説明

現像カートリッジ

【課題】現像カートリッジと、現像カートリッジに着脱可能なカバー部材において、リサイクル性、ユーザビリティ性の良いカバー部材を有する現像カートリッジを提供する。
【解決手段】枠体5aAから露出している現像剤担持体2aの露出部を覆うための、枠体5aAに対して取り外し可能に取り付けられるカバー部材30aであって、第一係合部30a1、30a2と第二係合部30a3、30a4とを有するカバー部材30aと、を有し、カバー部材30aは、第一係合部30a1、30a2が第一被係合部31a1に係合し、第二係合部30a3、30a4が第二被係合部7a4に係合して、枠体5aAに対して取り付けられる第一の状態と、第一係合部30a1、30a2が第二被係合部7a4に係合し、第二係合部30a3、30a4が第一被係合部31a1に係合して、枠体5aAに対して取り付けられる第二の状態と、をとることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に着脱可能な現像カートリッジに関するものである。
【0002】
ここで、現像カートリッジとは、少なくとも、電子写真感光体とされる像担持体に形成した静電潜像を現像するために現像剤を担持し搬送する現像剤担持体を備えており、画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【背景技術】
【0003】
電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置においては、像担持体としてのドラム状の電子写真感光体(以下、「感光体ドラム」という。)に形成した静電潜像を、現像手段により現像することでトナー像として可視化している。
【0004】
従来、電子写真画像形成プロセスを用いた画像形成装置の現像手段としての現像カートリッジは、現像剤(以下、「トナー」という。)を収納するトナー収納部を備えている。又、現像カートリッジは、トナー収納部には、現像剤を担持し搬送して、感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するための現像剤担持体(以下、「現像ローラ」という。)を備えている。そして、これら部材を一体的にカートリッジ化し、画像形成装置本体に対して着脱可能にしたものである。
【0005】
このように着脱可能にした現像カートリッジにおいては、ユーザーが現像カートリッジの交換を行う。この際、画像形成装置本体から現像カートリッジを取り出し、新しい現像カートリッジと交換することが一般的となっている。
【0006】
ここで、新しい現像カートリッジには、現像ローラを保護するためのカバー部材が取り付けられている。画像形成装置本体への新しい現像カートリッジ装着時は、カバー部材を取り外し、画像形成装置本体に装着する。
【0007】
また、取り外したカバー部材は、画像形成装置本体から取り外した使用済みの現像カートリッジに装着し、現像カートリッジとカバー部材を同時に回収し、リサイクルなどを行うことも可能となっている。
【0008】
現像カートリッジに取り付けられ、現像ローラを保護するためのカバー部材については、下記に示す特許文献1に開示されている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−173076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
取り外したカバー部材は、画像形成装置本体から取り出した使用済みの現像カートリッジに装着し、現像カートリッジの部品を再利用するために回収できれば、限りある資源を有効活用できる。
【0011】
また、現像カートリッジを再利用するために輸送する場合において、現像カートリッジから露出した現像ローラ表面への傷付きを防がなければならない。そのため、新しい現像カートリッジに取り付けてあった現像ローラの表面を覆うカバー部材を、ユーザーに取り付けてもらい返送することが望ましい。
【0012】
上記従来例のカバー部材は、現像カートリッジから露出した現像ローラ全域を覆い、取り外し可能となっている。そして、現像カートリッジとカバー部材の係合部は、現像ローラに対し現像ローラの軸線方向(即ち、現像ローラの長手方向)の端部或いは長手方向にわたり複数配置されている。このため、ユーザーが使用後の現像カートリッジにカバー部材を取り付けるには、新しい現像カートリッジにカバー部材が取り付けられた状態と全く同じ状態で、係合部を正しく合わせて取り付けなければならない。そのため、ユーザーにとって容易にカバー部材を現像カートリッジに取り付けられない可能性があった。
