説明

現像ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真装置

【課題】長期間に渡って安定した電気特性を有し、かつブレードバイアスリークを抑制した現像ローラを提供する。
【解決手段】現像ローラの弾性層に、4級ピリジニウム塩および3級アミンからなる共重合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジ(以下、「プロセスカートリッジ」と呼ぶ)及び電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置において、接触現像に用いる現像ローラの構成として、金属製の軸芯体と、その周面を導電材が分散されたシリコーンゴム組成物の硬化物からなる弾性層(以降、「シリコーンゴム弾性層」ともいう)とを備えた構成が良く用いられている。これは、かかる弾性層は優れた柔軟性を有しており、また、トナーや感光ドラム、或いはトナー量規制ブレードの如き当接部材の劣化や磨耗を低減できる。
【0003】
ところで、近年、トナー量規制ブレードにバイアス電圧を印加させることで、トナーへ効率的に摩擦帯電が付与でき、かつ現像ローラ上に安定したトナー層を形成させる方式が提案されている(特許文献1)。そのため、現像ローラに対してより均一な電気特性が要求されており、現像ローラに分散される導電材としてイオン導電材がよく用いられる。
【0004】
特許文献2では帯電ローラの軸方向及び周方向の電気抵抗値を均一化するために弾性材料に過酸化リチウム等のアルカリ金属過酸化物、4級アンモニウム塩或いは4級ホスホニウム塩の如きイオン導電剤を分散させることが開示されている。アルカリ金属過酸化物やイオン導電材を分散させることによって、リークや感光ドラムの損傷を抑制することが開示されている。また、特許文献3には、弾性層がシリコーンゴムから構成された現像ローラにおいて、弾性層にオイル系イオン導電材を添加することで、現像ローラの圧接部における抵抗変化を抑える効果があることが開示されている。さらに、特許文献4には、現像ローラの最表面層に4級アンモニウム塩を添加することにより、濃度ムラ、階調性不足、ゴーストを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−112212号公報
【特許文献2】特開平9−101652号公報
【特許文献3】特開2005−164784号公報
【特許文献4】特開2003−15403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、本発明者らの検討によれば、イオン導電材を用いて導電化したシリコーンゴム弾性層を備えた現像ローラは、長期の使用によって電気抵抗が大きく変化し、現像剤に対する摩擦電荷付与性が大きく変化してしまう場合がある。 これは、シリコーンゴムの分子間力が小さいがゆえに分子間の凝集力が小さく、通電時のイオン導電材のカチオン種、アニオン種の移動が激しいためであると考えられる。
【0007】
したがって本発明の目的は、柔軟で、かつ、現像剤の摩擦電荷付与性の経時的変化の少ない現像ローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、軸芯体、弾性層及び表面層をこの順に有し、該弾性層が、シリコーンゴム、および
下記構造式(1)および下記構造式(2)からなる群から選ばれる一方または両方の構成単位と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする現像ローラに関する:
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
【化3】

