説明

現像ローラ、その製造方法、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】生産性、セット性、耐カブリが良好であり、使用後のリサイクル性を有し、画像形成に優れた現像ローラ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】導電性芯体の上に、弾性層及びその外周上に被膜を有する現像ローラであって、該弾性層が熱可塑性樹脂と、下記性質を有する架橋ゴム粒子とを含有し、該弾性層中の全架橋ゴム粒子の含有量が50質量%以上95質量%以下であり、該弾性層の硬さが30度乃至90度であり、該弾性層の密度が0.85g/cm乃至1.50g/cmである。
(1)2つ以上の体積粒度分布の山を有すること。
(2)小粒径からの個数累積が10%のときの粒径d(μm)の3倍以上の粒径b(μm)に粒度分布の極小値Pbがあり、Pb/PL(粒度分布中で最大の高さ)が0.0乃至0.5であること。
(3)Ss(bよりも小粒径側の粒度分布面積)/SL(bよりも大粒径側の粒度分布の面積)が0.1乃至9.0であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ、その製造方法及び該現像ローラを使用した電子写真プロセスカートリッジ並びに該現像ローラを使用した画像形成装置(以下、「電子写真装置」ということがある。)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やレーザープリンターの如き電子写真方式の画像形成装置には、現像剤を感光体などの静電潜像保持体に移動させて顕在化するために、現像ローラが使用されている。
【0003】
また、電子写真画像形成には、非磁性1成分方式、磁性1成分方式が広く採用されている。非磁性1成分現像とは、非磁性現像剤を現像ローラ上に弾性ブレード等でコーティングし、現像ローラと感光体(感光ドラムともいう)が接触した状態で電圧を印加し、現像剤を感光体上の静電潜像に転移させて現像を行う方式である。磁性1成分非接触現像とは、磁性現像剤を現像ローラ上に内部のマグネットの磁気力によって拘束し、その現像剤の量を規制手段で調整し、現像ローラと感光体が非接触である状態で電圧を印加し、現像剤を感光体に飛翔させて現像を行う方式である。
【0004】
なお、感光体上に転移あるいは飛翔して、静電潜像を顕在化した後に現像剤は転写ローラによりさらに記録紙に転写され、熱と圧力により定着され、装置外へ定着画像として排出される。さらに、感光体上に残留した現像剤はクリーニングブレードによって除かれることにより、電子写真画像形成は、一連のプロセスが完了する。
【0005】
特に、非磁性1成分現像方式においては、通常、感光体に当接して回転する現像ローラの表面に現像剤を坦持して当接部の現像領域に搬送し、当接部で静電潜像のパターンにしたがって現像剤が現像ローラから感光体へ移る。感光体が円柱状のドラムである場合、現像ローラとしては感光体との間で安定した当接幅を確保するために、通常は芯金の周りに導電性弾性体層を成形した導電性ゴムローラで構成される。
【0006】
また、近年においては、電子写真装置は、小型化、カラー化が進み、広く普及されている。それに伴い現像ローラの生産量も増大し、現像ローラには高い生産性が要求されるようになってきている。
【0007】
また、電子写真装置の高画質化に伴い、現像剤は小粒径化が進んでいる。現像剤の平均粒径を小さくすることは、画質特性のうち、特に粒状性や文字再現性をより良くする有効な手段であるが、耐久印刷時のカブリにおいて課題を有する。「カブリ」とは、弾性ローラによる機械的剥ぎ取りを繰り返すうちに現像剤の特性、例えば摩擦帯電特性などが低下し、本来印字しない白部(未露光部)に現像剤がわずかに転移して、現像され、地汚れのように現れる画像不良のことである。
【0008】
電子写真装置においては、従来から、現像ローラの弾性層にはNBR、EPDM、SBR、エピクロロヒドリンゴムの如き加硫ゴムが広く使用されている。これらの加硫ゴムは弾性層の成形時に加硫工程を必要とする。加硫ゴムの加硫には時間を要するため、現像ローラの生産性上の課題となっていた。また、原材料を加硫することにより、現像ローラは再利用が困難となるので、リサイクルがし易い原材料を使用した弾性層の要望が強まっている。
【0009】
特許文献1は、加硫ゴム組成物がリサイクルできないという課題に鑑み、熱可塑性樹脂あるいは/及び熱可塑性エラストマー中に、架橋可能なゴムあるいは/及び熱可塑性エラストマーを動的架橋し分散させた熱可塑性エラストマー組成物(A)と、ポリエーテルを含むブロック共重合体樹脂及び金属塩を含むイオン導電性導電剤(B)と、カーボンブラック(C)とを含み、特定の圧縮永久歪みと体積抵抗値とを有する導電性熱可塑性エラストマー組成物と、それを用いて形成した導電性ローラとを開示している。
【特許文献1】特開2001−254022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、一般に熱可塑性樹脂を用いた現像ローラでは加硫ゴムを用いたものに比較して、セット性に劣る欠点があった。「セット」とは、現像ローラが感光体ドラムや規制ブレードとの当接部で凹みなどの歪(圧縮永久歪み)が生じることにより、静電潜像の現像に影響、したがって、画像へ影響を与えてしまう現象である。
【0011】
そして、本発明者等が上記特許文献1に記載の発明に係る導電性ローラの現像ローラへの適用について検討した。その結果、近年の、電子写真装置の高精細化の流れの中で、当該導電性ローラの耐セット性は、必ずしも十分ではなかった。
【0012】
そこで、 本発明の目的は、この課題を克服した、現像ローラの生産性、セット性、耐カブリが良好であり、使用後のリサイクル性を有し、画像形成にも優れた現像ローラ及びそれを製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、現像ローラの生産性、セット性、耐カブリ及び画像形成性に関して鋭意検討を行った結果、上記目的を達成できる現像ローラとその製造方法、電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置を得ることができることを見出した。すなわち、上記の熱可塑性樹脂弾性層のセット性、耐カブリ、画像形成性を達成するには、熱可塑性樹脂中に粒度分布の異なる架橋ゴム粒子を添加することが効果的であることを見出した。本発明者らはさらに検討し、ついに本発明に至った。
【0014】
すなわち、本発明に係る現像ローラは、導電性芯体の上に、弾性層及びその外周上に被膜を有する現像ローラであって、
該弾性層が、熱可塑性樹脂と架橋ゴム粒子を含有し、該弾性層における該架橋ゴム粒子の含有量が50質量%以上95質量%以下であり、
該弾性層のASKER−C硬度が30度以上90度以下であり、かつ、該弾性層の密度が0.85g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、かつ、
