説明

牽引装置

【課題】
牽引装置には腰椎牽引装置と頸椎牽引装置があり、いずれも患者が多いため、両方の牽引装置を導入している施設が多い。しかし、2つの装置を導入すると、多くの費用と設置スペースを要する。これを解決するため、1台の装置で腰椎牽引と頸椎牽引を可能にしたものもあるが、腰椎牽引と頸椎牽引を別系統にしていないため、牽引力の正確さに問題があり、また、誤操作により、腰椎牽引と頸椎牽引を取り違えて使用する危険性を有する。
【解決手段】
1台の牽引装置に、独立した腰椎牽引手段と頸椎牽引手段の両方を設けるとともに、一方の牽引を選択した場合、選択した側の牽引治療のみを行い、選択しなかった牽引をおこなうことができないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1台で頸椎牽引治療と腰椎牽引治療の両方の治療が可能な牽引装置において、一方の治療を選択した場合は選択した方の牽引治療のみをおこない、他方の治療はおこなわないようにして、安全な治療をおこなうことができるようにする牽引装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牽引治療は、脊椎を機械的な力で牽引して、脊椎やその周囲の疾患を治療するもので、頸椎の牽引治療をおこなう頸椎牽引治療と、腰椎の牽引治療をおこなう腰椎牽引治療がある。
図5と図6は頸椎牽引装置、図7と図8は腰椎牽引装置、図9は腰椎牽引と頸椎牽引の両方が可能な牽引装置の例である。
【0003】
図5は頸椎牽引装置の例で、装置は、モータ51と、前記モータ51に接続したワイヤ巻取りドラム52と、前記ワイヤ巻取りドラム52に一端を接続したワイヤ53と、前記ワイヤ53の他端に接続したハンガ54と、前記ハンガ54に接続した首装具55とを有する。
頸椎牽引装置50は、図5(A)にはモータ51とワイヤ巻取りドラム52のみを記載しているが、実際には図5(B)に示すように、モータ51と、クラッチ57と、減速ギア58と、ワイヤ巻取りドラム52と、装置全体を制御する制御部59と、牽引力や治療時間等の治療条件を入力する入力部5Bと、図には記載していないが治療状況等を表示する表示部と、実際の牽引力を検出する牽引力検出部5A等を有する。
【0004】
クラッチ57はモータ51とワイヤ巻取りドラム52を接続したり切り離したりする。
減速ギア58はモータ51の回転数を減速しワイヤ巻取りドラム52を所定の速度で回転させる。
ワイヤ巻取りドラム52は、モータ51から切り離すと回転自在に設けている。さらに、図には示していないが、ワイヤ巻取りドラム52にバネ等を設け、ワイヤ巻取りドラム52を一方向に回転させるとバネを巻き上げ、これを放すと、バネの力でワイヤ巻取りドラム52を逆方向に強制的に回転させるようにしている。
このようにすることで、ワイヤ巻取りドラム52に巻き取ったワイヤを自由に引き出すことができ、また、引き出したワイヤを放すと、バネでワイヤ巻取りドラム52が回転し、ワイヤを巻き取ることができる。
【0005】
制御部59は、入力部5Bから入力された牽引条件を記憶し、治療中は、この牽引条件に従って、また、牽引力検出部5Aのデータを参照して、モータ51やクラッチ57を制御し、所定の牽引治療をおこなう。また、表示部に所定のデータを転送し、表示させる。
牽引力検出部5Aは実際に発生している牽引力を検出する。
入力部5Bは、牽引力、治療時間、持続時間(後述を参照)、休止時間(後述を参照)等の牽引条件を入力する。
表示部は入力した治療条件や治療中の状況(治療時間や牽引力等の所定の事項)を表示する。
【0006】
治療前に、患者を椅子56に座らせ、首装具55を接続したワイヤ53を引き出し、首装具55を患者に装着させる。また、前記入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定すると、治療の準備が完了する。
治療を開始すると、クラッチ57を作動させてモータ51とワイヤ53を接続し、モータ51を回転させ、減速ギア58で回転数を減速してワイヤ巻取りドラム52を回転させ、ワイヤ53を巻取り、首装具55を介して患者Mの頸椎を牽引する。
治療中、常に牽引力検出部5Aで牽引力をモニタし、入力された目標の牽引力(設定牽引力、場合によっては休止時の牽引力)と比較し、目標の牽引力になるまでモータを制御する。
【0007】
牽引には間歇牽引と持続牽引があり、通常は間歇牽引が用いられる。間歇牽引は、図5(C)のように、モータ51を回転させてワイヤ53を巻き取って牽引する牽引と、牽引力Fnが所定の値になるとその牽引力を所定の時間(持続時間という。通常は10〜20秒程度)維持する持続と、その後、牽引力を緩和する緩和と、牽引力が所定の値(通常はゼロ、小さな値にすることもある。)になると所定時間(休止時間という。通常は数秒程度)だけ休止する休止を行い、この牽引−持続−緩和−休止のサイクルを治療時間の間、繰り返す。
