殊景品100を搬送する搬送手段600と、金属片の配置パターンを読み取る第1センサ700と、貴金属130の導電率を検出する第2センサ800とを備えている。そして、特殊景品100が搬送手段600により第1センサ700の検出位置及び第2センサ800の検出位置を通過するものであり、金属片120の配置パターンに基づいて特殊景品100の対価をカウントするとともに、貴金属130の導電率に基づいて特殊景品100の真贋を判断する構成となっている。
【0020】
制御手段200は、CPU、RAM、ROM等を配置した基板からなり、記憶手段300は、その基板に配置したEEPROMである。EEPROMは、電気的に内容の変更が可能なPROMであり、本例では、フラッシュメモリを採用している。
【0021】
操作手段400は、カウントの開始や終了等を操作するプッシュ式の操作ボタン等を複数配列して構成されている。
【0022】
表示手段500としては、デジタル表示部又は液晶ディスプレイを採用している。
【0023】
搬送手段600は、その駆動源たるモータ610と、一対のプーリ620と、プーリ620に装着されたベルト630と、景品100を重ねてセットするセット部640とを備え、カウントの開始とともにモータ610が駆動することにより、セット部640にセットされた特殊景品100が、ベルト630の移動に伴い連続して一枚ずつ各センサ700,800の検出位置を通過する構成となっている。図1中の白矢印は、特殊景品100の排出方向を示している。
【0024】
第1センサ700は、振動子とコイルからなる金属探知機である。振動子から発生する交流電流がコイルを通過することによって磁場が発生し、金属片120がそのコイル付近を通過すると電磁誘導の効果から渦電流が発生し、そこでも交流磁場が発生する。すなわち、特殊景品100の通過に伴う磁場の変化を探知することで金属片120の配置位置及び配置個数を探知し、これを金属片120の配置パターンとして読み取る構成となっている。制御手段200によると、検出情報に応じて特殊景品100の種類毎の個数と、それらの代価のトータルがカウントされ、カウント情報が表示手段500に表示される。
【0025】
第2センサ800は、駆動コイルにて交流磁界を発生して貴金属130に渦電流を生じさせ、これを検出コイルにて検出することにより、貴金属130の導電率を検出するものである。記憶手段300には、特殊景品100に設けられた貴金属130固有の導電率が記憶されており、制御手段200は、第1センサ700にて検出された特殊景品100の代価と、第2センサ800にて検出された貴金属130の導電率とを照合し、それらが一致することを確認することにより、特殊景品100の真贋を判断する。
【0026】
図6は、この計数装置1の制御を示すフローチャートである。特殊景品100の対価のカウントは、オペレータが特殊景品100をセット部640にセットした後、操作手段400の所定のボタンを押すことによって開始される(S1)。カウントが開始されると、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が作動し(S2)、セット部640にセットされた特殊景品100が1つずつカウントされていく。
【0027】
カウントが終了すると(S3)、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が停止し(S4)、カウント情報が表示手段500に表示される(S5)。
【0028】
また、カウント時においては、貴金属130の導電率の値が正常であることが確認される(S6)。すなわち、特殊景品100が第1センサ700及び第2センサ800を通過すると同時に、その特殊景品100の金属片120の配置パターンと貴金属130の導電率とを照合し、それらが不一致の場合は、搬送手段600、第1センサ700、及び第2センサ800が停止し(S7)、エラー表示が表示手段500に表示される(S8)。
【0029】
このような構成によると、貴金属130が異なる偽造品は、見た目が精巧に造られていても、これを速やかに発見することができる。貴金属130を取り出して真鍮製の偽物に置き換えたとしても、それがカウントされることはない。
【0030】
以上説明したように、本例の特殊景品の計数装置は、特殊景品の偽造の発見、及び偽造行為の防止という点で極めて信頼性の高いものである。この種の特殊景品を流通する場合は、貴金属を抜き出して復元する行為を防止する必要があるところ、本例の計数装置よれば、特殊景品の対価をカウントする際に貴金属の導電率に基づいて特殊景品の真贋を判断するので、偽造品の流通を未然に防ぐことができる。また、IC回路やバーコードといった記憶担体を設けずとも種類が異なる特殊景品の代価を判別することができる。すなわち、特殊景品の製造時にケースの内部に金属片を設けることにより、その特殊景品の代価情報が決定されるので、製造後に代価情報を付加する、或は代価情報が書き換え可能なものと比較すると、より信頼性が高いものとなっている。尚、本例における各部の構成は、特許請求の範囲に記載した技術的範囲において適宜に設計変更が可能であり、図例説明したものに限定されないことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の特殊景品の計数装置は、パチンコやスロットマシンで獲得した遊戯媒体に応じて交換される特殊景品の対価をカウントする装置として好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 計数装置
100 特殊景品
110 ケース
111 第1ケース部材
111a 金属片配置部
111b 貴金属配置部
112 第2ケース部材
112a 透明部
120 金属片
130 貴金属
200 制御手段
300 記憶手段
400 操作手段
500 表示手段
600 搬送手段
610 モータ
620 プーリ
630 ベルト
640 セット部
700 第1センサ
800 第2センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースの内部に貴金属を設けてなる特殊景品において、
前記ケースの内部には、前記貴金属とは別の金属片を配置する金属片配置部を複数設け、
当該特殊景品は、前記ケースの内部に設ける前記貴金属の種類に応じて前記複数の金属片配置部に対する前記金属片の配置パターンを変更するようにしたことを特徴とする特殊景品。
【請求項2】
ケースの内部に貴金属を設けてなる特殊景品の代価をカウントする計数装置において、
前記ケースの内部には、前記貴金属とは別の金属片を配置する金属片配置部を複数設け、
前記特殊景品は、前記ケースの内部に設ける前記貴金属の種類に応じて前記複数の金属片配置部に対する前記金属片の配置パターンを変更するようにし、
当該計数装置は、前記特殊景品を搬送する搬送手段と、前記金属片の配置パターンを読み取る第1センサと、前記貴金属の導電率を検出する第2センサとを備え、
前記特殊景品が前記搬送手段により前記第1センサの検出位置及び前記第2センサの検出位置を通過するものであり、
前記金属片の配置パターンに基づいて前記特殊景品の代価をカウントするとともに、前記貴金属の導電率に基づいて前記特殊景品の真贋を判断することを特徴とする特殊景品の計数装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate