状況検出表示システム、状況検出表示方法、状況検出表示システム制御プログラム、および当該プログラムを記録した記録媒体
状況検出表示システム(100)では、全方位カメラ(1)、車内センサ類(3)、車外センサ類(4)などによって自車およびその周囲の状況を検出し、検出した結果を示す画像データであって、自車の画像を含む画像データを画像用DB(6)から選択して、液晶パネル(7)における速度計の表示に近接する位置に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の情報を、運転者に通知する、状況検出表示システム、状況検出表示方法、状況検出表示システム制御プログラム、および当該プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車両に各種センサを設け、各種センサによって検知した情報を運転者に通知するシステムが多数提案されている。例えば、特許文献1には、所望の駐車区画に車両を駐車させるための運転操作量を車両運転者に教示する駐車支援装置が記載されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、自動車等の周囲の情報を撮像装置によりキャッチし、モニタ装置にカメラ映像として映し出して、車両の周囲の確認を行う車両用確認装置が記載されている。
【0004】
ここで、特許文献1は、日本国の公開特許公報「特開2000−72019号公報」(公開日:2000年3月7日)である。
【0005】
また、特許文献2は、日本国の公開特許公報「特開2001−39217号公報」(公開日:2001年2月13日)である。
【0006】
通常、車両等の運転者は、運転中に、車両前方の確認、および速度計による速度確認を行う必要がある。また、車線変更時や右左折時には、左右や後方の状況確認を、直接的に、あるいは、ドアミラー(フェンダーミラー)やルームミラーなどにより間接的に行う必要もある。
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、運転者に対して提示するための情報が、速度計と異なる位置に表示されるため、運転者が運転中にこれらの情報を確認する場合、視線を移動させる位置が増加してしまう。このため、運転者の目にかかる負担が増大し、また、表示された情報を見逃す可能性もある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両等の移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムなどにおいて、運転者が視点を移動する頻度を増加させることなく当該移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できるようにすることにある。
【発明の開示】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の状況検出表示システムは、移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムにおいて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備え、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴としている。
【0010】
上記表示の例としては、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像における周縁またはその一部に、上記速度計を表示することが挙げられる。また、上記状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を記録したデータベースを備えることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記速度計に近接する位置に表示される。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。これにより、運転者の目にかかる負担を軽減できる。また、運転中に注目すべき情報を、運転者が見落とす可能性を低減できる。また、視点を移動する箇所が少ないので、運転者は視線を前方により集中することができ、安全運転に寄与できる。
【0012】
また、本発明の状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含むグラフィック画像であることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記移動手段の画像とともに表示されるので、運転者は、上記移動手段およびその周囲の状況を、迅速かつ適切に把握できる。
【0014】
また、上記移動手段の先端が向いている方位を検出する方位検出手段を備え、上記方位検出手段によって検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更してもよい。この場合、運転者は、上記移動手段の先端が向いている方位を、適切に把握することができる。
【0015】
また、上記移動手段は駆動力を地面に伝達するためのタイヤと、上記タイヤの空気圧を検出する空気圧検知手段とを備えており、上記タイヤの空気圧があらかじめ設定した値以下であった場合に、タイヤの空気圧低下を運転者に通知するための画像を表示するようにしてもよい。
【0016】
この場合、運転者は、タイヤの空気圧が異常低下していることを即座に把握できるので、タイヤの空気圧低下に伴うトラブルを防止することができる。
【0017】
ところで、上記移動手段に対して所定の距離以内に接近する物体があった場合、運転者が当該物体を視野に入れていないと、上記物体を把握することが困難である。また、運転者が、上記物体を視野に入れていても、注意力が散漫であったり、他の物体に気を取られていたりすると、上記物体を即座かつ確実に把握することが困難である。
【0018】
そこで、上記移動手段と他の物体との距離を検出する距離検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、上記距離が所定値以下となるように上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示してもよい。
【0019】
この場合、運転者は、上記移動手段に対して所定の距離以内に接近する物体を、容易に把握することができる。例えば、進行方向後方から所定の距離以内に接近してくる物体がある場合、あるいは、進行方向前方の物体との間隔が所定の距離以下となった場合に、運転者はそのことを容易に把握できる。このため、運転者は、所定の距離以内に接近する物体に対して、適切に対処できる。
【0020】
また、上記移動手段に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、所定値以上の上記相対速度で上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示してもよい。
【0021】
この場合、運転者は、上記移動手段に対して所定の相対速度以上の速度で接近する物体を、即座に把握することができる。すなわち、短い時間で異常接近する物体を、即座に把握できる。このため、運転者は、異常接近する物体に対して適切に対処できる。例えば、後方から短い時間で異常接近する物体を即座に把握できるので、後方から異常接近する物体に対して適切に対処できる。
【0022】
また、上記所定値は、上記移動手段の速度、および/または、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向に応じて異なるようにしてもよい。
【0023】
運転者が特に注意を要する上記移動手段と他の物体との距離または相対速度、あるいは、運転者が何らかの対処を行う必要がある上記移動手段と他の物体との距離または相対速度は、上記移動手段の速度、および、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向によって異なる場合がある。例えば、上記移動手段の制動距離は、速度によって異なるので、運転者が特に注意を要する上記移動手段の進行方向前方に位置する他の物体との間隔は、上記移動手段の速度によって異なる。このため、上記移動手段の速度、および、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向に応じて、上記所定の距離または上記所定の相対速度を変更することにより、運転者に対してより適切な情報を提供することができる。
【0024】
また、ITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)情報を受信する通信手段を備え、受信したITS情報に上記移動手段の周囲の状況を示すITS情報が含まれていた場合に、上記ITS情報に基づく、上記移動手段の周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0025】
ここで、移動手段の周囲の状況を示すITS情報の例としては、走行方向前方における路面の凍結情報、トンネル出口付近の横風情報、走行方向前方における停車車両の存在などが挙げられる。
【0026】
この場合、運転者は、受信したITS情報に含まれる上記移動手段の周囲の状況を示す情報を、即座に把握することができる。このため、受信したITS情報に応じて、必要な対処を迅速に行うことができる。
【0027】
ところで、通常、運転者は、移動手段が移動中の状態であれば、移動手段を安全に移動させるために、主に移動手段の移動方向の状況を把握することを所望する。一方、運転者は、移動手段が停止状態や移動開始直後の状態であれば、移動手段を安全に発進させるために、移動手段の全周囲の状況を把握することを所望する。
【0028】
そこで、上記移動手段が移動中の状態であるか否かを検知する手段を備え、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記検知した状態に応じて異なるようにしてもよい。
【0029】
この場合、上記移動手段が移動中の状態であるか、その他の状態、すなわち停止状態や移動開始直後の状態であるかに応じて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を変更することにより、運転者は、状況に応じた操縦を行うことができる。
【0030】
また、上記移動手段は車両であって、走行中の路面に引かれた白線、斜線などの道路標示を検出する手段を備え、上記検出した道路標示を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示するようにしてもよい。
【0031】
この場合、検出した道路標示に応じた画像を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示することができる。したがって、運転者は、表示された画像から、上記移動手段の移動速度や、道路標示に対する位置などを適切に把握することができる。
【0032】
また、上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段を備え、かつ、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含んでおり、上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0033】
この場合、例えば、車両が車両通行帯を変更している時には、道路標示である車両通行帯境界線に対して車両が斜め方向に向いている画像が表示されることになる。したがって、運転者は、道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを、適切に把握することができる。
【0034】
また、上記移動手段は車両であり、上記移動手段の周囲における道路の道幅を検知する手段と、上記移動手段の周囲における最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段とを備え、上記最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0035】
この場合、自車の周囲における道路のうち、最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出し、検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更できる。このため、運転者は、周囲の最も道幅の広い道路に対する自車の向きを、適切に把握することができ、自車が停止状態から発進して、周囲の最も道幅の広い道路に移動するまでを容易に行うことができる。
【0036】
ところで、移動手段を撮影した場合、移動手段の一部は撮影できるが、移動手段の全体を撮影することは困難である。このため、撮影手段が撮影した画像で移動手段の画像を表示すると、移動手段の一部が表示されるのみであるので、移動手段とその周囲の状況とを把握し難くなる。
【0037】
そこで、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、グラフィック画像であってもよい。この場合、移動手段の全体を容易に表示でき、移動手段とその周囲の状況とを容易に把握できる。
【0038】
また、上記グラフィック画像を変更可能としてもよい。この場合、例えば、改造や塗装によって上記移動手段の形状や色が変化した場合であっても、上記移動手段の状態に応じたグラフィック画像を表示することができる。
【0039】
また、上記グラフィック画像に対する変更指示を受け付けるインターフェースを備えていてもよい。この場合、上記インターフェースを介して、運転者は、上記移動手段およびその周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更指示を与えることができる。したがって、運転者は、自身の好みに合わせて、上記移動手段およびその周囲の状況を示すグラフィック画像を変更することができる。
【0040】
また、上記移動手段は、駆動手段としての原動機と、当該原動機に対する起動指示を検知する手段とを備えており、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記原動機に対する起動指示と同期して表示する構成としてもよい。
【0041】
この場合、上記移動手段を起動する時に、自動的に上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が表示されるので、運転者は自ら手動で操作することなく、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を見ることができる。
【0042】
上記の目的を達成するために、本発明の状況検出表示方法は、移動のために運転者による操縦が必要な移動手段における、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示方法において、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴としている。
【0043】
上記の方法によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記速度計に近接する位置に表示される。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。
【0044】
なお、上記状況表示システムにおいて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するように上記表示手段を制御する制御手段を、状況検出表示システム制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記状況検出表示システム制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記状況検出表示システム制御プログラムを実行させることができる。
【0045】
以上のように、本発明の状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示する。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。
【0046】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0048】
本実施の形態にかかる状況検出表示システム(本システム)は、車両(移動手段)に搭載され、当該車両およびその周囲の状況を検出して運転者に提示するものである。なお、本システムでは、これらの情報を、速度計(スピードメーター)に近接する位置に表示することにより、運転者が視点を移動する頻度を増加させることなく、当該車両およびその周囲の状況を確認できるようになっている。これにより、運転者の目にかかる負荷を軽減させ、表示された情報の見落としを防止することができ、また、運転者が視線を前方により集中できるので、安全運転に寄与できる。
【0049】
図1は、本システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本システム100は、全方位カメラ(撮影手段、距離検知手段、相対速度検知手段)1、イグニッション指示検知センサ2、車内センサ類3、車外センサ類4、制御部(距離検知手段、相対速度検知手段、制御手段)5、画像用DB(データベース)6、液晶パネル(表示手段)7、音声用DB8、スピーカー(音声出力手段)9、入力部10、通信部(通信手段)11、外部接続端子12、カーナビゲーション情報DB13、画像記憶部14、自車状態記憶部15からなる。
【0050】
全方位カメラ1は、車両の屋根部に搭載され、車両周囲の全方位(地表面に略垂直な方向を軸とする360度)の画像を撮影するためのものである。なお、本システム100では、全方位カメラ1として、全方位の画像を瞬時に撮影可能なものを用いている。すなわち、全方位カメラ1は、撮影方向が地表面に略垂直な方向となるように備えられたカメラと、撮影軸上に備えられた円錐形の反射板とからなり、上記反射板に反射された全方位の映像をカメラで撮影することにより、全方位の画像を瞬時に撮影することが可能となっている。
【0051】
イグニッション指示検知センサ2は、運転者がイグニッションキーを挿入し、キーを回すことによってエンジンの起動指示を行ったことを検知するものである。
【0052】
車内センサ類3には、方位センサ(方位検出手段)31、車内温度センサ32、タイヤ空気圧センサ(空気圧検知手段)33、燃料残量センサ34などが含まれる。ここで、方位センサ31は、当該車両の先端が向いている方位を検出するものである。車内温度センサ32は、車内の温度を検出するものである。タイヤ空気圧センサ33は、各タイヤの空気圧を検知するものである。燃料残量センサ34は、燃料の残量を検出するものである。
【0053】
車外センサ類4には、速度センサ41、距離センサ(対物センサ)(距離検知手段)42、相対速度センサ(相対速度検知手段)43、車外温度センサ44などが含まれる。ここで、速度センサ41は、当該車両の速度を検出するものである。また、距離センサ42は、当該車両と他の物体との距離、および、当該車両の周囲における道路の道幅などを検出するものである。また、相対速度センサ43は、当該車両に対する他の物体の相対速度を検出するものである。また、車外温度センサ44は、車外の温度を検知するものである。
