説明

獣毛繊維の耐劣化処理方法および獣毛繊維

【課題】酵素による獣毛繊維の劣化を簡便に抑制する獣毛繊維の耐劣化処理方法および該方法によって処理された獣毛繊維を提供すること。
【解決手段】獣毛繊維をホルムアルデヒド又はエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物で処理することを特徴とする獣毛繊維の耐劣化処理方法。尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度が25%以下であることを特徴とする獣毛繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、獣毛繊維の耐劣化処理方法および該方法によって耐劣化処理された獣毛繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
羊毛繊維等の獣毛繊維はフェルト性を有している。その特徴を利用してフェルト製品や縮絨加工されたさまざまな製品が製造される。しかしながら、フェルト性を有するため衣料製品の洗濯は有機溶剤を使用するドライクリーニングを行うか、水系洗濯を考慮した製品では前もって防縮加工が施されている。地球環境的立場から水系洗濯への意向が強く、さまざまな防縮加工法が提案され実施されている。
【0003】
羊毛繊維の防縮加工法は、一般に、表皮組織(スケール、クチクル部分)を対象に行われ、例えば、羊毛繊維の表皮組織を酸化・親水化してその組織をソフト化あるいは除去する方法が挙げられる。酸化剤としては一般に塩素系薬剤および過マンガン酸カリウムなどの過酸化物などが使用される。
【0004】
一方、水系洗濯で使用される洗剤としては、近年では、洗浄効果の向上を目的にアルカリ性の界面活性剤に酵素を配合して、洗浄能力を高めた洗剤がよく知られている。酵素としてはプロテアーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ等が挙げられるが、プロテアーゼは蛋白質を分解し汚れを効果的に落とすことから重要な成分となっている。市販の洗剤には一般にバチラスサブティラス(枯草菌)を起源とするセリンプロテアーゼが主に配合されている。
【0005】
しかしながら、そのような酵素を配合した洗剤水溶液への浸け置きや、洗濯回数の増加は、羊毛繊維が蛋白質を主成分とすることから著しく劣化させて、繊維としての形状を消失させることが問題となっていた。特に防縮加工された羊毛繊維の酵素による劣化は顕著であった。そのため、羊毛繊維や当該羊毛繊維を含む交織品・交編品といった複合品は、酵素洗剤の登場後、「マイルドなウール洗い」や「酵素未配合の中性洗剤を推奨」などと洗剤や洗濯方法に関して制限されている場合が多い。
【0006】
酵素による羊毛繊維の劣化を抑制する方法として、以下に示すような蛋白質阻害剤の利用および防縮羊毛繊維の被覆が考えられる。
(1)蛋白質阻害剤の利用
インヒビターによってプロテアーゼ活性を阻害・不活性にする方法が考えられる。セリンプロテアーゼのインヒビターとしてはフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)や4−(2−アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド(AEBSGF)、アプロチニン(Aprotinin)、ロイペプチン(Leupeptin)、キモスタチン(Chymostatin)などが例示される。防縮羊毛繊維に何らかの手段を用いて均一に保持できれば有用な方法と考えられる。しかしながら、これらインヒビターは医学用や生化学研究用に用いられていて非常に高価であり、コスト的に現実味に欠ける。また、洗濯浴槽にこれらインヒビターを添加した場合は蛋白質汚れの洗浄効果も低減されるものと予測され、またコスト的にも困難である。
【0007】
(2)防縮羊毛繊維の被覆
