説明

独立した自己保持型引張りワイアアクチュエータを備えた医療装置の制御ハンドル

【課題】医療装置の制御ハンドルを提供する。
【解決手段】医療装置の制御ハンドルは、一方向の偏向を含む1つの操作において少なくとも1本の引張りワイアを作動させるための第1の作動部材50と、別の操作において別の引張りワイアを作動させるための第2の作動部材52とを有し、第1及び第2の作動部材は、回転可能に連結されることなく共通の回転軸を有する。第1の作動アセンブリは、第1のアクチュエータ、軸を中心として回転可能なアーム、及び第1のシャフトを有する。第1のアクチュエータとアームとは回転シャフトによって回転可能に連結され、アームは、引張りワイアと係合する少なくとも1個のプーリを有する。第2の作動アセンブリは、第2のアクチュエータ、及びスプール部分を有する第2のシャフトを有する。各作動アセンブリは、アクチュエータが自己保持可能となるように各アセンブリの構成要素間に摩擦トルクを与える摩擦誘引要素を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置のための制御ハンドルに関し、詳細には複数の引張りワイアを制御する複数の機構を有する制御ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療行為で一般的に用いられている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位を除去するために用いられる。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質中で伝播するリエントラント型ウェーブレットによって持続される。外科的又はカテーテル媒介心房切開などの、ウェーブレットを遮断するために様々な方法が開発されている。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、肺静脈、環状静脈洞、又は構造の内周周囲の他の管状構造内の活動を測定するように適合されたマッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用などの様々な技術が提案されている。そのようなマッピングアセンブリの1つとして、カテーテル本体に対してほぼ横断方向、かつその遠位側に位置し、所定の外周を有するほぼ円形の主領域と、主領域の遠位側に位置するほぼまっすぐな遠位領域とからなる管状構造を有するものがある。この管状構造は、少なくともマッピングアセンブリの主要領域を覆う非導電性カバーを備える。形状記憶性を有する支持部材が、少なくともマッピングアセンブリの主要領域内に配置される。それぞれ2個の環電極を含む複数の電極対が、マッピングアセンブリのほぼ円形の主要領域によって支持される。
【0003】
使用中、電極カテーテルは、主要な静脈又は例えば大腿動脈などの動脈内に配置された案内シースに挿入され、心室内に案内される。心室の内部において、カテーテルは案内シースの遠位端を越えて延び、マッピングアセンブリが露出する。カテーテルは、カテーテルの遠位側部分の偏向などの動作を介して操作され、これによりマッピングアセンブリは心室の管状領域に配置される。カテーテルの正確な位置及び向き、並びにマッピングアセンブリの形態を制御する能力は極めて重要であり、カテーテルの有用性を大きく左右する。
【0004】
方向転換可能なカテーテルは一般的によく知られている。例えば、米国再発行特許第Re 34,502号は、その遠位端にピストン室を有するハウジングを備えた制御ハンドルを有するカテーテルについて述べている。ピストンがピストン室内に取り付けられ、縦方向の運動が行われる。細長いカテーテル本体の近位端は、ピストンに取り付けられている。引張りワイアがハウジングに取り付けられ、ピストンを通り、カテーテル本体を通ってカテーテル本体の遠位端の先端部分内へと延びている。引張りワイアの末端は、カテーテルの先端部分内に固定されている。この構成では、ハウジングに対するピストンの縦方向動作によって、カテーテルの先端部分が偏向する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国再発行特許第RE 34,502号に述べられる設計は、1本の引張りワイアを有するカテーテルに一般的に限定される。2方向の偏向が望ましい場合には、1本よりも多い引張りワイアが必要となる。更に、マッピングアセンブリを収縮させるなどの更なる制御が望ましい場合には、追加の引張りワイアが必要となる。更に、追加の引張りワイアを作動するための機構は、この機構によって使用者が継続的な制御を行う必要なくマッピングアセンブリを収縮状態に維持することができるような自己固定式のものであることが望ましい。したがって、手放しの状態で使用できる第3の引張りワイアを動かすことが可能な制御ハンドルが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、医療装置の制御ハンドルに関する。医療装置、特に電気生理カテーテルの作動する構成要素が増えて装置がより複雑化するのにしたがって、制御ハンドルが複数の引張りワイアを独立して制御する必要が生じている。本発明の制御ハンドルは、一方向の偏向を含む医療装置の1つの操作において少なくとも1本の引張りワイア(カテーテルの2方向の偏向を行うための2本の引張りワイアではない場合)を作動させるための第1の作動部材と、医療装置の別の操作において更なる引張りワイアを作動させるための第2の作動部材とを使用し、第1の作動部材と第2の作動部材とは回転可能に連結されることなく共通の回転軸を有する。
【0007】
一実施形態では、1個の要素を操作するための1本の引張りワイアと別の要素を操作するための別の引張りワイアを有する医療装置のための制御ハンドルは、第1の作動アセンブリ及び第2の作動アセンブリを有する。前記第1の作動アセンブリは、第1のアクチュエータ、軸を中心として回転可能なアーム、及び第1のシャフトを有する。前記第1の偏向アクチュエータと前記アームとは前記回転シャフトによって回転可能に連結され、前記アームは、引張りワイアと係合した少なくとも1個のプーリを有する。前記第2のワイア作動アセンブリは、第2のアクチュエータ、及びスプール部分を有する第2のシャフトを有する。使用者による前記第1のアクチュエータの回転によって、前記アームが回転してプーリが動いて前記第1の引張りワイアを引き、これにより前記医療装置の前記第1の要素が操作されるのに対して、使用者による前記第2のアクチュエータの回転によって前記第2の引張りワイアが前記スプール部材に巻き付けられ、これにより前記医療装置の前記第2の要素が操作される。第1の作動アセンブリと第2の作動アセンブリが軸方向に整列され、共通の回転軸を有しているために制御ハンドルの設計が簡素化され、制御ハンドル内の空間が小さくなっているにも関わらず、それぞれの作動アセンブリのシャフトが互いに独立して回転可能であることによって、それぞれの作動アセンブリは他方とは独立して動作し、一方のアセンブリの引張りワイアの作動は、他方のアセンブリの引張りワイアの作動とは独立している。
