説明

玩具

【課題】 意外性のある変化に富んだ玩具を提供する。
【解決手段】 玩具本体20には操作部50が設けられており、操作部50による操作で第1の操作を行うと、解除手段52が第1の保持手段29の解除と第2の保持手段29の解除とを異なる時期に実行する。また第2の操作を行うと、第1の保持手段29の解除および第2の保持手段29の解除を略同時に行う。このため、操作部50の操作により、異なる変化を行うので、意外性のある変化に富んだ玩具10を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玩具の一部が展開する玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の玩具で、一部が展開し、内部に収容物を収容することができるものが知られている。
【0003】
例えば、玩具として特許文献1に記載の人形体では、中空に形成された胴体部の一部に開口を設け、その開口の内部に収納ボックスを設けた。収納ボックスは、収納されてロック手段により係止されるが、人形体の腕等の可動部を動かすことにより係止が解除されて、付勢手段により収納物を胴体部の外側へ突出される。
【0004】
これにより、人形体で遊んでいる者は、収納ボックスに収納されている例えばヘアブラシや、櫛等を取り出して人形体の髪を梳いたり、髪飾りを付けたりして遊ぶことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−118340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述したような従来の玩具においては、収納ボックスが胴体部から突出するため、人形体で遊ぶ際に必要な小道具を収納するには便利であるが、収納ボックスの突出は収納している小道具を取り出すという意味しか無く、意外性のある変化を求める玩具としては,変化に乏しいという改善の余地があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、意外性のある変化に富んだ玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の玩具は、玩具本体と、玩具本体に設けられた、第1および第2の開口と、前記第1および第2の開口によって玩具本体の外部と連通した収容空間と、前記第1の開口に設けられ当該第1の開口を閉鎖する閉鎖状態と第1の開口を開放する開放状態を取り得る第1の閉鎖部材と、前記第2の開口に設けられ当該第2の開口を閉鎖する閉鎖状態と第2の開口を開放する開放状態を取り得る第2の閉鎖部材と、前記第1の開口に設けられ、前記第1の閉鎖部材を開放状態へと付勢する第1の付勢手段と、前記第2の開口に設けられ、前記第2の閉鎖部材を開放状態へと付勢する第2の付勢手段と、前記第1の開口に設けられ、前記第1の付勢手段による付勢に抗して前記第1の閉鎖部材を閉鎖状態に保持する第1の保持手段と、前記第2の開口に設けられ、前記第2の付勢手段による付勢に抗して前記第2の閉鎖部材を閉鎖状態に保持する第2の保持手段と、操作部と、前記操作部に対する操作に応じて前記第1の保持手段による保持および第2の保持手段による保持を解除する解除手段と、を有し、前記解除手段は、前記操作部において第1の操作を行ったときは前記第1の保持手段による保持と前記第2の保持手段による保持とを異なる時期に解除し、第2の操作を行ったときは前記第1の保持手段による保持および第2の保持手段による保持を略同時に解除可能である構成を有している。
【0009】
なお、第1の開口と第2の開口については、物理的に離間された個別の開口となっていても良いし、互いの少なくとも一部が連結して1つの開口を形成していても良い。その場合、当該1つの開口のうち、第1の閉鎖部材によって閉鎖状態、開放状態を取りうる部分が第1の開口に相当し、第2の閉鎖部材によって閉鎖状態、開放状態を取りうる部分が第2の開口に相当することになる。
【0010】
また、本発明の玩具は、前記第1の閉鎖部材は第1の被係合部を有し、かつ、前記第1の保持手段は第1の係合部を有し、前記第1の保持手段は、前記第1の係合部が前記第1の閉鎖部材の第1の被係合部と係合することにより前記第1の閉鎖部材を閉鎖状態に保持可能であり、前記第2の閉鎖部材は第2の被係合部を有し、かつ、前記第2の保持手段は第2の係合部を有し、前記第2の保持手段は、前記第2の係合部が前記第2の閉鎖部材の第2の被係合部と係合することにより前記第2の閉鎖部材を閉鎖状態に保持可能である構成としても良い。
【0011】
また、本発明の玩具は、前記第1の保持手段の第1の係合部を、前記第1の閉鎖部材の第1の被係合部との係合が解除される方向へ移動させる第1の動作部材と、前記第2の保持手段の第2の係合部を、前記第2の閉鎖部材の第2の被係合部との係合が解除される方向へ移動させる第2の動作部材と、が設けられており、前記操作部の操作によって前記第1の動作部材が前記玩具本体に対して初期位置から動作位置に移動することにより前記第1の係合部が移動し、 前記操作部の操作によって前記第2の動作部材が前記玩具本体に対して初期位置から動作位置に移動することにより前記第2の係合部が移動する構成としても良い。
【0012】
また、本発明の玩具は、前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へと回転させる操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の第2の方向へと回転させる操作である構成としても良い。
【0013】
また、本発明の玩具は、前記解除手段は、前記操作部の回転に伴って回転するカム部材を有し、当該カム部材は前記第1の動作部材および第2の動作部材と当接しており、前記第1の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第1カム部と、第2の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第2カム部とが設けられており、前記第1カム部と前記第2カム部との前記カム部材上の距離は、前記第1の動作部材が前記カム部材に当接している第1当接位置と前記第2の動作部材が前記カム部材に当接している第2当接位置の前記カム部材上の距離とは異なる構成としても良い。
【0014】
また、本発明の玩具は、前記カム部材には、前記第1の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第3カム部と、前記第2の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第4カム部とが設けられており、前記第3カム部と前記第4カム部との前記カム部材上の距離は、前記第1の動作部材が前記カム部材に当接している第1当接位置と前記第2の動作部材が前記カム部材に当接している第2当接位置の前記カム部材上の距離に等しい構成としても良い。
【0015】
また、本発明の玩具は、前記第1の動作部材および前記第2の動作部材がいずれも前記初期位置にある状態から前記操作部を前記第1の方向に回転したとき、前記第1カム部は前記第3カム部が前記第1の動作部材を動かすより前に前記第1の動作部材を動かし、かつ、前記第2カム部は前記第4カム部が前記第2の動作部材を動かすより前に前記第2の動作部材を動かす構成としても良い。