防縮羊毛にプロテアーゼが接触できなければ作用は及ばないと考えられる。その方法として防縮羊毛の表面を撥水性の薬剤で被覆し水系での湿潤を防止するか、プロテアーゼに犯されない物質で被覆する事が考えられる。前者は本発明と異なる目的で、撥水加工としてシリコン系やフッ素系の撥水剤や柔軟加工としてカチオン系の柔軟剤が用いられ、実際に処理されている。しかしながら、撥水性においても柔軟性においても洗濯耐久性に課題があり、洗濯時の水温および水流により湿潤を完全に防止することはできない。後者は防縮性を高める目的で、いわゆるクロリン・ハーコセット(塩素化樹脂法)法として羊毛の酸化処理後にポリアミド系(ナイロン)樹脂にて表皮組織を被覆して行われている。ポリアミド系樹脂はセリンプロテアーゼに対して劣化しないが、洗濯時の羊毛繊維内部への湿潤という観点では前者同様に問題が残る。これらの方法においても短期間はともかく長期にわたり繰り返される日常的な洗濯に対して効果は持続しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酵素による獣毛繊維の劣化を簡便に抑制する獣毛繊維の耐劣化処理方法および該方法によって処理された獣毛繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、獣毛繊維をホルムアルデヒド又はエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物で処理することを特徴とする獣毛繊維の耐劣化処理方法に関する。
【0010】
本発明はまた、尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度が25%以下であることを特徴とする獣毛繊維に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の処理方法によると、酵素による獣毛繊維の劣化を十分に抑制できる。そのため本発明の方法で処理された獣毛繊維および該獣毛繊維を含む交織品・交編品といった複合品は、日常家庭で酵素配合洗剤を用いて容易かつ手軽に水系洗濯が可能である。
また本発明の処理方法によって獣毛繊維に付与された酵素(特にプロテアーゼ)に対する耐劣化性は長期にわたって有効に発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る獣毛繊維の耐劣化処理方法は、獣毛繊維を特定の化合物で処理することを特徴とする。
【0013】
本発明で使用される獣毛繊維としては、例えば、羊毛、モヘア、アルパカ、カシミヤ、ラマ、ビキューナ、キャメル、アンゴラ等が挙げられる。本発明において獣毛繊維はポリエステル、ナイロン、ウレタン、アクリル等の合成繊維、綿、絹などの天然繊維及びレーヨン、テンセルなどの再生繊維などが含まれていてよく、また獣毛繊維が含まれている限り、繊維の形態だけでなく、スライバー、糸、編地および織物等の形態を有していてもよい。しかもトップ染め機、カセ染め機、チーズ染め機、あるいは反染め機にて加工でき、後染めに対し何ら悪影響を及ぼさない。
【0014】
本発明において獣毛繊維は防縮加工されていることが好ましい。防縮加工された獣毛繊維は酵素により劣化され易く、そのような獣毛繊維であっても劣化を有効に抑制できるためである。防縮加工とは、フェルト性が発現する獣毛繊維等の繊維に対して、繊維の表皮組織を酸化により親水化してその組織をソフト化あるいは除去し、フェルト性の発現を防止するための加工処理である。
【0015】
防縮加工方法は、獣毛繊維が水と接触したときに縮みながら凝集する現象を防止できるかぎり特に制限されず、通常は、塩素、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、ジクロルイソシアヌール酸塩、過マンガン酸塩、過酸化水素、過ギ酸、過酢酸、オゾン、モノ過硫酸水素およびその塩類から選ばれる1種または2種以上の酸化剤が使用される。
【0016】
防縮加工は詳しくは以下に示すように行うことができる。
例えば、染色工業,Vol.41.No.7.347(1993)に記載されているように、ジクロルイソシアヌール酸などの塩素系薬剤水溶液中に獣毛繊維を浸漬し、30℃又はそれ以下で60分間維持すればよい。
また例えば、Proc. 8th Int. Wool Text.Res.Conf.,Vol.4.360(1990)に記載されているように、獣毛繊維を塩素ガスにて酸化処理し、所定温度で所定時間維持した後、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂で表面を被覆すればよい(クロリン・ハーコセット法)。
