説明

玩具型移動電話端末

【課題】幼い子供であっても簡単に発呼操作や受話操作を行うことを可能にする移動電話端末を実現する。
【解決手段】移動電話端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、移動電話端末内の異なる位置にそれぞれ配置された1つ又は複数の第1の感圧センサーとを具備する。当該携帯電話端末はさらに、1つ又は複数の電話番号を記憶するとともに1つ又は複数の電話番号の各々と前記1つ又は複数の第1の感圧センサーの各々との対応関係を記憶する記憶部を具備する。制御部は、第1の感圧センサーの1つに加えられる圧力が第1の閾値に達したことに応答して、該第1の感圧センサーと対応づけられている電話番号宛に発呼を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動電話端末に関し、より詳細には、幼い子供でも簡単に発呼及び受話が可能な玩具型の移動電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handyphone System)端末や携帯電話端末等の移動電話端末は世の中に広く普及している。このような移動電話端末は場所を選ばず電話をかけることが可能である点で便利である。
【0003】
しかしながら、従来の移動電話端末の操作は幼い子供にとって複雑である。移動電話端末を使用して電話をかけるためには、相手方の端末の電話番号を入力したり、移動電話端末の記憶部に格納された電話帳から所望の電話番号を選択したりする必要がある。発呼操作の簡略化のために短縮ダイヤルを設定している場合であっても、予め設定されている複数の短縮ダイヤルのうち所望の相手方に対応した短縮ダイヤルを入力しなければならない。また、受話の際には、移動電話端末の表示部に表示される電話番号を確認して、電話に出る必要があると判断した場合にのみ受話キーを押下するという操作が必要である。
【0004】
これらの操作は、電子機器の扱いに慣れておらず、文字や数字の読み取りが十分にできない幼い子供にとって複雑な作業である。これらの操作を誤りなく行えるように幼い子供を訓練することは容易ではない。したがって、幼い子供が従来の携帯電話端末を用いて親と会話することは困難である。
【0005】
一方、児童の外出時に児童の安否確認を行うために使用する情報端末が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の情報端末は、現在地に関するデータを取得する位置検出機能と、保護者用端末から受信したデータに応答して予め記憶された保護者の音声にてメッセージを出力するメッセージ出力機能とを有する。当該情報端末は携帯型の玩具に内蔵されている。保護者用端末からの要求パケットが情報端末に送られると、情報端末は、この要求パケットに基づいて現在地に関するデータを取得する。これにより保護者から離れた児童の居場所が確認される。また、要求パケットに基づいて、情報端末は、端末自身に予め格納されている保護者の音声メッセージを出力する。これにより、例えば児童を外出先から呼び戻すことが可能となる。このような端末は、従来の移動電話端末と比較して、児童による操作を特段必要としないという特徴を有する。
【0006】
しかし、特許文献1の情報端末は電話機能を持たない。したがって、このような情報端末を使用しても、幼い子供は離れた場所にいる親と直接会話することができない。
【特許文献1】特開2003−168194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、幼い子供であっても簡単に発呼操作や受話操作を行うことを可能にする移動電話端末を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の玩具型携帯電話端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、移動電話端末内の異なる位置にそれぞれ配置された1つ又は複数の第1の感圧センサーとを具備する。当該携帯電話端末はさらに、1つ又は複数の電話番号を記憶するとともに1つ又は複数の電話番号の各々と前記1つ又は複数の第1の感圧センサーの各々との対応関係を記憶する記憶部を具備する。そして、制御部は、第1の感圧センサーの1つに加えられる圧力が第1の閾値に達したことに応答して、記憶部において該第1の感圧センサーと対応づけられている電話番号宛に発呼を行う。
【0009】
移動電話端末は、制御部に接続された第2の感圧センサーをさらに具備してもよい。当該構成において、制御部は、着呼時に第2の感圧センサーに加えられる圧力が第2の閾値に達したことに応答して通話を開始する。
