説明

独居者向けの安否確認システム

【課題】従来の安否確認システムは、予め設定した経過時間を越えなければ、通報せず、通報を受けた相手は、その情報だけでは安否確認の判断が難しかった。
【解決手段】在宅時、人の動きがなくなってからの経過時間や外出してからの外出時間を計測し、過去の履歴と比較して、過去の最長経過時間を超えた時点で過去の履歴などと共に、外部に電子メールなどで通報する。この機能より、通報を受けた相手は、客観的な安否情報を正確に判断できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に独居者の安否を確認し、外部に通報するシステムである。
【背景技術】
【0002】
従来、独居者の安否確認は、水道・ガス・電気などのインフラの使用状況を確認する方法や受動赤外線検知器などで人の動きがないことを検知して安否を確認する方法など様々な方法があった。
【0003】
ところが、どの方法も世帯毎に安否確認システムを一セットずつ、設置しなければならず、導入コストが高価になる。
さらに電話回線やFTTHなどの通信インフラが整っていない世帯は、通信コストの維持費も高額になる。
重ねて、独居者は、高齢者も多く、機器の設定やメンテナンスなどの運用面などに問題があった。
また、独居者は、特にプライバシーを重視する要望が強く、監視カメラなどの設置を拒む場合が多く、安否情報の収集は、視覚以外の方法を用いるしかなく、安否情報の精度に問題が多かった。
以上のような理由で安否確認システムは、広く普及するに至らない現状にあった。
【0004】
しかし、独居者は、高齢者に止まらず、様々な年齢層に、増え続けている現状の中、独居者の孤立死も年齢を問わず、増加傾向にあり、死後、数日以上経過して腐乱死体で発見される場合もあり、大きな社会問題となっている。、
少しでも人間としての尊厳を保った状態で最期を向かえ、且つ、周りの人達に迷惑を掛けないためには、せめて24時間以内に、外部の人達に発見されることが望ましい。
【0005】
また、緊急通報装置は、1988年に当時の厚生省が補助金を出して、全国の自治体に普及を促進してきたが、増え続ける独居高齢者に普及が追いつかない現状にある。
その緊急通報装置もいざという時に手元に緊急通報ボタンがない場合は、役に立たない事例も多い。
その緊急通報装置のセーフティネットの網から漏れた大多数の独居者のために、安価で信頼性の高い安否確認システムの登場が待たれるところであった。
【0006】
本発明により、非常に安価で信頼性の高い安否確認システムが普及することにより、このような社会問題を解決できる一助となるものと期待する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−87864
【特許文献2】特開2001−216585
【特許文献3】特開2002−170181
【特許文献4】特開2003−271747
【特許文献5】特開2006−163929
【特許文献6】International application No.PCT/IL2008/000581
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】孤独死ゼロの町づくり (著者)元木昌彦 (発行所)ダイヤモンド社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の安否確認システムは、人の動きを受動赤外線検知器などで検知し、各検知器と無線で交信するための送受信機、及び記録素子を内蔵した中央演算装置、さらに外部へ電話回線やFTTHなどの有線や携帯電話網などの無線を利用して通報する自動通報装置が一体になった本体(以下コントロールパネルという)に信号を有線や無線で送って、安否の情報を処理して、外部に通報していた。
もし、居住者が急病などで動けなくなった場合、受動赤外線検知器などは人の動きを検知しないので、コントロールパネルには、信号が送信されない状態が続くことになる。
コントロールパネルは、設定された一定時間、受動赤外線検知器からの信号を受信しない場合、電話回線などの有線や携帯電話網などの無線で外部の第三者に音声や電子メール、あるいはSIAやコンタクトIDなどの信号で通報していた。
【0010】
しかし、人の動きを検知出来なくなった無動作の経過時間は、時間が経つ程、重要度が高まってくる。
数時間であれば、就寝中である場合もあるが、6時間や9時間を経過すれば、寝返りもし、トイレに行ったり、台所に水を飲みに行ったりもする。