【0012】
(構造式(1)乃至(3)において、R及びRは各々独立して炭素数1以上13以下のアルキル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、RおよびRは各々独立して炭素数1以上2以下のアルキル基を示す。XおよびXはアニオン種を示す)
【0013】
また、本発明に係るプロセスカートリッジは、電子写真装置の本体に脱着可能に装着されるプロセスカートリッジであって、組み込まれた現像ローラが、上記の現像ローラであることを特徴とする。
また、本発明に係る電子写真装置は、感光ドラム及び該感光ドラムに当接して配置される現像ローラを有する電子写真装置であって、該現像ローラが、上記の現像ローラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、現像剤に対する摩擦電荷付与性が経時的に変化し難い現像ローラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の現像ローラの一例の断面図である。
【図2】本発明の現像ローラを搭載したプロセスカートリッジ及び電子写真装置の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の現像ローラの表面層を形成するために適用可能な液循環型浸漬塗工装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の現像ローラの一例の断面図を図1に示す。
本発明の現像ローラ1は、通常、金属の如き導電性材料で形成される軸芯体11を有し、その外周面上に少なくとも1層の弾性層12があり、さらに外周面に少なくとも1層の表面層13が積層されている。
【0017】
<軸芯体11>
軸芯体11は、本図では円柱状であるが、前記軸芯体は中空円筒状であってもよい。
現像ローラ1は、一般的に、電気的なバイアスを印加又は接地されて使用される。そこで、軸芯体11は、支持部材であると共に、導電材として少なくとも表面が導電性である。従って、軸芯体11は、少なくとも外周面がその上に形成される弾性層12に所定の電圧を印加するに十分な導電性の材質からなる。具体的な軸芯体の構成としては以下のものが例示できる。
・Al、Cu合金、SUSの如き金属又は合金製の軸芯体;
・CrやNiのメッキを表面に施した鉄製軸芯体;
・CrやNiのメッキを表面に施した合成樹脂製の軸芯体。
電子写真装置に利用される現像ローラでは、軸芯体11は、通常、外径4mmから10mmの範囲とするのが適当である。
【0018】
<弾性層12>
弾性層12は、シリコーンゴムと、下記構造式(1)および下記構造式(2)からなる群から選ばれる一方または両方の構成単位と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体とを含む、該共重合体により、該弾性層が導電化されている。
ここで、シリコーンゴムとしては成型時の形状安定性などから、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、またはこれらのシロキサンの共重合体が好ましい。
【0019】
【化4】

【0020】
【化5】

【0021】
【化6】

【0022】
構造式(1)乃至(3)において、R及びRは各々独立して炭素数1以上13以下のアルキル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、RおよびRは各々独立して炭素数1以上2以下のアルキル基を示す。XおよびXはアニオン種を示す。
次に前記共重合体を構成する上記構造式(1)、構造式(2)および構造式(3)からなる共重合成分(1)、共重合成分(2)および共重合成分(3)について具体的に説明する。
【0023】
上記構造式(1)からなる共重合成分(1)および構造式(2)からなる共重合成分(2)はピリジニウム基を有し、カチオン性を示す構造である。このような構造を形成する具体的なモノマーとしては1−メチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−エチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−プロピル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ブチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ペンチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ヘプチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−オクチル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ノニル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−デシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−ドデシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−トリデシル−2−ビニルピリジニウムハロイド、1−メチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−エチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−プロピル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ブチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ペンチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ヘプチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−オクチル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ノニル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−デシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−ドデシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、1−トリデシル−2−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸塩、が挙げられる。
【0024】
また上記構造式(3)からなる共重合成分(3)は3級アミン構造を有するものである。
このような構造を形成する具体的なモノマーとしてはN,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートあるいはアクリレートを意味する(以下、同様)。
【0025】
本発明に示す共重合体は、前記のピリジニウム基含有モノマー及び3級アミノ基含有モノマーに加え、さらに他のモノマーと共重合されていても良い。具体的なモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの如きメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらのモノマーは共重合体の極性を調整するために適宜用いることができる。
【0026】
これらのモノマーの共重合比および共重合体の添加量は特に限定されるものではなく、必要に応じて設定することができる。即ち、共重合成分(1)および/または共重合成分(2)の存在比率が大きくなると、添加された現像ローラの電気抵抗値は低下する。これは共重合成分(1)および/または共重合成分(2)がキャリアとして電気導電性に寄与しているためである。
【0027】
また、共重合成分(3)の存在比率が大きくなると、現像ローラの電気特性は長時間使用時にも安定している。これは共重合成分(3)に含まれる3級アミノ基とシリコーンゴム中に含まれる低分子量成分のシリコーンオイルとの親和性が高い。そのために現像ローラに電圧が印加されたときカチオンである共重合成分(1)および/または共重合成分(2)の移動を抑制することができるためである。
【0028】
好ましくは、共重合成分(1)および/または(2)であるピリジニウム基含有モノマーの重合比は20mol%以上80mol%以下、共重合成分(3)である3級アミノ基含有モノマーの重合度比は20mol%以下である。
該共重合体の含有量は、弾性層12に含有されるシリコーンゴム100質量部に対して、現像ローラに要求される電気特性の観点から、0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。また、該共重合体の重量平均分子量(Mw)は生産性あるいはシリコーンゴム中への分散性の観点から10,000以上100,000以下が好ましい。
【0029】
以上のように、弾性層12として前記共重合成分(1)および/または共重合成分(2)と共重合成分(3)からなる共重合体を含有するシリコーンゴムを用いることにより、長時間に渡って安定した電気特性を維持することができる。しかも、イオン導電性を有することから均一な電気特性を示すためにブレードバイアスリークを抑制する効果が得られる。その結果、高品位な画像を長期に亘って形成することが可能となる。
【0030】
ここで、共重合成分(1)および/または共重合成分(2)が有するアニオン種XおよびXはフッ素イオンおよび/または塩素イオンであることが好ましい。これは、フッ素イオンおよび塩素イオンが小さいイオンであるために、電圧印加に対する応答が速いために、所謂ゴーストを抑制することができるからである。
また、前記共重合体は下記構造式(4)から構成される共重合成分(4)を含有することがより好ましい。
【0031】
【化7】

