玉虫色調編成体
【課題】 生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適な玉虫色調編成体を提供すること。
【解決手段】 色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束1の各色糸11・12が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、ブラインド糸3を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、このブラインド糸3により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈するようにする。
【解決手段】 色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束1の各色糸11・12が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、ブラインド糸3を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、このブラインド糸3により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用素材の改良、更に詳しくは、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適な玉虫色調編成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布帛の表面に玉虫色の色調を表現する方法として、従来、織物の経糸または緯糸に2色の糸を用いて交互に配列するものが知られており(例えば、特許文献1参照)、また、織物の経糸と緯糸とに異なる組成の糸を用いてこれらの染色差を用いるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
これらの方法によれば、玉虫色の視覚効果が得られるものの、織物構造であるために伸縮性がなく、伸縮性が要求されるスポーツ衣料やカジュアルウエアなどの用途には不向きである。
【0004】
次に、織物組織によって異色の2本の織糸の間に浮糸(ブラインド糸)を設け、見る方向に対して浮糸の後方下に位置する糸が隠れるために反対側から見た場合とは色相の違いが出て、より変化の大きい玉虫効果が得られる構造のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、かかる構造は、隣接する同方向の経糸または緯糸と並行しているので、使用を繰り返すうちに、面方向にかかる圧力などによって、浮糸が隣接糸の間に落ち込んでしまい、奥側が隠れなくなって玉虫色の色調効果が減少するおそれがある。
【0006】
また、浮糸の延びる方向から織物面を見る場合、見る角度を変えても浮糸に隣接する異色の両糸の見える割合が同じになるため、色調に変化が生じず、所望の玉虫効果が得られないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−336041号公報
【特許文献2】特開平8−60563号公報
【特許文献3】特開昭49−117764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の衣料用素材に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適な玉虫色調編成体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、経編地糸2により編成された複数列の経編地組織W・W…を、経方向に沿って並列して、かつ、これら経編地組織W・W…の間に亙り、色糸束1を緯方向に挿入して編み込んだ編成体であって、
この色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束1の各色糸11・12が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、
ブラインド糸3を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、
このブラインド糸3により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈するようにするという技術的手段を採用したことによって、玉虫色調編成体を完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、経編地糸2により編成された経編地組織Wを鎖編組織にする一方、
ブラインド糸3を、色糸束1と並行して緯方向へジグザグに折り返された状態で挿入して、かつ、このブラインド糸3を、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、側方に並行する経編地組織Wに編絡して、これら経編地組織W・W同士を勾引状態に接結するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、少なくとも2針以上の振りで経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成する一方、
これら経編地糸2およびブラインド糸3を、トリコット編組織により編成して、
ブラインド糸3部分が、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設するという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成して、これら経編地糸2およびブラインド糸3は、経編地組織Wとして鎖編組織を形成する一方、
前記ブラインド糸3は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設して、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設するという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、緯方向の全幅に亙って挿入するという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、少なくとも2針以上の振りで経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入するという技術的手段を採用した。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸にするという技術的手段を採用した。
【0018】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸を含ませるという技術的手段を採用した。
【0019】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、経編地の長手方向に弾性糸4を挿入して、この弾性糸4の伸縮により玉虫色調の外観が変化するようにするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、色糸束は、それぞれ色相の異なる第一色糸および第二色糸とから成り、これら各色糸同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束の各色糸が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、