【0010】
制御部は、通話中に、第1の感圧センサーに加えられる圧力が第1の閾値を下回ったことに応答して通話を切断するように構成してもよい。
【0011】
また、本発明の移動電話端末は、制御部に接続されたバイブレータをさらに具備してもよい。当該構成において、制御部は、着呼時にバイブレータを動作させることにより移動電話端末の一部を動かす。
【0012】
制御部は、着呼を検出した後所定時間後に通話を開始するように構成してもよい。
【0013】
また、本発明の移動電話端末は、アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと、当該無線通信モジュールと着脱可能に接続され、無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する玩具型装置とから構成されてもよい。このような構成において、本発明の玩具型装置は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続され、無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号を送受信するためのインターフェース部とを具備する。当該玩具型装置はさらに、制御部に接続され、上記装置内の異なる位置にそれぞれ配置された1つ又は複数の第1の感圧センサーと、無線通信モジュール内に記憶された1つ又は複数の電話番号の各々と1つ又は複数の第1の感圧センサーの各々との対応関係を記憶する記憶部とを具備する。そして、制御部は、第1の感圧センサーの1つに加えられる圧力が第1の閾値に達したことに応答して、該第1の感圧センサーと対応づけられている電話番号宛に発呼を行うよう前記無線通信モジュールに指示する。
【0014】
本発明の玩具型装置は、制御部に接続された第2の感圧センサーをさらに具備してもよい。当該構成において、制御部は、着呼時に第2の感圧センサーに加えられる圧力が第2の閾値に達したことに応答して、通話を開始するよう無線通信モジュールに指示する。
【0015】
制御部は、通話中に、第1の感圧センサーに加えられる圧力が第1の閾値を下回ったことに応答して、通話を切断するよう無線通信モジュールに指示してもよい。
【0016】
また、本発明の玩具型装置は、制御部に接続されたバイブレータをさらに具備してもよい。当該構成において、制御部は、着呼時にバイブレータを動作させることにより玩具型装置の一部を動かす。
【0017】
制御部は、着呼を検出した後所定時間後に、通話を開始するよう無線通信モジュールに指示してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、幼い子供であっても簡単に発呼操作や受話操作を行うことを可能にする移動電話端末を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の移動電話端末1の外観を図1に示す。移動電話端末1は、従来の移動通信端末内に組み込まれていた無線通信部分を別個の小型モジュールとして独立させた後述する無線通信モジュール200と、このモジュールを挿入するためのスロット101を有する本体部100とから構成される。図1において、本体部100はくまのぬいぐるみの形状を有するが、本発明はこれに限定されるものではない。本体部100は、幼い子供が日頃から手にとって遊ぶ様々な玩具を利用して構成されるような玩具型装置として構成することが可能である。本体部(本体装置、玩具型装置)100の所定の部位、例えば、図1におけるぬいぐるみの右手102、左手104、右足106、左足108及び耳110には感圧センサーが内蔵されている。また、耳110にはバイブレータを内蔵してもよい。本体部100はさらに、通話の際に使用する音声入出力部としてマイク及びスピーカを具備している。詳細な動作は後述するが、移動電話端末1は、例えば、子供がぬいぐるみの手を握ると発呼操作を行う。また、着呼があるとバイブレータにより耳が振動し、この耳110を子供が握ると受話が可能となる。
【0020】
本体部100に無線通信モジュール200が挿入された状態の内部構造を示すブロック図を図2に示す。本体部100は、PCMコーデック等の音声符号化/復号化部112、音声符号化/復号化部112に接続されて音声入出力部として機能するマイク114及びスピーカ116等の音声入出力部、本体制御部118、本体制御部118に接続されて発呼指示を行うための1つ又は複数の感圧センサー120〜120、本体制御部118に接続されて受話指示を行うための受話用感圧センサー121、本体制御部118に接続されたバイブレータ122、電源124、及び本体制御部118に接続または内蔵される記憶部130を具備する。本体制御部118はタイマー126を具備してもよい。
