説明

現像ローラ、現像ローラの製造方法、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】軸心体を被覆するシリコーンゴムとカーボンブラックとを含む導電性弾性層と、表面層とを有し、かつゴースト画像の発生を抑制された現像ローラ。
【解決手段】導電性の弾性層700と、表面層701とを有している現像ローラであって、弾性層700は、カーボンブラックとシリコーンゴムとを含みカーボンブラックの含有量が弾性層に対して7質量%乃至17質量%であり、かつカーボンブラックは粒径個数分布の最小径ピーク中心が10nm乃至40nmの範囲にあり、弾性層の密度が1.01g/cm3乃至1.07g/cm3の範囲にあり、更に弾性層の表面近傍における炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)をX、弾性層の表面からの深さ100μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をY、弾性層の表面からの深さ200μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をZとしたとき、X、Y及びZが特定の関係を満足する現像ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター及び複写機の如き画像形成装置及び電子写真プロセスカートリッジに用いられる現像ローラ及びその製造方法、現像ローラを具備した電子写真プロセスカートリッジ、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現像ローラは、良導電性金属からなる軸心体と、その周囲を被覆する導電性の弾性層とからなる構成を有している(特許文献1)。
【0003】
また、導電性の弾性層としては、シリコーンゴムにカーボンブラック等の導電剤を分散させたものが多用されている(特許文献2)。特許文献2は、導電性の弾性層を注型成形法により形成した場合に、導電剤が軸心体側に偏在してしまい導電性が不均一となるという課題を提示している。そして係る課題に対し、特定のDBP吸油量のカーボンブラックを配合した、特定の比重の液状シリコーンゴムを用いて導電性弾性層を形成することで体積抵抗値の均一な導電性弾性が得られることを開示している。
【0004】
ところで、特許文献1は、現像ローラの構成として、表面の汚染防止のために、導電性の弾性層上に更に表面層を設けた構成を提案している。
【特許文献1】特開2002−147437号公報
【特許文献2】特開2001−227530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、現像ローラ表面の汚染を有効に抑制するためには、導電性の弾性層を被覆する表面層の使用は不可避との認識の下、高品位な電子写真画像を与える現像ローラの開発を進めてきた。その過程で、カーボンブラックを均一に分散させ、体積抵抗を均一化した導電性の弾性層と該弾性層上に形成した表面層とからなる現像ローラを用いて電子写真画像を形成すると、当該現像ローラ起因のゴースト画像が発生することがあることを知見した。ゴースト画像とは、前に印刷された出力画像が現像ローラ上に残り、現像ローラの回転周期に合わせて本来の画像上に残像として重畳的に形成される画像をいう。そして、このようなゴースト画像の発生は、導電性弾性層上に表面層を積層した構成を有する現像ローラにおいて顕著であったところ、本発明者等は、当該ゴースト画像の発生が、表面層の存在に由来するものと推測した。
【0006】
そこで、本発明の目的は、軸心体と、該軸心体を被覆するシリコーンゴムと導電剤としてのカーボンブラックとを含む導電性弾性層と、表面層とを有し、かつゴースト画像の発生を抑制することのできる現像ローラ及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
また本発明の他の目的は、ゴースト画像(現像ローラ周期の残像)の低減された良好な電子写真画像を与える電子写真プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的に鑑み、本発明者らは、導電性弾性層上に表面層を設けた現像ローラについて更なる考察を重ねた。その結果、以下のようなメカニズムによりゴースト画像が発生するものと推測した。すなわち、導電性弾性層と表面層との間の界面が微小な抵抗層として機能し、その部分で電荷が停滞し、残存電荷として存在する。かかる残存電荷により、現像部と非現像部との現像ローラ表面にかけて電位差が生じ、画像上の残像となりゴースト画像が発生する。