【0008】
より詳細な実施形態では、各作動アセンブリは、アクチュエータが自己保持可能となるように各アセンブリの構成要素間に摩擦トルクを与える摩擦誘引要素を有する。この特徴によって、制御ハンドルの手放し状態の操作が可能となり、医療装置の各要素の操作を維持するために使用者がアクチュエータを能動的に保持する必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、添付図面と合わせて考慮し、以下の詳細な説明を参照することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び特徴は、残りの構造及び特徴を見やすくするため、図面によっては示されていない点を理解されたい。
【図1】本発明のカテーテルの一実施形態の平面図。
【図2A】第1の直径に沿った、カテーテル本体と中間部分との連結部の一実施形態の側断面図。
【図2B】第1の直径にほぼ垂直な第2の直径に沿った、図2Aの連結部の実施形態の側断面図。
【図3】図2A及び2Bの中間部分の端部断面図。
【図4】遠位アセンブリの一実施形態の側面図。
【図5】5−5線に沿った、図4の遠位アセンブリのほぼまっすぐな近位端部の端部断面図。
【図6】ノブ及びダイアルを示す図1の制御ハンドルの部分図。
【図7】制御ハンドルのハウジングの半部の一実施形態の平面図。
【図8A】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある図7の制御ハンドルのハウジングの半部の概略図。
【図8B】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある図7の制御ハンドルのハウジングの半部の概略図。
【図8C】中間形態、右偏向形態、及び左偏向形態にある図7の制御ハンドルのハウジングの半部の概略図。
【図9】プーリアームの一実施形態の側面図。
【図10】図1の制御ハンドルの端部断面図。
【図11】方向転換アセンブリ及び独立したプーリワイア作動アセンブリの実施形態の分解斜視図。
【図12】制御ハンドルのハウジングの半部の代替的な一実施形態の部分側断面図。
【図13】作動アセンブリのシャフトの一実施形態の斜視図。
【図14A】作動アセンブリのベアリングの一方の側面の斜視図。
【図14B】図14Aのベアリングの反対側の側面の斜視図。
【図15A】キャリヤの一実施形態の一方の側面の斜視図。
【図15B】図15Aのキャリヤの反対側の側面の斜視図。
【図16】プーリの一実施形態の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、医療装置の構成要素の少なくとも2つの独立した動作又は操作を行うための引張りワイアなどの少なくとも2個の引張り部材を備えた医療装置とともに使用するための制御ハンドル10に関する。この制御ハンドルは、例えば、心臓を初めとする組織のマッピング及び/又はアブレーション用に構成された電気生理(EP)カテーテル10など、様々な任意の医療機器とともに使用することができ、この一実施形態は図1に示される。有利な点として、第1のアクチュエータが医療装置の1つの構成を操作するために使用され、第2のアクチュエータが医療装置の別の構成を操作するために使用される。
【0011】
図1のカテーテル10は、細長いカテーテル本体12、細長いカテーテル本体12の遠位端にある偏向可能な中間部分14、及び、中間部分14の遠位端に位置する、例えば、螺旋形状を有する遠位アセンブリ17を有する先端部分15を含む。図1及び6に示される実施形態では、カテーテルとともに使用することができる制御ハンドル16は、制御ハンドル16からカテーテル本体12及び中間部分14を通って延びる少なくとも1本の引張りワイア(2本の引張りワイアでない場合)を作動させて中間部分を1方向又は2方向に偏向させるように構成された、例えば、2方向偏向ノブ50のような第1のアクチュエータを有している。本発明の1つの構成に基づけば、制御ハンドルは、中間部分14から延びる更なる別の(又は第3の)引張りワイアを作動させることによって遠位アセンブリ17の独立した操作又は調節を行う、例えば、遠位アセンブリの螺旋形状を収縮させるための、第1のアクチュエータ50と反対側に位置する、例えば、ダイアル52のような第2のアクチュエータを有している。各アクチュエータは、他方のアクチュエータ又はその引張りワイアに影響することなく、別々に、かつ独立して作動させることができる。
【0012】
図2A及び2Bを参照すると、カテーテル本体12は、1本の中央又は軸方向管腔18を有している。カテーテル本体12は、可撓性すなわち折曲可能であるが、その長さに沿っては実質上、非圧縮性である。カテーテル本体12は、任意の適当な構造のものであってよく、任意の適当な材料で形成することができる。一実施形態では、カテーテル本体12は、ポリウレタン又はPEBAXで形成された外壁22を有する。外壁22は、カテーテル本体12の捻り剛性を高めるために包埋されたステンレス鋼などの編組メッシュを有しており、このため制御ハンドル16が回転させられるとカテーテル10の先端部分がこれに対応して回転する。
【0013】
カテーテル本体12の外径はさほど重要ではないが、好ましくは約2.67mm(8フレンチ)以下である。同様に、外壁22の厚さもさほど重要ではない。外壁22の内面は、任意の適当な材料、好ましくはポリイミドで形成することができる補強管20で裏打ちされている。補強管20は、カテーテル本体12の近位端において外壁22に対して定位置に保持される。第1の接着剤接合部23は、速乾性接着剤、例えば、Super Glue(登録商標)により補強管20の遠位端と外壁22の末端との間に形成される。その後、第2の接着剤接合部25が、より遅乾性ではあるがより強力な接着剤、例えば、ポリウレタンを使用して補強管20の近位端と外壁22の近位端との間に形成される。
