説明

状況伝達装置および状況伝達システム

【課題】 相手の状況を考慮した上で、安心して電話を掛けることができるようにする。
【解決手段】 この発明の状況伝達装置1は、通信相手に当方の状況情報をサーバ2を介して伝えるとともに、相手方の状況情報をサーバ2から受け取って表示する装置であり、キー操作部18を用いて手動で入力された当方の状況情報Iを設定する状況設定手段11と、センサ群19を構成する各種センサの検出結果に基づいて当方の状況情報Iを推測し設定する状況推測手段14と、状況設定手段11および状況推測手段14で設定された当方の状況情報Iをサーバ2に送信する送信手段16と、サーバ2に記憶されている相手方の状況情報Iを受信する受信手段17と、当方の状況情報Iおよび受信した相手方の状況情報Iを表示する表示手段15と、を備えることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通信相手に当方の状況に関する情報を伝えるとともに相手方の状況に関する情報を受け取る状況伝達装置、および通信相手の状況を互いに伝達する状況伝達システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般的に、電話は相手に対して割り込みをかけるメディアであり、話し掛けたい相手が忙しい場合であっても、また電話に出られない状況であっても、有無を言わせず、相手に割り込んで入れるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のように、状況の如何に関係なく電話が割り込んで入ってくると、その電話を受ける者は、そのときの状況によっては大変な迷惑であったり、煩雑さを感じたりするものである。また、電話を掛ける方も、気を遣う結果となる。このように、従来の電話システムでは、迅速なコミュニケーションをとれるというメリットがある一方で、必ずしも安心して使用できるというものではなかった。
【0004】この発明は上記に鑑み提案されたもので、相手の状況を考慮した上で、安心して電話を掛けることができるようになる状況伝達装置および状況伝達システムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、通信相手に当方の状況に関する情報を伝えるとともに、相手方の状況に関する情報を受け取って表示する状況伝達装置において、手動で入力された当方の状況に関する情報を設定する状況設定手段と、各種センサの検出結果に基づいて当方の状況に関する情報を推測し設定する状況推測手段と、上記状況設定手段および状況推測手段で設定された当方の状況に関する情報をサーバに送信する送信手段と、上記サーバに記憶されている相手方の状況に関する情報を受信する受信手段と、当方の状況に関する情報および受信した相手方の状況に関する情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴としている。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記当方の状況に関する情報に使用者の認証情報を付与する認証情報付与手段を有する、ことを特徴としている。
【0007】また、請求項3に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記状況設定手段と状況推測手段とのいずれか一方のみを備える、ことを特徴としている。
【0008】さらに、請求項4に記載の発明は、通信相手の状況を互いに伝達する状況伝達システムにおいて、使用者の状況に関する情報を設定しその情報に使用者の認証情報を付与して送信するとともに、相手の状況に関する情報を受け取る状況伝達装置と、上記状況伝達装置からの使用者の状況に関する情報を記憶するサーバと、を備え、上記サーバは、状況伝達装置から送信された使用者の状況に関する情報と使用者の認証情報とを受信し、データベースに最終アップデート時刻と共に格納し、当該使用者から受信した最新情報がこれまでサーバで保持していた情報と異なるときには情報更新を行い、当該使用者がデータ転送を許諾している他の使用者に対してその最新情報を送信し、これまで保持していた情報と一致するときには、最終アップデート時刻だけを更新し、最終アップデート時刻から予め設定した時間以上にわたって情報更新がない場合には、情報を「不明」に変更する、ことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】図1はこの発明の状況伝達システムの構成を概略的に示す図である。この発明の状況伝達システムは、使用者の状況をサーバ2を介して互いに伝達するシステムであり、図に示すように、状況伝達装置1とサーバ2とから構成される。状況伝達装置1は、詳細は後述するように、使用者の状況に関する情報(以下、「状況情報」という)Iを設定しその状況情報Iに当該使用者の認証情報IDを付与して送信するとともに相手の状況情報Iを受け取り表示する装置である。また、サーバ2は、状況伝達装置1からの使用者の状況情報Iを記憶し、送信要求があればその情報を送信する装置である。
【0011】次に、状況伝達装置1の内部構成を図2を用いて説明する。
【0012】図2はこの発明の状況伝達装置の構成を示すブロック図である。図において、この発明の状況伝達装置1は、例えば携帯電話の内部においてマイクロコンピュータのCPUがソフトウェアに従って動作する機能として構築されており、上記したように、通信相手に当方の状況情報Iをサーバ2を介して伝えるとともに、相手方の状況情報Iをサーバ2から受け取って表示するようになっている。