【0021】
無線通信モジュール200は、従来の移動通信端末内に組み込まれていた無線通信機能を別個の小型モジュールとして独立させたものである。本体部100は、無線通信モジュール200を接続するためのインターフェース128を、図1に示すスロット101の内部に具備している。無線通信モジュール200もまた、本体部100のインターフェース部128と接続するためのインターフェース部228を具備している。無線通信モジュール200をスロット101に挿入して、無線通信モジュール200のインターフェース部228を本体部100のインターフェース部128に接続することにより、本体部100と無線通信モジュール200とは全体として移動通信端末1として機能する。無線通信モジュール200は、無線信号の送受信を行うためのアンテナ202、アンテナ202に接続されたアンテナ・スイッチ204、アンテナ・スイッチ204に接続された送信部206及び受信部208、変調部210及び復調部212、時分割多元接続(TDMA)符号化部214及びTDMA復号化部216、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ218、モジュール制御部220、ROM222、RAM224、電源226及びインターフェース部228を具備する。アンテナ・スイッチ204、送信部206及び受信部208、変調部210及び復調部212、TDMA符号化部214及びTDMA復号化部216は、無線通信モジュール200の無線通信機能に関わる無線通信回路を構成する。無線通信モジュール200は、例えばROM222に電話帳データを格納することができるなど、汎用性のある多機能通信モジュールである。また、ROM222は無線通信モジュール200の電話番号や端末機器番号等が格納されている。
【0022】
無線通信モジュール200を本体部100に接続して音声通信を行う場合の移動電話端末1の動作は以下のようになる。
【0023】
無線通信モジュール200のROM222は電話帳データを格納している。本体制御部118は、記憶部130において、ROM222に格納されている電話番号と、本体部100の各々の感圧センサー120〜120との対応関係を記憶している。例えば、記憶部130は、図3に示すように、ROM222内で電話番号データを格納するメモリアドレスのうちの所定のメモリアドレスと、本体部100の所定の部位に内蔵された感圧センサー120〜120とを関連付けて記憶している。また、この構成に代えて、本体制御部118は、ROM222に格納されている電話番号の一部を予め記憶部130に取り込むように構成されてもよい。この場合、記憶部130は、取り込まれた電話番号の各々と、本体部100の所定の部位に内蔵された感圧センサー120〜120の各々とを直接関連付けて記憶する。
【0024】
以下、本体制御部118がROM222のメモリアドレス1をぬいぐるみの右手102に内蔵された第1の感圧センサー120と関連付けて記憶しており、ROM222のメモリアドレス1に母親の移動電話端末の電話番号が格納されていると仮定する。
【0025】
自宅で留守番をしている子供は、外出中の母親と話したい場合、ぬいぐるみの右手102を握る。右手102に内蔵されている感圧センサー120に加わる圧力が所定の閾値に達すると、本体制御部118はこれを検出し、モジュール制御部220に対して、ROM222のメモリアドレス1の電話番号に対して発呼するよう指示する。一方、記憶部130が上述のように電話番号と感圧センサー120〜120の各々とを直接関連付けて記憶している場合においては、本体制御部118は、感圧センサー120に対応する電話番号宛に発呼するようモジュール制御部220に指示する。これにより、母親の端末への発呼が行われる。本体制御部118は、発呼をより確実に行うようにするため、感圧センサー120に加わる圧力が閾値に達した場合に所定の音をスピーカ116から発して、握っている力が十分な大きさとなったことを子供に伝えてもよい。
【0026】
