説明

玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法、この方法でコートされた玄武岩糸と玄武岩コア糸、およびこれらから製織された製品

【課題】フッ素系コーティング液で玄武岩糸をコートして該玄武岩糸の柔軟性および製織容易性などを与えると共に、リン系難燃コーティング液で玄武岩コア糸または該玄武岩コア糸に使用される副糸をコートして玄武岩糸および玄武岩コア糸に機能性を与える、玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法、この方法でコートされた玄武岩糸と玄武岩コア糸、およびこれらから製織された製品の提供。
【解決手段】フッ素系コーティング液を主成分として20〜25℃の温度を維持するコーティング処理溶液に玄武岩糸を1〜2m/分で通過させてその表面をコーティング処理する段階を含む、玄武岩糸の機能性コーティング方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法、この方法でコートされた玄武岩糸と玄武岩コア糸、およびこれらから製織された製品に係り、さらに詳しくは、フッ素系コーティング液で玄武岩糸をコートして柔軟性および製織容易性を与えると共に、玄武岩コア糸をリン系難燃コーティング液でコートして玄武岩糸と玄武岩コア糸に難燃性を与える、玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法に関し、ひいてはこの方法でコートされた玄武岩コア糸から製織された織物の表面にシリコン樹脂を塗布することにより、火災時の耐穿孔性をさらに高められる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、玄武岩糸とは、長期間の風化過程および安定化過程を経た玄武岩から製造された環境親和的無機繊維であって、耐熱性、耐アルカリ性および機械的物性などに優れる。
【0003】
優れた品質の玄武岩糸を連続的に製造する技術としては、例えば本出願人による特許文献1に開示された技術がある。ところが、この技術は、玄武岩を粒度20mm以下の砕石に粉砕して供給する段階と、前記玄武岩砕石を1440℃〜1480℃で熔融する段階と、前記段階で熔融された玄武岩を1380℃〜1480℃に維持させながら玄武岩糸に引き抜きする段階と、引き抜きされた玄武岩糸を960℃〜1150℃に徐冷却する段階と、前記玄武岩糸の表面に表面処理剤(サイズ剤)を塗布する段階と、前記玄武岩糸に塗布された表面処理剤を乾燥させ、巻き取る段階とを含んでなる技術であって、この製法によって耐熱性、耐アルカリ性、および機械的物性などに優れた玄武岩連続繊維(玄武岩糸)が製造され、特に耐熱性に優れて火に燃えない難燃糸が得られる。
【0004】
ところが、玄武岩糸は、せん断強さおよび結節強さが非常に弱いため、繊維に作用する外力によって折れ易い。よって、このような玄武岩糸を用いて織物を得ることが容易ではない。しかも、玄武岩糸は、無機材なので、盛んに内装材として用いられるには表面質感が良くなく、他の天然繊維または有機繊維(合成繊維)に比べて玄武岩糸または玄武岩糸の織物に色相を与えることも容易ではなかった。
【0005】
このような玄武岩糸の問題を解決するために、本出願人による特許文献2では、玄武岩コア糸の製造方法および製造装置、並びにこれらを用いて製造された玄武岩コア糸を提示したが、この技術は、繊維太さ300〜1000dの玄武岩糸をロールから繰り出す工程と、繰り出された玄武岩糸にサイズ剤を塗布する工程と、サイズ剤の塗布された玄武岩糸を100℃〜180℃で加熱する工程と、繊度20〜200dの第1難燃糸をロールから繰り出し、その第1難燃糸を玄武岩糸の外側に巻いて玄武岩コア糸に作る撚糸工程および前記玄武岩コア糸の巻き取り工程、並びにこれらの一連の工程を行う装置を提示する技術である。
【0006】
このように玄武岩糸をコア(主糸)とし、そのコアの表面に難燃糸(副糸)を包む構成で製造された玄武岩コア糸は、難燃糸が感触、吸湿性、触感、光沢感、および発色性が良好な場合、その難燃糸が繊維の一般な性質を発現するようにすることにより玄武岩糸の欠点を補完する一方で、その内部のコア(主糸)である玄武岩糸が耐熱性を発揮するようにするという利点を持つ。
【0007】