【0013】すなわち、この状況伝達装置1は、各種のキーが配列されたキー操作部18を用いて手動で入力された当方の状況情報Iを設定する状況設定手段11と、センサ群19を構成する各種センサの検出結果に基づいて当方の状況情報Iを推測し設定する状況推測手段14と、状況設定手段11および状況推測手段14で設定された当方の状況情報Iをサーバ2に送信する送信手段16と、サーバ2に記憶されている相手方の状況情報Iを受信する受信手段17と、当方の状況情報Iおよび受信した相手方の状況情報Iを表示する表示手段15と、を備えている。
【0014】また、状況伝達装置1は、当方の状況情報Iの送り先を設定する送り先設定手段12と、当方の状況情報Iに使用者の認証情報IDを付与するID情報(認証情報)付与手段13を有している。この送り先やID情報についても、キー操作部18を用いて手動で入力される。
【0015】なお、上記した状況情報I、送り先、ID情報等は、表示手段15で画面表示できるので、使用者はその画面で情報の確認を行うことができる。
【0016】上記した状況設定手段11において手動入力で設定される状況情報Iは、使用者本人の現在の状況を表す情報であり、例えば「Don't Disturb!」「ひま」「会議中」「食事中」「不在」といったものである。
【0017】また、上記のセンサ群19は、例えば加速度センサ、ジャイロセンサ、磁気センサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、圧力センサ、GPS等の位置センサといった各種センサのうちから、1つまたは複数を組み合わせてなり、状況推測手段14は、これらのセンサからの信号に基づいて、使用者の状況を推測し、自動的に状況情報Iを設定する。例えば数時間にわたってほとんど加速度センサの信号に変化がなかったとき、状況伝達装置1が使用者の身体から離れて放置されている可能性が強いと推定できる。それが深夜であり、使用者が、生活パターンとして深夜に睡眠をとると言うことが知識として分かっているときには、就寝中であると推定し、その旨の状況情報Iを設定する。同様に、加速度センサの信号が電車の振動に対応しておれば、状況推測手段14は、使用者が電車に乗っていると推定し、その旨の状況情報Iを設定する。
【0018】状況情報Iの送り先は、送り先設定手段12によって、相手毎に設定することができる。例えばA氏に対しては、「忙しい」という状況情報Iを送り、B氏には別の状況情報I、例えば「会議中」という状況情報Iを送ることができる。なお、この場合の送信相手は個人にが限らず、任意のグループであってもよい。
【0019】上記構成の状況伝達装置1において、状況情報Iが手動であるいは自動的に設定されると、その状況情報Iには、使用者が設定したID情報および送り先が付与され、送信手段16は、その情報をアンテナを介して無線あるいは有線でサーバ2に送信する。この送信手段16による送信は、状況情報Iに変更があったときに、あるいは使用者の送信操作に基づいて行われる。また、定期的にサーバ2に向けて送信するようにしてもよい。
【0020】サーバ2から相手方の状況情報Iが状況伝達装置1に送られてくると、受信手段17がその状況情報Iを受信し、その情報は表示手段15によって画面表示される。
【0021】一方、サーバ2は、状況伝達装置1から送られてきた情報を一旦格納する。すなわち、状況伝達装置1から送信された使用者の状況情報Iと使用者のID情報と送り先とを受信し、データベースに最終アップデート時刻と共に格納する。そして、当該使用者から受信した最新情報がこれまでサーバ2で保持していた情報と異なるときには情報更新を行い、その使用者がデータ転送を許諾している他の使用者に対してその最新情報を送信する。また、使用者から受信した最新情報がこれまで保持していた情報と一致するときには、最終アップデート時刻だけを更新し、最終アップデート時刻から予め設定した時間(例えば5時間)以上にわたって情報更新がない場合には、その状況情報Iの信頼性が低下したとして、その情報内容を「不明」に変更する。
【0022】ここでは、状況伝達装置1から最新情報が送られてきたことに対応して、サーバ2が情報の送信を行うようにしたが、使用者からの積極的な送信要求があったときに、その要求に応じて該当する状況情報Iをその使用者の状況伝達装置1に送信するように構成してもよい。
【0023】以上述べたように、この発明では、状況情報Iを設定し、相手に伝達するようにしたので、例えば日常的な挨拶程度のたわいない会話をしようとする発話者は、今発話しても許される状況かどうかを判断する手がかりを簡単に入手することができるようになる。そして、相手の迷惑にならないことを確認した上で電話を掛けることができるので、安心して相手とのコミュニケーションをとることができる。このように、状況情報Iが電話を掛ける前に分かることは、結果として話し掛け安さを増進させ、コミュニケーション量を増加させることに貢献するだけでなく、一人暮らしで他者との交流が希薄になる都会人に、常に他者とのつながりを感じさせることができ、若い世代からお年寄り世代までが利用可能で、安心できる社会実現の一助となる。
【0024】また、相手は当方の状況を把握した上で電話を掛けてくるので、電話を受ける側としても、迷惑を蒙る割合が低減し、快適な生活を送れるようになる。
【0025】さらに、センサを用いて自動的に状況情報Iを設定できるようにしたので、入力を忘れたようなときでも、自動的に情報が送信され、したがって、状況を伝達するという機能を常時十分に発揮させることができる。
【0026】また、状況情報Iに、ID情報を付与するようにしたので、その状況情報Iを確実に保証でき、システムが確実に機能することによりその信頼性を向上させることができる。
【0027】また、サーバ2に送られてきた状況情報Iを最終アップデート時刻とともに格納するようにしたので、状況情報Iを時系列で的確に管理することができる。さらに、その最終アップデート時刻に基づいて、当該情報の信頼性低下をも判定し、所定時間経過したら、状況情報Iを「不明」として伝達するようにので、この点からもシステムとしての信頼性を向上させることができる。