ブラインド糸を、前記色糸束と並行して、かつ、各列の色糸束における一組の各色糸の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、このブラインド糸により、前記色糸束における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸または第二色糸の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈することができる。
【0021】
したがって、本発明の玉虫色調編成体によれば、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適であることから、衣料用素材としての実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす概略正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす部分断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【図6】本発明の実施形態の玉虫色調編成体の製造工程を表す部分斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の変形例の組織図である。
【図8】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【図11】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0024】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは色糸束であり、この色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成る。
【0025】
本実施形態では、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸にすることができ、それぞれ黄緑色とピンク色のものを採用する。また、これらの色糸11・12の好ましい繊度としては用途により異なるが、50〜700dtex程度にする。
【0026】
また、符号2で指示するものは経編地糸であり、この経編地糸2は、経編地組織Wを編成するための糸であって、本実施形態では、ポリエステル等の合成繊維糸を採用する。この際、経編地糸2は地組織を形成するため、前記色糸束1の挿入をなるべく露出させる目的で、比較的細繊度が好ましく、一つの経編地組織Wを形成する編糸の合計繊度で15〜350dtexが好ましい。また、前記色糸束1が折り返される編成体の耳部における経編地組織Wは、色糸11・12の平行状態が乱れ易く、その乱れ状態を隠蔽する目的で、その部分の編糸の繊度を太くすると良く、好ましい繊度としては一つの編目を形成する編糸の合計繊度が50〜700dtexである。
【0027】
更にまた、符号3で指示するものはブラインド糸であり、このブラインド糸3は、単独糸あるいは前記経編地糸2の一部を構成する糸部材であって、白色や黒色などの前記色糸束1の補色関係に無い色相のものが好ましい。本実施形態では、独立して挿入される単独糸部材である。
【0028】
しかして、本実施形態の玉虫色調編成体を構成するにあっては、まず、経編地糸2により編成された複数列の経編地組織W・W…を、経方向に沿って並列せしめ、最端部には耳組織を構成する。本実施形態では、この経編地組織Wを鎖編組織にする。
【0029】
次に、これら鎖編組織からなる経編地組織W・W…の間に亙るように、色糸束1を緯方向に挿入して編み込む。なお、この色糸束1は、それぞれ色相の異なる(本実施形態では黄緑色とピンク色)第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12が平行状態に引き揃えられて構成されている。
【0030】
そして、この色糸束1の各色糸11・12が、交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入されている。この際、外側端部の折り返し部において、各色糸11・12の平行状態の乱れが懸念される場合は、その箇所の経編地組織Wをなす経編地糸2の繊度を大きくすることによりこの折り返し部を隠蔽させても良い。
【0031】
また、本実施形態では、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、緯方向の全幅に亙って挿入することができる。更に、広幅編地の場合には、編地幅を数セクションに分け、各セクションに各色糸を挿通させて、そのセクション内を折り返しながら挿入させてもよく、あるいは、階段的にアトラス挿入することも当然に可能である。
【0032】
そして、本実施形態では、独立した糸部材からなる前記ブラインド糸3を前記色糸束1と並行して緯方向に挿入する。この際、このブラインド糸3は、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して(図2および図3参照)、側方に並行する経編地組織W(鎖編組織)にジグザグに折り返されながら編絡して、これら経編地組織W・W同士を勾引状態に接結している。
【0033】
このような構造を採用したことにより、図3の矢印(イ)の方向から見ると、第二色糸12が奥側になってブラインド糸3に隠れるので、手前側の第一色糸11の色相が可視面に主として表出する。なお、このとき、ブラインド糸3の色相との混合色として見える場合もある。逆に、反対方向の矢印(ロ)の方向から見ると手前側の第二色糸12の色相が主として現われる(この場合もブラインド糸3の色相との混合色に成り得る)。更に、真上から見ると、第一色糸11と第二色糸12との混合色(あるいはブラインド糸3も含めた混合色)として目に入る。
【0034】
すなわち、異色の色糸11・12だけが平行に挿入された経編地よりも、これら色糸11・12の上面に、ブラインド糸3を両方の表面に当接しつゝ斜めに配設させたことにより玉虫効果が大いに発揮される。
【0035】
また、図3において、見る方向を、色糸束1(色糸11・12)に沿う方向である矢印(ハ)または矢印(ニ)にした場合でも、ブラインド糸3が奥側の色糸を隠蔽する同じ効果があり、どの方向からでも見る角度により見える色相が異なるので、玉虫効果がより一層強化される。
【0036】
なお、本実施形態におけるブラインド糸3は、少なくとも2針以上の振りで鎖編組織である経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入することができる。
【0037】
また、ブラインド糸3を配設する斜めの角度としては、色糸11・12の緯挿入方向に対して10°〜60°の角度を有していることが好ましく、その角度は編機のゲージ、編成コース密度、ブラインド糸3の緯振り量により決めることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、色糸11・12の2本を交互に挿入したものであるが、2色以上の異なる第三、第四の色糸の配列も含まれる。また、色糸11・12およびブラインド糸3の色については、基本色としては赤、紫、青、緑、黄、白、黒などの単独または組み合わせにすることができる。
【0039】
