説明

狭幅車用エレベータ方式駐車装置とその運転方法

【課題】狭幅車(例えば小型車)のみを収容する装置全幅で、狭幅車用の横行装置を用いて、狭幅車と共に広幅車(例えば中型車、大型車)を収容することができる狭幅車用エレベータ方式駐車装置とその運転方法を提供する。
【解決手段】狭幅車1より車幅の広い広幅車2が載る広幅パレット20を備える。広幅パレット20は、棚16上で狭幅パレット18と同一位置に同一の逆U字型のドックレール19を有する。また広幅パレット20は、そのドックレール19が昇降搬器12上において搬器上位置Iのドック15と嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械式駐車装置に係り、さらに詳しくは、広幅車を収容可能な狭幅車用エレベータ方式駐車装置とその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
普通乗用車以外に車高の異なる車両(ハイルーフ車、RV車)を収容可能なエレベータ方式駐車装置として、特許文献1〜5が既に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−133132号公報、「立体駐車装置の自動車収納ラック装置」
【特許文献2】特開平05−171829号公報、「エレベータ方式駐車装置等」
【特許文献3】特開2000−303710号公報、「昇降式駐車装置の運用方法」
【特許文献4】特開2002−276185号公報、「エレベータ方式機械式駐車装置」
【特許文献5】特開2004−270351号公報、「ハイルーフ、標準車の混合収納立体駐車装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の装置では、複数種の車両(普通乗用車、ハイルーフ車、RV車等)を収容するために、パレットを載せる棚の高さ方向の間隔を車両の車高に対応させて変化させていた。
しかし、この場合、装置全体の全幅は、最大幅の車両に対応させて大きくなる問題点があった。
【0005】
一方、普通乗用車は、小型車、中型車、大型車に大別することができ、パレット上で車両の載る位置の最大寸法(以下、「パレット内法」という)は、例えば、小型車1820mm、中型車1860mm、大型車1920mmである。
そのため、小型車用に製造した既存のエレベータ方式駐車装置には、パレット内法が不足するため、中型車及び大型車が収容できない問題点があった。
【0006】
また、この場合に、パレット内法が中型車又は大型車に対応するパレット(「広幅パレット」と呼ぶ)を用いても、狭幅車用の横行装置では、広幅パレットを横行させることができなかった。
【0007】
また、小型車、中型車、大型車を混合して収容するエレベータ方式駐車装置を新設する場合、広幅パレットに合わせるため、装置全体の全幅が大きくなる問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、狭幅車(例えば小型車)のみを収容する装置全幅で、狭幅車用の横行装置を用いて、狭幅車と共に広幅車(例えば中型車、大型車)を収容することができる狭幅車用エレベータ方式駐車装置とその運転方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、狭幅車が載る狭幅パレットを載せて鉛直に昇降する昇降搬器と、
該昇降搬器上に設けられ前記狭幅パレットを横行させる横行装置と、
前記昇降搬器の昇降路に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置された複数の棚とを備え、
前記狭幅パレットは、棚上で昇降路側に位置し狭幅車の長手方向に延びる逆U字型のドックレールを有し、
前記横行装置は、前記ドックレールと嵌合するドックを昇降搬器の幅方向中心回りに水平旋回させるトグル装置であり、前記ドックは、昇降搬器上のドックレールと嵌合する所定の搬器上位置と棚上のドックレールと嵌合する所定の棚上位置との間で水平旋回するようになっており、
さらに、前記狭幅車より車幅の広い広幅車が載る広幅パレットを備え、
該広幅パレットは、対応する棚上で狭幅パレットと幅方向同一位置に同一の逆U字型のドックレールを有し、
該広幅パレットは、そのドックレールが昇降搬器上において前記搬器上位置のドックと嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしている、ことを特徴とする狭幅車用エレベータ方式駐車装置が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記の狭幅車用のエレベータ方式駐車装置を備え、