【0016】
また、本発明の玩具は、前記第1の動作部材および前記第2の動作部材がいずれも前記初期位置にある状態から前記操作部を前記第2の方向に回転したとき、前記第3カム部は前記第1カム部が前記第1の動作部材を動かすより前に前記第1の動作部材を動かし、かつ、前記第4カム部は前記第2カム部が前記第2の動作部材を動かすより前に前記第2の動作部材を動かし、かつ、前記第3カム部と前記第4カム部は前記第1の動作部材と前記第2の動作部材を略同時に動かす構成としても良い。
【0017】
また、本発明の玩具は、前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へ動かす操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の方向へ動かす操作である構成としても良い。
【0018】
また、本発明の玩具は、前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へと回転させる操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の方向へと回転させる操作である構成としても良い。
【0019】
また、本発明の玩具は、前記収容空間に収容可能な収容部材を有する構成としても良い。
【0020】
また、本発明の玩具は、前記収容部材には演出手段が設けられており、当該演出手段は、前記第1の閉鎖部材または前記第2の閉鎖部材が開放状態になったことに応じて演出を実行する構成としても良い。
【0021】
また、本発明の玩具は、前記演出手段は、前記収容部材の表面に対して近接する位置と離間する位置との間で可動可能な可動部材と、前記可動部材を前記収容部材の表面から離間する方向へと付勢する弾性部材とからなり、前記可動部材は、前記第1および/または第2の閉鎖部材が閉鎖状態のとき、当該第1および/または第2の閉鎖部材に当接することにより、弾性部材に抗して前記収容部材の表面に近接する方向へと動き、前記第1および/または第2の閉鎖部材が開放状態となったとき、前記弾性部材の弾性により前記収容部材の表面から離間する方向へと動く構成としても良い。
【0022】
また、本発明の玩具は、前記演出手段は発光部と押圧スイッチとを有し、前記押圧スイッチは、前記収容部材の表面から突出したオン状態と表面に対して押し下げられたオフ状態との間で遷移可能であり、前記第1および/または第2の閉鎖部材が閉鎖状態のとき、当該第1および/または第2の閉鎖部材に当接することにより前記収容部材の表面に対して押し下げられることによりオフ状態となり、前記第1および/または第2の閉鎖部材が開放状態となったとき、前記収容部材の表面から突出してオン状態となるものであり、前記発光部は、前記押圧スイッチがオフ状態のとき発光待機状態となり、前記押圧スイッチがオフ状態からオン状態になったとき発光状態となる構成としても良い。
【0023】
また、本発明の玩具は、前記収容部材は少なくとも第1の収容部材と第2の収容部材を含んでいる構成としても良い。
【0024】
また、本発明の玩具は、前記収容空間は、前記第1の開口により玩具本体の外部と連通する第1の収容空間と、前記第2の開口により玩具本体の外部と連通する第2の収容空間と、からなり、前記第1の収容部材は前記第1の収容空間に収容可能であり、前記第2の収容部材は、前記第2の収容空間に収容可能である構成としても良い。
【0025】
また、本発明の玩具は、前記第1の収容部材および第2の収容部材は互いに結合することにより、人形、動物、自動車等を模した形象物の少なくとも一部を構成する構成としても良い。
【0026】
また、本発明の玩具は、玩具本体は、操作部が設けられた中心部材と、当該中心部材と接続可能な周辺部材とからなり、少なくとも前記第1の開口は前記周辺部材に設けられている構成としても良い。
【0027】
また、本発明の玩具は、前記第1の動作部材は、前記中心部材側に存在する中心側部分と、前記周辺部材側に存在する周辺側部分とからなり、当該中心側部分と周辺側部分は前記中心部材と前記周辺部材が接続されたとき連動可能となる構成としても良い。
【0028】
また、本発明の玩具は、前記中心側部分は、前記中心部材と前記周辺部材が接続されたとき前記周辺側部分と当接することにより、前記周辺側部分と連動可能となる構成としても良い。
【0029】
さらに、本発明の玩具は、玩具本体は胴体部と肢部を有する人形または動物を模した形状に形成されており、前記中心部材は前記胴体部を形成しており、前記周辺部材は前記肢部を形成する構成としても良い。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係る玩具によれば、操作部の操作によって異なる変化を実行できるので、意外性のある変化に富んだ玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明にかかる実施形態の玩具の閉鎖状態における正面図である。
【図2】本発明にかかる実施形態の玩具の閉鎖状態における背面図である。
【図3】本発明にかかる実施形態の玩具の展開状態の一例を示す斜視図である。
【図4】胴体部の斜視図である。
【図5】胴体部の開放状態を示す斜視図である。
【図6】(A)胴体部の開放状態を示す斜視図であり、(B)はヒンジ部の構成を示す拡大図である。
【図7】右腕部の開放状態を示す斜視図である。
【図8】左腕部の開放状態を示す斜視図である。
【図9】(A)は右腕部の開放状態を示す斜視図であり、(B)はヒンジ部の構成を示す拡大図である。
【図10】右脚部の開放状態を示す斜視図である。
【図11】左脚部の開放状態を示す斜視図である。
【図12】(A)は右脚部の開放状態を示す斜視図であり、(B)はヒンジ部の構成を示す拡大図である。
【図13】解除手段の構成図である。
【図14】右腕動作部材と胴体部動作部材の動作を説明する図である。
【図15】脚動作部材の動作を説明する図である。
【図16】左脚動作部材とカム板との関係を示す説明図である。
【図17】左腕動作部材とカム板との関係を示す説明図である。
【図18】胴体部動作部材とカム板との関係を示す説明図である。
【図19】右腕部動作部材とカム板との関係を示す説明図である。
【図20】右脚部動作部材とカム板との関係を示す説明図である。
【図21】収容部材の一例を収容した状態の斜視図である。
【図22】収容部材の一例を収容して扉27が開放状態にある場合の斜視図である。
【図23】収容部材の一例を互いに結合させたものの斜視図である。
【図24】収容部材の別例を収容して扉27を開放状態にある場合の斜視図である。
【図25】収容部材の別例を収容した状態を示す斜視図である。
【図26】収容部材の別例を互いに結合させたものの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1および図2に示すように、本発明にかかる実施形態の玩具10は、中心部材である胴体部21、および胴体部21に可動状態で取り付けられる周辺部材である肢部として左右一対の腕部22(22L、22R)および左右一対の脚部23(23L、23R)、胴体部21の上に取り付けられる頭部24から構成される玩具本体20を有する。