このブラインド糸3の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する編成体を完成することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、色糸束1の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸を含むようにすることができる。この反射スリット糸は、例えば、ポリエステルフィルムの片面をアルミ蒸着して彩色したフィルムなどが、0.2〜2mm幅でスリットされた糸条であって、この反射スリット糸自身も玉虫色調を発し、同時に緯挿入された色糸束1との相乗効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態では、必要に応じて、編成体の経編地組織Wを構成する経編地糸2においても、互いに色相の異なる第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸とから成るようにして、これら第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸とが重なり合って、経編地組織Wの編目自身が加法混色外観を呈するようにすることもできる。
【0042】
この際、一つの経編地組織の編目においても異色の糸(第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸)を編目の中心と外回りに配置させることにより、見る角度により色彩が異なる玉虫色調効果を発揮させることができ、背景となる色糸11・12による玉虫色調効果との相乗効果で、一層の高級感を醸し出させることができる。
【0043】
なお、玉虫色調効果を発揮する色糸11・12(および色鎖編み糸)の糸種については、特に限定されないが、繊維が直線状に並行した糸条の方が反射光を多く発する点からマルチフィラメント糸が好ましく、さらには入射光に対して乱反射させた方が玉虫色調効果が大きいことから、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸がより好ましいものである。
【0044】
また、本実施形態では、経編地の長手方向に弾性糸4を挿入して、この弾性糸4の伸縮により玉虫色調の外観が変化するように構成することができ、復元履歴性を良くすることができる。なお、かかる構造は、図7に示すような組織図で表現され、経方向に挿入する箇所は、経編地組織Wの内側などである。即ち、筬に弾性糸4を1針挿入させて、編地の長手方向に伸縮性を持たせることによって、見る角度だけでなく伸縮度合による異色の2本の色糸11・12の見え方の違いによる複雑な玉虫色調効果を発揮させることができる。
【0045】
<製造方法について>
第1実施形態の玉虫色調編成体を製造する方法を以下に説明する。まず、経編機を用いて、少なくとも1枚のガイドバーに挿通した経編地糸2で鎖編組織の経編地組織Wを形成する一方、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を他の少なくとも2枚のガイドバーに色別にそれぞれ挿通して、それぞれのフィラメント(色糸11・12)を特定の編針に対して同一順位で供給しながら同方向の振り運動をさせ、これら異色のフィラメント糸(色糸11・12)を、コース毎に平行状態で前記経編地組織W(鎖編組織)内に緯挿入させながら編成していく。
【0046】
また、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を挿通したそれぞれの緯挿入ガイドバーの緯振り運動量に、2針間の差を設けると同時に、それぞれのフィラメント糸(色糸11・12)の挿通位置を1針間の差をつけて、それぞれのフィラメント糸(色糸11・12)を特定の編針に対して同一順序で供給させる。
【0047】
なお、この際、必要に応じて、前記のような経編地組織W自体にも玉虫色調効果を出す場合には、この経編地組織Wを形成する経編地糸2を鎖編糸として、異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)を複数の経編地組織形成のガイドバーにそれぞれ挿通して、異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)を同一の編針に供給し、これら異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)が一個の編目に重なり合うように編成する。
【0048】
また、本実施形態では、異色のフィラメント糸(色糸11・12)が挿通された複数枚の前記緯挿入用ガイドバーの振り量を、編地の全幅に亙るようにすることもできる。
【0049】
更にまた、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を緯挿入用のガイドバーに等間隔で挿通し、複数枚のガイドバーをこの間隔の振り運動で異色のフィラメント糸(色糸11・12)を平行に緯挿入させることもできる。
【0050】
本実施形態の組織図は、図5のように示され、筬L1で経編地組織(鎖編組織)、筬L2で2針挿入により地組織を形成し、異色の2本の色糸11・12を挿入させた組織に構成する。
【0051】
また、本実施形態では、ダブルラッセル機を用いて、どちらかの針床に色糸束1を緯挿入させて、編地の片面に玉虫色調効果を発揮させることもできる。また、このダブルラッセル機で、編地の両面に編目を形成することもでき、表裏をほぼ対称とすることにより、編地がカールする現象が生じず、衣料用の装飾テープなどに適した玉虫色調編成体を得ることもできる。
【0052】
次に、本実施形態における1列針床経編機における編成部分を図6に示す。符号Nで指示するものは経編機の編針であり、また、符号L2、L3で指示するものは、編針に経糸を導くための経糸ガイドであり、鎖編編成用の経編地糸2が挿通された経糸ガイドL1は省略している。
【0053】
そして、L2、L3の経糸ガイドには異色の色糸11・12をそれぞれ挿通し、この際、経糸ガイドL3は経糸ガイドL2の緯振り運動量よりは2針間分少なく、折り返し部において1針間分経編地の内側(図では右側)で折り返すように、第二色糸12を経糸ガイドL3に挿通しておくことにより、第二色糸12は特定の編針に対して常に先行して供給されるので、経編地内への挿入順序が交互となり、色糸11・12が交錯したりすることなく常に平行状態で挿入させることができる。
【0054】
なお、色糸束1を平行状態に緯挿入するためには、上記したように、緯挿入の振り量を変えず、経糸ガイドL2とL3の高さを調整して特定の編針への供給高さを変えて挿入させる方法であっても構わない。
【0055】
また、経糸ガイドによる緯挿入方法には緯方向の振り量に限界があるため、装飾テープなどの細幅テープにおいては全幅に亙って一気に緯挿入させることができるが、広幅の場合は困難になってくるので、1枚の経糸ガイドバーに色糸束1を一定間隔で複数本挿通して、その間隔と同量の緯振りを行うことにより、編地全幅に色糸11・12を配置せしめることが可能となる。
【0056】
この場合、編地内における色糸11・12の折り返し部が端部(耳部)に存在し、これら2本の色糸11・12の平行状態が乱れることがあるので、その部分は経編地糸2の繊度を太くして隠蔽することができる。
【0057】
また、図示しないが、経糸のガイドバーを使わずに、アンダーラップのタイミングに広幅の編地全幅に亙って往復動する緯挿入ガイド機構を別途設けることによって、途中で折り返すことなく緯挿入させることもできる。
【0058】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図8から図10に基づいて説明する。本実施形態では、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成する一方、これら経編地糸2およびブラインド糸3を、トリコット編組織(本実施形態では1/1トリコット編組織)により編成する。
