説明

現像ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

【課題】高温高湿環境において高い帯電付与性を有し、かつ高温高湿環境での表面硬度の低下を抑制した高品位な現像ローラを提供する。また、前記の現像ローラを用いることで高品位なプロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面層が、アクリル樹脂とポリウレタンとのポリマーブレンドを含み、該アクリル樹脂は、構造式(1)で示す構成単位を有することを特徴とする現像ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置において、現像剤担持体の現像剤に対する帯電付与性能は画質、画像安定性に対して大きく影響する。そのために、現像剤担持体の帯電付与性能を制御することが重要となる。特許文献1では、(メタ)アクリル酸エステルモノマー及びアミノ基含有モノマーを共重合して得られる正帯電付与樹脂を含有する表面層を備えた現像ローラが提案されている。また、特許文献2では、樹脂被覆層が、ヒンダードアミン骨格を有する帯電付与剤を含有するキャリアおよび現像スリーブが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−031657号公報
【特許文献2】特開2009−139468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、複写機、プリンターあるいはファクシミリなど、電子写真方式を採用した装置に使用される現像ローラに必要とされる性能はより高度になっており、高温高湿環境のような現像剤を帯電させるうえで過酷な環境においても安定して現像剤に所定の電荷を付与できるような帯電付与性能を有することが求められてきている。また、高温環境下では、材料の表面硬度の低下に起因する画像弊害が発生する可能性があり、高温下においても表面硬度の低下を抑制する技術が求められている。
【0005】
本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る現像剤担持体は、高温高湿環境下に長期間放置した際に、現像剤に対する帯電付与性能の低下が生じる場合があった。また、特許文献2に係る現像ローラに関しては、高温高湿環境下での現像剤に対する帯電付与性能の低下は抑えられていたが、高温環境下において表面の硬度が低下し、現像剤量規制部材との圧接により現像ローラに変形を生じることがあった。その結果、電子写真画像に現像ローラ表面の変形に起因するスジが発生する場合があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、高温高湿環境下に長期間放置した際でも安定して現像剤に所定の電荷を付与することができ、かつ、高温環境下での表面硬度の低下が抑制された現像ローラを提供することにある。
また、本発明の目的は、多様な環境下において、安定して高品位な電子写真画像を形成することのできる電子写真プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らはかかる目的に対して鋭意検討を重ね、本発明をなすに至った。すなわち、本発明によれば、軸芯体と表面層とを有し、該表面層が、アクリル樹脂とポリウレタンとのポリマーブレンドを含み、該アクリル樹脂は、下記構造式(1)で示す構成単位および下記構造式(2)で示す構成単位を有する現像ローラが提供される。
【化1】

〔RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基を表す。〕
【化2】

〔Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1乃至4のアルキル基、nは2又は3の整数、mは3乃至8の整数を表す。〕
【0008】
また本発明によれば、少なくとも現像ローラを具備し、電子写真画像形成装置の本体に着脱可能に構成されており、該現像ローラが上記の現像ローラであるプロセスカートリッジが提供される。
【0009】
さらに本発明によれば、現像ローラを備え、該現像ローラが感光体に現像剤を付与することにより潜像を現像する電子写真画像形成装置において、上記に記載の現像ローラを具備する電子写真画像形成装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像ローラの表面層が、ヒンダードアミン骨格とエーテル基を有する共重合体よりなるアクリル樹脂とポリウレタンを含むことで高温高湿環境下においても高い帯電付与性を有し、また高温下においても表面の硬度が低下し難い。その結果、高温高湿下において、良好な帯電付与性を有し、高温環境下においても、現像剤量規制部材との圧接した状態での放置後のセット跡に起因する画像弊害を抑制することができる。また、前記の現像ローラを用いることで高品位なプロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の現像ローラの一例を示す概念図である。
【図2】本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【図3】本発明の電子写真装置の一例を示す概略構成図である
【図4】液循環型浸漬塗工装置の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る現像ローラは図1に示すように軸芯体2と、表面層4とを有する。また、現像ローラ1に弾性を持たせるため、図1に示すように軸芯体2と表面層4の間に弾性層3を設けてもよい。
【0013】