【0009】
このような推測の下、導電性弾性層と表面層との界面に電荷が停滞することを抑制し得る現像ローラの構成について検討を重ね、当該界面近傍に近いほどカーボンブラックのシリコーンゴムに対する比率を高めることにより上記の目的を良く達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る現像ローラは、
導電性の軸芯体と、該軸芯体の周囲に形成された厚さ0.5mm乃至6.0mmの導電性の弾性層と、表面層とを有している現像ローラであって、
該弾性層は、カーボンブラックと、該カーボンブラックのバインダーとしてのシリコーンゴムとを含み、該カーボンブラックの含有量が、該弾性層に対して7質量%乃至17質量%であり、かつ該弾性層中の該カーボンブラックは、その粒径個数分布において少なくとも2つのピークを有し、該粒径個数分布の最小径ピーク中心が10nm乃至40nmの範囲にあり、
該弾性層の密度が1.01g/cm3乃至1.07g/cm3の範囲にあり、更に、該弾性層の表面近傍における炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)をX、表面からの深さ100μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をY、表面からの深さ200μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をZとしたとき、X、Y及びZが下記式(1)及び(2)の関係を満足することを特徴とする:
1.50≧X/Y≧1.10・・・(1)
1.10≧Y/Z≧1.02・・・(2)。
【0011】
このような構成によれば、導電性弾性層の表面近傍を電流が流れやすい構成となることにより、導電性の弾性層上に表面層が形成されてなる多層構成の現像ローラにおける弾性層と表面層との間の界面に起因するゴースト画像の発生を有効に抑制することができた。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、導電性の弾性層と、当該弾性層上の表面層とを有する多層構成の現像ローラの、当該多層構成に起因すると推測されるゴースト画像の発生が有効に抑制される。また、表面層を設けたことによる現像ローラ表面への現像剤の固着等による汚れもまた有効に抑制されうるものとなる。
【0013】
さらに、このような現像ローラの使用により、ゴーストの発生を低減した高品位な電子写真画像を安定して形成可能な画像形成装置及びそれに用いることができる電子写真プロセスカートリッジを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明による現像ローラ、及び該現像ローラの製造方法、該製造方法により製造された現像ローラ及び該現像ローラ等を具備する、電子写真プロセスカートリッジ、画像形成装置について詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る現像ローラは、導電性の軸芯体と、該軸芯体の周囲に形成された厚さ0.5mm乃至6.0mmの導電性の弾性層と、表面層とを有している。
【0016】
該弾性層はカーボンブラックと、該カーボンブラックのバインダーとしてのシリコーンゴムとを含み、該カーボンブラックの含有量が、該弾性層に対して7質量%乃至17質量%である。
【0017】
また、該弾性層中の該カーボンブラックは、その粒径個数分布において少なくとも2つのピークを有し、該粒径個数分布の最小径ピーク中心が10nm乃至40nmの範囲にある。
【0018】
また、該弾性層は密度が1.01g/cm3乃至1.07g/cm3の範囲にある。
【0019】
更に、該弾性層の表面近傍における炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)をX、該弾性層の表面からの深さ100μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をY、該弾性層の表面からの深さ200μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をZとしたとき、X、Y及びZが下記式(1)及び(2)の関係を満足する:
1.50≧X/Y≧1.10・・・(1)