【0034】
左右の腕部22L、22Rおよび左右の脚部23L、23Rは、胴体部21の左右側面および底面に設けた各部保持部30によって、着脱可能かつ回転可能に保持される(図4参照)。
【0035】
胴体部21の背面には、操作部50を構成する回転つまみ51が回転自在に取り付けられている。この回転つまみ51は、後述する保持手段29による保持を解除する解除手段52に接続されている。
【0036】
図3に示すように、腕部22,脚部23,胴体部21は、いずれも開口25と、開口25によって玩具本体20の外部と連通した収容空間26と、開口25に設けられてこの開口25を閉鎖する閉鎖状態および開口25を開放する開放状態を取り得る閉鎖部材である扉27を有する。
【0037】
図5は開放状態の胴体部21の斜視図、図6(A)は胴体部の開放状態を示す斜視図であり、(B)はヒンジ部の構成を示す拡大図が示してある。
【0038】
図5および図6に示すように、胴体部本体211の前面下部の2カ所に、軸受け部212が玩具本体20の前側へ突出して設けられている。扉27には、胴体部本体211の軸受け部212に対応して,下端部に軸受け部271が突出して設けられている。両軸受け部212,271は互いに相手を挟むように配置され、両軸受け部212,271を貫通して回転軸31が取り付けられている。また、回転軸31には、常時、扉27を開く方向(開放状態)へ付勢する付勢手段であるバネ28が取り付けられている。
【0039】
従って、扉27は、玩具本体20の前側へ突出する方向(開放状態に向かう方向)に常時付勢されている。
【0040】
胴体部本体211の上壁213の前面には、バネ28の付勢力に抗して扉27を閉鎖状態に保持する保持手段29を構成する係合部である係合爪214が設けられている。係合爪214は、常時、バネ等の付勢手段(図示省略)により、係合方向(図中A方向)へ付勢されているが、扉27を閉じる方向(閉鎖状態となる方向)へと向かわせて、扉27の上端面にて同じく保持手段29を構成している被係合部272と当接することにより、付勢手段による付勢に抗して解放方向(図中B方向)へ移動可能となっている。また、係合爪214は、被係合部272が係合爪214を乗り越えたとき、付勢手段により係合方向へと再び移動し、被係合部272と係合する。従って、扉27を閉じる(閉鎖状態にする)ことにより、係合爪214と被係合部272は自動的に係合状態となり、扉27は閉鎖状態に保持される。
【0041】
また、詳細は後述するが、係合爪214は、胴体部動作部材553により解放方向へと移動させることが可能である。、
【0042】
一方、前述したとおり、扉27の上端面には、保持手段29を構成する被係合部272が設けられている。被係合部272は、胴体部本体211の係合爪214と係合して係合状態となることにより、扉27を閉鎖状態に保持する。
【0043】
また、被係合部272と係合爪214とが係合した閉鎖状態の時に、胴体部動作部材553が係合爪214を図中B方向(解放方向)へ移動させると、被係合部272は係合爪214との係合状態から解放される。すなわち、扉27の、係合爪214および被係合部272(すなわち、保持手段29)による保持が解除されるので、扉27は、バネ28の付勢力により前方へ開いて、開放状態となる。
【0044】
図7は右腕部22Rの構成図、図8は左腕部22Lの構成図、図9は右腕部22Rの概略構成図が示してある。なお、左右の腕部22において共通の構成を有するので、右腕22Rについて説明する。
【0045】
図7および図9に示すように、腕部本体221の前面上部および下部の2カ所に、軸受け部222が玩具本体20の外側へ突出して設けられている。扉27には、腕部本体221の軸受け部222に対応して,上部および下部に軸受け部271が突出して設けられている。両軸受け部222,271は、互いに相手を挟むように配置され、両軸受け部222,271を貫通して回転軸31が取り付けられている。
【0046】
また、回転軸31には、常時、扉27を開く方向(開放状態)へ付勢する付勢手段であるバネ28が取り付けられている。
【0047】
従って、扉27は、玩具本体20の外側へ突出する方向(開放状態に向かう方向)に常時付勢されている。
【0048】
腕部本体221の側壁223の前面には、バネ28の付勢力に抗して扉27を閉鎖状態に保持する保持手段29を構成する係合部である係合爪224が設けられている。係合爪224は、常時、バネ等の付勢手段(図示省略)により、係合方向(図中A方向)へ付勢されているが、扉27を閉じる方向(閉鎖状態となる方向)へと向かわせて、扉27の端面にて同じく保持手段29を構成している被係合部272と当接することにより、付勢手段による付勢に効して解放方向(図中B方向)へ移動可能となっている。また、係合爪224は、被係合部272が係合爪224を乗り越えたとき、付勢手段により係合方向へと再び移動し、被係合部272と係合する。従って、扉27を閉じる(閉鎖状態にする)ことにより、係合爪224と被係合部272は自動的に係合状態となり、扉27は閉鎖状態に保持される。
【0049】
また、詳細は後述するが、係合爪224は、腕動作部材552,554により解放方向へ移動させることが可能である。
【0050】
一方、前述したとおり、扉27の端面には、保持手段29を構成する被係合部272が設けられている。被係合部272は、腕部本体221の係合爪224と係合して係合状態となることにより、扉27を閉鎖状態に保持する。
【0051】
また、被係合部272と係合爪224とがに係合した閉鎖状態の時に、腕動作部材552,554の周辺側部分552B、554Bが係合爪224を図中B方向(解放方向)へ移動させると、被係合部272は係合爪224との係合状態から開放される。すなわち、扉27の、係合爪224および被係合部272(すなわち、保持手段29)による保持が解除されるので、扉27は、バネ28の付勢力により外側へ開いて、開放状態となる。
【0052】
図10は右脚部23Rの開放状態における斜視図、図11は左脚部23Lの開放状態における斜視図、図12(A)は右脚部22Rの斜視図であり(B)はヒンジ部の拡大図が示してある。
【0053】
なお、左右の脚部23L、23Rにおいて共通の構成を有するので、右脚23Rについて説明する。
【0054】
図10および図12に示すように、脚部本体231の前面上部および下部の2カ所に、軸受け部232が玩具本体20の外側へ突出して設けられている。扉27には、脚部本体231の軸受け部232に対応して,上部および下部に軸受け部271が突出して設けられている。両軸受け部232,271は、互いに相手を挟むように配置され、両軸受け部232,271を貫通して回転軸31が取り付けられている。
【0055】
また、回転軸31には、常時、扉27を開く方向(開放状態)へ付勢する付勢手段であるバネ28が取り付けられている。
【0056】
従って、扉27は、玩具本体20の外側へ突出する方向(開放状態に向かう方向)に常時付勢されている。
【0057】
