説明

現像カートリッジ

【課題】簡易な構成で、安定して現像剤担持体に給電することができる現像カートリッジを提供すること。
【解決手段】
現像ローラ15を備える現像カートリッジ14において、現像ローラ15を回転可能に保持するカートリッジ筺体31に、現像ローラ軸29の右端部を被覆するカラー部51と、本体ケーシング2から電力が供給される中継電極83に電気的に接続可能な被給電部54とを一体的に備える導電性のカラー部材33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のプリンタに備えられる現像カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタとして、トナー像を担持する感光体と、感光体にトナーを供給する現像ローラを有する現像カートリッジとを備えるカラープリンタが知られている。
【0003】
このような現像カートリッジとして、例えば、本体ケーシング内の外部電源から電力が供給される金属製の電極板と、電極板に電気的に接続され、現像ローラ軸を軸受する導電性の軸受部材とを備える現像カートリッジが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−197777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1に記載の現像カートリッジでは、外部電源から供給された電力は、電極板および軸受部材を介して、現像ローラ軸に供給される。
【0006】
そのため、外部電源と現像ローラ軸との間には、外部電源と電極板との接点、電極板と軸受部材との接点、および、軸受部材と現像ローラ軸との接点が存在し、外部電源と現像ローラ軸との電気的な接続を安定に確保することが困難となる場合がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、安定して現像剤担持体に給電することができる現像カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するため、本発明は、画像形成装置本体に着脱可能な現像カートリッジであって、導電性を有する回転軸を備え、表面に現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体を回転可能に保持するフレームと、前記フレームに設けられ、前記現像剤担持体の前記回転軸を軸受する軸受部材と、前記回転軸の軸線方向において、前記軸受部材の外側に配置され、前記軸受部材に対して前記軸線方向に相対移動可能なカラー部材とを備え、前記カラー部材は、前記回転軸に電気的に接続されるように前記回転軸の前記軸線方向端部を被覆する導電性の被覆部と、前記被覆部に電気的に接続され、前記画像形成装置本体から電力が供給される外部電極に電気的に接続可能な導電性の被給電部とを一体的に備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、カラー部材は、現像剤担持体の回転軸に電気的に接続される導電性の被覆部と、被覆部に電気的に接続され、外部電極に電気的に接続可能な導電性の被給電部とを一体的に備えている。
【0010】
そのため、カラー部材のみを介して現像剤担持体に電力を供給することができ、簡易な構成で、安定して現像剤担持体に給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の現像カートリッジの一実施形態を備えるカラープリンタの断面図である。
【図2】図1に示す現像カートリッジの右側面図である。
【図3】図1に示す現像カートリッジの右上側から見た分解斜視図であって、軸受部材およびカラー部材を取り外した状態を示す。
【図4】図2に示す現像カートリッジを示し、(a)は、A−A断面図であり、(b)は、(a)の要部拡大図である。
【図5】現像ローラへの給電を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.カラープリンタの全体構成
図1に示すように、カラープリンタ1は、横置きタイプのダイレクトタンデム型カラーレーザプリンタである。カラープリンタ1は、画像形成装置本体の一例としての本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス形状に形成されており、その一方側壁には、後述するプロセスユニット9をスライドにより着脱させるためのフロントカバー5が形成されている。
【0013】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、本体ケーシング2内の底部に設けられる給紙トレイ6と、給紙トレイ6の前端部上側に設けられる1対のレジストローラ7とを備えている。
【0014】