持続牽引は、所定の牽引力Fnまで牽引したあと、治療時間の間、この牽引力を持続するものであるが、間歇牽引の変形とも言える。
以下、間歇牽引を例に説明する。
【0008】
図6は、図5と牽引方式の異なる頸椎牽引装置の例である。装置は、患者が載る牽引治療台(椅子)6Bと、患者の頭部を載置する頭部載置部6Hと、患者載置部と頭部載置部を離接させて牽引力を発生する頸椎牽引駆動部Knを有する。
図には記載していないが、頭部が移動しないように支持する頭部支持部(首装具)と、図5の装置と同様に、装置全体を制御する制御部と、牽引力や治療時間等の治療条件を入力する吸力部、牽引力を検出する牽引力検出部、治療状況等を表示する表示部等を有する。
頭部載置部6Hは牽引治療台6Bから離接可能に設けられており、頭部載置部6Hと牽引治療台6Bの間に設けた頸椎牽引駆動部Knを作動させると、頸椎を牽引することができる。
【0009】
患者を牽引治療台6Bに載せ、頭部を頭部支持部6Hに載せ、頭部支持部(首装具)で頭部を支持する。また、入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定すると、治療の準備が完了する。
治療を開始すると、頸椎牽引駆動部Knが作動し、牽引力検出部で牽引力を検出し、設定牽引力と比較しながら、患者載置部と頭部載置部の間隔を接離させ、設定した牽引力で牽引治療をおこなう。
頸椎を牽引しても、首から下は患者の体重があるため、体はズレない(頚椎牽引力は体重に比して小さいため)。また、頭部は頭部支持部(首装具)で支持しているため、頭部載置部6Hからズレない。このため、頸椎牽引駆動部Knを離接させると、頸椎のみを牽引することができる。
【0010】
図6には、牽引治療台(椅子)6Bと頭部載置部6Hの間に頸椎牽引駆動部Knを設けて、牽引治療台(椅子)6Bと頭部載置部6Hを離接させる例を示している。
頸椎牽引駆動部Knには、リニアアクチュエータ等を用いる方法や、図5のようなモータでワイヤを巻き取る方法を用い、ワイヤを頭部載置部6Hに接続して離接させる方法、手動や重錐による方法も開示されている。
牽引治療台(椅子)6Bには、椅子を用いる方法とベッドを用いる方法がある。
椅子を用いる方法では、椅子に背もたれを設け、背もたれに図6の機構部を設けたものがある。
牽引治療台(椅子)6Bにベッド用いる方法ベッドでは、ベッドに図6の機構部を設けたものや、ベッド上の患者に首用の装具を装着してワイヤをモータで巻き取るものもある。
【0011】
図7は腰椎牽引装置の例である。装置は、牽引装置71とワイヤ72、腰装具73、脇装具74、牽引ベッド75等で構成される。装置本体71は、図には示していないが、図5の頸椎牽引装置と同様、モータとクラッチ、減速ギア、ワイヤ巻取りドラム、装置全体を制御する制御部と、入力部、表示部、牽引力検出部などを有する。
牽引ベッド75は腰椎牽引治療に適するように設計されたもので、患者の上半身を載置する上半身マット77と、下半身を載置するスライドマット76を有し、上半身マット77はほぼ固定で、スライドマットは身長方向に自由にスライドするようにしている。
腰装具73は骨盤に巻きつけて装着する。
脇装具74は、患者の脇を支持し、牽引時に患者がベッド上で移動しないようにする。
治療前に、腰装具73を装着させ、患者を牽引ベッド75に仰臥位で載せ、上半身は上半身マット77に、下半身はスライドマット76にそれぞれ載せ、脇装具74で患者の脇を支持し、ワイヤ72を引き出して腰装具73に接続する。また、前記入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定して、治療の準備が完了する。
【0012】
治療を開始すると、牽引装置71に内蔵したモータが回転してワイヤ巻取りドラムを回転させ、ワイヤ72を巻取って、腰装具73を介して患者Mの腰椎を牽引する。このとき、患者の脇が脇装具74で支持され、上半身は上半身マット77に載り、下半身は移動自在のスライドマット76に載っているため、牽引により、スライドマットは自由にスライドするため、牽引力は腰部にかかり、効果的な腰椎牽引を行うことができる。
牽引時に牽引力検出部で牽引力をモニタし、設定した牽引力と比較しながら、設定した治療条件に従って、牽引治療をおこなう。
【0013】
図8は腰椎牽引装置の、別の例である。これは図7の腰椎牽引装置を改良したもので、治療をしないときは牽引治療台6を椅子状にして、患者が装置に乗り降りするのを楽にし、治療時に牽引治療台6を後方に移動させ、患者をほぼ水平の仰臥位(牽引位)にして、腰椎牽引治療をおこなうようにした牽引装置の例である。
装置は、基台1と、牽引治療台6と、傾動機構部3と、腰椎牽引機構部7を有する。