該架橋ゴム粒子は、粒度分布について下記(1)乃至(3)の条件を満たしていることを特徴とする。
(1)体積粒度分布において、2つ以上の山を有すること。
(2)体積粒度分布において、小粒径からの個数累積が10%のときの粒径をd(μm)としたとき、該体積粒度分布の極小値の粒径b(μm)が、3d以上の粒径に存在し、かつ、該体積粒度分布の最大の高さの粒径L(μm)における該体積粒度分布の高さPLと粒径bにおける該体積粒度分布の高さPbとが下記関係式(1)を満足すること。
0.0≦Pb/PL≦0.5 式(1)
(3)体積粒度分布において、粒径bよりも大粒径側の粒度分布の面積SLと、粒径bよりも小粒径側の粒度分布の面積Ssが下記関係式(2)を満足すること。
0.1≦Ss/SL≦9.0 式(2)。
【0015】
また、本発明に係る現像ローラの製造方法は、導電性芯体の上に弾性層を形成し、その上に被膜を形成する現像ローラの製造方法であって、該弾性層を射出成型により形成し、かつ、成形される弾性層が、上記の弾性層であることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明に係る電子写真プロセスカートリッジは、上記の現像ローラが組み込まれている、画像形成装置の本体に脱離可能に構成されていることを特徴とする。
【0017】
更にまた、本発明に係る画像形成装置は、感光体と、該感光体に対向して接触した状態で現像剤を担持する現像ローラを備えている画像形成装置であって、該現像ローラが、上記の現像ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、リサイクルが可能で、生産性、セット性及び画像形成性に優れ、現像剤へのストレスを低減し、カブリも改善された現像ローラを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、実施の形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。しかし、本発明はこれらの説明によって何ら限定されるものではない。
【0020】
本発明の現像ローラの一例の斜視図を図1に示す。この現像ローラは、導電性芯体1上に弾性層2を有し、その外周上に被膜3を有する。
【0021】
該弾性層は、熱可塑性樹脂と架橋ゴム粒子を含有する。そして、該架橋ゴム粒子は、下記性質を有する。
(1)体積粒度分布において、2つ以上の山を有すること。
(2)体積粒度分布において、小粒径からの個数累積が10%のときの粒径をd(μm)としたとき、該体積粒度分布の極小値の粒径b(μm)が、3d以上の粒径に存在し、かつ、該体積粒度分布の最大の高さの粒径L(μm)における該体積粒度分布の高さPLと粒径bにおける該体積粒度分布の高さPbとが下記関係式(1)を満足すること。
0.0≦Pb/PL≦0.5 式(1)
(3)体積粒度分布において、粒径bよりも大粒径側の粒度分布の面積SLと、粒径bよりも小粒径側の粒度分布の面積Ssが下記関係式(2)を満足すること。
0.1≦Ss/SL≦9.0 式(2)
【0022】
また、弾性層は、その中の全架橋ゴム粒子の含有量が、50質量%以上95質量%以下であり、そのASKER−C硬度が30度以上90度以下であり、その密度が0.85g/cm3以上1.50g/cm3以下である。
【0023】
このような構成を採用することによって、上記の課題、すなわち、生産性、セット性及びカブリが同時に改善される。
【0024】
図2は、本発明の現像ローラの弾性層の断面の概略拡大図を示したものである。
【0025】
弾性層2中には、未架橋の熱可塑性樹脂相4に、相対的に大きな粒径を有する架橋ゴム粒子5と相対的に小さな粒径を有する架橋ゴム粒子6が分散している。すなわち、上記関係式(1)及び関係式(2)を満足する相対的に大きな架橋ゴム粒子と相対的に小さな架橋ゴム粒子の総量を50質量%以上含むことで、大粒径の架橋ゴム粒子間の隙間に小粒径の架橋ゴム粒子が入り込む。これにより、弾性層中への架橋ゴム粒子の分散性が向上し、セット性が改善される。
【0026】
本発明において、極小値の粒径bは、小粒径からの累積個数10%の粒径dに対して3d以上の粒径である必要がある。極小値の粒径が小粒径からの累積個数10%の粒径dの3倍よりも小さいと、極小側の架橋ゴム粒子の粒度分布が狭くなり、小粒径の架橋ゴム粒子が凝集してセット性が改善できない。
【0027】
本発明において、前記bでの粒度分布の高さPbと、最大の高さの粒径Lでの粒度分布の高さPLが、下記関係式(1)を満足することが必須である。
0.0≦Pb/PL≦0.50 式(1)
【0028】
Pb/PLが0.50よりも大きいと、相対的に大きな粒径の架橋ゴム粒子と相対的に小さな粒径の架橋ゴム粒子の粒度分布が近づき、大粒径の架橋ゴム粒子間に小粒径の架橋ゴム粒子が入り込みにくくなり、弾性層のセット性の向上(改善)が達成できない。なお、最大高さPLはbに対して小粒径側、大粒径側のいずれに存在しても良い。
【0029】
本発明において、極小値の粒径bを境として、小粒径側の粒度分布の面積Ssと大粒径側の粒度分布の面積SLとは下記関係式(2)を満足することが必要である。
0.1≦Ss/SL≦9.0 式(2)
【0030】
Ss/SLがこの範囲から外れていると、大粒径の架橋ゴム粒子間に小粒径の架橋ゴム粒子が入り込みにくくなり、架橋ゴム粒子の弾性層への分散性が不十分となりやすく、セット性の向上ができない場合がある。
【0031】
本発明において、体積粒径分布をヒストグラムにより作図した時、bよりも小粒径側での極大(最大)値を示す階級の代表粒径sが、0.1μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。すなわち、この粒径範囲内にある小粒径の架橋ゴム成分が多いため、分散性が良好となり、より画像形成性に優れた現像ローラを得ることが可能となる。
【0032】
弾性層中の全架橋ゴム粒子の含有量は、該弾性層の50質量%以上95質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上90質量%以下である。全架橋ゴム粒子が50質量%未満では架橋ゴム粒子の量が足りず、セット性の改善が不十分である。60質量%以上であれば、セット性がさらに向上する。全架橋ゴム粒子が95質量%よりも大きいと、熱可塑性樹脂成分の含有量が相対的に低下し、成形性が安定せず、形状が悪化してしまう。
【0033】
本発明における現像ローラのASKER−C硬度は30度以上90度以下である。ASKER−C硬度30度未満では低硬度であることにより、現像ローラのセット性が悪くなる。また、ASKER−C硬度が90度よりも大きいと現像ローラの硬度が硬いことにより現像剤に与えるストレスが大きくなり、電荷及び流動性を付与するための現像剤の外添剤の欠落や埋没などを引き起こし、現像剤の帯電性が低下し、カブリが発生してしまう。
【0034】
なお、本明細書でいうASKER−C硬度は日本ゴム協会標準規格SRIS0101に準拠したASKER−C型スプリング式ゴム硬度計(商品名 高分子計器社製)を用いて測定した硬度である。なお、常温常湿(20℃、相対湿度50%RH)の環境下に5時間以上置いた帯電ローラに対して、ローラ中心に上記硬度計を1kgの力で当接させてから30秒後の測定値とする。