(構造式(4)において、Rは水素原子もしくはメチル基を示し、Rはn−ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、又はジシクロペンテニル基のいずれかを示す)
【0032】
前記構造式(4)において、Rはシクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、又はジシクロペンテニル基のいずれかであることが好ましい。
前記共重合体が、前記構造式(4)からなる共重合成分(4)を含有することによって、その極性が低下することから、シリコーンゴム中での分散性が向上する。その結果、現像ローラとして使用時に画像濃度ムラを低減することができる。
【0033】
<表面層13>
本発明の現像ローラは、図1に示したように、弾性層12の表面を被覆している表面層13を有している。このような表面層の基材樹脂としては、以下のものを挙げることができる。
ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、イミド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ナイロン樹脂、上記の樹脂から選ばれる少なくとも2つの樹脂の混合物。
【0034】
これらのうち摩擦により現像剤(トナー)を帯電する能力が大きく、且つ耐摩耗性を有しているウレタン樹脂が好ましい。なかでも、低硬度でかつ可撓性が高いことからポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂がより好ましい。
上記ポリエーテルポリウレタン樹脂としては、ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。かかるポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を挙げることができる。また、これらのポリオール成分は必要に応じて予め2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
【0035】
また、ポリエステルポリウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得られるものを挙げることができる。かかるポリエステルポリオールとしては、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキシレンアジペート、エチレンアジペート及びブチレンアジペートの共重合体等を使用することができる。
【0036】
これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ポリイソシアネートを挙げることができる。これらは、変性物や共重合物、そのブロック体として用いてもよい。
【0037】
表面層13には、導電性を付与するために導電性付与剤が含有されることが好ましい。導電性付与剤としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの導電性樹脂層中の含有量は、導電性樹脂層を形成する基体樹脂100.0質量部に対して、0.5〜50.0質量部であることが、現像ローラとしての導電性を好ましい範囲にすることができるため好ましい。使用するカーボンブラックの体積平均粒子径に特に制限はないが、皮膜強度と導電付与性の点から、体積平均粒子径15〜50nmであることが好ましい。
【0038】
また、表面層13にはローラ表面の粗さ制御のために微粒子を添加してもよい。粗さ制御用微粒子としては、体積平均粒子径が8〜30μmであることが好ましい。また、樹脂層に添加する粒子添加量が、樹脂層の樹脂固形分100.0質量部に対し、1.0〜50.0質量部であることが好ましい。上記本発明の現像ローラは、プロセスカートリッジタイプの画像形成装置においてはプロセスカートリッジの現像ローラとして、また、複写機、ファクシミリ、プリンタの如き電子写真装置の現像ローラとして有用である。
【0039】
本発明のプロセスカートリッジ及び電子写真装置について、図2にその一例の模式図を示す。
本発明のプロセスカートリッジ22は、少なくとも上記の現像ローラ1、トナー容器24に入れられたトナー23を現像ローラ1に供給するトナー塗布部材7、さらには現像ローラ1の上のトナー搬送量を規制するトナー量規制ブレード9により構成されている。プロセスカートリッジ22は電子写真装置の本体に脱着可能に構成されている。
【0040】
現像ローラ1は感光ドラム21及びトナー塗布部材7に接する状態で装着されている。帯電部材26で帯電された感光ドラム21の上にレーザー光25により静電潜像が形成され、該静電潜像は、現像ローラ1に担持搬送されたトナーにより顕像化され、トナー像とされる。そして、感光ドラム21の上に残ったトナーは、クリーニングブレード28によって掻き取られ、廃トナー容器27の中に掻き落とされる構造となっている。
【0041】
ここでトナー塗布部材7としては、樹脂、ゴム、スポンジ等の弾性ローラ部材が好ましい。中でも、耐久性や硬度、さらにはトナーへの摩擦帯電付与性の点から、発泡ウレタンにより構成された弾性ローラであることがより好ましい。トナー塗布部材としては、弾性ローラに代えてベルト部材又はブラシ部材を用いることもできる。感光ドラム21に現像移行されなかったトナーをトナー塗布部材7により、現像ローラ1の表面から一旦剥ぎ取ることにより、現像ローラ1の上における不動のトナーの発生を阻止し、トナーの帯電を均一化する。
【0042】