牽引治療台6は、牽引治療台6の横断方向の軸Oを介して、基台1に回動可能に接続されている。
【0014】
基台1と牽引治療台6の間には傾動機構部3を設けており、傾動機構部3を作動させると、牽引治療台6を傾動させることができる。
牽引治療台6は、患者の上半身を載置する背もたれ部4と、患者の下半身を載置する座部5を、フレーム2に載置し、背もたれ部4と座部5の間隔を離接可能にしている。
背もたれ部4と座部5の間には、腰椎牽引機構部7を設けている。図には、フレーム2と座部5に間に腰椎牽引機構部7を設けているが、要は、背もたれ部4と座部5の間を離接させることが目的であるから、その取り付け位置は問わない。
治療を行わない場合は、患者が装置に乗り降りしやすいように、牽引治療台6を立てて椅子状にしておく。
患者の両脇を支持する脇装具Aと、骨盤を座部5に固定する腰装具bを設けている。
また、装置のパネル面には、図には記載していないが、従来の牽引装置と同様、治療条件等を入力する入力部や表示部等を設けている。
さらに、発生させた牽引力を検出する牽引力検出部8を設けている。
【0015】
治療前に、椅子状にした牽引治療台6に患者を座らせ、腰装具bで骨盤を座部6に固定し、脇装具Aで両脇を支持し、入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定して準備をおこなう。
治療を開始すると、まず傾動機構部3が作動し、牽引治療台6を後方に傾動させて牽引位にする。牽引位とは、牽引治療台6を所定の角度に傾動させ、実際に牽引治療をおこなう姿勢にしたときの位置であり、通常は、患者がほぼ水平の仰臥位になる牽引治療台6の位置である。場合によっては、フレームを数〜数十度の角度にすることもある。
その後、入力した治療条件に従って、牽引力検出部8で現在の牽引力を検出し、これを設定した牽引力と比較しながら、設定した牽引条件に従って、腰椎牽引機構部7を作動させ、背もたれ部4と座部5の間隔を接離し、腰椎牽引をおこなう(例えば特許文献1など)。
【0016】
以上のように、牽引装置には頸椎牽引装置と腰椎牽引装置があり、それぞれいくつかの駆動方法が開示されているが、装置の機能、設置スペースや患者の苦痛の軽減、省力化等の理由から、現在は、頸椎牽引装置は図5の装置が、腰椎牽引装置は図8の装置が、よく使用されている。
また、頸椎と腰椎の疾患は同程度に多いため、図5と図8の2機種をセットで導入して用いることが多い。
【0017】
しかし、2機種を導入するのは多くの費用とスペースを要し、場合によっては片方の装置しか使用しないで、他方は使用しないこともあり、装置の有効活用の面からも、問題があった。
そこで、図9のような、1台の牽引治療台で、頸椎と腰椎の2つの牽引治療が可能な装置が実用化された。
図9の装置は、図8の装置に、支柱Pnと首装具Snを追加し、腰椎牽引とともに、頚椎牽引治療も可能にしたものである。
【0018】
図8の腰椎牽引装置と同様に、基台1に牽引治療台6が傾動可能に接続されており、また、基台1と牽引治療台6の間には傾動機構部3を設けており、傾動機構部3を作動させると、牽引治療台6を後方に傾動させることができる。
牽引治療台6は、患者の上半身を載置する背もたれ部4と、患者の下半身を載置する座部5をフレーム2に載置し、背もたれ部4と座部5の間隔を離接可能に設けている。
また、背もたれ部4と座部5の間には、腰椎牽引機構部7を設けている。
このため、腰椎牽引のモードを選択し、腰椎牽引機構部7を作動させると、背もたれ部4と座部5の間隔が離接し、牽引治療台6に載った患者の腰部を牽引することができる。
牽引力は牽引力検出部8で検出する。
図には示していないが、腰椎牽引時に患者の両脇を支持する脇支持部と、骨盤を座部6に固定する腰装具を設けている。また、治療条件を入力する入力部や、治療条件や治療中の様子を表示する表示部、実際の牽引力を検出する牽引力検出部、装置全体を制御する制御部等を有する。
【0019】
この装置で腰椎牽引治療をおこなう場合、治療前に、椅子状にした牽引治療台6に患者を座らせ、腰装具で骨盤を座部6に固定し、脇支持部で両脇を支持し、入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定して準備をおこなう。
治療を開始すると、まず傾動機構部3が作動し、牽引治療台6を後方に傾動させて、牽引位にする。
その後、入力した治療条件に従って腰椎牽引機構部7が作動し、背もたれ部4と座部5の間隔を離接し、牽引力検出部8で牽引力を検出し、設定した牽引力と比較しながら、所定の牽引力になるようにモータを制御して、入力した牽引治療条件に従って、腰椎牽引をおこなう。
【0020】
一方、フレーム2Fの患者の頭側に支柱Pnを設け、支柱Pnの先端部に首装具Snを接続している。
