説明

玩具

【課題】 加速度センサによって検出された加速度に基づいて無重力状態を検出し、無重力状態を入力の一つとして利用する玩具を実現する。
【解決手段】おしゃべり人形1100は、ヌイグルミ状の人形本体1190の中に、直交3軸の加速度を検出する加速度センサ1248とスピーカ1254とコントローラ制御ユニット1160とを備えた電子制御装置1130を内蔵する。電子制御装置1130は、加速度センサ1248で検出する加速度が3軸とも「ゼロ」で有る場合に無重力状態に有ると判定し、スピーカ1254から音声出力するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の家庭用ゲーム装置の中には、付属するゲームコントローラに近距離無線装置と加速度センサとを搭載したものがある。プレーヤがゲームコントローラを振るなどの操作をすると、加速度センサがそれに伴う加速度を検出し、ゲームコントローラは検出した加速度の信号を近距離無線でゲーム装置本体に送ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
そして、そうしたゲームコントローラの加速度を入力情報の一つとして利用できる家庭用ゲーム装置を用いて、ゲームコントローラから得られる加速度値を操作入力と見なしてキャラクタの動作を制御することで、家庭用ゲーム装置を情報処理部としたコンピュータ玩具とすることができる(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、家庭用ゲーム装置のような外部の情報処理部を構成に含めない単体玩具の分野では、人形本体にでん部センサや額部センサを設け、これらセンサの感知の有無の組み合わせによって、異なる音声を発したりプレーヤと会話を行ったりする玩具も知られるところである(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2004−83013号公報
【特許文献2】特開2007−167529号公報
【特許文献3】特開2006−6586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、加速度センサは有限値の加速度を検出するに限らず「ゼロ」加速度状態も検出できる。直交3軸加速度を検出できる加速度センサであれば、3軸全てで加速度が「ゼロ」ならば無重力状態に有ると判断することができる。しかし、従来のコンピュータ玩具や単体玩具等に、そうした無重力状態の検出を操作入力の一つとして利用したものは見当たらない。
【0007】
本発明は、こうした事情を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは加速度センサによって検出された加速度に基づいて無重力状態を検出し、無重力状態を入力の一つとして利用する玩具を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する第1の発明は、加速度センサと、前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて無重力状態にあることを検出する無重力検出手段(例えば、図15の電子制御装置1130、図22の処理部200、人形制御部211、無重力状態検出部214、図24のステップS14)と、
前記無重力検出手段の検出に応じて、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御する演出実行制御手段(例えば、図15の電子制御装置1130、スピーカ1254、図22の処理部200、人形制御部211、音種類選択部216、効果音出力制御部218)と、を備えた玩具である。
【0009】
第1の発明によれば、玩具が無加速度状態、即ち無重力状態であることを検出して、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御することができる。つまり、実質的に無重力状態を一つの操作入力と見なして演出を行うといった従来に無い玩具を実現することができる。
【0010】
更に、前記無重力検出手段が、上方への運動に伴う無重力状態か、下方への運動に伴う無重力状態かを判定する無重力種類判定手段(例えば、図15の電子制御装置1130、図22の処理部200、人形制御部211、無重力状態検出部214、図24のステップS14〜16)を有し、前記演出実行制御手段が、前記無重力種類判定手段によって判定された種類に応じた演出を実行する構成とすることもできる(第2の発明)。
【0011】
この場合、玩具を放り上げることによる放物運動中の無重力状態か、放り上げずに単に自由落下させた時の無重力状態かを判定し、判定結果に応じて異なる演出をすることが可能になる。実質的に、無重力状態を利用した操作入力の種類を増やすことができる。
【0012】
そして更に、前記演出実行制御手段が、前記無重力種類判定手段によって判定された種類に応じて、出力音声の種類を可変に制御して前記聴覚的演出を実行する手段を有する構成とすることで(第3の発明)、聴覚的演出に多様性を持たせることができ。
【0013】
また、上方への運動に伴う無重力状態に着目すれば、更に前記無重力検出手段が、前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて、無重力状態における予測到達相対高さを判定する予測到達相対高さ判定手段(例えば、図15の電子制御装置1130、図22の処理部200、人形制御部211、無重力状態検出部214、図24のステップS20)を有し、前記演出実行制御手段が、前記予測到達相対高さに応じた演出を実行制御する構成とすることもできる(第4の発明)。この場合、放り上げる高さに応じて異なる演出を実行制御することができる。
【0014】
更に、前記演出実行制御手段が、前記予測到達相対高さの大きさに応じて、出力音声の種類及び/又は大きさを可変に制御して前記聴覚的演出を実行する手段を有する構成とすると(第5の発明)、より一層演出に多様性を持たせることができる。
【0015】
特に、前記無重力検出手段が、前記前記予想到達相対高さに到達するタイミングを判定する到達タイミング判定手段を更に有し、前記演出実行制御手段が、前記到達タイミング判定手段により判定されたタイミングで所定の演出を実行制御する構成とするならば(第6の発明)、放り上げによる放物運動軌跡の最上点近傍で演出を行うことができるので演出効果を高めることができる。
【0016】
また、安全性に配慮して、前記演出実行制御手段が、前記予測到達相対高さが所定の危険高さ条件を満たす場合に所定の警告演出を発動させる制御を行う構成とすると好適である(第7の発明)。
【0017】
この場合、天井高が限られた室内で遊ぶようなケースで、玩具を放り上げ過ぎて天井や天井に備えられた備品に当たって何らかの損害が生じるのを防ぐ一助となる。勿論、危険高さ条件は適宜設定することができる。
【0018】
また、無重力状態は一時的なものであるからその後の重力検知の復帰に着目して、前記無重力検出手段の検出後に、前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて前記無重力状態から復帰したことを検出する復帰検出手段と、前記復帰検出手段の検出に応じて、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御する復帰時演出実行制御手段と、を備える構成とすることもできる(第8の発明)。
【0019】
この場合、無重力状態から復帰したタイミング、例えば、放り上げた玩具をキャッチしたタイミング、放り上げを伴わずに落下させた玩具が着地したタイミングで視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御することができるので、演出により多様性を持たせる事ができる。
【0020】
また、無重力状態の検出精度を高めるために、更に前記無重力検出手段が、前記加速度センサによって検出された加速度値が所定の規定時間の間、継続して所定の無重力状態条件を満足したことをもって無重力状態にあると検出する構成とすると好適である(第9の発明)。
【0021】
この場合、規定時間を適当に設定することで、玩具が上下に振られるようなシチュエーションで、偶発的に生じる極短時間の無重力状態と、放り上げや放り上げを伴わない自由落下のようにある程度の時間維持される無重力状態とを識別し、前者を検出対象から除外して検出精度を適切に保つことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、玩具が無重力状態で有ることを検出して、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御することができる。つまり、実質的に無重力状態を一つの操作入力と見なして演出を行うといった従来に無い玩具を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1実施形態〕
本発明を適用した第1実施形態として、無線通信式のゲームコントローラを付属する家庭用ゲーム装置を情報処理機能部として利用するコンピュータ玩具を例に挙げて説明する。
【0024】
[システム構成の説明]
図1は、本実施形態におけるコンピュータ玩具1000の構成例を説明するための図である。同図に示すように、コンピュータ玩具1000は、主たる情報処理機能部となる家庭用ゲーム装置1200と、ゲームコントローラケース100とを備える。
【0025】
家庭用ゲーム装置1200は、ゲーム装置本体1201と、ゲームコントローラ1230と、ビデオモニタ1220とを備える。