【0014】
補強管20は、編組された外壁22とともに高い捻れ安定性を与えると同時にカテーテルの壁厚を最小化することで単一の管腔の直径を最大化する。補強管20の外径は、外壁22の内径とほぼ同じか、又はそれよりもわずかに小さい。ポリイミド管材は、極めて薄い壁にすることができる一方で極めて優れた剛性を与えることから好適である。これにより、強度及び剛性を犠牲にすることなく中央管腔18の直径が最大化される。ポリイミド材料は、折曲される際に捻れる傾向があるため、通常は補強管には使用されない。しかしながら、特にステンレス鋼製の編組メッシュを有するポリウレタン、PEBAX又は他の同様の材料の外壁22と組み合わせると、ポリイミド補強管20が折曲される際に捻れる傾向は、カテーテルが使用される用途に関しては本質的に取り除かれる。
【0015】
一実施形態では、外壁22は、約2.34mm(0.092インチ)の外径及び約1.60mm(0.063インチ)の内径を有し、ポリイミド補強管20は、約1.562mm(0.0615インチ)の外径及び約1.32mm(0.052インチ)の内径を有する。
【0016】
図2A、2B及び3に示されるように、中間部分14は、複数の管腔、例えば、第1の管腔30、第2の管腔31、第3の管腔32、及び第4の管腔33を有する管材19のより短い部分を有している。管材19は、カテーテル本体12よりも可撓性の高い適当な非毒性材料で形成することが好ましい。管材19に適した材料は、編組ステンレス鋼などのメッシュが包埋された編組ポリウレタンである。カテーテル本体12の外径と同様、中間部分14の外径は約2.67mm(8フレンチ)以下であることが好ましい。管腔のサイズはさほど重要ではない。一実施形態では、中間部分は、約2.33mm(7フレンチ、0.092インチ)の外径を有し、各管腔は約0.559mm(0.022インチ)の直径を有する概ね同じサイズであるか、又は選択された管腔が約0.914mm(0.036インチ)のわずかに大きな直径を有してもよい。
【0017】
カテーテル本体12を中間部分14に取り付ける手段が、図2A及び2Bに示されている。中間部分14の近位端は、ポリイミド強化材20の外表面を受容する内側カウンターボア24を有している。中間部分14とカテーテル本体12とは接着剤29などによって取り付けられている。
【0018】
図2A及び2Bに示されるように、例えば、リードワイア及び複数の引張りワイア、並びに任意の他のワイア又はケーブルなどの異なる構成要素が、カテーテル本体12の単一の管腔18を通して延びる。カテーテル本体12に対する引張りワイアの長手方向の運動によって、ユーザーが制御ハンドルを介してカテーテルの様々な部品を制御することが可能である。上記に述べたように、一実施形態では、中間部分14を偏向させるための第1及び第2の引張りワイア42、及び、先端部分15の遠位アセンブリ17を操作及び調節するための第3の引張りワイア35が設けられる。
【0019】
単一管腔のカテーテル12は、単一の管腔18本体によってカテーテル10を回転させる際に先端部の高い制御性が与えられることから複数管腔の本体よりも好ましい場合がある。単一の管腔18は、構成要素をこれに挿通してカテーテル本体の内部において自由に浮動することを可能とする。このような構成要素が複数の管腔の内部に拘束されると、ハンドル16を回転させる際にこれらの構成要素にエネルギーが蓄積し、例えば、ハンドルが解放される場合にカテーテル本体12が逆方向に回転するか、又は湾曲部を回り込んで曲げられる場合に裏返ってしまう傾向が生じるが、これらはいずれも望ましくない性能特性である。
【0020】
更に図3に示されるように、1本の偏向引張りワイア42が、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間部分14の第2の管腔31内へと延びている。別の偏向引張りワイア42が、中央管腔18を通り中間部分14の第4の管腔33内に延びている。これに関し、平面内で2方向の偏向を行うためには管腔31、33は偏心した、互いに正反対の位置になければならない。偏向引張りワイア42の遠位端は、当業者には理解されるように、T字アンカー(図示なし)を用いることによって、中間部分14の遠位端の近くの管材19の壁に固定される。中間部分14では、偏向引張りワイア42はそれぞれ、中間部分14が偏向させられる際に偏向引張りワイア42が中間部分14の管材19の壁に食い込むことを防止する、例えば、Teflon(登録商標)などのプラスチック製シース81を通って延びている。
【0021】
図2Bに示されるように、偏向引張りワイア42を包囲する関係にある圧縮コイル44が、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の近位端へと延びている。圧縮コイル44は、例えば、ステンレス鋼などの任意の適当な金属で形成される。圧縮コイル44は、可撓性、すなわち折曲性を与えるが圧縮には耐えるようにそれ自身に緊密に巻かれている。圧縮コイル44の内径は、好ましくは、引張りワイア42の直径よりもわずかに大きい。例えば、引張りワイア42が約0.18mm(0.007インチ)の直径を有する場合、圧縮コイル44は約0.20mm(0.008インチ)の内径を有することが好ましい。引張りワイア42にコーティングされたTeflon(登録商標)によって、引張りワイア42は圧縮コイル44の内部で自由に摺動することができる。圧縮コイル44の外表面は、可撓性の非導電性シース27によって被覆されることによって、圧縮コイル44とリードワイア及びケーブルなどの他の要素との接触が防止される。一実施形態では、非導電性シースはポリイミド管材で形成される。
【0022】
各圧縮コイル44は、それらの近位端においては接着剤接合部51によってカテーテル本体12内の補強管20の近位端に固定され(図2B)、それらの遠位端においては接着剤接合部49によって第2の管腔31及び第4の管腔33内の中間領域14の近位端付近に固定される(図2B)。
【0023】