【0054】
なお、図1には示されていないが、車外センサ類4には、GPS(Global Positioning Systems)、携帯電話システムにおける基地局の位置情報などを利用して、当該車両の位置を検出する車両位置センサが含まれる。この車両位置センサ、速度センサ41、方位センサ31などがカーナビゲーションシステムに利用される。
【0055】
制御部5は、本システム100の全ての動作を制御する、本システム100の中枢部である。すなわち、制御部5は、本システム100に備えられる各構成要素の動作を制御し、車両内部および車両周囲の状況を検出させるとともに、必要な情報を運転者に提示する。なお、制御部5の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。
【0056】
画像用DB(データベース)6には、自車のグラフィック画像、および、自車およびその周囲で発生が予想されるさまざまな状況を表すグラフィック画像が、ビットマップデータとして格納されている。すなわち、画像用DB6には、自車のグラフィック画像、自車および自車の周囲に起こりうる状況のグラフィック画像、路面情報に関するグラフィック画像などが格納されており、制御部5が、表示する情報に応じて、画像用DB6に格納されている画像情報から適切なものを選択して液晶パネル7に表示させるようになっている。
【0057】
液晶パネル7には、速度計やエンジン回転数計、燃料残量計などの計器類に加えて、速度計に近接する位置に、自車を含む車両周囲の情報を表示されるようになっている。また、液晶パネル7には、全方位カメラ1によって撮影した画像や、車内の温度、エアコンの稼動状況、カーナビゲーション情報、テレビ放送、ラジオ放送の受信周波数、インターネット情報などを表示することもできるようになっている。なお、本システム100における液晶パネル7は、アスペクト比(表示領域の横縦比)が7:3以上という超ワイド画面を備えている。
【0058】
音声用DB8には、音声出力用のデータが格納されている。本システム100では、例えば、車両周囲の状況に変化があった場合などに、液晶パネル7へ表示するとともに、音声によって運転者に通知することも可能になっている。すなわち、制御部5が、運転者に通知する情報に応じて、音声用DB8に格納されている音声データから適切な音声データを選択し、スピーカー9を介して出力させるようになっている。
【0059】
入力部10は、本システム100に対する運転者からの指示を受け付け、制御部5に伝達するものである。なお、本システム100では、入力部10として液晶パネル7上に設けられたタッチパネルを用いている。つまり、本システム100では、液晶パネル7に運転者による入力が可能な項目を表示し、運転者が、所望する項目が表示されている表示領域に触れることにより、本システム100に指示を与えることができるようになっている。
【0060】
通信部11は、テレビ放送やラジオ放送、ITS情報を受信するためのものである。また、通信部11を介して、本システム100をインターネット等に接続することもできるようになっている。
【0061】
画像記憶部14は、全方位カメラ1によって撮影した画像データを記憶しておくものである。
【0062】
自車状態記憶部15は、自車の状態に関する情報を記憶するものである。例えば、走行距離、エンジンオイルの前回交換日および前回交換時の走行距離などを記憶するようになっている。
【0063】
カーナビゲーション情報DB13には、地図情報や各種店舗情報などのカーナビゲーション情報が記憶されている。
【0064】
外部接続端子12は、本システム100に、他の装置を接続するためのインターフェースである。なお、本システム100では、外部接続端子12にパーソナルコンピュータや外部メモリ等の他の装置を接続し、画像用DB6、音声用DB8、カーナビゲーション情報DB13などに記憶されている情報を更新できるようになっている。
【0065】
ここで、本システム100における処理の流れを説明する。まず、駐停車状態からの発進時(発進モード)における処理の流れについて説明する。図2は、本システム100における、駐停車状態からの発進時の処理の流れを示すフロー図である。
【0066】
この図に示すように、制御部5は、エンジンが起動されていない駐停車時には、イグニッション指示検知センサ2を介して、イグニッションキーがONにされることを監視している(S1)。
【0067】
そして、イグニッション指示検知センサ2によってイグニッションキーがONにされたことを検知すると、制御部5は、本システム100を起動する(S2)。すなわち、本システム100の電源をONにする。なお、本システム100の電源は、当該車両におけるエンジン起動用バッテリーから供給される。
【0068】
次に、制御部5は、車内センサ類3によって、自車の状況を検出する(S3)。すなわち、方位センサ31によって自車の先端が向いている方位を検出し、車内温度センサ32によって車内温度を検出し、タイヤ空気圧センサ33によって各タイヤの空気圧を検出し、燃料残量センサ34によって燃料残量を検出する。さらに、制御部5は、自車状態記憶部15に記憶されている情報を読み出す(S4)。
【0069】
次に、制御部5は、S3で検出した結果およびS4で読み出した結果に、走行に支障を起こしそうな要素やメンテナンスが必要な要素(以下、危険要素等という)が含まれているか否かを判定する(S5)。例えば、制御部5は、タイヤの空気圧の異常低下や、燃料が所定の残量以下であった場合に、走行に支障を起こしそうな要素として判断する。また、制御部5は、例えば、エンジンオイルを前回交換してから、一定の期間が経過した場合、あるいはエンジンオイルを前回交換してから、走行距離が一定の距離以上に達した場合に、メンテナンスが必要な要素として判断する。
【0070】
そして、危険要素等が含まれていない場合には、S12以降の処理を行う。一方、危険要素等が含まれている場合には、制御部5は、警告表示および警告音声出力を行わせる(S6)。すなわち、制御部5は、危険要素等がある場合には、その危険要素等に応じた画像を画像用DB6に格納されている画像データから選択して液晶パネル7に表示するとともに、危険要素等を通知するための音声を音声用DB8に格納されている音声データから選択し、スピーカー9から出力する。なお、上記の危険要素等に応じた画像は、自車の画像を含むグラフィック画像となっており、運転者は、この画像を見ることにより、危険要素等の内容や存在箇所を迅速かつ適切に把握できるようになっている。また、この画像は、速度計に近接する位置に表示されるようになっている。
【0071】
次に、制御部5は、検出された危険要素等に対して処置を行うか否かについて、運転者の指示を待機する(S7)。すなわち、検出された危険要素等を解消するための処置を行うか否かを問い合わせるメッセージを液晶パネル7に表示し、運転者の指示を待機する。この際、運転者は、入力部10を介して、処置を行うか否かを入力することができる。なお、本システム100では、あらかじめ定めた時間が経過しても、運転者からの入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行う。
【0072】
そして、S7において処置を行わないことが選択された場合、S11の処理に移る。一方、S7において処置を行うことが選択された場合、制御部5は、液晶パネル7に、対処方法に関するアドバイスが必要であるか否かを運転者に問い合わせるメッセージを表示する(S8)。なお、運転者は、入力部10を介して、対処方法のアドバイスが必要であるか否かを入力することができる。
【0073】
ここで、対処方法のアドバイスが必要であると入力された場合、制御部5は、検出された危険要素等に応じた対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像を、画像用DB6から選択して液晶パネル7に表示する。すなわち、画像用DB6には、危険要素等に応じた対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像があらかじめ格納されている。例えば、タイヤの空気圧が異常に低下した場合であれば、非常用三角掲示板の設置方法や、スペアタイヤ、タイヤ交換用工具等の格納位置、工具の使用方法、タイヤの交換作業手順などを説明するためのアニメーション画像が液晶パネル7に表示される。なお、これらの情報のうち、運転者が、必要とする情報のみを選択して表示させることもできる。また、処置の進展状況に合わせて、運転者が、表示する情報を順次切り替えることもできる。
【0074】
また、制御部5は、危険要素等が解消されたか否かを監視している(S10)。そして、危険要素等が解消されていない場合には、S7以降の処理を繰り返す。すなわち、本システム100では、危険要素等が解消されるまで、S7およびS8に関する運転者の指示を随時受け付けるようになっている。
【0075】
一方、S10において危険要素等が解消された場合、あるいは、S7において処置を行わないことが選択された場合、制御部5は、危険要素等に関する表示を消去する(S11)。
【0076】
次に、制御部5は、車外センサ類4によって、周囲の状況を検出する(S12)。すなわち、距離センサ42による自車と他の物体との距離および自車の周囲における道路の道幅の検出、相対速度センサ43による自車周囲における移動物(例えば、歩行者や自転車、自動車など)の自車に対する相対速度の検出、車外温度センサ44による車外温度の検出などを行う。
【0077】
さらに、制御部5は、全方位カメラ1を制御し、自車を中心とする全方位の撮影を行わせる(S13)。そして、撮影した画像を液晶パネル7へ順次伝送し、液晶パネル7に表示させる(S14)。なお、全方位カメラ1によって撮影した画像は、速度計が表示されている領域とは異なる領域に表示される。また、本システム100では、全方位カメラ1によって撮影した画像について、車両を中心とする所定の角度分の画像を液晶パネル7に表示するとともに、表示する画像の角度(撮影方向の角度)を連続的に変化させることによって、車両周囲の状況を、車両を中心として360度回転させながら確認できるようになっている。このため、運転者は、全方位の画像およびその撮影方向を容易に確認することができる。
【0078】
また、制御部5は、S12で検出した周囲の状況およびS13で撮影した全方位の画像から、自車を取り巻く周囲の状況を把握し、自車を含む車両周囲の情報として速度計に近接する位置に表示する(S15)。
【0079】
より詳細には、制御部5は、全方位カメラ1による撮影結果から、降雨や降雪の有無を把握し、例えば雨が降っている場合には、自車を含む車両周囲の情報を表示する画像として、画像用DB6から降雨状態の画像を選択して表示する。また、雪が降っている場合には、降雪状態を示す画像を選択して表示する。また、距離センサ42による検出結果から、自車の周囲における道路の道幅を検出するとともに、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路(主要道路)に対する自車の向きを検出し、主要道路に対する自車の向きに応じて表示する自車のグラフィック画像の向きを変更する。また、全方位カメラ1による撮影結果および距離センサ42による検出結果に基づいて、自車周囲の障害物を把握し、その障害物に応じた画像を画像用DB6から選択して自車の画像を含むグラフィック画像で表示する。また、全方位カメラ1による撮影結果および相対速度センサ43による検出結果に基づいて、自車の周囲における移動体の形状を把握し、その移動体に応じた画像を画像用DB6から選択して自車の画像を含むグラフィック画像で表示する。
【0080】
また、制御部5は、速度センサ41によって、自車の速度を監視している(S16)。そして、自車の速度が10km/h未満の場合、制御部5は、運転者による発進作業が完了していないものと判断し、S12以降の作業を繰り返す。すなわち、車外センサ類4による車外状況の検出、全方位カメラ1による全方位撮影を継続させ、撮影した画像データを液晶パネル7に順次表示させるとともに、検出した車外状況および撮影結果に基づいて自車および自車の周囲の状況を示すグラフィック画像を順次更新する。
【0081】
一方、S16において、当該車両の速度が10km/h以上に達した場合、制御部5は、運転者による発進作業が完了したものと判断して、通常走行モードに切り替え、発進モードにおける処理を終了する。
【0082】
なお、本システム100では、発進モードにおける処理の実行中に、イグニッションキーがOFFされた場合には、本システム100の電源をOFFにし、すべての処理を中止するようになっている。
【0083】
また、本システム100では、S7の処理において、あらかじめ定めた時間が経過しても、運転者からの入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行うものとしたが、これに限るものではない。例えば、危険要素等の種類に応じて重要度分類を行い、重要度ごとに運転者からの入力がない場合の処理方法を設定しておいてもよい。例えば、すぐに処置を行うことが必ず必要なもの(重要度A)、すぐに処置を行うことが好ましいもの(重要度B)、近い将来に処置を行うことが好ましいもの(重要度C)に分類することが考えられる。この場合、例えば、重要度Aについては運転者の入力がない場合でもS8以降の処理を行い、重要度BおよびCについては運転者の入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行うようにしてもよい。
【0084】
また、本システム100では、速度が10km/h以上に達した場合に、制御部5は、運転者による発進作業が完了したものと判断し、通常走行モードに切り替えるものとしたが、通常走行モードに切り替えるタイミングはこれに限るものではない。例えば、他の速度(例えば8km/hや12km/hなど)に達したときに、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。あるいは、パーキングブレーキの解除を検知するセンサを備え、パーキングブレーキが解除された時に、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。また、シフトレバーの位置を検知するセンサを備え、シフトレバーがドライブ位置に入れられた時に、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。また、運転者からの指示に応じて、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。
【0085】
次に、通常走行時(通常走行モード)における処理の流れについて説明する。図3は、本システム100における、通常走行時の処理の流れを示すフロー図である。
【0086】
制御部5は、全方位カメラ1によって、自車を中心とする全方位の撮影を行う(S31)。また、制御部5は、全方位カメラ1によって撮影した画像を、画像記憶部14に順次記憶させる(S32)。すなわち、走行中における車両の周囲360度の画像を、常時録画する。これにより、例えば、走行中に見過ごしてしまったまわりの風景を、後から見直すこともできる。また、録画した情報を、カーナビゲーションシステムの位置情報と連動させることにより、走行経路にかかるムービークリップを作成することもできる。さらに、このように作成したムービークリップは、カーナビゲーションシステムの位置情報と連動しているので、カーナビゲーションにおける道案内にも利用することができる。例えば、右左折すべき交叉点の画像を事前に表示することにより、運転者は、右左折すべき交叉点を容易かつ確実に把握できる。したがって、その交叉点を誤って通り過ぎたり、その交叉点より手前の交叉点で曲がってしまうといった間違いを防止できる。
【0087】
また、制御部5は、車内センサ類3による自車状況の検出(S33)を行う。そして、検出結果に、走行に支障を起こしそうな要素が含まれているか否かを判定する(S34)。例えば、制御部5は、タイヤの空気圧の異常に低下した場合や、燃料が所定の残量以下になった場合に、走行に支障を起こしそうな要素として判断する。
【0088】
そして、走行に支障を起こしそうな要素が含まれていない場合には、S36以降の処理を行う。一方、走行に支障を起こしそうな要素が含まれている場合には、制御部5は、走行に支障を起こしそうな要素の内容および発生箇所を運転者に通知するための、自車を含むグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S35)。なお、この表示は、走行に支障を起こしそうな要素が解消した場合、または運転者からの消去指示があった場合に消去されるようになっている。また、運転者は、走行に支障を起こしそうな要素に対する対処方法のアドバイスを必要に応じて表示させることもできる。すなわち、制御部5は、運転者から対処方法のアドバイスを要求された場合、対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像を、画像用DB6から選択して液晶パネル7に表示させるようになっている。なお、走行中にこのような画像を表示することが危険である場合には、例えば、車両を停止した後にのみ表示可能としてもよい。
【0089】
また、制御部5は、運転者からのウインカーの点灯(点滅)指示、すなわち右左折や車線変更等の指示を監視している(S36)。そして、ウインカーの点灯指示がない場合にはS38以降の処理を行う。一方、ウインカーの点灯指示があった場合、全方位カメラ1によって撮影した、ウインカーの点灯を指示された方向における後方の画像を液晶パネル7の速度計とは異なる領域に表示する(S37)。図4は、右方向へのウインカー点灯指示があった場合の、液晶パネル7の表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、全方位カメラ1によって撮影した、自車の後方および右後方の画像52が、速度計50と異なる位置に表示される。なお、速度計50に近接する位置には、自車を含むグラフィック画像51が表示されている。
【0090】
次に、制御部5は、車外センサ類4による自車の周囲状況の検出を行う(S38)。そして、制御部5は、車外センサ類4による検出結果に、注意すべき要素が含まれているか否かを判断する(S39)。そして、車外センサ類4による検出結果に、注意すべき要素が含まれていない場合には、S41以降の処理を行う。一方、注意すべき要素が含まれている場合、その要素を運転者に通知するための、自車を含むグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S40)。
【0091】
例えば、距離センサ42によって検出した、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が、あらかじめ定めた所定の距離以内であった場合に、制御部5は、注意すべき要素として判断する。この場合、制御部5は、全方位カメラ1による撮影結果をもとに、自車に対して所定の距離以内に接近した物体の形状を把握し、把握した形状や自車に対する位置に応じた、自車の画像を含むグラフィック画像を画像用DB6から選択し、速度計に近接する位置に表示する。図5は、自車の右後方から二輪車が所定の距離以内に接近した場合の、表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の右後方に、二輪車のグラフィック画像54が表示され、また、二輪車の接近を通知する文字情報55が表示される。なお、注意すべき要素がある場合、液晶パネル7への表示とともに、その要素に応じた音声データを音声用DB8から選択して、スピーカー9から出力するようにしてもよい。