1.10≧Y/Z≧1.02・・・(2)。
【0020】
上記X、Y及びZの各々は、弾性層表面近傍、該弾性層の表面から深さ100μm及び200μmの位置における炭素原子のケイ素原子に対する存在割合を表す。そして、X、Y及びZが、上記式(1)及び(2)を満たすとは、弾性層の断面形状において、弾性層の表面に近くなるに従い炭素原子のケイ素原子に対する存在割合が高くなることを意味している。このことにより、弾性層の表面付近の導電性が相対的に高くなり、弾性層と表面層との界面における電荷の残存を低減させられる効果がある。X/Yは、好ましくは1.20以上1.40以下である。また、Y/Zは、好ましくは、1.05以上1.20以下である。
【0021】
そして、X/Yが1.10未満、又はY/Zが1.02未満であるとゴースト画像の軽減を図ることが困難となる。これは、弾性層表面に流れる電流が少なすぎて、微小抵抗となる界面の影響を受けやすくなるためであると考えられる。
【0022】
X/Yが1.50を超え、又はY/Zが1.10を超えると感光ドラム側に電流がリークしてしまうことがある。弾性層表面の表面抵抗が低くなりすぎるためと考えられる。
【0023】
・シリコーンゴムについて;
弾性層を構成するバインダーとしては、シリコーンゴムを用いる。適度に低硬度であり良好な変形回復力を持たせることができるためである。
【0024】
シリコーンゴムの原料としては、付加反応架橋型液状シリコーンゴム(以降「液状シリコーンゴム」ともいう)を用いることが好ましい。液状シリコーンゴムは、例えばアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(A液)及びオルガノハイドロジェンポリシロキサン(B液)を含み、さらに触媒や他の添加物を適宜含む組成物である。オルガノポリシロキサンはシリコーンゴム原料のベースポリマーであり、その分子量は特に限定されないが重量平均分子量1万以上100万以下が好ましく、重量平均分子量5万以上70万以下がより好ましい。
【0025】
上記オルガノポリシロキサンのアルケニル基は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの活性水素と反応して架橋点を形成する部位である。当該アルケニル基の好適な具体例としては、活性水素との反応性が高いビニル基、アリル基が挙げられる。特にビニル基がより好ましい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、硬化工程における付加反応の架橋剤の働きをするもので、一分子中のケイ素原子結合水素原子の数は2個以上であり、硬化反応を好適に行わせるために、3個以上のポリマーが好ましい。
【0026】
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの平均分子量は特に制限がなく、好ましい重量平均分子量は1000から10000程度である。硬化反応を好適に行わせるためには、比較的低分子量である重量平均分子量1000以上5000以下のポリマーが好ましい。
【0027】
液状シリコーンゴムは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの架橋触媒として、公知の白金系触媒を含むことが好ましい。例えば、白金単体、白金化合物、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、エーテル化合物、水和物との錯体が挙げられる。また、架橋触媒として、ヒドロシリル化反応において触媒作用を示す遷移金属化合物も使用できる。架橋触媒の添加量は、オルガノポリシロキサンに対し、白金原子あるいは遷移金属原子として1ppm以上2000ppm以下の範囲が好ましい。
【0028】
本発明にかかる、炭素原子のケイ素原子に対する存在比率が厚さ方向で変化してなる弾性層は、導電性のカーボンブラックのバインダー樹脂としてのシリコーンゴムに対する存在比率が表面側に行くほどに高めた弾性層により達成可能である。
【0029】
すなわち、カーボンブラックとシリコーンゴムとからなる単層の弾性層の表面側に行くほどカーボンブラックが密に存在するようにカーボンブラックを偏在させることで、前記式(1)、(2)の関係を満たす弾性層とすることができる。
【0030】
このような弾性層を得るための原料としての液状シリコーンゴムには、粒径個数分布のピークが少なくとも2つに分かれるように粒径の異なるカーボンブラックを配合することが必要である。
