説明

玄米麺製造機及び製造方法

【課題】栄養価の高い玄米粉を素材として麺が製造できる玄米麺製造機及び製造方法を提供する。
【解決手段】玄米麺製造機により以下製造する。玄米粉15に昆布酸16を加えるだけで、そのままの状態で粉合わせをする段階と、熱湯18を加え、表層部をかき混ぜて表面に糊状層19を形成する段階と、練り器12を所定の時間動かした後、所定の量の水17を追加して麺生地が固まりになるまで再度動かす段階と、固まりになった麺生地を所定時間放置する段階と、所定時間放置後、麺製造機のシリンダに押し込む段階と、前記麺製造機のピストンを押し下げてノズルプレートから麺を押し出す段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄米麺製造機及び製造方法に係り、より詳しくは、玄米粉を素材にした玄米麺製造機及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、麺は蕎麦粉または小麦粉から作られるのが普通であり、玄米の麺は製造が難しいため作られていなかった。
しかし、玄米は、栄養成分の宝庫である胚芽を持っているため最高の食品と言われている。即ち、ビタミンA、B1,B2,B6,B12,ニコチン酸パラトン酸、プロビタミンC、ビタミンEなどの有効成分が多量に含まれている。
【0003】
さらに、玄米には体内の有害物質を体外に排出する作用があり、例えばフィチ酸などが体内の有害物質と非常によく結合し、有害物質が腸壁から吸収されるのを防いだり、これらと結合して排泄を促したりする作用がある。これら成分は、腸内の細菌を健全にし、体内に蓄積された有害物質を引き出して排出する作用も有している。
このように優れた玄米であるが、圧力釜で炊いても美味と言えるものではなく、麺にすることも困難であった。
【0004】
玄米粉を麺にするに当たっての問題点は、麺製造機の押出しパワー不足及び麺が切れて麺製品にならないことであった。
麺製造機は通常油圧又は空気圧方式が主であるが、米粉麺の製造は押出しパワー不足で不可能であった。また、油圧方式は油汚れ発生の問題があり、空気圧方式は騒音発生の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平05−223024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、栄養価の高い玄米粉を素材として麺が製造できる玄米麺製造機及び製造方法の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、麺生地を入れるシリンダと、 前記シリンダの1端に装着されたノズルプレートと、前記ノズルプレートを通じて前記シリンダ内の麺生地を押し出すピストンと、前記ピストンを上下駆動させるアクチュエーターと、前記アクチュエーターを装着する架台と、前記アクチュエーターを動かす電動機と、を含み、前記シリンダは衝撃吸収材を介して複数本のボルトによって前記架台に取り付けられ、前記ピストンはリミットスイッチによって移動の上下限が設定されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、玄米粉に昆布酸を加えるだけで、そのまま粉合わせをする段階と、熱湯を加え、表層部をかき混ぜて表面に糊状層を形成する段階と、練り器を所定の時間動かした後、所定の量の水を追加して麺生地が固まりになるまで再度動かす段階と、固まりになった麺生地を所定時間放置する段階と、所定時間放置後、請求項1の麺製造機のシリンダに押し込む段階と、前記麺製造機のピストンを押し下げてノズルプレートから麺を押し出す段階と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の玄米麺製造機及び製造方法によれば、栄養価の高い玄米から口当たりが良く、歯ごたえのある玄米製の麺を作ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の玄米麺製造機の正面図である。
【図2】本発明の玄米麺製造機の右側面図である。
【図3】図2の内部を示す内部の右側面図である。
【図4】図1の内部を示す内部の正面図である。
【図5】図3のA−A断面を示す図である。
【図6】本発明による玄米麺の製造過程を示す図である。
【図7】本発明による玄米麺の練り玉の製造過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の玄米麺製造機について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の玄米麺製造機の正面図、図2本発明の玄米麺製造機の右側面図である。図3は、図2の内部を示す内部の右側面図、図4は、図1の内部を示す内部の正面図である。
図5は、図3のA−A断面を示す図である。
図6は、本発明による玄米麺の製造過程を示す図であり、図7は、本発明による玄米麺14の練り玉の製造過程を示す図である。
図3に示す通り、本発明の玄米麺製造機は、麺生地を入れるシリンダ1と、シリンダ1の1端に装着されたノズルプレート2と、ノズルプレート2を通じてシリンダ内の麺生地を押し出すピストン3と、ピストン3を上下駆動させるアクチュエーター4と、アクチュエーター4を装着する架台5と、アクチュエーター4を動かす電動機6と、から構成されており、これがハウジング7に収納されている。
【0012】
シリンダ1の他端である上部にはフランジ部8が取り付けられ、フランジ部8がウレタン製の衝撃吸収材9を介して複数本のボルト10によって架台に取り付けられている。ピストン1はリミットスイッチによって移動の上下限が設定されている。