【0035】
弾性層の密度は、0.85g/cm3以上1.50g/cm3以下である。密度が0.85g/cm3よりも小さいと、発泡やボイドなど、弾性層中に空隙を有する状態となりセット性が悪化する。また、密度が1.50g/cm3よりも大きいと現像ローラの質量が大きくなるため、初期駆動にかかる負荷が増大し、現像ローラの回転が安定せず、ムラなどの画像不良となってしまう。
【0036】
本発明に使用される熱可塑性樹脂としては以下のものが挙げられる。低密度ポリエチレン;高密度ポリエチレン;直鎖状低密度ポリエチレン;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂などの如きポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン樹脂、ポリスチレン系樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド6;ポリアミド66;MXD6などのポリアミド樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、スチレン−イソプレン共重合樹脂;スチレン−エチレン−ブテン共重合樹脂;スチレン−エチレン−プロピレン共重合樹脂の如きスチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー。また該弾性層にこれらの熱可塑性樹脂は単独で使用してもよいし、また、2種以上を組み合わせて混合して用いることも可能である。その中でもポリスチレン系樹脂は、生産性に優れ、かつ様々な架橋ゴム粒子との相溶性にも優れているため好ましく、画像形成性が良好である現像ローラを得ることができる。
【0037】
本発明に使用される架橋ゴム粒子としては、以下のものが挙げられる。スチレン−ブタジエンゴム粒子(SBR)、クロロプレンゴム(CR)粒子、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)粒子、エチレン−プロピレンゴム(EPR)粒子;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)粒子、シリコーンゴム粒子、フッ素ゴム粒子、ブチルゴム粒子、ブチルゴム粒子、アクリルゴム粒子、エピクロルヒドリンゴム粒子。その中でもEPDM粒子、NBR粒子、SBR粒子はセット性に優れているためより好ましい。なお、架橋ゴム粒子は、少なくとも1種が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム又はアクリロニトリル−ブタジエンゴムであることが好ましい。
【0038】
上記の架橋ゴム粒子は、別途作製された架橋ゴム粒子を添加させてもよいし、動的架橋によって弾性層中形成されたものでもよい。また、少なくとも一部が架橋しているゴム粒子であれば、架橋度は適宜用途に応じて使用することが可能である。動的架橋とは、熱可塑性樹脂のマトリックス中にゴムをブレンドし、架橋剤と共に混練しながらゴムを架橋させ、そのゴムを粒子状の架橋ゴム粒子として、上記マトリックス中に微細に分散させるプロセスのことである。動的架橋には、開放型のミキシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、ニーダー、単軸又は二軸押出機、連続ミキサーなどの混練装置を用いる。その中でも特に、混練時に発生する異物を防止するため、高い混練性能を有する2軸押出機を使用することが好適である。
【0039】
架橋ゴム粒子の粒径は、0.01μm乃至200μmの範囲が好適である。粒径が0.01μmよりも小さいと、架橋ゴム粒子が凝集しやすく、セット性が向上しない。粒径が200μmよりも大きいと、粒径が大きすぎることにより、弾性層の硬度や表面性にバラツキが生じ、濃度ムラなどの画像不良となる。
【0040】
さらに、前記弾性層には、必要に応じて、充填剤、増量剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤等の各種添加剤、導電剤などを使用することができる。
【0041】
充填剤及び増量剤としては、以下のものが挙げられる。シリカ、石英微粉末、ケイソウ土、酸化亜鉛、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、雲母粉末、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填剤。これらの充填剤の表面を有機珪素化合物等で処理して疎水化してもよい。
【0042】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
【0043】
加工助剤としてはステアリン酸やオレイン酸の脂肪酸、あるいは脂肪酸の金属塩やエステル等が挙げられる。
【0044】
本発明に使用される現像ローラの導電性芯体としては、従来からこの種のローラに用いられているものが使用可能であり、その材料は導電性であれば特に限定されない。例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケルなどの金属や、炭素繊維をプラスチックで固めた複合材料等の剛直で導電性を示す材料が挙げられる。合金鋼としては、ステンレス鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼、クロム鋼、クロムモリブテン鋼、Al、Cr、Mo及びVを添加した窒化用鋼が挙げられる。その中でも特に強度の観点から、合金製のものが好ましい。更に防錆対策として芯体材料にめっき、酸化処理を施すことができる。形状としては棒状、パイプ状のいずれでも構わない。弾性層との密着性を向上させる目的で、必要に応じて、その表面にプライマー処理層を形成してもよい。導電性芯体の外径は通常4mm乃至20mmの範囲である。
【0045】
なお、本発明では、この樹脂層の成形は、従来から知られている押出成形法、射出成形法によって可能である。層構成としては本発明に記載された特徴を有すれば、特に限定されず、2層あるいは3層以上の構成とすることもできる。
【0046】
上記弾性層の厚みとしては、本発明に記載された特徴を有すれば特に限定されないが、1mm以上5mm以下にあることが好ましい。1mm未満では弾性層中での架橋ゴム粒子の分散が劣る場合があり、5mmよりも大きいと弾性層の形状に不良が生じる場合がある。
【0047】
また、本発明における弾性層のJIS−K7210(1999)におけるメルトフローレートは、温度230℃、荷重5.0kgで3g/10分以上100g/10分以下であれば射出成型に、より好ましい。メルトフローレートが本範囲内であれば、流動性がよく、射出成型により、形状がすぐれた現像ローラを得ることができる。メルトフローレートが3g/10分よりも小さいと、流動性が悪くローラの形状が悪化し、メルトフローレートが100g/10分よりも大きいといわゆるジェッティングとよばれる流動不良が生じ、形状が悪化する。