【0031】
ここで、粒径個数分布とは、カーボンブラックの粒径測定法により得られるカーボンブラックの一次粒径分布を表すものである。
【0032】
一次粒径(以降「粒径」とする)のピークが1つであり、さらにピーク中心が分布の小さい領域にある場合、カーボンブラックがある程度の強い凝集性をもつために、成形時にせん断のかかる弾性層の表面近傍には存在しにくくなる。つまり、弾性層の表面付近に近づくに連れてカーボンブラック濃度が低くなりやすい。また、粒径の大きいカーボンブラックのみを使用した場合、カーボンブラック同士のネットワークが形成されにくいために過剰量の配合が必要になる。それにより、圧縮永久ひずみや反発弾性などの物性値に悪い影響を与えてしまう。
【0033】
しかし、カーボンブラックの粒径個数分布においてピークが少なくとも2つに分かれるようにカーボンブラックを配合した液状シリコーンゴムを用いて弾性層を形成すると、得られた弾性層の表面付近により多くのカーボンブラックを存在させることができる。
【0034】
その詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。すなわち、液状シリコーンゴムに含まれる凝集性の弱いカーボンブラックは、弾性層の成形時に該液状シリコーンゴムに加わるせん断力によって該液状シリコーンゴム中で対流する。これと同時に、液状シリコーンゴム中の凝集性の強いカーボンブラックは、凝集性の弱いカーボンブラックが存在することで凝集力が弱まり弾性層となる層の内側に偏在することが抑制される。なかには凝集性の強いカーボンブラックに凝集性の弱いカーボンブラックが吸着され、ストラクチャーが巨大化したものが存在し、それらは弾性層の内側から外側へ流れる対流により層の表面に流れ込む現象が起きている。その結果、弾性層の表面近傍にいくに従いカーボンブラック濃度が高くなっているものと考えられる。
【0035】
液状シリコーンゴムに配合するカーボンブラックに関して、粒径個数分布のピークのうち、最も小粒径側に位置するピークの中心(以降「最小径ピーク中心」ともいう)は、10nm以上40nm以下の範囲とする。最小径ピーク中心が、10nm未満となった場合、カーボンブラック自体の凝集性が強く、ポリマーに対する比率が小さい場合には、シリコーンゴムへの均一分散が困難になることがある。一方、最小径ピーク中心が、40nmを超えると、カーボンブラック自体の凝集性が弱く、シリコーンゴムへの均一分散性は良い方向になるが、カーボンネットワークが少なくなり電流が流れにくい方向になる。ここでは、10nm以上40nm以下のカーボンブラックがカーボンネットワークを適度に形成するのに必要なものである。
【0036】
粒径の大きい方のカーボンブラックの粒径はとくに限定されるものではなく、粒径の小さい方のカーボンブラックと粒径分布のピークが分かれるようなものであれば良い。また個数粒径分布において、最小径ピークよりも粒径の大きい側に位置するピークの中心の位置は、最小径ピーク中心から少なくとも40nmもしくはそれ以上離れていることが好ましい。上記した弾性層の厚み方向におけるカーボンブラックのシリコーンゴムに対する存在比率の偏在化を促すためである。
【0037】
粒径分布のヒストグラムから求められる2種類以上のカーボンブラックのうち、最小径のものをAとしたとき、ピーク位置個数比Aの割合が好ましくは25%以上70%以下である。25%より大きければ前述したように、粒径の小さい、導電性を引き出すためのカーボンブラック量が適当で現像ローラとしての電気特性を得ることができる。70%よりも小さければ、凝集性の強いカーボンブラック量が適当で、弾性層表面近傍のカーボンブラック濃度が低くはならないので好ましい。
【0038】
カーボンブラックの種類としては、例えば以下のものが挙げられる。
SAF(Super Abrasion Furnace)、
ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)、
HAF(High Abrasion Furnace)、
MAF(Medium Abrasion Furnace)、
FEF(Fast Extruding Furnace)、
GPF(General Purpose Furnace)、
SRF(Semi Reinforcing Furnace)、
FT(Fine Thermal)、
MT(Medium Thermal)。
【0039】
さらには、酸化処理を施した酸性カーボン、熱分解カーボンの如き汎用のものが挙げられる。