現像ローラの軸芯体2の形状は、特に制限されるものではなく、中空状あるいは中実状であっても差し支えなく使用できる。また、軸芯体2は現像ローラの電極及び支持部材として機能するもので、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼の如き金属または合金;クロム、又はニッケルで鍍金処理した鉄;導電性を有する合成樹脂の如き導電性の材質で構成される。
【0014】
本発明において、弾性層を設ける場合、従来から導電性ゴムローラに用いられている種々のゴム材を用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル―ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン―ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム等。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、シリコーンゴムは柔軟性に富み、且つ、圧縮永久歪が小さい為、好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサンや、これらのポリシロキサンのアクリル樹脂を挙げることができる。
【0015】
弾性層には、現像ローラに導電性が要求される場合、イオン導電剤、電子導電剤等の導電付与剤を含有させることができる。
【0016】
イオン導電剤としては、周期律表第1族金属の塩(LiCFSO、NaClO、LiClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCN、NaCl等)、周期律表第2族金属の塩(Ca(ClO4、Ba(ClO等)アンモニウム塩(NHCl、(NHSO、NHNO等)、上記塩とモノオール(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等)との錯体、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を用いることができる。
【0017】
また、電子導電剤としては、以下のものを挙げることができる。炭素系物質カーボンブラック、グラファイト等)、金属や合金(アルミニウム、銀、金、錫−鉛合金、同−ニッケル合金)、金属酸化物(酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化銀等)。
更に、上記の電子導電剤に銅、ニッケル、銀等の導電性金属めっきを施した物質等も導電性付与剤として挙げることができる。
【0018】
これらイオン導電剤、電子導電剤は粉末状や繊維状の形態で、1種又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらのうちカーボンブラックは導電性の制御が容易であり、また経済的であることから好ましい。
【0019】
弾性層には、その他、上記組成の機能を阻害しない範囲で、必要に応じて架橋剤、可塑剤、充填剤、増量剤、加硫剤、加硫助剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤の如き各種添加剤を含有させることができる。非導電性充填剤としては、シリカ、石英粉末、及び炭酸カルシウムを挙げることができる。架橋剤としては、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、及びジクミルパーオキサイドが挙げられる。
【0020】
軸芯体2上に弾性層3を形成する方法としては、型成形法、押出成形法、射出成形法、塗工成形法を挙げることができる。弾性層の表面は、表面層との密着性向上の為、表面研磨や、コロナ処理、フレーム処理、エキシマ処理の表面改質方法によって改質することもできる。
【0021】
弾性層は、現像ローラに要求される弾性を有し、その硬度としては、例えば、アスカーC硬度で20度以上80度以下、厚みとして、2.0mm以上6.0mm以下を挙げることができる。
【0022】
<表面層>
本発明の表面層4は、アクリル樹脂とポリウレタンとのポリマーブレンドを含み、アクリル樹脂は、下記構造式(1)で示す構成単位および下記構造式(2)で示す構成単位を有することを特徴とする。
【化3】

〔RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基を表す。〕
【化4】

〔Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1乃至4のアルキル基、nは2又は3の整数、mは3乃至8の整数を表す。〕
【0023】
本発明に示すアクリル樹脂が、高温高湿環境下においても高い帯電付与性を示す理由は完全には明らかではないが、以下のように推察する。一般的に現像剤担持体に用いられる帯電付与剤は、その構造内に窒素を有するものが多い。本発明で用いる前記アクリル樹脂においても、ヒンダードアミン骨格の形で分子構造内に窒素を有している。また窒素原子の周囲はメチル基が多数存在するため、疎水性になっている。このため、窒素原子が親水基である水分子からの水和を受けにくいと考えられる。これらの構造が高温高湿環境下においても高い帯電付与性を示すと考えられる。
【0024】
本発明に示すアクリル樹脂が、ヒンダードアミン骨格に加え、エーテル基を有することで、高温環境下においても表面硬度の低下が抑制される。これは、通常、分子運動は高温下で激しくなり、表面硬度が低下する傾向にある。しかし、疎水性であるヒンダードアミン骨格周りにエーテル基のような親水基が近接すると、ヒンダードアミン骨格を包み込むような構造が形成されると考えられる。これは、一般的に疎水性水和と呼ばれ、分子を安定化させる傾向にある。この包み込まれた状態でエーテル基と周辺に存在する水分子とが弱い水素結合を形成し、高温下においてもヒンダードアミン骨格の分子運動を抑制し、結果的に表面硬度の低下を抑制しているのではないかと推察される。