【0092】
また、上記の説明では、距離センサ42によって検出した、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が、あらかじめ定めた所定の距離以内であった場合に、制御部5は、注意すべき要素として判断するものとしたが、これに限るものではない。例えば、相対速度センサ43によって検出した自車の後方に位置する他の物体の自車に対する相対速度が所定の相対速度以上であった場合に、注意すべき要素として判断するようにしてもよい。すなわち、後方から短い時間で異常接近してくる物体があった場合に、全方位カメラ1による撮影結果をもとに、異常接近してくる物体の形状を把握し、把握した形状や自車に対する位置に応じた、自車の画像を含むグラフィック画像を画像用DB6から選択して、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。あるいは、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が所定の距離以内であって、かつ、相対速度センサ43によって検出した上記他の物体の自車に対する相対速度が所定の相対速度以上であった場合に、注意すべき要素として判断するようにしてもよい。
【0093】
また、制御部5は、例えば、自車の前方を走行中の車両等との距離が、所定の距離以内である場合、すなわち、前方の車両等との車間距離が不足している場合に、注意すべき要素として判断する。図6は、自車の前方を走行中の自動車との車間距離が、所定の距離以内である場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、自動車のグラフィック画像56が表示され、また、車間距離が不足している事を通知する文字情報57が表示される。
【0094】
また、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度は、自車の速度および自車の進行方向に対する他の物体の位置に応じて変更してもよい。運転者が特に注意を要する自車と他の物体との距離または相対速度、あるいは、運転者が何らかの対処を行う必要がある自車と他の物体との距離または相対速度は、自車の速度、および、自車に対して他の物体が位置する方向によって異なる場合がある。例えば、自車の制動距離は、速度によって異なるので、運転者が特に注意を要する自車の進行方向前方に位置する他の物体との間隔は、自車の速度によって異なる。このため、自車の速度、および、自車に対して他の物体が位置する方向に応じて、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度を変更することにより、運転者に対してより適切な情報を提供することができる。なお、この場合、自車の速度および自車に対する他の物体の位置に応じてあらかじめ定めた、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度を記録した一覧表(テーブル)を記憶させておく手段を備えるようにしてもよい。
【0095】
また、本システム100は、上記したように、通信部11を介してITS情報を受信することができるようになっている。そして、制御部5は、通信部11がITS情報を受信することを監視している(S41)。ITS情報を受信していない場合、制御部5は、S44以降の処理を行う。一方、ITS情報を受信した場合、制御部5は、受信したITS情報に、自車の周囲の状況を示す情報(以下、注意情報等という)が含まれているか否かを判断する(S42)。
【0096】
そして、受信したITS情報に注意情報等が含まれていなかった場合には、制御部5は、S44の処理を行う。一方、受信したITS情報に、注意情報等が含まれているには、その情報に対応するグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S43)。
【0097】
なお、例えば、ITS情報に含まれる注意情報等としては、例えば、走行方向前方における路面の凍結情報、トンネル出口付近の横風情報、走行方向前方における停車車両の存在などが考えられる。図7は、路面の凍結情報を受信した場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、路面の凍結を示すグラフィック画像60および路面が凍結している位置までの距離61が表示され、路面の凍結に対する注意を喚起するための文字情報62が表示される。また、図8は、トンネル出口付近の横風情報を受信した場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、トンネルおよびトンネル出口付近の横風方向を示す矢印63および風速を示す文字64のグラフィック画像が表示される。また、トンネル出口付近の横風に対する注意を喚起するための文字65が表示される。
【0098】
また、制御部5は、イグニッション指示検知センサ2を介して、イグニッションキーがOFFにされることを監視している(S44)。そして、イグニッションキーがOFFにされていない場合には、S31からS44までの処理を継続する。一方、イグニッションキーがOFFにされた場合、制御部5は、本システム100を停止させ(S45)、すなわち、本システム100の電源をOFFにして、本システム100における処理を終了する。
【0099】
以上のように、本システム100では、自車の状態および周囲の状況を検出し、検出した情報に応じた画像を、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転中に運転者が視点を移動する箇所を増やすことなく、運転中に注目すべき情報を表示することができる。これにより、運転者の目にかかる負担を軽減できる。また、運転中に注目すべき情報を、運転者が見落とす可能性を低減できる。また、視点を移動する箇所が少ないので、運転者は視線を前方により集中することができ、安全運転に寄与できる。
【0100】
なお、図4〜図8では、円形形状の速度計50を備え、その中央部分に自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51が表示されるようになっているが、これに限るものではなく、速度計50に近接する位置にこれらのグラフィック画像51を表示すればよい。
【0101】
例えば、図9に示すように、速度計50が、右上方向に伸びる傾斜部70と、傾斜部の右端(上端)から右方向に伸びる水平部71とを有するグラフで表示される場合、傾斜部70の右側、かつ水平部71の下側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における左側部分および上側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0102】
また、例えば、図10に示すように、速度計50が左右方向に伸びる棒グラフで表示される場合、速度計50の下側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。あるいは、速度計50の上側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における上側部分または下側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0103】
また、例えば、図11に示すように、速度計50が上下方向に伸びる棒グラフで表示される場合、速度計50の横方向(左または右)における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における右側部分または左側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0104】
また、自車の状態および周囲の状況として表示する情報は、上記した例に限るものではない。例えば、自車の状態を検出する車内センサ類3として、上記した方位センサ31、車内温度センサ32、タイヤ空気圧センサ33、燃料残量センサ34のほかに、ドアの開閉状態を検知するドア開閉センサ、ドアの施錠状態を検知するドア施錠センサ、パーキングブレーキの状態を検知するパーキングブレーキセンサ、窓からの突出物(例えば、添乗者の手足など)の有無を検知する突出物センサ、ブレーキランプや方向指示器、ヘッドランプ等の灯火類の点灯可否状態を検出する灯火類センサ、シートベルトの装着状態を検出するシートベルト装着センサ、ハンドルの操舵角を検知するステアリングセンサ、シフト位置を検知するシフト位置センサ、ブレーキオイルやエンジン冷却水、パワーステアリング用オイル、バッテリー液、ウォッシャー液などの各種液類の残量を検知する各種残量センサ、エンジンオイルの劣化度を検知するオイル劣化センサ、タイヤ溝の残量を検出するタイヤ消耗センサ、ブレーキパッドの磨耗状態を検知するブレーキパッド磨耗センサ、電気配線系統の異常の有無を検知する電気系統異常検知センサ、バッテリーの充電量を検知するバッテリーセンサ、エンジン冷却水の水温を検知する水温センサ(いずれも図示せず)などを含んでもよい。すなわち、車内センサ類3には、自車の状態を検知するあらゆるセンサを含むことができる。そして、これらのセンサによって検出した結果から、運転者が注目すべき情報を抽出して、自車のグラフィック画像とともに、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0105】
また、車内センサ類3および車外センサ類4による検出のタイミングは、特に限定されるものではない。各センサの特性あるいは各センサの検出対象の性質に応じて検出するタイミングを設定すればよい。例えば、発進時に必要とされるものについては、イグニッションキーがONにされたタイミングや、ドアの開閉、ドアの開錠などのタイミングに同期させて検出を行うようにしてもよい。また、走行中常に監視する必要があるものについては、走行中常時検出を行うようにしてもよい。
【0106】
また、本システム100では、駐停車状態からの発進時に、距離センサ42による検出結果から、自車の周囲における道路の道幅を検出するとともに、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路(主要道路)に対する自車の向きを検出し、主要道路に対する自車の向きに応じて表示する自車のグラフィック画像の向きを変更するものとしたが、これに限るものではない。例えば、カーナビゲーション情報DB13に記録されている情報から、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路を把握し、この道路に対する自車の向きに応じて、表示する自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0107】
また、例えば走行中に、全方位カメラ1による撮影結果から、制御部5が、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示を検出し、その向きに合わせて自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。なお、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示の検出は、全方位カメラ1の撮影結果から検出する方法に限らず、例えば、道路標示を検出するための道路標示検出センサ(路面記号検出装置、図示せず)を別途備えるようにしてもよい。
【0108】
また、方位センサ31によって自車の先端が向いている方位を検出し、検出した方位に応じて自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。例えば、車体の先端が北を向いている場合、自車のグラフィック画像における自車の先端が上を向くように表示するようにしてもよい。
【0109】
また、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示と自車の速度とを検出し、その検出結果に合わせて、道路標示に応じたグラフィック画像を自車のグラフィック画像とともに、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0110】
また、例えば、全方位カメラ1による撮影結果などに基づいて、制御部5が、自車が停止状態であるか走行状態(移動中の状態)であるかを判定し、判定した状態に応じて、自車およびその周囲の状況を示す画像を変更するようにしてもよい。例えば、停止状態の場合には自車の画像とともに車庫の画像を表示し、走行中の場合には、道路の白線の画像が自車の画像に対して相対的に移動する画像を表示するようにしてもよい。
【0111】
また、本システム100において、自車グラフィック画像を記録した画像用DB6に対して、データの追加、修正を行えるようしてもよい。すなわち、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像を、運転者が任意に変更できるようにしてもよい。例えば、入力部10を介して運転者が画像用DBに保存されている自車および周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更指示を与えることができるようにしてもよい。また、外部接続端子12に、パーソナルコンピュータや外部メモリ等を接続し、これによって画像用DBに保存されている自車および周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更情報を受け付けるようにしてもよい。また、通信部11を介してインターネット回線に接続し、インターネット回線を通じて変更情報をダウンロードするようにしてもよい。また、画像用DBに複数種類の自車のグラフィック画像をあらかじめ記録しておき、それらの中から適切なものを運転者が選択するようにしてもよい。あるいは、変更可能な画像情報を記録した大容量のHD(ハードディスク)を別途備えておき、このHDにあらかじめ記録されているデータの中から選択するようにしてもよい。
【0112】
このように、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像を変更可能とすることにより、例えば自車の改造を行って形状を変更した場合や、塗装によって色を変更した場合でも、自車の状態に応じたグラフィック画像を表示することができる。また、自車の周囲の状況を、運転者が認識しやすい表示形態に変更することもできる。
【0113】
また、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像だけでなく、液晶パネル7に表示する各項目のデザインを、運転者がカスタマイズできるようにしてもよい。例えば、速度計やエンジン回転数計、燃料計などの大きさ、形状、色、配置位置(表示位置)を変更可能としてもよい。ただし、例えば速度計などの安全運転上重要な表示項目は、必要な視認性を確保するために、あらかじめ定めた条件の範囲内で変更可能とすることが好ましい。このため、例えば、本システム100に、各表示項目に応じた変更可能範囲を記録したデータベース(図示せず)を備えるようにしてもよい。あるいは、サーバー上にこのようなデータベースを設けておき、運転者が液晶パネル7に表示する各項目のデザインを変更したい場合に、このサーバーに通信回線を介して接続するようにしてもよい。これにより、運転者が変更可能範囲内で好みの表示内容を選択できるようにすればよい。あるいは、運転者の指示が変更可能範囲を超えていた場合に、変更可能範囲内となるように運転者の指示を補正するようにしてもよい。
【0114】
また、本システム100では、全方位カメラ1として、全方位を瞬時に撮影可能なものを用いているが、これに限るものではない。例えば、地表面に垂直な方向を回転軸として特定の方向を撮影可能なカメラを回転させることにより、全方位を順次撮影していくものであってもよい。また、カメラの撮影方向を地表面に垂直な方向とし、当該カメラの撮影軸上に、当該カメラの撮影方向を軸として回転可能な反射板を、当該カメラの撮影軸に対して所定の傾斜角を有するように備え、この反射板が回転する際に反射板に写る画像を撮影するようにしてもよい。
【0115】
また、本システム100では、車両屋根部に全方位カメラ1を備えるものとしたが、全方位カメラ1の設置位置はこれに限るものではない。例えば、車両底部に全方位カメラ1を備えるようにしてもよい。また、全方位カメラ1は、例えば、車両内に格納されており、撮影時にのみ車両外部に露出して全方位の撮影が可能となるものであってもよい。
【0116】
また、全方位カメラ1は、必ずしも1台のカメラで撮影するものでなくてもよい。例えば、複数のカメラを車両の異なる位置に備え、この複数のカメラによって全方位カメラ1を構成してもよい。この場合、複数のカメラの撮影結果を組み合わせることにより、結果として全方位の撮影結果を運転者に提示できる。また、この場合、例えば、車両の対角線上に左前方と右後方、あるいは右前方と左後方にそれぞれカメラを備えるようにしてもよい。また、車両の左右前方および左右後方にそれぞれカメラを備えるようにしてもよい。これらの位置にカメラを備える場合、運転席から死角となる位置あるいは方向を撮影しやすく、安全性をより向上させることができる。
【0117】
また、全方位カメラ1として、赤外線カメラを用いてもよい。あるいは、全方位カメラ1による撮影範囲を照らすための照明手段を備えていてもよい。これらの構成では、夜間の駐停車状態においても、車両周囲の状況を容易かつ確実に把握できる。
【0118】
また、本システム100では、全方位カメラ1を用いて全方位の撮影を行うものとしたが、これに限るものではない。例えば、運転者から死角となる方向(例えば車両前方や、左右後方、後方などの、運転者が直接あるいはドアミラー、ルームミラー等を介して目視確認しにくい部分)を選択的に撮影するようにしてもよい。
【0119】
また、本システム100では、上記したように、アスペクト比が7:3以上という超ワイド(横長)画面を有する液晶パネル7を備えている。これは、従来、車両に搭載されているナビゲーションシステムやテレビ放送用の表示装置の多くが、アスペクト比4:3であるのに対して、その分を差し引くと3:3の正方形状よりワイドな表示領域を残すことができる。そして、その正方形状よりワイドな表示領域に液晶パネル7における表示領域に速度計を表示することができる。速度計は円形のものが最も視認し易いことから好んで用いられるが、残された表示領域が正方形状よりワイドであれば、アスペクト比の短い辺を十分に用いて大きく速度計を表示させることができる。従って、速度計の視認性が良く、安全性を高く保つことが可能となる。すなわち、ナビゲーション画像等の付加的画像と、車両の速度や燃料等の車両状態を示す車両状態画像とを同時に表示させた場合の視認性が向上する。
【0120】
なお、近年はナビゲーションシステムについてはアスペクト比15:9のものもある。この場合は24:9以上のアスペクト比があれば良い。また、同様にテレビ放送では16:9のものもあるが、この場合は25:9以上のアスペクト比があれば良いことになる。
