説明

獣皮繊維の紡糸及びその製造方法

【課題】獣皮、特に動物の使い余りの皮または皮革の残品への利用率が低くて、廃物の皮革の回収・サイクル利用を行うという問題に対応して、専用機械を利用して獣皮のクラスターの膠原質繊維をモノフィル状の獣皮繊維に加工し、それから当該獣皮繊維をもって布に紡織できる獣皮の紡糸に織り上げる。
【解決手段】機械でルースィング(loosing)した1〜100重量%(wt%)の獣皮繊維と、0〜99重量%(wt%)のその他の紡績繊維とを備え、前記獣皮繊維及び前記紡績繊維は、上述の割合に応じて縦方向に並べられて互いに入り混じり、相互に練り合って形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の紡績の紡糸及びその製造技術に関わり、特に獣皮繊維をもって作られた紡糸及びその製造方法を提供することである。
【背景技術】
【0002】
地球には動物の種類、類別が数多く、獣皮の資源が豊富である。動物の皮は主に膠原質繊維からなる。当該繊維は束の形で、相互にくみ合わせて、密に入り組んでおり、一束の膠原質繊維は数多くの小さい膠原質繊維によって構成される。動物の皮はスキン層、真皮層及び皮下組織に分けられている。その中では真皮層が約90%以上を占め、乳頭層と網状層からなる。乳頭層の膠原質繊維は疎らに編んで織り、網状層の膠原質繊維は密に編んで織り、膠原質繊維は皮膚文節繊維の95%以上を占め、そしてクラスターの形で真皮の中に縦横に錯綜して、相互に入り交じり合い、立体的網状構造と編み上げ、真皮の本体を形成している。また、少量の網状繊維、弾性繊維とケラチン繊維(網状繊維は膠原質クラスターの外に一つの網を成して、膠原質クラスターを囲み、弾性繊維とケラチン繊維がその中に分布している)。そのほかに、繊維のペプチド(各種の蛋白質)、脂肪、各種の線状化合物は繊維の隙間に満ちみちて、ゲル状態になっている。
【0003】
人類が獣皮に対する利用はおもに獣皮を皮革に加工し、それから服装、靴、帽子、家具、カバンそして車の内装材料などに使われている。このような皮革の使用は動物の原皮に対する材料選択の基準が高く、その大きさだけでなく、厚さも均一に要求されている。皮革の表面には、例え火付けのマーク、皺、傷の痕、虫に刺された痕などの傷痕があったら、あれを不良品か廃物にされてしまう。原皮から皮革へ、それから皮革から皮製品にいたるまで、獣皮の利用率は結局20〜40%だけであり、その大部が不良品とか残品とされてしまっている。
【0004】
多くの国では獣皮の皮革の残品の一部及び使い捨ての皮革が粉状に加工し、その他の粉状物質に混合して再生皮革に作られているが、それは等級が低く、品質が高くなく、使用量が少ないために、天然の獣皮の資源を大量無駄にしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的の一つは既存技術による獣皮、特に動物の使い余りの皮または皮革の残品への利用率が低くて、廃物の皮革の回収・サイクル利用を行うという問題に対応して、専用機械を利用して獣皮のクラスターの膠原質繊維をモノフィル状の獣皮繊維に加工し、それから当該獣皮繊維をもって布に紡織できる獣皮の紡糸に織り上げることにある。
本発明のもう一つの目的としては、上述した獣皮繊維の紡糸の製造方法の一つを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の最初に述べた目的は次のように実現されたのである。一種の獣皮繊維は、その中で、機械でルースィング(loosing)した1〜100重量%(wt%)の獣皮繊維と、0〜99重量%(wt%)のその他の紡績繊維とを備え、前記獣皮繊維及び前記紡績繊維は、上述の割合に応じて縦方向に並べられて互いに入り混じり、相互に練り合って形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明で使われる獣皮繊維は牛、馬、騾馬、ロバ、駱駝、鹿、羊、豚、犬、狼、ウサギ、ネズミ、カンガル、鰐、魚や蛇などの動物の皮または皮革をもって作成された繊維であり、獣皮繊維はその長さが10〜45mm、微細度が0.3D〜2.5Dである。