【0025】
本発明に示すアクリル樹脂中のヒンダードアミン骨格は前記構造式(1)に示す構造を有する。このような構造を形成する具体的なモノマーとしては、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートあるいはアクリレートを意味する(以下、同様)。
【0026】
本発明に示すアクリル樹脂中のエーテル基は前記構造式(2)に示す構造を有する。このような構造を形成する具体的なモノマーとしては、以下のものを挙げることができる。ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等。
【0027】
本発明に示すアクリル樹脂は、前記のヒンダードアミン骨格含有モノマー及びエーテル基含有モノマーに加え、さらに他のモノマーと共重合されていても良い。具体的には、帯電付与性を更に向上させるモノマーとして以下のものが挙げられる。N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ドデシルメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸トリメチルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸トリメチルアミノメチルカチオン、(メタ)アクリル酸ジメチルブチルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸トリエチルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸ジメチルオクチルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸ジエチルオクチルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸ジメチルラウリルアミノエチルカチオン、(メタ)アクリル酸トリブチルアミノエチルカチオン等の臭化物、塩化物およびパラトルエンスルホン酸塩。また、アクリル樹脂を表面に局在させるモノマーとして以下のものが挙げられる。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート。
【0028】
本発明のアクリル樹脂が、更に下記構造式(3)で示される構成単位を有する場合、高温環境下での表面硬度の低下が更に低減される。
【化5】

〔Rは水素原子またはメチル基、Rは炭素数1乃至12のアルキル基を表す。〕
構造式(3)で示される構成単位を有する場合、アクリル樹脂の極性を低下させ、ポリウレタンとの極性差により、表面層の最表面近傍にアクリル樹脂をより存在させることができる。このため、表面近傍での分子運動の抑制が更に顕著になり、高温環境下においても、表面硬度の低下が抑制されると考えられる。
【0029】
これらのモノマーの共重合比は特に限定されるものではなく、必要に応じて設定することができる。即ち、高温高湿環境での帯電付与性をより向上させる必要があれば、ヒンダードアミン骨格含有モノマーの比率を増大させれば良い。また、高温環境での表面硬度の低下をより抑制する必要があれば、エーテル基含有モノマーの比率を増大させれば良い。好ましくは、ヒンダードアミン骨格含有モノマーの重合比は20mol%以上60mol%以下、エーテル基含有モノマーの重合比は60mol%以下である。ヒンダードアミン骨格含有モノマーの重合比が20mol%以上の場合、高温高湿環境での帯電付与性の向上が見られ、60mol%以下の場合、バインダーとの相溶性が良い。また、帯電付与性を更に向上させるモノマーとして3級アミノ基含有モノマーを使用する際、その重合比は60mol%以下の場合、帯電付与性と表面硬度低下抑制のバランスが良い。
【0030】
該アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は10000以上100000以下が好ましい。Mwが10000以上の場合、表面層4からのブリードアウトの抑制効果に優れ、100000以下の場合、表面層4に含有されるポリウレタンとの相溶性に優れる。
【0031】
該アクリル樹脂の含有量は、表面層4に含有されるポリウレタン100質量部に対して、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。含有量が0.2質量部以上の場合、帯電付与効果に優れ、10質量部以下である場合、ブリードアウトの抑制効果に優れる。
【0032】
本発明においては、表面層4にポリウレタン成分として、ポリオール成分をイソシアネート成分で架橋したポリウレタンが含有されていることを特徴とする。ポリオール成分としては特に限定されるものではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、アクリルポリオールを用いることができる。また、これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の如き芳香族イソシアネート及びこれらの共重合物や、そのブロック体を用いることができる。
【0033】
特に、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタンを用いた場合、ヒンダードアミン骨格の分子運動を抑制し、高温環境下での表面硬度の低下が更に低減されるため好ましい。具体的には、ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリ2−メチルテトラメチレングリコールが挙げられる。これらのポリオ−ル成分は必要に応じてあらかじめ2,4−トリレンジイソシアネ−ト(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネ−ト(MDI)、イソホロンジイソシアネ−ト(IPDI)の如きイソシアネ−トにより鎖延長したプレポリマ−としてもよい。これらのポリオ−ル成分と反応させるイソシアネ−ト化合物としては、上記に例示したイソシアネ−ト化合物と同様のものを用いることができる。