ゲーム装置本体1201は、例えばCPUや画像処理用LSI、ICメモリ等が実装された制御ユニット1210と、光学ディスク1202やメモリカード1204といった情報記憶媒体の読み取り装置1206,1208とを備える。そして、家庭用ゲーム装置1200は、光学ディスク1202やメモリカード1204からゲームプログラム及び各種設定データを読み出し、ゲームコントローラ1230に為される操作入力に基づいて制御ユニット1210が各種のゲーム演算を実行し、所与のビデオゲームを実行する。
【0026】
制御ユニット1210は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)及びDSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ICメモリなどの電気電子機器を備え家庭用ゲーム装置1200の各部を制御する。
【0027】
また、制御ユニット1210は、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)と言った通信回線1と有線又は無線接続し、外部装置との間でデータ通信を実現する通信装置1212を備える。また、近距離無線通信モジュール1214を備え、近距離無線を介して複数のゲームコントローラ1230との間でデータの送受信を実現する。近距離無線の形式としては、例えばBluetooth(登録商標)やUWB(超広帯域無線)、無線LANなどが適宜適用可能である。
【0028】
そして、制御ユニット1210は、ゲームコントローラ1230から受信した操作入力信号に基づいてゲーム画面やゲーム音を生成し、生成したゲーム画面やゲーム音に基づく映像信号や音信号をケーブル1209で接続されたビデオモニタ1220(ディスプレイモニタ)に出力する。ビデオモニタ1220には、画像を表示する画像表示装置1222と、音声を出力するスピーカ1224とが備えられており、プレーヤは画像表示装置1222に映し出されるゲーム画面を見ながら、スピーカ1224から放音されるゲーム音を聞きつつゲームをプレイする。
【0029】
図2は、ゲームコントローラ1230の構成例を示す外観図であって、(a)正面図、(b)正面向かって右から見た右側面図、(c)後方側面図に相当する。同図に示すように、ゲームコントローラ1230は面取りされた略四角断面を有する棒状を成しており、単独で使用する場合にはプレーヤは棒を握る要領で片手把持し操作することができる。
【0030】
ゲームコントローラ1230は、内蔵するコントローラ制御ユニット1260を中心に各種入力デバイス及び出力デバイスを、例えばIIC(Inter-Integrated Circuit)バスなどによって実現されるローカルバス回路によって接続しており、コントローラ制御ユニット1260によって各デバイス間の入出力を制御する。
【0031】
具体的には、例えばスイッチ類の入力デバイスとしては、正面側(操作面側)の中央部にAボタン1232とBボタン1234、正面側下部にCボタン1236とDボタン1238とを備える。また正面側の上部には、十字状の四隅を押下することで上下左右(前後左右)の方向を個別に入力することのできる方向入力キー1242を備える。更に背面側の上部にはトリガー1246を備える。
【0032】
また、その他の入力デバイスとしては加速度センサ1248と、撮像素子1255とを備える。
加速度センサ1248はゲームコントローラ1230の上端方向(図2(a)で言うところの上方向)をZ軸のプラス方向、正面向かって右方向(図2(a)で言うところの右方向)をX軸のプラス方向、正面向かって手前方向(図2(b)で言うところの左方向)をY軸のプラス方向とする直交3軸方向の各加速度を検出し、検出した加速度に応じた検出信号をコントローラ制御ユニット1260に出力する。撮像素子1255は、CCDセンサやCMOSセンサによって実現され、ゲームコントローラ1230の先端に設けられて長手方向前方(先端方向:前方方向)の様子を撮影し、画像信号をコントローラ制御ユニット1260に出力する。
【0033】
また、本実施形態におけるゲームコントローラ1230は、出力デバイスとしてバイブレータ1252と、スピーカ1254とを備える。
バイブレータ1252は、コントローラ制御ユニット1260から出力された振動制御信号に従って振動を発生させ、ゲームコントローラ1230を把持するプレーヤの手に振動を感じさせる。スピーカ1254は、コントローラ制御ユニット1260から出力された音出力信号に従って音を発生させ正面側に放音する。
【0034】
コントローラ制御ユニット1260は、例えば、CPUやローカルバス回路におけるデータ通信を制御するバスコントローラICなどの各種マイクロチップやICメモリなどの電子部品、ゲーム装置本体1201の近距離無線通信モジュール1214と無線通信を実現する近距離無線通信モジュール1256などを実装する。
【0035】
そして、コントローラ制御ユニット1260は、ローカルバス回路を介して各種入力デバイスから送信された信号に基づいて操作入力信号を生成し、生成した操作入力信号を近距離無線通信モジュール1256でゲーム装置本体1201へ送信する。また、近距離無線通信モジュール1256によって、ゲーム装置本体1201から送出された出力信号を受信した場合には、受信した出力信号に対応づけられている出力デバイスへ制御信号を生成・送出する。
【0036】
尚、コントローラ制御ユニット1260及び各部が必要とする電力は、ゲームコントローラ1230の背面側に凹設されたバッテリー室内に内蔵されたバッテリー1258から供給される。
【0037】
また、本実施形態におけるゲームコントローラ1230は、その後方側面に、別途操作入力デバイス及び出力デバイスを繋ぐ通信ケーブルを着脱自在に接続するための拡張端子1250と、ストラップ1270の一端を止めるストラップホルダ1272とを備える。
拡張端子1250は、コントローラ制御ユニット1260に設けられたローカルバス回路を外部に拡張するための端子である。本実施形態におけるローカルバスは、例えばIIC(Inter-Integrated Circuit)バス規格によって実現され、所定形状のコネクタを活線挿抜に接続することができるとともに、拡張端子1250に含まれる接続ピンの電圧を検知することで挿抜に伴うコネクタやデバイスの接続検出ができる。
【0038】
そして、本実施形態では特に、付属する2台のゲームコントローラ1230の内1台をゲームコントローラケース100の中に入れ、同ケースごと放り上げることによって一時的な放物運動をさせ、放物運動中に生じる無重力状態を操作入力の一形態として利用してゲームプレイする。
尚、本実施形態におけるゲームコントローラケース100は、ゲームに登場するキャラクタを模した意匠を備えているがキャラクタの意匠に限定されず適宜設定可能である。
【0039】
[ゲームコントローラケースの構成]
図3は、本実施形態におけるゲームコントローラケース100の構成例を示す斜視図である。ゲームコントローラケース100は、ゲームコントローラ1230をケース本体102に収納し、このケース本体102を更に当該ケースの全外周を覆うカバー190内に収納して形成される。カバー190の内寸は、ゲームコントローラ1230を収納した状態で運搬しても収容されているケース本体102の位置ズレが起きない程度に密着するように設定されている。
【0040】
図4は、本実施形態におけるケース本体102の構成例を示す図であって、(a)正面図、(b)正面向かって右から見た右側面図、(c)後方側面図である。図5は、図4のA−A断面におけるコントローラ収容空間112の断面図である。尚、以下でケース本体102の向きを説明する際は、図4(a)における上、下、左、右をそれぞれ前方、後方、左、右とし、図4(b)における左、右をそれぞれ正面又は上、背面又は下という。即ち、ゲームコントローラ1230を収納した状態のゲームコントローラ1230の方向と同様である。
【0041】
図4及び図5に示すように、ケース本体102は、ゲームコントローラ1230を直径方向に沿って寝かせた姿勢で収容することのできる平たい円柱形状を有し、厚み中ほどから上下(正面側と背面側)に2分割された上部ケース部110Uと下部ケース部110Dとに分割成形されている。
【0042】
ケース本体102は、PVDF(フッ化ビニリデン樹脂)フォーム、ポリエチレンフォーム、ゴムスポンジなどの硬質発砲樹脂や発泡スチロールなどで形成されており、外周面に衝撃を与えてもその衝撃を緩和し、僅かに弾性変形するとともに衝撃の一部を内部に伝えるが、収容されているゲームコントローラ1230を十分に保護できる硬度を有する。
【0043】
ケース本体102は、直径方向にゲームコントローラ1230を密着収容するコントローラ収容空間112と、上部ケース部110U及び下部ケース部110Dの合わせ面の対向位置に貼設された面ファスナー114と、面ファスナー114で連結された上部ケース部110Uと下部ケース部110Dとを分離する際の指掛け孔116と、コントローラ収容空間112に収容されたゲームコントローラ1230のスピーカ1254から発せられた音を外部に導く放音孔118とを備える。
【0044】
具体的には、コントローラ収容空間112は、ゲームコントローラ1230を収容できる略直方体の空間である。その全長(図4(a)の前後長)及び全幅(図4(a)の左右幅)はゲームコントローラ1230の全長及び全幅と同じ或いは僅かに小さく設定されている。
【0045】
また、コントローラ収容空間112の前端部には、先端開口部112aが開口し、その外周に壁部112bが残されている(図5参照)。
先端開口部112aは、ゲームコントローラ1230が当該空間に収容された状態において撮像素子1255の撮影方向前方を塞がないように開口されており、外側に向かって四方に拡開しケース本体102の前端に撮影窓104として現れる(図3,図4参照)。
【0046】