図4を参照すると、中間部分14の遠位端には遠位アセンブリ17が配置されている。遠位アセンブリ17は、ほぼまっすぐな近位端側領域38及びほぼ円形の主領域39を含む。近位端領域38は中間部分14に取り付けられ、ほぼ円形の主領域はマッピング及び/又はアブレーションを行うための複数の電極を有している。図5の実施形態では、遠位アセンブリは管材61を有している。遠位アセンブリ上に支持される形状記憶部材54及び電極用のリード線40が、管材61の管腔を通り、中間部分14及びカテーテル本体12内に延びている。
【0024】
開示される実施形態では、第3の引張りワイア、すなわち収縮引張りワイア35が、例えば、心臓の円形領域又は管状領域をマッピング又はアブレーションする際に、ほぼ円形の主領域39を収縮させることによってそ、の直径を変化又は減少させるために設けられる。収縮ワイア35は、以下に更に述べるように、制御ハンドル16内に固定された近位端を有する。収縮ワイア35は、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、中間部分14の第3管腔32を通り(図3)、遠位アセンブリ17内へと延びる(図5)。
【0025】
第3の圧縮コイル46が、カテーテル本体12及び収縮ワイア35を包囲する中間部分シャフト14内に配置されている(図2A)。第3の圧縮コイル46は、カテーテル本体12の近位端から中間部分14の第3の管腔32の遠位端の近くにまで延びている。第3の圧縮コイル46は、ステンレス鋼などの任意の適当な金属で形成され、可撓性、すなわち折曲性を与えるが圧縮には耐えるようにそれ自身に緊密に巻かれている。第3の圧縮コイル46の内径は、収縮ワイア35の直径よりもわずかに大きいことが好ましい。圧縮コイル46の外表面は、例えば、ポリイミド管材で形成された可撓性の非導電性シース68によって被覆されている。第3の圧縮コイル46は、好ましくは正方形又は長方形の断面を有するワイアで形成され、これにより円形の断面積を有するワイアで形成された圧縮コイルよりも圧縮性が小さくなる。その結果、第3の圧縮コイル46は、収縮ワイア35が遠位アセンブリ17を収縮させるように操作されて遠位アセンブリ17がより多くの圧縮を吸収する際に、カテーテル本体12、特に中間部分14が偏向することを防止する。
【0026】
第3の圧縮コイル46は、その近位端において近位端側の接着剤接合部50によってカテーテル本体12の強化管20に固定され、中間部分14には遠位端側の接着剤接合部によって固定される。
【0027】
カテーテル10の全体を通じて、接着剤接合部はポリウレタン接着剤などからなりうる点は理解されるであろう。接着剤は、管材の壁に形成された穴からシリンジなどによって塗布することができる。そのような穴は、針が永久的な孔を形成するために十分に加熱されるチューブ壁を穿孔する、例えば、針等によって形成されてよい。次いで、接着剤は、管材内の部品周辺でウィッキングして、構成要素の全周囲の周りに接着剤接合部を形成するように、孔を通して導入される。
【0028】
遠位アセンブリ17の環電極に付着したリードワイア40は、中間部分14の第1の管腔30(図2A)を通り、カテーテル本体12の中央管腔18を通り、制御ハンドル16を通って延在し、環電極から受信した情報を受信及び表示するための適切なモニター又は他のデバイスに連結される連結装置(図示なし)内の近位端で終端する。カテーテル本体12の中央管腔18、制御ハンドル16及び中間部分14の近位端を通って伸びるリードワイア40の部分は、任意の好適な材料、好ましくはポリイミドで作製できる保護シース63内に封入される。
【0029】
電磁位置センサ(図に示されていない)が遠位アセンブリ17の内部又はその近く、例えば、中間部分14の遠位端の内部に取り付けされる。センサケーブル36が、センサから、中間部分の管腔30内(電極導線ワイア40に沿って)、カテーテル本体12の中央管腔18内、更に制御ハンドル内へと延び、ここで適当なコネクタ(図に示されていない)で終端する。
【0030】
図6及び7に示される実施形態では、制御ハンドル16は、引張りワイア42によって中間部分14を2方向に偏向させるための偏向ノブ50を含む、方向転換又は偏向制御アセンブリ13の各要素を有している。各引張りワイア42は、ステンレス鋼又はニチノールなどの任意の適当な金属で形成される。各引張りワイアは、Teflon(登録商標)コーティングなどの低摩擦コーティングを有することが好ましい。各引張りワイアは、約0.15mm(0.006インチ)〜約0.305mm(0.012インチ)の範囲の直径を有することが好ましい。両方の引張りワイアが同じの直径を有することが好ましい。平板な引張りワイアを丸い引張りワイアの代わりに使用することもできる。その断面の寸法は、丸い引張りワイアと同等の引張強度を与えるようなものでなければならない。
【0031】
また、引張りワイアの全体又は一部を引張り繊維によって置き換えることもよい。繊維は、高分子密度ポリエチレン(例えば、Spectra(商標)又はDyneema(商標))、紡糸パラアラミド繊維ポリマー(例えば、Kevlar(商標))、溶融紡糸液晶ポリマー繊維ロープ(例えば、Vectran(商標))、高強度セラミック繊維(例えば、Nextel(商標))などの実質上、2480〜3200MPa(412〜463ksi)の範囲の最大引張り強度を、好ましくは有する高弾性率の繊維材料とすることができる。本明細書において「繊維(fiber)」なる用語は、引張り繊維が織られた又は編まれた構造体でありうるという点で、複数形の繊維(fibers)と互換可能に使用される。いずれの場合においても、これらの材料は可撓性を有する傾向にあり、カテーテルを偏向する際により大きく動かすため、プーリなどと巻回関係に係合させるのに使用される場合に適当な耐久性を与えるものである。更に、これらの材料は実質上非伸縮性であることから、制御ハンドルの操作に対する反応性が高く、また非磁性であることからMRIではほぼ透明に見える。材料は低密度であるため、X線機器ではほぼ透明となる。短絡を防止するために材料を非電導性とすることもできる。例えば、Vectran(商標)は、高い強度、高い耐摩耗性を有し、電気絶縁体、非磁性であり、ポリマーであり、更に持続的な負荷条件下での伸び率が低い。したがって、本明細書において使用するところの「ワイア」なる用語は、ワイア、引張り繊維、又は、ワイア部分と引張り繊維部分とからなる引張り部材でありうると理解される。
【0032】