【0034】
現像ローラとして表面粗度が必要な場合は、表面層分散液中に粗さ制御のための微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂の微粒子を用いることができる。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒径が3〜20μmであることが好ましい。また、表面層4に添加する粒子添加量が、表面層4の樹脂固形分100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
【0035】
上記表面層には、必要に応じて導電性を付与することができ、導電性を付与する方法としては導電剤を含有させる方法を挙げることができる。導電剤としては、具体的には、上記弾性層に用いる導電剤として例示したものと同様のものを使用することができる。
表面層には、その他、機能を阻害しない範囲で、架橋剤、可塑剤、充填剤、増量剤、加硫剤、加硫助剤、架橋助剤、酸化防止剤、老化防止剤、加工助剤、レベリング剤を含有させることができる。
【0036】
表面層の厚さとしては、1〜100μmが好ましい。表面層の厚さが1μm以上であれば磨耗等による劣化を抑制することができ、100μm以下であれば現像ローラ表面が高硬度になるのを抑制し、現像剤の劣化を抑制し、現像ローラの表面への現像剤由来の固着を抑制することができる。現像剤へのダメージを考慮すると、表面層の厚さは1〜20μmであることが好ましい。
【0037】
表面層4の形成方法としては特に限定されるものではないが、例えば、表面層4の各成分を溶剤中に分散混合して塗料化し、軸芯体2もしくは弾性層3上に塗工し、乾燥固化あるいは硬化することにより形成することが可能である。分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。塗工方法としては、浸漬塗工、リング塗工、スプレー塗工又はロールコートを採用することができる。
【0038】
例えば、浸漬塗工については、特開昭57−5047号公報に記載されているような浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる方法は、表面層を形成する方法として簡便で生産安定性に優れている。
【0039】
図4は浸漬塗工装置の概略図である。25は円筒形の浸漬槽であり、現像ローラ外径よりわずかに大きな内径を有し、現像ローラの軸方向の長さより大きな深さを有している。浸漬槽25の上縁外周には環状の液受け部が設けられており、撹拌タンク27と接続されている。また浸漬槽25の底部は撹拌タンク27と接続されている。撹拌タンク27の塗料は、液送ポンプ26によって浸漬槽25の底部に送り込まれる。浸漬槽の上端部からは、塗料がオーバーフローしており、浸漬槽25の上縁外周の液受け部を介して撹拌タンク27に戻る。弾性層3を設けた軸芯体2は昇降装置28に垂直に固定され、浸漬槽25中に浸漬し、引き上げることで表面層4を形成する。
【0040】
本発明の電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置は、上記本発明の現像ローラを有するものであれば、複写機、ファクシミリ、またはプリンターに限定されるものではない。本発明の現像ローラを搭載した本発明のプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置の一例として、非磁性一成分現像方式のプリンターを以下に説明する。図2において、現像装置10は、非磁性一成分現像剤として現像剤8を収容した現像剤容器と、現像剤容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体5と対向設置された現像ローラ1とを備え、感光体5上の静電潜像を現像して像を形成する。
【0041】
図3に示すように、プリンターには、図示しない回転機構により回転される感光体5の周りには、感光体5の表面を所定の極性・電位に帯電させる帯電部材12が配置される。更に、帯電された感光体5の表面に画像露光を行って静電潜像を形成する、不図示の画像露光装置が配置される。更に、感光体5の周りには、形成された静電潜像上に現像剤を付着させて現像する本発明の現像剤担持体1を有する現像装置10が配置される。更に、紙22に現像剤像を転写した後、感光体5上をクリーニングする装置13が設けられる。紙22の搬送経路上には、転写された現像剤像を紙22上に定着させる定着装置15が配置される。
【実施例】
【0042】
本発明のアクリル樹脂溶液の合成には公知の重合方法を用いることができる。以下に、具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0043】
アクリル樹脂溶液の製造例
(アクリル樹脂溶液1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレ−ト(A1)53.5質量部とアゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと表記)1.0質量部を100質量部のエタノールに溶解し、撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた後、室温に急冷した。続いて、この反応溶液に、エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(B1)40.3質量部とメチルアクリレート(C1)23.6質量部を加え、70℃で4時間反応させた後、室温に急冷した。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%のアクリル樹脂溶液1を得た。アクリル樹脂溶液1の重量平均分子量(Mw)は20300であった。