また、コントローラ収容空間112の前端部は、ゲームコントローラ1230の先端形状に合わせて高さ方向に絞られており、壁部112bを含む形で前方先すぼみ部112cを形成している。つまり、前端先すぼみ部112cは、ゲームコントローラ1230をコントローラ収容空間112に収容した際にその先端正面・背面・下端面・左右面の5面に当接して位置決め構造として作用する。
【0047】
同様に、コントローラ収容空間112の後端部は、ゲームコントローラ1230の後端形状に合わせて高さ方向に絞られ、同空間の後端壁を含む形で後方先すぼみ部112fを形成している。つまり、後方先すぼみ部112fは、ゲームコントローラ1230をコントローラ収容空間112に収容した際にその後端の正面・背面・下端面・左右面の5面に当接して位置決め構造として作用する。
【0048】
また、コントローラ収容空間112の上部ケース部110U側には、ゲームコントローラ1230を収容した際に、スピーカ1254に対向する位置に外部まで到達する放音孔118が設けられている。
【0049】
図6は、本実施形態におけるカバー190の構成例を示す図であって、(a)正面図、(b)B−B断面図である。
カバー190は、布製カバーであり、その正面にはキャラクタの顔などが描かれ、全体としてゲーム内に登場するキャラクタを思わせる意匠を有する。内寸はゲームコントローラ1230を収納した状態で運搬しても収容されているケース本体102の位置ズレが起きない程度に密着するように設定されている。尚、カバー190を説明する際の方向は、ケース本体102を収納した状態のケース本体102の方向と同様である。
【0050】
カバー190の側面下部には、外周沿いにジッパー192が設けられており、開閉自在となっている。また、カバー190の前端には、ゲームコントローラケース100を収納時に撮影窓104の前方を塞がないように設けられた撮影開口部196が有り、カバー190の背面にはすべり止め194が貼設されている。
【0051】
図7は、本実施形態におけるビデオゲームについて説明するための画面例である。本実施形態ではカバー190の意匠に類似したプレーヤキャラクタ4が障害物6やクレバス8をジャンプして避けながら画面右方向に設定されているゴール目掛けて走り抜ける所謂横スクロール型のアクションゲームである。
【0052】
本実施形態では、プレーヤキャラクタ4は自動的に右方向に向けてゆっくりと走るように自動制御されている。ジャンプをせずにそのまま走り続けるとプレーヤキャラクタ4は障害物6に衝突したり先に進めなくなったり、クレバス8に落下してプレーヤキャラクタ4を損失して始めからやり直しとなるゲームルールである。プレーヤは適当なタイミングでジャンプの操作入力をして、破線矢印10,12で示すようにプレーヤキャラクタ4に障害物6やクレバス8を飛び越させ、如何に速くゴールにたどり着けるかでゲームを楽しむ。そして、本実施形態では、ジャンプ操作を、ゲームコントローラ1230を放り上げて放物運動させることによって無重力状態とすることで入力する。
【0053】
[無重力状態を利用した操作入力方法の説明]
図8は、無重力状態を利用した操作入力方法について説明するための概念図である。無重力状態を利用した操作入力は、ゲームコントローラ1230を収容したゲームコントローラケース100を保持した状態で構え(1)、ジャンプ操作を入力する少し前からタイミングを計って上方に向けて加速し(2)、ジャンプ操作入力のタイミングで手を離してリリースし(3)、一点鎖線で示された放物運動状態による無重力状態を経て(4)、落下してきたゲームコントローラケース100をキャッチする(5)、までの一連の動作によってなされる。
【0054】
図9は、ジャンプ操作入力前後における加速度センサ1248による加速度検出例を示す概略図である。尚、ここでは説明を分かり易くするために図8で示した一連の動作においてゲームコントローラケース100の姿勢が概ねカバー190の正面を上に向けた状態であったとして説明する。
【0055】
図9の区間(1)では、ゲームコントローラケース100は保持され静止された状態にある。同図では、ゲームコントローラケース100がカバー190の正面が上、つまりゲームコントローラ1230の正面が上となる姿勢で保持されているので、Y軸方向加速「Ya」としてマイナス方向に重力加速度が検出されている。
【0056】
ゲームコントローラケース100を放り上げるために加速を始めると、区間(2)に示すように、重力加速度方向にその分の加速度が増加されるのが検出される。ロケットの打ち上げと同様である。
【0057】
そして、リリースの手前から加速度がやや衰え、リリースタイミング(3)を境にゲームコントローラケース100は放物運動に入って加速度が検出されなくなる。区間(4)に示すように、放物運動の間はどの軸方向においても加速度が検知されない無加速度状態が維持される。
【0058】
次いで、プレーヤが落下するゲームコントローラケース100をキャッチしたタイミング(5)で復帰して加速度が再び検出されるようになり、区間(6)に示すように再び重力加速度のみが検出される状態にもどる。
【0059】
つまり、加速度センサ1248で検出される3軸の加速度が何れの軸についてもゼロで有る状態が所定時間以上続いた場合には、ゲームコントローラ1230が無重力状態にあると判断することができる。また、リリースのタイミングに向けて、保持状態において検知されていた重力加速度の方向に加速度増加が有る場合には、更にゲームコントローラ1230が放り上げられることによって放物運動の過程で生じる無重力状態に有ると判断することができる。反対に、リリース前に重力加速度方向への加速度増加が見られなければ、プレーヤが放り上げる事無く誤って落下させた自由落下に伴う無重力状態で有ると判断できる。
【0060】
また、加速度の検出がゼロになった後、再び加速度が検出されたときからの加速度の増加率が基準値未満であれば、プレーヤが無事にゲームコントローラケース100をキャッチした減速過程と判断し、基準値を超える急激な加速度の増加率が見られた場合には、プレーヤがキャッチし損なって床面に激突して落下衝撃が検出されたと判断することができる。
【0061】
そして、本実施形態ではプレーヤに無重力状態による操作入力ができた事を知らせるために効果音をゲームコントローラ1230のスピーカ1254から再生・放音させる。
本実施形態における効果音の再生タイミングは、予測到達相対高さ最上点近傍とするが、放物運動状態つまり疑似的無重力状態であればどのタイミングでも構わない。例えば、放物運動の開始直後、或いは予測到達相対高さ最上点を過ぎた自由落下フェーズで効果音を発するとしても良い。尚、ここで言う「効果音」とは、映像制作現場で言われる効果音に限定されるものではなく、キャラクタの会話・台詞、動物の鳴き声、音階、音楽の一部を含む意味である。
【0062】
[機能ブロックの説明]
次に、本実施形態を実現するための機能構成について説明する。
図10は、本実施形態における機能構成例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態では、操作部400と、処理部200と、音出力部350と、画像表示部360と、通信部370と、記憶部500とを備える。
【0063】
操作部400は、図1で言うところのゲームコントローラ1230に相当し、ローカル制御部402、操作入力部410、出力部414、接続部416、通信部418を備える。操作入力部410は、加速度検出部412を含む。
【0064】
操作入力部410は、プッシュボタンや、レバー、タッチパッド、ダイヤル、キーボード、マウス、各種ポインタ、加速度センサ、傾斜センサ、ジャイロ、GPS、撮像素子などの入力デバイスやセンサ類によって実現され、プレーヤによって為された各種の入力に応じて操作入力信号をローカル制御部402に出力する。図2のAボタン1232〜Dボタン1238、方向入力キー1242、トリガー1246、加速度センサ1248がこれに該当する。
【0065】
加速度検出部412は、操作部400に作用する加速度を検出し、所定サイクルで検出した加速度値に応じた検出信号をローカル制御部402に出力する。図1では加速度センサ1248が該当する。尚、ローカル制御部402に出力された加速度の検出信号は通信部418を介して通信部370へ所定サイクルで操作入力信号として送信される。
【0066】
出力部414は、バイブレータ、ライト、スピーカ、モータ、画像表示素子といった出力デバイスによって実現され、ローカル制御部402から送出された制御信号によってゲームの進行に応じた振動や光、音、動作、画像表示などの出力をする。図2の例ではバイブレータ1252及びスピーカ1254がこれに該当する。尚、本実施形態の出力部414には、音出力部415(スピーカ1254相当)が含まれる。
【0067】
接続部416は、例えばコネクタによって実現され、外部からの信号線を操作部入力部410内の信号線と結線させるとともに、接続の有無を検知する仕組みを備える。図2の拡張端子1250及びゲームコントローラ1230のローカルバス回路がこれに該当する。
【0068】
通信部418は、例えば、無線装置やLANアダプタなど通信回線1に接続するための機器によって実現され、外部装置との間で信号の送受を実現する。図2の近距離無線通信モジュール1256がこれに該当し、ゲーム装置本体1201の近距離無線通信モジュール1214(図1参照)に該当する通信部370との間でデータ通信を実現する。
【0069】
ローカル制御部402は、例えばCPUやローカルバスにおけるデータ通信を司るバス制御ICといったマイクロプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリ、ローカルバスなどの電子部品・電子回路によって実現され、ICメモリ等で実現される記憶部(非図示)を作業領域として使用して操作部400の各機能部との間でデータの入出力を制御する。図2のコントローラ制御ユニット1260がこれに該当する。そして、ローカル制御部402は、所定サイクルで操作入力部410からの各種信号、及び接続部416を介して外部から入力された信号に基づいて操作入力信号を生成し、通信部418を用いて通信部370へ操作入力信号を送信する。
