説明

狭域通信車載器

【課題】不正な料金決済を防止できるようにする。
【解決手段】路側機から料金決済の実施確認コマンドを受信すると、携帯端末から当該携帯端末に登録されたカード識別情報を取得し、カード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報を取得し、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行い(S308)、カード識別情報が一致すると判定された場合、料金決済のための処理を実施し(S312)、カード識別情報が一致しないと判定された場合、料金決済のための処理を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側機と狭域通信を行う無線部と、決済カードを挿入するカード挿入口を有し、路側機との通信を介して決済カードによる料金決済のための処理を実施する狭域通信車載器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、DSRC(狭域通信)車載器とナビゲーション装置を接続して、サービスエリアやドライブイン等に設置された路側機とDSRC通信を行うことで有料道路の料金決済、VICS情報の受信、クレジットカード決済等の様々なITSスポットサービスを提供するシステムが実用化されている。
【0003】
このようなシステムでは、クレジットカード決済を行う場合、ユーザの意に反した決済処理が行われることのないように、ユーザの許可を得る必要がある。このため、例えば、予めDSRC車載器にクレジットカードを挿入しておき、路側機からのカード決済確認コマンドの送信に応じて、ナビゲーション装置の表示画面に「カード決済を行いますか?(はい/いいえ)」といった決済許可の確認画面を表示させ、この確認画面に従ってユーザにより「はい」が選択されると、路側機とDSRC車載器との間でクレジットカード決済のための処理が行われるようになっている。
【0004】
また、ナビゲーション装置に代えてスマートフォン等の携帯端末をDSRC車載器と無線接続し、携帯端末をHMI(ヒューマンマシンインタフェース)としてユーザの許可を確認するようにして、各種サービスを提供するシステムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−165122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載されたようなシステムでは、DSRC車載器と携帯端末との通信が無線で行われるようになっているため、車外にいる第三者が所有する携帯端末と通信接続され、車外にいる第三者の操作によって不正にクレジットカード決済が許可され、カード決済が実施されてしまう可能性がある。
【0007】
そこで、携帯端末とDSRC車載器との通信を暗号化して秘匿性を向上させることも考えられるが、暗号化の設定を忘れてしまうと不正なカード決済サービスが実施されてしまう。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みたもので、不正な料金決済を防止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、路側機と狭域通信を行う無線部と、決済カードを挿入するカード挿入口と、を有し、路側機との通信を介して決済カードによる料金決済のための処理を実施する狭域通信車載器であって、携帯端末と通信接続するための携帯端末接続部を備え、路側機からカード挿入口に挿入された決済カードによる料金決済の実施確認コマンドを受信すると、携帯端末接続部を介して接続された携帯端末から当該携帯端末に登録されたカード識別情報を取得するとともに、カード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報を取得し、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うカード識別情報判定手段と、カード識別情報判定手段によりカード識別情報が一致すると判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理を実施し、カード識別情報判定手段によりカード識別情報が一致しないと判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理を禁止する料金決済処理手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、路側機からカード挿入口に挿入された決済カードによる料金決済の実施確認コマンドを受信すると、携帯端末接続部を介して接続された携帯端末から当該携帯端末に登録されたカード識別情報を取得するとともに、カード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報を取得し、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行い、カード識別情報が一致すると判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理を実施し、カード識別情報が一致しないと判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理が禁止されるので、不正な料金決済を防止することができる。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、カード識別情報判定手段によりカード識別情報が一致しないと判定された場合、携帯端末接続部を介してカード識別情報が一致しない旨を携帯端末に通知する携帯端末通知手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、カード識別情報判定手段によりカード識別情報が一致しないと判定された場合、携帯端末接続部を介してカード識別情報が一致しない旨が携帯端末に通知されるので、携帯端末にカード識別情報が一致しない旨を表示させてユーザに通知することが可能である。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、決済カードによる料金決済のための処理が禁止された場合、無線部を介して路側機へ決済カードによる料金決済のための処理が未実施である旨を通知する路側機通知手段を備えたことを特徴としている。