【0013】
そこで、本発明の目的は、現像カートリッジと、現像カートリッジに着脱可能なカバー部材において、リサイクル性、ユーザビリティ性の良いカバー部材を有する現像カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的は本発明に係る現像カートリッジにて達成される。要約すれば、本発明は、記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置に着脱可能な現像カートリッジであって、
(a)像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤担持体と、
(b)前記現像剤担持体の軸線方向と交差する方向において、一端側に設けられた第一被係合部と他端側に設けられた第二被係合部とを備えた枠体と、
(c)前記枠体から露出している前記現像剤担持体の露出部を覆うための、前記枠体に対して取り外し可能に取り付けられるカバー部材であって、第一係合部と第二係合部とを有するカバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、前記第一係合部が前記第一被係合部に係合し、前記第二係合部が前記第二被係合部に係合して、前記枠体に対して取り付けられる第一の状態と、前記第一係合部が前記第二被係合部に係合し、前記第二係合部が前記第一被係合部に係合して、前記枠体に対して取り付けられる第二の状態と、をとることが可能であることを特徴とする現像カートリッジである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第一被係合部と第二被係合部を、現像カートリッジの長手方向中央付近に配置し、カバー部材の向きに寄らずカバー部材の係合部が被係合部に同時に係合し、現像カートリッジに取り付けられるようにした。従って、ユーザーが使用後の現像カートリッジを保管あるいは返送する際、カバー部材の取り付けが容易である。そのため、現像カートリッジから露出した現像ローラ全域を保護することができ、ユーザビリティ性と現像カートリッジ部品のリサイクル性との両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る現像カートリッジが着脱自在に装着可能な画像形成装置の一実施例の概略断面図である。
【図2】本発明に係る現像カートリッジの一実施例の外観斜視図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の画像形成時の状態を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る現像カートリッジの概略断面図であり、図4(a)はカバー部材が装着されている状態を示し、図4(b)はカバー部材が除去された状態を示す。
【図5】図5(a)は現像ローラの概略斜視図であり、図5(b)は現像ローラの現像カートリッジへの取り付け態様を説明するための図である。
【図6】本発明に係る現像カートリッジとカバー部材の斜視図であり、図6(a)はカバー部材が装着されている状態を示し、図6(b)はカバー部材が除去された状態を示す。
【図7】本発明に係るカバー部材が取り付けられた状態の現像カートリッジを示す概略断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明に係る現像カートリッジがロータリーに装着された状態を示す斜視図であり、図8(b)は、ロータリーの一部断面図である。
【図9】図9(a)は、本発明に係る現像カートリッジにカバー部材が180度回転した状態で取り付けられた状態を示す概略断面図であり、図9(b)は現像カートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る現像カートリッジを図面に則して更に詳しく説明する。
【0018】
実施例1
図1に、本発明に係る現像カートリッジを複数搭載可能なロータリーを備えた、所謂、ロータリー方式のカラー電子写真画像形成装置の一実施例を示す。
【0019】
(画像形成装置の全体構成)
先ず、図1を参照して、画像形成装置の全体構成及び画像形成動作について説明する。
【0020】