【0070】
処理部200は、例えばCPUやGPUと言ったマイクロプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、ICメモリなどの電子部品によって実現される。処理部200は、各機能部との間でデータの入出力を行うとともに所定のプログラムやデータ及び操作部400からの操作入力信号に基づいて各種の演算処理を実行して、家庭用ゲーム装置1200の動作を制御する。図1では、ゲーム装置本体1201に内蔵された制御ユニット1210が処理部200に該当する。そして、本実施形態における処理部200は、ゲーム演算部210と、音生成部250と、画像生成部260と、通信制御部270とを備える。
【0071】
ゲーム演算部210は、ゲームの進行に係る処理を実行する。例えば、プレーヤキャラクタ4の移動制御、プレーヤキャラクタ4の障害物6への衝突判定及びクレバス8への落下判定、ゴール到着判定、ゲーム時間の掲示処理、獲得ポイントの計算といったゲームの進行処理、3軸分の各加速度値を過去所定時間分だけ履歴記憶処理などが実行対象に含まれる。そして、本実施形態におけるゲーム演算部210は、速度算出部212と、無重力状態検出部214と、音種類選択部216と、効果音出力制御部218とを含む。
【0072】
具体的には、速度算出部212は、操作部400から所定サイクルで送信される操作入力信号の中から加速度検出部412で検出した加速度値を取得し、受信サイクルの時間間隔dtとから操作部400の現在の速度ベクトルを算出する。
【0073】
無重力状態検出部214は、加速度検出部412で検出される3軸全ての加速度が所定時間以上(例えば、100ms)ゼロで有る場合に、操作部400が無重力状態に有ると判定する。更には、加速度検出部412で検出される3軸の加速度から現在の重力加速度ベクトルを算出し、重力加速度ベクトルと略同方向への加速度の増加を所定サイクルで検出する。重力加速度ベクトルの検出は、適宜公知技術によって実現できる。そして、無重力状態の判定直前に、重力加速度ベクトルと略同方向への加速度の増加が検出されていた場合には、放り上げ後の放物運動に伴う無重力状態であると判定する。反対に、加速度の増加が検出されていなかった場合には、放り上げを伴わない自由落下による無重力状態であると判定する。そして、ゲーム演算部210は、それらを別々の操作入力と見なして異なるゲーム進行制御を実行する。
【0074】
音種類選択部216は、無重力状態に係る各種パラメータ値(例えば、放り上げ時の速度、予測到達相対高さ、ゲーム開始からの無重力状態の検出回数)に基づいて操作部400の音出力部415で再生させる効果音を、記憶部500に記憶されている無重力効果音データTBL(テーブル)510から選択する。
【0075】
効果音出力制御部218は、音種類選択部216によって選択された効果音の効果音データを通信部370に操作部400に送信させる。操作部400では、ローカル制御部402が、受信した音声データを音出力部415で再生させ、放音させるように制御する。
【0076】
音生成部250は、例えばデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのプロセッサやその制御プログラムなどの公知技術によって実現され、ゲーム演算部210による処理結果に基づいてゲームに係る効果音やBGM、各種操作音の音信号を生成し、音出力部350に出力する。
【0077】
音出力部350は、音生成部250から入力される音信号に基づいて効果音やBGM等を音出力する装置によって実現される。図1ではビデオモニタ1220のスピーカ1224がこれに該当する。
【0078】
画像生成部260は、例えば、GPUやデジタルシグナルプロセッサ(DSP)などのマイクロプロセッサ、その制御プログラム、フレームバッファ等の描画フレーム用ICメモリ等の公知技術によって実現される。そして、画像生成部260は、ゲーム演算部210による処理結果に基づいて所定リフレッシュレート(例えば1/60秒)で1枚のゲーム画像信号を生成・出力し画像表示部360に出力する。
【0079】
画像表示部360は、画像生成部260から入力される画像信号に基づいて各種ゲーム画像を表示する。画像表示部360は、例えば、フラットパネルディスプレイ、ブラウン管(CRT)、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイといった画像表示装置によって実現できる。図1ではビデオモニタ1220の画像表示装置1222がこれに該当する。
【0080】
通信制御部270は、データ通信に係る処理を実行し、通信部370を介して外部装置との間でデータの送受を実現する。
【0081】
通信部370は、通信回線1と接続して通信を実現する。例えば、無線通信機、モデム、TA(ターミナルアダプタ)、有線用の通信ケーブルのジャックや制御回路等によって実現され、図1では通信装置1212、及び近距離無線通信モジュール1214がこれに該当する。
【0082】
記憶部500は、予め定義されたプログラムやデータを記憶するとともに、処理部200の作業領域として用いられ、処理部200が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。この機能は、例えばRAMやROM、EEPROMなどのICメモリ、ハードディスク等の磁気ディスク、CD−ROMやDVD―RAM、MOなどの光学ディスクによって実現される。図1では、制御ユニット1210に搭載されたICメモリや光ディスク1202、メモリカード1204がこれに該当する。
【0083】
本実施形態における記憶部500は、処理部200に家庭用ゲーム装置1200を統合的に制御させるための諸機能を実現するためのシステムプログラム501や、ゲームを実行させるために必要なゲームプログラム502並びに各種データ等を記憶する。処理部200がゲームプログラム502を読み出して実行することによって、処理部200にゲーム演算部210としての機能を実現させることができる。
【0084】
また、記憶部500には、予め用意されるデータとして、走り移動時効果音データ508と、無重力効果音データTBL510と、落下時効果音データ520とを記憶している。また、ゲーム進行に伴って適宜記憶されるデータといては、検出加速度履歴データ522と、その他、各種カウンターやタイマ、フラグなどを記憶する。
【0085】
走り移動時効果音データ508は、プレーヤキャラクタ4が自動で走り移動しているときに再生される効果音データを格納する。例えば、「おらおらー!」「いくぞー!」など気勢を上げる声などが適宜設定できる。
【0086】
無重力効果音データTBL510は、無重力状態を利用した操作入力がなされたことを知らせる各種効果音の音データが選択条件と対応づけて格納されている。
例えば、図11に示すように、選択条件512として効果音種類514と、予測到達相対高さ516と、ゲーム開始からの無重力状態の検出回数518とパラメータとして含み、それらパラメータの組み合わせからなる各種条件毎に複数種類の効果音データ519が設定されている。
【0087】
例えば、「放物運動中効果音」はゲームコントローラケース100が放物運動中に再生される効果音である。
また、選択条件512は、予測到達相対高さ516を幾つかの段階に分けて、高くなるほどより興奮して喜ぶキャラクタの声の効果音データ519が設定されている。但し、本実施形態では日本の平均的な家屋内において着座姿勢でゲームプレイすることを想定して、予測到達相対高さ2mを警戒高さとし、予測到達相対高さが2m以上に達する場合には警告を発するキャラクタの声の効果音データ519を設定している。
これによって、所定の危険高さ条件を満たす投げ上げ過ぎによって、ゲームコントローラケース100が天井に衝突して損害を与えたり、ジャンプ操作入力が正しく入力できない状態を防ぐ。尚、警戒高さは「2m」に限らず家屋条件やゲームプレイ姿勢などを適宜想定の上で安全を見越して設定することができる。
【0088】
落下時効果音データ520は、放物運動を経ずに例えば誤ってプレーヤがゲームコントローラケース100を落下させた時に再生される。
【0089】
検出加速度履歴データ522は、加速度検出部412で検出された3軸分の各加速度値を過去所定時間分だけ履歴として格納する。
【0090】
[処理の流れの説明]
図12は、本実施形態における処理の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明する一連の処理は、処理部200がシステムプログラム501及びゲームプログラム502を読み出して実行することによって実現される。尚、処理開始の操作は、例えばゲームコントローラケース100に収容されていない他のゲームコントローラ1230から操作するものとする。
【0091】
処理が開始されると、先ず処理部200は検出回数に「0」を設定して初期化し(ステップS2)、ゲーム画面の表示と、走り移動時効果音の出力を開始する(ステップS4)。具体的には、図7で示したようなゲーム画面を表示し、ゲームステージを画面右から左へ流れるようにスクロールさせつつ、プレーヤキャラクタ4の所定速度で画面右方向走らせる。また、走り移動時効果音データ508から所定サイクルで一つ効果音を選択してスピーカ1224から再生させる。尚、BGMなどゲームを通してスピーカ1224から出力される効果音の再生も開始されるのは勿論である。
【0092】