(A)入出庫高さにおいて、前記広幅パレットが対応する棚側に幅方向にオフセットして昇降搬器上に載り、広幅パレットのドックレールが、昇降搬器上において前記搬器上位置のドックと嵌合し、
(B)前記昇降搬器を昇降して対応する棚に対向する位置に停止させ、
(C)前記ドックを昇降搬器の幅方向中心回りに対応する棚の前記棚上位置まで水平旋回させ、前記広幅パレットを棚上に外方かつ幅方向にオフセットして載せる、ことを特徴とする狭幅車用エレベータ方式駐車装置の運転方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の装置と方法によれば、狭幅車(例えば小型車)より車幅の広い広幅車が載る広幅パレットを備えるので、その上に広幅車(例えば中型車、大型車)を載せることができる。
また、広幅パレットは、棚上に外方かつ幅方向にオフセットして載り、対応する棚上で狭幅パレットと幅方向同一位置に同一の逆U字型のドックレールを有するので、棚上において棚上位置のドックと嵌合し、狭幅車用の横行装置を用いて横行させることができる。
さらに、広幅パレットは、そのドックレールが昇降搬器上において前記搬器上位置のドックと嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしているので、狭幅車用の昇降搬器を用いて昇降させることができる。
従って、昇降時及び棚上において、他のパレットや壁、柱等の構成部材と干渉しない範囲で、狭幅車と共に広幅車(例えば中型車、大型車)を収容することができる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】従来の狭幅車用エレベータ方式駐車装置を示す図である。
【図2】従来の横行装置の説明図である。
【図3】図1におけるパレット位置関係を示す図である。
【図4】本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の第1実施形態図である。
【図5】図4におけるパレット位置関係を示す図である。
【図6】本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の運転方法を示す模式図である。
【図7】本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の第2実施形態図である。
【図8】図7におけるパレット位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】
図1は、従来の狭幅車用エレベータ方式駐車装置を示す図である。
この図において、この狭幅車用エレベータ方式駐車装置は、昇降搬器12、横行装置14、複数の棚16を備える。
【0015】
普通乗用車は、小型車、中型車、大型車に大別することができ、パレット上で車両の載る位置の最大寸法(以下、「パレット内法」という)は、例えば、小型車1820mm、中型車1860mm、大型車1920mmである。
ここで小型車は車幅1760mm以下の車種(例えば、コロナ、カローラ、サニー等)、中型車は車幅1800mm以下の車種(例えば、セドリック)、大型車は車幅1860mm以下の車種(例えば、クラウン、レクサス等)を意味する。
なお、この基準は例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0016】
この明細書において、狭幅車と広幅車は、相対的な意味で用いる。すなわち、狭幅車が小型車である場合、広幅車は中型車又は大型車であり、狭幅車が中型車である場合、広幅車は大型車である。
以下、狭幅車が小型車である場合を説明する。
【0017】
昇降搬器12は、狭幅車1が載る狭幅パレット18を載せて鉛直に昇降する。この例で、狭幅車1は小型車であり、狭幅パレット18は例えば1820mmのパレット内法を有する。狭幅パレット18を図中で単に「S」と表示する。
図1において、昇降搬器12は、図示しないワイヤ等により吊下げられ、図示しないガイドで水平を維持しながら入出庫高さFLから昇降路13に沿って上下方向に鉛直に昇降するようになっている。
入出庫高さFLは、1階であっても、地上又は地下であってもよい。また、昇降搬器12の昇降範囲は、入出庫高さFLの上方に限定されず、下方でも両方でもよい。
【0018】
横行装置14は、昇降搬器12上に設けられ、棚16に対向する位置において昇降搬器12上と棚16上との間で狭幅パレット18を横行させるようになっている。