偏向ダイアル及び張力調節機構を備えた好適な偏向アセンブリが米国特許第7377906号に述べられており、その全容を本明細書に援用するものである。本発明では、図1、6及び7に示される実施形態を参照する。制御ハンドル16は、任意の適当な剛性材料で形成することができるほぼ細長いハンドルハウジングを有している。ハウジングは、一体構造であってもよく、又は2個の対向する半部16a、16bが接着剤、超音波溶接、又は他の適当な手段によって接合されたものであってもよい。方向転換アセンブリ13は、使用者によるノブ50の操作に応じて中間部分14の2方向への偏向を可能とする。方向転換アセンブリは、その構成要素に対してほぼ中心となる回転軸60を有する。軸60は、制御ハンドルの長手方向軸64に対してほぼ垂直である。
【0033】
図10及び11を参照すると、方向転換アセンブリ13は、第1の制御ノブ50、回転可能なプーリアーム62、及び第1のアクチュエータシャフト66を有している。シャフトは、より小径の端部88、中間部分89、より大径の端部86、及びシャフトの長さにわたって延びる長手方向の通孔100を有している。シャフト66の長さはアーム62よりも大きいため、中間部分89及びより大径の雌端部86のみがアーム62の中央通孔84を通って延び、より小径の端部88はアームから突出している。アームは、シャフト66を挟んで互いに反対の位置にある2個の穴68を有している。各穴は、それに巻回、すなわち巻き付けられる各引張りワイア42と係合して引張りワイア42に作用するプーリ70(図16)を収容している。アーム62とシャフト66とは、互いに整列されたアーム62(図9)内に形成された穴94とより大径の雌端部86内に形成された穴95(図11)とを通って横断方向に延びる圧入連結ピン92によって回転可能に連結される。注意すべき点として、ピンはシャフト66の通孔100内には突出していない。
【0034】
シャフト66のより小径の端部88は、ハウジングの半部16a内に形成された通孔90に挿通され、ノブ50の中央通孔82内に受容される。ノブ50と端部88とは、四角形、六角形、又は八角形状などの相互に噛み合う多角形の断面形状によって回転可能に連結される。これにより、カテーテルを偏向するためには、ノブ50を1方向に回転させるとシャフト66及びアームが同じ方向に回転する。図8a〜8cに示されるように、ノブ50の回転方向のプーリ70がその引張りワイア42を引っ張って中間部分14をその方向に偏向させる一方で、反対側のプーリ70がその引張りワイア42を緩める。このような引張りワイアのペアを引張り、緩める協調した動作によって中間部分14が偏向される。
【0035】
図7及び9を参照すると、引張りワイア42のペアは制御ハンドルの遠位端のポート74から制御ハンドル16に入っている。引張りワイアは、アームに形成されたスリット開口部76(図9)からアーム62に入り、それぞれがスリット開口部76からアームを出る前に約180°にわたってそれぞれのプーリ70の周囲に巻回、すなわち巻き付けられる。
【0036】
それぞれの引張りワイアがそのプーリの周囲で繰り返し行いうる折り曲げサイクルのため、制御ハンドル内部の各引張りワイアの部分、特にプーリの周囲の部分は、応力及び歪みに対する耐久性が高い、上記に述べたような引張り繊維部分から形成することができる。このため、圧着コネクタ80が、第1及び第2のワイア部分42aのそれぞれの近位端を、引張り繊維部分42bのそれぞれの遠位端に連結するために設けられている。
【0037】
図10に最も分かりやすく示されるように、第1のロック押さえネジ96が偏向ノブ50の通孔82につながる開口部98に挿通され、第1のシャフト66の長手方向の通孔100内に受容されている。ロック平坦ヘッド押さえネジ96によってノブ50はシャフト66に固定される。更にシャフト66は、アーム62とハウジングの半部16aとを互いに固定する。シャフト66の中間部分89とより大きな外周の雌端部86との接合部において、肩部102がアーム62の通孔84のより小さい内径と当接する。このため、ロック押さえネジ96がノブ50に対して締め付けられると雌端部86がアーム62に対して引っ張られる。このようにして、アーム62、シャフト66、ノブ50、及びロック押さえネジ96を含む偏向アセンブリ13の構成要素は、ハウジングの半部16aの内部に概ね収容されている。
【0038】
2方向の方向転換アセンブリ13は更に、ワッシャ104(例えば、ベルビルワッシャ)などの摩擦誘引要素を有することによって、偏向ノブ50を自己保持可能なものとしている。図10に示される実施形態では、ワッシャ104は、シャフト66上でハンドルハウジング16aとアーム62との間に配置されている。ワッシャは、ロック押さえネジ96によって予め圧縮負荷がかけられており、ハウジングの半部16aとアーム62との接触面による摩擦トルクを与えることによって、使用者により設定される回転位置にノブ50を保持し、これにより中間部分14の偏向状態を保持する。そのため、ハウジングの半部を、ガラス繊維、例えば、体積にして約30%のガラス繊維で形成することによって、ワッシャが圧縮される際の長期の負荷条件下で永久的歪みが生じるリスクを最小限に抑えることができる。図12には、長期の圧縮負荷下におけるハンドルハウジングの永久歪み又は「クリープ」を防止するため、焼結された金属スリーブベアリング106がハウジングハンドル16aの通孔90の外周に内張りされている(例えば、インサート成形により)別の実施形態が示されている。
【0039】
ハウジングの他方の半部16b内には、第2のシャフト112、ベアリング114、及び作動ダイアル52を含む第2の独立した引張りワイア作動アセンブリ110が概ね収容されている。第3の引張りワイアダイアル52の作動の摩擦による調節を可能とするため、図13に示されるようなシャフト112は、細長いシャフト本体116、一方の端部にリム120を有するスプール部分118、及び、第3の引張りワイア又は収縮ワイア35が巻き付けられ、例えば、シャフト本体を横に貫通する通孔124に通されて結ばれる結び目によって係留されるドラム122を有している。ドラムの大部分が、より大径の雌端部86において第1のシャフト66の通孔100内に受容されることにより、第1のシャフト66と第2のシャフト112とは軸方向に整列される。第1のシャフト66の通孔100内のネック形成部132が所定の深さであるためにアーム62とリム120との間に隙間130が形成され、これにより第2のシャフト112が回転させられる際に第3の引張りワイア35がドラムの周囲に巻き付けられるように隙間130内に幅の狭いドラムの帯が露出する。第3の引張りワイア35がリム120とアーム62との間に挟まれることによって、制御ハンドル内部の他の構成要素と絡まるリスクが最小限に抑えられる。注意すべき点として、より大径の雌端部86における通孔100は、シャフト66とシャフト112とが軸方向に整列し、したがって共通の回転軸を共有する一方で、これらが回転可能に互いに連結されず、したがって互いに独立して回転可能であるようなサイズとなっている。これらは径方向のスリーブベアリング部材として機能する。