ところが、このような特許文献2に開示された玄武岩コア糸は、玄武岩糸の欠点を多く改善したにも拘らず、副糸として必ず難燃糸を使用しなければならないという限界、および玄武岩コア糸のコアを成す玄武岩糸が製織時または製織後に依然として曲がりによって折れ易いという問題点を持っている。
【特許文献1】韓国特許第465272号明細書
【特許文献2】韓国特許第722409号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、玄武岩糸の欠点を解決するために長期間試験と研究を行った結果、フッ素系コーティング液で玄武岩糸をコートすることにより、その柔軟性および製織容易性を大幅向上させるうえ、発色性も向上させることができることを見出し、また、リン系難燃コーティング液で玄武岩コア糸、またはその玄武岩コア糸に使用される副糸をコートして難燃処理することにより、難燃性および製織容易性をさらに向上させることができることを見出し、本発明に至った。
【0009】
そこで、本発明の目的は、フッ素系コーティング液で玄武岩糸をコートして該玄武岩糸の柔軟性および製織容易性などを与えると共に、リン系難燃コーティング液で玄武岩コア糸または該玄武岩コア糸に使用される副糸をコートして玄武岩糸および玄武岩コア糸に機能性を与える、玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法、この方法でコートされた玄武岩糸と玄武岩コア糸、およびこれらから製織された製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の技術的特徴は、次の通りである。
【0011】
まず、本発明の第1の特徴によれば、玄武岩から製造される玄武岩糸の機能性コーティング方法であって、フッ素系コーティング液を主成分として20〜25℃の温度を維持するコーティング処理溶液に玄武岩糸を1〜2m/分で通過させてその表面をコーティング処理する段階を含む、玄武岩糸の機能性コーティング方法を提供する。
【0012】
ここで、前記玄武岩糸の機能性コーティング方法に用いられるコーティング処理溶液は、PTFE50〜60重量%、非イオン系界面活性剤2〜5重量%、および残部水からなる。
【0013】
前記玄武岩糸の機能性コーティング方法は、前記コーティング処理前に玄武岩糸を380〜420℃の温度で加熱する段階をさらに含んでもよい。
【0014】
好ましくは、前記玄武岩糸のコーティング処理後、80〜110℃の温度で乾燥させる段階と、前記乾燥段階の後、180〜270℃の温度で加熱する段階と、前記加熱段階の後、360〜420℃の温度で焼結処理する段階とをさらに含む。
【0015】
また、本発明は、前述した方法で製造された玄武岩糸を提供する。
【0016】
また、本発明は、前述した方法で製造された玄武岩糸を用いて製織された製品を提供する。
【0017】
また、本発明の第2の特徴によれば、玄武岩糸を主糸とし、前記玄武岩糸の外側に巻かれる繊維を副糸として撚糸して製織される玄武岩コア糸の機能性コーティング方法であって、リン系難燃液を主成分とするコーティング処理溶液を95〜105℃で加熱して維持し、前記コーティング処理溶液に副糸を280〜320m/hrの速度で通過させ、コーティング処理した副糸を玄武岩主糸の外周面に撚糸するか、或いはまず玄武岩コア糸を作った後、この玄武岩コア糸を、リン系難燃液を主成分とする95〜105℃のコーティング処理溶液に280〜320m/hrの速度で通過させるコーティング方法を提供する。
【0018】
前記玄武岩コア糸の機能性コーティング方法に用いられるコーティング処理溶液は、リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなる。
【0019】
また、前記コーティング処理溶液は、前記溶媒にリン系難燃液を投与した後5分以上攪拌し、安定剤を投入した後3分以上攪拌することにより準備される。
【0020】
また、本発明は、前述した方法で製造された玄武岩コア糸を提供する。
【0021】
また、本発明は、前述した方法で製造された玄武岩コア糸を用いて製織された製品を提供する。
【0022】
また、本発明の第3の特徴によれば、前述した第2の特徴によって得られた玄武岩コア糸を緯糸および経糸にして製織される織物(以下、「玄武岩コア糸織物」という)の表面に難燃性シリコン樹脂を塗布することにより、火災時の熱に対する耐穿孔性が改善された玄武岩コア糸織物を提供する。