脚部本体231の上壁233の前面には、バネ28の付勢力に抗して扉27を閉鎖状態に保持する保持手段29を構成する係合部である係合爪234が設けられている。係合爪234は、常時、バネ等の付勢手段(図示省略)により、係合方向(図中A方向)へ付勢されているが、扉27を閉じる方向(閉鎖状態となる方向)へと向かわせて、扉27の上端面にて同じく保持手段29を構成している被係合部272と当接することにより、付勢手段による付勢に抗して解放方向(図中B方向)へ移動可能となっている。また、係合爪234は、被係合部272が係合爪234を乗り越えたとき、付勢手段により係合方向へと再び移動し、被係合部272と係合する。従って、扉27を閉じる(閉鎖状態にする)ことにより、係合爪234と被係合部272は自動的に係合状態となり、扉27は閉鎖状態に保持される。
【0058】
また、詳細は後述するが、係合爪234は、脚動作部材551,555により解放方向へと移動させることが可能である。
【0059】
一方、前述したとおり、扉27の上端面には、保持手段29を構成する被係合部272が設けられている。被係合部272は、脚部本体231の係合爪234と係合して係合状態となることにより、扉27を閉鎖状態に保持する。
【0060】
また、被係合部272と係合爪234とが係合した閉鎖状態の時に、腕動作部材551,555の周辺側部分551B、555Bが係合爪234を図中B方向へ移動させると、被係合部272は係合爪234との係合状態から開放される。すなわち、扉27の、係合爪234および被係合部272(すなわち、保持手段29)による保持が解除されるので、バネ28の付勢力により外側へ開いて、開放状態となる。
【0061】
次に、保持手段29による扉27の保持を解除する解除手段52について詳細に説明する。
【0062】
図13および図16に示すように、胴体部21の内部には、回転軸53が回転自在に設けられており、回転軸53の後端は胴体部21から背後に突出して回転つまみ51が取り付けられ、回転つまみ51を回すことにより、回転軸53を回転させる。回転軸53は、玩具10の背後から見て時計方向(CW1)および反時計方向(CW2)に回転可能である。
【0063】
また、回転軸53にはスペーサ531を介して複数枚のカム部材54が積層されて一体的に取り付けられており、当該複数枚のカム部材54は、回転軸53の回転とともに回転可能である。また、複数枚のカム部材54はそれぞれ、解除手段52を構成する複数個の動作部材55のうちの1つと対応している。
【0064】
さて、動作部材55は、胴体部動作部材553,左腕動作部材552,右腕動作部材554,左脚動作部材551,右脚動作部材555により構成されている。胴体部動作部材553は、動作杆553Aと動作杆553Aとと右折する周辺側伝達部材553Eとから構成され、胴体部21の係合爪214を解放方向へと移動させ、被係合部272を係合状態から開放し、保持手段29(係合爪214および被係合部272)による扉27の閉鎖状態での保持を解除する部材である。
【0065】
左腕動作部材552,右腕動作部材554,左脚動作部材551,右脚動作部材555は、各々、中心部材である胴体部21に含まれる動作杆552A、554A,551A,555Aおよび中心側伝達部材552B、554B,551B,555B、並びに、周辺部材である腕部22および脚部23に含まれる周辺側伝達部材552E、554E、551E(不図示)、555Eとから構成されている。また、左腕動作部材552,右腕動作部材554,左脚動作部材551,右脚動作部材555は、各々、左腕22Lの係合爪224,右腕22Rの係合爪224,左脚23Lの係合爪234,右脚23Rの係合爪234を解放方向へと移動させ、被係合部272を係合状態から開放し、保持手段29により扉27の閉鎖状態での保持を解除する部材である。
【0066】
なお、動作杆551A、552A、554A、555Aおよび中心側伝達部材551B、552B、554B、555Bと、周辺側伝達部材551E、552E、554E、555Eとは、それぞれ中心部材である胴体部21、周辺部材である腕部22または脚部23に設けられているため、腕部22や脚部23を胴体部21から分離することにより、互いに分離可能である。また、腕部22や脚部23を胴体部21に取り付けたとき(接続したとき)には、中心側伝達部材551B、552B、554B、555Bと、周辺側伝達部材551E、552E、554E、555Eとは当接し(図13、図14、図15に示す状態)、両部材は連動可能となる。
【0067】
図14は、左腕動作部材552と胴体部動作部材553の動作を説明する図である。なお、右腕動作部材554については、左腕動作部材552と同様の動作であるため説明を省略する。
【0068】
左腕動作部材552の動作について説明すると、まず、左腕動作部材552に対応するカム部材54が、左腕動作部材552を構成する動作杆552Aに当接して、動作杆552Aを胴体部21外方へ向けて移動させる(すなわち、初期位置から動作位置に移動させる)。次に、動作杆552Aと当接する従動部材552Cが軸552Dを中心に回転する。このことにより、中心側伝達部材552Bが外側に移動し(すなわち、初期位置から動作位置に移動し)、これと当接する周辺側伝達部材552Eが軸552Fを中心に回転する(すなわち、初期位置から動作位置に移動する)ため、係合爪224は解放方向へと移動させられる。すなわち、右腕動作部材552を構成する動作杆552A、中心側伝達部材552B、周辺側伝達部材552Eがそれぞれ初期位置から動作位置へと移動することにより、係合爪224は解放方向へと移動させられるので、係合爪224と被係合部272の係合状態が解除され、扉27の閉鎖状態での保持が解除されることになる。
【0069】
次に、胴体部動作部材553の動作について説明すると、まず、胴体部動作部材553に対応するカム部材54が、胴体部動作部材553を構成する動作杆553に当接して、動作杆553を胴体部21外方へ向けて移動させる(すなわち、初期位置から動作位置に移動させる)。すると、動作杆553と当接する周辺側伝達部材553Eが軸553Fを中心に回転する(すなわち、初期位置から動作位置に移動する)ため、係合爪214は解放方向へと移動させられる。すなわち、胴体部動作部材553を構成する動作杆553A、周辺側伝達部材553Eが初期位置から動作位置に移動することにより、係合爪214は解放方向へと移動させられるので、係合爪214と被係合部272の係合状態が解除され、扉27の閉鎖状態での保持が解除されることになる。
【0070】
図15は、右脚動作部材555の動作を説明する図である。なお、左脚動作部材551は、右脚動作部材555と同様の動作であるため説明を省略する。
【0071】
右脚動作部材555の動作について説明すると、まず、右脚動作部材554に対応するカム部材54が、右脚動作部材555を構成する動作杆555Aに当接して、動作杆555Aを胴体部21外方に向けて移動させる(すなわち、初期位置から動作位置に移動させる)。次に、動作杆555Aと当接する従動部材555Cが軸555Dを中心に回転する。このことにより、中心側伝達部材555Bが胴体部21外方に向けて移動し(すなわち、初期位置から動作位置に移動し)、これと当接する周辺側伝達部材555Eが軸555Fを中心に回転するため、係合爪234は解放方向へと移動させられる。すなわち、右脚動作部材555を構成する動作杆555A、中心側伝達部材555B、周辺側伝達部材555Eがそれぞれ初期位置から動作位置へと移動することにより、係合爪234は解放方向へと移動させられるので、係合爪234と被係合部272の係合状態が解除され、扉27の閉鎖状態での保持が解除される。