次に、処理部200は加速度センサ1248で検出された加速度を検出加速度履歴データ522に記憶し(ステップS6)。同検出された加速度に基づいてゲームコントローラ1230の現在の速度ベクトルを求め(ステップS8)、更に重力加速度ベクトルを求める(ステップS10)。求めたそれぞれのベクトルのデータは適宜記憶部500に記憶する。
【0093】
次に、処理部200は更に無重力状態の検出判定をする(ステップS14)。
規定時間の間(例えば、100ms)、加速度センサ1248で検出される3軸何れにおいても加速度が検出されない無加速度状態であれば無重力状態と判定し(ステップS14のYES)、処理部200は検出加速度履歴データ522を参照して、過去所定時間の範囲(例えば、0.5〜1秒程度)において重力加速度ベクトルと略同方向への重力加速度以上の加速度値に達する加速度増加の履歴の有無判定する(ステップS16)。ここで言う「略同方向」とは、重力加速度ベクトルと厳密に180度反対の方向を含み、おおむね下方向への加速で有れば良い意味である。つまり、ここではロケット打ち上げ直後に疑似的に重力増加が見られるのと同様の現象の有無を判定する。
【0094】
そして、重力加速度ベクトルと略同方向への加速度増加が有れば(ステップS16のYES)、処理部200は放り上げによる放物運動中の無重力状態と判断して、検出回数を「1」加算し(ステップS18)、現在のゲームコントローラ1230の速度ベクトルと、予め分っているゲームコントローラ1230を収納下状態のゲームコントローラケース100の総重量とから放物運動におけるゲームコントローラケース100の予測到達相対高さを算出する(ステップS20)。予測到達相対高さは、リリースされた位置を「0」とした相対高さである。
【0095】
次に、処理部200は算出された予測到達相対高さと現在の検出回数とに基づいて無重力効果音データTBL510から再生する効果音データ519を選択し(ステップS22)、所定時間経過後、走り移動時効果音のスピーカ1224からの出力処理を中断し、選択した効果音データ519をゲームコントローラ1230のスピーカ1254から出力させる(ステップS24)。これによって、実質的に予測到達相対高さの大きさに応じて種類の異なる効果音を再生させ、異なる操作入力が成されたようにゲームの進行を制御することができる。また、走り移動時効果音と、放物運動中効果音とを、ゲーム中の同じキャラクタが発する音声として設定することで、そのキャラクタが走り移動中なのか、ジャンプ中なのかによって、出力されるスピーカが切り替わることとなり、ゲームプレイの面白味が増す。
【0096】
尚、ここで言う所定時間とは、最上点位置が放り上げ位置から2m未満と想定して、放物運動の頂点前後で効果音の再生が開始されるように予め設定されたタイムラグである。勿論、先に算出された現在の速度ベクトルから放物運動の頂点近傍に到達するまでの所要時間を算出して、これを所定時間として用いる構成としても良い。また、ステップS24において、ゲームを通して流れるBGMなどは中断処理の対象外とする。
【0097】
そして、処理部200は上向き運動である放物運動に伴う無重力状態が検出されたのでジャンプ操作入力が為されたと見なして、プレーヤキャラクタ4を予測到達相対高さに応じた大きさで前方へ(ゲーム画面右方へ)のジャンプ移動制御を実行する(ステップS26)。
【0098】
つまり、実質的に予測到達相対高さの大きさに応じて、ジャンプの大きさが異なる別種の操作入力が為されたと判断し、それに応じたジャンプの大きさでプレーヤキャラクタ4を制御することができる。或いは予測到達相対高さの大きさに応じた入力量の操作入力がなされたとみなした制御をすることができる。尚、ジャンプの大きさは、例えば予測到達相対高さから所定の関数で算出するとしても良い。
【0099】
一方、無重力状態の検出は有ったが重力加速度ベクトルと略同方向に重力以上の加速度に達する加速度増加の履歴が無い場合(ステップS16のNO)、処理部200は誤ってゲームコントローラケース100を落っことした自由落下によって生じた下方向への運動に伴う無重力状態であると判断する。
【0100】
そして、加速度センサ1248による検出加速度がゼロから復帰して落下衝撃を検出のタイミングで(ステップS30のYES)、落下時効果音データ520を読み出してゲームコントローラ1230のスピーカ1254から再生・放音させ(ステップS32)、更に、下方向への運動に伴う無重力状態による操作入力が為されたと判断して、プレーヤキャラクタ4を転ばせ、自動的に立ち上がって再び走り出すように制御する。(ステップS34)。
【0101】
プレーヤキャラクタ4のジャンプ移動制御や転び制御を実行した後、或いは無重力状態が検知されなかった場合(ステップS14のNO)、処理部200は現在のゲーム進行状態が所定のゲーム終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS50)。本実施形態のビデオゲームは、スクロール型のアクションゲームで画面右方向に設定されているゴールまでプレーヤキャラクタ4が到達するかクレバス8に所定回数落ちるかした場合に、ゲーム終了条件を満たすと判定する。
【0102】
ゲーム終了条件を満たしていなければ(ステップS50のNO)、中断されていた走り移動時効果音の出力を再開して(ステップS54)、ステップS6に戻ってゲームを続ける。尚、ステップS54では、ステップS24やS34の処理に伴って再生が中断された場合には、改めて走り移動時効果音データ508から何れか一つの効果音データを選択して再生するものとする。勿論、中断されていた走り移動時効果音が無ければ、効果音データの再選択は不要である。
【0103】
一方、ゲーム終了条件を満たすと判定した場合には(ステップS50のYES)、所定のゲーム結果の表示などのゲーム終了処理を実行して(ステップS52)、一連の処理を終了する。
【0104】
以上、本実施形態によれば、無重力状態(加速度センサ1248で加速度が検出されない無加速度状態)を検出してこれを操作入力と見なしてゲームの進行を制御することができる。より具体的には、無重力状態でも放り上げによる放物運動中の無重力状態と、保持状態からの落下による自由落下から始まる無重力状態とを識別し、それぞれ異なる操作入力と見なしてプレーヤキャラクタ4の動作を制御し、異なるゲームの進行を制御することができる。
【0105】
また、無重力状態を利用した操作入力が為された場合に、ゲームコントローラ1230のスピーカ1254から効果音を発することで、操作入力の成功をプレーヤに知らせるとともに、プレーヤキャラクタ4の意匠に似たゲームコントローラケース100が放り上げられたことで声を上げているかの様に見せるといった従来に無い演出を可能にしている。
【0106】
更に、選択される効果音は、放り上げによる予測到達相対高さや放り上げの回数に応じて多数のバリエーション内から選択される構成となっており、ゲームコントローラケース100の発する声に多様性を持たせて、よりキャラクタらしさを演出することができる。
【0107】
更に、予測到達相対高さが所定の警戒高度に達する場合には、警告の効果音を再生することができるので、天井高の限られた空間でゲームプレイする場合の安全性に配慮がなされている。
【0108】
[第1実施形態の変形例]
尚、本実施形態においては次の様な変形例が考えられる。
先ず、警戒高度を2m以上(例えば、5m程度)にして放物運動中の滞空時間がある程度の長さを有する場合、効果音を放物運動開始のタイミング(図9のリリースタイミング(3))や放物運動終了のタイミング(図9のキャッチタイミング(5))で再生することを含めることができる。
【0109】
その為には、例えば、図13に示すように、無重力効果音データTBL510の選択条件512の効果音種類514に「リリース効果音」と「キャッチ効果音」とを設定する。
そして、図14に示すように、ステップS16の後、即ち放物運動に伴う無重力状態の検出が為された場合に、「リリース効果音」に属する効果音データ519を一つ読み出して、ゲームコントローラ1230のスピーカ1254から再生・放音させる(ステップS17)。
【0110】
また、ステップS26の後に、加速度センサ1248で加速度が再び検出されるようになり加速度ゼロの状態から復帰した場合(ステップS27のYES)、「キャッチ効果音」に属する効果音データ519を一つ読み出して、ゲームコントローラ1230のスピーカ1254から再生・放音させる(ステップS28)。
【0111】
これによって、プレーヤキャラクタに似せたゲームコントローラケース100が放り上げられたときに「リリース効果音」として驚きの声(例えば、「わお!」)を上げさせ、放物運動の最上点近傍で「放物運動中効果音」として喜びの声(例えば、「高ーい!」)を挙げさせ、更にプレーヤがゲームコントローラケース100をキャッチしたときに「キャッチ効果音」として安堵や称賛、感謝の声(例えば、「ナイスキャッチ!」)を挙げさせるといった具合に、ゲームコントローラケース100に人的な反応をさせるといった従来に無い演出が可能になる。勿論、効果音の再生タイミングは、これら3つの内どれが一つを選択しても良いし、複数を組み合わせても良い。
【0112】
また、ステップS24(図12参照)では、所定時間経過後に選択した効果音データをゲームコントローラ1230で再生させるように制御したが、図14に示すように、ステップS20に代えて予測到達相対高さと最上点到達所要時間を算出することとし(ステップS21)、ステップS24に代えて最上点到達所要時間経過後に選択した効果音データを再生させる(ステップS25)ように制御するとしても良い。
【0113】
また、本実施形態では、主たる情報処理機能部として家庭用ゲーム装置1200を用いる構成としているが、これをパソコンで置き換える構成とすることができる。その場合、ゲームコントローラ1230をパソコン側と近距離無線のマッチング処理をして利用すると好適である。或いは、次に説明する第2実施形態の電子制御装置のような専用品を用いるとしても良い。
