説明

玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシ―ト製形象体

【課題】 ストッパを用いることなく空気送入口を密封して、コスト削減や製品の小型化を可能とし、かつ、外観の見栄えを良くすることができる玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシート製形象体を提供する。
【解決手段】 熱可塑性のプラスチックシート製で空気送入口5だけを開口した任意形状の中空袋体4を形成し、その中空袋体4の内部に空気を入れてから、その中空袋体4の外面における空気送入口5の口元部分に押え板10を押し付けて空気送入口5を封鎖した状態で、その空気送入口5における封鎖位置の外側箇所に上記押え板10の外面に沿って上下方向へ摺動自在に配設した溶着用金具を押し付けてプラスチックシート2,3を溶着することにより空気送入口5をシールして製造したものであって、その空気を封入して膨らました中空袋体4における空気送入口5の口元から上記の押え板10の板厚とほぼ同じ数ミリメートル程度外側位置にその空気送入口5の溶着シール部21を設けたことを特徴とする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、空気を封入して膨らますことにより動物その他の物の形状を呈する玩具、アクセサリ等のプラスチックシート製形象体に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の製品は、従来、中空袋体の内部に空気を入れてから、その空気送入口に栓となるストッパを取付けて密封した構造になっている。したがって、ストッパを取付ける分だけコストアップとなり、又、ストッパを取付けることにより、そのストッパが目障りになったり、製品を小形化しにくいという不満がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
そこで本考案は、ストッパを用いることなく空気送入口を密封して、コスト削減や製品の小型化を可能とし、かつ、外観の見栄えを良くすることができる玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシート製形象体の提供を課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本考案の玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシート製形象体は、熱可塑性のプラスチックシート製で空気送入口5だけを開口した任意形状の中空袋体4を形成し、その中空袋体4の内部に空気を入れてから、その中空袋体4の外面における空気送入口5の口元部分に押え板10を押し付けて空気送入口5を封鎖した状態で、その空気送入口5における封鎖位置の外側箇所に上記押え板10の外面に沿って上下方向へ摺動自在に配設した溶着用金具を押し付けてプラスチックシート2,3を溶着することにより空気送入口5をシールして製造したものであって、その空気を封入して膨らました中空袋体4における空気送入口5の口元から上記の押え板10の板厚とほぼ同じ数ミリメートル程度外側位置にその空気送入口5の溶着シール部21を設けたことを特徴とする、という構成を採るものである。
【0005】
【実施例】
図1及び図2は本考案の一実施例であるアクセサリ1を示したものである。このアクセサリ1は、空気を入れて膨らますことにより動物の顔の形状を呈する中空袋体4をポリ塩化ビニル等の熱可塑性のプラスチックシート1,2により形成して、その中空袋体4における空気送入口5を、その口元から数ミリメートル程度外側位置を溶着によりシールしたものである。図中、符号21がその溶着シール部を示している。なお、空気送入口5の口元(図2におけるB−B線位置)から溶着シール部21までの距離は後述する溶着装置における押え板10の板厚とほぼ同一寸法であり、数ミリメートル程度とは1乃至9ミリメートル程度をいうものとする。ところで、この実施例はアクセサリ1に関するものであるが、本考案は勿論これに限定するものではなく、玩具、その他の中空で空気を入れて膨らます構造の物品も含むものとする。また、このアクセサリ1は動物の形状を呈しているが、デザインもこれに限定するものではなく任意である。
【0006】
次に、図3乃至図6は上記アクセサリ1の製造方法を示したものである。まず、図3に示すように、2枚のポリ塩化ビニル等の熱可塑性プラスチックシート2,3を上下に重ね合せて、その上に高周波ウェルダの上部電極(図示せず)を押し付けることにより、空気送入口5を除いて周縁部を溶着した中空袋体4を形成する。図中、符号6が溶着した箇所を示している。この中空袋体4の形状は任意であり、上部電極の形状を変えれば中空袋体4の形状も変更可能である。また、中空袋体4の周縁溶着箇所の外端部は上記の上部電極により殆ど溶断された状態になっていて、プラスチックシート2,3における中空袋体4の外側の不要な部位は切り取り可能となっている。なお、図に示すように、中空袋体4は複数個を同時に形成するのが効率的であり好ましい。また、図に示すように、各中空袋体4と開通する空気供給室7を設けて、その空気供給室7にコンプレッサ等送風装置の接続口を穿設して、その接続口にストッパ8を取り付けて置き、そこから各中空袋体4へ空気を同時に入れることが作業能率上好ましい。なお、中空袋体4の材料となるプラスチックシート2,3は上記のポリ塩化ビニルに限定するものではなく、熱可塑性のものであればよく、例えばオレフィン系の素材なども使用可能であり、又、表面に植毛したり反射膜を形成する等の加工を施したものも使用可能である。
