説明

独立したx及びz方向の動的フォーカルスポット偏向を持つX線管

X線ビーム258を発生するX線管260が提供される。前記X線管は、x方向におけるフォーカルスポット偏向に対する静電グリッド256を有することができ、前記静電グリッドは、陰極250のいずれかの側に取り付けられる。更に、前記X線管は、y方向におけるフォーカルスポット偏向に対する電磁コイル260を有することができ、双極子を形成する前記電磁コイルは、前記X線管の外部に取り付けられ、電子ビーム255が曲の間を通過するように前記陰極と陽極206の標的との間に位置する。前記静電グリッド及び前記電磁コイルは、互いに離れて配置され、電磁z偏向と協力する静電x偏向の組み合わせを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管及びこのようなX線管を含むX線システムに関する。特に、本発明は、x方向及びy方向(したがってz方向)におけるフォーカルスポットの偏向に対する手段を含むX線管に関する。更に、本発明は、このようなX線管を含むX線システムを制御するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
CTシステムの解像度を改良するためにフォーカルスポットを偏向させる概念は、確立されている。シングルライン検出器を使用する最初のアプリケーションは、フォーカルスポットが、約2分の1画素だけ停止位置の周りで横方向又はx方向に振動されるxフライングフォーカルスポットとして知られる技術を採用した。この視差の意図的な導入は、解像度を効果的に二倍にする。
【0003】
ダブルxサンプリングは、標的焦点トラックの接線方向の経路において静止位置の周りで前記フォーカルスポットを振動することにより達成される。前記スポットは、静電グリッドを使用することにより又は電磁石によりのいずれかで約+/−1/2画素だけ変位される。ダブルxサンプリングを用いて、電子ビーム/フォーカルスポットは、前記標的焦点トラックの接線方向のx方向において所定の周波数においてフィラメント/陰極に対して横方向に偏向される。1つの画像が2つの視角において得られた情報を含み、静止画像において前記情報を仮想的に二回含むように各極端な位置においてサンプルが取られる。
【0004】
近年、ダブルzサンプリング、zフライングフォーカルスポットサンプリング又はz動的フォーカルスポットサンプリングは、CT分野において解像度を増加し、アーチファクトを減少させる手段として確立されている。この方法は、前記フォーカルスポットに2つのz位置の間を往復し、したがって検出器行毎に2つのスライスを取得し、z方向におけるサンプリングを二倍にする。例えば、32行の検出器を用いて、この技術は、効果的に64スライスを測定する。
【0005】
ダブルzサンプリングは、本質的に、前記標的焦点トラック上で主にy方向に向けられたベクトルに沿って前記フォーカルスポットを移動することにより達成される。前記焦点トラックは、前記標的の面に対してある角度にある(典型的には7又は8度)ので、y方向における前記フォーカルスポットの移動は、z方向にも移動させ、その距離は、標的角度の正弦に比例する。ダブルzサンプリングの正味の効果は、前記フォーカルスポットを前記検出器行上の2つのz位置の間で往復させることである。これは、検出器行毎に2つの重複するスライスを効果的に取得し、例えば32行において64スライスを得る。したがって、ダブルzサンプリングが、事実上、CTスキャナのスライス性能を二倍にすることができ、32スライススキャナを64スライススキャナにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、同じCTプラットフォームを用いるxフライングフォーカルスポット及びzフライングフォーカルスポットの両方に対する機能を含むことである。他の目的は、一緒に又は独立してのいずれかでこれらの技術を採用する機能を含むことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これは、各独立請求項の対象により達成される。他の実施例は、それぞれの従属請求項に記載される。
【0008】
前記目的は、一般に、X方向におけるフォーカルスポット偏向に対する第1の偏向装置とy方向におけるフォーカルスポット偏向に対する第2の偏向装置とを有するX線ビームを生成するX線管により解決され、前記第1の及び第2の偏向装置は、前記X線管のz軸に沿って互いに離れて配置される。
【0009】