【0040】
液状シリコーンゴムに配合するカーボンブラック量は、液状シリコーンゴムに対して7質量%以上17質量%以下である。これは、弾性層に必要な103Ωcm以上108Ωcm以下の体積抵抗を担持させるためである。
【0041】
シリコーンゴム成形物からなる弾性層の密度は1.01g/cm3以上1.07g/cm3以下の範囲である。通常のシリコーンポリマーの密度は0.98g/cm3程度である。そして、弾性層の密度が1.01g/cm3未満だとシリコーンポリマーに対するフィラーの充填率が少ない。そのため、特に導電性の強いカーボンブラックを使用した場合にも十分なカーボンブラックのネットワークを作り出せず、弾性層に所望の体積抵抗値を付与できない場合がある。
【0042】
一方、弾性層の密度が1.07g/cm3を超えると密度差の大きなフィラーが多く混在することで、軸芯体近傍でのカーボンブラックの分散性の悪化などにつながり、現像ローラとしての必要な電気特性を得ることが困難となることがある。
【0043】
シリコーンゴムに配合される全フィラー中のカーボンブラックの面積相当割合は好ましくは95%以上100%以下である。カーボンブラックのシリコーンゴム中における分散状態の他のフィラーによる影響を軽減し、又は排除することができるためである。
【0044】
弾性層の厚みとしては、現像ローラとしての特性を引き出すのに0.5mm以上6.0mm以下が好ましい。2.0mm以上3.0mm以下がさらに好ましい。現像剤や他の接触部材に与えるストレスが小さく、現像カートリッジの小型化できるためである。
【0045】
・現像ローラの調製方法;
本発明に係る現像ローラの調製方法について説明する。
【0046】
先ず、液状シリコーンゴムにカーボンブラックを配合して液状シリコーンゴム組成物を調製する。カーボンブラックは、前記したように液状シリコーンゴム中における粒径個数分布において少なくとも2つのピークを有するように、かつ最小径ピーク中心が10nm以上40nm以下となるように配合する。
【0047】
液状シリコーンゴム組成物には、必要に応じて非導電性充填材、可塑剤などの各種添加剤が本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合されていてもよい。非導電性充填剤としては、シリカ、石英、酸化チタン、炭酸カルシウム、亜鉛、アルミナが挙げられる。可塑剤としては、ポリジメチルシロキサンオイル、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール、フタル酸誘導体、アジピン酸誘導体が挙げられる。また、シリコーンゴム組成物には、耐熱剤、難燃剤、酸化防止剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、架橋助剤、チキソ剤などを配合しても差し支えない。
【0048】
次いで、導電性の軸芯体の外周側に該軸芯体と同芯となるようにリング型の塗工ヘッドを配し、該軸芯体を該塗工ヘッドに対して相対的に軸方向に移動させ、該移動時に該塗工ヘッドから該軸芯体の外周上に向けて液状シリコーンゴム組成物を供給する。このとき、液状シリコーンゴム組成物の降伏応力を20Pa以上600Pa以下とすることが好ましい。降伏応力のより好ましい範囲は、100Pa以上400Pa以下である。
【0049】
降伏応力(しばしば降伏点と呼ばれる)とは、応力がそれ以下では、試料が固体として振舞う限界応力のことである。応力により試料はバネのように弾性的に変形するが、この応力が取り除かれると変形は消失する。降伏応力以下では、加えられる応力と変形は比例関係を保つ。降伏応力を超えると、凝集フィラーによって形成されていた3次元網目構造の構造破壊が生じ、試料は流動を開始する。加えられた応力によって際限なく変形し続け、応力を除いても元の形状に戻ることはない、などの特徴を持つ。
【0050】
降伏応力が20Pa以上600Pa以下の範囲にある場合、塗工厚みに対する寸法精度を維持し、塗工面の平滑さとのバランスを最良の状態で、両立することができる。
【0051】
軸芯体は、電極及び支持部材として機能するものである。軸芯体は、鉄、アルミニウム,銅合金,ステンレス鋼の金属又は合金にクロム,ニッケルで鍍金処理を施してもよい。形状は、円柱形や中心部を空洞化した円筒形が好ましい。軸芯体の外径は適宜決めることができるが、通常直径4mm以上20mm以下の範囲にすることが好ましい。
【0052】
