説明

玉箱

【課題】1種類の底板により玉箱内に収容する玉の量を変更することができる玉箱を提供する。
【解決手段】パチンコ玉を収容すべく上面が開口された玉箱本体1と、玉箱本体1の内底面に装着される底板10とを備え、玉箱本体1の内底面20b及び底板10の下面の一方に溝20aを他方に条10bを設け、該溝20aと条10bとは底板10が玉箱本体1の内底面20bに所定の位置関係で装着される場合にのみ嵌合可能である。玉箱本体1の内底面20b及び底板10は平面視で長方形状をなし、略同一寸法であり、長手方向を揃えた180度回転対称の2つの角度位置の一方で溝20aと条10bとが嵌合可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ玉の投入及び取り出しができるように上面が開口された玉箱に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ店では、遊技客が所謂大当たりのときにパチンコ機から出る玉を保管し、遊技終了後に景品交換所へ運搬するために玉箱が使用され、また該玉箱は店員がパチンコ機の管理作業を行う場合に多量のパチンコ玉を運搬するためにも使用される。玉箱の内底面には投入される玉による衝撃音を抑制する等のために樹脂製の底板が装着される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
玉箱に収容する玉の量を変更する要求(例えば1600個用と1800個用の2種類)があり、そのため、同一寸法の玉箱本体に対して厚さの異なる底板を用意し、玉箱本体の内底面に底板を装着したときの玉箱の内容積を変更して対応している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−112771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の玉箱では、収容する玉の量を変更するために厚さの異なる底板を用意していたので、異なる厚さの底板を製作する金型が複数必要であるとともに、厚さの異なる底板毎の製作作業が面倒であり、コスト高になる。またパチンコ店においては、複数種類の底板を保管して管理するための手間が大きいという不利があった。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、1種類の底板により玉箱内に収容する玉の量を変更することができる玉箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る玉箱は、パチンコ玉を収容すべく上面が開口された玉箱本体と、該玉箱本体の内底面に装着される底板とを備えた玉箱において、前記玉箱本体の内底面及び前記底板の下面の一方に凹部を他方に凸部を設け、該凹部と凸部とは前記底板が前記玉箱本体の内底面に所定の位置関係で装着される場合にのみ嵌合可能であることを特徴とする。
【0008】
第1の発明においては、パチンコ玉を収容すべく上面が開口された玉箱本体の内底面に底板が所定の位置関係で装着される場合、玉箱本体の内底面及び底板の下面の一方に設けた凹部と他方に設けた凸部とが嵌合するので、底板の下面が玉箱本体の内底面に近づき、底板の上面の位置は低くなる。一方、玉箱本体の内底面に底板が所定の位置関係でない状態で装着される場合、前記凹部と凸部とは嵌合しないので、底板の下面と玉箱本体の内底面との距離は凹部と凸部とが嵌合した場合より遠くなり、底板の上面の位置は高くなる。
【0009】
第2の発明に係る玉箱は、第1の発明における前記玉箱本体の内底面及び前記底板は平面視で長方形状をなし、略同一寸法であり、長手方向を揃えた180度回転対称の2つの角度位置の一方で前記凹部と凸部とが嵌合可能であることを特徴とする。
第2の発明においては、長方形状の底板は略同一寸法の長方形状の玉箱本体の内底面に対して長手方向を揃えた180度回転対称の2つの角度位置で装着可能であり、該2つの角度位置の一方で前記凹部と凸部とが嵌合し、他方で前記凹部と凸部とは嵌合しない。
【0010】
第3の発明に係る玉箱は、第1又は第2の発明における前記凹部は格子状の溝であり、前記凸部は格子状の条であることを特徴とする。
第3の発明においては、格子状の条が格子状の溝と嵌合する場合は条の長手方向の各部分で嵌合し、格子状の条が格子状の溝と嵌合しない場合は条の長手方向の各部分が溝の周囲の部分に当接する。
【0011】
第4の発明に係る玉箱は、第1から第3のいずれかの発明における前記底板の下面に下向きに係止片を突設してあり、前記玉箱本体の底部に、前記凹部と凸部とが嵌合した位置にある前記底板の前記係止片を係止することが可能な係止部と、前記凹部と凸部とが嵌合していない位置にある前記底板の前記係止片を係止することが可能な係止部とを設けていることを特徴とする。
第4の発明においては、前記凹部と凸部とが嵌合した位置及び前記凹部と凸部とが嵌合していない位置のいずれにある場合でも、底板の下面に下向きに突設した係止片が玉箱本体の底部に設けた係止部に係止される。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明に係る玉箱によれば、玉箱本体の内底面に底板を所定の位置関係で装着した場合は底板の上面の位置が低く、底板を装着したときの玉箱の内容積が増加するので、玉箱内に収容可能な玉の量が多くなる。玉箱本体の内底面に底板を所定の位置関係でない状態で装着した場合は底板の上面の位置が高く、底板を装着したときの玉箱の内容積が減少するので、玉箱内に収容可能な玉の量が少なくなる。
