説明

狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置

【課題】狭軌道形態の運搬車において、エンジンを搭載するエンジンルームを、左右のトラックフレーム間のトレッド間隔部の後端部に低く構成すると、このエンジンルームにおける通風性が悪く、エンジン性能が低下し易い。
【解決手段】左右いずれか一方のクローラ1の後端部上方位置に、片側クローラ1横幅と略同幅の操作ボックス11を設け、この操作ボックス11下端部とクローラ1上面との間に適宜間隔を有する排風室17を形成し、この排風室17の内側の前記樋状フレーム33上端部と操作ボックス11下端部との間に送風口15を形成し、これら排風室17と送風口15をトレッド間隔部3後端部のエンジンルーム18と連通して、エンジンルーム18の熱風をクローラ1外側へ排風することを特徴とする狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
左右一対のクローラを有した車体上に荷台を設けた狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右一対のトラックフレーム間に形成のトレッド間隔部の直上部に、操作ボックスと一体の左右方向移動のスライドベースを設け、このスライドベース及び操作ボックスの前側に荷台を設ける技術(例えば、特許文献1参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−127773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
狭軌道形態の運搬車において、エンジンを搭載するエンジンルームを、左右のトラックフレーム間のトレッド間隔部の後端部に低く構成すると、このエンジンルームにおける通風性が悪く、エンジン性能が低下し易い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、車体の左右両側部に、外周にクローラ1を巻回する左右一対のトラックフレーム2を形成して、この左右のトラックフレーム2間のトレッド間隔部3には、前後方向に沿って形成した略凵状断面形態の樋状フレーム33の後端部にエンジン4を配置し、該樋状フレーム33の開口上部を覆う荷台10を設けた狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置において、前記左右いずれか一方のクローラ1の後端部上方位置に、片側クローラ1横幅と略同幅の操作ボックス11を設け、この操作ボックス11下端部とクローラ1上面との間に適宜間隔を有する排風室17を形成し、この排風室17の内側の前記樋状フレーム33上端部と操作ボックス11下端部との間に送風口15を形成し、これら排風室17と送風口15をトレッド間隔部3後端部のエンジンルーム18と連通して、エンジンルーム18の熱風をクローラ1外側へ排風することを特徴とする狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置の構成とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、樋状フレーム33上端部と操作ボックス11下端部との間に形成の送風口15を介して、トレッド間隔部3に沈んで形成されるエンジンルーム18と、操作ボックス11下部の排風室17とを連通して、エンジンルーム18の熱風を、これら送風口15、及び排風室17を経て、クローラ1外側へ排風させるものであるから、前記樋状フレーム33内部に発生して直接クローラ1の外側へ流出し難い熱風を上方一側の排風室17へ上昇させて円滑に排風させて、エンジン4の冷却効果を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】運搬車の側面図。
【図2】その平面図。
【図3】排風室部の側面図。
【図4】エンジンルーム部の平面図。
【図5】その背面図。