【0040】
リム112の反対側のシャフト本体116は、ベアリング114及び第2の作動ダイアル52の中央部分通孔に挿通される。図14aに示されるように、ベアリング114は、ハウジングの半部16bに形成された通孔141内に配置される、より小径の環状ディスク部分141を有している。ベアリング114は更に、ダイアル52に隣接するより大径の環状ディスク部分142を有する。ベアリング114は、制御ハンドルのハウジングの半部の一部として一体成形することができる。
【0041】
互いに反対に位置する2本の径方向横通孔150が、ダイアル52の中央部分通孔136と連通している。ダイアル52とシャフト112との回転可能な連結においてシャフト本体116と摩擦接触するように各通孔150には止めネジ152が挿入されている。
【0042】
作動ダイアル52には、シャフト112と平行な偏心通孔156が形成されている。この通孔は、ベアリング114のより大径の部分142の外側面に形成されたC字状溝160(図14b)と連通している。圧入ピン162が、その端部が溝に受容され溝に沿って動くようにして通孔156に挿入されている。溝の両端部164は、遠位アセンブリ17を調節するための第3の引張りワイア35の最大及び最小移動範囲を設定するダイアル52の回転運動の大きさを限定するうえで、ピン162の係止要素として機能する。溝及び両端部は、制御ハンドルの半部の一部として一体成形することができる点は理解されるであろう。
【0043】
第2のロック押さえネジ168がダイアル52の長手方向の部分通孔136内に受容され、第2のシャフト112の通孔113を介して第2のシャフト112と係合している。ロック押さえネジ168によって、ダイアル52は第2のシャフト112に固定される。更にシャフト112は、ベアリング114とハウジングの半部16bとを互いに固定する。これにより、シャフト112、ベアリング114は、ハウジングの半部16b内に概ね維持される。第2のロックネジ168を締める際には、スクリュードライバー又は六角レンチを回転シャフトの長手方向通孔100に奥深く差し込み(第1のロック押さえネジ96を配置せずに)、第2のシャフト112のドラムの通孔113にまで届かせてシャフト112を動かないように押さえればよい。スクリュードライバー又は六角レンチは、ドラム122において通孔100内に形成された一致するスクリュードライバー受容スロット又は六角形の断面と係合する。使用者が偏向ノブ50を(シャフト66とともに)動かないように押さえた状態で第1のロック押さえネジ96を配置して締め付けることができる。
【0044】
第3の引張りワイア作動アセンブリ110は、ワッシャ170(例えば、ベルビルワッシャ)などの第2の摩擦誘引要素を有することによって、作動ダイアル52を自己保持可能なものとしている。図の実施形態では、ワッシャは第2のシャフト112上で、リム120とベアリング114との間に配置されている。リムによって与えられる大きな接触表面積によって、ダイアル52を自己保持可能とするための摩擦トルクが与えられる。更にワッシャは、第2のロック押さえネジ168によって予め圧縮負荷がかけられており、リム120とベアリング114との接触面による摩擦トルクを与えることによって、使用者により設定される回転位置にダイアル52を保持し、これにより遠位アセンブリ17の調節状態を保持する。
【0045】
収縮ワイア35がドラム122の周囲で繰り返し行いうる折り曲げサイクルのため、制御ハンドル内部の収縮ワイア35は、応力及び歪みに対する耐久性が高い引張り繊維部分から形成することができる。このため、コネクタ180(図9)が、第3の引張りワイア35aの近位端を引張り繊維部分35bの遠位端に連結するために設けられている。図15a及び15bに示されるように、コネクタ180は、制御ハンドルの構造強化形成部としても機能する、ハウジングハンドル16aに形成された中央分割リブ184(図7)に沿って平行移動するキャリヤ182内に受容されている。キャリヤは、コネクタが入れられる凹部188が形成された長方形の本体186を有している。本体186には、コネクタ180の一方の端部において第3の引張りワイア部分35aを、他方の端部において引張り繊維35bを収容するための2個の引き込み口190が形成されている。キャリヤ本体の下面は、リブ184と係合する細長いスロット192を有している。リブは、第1の引張りワイア42と第2の引張りワイア42との間にこれらとほぼ平行に延びている。
【0046】
使用時には、適当な案内シースをその遠位端が所望の位置に配置された状態で患者の体内に挿入する。本発明とともに使用するのに適した案内シースの一例として、バイオサイエンス・ウェブスター社(Biosense Webster,Inc.)(カリフォルニア州ダイヤモンドバー)より市販されるPreface(商標)Braiding Guiding Sheathが挙げられる。シースの遠位端は、例えば、心房などの心室のうちの1つの内部に案内される。本発明の一実施形態に基づくカテーテルは、その遠位端が案内シースの遠位端から延出するまで案内シースを通じて送られる。カテーテルが誘導シースを通じて送られる際、遠位アセンブリ17はシースを通り抜けるようにまっすぐにされる。カテーテルの末端が所望の位置に配置された時点で、誘導シースが近位端方向に引かれると、偏向可能な中間部分14及び遠位アセンブリ17がシースの外側に延出し、遠位アセンブリ17は形状記憶により最初の形状に戻る。
【0047】
次に、偏向ノブ50を操作及び回転させて中間部分14を偏向させることにより、遠位アセンブリ17を肺静脈又は他の管状領域(上大静脈又は下大静脈など)内に、アセンブリ17のほぼ円形の主領域39の外周が管状領域の内周と接触するようにして挿入する。偏向ノブ50を一方向に回すと、中間部分14はその方向に偏向する。偏向ノブ50を反対方向に回すと、中間部分14は反対方向に偏向する。ほぼ円形の主領域の外周の好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは、少なくとも約70%、更により好ましくは、少なくとも約80%が、管状領域の内周に接触する。