【0017】
また例えば、特開2002−105851号公報に記載されているように、獣毛繊維を、前もって過硫酸水素カリウムなど酸化剤でその表層部分を一次酸化し、水性処理液中で、オゾンを5ミクロン以下の超微細気泡として含んだ水性処理液を吹き付けて繊維に衝突させてオゾンガスによる気相反応させた後、亜硫酸ナトリウムなどの還元剤で処理すればよい(オゾン処理法)。
また例えば、特許第1581565号に記載されているように、獣毛繊維の表面を予め次亜塩素酸などの酸化剤により酸化処理し、次いで塩類の存在下で蛋白質分解酵素にてスケールを除去処理すればよい。
【0018】
本発明の耐劣化処理においては、獣毛繊維を特定の化合物で処理する。そのような処理は、例えば、連続処理法では特定の化合物の水溶液(処理液)に獣毛繊維を浸漬し、40〜100%に絞った後、予備乾燥し、100℃〜160℃で1〜10分間熱処理することによって容易に達成される。また、熱処理はスチーミング処理でも良い。また、バッチ処理法では特定の化合物の水溶液(処理液)に獣毛繊維を浸漬し、40℃以上で10分以上浸漬処理する。これによって、酵素による獣毛繊維の劣化を十分に抑制できる。
【0019】
劣化抑制のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下に記載のメカニズムに基づくものと考えられる
【0020】
まず、劣化のメカニズムを、酵素としてのセリンプロテアーゼを例に挙げて説明する。セリンプロテアーゼが蛋白質などのペプチド結合を切断するとき、アスパラギン酸、ヒスチジン、セリンのアミノ酸残基が重要な役割を果たすと考えられる。図1に示すように、酵素において、アスパラギン酸残基のアニオン化が起こり、生成した電子により、ヒスチジン残基を介して、セリン残基がアルコキシアニオンの形で活性化される(1)。このアルコキシアニオンが基質のカルボニル基を攻撃し、同時にヒスチジンのイミダゾ−ルのNHが基質のアミドの窒素原子と水素結合を作ることにより(2)、ペプチドの分解と酵素(セリン)のアシル化が生じる(3)。ついでセリン残基と基質残基とからなるアシル化物と水との反応により、水の水酸化物イオンがカルボニル炭素に求核的に攻撃して、カルボン酸とセリンの水酸基とが生成し、反応は完結する(4)。このようにステップ(1)からステップ(2)に移行する段階で酵素から基質への電子の移動が起こり、ステップ(3)からステップ(4)に移行する段階で基質から酵素への電子の移動が起こり、一種の電子リレーが関与していると考えられ、一旦、酵素が取り込まれ次に再生される過程で分解が終了する事になる。なお、図1中、RおよびRは基質のペプチド鎖において任意の1個のペプチド結合(アミド結合)に注目したときの残りの有機基部分を示す(以下、同様である)。
【0021】
本発明の処理に使用される特定の化合物(以下、単に「処理剤」ということがある)は、獣毛繊維への処理によって獣毛繊維のペプチド鎖を架橋できる限り特に制限されず、例えば、ホルムアルデヒド、エポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物等が挙げられる。
【0022】
そのような処理剤を用いて処理すると、基質(繊維)のペプチド鎖が窒素原子部において架橋されるので、互いに拘束し合う。そのような架橋されたペプチド鎖は自由に挙動できないので、アルコキシアニオンが上記劣化メカニズムのように基質のカルボニル基を攻撃したとしても、部分的にヒスチジンのイミダゾ−ルのNHと基質のアミドの窒素原子との水素結合が形成され難いと推測される。よってペプチドの分解や酵素(セリン)のアシル化には至らず、連続的に繰り返される電子リレーが有効に抑制されるので、繊維の劣化を抑制できるものと考えられる。
【0023】
ホルムアルデヒドおよびエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物を使用したときの基質(ペプチド鎖)への架橋の模式的な反応式の一例を以下に示す。なおRは、エポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物において任意の2個のエポキシ基に注目したときの残りの有機基部分を示す(以下、同様である)。
【0024】
【化1】