母親が電話に出ると、子供はマイク114及びスピーカ116を介して会話を行う。子供の音声はマイク114を介してPCMコーデック等の音声符号化/復号化部112へ入力されてパルス符号変調される。ここで、本体部100のインターフェース部128及び無線通信モジュール200のインターフェース部228は、音声信号の送受信用に使用されるピンと制御信号等のデータ信号の送受信用に使用されるピンとを有している。そして、音声符号化/復号化部112により符号化された音声信号は当該音声用のピンを介して無線通信モジュール200内のADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ218へ入力される。音声用トランスコーダ218の出力信号は、TDMA符号化部214において時分割多元接続(TDMA)用ベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部210、送信部206、アンテナ・スイッチ204及びアンテナ202を介して無線伝送される。
【0027】
また、本体制御部118とモジュール制御部220との間で発呼指示等のためにやり取りされる制御信号等のデータ信号は、インターフェース部128及び228のデータ信号用のピンを介して送受信される。
【0028】
一方、アンテナ102により受信された信号は、アンテナ・スイッチ204により受信部208へ入力される。この受信信号(例えば、1.9GHz帯)は、受信部208において増幅されて周波数変換され、ついで復調部212でTDMAベースバンド信号に復調された後、TDMA復号化部216により復号化される。TDMA復号化部216から出力された音声信号は音声用トランスコーダ218へ入力されてPCM音声信号へ変換される。PCM音声信号は、さらにインターフェース部228及び128の音声信号用のピンを介して本体部100側の音声符号化/復号化部112に入力され、アナログ信号に変換されてスピーカ116を介して出力される。
【0029】
感圧センサーに加わる圧力の大きさと移動電話端末1の動作のタイミングとの関係の一例を図4に示す。感圧センサー120に加えられる圧力が所定の閾値に達すると発呼が開始される。移動電話端末1は、閾値に達した際にスピーカ116を通じて特定の音を発することにより、子供にその旨を通知してもよい。相手方端末(ここでは母親の端末)との通話設定後、当該圧力が閾値以上である限り通話は続行される。当該圧力が閾値を下回ると、本体制御部118は、通話を切断するようモジュール制御部220に指示する。本発明においてこのような構成を採用すれば、「母親と話したい場合にはぬいぐるみの右手を握り続けていればよい」ことを子供に教え込んでおくだけでよい。したがって、本発明によれば、玩具の所定部位をつかむという1アクションでの発呼が可能であるので、従来の端末と比較して、幼い子供にとってより操作しやすい移動電話端末を実現することができる。
【0030】
また、別の構成として、移動電話端末1側からの通話切断を行わないようにしてもよい。この場合にも、感圧センサー120に加えられた力がいったん閾値を越えると、母親の端末への発呼が開始される。しかし、上記の構成と異なり、発呼開始後に子供がぬいぐるみの手から手を離しても、発呼動作が続行され、母親が電話に出れば通話が開始される。同様に、感圧センサー120に加えられた力が通話中に閾値を下回っても、本体制御部118は通話切断の指示をしない。したがって、母親端末側から通話を切断することになる。本発明においてこのような構成を採用すれば、子供が通話中にぬいぐるみの手を握り続ける必要がないため、不意の通話切断が起こらなくなる。
【0031】
上述の実施例において、本体制御部118は、さらにROM222のメモリアドレス2、3及び4と本体部100の左手104、右足106及び左足108にそれぞれ内蔵される感圧センサー120、120及び120とを関連付けて記憶してもよい。無線通信モジュールのROM222のメモリアドレス2、3及び4にそれぞれ父親の電話番号、祖母の電話番号及び祖父の電話番号を予め格納しておけば、母親以外のこれらの人々に容易に電話をかけることができる。また、このような構成に代えて、本体制御部118は、ROM222に格納されている父親、祖母及び祖父の電話番号を予め記憶部130に取り込んでもよい。この場合、記憶部130は、これら電話番号の各々を、左手104、右足106及び左足108にそれぞれ内蔵される感圧センサー120、120及び120の各々と直接関連付けて記憶する。
【0032】