次に本発明のプロセスカートリッジに用いられるトナーとしては、粉砕トナーおよび、重合トナーのいずれも使用することができる。中でも、重合トナーは作製工程中でトナー粒径や形状を制御しながら作製することができるため、形状の揃った小粒径のトナーを作製する上で好ましい。
【0043】
トナーの体積平均粒子径及び平均円形度は、特に限定されるものではないが、高解像度で高精細な画像形成が行いやすいため、体積平均粒子径が4〜8μm、平均円形度(S)が0.960≦S≦1.000であることがより好ましい。
なお、トナーの体積平均粒子径は、以下の方法により測定を行うことができる。
コールターマルチサイザーII(商品名、コールター社製)に、個数分布及び体積分布を出力するインターフェース(日科機製)とPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続する。電解液としては、一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製してもよいが、ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)等を使用してもよい。電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を1ml加え、更に測定試料を10mg加える。測定試料を懸濁した電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。超音波処理された電解液を測定サンプルとして、100μmのアパーチャーを採用するコールターマルチサイザーにより、1.59μmから64.00μmの範囲で16チャンネルの体積粒度分布を測定し、測定された50%D径を体積平均粒子径とする。
【0044】
一方、トナーの平均円形度(S)については、上記トナーの球形度を簡便に定量的に表現する指標として、フロー式粒子像測定装置FPIA−2000型(東亜医用電子社製)を用いて測定を行い、下式より求めた値を採用することができる。
(式)
円相当径=(粒子投影面積/π)1/2×2
円形度=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さと定義する。本発明における円形度はトナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になる程、円形度は小さな値となる。
【0045】
次に本発明のプロセスカートリッジに用いられるトナー量規制ブレード9について説明する。現像ローラ1の上のトナーの層厚を規制する部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴム等のゴム弾性を有する材料、或いはリン青銅、ステンレス銅の如き金属弾性を有する材料のトナー量規制ブレード9を使用している。
【0046】
トナー量規制ブレード9を現像ローラ1の回転方向と逆の姿勢で該現像ローラ1に圧接させることにより、現像ローラ1の上に更に薄いトナー層を形成することができる。このトナー量規制ブレード9としては、特に安定した規制力と、トナーへの安定した(負)帯電付与性のために導電性を有していることが好ましく、ステンレス銅を用いることがより好ましい。
【0047】
現像ローラ1に対するトナー量規制ブレード9の当接圧力は、線圧5g/cm以上50g/cm以下であることが、トナーの規制を安定化させ、トナー層厚を好適に調整することができる点で好ましい。
【0048】
図2の模式図に示すカラー電子写真装置は、イエローY、マゼンダM、シアンC及びブラックBKの色トナー毎に設けられた画像形成部10(10a〜10d)をタンデム形式で有している。該画像形成部10は、仕様は各色トナー特性に応じて少し差異があるものの、基本的構成において同じである。また、画像形成部10は電子写真装置より脱着可能な構成となっている。一方、カラー電子画像形成装置においては、上記タンデム形式に限らず、各色のプロセスカートリッジを電子写真装置の本体に組み込まれた感光ドラムの周りに配置し、回転させながら必要な色を現像するロータリー形式であってもよい。
【0049】
感光ドラム21の上のトナー像を、給紙ローラ対37により供給され搬送ベルト34によって搬送される紙等の記録媒体36の裏面からバイアス電源32を印加して、記録媒体36の上に転写する転写ローラ31を有する転写部材が設けられている。搬送ベルト34は、駆動ローラ30、従動ローラ35及びテンションローラ33に懸架され、各画像形成部で形成されたトナー像を記録媒体36の上に順次重畳して転写するように、画像形成部と同期して移動して記録媒体36を搬送するよう制御されている。なお、記録媒体36は、搬送ベルト34にさしかかる直前に設けられた吸着ローラ38の働きにより、搬送ベルト34に静電的に吸着されて、搬送されるようになっている。
【0050】
更に、カラー電子写真装置には、記録媒体36の上に重畳転写したトナー像を加熱などにより定着させる定着装置29と、画像形成された記録媒体36を装置外に排紙する搬送装置(図示せず)とが設けられている。なお、記録媒体36は剥離装置39の働きにより搬送ベルト34から剥がされて定着装置29に送られるようになっている。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0052】
<共重合体溶液の製造例>
(共重合体溶液A1の製造例)
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管を付した4つ口セパラブルフラスコ内で表1に示す材料を混合し、系が均一になるまで撹拌した。
【0053】
【表1】