本発明で使われるその他の繊維は長繊維にしてもいいし、短繊維を使用してもよい。天然の紡績繊維は、例えば綿、麻(リネン)、シルク、羊の毛、駱駝の毛、ウサギの毛、犬の毛、羽など、化学繊維のポリエステル、アクリル、ポリウレタン繊維、ナイロン、ポリプロビレンなど、または人工合成の繊維、例えば:ビスコース、天然シルク、大豆、牛乳、竹(バンブー)、キチンなどをも使用可能である。
【0008】
本発明の後項の目的は次のように実現される。皮革加工工程で獣皮を製革する工程と、製革された獣皮を選択、膨潤、ルースィング・ファイバー(loosing fiber)、脱ガム、脱色する工程と、上記の加工がなされた獣皮を精選、選別、配合、カーデイング、前紡、紡績、紡糸に編み上げる工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明は既存の技術と比べて次の特徴がある。
(1)この獣皮繊維からできた紡糸を持って、各種の上級、中級、下級の織物と生地を織りあわせ、メリヤス、編み上げ、獣皮の用途を拡げることができる。
(2)この獣皮繊維からできた紡糸は引張り強さが高く、弾力性がよく、織り合わせ、メリヤス、編み上げた各種の高級、中級、下級の織物と生地は割りに強い弾力性、耐摩耗性、耐熱性、防炎性、吸音性、吸水性をもっている。
(3)原料が豊かでコストが低い獣皮はその利用率が20〜40%だけであり、余剰の60〜80%は価格の低い残品とされている。獣皮の皮革は廃物の資源がとても豊富であり、価格がさらに安い。同時に社会には使い捨ての皮革が大量にあるので、それらを回収・利用できる。
(4)本発明は獣皮や皮革の残品や使い捨ての皮革などを利用して獣皮繊維の紡糸を作り、作業工程の適切な生産方法を提供して、自然資源を有効かつ合理的に利用させことにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、本発明の獣皮繊維紡糸は、機械でルースィング(loosing)した獣皮繊維1を1〜100重量%(wt%)と、0〜99重量%(wt%)のその他の紡績繊維2と、からなる。獣皮繊維は長さが10〜45mm、微細度が0.3D〜2.5Dである。獣皮繊維1と紡績繊維2とは上述した比例の数量で縦方向に並べて相互に錯綜して、入り混じって紡糸に編み上げられる。
【0011】
獣皮繊維は強い抱合性を持ち、そして繊維と繊維との間に細かい隙間があるために、繊維を縦方向に並べて、単独して練りあうことができる。紡績繊維の相互間にも隙間があり、繊維も抱合性を持つから、縦方向に並べられて、獣皮繊維は紡績繊維と均一・配合して練り合うことができる。
【0012】
獣皮繊維1は、牛、馬、騾馬、ロバ、駱駝、鹿、羊、豚、犬、狼、ウサギ、ネズミ、カンガル、鰐、魚や蛇などあらゆる動物の中で少なくとも獣皮の一種であり、原料の選別、石灰水に浸し、水洗い、皮なめし、脱水などの伝統的皮革の加工工程を経て皮革に製作し(すでにできた動物の皮革の残品、不良品及び回収した使い捨ての皮革は上述した加工工程が必要でない)、それから選択、膨潤、ルースィング・ファイバー(loosing fiber)、脱ガム、脱色、精選、分級、配合、カーディング、前紡、紡糸などの工程によって編み上げられた繊維紡糸を使用する。紡績繊維2は、綿、麻(リネン)、シルク、羊の毛、駱駝の毛、ウサギの毛、犬の毛、羽など天然繊維及びポリエステル、アクリル、ポリウレタン繊維、ナイロン、ポリプロ日レンなど化学繊維、及びビスコース、天然シルク、大豆、牛乳、竹(バンブー)、キチンなど人工による製造・抽出の繊維も使用する。
【0013】