また、液晶パネル7は、アスペクト比がそれぞれ4:3、15:9または16:9のパネルを二つ組み合わせて作成してもよい。この場合、アスペクト比が8:3、30:9、32:9の液晶パネル7を実現できる。また、例えば、アスペクト比がそれぞれ4:3および15:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が27:9の液晶パネル7を形成してもよい。また、アスペクト比がそれぞれ4:3および16:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が28:9の液晶パネル7を形成してもよい。また、アスペクト比がそれぞれ15:9および16:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が31:9の液晶パネル7を形成してもよい。なお、アスペクト比の上限値については、短辺側の表示サイズが所定値以上であり、解像度が所定値以上であれば、特に制限は無い。
【0121】
また、短辺側の走査線が468ライン以上であることがさらに好ましい。この場合、短辺側の走査線にWQVGA(Wide Quarter Video Graphics Array;400×234)を2段に表示できることから、ナビゲーションシステムの画像と車の後方画像といったように、複数の画像を表示させるときに、十分な視認性を確保しつつ表示することができる。
【0122】
また、400ライン以上の短辺側走査線を備える構成において、全方位カメラ1によって撮影した画像の長辺側を、液晶パネル7の短辺側と平行に表示するようにしてもよい。この場合、例えば、車両の側方を撮影した画像をWQVGAの解像度(400)で液晶パネル7の縦側(短辺側)に表示することにより、視認性が向上する。また、この構成では、既存のグラフィックチップを使用できるので、製造コストを低減できる。
【0123】
また、400ライン以上の短辺側走査線を備える構成において、全方位カメラ1によって撮影した画像の短辺側を、液晶パネル7の短辺側と平行に表示するようにしてもよい。この場合、例えば、車両の前方または後方を撮影した画像を、WQVGAの横解像度(400)で液晶パネル7の横側(長辺側)に表示することにより、視認性が向上する。なお、全方位カメラ1によって撮影した画像の撮影方向に応じて、液晶パネル7に表示する画像の縦方向と横方向とを切り替えるようにしてもよい。
【0124】
また、本システム100において、全方位カメラ1によって撮影した画像を表示する場合に、速度計やエンジン回転数計、燃料計などの表示方法を変更してもよい。例えば、これらの計器類を数字のみで表示したり、直線状のグラフで表示したりすることにより、視認性を確保した上で、これらの計器類の表示領域を削減してもよい。これにより、全方位カメラ1によって撮影した画像を表示できる領域が広がるので、運転者は車両周囲の状況をより的確に把握することができる。
【0125】
また、全方位カメラ1によって撮影した画像の表示領域を可変とする場合、その表示領域の一辺(一端部)における表示ラインは、表示領域が変化しても一定の位置であることが好ましい。基準点を定めずに、ばらばらな位置に表示されると、表示画像のエッジ(端部)が動くことになるので、運転者の集中力を散漫させたり、視認性を低下させるおそれがある。そこで、表示領域を可変とする場合に、表示位置が移動しない基準点(表示領域の一辺)を定めることにより、不要な画像の揺らぎをなくし、運転者が快適に画像表示を確認できる液晶パネル7を実現できる。
【0126】
また、本システム100では、走行に必要な計器類、および、自車および自車の周囲の状況を示す画像と、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報とを、同一の液晶パネル7に表示するものとしたが、これに限るものではない。例えば、計器類および自車とその周囲の状況を示す画像を表示するための液晶パネルと、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報を表示するための液晶パネルとを、それぞれ別々に設けてもよい。
【0127】
また、本システム100では、速度計等の計器類を液晶パネル7に表示しているが、これに限るものではない。例えば、アナログ式の速度計を備え、この速度計に近接する位置に、自車およびその周囲の状況を示すグラフィック画像を表示する液晶パネルを設けてもよい。
【0128】
また、本システム100では、表示手段として液晶パネル7を用いているが、本システム100に適用可能な表示手段はこれに限るものではない。例えば、表示手段として、有機EL(Electro Luminesence)パネルや、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いてもよい。
【0129】
また、本システム100において、非常用の表示手段(フェールセーフシステム)をさらに設けてもよい。例えば、液晶パネル7が故障する場合や、低温のために反応速度が実用上好ましい速度に達しない場合なども考えられる。このような場合であっても、運転者が安全運転を継続するためには、速度計等が適切に表示される必要がある。そこで、本システム100に、例えば透明ELパネルからなる非常用表示手段(図示せず)を備えてもよい。これにより、液晶パネル7が故障した場合や、表示不良が生じた場合であっても、非常用表示手段に速度計等を表示することができ、運転者は安全に運転を行うことができる。
【0130】
また、本システム100では、速度計等の計器類および自車と自車の周囲の状況を示す画像と、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報とを、同一の液晶パネル7に表示している。この場合、例えば、計器類の表示領域の輝度よりも他の表示領域の輝度が高くなりすぎると、計器類の視認性が低下する恐れがある。このような事態を避けるためには、他の表示領域における輝度が計器類の表示領域の輝度よりも高くならないようにすることが好ましい。そこで、例えば、他の表示領域の輝度が計器類の表示領域の輝度よりも高くなった場合に、他の表示領域の輝度を計器類の表示領域の輝度よりも下げるようにしてもよい。あるいは、他の表示領域の輝度が、あらかじめ定めた閾値よりも高くならないように、他の表示領域における輝度を閾値以下に制限するようにしてもよい。
【0131】
また、本システム100では、入力部10として液晶パネル7上に設けられたタッチパネルを用いるものとしたが、入力部10の構成はこれに限るものではない。例えば、本システム100専用の入力部10として、キー入力装置やマウスなどを別途備えてもよい。また、オーディオシステムやカーナビゲーションシステムを備えている場合には、それらの入力部(操作部)を兼用するようにしてもよい。また、ドアミラー(フェンダーミラー)の角度等を電動で調整できるシステムを備える場合、これらの操作手段を兼用してもよい。
【0132】
また、本システム100では、当該車両と他の物体との距離を検出する距離センサ42、および、当該車両に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度センサ43を備えているものとしたが、これに限るものではない。例えば、全方位カメラ1によって撮影した画像データをもとに、制御部5が、当該車両と他の物体との距離および当該車両に対する他の物体の相対速度を検出するようにしてもよい。
【0133】
また、上記の説明では、本システム100の電源として、エンジン起動用のバッテリーを用いるとしたが、これに限らず、本システム100に対する電力供給手段を適宜変更してもよい。例えば、本システム100専用の電力供給手段を備えるようにしてもよい。
【0134】
また、本システム100では、通信部11を介してインターネット等の通信回線と接続することにより、例えば、運転者が、駐停車状態から車両を発車させる前に、目的地に関する情報を確認することも可能である。例えば、映画館に行く場合、上映中の映画の内容を事前に確認したり、映画館までの渋滞情報を調べることが可能である。また、チケットの購入や座席の予約を行うことも可能である。あるいは、飲食店の予約を行ったり、その店のメニューを検索してオーダーを行うことも可能である。
【0135】
また、本システム100によって、パーソナルコンピュータ用の各種アプリケーションソフトを実行できるようにしてもよい。すなわち、液晶パネル7は、パーソナルコンピュータ用モニタとして用いることもできる。この場合、本システム100を用いて、ネットワークミーティングを行うことも可能である。なお、本システム100によって各種アプリケーションソフトの実行を行えるようにする場合、例えば、液晶パネル7のフル画面(全表示領域)に各種アプリケーションを表示できるようにしてもよい。
【0136】
また、本システム100の起動などの指示を、通信回線を利用して行うことも可能である。また、全方位カメラ1によって撮影した画像データを、通信回線を利用して外部へ送信可能としてもよい。この場合、車両から離れた位置から本システム100を起動させて、車両周囲の画像を撮影し、その画像を車両から離れた場所で確認するといった利用方法も可能である。
【0137】
また、本システム100は、車両に搭載されるものとしたが、本明細書における車両とは、自動車のほか、自動二輪車、自転車など、移動のために運転者による操縦を必要とする陸上移動手段全般を含む。また、本システム100は、車両に限らず、例えばヘリコプターや航空機、船舶など、移動のために運転者による操縦を必要とするあらゆる移動手段に適用することができる。
【0138】
また、従来、車のメーター表示において、速度計の中央部分には、走行距離などの情報が表示されていた。しかし、走行距離などの情報が必要な状況は限られている。本発明はこの点に着目してなされたものであるということもできる。
【0139】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0140】
例えば、本システム100の制御部5は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0141】
すなわち、本システム100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである本システム100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、本システム100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0142】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0143】
また、本システム100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。
【産業上の利用の可能性】
【0144】
本発明の状況検出表示システムおよび状況検出表示方法は、自動車、自動二輪車、自転車、ヘリコプター、航空機、船舶など、移動のために運転者による操縦を必要とする、あらゆる移動手段に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムの、概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、駐停車状態からの発車時の処理の流れを示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、通常走行時の処理の流れを示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、ウインカー点灯時の表示状態の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、右後方から二輪車が異常接近してきた場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、前方走行車両との車間距離が不足している場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、路面の凍結情報を受信した場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、トンネル出口付近の横風情報を受信した場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態の他の例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態のさらに他の例を示す説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の情報を、運転者に通知する、状況検出表示システム、状況検出表示方法、状況検出表示システム制御プログラム、および当該プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば車両に各種センサを設け、各種センサによって検知した情報を運転者に通知するシステムが多数提案されている。例えば、特許文献1には、所望の駐車区画に車両を駐車させるための運転操作量を車両運転者に教示する駐車支援装置が記載されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、自動車等の周囲の情報を撮像装置によりキャッチし、モニタ装置にカメラ映像として映し出して、車両の周囲の確認を行う車両用確認装置が記載されている。
【0004】
ここで、特許文献1は、日本国の公開特許公報「特開2000−72019号公報」(公開日:2000年3月7日)である。
【0005】
また、特許文献2は、日本国の公開特許公報「特開2001−39217号公報」(公開日:2001年2月13日)である。
【0006】
通常、車両等の運転者は、運転中に、車両前方の確認、および速度計による速度確認を行う必要がある。また、車線変更時や右左折時には、左右や後方の状況確認を、直接的に、あるいは、ドアミラー(フェンダーミラー)やルームミラーなどにより間接的に行う必要もある。
【0007】
しかしながら、上記従来の技術では、運転者に対して提示するための情報が、速度計と異なる位置に表示されるため、運転者が運転中にこれらの情報を確認する場合、視線を移動させる位置が増加してしまう。このため、運転者の目にかかる負担が増大し、また、表示された情報を見逃す可能性もある。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、車両等の移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムなどにおいて、運転者が視点を移動する頻度を増加させることなく当該移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できるようにすることにある。
【発明の開示】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の状況検出表示システムは、移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムにおいて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備え、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴としている。
【0010】
上記表示の例としては、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像における周縁またはその一部に、上記速度計を表示することが挙げられる。また、上記状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を記録したデータベースを備えることが好ましい。
【0011】
上記の構成によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記速度計に近接する位置に表示される。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。これにより、運転者の目にかかる負担を軽減できる。また、運転中に注目すべき情報を、運転者が見落とす可能性を低減できる。また、視点を移動する箇所が少ないので、運転者は視線を前方により集中することができ、安全運転に寄与できる。
【0012】
また、本発明の状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含むグラフィック画像であることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記移動手段の画像とともに表示されるので、運転者は、上記移動手段およびその周囲の状況を、迅速かつ適切に把握できる。
【0014】
また、上記移動手段の先端が向いている方位を検出する方位検出手段を備え、上記方位検出手段によって検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更してもよい。この場合、運転者は、上記移動手段の先端が向いている方位を、適切に把握することができる。
【0015】
また、上記移動手段は駆動力を地面に伝達するためのタイヤと、上記タイヤの空気圧を検出する空気圧検知手段とを備えており、上記タイヤの空気圧があらかじめ設定した値以下であった場合に、タイヤの空気圧低下を運転者に通知するための画像を表示するようにしてもよい。
【0016】
この場合、運転者は、タイヤの空気圧が異常低下していることを即座に把握できるので、タイヤの空気圧低下に伴うトラブルを防止することができる。
【0017】
ところで、上記移動手段に対して所定の距離以内に接近する物体があった場合、運転者が当該物体を視野に入れていないと、上記物体を把握することが困難である。また、運転者が、上記物体を視野に入れていても、注意力が散漫であったり、他の物体に気を取られていたりすると、上記物体を即座かつ確実に把握することが困難である。
【0018】
そこで、上記移動手段と他の物体との距離を検出する距離検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、上記距離が所定値以下となるように上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示してもよい。
【0019】
この場合、運転者は、上記移動手段に対して所定の距離以内に接近する物体を、容易に把握することができる。例えば、進行方向後方から所定の距離以内に接近してくる物体がある場合、あるいは、進行方向前方の物体との間隔が所定の距離以下となった場合に、運転者はそのことを容易に把握できる。このため、運転者は、所定の距離以内に接近する物体に対して、適切に対処できる。
【0020】
また、上記移動手段に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、所定値以上の上記相対速度で上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示してもよい。
【0021】