【発明の効果】
【0023】
上述したように、本発明に係る玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性コーティング方法、この方法でコートされた玄武岩糸と玄武岩コア糸、およびこれらから製織された製品によれば、フッ素系コーティング液で玄武岩糸をコートして柔軟性および製織容易性などが与えられ、リン系難燃コーティング液で玄武岩コア糸をコートして難燃処理することにより玄武岩糸と玄武岩コア糸の機能性および品質が向上し、このように機能性コーティング処理された玄武岩糸は柔軟性に優れて製織が容易であるうえ、色相の付与が容易であり、このような玄武岩コア糸で製織された織物の表面に難燃性シリコン樹脂層が被覆された内装仕上げ材は火災時の耐穿孔性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0025】
まず、本発明に係る玄武岩糸の機能性コーティング方法について詳細に説明する。
【0026】
本発明で使用する玄武岩糸は、連続繊維であることが好ましく、例えば前述した特許文献1に提示されている技術を用いて製造される。このような玄武岩糸は、耐熱性、耐アルカリ性、および機械的物性などに優れるが、特に耐熱性に優れて火によく燃えない難燃糸の用途に適する。
【0027】
玄武岩糸は、フッ素系コーティング液を主成分とするコーティング処理溶液によってコートされる。
【0028】
前記コーティング処理溶液は、PTFE50〜60重量%、非イオン系界面活性剤2〜5重量%、および残部水からなる。
【0029】
PTFE(PolyTetra Fluoro Ethylene)は、通常使用されるフッ素系溶液であって、50重量%未満で使用すると、濃度が低くて十分なコーティングが行われず、60重量%以上で使用すると、濃度があまり高くてコーティングが不均一に行われるなどの問題点があって好ましくない。
【0030】
繊維柔軟剤は、非イオン系、例えばTriton−X100を使用する。このような繊維柔軟剤は、玄武岩繊維に柔軟性を与えるためのもので、2重量%未満で使用すると、十分な柔軟性を与えることができなくて好ましくなく、5重量%以上で使用すると、それ以上の柔軟性の向上に寄与しなくて好ましくない。
【0031】
このようにフッ素系コーティング液を主成分とするコーティング処理溶液は20〜25℃の温度で使用することが適すると知られており、玄武岩糸はそのコーティング処理溶液に1〜2m/分の速度で通過する。
【0032】
玄武岩糸がコーティング処理溶液を通過する速度は、十分なコーティングが行われるようにすることと生産性の側面を考慮して設定し、1m/分未満に設定すると、生産性が低下して好ましくなく、2m/分以上に設定すると、十分なコーティングが行われなくて好ましくない。
【0033】
玄武岩糸を製造するとき、その表面にサイズ剤、例えばエポキシ樹脂またはアクリル系樹脂がコートできる。このようなサイズ剤は、特に発色が必要な場合、本発明に係るフッ素系コーティング処理が行われる前に除去されることが好ましい。
【0034】
このようなサイズ剤の除去は、本発明のコーティング処理溶液によるコーティング処理前に、玄武岩糸を380〜420℃の温度で加熱する工程によって行われる。380℃未満の場合には、サイズ剤が十分除去されなくて好ましくなく、420℃以上の場合には、温度を過度に高めることにより運転コストが上昇するという問題点が発生するので好ましくない。
【0035】
フッ素系コーティング液を主成分とするコーティング処理溶液がコートされた玄武岩糸は、80〜110℃の温度で乾燥させる工程と、前記乾燥の後、180〜270℃の温度で加熱する工程と、前記加熱の後、360〜420℃の温度で焼結処理する工程とを経る。好ましくは、玄武岩糸の表面にコートされたコーティング処理溶液が均一に広がるようにロールまたはナイフによる調整工程を経た後、乾燥工程を行う。
【0036】
より詳しく説明すると、玄武岩糸は、80〜110℃の温度を維持する乾燥領域(Drying zone)を通過し、この過程で、玄武岩糸の表面にコートされたコーティング処理溶液が乾燥する。
【0037】