【0072】
図13および図16に示すように、各動作部材55の動作杆551A、552A、553A、554A、555Aは、各々別個の対応するカム部材54に当接しており、前述したとおり、初期位置から、被係合部を係合爪との係合状態から解放し、結果として扉27の閉鎖状態での保持を解除する動作位置へと移動する。
【0073】
なお、動作杆551A、552A、553A、554A、555Aは、常時、付勢手段であるバネ(図示省略)により初期位置側へ付勢されており、カム部材54のオフ領域54C(低い領域、図16参照)では、初期位置に復帰する。
【0074】
図16に示すように、左脚の扉27の保持を解除するための左脚動作部材551を移動させるカム板541は、図に示す基準位置(左脚動作部材551が存在する位置)に対して、時計方向CW1に角度θ1だけ回転させると、左脚動作部材551を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部541Aを有し、反時計方向CW2に角度φ1だけ回転させると、左脚動作部材551を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部541Bを有する。
【0075】
ここでは、例えばθ1=45°、φ1=175°とすることができる。
【0076】
図17に示すように、左腕の扉27の保持を解除するための左腕動作部材552を移動させるカム板542は、図に示す基準位置(左腕動作部材552が存在する位置)に対して、時計方向CW1に角度θ2だけ回転させると、左腕動作部材552を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部542Aを有し、反時計方向CW2に角度φ2だけ回転させると、左腕動作部材552を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部542Bを有する。
【0077】
ここでは、例えばθ2=45°、φ2=45°とすることができる。
【0078】
図18に示すように、胴体部21の扉27の保持を解除するための胴体部動作部材553を移動させるカム板543は、図に示す基準位置(胴体部動作部材553が存在する位置)に対して、時計方向CW1に角度θ3だけ回転させると、胴体部動作部材553を動作させる(胴体部21外方に向けて移動させる、すなわち、初期位置から動作位置に移動させる)カム部543Aを有し、反時計方向CW2に角度φ3だけ回転させると、胴体部動作部材553を動作させる(胴体部21外方に向けて移動させる、すなわち、初期位置から動作位置に移動させる)カム部543Bを有する。
【0079】
ここでは、例えばθ3=45°、φ3=285°とすることができる。
【0080】
図19に示すように、右腕の扉27の保持を解除するための右腕動作部材554を移動させるカム板544は、図に示す基準位置(右腕動作部材554が存在する位置)に対して、時計方向CW1に角度θ4だけ回転させると、右腕動作部材554を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部544Aを有し、反時計方向CW2に角度φ4だけ回転させると、右腕動作部材554を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部544Bを有する。
【0081】
ここでは、例えばθ4=45°、φ4=105°とすることができる。
【0082】
図20に示すように、右脚の扉27の保持を解除するための右脚動作部材555を移動させるカム板545は、図に示す基準位置(右脚動作部材555が存在する位置)に対して、時計方向CW1に角度θ5だけ回転させると、右脚動作部材555を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部545Aを有し、反時計方向CW2に角度φ5だけ回転させると、右脚動作部材555を動作させる(初期位置から動作位置に移動させる)カム部545Bを有する。
【0083】
ここでは、例えばθ5=45°、φ5=225°とすることができる。
【0084】
以下では、図20に示すように、例えば、右腕動作部材554を本発明にいう第1の動作部材とし、右脚動作部材555を本発明にいう第2の動作部材とした場合の動作について説明する。なお、他の動作部材55についても同様に考えられる。
【0085】
第1の動作部材としての右腕動作部材554を初期位置から動作位置へと動かすカム板544は、時計方向CW1に回転した際に右腕動作部材554を動作させる第1カム部であるカム部544Bと、反時計方向CW2に回転した際に右腕動作部材554を動作させる第3カム部544Aを有する。
【0086】
また、第2の動作部材としての右脚動作部材555を初期位置から動作位置へと動かすカム板545は、時計方向CW1に回転した際に右脚動作部材555を動作させる第2カム部であるカム部545Bと、反時計方向CW2に回転した際に右脚動作部材555を動作させる第4カム部545Aを有する。
【0087】
まず、操作部50について第1の操作を行った場合、すなわち、回転つまみ51を第1の方向である時計方向CW1へ回転させた場合について説明する。
【0088】
本実施例においては、カム部材54を時計方向CW1に回転させた場合における第1カム部であるカム部544Bと第2カム部であるカム部545Bとのカム部材上の距離L1は、第1の動作部材である右腕動作部材554がカム板544に当接している第1当接位置P1と第2の動作部材である右脚動作部材555がカム板545に当接している第2当接位置P2のカム部材上の距離L2とは異なるように構成している。すなわち、L1≠L2である。
【0089】
従って、カム部材54を時計方向CW1に回転させた場合(つまり、操作部50である回転つまみ51について第1の操作を行った場合(第1の方向へと回転させた場合))には、右腕動作部材554が動作する時期と、右脚動作部材555が動作する時期は、ずれる(すなわち、異なる)ことになる。
【0090】
一方、操作部50について第2の操作を行った場合、すなわち、回転つまみ51を第2の方向である反時計方向CW2へ回転させた場合について説明する。
【0091】
本実施例においては、カム部材54を反時計方向CW2に回転させた場合における第3カム部であるカム部544Aと第4カム部であるカム部545Aとのカム部材上の距離L3は、第1当接位置P1と第2当接位置P2のカム部材上の距離L2とは同じとなる様に構成している。すなわち、L3=L2である。
【0092】
従って、カム部材54を反時計方向CW2に回転させた場合(つまり、操作部50である回転つまみ51について第2の操作を行った場合(第2の方向へと回転させた場合))には、右腕動作部材554が動作する時期と、右脚動作部材555が動作する時期とは、同時になる。
【0093】