【0025】
エポキシ基を1個しか有さないエポキシ化合物を使用しても、繊維の劣化は抑制できない。そのような化合物を用いると、上記反応式に示すようなペプチド鎖の架橋は起こらず、ヒスチジンのイミダゾ−ルのNHと基質のアミドの窒素原子との水素結合が形成され得る。そのため、ペプチドの分解や酵素(セリン)のアシル化が起こり、劣化反応は進行するので、繊維の劣化を抑制できないものと考えられる。
【0026】
またカルボキシル基、ヒドロキシル基等と一般に反応性が高いとされる官能基を2個以上有する化合物、例えば、オキサゾリン基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等を使用しても、繊維の劣化は抑制できない。そのような化合物が有する官能基はたしかにペプチド鎖を架橋し得る基であるが、繊維中に無数に存在するアミノ酸残基としてのカルボキシル基、ヒドロキシル基等と優先的に反応する基であるので、ペプチド鎖を有効に架橋できない。そのため、ヒスチジンのイミダゾ−ルのNHと基質のアミドの窒素原子との水素結合が形成され、ペプチドの分解や酵素(セリン)のアシル化が起こり、劣化反応は進行するので、繊維の劣化を抑制できないものと考えられる。
【0027】
エポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物としては水溶性であれば特に制限されるものではなく、例えば、脂肪族エーテル系エポキシ化合物等が使用可能である。そのような脂肪族エーテル系エポキシ化合物の具体例として、例えば、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリジジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、およびそれらの混合物等が挙げられる。
【0028】
グリセロールポリグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化2】