受動赤外線検知器は、人の動きを検知するが、その時点で人の動きがない場合は、急病かもしれない。
この場合、家族や身内への通報が必要である。
この時点では、電子メールだけの通報で良い場合もある。
【0011】
ところが、12時間も経過すれば、緊急度は高まり、家族や身内は、様子を確認するために現地に行く必要もあり、電子メールだけではなく、電話の音声自動通報も必要になってくる場合もある。
【0012】
さらに、24時間も過ぎれば、身内だけでなく、警備会社や役所、警察、消防署あるいは社会福祉協議会などへの通報も必要になってくる場合もある。
【0013】
48時間経過した場合、孤立死が増加し、腐乱死体で発見される事件が増えてきている現状では、賃貸住宅のオーナーや自治会、管理組合、町会などの人達、民政委員にも通報が必要になってくる場合もある。
【0014】
このように、人の動きを検知出来なくなった時点からの経過時間で重要度は、大きく変化していくのである。
さらに外出中は、身内だけの通報で良い場合もあるが、従来の安否確認システムでは、在宅中や外出中の経過時間によって、通報先や通報方法や通報内容を選別できる安否確認システムはなかった。
【0015】
従って、経過時間によって通報先、通報方法、通報内容を選別する必要があるが、予め任意で設定した経過時間が適切かどうかがまた問題である。
たとえば、6時間動きがなかった場合、イベント発生として通報が入る設定にしたとする。
ところが、独居者は、殆ど寝返りも打たない人でよく熟睡する人である場合、例えばその日は午後9時頃、早めに就寝したとすれば、午前3時頃にイベントとして発報するのである。
電話回線から音声自動通話で「○○宅、人の動きなし」などの通報を受けた人は、夜中に電話で飛び起こされる。
さらに通報を受けた人は、夜中でもあるし、電話で独居者の安否を確認するのも躊躇し、判断に迷うこともある。
しかし、よく寝返りを打つ人は、そのような状況には至らない。
【0016】
つまり、独居者の在宅中の安否確認は、各々の状況が違うことを考慮しなければならない。
この問題を解決するには、各々の独居者に応じて、動きのない時間を何時間にするかを考慮して、予め設定時間を登録しておかなければならないが、初期設定段階では、難しい問題である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
そこで、在宅中の無動作の過去の最長経過時間をコントロールパネルの記録素子に記録しておき、過去の最長の経過時間を超えた時点でイベントとして発報すれば、各々の独居者に応じた対応が出来るので、効果的である。
さらに過去に最長の経過時間を超え、発報したイベント情報も同時に送信すれば、通報先は、安否情報を判断しやすくなる。
また、同時に最初の段階では、親族の携帯電話に電子メールを送るなどの方法にすれば、実用的であり、経過時間に応じて、通報先、通報方法、通報内容を任意に登録できれば、さらに実用的である。
【0018】
また外出時は、玄関扉などに設置した磁気近接スイッチ付き検知器などが扉の開閉を検知した時点で、コントロールパネルが、外出モードと認識し、経過時間の計測が始まる。
コントロールパネルは、過去の最長の外出経過時間を記録しており、その経過時間を超えた段階でイベントとして発報するのである。
【0019】
さらにコントロールパネルには、各検知器である無線局を識別するための識別番号である無線IDを登録するが、その登録した無線IDを世帯毎にグループ分けを行うのである。
各グループは、発信元の登録から経過時間の計測などや通報先、通報方法、通報内容を個別に設定できる。
つまり、従来、各世帯毎に設置されたコントロールパネルに設定していた一世帯分の内容を一つのグルーブの内容として設定し、複数の世帯分の内容を一台のコントロールパネルに設定できるのである。
また、予め数世帯分にグループ分けし、各グループに定められた数の無線IDを登録できるコントロールパネルに各世帯の各々の検知器の無線IDを登録できる簡単設定のコントロールパネルがあってもよいかもしれない。
この無線IDをグループ分け出来る機能により、コントロールパネルに登録できる限られた無線IDの許容数を有効に活用でき、一台のコントロールパネルで多世帯の安否確認が出来ることにより、大幅なコスト削減につながるのである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、個人差が大きい安否情報を過去の履歴と比較して、最長経過時間を過ぎた時にイベントとして発報するので、個別の正確な安否情報となり、過去の履歴も同時に参照でき、安否情報の精度が増すことにより、通報を受ける者が客観的に安否情報を判断できるのが特長である。