【0059】
本実施形態では、図8および図9に示すように、経編地糸2の一部位として一体に形成したブラインド糸3部分を、経編地組織W・W間における各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設する。
【0060】
なお、本実施形態のように、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成するパターンは、1/1トリコット編組織のほか、1/2のコード編組織のアンダーラップを利用して、色糸11・12の上面または下面において、これらの両方に少なくとも当接させて斜めに配設することもできる。
【0061】
このように構成したことによって、このブラインド糸3部分の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する。
【0062】
『第3実施形態』
本発明の第3実施形態を図11から図14に基づいて説明する。本実施形態では、ブラインド糸3が、経編地糸2の一部位として一体に形成するものであり、かつ、これら経編地糸2およびブラインド糸3が、鎖編組織である経編地組織Wを形成している。
【0063】
そして、前記ブラインド糸3部分は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設されている。本実施形態における経編地は、図11に示すように編み込んだ後、経方向に絞り込むことによって、この斜行部を形成することができる。
【0064】
このようにして、本実施形態では、ブラインド糸3部分を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、玉虫色調効果を高めるために、ブラインド糸3部分が、生地の表面積に占める割合を大きくし、経編地組織W・W…の間隔を詰めて、多数形成することが好ましく、また、適宜、経編地糸2およびブラインド糸3を細くしたり、打込みを入れたり、経編地糸2およびブラインド糸3の送り量を多くしたり(テンションを緩める)、緯糸の繊度を太くしたりすることができる。
【0066】
このように構成することによっても、このブラインド糸3部分の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する。
【0067】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、色糸束1の色相は、ピンクと黄緑に限らず、赤、紫、青、緑、黄、白、黒などの単独または組み合わせにすることができ、好ましくは補色関係にないものを採用することができる。
【0068】
また、経編地組織と1/2コード編組織によるクインズコード組織を地組織としても良く、この場合は、1/2コード編組織の編糸が編面と反対面でブラインド糸3が斜めに配設されるので、その面を玉虫色調生地とすることもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0069】
1 色糸束
11 第一色糸
12 第二色糸
2 経編地糸
W 経編地組織
3 ブラインド糸
4 弾性糸
N 編針
L1・L2・L3 経糸ガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣料用素材の改良、更に詳しくは、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適な玉虫色調編成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
布帛の表面に玉虫色の色調を表現する方法として、従来、織物の経糸または緯糸に2色の糸を用いて交互に配列するものが知られており(例えば、特許文献1参照)、また、織物の経糸と緯糸とに異なる組成の糸を用いてこれらの染色差を用いるものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
これらの方法によれば、玉虫色の視覚効果が得られるものの、織物構造であるために伸縮性がなく、伸縮性が要求されるスポーツ衣料やカジュアルウエアなどの用途には不向きである。
【0004】
次に、織物組織によって異色の2本の織糸の間に浮糸(ブラインド糸)を設け、見る方向に対して浮糸の後方下に位置する糸が隠れるために反対側から見た場合とは色相の違いが出て、より変化の大きい玉虫効果が得られる構造のものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
しかしながら、かかる構造は、隣接する同方向の経糸または緯糸と並行しているので、使用を繰り返すうちに、面方向にかかる圧力などによって、浮糸が隣接糸の間に落ち込んでしまい、奥側が隠れなくなって玉虫色の色調効果が減少するおそれがある。
【0006】
また、浮糸の延びる方向から織物面を見る場合、見る角度を変えても浮糸に隣接する異色の両糸の見える割合が同じになるため、色調に変化が生じず、所望の玉虫効果が得られないという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−336041号公報
【特許文献2】特開平8−60563号公報
【特許文献3】特開昭49−117764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の衣料用素材に上記のような問題があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適な玉虫色調編成体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0010】
即ち、本発明は、経編地糸2により編成された複数列の経編地組織W・W…を、経方向に沿って並列して、かつ、これら経編地組織W・W…の間に亙り、色糸束1を緯方向に挿入して編み込んだ編成体であって、
この色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束1の各色糸11・12が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、
ブラインド糸3を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、
このブラインド糸3により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈するようにするという技術的手段を採用したことによって、玉虫色調編成体を完成させた。
【0011】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、経編地糸2により編成された経編地組織Wを鎖編組織にする一方、
ブラインド糸3を、色糸束1と並行して緯方向へジグザグに折り返された状態で挿入して、かつ、このブラインド糸3を、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、側方に並行する経編地組織Wに編絡して、これら経編地組織W・W同士を勾引状態に接結するという技術的手段を採用した。
【0012】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、少なくとも2針以上の振りで経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入するという技術的手段を採用した。
