説明

玄関マットとその製造方法

【課題】長期間にわたって粘性を維持することができ、靴の裏の粉塵や細菌を確実に取り除くことができる。
【解決手段】基布に多数のパイル糸を植生したマットである。このパイル糸群は、ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、界面活性剤と、イオン交換水と、光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤の混合液を吹き付けたパイル糸群として構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関マットとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、柔軟で耐久性がある玄関マット、あるいは滑りにくい各種の玄関マットが開発されている。
【特許文献1】特開平09−268479号公報。
【特許文献2】特開平06−269347号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば精密機械の工場では、靴の裏に付着した微細な粉塵を持ち込むと製品の歩留まりに大きな影響を与えるから、清掃員が常に室内の清掃を行うという不経済な作業が必要となっている。
さらに病院では粉塵だけでなく、靴の裏に細菌が付着した状態で構内へ入ることは阻止すべきであるが、実際にはそのような要望に応じうる玄関マットは開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記のような課題を解決するために本発明の玄関マットは、基布に多数のパイル糸を植生したマットであって、このパイル糸群は、ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、界面活性剤と、イオン交換水と、光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤の混合液を吹き付けたパイル糸群である玄関マットことを特徴としたものである。
また本発明の玄関マットの製造方法は、基布に多数のパイル糸を植生したマットに、ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、界面活性剤と、
イオン交換水と、光触媒と銀メタル系、または銀イオン系の抗菌剤の混合液を吹き付けて行う、玄関マットの製造方法を特徴としたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の玄関マットとその製造方法は以上説明したようになるから次のような効果を期待することができる。
<1> 長期間にわたって粘性を維持することができ、靴の裏の小粉塵を確実に取り除くことができる。
<2> さらに光触媒と銀メタル系、または銀イオン系の抗菌剤は抗菌効果があるから、長期間にわたって靴の裏の抗菌を行うことができ、病院の構内への細菌の持込を低減しあるいは排除することができる。
<3> 工場でも病院でも、構内への粉塵や細菌の持込を、玄関マットの位置で阻止できるから、従来のような清掃員の手間が少なくなり、労務費を大幅に削減することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図面を参照にしながら本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0007】
<1>マット。
マット自体は従来公知のものを使用することができる。
一般に採用されているのは、基布に多数のパイル糸を植生した構造のマットである。
本発明のマットは、後述するように、特にパイル糸に粘着、抗菌処理を施したマットである。
【0008】
<2>粘着抗菌剤。
このパイル糸群は、粘着、抗菌処理を施してあるパイル糸を使用する。
この粘着抗菌剤としては、ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、界面活性剤と、イオン交換水と、光触媒と銀メタル系の抗菌剤を使用する。
上記のポリアルキレングリコール誘導体を代表とするグリコール系、またはグリセリン系の保湿剤と、界面活性剤と、イオン交換水との混合物は粘着性を備えている。
光触媒と銀メタル系の抗菌剤は、高い抗菌作用を備えている。
製造に際しては、両者を混合した混合液を、霧状態にしてパイル糸群に吹き付ける。
上記の粘着抗菌剤は例えば次のような配合のものを使用する。
1)ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤:5〜40%
2)界面活性剤:0.1%以上
3)イオン交換水:55〜95%
4)光触媒と銀メタル系、銀イオン系の抗菌剤 :0.5%〜2%
【0009】
<3>粘着性。
ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、界面活性剤と、イオン交換水との混合物は、乾燥時には空気に含まれる水分を吸引して粘着性を維持するという含水平衡機能を有している。
したがって他の材料のように急速に乾燥してしまうことがなく、空気が湿気を持っている限り長期間にわたって粘着性を維持させることができる。
従来は粘性を長く維持するために例えば油滴を吹き付けるようなマットが利用されているが、その場合には靴の裏に付着した油分が室内の床を汚染するという問題があった。
しかし本発明のマットに使用するポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤の混合物はそのような弊害がなく、長期間にわたって粘性を維持して靴の裏の砂や粉塵を接着して除去することができる。
【0010】
<4>抗菌剤。
本発明で使用する光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤は、銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤がそれ自体で高い抗菌作用を有するが、さらにこの銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤に光触媒性能を加えたものである。
その場合に光触媒として例えばナノサイズの二酸化チタンを使用する。
二酸化チタンは光を受けると酸化力の強いビドロキシルラジカルを生成し、有害な有機物の分子結合を切断、分離して無害な水と二酸化炭素に分離する機能を備えている。
このように光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤を複合して構成することによって、光触媒単体よりも有機物分解性の高い、両者の性能を相乗的に高めた抗菌剤を得ることができる。
さらにこの抗菌剤は次のような性能を備えている。
医療分野:MRSA、緑膿菌、カンジダなどに対して抗菌性能に優れている。
食品分野:黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、リステリア菌などに対して抗菌性能に優れている。
その他の分野:結核菌、インフルエンザウイルスに対して有効であることが証明されている。
そのために不特定多数の人が出入りする病院や、精密工場、食品工場などに対して有効に作用する。
銀は長く食器や歯冠に使用されている。したがって安全性に問題がないことは実証されている。
また酸化チタンは顔料としてやはり長年使用されており、やはり安全性には問題がない。
したがって、例えば玄関マットの交換の際などに人の皮膚にふれてもなんら危険性がない。
【0011】
<5>玄関マットの機能。
上記のような混合物を吹き付けたマットを精密工場、食品工場、養護施設、あるいは病院の入り口に配置しておく。
ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と界面活性剤をイオン交換水で混合した溶液は長く粘着性を維持している。
そのために靴底や車椅子の車輪に付着した砂や粉塵を長い期間にわたって取り除くことができる。
また、光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤は高い抗菌性を有するから、靴底に付着した細菌を室内まで持ちこませることがない。
このような機能から、特に病院でこのマットを使用すれば室内の清潔さを保つことができる。
その結果、従来のような清掃員を置いておく必要がなくなり、あるいは清掃回数を大幅に減少することができ、きわめて経済的である。
以上のような本発明のマットの機能を整理すると、次のようになる。
(1)マットに粘着性があるために、靴底の粉塵や細菌を粘着力で除去するとことができる。
(2)その結果、靴底が清潔となって室内の汚染が減少する。
(3)同時に、マット側に付着した細菌は、抗菌剤で殺菌されマットにおける増殖を防ぐことを抑制することができる。
【0012】
<6>製造方法。
本発明の玄関マットを製造する工程を説明する。
まず、市販の一般の玄関マットをベルトコンベアーに搭載する。
そしてその表面のパイル糸に向けて上記の配合の混合液を、スプレーやガンから霧状にして噴霧する。
このように、本発明の玄関マットはきわめて簡単な工程によって製造することができる。
なお、マットを塗布ロールを通過させれば、周囲からまんべんなく抑えることができ、吹き付けた粘着抗菌剤を確実に玄関マットに付着させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布に多数のパイル糸を植生したマットであって、
このパイル糸群は、
ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、
界面活性剤と、
イオン交換水と、
光触媒と銀メタル系または銀イオン系の抗菌剤の混合液を吹き付けたパイル糸群であることを特徴とする、
玄関マット。
【請求項2】
基布に多数のパイル糸を植生したマットに、
ポリアルキレングリコール誘導体などの保湿剤と、
界面活性剤と、
イオン交換水と、
光触媒と銀メタル系、または銀イオン系の抗菌剤の混合液を吹き付けて行う、
玄関マットの製造方法。

【公開番号】特開2006−271536(P2006−271536A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−92268(P2005−92268)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(504141388)株式会社ニワユー (1)
【Fターム(参考)】