【0021】
さらにコントロールパネルに登録出来る無線IDをグループ化することにより、今まで世帯毎に一セットずつ安否確認システムが必要であったが、複数の世帯を纏めて一台のコントロールパネルで管理できるので、大幅なコストの低減が図れ、安否確認システムの普及に弾みがつくものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】過去の在宅時の無動作時間の最長記録や外出時間の最長記録を超えた時、イベントとして発報するアルゴリズム
【図2】コントロールパネルに登録された無線IDをグループ化し、各々のグループが独立したものとして機能するアルゴリズム(発信元+区域タイプ+部屋名登録)[参考例]
【図3】コントロールパネルに登録された無線IDをグループ化し、各々のグループが独立したものとして機能するアルゴリズム(在宅モード登録)[参考例]
【図4】コントロールパネルに登録された無線IDをグループ化し、各々のグループが独立したものとして機能するアルゴリズム(外出モード登録)[参考例]
【図5】ワンルームの独居者宅の居間の壁面のコーナーの床からの高さ180cm〜260cmの範囲に受動赤外線検知器を設置する。さらに玄関扉の枠と玄関扉に磁気近接スイッチ付き検知器を設置する。[参考例]
【図6】1階と2階の全14世帯の独居者宅の居間に受動赤外線検知器1個と玄関扉の開閉部に磁気近接スイッチ付き検知器1個を設置する。ついで、2階への階段登り口付近の外壁面にABS樹脂製キャビネットボックスにコントロールパネルを収納して設置する。コントロールパネルは、FTTH或いは電話回線に接続する。[参考例]
【図7】在宅中に人の動きを検知しなかった記録を過去の履歴と比較して、最長記録を更新した時点で電子メールで携帯電話に送信した内容。無動作開始時間帯は、終日に設定。[参考例]
【図8】在宅中に人の動きを検知しなかった記録を過去の履歴と比較して、最長記録を更新した時点で電子メールで携帯電話に送信した内容。無動作開始時間帯は、午前6時から午後10時の間に設定。[参考例]
【図9】外出時間の記録を過去の履歴と比較して、最長記録を更新した時点で電子メールで携帯電話に送信した内容。[参考例]
【図10】在宅中に人の動きを検知しなかった最長記録を更新後、新たに人の動きを検知し、安否を確認した通知を電子メールで携帯電話に送信した内容。無動作開始時間帯は、終日に設定。[参考例]
【図11】在宅中に人の動きを検知しなかった最長記録を更新後、新たに人の動きを検知し、安否を確認した通知を電子メールで携帯電話に送信した内容。無動作開始時間帯は、午前6時から午後10時の間に設定。[参考例]
【図12】外出時間の最長記録を更新後、帰宅を確認した通知を電子メールで携帯電話に送信した内容。[参考例]
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、コントロールパネルのアルゴリズムに関する発明であり、大別して二つのアルゴリズムから成り立っている。
先ず、過去の無動作や外出時間の最長経過時間と現在の経過時間を常に比較し、過去の最長経過時間を超えた時、イベントとして発報するアルゴリズムである。(図1参照)
次に、コントロールパネルに登録された無線IDをグループ化し、各々のグループが独立した独自のものとして機能するアルゴリズムである。(図2参照)
【0024】
この二つのアルゴリズムを実施するための具体的な形態として、一例を説明する。
例えば、各世帯には、世帯毎に人の動きを検知する受動赤外線検知器などを部屋の間取りに応じて、1個から複数個を部屋のコーナーなどに設置する。
また、外出時の経過時間を測定するために、玄関扉などの開口部に磁気近接スイッチ付き検知器などを設置し、玄関扉の開閉を検知する。
さらにコントロールパネルを賃貸住宅の管理室或いはキャビネットボックスに収納して、廊下や外壁などの共用部に設置する。
【0025】
先ず、各検知器の無線IDをコントロールパネルに登録する。
そして、その登録した無線IDを世帯毎にグループ分けを行う。(図2参照)
各グループは、各々独自の設定が可能で、発信元の登録から経過時間の計測や通報先、通報方法、通報内容などを個別に設定できる。(図3、図4参照)
つまり、従来、各世帯毎のコントロールパネルに設定していた内容を一台のコントロールパネルに各世帯毎の内容を設定できるものである。
この無線IDを世帯毎にグループ分け出来る機能により、コントロールパネルに登録できる無線IDの数を有効に利用でき、一台のコントロールパネルで多世帯の安否確認が出来ることにより、大幅なコスト削減につながるのである。