本発明の移動電話端末1にかかってきた電話を子供が受ける場合の動作は以下のようになる。本体部100の所定部位にはバイブレータが内蔵されている。本体部100が図1のようにくまのぬいぐるみの形状を有する場合、バイブレータ122が例えば耳110に内蔵されている。バイブレータ122は本体制御部118に接続されている。無線通信モジュール200の電話番号宛に着呼があった場合、本体制御部118は、バイブレータ122に制御信号を送って振動させ、これにより耳110を動かす。耳110には、バイブレータ122のほか、感圧センサー(以下、受話用感圧センサー121という。)が内蔵されている。子供が動いている耳110に気付いてこれを握り、受話用感圧センサー121に加わる圧力が所定の閾値に達すると、本体制御部118はこれを検出して、モジュール制御部220に制御信号を送信して発呼者端末との間で通話接続を行う。これにより、発呼者は子供と会話することができる。本発明においてこのような構成を採用すれば、「耳が動いた場合には耳を握ればよい」ことを子供に教え込んでおくだけでよい。したがって、本発明によれば、従来の端末と比較して、幼い子供にとって操作しやすい移動電話端末を実現することができる。
【0033】
子供が耳110を握り続け、受話用感圧センサー121に加わる圧力が閾値以上である限り、本体制御部118が通話切断の指示を送らないようにしてもよい。また、別の構成として、既に述べたように移動電話端末1側からの通話切断を一切行わないようにしてもよい。
【0034】
また、別の構成として、本体制御部118は、タイマー126を用いて、着呼を検出した後所定時間後(例えば、3秒後)にモジュール制御部220に制御信号を送信して発呼者端末との間で通話接続を行うよう指示してもよい。このような構成を採用すれば、子供が耳をつかまなかったり、あるいは受話用感圧センサー121に加わる力が所定値に達しなかった場合でも、通話が可能となる。
【0035】
さらに別の構成として、本体制御部118は、本体100に内蔵された感圧センサー120〜120と関連付けられている電話番号以外の電話番号からの着呼を拒否するように構成してもよい。例えば、本体制御部118は、発呼者の電話番号を検出すると、検出された電話番号を、記憶部130において本体部100の感圧センサー120〜120のいずれかと関連付けられているROM222の各メモリアドレスに格納されている電話番号と比較する。もしくは、記憶部130が上述のように電話番号と感圧センサー120〜120の各々とを直接関連付けて記憶している場合には、本体制御部118は、検出された電話番号を、記憶部130において感圧センサー120〜120のいずれかと関連付けて記憶されている電話番号と比較する。発呼者の電話番号が、各感圧センサーと関連付けられた電話番号のいずれにも該当しない場合、本体制御部118は、モジュール制御部220に対して当該着呼を拒否するよう指示する。このような構成により、子供が悪質ないたずら電話等に応答することを回避できる。
【0036】
上述の実施例のほか、本発明の移動電話端末は、無線通信機能が独立していない構成の端末としても実施することができる。このような本発明の移動電話端末2の構成を図5に示す。移動電話端末2は、アンテナ502、無線通信回路504、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ506、PCMコーデック等の音声符号化/復号化部508、制御部510、マイク512及びスピーカ514等の音声入出力部、感圧センサー516〜516、受話用感圧センサー518、バイブレータ520、電源522及び記憶部524を具備する。制御部510はタイマー526を具備してもよい。無線通信回路504は、図2のアンテナ・スイッチ204、送信部206及び受信部208、変調部210及び復調部212、及びTDMA符号化部214及びTDMA復号化部216に相当する。
【0037】
移動電話端末2の記憶部524は、移動通信端末3の電話番号や端末番号等の固有情報及び電話帳データを記憶している。さらに、記憶部524は、当該電話帳データ内の各々の電話番号と、移動電話端末2の所定の部位に内蔵された各々の感圧センサーとを関連付け、その対応関係を記憶している。例えば、記憶部524は、記憶部524内の電話番号を記憶したメモリアドレスの番号と、移動電話端末2の所定の部位に内蔵された各々の感圧センサーとを関連付け、その対応関係を記憶している。
【0038】
図5に示す移動電話端末2が図2に示す移動電話端末1と同様に動作し、既に述べた本願発明の効果を奏することは当業者に明らかである。
【0039】
以下、移動電話端末2が図1と同様のぬいぐるみの外観を有し、記憶部524において、メモリアドレス1をぬいぐるみの右手102に内蔵された第1の感圧センサー120と関連付けて記憶しており、記憶部524のメモリアドレス1に母親の移動電話端末の電話番号が格納されていると仮定する。
【0040】
子供がぬいぐるみの右手102を握り、内蔵されている感圧センサー516に加わる圧力が所定の閾値に達すると、制御部510はこれを検出し、メモリアドレス1の電話番号に対して発呼する。制御部510は、発呼をより確実に行うようにするため、感圧センサー516に加わる圧力が閾値に達した場合に所定の音をスピーカ514から発して、握っている力が十分な大きさとなったことを子供に伝えてもよい。