撹拌を続けながら、反応系内の温度が70℃になるまで昇温し、窒素導入還流状態で8時間反応させた。更に、この溶液をエタノールで希釈して固形分40質量%の共重合体溶液A1を得た。得られた共重合体の重量平均分子量は13800であった。
【0054】
(共重合体溶液A1〜A12、B1、B2、C1〜C11、D1、D2の製造例)
使用する共重合成分(1)〜(4)の種類と入れ目(質量部)を表2に示すとおりにしたこと以外は、A1製造例と同様にして、共重合体溶液A2〜A12、B1、B2、C1〜C11、D1、D2を得た。得られた共重合体の重量平均分子量(Mw)を表2に示す。
【0055】
【表2】

【0056】
表2中、共重合成分の欄に記した略号が示す物質は以下の通りである。

M2VPF :1−メチル−2−ビニルピリジニウムフロライド
H2VPF :1−n−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムフロライド
H2VPCl :1−n−ヘキシル−2−ビニルピリジニウムクロライド
M4VPF :1−メチル−4−ビニルピリジニウムフロライド
M4VPCl :1−メチル−4−ビニルピリジニウムクロライド
H4VPF :1−n−ヘキシル−4−ビニルピリジニウムフロライド
H4VPCl :1−n−ヘキシル−4−ビニルピリジニウムクロライド
H4VPBr :1−n−ヘキシル−4−ビニルピリジニウムブロマイド
H4VPPTSA:1−n−ヘキシル−4−ビニルピリジニウムパラトルエンスルホン酸
Td2VPCl :1−n−トリデシル−2−ビニルピリジニウムクロライド
Td4VPCl :1−n−トリデシル−4−ビニルピリジニウムクロライド
DMAEMA :ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEAEMA :ジエチルアミノエチルメタクリレート
DMAEA :ジメチルアミノエチルアクリレート
BMA :n−ブチルメタクリレート
CHMA :シクロヘキシルメタクリレート
AdMA :アダマンチルメタクリレート
DCPentaMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
DCPenteMA:ジシクロペンテニルメタクリレート
【0057】
〔実施例1〕
(弾性層の調整例)
表3に示す材料を配合して液状シリコーンゴムのベース材料とした。
【0058】
【表3】