本実施例にて、画像形成装置11は、4色フルカラーのレーザービームプリンタであり、図1は、その概略構成を示す断面図である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置11は、像担持体としてドラム状の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム3aを有する。感光体ドラム3aの周囲には、感光体ドラム3aを一様に帯電するための帯電手段3bと、感光体ドラム3a上にレーザー光を照射して潜像を形成するための露光手段12とが配置されている。更に、感光体ドラム3aに隣接して、感光体ドラム3a上に形成された潜像を対応する色の現像剤(即ち、トナー)で現像して顕像化する現像手段として、複数の現像カートリッジ5が配置されている。本実施例では、複数の現像カートリッジ5は、イエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dとされる。また、感光体ドラム3aの周囲には、感光体ドム3a上の残留トナーを除去するクリーニング手段3cが配置されている。
【0022】
なお、本実施例では、感光体ドラム3aと帯電手段3bとクリーニング手段3cが一体に構成され、かつ、画像形成装置本体11Aに対して着脱可能なドラムカートリッジ3を構成している。
【0023】
イエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dは、それぞれ、現像剤担持体、即ち、現像ローラ2(2a、2b、2c、2d)を備えている。また、現像カートリッジ5(5a、5b、5c、5d)は、装置本体11Aに対して回転自在に取り付けられたロータリー101に保持されている。
【0024】
ロータリー101がイエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dをそれぞれ保持する構成は全て同じとされる。従って、本実施例でのロータリー101が各現像カートリッジを保持する構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aに関して行う。
【0025】
イエロー現像カートリッジ5aは、ロータリー101に装着されると、イエロー現像カートリッジ5aに設けられた被係止部6a(図2)が、ロータリー101に設けられた現像カートリッジ係止部材103a(図1)と係合する。これにより、イエロー現像カートリッジ5aは、ロータリー101に支持されている。現像カートリッジ係止部材103aは、不図示のバネによりイエロー現像カートリッジ5aと係合し、図1中矢印D方向の移動を規制している。
【0026】
上記イエロー現像カートリッジ5aと同じ態様にて、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dも同様に、現像カートリッジ係止部材103b、103c、103dによりロータリー101に支持されている。
【0027】
画像形成の動作を以下に説明する。
【0028】
先ず、感光体ドラム3aを図1中矢印A方向に回転させる。感光体ドラム3aの回転と同期して、中間転写ベルト13を図1中矢印C方向に回転させる。そして、この感光体ドラム3aの表面を帯電手段3bによって均一に帯電すると共に、露光手段12によってイエロー画像の光照射を行い、感光体ドラム3a上にイエローの静電潜像を形成する。
【0029】
この静電潜像の形成と同時に、現像カートリッジ5(5a、5b、5c、5d)を保持し、且つ、回転可能とされたロータリー101は、ロータリー回転軸101aを中心にして画像形成装置11に設けた駆動伝達機構22により図1中矢印B方向に回転する。
【0030】
これによって、ロータリー101は回転して、イエロー現像カートリッジ5aを、図3に示すように、感光体ドラム3aと対向する現像位置に配置する。
【0031】
そして、感光体ドラム3aに形成された潜像にイエロー現像剤が付着するように、感光体ドラム3aと現像ローラ2aに電位差を設ける。これによって、感光体ドラム3aに形成された潜像にイエロー現像剤を付着させて現像する。即ち、感光体ドラム3aにイエローのトナー像が形成される。
【0032】
その後、中間転写ベルト13の内側に配置された1次転写ローラ14にトナーと逆極性の電圧を印加して、感光体ドラム3a上のイエローのトナー像を中間転写ベルト13上に1次転写する。
【0033】
上述のようにしてイエロートナー像の1次転写が終了すると、ロータリー101が画像形成装置11の駆動伝達機構22から駆動を受け、図3の矢印B方向へ回転移動する。そして、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dが順次、感光体ドラム3aに対向する現像位置に位置決めされる。イエローの場合と同様にして、マゼンダ、シアン、そしてブラックの各色について、静電潜像の形成、現像、1次転写が順次行われ、中間転写ベルト13上に4色のトナー像を重ね合わせる。