【0013】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成する一方、
これら経編地糸2およびブラインド糸3を、トリコット編組織により編成して、
ブラインド糸3部分が、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設するという技術的手段を採用した。
【0014】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成して、これら経編地糸2およびブラインド糸3は、経編地組織Wとして鎖編組織を形成する一方、
前記ブラインド糸3は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設して、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設するという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、緯方向の全幅に亙って挿入するという技術的手段を採用した。
【0016】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、ブラインド糸3を、少なくとも2針以上の振りで経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入するという技術的手段を採用した。
【0017】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸にするという技術的手段を採用した。
【0018】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、色糸束1の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸を含ませるという技術的手段を採用した。
【0019】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、経編地の長手方向に弾性糸4を挿入して、この弾性糸4の伸縮により玉虫色調の外観が変化するようにするという技術的手段を採用した。
【発明の効果】
【0020】
本発明にあっては、色糸束は、それぞれ色相の異なる第一色糸および第二色糸とから成り、これら各色糸同士を平行状態に引き揃えて構成して、かつ、この色糸束の各色糸が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入する一方、
ブラインド糸を、前記色糸束と並行して、かつ、各列の色糸束における一組の各色糸の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して、このブラインド糸により、前記色糸束における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸または第二色糸の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈することができる。
【0021】
したがって、本発明の玉虫色調編成体によれば、生地の表面に玉虫色調の美しい外観を発揮させることができ、かつ、スポーツウエアやニットウエアなどの伸縮性を要する衣料の使用に好適であることから、衣料用素材としての実用的利用価値は頗る高いものがあると云える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす概略正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす部分断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【図6】本発明の実施形態の玉虫色調編成体の製造工程を表す部分斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態の玉虫色調編成体の変形例の組織図である。
【図8】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【図11】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図12】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の構造を表わす拡大正面図である。
【図13】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体を表わす拡大斜視図である。
【図14】本発明の第3実施形態の玉虫色調編成体の組織図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態を、具体的に図示した図面に基づいて更に詳細に説明すると、次のとおりである。
【0024】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。図1中、符号1で指示するものは色糸束であり、この色糸束1は、それぞれ色相の異なる第一色糸11および第二色糸12とから成る。
【0025】
本実施形態では、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸にすることができ、それぞれ黄緑色とピンク色のものを採用する。また、これらの色糸11・12の好ましい繊度としては用途により異なるが、50〜700dtex程度にする。
【0026】
また、符号2で指示するものは経編地糸であり、この経編地糸2は、経編地組織Wを編成するための糸であって、本実施形態では、ポリエステル等の合成繊維糸を採用する。この際、経編地糸2は地組織を形成するため、前記色糸束1の挿入をなるべく露出させる目的で、比較的細繊度が好ましく、一つの経編地組織Wを形成する編糸の合計繊度で15〜350dtexが好ましい。また、前記色糸束1が折り返される編成体の耳部における経編地組織Wは、色糸11・12の平行状態が乱れ易く、その乱れ状態を隠蔽する目的で、その部分の編糸の繊度を太くすると良く、好ましい繊度としては一つの編目を形成する編糸の合計繊度が50〜700dtexである。
【0027】
更にまた、符号3で指示するものはブラインド糸であり、このブラインド糸3は、単独糸あるいは前記経編地糸2の一部を構成する糸部材であって、白色や黒色などの前記色糸束1の補色関係に無い色相のものが好ましい。本実施形態では、独立して挿入される単独糸部材である。
【0028】
しかして、本実施形態の玉虫色調編成体を構成するにあっては、まず、経編地糸2により編成された複数列の経編地組織W・W…を、経方向に沿って並列せしめ、最端部には耳組織を構成する。本実施形態では、この経編地組織Wを鎖編組織にする。
【0029】
次に、これら鎖編組織からなる経編地組織W・W…の間に亙るように、色糸束1を緯方向に挿入して編み込む。なお、この色糸束1は、それぞれ色相の異なる(本実施形態では黄緑色とピンク色)第一色糸11および第二色糸12とから成り、これら各色糸11・12が平行状態に引き揃えられて構成されている。
【0030】
そして、この色糸束1の各色糸11・12が、交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入されている。この際、外側端部の折り返し部において、各色糸11・12の平行状態の乱れが懸念される場合は、その箇所の経編地組織Wをなす経編地糸2の繊度を大きくすることによりこの折り返し部を隠蔽させても良い。