【0059】
上記ベース材料に、硬化触媒として塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体の溶液(0.5質量%)0.5質量部を配合したA液を調製した。また、上記ベース材料に、両末端Si−H基のジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(Si原子に結合するH含有量0.30質量%)1.5質量部を配合したB液を調製した。
円筒形金型の中心部に、表面をプライマー処理した直径6mm、長さ364mmのSUM材(快削鋼材)製円柱状軸芯体を配置した。この金型に、A液及びB液を質量比1:1で混合したものを注入し、温度130℃で5分間、加熱硬化し、さらに温度200℃で2時間ポストキュアーして、長さ330mm、厚み3mmの弾性層を有する弾性ローラを得た。
【0060】
(表面層の調整例)
表面層の材料として、ポリエーテルポリオール(商品名:PTG2000、保土谷化学社製)100.0質量部に対し、MDI系ポリイソシアネート(商品名:CORONATE2521、日本ポリウレタン工業社製)124.9質量部、カーボンブラック(商品名:MA230、三菱化学社製)36.0質量部を撹拌混合した。その後、総固形分比30質量%になるようにメチルエチルケトンに溶解、混合の後、サンドミルにて均一に分散して表面層形成用塗料を得た。
【0061】
更に、この表面層形成用塗料を粘度10〜13cpsになるようメチルエチルケトンで希釈後、前記弾性層の上に塗工した。塗工には図3に示す液循環型浸漬塗工装置を用いた。図3の円筒形の浸漬槽40は、現像剤担持体の外径よりわずかに大きな内径を有し、現像剤担持体の軸方向の長さより大きな深さを有している。浸漬槽40の上縁外周には環状の液受け部44が設けられており、撹拌タンク42と接続されている。また浸漬槽40の底部は撹拌タンク40と接続されている。撹拌タンク42の塗料は、液送ポンプ41によって浸漬槽40の底部に送り込まれる。浸漬槽40の上端部からは、塗料がオーバーフローしており、浸漬槽40の上縁外周の液受け部44を介して撹拌タンク42に戻る。弾性層12を設けた軸芯体11は昇降装置43に垂直に固定され、浸漬槽40の中に浸漬し、引き上げることで弾性層12の上に塗料が塗工される。塗工した塗料を乾燥させた後、温度150℃にて1時間加熱処理することで弾性層12の外周に膜厚約20μmの表面層13を設け、現像ローラ1を得た。
【0062】
〔実施例2〜12〕
弾性層の調整例における共重合体溶液A1をA2〜A12に変更した以外は実施例1と同様の方法で現像ローラ2〜12を得た。
〔実施例13〜14〕
弾性層の調整例における共重合体溶液A1をB1〜B2に変更した以外は実施例1と同様の方法で現像ローラ13〜14を得た。
〔実施例15〜25〕
弾性層の調整例における共重合体溶液A1をC1〜C11に変更した以外は実施例1と同様の方法で現像ローラ15〜25を得た。
〔実施例26〜27〕
弾性層の調整例における共重合体溶液A1をD1〜D2に変更した以外は実施例1と同様の方法で現像ローラ26〜27を得た。
【0063】
〔比較例1〕
弾性層の調製例における共重合体溶液A1を下記表4に記載の組成の溶液に変えた以外は実施例1と同様にして現像ローラ28〜33を得た。
【0064】
【表4】

【0065】
〔比較例2〜4〕
比較例1において、表4に記載の組成の溶液の組成を下記表5のように変えた以外は比較例1と同様に弾性層の調製例における共重合体溶液の代わりに、エタノール100.0質量部に対して、を加えた溶液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で現像ローラ29〜31を得た。
【0066】
【表5】