【0048】
ほぼ円形の部分39上に電極が円形に配列されていることにより、管状構造の外周における電気的活動を測定することが可能であり、これにより各電極の間で異所性拍動を特定することできる。円形の主領域は肺静脈又は他の管状構造の直径とほぼ一致した直径を有するため、ほぼ円形の主領域39のサイズによって、肺静脈又は心臓若しくは心臓近傍の他の管状構造の直径に沿った電気的活動の測定が可能となる。ダイアル52を操作することにより、ほぼ円形の主領域39は、肺静脈又は他の環状構造に適合するように調節される。開示される実施形態では、ダイアルを一方向に回転させることによって、収縮ワイア35が近位端方向に引かれて、ほぼ円形の領域39を締めてその直径を小さくさせる。ダイアルを他の方向に回転させることによって、収縮ワイア35は緩み、ほぼ円形の領域39は解放されて最初の直径となる。
【0049】
上記の説明文は、現時点における本発明の好ましい実施形態に基づいて示したものである。当業者であれば、本発明の原理、趣旨及び範囲を大きく逸脱することなく、本願に述べた構造の改変及び変更を実施することが可能であることは認識されるところであろう。例えば、第3の引張りワイアがガイドワイア又は針などの別の構成要素を前進及び後退させるようにカテーテルを構成することができる。当業者によれば理解されるとおり、図面は必ずしも一定の縮尺ではない。したがって、上記の説明文は、本願に述べられ、以下の添付図面に示される厳密な構造のみに関係したものとして読み取るべきではなく、むしろ、以下の最も完全で公正な範囲を有するとされる特許請求の範囲と符合し、かつそれらを補助するものとして読み取るべきである。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 使用者によって操作される少なくとも第1の要素及び第2の要素を有し、前記第1及び前記第2の要素をそれぞれ操作するための少なくとも第1の引張りワイア及び第2の引張りワイアを更に有する医療装置のための制御ハンドルであって、
第1のハウジング部分と第2のハウジング部分とを有するハウジングと、
共通の軸を中心として回転可能な第1の作動アセンブリ及び第2の作動アセンブリと、を備え、
前記第1の作動アセンブリは、第1のアクチュエータ、前記軸を中心として回転可能なアーム、及び第1のシャフトを含み、前記第1の偏向アクチュエータと前記アームとは前記回転シャフトによって回転可能に連結され、前記アームは少なくとも1個のプーリを有し、前記第1の引張りワイアは前記少なくとも1個のプーリと係合し、
前記第2のワイア作動アセンブリは、第2のアクチュエータ、及びスプール部分を有する第2のシャフト、を含み、
前記第1のアクチュエータの回転によって、前記アームが回転して前記プーリが動いて前記第1の引張りワイアを引くことで前記医療装置の前記第1の要素が操作され、前記第2のアクチュエータの回転によって前記第2の引張りワイアが前記スプール部材に巻き付けられることで前記医療装置の前記第2の要素が操作される、制御ハンドル。
(2) 前記第1のシャフトが雌端部を有し、前記第2のシャフトが雄端部を有し、前記雄端部が前記雌端部内に受容されることによって前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとが軸方向に整列される、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(3) 前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとが独立して回転可能である(rotationally independent)、実施態様2に記載の制御ハンドル。
(4) 前記第1の作動アセンブリが、前記第1のアクチュエータの回転位置を維持するための第1の摩擦誘引圧縮装置を含む、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(5) 前記第2の作動アセンブリが、前記第2のアクチュエータの回転位置を維持するための第2の摩擦誘引圧縮装置を含む、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(6) 前記第1の作動アセンブリが、前記第1の摩擦誘引圧縮装置の圧縮力を調節するための第1のネジを含む、実施態様4に記載の制御ハンドル。
(7) 前記第2の作動アセンブリが、前記第2の摩擦誘引圧縮装置の圧縮力を調節するための第2のネジを含む、実施態様5に記載の制御ハンドル。
(8) 前記第2の作動アセンブリが、前記第2のアクチュエータの回転範囲を限定するための係止要素を更に含む、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(9) 前記第2の作動アセンブリが、前記スプール部分と前記第2のアクチュエータとの間に概ね配置されたベアリングを含む、実施態様8に記載の制御ハンドル。
(10) 前記ベアリングが溝を有し、前記第2のアクチュエータから突出するピン突起部が前記溝に沿って動く、実施態様9に記載の制御ハンドル。
【0051】
(11) 長手方向の軸を有し、前記回転軸に対してほぼ垂直である、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(12) 前記医療装置が別の引張りワイアを含み、前記第1の作動アセンブリが少なくとも2個のプーリを含み、前記各プーリが各引張りワイアと係合して、前記医療装置を2方向に偏向させる、実施態様1に記載の制御ハンドル。
(13) 細長い本体と、
調節可能な形態を有する遠位アセンブリと、
前記細長い本体を通って延びる第1及び第2の引張りワイアと、
前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延びる第3の引張りワイアと、
制御ハンドルであって、
第1の傾斜及び第2の傾斜が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに対して所定の距離をそれぞれ動くことが可能な第1のノブ及び第2のノブと、
前記引張りワイアの近位端が固定された本体と、