支柱Pnは長さが可変であり、その長さを調節すると牽引する方向を決定できる。牽引治療では牽引方向は重要である。
首装具Snは、支柱Pnに接続したワイヤと、前記ワイヤに接続したハンガと、前記ハンガに接続した首装具から構成される。これは図5の、従来の装具と同様である。
図9の牽引装置では、頸椎牽引力は、腰椎牽引機構部7の力を利用して発生している。つまり、牽引治療台6の背もたれ部5をスライド自在にし、背もたれ部4と座部5を接続し、これを腰椎牽引機構部7で駆動して、頭部を首装具で固定した状態で、首から下を移動させて、頸椎を牽引するようにしている。
制御部と入力部、表示部等は、腰椎牽引と頸椎牽引で共有している。
【0021】
治療前に、牽引治療台6を椅子状にしておき、これに患者を座らせ、首装具5を装着させ、前記入力部から牽引力や治療時間等の治療条件を設定し、背もたれ部5をスライド自在にして座部4に接続し、治療の準備が完了する。
治療を開始すると、傾動機構部Kkが作動し、牽引治療台6を後方に傾動させて、頸椎牽引位にする。
その後、牽引力検出部8で現在の牽引力を検出し、この牽引力を参照しながら、入力した治療条件に従って腰椎牽引機構部7が作動し、牽引治療台6を下方に移動させて、頚椎牽引をおこなう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2006-87853
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
牽引装置では、治療前に、患者に適した牽引条件を設定して、治療を開始する。つまり、治療前は前回の治療の治療条件が残っている。このため、図9のような、1台の牽引装置で頸椎牽引と腰椎牽引の2つの治療をおこなうことのできる牽引装置では、操作忘れや誤操作があると、腰椎牽引と頚椎牽引を取り違えて、例えば、腰椎牽引の治療条件で頚椎牽引をおこなったり、逆に、頸椎牽引の治療条件で腰椎牽引治療をおこなう可能性がある。
腰椎牽引の牽引力は体重の1/3〜1/2の力であり、頸椎牽引の牽引力は10kgf前後である。
このため、腰椎牽引の治療条件頸椎牽引をおこなうと、頚椎に過大な力が加わり、非に危険である。逆に、頸椎牽引の治療条件で腰椎牽引をおこなうと、牽引力不足のため治療効果が得られない。
【0024】
また、頸椎牽引は10kgf程度の小さな牽引力で治療をおこなうため、牽引力に誤差があると、治療に大きな影響を及ぼす。
図9の装置は、頭部を固定し、牽引治療台6を移動させて牽引力を発生するが、患者が載った牽引治療台6の重量は大ききため摩擦力が大きい。また、この摩擦力は、患者の体格差によって大きく変化する。しかも、牽引治療台6の角度、つまり頸椎牽引位の角度によっても摩擦力は大きく変化する。さらに、使用しているうちに、機構部の磨耗等により、摩擦力は変動する。
このような要因で、牽引治療台6を移動させる方法は摩擦の影響を受け、頸椎にかかる牽引力が不正確になり、効果的な治療をおこなうことが困難であり、危険でもある。
本発明はこのような問題を解決し、安全で効果的な牽引治療をおこなえる牽引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
請求項1記載の発明では、
腰椎牽引治療をおこなう腰椎牽引手段と、
頚椎牽引治療をおこなう頸椎牽引手段と
を有する牽引装置において、
前記腰椎牽引手段と前記頸椎牽引手段に加えられる操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段による検出結果をもとに、腰椎牽引部と頸椎牽引部のどちらが操作されたのかを判断する操作側判断手段と、
前記操作側判断手段で判断した牽引部による牽引治療のみを実行する選択側牽引実行手段を設けた。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、独立した腰椎牽引手段と頸椎牽引手段を設けているため、1台の装置で腰椎牽引と頸椎牽引をおこなうことができる。
また、図9の装置と異なり、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段は独立している。このため、それぞれの治療条件を設定し、それぞれの牽引治療を正確におこなうことができる。また、図9の装置と異なり、患者の体重や牽引治療台の角度、牽引機構部の摩擦の経時変化など、摩擦の影響を受けるが、本発明は、摩擦による牽引力の変動の影響は無く、常に設定した牽引条件で正確な治療をおこなうことができる。
さらに、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段のどちらに操作が加えられたとき、どちらに操作が加えられたのかを識別し、操作された方の牽引手段を選択して牽引治療をおこない、他方の牽引手段は使用できないようにする。このため、腰椎牽引と頸椎牽引を取り違えて治療をおこなうという危険性を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例である。