従って、1種類の底板の装着位置の変更により玉箱内に収容する玉の量を変更することができる玉箱が提供される。
【0013】
第2の発明に係る玉箱によれば、長方形状の底板を長方形状の玉箱本体の内底面に対して180度回転対称の2つの角度位置に変更して装着することにより、玉箱内に収容する玉の量を変更することができる玉箱が提供される。
【0014】
第3の発明に係る玉箱によれば、格子状の溝と格子状の条とが嵌合した位置では安定な嵌合を実現しつつ、格子状の溝と格子状の条とが嵌合しない位置では条によって玉箱本体の内底面に当接する底板の剛性を確保することができる。
【0015】
第4の発明に係る玉箱によれば、前記凹部と凸部とが嵌合した位置及び前記凹部と凸部とが嵌合していない位置のいずれの場合でも、底部は玉箱本体の底部に外れないように係止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る玉箱を構成する玉箱本体の斜視図である。
【図2】本発明に係る玉箱を構成する底板の裏面側の斜視図である。
【図3】底板を玉箱本体に装着した玉箱の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線における断面図である。
【図5】図3のV−V線における断面図である。
【図6】図3の玉箱の底面図である。
【図7】底板を玉箱本体に装着した玉箱の平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線における断面図である。
【図9】図7のIX−IX線における断面図である。
【図10】図7の玉箱の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る玉箱の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る玉箱を構成する玉箱本体の斜視図、図2は本発明に係る玉箱を構成する底板の裏面側の斜視図、図3は底板を玉箱本体に装着した玉箱の平面図、図4は図3のIV−IV線における断面図、図5は図3のV−V線における断面図、図6は図3の玉箱の底面図、図7は底板を玉箱本体に装着した玉箱の平面図、図8は図7のVIII−VIII線における断面図、図9は図7のIX−IX線における断面図、図10は図7の玉箱の底面図である。
【0018】
玉箱本体1は、パチンコ玉が収容される倒立四角錘台状の箱部2と、箱部2に付設された2個の取手3とを備える。玉箱本体1は例えばポリカーボネート樹脂等の合成樹脂を略同一の板厚となるように射出成形して作製される。
【0019】
箱部2は、平面視で長方形状の内底面を有する底壁20と、底壁20の外周縁部に連設された側壁21とを備えている。側壁21は箱部2の四隅では円弧状に形成してある。底壁20は上げ底であり、側壁21の下端部が床等に接触する。
【0020】
箱部2には、底壁20に対向して上面に長方形状の開口22が形成され、平面視において開口22の中心位置は底壁20の中心位置と一致し、開口22は底壁20の外周寸法より大きい。従って、側壁21は底壁20の側から開口22の側に亘って外向きに広がるように傾斜している。
【0021】
底壁20は周縁部より内側部分が高くなった台状部20bを有し、該台状部20bに格子状の溝20aを形成してある。溝20aは底壁20の長辺及び短辺に平行で互いに交差し、底壁20の全体の格子の形状は非対称である。溝20aの底は溝20a以外の台状部20bよりも低い位置にあり、底壁20は溝20aの箇所で溝幅より広い幅で下側に突出して凸条を形成している。
【0022】
底壁20の四隅付近の長辺に沿った溝20aに、溝幅と略同一の幅で溝方向に細長い開口23aを設けてある。開口23aの長手方向の両側の底壁20は逆台形状の断面を有し、開口23aは上側より下側で狭くなっている。底壁20の四隅付近の台状部20bに、開口23aと同様の形状の開口23bを設けてある。
【0023】
底壁20の各長辺側の周縁部の中央位置には、パチンコ玉を下側に突出した状態で保持する孔を下端部に備えた2つの静電気防止穴24a,24bが設けてある。静電気防止穴24a,24bは平面視で略長方形状をなし、下側部分が内側に狭くなるように傾斜した側壁を有しており、該側壁の下端は側壁21の下端部と同じ高さに位置している。一方の静電気防止穴24aの側壁は途中に前記溝20aの底と同じ高さの環状段部24a1を有しており、他方の静電気防止穴24bの側壁は途中に段部を有していない。
【0024】
底板10は、平面視で長方形状であり、四隅が円弧状の平板部10aと、平板部10aの下部から下向きに突設した格子状の条10bとを備える。平板部10aの全周には、条10bと略同一高さの裾部10dが設けてある。底板10は、投入されるパチンコ玉の衝突時の消音効果を高めるために、例えば軟質のポリエチレン樹脂を射出成形して作製される。
【0025】
底板10の1つの長辺側の周縁部の中央位置に、パチンコ玉を通過させる開口を有する玉通過部10eが設けてある。玉通過部10eは平面視で略長方形状をなし、下側部分が内側に狭くなるように傾斜した側壁を有し、該側壁の下端は条10bの下端部と同じ高さに位置している。
【0026】