【0041】
母親が電話に出ると、子供はマイク512及びスピーカ514を介して会話を行う。子供の音声は音声符号化/復号化部508においてパルス符号変調される。符号化された音声信号は音声用トランスコーダ506入力される。音声用トランスコーダ506の出力信号は無線通信回路504及びアンテナ502を介して無線伝送される。
【0042】
一方、アンテナ502により受信された信号は、無線通信回路504及び音声用トランスコーダ506を介して音声符号化/復号化部508に入力され、アナログ信号に変換されてスピーカ514を介して出力される。
【0043】
感圧センサー516に加えられる圧力が所定の閾値に達すると発呼が開始される。移動電話端末2は、閾値に達した際にスピーカ514を通じて特定の音を発することにより、子供にその旨を通知してもよい。母親の端末との通話設定後、当該圧力が閾値以上である限り通話は続行される。当該圧力が閾値を下回ると、制御部510は通話を切断する。
【0044】
また、別の構成として、移動電話端末2側からの通話切断を行わないようにしてもよい。この場合にも、感圧センサー516に加えられた力がいったん閾値を越えると、母親の端末への発呼が開始される。しかし、上記の構成と異なり、発呼開始後に子供がぬいぐるみの手から手を離しても、発呼動作が続行され、母親が電話に出れば通話が開始される。同様に、感圧センサー516に加えられた力が通話中に閾値を下回っても、制御部510は通話を切断しない。したがって、母親端末側から通話を切断することになる。本発明においてこのような構成を採用すれば、子供が通話中にぬいぐるみの手を握り続ける必要がないため、不意の通話切断が起こらなくなる。
【0045】
制御部510は、さらに記憶部524のメモリアドレス2、3及び4とぬいぐるみの左手104、右足106及び左足108にそれぞれ内蔵される感圧センサー516、516及び516とを関連付けて記憶してもよい。記憶部524メモリアドレス2、3及び4にそれぞれ父親の電話番号、祖母の電話番号及び祖父の電話番号を予め格納しておけば、母親以外のこれらの人々に容易に電話をかけることができる。
【0046】
本発明の移動電話端末2にかかってきた電話を子供が受ける場合の動作は以下のようになる。移動電話端末2の所定部位にはバイブレータが内蔵されている。移動電話端末2が図1のようにくまのぬいぐるみの形状を有する場合、バイブレータ520が例えば耳110に内蔵されている。バイブレータ520は制御部510に接続されている。着呼があった場合、制御部510は、バイブレータ520に制御信号を送って振動させ、これにより耳110を動かす。耳110には、バイブレータ520のほか、受話用感圧センサー518が内蔵されている。子供が動いている耳110に気付いてこれを握り、受話用感圧センサー518に加わる圧力が所定の閾値に達すると、制御部518はこれを検出して、発呼者端末との間で通話接続を行う。
【0047】
子供が耳110を握り続け、受話用感圧センサー121に加わる圧力が閾値以上である限り、制御部510が通話を切断しないように構成してもよい。また、別の構成として、既に述べたように移動電話端末2側からの通話切断を行わないようにしてもよい。
【0048】
また、制御部510は、タイマー526を用いて、着呼を検出した後所定時間後(例えば、3秒後)に発呼者端末との間で通話接続を行ってもよい。これにより、子供が耳をつかまなかったり、あるいは受話用感圧センサー518に加わる力が所定値に達しなかった場合でも、通話が可能となる。
【0049】
さらに、制御部510は、感圧センサー516〜516と関連付けられている電話番号以外の電話番号からの着呼を拒否するように構成してもよい。例えば、制御部510は、発呼者の電話番号を検出すると、検出された電話番号を、記憶部524において感圧センサー516〜516のいずれかと関連付けられている各メモリアドレスに格納されている電話番号と比較する。発呼者の電話番号が、各感圧センサーと関連付けられた各メモリアドレスに格納されている電話番号のいずれにも該当しない場合、制御部510は当該着呼を拒否する。
【0050】
以上の各実施例において、本発明の移動電話端末は図1に示すようなぬいぐるみの外観を有するものとして説明された。しかし、本発明はこのような実施例に限定されない。子供が日常的に接し、子供がつかんだり握ったりすることが可能な部位を有する様々な玩具を本願発明に利用できることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の移動電話端末の外観を示す図である。