この場合、運転者は、上記移動手段に対して所定の相対速度以上の速度で接近する物体を、即座に把握することができる。すなわち、短い時間で異常接近する物体を、即座に把握できる。このため、運転者は、異常接近する物体に対して適切に対処できる。例えば、後方から短い時間で異常接近する物体を即座に把握できるので、後方から異常接近する物体に対して適切に対処できる。
【0022】
また、上記所定値は、上記移動手段の速度、および/または、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向に応じて異なるようにしてもよい。
【0023】
運転者が特に注意を要する上記移動手段と他の物体との距離または相対速度、あるいは、運転者が何らかの対処を行う必要がある上記移動手段と他の物体との距離または相対速度は、上記移動手段の速度、および、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向によって異なる場合がある。例えば、上記移動手段の制動距離は、速度によって異なるので、運転者が特に注意を要する上記移動手段の進行方向前方に位置する他の物体との間隔は、上記移動手段の速度によって異なる。このため、上記移動手段の速度、および、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向に応じて、上記所定の距離または上記所定の相対速度を変更することにより、運転者に対してより適切な情報を提供することができる。
【0024】
また、ITS(Intelligent Transport Systems;高度道路交通システム)情報を受信する通信手段を備え、受信したITS情報に上記移動手段の周囲の状況を示すITS情報が含まれていた場合に、上記ITS情報に基づく、上記移動手段の周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0025】
ここで、移動手段の周囲の状況を示すITS情報の例としては、走行方向前方における路面の凍結情報、トンネル出口付近の横風情報、走行方向前方における停車車両の存在などが挙げられる。
【0026】
この場合、運転者は、受信したITS情報に含まれる上記移動手段の周囲の状況を示す情報を、即座に把握することができる。このため、受信したITS情報に応じて、必要な対処を迅速に行うことができる。
【0027】
ところで、通常、運転者は、移動手段が移動中の状態であれば、移動手段を安全に移動させるために、主に移動手段の移動方向の状況を把握することを所望する。一方、運転者は、移動手段が停止状態や移動開始直後の状態であれば、移動手段を安全に発進させるために、移動手段の全周囲の状況を把握することを所望する。
【0028】
そこで、上記移動手段が移動中の状態であるか否かを検知する手段を備え、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記検知した状態に応じて異なるようにしてもよい。
【0029】
この場合、上記移動手段が移動中の状態であるか、その他の状態、すなわち停止状態や移動開始直後の状態であるかに応じて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を変更することにより、運転者は、状況に応じた操縦を行うことができる。
【0030】
また、上記移動手段は車両であって、走行中の路面に引かれた白線、斜線などの道路標示を検出する手段を備え、上記検出した道路標示を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示するようにしてもよい。
【0031】
この場合、検出した道路標示に応じた画像を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示することができる。したがって、運転者は、表示された画像から、上記移動手段の移動速度や、道路標示に対する位置などを適切に把握することができる。
【0032】
また、上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段を備え、かつ、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含んでおり、上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0033】
この場合、例えば、車両が車両通行帯を変更している時には、道路標示である車両通行帯境界線に対して車両が斜め方向に向いている画像が表示されることになる。したがって、運転者は、道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを、適切に把握することができる。
【0034】
また、上記移動手段は車両であり、上記移動手段の周囲における道路の道幅を検知する手段と、上記移動手段の周囲における最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段とを備え、上記最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0035】
この場合、自車の周囲における道路のうち、最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出し、検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更できる。このため、運転者は、周囲の最も道幅の広い道路に対する自車の向きを、適切に把握することができ、自車が停止状態から発進して、周囲の最も道幅の広い道路に移動するまでを容易に行うことができる。
【0036】
ところで、移動手段を撮影した場合、移動手段の一部は撮影できるが、移動手段の全体を撮影することは困難である。このため、撮影手段が撮影した画像で移動手段の画像を表示すると、移動手段の一部が表示されるのみであるので、移動手段とその周囲の状況とを把握し難くなる。
【0037】
そこで、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、グラフィック画像であってもよい。この場合、移動手段の全体を容易に表示でき、移動手段とその周囲の状況とを容易に把握できる。
【0038】
また、上記グラフィック画像を変更可能としてもよい。この場合、例えば、改造や塗装によって上記移動手段の形状や色が変化した場合であっても、上記移動手段の状態に応じたグラフィック画像を表示することができる。
【0039】
また、上記グラフィック画像に対する変更指示を受け付けるインターフェースを備えていてもよい。この場合、上記インターフェースを介して、運転者は、上記移動手段およびその周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更指示を与えることができる。したがって、運転者は、自身の好みに合わせて、上記移動手段およびその周囲の状況を示すグラフィック画像を変更することができる。
【0040】
また、上記移動手段は、駆動手段としての原動機と、当該原動機に対する起動指示を検知する手段とを備えており、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記原動機に対する起動指示と同期して表示する構成としてもよい。
【0041】
この場合、上記移動手段を起動する時に、自動的に上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が表示されるので、運転者は自ら手動で操作することなく、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を見ることができる。
【0042】
上記の目的を達成するために、本発明の状況検出表示方法は、移動のために運転者による操縦が必要な移動手段における、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示方法において、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴としている。
【0043】
上記の方法によれば、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像が、上記速度計に近接する位置に表示される。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。
【0044】
なお、上記状況表示システムにおいて、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するように上記表示手段を制御する制御手段を、状況検出表示システム制御プログラムによりコンピュータ上で実行させることができる。さらに、上記状況検出表示システム制御プログラムをコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶させることにより、任意のコンピュータ上で上記状況検出表示システム制御プログラムを実行させることができる。
【0045】
以上のように、本発明の状況検出表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示する。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転者は、視点を移動する頻度を増加させることなく上記移動手段およびその周囲の状況に関する表示を確認できる。
【0046】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の一実施の形態について説明する。
【0048】
本実施の形態にかかる状況検出表示システム(本システム)は、車両(移動手段)に搭載され、当該車両およびその周囲の状況を検出して運転者に提示するものである。なお、本システムでは、これらの情報を、速度計(スピードメーター)に近接する位置に表示することにより、運転者が視点を移動する頻度を増加させることなく、当該車両およびその周囲の状況を確認できるようになっている。これにより、運転者の目にかかる負荷を軽減させ、表示された情報の見落としを防止することができ、また、運転者が視線を前方により集中できるので、安全運転に寄与できる。
【0049】
図1は、本システムの概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、本システム100は、全方位カメラ(撮影手段、距離検知手段、相対速度検知手段)1、イグニッション指示検知センサ2、車内センサ類3、車外センサ類4、制御部(距離検知手段、相対速度検知手段、制御手段)5、画像用DB(データベース)6、液晶パネル(表示手段)7、音声用DB8、スピーカー(音声出力手段)9、入力部10、通信部(通信手段)11、外部接続端子12、カーナビゲーション情報DB13、画像記憶部14、自車状態記憶部15からなる。
【0050】
全方位カメラ1は、車両の屋根部に搭載され、車両周囲の全方位(地表面に略垂直な方向を軸とする360度)の画像を撮影するためのものである。なお、本システム100では、全方位カメラ1として、全方位の画像を瞬時に撮影可能なものを用いている。すなわち、全方位カメラ1は、撮影方向が地表面に略垂直な方向となるように備えられたカメラと、撮影軸上に備えられた円錐形の反射板とからなり、上記反射板に反射された全方位の映像をカメラで撮影することにより、全方位の画像を瞬時に撮影することが可能となっている。
【0051】
イグニッション指示検知センサ2は、運転者がイグニッションキーを挿入し、キーを回すことによってエンジンの起動指示を行ったことを検知するものである。
【0052】
車内センサ類3には、方位センサ(方位検出手段)31、車内温度センサ32、タイヤ空気圧センサ(空気圧検知手段)33、燃料残量センサ34などが含まれる。ここで、方位センサ31は、当該車両の先端が向いている方位を検出するものである。車内温度センサ32は、車内の温度を検出するものである。タイヤ空気圧センサ33は、各タイヤの空気圧を検知するものである。燃料残量センサ34は、燃料の残量を検出するものである。
【0053】
車外センサ類4には、速度センサ41、距離センサ(対物センサ)(距離検知手段)42、相対速度センサ(相対速度検知手段)43、車外温度センサ44などが含まれる。ここで、速度センサ41は、当該車両の速度を検出するものである。また、距離センサ42は、当該車両と他の物体との距離、および、当該車両の周囲における道路の道幅などを検出するものである。また、相対速度センサ43は、当該車両に対する他の物体の相対速度を検出するものである。また、車外温度センサ44は、車外の温度を検知するものである。
【0054】
なお、図1には示されていないが、車外センサ類4には、GPS(Global Positioning Systems)、携帯電話システムにおける基地局の位置情報などを利用して、当該車両の位置を検出する車両位置センサが含まれる。この車両位置センサ、速度センサ41、方位センサ31などがカーナビゲーションシステムに利用される。
【0055】
制御部5は、本システム100の全ての動作を制御する、本システム100の中枢部である。すなわち、制御部5は、本システム100に備えられる各構成要素の動作を制御し、車両内部および車両周囲の状況を検出させるとともに、必要な情報を運転者に提示する。なお、制御部5の機能は、例えばRAMやフラッシュメモリなどの記憶装置に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)が実行することによって実現される。
【0056】
画像用DB(データベース)6には、自車のグラフィック画像、および、自車およびその周囲で発生が予想されるさまざまな状況を表すグラフィック画像が、ビットマップデータとして格納されている。すなわち、画像用DB6には、自車のグラフィック画像、自車および自車の周囲に起こりうる状況のグラフィック画像、路面情報に関するグラフィック画像などが格納されており、制御部5が、表示する情報に応じて、画像用DB6に格納されている画像情報から適切なものを選択して液晶パネル7に表示させるようになっている。
【0057】
液晶パネル7には、速度計やエンジン回転数計、燃料残量計などの計器類に加えて、速度計に近接する位置に、自車を含む車両周囲の情報を表示されるようになっている。また、液晶パネル7には、全方位カメラ1によって撮影した画像や、車内の温度、エアコンの稼動状況、カーナビゲーション情報、テレビ放送、ラジオ放送の受信周波数、インターネット情報などを表示することもできるようになっている。なお、本システム100における液晶パネル7は、アスペクト比(表示領域の横縦比)が7:3以上という超ワイド画面を備えている。
【0058】
音声用DB8には、音声出力用のデータが格納されている。本システム100では、例えば、車両周囲の状況に変化があった場合などに、液晶パネル7へ表示するとともに、音声によって運転者に通知することも可能になっている。すなわち、制御部5が、運転者に通知する情報に応じて、音声用DB8に格納されている音声データから適切な音声データを選択し、スピーカー9を介して出力させるようになっている。
【0059】
入力部10は、本システム100に対する運転者からの指示を受け付け、制御部5に伝達するものである。なお、本システム100では、入力部10として液晶パネル7上に設けられたタッチパネルを用いている。つまり、本システム100では、液晶パネル7に運転者による入力が可能な項目を表示し、運転者が、所望する項目が表示されている表示領域に触れることにより、本システム100に指示を与えることができるようになっている。
【0060】
通信部11は、テレビ放送やラジオ放送、ITS情報を受信するためのものである。また、通信部11を介して、本システム100をインターネット等に接続することもできるようになっている。
【0061】
画像記憶部14は、全方位カメラ1によって撮影した画像データを記憶しておくものである。
【0062】
自車状態記憶部15は、自車の状態に関する情報を記憶するものである。例えば、走行距離、エンジンオイルの前回交換日および前回交換時の走行距離などを記憶するようになっている。
【0063】
カーナビゲーション情報DB13には、地図情報や各種店舗情報などのカーナビゲーション情報が記憶されている。
【0064】
外部接続端子12は、本システム100に、他の装置を接続するためのインターフェースである。なお、本システム100では、外部接続端子12にパーソナルコンピュータや外部メモリ等の他の装置を接続し、画像用DB6、音声用DB8、カーナビゲーション情報DB13などに記憶されている情報を更新できるようになっている。
【0065】
ここで、本システム100における処理の流れを説明する。まず、駐停車状態からの発進時(発進モード)における処理の流れについて説明する。図2は、本システム100における、駐停車状態からの発進時の処理の流れを示すフロー図である。
【0066】
この図に示すように、制御部5は、エンジンが起動されていない駐停車時には、イグニッション指示検知センサ2を介して、イグニッションキーがONにされることを監視している(S1)。
【0067】
そして、イグニッション指示検知センサ2によってイグニッションキーがONにされたことを検知すると、制御部5は、本システム100を起動する(S2)。すなわち、本システム100の電源をONにする。なお、本システム100の電源は、当該車両におけるエンジン起動用バッテリーから供給される。
【0068】
次に、制御部5は、車内センサ類3によって、自車の状況を検出する(S3)。すなわち、方位センサ31によって自車の先端が向いている方位を検出し、車内温度センサ32によって車内温度を検出し、タイヤ空気圧センサ33によって各タイヤの空気圧を検出し、燃料残量センサ34によって燃料残量を検出する。さらに、制御部5は、自車状態記憶部15に記憶されている情報を読み出す(S4)。
【0069】
次に、制御部5は、S3で検出した結果およびS4で読み出した結果に、走行に支障を起こしそうな要素やメンテナンスが必要な要素(以下、危険要素等という)が含まれているか否かを判定する(S5)。例えば、制御部5は、タイヤの空気圧の異常低下や、燃料が所定の残量以下であった場合に、走行に支障を起こしそうな要素として判断する。また、制御部5は、例えば、エンジンオイルを前回交換してから、一定の期間が経過した場合、あるいはエンジンオイルを前回交換してから、走行距離が一定の距離以上に達した場合に、メンテナンスが必要な要素として判断する。
【0070】
そして、危険要素等が含まれていない場合には、S12以降の処理を行う。一方、危険要素等が含まれている場合には、制御部5は、警告表示および警告音声出力を行わせる(S6)。すなわち、制御部5は、危険要素等がある場合には、その危険要素等に応じた画像を画像用DB6に格納されている画像データから選択して液晶パネル7に表示するとともに、危険要素等を通知するための音声を音声用DB8に格納されている音声データから選択し、スピーカー9から出力する。なお、上記の危険要素等に応じた画像は、自車の画像を含むグラフィック画像となっており、運転者は、この画像を見ることにより、危険要素等の内容や存在箇所を迅速かつ適切に把握できるようになっている。また、この画像は、速度計に近接する位置に表示されるようになっている。
【0071】