給紙トレイ6に収容されている用紙Pは、両レジストローラ7間に向けて1枚ずつ給紙され、所定のタイミングで、画像形成部4(感光ドラム12(後述)と搬送ベルト20(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット8、プロセスユニット9、転写ユニット10、および定着ユニット11を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット8は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット8は、破線で示すように、4つの感光ドラム12(後述)に向けて、画像データに基づいて、レーザービームをそれぞれ出射し、感光ドラム12(後述)を露光する。
(3−2)プロセスユニット
(3−2−1)プロセスユニットの構成
プロセスユニット9は、スキャナユニット8の下側であって、転写ユニット10の上側に配置されており、各色に対応する4つの感光ドラム12と、各感光ドラム12に対応する4つのスコロトロン型帯電器13と、各感光ドラム12に対応する4つの現像カートリッジ14とを備えている。なお、プロセスユニット9は、本体ケーシング2に対して、前後方向にスライド可能に設けられている。
【0015】
各感光ドラム12は、左右方向に沿って延びる略円筒形状に形成され、互いに前後方向に間隔を隔てて並列配置されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック感光ドラム12K、イエロー感光ドラム12Y、マゼンタ感光ドラム12Mおよびシアン感光ドラム12Cが、順次配置されている。
【0016】
各スコロトロン型帯電器13は、対応する感光ドラム12の後上側に間隔を隔てて対向配置されている。
【0017】
各現像カートリッジ14は、対応する感光ドラム12の上側において、プロセスユニット9に着脱自在に支持されている。具体的には、前側から後側に向かって、ブラック現像カートリッジ14K、イエロー現像カートリッジ14Y、マゼンタ現像カートリッジ14Mおよびシアン現像カートリッジ14Cが、順次配置されている。また、各現像カートリッジ14は、それぞれ、現像剤担持体の一例としての現像ローラ15を備えている。
【0018】
現像ローラ15は、金属製の回転軸の一例としての現像ローラ軸29と、現像ローラ軸29の左右方向両端部を露出するように現像ローラ軸29の表面を被覆する樹脂製の被覆層30とを備えている(図4参照)。現像ローラ15は、現像カートリッジ14の下端において、後側から露出されるように、現像ローラ軸29を回転中心として回転可能に支持されており、感光ドラム12に対して上側から対向し、接触されている。
【0019】
なお、現像カートリッジ14は、現像ローラ15にトナーを供給する供給ローラ16、現像ローラ15に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレード17を備え、それらの上側の空間には、各色に対応する現像剤の一例としてのトナーが収容されている。
(3−2−2)プロセスユニットでの現像動作
現像カートリッジ14内のトナーは、供給ローラ16に供給され、さらに、現像ローラ15に供給され、供給ローラ16と現像ローラ15との間で正極性に摩擦帯電される。
【0020】
現像ローラ15に供給されたトナーは、現像ローラ15の回転に伴って、層厚規制ブレード17によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ15の表面(被覆層30の表面)に担持される。
【0021】
一方、感光ドラム12の表面は、感光ドラム12の回転に伴って、スコロトロン型帯電器13により一様に正帯電された後、スキャナユニット8からのレーザービーム(図1破線参照。)の高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム12の表面に形成される。
【0022】
感光ドラム12がさらに回転すると、現像ローラ15の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム12の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム12の静電潜像は可視像化され、感光ドラム12の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット10は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上側であって、プロセスユニット9の下側において、前後方向に沿って配置されている。この転写ユニット10は、駆動ローラ18、従動ローラ19、搬送ベルト20、および4つの転写ローラ21を備えている。
【0023】