【0048】
弾性層の外周上への被膜の形成は、ディップコート、スプレーコート、ロールコートの如き塗工により、多層押出成形やチューブ被覆などにより、また、高周波プラズマCVDにより行うことが可能である。
【0049】
なお、被膜を形成する場合、弾性層と表層である被膜と剥離が生じないように密着性を向上させることがあり、そのために、弾性層の外周面をコロナ処理、フレーム処理、エキシマUV処理等の表面改質方法にて改質することも好ましい。
【0050】
被膜の種類としては、以下のものが挙げられる。
【0051】
有機系の被膜としては、以下の樹脂で形成された被膜が挙げられる。ポリアミド樹脂;フッ素樹脂;スチレン系樹脂;ビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合樹脂のポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂の如き熱硬化性樹脂。
【0052】
無機系の被膜としては、SiOx、DLCの如き無機被膜がある。
【0053】
SiOxとは酸素―珪素―酸素を主骨格とし、かつ珪素には水素、酸素、炭素の少なくとも1つが珪素に結合された構造を有する酸化珪素を意味する。
【0054】
また、DLCとはダイヤモンドライクカーボンのことである。高硬度、電気絶縁性、赤外線透過性を持つカーボン薄膜の総称で、炭素を主骨格とし、かつ若干の水素を含有し、ダイヤモンド結合(SP3結合)とグラファイト結合(SP2結合)の両方の結合が混在しているアモルファス構造を有する。
【0055】
これら被膜の厚みは、形成される被膜の種類や形成方法により適宜選択されるが、好ましくは0.01μm乃至500μmである。0.01μm未満では、弾性層が上手く被覆されていず、弾性層の削れや磨耗が生じやすくなり、500μmよりも厚いと弾性層のセット性の改善効果が発現されず、セット性が低下しやすい。
【0056】
これらの被膜形成方法の中でも、前記高周波プラズマCVD処理は常温処理が可能であることやコストの面から好適である。
【0057】
前記高周波プラズマCVDによる被膜では、その厚みが、弾性層を磨耗から保護し、弾性層からの染み出しを低減する観点から、0.03μm乃至3μmであることが好ましい。
【0058】
導電剤としては、イオン導電機構によるイオン導電性物質と電子導電機構による導電付与剤がある。どちらか一方でもよく、併用することも可能である。
【0059】
イオン導電機構による導電付与剤として、以下のものを挙げることができる。LiCF3SO3、NaClO4、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN,KSCN,NaClの如き周期律表第1族金属の塩;NH4Cl、(NH42SO4、NH4NO3の如きアンモニウム塩;Ca(ClO42、Ba(ClO42等の周期律表第2族金属の塩、これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールの如き多価アルコールやそれらの誘導体との錯体;これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテルの如きモノオールとの錯体;第四級アンモニウム塩の如き陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩の如き陰イオン性界面活性剤;ベタインの如き両性界面活性剤。これらイオン導電機構による導電付与剤は、粉末状あるいは繊維状の形態で、単独で、また2種類以上を混合して、使用することができる。
【0060】
電子導電機構による導電剤として、以下のものを挙げることができる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属系の粉体や繊維;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛の如き金属酸化物、硫化銅、硫化亜鉛等の金属化合物粉、又は適当な粒子の表面を処理によって導電性を付与した微粒子;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、PAN系カーボンブラック、ピッチ系カーボンブラックの如きカーボンブラック;カーボンナノチューブの如きカーボン系導電剤。これらの導電剤の中でも、特にカーボンブラック系の導電剤が、性能、品質、コストの面から好適である。
【0061】
以上のような材料、導電性物質を使用したローラを現像ローラとして使用する場合、ローラの体積抵抗値としては、1×104Ωcm以上1×108Ωcm以下にすることが好ましい。現像ローラの体積抵抗値は室温20℃、相対湿度50%RH環境下にて、直径40mmのSUSドラムにローラを荷重1kgで当接させ、芯金の両端露出部に各500gの荷重をかけた状態でローラを45rpmで回転させる。その状態で、導電性芯体よりDC100Vを印加した時の抵抗を測定し、ローラが一周する間の電気抵抗値の最大値と最小値を測定し、その平均値をローラの体積抵抗値とする。
【0062】
該現像ローラの体積抵抗値が1×104Ωcm未満では感光体に欠損があった場合に電流のリークが発生し画像不良が起きる場合があり、1×108Ωcmを超える場合にはベタ画像の濃度不足が発生する場合がある。
【0063】
本発明の現像ローラにおける架橋ゴム粒子の粒度分布の測定方法を以下に示す。
【0064】
[架橋ゴム粒子の体積粒度分布の測定方法]
まず、現像ローラから弾性層を切り取る。切り取った弾性層を引き裂いて破断し、破断面を、SEM(走査型顕微鏡)、TEM(透過型顕微鏡)の如き電子顕微鏡やビデオマイクロスコープの如き光学的拡大観察手段で観察する。観察倍率は500倍乃至3000倍が好ましい。架橋ゴム粒子1000個を選択し、その各々について、その面積相当径(投影面積と等しい面積を持つ円の直径):Rn(μm)を求める。本発明において用いる架橋ゴム粒子は球状に近いので、各々の架橋ゴム粒子の体積:Vn(μm3)は、下記式(3)によって算出できる。選び出した1000個の架橋ゴム粒子の各々について、該架橋ゴム粒子の体積:Vn(nは1乃至1000の整数)をそれぞれ求める。
Vn=(4π/3)(Rn/2)3 式(3)
(但し、nは1乃至1000の整数)
【0065】
以上の操作により得られたVnから、横軸が粒径(μm)であり、縦軸が体積分率であるヒストグラムを作成する。ヒストグラムの横軸の架橋ゴム粒子の粒径0.01μmから200μmの区間を等比級数で64分割し、階級を設定する。つまり、ヒストグラムの階級値(階級の区切り値)Xm(μm)は、下記式(4)で示される。
Xm=0.01×(200/0.01)(m-1)/64 式(4)
(但し、階級値は下限、上限両端も含み、mは1乃至65の整数)
【0066】
ヒストグラムの各階級に属する架橋ゴム粒子の体積の総和を1000個の架橋ゴム粒子の体積の総和で除した値を、その階級におけるヒストグラムの縦軸の値とする。なお、1000個の架橋ゴム粒子の体積の総和は下記式(5)で算出される。