【0014】
このように、決済カードによる料金決済のための処理が禁止された場合、無線部を介して路側機へ決済カードによる料金決済のための処理が未実施である旨を通知することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であるか否かを判定する決済カード挿入判定手段を備え、カード識別情報判定手段は、決済カード挿入判定手段によりカード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うことを特徴としている。
【0016】
このように、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定が行われるので、カード挿入口に挿入された決済カードが別の決済カードに入れ替えられても、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うことができる。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、携帯端末接続部を介して携帯端末と接続された状態であるか否かを判定する接続状態判定手段を備え、カード識別情報判定手段は、決済カード挿入判定手段によりカード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定され、かつ、接続状態判定手段により携帯端末接続部を介して携帯端末と接続された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うことを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定され、かつ、携帯端末接続部を介して携帯端末と接続された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定が行われるので、精度良くカード識別情報の一致判定を行うことができる。
【0019】
なお、請求項6に記載の発明のように、カード識別情報は、決済カードに固有に付与されたカード番号とすることができる。
【0020】
また、請求項7に記載の発明のように、決済カードはクレジットカードであり、カード識別情報は、クレジットカードのクレジットカード番号および有効期限情報とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】DSRC車載器の全体構成を示す図である。
【図2】DSRC車載器の制御部のフローチャートである。
【図3】携帯端末の制御部のフローチャートである。
【図4】携帯端末の表示部の表示例を示す図である。
【図5】DSRC車載器の制御部のフローチャートである。
【図6】携帯端末の制御部のフローチャートである。
【図7】路側機とDSRC車載器と携帯端末間のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施形態に係る狭域通信車載器(DSRC車載器)の全体構成を図1に示す。本DSRC車載器1は、有料道路の料金所等に設置された路側機2との間で、2.4ギガヘルツ(GHz)帯の電波を利用した狭域通信(DSRC通信)を行って有料道路の料金決済を実施するETC(ETCは登録商標)車載器としての機能と、サービスエリアやドライブイン等に設置された路側機2との間で、5.8ギガヘルツ(GHz)帯の電波を利用したDSRC通信を行うことで、VICS情報の受信、クレジットカード決済等のITSスポットサービスの提供を行うITSスポットサービス提供装置としての機能を兼ね備えている。
【0023】
DSRC車載器1は、無線部10、音声出力部11、外部機器接続部12、カード情報読取部13、表示部14、入力操作部15および制御部16を備えている。
【0024】
無線部10は、2.4ギガヘルツ(GHz)帯の電波を送受信する送受信アンテナと、5.8ギガヘルツ(GHz)帯の電波を送受信する送受信アンテナを有しており、有料道路の料金所等に設置された路側機2との間でDSRC通信を行うとともにサービスエリアやドライブイン等に設置された路側機2との間でDSRC通信を行う。
【0025】
音声出力部11は、制御部16より入力される音声信号に応じた音声を出力するものである。
【0026】
外部機器接続部12は、携帯端末3と直接通信するためのものである。本実施形態における外部機器接続部12は、携帯端末3との間で無線LANによる通信を行うようになっている。
【0027】
カード情報読取部13は、カード挿入口に挿入された決済カードに記憶されたカード情報の読み取りを行う。本DSRC車載器1は、ETCカードを挿入するためのETCカード用カード挿入口と、クレジットカードを挿入するためのクレジットカード用カード挿入口を有している。カード情報読取部13は、ETCカード用カード挿入口に挿入されたETCカードのカード情報の読み取りと、クレジットカード用カード挿入口に挿入されたクレジットカードのカード情報の読み取りを独立して行うことが可能となっている。なお、ETCカードおよびクレジットカードのカード情報には、それぞれ契約者名、カード識別番号、有効期限等の情報が含まれる。
【0028】
表示部14は、緑色LED、赤色LED等を有しており、制御部16からの制御信号に応じて各LEDを点灯または消灯させる。
【0029】