これにおいて、静電グリッドにより形成されることができる前記第1の偏向装置は、陰極カップに取り付けられることができ、更に、陰極ハウジング内に取り付けられることができる。たとえ2つの静電グリッドが通常使用されることができるとしても、2より多いグリッドを持つことは有利でありうる。
【0010】
双極子を構成することができる前記第2の偏向装置は、電磁コイルにより形成されることができ、陰極ハウジングの外側及び陰極と陽極との間に取り付けられることができる。前記X線管の内部の前記陰極カップ自体に1つの偏向装置を取り付けることにより、及び前記X線管の外部の電子ビーム経路の周りに他の偏向装置を取り付けることにより、2つの装置の間の相互作用効果が消去される。
【0011】
単純な双極子電磁石が、所要の磁場を生成するのに少量の磁性材料のみを必要とし、したがって磁気抵抗が非常に低く、磁場を迅速に振動させることを容易化することができることに注意する。
【0012】
本発明の他の実施例によると、前記第2の偏向装置は、前記第2の偏向装置がx方向とy方向との間で斜めに前記フォーカルスポットを変更するようにx方向におけるフォーカルスポット偏向をも提供することができる。この実施例において、前記第2の偏向装置は、前記フォーカルスポットの斜めの偏向を生成するように真のy方向からわずかに回転される。前記第1の偏向装置は、この場合、(1)フォーカルスポット幅を集束させ、(2)これが単独で望まれる場合にx偏向、(3)mA変調、及び(4)y偏向が単独で望まれる又は異なる量が前記斜めの偏向において望まれる場合に前記斜めの偏向のx部分を相殺又は修正するのに使用されることができる。
【0013】
他の実施例によると、前記第1の偏向装置及び前記第2の偏向装置は、静的場又は動的場又はこれらの組み合わせ、すなわち動的場により重畳された静的場を発生するように動作されることができる。
【0014】
両方の偏向装置が、様々な極性で動作されることができると理解される。例えば、前記フォーカルスポットは、静的場の使用により成形及び配置されることができ、静的場の上に動的場を重畳することによりこの位置の周りで振動されることができる。
【0015】
更に、前記X線管の陰極は、1より多いフィラメントを有することができる。例えば、2つのフィラメントは、対応する電子ビームが異なるフォーカルスポットにおいて陽極に衝突するように配置されることができる。異なるサイズを持つフィラメントを持つことも有利でありうる。
【0016】
本発明の他の態様によると、X線システムは、上述のX線管と、X線ビームの検出用の検出器と、処理ユニットとを有する。このようなシステムは、関心対象に対する前記X線管及び検出器の運動を制御し、同時に又は独立して前記関心対象自体の運動を制御するモータ制御ユニットを更に有することができる。このようなX線システムは、例えば、コンピュータ断層撮影システムであることができる。
【0017】
本発明によるX線管は、以下の利点を提供する。
・電子放出は、前記第1の偏向装置、すなわち、例えば静電グリッドに十分な負の電位を印加することにより中断されることができる。
・位置によるフォーカルスポット形状変化は、最小化される。2つの双極子又は四極子−双極子の組み合わせの使用は、異なる偏向位置における異なるフォーカルスポット形状を生成する磁場相互作用及び歪を生じる。
・2つの双極子と比較して、より短い陽極−陰極間隔が可能でありうる。2つの双極子は、おそらく、前記線管軸の方向においてより多くの空間を必要とする。より短い間隔は、より容易な集束を可能にする。
・より高い出力が可能である。静電偏向は、磁気的偏向より速いので、x方向におけるフォーカルスポット移動が前記フォーカルトラックのセクションを追跡することを避ける。前記フォーカルスポットが、前記フォーカルトラックに沿って移動する場合、前記トラックの該当する部分の増加された加熱が存在する。したがって、出力は、標的フォーカルトラックの過熱を避けるように減少されなくてはならない。
・複数のフォーカルスポットが、四極子の使用なしで単一のエミッタを使用して可能でありうる。前記第1の偏向装置は、前記フォーカルスポット幅を修正するのに使用されることができる。
【0018】
本発明が、上述のシステムの処理ユニットに対するコンピュータプログラムにも関することができると理解される。前記コンピュータプログラムは、x方向及びy方向における前記フォーカルスポットの偏向を制御することができる(これは、結果としてz方向における偏向を生じる)。前記コンピュータプログラムは、前記第1の偏向装置及び別々に構成された前記第2の偏向装置を制御することができる。
【0019】