【0031】
また、本実施形態では、色糸束1の第一色糸11および第二色糸12を、緯方向の全幅に亙って挿入することができる。更に、広幅編地の場合には、編地幅を数セクションに分け、各セクションに各色糸を挿通させて、そのセクション内を折り返しながら挿入させてもよく、あるいは、階段的にアトラス挿入することも当然に可能である。
【0032】
そして、本実施形態では、独立した糸部材からなる前記ブラインド糸3を前記色糸束1と並行して緯方向に挿入する。この際、このブラインド糸3は、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設して(図2および図3参照)、側方に並行する経編地組織W(鎖編組織)にジグザグに折り返されながら編絡して、これら経編地組織W・W同士を勾引状態に接結している。
【0033】
このような構造を採用したことにより、図3の矢印(イ)の方向から見ると、第二色糸12が奥側になってブラインド糸3に隠れるので、手前側の第一色糸11の色相が可視面に主として表出する。なお、このとき、ブラインド糸3の色相との混合色として見える場合もある。逆に、反対方向の矢印(ロ)の方向から見ると手前側の第二色糸12の色相が主として現われる(この場合もブラインド糸3の色相との混合色に成り得る)。更に、真上から見ると、第一色糸11と第二色糸12との混合色(あるいはブラインド糸3も含めた混合色)として目に入る。
【0034】
すなわち、異色の色糸11・12だけが平行に挿入された経編地よりも、これら色糸11・12の上面に、ブラインド糸3を両方の表面に当接しつゝ斜めに配設させたことにより玉虫効果が大いに発揮される。
【0035】
また、図3において、見る方向を、色糸束1(色糸11・12)に沿う方向である矢印(ハ)または矢印(ニ)にした場合でも、ブラインド糸3が奥側の色糸を隠蔽する同じ効果があり、どの方向からでも見る角度により見える色相が異なるので、玉虫効果がより一層強化される。
【0036】
なお、本実施形態におけるブラインド糸3は、少なくとも2針以上の振りで鎖編組織である経編地組織W・Wに亙り緯方向に挿入することができる。
【0037】
また、ブラインド糸3を配設する斜めの角度としては、色糸11・12の緯挿入方向に対して10°〜60°の角度を有していることが好ましく、その角度は編機のゲージ、編成コース密度、ブラインド糸3の緯振り量により決めることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、色糸11・12の2本を交互に挿入したものであるが、2色以上の異なる第三、第四の色糸の配列も含まれる。また、色糸11・12およびブラインド糸3の色については、基本色としては赤、紫、青、緑、黄、白、黒などの単独または組み合わせにすることができる。
【0039】
このブラインド糸3の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する編成体を完成することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、色糸束1の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸を含むようにすることができる。この反射スリット糸は、例えば、ポリエステルフィルムの片面をアルミ蒸着して彩色したフィルムなどが、0.2〜2mm幅でスリットされた糸条であって、この反射スリット糸自身も玉虫色調を発し、同時に緯挿入された色糸束1との相乗効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施形態では、必要に応じて、編成体の経編地組織Wを構成する経編地糸2においても、互いに色相の異なる第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸とから成るようにして、これら第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸とが重なり合って、経編地組織Wの編目自身が加法混色外観を呈するようにすることもできる。
【0042】
この際、一つの経編地組織の編目においても異色の糸(第一色鎖編み糸と第二色鎖編み糸)を編目の中心と外回りに配置させることにより、見る角度により色彩が異なる玉虫色調効果を発揮させることができ、背景となる色糸11・12による玉虫色調効果との相乗効果で、一層の高級感を醸し出させることができる。
【0043】
なお、玉虫色調効果を発揮する色糸11・12(および色鎖編み糸)の糸種については、特に限定されないが、繊維が直線状に並行した糸条の方が反射光を多く発する点からマルチフィラメント糸が好ましく、さらには入射光に対して乱反射させた方が玉虫色調効果が大きいことから、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸がより好ましいものである。
【0044】
また、本実施形態では、経編地の長手方向に弾性糸4を挿入して、この弾性糸4の伸縮により玉虫色調の外観が変化するように構成することができ、復元履歴性を良くすることができる。なお、かかる構造は、図7に示すような組織図で表現され、経方向に挿入する箇所は、経編地組織Wの内側などである。即ち、筬に弾性糸4を1針挿入させて、編地の長手方向に伸縮性を持たせることによって、見る角度だけでなく伸縮度合による異色の2本の色糸11・12の見え方の違いによる複雑な玉虫色調効果を発揮させることができる。
【0045】
<製造方法について>
第1実施形態の玉虫色調編成体を製造する方法を以下に説明する。まず、経編機を用いて、少なくとも1枚のガイドバーに挿通した経編地糸2で鎖編組織の経編地組織Wを形成する一方、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を他の少なくとも2枚のガイドバーに色別にそれぞれ挿通して、それぞれのフィラメント(色糸11・12)を特定の編針に対して同一順位で供給しながら同方向の振り運動をさせ、これら異色のフィラメント糸(色糸11・12)を、コース毎に平行状態で前記経編地組織W(鎖編組織)内に緯挿入させながら編成していく。
【0046】
また、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を挿通したそれぞれの緯挿入ガイドバーの緯振り運動量に、2針間の差を設けると同時に、それぞれのフィラメント糸(色糸11・12)の挿通位置を1針間の差をつけて、それぞれのフィラメント糸(色糸11・12)を特定の編針に対して同一順序で供給させる。
【0047】
なお、この際、必要に応じて、前記のような経編地組織W自体にも玉虫色調効果を出す場合には、この経編地組織Wを形成する経編地糸2を鎖編糸として、異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)を複数の経編地組織形成のガイドバーにそれぞれ挿通して、異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)を同一の編針に供給し、これら異色のフィラメント糸(色鎖編み糸)が一個の編目に重なり合うように編成する。
【0048】
また、本実施形態では、異色のフィラメント糸(色糸11・12)が挿通された複数枚の前記緯挿入用ガイドバーの振り量を、編地の全幅に亙るようにすることもできる。
【0049】
更にまた、異色のフィラメント糸(色糸11・12)を緯挿入用のガイドバーに等間隔で挿通し、複数枚のガイドバーをこの間隔の振り運動で異色のフィラメント糸(色糸11・12)を平行に緯挿入させることもできる。