複数の棚16は、昇降搬器12の昇降路13に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置されている。
以下、入出庫高さFLより上方に位置する棚16を下から順に1段、2段、3段、・・・5段と呼ぶ。なお、棚16の段数は5段に限定されず、それ以上でも以下でもよい。
【0019】
図2は、従来の横行装置14の説明図である。この図において、(A)は昇降搬器12が対応する棚16に対向する位置に停止した状態を示す図であり、(B)は(A)の位置における平面図、(C)(D)は狭幅パレット18の横行状態を示す図である。
【0020】
図2において、上述した狭幅パレット18は、棚16上で昇降路13側に位置し狭幅車1の長手方向に延びる逆U字型のドックレール19を有する。
すなわち、図2(A)における昇降搬器12上の狭幅パレット18は、図で右側の棚16に載る狭幅パレットであり、逆U字型のドックレール19は狭幅パレット18の図で左側に設けられている。
同様に、図で左側の棚16に載る狭幅パレット(図示せず)には、ドックレール19は狭幅パレットの図で右側に設けられる。
【0021】
横行装置14は、ドックレール19と嵌合するドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに水平旋回させるトグル装置である。ドック15は、昇降搬器12上に載る狭幅パレット18のドックレール19と嵌合する所定の搬器上位置Iと棚16上に載る狭幅パレット18のドックレール19と嵌合する所定の棚上位置Oとの間で水平旋回するようになっている。
【0022】
右側の棚16に載る昇降搬器12上の搬器上位置Iは、昇降搬器12上のドックレール19の幅方向位置(図で左端)である。同様に左側の棚16に載る昇降搬器12上の搬器上位置Iは、昇降搬器12上のドックレール19の幅方向位置(図で右端)である。
各段の搬器上位置Iは、幅方向同一位置に位置する。
【0023】
また右側の棚16上の棚上位置Oは、棚16上のドックレール19の幅方向位置(図で左端)である。同様に左側の棚16上の棚上位置Oは、棚16上のドックレール19の幅方向位置(図で右端)である。
各段の棚上位置Oは、幅方向同一位置に位置する。
【0024】
横行装置14上、及び棚16上には、図示しない横行レールが設けられている。
また、各狭幅パレット18は横行レールに沿ってその上を走行する図示しない車輪を有する。
【0025】
上述した構成により、図2(B)の位置から、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で反時計回りに水平旋回させることにより、ドック15を昇降搬器12上の搬器上位置Iから棚16上の棚上位置Oまで水平旋回させて、図2(C)に示すように、狭幅パレット18を昇降搬器12上から棚16上に横行させることができる。
また、図2(D)に示すように、さらにドック15を図で反時計回りに水平旋回させることにより、狭幅パレット18を棚16上に残したままで、ドック15を昇降搬器12上に移動することができる。
すなわち、横行装置14による狭幅パレット18の横行ストロークIOは、搬器上位置Iから棚上位置Oまでの横行距離であり、これは狭幅パレット18の全幅と昇降搬器12上と棚16上の狭幅パレット18の隙間αとの和に相当する。
【0026】
同様に、図2(D)の状態から、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で時計回りに水平旋回させることにより、図2(C)に示すように、ドック15を棚16上の狭幅パレット18のドックレール19に嵌合させることができる。
また、図2(B)(C)に示すように、ドック15を棚上位置Oから搬器上位置Iまで図で時計回りに水平旋回させて、狭幅パレット18を棚16上から昇降搬器12上に横行させることができる。
【0027】
狭幅パレット18が、図で左側の棚16に載るパレットであり、逆U字型のドックレール19が図でパレットの右側に設けられている場合は、上述した位置関係は左右反対となるが、その作動は同一である。
なお、上述の例において、装置全体の幅方向中心線CLは、昇降搬器12の幅方向中心及び狭幅パレット18の幅方向中心位置と一致している。
【0028】
図3は、図1におけるパレット位置関係を示す図である。
この図において、中央の狭幅パレット18は昇降搬器12上に載り、左右の狭幅パレット18は左右の棚16上に載っている。
狭幅パレット18のパレット内法Aはこの例で1820mmであり、その中心が装置全体の幅方向中心線CLと一致している。