駆動ローラ18および従動ローラ19は、前後方向に間隔を隔てて対向配置され、搬送ベルト20は、その上側部分が各感光ドラム12と接触するように、駆動ローラ18および従動ローラ19の周りに巻回されている。また、搬送ベルト20は、駆動ローラ18の駆動により、各感光ドラム12と接触する搬送ベルト20の上側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0024】
各転写ローラ21は、各感光ドラム12と、それぞれ搬送ベルト20の上側部分を挟んで対向するように、設けられている。
【0025】
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト20によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム12と各転写ローラ21とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム12に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット11は、転写ユニット10の後側に配置され、加熱ローラ22および加熱ローラ22に対向する加圧ローラ23を備えている。転写ユニット10において、用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pが加熱ローラ22と加圧ローラ23との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、各排紙ローラ24によって、図示しないUターンパスを通過するように搬送され、スキャナユニット8の上側に形成される排紙トレイ25上に排紙される。
2.プロセスユニットの詳細
(1)側板
プロセスユニット9は、図5に示すように、各感光ドラム12の左右方向両端部を支持する左右1対の側板81を備えている。なお、現像ローラ15への給電に関する構成は、右側の側板81にのみ設けられているので、以下の説明では、右側の側板81のみを説明し、左側の側板81の説明を省略する。また、以下の説明において、右側の側板81を、単に側板81と記載する。
【0026】
側板81は、前後上下に延びる略平板形状に形成されており、各現像カートリッジ14の着脱を案内するガイド溝82と、本体ケーシング2から電力が供給される外部電極の一例としての中継電極83とを備えている。
【0027】
ガイド溝82は、側板81の左右方向内側に形成され、側板81の上端縁から下方に向かって後下側に傾斜するように延びる凹溝である。また、ガイド溝82は、現像カートリッジ14のカラー部51(後述)の右端部を受け入れ可能な溝幅に形成されている。
【0028】
中継電極83は、左右方向に屈曲されながら延びる略平板形状に形成され、側板81を左右方向に貫通するように設けられている。詳しくは、中継電極83は、その左端部が、ガイド溝82の後端部の上側において、側板81の左端面から左側にわずかに膨出するように露出され、その右端部が、側板81の右端面から露出されるように、側板81に設けられている。
(2)現像カートリッジ
(2−1)現像カートリッジの構成
現像カートリッジ14は、図2および図3に示すように、現像ローラ15を回転可能に保持するフレームの一例としてのカートリッジ筺体31と、現像ローラ軸29の右端部を回転可能に支持する(すなわち、軸受する)軸受部材32と、現像ローラ軸29の右端部に相対回転可能に外嵌されるカラー部材33とを備えている。
【0029】
カートリッジ筺体31は、左右方向に延び、後方斜め下方に向かう頂角を有する側面視略二等辺三角形のボックス形状に形成されている。
【0030】
また、カートリッジ筺体31の右壁には、現像ローラ軸29の右端部が挿通される現像ローラ軸挿通溝34と、供給ローラ軸28(供給ローラ16の回転軸)の右端部が挿通される供給ローラ軸挿通溝35が形成されている。
【0031】
現像ローラ軸挿通溝34は、カートリッジ筺体31の下端部において、カートリッジ筺体31の後端縁から前側に向かって切り欠かれるように、後方に向かって開放される側面視略U字形状に形成されている。
【0032】
供給ローラ軸挿通溝35は、現像ローラ軸挿通溝34の前方において、カートリッジ筺体31の右面から左側へ向かって切り欠かれるように、側面視略矩形状に形成されている。
【0033】
また、カートリッジ筺体31の右壁には、軸受部材32を位置決めするための1対の位置決めボス36が設けられている。また、カートリッジ筺体31の右壁には、軸受部材32をねじ止めするためのねじ穴37が形成されている。
【0034】
両軸受位置決めボス36は、現像ローラ軸挿通溝34を上下から挟むように配置されている。また、両軸受位置決めボス36は、カートリッジ筺体31の右壁から右側へ向かって突出する略円筒形状に形成されている。
【0035】