次いで、玄武岩糸は、180〜270℃の温度を維持する加熱領域(Baking zone)と、360〜420℃の温度を維持する焼結領域(sinteringzone)を順次通過し、この過程でコーティング処理溶液が玄武岩糸の表面に堅くコートされる。
【0038】
前記焼結領域の長さは、前記乾燥領域、加熱領域および焼結領域の全長の50%程度に設定することがよい。
【0039】
前記調整工程は、一対のロールが回転可能に設置され、そのロールの間に玄武岩糸が通過する構造、または玄武岩糸の表面にナイフが接触するように設置された構造を持つことにより、玄武岩糸の表面にコートされたコーティング処理溶液が玄武岩糸の表面に均一に分布するようにする。
【0040】
このように製造された玄武岩糸は、自体の物性、特に難燃性が維持され、しかも屈曲時に折れ易くない機能、すなわち柔軟性に優れて製織が容易である。また、色相を容易に与えることができるため、難燃性に優れる多様な色相の難燃内装材の製造が可能である。
【0041】
次に、本発明に係る玄武岩コア糸の機能性コーティング方法について詳細に説明する。
【0042】
玄武岩コア糸は、玄武岩糸を主糸とし、その外側に巻かれる繊維を副糸として撚糸に製作される。例えば特許文献2に記載された技術を用いて製造できる。
【0043】
玄武岩コア糸を構成する副糸が、リン系難燃液を主成分とするコーティング処理溶液に一定の時間以上接触して難燃処理できる。
【0044】
前記コーティング処理溶液は、リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなる。
【0045】
このようなコーティング処理溶液を成すリン系難燃液は、難燃効果および環境安全性に優れた難燃剤として知られている。
【0046】
このようなコーティング過程でリン系難燃液が35重量%未満で含有されると、玄武岩コア糸に対して十分な難燃性を期待することができず、45重量%以上で含有されると、溶媒にリン系難燃液が十分溶解されないため難燃処理効果を低下させる。
【0047】
溶媒は、リン系難燃液が緯糸の表面に難燃性を与えることができるように十分溶解されるようにする機能を持つ。溶媒の場合、50重量%未満で含有されると、リン系難燃液が十分溶解されなくて難燃処理効果が低下し、59.9重量%以上で含有されると、リン系難燃液の濃度があまり低くなって好ましくない。
【0048】
また、熱安定剤は、9,10−ジヒロド−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(9,10-dehydro-9-oxa-10-phosphor
phenanthrene-10-oxide)から構成される。このような熱安定剤は、0.1重量%未満で含有されると、機能をまともに発揮せず、10重量%以上で含有されると、過度であって好ましくない。
【0049】
このようなコーティング処理溶液は、溶媒にリン系難燃液を投入して攪拌する工程、および熱安定剤を投入して攪拌する工程によって製造できる。
【0050】
溶媒とリン系難燃液は、5分以上の攪拌によって均一に混ぜられるようにすることが好ましく、このように攪拌された溶媒とリン系難燃液との混合溶液に熱安定剤を投入した後、3分以上の攪拌によって均一に混ぜられるようにすることが好ましい。攪拌時間があまり短ければ、均一に混ぜられなくて好ましくなく、攪拌時間があまり長ければ、生産性が低下するという問題点があって好ましくない。
【0051】
このように製造されたコーティング処理溶液は、95〜105℃で加熱されることが好ましく、このような範囲でコーティング効率が最大に示される。
【0052】
前記副糸は、280〜320m/hrの速度でコーティング処理溶液を通過し、あまり低い速度に設定すると、生産性の側面で好ましくなく、あまり高い速度に設定すると、コーティングがまともに行われない。
【0053】
このように製造された副糸を主糸としての玄武岩糸の外側に巻くことにより、玄武岩コア糸が製作できる。
【0054】
このように玄武岩コア糸を成す副糸が難燃処理されると、難燃性に優れた玄武岩糸と共に玄武岩コア糸全体の難燃機能を向上させる。
【0055】
また、前述した玄武岩コア糸の機能性コーティング方法は、玄武岩コア糸を成す副糸に対してリン系難燃コーティング処理することにより製造される方法であるが、副糸のみをコートするのではなく、まず副糸を玄武岩糸主糸に合糸してコア糸を作った後、このコア糸に前述した過程のリン系難燃コーティング処理を施すことも可能である。この場合にも、玄武岩コア糸全体の難燃機能を向上させることができる。