図2に示すように、獣皮繊維紡糸の製造方法は、まず動物の皮革の膨潤、ルースィング・ファイバー(loosing fiber)、脱ガム、脱色を行い、皮革を長さの10〜45mmと微細度の0.3D〜2.5Dの弾力が強くてこしがある獣皮繊維に作り上げ、それから紡績繊維と均一して調合し、カーディング、前紡、紡績をして獣皮繊維の混紡糸に編み上げられる。次では、その加工工程について詳しく説明する。
【0014】
1.獣皮は既存の皮革の加工工程により皮革に加工される。既存の皮革の加工工程は原料の選別→石灰水に浸し→水洗い→脱灰→皮なめし→脱水などである。上述の工程は技術がもう熟達したので、ここでは詳細に説明しないことにする(すでにできた皮革の残品、不良品及び回収した使い捨ての皮革は上述した工程で処理する必要がない)。
2.獣皮繊維と紡糸形成との工程は選択→膨潤→ルースィング・ファイバー(loosing fiber)→脱ガム→脱色→精選→分級→配合→カーディング→前紡→紡糸に編み上げて紡糸を作り上げることである。
【0015】
(1)選択
獣皮の種類、形状、多きさ、厚さにより分級・分類をする。
(2)膨潤
分別した獣皮の皮革は類別により、それぞれ違う膨潤剤例えば、Lamepon A(N-oil acyl sodium aminoacetate)、浸透剤(Dioctyl Sodium SulfosuCcinate)、高能率湿潤剤(poly(ethylene oxide) fatty alcohol ether)、石灰、蛋白酵素を使って膨潤をし、その皮革をなめす。例えば、ヤギの皮革の膨潤は、ヤギの皮革を液比600%、Lamepon A 1.5%、高能率湿潤剤1%、温度28〜30℃の水溶液の中に入れて均一に攪拌し、15〜25時間浸してからきれいに洗い、水分を振り捨てる。
【0016】
(3)ルースィング・ファイバー(loosing fiber)
この工程は本発明のポイントである。自社開発した獣皮及び皮革繊維のルースィング装置は図3で示したとおりである。本装置は機関架構10、装入の平らなのれん11、材料供給ローラ12、材料供給ローラ13、材料供給板14、棘がつけてあるローラ15、ホッパー16、かご17、梳毛装置18からなる。ルースィング・ファイバー(loosing fiber)時に処理された皮革を送料のれん11から材料供給ローラ12へ、材料供給板14にある材料供給ローラ13を通してしっかり絞ってから、棘のあるローラ15に送り込み、高速に回転した棘ローラ15によって皮革を細くて柔らかい繊維状態に加工する。細くて柔らかい繊維はかご17のファンによりかご17へ送り込まれる。繊維になっていない一部の皮革の塊は棘ローラ15の下にあるホッパー16に落ちる。かご17に吸い付いた繊維はまた梳毛装置18を戻し、梳毛装置18から下の方にある材料供給ホッパーへ落ちる。原料はこのようにルースィング・ファイバー(loosing fiber)の処理を経て、長さ10〜45mm、微細度0.3D〜2.5Dの獣皮繊維に作り上げることができる。
【0017】
(4)脱ガム
獣皮は繊維に加工されたが、その繊維には少量の繊維ペプチド(各種の蛋白)、脂肪、各種の線状化合物などでゲル状態の余剰物質があるので、脱ガムの処理をしなければならない。この場合にはAT皮革脱脂剤、KN皮革脱脂剤、AD皮革脱脂剤などをもって脱ガムの処理を行うことができる。例えば、ヤギの皮革の繊維は常温で10wt%のAD皮革脱脂剤を含めた水溶液(pH7.0〜8.0)に入れて、15〜60分間均一に攪拌して、水を振り捨てる。
【0018】
(5)脱色
獣皮の皮革の残品または廃品、及び回収した使い捨ての皮革でできた繊維はいろんな色があるから、晒し粉(漂白剤)または漂白液で脱色の処理が必要である。例えば、回収したヤギの皮革の繊維を5%の漂白液(次亜塩素酸ナトリウム[merchlore])の液体の中に入れて、25〜30℃の温度で20〜30分間均一に攪拌してから脱水・乾燥する。
(6)精選
獣皮繊維の中にあるその他の雑質を取り除く。
(7)分級