底板10の平板部10aは平面視での形状が玉箱本体1の底壁20と略同一の長方形状で、寸法も略同一である。従って、底板10の平板部10aは玉箱本体1の底壁20に対して長手方向を揃えた状態で、180度向きを変えた回転対称の2つの位置(図3の位置と図7の位置)で装着が可能である。また、底板10の条10bは平板部10aの長辺及び短辺に平行で互いに交差し、底板10の全体の格子の形状は非対称であり、底壁20の溝20aの格子の形状と一致する。従って、底板10の条10bは上記180度回転対称の2つの位置の一方で、底壁20の溝20aに嵌合可能であり(図4、図5)、他方の位置では嵌合しない(図8、図9)。底壁20の溝20aに底板10の条10bが嵌合した装着状態(図4、図5)では、底壁20の溝20aに底板10の条10bが嵌合していない装着状態(図8、図9)に比べて底板10の上面の位置が低いので、箱部2に収容可能な玉の量が多くなる。
【0027】
底板10の四隅付近の長辺に平行な条10bは一部欠落しており、該条10bの欠落部分に条の方向に間隔を隔てて対向する一対の鉤型部材10c1と、各鉤型部材10c1を保持する一対の保持部10c2とが設けてある。一対の鉤型部材10c1は、鉤部分が対向する側とは反対に位置し、高さが条10bの高さよりも高くなるように下向きに突設してある。
【0028】
上記4組の鉤型部材10c1の位置は、底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合する装着状態では前記底壁20の4個の開口23aの位置に対応する。そして各開口23aに向かって一対の鉤型部材10c1が挿入されると、一対の鉤型部材10c1の間隔が狭くなり、開口23aを通過した後は元の間隔に戻るので、一対の鉤型部材10c1は底壁20に抜け止め状態に保持される(図4、図6)。また4組の鉤型部材10c1の位置は、底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合しない装着状態では前記底壁20の4個の開口23bの位置に対応する。そして、上記と同様に4組の鉤型部材10c1が各開口23bの位置で底壁20に抜け止め状態に保持される(図8、図10)。
【0029】
従って、底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合する装着状態と、底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合しない装着状態の何れにおいても、底板10の4個の鉤型部材10c1が箱部2の底壁20に係止され、底板10は確実に箱部2に装着した状態に維持される。
【0030】
また、箱部2内に収容されたパチンコ玉は前記玉通過部10eと静電気防止穴24a,24bとを通じて床等に接触し、パチンコ玉の帯電電荷が床等に放電され、帯電電荷が残ることが防止される。具体的には、底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合した場合(図5)は、玉通過部10eの下端が静電気防止穴24aの環状段部24a1で受け止められ、静電気防止穴24aの下端部の孔から下側に突き出た玉が床等に接触して帯電電荷が放電される。底板10の条10bが底壁20の溝20aに嵌合していない場合(図9)は、玉通過部10eの下端が静電気防止穴24bの周囲の底壁20で受け止められ、静電気防止穴24bの下端部の孔から下側に突き出た玉が床等に接触して帯電電荷が放電される。
【符号の説明】
【0031】
1 玉箱本体
10 底板
10b 条(凸部)
10c 係止片
20b 台状部(内底面)
20a 溝(凹部)
23a 係止部
23b 係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ玉を収容すべく上面が開口された玉箱本体と、該玉箱本体の内底面に装着される底板とを備えた玉箱において、
前記玉箱本体の内底面及び前記底板の下面の一方に凹部を他方に凸部を設け、該凹部と凸部とは前記底板が前記玉箱本体の内底面に所定の位置関係で装着される場合にのみ嵌合可能であることを特徴とする玉箱。
【請求項2】
前記玉箱本体の内底面及び前記底板は平面視で長方形状をなし、略同一寸法であり、長手方向を揃えた180度回転対称の2つの角度位置の一方で前記凹部と凸部とが嵌合可能であることを特徴とする請求項1に記載の玉箱。
【請求項3】
前記凹部は格子状の溝であり、前記凸部は格子状の条であることを特徴とする請求項1又は2に記載の玉箱。
【請求項4】
前記底板の下面に下向きに係止片を突設してあり、前記玉箱本体の底部に、前記凹部と凸部とが嵌合した位置にある前記底板の前記係止片を係止することが可能な係止部と、前記凹部と凸部とが嵌合していない位置にある前記底板の前記係止片を係止することが可能な係止部とを設けていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の玉箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−167264(P2011−167264A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31984(P2010−31984)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【出願人】(397054716)光ナノテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】