また、第1の動作部材である右腕動作部材554および第2の動作部材である右脚動作部材555がいずれも初期位置にある状態から、回転つまみ51を第1の方向である時計方向CW1に回転したときには、第1カム部であるカム部544Bは、第3カム部であるカム部544Aが右腕動作部材554を動かすより前に右腕動作部材554を動かし、また、第2カム部であるカム部545Bは、第4カム部であるカム部545Aが右脚動作部材555を動かすより前に右脚動作部材555を動かす。なぜならば、(360°−θ4)>φ4、(360°−θ5)>φ5となるように構成しているからである。
【0094】
また、第1の動作部材である右腕動作部材554および第2の動作部材である右脚動作部材555がいずれも初期位置にある状態から、回転つまみ51を第2の方向である反時計方向CW2に回転したときには、第3カム部であるカム部544Aは、第1カム部であるカム部544Bが右腕動作部材554を動かすより前に右腕動作部材554を動かし、また、第4カム部であるカム部545Aは、第2カム部であるカム部545Bが右脚動作部材555を動かすより前に右脚動作部材555を動かす。なぜならば、(360°−φ4)>θ4、(360°−φ5)>θ5となるように構成しているからである。
【0095】
また、前述したように、第3カム部であるカム部544Aと第4カム部であるカム部545Aは、右腕動作部材554と右脚動作部材555を略同時に動かす。
【0096】
なお、以上においては、右腕動作部材554を本発明にいう第1の動作部材とし、右脚動作部材555を本発明にいう第2の動作部材とした場合の動作についてのみ説明したが、本実施例においては、左脚動作部材551、左腕動作部材552、胴体部動作部材553、右腕動作部材554、右脚動作部材555のうち、いずれを本発明にいう第1の動作部材、第2の動作部材としたとしても、第1カム部、第2カム部、第3カム部、第4カム部としてそれぞれ適切なカム部を当てはめれば、同様の動作となることは容易に理解されるであろう。
【0097】
以上を前提として、操作部50である回転つまみ51を回転させときの玩具10における動作について説明する。
【0098】
まず、回転つまみ51を反時計方向CW2に45°回転させると(第2の操作を行うと、つまり、第2の方向へと回転させると)、θi=45°(i=1〜5)であるため、全ての動作部材55がカム部材54により略同時に初期位置から動作位置へ移動する。これにより、胴体部21,腕部22,脚部23の全てにおいて、胴体部動作部材553、左腕動作部材552、右腕動作部材554、左脚動作部材551、右脚動作部材555が、それぞれ、係合爪214,224,224,234,234を解放方向へ移動させるので、胴体部21,腕部22,脚部23の全ての扉27の閉鎖状態での保持が略同時に解除される。そのため、全ての扉27が略同時に展開する(開放状態となる)ことになる。
【0099】
一方、回転つまみ51を時計方向CW1に45°回転させると(第1の操作を行うと、つまり、第1の方向へと回転させると)、φ2=45°であり、φ2<φ4<φ1<φ5<φ3であるため、他の動作部材よりも先に、まず左腕動作部材552がカム板542のカム部542Bにより、動作位置へ移動するので、左腕22Lの扉27が展開する(開放状態となる)。
【0100】
さらに、回転つまみ51を時計方向CW1に60°回転させると、φ4=105°であり、φ4<φ1<φ5<φ3であるため、左脚動作部材551、右脚動作部材555、胴体部動作部材553よりも先に、右腕動作部材554がカム板544のカム部544Bにより、動作位置へ移動するので、右腕22Rの扉27が展開する(開放状態となる)。
【0101】
さらに、回転つまみ51を時計方向CW1に70°回転させると、φ1=175°であり、φ1<φ5<φ3であるため、右脚動作部材555、胴体部動作部材553よりも先に、左脚動作部材551がカム板541のカム部541Bにより、動作位置へ移動するので、左脚23Lの扉27が展開する(開放状態となる)。
【0102】
さらに、回転つまみ51を時計方向CW1に50°回転させると、φ5=225°であり、φ5<φ3であるため、胴体部動作部材553よりも先に、右脚動作部材555がカム板545のカム部545Bにより、動作位置へ移動するので、右脚23Rが展開する。
【0103】
さらに、回転つまみ51を時計方向CW1に60°回転させると、胴体部動作部材553がカム板543のカム部543Bにより、動作位置へ移動するので、胴体部21の扉27が展開する(開放状態となる)。
【0104】
すなわち、回転つまみ51を時計方向CW1に回転させた場合(第1の操作を行った場合、第1の方向に回転する操作を行った場合)には、左腕、右腕、左脚、右脚、胴体部の各部の扉27が時期をずらして(すなわち、異なる時期、タイミングで)順次展開する(開放状態となる)。
【0105】
また、胴体部21,腕部22、脚部23の収容空間26には、種々の収容部材40が収容可能である。
【0106】
図21に示すように、例えば、胴体部21の収容空間26にはパトカー41のボディ、腕部22および脚部23の収容空間26にはそれぞれパトカー41の車輪42(マシンガンが形成されている)が設けられた車輪部が収容可能である。なお、図21においては扉27は省略している。
【0107】
このように、収容空間26にボディ、車輪部を収容して扉27を閉鎖状態とし、その後、回転つまみ51を前述したように回転操作すると、扉27が開放状態となって、収容空間26に収容されたパトカー41のボディやマシンガンが形成された車輪42が玩具10の表面に露出する(図22参照)ので、玩具の形態を、扉27が閉鎖状態にあるときからは想定し難いものへと変化させることができる。
【0108】
また、パトカー41のボディに演出手段として発光部(パトランプ411)や発音装置を設け、扉27が開放状態になったことに応じて、サイレンが鳴りながらパトランプ411が点滅するような演出が行われるようしてもよい。
【0109】
この場合、パトカー41のボディには、前述の演出の実行スイッチとなる押圧スイッチ412を設けておく。押圧スイッチ412は、パトカー41のボディの表面から突出したオン状態と、表面に対して押し下げられたオフ状態との間で遷移可能とする。また、胴体部21の扉27は、閉鎖状態へと向かう途中において、突出したオン状態の押圧スイッチ412と当接し、ボディ表面に対して押し下げ、閉鎖状態となったときには、オフ状態のまま保持することができるようにする。
【0110】
すると、扉27が閉鎖状態のとき、扉27に当接することにより押圧スイッチ412は押し下げられてオフ状態となる。そして、扉27が開放状態となったとき、押圧スイッチ412はパトカー41の表面から突出してオン状態となる。したがって、パトランプ411が点滅し、発音装置からはサイレンが鳴るというような演出が実行される。
【0111】
また、収容空間26に収容されているパトカー41のボディ、車輪部は互いに結合可能して、結合することにより図23に示すようなパトカー41を構成する。
【0112】
なお、車輪部にも、演出手段として発光部、発音装置を設け、ボディ同様の押圧スイッチを設けることで、扉27が開放状態になったことに応じて、マシンガンを点滅させながら、発射音を発するような演出を実行するようにしてもよい。
【0113】