例えば、28個の無線IDを登録できるコントロールパネルの場合、一世帯に受動赤外線検知器P100を1個と磁気近接スイッチ付き検知器M312を1個の計2個の無線IDを登録する。(図5参照)
それを一つのグループとして登録すれば、14世帯を1台のコントロールパネルで管理できることになる。(図6参照)
しかし、部屋の間取りは様々なため、受動赤外線検知器が2個必要な場合は、無線ID3個を一グループとするため、9世帯を一台のコントロールパネルで管理できる。
さらに緊急通報ボタンも登録した場合、無線ID4個を一グループとするため、7世帯を一台のコントロールパネルで管理できるのである。
このように状況に応じて、無線IDをグループ化できることは、極めて効率の良い設定環境を構築でき、コスト削減につながるのである。
【0026】
具体的な運用方法は、室内に設置した受動赤外線検知器の一つが、人の動きを検知すれば、イベントとして、コントロールパネルに送信される。
コントロールパネルは、受信した無線IDからグループ(発信元)を認識し、在宅モードを開始し、同時に経過時間を計測する時計(以下ストップウォッチという)を作動させる。
このストップウォッチは、グループ内のどの検知器からのイベント信号を受けても、停止する。
つまり、別の受動赤外線検知器からのイベント信号でも、玄関の扉に設置した磁気近接スイッチ付き検知器からのイベント信号でも、人の動きがあったということでストップウォッチは、停止し、リセットされ、新たに計測が始まるのである。
この時、受動赤外線検知器では、在宅モードで計測が始まるが、玄関の扉に設置した磁気近接スイッチ付き検知器からのイベント信号であれば、外出モードとして認識し、外出時間の計測が始まるのである。
もし、玄関を出てすぐに部屋に戻った場合は、室内の受動赤外線検知器が作動するので、すぐに在宅モードに切り替わる。
つまり、ストップウォッチは、在宅モードの間、人の動きがない時間を計測しており、外出モードの時、外出時間を計測しているのである。
【0027】
コントロールパネルは、常にストップウォッチの経過時間と過去の履歴の最長経過時間を比較している。(図1参照)
そして、過去の履歴の最長経過時間を超えた時、イベントとして発報し、過去の最長経過時間を越えて発報した複数のイベント情報の履歴と共に、予め設定した外部の通報先に電子メールで送信されるのである。(図7・図8・図9参照)
イベントを受けた通報者は、最長経過時間を過ぎた時刻や過去の履歴を参考にして、客観的に安否を把握することができるのである。
その後、受動赤外線検知器が、人の動きを検知した場合、コントロールパネルは、今までの経過時間の計測をリセットして、新たに在宅モードとして経過時間の計測を開始すると同時に最長無作動の結果と安否メールを送信する。(図10参照)
【0028】
ここで注目する点は、経過時間の経緯である。最初は、親族などがその現状を把握して、行動できる。
例えば、夜、寝返りなどをうつ習慣の少ない人や夜中に滅多にトイレに行かない人の場合、3時間以上動きがなかってもさほど心配する必要がないかもしれない。
最近の受動赤外線検知器は、高性能で、寝返りでも鋭く反応するが、ペットには一切、反応しないというものもある。
ところが、よく夜中にトイレに行く人や寝返りをよくうつ人が、3時間も動きがなかったら、電話で安否確認をする必要があるかもしれない。
つまり、安否確認は、個人個人の状況が違うことを考慮に入れなければならないのである。
従って、従来の予め経過時間を登録し、定まった経過時間を過ぎれば、通報されるとか、通報先が警備会社だけというのでは、的確できめ細かい安否確認は、出来ないことになる。
【0029】
このような問題解決には、経過時間により、通報先、通報方法、通報内容を選択できる安否確認システムが必要である。
最初は、最長経過時間を過ぎれば、電子メールで親族や友人などに通報が入る。
しかし、その段階では、暫く様子をみてみるということになるかもしれないし、すぐに電話を掛け、応答がなければ、現場に急行しなければならないかもしれない。
ところが、12時間経過した通報であれば、親族には、電子メールだけでなく、電話の自動音声通話で通報する必要があるかもしれない。近隣の方には、電子メールの通知。警備会社には、SIAやコンタクトIDによる信号による通報も必要な場合もある。
さらに24時間も過ぎれば、賃貸住宅のオーナーには、電子メールでの通報や場合によっては、役所や消防署、警察への連絡も必要になってくる。