【0114】
〔第2実施形態〕
次に、本発明を適用した第2実施形態として、お人形ごっこに使われる電子制御装置内蔵型の玩具であって、プレーヤの操作によって内部パラメータである機嫌値が変化し、その時々の機嫌値(つまり機嫌の善し悪し)に応じた台詞音声を出力する「おしゃべり人形」を例に挙げて説明する。尚、第1実施形態と同様の構成要素については同じ符号を付与し、その説明は省略するものとする。
【0115】
図15は、本実施形態におけるおしゃべり人形1100の一例の外観図であって、(a)は正面図、(b)は正面向かって左から見た左側面図、(c)は背面図にそれぞれ相当する。同図に示すように、おしゃべり人形1100は、基本的には綿やスポンジが詰められた主に幼児や年少者向けとされる布製の人形本体1190の収容部1112に、第1実施形態のゲームコントローラ1230に相当する電子制御装置1130が収容されている。
おしゃべり人形1100は、電子制御装置1130を含め、幼児や年少者が両脇を手で支えて持てる程度の大きさと容易に姿勢を変えられる程度の重量に仕立てられている。
【0116】
図16は、電子制御装置1130の構成例を示す図であって、(a)正面図、(b)正面向かって右側から見た右側面図、(c)背面図、(d)後方側面図に相当する。
電子制御装置1130は、操作入力信号を外部装置に送信する機能を除けば基本的には第1実施形態のゲームコントローラ1230と同様である。すなわち、プラスチック製のケース内に、コントローラ制御ユニット1160を中心に、IIC(Inter-Integrated Circuit)バスなどによって実現されるローカルバス回路によって接続された各種入力デバイス及び出力デバイスを備える。具体的には、入力デバイスとしては、正面側の中央部に設けられた第1操作ボタン1132及び第2操作ボタン1134を備え、背面側に設けられた主電源スイッチ1136と、後方側面側に設けられたメモリカード1204の読み取り装置1208と、加速度センサ1248とを備える。また、出力デバイスとしては、正面に向けて方音するスピーカ1254を備える。
【0117】
コントローラ制御ユニット1160は、例えば、CPUやローカルバス回路におけるデータ通信を制御するバスコントローラICなどの各種マイクロチップやICメモリなどの電子部品を実装する。コントローラ制御ユニット1160は、主電源スイッチ1136が「ON」にされると自動的に内蔵するROMに記憶されているシステムプログラムを読み出して起動し、読み取り装置1208に装着されているメモリカード1204から人形制御プログラムを読み出して演算処理を実行する。そして、各種入力デバイスからの入力信号に基づいて人再生する音声データを選択し、選択した音声データの再生音をスピーカ1254から出力させ、おしゃべり人形としての動作を制御する。尚、コントローラ制御ユニット1160及び各部が必要とする電力は、背面側に凹設されたバッテリー室内に内蔵されたバッテリー1258から供給される。
【0118】
図17は図15に於けるD−D断面図であり、図18は図15に於けるE−E断面図である。また、図19は図15におけるF−F断面図である。
図17及び図18に示すように、おしゃべり人形1100の人形本体1190は、外層部1110と、電子制御装置1130を密着収容するウレタンケース1116と、ウレタンケース1116を収容することのできる袋状空間の収容部1112と、ジッパー1104によって背中部分に開閉自在に開口し収容部1112に連通する連通部1114とを備えている。
【0119】
外層部1110は、例えば布地で形成されており、外層部1110と収容部1112との間には、綿などの繊維状緩衝材やスポンジなどの発泡緩衝材が充填されることによって第1緩衝層1111が形成されている。第1緩衝層1111によって、プレーヤがおしゃべり人形1100を持つとクッション性のある抱き心地のよい感触が得られる。
【0120】
図18及び図19に示すように、収容部1112は、背面側が連通部1114に連なって形成されており、ジッパー1104で連通部1114を開口して左右に開くと収容部1112の背面側がつられて開き、電子制御装置1130を挿入可能となる。反対にジッパー1104を閉じると、収容部1110の背面側が閉じられて全体として閉空間が形成される。
【0121】
また、収容部1112は適当箇所で外層部1110の内面と連結されており、第1緩衝層1111に充填された緩衝材の弾力とあいまって、電子制御装置1130を内部に収容した状態でプレイしてもおしゃべり人形1100における収容部1112の相対位置が変化するのを抑制することができる。相対位置の変化をより抑制する意味では、図20に示すように、おしゃべり人形1100の胴体部を複数の区画で形成することによって収容部1112を画成する構成としても良い。
【0122】
そして、本実施形態における収容部1112の内側には、電子制御装置1130を密着収容する保護ケースとして機能するバスタブ形状のウレタンケース1116が、開口部を連通部1114に向け、底面をおしゃべり人形1100の正面側に向けた状態で固定されている。また、ウレタンケース1116の開口部の蓋として機能するウレタンパッド1118が、収容部1112の背面側に固定されている。ウレタンケース1116およびウレタンパッド1118の固定方法は、糸による縫い付けや面ファスナーやホックによる着脱可能な固定、接着剤による接着など適宜選択できる。そして、ウレタンケース1116は、通常プレイに供する程度の外力ではその形状を維持する一方、おしゃべり人形1100が落下するような衝突が起きた場合には、弾性変形し電子制御装置1130に伝わる衝撃を緩和する程度の弾性と強度を有し、第2の緩衝層として機能する。
【0123】
また、ウレタンケース1116の底部には、電子制御装置1130の正面をおしゃべり人形1110の正面方向に向けて収容部1112内に収容した状態において、スピーカ1254の正面に該当する部分に第1窓部1120が設けられている。同様に、方向入力キー1242および操作ボタン1244に外部から操作可能なように第2窓1122が設けられている。
【0124】
一方、人形本体1190は、第1窓部1120および第2窓部1122の各正面側の部分に、他の部位よりも緩衝材の密度が低く、通気性が高い低密度充填部1111aが設けられている。従って、第1窓部1120および低密度充填部1111aによって、スピーカ1254から発せられた音が通り抜け易くなり、また外部から第1ボタン1132や第2ボタン1134を操作しやすいように工夫されている。音通りを更に良くすることを望むならば、低密度充填部1111aを覆う部分の外層部1110を、目の粗い素材で形成すると好適である。
【0125】
そして、図21(a)に示すように、本実施形態では、人形本体1190と、電子制御装置1130と、人形制御プログラムが記憶されたメモリカード1204とが、スタータキット20として販売される。またそれとは別に、図21(b)に示すように意匠の異なる複数種類人形本体1190Bがそれぞれ単体セット22として別売される。すなわち、プレーヤは、スタータキット20を一旦購入し、その後適宜単体セット22を購入することで、電子制御装置1130を好みの意匠の人形本体1190に挿入し、好みの人形でお人形ごっこを楽しむことができる。
【0126】
尚、電子制御装置1130は、専用の装置に限らず、加速度センサとスピーカを備えて別途プログラムをロードして実行することができる電子装置であれば専用品に限らない。例えば、メモリカードやインターネットを経由してプログラムをダウンロードしゲームなどを実行できる加速度センサ搭載タイプの携帯電話機やUMPC(ウルトラモバイルパーソナルコンピュータ)、PDAといった装置でも良い。その場合、スタータキット20には必ずしも電子制御装置1130を含まない形態が有っても良いことになる。
【0127】
[機能ブロックの説明]
次に、本実施形態を実現するための機能構成について説明する。
図22は、本実施形態における機能構成例を示す機能ブロック図である。同図に示すように本実施形態の機能ブロックの構成は、第1実施形態のそれと基本的には同じであるが、別体の操作部400としての機能ブロックが無く操作入力部410から処理部200へ直接加速度検出部412からの信号を出力する。また、画像表示及び通信に関する機能ブロックが省略されている。
【0128】
処理部200においては、第1実施形態のゲーム演算部210に相当する機能ブロックとして人形の動作制御を実行する人形制御部211が有る。同機能ブロックを実現するために、記憶部500には、第1実施形態のゲームプログラム502に相当する人形制御プログラム503が記憶されている。
【0129】
音出力部350は、本実施形態では電子制御装置1130のスピーカ1254が該当する。
【0130】
また、記憶部500に記憶されるデータについて見ると、第1実施形態の無重力効果音データTBL510に代わる無重力効果音データ510Bと、感情パラメータ値530と、おしゃべり音声データを再生条件別に複数種類格納する機嫌良時おしゃべり音声データライブラリ540及び機嫌不良時おしゃべり音声データライブラリ542とを記憶する
【0131】
無重力効果音データ510Bは、例えば図23に示すように、選択条件512に対応して第1実施形態の効果音データ519に相当する音声データ519Bを格納する。本実施形態では特に、選択条件512の検出回数518毎に、喜びの声とともに検出回数を読み上げる音声データ(例えば、「2回ー!」)が設定されており、当該選択条件に該当する場合には何れかの音声データ519Bが選択される。
【0132】