【図6】トレッド間隔部の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面に基づいて、石材等の運搬に利用される狭軌道形態の運搬車は、ゴムクローラ1を巻き回したトラックフレーム2を、左右一対平行に配置し、この前端部のスプロケット23軸24を駆動して走行できる。左右各クローラ1は、前記スプロケット23と後端部の端部転輪25との間に掛け渡されて、底部を底部転輪26で案内される。前記左右一対のクローラ1、及びトラックフレーム2間のトレッド間隔部3に、底面部とこの左右両側面部とから正面視樋状断面に形成の樋状フレーム33を形成し、この樋状フレーム33の内側部に沿って、前側のミッションケース5から後端部のエンジン4に亘って、HST(油圧無段変速装置)8、油圧ポンプ7等を配置して、このエンジン4の駆動によって、一連の伝動ベルトやカウンタ軸等の伝動機構を経て、前記油圧ポンプ7、HST8、及びスプロケット軸24等を伝動回転する。フレームベース9は、前記トレッド間隔部3の上側開放縁部に沿って形成され、一部この外周部のクローラ1の回転域上方位置にも水平状に張出す形態に構成されて、下降位置の荷台10底面を水平状態に受けることができる。
【0009】
操作ボックス11を前記左側のクローラ1の後端部上に設けて、ループ状のハンドル27を後側へ突出させ、この操作ボックス11の上側面部に、エンジン4を起動するキースイッチ28や、チョークレバー29、スロットルレバー30、ブレーキレバー31、左右のスプロケット軸24に対する伝動を入り切りするための左右一対のサイドクラッチレバー32、HSTを変速操作するためのHSTレバー34、油圧ポンプ7によって駆動される油圧回路を操作して荷台10の昇降シリンダ35を伸縮作動させる昇降レバー36、及び、この荷台10をフレームベース9前端部のダンプ軸37の周りに前傾斜回動させてダンプするダンプ作動と荷台10を水平状態のまま上昇させるリフト作動とに切替操作する切替レバー38等を配置して、この運搬車による荷物の運搬作業や、リフト、ダンプ作業等を行うものである。又、この操作ボックス11の後端には、ハンドル27の下側に走行クラッチレバー39を設けてあり、この走行クラッチレバー39は後進時に運転者に押し当てられると、車体の後進駆動が停止されて狭圧防止レバーとしても作用するものである。
【0010】
前記トレッド間隔部3に設ける樋状フレーム33は、前端部、及び後端部を閉鎖するように箱形状に形成するが、この側面部を形成する側板をトラックフレーム2、乃至上側のフレームベース9等に取付けて固定する。この樋状フレーム33の後端部は、前記操作ボックス11の右側に位置して全幅を上方へ開放して、この樋状フレーム33内側にエンジンルーム18を形成する。
【0011】
ここにおいて、車体の左右両側部に、外周にクローラ1を巻回する左右一対のトラックフレーム2を形成して、この左右のトラックフレーム2間のトレッド間隔部3には、前後方向に沿って形成した略凵状断面形態の樋状フレーム33の後端部にエンジン4を配置し、該樋状フレーム33の開口上部を覆う荷台10を設けた狭軌道運搬車において、前記左右いずれか一方のクローラ1の後端部上方位置に、片側クローラ1横幅と略同幅の操作ボックス11を設け、この操作ボックス11下端部とクローラ1上面との間に適宜間隔を有する排風室17を形成し、この排風室17の内側の前記樋状フレーム33上端部と操作ボックス11下端部との間に送風口15を形成し、これら排風室17と送風口15をトレッド間隔部3後端部のエンジンルーム18と連通して、エンジンルーム18の熱風をクローラ1外側へ排風することを特徴とするエンジンルーム排風装置の構成とする。
【0012】
前記車体上側のフレームベース9の後端上側部には支持枠12を形成して、この支持枠12の上側に操作ボックス11を設け、この操作ボックス11内にバッテリ19や燃料タンク20等を搭載してある。支持枠12の下側に形成の排風室17の前記エンジンルーム18に通ずる送風口15は、上側に門形状に支持枠12を形成し、この支持枠12の下側においても、樋状フレーム33の上端部を外方へ屈曲させた形態の案内板21を形成して、エンジンルーム18から上側部へ吹き上げる熱風を横側の排風室17へ吹込みし易く案内する。又、この排風室17の外側の排風口16には、垂下形態の排風抵抗板22を形成して、高位置の排風口16からの熱風を直接外方へ噴出させないで、クローラ1の回転上面に吹き当てたり、このクローラ1の回転外側部を下方へ向けて噴出するように拡散排風させる。
【0013】