【0044】
(アクリル樹脂溶液2の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート(A2)53.5質量部、メチルアクリレート(C1)23.6質量部およびAIBN1.0質量部を100質量部のエタノールに溶解し、撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた後、室温に急冷した。続いて、この反応溶液に、エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(B1)40.3質量部を加え、70℃で4時間反応させた後、室温に急冷した。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%のアクリル樹脂溶液2を得た。アクリル樹脂溶液2の重量平均分子量(Mw)は22300であった。
【0045】
(アクリル樹脂溶液3の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルアクリレート(A3)53.5質量部およびAIBN1.0質量部を100質量部のエタノールに溶解し、系が均一になるまで撹拌した。撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた後、室温に急冷した。続いて、この反応溶液に、エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(B1)40.3質量部を加え、70℃で4時間反応させた後、室温に急冷した。続いて、この反応溶液に、メチルアクリレート(C1)23.6質量部を加え、70℃で4時間反応させた後、室温に急冷した。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%のアクリル樹脂溶液3を得た。アクリル樹脂溶液3の重量平均分子量(Mw)は19900であった。
【0046】
(アクリル樹脂溶液4〜15の製造例)
表1に示すモノマーに変更した以外は、アクリル樹脂溶液1の製造例と同様にしてアクリル樹脂溶液4〜15を調製し、得られたアクリル樹脂溶液について重量平均分子量(Mw)測定した。結果を表1に示す。
【0047】
(アクリル樹脂溶液16の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で以下の材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
・共重合成分
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレ−ト(A1)
53.5質量部
エトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(B1) 40.3質量部
メチルアクリレート(C1) 23.6質量部
・溶媒
エタノール 100.0質量部
・重合開始剤
AIBN 1.0質量部
均一混合物の撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた後、室温に急冷した。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%のアクリル樹脂溶液16を得た。得られたアクリル樹脂溶液16の重量平均分子量は20600であった。
【0048】
(アクリル樹脂溶液17〜23の製造例)
共重合成分を表1に示すモノマーに変更した以外は、アクリル樹脂溶液16の製造例と同様にしてアクリル樹脂溶液17〜23を調製し、得られたアクリル樹脂溶液について重量平均分子量(Mw)測定した。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(実施例1)
<軸芯体2の製造>
外径6mm、長さ250mmのSUS304製の芯金にプライマ−(商品名:DY35−051、東レ・ダウコーニング株式会社製)を塗布し、軸芯体2を得た。
【0051】
<弾性層3の製造>
得られた軸芯体2を内径12mmの円筒状金型内に同心となるように設置した。弾性層の原料として液状シリコーンゴム材料(商品名:SE6724A/B、東レ・ダウコーニング社製)100.0質量部に対し、カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製)35.0質量部、耐熱性付与剤としてシリカ粉体0.2質量部、及び白金触媒0.1質量部を混合した付加型シリコーンゴム組成物を金型内に注入した。温度130℃で20分加熱成型した後、金型を温度50℃まで冷却し、軸芯体と一体となった弾性層を金型から取り出した。次に軸芯体と一体となった弾性層を温度200℃で2時間加熱して硬化反応を完結させ、軸芯体2の外周に外径12mmの弾性層3を設けた。
【0052】
<表面層4の製造>
次に表面層の材料として、ポリエステルポリオール(商品名:ニッポラン3027、日本ポリウレタン工業社製)100.0質量部に対し、MDI系ポリイソシアネート(商品名:C2521、日本ポリウレタン工業社製)102.6質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)33.7質量部を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
【0053】