このように時間の経過で事態は、大きく変化し、時間が経過する程、深刻な状態に陥っている可能性が高いので、それなりの対応が必要になってくるのである。
本発明の過去の最長経過時間を過ぎれば、電子メールなどで通報が入る機能と経過時間により通報先、通報方法、通報内容を選択できる機能を組み合わせれば、従来の安否確認システムの問題点を克服できるのである。
【0030】
親という字は、立ち木に見ると書くが、親は子供の帰りを木の上に登り、心配するものである。
「こんなに帰りが、遅くなるのは初めてよ!」と心配する親は、頭の中に過去の履歴があり、その履歴と比較して、子供の帰宅を心配するのである。
本発明の安否確認システムは、この親の行為を機械にさせたものである。
つまり、玄関扉に設置した磁気近接スイッチ付き検知器が、扉の開閉を検知して、イベントとしてコントロールパネルに信号を送れば、コントロールパネルは、外出モードとして、ストップウォッチを作動させる。(図1)
次に磁気近接スイッチ付き検知器が扉の開閉を検知するか受動赤外線検知器が人の動きを検知するまで、ストップウォッチは、作動し続けるのである。
そして、過去の外出の履歴と比較し、最長外出時間を超えた時点で、イベントとして発報し、電子メールで過去の最長外出時間を超えて発報したイベントの履歴と共に外部の通報先に連絡されるのである。(図9)
通報先が、親族であれば、よく外泊する人か外泊などしたことがない人かを判断でき、その安否情報が次の行動へとタイムリーに移行できるのである。その後、玄関扉に設置した磁気近接スイッチ付き検知器が、扉の開閉を検知した場合、コントロールパネルは、今までの経過時間の計測をリセットして、新たに外出モードとして経過時間の計測を開始すると同時に最長無作動の結果と安否メールを送信する。(図11参照)
【実施例】
【0031】
独居者宅のワンルームマンション101号室の居室の壁面コーナーに受動赤外線検知器P100を1個を設置し、玄関扉と枠に磁気近接スイッチ付き検知器M312を1個を取り付け、各検知器の無線IDをコントロールパネルに登録する。(図5参照)
【0032】
同じ要領で、一階の102号室から107号室、さらに二階の201号室から207号室に受動赤外線検知器と磁気近接スイッチ付き検知器を取り付け、各無線IDをコントロールパネルに登録する。さらにコントロールパネルは、2階へ上がる階段手前の壁面に設置したABS樹脂製キャビネットボックスの中に入れて、電話回線かFTTHなどを利用して外部通信回線に接続する。(図6参照)
【0033】
コントロールパネルは、各検知器で登録した28の無線IDを世帯毎に14グループに分け、各々のグループに発信元の登録(世帯主名や住所や部屋番号など)や通報先、通報方法や通報内容を登録する。
この登録は、既存の技術を使って、従来のようにコントロールパネル設定用ソフトウェアをノートパソコンなどにインストールしておき、現地で直接、コントロールパネルに接続して設定してもよいし、インターネット回線を利用して遠隔操作で設定してもよい。
【0034】
各世帯で発生した在宅中の無動作のイベント情報や外出中のイベント情報などを世帯毎に設定した通報先に安否情報として通報される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
電波法では、セキュリティ機器には、小電力セキュリティシステムの無線局というカテゴリーが割与えられている。
その規格の中で、空中線電力は、10mW以下と定められているが、この規格では、電波の到達距離が100m以内という表記が様々な電子機器などの仕様書に記されていた。
しかし、技術の進歩により、混信を避けるために複数の周波数を飛び移る技術や割り当てられた時間に同期する技術などにより、同じ空中線電力で、到達距離が飛躍的に伸びる技術が開発された。(International application No.PCT/IL2008/000581)
この技術革新により、従来は、各世帯毎にコントロールパネルを設置していたが、中継器など使わず、複数の世帯を一台のコントロールパネルで運用できる時代が訪れたのである。
この技術革新と本発明の相承効果により、いよいよ製品化の目途がついた。
時代が要求している製品を極めて低コストで提供し、社会に貢献していきたいと考える次第である。
【符号の説明】