ねじ穴37は、供給ローラ軸挿通溝35の上側に配置されている。
【0036】
軸受部材32は、カートリッジ筺体31の右端部に設けられ、現像ローラ軸29の右端部を回転可能に支持する現像軸受部38と、供給ローラ軸28の右端部を回転可能に支持する供給軸受部39とを備えている。
【0037】
現像軸受部38は、軸受部材32の後側半分である。また、現像軸受部38には、現像ローラ軸29の右端部が挿通される現像ローラ軸挿通穴40が形成されている。また、現像軸受部38は、カラー部材33の回転を規制する規制部41を備えている。
【0038】
現像ローラ軸挿通穴40は、軸受部材32を左右方向に貫通する側面視略円形状に形成されている。また、現像ローラ軸挿通穴40の直径は、現像ローラ軸29の外径とほぼ同径(わずかに大径)に形成されている。
【0039】
規制部41は、現像ローラ軸挿通穴40の後側において、供給軸受部39の供給ローラ軸挿通穴42(後述)の前側に配置され、軸受部材32の右端面から右方へ突出する略角柱形状に形成されている。
【0040】
供給軸受部39は、軸受部材32の前側半分である。また、供給軸受部39には、供給ローラ軸28の右端部が挿通される供給ローラ軸挿通穴42が形成されている。
【0041】
供給ローラ軸挿通穴42は、現像ローラ軸挿通穴40の後側に間隔を隔てて配置され、軸受部材32を左右方向に貫通する側面視略円形状に形成されている。また、供給ローラ軸挿通穴42の直径は、供給ローラ軸28の外径とほぼ同径(わずかに大径)に形成されている。
【0042】
また、軸受部材32には、1対の軸受位置決め穴43と、ねじ挿通穴44とが形成されている。
【0043】
両軸受位置決め穴43は、現像ローラ軸挿通穴40を上下から挟むように配置されている。また、両軸受位置決め穴43は、カートリッジ筺体31の軸受位置決めボス36を受け入れるように、軸受部材32を左右方向に貫通する側面視略矩形状に形成されている。
【0044】
ねじ挿通穴44は、供給ローラ軸挿通穴42の上側において、ねじ61(後述)を挿通可能な側面視略円形状に形成されている。
【0045】
カラー部材33は、軸受部材32の現像軸受部38の右側に配置されている。また、カラー部材33は、導電性を有する樹脂からなり、現像ローラ軸29の右端部に相対回転可能に外嵌される被覆部の一例としてのカラー部51と、カラー部51から上側に向かって延びる延出部52とを一体的に備えている。
【0046】
カラー部51は、左右方向に延び、現像ローラ軸29の外径とほぼ同径(わずかに大径)な内径を有する略円筒形状に形成されている。また、カラー部51の左端部には、径方向外側へ向かって膨出する側面視略円形状の鍔部53が形成されている。また、カラー部51は、現像ローラ軸29の係合溝27(後述)に係合される1対の係合爪57(図4参照)と、軸受部材32の規制部41に遊嵌される嵌合部55とを備えている。
【0047】
両係合爪57は、カラー部51の内周縁から左側へ延びる略鉤形状に形成され、カラー部51の径方向において互いに対向配置されている(図4(b)参照)。また、両係合爪57の左端部は、カラー部51の径方向内側に向かって、現像ローラ軸29の係合溝27(後述)の深さ(径方向長さ)よりも短く突出するように、屈曲形成されている(図4(b)参照)。
【0048】
嵌合部55は、鍔部53の前側外周縁と、鍔部53の前側外周縁から前側に向かって突出する略角柱形状の上下1対のボス56とから側面視略U字形状に形成されている。なお、嵌合部55の両ボス56は、互いに、規制部41の上下方向長さよりわずかに長い間隔を隔てて、上下方向に対向配置されている。これにより、嵌合部55は、わずかに遊びを有して規制部41を受け入れ可能に形成されている。
【0049】
延出部52は、鍔部53の上側外周縁から上側に向かって延びる略平板形状に形成されている。また、延出部52は、被給電部54を備えている。
【0050】
被給電部54は、延出部の上端部において、延出部52の右端面から右方に膨出する略半球形状に形成されている。
(2−2)軸受部材およびカラー部材の組み付け
軸受部材32およびカラー部材33をカートリッジ筺体31に組み付けるには、まず、軸受部材32をカートリッジ筺体31に組み付ける。
【0051】
軸受部材32をカートリッジ筺体31に組み付けるには、まず、軸受部材32をカートリッジ筺体31の右側に配置する。
【0052】
次いで、現像ローラ軸29が現像ローラ軸挿通穴40に挿通され、供給ローラ軸28が供給ローラ軸挿通穴42に挿通され、両軸受位置決めボス36が対応する軸受位置決め穴43内に嵌合されるように、軸受部材32をカートリッジ筺体31に対して位置決めして、軸受部材32を右側からカートリッジ筺体31に組み付ける。
【0053】
そして、ねじ61を、軸受部材32のねじ挿通穴44を介して、カートリッジ筺体31のねじ穴37に螺合する。これにより、軸受部材32の組み付けが完了する。