アクリル樹脂溶液1 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌した。この混合液にMEKを加え固形分25質量%に調整したものにポリウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC400(体積平均粒子径14μm)、根上工業株式会社製)20質量部を加え、ボールミルで攪拌分散して、表面層用塗布液を得た。
【0054】
前記で得られた弾性層を設けたローラを用い、表面層用塗布液で浸漬塗工することにより膜厚13μmとなるように塗布した。温度80℃のオーブンで15分乾燥後、温度140℃のオーブンで2時間硬化し、実施例1の現像ローラを得た。
【0055】
(実施例2〜19)
アクリル樹脂溶液1をアクリル樹脂溶液2〜19に変更した以外は、実施例1と同様の方法で実施例2〜19の現像ローラを得た。
【0056】
(実施例20)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、ポリカーボネートポリオール(商品名:ニッポラン980R、日本ポリウレタン工業社製)100.0質量部に対し、MDI系ポリイソシアネート(商品名:C2521、日本ポリウレタン工業社製)122.7質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)35.8質量部を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
【0057】
アクリル樹脂溶液1 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌した。この混合液にMEKを加え固形分25質量%に調整したものにポリウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC400(体積平均粒子径14μm)、根上工業株式会社製)20質量部を加え、ボールミルで攪拌分散して、表面層用塗布液を得た。
【0058】
前記で得られた弾性層を有するローラを用い、表面層用塗布液で浸漬塗工することにより膜厚13μmとなるように塗布した。温度80℃のオーブンで15分乾燥後、温度140℃のオーブンで2時間硬化し、実施例20の現像ローラを得た。
【0059】
(実施例21〜23)
アクリル樹脂溶液1の種類を表2のものに変更した以外は、実施例20と同様の方法で実施例21〜23の現像ローラを得た。
【0060】
(実施例24)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部に対し、MDI系ポリイソシアネート(商品名:C2521、日本ポリウレタン工業社製)124.9質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)36.0質量部を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
【0061】
アクリル樹脂溶液1 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌した。この混合液にMEKを加え固形分25質量%に調整したものにポリウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC400(体積平均粒子径14μm)、根上工業株式会社製)20質量部を加え、ボールミルで攪拌分散して、表面層用塗布液を得た。
【0062】
前記で得られた弾性層を有するローラを用い、表面層用塗布液で浸漬塗工することにより膜厚13μmとなるように塗布した。温度80℃のオーブンで15分乾燥後、温度140℃のオーブンで2時間硬化し、実施例24の現像ローラを得た。
【0063】
(実施例25〜31)
アクリル樹脂溶液1の種類を表2のものに変更した以外は、実施例24と同様の方法で実施例25〜31の現像ローラを得た。
【0064】
(比較例1)
実施例1と同様の手順で軸芯体2を準備し、さらに弾性層3を設けた。次に、表面層4の材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部に対し、メラミン樹脂(商品名:サイメル235、日本サイテックインダストリー社製)30.0質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)19.8質量部を撹拌混合し、総固形分比30質量%になるようにトルエンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散した。
【0065】
アクリル樹脂溶液1 11.7質量部を撹拌モーターにより撹拌しながら徐々に加え、さらに撹拌モーターにより20分間混合撹拌した。この混合液にMEKを加え固形分25質量%に調整したものにポリウレタン樹脂粒子(商品名:アートパールC400(体積平均粒子径14μm)、根上工業株式会社製)20質量部を加え、ボールミルで攪拌分散して、表面層用塗布液を得た。
前記で得られた弾性層を有するローラを用い、表面層用塗布液で浸漬塗工することにより膜厚13μmとなるように塗布した。温度80℃のオーブンで15分乾燥後、温度140℃のオーブンで2時間硬化し、比較例1の現像ローラを得た。
【0066】
(比較例2〜4)
アクリル樹脂溶液の種類を表3に示すようにアクリル樹脂溶液10、16、19に変更した以外は、比較例1と同様の方法で比較例2〜4の現像ローラを得た。
【0067】
(比較例5〜8)
アクリル樹脂溶液の種類を表3のものに変更した以外は、実施例24と同様の方法で比較例5〜8の現像ローラを得た。
【0068】
[分子量測定]
本実施例中における重量平均分子量(Mw)の測定に用いた装置、並びに条件は以下のとおりである。