【図2】本発明の頚椎牽引手段のワイヤ端部処理例である。
【図3】本発明の操作検出手段の例であり、発光部Lと受光部rを組み合わせて、頚椎牽引手段のワイヤに操作が加えられたことを検出する手段の例である。
【図4】本発明の選択側牽引実行手段のフローチャートである。
【図5】従来の、ワイヤを用いた頸椎牽引装置の例である。
【図6】従来の、リニアヘッドを用いた頸椎牽引装置の例である。
【図7】従来の、牽引ベッドと組み合わせた、ワイヤを用いた腰椎牽引装置の例である。
【図8】特許文献1の腰椎牽引装置の例である。
【図9】特許文献1の腰椎牽引装置に、頸椎牽引手段を追加した牽引装置の例である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、実施例により、本発明を詳しく説明する。
【実施例】
【0029】
本発明は、
腰椎牽引治療をおこなう腰椎牽引手段と、
頚椎牽引治療をおこなう頸椎牽引手段と
を有する牽引装置において、
前記腰椎牽引手段と前記頸椎牽引手段に加えられる操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段による検出結果をもとに、腰椎牽引部と頸椎牽引部のどちらが操作されたのかを判断する操作側判断手段と、
前記操作側判断手段で判断した牽引部による牽引治療のみを実行する選択側牽引実行手段と
を設けたことを特徴とする牽引装置。
【0030】
本請発明の実施例を図1に示す。
装置は、基台1にフレーム2を載置し、基台1とフレーム2の接続部にはフレーム2の横断方向の回転軸Oを設け、基台1の上でフレーム2を後方(患者の背面方向)に傾動可能に設けている。
また、基台1とフレーム2の間に傾動機構部3を設けており、傾動機構部3を作動させると、フレーム2を椅子の状態(座位)から後方に傾動させた、牽引治療をおこなう牽引位まで、傾動させることができる。牽引位は、通常は90度程度まで傾けた状態であるが、任意の角度にすることができる。
【0031】
フレーム2には、背もたれ部4と座部5を載置して牽引治療台6を構成している。通常、背もたれ部4はほぼ固定で、座部5はフレーム2に沿って移動可能にしている。
つまり、図8と同様、腰椎牽引では腰椎を下肢側に牽引するようにしている。ただし、座部4を固定にし、背もたれ部5を移動可能にしてもよい。
また、背もたれ部4と座部5の間に腰椎牽引機構部7を設けている。
このため、腰椎牽引機構部7を作動させると、背もたれ部4と座部5が離接し、牽引力が発生する。
【0032】
腰椎牽引機構部7とフレー2ムの間に牽引力検出部8を設けて、牽引治療時には、牽引力検出部8で検出する実際の牽引力と、治療条件の設定時に入力した設定牽引力と比較しながら、牽引力が設定牽引力になるように牽引力の制御をおこなっている。休止時にも少しの牽引力を設けることもある。緩和時及び休止時には、この休止牽引力を牽引力設定牽引力として、モータを制御する。
図1には示していないが、図8と同様、装置には患者の脇を支持する脇装具と、骨盤を座部5に固定する腰装具を設けている。
また、装置の操作パネルには、牽引力や牽引時間等の牽引条件を入力する入力部や、治療状況などを表示する表示部等を設けている。
さらに、装置全体を制御する制御部を設けている。
【0033】
腰椎牽引では、治療前に、牽引治療台6を座位にしておき、そこに患者を座らせ、腰装具で骨盤を座部6に固定し、両脇を脇支持部で支持する。また、入力部から牽引力や治療時間、持続時間、休止時間等の治療条件を設定して、治療の準備をおこなう。
治療を開始すると、傾動機構部3が作動し、牽引治療台6が後方に傾動して牽引位になり、その後、牽引力検出部8で検出する牽引力を参照し、設定牽引力と比較しながら、設定した治療条件に従って腰椎牽引機構部7を作動させ、背もたれ部4と座部5の間隔を接離して、腰椎牽引をおこなう。
つまり、図1の実施例の中の、図8の部分が腰椎牽引手段となる。
牽引位はフレームを水平にした状態である必要はなく、任意の角度に設定して使用することができる。また、牽引は持続牽引と間歇牽引のいずれも実行可能である。
この例では、腰椎牽引機構部7にリニアアクチュエータを用いる方法を示しているが、図6のようなワイヤを用いる方法であってもよい。
【0034】
一方、装置の頭側には、頸椎牽引をおこなうための頸椎牽引手段を設けている。
図1の実施例では、頸椎牽引手段は、モータ11と、モータ11に接続したワイヤ巻取りドラム12と、ワイヤ巻取りドラム12に接続したワイヤ13と、ワイヤ13に接続した首装具Snと、ワイヤ13を支持し頸椎牽引角度を決定する伸縮可能な支柱Pnと、ワイヤ3の方向を変換する滑車kを設けて構成している。