【0054】
このとき、現像ローラ軸29の右端部は、現像ローラ軸挿通穴40を介して軸受部材32の右端面よりも右側へ突出されている。なお、現像ローラ軸29のうち、軸受部材32よりも右側へ突出された突出部分29Aは、軸受部材32に支持されている本体部分29Bよりも縮径されている(図4(b)参照)。また、現像ローラ軸29の突出部分29Aには、その左端部において、所定の左右方向長さで、現像ローラ軸29の径方向内側へ凹むように、係合溝27が形成されている(図4(b)参照)。
【0055】
次いで、図3および図4に示すように、カラー部材33と軸受部材32との間に付勢部材の一例としての圧縮ばね62を介在させるように、カラー部材33を現像ローラ軸29の右端部に組み付ける。なお、圧縮ばね62は、現像ローラ軸29の外径よりも長い内径を有するコイルばねである。
【0056】
カラー部材33を軸受部材32に組み付けるには、まず、圧縮ばね62を、軸受部材32の右側において、現像ローラ軸29の右端部に外嵌する。
【0057】
次いで、カラー部材33を現像ローラ軸29の右側に配置し、カラー部51の係合爪57が現像ローラ軸29の係合溝27に係合されるように、カラー部51を圧縮ばね62の右側から現像ローラ軸29に外嵌する。
【0058】
これにより、カラー部材33は、圧縮ばね62の付勢力により、常には、右側へ付勢されるとともに、係合爪57の左端部の係合溝27の右端縁に対する係合により、それ以上の右側への移動を規制される(図4(b)参照)。
【0059】
このとき、カラー部材33は、現像ローラ軸29の右端縁がカラー部51の右端縁より左側に配置されるように(すなわち、現像ローラ軸29の右端部がカラー部51内に収容されるように)、現像ローラ軸29の右端部に外嵌されている(図4(b)参照)。
【0060】
また、このとき、カラー部材33は、カラー部51の内周面において現像ローラ軸29に接触されている。すなわち、カラー部材33は、現像ローラ軸29に電気的に接続されるように、現像ローラ軸29の右端部を被覆している。
【0061】
同時に、カラー部材33の嵌合部55を、軸受部材32の規制部41に嵌合させる(図2参照)。
【0062】
嵌合部55が規制部41に嵌合されることにより、カラー部材33は、現像ローラ軸29の回転に追従して現像ローラ軸29を回転中心として回転することを規制される。
【0063】
このように、カラー部材33の現像ローラ軸29への組み付けが完了する。
3.現像ローラへの給電
(1)現像カートリッジの本体ケーシングへの装着
現像ローラ15に本体ケーシング2からの電力を給電するには、現像カートリッジ14を本体ケーシング2内に装着する。
【0064】
各現像カートリッジ14を本体ケーシング2内に装着するには、フロントカバー5を開放して、プロセスユニット9を本体ケーシング2から前方に引き出し、各現像カートリッジ14をプロセスユニット9に装着する。
【0065】
現像カートリッジ14をプロセスユニット9に装着するには、現像カートリッジ14を、カラー部51がガイド溝82の上側に配置されるように、プロセスユニット9の上側に位置決めし、上側から下側に向かって挿入する。
【0066】
すると、現像カートリッジ14のカラー部51が側板81のガイド溝82に案内されるように、現像カートリッジ14がプロセスユニット9に装着される。
【0067】
なお、図示しないが、現像カートリッジ14は、プロセスユニット9に装着されたときには、現像ローラ軸29の左端部がプロセスユニット9の左側の側板81のガイド溝82に支持されることにより、左側への移動が規制される。
【0068】
図5に示すように、現像カートリッジ14がプロセスユニット9に装着されると、カラー部材33の被給電部54が、中継電極83の左端部に左側から当接される。
【0069】
このとき、カラー部材33は、被給電部54において、中継電極83からの反力によって左側へ押圧され、圧縮ばね62の付勢力に抗して、左側へスライドされる。
【0070】
詳しくは、カラー部材33は、現像ローラ軸29の右端部がカラー部51の右端部からわずかに右側に突出されるとともに、カラー部51の鍔部53が側板81の左右方向内面に対してわずかに間隔を隔てて対向されるように、左側へスライドされる。
【0071】
これにより、カラー部材33の被給電部54は、弾性的に中継電極83に当接され、中継電極83に電気的に接続される。
【0072】
そして、プロセスユニット9を前方にスライドさせて本体ケーシング2内に装着すると、中継電極83は、その右端部において、本体ケーシング2内に設けられる本体側電極84に当接される。
【0073】
そして、本体ケーシング2の図示しない電源から、本体側電極84を介して中継電極83に電力が供給されると、その電力は、中継電極83を介して、カラー部材33の被給電部54に供給され、カラー部材33のカラー部51から現像ローラ軸29に供給される。