他方で、前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータプログラムにより制御されて、前記システムのモニタに示されることができる画像の基礎として前記検出器から受信されたデータを処理する命令をも含むことができる。
【0020】
更に、前記コンピュータプログラムは、関心対象に対する前記X線管及び検出器の運動を制御し、前記X線管及び検出器に対する前記関心対象自体の運動を制御する命令をも含むことができる。
【0021】
前記コンピュータプログラムは、好ましくは、データプロセッサのワーキングメモリにロードされる。前記データプロセッサは、したがって、本発明の方法を実行する設備を備えている。更に、本発明は、前記コンピュータプログラムが記憶されることができるCD−ROMのようなコンピュータ可読媒体に関する。しかしながら、前記コンピュータプログラムは、ワールドワイドウェブのようなネットワーク上に示されてもよく、このようなネットワークから前記データプロセッサの前記ワーキングメモリにダウンロードされることができる。
【0022】
本発明の実施例が、異なる対象に関して記載されることに注意すべきである。特に、一部の実施例は、方法型請求項に関して記載されるのに対し、他の実施例は、装置型請求項に関して記載される。しかしながら、当業者は、上の及び以下の記載から、他に通知されない限り、1つのタイプの対象に属するフィーチャの組み合わせに加えて、異なる対象に関するフィーチャ間の組み合わせも本出願を用いて開示されると見なされると推測する。
【0023】
上で規定された態様並びに本発明の他の態様、フィーチャ及び利点は、以下に記載される実施例から得られることができ、実施例を参照して説明される。本発明は、本発明が限定されない実施例を参照してより詳細に以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明によるシステムの概観を示す。
【図2】本発明によるX線管の概略図である。
【図3】本出願との関連で使用される座標系を含む陽極の等角図である。
【図4】本発明によるX線管の陽極、電磁コイル及び静電グリッドの相対的な位置を示す。
【図5】本発明によるX線システムを動作する方法のステップを持つフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面における図示は、概略的であり、正しい縮尺ではない。異なる図において、同様の要素が同じ参照符号を与えられることに注意する。
【0026】
図1は、本発明によるX線システム100を示す。前記X線システムは、CTスキャナとも称されるコンピュータ断層撮影システムであることができ、本発明によるX線管が使用されることができる。CTスキャナ100は、回転軸102の周りで回転可能であるガントリ101を有する。ガントリ101は、モータ103を用いて駆動される。
【0027】
参照番号200は、多色放射線107を発することができる本発明によるX線管のような放射線源を示す。CTスキャナ100は、X線源200から放たれたX線放射線を放射線ビーム107に形成する開口システム106を更に有する。放射線源200から放たれた放射線ビームのスペクトル分布は、更に、開口システム106の近くに配置されることができるフィルタ要素(図示されない)により偏向されることができる。
【0028】
コーン形状又はファン形状ビーム107であることができる放射線ビーム107は、患者110の頭部のような関心領域を貫通するように向けられる。
【0029】
患者110は、台112上に配置される。前記患者の頭部は、ガントリ101の中央領域内に配置され、前記中央領域は、CTスキャナ100の検査領域を表す。前記関心領域を通過した後に、放射線ビーム107は、放射線検出器115上に衝突する。X線放射線が前記患者の頭部により散乱され、斜角の下で前記X線検出器上に衝突することを抑制することができるために、散乱除去グリッドが設けられるが、描かれない。前記散乱除去グリッドは、好ましくは、検出器115の直接的に前に配置される。
【0030】
X線検出器115は、X線管200の反対側にガントリ101上に配置される。検出器115は、複数の検出器要素を有し、各検出器要素は、患者110の頭部を通過したX線光子を検出することができる。
【0031】
スキャンプロセスを向上させるために、X線管200内の陰極から来る最初の電子ビームは、第1の偏向装置を用いてX方向に偏向されることができ、第2の偏向装置を用いてy方向に偏向されることができ、この結果、z方向における偏向を生じる。これらの要素は、より詳細に以下に記載される。