測定機器:HLC−8120GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー社製)×2本
溶媒:THF(20mM トリエチルアミン添加)
温度:40℃
THFの流速:0.6ml/min
なお測定サンプルは、0.1質量%のTHFとした。更に検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。
検量線作成用の標準試料として、TSK標準ポリスチレンA−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128(東ソー社製)を用いて検量線の作成を行った。これをもとに得られた測定サンプルの保持時間から重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0069】
図3のような構成を有するレーザープリンター(商品名:LBP5300;キヤノン社製)を使用して、得られた現像ローラに対して以下の評価を行った。
【0070】
[現像ローラ上現像剤の摩擦帯電量(Q/M)測定]
温度40℃、相対湿度95%RHの高温高湿環境下において、現像剤容器に現像剤量規制部材と実施例および比較例で得られた現像ローラを装着し、24時間放置した。その後、現像ローラを340rpmで5分間回転することにより現像器内に収容されている現像剤を搬送し、現像剤量規制部材との摩擦帯電で電荷を与えた。その後、現像ローラ上に担持された現像剤を、金属円筒管と円筒フィルターにより吸引捕集し、その際金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた電荷量Q、現像剤を吸引した質量Mを測定した。これらの値から、単位質量当たりの電荷量Q/M(μC/g)を算出し、摩擦帯電量とした。
【0071】
[表面硬度]
得られた現像ローラを温度23℃、相対湿度60%RH環境下および温度40℃、相対湿度60%RHの環境下に24時間放置した。その後、温度23℃、相対湿度60%RH環境下でマイクロゴム硬度計MD−1(商品名、高分子計器株式会社製)を用いて表面硬度を測定した。測定方法は、測定位置は軸方向中心部と、軸方向両端部から内側に各30mmの位置の3点を周方向に角度120°刻みで合計9点に関して、現像ローラ軸方向に測定し、その平均値を現像ローラの表面硬度とした。測定結果を表2および表3に示す。
【0072】
〔高温環境放置後セット跡画像評価〕
温度40℃、相対湿度60%RHの環境下において現像剤容器に現像剤量規制部材と実施例および比較例で得られた現像ローラを装着し、1ヶ月間静置した。その後、温度23℃、相対湿度50%RHの環境下に5時間放置した。これらを前記レーザープリンター中に装填してベタ黒画像を出力し、以下の方法でセット跡画像評価を行った。
A:画像不良は全く認められない。
B:見る角度によってはわずかに横スジがランダムに見える程度。
C:横スジは薄く発生するが実用上問題のないレベル。
D:現像ローラ周期で横スジが発生し、実用上問題であるレベル。
E:現像ローラ周期で明確な横スジが発生し、実用上問題であるレベル。
【0073】
摩擦帯電量測定、表面硬度、セット跡画像評価の結果を以下の表2および表3に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
表2および表3の結果から、本発明に用いるヒンダードアミン骨格を有している実施例1〜31は、ヒンダードアミン骨格を有しない比較例7,8と比較すると、帯電付与性が良好であった。また、ヒンダードアミンとエーテル基とを含有している実施例1〜31は、ヒンダードアミンとエーテル基とのいずれか一方を含有していない比較例5〜8と比較すると、高温環境下での表面硬度の低下抑制効果が良好であった。また、ヒンダードアミン骨格とエーテル基とを含有するアクリル樹脂とポリウレタンとのポリマーブレンドである実施例1〜31は、ポリウレタンとのポリマーブレンドではない比較例1〜4と比較すると、表面硬度の低下抑制効果が良好であった。また、アクリル樹脂がランダム共重合により合成されている実施例16〜19、22、23、28〜31は、ブロック共重合により合成されている実施例1〜15、20、21、24〜27と比較して、表面硬度の低下抑制効果が良好であった。
【符号の説明】
【0077】
1:現像ローラ
2:軸芯体
3:弾性層
4:表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体と表面層とを有する現像ローラであって、
該表面層が、アクリル樹脂とウレタン樹脂とのポリマーブレンドを含み、
該アクリル樹脂は、下記構造式(1)で示す構成単位および下記構造式(2)で示す構成単位を有することを特徴とする現像ローラ。
【化1】

【化2】

(上記構造式(1)〜(2)中、R、RおよびRは各々独立に水素原子またはメチル基、Rは炭素数1乃至4のアルキル基、nは2又は3の整数、mは3乃至8の整数である。)
【請求項2】
前記アクリル樹脂がランダム共重合体である請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像ローラを具備し、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の現像ローラを具備していることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−233964(P2012−233964A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100978(P2011−100978)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】