【0034】
この間、図1に示すように、2次転写ローラ15は、中間転写ベルト13とは非接触状態にある。また、中間転写ベルト13のクリーニングユニット16も中間転写ベルト13とは非接触状態に位置する。
【0035】
一方、本実施例におけるトナー像の被転写体、即ち、記録媒体であるシート110は、画像形成装置下部に設けられた給紙カセット17に積載収納されており、給紙ローラ18によって給紙カセット17から一枚ずつ分離給送され、搬送ローラ19に送られる。搬送ローラ19は、シート110を中間転写ベルト13と2次転写ローラ15の間に送り出す。ここで、図3に示すように、2次転写ローラ15が中間転写ベルト13に圧接された状態になる。
【0036】
更に、2次転写ローラ15にはトナーと逆極性の電圧が印加されており、前述の中間転写ベルト13上に重ね合わせた4色のトナー像は、搬送されてきたシート110の表面に2次転写されていく。
【0037】
トナー像が転写されたシート110は、定着器20に送られる。定着器20においては、シート110に熱と圧力を加え、トナー像がシート110上に定着される。その後、シート110は、定着器20から画像形成装置11外部の排紙部21へ排出される。
【0038】
(現像カートリッジの説明)
イエロー現像カートリッジ5a、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dの構成は全て同様である。従って、本実施例での現像カートリッジの構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aで行う。本実施例のイエロー現像カートリッジ5aを、図4(a)、(b)、及び、図5(a)、(b)を用いて説明する。
【0039】
図4(a)、(b)は、本実施例のイエロー現像カートリッジ5aの長手方向、即ち、軸線方向の中央付近に設けられた把手31aを通る長手方向に対して交差する鉛直方向の断面図である。
【0040】
イエロー現像カートリッジ5aは、現像枠体5aAを有している。現像枠体5aAは、現像剤(トナー)を収納するトナー収納部としての現像容器7aを形成し、又、トナーを担持する搬送する現像ローラ2aなどを回転自在に保持して一体的にユニット化している。イエロー現像カートリッジ5aの現像容器7aは、トナー収容室7a1と、現像ローラ2aやトナー供給ローラ8aを有する現像室7a2とに分離され、両者はトナー供給開口7a3により繋がっている。
【0041】
現像ローラ2aの現像ローラ外周2a3と、トナー供給ローラ8aのトナー供給ローラ外周8a3は,現像室7a2内で当接するように配置されている。
【0042】
現像ローラ2aは、図5(a)に示すように、ゴムローラ部2a1と剛体軸2a2とから構成され、剛体軸2a2は、現像ローラ2aの回転軸方向にゴムローラ部2a1を貫通し、両端はゴムローラ部2a1から突出した突出部2a2L、2a2Rを形成する。
【0043】
イエロー現像カートリッジ5aが現像ローラ2aを枠体5aAに回転自在に支持する構成を図5(b)で説明する。
【0044】
本実施例にて、イエロー現像カートリッジ5aは、枠体5aAの両側に設けられて現像ローラ2aの突出部2a2L、2a2Rをそれぞれ保持するサイド部材6L、6Rにより、現像ローラ2aを回転自在に保持している。
【0045】
また本実施例では、イエロー現像カートリッジ5aがユーザーの手元に届くまでの未使用状態においては、図4(a)に示すように、トナー供給開口7a3には、フィルム状のトナーシール9aが熱溶着などの方法により現像容器7aに固定されている。これにより、トナー収容室7a1と現像室7a2とは分離されている。使用前にトナーシール9aを取り除くことで、トナー収容室7a1内のトナー10aは、図4(b)に示すように、現像室7a2内に供給できる。
【0046】
さらに、図4(b)にて理解されるように、イエロー現像カートリッジ5aに対して現像ローラ2aのゴムローラ外周2a3の一部は露出しており、直接ユーザーの手に触れてしまう。そのため、図4(a)に示すように、未使用状態ではゴムローラ外周2a3の露出部全域を覆うカバー部材30aを設けている。このカバー部材30aを外すことで、ゴムローラ外周2a3を露出させ、図3に示すように、画像形成装置11内で感光体ドラム3aと当接する。
【0047】