【0032】
前記関心領域をスキャンする間に、X線源200、開口システム106及び検出器115は、矢印117により示される回転方向にガントリ101と一緒に回転される。ガントリ101の回転に対して、モータ103は、モータ制御ユニット120に接続され、モータ制御ユニット120自体は、データ処理装置125に接続される。データ処理装置125は、本発明によるコンピュータプログラムの一部を構成するソフトウェアを用いて及び/又はハードウェアを用いて実現されることができる再構成ユニットを含む。前記再構成ユニットは、X線管200における電子ビーム偏向を用いて追加的に調節されることができる様々な観察角度の下で得られた複数の2D画像に基づいて3D画像を再構成する。
【0033】
更に、データ処理装置125は、台112の移動に対するガントリ101の移動を調整するためにモータ制御ユニット120と通信する制御ユニットとしても機能する。台112の線形変位は、モータ113により実行され、モータ113も、モータ制御ユニット120に接続される。
【0034】
CTスキャナの動作中に、ガントリ101は、回転することができ、同時に、台112は、前記関心対象のヘリカルスキャンが実行されることができるように回転軸102に平行に線形にシフトすることができる。回転軸102に平行な方向に変位がなく、回転軸102の周りのガントリ101の回転のみが存在する円形スキャンを実行することも可能であることができることに注意すべきである。これにより、頭部のスライスは、高い精度で測定されることができる。前記患者の頭部のより大きな三次元表現は、少なくとも半分のガントリ回転が各離散的な台位置に対して実行された後に、回転軸102に平行に離散的なステップで台112を順次的に移動することにより得られることができる。
【0035】
検出器115は、前置増幅器118に結合されることができ、前置増幅器118自体は、データ処理装置125に結合される。処理装置125は、異なる投影角度で取得された複数の異なるX線投影データセットに基づいて、前記患者の頭部の3D表現を再構成することができる。
【0036】
前記患者の頭部の再構成された3D表現を観察するために、ディスプレイ126が設けられ、これは、データ処理装置125に結合される。加えて、前記3D表現の透視図の任意のスライスが、プリンタ127により印刷されることもでき、プリンタ127も、データ処理装置125に結合される。更に、データ処理装置125は、画像保管通信システム128にも結合されることができる。
【0037】
モニタ126、プリンタ127及び/又はCTスキャナ100内に与えられる他の装置が、コンピュータ断層撮影装置100に対してローカルに配置されてもよいことに注意すべきである。代わりに、これらの構成要素は、施設若しくは病院内の他の場所、又はインターネット及び仮想プライベートネットワーク等のような1以上の設定可能なネットワークの使用によりCTスキャナ100にリンクされる全体的に異なる場所のように、CTスキャナ100から離れていてもよい。
【0038】
最終的に、処理装置125は、X線管200とも接続される。この接続により、処理装置125は、それぞれ前記第1の及び第2の偏向装置を用いてx及びy方向におけるフォーカルスポット偏向を制御することができる。
【0039】
図2は、異なるX線フォーカルスポットから生じるX線を発生するX線管200を示す。X線管200は、シャフト230を持つ陽極206を有する。シャフト230は、シャフト230がz軸の周りで回転されることができるような形でガイドされる。回転駆動部231は、陽極206の回転運動を可能にするために設けられる。駆動部231は、機械的及び/又は磁気的相互作用点を用いてシャフト230と相互作用することができる。
【0040】
X線管200は、z軸に対して横方向に配置される電子源250を更に有する。ここに記載される実施例によると、前記電子源は、動作中に電子ビーム255を発生する熱い陰極250でありうる。前記電子ビームは、陽極206の上面に衝突する。これにより、フォーカルスポットが規定される。前記上面は、前記フォーカルスポットからX線ビーム258がz軸から外側に半径方向に投射するようにz軸に対して斜めに向けられる。
【0041】
前記フォーカルスポットの正確な位置を制御するために、X線管200は、電子ビーム255をx方向において偏向する第1の電子偏向装置256を更に有する。第1の電子偏向装置256は、例えば静電グリッドにより形成されることができる。第1の電子偏向装置256は、第1の電子偏向装置256に必要な電気信号を提供する制御ユニット125に結合される。例えば、前記グリッドの1つは、−100Vを印加されることができ、前記グリッドの他方は、−50Vを印加されることができる。