【0028】上記の説明では、状況伝達装置1を例えば携帯電話の内部に構築するようにしたが、この状況伝達装置1を別個の独立した装置として構成するようにしてもよい。
【0029】また、この状況伝達装置1には、状況設定手段11と状況推測手段14との双方を備えるようにしたが、そのいずれか一方のみを備え、より簡易に構成するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】この発明は上記した構成からなるので、以下に説明するような効果を奏することができる。
【0031】請求項1に記載の発明では、使用者の状況に関する情報を設定し、相手に伝達するようにしたので、例えば日常的な挨拶程度のたわいない会話をしようとする発話者は、今発話しても許される状況かどうかを判断する手がかりを簡単に入手することができるようになる。そして、相手の迷惑にならないことを確認した上で電話を掛けることができるので、安心して相手とのコミュニケーションをとることができる。このように、使用者の状況に関する情報が電話を掛ける前に分かることは、結果として話し掛け安さを増進させ、コミュニケーション量を増加させることに貢献するだけでなく、一人暮らしで他者との交流が希薄になる都会人に、常に他者とのつながりを感じさせることができ、若い世代からお年寄り世代までが利用可能で、安心できる社会実現の一助となる。
【0032】また、相手は当方の状況を把握した上で電話を掛けてくるので、電話を受ける側としても、迷惑を蒙る割合が低減し、快適な生活を送れるようになる。
【0033】さらに、センサを用いて自動的に状況情報Iを設定できるようにしたので、入力を忘れたようなときでも、自動的に情報が送信され、したがって、状況を伝達するという機能を常時十分に発揮させることができる。
【0034】また、請求項2に記載の発明では、使用者の状況に関する情報に、認証情報を付与するようにしたので、その状況に関する情報を確実に保証でき、システムが確実に機能することによりその信頼性を向上させることができる。
【0035】また、請求項4に記載の発明では、サーバに送られてきた情報を最終アップデート時刻とともに格納するようにしたので、情報を時系列で的確に管理することができる。さらに、その最終アップデート時刻に基づいて、当該情報の信頼性低下をも判定し、所定時間経過したら、状況情報Iを「不明」として伝達するようにので、この点からもシステムとしての信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の状況伝達システムの構成を概略的に示す図である。
【図2】この発明の状況伝達装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 状況伝達装置
2 サーバ
5 例えば
11 状況設定手段
12 先設定手段
13 付与手段
14 状況推測手段
15 表示手段
16 送信手段
17 受信手段
18 キー操作部
19 センサ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】 通信相手に当方の状況に関する情報を伝えるとともに、相手方の状況に関する情報を受け取って表示する状況伝達装置において、手動で入力された当方の状況に関する情報を設定する状況設定手段と、各種センサの検出結果に基づいて当方の状況に関する情報を推測し設定する状況推測手段と、上記状況設定手段および状況推測手段で設定された当方の状況に関する情報をサーバに送信する送信手段と、上記サーバに記憶されている相手方の状況に関する情報を受信する受信手段と、当方の状況に関する情報および受信した相手方の状況に関する情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする状況伝達装置。
【請求項2】 上記当方の状況に関する情報に使用者の認証情報を付与する認証情報付与手段を有する、請求項1に記載の状況伝達装置。
【請求項3】 上記状況設定手段と状況推測手段とのいずれか一方のみを備える、請求項1に記載の状況伝達装置。
【請求項4】 通信相手の状況を互いに伝達する状況伝達システムにおいて、使用者の状況に関する情報を設定しその情報に使用者の認証情報を付与して送信するとともに相手の状況に関する情報を受け取り表示する状況伝達装置と、上記状況伝達装置からの使用者の状況に関する情報を記憶するサーバと、を備え、上記サーバは、状況伝達装置から送信された使用者の状況に関する情報と使用者の認証情報とを受信し、データベースに最終アップデート時刻と共に格納し、当該使用者から受信した最新情報がこれまでサーバで保持していた情報と異なるときには情報更新を行い、当該使用者がデータ転送を許諾している他の使用者に対してその最新情報を送信し、これまで保持していた情報と一致するときには、最終アップデート時刻だけを更新し、最終アップデート時刻から予め設定した時間以上にわたって情報更新がない場合には、情報を「不明」に変更する、ことを特徴とする状況伝達システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2001−168958(P2001−168958A)
【公開日】平成13年6月22日(2001.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−352924
【出願日】平成11年12月13日(1999.12.13)
【出願人】(301000011)経済産業省産業技術総合研究所長 (7)
【出願人】(599033162)
【Fターム(参考)】