図4(b)にて、現像室7a2内のトナー10aは、トナー供給ローラ8aに供給され、トナー供給ローラ8aは、図4(b)中矢印E方向に回転することによって、現像ローラ2aにトナー10aを供給する。現像ローラ2aは、図4(b)中矢印F方向に回転し、現像ローラ2a上のトナー10aは現像ブレード1aによって規制される。そして、現像ローラ2aと感光体ドラム3aとが対向する位置でトナーは現像される。その後に、現像ローラ2a上に残されたトナー10aはトナー供給ローラ8aによって除去されるとともにトナーが供給される。現像ローラ2aには、感光体ドラム3aと電位差を設けるために、画像形成装置11から電圧が供給されている。トナー供給ローラ8aにも、画像形成装置11から電圧が供給されている。
【0048】
(カバー部材と現像カートリッジの係合の構成)
カバー部材と現像カートリッジ5の係合の構成を図6(a)、(b)、図7、及び、図8(a)、(b)を用いて説明する。カバー部材と現像カートリッジの係合構成は、他の現像カートリッジ、即ち、マゼンタ現像カートリッジ5b、シアン現像カートリッジ5c、ブラック現像カートリッジ5dにおいても同様とされる。従って、本実施例でのカバー部材と現像カートリッジ5の構成の説明は、イエロー現像カートリッジ5aと、イエロー現像カートリッジ5aに取り付けるカバー部材30aで行う。
【0049】
図6(a)は、イエロー現像カートリッジ5aにカバー部材30aが取り付けられた状態を示す斜視図である。図6(b)は、カバー部材30aがイエロー現像カートリッジ5aから外れた状態を示す斜視図である。図7は、イエロー現像カートリッジ5aの長手方向(図6(a)中矢印R)中央付近に設けられた把手31aを通る長手方向に対して交差する鉛直方向の断面図である。図8(a)は、ロータリー101に現像カートリッジ5が装着された状態を示す斜視図である。図8(b)は、ロータリー101に現像カートリッジ5が装着された状態の概略断面図である。
【0050】
イエロー現像カートリッジ5aは、図6(b)、図7に示す、長手方向中央付近にある把手31aに設けられた把手被係合部(第一被係合部)31a1と、現像容器7aに設けられた容器被係合部(第二被係合部)7a4の2つの部位でカバー部材30aと係合する。
【0051】
ここで、容器被係合部7a4は、図8(a)、(b)に示すように、ロータリー101に装着されたイエロー現像カートリッジ5aに隣接するブラック現像カートリッジ5dの把手31dと対向した位置に配置されている。つまり、現像カートリッジ5aの長手中央付近に位置し、さらに、枠体5aAである現像容器7aの面7a5、7a6を切り欠いた位置に設けられている。
【0052】
これは、図8(b)に示すように、現像カートリッジ5が装置本体11Aに複数装着された状態で、隣り合った現像カートリッジ5dの操作性を良くするためである。つまり、現像カートリッジ5dを操作するために把手31dを把持した場合、把持性を良くする為に隣接した容器被係合部7a4を把手31dから離し、空間Mを設けたためである。本実施例は、ロータリー式の画像形成装置のためユーザビリティ性を考慮し上述の形態としている。
【0053】
次に、カバー部材30aについて説明する。
【0054】
図6(b)、図7に示すように、カバー部材30aは、長手方向中央付近に設けた係合部30a1、30a2、30a3、30a4の4つの係合部でイエロー現像カートリッジ5aと係合する。
【0055】
つまり、イエロー現像カートリッジ5aには、現像ローラ2aの長手方向(即ち、軸線方向)と交差する方向において、枠体5aAの一端側に把手被係合部31a1が、他端側に容器被係合部7a4が形成されている。そして、カバー部材30aに形成された係合部、即ち、カバー部材30aの係合部(第一係合部)30a1、30a2は把手被係合部31a1と、係合部(第二係合部)30a3、30a4は現像容器7aの容器被係合部7a4と、同時に係合する。これにより、カバー部材30aが現像カートリッジ5aに取り付けられる(図6(a))。この時、カバー部材30aの面30a5は、現像ローラ2aに当接しないように設けてある。
【0056】
さらに、カバー部材30aは、上述した各々の係合部に対応した被係合部で係合するが、図9(a)、(b)に示すように、係合部30a1、30a2は容器被係合部7a4と、係合部30a3、30a4は把手被係合部31a1と、同時に係合できる。即ち、カバー部材30aは、イエロー現像カートリッジ5aに対して、カバー部材30aが180度回転した状態でも取り付け可能である。
【0057】
つまり、本発明によれば、カバー部材30aは、第一係合部30a1、30a2が第一被係合部31a1に係合し、第二係合部30a3、30a4が第二被係合部7a4に係合して、枠体5aAに対して取り付けられる第一の状態をとることができる。一方、また、カバー部材30aは、第一係合部30a1、30a2が第二被係合部7a4に係合し、第二係合部30a3、30a4が第一被係合部31a1に係合して、枠体5aAに対して取り付けられる第二の状態をもとることができる。