【0029】
エチレングリコールジグリシジルエーテル及びポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化3】

上記式中、nは1〜22の整数、好ましくは1〜9の整数である。
【0030】
プロピレングリコールジグリシジルエーテルおよびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化4】

上記式中、nは1〜3の整数、好ましくは3の整数である。
【0031】
ソルビトールポリグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化5】

【0032】
ポリグリセロールポリグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化6】

上記式中、nは2または3の整数である。
【0033】
ジグリセロールポリグリシジルエーテルの具体例として、例えば、以下の構造式が挙げられる。
【化7】

【0034】
本発明においては、ホルムアルデヒド、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテルを使用することが、ヒスチジンのイミダゾ−ルのNHと基質のアミドの窒素原子との水素結合の形成を有効に抑制する観点から最も好ましい。
また、本発明で用いることができるエポキシ化合物は、上記に例示したものに限定されるものではない。エポキシ化合物の分子量には特に制限はないが、獣毛繊維のペプチド鎖との反応量は、エポキシ基数に依存することから、比較的分子量の小さなものの方が使用量は少なくても同じ効果を発現できるため経済的に好ましい。すなわち、エポキシ当量(WPE:weight per epoxy equivalent) が小さなものほど好ましい。また一般に分子量が大きくなるほど融点が上昇し常温ではゲル状物となり、用いにくくなる。例えばポリエチレングリコールジグリシジルエーテルの場合、エチレングリコールの連鎖数は1から9程度が好ましい。
【0035】
本発明の処理で使用される水溶液における処理剤の繊維に対する含有量は1〜20%OWF程度、特に2〜10%OWFで充分である。実質的にアミドに少量の架橋反応を施す事により、電子リレーが遮断され比較的長期にわたり連続的な生分解が抑制される。水溶液における処理剤の水溶液全量に対する割合(以下、単に「濃度」ということがある)は特に制限されず、通常は0.01〜50重量%、特に0.05〜25重量%である。
【0036】
処理剤を溶解してなる処理液の条件は獣毛繊維に適した範囲であれば良く、アミド以外の反応拠点に特異性を求めるようなpHの調整や触媒の添加は必要としない。処理液には処理液の獣毛繊維への浸透性を高めるため、浸透剤として非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、およびカチオン性界面活性剤等の界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤が含有されることが好ましい。界面活性剤の含有割合は特に制限されず、通常は0.1〜3g/Lが好ましい。
【0037】
連続処理法では、浸漬(パディング)時間および絞り率は、本発明の目的が達成されれば特に制限されるものでないが、浸漬時間は通常1〜60秒間でよく、また絞り率も40%〜100%でよい。また処理液の温度は特に制限されず、常温でよい。絞り率とは繊維の乾燥重量に対する含浸水溶液重量の割合である。
【0038】
乾燥は、後の熱処理工程への移送の際に処理液の滴下等が起こらない程度に達成されればよく、通常は80〜130℃で1〜5分間の条件で行われればよい。乾燥を行うことなく、浸漬後、絞った繊維を直接、熱処理に供しても良い。
【0039】
熱処理は架橋が達成される程度に行われればよく、通常は100〜160℃で1〜10分間が好適である。また、熱処理はスチーミング処理でも良い。
【0040】
バッチ処理法では、浴比は、処理剤の上記含有量(%OWF)が達成されれば特に制限されず、10分以上、温度40℃〜90℃で浸漬処理をしたほうが好ましい。
【0041】
獣毛繊維のスライバーを得た後、連続的に本発明の処理を行ってもよい。
【0042】
以上に示すような本発明の耐劣化処理を行った羊毛繊維は尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度が25%以下、好ましくは0〜20%である。
【0043】
尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度(UB溶解度)の測定は獣毛繊維損傷試験の一つであり、UB溶解度は獣毛中のジスルフィド結合(S−S結合)の切断の指標である。S−S結合の切断が多いほど溶解度は小さくなる。未処理羊毛は40〜60%が一般的である。UB溶解度測定は、損傷試験以外に架橋の定性的な尺度としても使うことができる。獣毛繊維内部に架橋が導入されると溶解度の大幅な減少が観察される(Chemistry of Natural Protein Fibers, Edited by R.S.Asquith(和訳書:天然タンパク質繊維の化学、近土隆等、羊毛技術書刊行委員会及び片岡毛織株式会社発行)より)。