入力操作部15は、カード挿入口に挿入したカードを取り出すためのイジェクトスイッチ、利用履歴の音声案内を指示するための案内スイッチ等、複数のメカニカルスイッチを有しており、ユーザのスイッチ操作に応じた信号が制御部16へ出力されるようになっている。
【0030】
制御部16は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0031】
制御部16の処理としては、有料道路の料金所等に設置された路側機2との間でDSRC通信を行い、有料道路の料金決済を実施するETC決済処理、サービスエリアやドライブイン等に設置された路側機2との間でDSRC通信を行い、クレジットカード決済を行うカード決済処理等がある。
【0032】
路側機2は、有料道路の料金所、サービスエリアやドライブイン等に設置されている。路側機2は、無線部20および制御部21を備えている。
【0033】
無線部20は、2.4ギガヘルツ(GHz)帯の電波を送受信する送受信アンテナと、5.8ギガヘルツ(GHz)帯の電波を送受信する送受信アンテナを有しており、各車両に搭載されたDSRC車載器1とDSRC通信を行う。
【0034】
制御部21は、情報センタのサーバ(図示せず)と通信接続されている。制御部21は、各車両に搭載されたDSRC車載器1とDSRC通信により、有料道路の料金決済、VICS情報の配信、クレジットカード決済等のITSスポットサービスの提供を行う。
【0035】
携帯端末3は、携帯電話機能と携帯端末(PDA)機能を搭載した、所謂スマートフォンとして構成されている。携帯端末3は、表示部30、入力操作部31、外部機器接続部32および制御部33を備えている。
【0036】
表示部30は、液晶等のディスプレイを有し、制御部33より入力される映像信号に応じた映像をディスプレイに表示させる。
【0037】
入力操作部31は、ディスプレイの前面に重ねて設けられたタッチスイッチ、ディスプレイの周囲に設けられたメカニカルスイッチを有し、ユーザのスイッチ操作に応じた信号を制御部33へ出力する。
【0038】
外部機器接続部32は、通話、パケット通信、無線LANによる通信を行う通信モジュールとして構成されている。
【0039】
制御部33は、CPU、RAM、ROM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0040】
制御部33の処理としては、各種通信のための処理、メモリに記憶された各種アプリケーションの実行処理等がある。
【0041】
本DSRC車載器1は、路側機2との通信を介してクレジットカードによる料金決済のための処理を実施する。また、本DSRC車載器1は、この料金決済のための処理において、携帯端末3をHMI(ヒューマンマシンインタフェース)としてユーザの許可を確認するようになっている。
【0042】
以下、路側機2との通信を介してクレジットカードによる料金決済のための処理を実施する処理について説明する。
【0043】
図2に、DSRC車載器1の制御部16のフローチャートを示す。制御部16は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、定期的に図2に示す処理を実施する。
【0044】
まず、クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入され、かつ、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となっているか否かを判定する(S100)。
【0045】
クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入されていない場合、あるいは、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となっていない場合、S100の判定はNOとなり、S100の判定を繰り返す。そして、クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入され、かつ、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となると、S100の判定はYESとなり、次に、カード決済実施有無確認コマンドを路側機2から受信したか否かを判定する(S102)。
【0046】
ここで、カード決済実施有無確認コマンドが路側機2から受信されない場合、S102の判定はNOとなり、S102の判定を繰り返し実施する。そして、車両が路側機2との通信可能領域に進入し、路側機2から無線部10を介してカード決済実施有無確認コマンドが受信すると、S102の判定はYESとなり、次に、外部機器接続部12を介してカード決済実施有無確認コマンドを携帯端末3へ中継する(S104)。具体的には、DSRC車載器1から携帯端末3へ無線LANを介してカード決済実施有無確認コマンドが中継される。
【0047】
図3に、携帯端末3の制御部33のフローチャートを示す。制御部33は、電源がオン状態になると、定期的に図3に示す処理を実施する。なお、本実施形態において、ユーザはDSRC車載器1のクレジットカード決済機能を利用する場合、事前にそのクレジットカードに固有に付与されたカードID(本実施形態では、クレジットカード番号)を携帯端末3に登録するようになっている。ここでは、ユーザによるカードIDの登録作業が行われ、カードIDが携帯端末3のメモリに記憶されているものとする。
【0048】
まず、外部機器接続部31を介して外部機器と無線接続状態となっているか否かを判定する(S200)。
【0049】
ここで、外部機器接続部31を介して外部機器と無線接続状態となっていない場合、S200の判定はNOとなり、S200の判定を繰り返し実施する。そして、外部機器接続部31を介してDSRC車載器1と無線接続状態になると、S200の判定はYESとなり、次に、カード決済実施有無確認コマンドをDSRC車載器1から受信したか否かを判定する(S202)。