【0074】
なお、各現像カートリッジ14を本体ケーシング2から離脱させるには、フロントカバー5を開放して、プロセスユニット9を本体ケーシング2から前方に引き出し、各現像カートリッジ14を上側に向かって引き抜くことにより、プロセスユニット9から離脱させる。
4.作用効果
(1)この現像カートリッジ14によれば、図2に示すように、カラー部材33は、現像ローラ15の現像ローラ軸29に電気的に接続される導電性のカラー部51と、カラー部51に電気的に接続され、中継電極83に電気的に接続可能な導電性の被給電部54とを一体的に備えている。
【0075】
そのため、カラー部材33のみを介して現像ローラ15に電力を供給することができ、簡易な構成で、安定して現像ローラ15に給電することができる。
(2)また、この現像カートリッジ14によれば、図4および図5に示すように、軸受部材32とカラー部材33との間に、圧縮ばね62が介在されており、カラー部材33は、圧縮ばね62の付勢力により、常には、右側へ向かって付勢されている。
【0076】
そのため、カラー部材33を、軸受部材32に対して、相対移動可能かつ弾性的に保持することができる。
【0077】
その結果、カラー部材33の被給電部54を、中継電極83に対して、弾性的に当接させることができ、被給電部54と中継電極83との電気的な接続を安定に確保することができる。
(3)また、この現像カートリッジ14によれば、図2に示すように、被給電部54は、カラー部51から上側(現像カートリッジ14のプロセスユニット9に対する装着方向上流側)に延びる延出部52に設けられている。
【0078】
そのため、現像カートリッジ14の装着方向下流側に被給電部54が設けられている場合と比べて、円滑に、現像カートリッジ14を装着することができる。
(4)また、この現像カートリッジ14によれば、図2に示すように、カラー部材33は、嵌合部55が規制部41に遊嵌されることにより、現像ローラ軸29の回転に追従して回転することを規制されている。
【0079】
そのため、現像ローラ15の回転に拘わらず、被給電部54と中継電極83との電気的な接続を安定に確保することができる。
【符号の説明】
【0080】
2 本体ケーシング
14 現像カートリッジ
15 現像ローラ
29 現像ローラ軸
31 カートリッジ筺体
32 軸受部材
33 カラー部材
41 規制部
51 カラー部
52 延出部
54 被給電部
55 嵌合部
62 圧縮ばね
83 中継電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能な現像カートリッジであって、
導電性を有する回転軸を備え、表面に現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体を回転可能に保持するフレームと、
前記フレームに設けられ、前記現像剤担持体の前記回転軸を軸受する軸受部材と、
前記回転軸の軸線方向において、前記軸受部材の外側に配置され、前記軸受部材に対して前記軸線方向に相対移動可能なカラー部材と
を備え、
前記カラー部材は、
前記回転軸に電気的に接続されるように前記回転軸の前記軸線方向端部を被覆する導電性の被覆部と、
前記被覆部に電気的に接続され、前記画像形成装置本体から電力が供給される外部電極に電気的に接続可能な導電性の被給電部と
を一体的に備えていることを特徴とする、現像カートリッジ。
【請求項2】
さらに、前記軸受部材と前記カラー部材との間に介在され、常には、前記カラー部材を、前記軸線方向外側へ向かって付勢する付勢部材を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の現像カートリッジ。
【請求項3】
前記カラー部材は、前記被覆部から前記現像カートリッジの装着方向上流側に延びる延出部を備え、
前記被給電部は、前記延出部に設けられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の現像カートリッジ。
【請求項4】
前記フレームは、前記カラー部材が前記回転軸の回転に追従して回転することを規制する規制部を備え、
前記カラー部材は、前記規制部に遊嵌される嵌合部を備えていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の現像カートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−155294(P2012−155294A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16861(P2011−16861)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】