前記第1のノブと前記本体との間に延び、外側端部が前記第1のノブに可動連結され、内側端部が前記本体に可動連結された第1のアームと、
前記第1のノブと前記本体との間に延び、外側端部が前記第1のノブに可動連結され、内側端部が前記本体に可動連結された第2のアームと、を有する制御ハンドルと、を備え、
前記本体が前記第1及び前記第2のアームによって可動に懸吊され、前記第1及び前記第2のノブが前記第1及び前記第2のアームの前記外側端部を作動させて前記傾斜に沿って動かすことで前記外側端部間の分離距離を変化させて、前記引張りワイアが、前記遠位アセンブリの前記形態を調節するために前記所定の距離よりも大きな距離を動く、カテーテル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって操作される少なくとも第1の要素及び第2の要素を有し、前記第1及び前記第2の要素をそれぞれ操作するための少なくとも第1の引張りワイア及び第2の引張りワイアを更に有する医療装置のための制御ハンドルであって、
第1のハウジング部分と第2のハウジング部分とを有するハウジングと、
共通の軸を中心として回転可能な第1の作動アセンブリ及び第2の作動アセンブリと、を備え、
前記第1の作動アセンブリは、第1のアクチュエータ、前記軸を中心として回転可能なアーム、及び第1のシャフトを含み、前記第1の偏向アクチュエータと前記アームとは前記回転シャフトによって回転可能に連結され、前記アームは少なくとも1個のプーリを有し、前記第1の引張りワイアは前記少なくとも1個のプーリと係合し、
前記第2のワイア作動アセンブリは、第2のアクチュエータ、及びスプール部分を有する第2のシャフト、を含み、
前記第1のアクチュエータの回転によって、前記アームが回転して前記プーリが動いて前記第1の引張りワイアを引くことで前記医療装置の前記第1の要素が操作され、前記第2のアクチュエータの回転によって前記第2の引張りワイアが前記スプール部材に巻き付けられることで前記医療装置の前記第2の要素が操作される、制御ハンドル。
【請求項2】
前記第1のシャフトが雌端部を有し、前記第2のシャフトが雄端部を有し、前記雄端部が前記雌端部内に受容されることによって前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとが軸方向に整列される、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項3】
前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとが独立して回転可能である、請求項2に記載の制御ハンドル。
【請求項4】
前記第1の作動アセンブリが、前記第1のアクチュエータの回転位置を維持するための第1の摩擦誘引圧縮装置を含む、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項5】
前記第2の作動アセンブリが、前記第2のアクチュエータの回転位置を維持するための第2の摩擦誘引圧縮装置を含む、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項6】
前記第1の作動アセンブリが、前記第1の摩擦誘引圧縮装置の圧縮力を調節するための第1のネジを含む、請求項4に記載の制御ハンドル。
【請求項7】
前記第2の作動アセンブリが、前記第2の摩擦誘引圧縮装置の圧縮力を調節するための第2のネジを含む、請求項5に記載の制御ハンドル。
【請求項8】
前記第2の作動アセンブリが、前記第2のアクチュエータの回転範囲を限定するための係止要素を更に含む、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項9】
前記第2の作動アセンブリが、前記スプール部分と前記第2のアクチュエータとの間に概ね配置されたベアリングを含む、請求項8に記載の制御ハンドル。
【請求項10】
前記ベアリングが溝を有し、前記第2のアクチュエータから突出するピン突起部が前記溝に沿って動く、請求項9に記載の制御ハンドル。
【請求項11】
長手方向の軸を有し、前記回転軸に対してほぼ垂直である、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項12】
前記医療装置が別の引張りワイアを含み、前記第1の作動アセンブリが少なくとも2個のプーリを含み、前記各プーリが各引張りワイアと係合して、前記医療装置を2方向に偏向させる、請求項1に記載の制御ハンドル。
【請求項13】
細長い本体と、
調節可能な形態を有する遠位アセンブリと、
前記細長い本体を通って延びる第1及び第2の引張りワイアと、
前記細長い本体及び前記遠位アセンブリを通って延びる第3の引張りワイアと、
制御ハンドルであって、
第1の傾斜及び第2の傾斜が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに対して所定の距離をそれぞれ動くことが可能な第1のノブ及び第2のノブと、
前記引張りワイアの近位端が固定された本体と、
前記第1のノブと前記本体との間に延び、外側端部が前記第1のノブに可動連結され、内側端部が前記本体に可動連結された第1のアームと、
前記第1のノブと前記本体との間に延び、外側端部が前記第1のノブに可動連結され、内側端部が前記本体に可動連結された第2のアームと、を有する制御ハンドルと、を備え、
前記本体が前記第1及び前記第2のアームによって可動に懸吊され、前記第1及び前記第2のノブが前記第1及び前記第2のアームの前記外側端部を作動させて前記傾斜に沿って動かすことで前記外側端部間の分離距離を変化させて、前記引張りワイアが、前記遠位アセンブリの前記形態を調節するために前記所定の距離よりも大きな距離を動く、カテーテル。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15A】
image rotate

【図15B】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−106955(P2013−106955A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−251998(P2012−251998)
【出願日】平成24年11月16日(2012.11.16)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】