更に、前記のように、操作ボックス11をトレッド間隔部3の横側に位置する一側のクローラ1の幅域上側部に構成して、運転者はこの操作ボックス11の後側位置を随行しながらハンドル等を把持し、操作する。車体幅の中央部に位置して前後方向に沿って構成されるトレッド間隔部3は、荷台10と後部荷台10Rとによって全長、及び全幅に亘って開閉される。このような荷台10や後部荷台10Rが昇降するとき、操作ボックス11がフレームベース9上に突出状態に取付け形成されていても、内側部がトレッド間隔部3上に重合しないように、一側部のクローラ1の上側幅域内にあって、これら荷台10や、後部荷台10R自体の昇降や、これらの上面に搭載されて昇降される荷物、コンテナ等の昇降作用を邪魔しないような関係位置を維持する。
【0014】
前記フレームベース9の後端部上に構成の排風室17は、この左側クローラ1の後端部上方に位置して、前記フレームベース9の上側面よりも高く突出するように構成して、この排風室17の上側に操作ボックス11を搭載してある。操作ボックス11下方の門形状の支持枠12は、操作ボックス12の底面を形成してあり、この底面を載せる支持ブラケット40を前記隣接のフレームベース9よりも高位置に形成している。この支持枠12の外側には下側に向けて突出する排風抵抗板22を形成している。
【0015】
送風口15の下縁部には、前記樋状フレーム33の上側縁部を外側へ屈曲するようにして形成した案内板21を設け、このエンジンルーム4の熱風が、左側上部の送風口15へ流れ易くなるように案内し、この送風口15を操作ボックス11の底部に形成の排風室17へ流れ出るように案内する。又、前記エンジンルーム18は、前記トレッド間隔部3の後端部に形成される樋状フレーム33の内側に形成されて、エンジン4本体や、これに付帯のエアクリーナ43や、排気マフラー44等を配置する。エンジン4の駆動によって冷却ファン53が回転すると、右側クローラ1の間隔部から樋状フレーム33の側面部に形成した吸気口45等を介して外気がこのエンジンルーム18内へ吸入される。この外気はエンジンルーム18内を左側へ横断するように流れてエンジン4各部を風冷しながら、左側後部に設けたマフラー44に向け案内された後、該マフラー44上側及び後側に形成される排気案内板60により、熱風として左側上部の送風口15を通り外側の左側クローラ1上側部の排風室17へ排風される。
【0016】
前記樋状フレーム33の後側端には、板金製のリヤパネル51を設け、このリヤパネル51にはエアクリーナ43吸気用の吸気口52を形成している。前記マフラー44の排気口49は樋状フレーム33の左側面部下方に形成のマフラー口にのぞませて、クローラ1の後側部に排気するように構成している。
【0017】
前記トレッド間隔部2に沿って設ける樋状カバー33は、左右両側面部の上端縁50を外側へ漏斗状に形成して、上端開口部を広くする形態として、内部のメンテナンス作業を行い易く構成している。前記排風室17と対向するエンジンルーム18の案内板21は、このエンジンルーム18を形成する樋状カバー33の上端縁50によって形成される。
【符号の説明】
【0018】
1 クローラ
2 トラックフレーム
3 トレッド間隔部
4 エンジン
10 荷台
11 操作ボックス
15 送風口
17 排風室
18 エンジンルーム
33 樋状フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の左右両側部に、外周にクローラ(1)を巻回する左右一対のトラックフレーム(2)を形成して、この左右のトラックフレーム(2)間のトレッド間隔部(3)には、前後方向に沿って形成した略凵状断面形態の樋状フレーム(33)の後端部にエンジン(4)を配置し、該樋状フレーム(33)の開口上部を覆う荷台(10)を設けた狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置において、前記左右いずれか一方のクローラ(1)の後端部上方位置に、片側クローラ(1)横幅と略同幅の操作ボックス(11)を設け、この操作ボックス(11)下端部とクローラ(1)上面との間に適宜間隔を有する排風室(17)を形成し、この排風室(17)の内側の前記樋状フレーム(33)上端部と操作ボックス(11)下端部との間に送風口(15)を形成し、これら排風室(17)と送風口(15)をトレッド間隔部(3)後端部のエンジンルーム(18)と連通して、エンジンルーム(18)の熱風をクローラ(1)外側へ排風することを特徴とする狭軌道運搬車のエンジンルーム排風装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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