【図2】本発明の移動電話端末において、本体部に無線通信モジュールが挿入された状態の内部構造を示すブロック図である。
【図3】本体制御部に記憶された、所定のメモリアドレスの番号と所定の部位に内蔵された感圧センサーとの関連付けの一例を示す図である。
【図4】感圧センサーに加わる圧力の大きさと移動電話端末の動作のタイミングとの関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の移動電話端末の別の構成を示すブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具型の移動電話端末であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、
前記無線通信回路に接続されたアンテナと、
前記制御部に接続され、前記移動電話端末内の異なる位置にそれぞれ配置された1つ又は複数の第1の感圧センサーと、
1つ又は複数の電話番号を記憶し、前記1つ又は複数の電話番号の各々と前記1つ又は複数の第1の感圧センサーの各々との対応関係を記憶する記憶部と
を具備し、
前記制御部は、第1の感圧センサーの1つに加えられる圧力が第1の閾値に達したことに応答して、前記記憶部において該第1の感圧センサーと対応づけられている電話番号宛に発呼を行う、玩具型移動電話端末。
【請求項2】
前記制御部に接続された第2の感圧センサーをさらに具備し、
前記制御部は、着呼時に前記第2の感圧センサーに加えられる圧力が第2の閾値に達したことに応答して通話を開始する請求項1に記載の玩具型移動電話端末。
【請求項3】
前記制御部は、通話中に、前記第1の感圧センサーに加えられる圧力が前記第1の閾値を下回ったことに応答して通話を切断する請求項1に記載の玩具型移動電話端末。
【請求項4】
前記制御部に接続されたバイブレータをさらに具備し、前記制御部は、着呼時に前記バイブレータを動作させることにより前記移動電話端末の一部を動かす請求項1に記載の玩具型移動電話端末。
【請求項5】
前記制御部は、着呼を検出した後所定時間後に通話を開始する請求項1に記載の玩具型移動電話端末。
【請求項6】
アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと着脱可能に接続され、前記無線通信モジュールとともに移動電話端末として動作する玩具型装置であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続され、前記無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号を送受信するためのインターフェース部と、
前記制御部に接続され、前記装置内の異なる位置にそれぞれ配置された1つ又は複数の第1の感圧センサーと、
前記無線通信モジュール内に記憶された1つ又は複数の電話番号の各々と前記1つ又は複数の第1の感圧センサーの各々との対応関係を記憶する記憶部と
を具備し、
前記制御部は、第1の感圧センサーの1つに加えられる圧力が第1の閾値に達したことに応答して、該第1の感圧センサーと対応づけられている電話番号宛に発呼を行うよう前記無線通信モジュールに指示する、玩具型装置。
【請求項7】
前記制御部に接続された第2の感圧センサーをさらに具備し、
前記制御部は、着呼時に前記第2の感圧センサーに加えられる圧力が第2の閾値に達したことに応答して、通話を開始するよう前記無線通信モジュールに指示する請求項6に記載の玩具型装置。
【請求項8】
前記制御部は、通話中に、前記第1の感圧センサーに加えられる圧力が前記第1の閾値を下回ったことに応答して、通話を切断するよう前記無線通信モジュールに指示する請求項6に記載の玩具型装置。
【請求項9】
前記制御部に接続されたバイブレータをさらに具備し、前記制御部は、着呼時に前記バイブレータを動作させることにより前記玩具型装置の一部を動かす請求項6に記載の玩具型装置。
【請求項10】
前記制御部は、着呼を検出した後所定時間後に、通話を開始するよう前記無線通信モジュールに指示する請求項6に記載の玩具型装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−263372(P2008−263372A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−104107(P2007−104107)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【Fターム(参考)】