狭幅パレット18の全幅Bはこの例で1995mmであり、昇降搬器12上と棚16上の狭幅パレット18の隙間αはこの例で180mmである。また、棚16上に載る狭幅パレット18と装置の内壁11との幅方向隙間βは、この例で240mmである。
【0029】
図4は、本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の第1実施形態図である。
この図において、本発明の狭幅車用エレベータ方式駐車装置10は、昇降搬器12、横行装置14、複数の棚16を備える。昇降搬器12、横行装置14、複数の棚16は、上述した従来例と同様である。
【0030】
図4において、本発明の狭幅車用エレベータ方式駐車装置10は、さらに、狭幅車1より車幅の広い広幅車2が載る広幅パレット20を備える。この例で、広幅パレット20は入出庫高さFLに対して上方の最下段のみに設置されている。さらに上方の2段から5段には、上述した狭幅パレット18が設置されている。
広幅車2は、この例では大型車であり、広幅パレット20は例えば1920mmのパレット内法を有する。以下、大型車用の広幅パレット20を図中で単に「L」と表示する。
【0031】
広幅パレット20は、対応する棚16上で狭幅パレット18と幅方向同一位置に同一の逆U字型のドックレール19を有する。
また広幅パレット20は、そのドックレール19が昇降搬器12上において搬器上位置Iのドック15と嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしている。
すなわち、図4における昇降搬器12上の広幅パレット20は、図で右側の対応する棚16に載る広幅パレットであり、昇降搬器12上において対応する棚側(図で右側)に幅方向にオフセットしている。
同様に、図で左側の棚16に載る広幅パレット20は、昇降搬器12上において対応する棚側(図で左側)に幅方向にオフセットしている。
【0032】
図5は、図4におけるパレット位置関係を示す図である。
この図において、中央の広幅パレット20は昇降搬器12上に載り、左右の広幅パレット20は左右の棚16上に載っている。
広幅パレット20のパレット内法Aはこの例で1920mmであり、その中心が装置全体の幅方向中心線CLから右側に50mmオフセットしている。
広幅パレット20の全幅Bはこの例で2095mmであり、昇降搬器12上と棚16上の広幅パレット20の隙間αはこの例で80mmである。また、棚16上に載る広幅パレット20と装置の内壁11との幅方向隙間βは、この例で140mmである。
【0033】
図4と図5において、横行装置14は従来と同一であり、ドック15は、昇降搬器12上に載る広幅パレット20のドックレール19と嵌合する昇降搬器12上の搬器上位置Iと棚16上に載る広幅パレット20のドックレール19と嵌合する棚16上の棚上位置Oとの間で水平旋回するようになっている。
【0034】
昇降搬器12上の搬器上位置Iと棚16上の棚上位置Oは、狭幅パレット18と幅方向同一位置に位置する。
すなわち、搬器上位置Iと棚上位置Oは従来と同一であり、横行装置14による広幅パレット20の横行ストロークIOは、搬器上位置Iから棚上位置Oまでの横行距離であり、従来と同一である。
従って、図2(B)(C)に示したように、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で反時計回りに水平旋回させることにより、ドック15を搬器上位置Iから棚上位置Oまで水平旋回させて、広幅パレット20を昇降搬器12上から棚16上に横行させることができる。
また、図2(C)(D)に示すように、さらにドック15を図2で反時計回りに水平旋回させることにより、広幅パレット20を棚16上に載せたままで、ドック15を昇降搬器12上に移動することができる。
【0035】
同様に、図2(D)の状態から、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で時計回りに水平旋回させることにより、図2(C)に示すように、ドック15を棚16上の広幅パレット20のドックレール19に嵌合させることができる。
また、図2(B)(C)に示すように、ドック15を棚上位置Oから搬器上位置Iまで図で時計回りに水平旋回させて、広幅パレット20を棚16上から昇降搬器12上に横行させることができる。
【0036】
図6は、本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の運転方法を示す模式図である。この図において、(A)は入出庫時、(B)は横行時を示している。