【0036】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内に設置した活動情報収集手段(例えば受動赤外線検知器など)が検知した信号は、活動情報収集手段や玄関扉などの開閉部に設置した開閉動作検知手段(例えば磁気近接スイッチ付き検知器など)などの検知器と無線で交信するための送受信機、及び記録素子を内蔵した中央演算装置、さらに外部へ電話回線やFTTHなどの有線や携帯電話網などの無線を利用して通報する自動通報装置などの機能が一体もしくは分離した本体(以下コントロールパネルという)に送られる。
コントロールパネルは、その活動情報収集手段から受信した信号をイベント発生と認識し、その時点からコントロールパネルに内蔵した経過時間を計測する時計(以下ストップウォッチという)が作動する。
活動情報収集手段から送られたイベント情報は、人の動きを検知した情報として認識し、以後、活動情報収集手段や開閉動作検知手段からのイベント情報を受信しない時間帯を在宅モードとして、人の動きがない無動作の時間として認識する。
このストップウォッチは、室内に設置した活動情報収集手段や開閉動作検知手段のどの検知器からのイベント信号を受けても、人の動きがあったということで、停止し、リセットされ、新たに計測が始まる。
そして、在宅モード中、過去の履歴と比較して、現在の経過時間が過去の最長の経過時間を過ぎた時、異常イベントとして発報し、外部に通報する安否確認システム。(図1・図7・図8参照)
異常イベントの内容には、今回の無動作開始時間(つまり活動情報収集手段から送られた最後のイベント情報を受信した時間)や過去の最長経過時間を越えて発報した複数のイベント情報などの履歴情報も含まれる。
【請求項2】
玄関扉などの開閉部に設置した開閉動作検知手段が検知した信号は、コントロールパネルに送られる。
コントロールパネルは、その受信した信号をイベント発生と認識し、その時点からストップウォッチが作動する。
コントロールパネルは、開閉動作検知手段から送られてきたイベント情報を、居住者が外出したものと認識し、以後、開閉動作検知手段や活動情報収集手段からのイベント情報を受信しない限り、経過時間を計測し、その間を外出モードとして、居住者が外出中と認識する。
そして、外出モード中、過去の履歴と比較して、現在の経過時間が過去の最長の外出時間を過ぎた時、異常イベントとして発報し、外部に通報する安否確認システム。(図1・図9参照)
異常イベントの内容には、外出した時間(つまり開閉動作検知手段から送られた最後のイベント情報を受信した時間)や過去の最長外出時間を越えて発報した複数のイベント情報などの履歴情報も含まれる。
【請求項3】
コントロールパネルには、開閉動作検知手段や活動情報収集手段の検知器や緊急通報装置、或いは火災警報機などの無線機器が保有する無線局を識別するための識別番号である無線IDを登録する。コントロールパネルは、登録した無線IDあるいは無線IDを認識するモードを2個以上の複数の無線IDあるいは無線IDを認識するモードにまとめてグループ化し、各々のグループ毎、つまり各世帯毎に発信元の登録(世帯主名、世帯主の住所や部屋番号など)や経過時間を計測する時計を内蔵させたり、グループ毎に任意の経過時間に応じて、連絡先、報告方法、報告内容などを設定できるなど様々な世帯情報をグループ毎に登録できるコントロールパネルを用いた安否確認システムあるいは緊急通報システム(図2・図3・図4参照)
【請求項4】
コントロールパネルは、工場出荷時点で、既に開閉動作検知手段や活動情報収集手段の検知器や緊急通報装置、或いは火災警報機などの無線機器が保有する無線IDを登録可能な2個以上の複数のモードにまとめてグループ化し、つまり、グループに登録できる無線IDの数を任意に変更できないものを、各々のグループ毎、つまり各世帯毎に発信元の登録(世帯主名、世帯主の住所や部屋番号など)や経過時間を計測する時計を内蔵させたり、グループ毎に任意の経過時間に応じて、連絡先、報告方法、報告内容などを設定できるなど様々な世帯情報をグループ毎に登録できるコントロールパネルを用いた安否確認システムあるいは緊急通報システム(図2・図3・図4参照)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−234371(P2012−234371A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102626(P2011−102626)
【出願日】平成23年4月30日(2011.4.30)
【特許番号】特許第4984274号(P4984274)
【特許公報発行日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(711002890)
【Fターム(参考)】