図には記載していないが、モータ11とワイヤ巻取りドラム12はクラッチで接続したり切り離したりするようにしている。また、モータ11に減速ギアを設けて、所定の速度でワイヤ巻取りドラム12を回転させるようにしている。
ワイヤ巻取りドラム12は回転自在にし、バネを設けて、クラッチでモータ11から切り離すと、ワイヤ13を自在に引き出すことができ、手を放すと、バネでワイヤ巻取りドラム12が回転し、ワイヤ13を巻き取るようにしている。ワイヤは牽引力を伝達できればよいので、図2の実施例のように、ベルトを用いてもよい。
また、装置の操作パネルには、牽引力や牽引時間等の牽引条件を入力する入力部や、治療状況などを表示する表示部等を設けている。さらに、装置全体を制御する制御部を設けている。
【0035】
図2にワイヤ13の端部の構成例を示す。
図2(A)に示すように、ワイヤ13の端部には、首装具Snが着脱可能なワイヤ部材Bを設けている。
頚椎牽引手段を用いないときは、前述のように、ワイヤ13をワイヤ巻取りドラム12で巻き取るようにしている。
しかし、ワイヤ13全体がワイヤ巻取りドラム12に巻き込んでしまわないように、図2(B)に示すように、支柱Pnの先端部にワイヤ受け具Rを設けて、ワイヤ部材Bを保持するようにしている。
【0036】
図2(B)は、ワイヤ部材Bをワイヤ受け部Rに収納した様子を正面から見た図で、(C)はその側面から見た図(いずれの中央部の断面図)である。
ワイヤ受け部Rと滑車rを含めて、支柱Snの先端部を、図1のように、カバーHで覆っている。このようにすることで、頸椎牽引時以外には、ワイヤ13をワイヤ受け部Rで保持して全体をカバーHの内部に収納するようにしている。このようにすることで、ワイヤの先端部が邪魔にならないし、安全上も有効で、見栄えもよくなる。
このように、頸椎牽引をおこなわないときは、首装具Snをワイヤ13から取り外し、ワイヤ13をワイヤ巻取りドラム12で巻取り、ワイヤ部材Bをワイヤ受け部Rで保持するようにしている。また、頸椎牽引をおこなうときは、ワイヤ部材Bに首装具Snを接続し、ワイヤを引き出して、患者の頭部に装着して用いる。
【0037】
本発明は、前記腰椎牽引手段と前記頸椎牽引手段に加えられる操作を検出する操作検出手段を有する。この実施例を図3に示す。この例は、頸椎牽引をおこなうために、ワイヤ13を引き出した場合、頸椎牽引手段に操作を加えられたと判断する、操作検出手段の例である。
ワイヤ部材Bは、内部をくり貫いた板状の部材であり、これをワイヤ13の端部に接続している。
ワイヤ受け部Rは、ワイヤ13は通過するが、ワイヤ部材Bは通過できないように、孔を設けている。
このような構成にすることで、ワイヤ13は、放置するとワイヤ巻取りドラム12で巻き込まれてしまうが、ワイヤ13にワイヤ部材Bを設けているため、ワイヤ受け部Rにワイヤ13を継止し、カバーHの内部に収納できる。
このため、カバーHの内部に収納されたワイヤは自由に引き出すことができるし、引き出したワイヤをカバーHの内部に収納することができる。
【0038】
カバーHの内部には、図3に示すように、発光部Lと受光部rを設け、ワイヤ部材Bをワイヤ受け部Rに収納したとき、発光部Lで発光させた光が、ワイヤ部材Bの孔を通過して受光部rで受光されるようにしている。また、ワイヤ13を引き出すと、発光部Lの光がワイヤで遮断されて受光部rで光を検出できないようにしている。
このようにすることで、ワイヤ13を引き出したかどうかを検出できる操作検出手段を構成している。
ただし、操作検出手段は他の方法でもよい。光をワイヤで反射させて検出する方法、近接センサでワイヤの移動を検出する方法、ワイヤ巻取りドラム12の回転を検出する方法等、どのような手段を用いてもよい。
以上は頸椎牽引手段に操作を加えた場合の操作検出手段について述べたが、腰椎牽引手段の操作検出手段も有する。これは、腰椎牽引ベルトを装着したことを操作とみなす等、どのような手段で検出しても構わない。
操作検出手段は腰椎牽引手段側か頸椎牽引手段側のいずれか一方に設けてもよい。
【0039】
また、本発明は、腰椎牽引部と頸椎牽引部のどちらが操作されたのかを判断する操作側判断手段と、
前記操作側判断手段で判断した牽引部による牽引治療のみを実行する選択側牽引実行手段を有する。
この実施例を図4に示す。
操作が加えられたかどうかは、図3の実施例のような操作検出手段で検出できる。
操作が、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段のどちらに加えられたかは、操作検出手段の出力をチェックする操作側判断手段で決定できる。
いずれかに操作が加えられ、操作側判断手段によりどちらの牽引手段に操作が加えられたかが判断されると、選択側牽引実行手段により、腰椎牽引か又は頸椎牽引かを選択し、選択した牽引手段を実行する。