UB溶解度はJIS L−1081(1998)7.21.2法に基づいて測定可能である。
【0044】
本発明の処理方法によって処理された羊毛繊維の上記UB溶解度は繰り返しの洗濯によってもほとんど変化せず、例えば、0〜25%を維持する。
【0045】
本発明は、獣毛繊維に対して、上記本発明の耐劣化処理を行うとともに、従来の被覆処理も行うことを妨げるものではない。従来の被覆処理は、本発明の耐劣化処理の前または後に行うことができる。
【0046】
そのような従来の被覆処理としては、例えば、獣毛繊維の表面を、シリコン系やフッ素系の撥水剤やカチオン系の柔軟剤で被覆し、水系での湿潤を防止する方法、獣毛繊維の表面を、ポリアミド系樹脂やポリアミド系樹脂のような酵素に犯されない物質で被覆する方法が挙げられる。
【実施例】
【0047】
以下に予備試験および実施例として本発明をさらに詳細に説明する。
<実験例A>
[予備試験]
平均繊度18.6ミクロンの羊毛繊維(スライバー)に対して、クロリン・ハーコセット法による防縮加工、または特開平2002−105851号公報に記載のオゾン処理による防縮加工を行い、それぞれ常套の方法で紡績し、1/48(Z700)の紡績糸を得た。次いで少量の靴下編地を作製し、ビーカーにて0.5g/Lのアニオン界面活性剤WX−HC(日華化学(株))の水溶液で60℃20分ソーピングし、水洗後乾燥した。
【0048】
クロリン・ハーコセット法による防縮加工は、羊毛スライバーを連続的に、塩素処理、脱塩素処理、水洗処理、ハーコセット樹脂処理し、柔軟処理および乾燥処理して行った。
塩素処理:活性塩素量で羊毛重量に対して1.8%〜2.0%OWFになるように、水中に塩素ガスを吹き込み、pH2.0、冷水で数十秒間処理する。
脱塩素処理:2g/Lの亜硫酸ナトリウムを用い、重炭酸ナトリウムでpH9.0になるように調整し、30℃、数十秒間処理する。
水洗処理:40℃の水洗浴に数十秒間浸漬し、処理する。
ハーコセット樹脂処理:羊毛重量に対して2%OWFになるように、ハーコセット樹脂浴(WT−570(ディック・ハーキュレス社製))濃度と重炭酸ナトリウムでpH7.5になるように浴pHを調整し、35℃で、数十秒間処理する。
柔軟処理:柔軟剤であるアルカミンCA−New(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を羊毛重量に対して0.5%OWF、および紡績油剤であるクロスルーベGCL(クロスフィールズ/ミキ(株)製)を、羊毛重量に対して1.35%OWFになるように浴濃度を調整し、30℃で数十秒間処理する。
【0049】
オゾン処理による防縮加工は、羊毛スライバーを連続的に、過硫酸水素カリウム処理、オゾン処理、還元処理、水洗処理、柔軟処理および乾燥処理して特開平2002−10581公報実施例1に準拠して行った。
過硫酸水素カリウム処理:羊毛重量に対して4.0%OWFになるように、水中で浸漬し、絞った後、スチーミング処理10分実施した。
オゾン処理:羊毛重量に対して1.48%OWFになるように、水中で微細気泡含有のオゾンを吹き付けた。
還元処理:20g/Lの亜硫酸ナトリウムを用い、重炭酸ナトリウムでpH9.0になるように調整し、40℃、数十秒間処理する。
水洗処理:40℃の水洗浴に数十秒間浸漬し、処理する。
柔軟処理:柔軟剤であるアルカミンCA−New(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を羊毛重量に対して0.5%OWF、および紡績油剤であるクロスルーベGCL(クロスフィールズ/ミキ(株)製)を、羊毛重量に対して1.35%OWFになるように浴濃度を調整し、30℃で数十秒間処理する。
【0050】
一方、防縮加工を行っていない靴下編地に対して、DCCA(ジクロルイソシアヌール酸ナトリム ハイライト60G(日産化学工業(株)))を5%OWF用いてビーカーにて常套の方法(30℃ 30分 pH5)で塩素処理を実施し中和ソーピング後乾燥した。
【0051】
これらの処理操作により、未防縮(通常/未処理)の編地(a)、クロリン・ハーコセット防縮編地(b)、オゾン処理防縮編地(c)、塩素処理防縮編地(d)の4種類を調製した。
【0052】
(つけ置き試験A)
4種類の(a)、(b)、(c)および(d)の編地の小片を絶乾秤量し、市販の綿、麻及び合成繊維を用途としている酵素入り洗剤(I)(商品名;アタック;花王(株)社製)1g/L(浴比1:20)35℃に緩く振とうしながら浸け置きした。8日間まで経日的に取り出し、水洗し、絶乾秤量した。なお、調製した洗剤液のpHは10.3であった。減量率は下記の式により算出した。減量率をプロットしたものを図2に示す。
【数1】