【0050】
本実施形態の組織図は、図5のように示され、筬L1で経編地組織(鎖編組織)、筬L2で2針挿入により地組織を形成し、異色の2本の色糸11・12を挿入させた組織に構成する。
【0051】
また、本実施形態では、ダブルラッセル機を用いて、どちらかの針床に色糸束1を緯挿入させて、編地の片面に玉虫色調効果を発揮させることもできる。また、このダブルラッセル機で、編地の両面に編目を形成することもでき、表裏をほぼ対称とすることにより、編地がカールする現象が生じず、衣料用の装飾テープなどに適した玉虫色調編成体を得ることもできる。
【0052】
次に、本実施形態における1列針床経編機における編成部分を図6に示す。符号Nで指示するものは経編機の編針であり、また、符号L2、L3で指示するものは、編針に経糸を導くための経糸ガイドであり、鎖編編成用の経編地糸2が挿通された経糸ガイドL1は省略している。
【0053】
そして、L2、L3の経糸ガイドには異色の色糸11・12をそれぞれ挿通し、この際、経糸ガイドL3は経糸ガイドL2の緯振り運動量よりは2針間分少なく、折り返し部において1針間分経編地の内側(図では右側)で折り返すように、第二色糸12を経糸ガイドL3に挿通しておくことにより、第二色糸12は特定の編針に対して常に先行して供給されるので、経編地内への挿入順序が交互となり、色糸11・12が交錯したりすることなく常に平行状態で挿入させることができる。
【0054】
なお、色糸束1を平行状態に緯挿入するためには、上記したように、緯挿入の振り量を変えず、経糸ガイドL2とL3の高さを調整して特定の編針への供給高さを変えて挿入させる方法であっても構わない。
【0055】
また、経糸ガイドによる緯挿入方法には緯方向の振り量に限界があるため、装飾テープなどの細幅テープにおいては全幅に亙って一気に緯挿入させることができるが、広幅の場合は困難になってくるので、1枚の経糸ガイドバーに色糸束1を一定間隔で複数本挿通して、その間隔と同量の緯振りを行うことにより、編地全幅に色糸11・12を配置せしめることが可能となる。
【0056】
この場合、編地内における色糸11・12の折り返し部が端部(耳部)に存在し、これら2本の色糸11・12の平行状態が乱れることがあるので、その部分は経編地糸2の繊度を太くして隠蔽することができる。
【0057】
また、図示しないが、経糸のガイドバーを使わずに、アンダーラップのタイミングに広幅の編地全幅に亙って往復動する緯挿入ガイド機構を別途設けることによって、途中で折り返すことなく緯挿入させることもできる。
【0058】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図8から図10に基づいて説明する。本実施形態では、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成する一方、これら経編地糸2およびブラインド糸3を、トリコット編組織(本実施形態では1/1トリコット編組織)により編成する。
【0059】
本実施形態では、図8および図9に示すように、経編地糸2の一部位として一体に形成したブラインド糸3部分を、経編地組織W・W間における各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設する。
【0060】
なお、本実施形態のように、ブラインド糸3を、経編地糸2の一部位として一体に形成するパターンは、1/1トリコット編組織のほか、1/2のコード編組織のアンダーラップを利用して、色糸11・12の上面または下面において、これらの両方に少なくとも当接させて斜めに配設することもできる。
【0061】
このように構成したことによって、このブラインド糸3部分の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する。
【0062】
『第3実施形態』
本発明の第3実施形態を図11から図14に基づいて説明する。本実施形態では、ブラインド糸3が、経編地糸2の一部位として一体に形成するものであり、かつ、これら経編地糸2およびブラインド糸3が、鎖編組織である経編地組織Wを形成している。
【0063】
そして、前記ブラインド糸3部分は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設されている。本実施形態における経編地は、図11に示すように編み込んだ後、経方向に絞り込むことによって、この斜行部を形成することができる。
【0064】
このようにして、本実施形態では、ブラインド糸3部分を、前記色糸束1と並行して、かつ、各列の色糸束1における一組の各色糸11・12の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、玉虫色調効果を高めるために、ブラインド糸3部分が、生地の表面積に占める割合を大きくし、経編地組織W・W…の間隔を詰めて、多数形成することが好ましく、また、適宜、経編地糸2およびブラインド糸3を細くしたり、打込みを入れたり、経編地糸2およびブラインド糸3の送り量を多くしたり(テンションを緩める)、緯糸の繊度を太くしたりすることができる。
【0066】
このように構成することによっても、このブラインド糸3部分の存在により、前記色糸束1における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、見る方向によって、第一色糸11または第二色糸12の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈する。
【0067】
本発明は、概ね上記のように構成されるが、図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、色糸束1の色相は、ピンクと黄緑に限らず、赤、紫、青、緑、黄、白、黒などの単独または組み合わせにすることができ、好ましくは補色関係にないものを採用することができる。
【0068】
また、経編地組織と1/2コード編組織によるクインズコード組織を地組織としても良く、この場合は、1/2コード編組織の編糸が編面と反対面でブラインド糸3が斜めに配設されるので、その面を玉虫色調生地とすることもでき、これら何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0069】
1 色糸束
11 第一色糸
12 第二色糸
2 経編地糸
W 経編地組織
3 ブラインド糸
4 弾性糸
N 編針
L1・L2・L3 経糸ガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経編地糸(2)により編成された複数列の経編地組織(W・W…)が、経方向に沿って並列されており、かつ、これら経編地組織(W・W…)の間に亙り、色糸束(1)が緯方向に挿入して編み込まれた編成体であって、
この色糸束(1)は、それぞれ色相の異なる第一色糸(11)および第二色糸(12)とから成り、これら各色糸(11・12)同士が平行状態に引き揃えられて構成されており、かつ、この色糸束(1)の各色糸(11・12)が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入されている一方、
ブラインド糸(3)が、前記色糸束(1)と並行して、かつ、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されており、
