説明

玩具銃のリコイル伝達構造

【課題】ピストン及びウエイトの往復動作の連動リズムが一致し、銃撃音が大きく明快な玩具銃のリコイル伝達構造を提供する。
【解決手段】玩具銃のリコイル伝達構造は、玩具銃のピストン5後方のケース1の後端に配置され、ピストン5が行う往復運動の移動軸線I上に位置し、ピストン5とケース1との間にピストンスプリング51が配置され、案内ロッド62、ウエイト61及びリコイルスプリング63を備える。リコイルスプリング63は、ウエイト61と玩具銃100のケース1の後壁との間に配置されている。案内ロッド62は、ケース1のストッパ13に貫設され、ピストン5とウエイト61との間に介在し、ウエイト61と分離している。案内ロッド62は伸縮案内ロッドである。伸縮案内ロッドは、緩衝ロッド621、緩衝ロッドスプリング及び伝動ロッド623を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具銃構造に関し、特に、玩具銃の内部に配置されるリコイル伝達構造に関する。
【背景技術】
【0002】
玩具銃(BB弾とも称する)は、広く人々に愛好されている。従来の玩具銃は、玩具内部に伝動ユニット、引き金ユニット、弾丸押し出しユニットなどの部材が配置され、小さな弾丸を発射する機能しかなく、リアル感及び臨場感に欠ける。メーカは、実銃と同じようなリアル感を追求するために、弾丸が発射される瞬間に反作用力を生成し、リコイルショック(ブロウバックの反動)の効果を生み出すリコイル生成構造を銃内部に配置した。
【0003】
従来のリコイル生成構造は、一般に、玩具銃のケースの内部空間にピストン、ピストンスプリング、案内ロッド、ウエイト、リコイルスプリングなどの部材が装着されている。リコイルスプリングは、ウエイトと、玩具銃のケースの肩当て部内に位置する後壁との間に配置されている。案内ロッドは、ケースのストッパに貫設され、ピストンとウエイトとの間に介在する。全ての従来のリコイル生成構造では、案内ロッドとウエイトとが実体的に接続され連動する。
【0004】
従来の玩具銃のリコイル生成構造は、以下(1)〜(3)の問題点を有する。
(1)ピストン及びウエイトの往復動作の連動リズムが一致しない(例えば、ウエイトが前に運動し、ピストンが後ろに運動する)とき、案内ロッドとウエイトとの間の実体的な接続により、ギヤセット及びピストンが損壊される虞がある。
(2)銃撃音の大きさや明快さが足りない。
(3)肩当て部の内部にストッパ板を配置し、前に押し出されるウエイトを止める必要があるが、これにより、部品が損壊される虞がある。また、ストッパ板が配置されるため、ウエイトが最大行程で運動することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、従来の問題点を解決する玩具銃のリコイル伝達構造を提供することにある。
本発明の第2の目的は、伸縮案内ロッドを有する玩具銃のリコイル伝達構造を提供することにある。
本発明の第3の目的は、案内ロッド及びウエイトが分離している玩具銃のリコイル伝達構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、玩具銃のピストン後方のケースの後端に配置され、前記ピストンが行う往復運動の移動軸線上に位置し、前記ピストンと前記ケースとの間にピストンスプリングが配置され、案内ロッド、ウエイト及びリコイルスプリングを備え、前記リコイルスプリングは、前記ウエイトと玩具銃の前記ケースの後壁との間に配置され、前記案内ロッドは、前記ケースのストッパに貫設され、前記ピストンと前記ウエイトとの間に介在し、前記ウエイトと分離していることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明では、前記案内ロッドは伸縮案内ロッドであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明では、前記伸縮案内ロッドは、緩衝ロッド、緩衝ロッドスプリング及び伝動ロッドを有し、前記緩衝ロッドは、前記伝動ロッドに摺動可能に接続され、前記緩衝ロッドスプリングにより弾力を有することを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明では、前記緩衝ロッドスプリングは、前記伝動ロッドの中空部に収納され、前記緩衝ロッドの一端は、前記伝動ロッドの前記中空部内に延伸し、前記緩衝ロッドスプリングの一端に当接することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の玩具銃のリコイル伝達構造は、以下(1)〜(6)の効果を有する。