また、別の収容部材の例として、演出手段として、収容部材の表面に対して近接する位置と離間する位置との間で可動可能な可動部材が設けられているものについて説明する。例えば可動部材を翼43とし、収容部材を当該翼43が形成された翼部とする。また、翼部については、左翼43Lが設けられた左翼部、右翼43Rが設けられた右翼部を用意するものとし、それぞれ玩具10の右腕、左腕の収容空間26に収容可能とする(図24参照)。両翼43L、43Rはそれぞれ左翼部、右翼部の表面に対して近接する位置と離間する位置との間で可動可能であり、また、それぞれ左翼部、右翼部の表面から離間する方向へと弾性部材により付勢されている。すなわち、外力が働いていない状態においては、両翼43L、43Rは、左翼部、右翼部の表面から離間し、翼状に展開された状態となっている(図24参照)が、収容空間26に収容するときには、閉鎖状態へと向かう扉27に当接することにより、弾性部材の弾性に抗して、折り畳まれつつ、左翼部、右翼部の表面に対して近接する位置へと可動させられる。そして、扉27が閉鎖状態にあるときには、扉27に当接することにより、翼を折り畳んだ状態で左翼部、右翼部の表面に対して近接する位置にて保持される(図25参照、なお、図25においては扉27を省略している)。
【0114】
この状態から、回転つまみ51を操作して、扉27を開放状態とすると、両翼43L、43Rが、弾性部材の弾性によりそれぞれ左翼部、右翼部の表面から離間する方向へと可動して、翼状に展開された状態となるという演出が実行される。扉27が閉鎖状態にある玩具10の形態からは、左腕、右腕の収容空間26から翼43L、43Rが展開されることは想定し難いため、意外性のある変化をさせることができる。
【0115】
なお、左翼部、右翼部は互いに結合し、図26に示すようなドラゴン43の一部を背中部分を構成するようにしても良い。このとき、ドラゴン43の背中部分(左翼部、右翼部により構成される部分)以外の部分については、適切に分割して、胴体部21、脚部23の収容空間26に収容するようにしても良い(図24、25参照)。このように、各部の収容空間26に収容されている収容部材を互いに結合させることにより、人形、動物、自動車等を模した形象物(例えば、パトカー41、ドラゴン43)の一部あるいは全体を形成することもできる。このようにすることで、収容部材を、玩具10の形状の変化に利用するだけでなく、互いに結合することで、パトカー41、ドラゴン43等の玩具10とは独立した玩具として別の遊びをすることができる。
【0116】
以上、説明した本発明にかかる実施形態の玩具10によれば、玩具本体20の内部には収容空間26が設けられており、開口25を介して玩具外部と連続する。開口25には、常時、バネ28により開放状態である開放側に付勢されている扉27が設けられており、バネ28に抗して扉27を閉じて保持手段29で保持することにより閉鎖状態となる。
【0117】
玩具本体20には操作部50が設けられており、操作部50による操作で第1の操作を行うと、解除手段52が第1の保持手段29の解除と他の保持手段29の解除とを異なる時期に実行する。また第2の操作を行うと、第1の保持手段29の解除および他の保持手段29の解除を略同時に行う。
【0118】
このため、操作部50の操作により、異なる変化を行うので、意外性のある玩具10を提供できる。
【0119】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明に係る玩具は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変化が可能である。
【符号の説明】
【0120】
10 玩具
20 玩具本体
21 胴体部(中心部材)
214,224,234 係合爪(係合部)
22 腕部(周辺部材、肢部)
23 脚部(周辺部材、肢部)
25 開口
26 収容空間
27 扉(閉鎖部材)
272 被係合部
28 バネ(付勢手段)
29 保持手段
40 収容部材
411 ライト(発光部)
412 押圧スイッチ
43L、43R 翼(可動部材)
50 操作部
52 解除手段
55 動作部材
54 カム部材
54A、54B カム部
551A、552A、553A、554A、555A 動作杆
551B、552B、554B、555B 中心側伝達部材
552E、553E、554E 周辺側伝達部材
L 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玩具本体と、
玩具本体に設けられた、第1および第2の開口と、
前記第1および第2の開口によって玩具本体の外部と連通した収容空間と、
前記第1の開口に設けられ当該第1の開口を閉鎖する閉鎖状態と第1の開口を開放する開放状態を取り得る第1の閉鎖部材と、
前記第2の開口に設けられ当該第2の開口を閉鎖する閉鎖状態と第2の開口を開放する開放状態を取り得る第2の閉鎖部材と、
前記第1の開口に設けられ、前記第1の閉鎖部材を開放状態へと付勢する第1の付勢手段と、
前記第2の開口に設けられ、前記第2の閉鎖部材を開放状態へと付勢する第2の付勢手段と、
前記第1の開口に設けられ、前記第1の付勢手段による付勢に抗して前記第1の閉鎖部材を閉鎖状態に保持する第1の保持手段と、
前記第2の開口に設けられ、前記第2の付勢手段による付勢に抗して前記第2の閉鎖部材を閉鎖状態に保持する第2の保持手段と、
操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて前記第1の保持手段による保持および第2の保持手段による保持を解除する解除手段と、を有し、
前記解除手段は、前記操作部において第1の操作を行ったときは前記第1の保持手段による保持と前記第2の保持手段による保持とを異なる時期に解除し、
第2の操作を行ったときは前記第1の保持手段による保持および第2の保持手段による保持を略同時に解除可能である、ことを特徴とする玩具。
【請求項2】
前記第1の閉鎖部材は第1の被係合部を有し、かつ、前記第1の保持手段は第1の係合部を有し、
前記第1の保持手段は、前記第1の係合部が前記第1の閉鎖部材の第1の被係合部と係合することにより前記第1の閉鎖部材を閉鎖状態に保持可能であり、
前記第2の閉鎖部材は第2の被係合部を有し、かつ、前記第2の保持手段は第2の係合部を有し、
前記第2の保持手段は、前記第2の係合部が前記第2の閉鎖部材の第2の被係合部と係合することにより前記第2の閉鎖部材を閉鎖状態に保持可能であることを特徴する請求項1記載の玩具。
【請求項3】
前記第1の保持手段の第1の係合部を、前記第1の閉鎖部材の第1の被係合部との係合が解除される方向へ移動させる第1の動作部材と、
前記第2の保持手段の第2の係合部を、前記第2の閉鎖部材の第2の被係合部との係合が解除される方向へ移動させる第2の動作部材と、
が設けられており、
前記操作部の操作によって前記第1の動作部材が前記玩具本体に対して初期位置から動作位置に移動することにより前記第1の係合部が移動し、
前記操作部の操作によって前記第2の動作部材が前記玩具本体に対して初期位置から動作位置に移動することにより前記第2の係合部が移動することを特徴とする請求項2に記載の玩具。
【請求項4】
前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へと回転させる操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の第2の方向へと回転させる操作であることを特徴とする請求項3記載の玩具。