このブラインド糸(3)により、前記色糸束(1)における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸(11)または第二色糸(12)の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈することを特徴とする玉虫色調編成体。
【請求項2】
経編地糸(2)により編成された経編地組織(W)が鎖編組織である一方、
ブラインド糸(3)が、色糸束(1)と並行して緯方向へジグザグに折り返された状態で挿入され、かつ、このブラインド糸(3)は、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されており、側方に並行する経編地組織(W)に編絡して、これら経編地組織(W・W)同士を勾引状態に接結していることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項3】
ブラインド糸(3)が、少なくとも2針以上の振りで経編地組織(W・W)に亙り緯方向に挿入されていることを特徴とする請求項2記載の玉虫色調編成体。
【請求項4】
ブラインド糸(3)が、経編地糸(2)の一部位として一体に形成されている一方、
これら経編地糸(2)およびブラインド糸(3)は、トリコット編組織により編成されており、
ブラインド糸(3)部分が、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されていることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項5】
ブラインド糸(3)が、経編地糸(2)の一部位として一体に形成されており、これら経編地糸(2)およびブラインド糸(3)は、経編地組織(W)として鎖編組織を形成している一方、
前記ブラインド糸(3)は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設されており、前記色糸束(1)と並行して、かつ、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されていることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項6】
色糸束(1)の第一色糸(11)および第二色糸(12)が、緯方向の全幅に亙って挿入されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項7】
色糸束(1)の第一色糸(11)および第二色糸(12)が、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項8】
色糸束(1)の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸が含まれていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項9】
経編地の長手方向に弾性糸(4)が挿入されており、この弾性糸(4)の伸縮により玉虫色調の外観が変化することを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項1】
経編地糸(2)により編成された複数列の経編地組織(W・W…)が、経方向に沿って並列されており、かつ、これら経編地組織(W・W…)の間に亙り、色糸束(1)が緯方向に挿入して編み込まれた編成体であって、
この色糸束(1)は、それぞれ色相の異なる第一色糸(11)および第二色糸(12)とから成り、これら各色糸(11・12)同士が平行状態に引き揃えられて構成されており、かつ、この色糸束(1)の各色糸(11・12)が交互に並ぶように各コースに緯方向に挿入されている一方、
ブラインド糸(3)が、前記色糸束(1)と並行して、かつ、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されており、
このブラインド糸(3)により、前記色糸束(1)における可視面側から奥側の色糸を隠蔽して、かつ、手前側の色糸を視認可能にすることによって、第一色糸(11)または第二色糸(12)の何れか一方の色相が主として現出する玉虫色調外観を呈することを特徴とする玉虫色調編成体。
【請求項2】
経編地糸(2)により編成された経編地組織(W)が鎖編組織である一方、
ブラインド糸(3)が、色糸束(1)と並行して緯方向へジグザグに折り返された状態で挿入され、かつ、このブラインド糸(3)は、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されており、側方に並行する経編地組織(W)に編絡して、これら経編地組織(W・W)同士を勾引状態に接結していることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項3】
ブラインド糸(3)が、少なくとも2針以上の振りで経編地組織(W・W)に亙り緯方向に挿入されていることを特徴とする請求項2記載の玉虫色調編成体。
【請求項4】
ブラインド糸(3)が、経編地糸(2)の一部位として一体に形成されている一方、
これら経編地糸(2)およびブラインド糸(3)は、トリコット編組織により編成されており、
ブラインド糸(3)部分が、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されていることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項5】
ブラインド糸(3)が、経編地糸(2)の一部位として一体に形成されており、これら経編地糸(2)およびブラインド糸(3)は、経編地組織(W)として鎖編組織を形成している一方、
前記ブラインド糸(3)は、この鎖編組織におけるループ側縁の斜行部に配設されており、前記色糸束(1)と並行して、かつ、各列の色糸束(1)における一組の各色糸(11・12)の両方の表面に当接しつゝ斜めに配設されていることを特徴とする請求項1記載の玉虫色調編成体。
【請求項6】
色糸束(1)の第一色糸(11)および第二色糸(12)が、緯方向の全幅に亙って挿入されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項7】
色糸束(1)の第一色糸(11)および第二色糸(12)が、ブライトタイプの異形断面のマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項8】
色糸束(1)の内部に、表面に金属蒸着部位を有する反射スリット糸が含まれていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【請求項9】
経編地の長手方向に弾性糸(4)が挿入されており、この弾性糸(4)の伸縮により玉虫色調の外観が変化することを特徴とする請求項1〜8の何れか一つに記載の玉虫色調編成体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−97390(P2012−97390A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248772(P2010−248772)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(591168932)株式会社SHINDO (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(591168932)株式会社SHINDO (22)
【Fターム(参考)】
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