【0067】
〔比較例5〕
弾性層の調製例における共重合体溶液A1の代わりに、導電材としてエタノール100.0質量部に対して、テトラブチルアンモニウムフロライド20.0質量部を加えた溶液に変更した以外は、実施例1と同様の方法で現像ローラ32を得た。
〔比較例6〕
弾性層の調製例における共重合体溶液A1の代わりに、導電材としてアセチレンブラック(商品名:デンカブラック;電気化学工業社製)7.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様の方法で現像ローラ33を得た。
【0068】
[分子量測定]
本実施例中における重量平均分子量(Mw)の測定に用いた装置、並びに条件は以下のとおりである。
測定機器:HLC−8120GPC(東ソー社製)
カラム:TSKgel SuperHM−M(東ソー社製)×2本
溶媒:THF(テトラヒドロフラン、20mM トリエチルアミン添加)
温度:40℃
THFの流速:0.6ml/min
なお測定サンプルは、0.1質量%のTHF溶液とした。更に検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いて測定を行った。
検量線作成用の標準試料として、TSK標準ポリスチレンA−1000、A−2500、A−5000、F−1、F−2、F−4、F−10、F−20、F−40、F−80、F−128(東ソー社製)を用いて検量線の作成を行い、これをもとに得られた測定サンプルの保持時間から重量平均分子量を求めた。
【0069】
上記実施例及び比較例で得られた現像ローラについて下記の評価を行った。評価結果を表4に示す。なお、評価に用いたレーザープリンタ(商品名:Satera LASER BEAM PRINTER LBP9600C;キヤノン株式会社製)は、A3用出力用のマシンであり、記録媒体の出力スピードが30枚/分である。また、現像ローラのトナー量規制ブレードへの当接圧力及び進入量は、現像ローラ上のトナー担持量が0.40mg/cm2となるようにした。
【0070】
(1)耐久性評価;
各実施例及び比較例に係る現像ローラの各々を、前記レーザープリンタのマゼンタカートリッジに現像ローラとして組み込み、温度25℃、湿度50%RHの環境下で電子写真画像を出力した。具体的には、カートリッジ装着後にベタ黒画像を1枚出力した後、印字率1%の画像を5000枚出力し、次いでベタ黒画像を1枚出力した。この作業を合計で15000枚出力するまで繰り返して行った。出力したベタ黒画像について、濃度計(商品名:504分光濃度計;エックスライト株式会社製)を用いて濃度を測定し、下記基準で評価した。
A:1枚目と15000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2未満のもの。
B:1枚目と10000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2未満であり、かつ1枚目と15000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2以上のもの。
C:1枚目と5000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2未満であり、かつ1枚目と10000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2以上のもの。
D:1枚目と5000枚目のベタ黒画像の濃度差が0.2以上のもの。
【0071】
(2)ブレードバイアスリーク評価;
各実施例及び比較例に係る現像ローラの各々を、前記レーザープリンタのブラックカートリッジに現像ローラとして組み込み、さらに、カートリッジ内に装着されている現像ブレードにバイアスがプリンタの外部から印加されるように改造した。このカートリッジを前記レーザープリンタに装填し、温度30℃、湿度80%RHの環境下で現像ブレードに印加される電圧を調整しながらハーフトーン画像を出力した。尚、ハーフトーン画像は、前記濃度計を用いた測定による濃度が0.7のものとした。出力したハーフトーン画像について、目視により観察し、下記基準でブレードバイアスリークを評価した。
A:現像バイアスに対する現像ブレードバイアスが−500Vまでブレードバイアスリークに起因する横スジの発生が確認されないもの。
B:現像バイアスに対する現像ブレードバイアスが−300Vから―500Vまでにブレードバイアスリークに起因する横スジの発生が確認されるもの。
C:現像バイアスに対する現像ブレードバイアスが−100Vから―300Vまでにブレードバイアスリークに起因する横スジの発生が確認されるもの。
D:現像バイアスに対する現像ブレードバイアスが−100Vまでにブレードバイアスリークに起因する横スジの発生が確認されるもの。
【0072】
(3)ゴースト;
各実施例及び比較例に係る現像ローラの各々を、前記レーザープリンタのマゼンタカートリッジに現像ローラとして組み込み、温度15℃、湿度10%RHの環境下で電子写真画像を出力した。具体的には、画像先端の現像ローラ1周分に相当する領域を白地にベタ黒の象形(正方形、及び円形)の画像を等間隔で配置し、それ以外の部分を前記ハーフトーンとしたものを用いた。出力された画像のハーフトーン上に象形画像のゴーストがどのように出現するかについて目視により確認し、下記基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:見る角度によってわずかな濃淡差が確認できる程度。
C:ゴーストが目視で明確に確認される。
D:ゴーストが現像ローラ2周分あるいはそれ以上にわたって現れている。
【0073】
(4)画像濃度ムラ;
上記評価項目(1)において出力した1枚目のベタ黒画像を目視により観察し、下記基準にて評価した。
A:画像濃度ムラが確認されない。
B:見る角度によってわずかな濃度ムラが確認される。
C:通常の見方により濃度ムラがわずかに確認されるが、実用上問題が無い。
D:明らかな濃度ムラが確認される。
【0074】
実施例1〜27および比較例1〜6の評価結果を表6に示す。
【0075】
【表6】