感情パラメータ値530は、「0」〜「360」の値でありおしゃべり人形1100の機嫌の善し悪しを示す。「120」未満では不機嫌(機嫌不良)、「120」以上で機嫌良と判断される。通常、感情パラメータ値530は「240」を初期値とし、人形制御部211によって時間経過とともに自動的に減少される。つまり、おしゃべり人形1100をかまわずに放っておくと徐々に機嫌が悪くなるように制御される。
【0133】
機嫌良時おしゃべり音声データライブラリ540は、おしゃべり人形1100の機嫌が良好である場合に選択される音声データが選択条件と対応づけて格納されている。同様に、機嫌不良時おしゃべり音声データライブラリ542は、おしゃべり人形1100の機嫌が良くない場合に選択される音声データが選択条件と対応づけて格納されている。
【0134】
[処理及び動作の説明]
次に、本実施形態におけるおしゃべり人形1100の動作制御の流れについて説明する。図24は、おしゃべり人形1100の動作制御の流れを説明するためのフローチャートである。ここで説明する一連の処理は、処理部200がシステムプログラム501及び人形制御プログラム503を読み出して実行することによって実現される。
【0135】
先ず処理部200は検出回数に「0」を設定するとともに、感情パラメータ値530を「240」に設定して両者を初期化する(ステップS3)。
【0136】
次に、処理部200は加速度センサ1248で検出された加速度を検出加速度履歴データ522に記憶し(ステップS6)、同検出された加速度に基づいておしゃべり人形1100の現在の速度ベクトルを求め(ステップS8)、更に重力加速度ベクトルを求める(ステップS10)。
【0137】
次に、処理部200は更に無重力状態の検出判定をする(ステップS14)。
3軸のうち何れかの軸でゼロ以外の加速度が検出されている場合には無重力状態出はないと判定して(ステップS14のNO)、処理部200は続いて感情パラメータ値530を所定量(例えば、1ポイント/秒相当)減算して機嫌が悪くなる方向へ変更する(ステップS15a)。そして、現在の感情パラメータ値530に基づいて機嫌の良し悪しを判定して、二つのおしゃべり音声データライブラリのうち何れかを選択し(ステップS15b)、選択したおしゃべり音声データライブラリから選択条件512に合致する音声データ519Bを抽出してスピーカ1254から再生させる(ステップS15c)。該当する音声データ519Bが複数抽出された場合には、ランダムに何れか一つを選択するものとする。
【0138】
一方、加速度センサ1248で検出される3軸何れにおいても加速度が検出されない無加速度状態であれば無重力状態と判定し(ステップS14のYES)、次いで処理部200は検出加速度履歴データ522を参照して、過去所定時間の範囲(例えば、0.5〜1秒程度)において重力加速度ベクトルと略同方向への重力加速度以上の加速度値に達する加速度増加の履歴の有無判定する(ステップS16)。
【0139】
そして、重力加速度ベクトルと略同方向への加速度増加が有れば(ステップS16のYES)、処理部200は放り上げによる放物運動中の疑似無重力状態と判断して、検出回数を「1」加算し(ステップS18)、現在のゲームコントローラ1230の速度ベクトルと、予め分っている電子制御装置1130を収納した状態のおしゃべり人形1100の総重量とから、今放り上げられたおしゃべり人形1100の予測到達相対高さを算出する(ステップS20)。
【0140】
次に、処理部200は算出された予測到達相対高さと現在の検出回数とに基づいて無重力効果音データTBL510Bから再生する音声データ519Bを選択し(ステップS22)、所定時間経過後、選択した音声データ519Bをスピーカ1254から出力させる(ステップS24)。
【0141】
そして、処理部200は、赤ちゃんを高く持ち上げてあやす所謂「高い高い」がされた状況に相当し機嫌が改善されたたと判断して、感情パラメータ値530を先に算出した予測到達相対高さに応じた量(例えば、予測到達相対高さ0〜1m未満20ポイント、1〜2m未満が40ポイント、2m以上で10ポイント)増加させる(ステップS29)。
勿論、感情パラメータ値530の増加量は、段階的な設定に限らず予測到達相対高さから所定の関数を用いて算出するとしても良い。
【0142】
一方、無重力状態の検出が有ったが重力加速度ベクトルと略同方向に重力以上の加速度に達する加速度増加の履歴が無い場合(ステップS16のNO)、処理部200は誤っておしゃべり人形1100を落っことした自由落下によって生じた下方への無重力状態であると判断する。
【0143】
そして、加速度センサ1248による検出加速度がゼロから復帰して落下衝撃を検出のタイミングで(ステップS30のYES)、落下時効果音データ520を読み出してピーカ1254から再生・放音させる(ステップS32)。更に、処理部200はおしゃべり人形1100が落されて機嫌が損われたと判断して、感情パラメータ値530を所定量(例えば、200ポイント)減算して機嫌を悪くする方向に変更する(ステップS35)。
【0144】
ステップS15cのおしゃべり制御の後、或いはステップS29やS35の無重力状態検出後の感情パラメータ値530の変更処理実行した後には、再びステップS6に戻ってゲームを続ける。
【0145】
よって、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するとともに、おしゃべり人形1100の機嫌が悪くなっても、あたかも赤ちゃんをあやす「高い高い」をする要領で放り上げ、無重力状態にしてあげると再び機嫌が良くなるといった「子守ごっこ」風の遊びをする事ができる。
【0146】
また、おしゃべり人形1100が無重力状態の時には、第1実施形態でゲームコントローラケース100が効果音を発したのを同様に喜びの音声や、放り上げられた回数を読み上げる音声を出力させることができるので、より「高い高い」のらしさを演出することができる。これを利用して、例えば二人のプレーヤでキャッチボールの要領でおしゃべり人形1100を交互に放ってその回数をおしゃべり人形1100に読み上げさせるといった遊び方もできる。
【0147】
尚、無重力状態において放物運動中に音声データ519Bを再生する構成として説明したが、第1実施形態の変形例を第2実施形態に同様に適用することで、放物運動の開始タイミング(リリースタイミング)や放物運動の終了タイミング(キャッチタイミング)でリリース効果音やキャッチ効果音に相当する音を再生する構成とすることもできる。
【0148】
また、ゲーム終了条件を適宜設定することで、おしゃべり人形1100でゲームをすることもできる。具体的には、ステップS15cやステップS29、ステップS35、次に現在の感情パラメータ値530が「0」に達しているか否かを判定するゲーム判定処理を実行する。そして、「0」に達していればゲームオーバと判定して、予め記憶している大泣き音声データを読み出して再生し、おしゃべり人形1100がかんしゃくを起こしているようにし、ゲーム開始から基準時間(例えば、10分。勿論この為には、ゲーム開始時に経過時間のカウントを開始する処理が必要である。)経過していればゲームクリアとして、予め記憶している寝息音声データを読み出して再生、おしゃべり人形1100を無事寝かしつけたようにすると良い。
【0149】
また、おしゃべり人形1100で可能な演出は、音声データ519Bの音出力に限らず、発光による視覚的演出を加えることができる。具体的には、おしゃべり人形1100の人形本体1190に、電子制御装置1130に接続される発光素子を設けるとともに、無重力効果音データTBL510Bの各選択条件512に音声データ519Bとともに、発光色や発光パターン情報を定義する。そして、無重力状態の検出に応じて音声データ519Bを再生したのと同様に、予測到達相対高さに応じた発光色や発光パターンで発光素子を発光させて視覚的演出が可能な構成とすることができる。この場合、聴覚障害者でも無重力状態による操作入力を感じさせることができる。
【0150】
〔第3実施形態〕
次に、本発明を業務用ゲーム装置として実現する第3実施形態について説明する。尚、第1実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付与して説明は省略するものとする。
【0151】
図25に示すように、本実施形態における業務用ゲーム装置1300は、ゲーム装置本体1301と、専用フロアマット1302と、ボール型ゲームコントローラ1330を備える。
【0152】
ゲーム装置本体1301は、一体の筐体に、制御ユニット1210Cと、コイン投入口や各種操作入力ボタンを備えた操作パネル1360と、ビデオモニタ1220と、ボール型ゲームコントローラ1330の収納ハンガー1362とを備える。制御ユニット1210Cは、第1実施形態の制御ユニット1210と基本的には同じであるが、実行するビデオゲームの内容が異なる。
【0153】
図26の断面図に示すように、ボール型ゲームコントローラ1330は、例えばサッカーボールの意匠を有し、第1実施形態のケース本体102に相当する内部緩衝ケース102Cを第1実施形態のカバー190に相当するカバー190Cで覆い、内部緩衝ケース102Cの内部に電子制御装置1370を内蔵している。
【0154】
電子制御装置1370は、プラスチック製ケース内に、コントローラ制御ユニット1260と、加速度センサ1248と、近距離無線モジュール1256と、バッテリー1258とを備える。コントローラ制御ユニット1260は、加速度センサ1248で検出した加速度の検出信号を所定サイクルで、制御ユニット1210Cの近距離無線モジュール1214に送信する。
【0155】
処理の流れについては、基本的には第1実施形態と同様に実現できる。
具体的には、制御ユニット1210Cは、コイン投入口から所定のコインが投入されたらゲーム処理を開始する。ゲームが開始されると、プレーヤはボール型ゲームコントローラ1330でサッカーのリフティングをして操作入力する。