【0058】
これは、把手係被合部(第一被係合部)31a1と、画像形成装置11内での把手31の把持性を向上させるための空間Mを形成する現像容器被係合部(第二被係合部)7a4とが、長手方向同一位置に配置されているためである。そして、イエロー現像カートリッジ5aに対して、カバー部材30aが180度回転した状態でカバー部材30aを取り付けた場合であっても、カバー部材の面7a5が現像ローラ2aに当接しないように設けたことにある。従って、カバー部材30aの取り付け向きに寄らず現像容器7a、即ち、枠体5aAから露出した現像ローラ全域を保護することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例の現像カートリッジ5は、把手被係合部31a1と容器被係合部7a4を、現像カートリッジ5の長手方向中央付近に配置している。これにより、カバー部材30aは、カバー部材30aの向きに寄らず係合部30a1、30a2、30a3、30a4を被係合部31a1、7a4に同時に係合し、現像カートリッジ5に取り付けられるようにした。
【0060】
従って、ユーザーが使用後の現像カートリッジ5を保管あるいは返送する際、カバー部材30aの取り付けが容易である。そのため、現像カートリッジ5から露出した現像ローラ全域を保護することができ、ユーザビリティ性と現像カートリッジ部品のリサイクル性との両立を図ることができる。
【0061】
上記実施例では、イエロー現像カートリッジ5aについて説明したが、他の、マゼンタ、シアン、ブラックの各現像カートリッジ5b、5c、5dについても同じである。
【0062】
尚、前述した実施例では、ロータリー式の電子画像形成装置に用いられるカラー現像カートリッジの場合を示したが、これに限定する必要はなく、インライン式である場合の現像カートリッジやモノクロ現像カートリッジにも適用できる。
【符号の説明】
【0063】
2(2a〜2d) 現像ローラ(現像剤担持体)
3a 感光体ドラム(像担持体)
5(5a〜5d) 現像カートリッジ
5aA 現像枠体
7a4 容器係止部(第二被係合部)
11 画像形成装置
11A 画像形成装置本体
30a カバー部材
30a1、30a2 係合部(第一係合部)
30a3、30a4 係合部(第二係合部)
31a 把手
31a1 把手被係合部(第一被係合部)
101 ロータリー
110 シート(記録媒体)
M 空間
R 現像カートリッジ長手方向(軸線方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を形成する電子写真画像形成装置に着脱可能な現像カートリッジであって、
(a)像担持体に形成された潜像を現像するための現像剤担持体と、
(b)前記現像剤担持体の軸線方向と交差する方向において、一端側に設けられた第一被係合部と他端側に設けられた第二被係合部とを備えた枠体と、
(c)前記枠体から露出している前記現像剤担持体の露出部を覆うための、前記枠体に対して取り外し可能に取り付けられるカバー部材であって、第一係合部と第二係合部とを有するカバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、前記第一係合部が前記第一被係合部に係合し、前記第二係合部が前記第二被係合部に係合して、前記枠体に対して取り付けられる第一の状態と、前記第一係合部が前記第二被係合部に係合し、前記第二係合部が前記第一被係合部に係合して、前記枠体に対して取り付けられる第二の状態と、をとることが可能であることを特徴とする現像カートリッジ。
【請求項2】
前記第一被係合部は、前記枠体に設けられた、前記現像カートリッジを把持するための把手に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
前記第二被係合部は、前記現像カートリッジが前記電子写真画像形成装置の装置本体に複数装着された際に、隣接した現像カートリッジを把持するために、前記隣接した現像カートリッジに設けられた把手と対向した位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−95591(P2011−95591A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250619(P2009−250619)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】