(1)ピストン及びウエイトの往復動作の連動リズムが一致しないとき、伸縮案内ロッド内の緩衝ロッドスプリングがウエイトから来る運動エネルギの一部を吸収することにより、緩衝ロッドの前端が直接ピストンにぶつかり損壊するのを防ぐことができる。
(2)伸縮案内ロッドとウエイトとは実体的に接続せず分離しているため、リコイルショックの運動エネルギを巧妙に伝達し、伝達されない動作を部分的に吸収することができる。
(3)伸縮案内ロッドがウエイトにぶつかるとき、はっきりした金属衝突音が発生し、極めて好ましいリアル感が生まれる。また、ウエイトが前に移動し、銃身の金属の尾端(即ちケースのストッパ)にぶつかるとき発生する衝突音が大きく明快である。
(4)従来の構造では、肩当て部内に配置されるストッパ板により、前に押し出るウエイトを止める必要があるが、これにより、部品が損壊される虞がある。しかし、本発明は、ストッパ板を配置する必要がなく、構造が簡易である。また、ウエイトは、前に移動するとき、銃身の金属の尾端にぶつかり停止するため、最大行程で運動することができる。
(5)伸縮案内ロッドは、2段以上の部材構造であり、内部に緩衝ロッドスプリングが配置されているため、好ましい緩衝機能を有し、ピストンとウエイトとの間に適度な距離を保つことができる。
(6)従来の構造では、ピストンが逆方向に運動するとき及び後ろ向きに運動するとき、ギヤセット及びピストンが損壊される虞があるが、本発明の伸縮案内ロッドは、緩衝機能を有するため、このような問題が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態によるリコイル伝達構造の玩具銃のピストンが前に移動するときの状態を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるリコイル伝達構造を玩具銃のピストンが後ろに移動するときの状態を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるリコイル伝達構造の玩具銃のピストンが前に移動し、弾丸が発射されるときの状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるリコイル伝達構造の伸縮案内ロッドの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態によるリコイル伝達構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態によるリコイル伝達構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態によるリコイル伝達構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態によるリコイル伝達構造を示す断面図である。
【図9】本発明の第6実施形態によるリコイル伝達構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
(第1実施形態)
図1を参照する。図1に示すように、本発明の第1実施形態による玩具銃のリコイル伝達構造の玩具銃100は、ケース1の内部空間に伝動ユニット2、引き金ユニット3、弾丸押し出しユニット4、ピストン5、ピストンスプリング51などの部材を主に有する。
【0014】
ケース1の後端のピストン5のピストン筒52中で行う往復運動の移動軸線I上には、リコイル伝達構造6が接続されている。リコイル伝達構造6は、ウエイト61、案内ロッド62及びリコイルスプリング63を有する。リコイルスプリング63は、ウエイト61と後壁11との間に配置されている。後壁11は、ケース1の肩当て部12内に位置する。案内ロッド62は、ケース1のストッパ13に貫設され、ピストン5とウエイト61との間に介在する。
【0015】
ピストン5の運動エネルギは、リコイル伝達構造6によりウエイト61に伝達され、さらに肩当て部12に伝達され、ユーザにリコイルの振動感を感じさせる。
【0016】
本発明において、案内ロッド62は、伸縮案内ロッドの構造を採用し、ウエイト61に接続せず分離している。伸縮案内ロッド62の構造は、緩衝ロッド621、緩衝ロッドスプリング622及び伝動ロッド623を有する。緩衝ロッド621は、伝動ロッド623の中空部624内に摺動可能に接続されている。第1実施形態では、緩衝ロッドスプリング622は、伝動ロッド623の中空部624内に収納されている。緩衝ロッド621の一端が伝動ロッド623の中空部624内に延伸し、緩衝ロッドスプリング622の一端に当接することで、緩衝ロッド621は、弾力を有する。緩衝ロッド621及び緩衝ロッドスプリング622が生み出す応力により、ピストン5とウエイト61との間に介在する伝動ロッド623をいつでも最適な箇所に位置させ、ピストン5の運動エネルギがウエイト61に伝達されることで、リコイルの振動感を実現させたり内部部品を保護したりする。