【0067】
【数1】

【0068】
以上のようにして、架橋ゴム粒子1000個の体積粒度分布を、ヒストグラムで示す。なお、上記ヒストグラムにおいて、各階級の粒径:Rj(μm)(但し、jは1乃至64の整数)を、下記式(6)に従って求め、Rjを、その階級における代表粒径とする。すなわち、ヒストグラムの縦軸は、ある代表粒径の粒子が全粒子に占める体積分率である。
j=(Xj+Xj+1)/2 式(6)
(但し、jは1乃至64の整数)
【0069】
[体積粒度分布におけるd、b、Pb、L、PL、sの決定方法]
d:上記ヒストグラムを作成するに際し、架橋ゴム粒子の小粒径からの個数累積が10%(100個目)なるときに入る階級の代表粒径をdとする。
b及びPb:上記ヒストグラムにおいて、体積粒度分布が極小かつ最小値を示す階級の代表粒径をbとし、その高さをPbとする。なお、極小かつ最小値を示す階級が2つ以上存在する場合、bはその階級のうち、最も小粒径のものとする。さらに、bが0個である場合、3d以上にある最も小粒径の階級の代表粒径をbとする。
L及びPL:上記ヒストグラムにおいて、体積粒度分布が極大かつ最大値を示す階級の代表粒径をLとし、その高さをPLとする。
s:上記ヒストグラムにおいて、bよりも小粒径側の体積粒度分布の極大かつ最大値を示す階級の代表粒径をsとする。なお、sは上記Lと同じになることもある。
【0070】
[体積粒度分布における粒度分布面積Ss、SLの決定方法]
上記ヒストグラムにおいて、体積粒度分布が極小かつ最小値を示す階級の代表粒径bの階級数をβとし、β及びβよりも小粒径側の面積Ssを下記の計算式(7)から算出した。
【0071】
【数2】

(ここで、p(m)は階級mにおける高さである。)
【0072】
また、βよりも大粒径側の面積SLは下記の計算式(8)から算出した。
【0073】
【数3】

(ここで、p(m)は階級mにおける高さである。)
【0074】
上記式から導かれる体積粒度分布の模式図を図5に示す。なお、図5において、横軸が粒径であり、縦軸が体積粒径分布強度である。
【0075】
[画像形成装置、電子写真プロセスカートリッジ]
次に上記本発明の製造方法によって得られた現像ローラを有する画像形成装置及び電子写真プロセスカートリッジを説明する。
【0076】
図3は、黒、マデンタ、シアン及びイエロウの各色の画像形成部を有するタンデム型のカラー画像形成装置の一例の模式的断面図である。なお、それぞれの画像形成部は色におより仕様にわずかな差はあるものの、基本は同じである。
【0077】
潜像担持体としての感光ドラム7が矢印方向に回転し、帯電部材14によって一様に帯電され、露光手段であるレーザー光13により、感光ドラムの表面に静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光ドラム7に対して接触配置されている現像装置12によって現像剤10が付与されて、現像剤像(トナー像)として現像される。
【0078】
現像は露光部に現像剤像を形成するいわゆる反転現像を行っている。感光ドラム7上の現像剤像は、転写部材である転写ローラ19により、搬送ベルト22上に現像剤像の移動に同期して送られてくる記録媒体である紙24に転写される。なお、本図では、画像形成部で形成された現像剤像は紙24の上に順次積層されている。最後の画像形成部で現像剤像が転写された紙24は、さらに搬送ベルト22により移送され、定着装置17へ送られ、そこで定着処理され、装置外に排紙され、プリント動作が終了する。
【0079】
一方、転写されずに感光ドラム7上に残存した現像剤(転写残現像剤)は、感光ドラム表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード16により掻き取られ廃現像剤容器15に収納される。クリーニングされた感光ドラム7は再び帯電処理に供され、画像形成に繰り返し供される。
【0080】
現像装置12は、一成分現像剤として非磁性現像剤を収容した現像容器10と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光ドラム7と対向設置された現像剤担持体である現像ローラ8とを備えている。なお、本発明の現像ローラが、現像ローラ8として使用される。
【0081】
現像装置12には、さらに、現像ローラ8に現像剤を供給する現像剤塗布部材9、現像ローラ8上の現像剤の帯電量及び担持量を均一にするための規制ブレード11が設けられている。現像剤塗布部材9の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や軸芯体上にレーヨン、ポリアミド等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ8への現像剤供給及び未現像現像剤の剥ぎ取りの点から好ましい。例えば、軸芯体上にポリウレタンフォームを設けた直径16mmの弾性ローラを用いることができる。
【0082】
搬送ベルト22は、駆動ローラ18、テンションローラ21及び従動ローラ23に掛けまわされている。紙24が給紙ローラ対25により送られてくると、従動ローラ23及びそれと対峙する吸着ローラ26の働きにより、紙24は搬送ベルト22に吸着されて、搬送ベルト22の移動に合わせて紙24も移動でする。
【0083】
本装置の画像形成部は、従動ローラ23と駆動ローラ18の間に形成されており、搬送ベルト22を挟んで転写ローラ19が設けられている。なお、20は転写のためのバイアス電源である。
【0084】
なお、本装置では、感光ドラム7と、帯電装置14、現像装置12及びクリーニングブレード16と廃現像剤容器15からなるクリーニング部材の少なくとも一つを一緒にし、電子写真プロセスカートリッジとして、本体から脱離可能にすることもできる。該電子写真プロセスカートリッジの一例の模式断面図を図4に示した。本図においては、上記説明におけると同じ機能を有する部材には同じ符号を付してある。
【実施例】
【0085】
以下、実施例によってさらに本発明を詳細に説明するが、本発明を何ら限定するものではない。なお、原材料として下記のものを使用した。また、特に記載が無い場合は、市販の高純度品を使用した。
【0086】
熱可塑性樹脂A:水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン2004」(商品名、クラレ株式会社製 メルトフローレート5.0g/10分(230℃ 2.16kg)、スチレン含有量18質量%、密度0.89g/cm3)。
熱可塑性樹脂B:水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン2063」(商品名、クラレ株式会社製 メルトフローレート7.0g/10分(230℃ 2.16kg)、スチレン含有量13質量% 密度0.88g/cm3)。
熱可塑性樹脂C:水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン2007」(商品名、クラレ株式会社製 メルトフローレート2.4g/10分(230℃ 2.16kg)、スチレン含有量30質量% 密度0.91g/cm3)。