次に、制御部5は、検出された危険要素等に対して処置を行うか否かについて、運転者の指示を待機する(S7)。すなわち、検出された危険要素等を解消するための処置を行うか否かを問い合わせるメッセージを液晶パネル7に表示し、運転者の指示を待機する。この際、運転者は、入力部10を介して、処置を行うか否かを入力することができる。なお、本システム100では、あらかじめ定めた時間が経過しても、運転者からの入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行う。
【0072】
そして、S7において処置を行わないことが選択された場合、S11の処理に移る。一方、S7において処置を行うことが選択された場合、制御部5は、液晶パネル7に、対処方法に関するアドバイスが必要であるか否かを運転者に問い合わせるメッセージを表示する(S8)。なお、運転者は、入力部10を介して、対処方法のアドバイスが必要であるか否かを入力することができる。
【0073】
ここで、対処方法のアドバイスが必要であると入力された場合、制御部5は、検出された危険要素等に応じた対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像を、画像用DB6から選択して液晶パネル7に表示する。すなわち、画像用DB6には、危険要素等に応じた対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像があらかじめ格納されている。例えば、タイヤの空気圧が異常に低下した場合であれば、非常用三角掲示板の設置方法や、スペアタイヤ、タイヤ交換用工具等の格納位置、工具の使用方法、タイヤの交換作業手順などを説明するためのアニメーション画像が液晶パネル7に表示される。なお、これらの情報のうち、運転者が、必要とする情報のみを選択して表示させることもできる。また、処置の進展状況に合わせて、運転者が、表示する情報を順次切り替えることもできる。
【0074】
また、制御部5は、危険要素等が解消されたか否かを監視している(S10)。そして、危険要素等が解消されていない場合には、S7以降の処理を繰り返す。すなわち、本システム100では、危険要素等が解消されるまで、S7およびS8に関する運転者の指示を随時受け付けるようになっている。
【0075】
一方、S10において危険要素等が解消された場合、あるいは、S7において処置を行わないことが選択された場合、制御部5は、危険要素等に関する表示を消去する(S11)。
【0076】
次に、制御部5は、車外センサ類4によって、周囲の状況を検出する(S12)。すなわち、距離センサ42による自車と他の物体との距離および自車の周囲における道路の道幅の検出、相対速度センサ43による自車周囲における移動物(例えば、歩行者や自転車、自動車など)の自車に対する相対速度の検出、車外温度センサ44による車外温度の検出などを行う。
【0077】
さらに、制御部5は、全方位カメラ1を制御し、自車を中心とする全方位の撮影を行わせる(S13)。そして、撮影した画像を液晶パネル7へ順次伝送し、液晶パネル7に表示させる(S14)。なお、全方位カメラ1によって撮影した画像は、速度計が表示されている領域とは異なる領域に表示される。また、本システム100では、全方位カメラ1によって撮影した画像について、車両を中心とする所定の角度分の画像を液晶パネル7に表示するとともに、表示する画像の角度(撮影方向の角度)を連続的に変化させることによって、車両周囲の状況を、車両を中心として360度回転させながら確認できるようになっている。このため、運転者は、全方位の画像およびその撮影方向を容易に確認することができる。
【0078】
また、制御部5は、S12で検出した周囲の状況およびS13で撮影した全方位の画像から、自車を取り巻く周囲の状況を把握し、自車を含む車両周囲の情報として速度計に近接する位置に表示する(S15)。
【0079】
より詳細には、制御部5は、全方位カメラ1による撮影結果から、降雨や降雪の有無を把握し、例えば雨が降っている場合には、自車を含む車両周囲の情報を表示する画像として、画像用DB6から降雨状態の画像を選択して表示する。また、雪が降っている場合には、降雪状態を示す画像を選択して表示する。また、距離センサ42による検出結果から、自車の周囲における道路の道幅を検出するとともに、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路(主要道路)に対する自車の向きを検出し、主要道路に対する自車の向きに応じて表示する自車のグラフィック画像の向きを変更する。また、全方位カメラ1による撮影結果および距離センサ42による検出結果に基づいて、自車周囲の障害物を把握し、その障害物に応じた画像を画像用DB6から選択して自車の画像を含むグラフィック画像で表示する。また、全方位カメラ1による撮影結果および相対速度センサ43による検出結果に基づいて、自車の周囲における移動体の形状を把握し、その移動体に応じた画像を画像用DB6から選択して自車の画像を含むグラフィック画像で表示する。
【0080】
また、制御部5は、速度センサ41によって、自車の速度を監視している(S16)。そして、自車の速度が10km/h未満の場合、制御部5は、運転者による発進作業が完了していないものと判断し、S12以降の作業を繰り返す。すなわち、車外センサ類4による車外状況の検出、全方位カメラ1による全方位撮影を継続させ、撮影した画像データを液晶パネル7に順次表示させるとともに、検出した車外状況および撮影結果に基づいて自車および自車の周囲の状況を示すグラフィック画像を順次更新する。
【0081】
一方、S16において、当該車両の速度が10km/h以上に達した場合、制御部5は、運転者による発進作業が完了したものと判断して、通常走行モードに切り替え、発進モードにおける処理を終了する。
【0082】
なお、本システム100では、発進モードにおける処理の実行中に、イグニッションキーがOFFされた場合には、本システム100の電源をOFFにし、すべての処理を中止するようになっている。
【0083】
また、本システム100では、S7の処理において、あらかじめ定めた時間が経過しても、運転者からの入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行うものとしたが、これに限るものではない。例えば、危険要素等の種類に応じて重要度分類を行い、重要度ごとに運転者からの入力がない場合の処理方法を設定しておいてもよい。例えば、すぐに処置を行うことが必ず必要なもの(重要度A)、すぐに処置を行うことが好ましいもの(重要度B)、近い将来に処置を行うことが好ましいもの(重要度C)に分類することが考えられる。この場合、例えば、重要度Aについては運転者の入力がない場合でもS8以降の処理を行い、重要度BおよびCについては運転者の入力がない場合、処置を行わないものとして以降の処理を行うようにしてもよい。
【0084】
また、本システム100では、速度が10km/h以上に達した場合に、制御部5は、運転者による発進作業が完了したものと判断し、通常走行モードに切り替えるものとしたが、通常走行モードに切り替えるタイミングはこれに限るものではない。例えば、他の速度(例えば8km/hや12km/hなど)に達したときに、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。あるいは、パーキングブレーキの解除を検知するセンサを備え、パーキングブレーキが解除された時に、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。また、シフトレバーの位置を検知するセンサを備え、シフトレバーがドライブ位置に入れられた時に、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。また、運転者からの指示に応じて、通常走行モードに切り替えるようにしてもよい。
【0085】
次に、通常走行時(通常走行モード)における処理の流れについて説明する。図3は、本システム100における、通常走行時の処理の流れを示すフロー図である。
【0086】
制御部5は、全方位カメラ1によって、自車を中心とする全方位の撮影を行う(S31)。また、制御部5は、全方位カメラ1によって撮影した画像を、画像記憶部14に順次記憶させる(S32)。すなわち、走行中における車両の周囲360度の画像を、常時録画する。これにより、例えば、走行中に見過ごしてしまったまわりの風景を、後から見直すこともできる。また、録画した情報を、カーナビゲーションシステムの位置情報と連動させることにより、走行経路にかかるムービークリップを作成することもできる。さらに、このように作成したムービークリップは、カーナビゲーションシステムの位置情報と連動しているので、カーナビゲーションにおける道案内にも利用することができる。例えば、右左折すべき交叉点の画像を事前に表示することにより、運転者は、右左折すべき交叉点を容易かつ確実に把握できる。したがって、その交叉点を誤って通り過ぎたり、その交叉点より手前の交叉点で曲がってしまうといった間違いを防止できる。
【0087】
また、制御部5は、車内センサ類3による自車状況の検出(S33)を行う。そして、検出結果に、走行に支障を起こしそうな要素が含まれているか否かを判定する(S34)。例えば、制御部5は、タイヤの空気圧の異常に低下した場合や、燃料が所定の残量以下になった場合に、走行に支障を起こしそうな要素として判断する。
【0088】
そして、走行に支障を起こしそうな要素が含まれていない場合には、S36以降の処理を行う。一方、走行に支障を起こしそうな要素が含まれている場合には、制御部5は、走行に支障を起こしそうな要素の内容および発生箇所を運転者に通知するための、自車を含むグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S35)。なお、この表示は、走行に支障を起こしそうな要素が解消した場合、または運転者からの消去指示があった場合に消去されるようになっている。また、運転者は、走行に支障を起こしそうな要素に対する対処方法のアドバイスを必要に応じて表示させることもできる。すなわち、制御部5は、運転者から対処方法のアドバイスを要求された場合、対処方法をアドバイスするためのアニメーション画像を、画像用DB6から選択して液晶パネル7に表示させるようになっている。なお、走行中にこのような画像を表示することが危険である場合には、例えば、車両を停止した後にのみ表示可能としてもよい。
【0089】
また、制御部5は、運転者からのウインカーの点灯(点滅)指示、すなわち右左折や車線変更等の指示を監視している(S36)。そして、ウインカーの点灯指示がない場合にはS38以降の処理を行う。一方、ウインカーの点灯指示があった場合、全方位カメラ1によって撮影した、ウインカーの点灯を指示された方向における後方の画像を液晶パネル7の速度計とは異なる領域に表示する(S37)。図4は、右方向へのウインカー点灯指示があった場合の、液晶パネル7の表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、全方位カメラ1によって撮影した、自車の後方および右後方の画像52が、速度計50と異なる位置に表示される。なお、速度計50に近接する位置には、自車を含むグラフィック画像51が表示されている。
【0090】
次に、制御部5は、車外センサ類4による自車の周囲状況の検出を行う(S38)。そして、制御部5は、車外センサ類4による検出結果に、注意すべき要素が含まれているか否かを判断する(S39)。そして、車外センサ類4による検出結果に、注意すべき要素が含まれていない場合には、S41以降の処理を行う。一方、注意すべき要素が含まれている場合、その要素を運転者に通知するための、自車を含むグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S40)。
【0091】
例えば、距離センサ42によって検出した、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が、あらかじめ定めた所定の距離以内であった場合に、制御部5は、注意すべき要素として判断する。この場合、制御部5は、全方位カメラ1による撮影結果をもとに、自車に対して所定の距離以内に接近した物体の形状を把握し、把握した形状や自車に対する位置に応じた、自車の画像を含むグラフィック画像を画像用DB6から選択し、速度計に近接する位置に表示する。図5は、自車の右後方から二輪車が所定の距離以内に接近した場合の、表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の右後方に、二輪車のグラフィック画像54が表示され、また、二輪車の接近を通知する文字情報55が表示される。なお、注意すべき要素がある場合、液晶パネル7への表示とともに、その要素に応じた音声データを音声用DB8から選択して、スピーカー9から出力するようにしてもよい。
【0092】
また、上記の説明では、距離センサ42によって検出した、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が、あらかじめ定めた所定の距離以内であった場合に、制御部5は、注意すべき要素として判断するものとしたが、これに限るものではない。例えば、相対速度センサ43によって検出した自車の後方に位置する他の物体の自車に対する相対速度が所定の相対速度以上であった場合に、注意すべき要素として判断するようにしてもよい。すなわち、後方から短い時間で異常接近してくる物体があった場合に、全方位カメラ1による撮影結果をもとに、異常接近してくる物体の形状を把握し、把握した形状や自車に対する位置に応じた、自車の画像を含むグラフィック画像を画像用DB6から選択して、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。あるいは、自車と自車の後方に位置する他の物体との距離が所定の距離以内であって、かつ、相対速度センサ43によって検出した上記他の物体の自車に対する相対速度が所定の相対速度以上であった場合に、注意すべき要素として判断するようにしてもよい。
【0093】
また、制御部5は、例えば、自車の前方を走行中の車両等との距離が、所定の距離以内である場合、すなわち、前方の車両等との車間距離が不足している場合に、注意すべき要素として判断する。図6は、自車の前方を走行中の自動車との車間距離が、所定の距離以内である場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、自動車のグラフィック画像56が表示され、また、車間距離が不足している事を通知する文字情報57が表示される。
【0094】
また、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度は、自車の速度および自車の進行方向に対する他の物体の位置に応じて変更してもよい。運転者が特に注意を要する自車と他の物体との距離または相対速度、あるいは、運転者が何らかの対処を行う必要がある自車と他の物体との距離または相対速度は、自車の速度、および、自車に対して他の物体が位置する方向によって異なる場合がある。例えば、自車の制動距離は、速度によって異なるので、運転者が特に注意を要する自車の進行方向前方に位置する他の物体との間隔は、自車の速度によって異なる。このため、自車の速度、および、自車に対して他の物体が位置する方向に応じて、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度を変更することにより、運転者に対してより適切な情報を提供することができる。なお、この場合、自車の速度および自車に対する他の物体の位置に応じてあらかじめ定めた、注意すべき要素であるか否かを判断する所定の距離および所定の相対速度を記録した一覧表(テーブル)を記憶させておく手段を備えるようにしてもよい。
【0095】
また、本システム100は、上記したように、通信部11を介してITS情報を受信することができるようになっている。そして、制御部5は、通信部11がITS情報を受信することを監視している(S41)。ITS情報を受信していない場合、制御部5は、S44以降の処理を行う。一方、ITS情報を受信した場合、制御部5は、受信したITS情報に、自車の周囲の状況を示す情報(以下、注意情報等という)が含まれているか否かを判断する(S42)。
【0096】
そして、受信したITS情報に注意情報等が含まれていなかった場合には、制御部5は、S44の処理を行う。一方、受信したITS情報に、注意情報等が含まれているには、その情報に対応するグラフィック画像を、画像用DB6から選択し、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する(S43)。
【0097】
なお、例えば、ITS情報に含まれる注意情報等としては、例えば、走行方向前方における路面の凍結情報、トンネル出口付近の横風情報、走行方向前方における停車車両の存在などが考えられる。図7は、路面の凍結情報を受信した場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、路面の凍結を示すグラフィック画像60および路面が凍結している位置までの距離61が表示され、路面の凍結に対する注意を喚起するための文字情報62が表示される。また、図8は、トンネル出口付近の横風情報を受信した場合の、液晶パネル7における表示状態の一例を示す説明図である。この図に示すように、自車のグラフィック画像53の前方に、トンネルおよびトンネル出口付近の横風方向を示す矢印63および風速を示す文字64のグラフィック画像が表示される。また、トンネル出口付近の横風に対する注意を喚起するための文字65が表示される。
【0098】
また、制御部5は、イグニッション指示検知センサ2を介して、イグニッションキーがOFFにされることを監視している(S44)。そして、イグニッションキーがOFFにされていない場合には、S31からS44までの処理を継続する。一方、イグニッションキーがOFFにされた場合、制御部5は、本システム100を停止させ(S45)、すなわち、本システム100の電源をOFFにして、本システム100における処理を終了する。
【0099】
以上のように、本システム100では、自車の状態および周囲の状況を検出し、検出した情報に応じた画像を、液晶パネル7における速度計に近接する位置に表示する。このため、運転者が運転中に注目すべき情報を、1箇所にまとめて表示することができる。したがって、運転中に運転者が視点を移動する箇所を増やすことなく、運転中に注目すべき情報を表示することができる。これにより、運転者の目にかかる負担を軽減できる。また、運転中に注目すべき情報を、運転者が見落とす可能性を低減できる。また、視点を移動する箇所が少ないので、運転者は視線を前方により集中することができ、安全運転に寄与できる。
【0100】
なお、図4〜図8では、円形形状の速度計50を備え、その中央部分に自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51が表示されるようになっているが、これに限るものではなく、速度計50に近接する位置にこれらのグラフィック画像51を表示すればよい。
【0101】
例えば、図9に示すように、速度計50が、右上方向に伸びる傾斜部70と、傾斜部の右端(上端)から右方向に伸びる水平部71とを有するグラフで表示される場合、傾斜部70の右側、かつ水平部71の下側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における左側部分および上側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0102】