気流による分級タンクを通して、獣皮繊維をクラスに分けられる。
(8)配合
獣皮繊維と紡織繊維とは均一して相互に編み合うように、分級された獣皮繊維と紡績繊維を必要と比例によって配合する。獣皮繊維の抱合性を減らして紡糸のロッド(rod)を均一にするために、獣皮繊維の配合時には0.1〜5重量%の重量比で油剤(油剤は動物油、植物油、鉱物油、合成樹脂類を指す)をかけ、または0.5〜0.8重量%(wt%)の滑石粉を混合する。これをもって獣皮繊維を均一に配合させることである。
【0019】
(9)カーデイング
配合した繊維を従来のカーディング工程により、精選と均一配合を行い、それから巻き上げる。
(10)梳綿
従来の梳綿工程により、巻き上げた獣皮繊維または混紡繊維を紡糸に編み組む。
(11)前紡
従来の前紡工程(5〜8回連続の前紡)を通して紡織設備に使われる紡糸になる。
(12)紡織
皮革繊維の違う規格と紡糸への違う要求に基づき、それぞれ従来のリング精紡、風杯紡糸、ジェット紡糸、摩擦紡糸などの工程により紡織し、最後に獣皮繊維の紡糸に作り上げる。
【0020】
(実施例1:牛皮繊維の製造)
選別:重さ、厚さと大きさの違う牛皮の皮革、残品及び回収した使い捨ての牛皮の皮革を選択・分類する。
膨潤:分別された牛皮を液比500%、Lamepon A 2%、高能率湿潤剤1.5%、温度28〜30℃の水溶液の中に入れ、均一に攪拌して18時間浸してからきれいに洗い、脱水して干す。
ルースィング・ファイバー(loosing fiber):自社開発のルースィング・ファイバー装置をもって、膨潤した牛皮を長さ15〜45mm、微細度1D〜2.3Dの牛皮繊維に加工する。
脱ガム:できた牛皮繊維は5wt%の陰イオン界面活性剤(anionic interfacial active agent)と有機溶剤脱脂液(pH7.0〜8.0)に入れて、常温で均一に攪拌し、60分間浸してから、きれいな水で洗い、それから水を振り捨てる。
【0021】
脱色:脱ガム処理後の牛皮繊維を5%の漂白液(次亜塩素酸ナトリウム[merchlore])の液体の中に入れて、35〜37℃の温度で35分間浸してから均一に攪拌し、きれいな水で洗い、それから、熱風で乾燥する。
精選:従来の梳綿機で牛皮繊維をひらいて梳り、その他の雑質を取り除く。
分級:気流による分級タンクを通して、大きさ、長さによって牛皮繊維をそれぞれ各種のクラスに分けられる。
【0022】
(実施例2:豚皮繊維の製造)
膨潤:選択された豚皮を液比550%、Lamepon A 1.8%、高能率湿潤剤1.3%、温度28〜30℃の水溶液の中に入れ、均一に攪拌し、16時間浸してからきれいな水で洗い、それから脱水して干す。
ルースィング・ファイバー(loosing fiber):自社開発のルースィング・ファイバー装置をもって、膨潤した豚皮を長さ10〜40mm、微細度0.8D〜2Dの豚皮繊維に加工する。
脱ガム:できた牛皮繊維は5wt%の界面活性剤と5%有機溶剤の脱脂液(pH6.0〜8.0)に入れて、常温で均一に攪拌し、45分間浸してから、きれいな水で洗い、それから水を振り捨てる。
脱色:脱ガム処理後の豚皮繊維を5wt%の漂白液の液体の中に入れて、35〜37℃の温度で30分間浸してから、きれいな水で洗い、熱風で乾燥する。
豚皮の選択、精選、分級の工程は実施例1と同じである。
【0023】
(実施例3:ヤギ皮繊維の製造)
膨潤:選択されたヤギ皮を液比500%、Lamepon A 1.5%、高能率湿潤剤1%、温度28〜30℃の水溶液の中に入れ、均一に攪拌し、15時間浸してからきれいな水で洗い、それから脱水して干す。
ルースィング・ファイバー(loosing fiber):自社開発のルースィング・ファイバー装置をもって、膨潤したヤギ皮の皮革を長さ16〜30mm、微細度0.3D〜1Dのヤギ皮繊維に加工する。
脱ガム:できたヤギ皮繊維は10wt%のAD皮革脱脂剤の常温の水溶液(pH7.0〜8.0)に入れて、20分間浸してから、きれいな水で洗い、それから水を振り捨てる。