【0076】
表に示すように、実施例における現像ローラ1〜27において、4級ピリジニウム塩である共重合成分(1)及び/または(2)と3級アミンである共重合成分(3)の共重合体を有するために、耐久性およびブレードバイアスリークに対して高い効果が得られた。
さらに、現像ローラ1〜8、10、12〜22、24、26、27においては、4級ピリジニウム塩が有するアニオン種がF及び/またはClであるために、現像ローラの電流値が適正化されゴースト評価において高い効果が得られた。
また、現像ローラ15〜27において、共重合成分(4)が有する官能基Rがシクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、又はジシクロペンテニル基のいずれかであるために、シリコーンゴム中での分散性が高いため、濃度ムラに高い効果が得られた。
【0077】
一方、比較例における現像ローラ28〜31においては、4級ピリジニウム塩及び/または3級アミンが共重合体を形成していないために、耐久性及び/またはブレードバイアスリークに対して効果が得られなかった。
また、現像ローラ32においては、電子導電系のカーボンブラックを用いたことにより、ブレードバイアスリークに効果が得られなかった。
さらには、現像ローラ33において、イオン導電材として4級アンモニウム塩を用いたが、耐久性に対して効果が得られなかった。
【符号の説明】
【0078】
1 現像ローラ
7 トナー塗布部材
9 トナー量規制ブレード
10 画像形成部
10a〜10d画像形成部(各色用)
11 軸芯体
12 弾性層
13 表面層
21 感光ドラム
22 プロセスカートリッジ
23 トナー
24 トナー容器
25 レーザー光
26 帯電部材
27 廃トナー容器
28 クリーニングブレード
29 定着装置
30 駆動ローラ
31 転写ローラ
32 バイアス電源
33 テンションローラ
34 搬送ベルト
35 従動ローラ
36 記録媒体
37 給紙ローラ対
38 吸着ローラ
39 剥離装置
40 浸漬槽
41 液送ポンプ
42 攪拌タンク
43 昇降装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体、弾性層及び表面層をこの順に有し、
該弾性層が、
シリコーンゴム、および
下記構造式(1)および下記構造式(2)からなる群から選ばれる一方または両方の構成単位と、下記構造式(3)で示される構成単位とを有する共重合体を含有することを特徴とする現像ローラ:
【化1】

【化2】

【化3】

(構造式(1)乃至(3)において、R及びRは各々独立して炭素数1以上13以下のアルキル基を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2以上4以下のアルキレン基を示し、RおよびRは各々独立して炭素数1以上2以下のアルキル基を示す。XおよびXはアニオン種を示す)。
【請求項2】
前記アニオン種XおよびXがフッ素イオン、または塩素イオンである請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記共重合体が、構造式(4)で示される構成単位を更に有する請求項1または2に記載の現像ローラ:
【化4】

(構造式(4)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Rはn−ブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、又はジシクロペンテニル基のいずれかを示す)。
【請求項4】
前記構造式(4)において、Rがシクロヘキシル基、アダマンチル基、ジシクロペンタニル基、又はジシクロペンテニル基のいずれかである請求項3に記載の現像ローラ。
【請求項5】
電子写真装置の本体に脱着可能に構成されているプロセスカートリッジであって、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラを有していることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
感光ドラム及び該感光ドラムに当接して配置されている現像ローラを有する電子写真装置であって、該現像ローラが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−181370(P2012−181370A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44352(P2011−44352)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】