以下、入庫時と出庫時について、本発明による狭幅車用のエレベータ方式駐車装置10の運転方法を説明する。
【0037】
(入庫時)
(A)入出庫高さFLにおいて、図6(A)に示すように、広幅パレット20が対応する棚側に幅方向にオフセットして昇降搬器12上に載り、広幅パレット20のドックレール19が、昇降搬器12上において搬器上位置Iのドック15と嵌合する。この状態で、広幅車2は広幅パレット20上に幅方向にオフセットして入庫する。
(B)次に、昇降搬器12を昇降して、予め設定した対応する棚16に対向する位置に停止させる。
(C)次に、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに対応する棚16の棚上位置Oまで水平旋回させ、図6(B)に示すように、広幅パレット20を棚16上に外方かつ幅方向にオフセットして載せる。この状態で、広幅車2は予め設定した対応する棚16に収納される。
【0038】
(出庫時)
(D)図6(B)に示すように、昇降搬器12を昇降して予め設定した対応する棚16に対向する位置に停止させる。
(E)次に、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに搬器上位置Iまで水平旋回させ、広幅パレット20を昇降搬器12上に、対応する棚16側に幅方向にオフセットして載せる。
(F)次に、図6(A)に示すように、昇降搬器12を昇降して入出庫高さに停止させる。この状態で、広幅車2を広幅パレット20から入庫する。
【0039】
上述した入庫時と出庫時の間に、他の狭幅パレット18及び広幅パレット20の入出庫を行うことができる。
【0040】
図7は、本発明による狭幅車用エレベータ方式駐車装置の第2実施形態図である。
この例で、広幅パレット20は入出庫高さFLに対して上方の1段から4段に設置されている。さらに上方の5段には、上述した狭幅パレット18が設置されている。なお、狭幅パレット18と広幅パレット20の配置は、任意であり、ランダムであってもよい。
広幅車2は、この例では中型車であり、広幅パレット20は例えば1860mmのパレット内法を有する。以下、中型車用の広幅パレット20を図中で単に「M」と表示する。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0041】
図8は、図7におけるパレット位置関係を示す図である。
この図において、中央の広幅パレット20は昇降搬器12上に載り、左右の広幅パレット20は左右の棚16上に載っている。
広幅パレット20のパレット内法Aはこの例で1860mmであり、その中心が装置全体の幅方向中心線CLから右側に20mmオフセットしている。
広幅パレット20の全幅Bはこの例で2035mmであり、昇降搬器12上と棚16上の広幅パレット20の隙間αはこの例で140mmである。また、棚16上に載る広幅パレット20と装置の内壁11との幅方向隙間βは、この例で200mmである。
【0042】
図7と図8において、横行装置14は従来と同一であり、ドック15は、昇降搬器12上に載る広幅パレット20のドックレール19と嵌合する搬器上位置Iと棚16上に載る広幅パレット20のドックレール19と嵌合する棚上位置Oとの間で水平旋回するようになっている。
【0043】
昇降搬器12上の搬器上位置Iと棚16上の棚上位置Oは、狭幅パレット18と幅方向同一位置に位置する。
すなわち、搬器上位置Iと棚上位置Oは従来と同一であり、横行装置14による広幅パレット20の横行ストロークIOは、搬器上位置Iから棚上位置Oまでの横行距離であり、従来と同一である。
従って、図2(B)(C)に示したように、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で反時計回りに水平旋回させることにより、ドック15を搬器上位置Iから棚上位置Oまで水平旋回させて、広幅パレット20を昇降搬器12上から棚16上に横行させることができる。
また、図2(C)(D)に示すように、さらにドック15を図2で反時計回りに水平旋回させることにより、広幅パレット20を棚16上に載せたままで、ドック15を昇降搬器12上に移動することができる。
【0044】
同様に、図2(D)の状態から、ドック15を昇降搬器12の幅方向中心回りに図で時計回りに水平旋回させることにより、図2(C)に示すように、ドック15を棚16上の広幅パレット20のドックレール19に嵌合させることができる。
また、図2(B)(C)に示すように、ドック15を棚上位置Oから搬器上位置Iまで図で時計回りに水平旋回させて、広幅パレット20を棚16上から昇降搬器12上に横行させることができる。