また、例えば、図10に示すように、速度計50が左右方向に伸びる棒グラフで表示される場合、速度計50の下側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。あるいは、速度計50の上側における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における上側部分または下側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0103】
また、例えば、図11に示すように、速度計50が上下方向に伸びる棒グラフで表示される場合、速度計50の横方向(左または右)における近接する位置に、自車の状態および周囲の状況を示すグラフィック画像51を表示するようにしてもよい。換言すれば、これらグラフィック画像51の周縁における右側部分または左側部分に速度計50のグラフを表示するようにしてもよい。
【0104】
また、自車の状態および周囲の状況として表示する情報は、上記した例に限るものではない。例えば、自車の状態を検出する車内センサ類3として、上記した方位センサ31、車内温度センサ32、タイヤ空気圧センサ33、燃料残量センサ34のほかに、ドアの開閉状態を検知するドア開閉センサ、ドアの施錠状態を検知するドア施錠センサ、パーキングブレーキの状態を検知するパーキングブレーキセンサ、窓からの突出物(例えば、添乗者の手足など)の有無を検知する突出物センサ、ブレーキランプや方向指示器、ヘッドランプ等の灯火類の点灯可否状態を検出する灯火類センサ、シートベルトの装着状態を検出するシートベルト装着センサ、ハンドルの操舵角を検知するステアリングセンサ、シフト位置を検知するシフト位置センサ、ブレーキオイルやエンジン冷却水、パワーステアリング用オイル、バッテリー液、ウォッシャー液などの各種液類の残量を検知する各種残量センサ、エンジンオイルの劣化度を検知するオイル劣化センサ、タイヤ溝の残量を検出するタイヤ消耗センサ、ブレーキパッドの磨耗状態を検知するブレーキパッド磨耗センサ、電気配線系統の異常の有無を検知する電気系統異常検知センサ、バッテリーの充電量を検知するバッテリーセンサ、エンジン冷却水の水温を検知する水温センサ(いずれも図示せず)などを含んでもよい。すなわち、車内センサ類3には、自車の状態を検知するあらゆるセンサを含むことができる。そして、これらのセンサによって検出した結果から、運転者が注目すべき情報を抽出して、自車のグラフィック画像とともに、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0105】
また、車内センサ類3および車外センサ類4による検出のタイミングは、特に限定されるものではない。各センサの特性あるいは各センサの検出対象の性質に応じて検出するタイミングを設定すればよい。例えば、発進時に必要とされるものについては、イグニッションキーがONにされたタイミングや、ドアの開閉、ドアの開錠などのタイミングに同期させて検出を行うようにしてもよい。また、走行中常に監視する必要があるものについては、走行中常時検出を行うようにしてもよい。
【0106】
また、本システム100では、駐停車状態からの発進時に、距離センサ42による検出結果から、自車の周囲における道路の道幅を検出するとともに、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路(主要道路)に対する自車の向きを検出し、主要道路に対する自車の向きに応じて表示する自車のグラフィック画像の向きを変更するものとしたが、これに限るものではない。例えば、カーナビゲーション情報DB13に記録されている情報から、自車の周囲における道路のうち道幅の最も広い道路を把握し、この道路に対する自車の向きに応じて、表示する自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。
【0107】
また、例えば走行中に、全方位カメラ1による撮影結果から、制御部5が、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示を検出し、その向きに合わせて自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。なお、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示の検出は、全方位カメラ1の撮影結果から検出する方法に限らず、例えば、道路標示を検出するための道路標示検出センサ(路面記号検出装置、図示せず)を別途備えるようにしてもよい。
【0108】
また、方位センサ31によって自車の先端が向いている方位を検出し、検出した方位に応じて自車のグラフィック画像の向きを変更するようにしてもよい。例えば、車体の先端が北を向いている場合、自車のグラフィック画像における自車の先端が上を向くように表示するようにしてもよい。
【0109】
また、路面に引かれた白線、斜線などの道路標示と自車の速度とを検出し、その検出結果に合わせて、道路標示に応じたグラフィック画像を自車のグラフィック画像とともに、速度計に近接する位置に表示するようにしてもよい。
【0110】
また、例えば、全方位カメラ1による撮影結果などに基づいて、制御部5が、自車が停止状態であるか走行状態(移動中の状態)であるかを判定し、判定した状態に応じて、自車およびその周囲の状況を示す画像を変更するようにしてもよい。例えば、停止状態の場合には自車の画像とともに車庫の画像を表示し、走行中の場合には、道路の白線の画像が自車の画像に対して相対的に移動する画像を表示するようにしてもよい。
【0111】
また、本システム100において、自車グラフィック画像を記録した画像用DB6に対して、データの追加、修正を行えるようしてもよい。すなわち、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像を、運転者が任意に変更できるようにしてもよい。例えば、入力部10を介して運転者が画像用DBに保存されている自車および周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更指示を与えることができるようにしてもよい。また、外部接続端子12に、パーソナルコンピュータや外部メモリ等を接続し、これによって画像用DBに保存されている自車および周囲の状況を示すグラフィック画像に対する変更情報を受け付けるようにしてもよい。また、通信部11を介してインターネット回線に接続し、インターネット回線を通じて変更情報をダウンロードするようにしてもよい。また、画像用DBに複数種類の自車のグラフィック画像をあらかじめ記録しておき、それらの中から適切なものを運転者が選択するようにしてもよい。あるいは、変更可能な画像情報を記録した大容量のHD(ハードディスク)を別途備えておき、このHDにあらかじめ記録されているデータの中から選択するようにしてもよい。
【0112】
このように、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像を変更可能とすることにより、例えば自車の改造を行って形状を変更した場合や、塗装によって色を変更した場合でも、自車の状態に応じたグラフィック画像を表示することができる。また、自車の周囲の状況を、運転者が認識しやすい表示形態に変更することもできる。
【0113】
また、自車および周囲の状況を示すグラフィック画像だけでなく、液晶パネル7に表示する各項目のデザインを、運転者がカスタマイズできるようにしてもよい。例えば、速度計やエンジン回転数計、燃料計などの大きさ、形状、色、配置位置(表示位置)を変更可能としてもよい。ただし、例えば速度計などの安全運転上重要な表示項目は、必要な視認性を確保するために、あらかじめ定めた条件の範囲内で変更可能とすることが好ましい。このため、例えば、本システム100に、各表示項目に応じた変更可能範囲を記録したデータベース(図示せず)を備えるようにしてもよい。あるいは、サーバー上にこのようなデータベースを設けておき、運転者が液晶パネル7に表示する各項目のデザインを変更したい場合に、このサーバーに通信回線を介して接続するようにしてもよい。これにより、運転者が変更可能範囲内で好みの表示内容を選択できるようにすればよい。あるいは、運転者の指示が変更可能範囲を超えていた場合に、変更可能範囲内となるように運転者の指示を補正するようにしてもよい。
【0114】
また、本システム100では、全方位カメラ1として、全方位を瞬時に撮影可能なものを用いているが、これに限るものではない。例えば、地表面に垂直な方向を回転軸として特定の方向を撮影可能なカメラを回転させることにより、全方位を順次撮影していくものであってもよい。また、カメラの撮影方向を地表面に垂直な方向とし、当該カメラの撮影軸上に、当該カメラの撮影方向を軸として回転可能な反射板を、当該カメラの撮影軸に対して所定の傾斜角を有するように備え、この反射板が回転する際に反射板に写る画像を撮影するようにしてもよい。
【0115】
また、本システム100では、車両屋根部に全方位カメラ1を備えるものとしたが、全方位カメラ1の設置位置はこれに限るものではない。例えば、車両底部に全方位カメラ1を備えるようにしてもよい。また、全方位カメラ1は、例えば、車両内に格納されており、撮影時にのみ車両外部に露出して全方位の撮影が可能となるものであってもよい。
【0116】
また、全方位カメラ1は、必ずしも1台のカメラで撮影するものでなくてもよい。例えば、複数のカメラを車両の異なる位置に備え、この複数のカメラによって全方位カメラ1を構成してもよい。この場合、複数のカメラの撮影結果を組み合わせることにより、結果として全方位の撮影結果を運転者に提示できる。また、この場合、例えば、車両の対角線上に左前方と右後方、あるいは右前方と左後方にそれぞれカメラを備えるようにしてもよい。また、車両の左右前方および左右後方にそれぞれカメラを備えるようにしてもよい。これらの位置にカメラを備える場合、運転席から死角となる位置あるいは方向を撮影しやすく、安全性をより向上させることができる。
【0117】
また、全方位カメラ1として、赤外線カメラを用いてもよい。あるいは、全方位カメラ1による撮影範囲を照らすための照明手段を備えていてもよい。これらの構成では、夜間の駐停車状態においても、車両周囲の状況を容易かつ確実に把握できる。
【0118】
また、本システム100では、全方位カメラ1を用いて全方位の撮影を行うものとしたが、これに限るものではない。例えば、運転者から死角となる方向(例えば車両前方や、左右後方、後方などの、運転者が直接あるいはドアミラー、ルームミラー等を介して目視確認しにくい部分)を選択的に撮影するようにしてもよい。
【0119】
また、本システム100では、上記したように、アスペクト比が7:3以上という超ワイド(横長)画面を有する液晶パネル7を備えている。これは、従来、車両に搭載されているナビゲーションシステムやテレビ放送用の表示装置の多くが、アスペクト比4:3であるのに対して、その分を差し引くと3:3の正方形状よりワイドな表示領域を残すことができる。そして、その正方形状よりワイドな表示領域に液晶パネル7における表示領域に速度計を表示することができる。速度計は円形のものが最も視認し易いことから好んで用いられるが、残された表示領域が正方形状よりワイドであれば、アスペクト比の短い辺を十分に用いて大きく速度計を表示させることができる。従って、速度計の視認性が良く、安全性を高く保つことが可能となる。すなわち、ナビゲーション画像等の付加的画像と、車両の速度や燃料等の車両状態を示す車両状態画像とを同時に表示させた場合の視認性が向上する。
【0120】
なお、近年はナビゲーションシステムについてはアスペクト比15:9のものもある。この場合は24:9以上のアスペクト比があれば良い。また、同様にテレビ放送では16:9のものもあるが、この場合は25:9以上のアスペクト比があれば良いことになる。
また、液晶パネル7は、アスペクト比がそれぞれ4:3、15:9または16:9のパネルを二つ組み合わせて作成してもよい。この場合、アスペクト比が8:3、30:9、32:9の液晶パネル7を実現できる。また、例えば、アスペクト比がそれぞれ4:3および15:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が27:9の液晶パネル7を形成してもよい。また、アスペクト比がそれぞれ4:3および16:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が28:9の液晶パネル7を形成してもよい。また、アスペクト比がそれぞれ15:9および16:9のパネルを組み合わせることにより、アスペクト比が31:9の液晶パネル7を形成してもよい。なお、アスペクト比の上限値については、短辺側の表示サイズが所定値以上であり、解像度が所定値以上であれば、特に制限は無い。
【0121】
また、短辺側の走査線が468ライン以上であることがさらに好ましい。この場合、短辺側の走査線にWQVGA(Wide Quarter Video Graphics Array;400×234)を2段に表示できることから、ナビゲーションシステムの画像と車の後方画像といったように、複数の画像を表示させるときに、十分な視認性を確保しつつ表示することができる。
【0122】
また、400ライン以上の短辺側走査線を備える構成において、全方位カメラ1によって撮影した画像の長辺側を、液晶パネル7の短辺側と平行に表示するようにしてもよい。この場合、例えば、車両の側方を撮影した画像をWQVGAの解像度(400)で液晶パネル7の縦側(短辺側)に表示することにより、視認性が向上する。また、この構成では、既存のグラフィックチップを使用できるので、製造コストを低減できる。
【0123】
また、400ライン以上の短辺側走査線を備える構成において、全方位カメラ1によって撮影した画像の短辺側を、液晶パネル7の短辺側と平行に表示するようにしてもよい。この場合、例えば、車両の前方または後方を撮影した画像を、WQVGAの横解像度(400)で液晶パネル7の横側(長辺側)に表示することにより、視認性が向上する。なお、全方位カメラ1によって撮影した画像の撮影方向に応じて、液晶パネル7に表示する画像の縦方向と横方向とを切り替えるようにしてもよい。
【0124】
また、本システム100において、全方位カメラ1によって撮影した画像を表示する場合に、速度計やエンジン回転数計、燃料計などの表示方法を変更してもよい。例えば、これらの計器類を数字のみで表示したり、直線状のグラフで表示したりすることにより、視認性を確保した上で、これらの計器類の表示領域を削減してもよい。これにより、全方位カメラ1によって撮影した画像を表示できる領域が広がるので、運転者は車両周囲の状況をより的確に把握することができる。
【0125】
また、全方位カメラ1によって撮影した画像の表示領域を可変とする場合、その表示領域の一辺(一端部)における表示ラインは、表示領域が変化しても一定の位置であることが好ましい。基準点を定めずに、ばらばらな位置に表示されると、表示画像のエッジ(端部)が動くことになるので、運転者の集中力を散漫させたり、視認性を低下させるおそれがある。そこで、表示領域を可変とする場合に、表示位置が移動しない基準点(表示領域の一辺)を定めることにより、不要な画像の揺らぎをなくし、運転者が快適に画像表示を確認できる液晶パネル7を実現できる。
【0126】
また、本システム100では、走行に必要な計器類、および、自車および自車の周囲の状況を示す画像と、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報とを、同一の液晶パネル7に表示するものとしたが、これに限るものではない。例えば、計器類および自車とその周囲の状況を示す画像を表示するための液晶パネルと、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報を表示するための液晶パネルとを、それぞれ別々に設けてもよい。
【0127】
また、本システム100では、速度計等の計器類を液晶パネル7に表示しているが、これに限るものではない。例えば、アナログ式の速度計を備え、この速度計に近接する位置に、自車およびその周囲の状況を示すグラフィック画像を表示する液晶パネルを設けてもよい。
【0128】
また、本システム100では、表示手段として液晶パネル7を用いているが、本システム100に適用可能な表示手段はこれに限るものではない。例えば、表示手段として、有機EL(Electro Luminesence)パネルや、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel)、CRT(Cathode Ray Tube)などを用いてもよい。
【0129】
また、本システム100において、非常用の表示手段(フェールセーフシステム)をさらに設けてもよい。例えば、液晶パネル7が故障する場合や、低温のために反応速度が実用上好ましい速度に達しない場合なども考えられる。このような場合であっても、運転者が安全運転を継続するためには、速度計等が適切に表示される必要がある。そこで、本システム100に、例えば透明ELパネルからなる非常用表示手段(図示せず)を備えてもよい。これにより、液晶パネル7が故障した場合や、表示不良が生じた場合であっても、非常用表示手段に速度計等を表示することができ、運転者は安全に運転を行うことができる。
【0130】
また、本システム100では、速度計等の計器類および自車と自車の周囲の状況を示す画像と、全方位カメラ1によって撮影した画像やカーナビゲーション情報とを、同一の液晶パネル7に表示している。この場合、例えば、計器類の表示領域の輝度よりも他の表示領域の輝度が高くなりすぎると、計器類の視認性が低下する恐れがある。このような事態を避けるためには、他の表示領域における輝度が計器類の表示領域の輝度よりも高くならないようにすることが好ましい。そこで、例えば、他の表示領域の輝度が計器類の表示領域の輝度よりも高くなった場合に、他の表示領域の輝度を計器類の表示領域の輝度よりも下げるようにしてもよい。あるいは、他の表示領域の輝度が、あらかじめ定めた閾値よりも高くならないように、他の表示領域における輝度を閾値以下に制限するようにしてもよい。
【0131】
また、本システム100では、入力部10として液晶パネル7上に設けられたタッチパネルを用いるものとしたが、入力部10の構成はこれに限るものではない。例えば、本システム100専用の入力部10として、キー入力装置やマウスなどを別途備えてもよい。また、オーディオシステムやカーナビゲーションシステムを備えている場合には、それらの入力部(操作部)を兼用するようにしてもよい。また、ドアミラー(フェンダーミラー)の角度等を電動で調整できるシステムを備える場合、これらの操作手段を兼用してもよい。
【0132】
また、本システム100では、当該車両と他の物体との距離を検出する距離センサ42、および、当該車両に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度センサ43を備えているものとしたが、これに限るものではない。例えば、全方位カメラ1によって撮影した画像データをもとに、制御部5が、当該車両と他の物体との距離および当該車両に対する他の物体の相対速度を検出するようにしてもよい。
【0133】
また、上記の説明では、本システム100の電源として、エンジン起動用のバッテリーを用いるとしたが、これに限らず、本システム100に対する電力供給手段を適宜変更してもよい。例えば、本システム100専用の電力供給手段を備えるようにしてもよい。