【請求項5】
前記解除手段は、前記操作部の回転に伴って回転するカム部材を有し、当該カム部材は前記第1の動作部材および第2の動作部材と当接しており、
前記第1の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第1カム部と、第2の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第2カム部とが設けられており、
前記第1カム部と前記第2カム部との前記カム部材上の距離は、前記第1の動作部材が前記カム部材に当接している第1当接位置と前記第2の動作部材が前記カム部材に当接している第2当接位置の前記カム部材上の距離とは異なることを特徴とする請求項4記載の玩具。
【請求項6】
前記カム部材には、前記第1の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第3カム部と、前記第2の動作部材を初期位置から動作位置へと動かす第4カム部とが設けられており、
前記第3カム部と前記第4カム部との前記カム部材上の距離は、前記第1の動作部材が前記カム部材に当接している第1当接位置と前記第2の動作部材が前記カム部材に当接している第2当接位置の前記カム部材上の距離に等しいことを特徴とする請求項5記載の玩具。
【請求項7】
前記第1の動作部材および前記第2の動作部材がいずれも前記初期位置にある状態から前記操作部を前記第1の方向に回転したとき、前記第1カム部は前記第3カム部が前記第1の動作部材を動かすより前に前記第1の動作部材を動かし、かつ、前記第2カム部は前記第4カム部が前記第2の動作部材を動かすより前に前記第2の動作部材を動かすことを特徴とする請求項6記載の玩具。
【請求項8】
前記第1の動作部材および前記第2の動作部材がいずれも前記初期位置にある状態から前記操作部を前記第2の方向に回転したとき、前記第3カム部は前記第1カム部が前記第1の動作部材を動かすより前に前記第1の動作部材を動かし、かつ、前記第4カム部は前記第2カム部が前記第2の動作部材を動かすより前に前記第2の動作部材を動かし、かつ、前記第3カム部と前記第4カム部は前記第1の動作部材と前記第2の動作部材を略同時に動かすことを特徴とする請求項7記載の玩具。
【請求項9】
前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へ動かす操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の方向へ動かす操作であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の玩具。
【請求項10】
前記第1の操作は前記操作部を第1の方向へと回転させる操作であり、前記第2の操作は前記第1の方向と逆の方向へと回転させる操作であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の玩具。
【請求項11】
前記収容空間に収容可能な収容部材を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項12】
前記収容部材には演出手段が設けられており、当該演出手段は、前記第1の閉鎖部材または前記第2の閉鎖部材が開放状態になったことに応じて演出を実行することを特徴とする請求項11記載の玩具。
【請求項13】
前記演出手段は、前記収容部材の表面に対して近接する位置と離間する位置との間で可動可能な可動部材と、前記可動部材を前記収容部材の表面から離間する方向へと付勢する弾性部材とからなり、
前記可動部材は、前記第1および/または第2の閉鎖部材が閉鎖状態のとき、当該第1および/または第2の閉鎖部材に当接することにより、弾性部材に抗して前記収容部材の表面に近接する方向へと動き、前記第1および/または第2の閉鎖部材が開放状態となったとき、前記弾性部材の弾性により前記収容部材の表面から離間する方向へと動くことを特徴とする請求項12記載の玩具。
【請求項14】
前記演出手段は発光部と押圧スイッチとを有し、
前記押圧スイッチは、前記収容部材の表面から突出したオン状態と表面に対して押し下げられたオフ状態との間で遷移可能であり、前記第1および/または第2の閉鎖部材が閉鎖状態のとき、当該第1および/または第2の閉鎖部材に当接することにより前記収容部材の表面に対して押し下げられることによりオフ状態となり、前記第1および/または第2の閉鎖部材が開放状態となったとき、前記収容部材の表面から突出してオン状態となるものであり、
前記発光部は、前記押圧スイッチがオフ状態のとき発光待機状態となり、前記押圧スイッチがオフ状態からオン状態になったとき発光状態となるものであることを特徴とする請求項12記載の玩具。
【請求項15】
前記収容部材は少なくとも第1の収容部材と第2の収容部材を含んでいることを特徴する請求項11乃至14のいずれか1項記載の玩具。
【請求項16】
前記収容空間は、前記第1の開口により玩具本体の外部と連通する第1の収容空間と、前記第2の開口により玩具本体の外部と連通する第2の収容空間と、からなり、前記第1の収容部材は前記第1の収容空間に収容可能であり、前記第2の収容部材は、前記第2の収容空間に収容可能であることを特徴とする請求項15記載の玩具。
【請求項17】
前記第1の収容部材および第2の収容部材は互いに結合することにより、人形、動物、自動車等を模した形象物の少なくとも一部を構成することを特徴とする請求項15または16記載の玩具。
【請求項18】
玩具本体は、操作部が設けられた中心部材と、当該中心部材と接続可能な周辺部材とからなり、少なくとも前記第1の開口は前記周辺部材に設けられていることを特徴とする請求項3記載の玩具。
【請求項19】
前記第1の動作部材は、前記中心部材側に存在する中心側部分と、前記周辺部材側に存在する周辺側部分とからなり、当該中心側部分と周辺側部分は前記中心部材と前記周辺部材が接続されたとき連動可能となることを特徴とする請求項18記載の玩具。
【請求項20】
前記中心側部分は、前記中心部材と前記周辺部材が接続されたとき前記周辺側部分と当接することにより、前記周辺側部分と連動可能となることを特徴とする請求項19記載の玩具。
【請求項21】
玩具本体は胴体部と肢部を有する人形または動物を模した形状に形成されており、前記中心部材は前記胴体部を形成しており、前記周辺部材は前記肢部を形成していることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか1項に記載の玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−115504(P2012−115504A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268236(P2010−268236)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【特許番号】特許第4908623号(P4908623)
【特許公報発行日】平成24年4月4日(2012.4.4)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】