【0056】
したがって、本発明の玄武岩コア糸を用いて製織される織物は、優れた難燃性を有し、副糸の表面にコートされたコーティング処理溶液、またはコア糸の表面にコートされたコーティング処理溶液が副糸と主糸を堅く結合させる機能も一緒に有することにより、製織の容易性および製織された織物の品質、特に耐久性を向上させる。
【0057】
一方、本発明において、前述した玄武岩コア糸の製造に用いられる副糸は、特に天然の綿繊維であることが好ましいが、その理由は、綿繊維は天然の有機素材であって、親環境的で吸収性、撥水性、および発色性に優れて無機繊維としての玄武岩糸の欠点をカバーすることができるうえ、特に火に燃える場合、その灰が製織された位置にそのまま残存することにより、後述のシリコン樹脂バックアップコーティング処理部と共に玄武岩コア糸織物の火災に対する耐穿孔性の発現に大きく寄与することができるためである。
【0058】
本発明で使用される玄武岩コア糸製造用副糸としての綿繊維は、太さ0.3〜0.6mmのものが好ましいが、0.6mm以上とあまり太ければ、内部の玄武岩主糸に合糸して撚糸に作ることが適せず、0.3mm以下とあまり細ければ、そのような玄武岩コア糸から作った織物は火災時の耐穿孔特性を発揮するのに足りない。
【0059】
次に、本発明は、前述したコーティング処理工程を経た玄武岩コア糸を用いて製織された難燃性玄武岩コア糸織物の難燃性をさらに高めるために、玄武岩コア糸織物のいずれか一面に難燃性シリコン樹脂がさらにコートされることを特徴とする。難燃性シリコン樹脂は、シリコン樹脂に難燃剤、好ましくは非ハロゲン(Non-Halogen)系難燃剤が混合されたシリコン樹脂であって、例えば韓国の株式会社ジンボで生産した製品名FR−319またはFR−319Aを使用することができる。ロールから繰り出される玄武岩コア糸織物の一面に前述した難燃性シリコン樹脂をホッパーを介して連続して供給するが、その被覆厚さを調節し且つ均一に塗布を行うために、ナイフでスクレーピング(Scraping)しながら塗布することが好ましい。この際、その塗布厚さは0.01mm〜0.1mmであることが好ましい。0.01mm以下であれば、塗布量が少なくて耐穿孔性が低下し、0.1mm以上であれば、織物の柔軟性が低下し、難燃特性が飽和して非経済的である。
【0060】
以上のような玄武岩コア糸織物地(例えば、0.6mmの玄武岩主糸+表面にリン系難燃液がコートされた0.55mmの綿糸(副糸)+厚さ0.05mmの難燃性シリコン樹脂材コーティング)を室内装飾物、例えば内装仕上げ材(壁紙)として使用する場合、この内装仕上げ材が準不燃材(難燃材)としての要件を充足するかを韓国消防検定公司(Korea Fire Equipment Inspection Corporation)で試験したところ、次の結果を得た。
【表1】

【0061】
上述した試験結果を得るにおいて最も重要な物理的特性は、試験体に貫通亀裂または穴または熔融が発生してはならないことであって、もし試験体に亀裂または穴または熔融が発生する場合には、その亀裂または穴を介して放出熱量および熱放出率が急激に高くなり、有害ガスの流動量が急激に多くなる。本発明によって玄武岩コア糸の織物に難燃性シリコン樹脂をコートして完成される製品は、そのコア糸(主糸)が無機材の玄武岩糸からなり、その外周面に巻かれた副糸が天然の有機繊維、すなわち綿からなり、火に燃えた後にはその灰が残存し、難燃性シリコン樹脂被覆層によって耐熱性が向上したため、従来のいずれの壁紙などの内装仕上げ材よりも難燃要求特性に適した製品になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTFE50〜60重量%、非イオン系界面活性剤2〜5重量%、および残部水からなり、20〜25℃の温度に維持されるフッ素系水溶液に玄武岩糸を1〜2m/分の速度で通過させてその表面をコーティング処理する段階と、
前記玄武岩糸のコーティング処理段階の後、そのコーティング処理された玄武岩糸を80〜110℃の温度で乾燥させる段階と、
前記乾燥段階の後、その玄武岩糸を180〜270℃の温度で加熱する段階と、