【0007】
中空袋体4に空気を入れてから、その空気送入口5をシールする工程は図4に示す装置を用いて実施する。以下、この装置について説明する。この装置は溶着用金具、すなわち高周波ウェルダの上部電極9の内面側に沿って絶縁体であるベークライト製の押え板10を上下方向へ摺動自在に配して、その押え板10をスプリング11,12で下方へ付勢し、押え板10の下縁部を上部電極9の下縁部より下方へ突出した構造になっている。したがって、上部電極9も押え板10に対し上下方向へ摺動自在な関係にある。なお、押え板10の下端部には同じ絶縁体であるゴム13などの弾性部材を取付けるのが好ましい。スプリング11,12は上部電極9の側面に設けた突片14,15と押え板10の上面との間に介装されて、押え板10を下方へ付勢している。また、押え板10の両端には上下方向の長孔16,17を設けて、上部電極9の側面に突設したガイドピン18,19を挿通している。
【0008】
次に、図5及び図6は、中空袋体4の内部に空気を入れてから、その空気送入口5をシールする工程を示したものである。中空袋体4に空気を入れてから上記の装置を下降させて、図5に示すように、まず、板厚が数ミリメートル程度の押え板10の下縁部を空気送入口5の口元部分(図2及び図3におけるB−B線位置)の上に押し付けて上側のプラスチックシート2と下側のプラスチックシート3を密着させて空気送入口5を封鎖する。なお、上記のように押え板10の下端部にゴム13などの弾性部材を取付けて置けば、その弾性部材の作用によりプラスチックシート2,3の密着性が良好になる。プラスチックシート2,3の下には勿論下部電極20を配している。
【0009】
さらに上記の装置を下降させて、図6に示すように、スプリング11、12を圧縮しながら上部電極9を下降させ、上部電極9の下縁部をプラスチックシート2,3における上記封鎖位置の外側箇所に押し付け、その状態で高周波電圧を印加してプラスチックシート2,3を溶着する。図中、符号21がその溶着シール部を示している。これにより、空気送入口5のシール作業が完了し、図1及び図2に示すようなアクセサリ1が得られる。
【0010】
なお、上記の実施例では高周波で溶着しているが、その他の溶着方法、例えばヒートシールや超音波による溶着も可能である。
【0011】
【考案の効果】
本考案の玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシート製形象体は上記の通りであり、中空袋体4の空気送入口5の口元部分を押え板10により封鎖しながら空気送入口5を溶着によりシールしたので、従来のようにストッパを用いる必要がなく、これによりコスト削減が可能となり、又、目障りになるものが消え、かつ、製品の小形化が容易になる。なお、押え板10により空気送入口5の口元部分を封鎖しないで溶着しようとすると、空気送入口5が膨れた状態を維持してエアークッションのように上部電極9を当てたときに押し返すので上下のプラスチックシート2,3が密着しにくくなって溶着不良となる不具合が生じる。
【図面の簡単な説明】
【図1】斜視図である。
【図2】図1のA−A線における断面図である。
【図3】プラスチックシートで中空袋体を形成した状態の斜視図である。
【図4】中空袋体の空気送入口をシールする装置の斜視図である。
【図5】中空袋体の空気送入口を封鎖している状態の断面図である。
【図6】中空袋体の空気送入口を溶着している状態の断面図である。
【符号の説明】
1 アクセサリ
2 プラスチックシート
3 プラスチックシート
4 中空袋体
5 空気送入口
6 溶着した箇所
7 空気供給室
8 ストッパ
9 上部電極
10 押え板
11 スプリング
12 スプリング
13 ゴム
14 突片
15 突片
16 長孔
17 長孔
18 ガイドピン
19 ガイドピン
20 下部電極
21 溶着シール部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性のプラスチックシート製で空気送入口5だけを開口した任意形状の中空袋体4を形成し、その中空袋体4の内部に空気を入れてから、その中空袋体4の外面における空気送入口5の口元部分に押え板10を押し付けて空気送入口5を封鎖した状態で、その空気送入口5における封鎖位置の外側箇所に上記押え板10の外面に沿って上下方向へ摺動自在に配設した溶着用金具を押し付けてプラスチックシート2,3を溶着することにより空気送入口5をシールして製造したものであって、その空気を封入して膨らました中空袋体4における空気送入口5の口元から上記の押え板10の板厚とほぼ同じ数ミリメートル程度外側位置にその空気送入口5の溶着シール部21を設けたことを特徴とする玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシート製形象体。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【登録番号】第3063642号
【登録日】平成11年(1999)8月25日
【発行日】平成11年(1999)11月16日
【考案の名称】玩具、アクセサリ等の空気を封入して膨らましたプラスチックシ―ト製形象体
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−3027
【出願日】平成11年(1999)5月6日
【出願人】(593117361)株式会社ライフ・トゥ (1)