【0134】
また、本システム100では、通信部11を介してインターネット等の通信回線と接続することにより、例えば、運転者が、駐停車状態から車両を発車させる前に、目的地に関する情報を確認することも可能である。例えば、映画館に行く場合、上映中の映画の内容を事前に確認したり、映画館までの渋滞情報を調べることが可能である。また、チケットの購入や座席の予約を行うことも可能である。あるいは、飲食店の予約を行ったり、その店のメニューを検索してオーダーを行うことも可能である。
【0135】
また、本システム100によって、パーソナルコンピュータ用の各種アプリケーションソフトを実行できるようにしてもよい。すなわち、液晶パネル7は、パーソナルコンピュータ用モニタとして用いることもできる。この場合、本システム100を用いて、ネットワークミーティングを行うことも可能である。なお、本システム100によって各種アプリケーションソフトの実行を行えるようにする場合、例えば、液晶パネル7のフル画面(全表示領域)に各種アプリケーションを表示できるようにしてもよい。
【0136】
また、本システム100の起動などの指示を、通信回線を利用して行うことも可能である。また、全方位カメラ1によって撮影した画像データを、通信回線を利用して外部へ送信可能としてもよい。この場合、車両から離れた位置から本システム100を起動させて、車両周囲の画像を撮影し、その画像を車両から離れた場所で確認するといった利用方法も可能である。
【0137】
また、本システム100は、車両に搭載されるものとしたが、本明細書における車両とは、自動車のほか、自動二輪車、自転車など、移動のために運転者による操縦を必要とする陸上移動手段全般を含む。また、本システム100は、車両に限らず、例えばヘリコプターや航空機、船舶など、移動のために運転者による操縦を必要とするあらゆる移動手段に適用することができる。
【0138】
また、従来、車のメーター表示において、速度計の中央部分には、走行距離などの情報が表示されていた。しかし、走行距離などの情報が必要な状況は限られている。本発明はこの点に着目してなされたものであるということもできる。
【0139】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0140】
例えば、本システム100の制御部5は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0141】
すなわち、本システム100は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである本システム100の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、本システム100に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0142】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0143】
また、本システム100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された搬送波あるいはデータ信号列の形態でも実現され得る。
【産業上の利用の可能性】
【0144】
本発明の状況検出表示システムおよび状況検出表示方法は、自動車、自動二輪車、自転車、ヘリコプター、航空機、船舶など、移動のために運転者による操縦を必要とする、あらゆる移動手段に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムの、概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、駐停車状態からの発車時の処理の流れを示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、通常走行時の処理の流れを示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、ウインカー点灯時の表示状態の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、右後方から二輪車が異常接近してきた場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、前方走行車両との車間距離が不足している場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、路面の凍結情報を受信した場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、トンネル出口付近の横風情報を受信した場合の表示状態の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態の一例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態の他の例を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施の形態にかかる状況検出表示システムにおける、速度計および自車とその周囲の状況を示す画像の表示形態のさらに他の例を示す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムにおいて、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備え、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする状況検出表示システム。
【請求項2】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像における周縁またはその一部に、上記速度計を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項3】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含む画像であることを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項4】
上記移動手段の先端が向いている方位を検出する方位検出手段を備え、上記方位検出手段によって検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項3に記載の状況検出表示システム。
【請求項5】
上記移動手段は駆動力を地面に伝達するためのタイヤと、上記タイヤの空気圧を検出する空気圧検知手段とを備えており、
上記タイヤの空気圧があらかじめ設定した値以下であった場合に、タイヤの空気圧低下を運転者に通知するための画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項6】
上記移動手段と他の物体との距離を検出する距離検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、
上記距離が所定値以下となるように上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項7】
上記移動手段に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、
所定値以上の上記相対速度で上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項8】
上記所定値は、上記移動手段の速度、および/または、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向によって異なることを特徴とする請求項6または7に記載の状況検出表示システム。
【請求項9】
ITS情報を受信する通信手段を備え、受信したITS情報に上記移動手段の周囲の状況を示す情報が含まれていた場合に、
上記ITS情報に基づく、上記移動手段の周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項10】
上記移動手段が移動中の状態であるか否かを検知する手段を備え、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記検知した状態に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項11】
上記移動手段は車両であって、
走行中の路面に引かれている道路標示を検出する手段を備え、
上記検出した道路標示を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項12】
上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段を備え、かつ、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含んでおり、
上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項11に記載の状況検出表示システム。
【請求項13】
上記移動手段は車両であり、
上記移動手段の周囲における道路の道幅を検知する手段と、上記移動手段の周囲における最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段とを備え、
上記最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項3に記載の状況検出表示システム。
【請求項14】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、グラフィック画像であることを特徴とする請求項1または3に記載の状況検出表示システム。
【請求項15】
上記グラフィック画像は変更可能であることを特徴とする請求項14に記載の状況検出表示システム。
【請求項16】
上記グラフィック画像に対する変更指示を受け付けるインターフェースを備えていることを特徴とする請求項15に記載の状況検出表示システム。
【請求項17】
上記移動手段は、駆動手段としての原動機と、当該原動機に対する起動指示を検知する手段とを備えており、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記原動機に対する起動指示と同期して表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項18】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段における、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示方法において、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする状況検出表示方法。
【請求項19】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムを動作させるための状況検出表示システム制御プログラムであって、
上記状況表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備えており、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するように上記表示手段を制御する制御手段として、コンピュータを機能させるための状況検出表示システム制御プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の状況検出表示システム制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【請求項1】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムにおいて、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備え、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする状況検出表示システム。
【請求項2】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像における周縁またはその一部に、上記速度計を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項3】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含む画像であることを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項4】
上記移動手段の先端が向いている方位を検出する方位検出手段を備え、上記方位検出手段によって検出した結果に基づいて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項3に記載の状況検出表示システム。
【請求項5】
上記移動手段は駆動力を地面に伝達するためのタイヤと、上記タイヤの空気圧を検出する空気圧検知手段とを備えており、
上記タイヤの空気圧があらかじめ設定した値以下であった場合に、タイヤの空気圧低下を運転者に通知するための画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項6】
上記移動手段と他の物体との距離を検出する距離検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、
上記距離が所定値以下となるように上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項7】
上記移動手段に対する他の物体の相対速度を検出する相対速度検知手段と、上記他の物体の形状を把握する手段とを備え、
所定値以上の上記相対速度で上記移動手段に接近する物体があった場合に、当該物体の形状に応じた画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項8】
上記所定値は、上記移動手段の速度、および/または、上記移動手段に対して上記他の物体が位置する方向によって異なることを特徴とする請求項6または7に記載の状況検出表示システム。
【請求項9】
ITS情報を受信する通信手段を備え、受信したITS情報に上記移動手段の周囲の状況を示す情報が含まれていた場合に、
上記ITS情報に基づく、上記移動手段の周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項10】
上記移動手段が移動中の状態であるか否かを検知する手段を備え、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記検知した状態に応じて異なることを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項11】
上記移動手段は車両であって、
走行中の路面に引かれている道路標示を検出する手段を備え、
上記検出した道路標示を、上記移動手段の周囲の状況を示す画像として表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項12】
上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段を備え、かつ、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、上記移動手段の画像を含んでおり、
上記道路標示に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項11に記載の状況検出表示システム。
【請求項13】
上記移動手段は車両であり、
上記移動手段の周囲における道路の道幅を検知する手段と、上記移動手段の周囲における最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きを検出する手段とを備え、
上記最も道幅の広い部分に対する上記移動手段の先端の向きに応じて、上記移動手段の画像の向きを変更することを特徴とする請求項3に記載の状況検出表示システム。
【請求項14】
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像は、グラフィック画像であることを特徴とする請求項1または3に記載の状況検出表示システム。
【請求項15】
上記グラフィック画像は変更可能であることを特徴とする請求項14に記載の状況検出表示システム。
【請求項16】
上記グラフィック画像に対する変更指示を受け付けるインターフェースを備えていることを特徴とする請求項15に記載の状況検出表示システム。
【請求項17】
上記移動手段は、駆動手段としての原動機と、当該原動機に対する起動指示を検知する手段とを備えており、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記原動機に対する起動指示と同期して表示することを特徴とする請求項1に記載の状況検出表示システム。
【請求項18】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段における、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示方法において、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示することを特徴とする状況検出表示方法。
【請求項19】
移動のために運転者による操縦が必要な移動手段に搭載され、当該移動手段およびその周囲の状況を検出して運転者に通知する状況検出表示システムを動作させるための状況検出表示システム制御プログラムであって、
上記状況表示システムは、上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像と、上記移動手段の速度を示す速度計とを表示する表示手段を備えており、
上記移動手段およびその周囲の状況を示す画像を、上記速度計に近接する位置に表示するように上記表示手段を制御する制御手段として、コンピュータを機能させるための状況検出表示システム制御プログラム。
【請求項20】
請求項19に記載の状況検出表示システム制御プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−522981(P2007−522981A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522174(P2006−522174)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002685
【国際公開番号】WO2005/080120
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002685
【国際公開番号】WO2005/080120
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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