脱色:脱ガム処理後の豚皮繊維を5wt%の漂白液の液体の中に入れて、25〜30℃の温度で30分間均一に攪拌してから、きれいな水で洗い、熱風で乾燥する。
ヤギ皮の選別、精選、分級の工程は実施例1と同じである。
【0024】
(実施例4:鯉の皮の繊維の製造)
膨潤:選択された鯉の皮を液比700%、Lamepon A 1.5%、高能率湿潤剤1.2%、温度25〜30℃の水溶液の中に入れて均一に攪拌し、8時間浸してからきれいな水で洗い、それから脱水して干す。
ルースィング・ファイバー(loosing fiber):自社開発のルースィング・ファイバー装置をもって、膨潤した鯉の皮の皮革を長さ10〜30mm、微細度0.3D〜1Dの鯉の皮の繊維に加工する。
脱ガム:できた牛皮繊維は4wt%の界面活性剤と4wt%の有機溶剤の水溶液(pH6.5〜7.5)に入れて均一に攪拌し、15分間浸してから、きれいな水で洗い、それから水を振り捨てる。
脱色:脱ガム処理後の鯉の皮の繊維を3wt%の漂白液の液体の中に入れ、35〜37℃の温度で20分間均一に攪拌してから、きれいな水で洗い、熱風で乾燥する。
鯉の皮の選別、精選、分級の工程は実施例1と同じである。
【0025】
(実施例5:大蛇の皮の繊維の製造)
膨潤:選択された大蛇の皮を液比800%、Lamepon A 1.5%、高能率湿潤剤1%、温度25〜30℃の水溶液の中に入れて均一に攪拌し、10時間浸してからきれいな水で洗い、それから脱水して干す。
ルースィング・ファイバー(loosing fiber):自社開発のルースィング・ファイバー装置をもって、膨潤した大蛇の皮を長さ10〜35mm、微細度0.5D〜1.8Dの大蛇の皮の繊維に加工する。
脱ガム:できた大蛇の皮の繊維は10wt%のAP脱脂剤の水溶液(pH7.0〜8.0)に入れて均一に攪拌し、20分間浸してから、きれいな水で洗い、それから水を振り捨てる。
脱色:脱ガム処理後の大蛇の皮の繊維を3wt%の漂白液の液体の中に入れて、35〜37℃の温度で25分間均一に攪拌してから、きれいな水で洗い、熱風で乾燥する。
大蛇の皮の選別、精選、分級の工程は実施例1と同じである。
【0026】
(実施例6:牛皮繊維の紡糸の製造)
混合配合:実施例1で作られた牛皮繊維(20〜40mm、1.0D〜2.0D)に、2%の棕櫚油を含めた水溶液を均等に振りかけ、そして0.8wt%の滑石粉を均一に混ぜ、従来の開反機で二回梳き、風を通さない場所で24時間密閉する。
カーティング:配合済みの牛皮繊維は従来のカーティング工程により、精選と均一配合を行い、それから巻き上げる。
カーティングして紡糸に編み組むこと:従来のカーティング工程により、巻き上げた牛皮繊維を紡糸に編み組む。
前紡:従来の前紡工程(5〜8回連続の前紡)を通して紡織設備に使われる良品の紡糸になる。
紡織:従来のリング精紡設備により牛皮繊維を紡糸に編み上げる。
【0027】
(実施例7:牛皮繊維の混紡ファイバーの製造)
混合配合:実施例1で作られた牛皮繊維(20〜40mm、1.0D〜2.0D)に、65wt%と35wt%の綿繊維との配合により、0.5wt%の滑石粉を均一に混ぜ、従来の開反機で二回連続して梳き、風を通さない場所で24時間密閉する。
その他のカーティング、前紡、紡織の工程は実施例6と同じである。
【0028】
(実施例8:ヤギ皮繊維の混紡ファイバーの製造)
混合配合:実施例3で作られたヤギ皮繊維(16〜30mm、0.3D〜1.2DD)に、50wt%と50wt%の紡績できるラミー繊維との配合を行い、そして1%の棕櫚油を含めた水溶液を均等に振りかけ、0.5wt%の滑石粉を均一に混ぜ、従来の開反機で二回連続して梳き、風を通さない場所で18時間密閉する。
その他のカーティング、前紡、紡織の工程は実施例6と同じである。
紡織:既存の風杯紡糸設備によりヤギ皮繊維を紡糸に編み上げる。
【0029】