【0042】
更に、X線管200は、2つの電磁コイルにより形成されることができる第2の電子偏向装置260を有する。前記陰極カップと前記陽極との間に前記陰極のネックの周りに取り付けられたこのようなコイルが示される。前記コイルは、磁力がy方向において、したがってz方向において偏向を生成するように配置される双極子を構成する。前記第2の電子偏向装置は、制御ユニット125にも結合される。したがって、図2は、独立したx及びy(z)フォーカルスポット偏向を生成する2つの別々の偏向装置の組み合わせを示す。
【0043】
前記双極子が、'U'の脚の間の'U'の底部の周りに配置された唯一の電磁コイルを持つU字型磁気要素により構成されることもできることに注意する。
【0044】
図3は、まず、x、y及びzの従来の方向を示すCT座標系を示す。このCT座標系が患者を基準とし、x方向が前記患者に対して横方向であり、y方向が前記患者に対して縦方向であり、z方向が前記患者の長さに沿っていることに注意する。
【0045】
陽極206の標的エリア上の4つの偏向されたフォーカルスポット位置270も、図3に示される。z方向における偏向は、y方向において前記電子ビームを偏向することにより生成される。これは、前記ビームに斜めのトラックを上らせ、前記フォーカルスポットにz方向に移動させる。
【0046】
x偏向は、解像度を向上する導入された視差を生じ、z偏向は、二重スライス機能を提供する。
【0047】
図4は、前記第1の偏向装置、前記第2の偏向装置及び前記陽極の一部の構成の詳細図を示す。更に、基準座標系が示される。電子放射陰極250は、静電場による力が(矢印Aにより示される)x方向において偏向を生成するように陰極のいずれかの側に取り付けられた前記第1の偏向装置、ここでは2つの静電グリッド256、とともに示される。前記陰極から来ると、電子は、この後に、(矢印Bにより示される)y方向において電子の偏向を誘導するように配置された前記第2の偏向装置、ここでは電磁コイル260、の磁場を通る。最終的に、各電子は、前記陽極の標的エリア270に衝突する。
【0048】
図5は、上記のX線システムを動作する方法のステップを持つフローチャートを示す。これらのステップは、本発明によるコンピュータプログラム内の命令として実施される。前記方法に対して記載されるステップが主要なステップであり、これらの主要なステップが複数のサブステップに分化又は分割されてもよいと理解されたい。更に、これらの主要なステップの間にもサブステップが存在しうる。したがって、ステップは、前記ステップが本発明による方法の原理の理解に対して重要である場合にのみ、述べられる。
【0049】
ステップS1において、前記X線管及び前記検出器は、モータ103及び113を制御する手段により、前記関心対象に対して配置される。
【0050】
ステップS2において、X線管200内の陰極250により放たれた電子ビームは、第1の偏向装置256を制御する手段により、x方向において偏向される。
【0051】
ステップS3において、第1の偏向装置256から来る電子ビームは、第2の偏向装置260を制御する手段により、y方向において偏向される。
【0052】
ステップS4において、前記X線管を離れ、前記関心対象を貫通する電子ビームは、前記検出器の前記検出器要素に衝突する。
【0053】
最後に、ステップS5において、画像が、前記検出器要素から受信された信号に基づいて処理ユニット125により生成される。
【0054】
本発明は、図面及び先行する説明において詳細に図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、限定的ではなく、説明的又は例示的であると見なされるべきである。本発明は、開示された実施例に限定されない。
【0055】