【0050】
ここで、DSRC車載器1からカード決済実施有無確認コマンドが中継されていない場合、S202の判定はNOとなり、S202の判定を繰り返し実施する。そして、DSRC車載器1から中継されたカード決済実施有無確認コマンドを受信すると、S202の判定はYESとなり、次に、表示部30に確認画面を表示させる(S204)。具体的には、図4に示すように、「カード決済を実施しますか」というメッセージとともに「はい」または「いいえ」の選択を促す画面を表示させる。
【0051】
次に、ユーザにより「はい」または「いいえ」のいずれかの選択が完了したか否かを判定する(S206)。
【0052】
ここで、ユーザにより「はい」または「いいえ」のいずれかの選択が完了していない場合、S206の判定はNOとなり、S206の判定を繰り返し実施する。そして、ユーザにより「はい」または「いいえ」のいずれかが選択されると、S206の判定はYESとなり、次に、確認応答コマンドおよびカードID(クレジットカード番号)をDSRC車載器1に送信(S208)。なお、確認応答コマンドには、ユーザにより選択された許可結果(「はい」または「いいえ」)を表す情報が含まれる。
【0053】
図5に、DSRC車載器1の制御部16のフローチャートを示す。制御部16は、車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、図2に示した処理と並行して図5に示す処理を定期的に実施する。
【0054】
まず、クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入され、かつ、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となっているか否かを判定する(S300)。
【0055】
クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入されていない場合、あるいは、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となっていない場合、S300の判定はNOとなり、S300の判定を繰り返す。そして、クレジットカードがクレジットカード用カード挿入口に挿入され、かつ、外部機器接続部12を介して携帯端末3と無線接続状態となると、S300の判定はYESとなり、次に、確認応答コマンドおよびカードIDを携帯端末3から受信したか否かを判定する(S302)。
【0056】
ここで、確認応答コマンドおよびカードIDが受信されない場合、S302の判定はNOとなり、S302の判定を繰り返し実施する。そして、携帯端末3から確認応答コマンドおよびカードID(クレジットカード番号)が送信され、これらの情報が受信されると、S302の判定はYESとなり、次に、ユーザによるカード決済の操作が決済許可であるか否かを判定する(S304)。具体的には、確認応答コマンドに含まれる許可結果(「はい」または「いいえ」)を表す情報に基づいてユーザの選択操作が決済許可であるか否かを判定する。
【0057】
ここで、許可結果が決済許可となっている場合、S304の判定はYESとなり、次に、受信したカードID(クレジットカード番号)とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのカードID(クレジットカード番号)を照合する(S306)。具体的には、カード情報読取部13を介してクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号を取得し、携帯端末3より受信したクレジットカード番号とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号の照合を行う。
【0058】
次に、携帯端末3より受信したクレジットカード番号とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号の一致判定を行う(S308)。
【0059】
ここで、携帯端末3より受信したクレジットカード番号とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号が一致した場合、確認応答コマンドを路側機2へ送信する(S310)。
【0060】
次に、路側機2との間でカード決済処理を実施し(S312)、本処理を終了する。
【0061】
また、携帯端末3より受信したクレジットカード番号とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号が一致しない場合、S308の判定はNOとなり、次に、確認応答コマンドを破棄し、破棄した旨を携帯端末3に通知する(S314)。具体的には、クレジットカード番号が一致しない旨を携帯端末3に通知する。
【0062】
次に、否定応答コマンドを路側機2に送信し(S316)、カード決済処理を実施することなく、本処理を終了する。このように、携帯端末3より受信したクレジットカード番号とクレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号が一致しない場合、カード決済処理が禁止される。したがって、仮に、外部機器接続部12を介して第三者の携帯端末3と無線接続状態となっていても、第三者の携帯端末3の操作によりカード決済処理が実施されることはない。
【0063】
また、ユーザが携帯端末3の操作で、「カード決済を実施しますか」というメッセージに対して「いいえ」を選択し、携帯端末3から受信した確認応答コマンドに含まれる許可結果が決済不許可となっている場合、S304の判定はNOとなり、クレジットカード番号の照合を行うことなく、確認応答コマンドを路側機2へ転送し(S318)、本処理を終了する。
【0064】