操作側判断手段で操作した側の牽引手段を判断し、その牽引手段を選択して実行する選択側牽引実行手段により、操作した側の牽引を実行し、操作しなかった側の牽引手段は実行しない。
【0040】
以下に、頚椎牽引を選択した場合の実施例を示す。
使用前は、ワイヤ13はワイヤ巻取りドラム12に巻き取られてワイヤ受け部Rに収納しており、図3(A)のように、発光部Lから出た光は、ワイヤ部材Bの中央部のくり貫かれた部分を通って、受光部rで受光され、頸椎牽引手段に操作が加えられていないと判断される。
この状態では、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段のいずれかが操作されるのを待っている状態である。
【0041】
治療前に、牽引治療台を座位にしておき、そこに患者を座らせ、首装具Snをワイヤ13に接続し、ワイヤを引き出して、患者に装着する。このとき、図3(B)のように、発光部Lから出た光はワイヤ13で反射し、受光部rで検出できず、頸椎牽引手段に操作が加えられたと判断する(操作検出手段)。この実施例では、操作検出手段は、発光部Lと受光部rで構成される。
操作検出手段で操作したことが検出されると、制御部で受光部の出力をチェックし、頸椎牽引手段の受光部rの出力から、頸椎牽引手段が操作されたと判断される(操作側判断手段)。
頸椎牽引手段が操作されたと判断されると、選択側牽引実行手段により、頸椎牽引手段が選択され、腰椎牽引は作動しないようにする。
このようにすることで、頸椎牽引と腰椎牽引を取り違えて使用することは無く、安全で効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0042】
頸椎牽引が選択されると、治療条件は頚椎牽引の標準的な治療条件、又は前回の頸椎牽引の治療条件が選択され、これを表示し、入力部からの入力を待つ。
患者に適した治療条件に変更する場合は、入力部から牽引力Fnや治療時間、持続時間、休止時間などの牽引条件を入力する。
【0043】
治療を開始すると、傾動機構部3が作動し、牽引治療台6が後方に傾動して、所定角度後方に傾動した頸椎牽引位にする。
その後、クラッチを駆動してモータ11とワイヤ巻取りドラム12を接続し、図には記載していないが、牽引力検出部で現在の牽引力をモニタし、設定した牽引力と比較しながら、モータ11を制御し、ワイヤ巻取りドラム12を作動させてワイヤ13を巻取り、首装具Snを介して、頭部を牽引し、頚椎に所定の牽引力Fnを作用させる。
このため、従来の図9の装置よりも正確な牽引力で牽引をおこなうことができる。
頸椎牽引位は、座位のまま(傾動させない)、45度程度傾動させた所謂半座位、90度程度傾動しほぼ水平の仰臥位にした牽引位など、患者の状態その他の要件によって、任意の角度にすればよい。
この牽引機構部は従来の図5のようなワイヤを用いる方式であるが、図6のリニアアクチュエータを用いた方式など、どのような方式であってもよい。
以上のような構成にし、頚椎牽引治療を実行する制御手段を設けて、頸椎牽引手段を構成している。
【0044】
この実施例では、バーbの先端部に光センサを設けて、ワイヤが引き出されたかどうかをモニタする。つまり、光センサが牽引部モニタであり、牽引部モニタを頸椎牽引部に設けた例である。
この実施例では、発光部と受光部を有する光センサを設けて、発光部からの照射光をワイヤ3に向けて照射するようにしている。ワイヤ3を引き出していないときは、図2(A)のように、照射光がワイヤに当たらないようにして、照射光が反射して受光部で検出されないようにしている。また、ワイヤ3を引き出すと、図2(B)のように、照射光がワイヤに当って反射し、照射光が反射して受光部で検出されるようにしている。
ただし、本発明では、光センサに限らず、超音波、電波、磁気その他どのようなセンサを用いても良く、また、反射波を見るだけでなく、透過波を見る方法など、どのような方式を用いても良く、頸椎牽引部の一部、ワイヤを引き出したときバーbやワイヤ、首装具等にかかる力をモニタしても良い。ワイヤを引き出すと、ワイヤ巻取りドラム2が回転するため、この回転をモニタしても良い。
【0045】
以上のように、頸椎牽引部のワイヤを引き出すと、頸椎牽引部に操作が加えられたと判断し、頚椎牽引治療を選択し、頚椎牽引治療のプログラムを実行する。頚椎牽引治療のプログラムを実行すると、腰椎牽引の操作は受け付けないので、腰椎牽引治療は禁止され、安全な頸椎牽引をおこなうことができる。
頸椎牽引では、牽引力は数〜十数kgf程度にし、治療時間は10〜15分、持続時間を10〜20秒、休止時間を5〜10秒程度の間歇牽引をおこなうが、通常は、標準的な治療条件、例えば牽引力は10kgf、治療時間は10分、持続時間を15秒、休止時間を5秒程度にしておき、大部分の患者で同じ治療条件で治療をおこなうことも多い。