クロリン・ハーコセット防縮編地(b)について浸け置き当初の減量率は低いものの8日間継続すると上昇し、すべての防縮編地は未防縮編地(a)に比較して上昇した。
【0053】
(つけ置き試験B)
0.1Mの炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムでpH10.3に調整した水溶液に非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5g/Lを添加した溶液を用いたこと以外、つけ置き試験Aと同様の方法でつけ置き試験を行った。結果を図3に示す。図から明らかなように全ての編地で減量率の変化はほとんど無かった。通常の洗濯条件程度のアルカリ水溶液(pH10程度)において羊毛繊維は減量しないと言える。
【0054】
(つけ置き試験C)
非イオン活性剤の代わりに酵素としてNOVO社製プロテアーゼSavinase12T 0.02g/L添加した溶液を用いたこと以外、つけ置き試験Bと同様の方法でつけ置き試験を行い、減量率を算出した。結果を図4に記す。
【0055】
(つけ置き試験D)
非イオン活性剤の代わりに酵素としてNOVO社製プロテアーゼKannase12T 0.02g/L添加した溶液を用いたこと以外、つけ置き試験Bと同様の方法でつけ置き試験を行い、減量率を算出した。結果を図5に記す。
【0056】
つけ置き試験CおよびDでは、酵素の種類により減量率に差はあるものの全ての防縮編地は未防縮編地に比較して上昇した。したがって、洗濯条件下ではプロテアーゼの影響が最も強いと考察した。
【0057】
(つけ置き試験E)
次にプロテアーゼがどのように防縮編地(b)、(c)および(d)にダメージを与えるかを試験した。上記試験で最も減量率の大きいSavinase12Tを用い2g/Lの水溶液(pH 10.3 35℃ 浴比1:60)にて撹拌した。この酵素濃度12%OWFという条件は、従来から酵素加工としてオフスケールや防縮を目的に検討されたレベルの高い濃度である。この水溶液を用いたこと、減量率を1時間毎に測定したこと、およびつけ置き時間を5時間としたこと以外、つけ置き試験Aと同様の方法で、つけ置き試験を行った。減量率変化を図6にプロットし、つけ置き5時間後の編地繊維の電子顕微鏡写真を図7〜図9に示す。図7は試験後の編地(b)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。図8は試験後の編地(c)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。図9は試験後の編地(d)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。全ての防縮編地は5時間も経過すると、壊滅的に損傷されフィブリル化が進む様子が観察できる。
【0058】
[実施例1]
予備試験にて調製した編地(b)、(c)および(d)を、グリセロール ポリグリシジルエーテル(ナガセケムテクッス(株)製 商品名:デナコールEX−313)5重量%及び非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5g/Lの水溶液にパディングした。その時の絞り率は67%であった。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3.35%OWFであった。80℃で3分予備乾燥後、130℃で3分ピンテンターにて熱処理を実施した。次いで水洗して乾燥させ、それぞれ編地(b−1)、(c−1)および(d−1)を作製した。得られた編地(b−1)、(c−1)および(d−1)を用いたこと以外、予備試験におけるつけ置き試験A〜Eと同様の方法で試験を行った。結果を図2〜図6に示す。つけ置き試験Eの後の編地(b−1)、(c−1)および(d−1)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真をそれぞれ図10〜図12に示す。図2〜図6から明らかなように編地(b−1)、(c−1)および(d−1)は、それぞれ防縮編地(b)、(c)および(d)より減量が抑制され、未防縮編地(a)に近いことが解る。図10〜図12に示す電子顕微鏡写真より破壊的な損傷は観察されず、図7〜図9の電子顕微鏡写真とは明確に相違している。このようにプロテアーゼリッチな条件下でも抵抗性を発現し、日常的な洗濯に対して充分取り扱いが可能であると判断できる。
【0059】
[実施例2]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにジエチレングリコール ジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX−851)を用いたこと以外、実施例1と同様の処理を行って、編地(b−2)、(c−2)および(d−2)を作製した。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3.35%OWFであった。
【0060】
[実施例3]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにポリグリセロール ポリグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX−512)を用いたこと以外、実施例1と同様の処理を行って、編地(b−3)、(c−3)および(d−3)を作製した。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3.35%OWFであった。
【0061】
[実施例4]
ホルムアルデヒド液(濃度38%)(ナカライテイスク(株))2g及び非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))1gを1Lの水に撹拌分散させた。その中に12gの編地(b)、(c)および(d)をそれぞれ同時に投入した。撹拌しながら昇温し90℃で15分処理し、冷却した。その後、水洗し、乾燥させて編地(b−4)、(c−4)および(d−4)を作製した。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は6.3%OWFであった。
【0062】
[比較例1]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにフェノール(EO)5グリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)社製、商品名:デナコールEX−145)を用いたこと以外、実施例1と同様の処理を行って、編地(b−5)、(c−5)および(d−5)を作製した。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3.35%OWFであった。
【0063】
[比較例2]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにカルボキシル基に反応しやすいオキサゾリン基含有ポリマー((株)日本触媒社製、商品名:エポクロスWS−500)を用いたこと以外、実施例1と同様の処理を行って、編地(b−6)、(c−6)および(d−6)を作製した。いずれの編地の処理においても、水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3.35%OWFであった。
【0064】
以上、予備試験、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2で作製した任意の編地を以下の洗濯試験A〜Dに供した。洗濯試験A〜DはいずれもJIS L−0217 103法に準じるものであり、洗剤を変えて繰り返し洗濯を行い、適宜、減量率をプロットした。減量率は下記の式により算出した。なお、洗剤は、綿、麻及び合成繊維を用途としている洗濯用合成洗剤を使用した。
【数2】