熱可塑性樹脂D:水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン2002」(商品名、クラレ株式会社製 メルトフローレート70g/10分(230℃ 2.16kg)、スチレン含有量30質量% 密度0.91g/cm3)。
熱可塑性樹脂E:水素添加スチレン系熱可塑性エラストマー「セプトン2104」(商品名、クラレ株式会社製 メルトフローレート0.4g/10分(230℃ 2.16kg)、スチレン含有量65質量% 密度0.98g/cm3)。
熱可塑性樹脂F:架橋ゴム粒子含有オレフィン系熱可塑性エラストマー「サントプレーン8211−35」(商品名、AESジャパン株式会社製 メルトフローレート 0.0g/10分(230℃ 2.16kg)、密度0.93g/cm3)。
カーボンブラック:MTカーボンブラック「サーマックスローフォームN990」(商品名、CANCAB社製)。
架橋ゴム粒子A:SBR粒子「VP108」(商品名、中国石化社製)を分級装置「ターボフレックス100ATP」(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径10μmに調整したもの。
架橋ゴム粒子B:SBR粒子「VP108」(商品名)を分級装置「ターボフレックス100ATP」(商品名)で分級して、微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径5μmに調整したもの。
架橋ゴム粒子C:SBR粒子「VP108」(商品名、中国石化社製)を分級装置「ターボフレックス100ATP」(商品名、ホソカワミクロン株式会社製)で分級して、微粉及び粗粉を除去し、体積平均粒径20μmに調整したもの。
架橋ゴム粒子D:NBR粒子「NVPKA8641」(商品名、LANXESS社製)。
架橋ゴム粒子E:NBR粒子「HF01」(商品名、日本ゼオン株式会社製)。
プロセスオイル:プロセスオイル「PW−380」(商品名、出光興産株式会社製)。
炭酸カルシウム:炭酸カルシウム(白石工業株式会社製)。
プライマー:プライマー「ケムロック459X」(商品名 ロード社製)
【0087】
(実施例1)
[弾性層の作製]
弾性層の原材料として、熱可塑性樹脂A100質量部、導電剤としてカーボンブラック20質量部、架橋ゴム粒子A80質量部及び架橋ゴム粒子D60質量部を用いた。これら原材料を、D26mm、L960mm(L/D=32)である2軸押出機「TEM−26SS」(商品名、東芝機械株式会社製)にて混練し、ペレット化して、弾性層用樹脂組成物を得た。
【0088】
得られた樹脂組成物を、シームレス金型を用いた射出成形機「SE−180DU」(商品名、住友重機械株式会社製)によって、プライマーで処理したSUM製の導電性芯体(直径6mm、長さ240mm)に、同軸状に円筒形に成形した。次いで、樹脂の両端部を切断して、樹脂部分の長さを232mmとした後、表面を研磨して、直径12mmである、厚み3.0mmの弾性層を有するローラ(以下、「ローラ基体」という)を得た。
【0089】
製造した弾性層の密度、メルトフローレート及び硬さ(ASKER−C硬度)を下記により測定したところ、それぞれ0.92g/cm3、4.0g/10分及び75度であった。
【0090】
(弾性層の密度の測定)
弾性層を切り取り、JIS K6268(1998)の加硫ゴム密度の測定方法により、室温20℃、相対湿度50%RH環境下にて測定した。
【0091】
(弾性層のメルトフローレートの測定)
弾性層を1mm角のペレット状に粉砕したのち、JIS K7210(1999)に準拠し、温度230℃、荷重5.0kgの条件にてメルトインデクサー(タカラ株式会社製)を用いて測定した。
【0092】
(弾性層の硬さ(ASKER−C)の測定)
弾性層を有したローラを、20℃、50RH%環境下に5時間放置し、ASKER−C型スプリング式ゴム硬度計(商品名、高分子計器株式会社製)にて、1kg荷重(9.8N)で当接後30秒後の値を測定した。
【0093】
得られた弾性層中における架橋ゴム粒子の体積粒度分布を上述の方法により測定した。得られた結果を表1に示す。
【0094】
[被膜の作製]
得られたローラ基体を平行平板のプラズマCVD装置内に電極との距離を50mmとなるように設置した後、真空ポンプを用いて真空チャンバー内を1Paまで減圧した。その後原料ガスとしてヘキサメチルジシロキサン蒸気を1.0sccm、酸素1.5sccm、及びアルゴンガス22.5sccmの混合ガスを真空チャンバー内に導入し、真空チャンバー内の圧力が25.3Paになるように調整した。圧力が一定になった後、高周波電源により周波数が13.56MHz、120wの電力を、長さが300mmで放電部の総面積が120cmとなる平板電極に供給し、電極間にプラズマを発生させた。真空チャンバー内に設置したローラ基体を30rpmで回転させて、3分間処理を行い、被膜を形成して、現像ローラを得た。なお、形成された被膜の厚みを下記により測定したところ、1000nmであった。
【0095】
(被膜の厚み)
薄膜測定装置「F20−EXR」(商品名、FILMETRICS社製)にて、得られた現像ローラの長手方向で等分された3箇所、周方向で等分された3箇所、合計9箇所を20℃、50RH%の環境下で測定した。得られた測定値を平均して、被膜の厚みとした。
【0096】
[現像ローラの評価]
得られた現像ローラについて、セット性、カブリ、形状及び寸法安定性、及び画像形成性を下記により評価し、得られた結果を表1に示した。
【0097】
(セット性)
カラーレーザープリンタLBP5400(商品名、キヤノン株式会社製)用の電子写真プロセスカートリッジに、得られた現像ローラを組み込み、過酷高温/高湿環境の恒温槽内(40℃、95RH%)で30日置いた。その後、20℃、50RH%の環境へ移して一日置いた電子写真プロセスカートリッジをカラーレーザープリンタに取り付け、同環境下にハーフトーン画像を印刷し、圧接跡の画像への影響を下記基準で評価した。
A:圧接跡による画像不良は無い。
B:圧接跡による画像不良が極めて薄く見受けられるが、画像に影響なし。
C:圧接跡による画像不良が薄く見られるが、実用上問題とならない程度である。
D:圧接跡による画像不良が見受けられ、実用上問題がある。
【0098】
(カブリ)
得られた現像ローラをカラーレーザープリンタLBP5400(商品名)用の電子写真プロセスカートリッジに組み込み、20℃、50RH%で1日置いた。その後、カラーレーザープリンタに取り付け、30℃、80RH%の高温高湿条件下で、2%印字でA4サイズの用紙キヤノンカラーレーザーコピア(商品名、紙厚81.4g/m2)へ、20ppmの印刷速度で連続画像形成を行った。そして、3500枚印刷後に全白画像を印刷し、画質上のカブリの有無を目視により確認した。その確認結果に基づき、下記基準で評価した。
A:肉眼では現像剤劣化によるカブリは確認されず良好。
B:現像剤劣化によるカブリは少なく、画像上問題がない。