【0046】
腰椎牽引では、腰装具を装着するので、腰装具の装着状況をモニタして、操作検出手段とすることができる。
操作検出手段により腰椎牽引手段が操作されたと判断されると、上記の頸椎牽引と同様に、操作側判断手段により腰椎牽引手段が選択されたと判断し、選択側牽引実行手段により、腰椎牽引を実行する。
腰椎牽引では、牽引力は体重の1/3〜1/2程度にし、治療時間は10〜15分、持続時間を10〜20秒、休止時間を5〜10秒程度の間歇牽引をおこなうことが多い。しかし、通常は、牽引力は25kgf、治療時間は10分、持続時間を15秒、休止時間を5秒程度の標準的な治療条件を決めておき、大部分の患者で同じ治療条件で治療をおこなうことも多い。
【0047】
操作パネルや入力部、表示部、制御部は、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段で共有してもよい。この場合、入力部と表示部を有する操作パネルに、腰椎牽引手段と頸椎牽引手段の切り替えスイッチを設け、どちらかを選択して使用できるようにしておく。
切り替えスイッチで腰椎牽引手段と頸椎牽引手段のいずれかを選択すると、選択した牽引手段の治療条件記憶部に記憶した治療条件を、表示器に表示する。治療条件を変更したい場合は、入力部から入力しなおせばよい。治療条件記憶部には標準的な治療条件を記憶させておき、治療条件を変更できるようにしておくとよい。 標準的な牽引力を用いると、想定外の牽引力が作用することは無く、安全で効果的な牽引ができる。さらに、牽引力の入力可能な範囲を決めておくと、過大な、又は過小な牽引力が入力されないので、例えば頚椎牽引では腰椎牽引の治療条件を設定できないため、危険性を低減できる。
本発明の操作検出手段にこのような技術を追加して用いると、二重に安全性を高めることができる。
【0048】
治療前は、操作検出手段でいずれかが操作されるのを待っている状態である。
患者が装置に載って、頸椎牽引用ワイヤ13を引き出して頸椎装具を装着すると、頸椎牽引をおこなうと判断し、その治療条件を用意し、頸椎牽引治療を実行できる。
患者が装置に載って、腰用の装具bを装着すると、腰椎牽引をおこなうと判断し、その治療条件を用意し、腰椎牽引治療を実行できる。
このように、操作した側の牽引治療を、その治療条件で、治療をおこなうことができる。
このため、腰椎牽引と頸椎牽引を取り違えて治療をおこなうことは無く、医療過誤を防止できる。
また、このとき用意される治療条件は、標準的な牽引治療条件又は前回の同じ側の治療で用いた牽引治療条件であるため、極端に大きな又は小さな牽引力とはならないため、危険性は低く、高い治療効果も得られる。
さらに、頸椎も専用の牽引手段で牽引するため、従来の、図9に示す装置と異なり、摩擦力は問題とならず、適切な牽引力を作用させることができる。このため、確実に、高い治療効果を得ることができる。
このため、医療の効率も改善できる。
このように、1台の装置で頸椎と腰椎の2つの牽引治療を、効果的に、安全に、効率よくおこなうことができ、省コストと省スペースの効果も有する。。
【符号の説明】
【0049】
1:基台 2:フレーム
3:傾動機構部 4:背もたれ部
5:座部 6:牽引治療台
7:牽引機構部 8:牽引力検出部
11:モータ 12:
ワイヤ巻取りドラム
13:ワイヤ
k:滑車
Pn:支柱 Sn:首装具
H:カバー S:光センサ
R:ワイヤ受け具 B:ワイヤ部材
L:発光部 r:受光部
b:腰装具 A:脇装具
6B:牽引治療台 6H:頭部載置部
Kn:頸椎牽引駆動部 M:患者
Fw:腰椎牽引力 Fn:頸椎牽引力


【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰椎牽引治療をおこなう腰椎牽引手段と、
頚椎牽引治療をおこなう頸椎牽引手段と
を有する牽引装置において、
前記腰椎牽引手段と前記頸椎牽引手段に加えられる操作を検出する操作検出手段と、
前記操作検出手段による検出結果をもとに、腰椎牽引部と頸椎牽引部のどちらが操作されたのかを判断する操作側判断手段と、
前記操作側判断手段で判断した牽引部による牽引治療のみを実行する選択側牽引実行手段と
を設けたことを特徴とする牽引装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−235927(P2012−235927A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107467(P2011−107467)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(000114190)ミナト医科学株式会社 (31)
【Fターム(参考)】