【0156】
制御ユニット1210Cは、加速度センサ1248で検出される加速度から上方向の運動による無重力状態を判定することでリフティングの回数をカウントする。そして、リフティングの回数が増加するにつれて、ビデオモニタ1220にサッカー選手姿のプレーヤキャラクタ30が、敵サッカー選手キャラクタ32をドリブルで躱して敵ゴールに向かう3DCGを生成して表示制御する。
【0157】
リフティング回数が所定基準値に達するとゴール成功の様子を表示制御してゲームクリアとなり、放り上げ(この場合、リフティング動作による上向き方向の動作)を伴わない自由落下による無重力状態とその後の落下衝撃を検出した場合には、敵サッカー選手キャラクタ32にボールが奪われる様子を生成し表示制御してゲームオーバとなる。或いは、自由落下による無重力状態とその後の落下衝撃を検出した場合には操作入力都は見なさず、所定のゲームプレイ時間が経過してもリフティングの回数が基準値に達していなければゲームオーバとしても良い。
【0158】
尚、本実施形態では、プレーヤが一人で遊ぶ形態としているが、ボール型ゲームコントローラ1330を二つ用意して、二人目のプレーヤが敵サッカー選手キャラクタ32の攻撃を同様のリフティング操作入力によって制御するとしても良い。具体的には、一人目のプレーヤのリフティングが二人目のプレーヤのリフティング回数より勝っていれば、プレーヤキャラクタ30が敵サッカー選手キャラクタ32を躱し、その逆であればボールが奪われるように制御すると良い。
また、第1実施形態の変形例は、本実施形態についても同様に適用可能である。
【0159】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態及びその変形例について述べたが、本発明の適用形態がこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜構成要素の変更・追加・省略を行うことができる。
【0160】
例えば、ゲームや遊びの内容は、上記実施形態にかぎらずRPGや、格闘ゲームなど適宜変更可能である。
【0161】
また、自由落下に伴う無重力状態の検出を、例えば、第1実施形態では転び操作の入力、第2実施形態では感情を悪化させる操作入力と言った具合に、一つの操作入力と見なす構成について説明したが、同無重力状態の判定が有った場合を操作入力と見なさない構成としても良い。
【0162】
また、上記実施形態では、予測到達相対高さに応じて種類の異なる効果音や音声を出力する時に、予測到達相対高さが高いほど大な音量で放音させる構成とすることができる。
【0163】
また、上記実施形態では、予測到達相対高さが警戒高さに到達する場合に警告に相当する音を出力する構成としたが、予測到達相対高さを算出せず、無重力状態を検出した時点の速度ベクトルが所定の値を超過する場合に警告音を放音させる構成とすることができる。
【0164】
また、上記実施形態では、予測到達相対高さが「0」以上であれば無重力状態を利用した操作入力が為された判定する構成であるが、これに判定の下限値を設けることもできる。例えば、ステップS14の前に予測到達高さの算出処理を実行し、ステップS14において予測到達相対高さが0.5m以上でないと無重力状態検出と判定しない、つまり無重力状態を利用した操作入力が為されたとは判定しないとすると良い。
【0165】
また、無重力状態を利用した操作入力が有った場合に再生される音は、効果音やキャラクタの声に限らず、予測到達相対高さ別に設定された特定音階の音(ドレミ音)としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】第1実施形態におけるコンピュータ玩具の構成例を示す構成図。
【図2】ゲームコントローラの構成例を示す外観図。
【図3】ゲームコントローラケースの構成例を示す斜視図。
【図4】ケース本体の構成例を示す図。
【図5】図4のA−A断面におけるコントローラ収容空間の断面図。
【図6】カバーの構成例を示す図。
【図7】第1実施形態におけるビデオゲームについて説明するための画面例。
【図8】無重力状態を利用した操作入力方法について説明するための概念図。
【図9】ジャンプ操作入力前後における加速度センサによる加速度検出例を示す概略図。
【図10】第1実施形態における機能構成例を示す機能ブロック図。
【図11】第1実施形態における無重力効果音データTBLのデータ構成例を示す図。
【図12】第1実施形態における処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図13】第1実施形態の変形例における無重力効果音データTBLのデータ構成例を示す図。
【図14】第1実施形態の変形例における処理の流れを説明するためのフローチャート。
【図15】第2実施形態におけるおしゃべり人形の一例の外観図。
【図16】第2実施形態における電子制御装置の構成例を示す図。
【図17】図15に於けるD−D断面図。
【図18】図15に於けるE−E断面図。
【図19】図15におけるF−F断面図。
【図20】人形本体の断面構造の変形例を示すF−F断面図。
【図21】第2実施形態における玩具の販売形態例を示す図。
【図22】第2実施形態における機能構成例を示す機能ブロック図。
【図23】第2実施形態における無重力効果音データTBLのデータ構成例を示す図。
【図24】おしゃべり人形の動作制御の流れを説明するためのフローチャート。
【図25】第3実施形態における業務用ゲーム装置の構成例を示す外観図。
【図26】第3実施形態におけるボール型ゲームコントローラの構成例をしめす断面図。
【符号の説明】
【0167】
4 ゲームキャラクタ
6 障害物
100 ゲームコントローラケース
102 ケース本体
112 コントローラ収容空間
190 カバー
200 処理部
210 ゲーム演算部
212 速度算出部
214 無重力状態検出部
216 音種類選択部
218 効果音出力制御部
500 記憶部
510 無重力効果音データTBL
512 選択条件
519 効果音データ
520 落下時効果音データ
1000 コンピュータ玩具
1100 おしゃべり人形
1130 電子制御装置
1160 コントローラ制御ユニット
1200 家庭用ゲーム装置
1201 ゲーム装置本体
1202 光ディスク
1204 メモリカード
1210 制御ユニット
1214 近距離無線モジュール
1230 ゲームコントローラ
1248 加速度センサ
1252 近距離無線モジュール
1254 スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサと、
前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて無重力状態にあることを検出する無重力検出手段と、
前記無重力検出手段の検出に応じて、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御する演出実行制御手段と、
を備えた玩具。
【請求項2】
前記無重力検出手段は、上方への運動に伴う無重力状態か、下方への運動に伴う無重力状態かを判定する無重力種類判定手段を有し、
前記演出実行制御手段は、前記無重力種類判定手段によって判定された種類に応じた演出を実行する
請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記演出実行制御手段は、前記無重力種類判定手段によって判定された種類に応じて、出力音声の種類を可変に制御して前記聴覚的演出を実行する手段を有する、
請求項2に記載の玩具。
【請求項4】
前記無重力検出手段は、前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて、無重力状態における予測到達相対高さを判定する予測到達相対高さ判定手段を有し、
前記演出実行制御手段は、前記予測到達相対高さに応じた演出を実行制御する
請求項1〜3の何れか一項に記載の玩具。
【請求項5】
前記演出実行制御手段は、前記予測到達相対高さの大きさに応じて、出力音声の種類及び/又は大きさを可変に制御して前記聴覚的演出を実行する手段を有する、
請求項4に記載の玩具。
【請求項6】
前記無重力検出手段は、前記前記予想到達相対高さに到達するタイミングを判定する到達タイミング判定手段を更に有し、
前記演出実行制御手段は、前記到達タイミング判定手段により判定されたタイミングで所定の演出を実行制御する、
請求項4又は5に記載の玩具。
【請求項7】
前記演出実行制御手段は、前記予測到達相対高さが所定の危険高さ条件を満たす場合に所定の警告演出を発動させる制御を行う、
請求項4〜6の何れか一項に記載の玩具。
【請求項8】
前記無重力検出手段の検出後に、前記加速度センサによって検出された加速度値に基づいて前記無重力状態から復帰したことを検出する復帰検出手段と、
前記復帰検出手段の検出に応じて、視覚的演出及び/又は聴覚的演出の実行を制御する復帰時演出実行制御手段と、
を備えた請求項1〜7の何れか一項に記載の玩具。
【請求項9】
前記無重力検出手段は、前記加速度センサによって検出された加速度値が所定の規定時間の間、継続して所定の無重力状態条件を満足したことをもって無重力状態にあると検出する、
請求項1〜8の何れか一項に記載の玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2009−207633(P2009−207633A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52594(P2008−52594)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】