C:現像剤劣化によるカブリが確認されるが、実用可能なレベルである。
D:現像剤劣化によるカブリが確認され、実用上問題がある。
【0099】
(形状及び寸法安定性)
得られた現像ローラの形状を3次元座標測定機「ザイザックスRVF600A」(商品名、東京精密株式会社製)にて、振れ、真円度を測定した。なお、測定環境は20℃、50RH%とした。得られた結果から、下記基準で形状及び寸法安定性を総合的に評価した。
A:真円度の最大値と最小値の差が10μm以下であり、振れが20μm以下で、極めて優れており、現像ローラとして最適である。
B:真円度の最大値と最小値の差が20μm以下であり、振れが30μm以下で良好で、実用上問題がない。
C:真円度の最大値と最小値の差が30μm以下であり、振れが40μm以下であるが、現像ローラとして使用可能である。
D:真円度の最大値と最小値の差が30μmより大きく、振れも40μmより大きく、実用上問題がある。
【0100】
(画像形成性)
得られた現像ローラを、カラーレーザープリンタLBP5400(商品名)用の電子写真プロセスカートリッジに組み込み、20℃、50RH%で1日置いた。その後、カラーレーザープリンタに取り付け、20℃、50RH%の環境下で、ブラック現像剤のハーフトーンの画像を100枚出力し、目視にてムラの有無を確認し、下記基準で実用性を評価した。
A:ムラなく、良好。
B:ムラが極軽微であり、殆どみられず、実用上全く問題ない。
C:実用上問題とならない程度のムラがみられる。
D:実用上問題となるムラがみられる。
【0101】
(実施例2)
架橋ゴム粒子として、架橋ゴム粒子A180質量部及び架橋ゴム粒子D30質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0102】
(実施例3)
架橋ゴム粒子として、架橋ゴム粒子A50質量部及び架橋ゴム粒子D80質量部にした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0103】
(実施例4)
弾性層の原材料として、熱可塑性樹脂B20質量部、架橋ゴム粒子A260質量部、架橋ゴム粒子D220質量部、架橋ゴム粒子E100質量部及びカーボンブラック10質量部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0104】
(実施例5)
架橋ゴム粒子として、架橋ゴム粒子A60質量部及び架橋ゴム粒子E60質量部にした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0105】
(実施例6)
弾性層の原料として、熱可塑性樹脂B100質量部、架橋ゴム粒子A230質量部、架橋ゴム粒子D170質量部、カーボンブラック10質量部及びプロセスオイル100質量部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0106】
(実施例7)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂C100質量部を用い、架橋ゴム粒子A86質量部、架橋ゴム粒子D64質量部とした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0107】
(実施例8)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂B100質量部を用い、架橋ゴム粒子A115質量部、架橋ゴム粒子D85質量部とし、プロセスオイル50質量部を加えた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0108】
(実施例9)
架橋ゴム粒子A140質量部及び架橋ゴム粒子D110質量部とし、フィラーとして炭酸カルシウム(白石工業社製)100質量部を加えた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0109】
(実施例10)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂D100質量部を用い、架橋ゴム粒子A115質量部及び架橋ゴム粒子D85質量部にした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0110】
(実施例11)
カーボンブラックを10質量部にした以外は実施例10と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0111】
(実施例12)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂E100質量部を用い、架橋ゴム粒子A115質量部、架橋ゴム粒子D85質量部及びカーボンブラック30質量部にした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0112】
(実施例13)
カーボンブラックを20質量部にした以外は実施例12と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0113】
(実施例14)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂F100質量部、架橋ゴム粒子として架橋ゴム粒子A240質量部を用い、プロセスオイル50質量部を加える以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0114】
(実施例15)
架橋ゴム粒子Aに替えて架橋ゴム粒子B80質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0115】
(実施例16)
架橋ゴム粒子Aに替えて架橋ゴム粒子C80質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表1に示した。
【0116】
(比較例1)
弾性層の原材料として、熱可塑性樹脂B100質量部、架橋ゴム粒子A230質量部、架橋ゴム粒子D170質量部、カーボンブラック10質量部及びプロセスオイル150質量部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0117】
(比較例2)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂C100質量部を用い、架橋ゴム粒子A86質量部及び架橋ゴムD64質量部とし、フィラーとして炭酸カルシウム10質量部を添加した。それ以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0118】
(比較例3)
熱可塑性樹脂として熱可塑性樹脂B100質量部を用い、架橋ゴム粒子A140質量部及び架橋ゴム粒子D110質量部とし、プロセスオイル100質量部を添加した。それ以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0119】
(比較例4)