【0017】
(第2実施形態)
本発明のリコイル伝達構造の主旨に基づいて、本発明は、異なる形態の等価構造を設計することができる。図5を参照する。図5に示すように、本発明の第2実施形態によるリコイル伝達構造6aは、案内ロッド631、第1のウエイト632、第2のウエイト633、バランススプリング634及び重錘スプリング635を有する。第2のウエイト633には、戻り止め636が設けられている。
【0018】
(第3実施形態)
図6を参照する。図6に示すように、本発明の第3実施形態によるリコイル伝達構造6bは、案内ロッド641、ウエイト642、バランススプリング643及び重錘スプリング644を有する。
【0019】
(第4実施形態)
図7を参照する。図7に示すように、本発明の第4実施形態によるリコイル伝達構造6cは、第1のウエイト651、バランス案内ロッド652、第2のウエイト653、重錘スプリング654及び連動ロッド655を有する。
【0020】
(第5実施形態)
図8を参照する。図9に示すように、本発明の第5実施形態によるリコイル伝達構造6dは、第1のウエイト661、第2のウエイト662、バランス案内ロッド663、重錘スプリング664及び連動ロッド665を有する。
【0021】
(第6実施形態)
図9を参照する。図9に示すように、本発明の第6実施形態によるリコイル伝達構造6eは、第1のウエイト671、バランス案内ロッド672、第2のウエイト673、重錘スプリング674、支持台675及び連動ロッド676を有する。
【0022】
当該技術分野の当業者が実施できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0023】
1 ケース
2 伝動ユニット
3 引き金ユニット
4 弾丸押し出しユニット
5 ピストン
6 リコイル伝達構造
6a リコイル伝達構造
6b リコイル伝達構造
6c リコイル伝達構造
6d リコイル伝達構造
6e リコイル伝達構造
11 後壁
12 肩当て部
13 ストッパ
51 ピストンスプリング
52 ピストン筒
61 ウエイト
62 案内ロッド
63 リコイルスプリング
100 玩具銃
621 緩衝ロッド
622 緩衝ロッドスプリング
623 伝動ロッド
624 中空部
631 案内ロッド
632 第1のウエイト
633 第2のウエイト
634 バランススプリング
635 重錘スプリング
636 戻り止め
641 案内ロッド
642 ウエイト
643 バランススプリング
644 重錘スプリング
651 第1のウエイト
652 バランス案内ロッド
653 第2のウエイト
654 重錘スプリング
655 連動ロッド
661 第1のウエイト
662 第2のウエイト
663 バランス案内ロッド
664 重錘スプリング
665 連動ロッド
671 第1のウエイト
672 バランス案内ロッド
673 第2のウエイト
674 重錘スプリング
675 支持台
676 連動ロッド
I 移動軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具銃のピストン後方のケースの後端に配置され、前記ピストンが行う往復運動の移動軸線上に位置し、前記ピストンと前記ケースとの間にピストンスプリングが配置され、案内ロッド、ウエイト及びリコイルスプリングを備え、
前記リコイルスプリングは、前記ウエイトと玩具銃の前記ケースの後壁との間に配置され、
前記案内ロッドは、前記ケースのストッパに貫設され、前記ピストンと前記ウエイトとの間に介在し、前記ウエイトと分離していることを特徴とする玩具銃のリコイル伝達構造。
【請求項2】
前記案内ロッドは伸縮案内ロッドであることを特徴とする請求項1に記載の玩具銃のリコイル伝達構造。
【請求項3】
前記伸縮案内ロッドは、緩衝ロッド、緩衝ロッドスプリング及び伝動ロッドを有し、前記緩衝ロッドは、前記伝動ロッドに摺動可能に接続され、前記緩衝ロッドスプリングにより弾力を有することを特徴とする請求項2に記載の玩具銃のリコイル伝達構造。
【請求項4】
前記緩衝ロッドスプリングは、前記伝動ロッドの中空部に収納され、前記緩衝ロッドの一端は、前記伝動ロッドの前記中空部内に延伸し、前記緩衝ロッドスプリングの一端に当接することを特徴とする請求項3に記載の玩具銃のリコイル伝達構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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