なお、図2、図5に示した処理において、DSRC車載器1は、S104にてカード決済実施有無確認コマンドを携帯端末3へ送信し、このカード決済実施有無確認コマンドに応答するように携帯端末3から送信される確認応答コマンドおよびカードID(クレジットカード番号)を受信する。これは、DSRC車載器1が、携帯端末3から当該携帯端末3に登録されたカード識別情報を取得するとみなすことができる。
【0065】
図6に、携帯端末3の制御部33のフローチャートを示す。制御部33は、電源がオン状態になると、図3に示した処理と並行して定期的に図3に示す処理を実施する。
【0066】
まず、コマンド破棄通知をDSRC車載器1から受信したか否かを判定する(S400)。コマンド破棄通知をDSRC車載器1から受信していない場合、S400の判定はNOとなり、S400の判定を繰り返し実施する。
【0067】
そして、DSRC車載器1のクレジットカード番号の一致判定でクレジットカード番号が不一致と判定され、コマンド破棄通知をDSRC車載器1から受信すると、「カードIDが一致しません」というメッセージを表示部30に表示させ(S402)、本処理を終了する。
【0068】
図7に、路側機2とDSRC車載器1と携帯端末3間のシーケンス図を示す。この図に示すように、路側機2からDSRC車載器1へカード決済実施有無確認コマンドが送信されると、DSRC車載器1は、このカード決済実施有無確認コマンドを携帯端末3へ中継する。
【0069】
携帯端末3は、このカード決済実施有無確認コマンドを受信すると、図4に示したように、「カード決済を実施しますか」というメッセージとともに「はい」または「いいえ」の選択を促す画面を表示させる。
【0070】
そして、ユーザにより「はい」が選択操作されると、決済許可であることを示す情報を含む確認応答コマンドとともにカードID(クレジットカード番号)が携帯端末3からDSRC車載器1へ送信される。
【0071】
DSRC車載器1は、この確認応答コマンドとカードID(クレジットカード番号)を受信すると、受信したカードID(クレジットカード番号)と、クレジットカード用カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号の照合を行い、両クレジットカード番号が一致すると、確認応答コマンドを路側機2へ送信し、路側機2との通信を介してクレジットカードによる料金決済のための処理を実施する。
【0072】
上記した構成によれば、路側機からカード挿入口に挿入された決済カードによる料金決済の実施確認コマンドを受信すると、携帯端末接続部を介して接続された携帯端末から当該携帯端末に登録されたカード識別情報を取得するとともに、カード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報を取得し、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行い、カード識別情報が一致すると判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理を実施し、カード識別情報が一致しないと判定された場合、決済カードによる料金決済のための処理が禁止されるので、不正な料金決済を防止することができる。
【0073】
また、カード識別情報が一致しないと判定された場合、携帯端末接続部を介してカード識別情報が一致しない旨が携帯端末に通知されるので、携帯端末にカード識別情報が一致しない旨を表示させてユーザに通知することが可能である。
【0074】
また、決済カードによる料金決済のための処理が禁止された場合、無線部を介して路側機へ決済カードによる料金決済のための処理が未実施である旨が通知されるので、路側機側では、路側機へ決済カードによる料金決済のための処理が未実施である旨を認識することができる。
【0075】
また、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定され、かつ、携帯端末接続部を介して携帯端末と接続された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定が行われるので、精度良くカード識別情報の一致判定を行うことができる。
【0076】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0077】
例えば、上記実施形態では、カード識別情報として、携帯端末3からDSRC車載器1へ携帯端末3に登録されたクレジットカード番号を送信させ、このクレジットカード番号と、カード挿入口に挿入されているクレジットカードのクレジットカード番号の一致判定を行う構成を示したが、このような例に限定さえるものではなく、例えば、クレジットカード番号と有効期限情報を組み合わせて一致判定を行うようにしてもよい。また、クレジットカード以外のカードを決済カードとし、決済カードのカード番号の一致判定を行うように構成してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定され、かつ、携帯端末接続部を介して携帯端末と接続された状態であると判定された場合、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うようにしたが、カード識別情報の一致判定を行うタイミングは、このようなタイミングに限定されるものではなく、例えば、予め携帯端末より取得したカード識別情報をDSRC車載器のメモリに記憶しておき、カード挿入口に決済カードが挿入された状態であると判定された場合に、携帯端末より取得したカード識別情報とカード挿入口に挿入されている決済カードのカード識別情報の一致判定を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、DSRC車載器1と携帯端末3との間で、無線LANを介して通信接続する構成を示したが、無線LAN以外の無線通信で通信接続するように構成してもよく、また、DSRC車載器1と携帯端末3との間を有線接続するように構成してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、ETC車載器としての機能と、ITSスポットサービス提供装置としての機能を兼ね備えたDSRC車載器について説明したが、ETC車載器としての機能を備えることなく、ITSスポットサービス提供装置としてDSRC車載器を構成するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、ETCカード(ETCは登録商標)を挿入するためのカード挿入口とクレジットカードを挿入するためのカード挿入口を別々に設けるようにしたが、例えば、ETCカードとクレジットカードを1つのカードとして構成し、このカードをカード挿入口に挿入するように構成してもよい。