前記加熱段階の後、360〜420℃の温度で焼結処理する段階とを含むことを特徴とする、玄武岩糸の機能性コーティング方法。
【請求項2】
前記コーティング処理段階の前に、玄武岩糸を380〜420℃の温度で加熱する段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の玄武岩糸の機能性コーティング方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法で製造された玄武岩糸。
【請求項4】
リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなるコーティング処理溶液を95〜105℃に維持しながら、このコーティング処理溶液に副糸を280〜320m/hrの速度で通過させてコーティング処理する段階と、
前記リン系難燃液がコートされた副糸を乾燥させる段階と、
前記乾燥した副糸を玄武岩糸の周囲に巻いて合糸する段階とを含んでなることを特徴とする、玄武岩コア糸の機能性コーティング方法。
【請求項5】
玄武岩糸を主糸とし、その周囲に副糸を巻いて合糸することにより、玄武岩コア糸を製造する段階と、
リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなり、95〜105℃に維持されるコーティング処理溶液に前記玄武岩コア糸を280〜320m/hrの速度で通過させて玄武岩コア糸の外周面をコーティング処理する段階と、
前記リン系難燃液がコートされた玄武岩コア糸を乾燥させる段階とを含んでなることを特徴とする、玄武岩コア糸の機能性コーティング方法。
【請求項6】
請求項4または5のいずれか1項に記載の方法によって製造されることを特徴とする、玄武岩コア糸。
【請求項7】
リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなるコーティング処理溶液を95〜105℃に維持しながら、このコーティング処理溶液に副糸を280〜320m/hrの速度で通過させてコーティング処理する段階と、
前記リン系難燃液がコートされた副糸を乾燥させる段階と、
前記乾燥した副糸を玄武岩糸の周囲に巻いて合糸することにより、玄武岩コア糸を製造する段階と、
前記玄武岩コア糸を緯糸・経糸として製織することにより、玄武岩コア糸の織物を製造する段階と、
シリコン樹脂に非ハロゲン系難燃剤が混合された難燃性シリコン樹脂を前記玄武岩コア糸織物の表面にコートして乾燥させる段階とを含んでなることを特徴とする、難燃性シリコン樹脂がコートされた玄武岩コア糸織物の製造方法。
【請求項8】
玄武岩糸を主糸とし、その周囲に副糸を巻いて合糸することにより、玄武岩コア糸を製造する段階と、
リン系難燃液35〜45重量%、溶媒としてのトルエン50〜59.9重量%、および熱安定剤0.1〜10重量%からなるコーティング処理溶液を95〜105℃に維持しながら、このコーティング処理溶液に玄武岩コア糸を280〜320m/hrの速度で通過させてコーティング処理する段階と、
前記リン系難燃液がコートされた玄武岩コア糸を乾燥させる段階と、
前記乾燥した玄武岩コア糸を緯・経糸として製織することにより、玄武岩コア糸織物を製造する段階と、
シリコン樹脂に非ハロゲン系難燃剤が混合された難燃性シリコン樹脂を前記玄武岩コア糸織物の表面にコートして乾燥させる段階とを含んでなることを特徴とする、難燃性シリコン樹脂がコートされた玄武岩コア糸織物の製造方法。
【請求項9】
前記副糸は綿糸であることを特徴とする、請求項7または8に記載の難燃性シリコン樹脂がコートされた玄武岩コア糸織物の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法によって製造されたことを特徴とする、難燃性シリコン樹脂がコートされた玄武岩コア糸織物。

【公開番号】特開2008−266874(P2008−266874A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97612(P2008−97612)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(508102853)セコテック カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】