図1にリング型の塗工ヘッドを用いる成形機の概略図を示す。図1に示す成形機は、架台1の上に略垂直にコラム2が取り付けられ、さらに架台1とコラム2の上部に精密ボールネジ3が略垂直に取り付けられている。14はリニアガイドであり、精密ボールネジ3と平行に2本がコラム2に取り付けられている。LMガイド4はリニアガイド14と精密ボールネジ3とを連結し、サーボモータ5よりプーリ6を介して回転運動が伝達され昇降できるようになっている。コラム2には軸芯体102の外周側にシリコーンゴム組成物の未硬化物を軸芯体の外周上に塗布するリング形状の塗工ヘッド8が取り付けられている。さらにLMガイド4にはブラケット7が取り付けられ、下側のブラケット7には軸芯体102を保持し固定する軸芯体下保持軸9が略垂直に取り付けられている。また、ローラの軸芯体102の逆側を保持する軸芯体上保持軸10の中心軸が、上側のブラケット7に取り付けられ、軸芯体上保持軸10は軸芯体下保持軸9に対向して略同芯になるように配置して軸芯体を保持している。さらにリング形状の塗工ヘッド8の中心軸は軸芯体下保持軸9と軸芯体上保持軸10の移動方向と平行となるようにそれぞれに支持されている。また、軸芯体下保持軸9及び軸芯体上保持軸10が昇降移動時において塗工ヘッド8の内側に開口した環状スリットに成っている吐出口の中心軸と軸芯体下保持軸9及び軸芯体上保持軸10の中心軸が略同芯になるように調節してある。このような構成により塗工ヘッド8の環状スリットに成っている吐出口の中心軸を軸芯体の中心軸に略同芯に合わせることができ、リング形状の塗工ヘッドの内周面と前記軸芯体102の外周面との間に均一な隙間が形成される。
【0053】
また、液状シリコーンゴム組成物の供給口11は、液状シリコーンゴム組成物の搬送用の配管12を介して材料供給弁13に接続されている。材料供給弁13は、その手前に混合ミキサー、材料供給ポンプ、材料定量吐出装置、材料タンク等を備え、定量(単位時間当たりの量が一定)の液状ゴムを吐出可能としている。液状ゴムは材料タンクから、材料定量吐出装置により一定量計量され、混合ミキサーで混合される。その後、材料供給ポンプにより混合されたシリコーンゴム組成物は、材料供給弁から配管12を経由して、供給口に送られる。
【0054】
さらに、液状シリコーンゴム組成物は、リング型の塗工ヘッド内の液状シリコーンゴム組成物流路を通り、リング型の塗工ヘッドのノズルから吐出する。液状シリコーンゴム組成物の肉厚を一定にさせるために、リング状塗工ヘッドノズルからの吐出量と材料供給ポンプからの供給量を一定にして、軸芯体保持軸を垂直方向(軸芯体の中心軸方向)に昇降移動させる。これにより、軸芯体は塗工ヘッド8に対して相対的に軸方向に移動し、軸芯体の外周上に液状シリコーンゴム組成物からなる円筒形状(ローラ形状)の未硬化物の層101が形成される。この時、軸芯体とリング型の塗工ヘッドノズルとのクリアランスは、所望の弾性層の層厚程度にすることが好ましい。
【0055】
次の工程で、軸芯体の周囲に形成した未硬化の液状シリコーンゴム組成物の層101を赤外線加熱で熱処理し硬化し、弾性層とする。未硬化の液状シリコーンゴム組成物の表面は、粘着性を有している。このため、熱処理する方法としては非接触で、装置が簡易で、シリコーンゴム組成物の未硬化物の層101を長手方向に均一に熱処理できる赤外線加熱が好ましい。この時、赤外線加熱装置を固定し、シリコーンゴム組成物からなる円筒形状(ローラ形状)の未硬化物層を設けた軸芯体を周方向に回転させることにより、周方向に均一に熱処理が行われる。熱処理の温度としては、使用する液状シリコーンゴム組成物にもよるが、硬化反応が開始する100℃以上250℃以下が好ましい。
【0056】
ここで、弾性層の硬化後の物性安定化、弾性層中の反応残渣及び未反応低分子分を除去する等を目的として、赤外線加熱後の弾性層に更に熱処理等を行う二次硬化を行わせても良い。
【0057】
以上のようにして形成された弾性層の外周側に耐磨耗性やトナー帯電性、離形性の観点から、さらに表面層を設ける。表面層を形成する材料としては、各種のポリアミド、フッ素樹脂、水素添加スチレン−ブチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂、オレフィン樹脂が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてよく、又は二種以上を混合して用いてもよい。これらの材料には必要に応じて各種添加剤が添加される。
【0058】