開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求された発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。請求項において、単語"有する"は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞"ある"は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載される複数のアイテムの機能を満たしてもよい。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は一部として与えられる光学記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体上に記憶/分配されてもよいが、インターネット又は他の優先又は無線電気通信システムを介するような他の形で配信されてもよい。請求項内の参照符号は、その範囲を限定すると解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0056】
100:X線システム
101:ガントリ
102:回転軸
103,113:モータ
106:開口システム
107:放射線
110:患者
112:台
115:検出器
117:回転方向
118:前置増幅器
120:モータ制御ユニット
125:処理装置
126:ディスプレイ
127:プリンタ
128:保管通信システム
200:X線管
206:陽極
230:シャフト
231:回転駆動部
250:電子源/陰極
255:電子ビーム
256:第1の電子偏向装置
258:X線ビーム
260:第2の偏向装置
270:フォーカルスポット位置/標的エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線ビームを発生するX線管において、前記X線管が、
x方向におけるフォーカルスポット偏向に対する第1の偏向装置と、
y方向におけるフォーカルスポット偏向に対する第2の偏向装置と、
を有し、
前記第1及び第2の偏向装置が、前記X線管のz軸に沿って互いに離れて配置される、
X線管。
【請求項2】
前記第1の偏向装置が、静電グリッドを含み、前記X線管の陰極カップに取り付けられる、請求項1に記載のX線管。
【請求項3】
前記第2の偏向装置が、双極子を形成する電磁コイルを含み、前記X線管の陰極と陽極との間に取り付けられる、請求項1に記載のX線管。
【請求項4】
前記第2の偏向装置は、前記第2の偏向装置が斜めに前記フォーカルスポットを偏向するようにx方向におけるフォーカルスポット偏向をも提供する、請求項1に記載のX線管。
【請求項5】
前記第1の偏向装置が、静的場、動的場及び動的場により重畳された静的場からなるグループの中の場を発生するように動作される、請求項1に記載のX線管。
【請求項6】
前記第2の偏向装置が、静的場、動的場及び動的場により重畳された静的場からなるグループの中の場を発生するように動作される、請求項1に記載のX線管。
【請求項7】
1以上のフィラメントを持つ陰極を有する、請求項1に記載のX線管。
【請求項8】
請求項1に記載のX線管と、
X線ビームの検出に対する検出器と、
処理ユニットと、
を有するX線システム。
【請求項9】
関心対象に対する前記X線管及び検出器の運動を制御し、前記関心対象の運動を制御するモータ制御ユニットを有する、請求項8に記載のX線システム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムの処理ユニット上で実行される場合に、前記X線システムの前記X線管の前記第1の偏向装置にx方向において電子ビームのフォーカルスポットを偏向させ、前記X線システムの前記X線管の前記第2の偏向装置にy方向において電子ビームのフォーカルスポットを偏向させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項11】
関心対象の画像を生成するように前記検出器から受信されたデータを処理し、前記システムのディスプレイ上に前記画像を示す命令を含む、請求項10に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
関心対象に対する前記X線管及び検出器の運動を制御し、前記X線管及び検出器に対する前記関心対象の運動を制御する命令を含む、請求項10に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−502033(P2013−502033A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524311(P2012−524311)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053444
【国際公開番号】WO2011/018729
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】