架橋ゴム粒子A170質量部及び架橋ゴム粒子D130質量部とし、炭酸カルシウム150質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0120】
(比較例5)
架橋ゴム粒子A57質量部及び架橋ゴム粒子D43質量部とした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0121】
(比較例6)
弾性層の原材料として、熱可塑性樹脂A10質量部、架橋ゴム粒子A230質量部、架橋ゴム粒子180質量部及びカーボンブラック5質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0122】
(比較例7)
架橋ゴム粒子として架橋ゴム粒子A150質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0123】
(比較例8)
架橋ゴム粒子A120質量部及び架橋ゴム粒子D90質量部とした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0124】
(比較例9)
架橋ゴム粒子A140質量部及び架橋ゴム粒子D20質量部にした以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0125】
(比較例10)
架橋ゴム粒子として架橋ゴム粒子A100質量部と架橋ゴム粒子E100質量部を用いた以外は実施例1と同様にして、ローラ基体を得、被膜を実施例1と同様に形成して、現像ローラを得た。得られたローラ基体及び現像ローラについて、それぞれ実施例1と同様に評価し、得られた結果を表2に示した。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の現像ローラの一例の斜視図である。
【図2】実施例1の現像ローラの弾性層の断面概略図である。
【図3】本発明の画像形成装置の一例の模式断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例の模式断面図である。
【図5】架橋ゴム粒子の体積粒度分布を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0129】
1 導電性芯体
2 弾性層
3 被膜
4 熱可塑性樹脂
5 架橋ゴム粒子(大粒径)
6 架橋ゴム粒子(小粒径)
7 感光ドラム
8 現像ローラ
9 現像剤塗布部材
10 現像剤(トナー)
11 規制ブレード
12 現像装置
13 レーザー光
14 帯電部材
15 廃現像剤容器
16 クリーニングブレード
17 定着装置
18 駆動ローラ
19 転写ローラ
20 バイアス電源.
21 テンションローラ
22 転写搬送ベルト
23 従動ローラ
24 紙
25 給紙ローラ
26 吸着ローラ
d 体積粒度分布で個数累積10%での粒径
b 体積粒度分布の最小極小値の粒径
L 体積粒度分布の最大極大値の粒径
Pb 体積粒度分布の最小極小値
PL 体積粒度分布の最大極大値
Ss bから小さい粒径側の体積粒度分布面積
SL bから大きい粒径側の体積粒度分布面積
s bより小さい側での最大極大値の粒径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性芯体の上に、弾性層及びその外周上に被膜を有する現像ローラであって、
該弾性層が、熱可塑性樹脂と架橋ゴム粒子を含有し、該弾性層における該架橋ゴム粒子の含有量が50質量%以上95質量%以下であり、
該弾性層のASKER−C硬度が30度以上90度以下であり、かつ、該弾性層の密度が0.85g/cm3以上1.50g/cm3以下であり、かつ、
架橋ゴム粒子は、粒度分布について下記(1)乃至(3)の条件を満たしていることを特徴とする現像ローラ。
(1)体積粒度分布において、2つ以上の山を有すること。
(2)体積粒度分布において、小粒径からの個数累積が10%のときの粒径をd(μm)としたとき、該体積粒度分布の極小値の粒径b(μm)が、3d以上の粒径に存在し、
かつ、該体積粒度分布の最大の高さの粒径L(μm)における該体積粒度分布の高さPLと粒径bにおける該体積粒度分布の高さPbとが下記関係式(1)を満足すること。
0.0≦Pb/PL≦0.5 式(1)
(3)体積粒度分布において、粒径bよりも大粒径側の粒度分布の面積SLと、粒径bよりも小粒径側の粒度分布の面積Ssが下記関係式(2)を満足すること。
0.1≦Ss/SL≦9.0 式(2)
【請求項2】
前記弾性層中の全架橋ゴム粒子の含有量が、60質量%以上90質量%以下である請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記弾性層において、架橋ゴム粒子の体積粒度分布の小粒径側の極大かつ最大値を示す階級の代表粒径sが0.1μm以上1.0μm以下にある請求項1又は2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂が、ポリスチレン系樹脂である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記架橋ゴム粒子の少なくとも1種が、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴムである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項6】
前記架橋ゴム粒子の少なくとも1種が、アクリロニトリル−ブタジエンゴムである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項7】
前記架橋ゴム粒子の少なくとも1種が、スチレン−ブタジエンゴムである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項8】
導電性芯体の上に弾性層を形成し、その上に被膜を形成する現像ローラの製造方法であって、該弾性層を射出成型により形成し、かつ、成形される弾性層が、請求項1に記載の弾性層であることを特徴とする現像ローラの製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の現像ローラが組み込まれている、画像形成装置の本体に脱離可能に構成されていることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
【請求項10】
感光体と、該感光体に対向して接触した状態で現像剤を担持する現像ローラを備えている画像形成装置であって、該現像ローラが、請求項1から8のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−152126(P2010−152126A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330715(P2008−330715)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】