フランジ部8には、麺玉投入台11が設けられている。図5は、麺玉投入台11を示す図であり、麺玉投入台11は水平方向に出し入れ可能なスライド式になっている。麺玉投入台11のスライド板は玄米麺製造機本体から引き出した状態でスライド板上に練り玉13を載せ、この状態で本体内に戻すと練り玉13がシリンダ1に投入できるようになっている。
【0013】
ノズルプレート2には麺の断面に相当する貫通孔が複数個設けられている。
貫通孔の形状としては、1辺が1.7mmから3.5mmの正方形または四角形や1.5mmφから3mmφの円形などが、用いられるが、その他、多角形、楕円形等各種のものも適用可能である。
ノズルプレート2に設けられる貫通孔の間隔は、押出された麺が互いにくっつかない程度空けておく必要がある。
アクチュエーター4は、ベルトを介して電動機6により駆動される。スイッチONでアクチュエーター4によりピストン3が下降を開始し、ピストン3が麺生地を押し出してノズルプレート2に到達した時点で下限リミットスイッチが作動し、ピストン3の下降が停止される。
下限リミットスイッチが作動すると、自動的に再度スイッチがONとなり、ピストン3は上昇し、上限リミットスイッチが作動すると上昇を停止する。
玄米麺14用の麺製造機では麺生地押出し圧力を高くする必要があるが、ピストン3が下降し下限リミットスイッチが作動した瞬間に下降を停止すると、ピストン3がノズルプレート2に過大な圧力を与えてノズルプレート2を損傷する恐れがあるため、ボルト10とフランジ部8の間にウレタン製の緩衝材である衝撃吸収材を挿入してピストン3とノズルプレート2の間の衝撃を吸収するようにしている。
【0014】
本発明の玄米麺製造機は、球状に固めた150g前後の麺生地をシリンダ1に挿入し、スタートスイッチをONにするとピストン3が下降を始め、ピストン3の下面が麺生地に到達すると麺生地を圧迫してノズルプレート2下面から線条の麺を押し出す。
ピストン3が麺生地を全て押し出すと下限リミットスイッチが作動してピストン3は下降を停止する。ピストン3は下降停止後自動的に再スタートし、上昇した後上限の位置で停止する。
本発明の玄米麺製造機の実施例は、幅250mm、奥行き580mm、高さ750mmで、モーター出力0.75kwで毎時180食分の麺が製造可能である。
【0015】
以下、本発明による玄米麺製造機を使用した玄米麺製造の具体的な実施例を詳しく説明する。
図7は、玄米の練り玉13を製造する過程を示す図であり、図6は、玄米の練り玉13から玄米麺14を製造する製造過程を示す図である。
図7に示す通り、玄米は製粉機で粉にした後、約2Kgを練り器12に挿入する。練り器12に挿入した玄米粉15に結合力を増加させるために昆布酸16を1%加え、そのままの状態で5分間粉合わせをする。
蕎麦粉の場合は、昆布酸16を加える必要はなく、また、玄米粉15でも微粉の場合は昆布酸16を加える必要はない。
その後練り器の回転を一旦停止して60%の熱湯18を加え、表層部を割箸でかき混ぜて表面に糊状層19を形成する。表面に糊状層19が形成された後、練り器を5分間動かして、残りの40%の水17を追加して麺生地が固まりになるまで再度練り器12を回転させる。スタート後、約15分で大きな固まりとなる。
【0016】
次に、図6に示す通り、大きな固まりを150gの小さな固まりに小分けして20分ビニール袋に入れて放置する。
20分間放置後、本発明の麺製造機のシリンダに押し込み、麺製造機のピストンを押し下げてノズルプレートから麺を押し出す。
本発明の玄米麺製造機によれば、栄養価の高い玄米から口当たりが良く、歯ごたえのある玄米100%の麺を作ることができる。しかも玄米麺製造機は油圧や空気圧方式でなく電動式であるため油汚れや騒音がない特徴がある。
【符号の説明】
【0017】
1 シリンダ
2 ノズルプレート
3 ピストン
4 アクチュエーター
5 架台
6 電動機
7 ハウジング
8 フランジ部
9 衝撃吸収材
10 ボルト
11 麺玉投入台
12 練り器
13 練り玉
14 玄米麺
15 玄米粉
16 昆布酸
17 水
18 熱湯
19 糊状層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
麺生地を入れるシリンダと、
前記シリンダの1端に装着されたノズルプレートと、
前記ノズルプレートを通じて前記シリンダ内の麺生地を押し出すピストンと、
前記ピストンを上下駆動させるアクチュエーターと、
前記アクチュエーターを装着する架台と、
前記アクチュエーターを動かす電動機と、
を含み、
前記シリンダは衝撃吸収材を介して複数本のボルトによって前記架台に取り付けられ、
前記ピストンはリミットスイッチによって移動の上下限が設定されていることを特徴とする玄米麺製造機。
【請求項2】
玄米粉に昆布酸を加えるだけで、そのままの状態で粉合わせをする段階と、
熱湯を加え、表層部をかき混ぜて表面に糊状層を形成する段階と、
練り器を所定の時間動かした後、所定の量の水を追加して麺生地が固まりになるまで再度動かす段階と、
固まりになった麺生地を所定時間放置する段階と、
所定時間放置後、請求項1の麺製造機のシリンダに押し込む段階と、
前記麺製造機のピストンを押し下げてノズルプレートから麺を押し出す段階と、を含むことを特徴とする玄米麺製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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