【0065】
(洗濯試験A)
洗剤としてアタック(花王(株)社製)を用いた。結果を図13(A)および(B)に示す。
(洗濯試験B)
洗剤としてトップ(ライオン(株)社製)を用いた。結果を図14に示す。
(洗濯試験C)
洗剤としてアリエール(P&G社製)を用いた。結果を図15(A)および(B)に示す。
(洗濯試験D)
洗剤としてトップ部屋干しタイプ(ライオン(株)社製)を用いた。結果を図16に示す。
【0066】
また予備試験、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、比較例1および比較例2で作製した編地を、JIS L−1081(1998)7.21.2法に基づいて尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度(UB溶解度)の測定に供した。
【0067】
【表1】

【0068】
編地(b)、(c)、(d)、(b−1)、(c−1)および(d−1)に対して、上記洗濯試験Aと同様の方法で100回の洗濯をおこなった後、上記と同様のUB溶解度(%)の測定に供した。
【0069】
【表2】

【0070】
以上より、本発明の処理を行った編地は長期に亘って耐劣化性を有効に発揮する。
【0071】
<実験例B>
[実施例5]
予備試験にてクロリン・ハーコセット法により防縮加工したスライバー(平均繊度18.6ミクロン)を、グリセロール ポリグリシジルエーテル(ナガセケムテクッス(株)製 商品名:デナコールEX−313)5重量%及び非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5g/Lを添加した水溶液にパディングした。その時の絞り率は60%であった。水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3%OWFであった。80℃で3分予備乾燥後、120℃で5分にて熱処理を実施した。その後、常套の方法で紡績し、1/48(Z700)の紡績糸を得た。次いで靴下編地を作製し、ビーカーにて0.5g/Lのアニオン界面活性剤WX−HC(日華化学(株))の水溶液で60℃、20分ソーピングし、水洗後乾燥した。
この処理操作により、編地(b−7)を作製した。
【0072】
[実施例6]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにジエチレングリコール ジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX−850)を用いたこと以外、実施例5と同様の処理を行って、編地(b−8)を作製した。水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3%OWFであった。
【0073】
[比較例3]
グリセロール ポリグリシジルエーテルの代わりにフェノール(EO)5グリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)社製、商品名:デナコールEX−145)を用いたこと以外、実施例5と同様の処理を行って、編地(b−9)を作製した。水溶液中の処理剤の繊維に対する含有量は3%OWFであった。
【0074】
[実施例7]
予備試験にてクロリン・ハーコセット法により防縮加工したスライバー(平均繊度18.6ミクロン)を常套の調合、常套の方法で紡績し、1/48(Z700)の紡績糸を得た。製造した糸をカセ状にし、カセ染め機で以下の処理を実施した。
浴比1:10となるように水を加え、これにエポキシ化合物エチレングリコール ジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、商品名:デナコールEX−810)を10%owfとなるように添加し、さらに非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5g/Lを添加した。水溶液中の処理剤の濃度は1重量%であった。その後、室温で10分間保持後、2℃/分の昇温速度で昇温し90℃に到達させた。60分間保持後、水洗、乾燥した糸を、実施例5と同様にして靴下編地を作製し、ビーカーにて0.5g/Lのアニオン界面活性剤WX−HC(日華化学(株))の水溶液で60℃、20分ソーピングし、水洗後乾燥した。
この処理操作により、編地(b−10)を作製した。
【0075】
[比較例4]
以下の方法で調製した水溶液を用いたこと以外、実施例7と同様の処理を行って、編地(b−11)を作製した。
浴比1:10となるように水を加え、これにフェノール(EO)5グリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)社製、商品名:デナコールEX−145)を10%owfとなるように添加し、さらに非イオン界面活性剤(アルコポール650;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.5g/Lを添加した。水溶液中の処理剤の濃度は1重量%であった。
【0076】
以上、予備試験、実施例5、実施例6、実施例7、比較例3および比較例4で作製した編地を、実験例Aと同様の洗濯試験A〜Dに供し、減量率をプロットした。減量率は実験例Aにおいてと同様の式により算出した。
【0077】
洗濯試験Aの結果を図17に示す。
洗濯試験Bの結果を図18に示す。
洗濯試験Cの結果を図19に示す。
洗濯試験Dの結果を図20に示す。
【0078】
また予備試験で作製したスライバー(紡績直前のもの)および紡績糸、実施例5、実施例6および比較例3で作製したスライバー(紡績直前のもの)、ならびに実施例7および比較例4で作製した糸(編地作製直前のもの)を、JIS L−1081(1998)7.21.2法に基づいて尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度(UB溶解度)の測定に供した。
【0079】
【表3】

【0080】
編地(b−7)、(b−8)および(b−10)に対して、上記洗濯試験Aと同様の方法で100回の洗濯をおこなった後、上記と同様のUB溶解度(%)の測定に供した。
【0081】
【表4】

【0082】
以上より、本発明の処理を行ったスライバーおよび糸は長期に亘って耐劣化性を有効に発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】獣毛繊維の劣化メカニズムを説明するための模式図の一例である。
【図2】実験例Aにおけるつけ置き試験Aの結果を示すグラフである。
【図3】実験例Aにおけるつけ置き試験Bの結果を示すグラフである。
【図4】実験例Aにおけるつけ置き試験Cの結果を示すグラフである。
【図5】実験例Aにおけるつけ置き試験Dの結果を示すグラフである。
【図6】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの結果を示すグラフである。
【図7】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(b)(比較)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図8】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(c)(比較)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図9】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(d)(比較)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図10】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(b−1)(本発明)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図11】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(c−1)(本発明)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図12】実験例Aにおけるつけ置き試験Eの後の編地(d−1)(本発明)の繊維形状を示す電子顕微鏡写真である。
【図13】(A)および(B)は実験例Aにおける洗濯試験Aの結果を示すグラフである。
【図14】実験例Aにおける洗濯試験Bの結果を示すグラフである。
【図15】(A)および(B)は実験例Aにおける洗濯試験Cの結果を示すグラフである。
【図16】実験例Aにおける洗濯試験Dの結果を示すグラフである。
【図17】実験例Bにおける洗濯試験Aの結果を示すグラフである。
【図18】実験例Bにおける洗濯試験Bの結果を示すグラフである。
【図19】実験例Bにおける洗濯試験Cの結果を示すグラフである。
【図20】実験例Bにおける洗濯試験Dの結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
獣毛繊維をホルムアルデヒド又はエポキシ基を少なくとも2個有するエポキシ化合物で処理することを特徴とする獣毛繊維の耐劣化処理方法。
【請求項2】
防縮加工された獣毛繊維を用いることを特徴とする請求項1に記載の獣毛繊維の耐劣化処理方法。
【請求項3】
尿素・亜硫酸水素ナトリウム溶解度が25%以下であることを特徴とする獣毛繊維。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−51407(P2007−51407A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195828(P2006−195828)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】