【0082】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、外部機器接続部12が携帯端末接続部に相当し、S104、S302、S306、S308がカード識別情報判定手段に相当し、S312が料金決済処理手段に相当し、S314が携帯端末通知手段に相当し、S316が路側機通知手段に相当し、S300におけるクレジットカード挿入状態の判定が決済カード挿入判定手段に相当し、S300における無線接続状態の判定が接続状態判定手段に相当する。
【符号の説明】
【0083】
1 DSRC車載器
2 路側機
3 携帯端末
10 無線部
11 音声出力部
12 外部機器接続部
13 記憶部
14 表示部
15 入力操作部
16 制御部
20 無線部
21 制御部
30 表示部
31 外部機器接続部
32 入力操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路側機と狭域通信を行う無線部と、決済カードを挿入するカード挿入口と、を有し、前記路側機との通信を介して前記決済カードによる料金決済のための処理を実施する狭域通信車載器であって、
携帯端末と通信接続するための携帯端末接続部を備え、
前記路側機から前記カード挿入口に挿入された前記決済カードによる料金決済の実施確認コマンドを受信すると、前記携帯端末接続部を介して接続された前記携帯端末から当該携帯端末に登録されたカード識別情報を取得するとともに、前記カード挿入口に挿入されている前記決済カードのカード識別情報を取得し、前記携帯端末より取得した前記カード識別情報と前記カード挿入口に挿入されている前記決済カードの前記カード識別情報の一致判定を行うカード識別情報判定手段と、
前記カード識別情報判定手段により前記カード識別情報が一致すると判定された場合、前記決済カードによる料金決済のための処理を実施し、前記カード識別情報判定手段により前記カード識別情報が一致しないと判定された場合、前記決済カードによる料金決済のための処理を禁止する料金決済処理手段と、を備えたことを特徴とする狭域通信車載器。
【請求項2】
前記カード識別情報判定手段により前記カード識別情報が一致しないと判定された場合、前記携帯端末接続部を介して前記カード識別情報が一致しない旨を前記携帯端末に通知する携帯端末通知手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の狭域通信車載器。
【請求項3】
前記料金決済処理手段により前記決済カードによる料金決済のための処理が禁止された場合、前記無線部を介して前記路側機へ前記決済カードによる料金決済のための処理が未実施である旨を通知する路側機通知手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の狭域通信車載器。
【請求項4】
前記カード挿入口に前記決済カードが挿入された状態であるか否かを判定する決済カード挿入判定手段を備え、
前記カード識別情報判定手段は、前記決済カード挿入判定手段により前記カード挿入口に前記決済カードが挿入された状態であると判定された場合、前記携帯端末より取得した前記カード識別情報と前記カード挿入口に挿入されている前記決済カードの前記カード識別情報の一致判定を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の狭域通信車載器。
【請求項5】
前記携帯端末接続部を介して前記携帯端末と接続された状態であるか否かを判定する接続状態判定手段を備え、
前記カード識別情報判定手段は、前記決済カード挿入判定手段により前記カード挿入口に前記決済カードが挿入された状態であると判定され、かつ、前記接続状態判定手段により前記携帯端末接続部を介して前記携帯端末と接続された状態であると判定された場合、前記携帯端末より取得した前記カード識別情報と前記カード挿入口に挿入されている前記決済カードの前記カード識別情報の一致判定を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の狭域通信車載器。
【請求項6】
前記カード識別情報は、前記決済カードに固有に付与されたカード番号であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の狭域通信車載器。
【請求項7】
前記決済カードはクレジットカードであり、
前記カード識別情報は、前記クレジットカードのクレジットカード番号および有効期限情報であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の狭域通信車載器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−25512(P2013−25512A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158700(P2011−158700)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】