(実施例9:大蛇の皮の繊維の混紡ファイバーの製造)
混合配合:実施案5で作られた大蛇の皮の繊維(28〜35mm、0.8D〜1.8D)に、45wt%と55wt%の紡績できるラミー繊維(38mm、1.5D)との配合を行い、そして0.6wt%の滑石粉を均一に混ぜ、従来の開反機で二回連続して梳き、風を通さない場所で15時間密閉する。
その他のカーティング、前紡の工程は実施例6と同じである。
紡織:従来のジェット紡糸設備により大蛇の皮の繊維を紡糸に編み上げる。
【0030】
(実施例10:豚皮繊維の混紡ファイバーの製造)
混合配合:実施例2で作られた豚皮繊維(28〜35mm、1D〜1.8D)に、45wt%と55wt%の紡績できるビスコース繊維(38mm、1.5D)との配合を行い、そして、0.6wt%の滑石粉を均一に混ぜ、従来の開反機で二回連続して梳き、風を通さない場所で15時間密閉する。
その他のカーティング、前紡の工程は実施例6と同じである。
紡織:従来の摩擦紡織設備により豚皮繊維を紡糸に編み上げる。
上述した実施案の各種の紡糸の性能は表1の通りである。
【0031】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明における獣皮繊維の構造断面概念図。
【図2】本発明の作業工程図。
【図3】本発明のルースィング・ファイバー装置の構造概念図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械でルースィング(loosing)した1〜100重量%(wt%)の獣皮繊維と、
0〜99重量%(wt%)のその他の紡績繊維とを備え、
前記獣皮繊維及び前記紡績繊維は、上述の割合に応じて縦方向に並べられて互いに入り混じり、相互に練り合って形成されることを特徴とする獣皮繊維の紡糸。
【請求項2】
前記獣皮繊維は、長さが10〜45mm、微細度が0.3D〜2.5Dであることを特徴とする請求項1記載の獣皮繊維の紡糸。
【請求項3】
前記獣皮繊維は、牛、馬、騾馬、ロバ、駱駝、鹿、羊、豚、犬、狼、ウサギ、ネズミ、カンガル、鰐、魚や蛇のいずれかを含む獣皮の少なくとも一種で作られた繊維である請求項1または2記載の獣皮繊維の紡糸。
【請求項4】
前記紡績繊維は、綿、麻(リネン)、シルク、羊の毛、駱駝の毛、ウサギの毛、犬の毛、羽の少なくともいずれかを含む天然繊維、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン繊維、ナイロン、ポリプロビレンの少なくともいずれかを含む化学繊維、またはビスコース、天然シルク、大豆、牛乳、竹(バンブー)の少なくともいずれかを含む人工加工若しくは人造の繊維の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2記載の獣皮繊維の紡糸。
【請求項5】
皮革加工工程で獣皮を製革する工程と、
製革された獣皮を選択、膨潤、ルースィング・ファイバー(loosing fiber)、脱ガム、脱色する工程と、
上記の加工がなされた獣皮を精選、選別、配合、カーデイング、前紡、紡績、紡糸に編み上げる工程と、
を含む獣皮繊維の紡糸の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−512574(P2008−512574A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530571(P2007−530571)
【出願日】平成17年3月21日(2005.3.21)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000350
【国際公開番号】WO2006/026899
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(507077994)
【Fターム(参考)】