【0045】
上述したように本発明の装置と方法によれば、狭幅車1(例えば小型車)より車幅の広い広幅車2が載る広幅パレット20を備えるので、その上に広幅車2(例えば中型車、大型車)を載せることができる。
また、広幅パレット2は、棚16上に外方かつ幅方向にオフセットして載り、対応する棚16上で狭幅パレット18と幅方向同一位置に同一の逆U字型のドックレール19を有するので、棚16上において棚上位置Oのドック15と嵌合し、狭幅車用の横行装置14を用いて横行させることができる。
さらに、広幅パレット20は、そのドックレール19が昇降搬器12上において搬器上位置Iのドック15と嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしているので、狭幅車用の昇降搬器12を用いて昇降させることができる。
従って、昇降時及び棚上において、他のパレットや壁、柱等の構成部材と干渉しない範囲で、狭幅車1と共に広幅車2(例えば中型車、大型車)を収容することができる。
【0046】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、昇降搬器12上と棚16上の広幅パレット20の隙間αと、棚16上に載る広幅パレット20と装置の内壁11との幅方向隙間βを確保し、かつ昇降時及び棚上において、他のパレットや壁、柱等の構成部材と干渉しない限りで、広幅パレット20のパレット内法Aと全幅Bを任意に変更してもよい。
また、小型車、中型車、大型車、その他の車両(例えばハイルーフ車、RV車等)を同一の装置で収納してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 狭幅車、2 広幅車、
10 狭幅車用エレベータ方式駐車装置、
12 昇降搬器、13 昇降路、
14 横行装置(トグル装置)、
15 ドック、16 棚、
18 狭幅パレット、
19 ドックレール、
20 広幅パレット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
狭幅車が載る狭幅パレットを載せて鉛直に昇降する昇降搬器と、
該昇降搬器上に設けられ前記狭幅パレットを横行させる横行装置と、
前記昇降搬器の昇降路に沿って上下方向に間隔を隔てて水平に配置された複数の棚とを備え、
前記狭幅パレットは、棚上で昇降路側に位置し狭幅車の長手方向に延びる逆U字型のドックレールを有し、
前記横行装置は、前記ドックレールと嵌合するドックを昇降搬器の幅方向中心回りに水平旋回させるトグル装置であり、前記ドックは、昇降搬器上のドックレールと嵌合する所定の搬器上位置と棚上のドックレールと嵌合する所定の棚上位置との間で水平旋回するようになっており、
さらに、前記狭幅車より車幅の広い広幅車が載る広幅パレットを備え、
該広幅パレットは、対応する棚上で狭幅パレットと幅方向同一位置に同一の逆U字型のドックレールを有し、
該広幅パレットは、そのドックレールが昇降搬器上において前記搬器上位置のドックと嵌合するように対応する棚側に幅方向にオフセットしている、ことを特徴とする狭幅車用エレベータ方式駐車装置。
【請求項2】
請求項1の狭幅車用のエレベータ方式駐車装置を備え、
(A)入出庫高さにおいて、前記広幅パレットが対応する棚側に幅方向にオフセットして昇降搬器上に載り、広幅パレットのドックレールが、昇降搬器上において前記搬器上位置のドックと嵌合し、
(B)前記昇降搬器を昇降して対応する棚に対向する位置に停止させ、
(C)前記ドックを昇降搬器の幅方向中心回りに対応する棚の前記棚上位置まで水平旋回させ、前記広幅パレットを棚上に外方かつ幅方向にオフセットして載せる、ことを特徴とする狭幅車用エレベータ方式駐車装置の運転方法。
【請求項3】
(D)前記昇降搬器を昇降して対応する棚に対向する位置に停止させ、
(E)前記ドックを昇降搬器の幅方向中心回りに前記搬器上位置まで水平旋回させ、前記広幅パレットを昇降搬器上に、対応する棚側に幅方向にオフセットして載せ、
(F)前記昇降搬器を昇降して入出庫高さに停止させる、ことを特徴とする請求項2に記載の狭幅車用エレベータ方式駐車装置の運転方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−53486(P2013−53486A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193529(P2011−193529)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)