これらの表面層を構成する材料は、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、ボールミルの如きビーズを利用した従来公知の分散装置を使用して、分散させることができる。得られた表層形成用の分散体は、スプレー塗工法、又はディッピング法により弾性層の表面に塗工することができる。表面層の厚みは、低分子量成分が滲み出してきて感光ドラムを汚染することを防止する観点から5μm以上が好ましい。また、ローラが硬くなり、融着が発生することを防止する観点から50μm以下が好ましい。より好ましくは10μm以上30μm以下である。
【0059】
本発明の現像ローラは、静電潜像を担持する潜像担持体としての感光ドラム(以下、「感光体」ともいう)に対向して、当接又は圧接した状態で現像剤を担持する。そして、現像ローラは、感光ドラムに現像剤としてのトナーを付与することにより潜像を現像剤像として可視化する機能を持つ。さらに本発明の電子写真プロセスカートリッジ及び画像形成装置は、この現像ローラを具備する。
【0060】
本発明の現像ローラを搭載した一般的なプロセスカートリッジ及び電子写真装置の一例を図2に模式図として示した。この図2により以下説明する。
【0061】
本画像形成装置は、それぞれイエロー、シアン、マゼンダ及びブラックの画像を形成する画像形成ユニット212a乃至212dが4個あり、タンデム方式で設けられている。これら4個の画像形成ユニット212a乃至212dは基本的構成において同じである。各ユニット間において、感光体205、帯電装置206、画像露光装置207(図では書き込みビーム)、現像装置208、クリーニング装置209、画像転写装置210(図では転写ローラ)等の仕様は、各色トナー特性に応じて少し調整に差異があり得る。
【0062】
また、感光体205、帯電装置206、現像装置208及びクリーニング装置209が一体となり、着脱可能なプロセスカートリッジを形成している。また、本発明に関するプロセスカートリッジとしては、現像装置208からなる現像カートリッジタイプなどがある。現像装置208には、一成分トナー213を収容した現像容器214と、現像容器214内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光体205と対向設置された現像ローラ201とを備え、感光体205上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0063】
また現像ローラ201に一成分トナー213を供給すると共に、現像に使用されずに現像ローラ201に担持されている一成分トナー213を現像ローラ201から掻き取るトナー供給ローラ215が設けられている。更に現像ローラ201上の一成分トナー213の担持量を規制すると共に摩擦帯電する現像ブレード216が設けられている。
【0064】
感光体205の表面が帯電装置206により所定の極性・電位に一様に帯電され、画像情報が画像露光装置207からビームとして、帯電された感光体205の表面層に照射され、静電潜像が形成される。次いで、形成された静電潜像上に本発明の現像ローラ201を有する現像装置208から一成分トナーが供給され、感光体205の表面にトナー像が形成される。このトナー像は感光体205の回転に伴って、画像転写装置210に対向する部所に来たときに回転と同期して供給されてきた紙などの転写材(紙)211に転写される。なお、本図では4つの画像形成ユニット212a乃至212dが一連に連動して所定の色画像を1つの転写材211に重ねて形成されている。
【0065】
したがって、転写材211をそれぞれの画像形成ユニットの画像形成と同期させる。つまり、画像形性が転写材211の挿入と同期している。そのために、転写部材211を輸送する転写搬送ベルト217が感光体205と画像転写装置210との間に挟まれるように、転写搬送ベルト217の駆動ローラ218、テンションローラ219及び従動ローラ220に架け回されている。そして、転写材211は転写搬送ベルト217に吸着ローラ221の働きにより静電気的に吸着された形で搬送される。なお、222は転写材211を供給するための供給ローラである。
【0066】
画像が形成された転写材211は、転写搬送ベルト217から剥離装置223の働きにより剥がされ、定着装置224に送られ、トナー像は転写材211に定着されて、印刷が完了する。一方、トナー像の転写材211への転写が終わった感光体205はさらに回転して、クリーニング装置209により感光体205表面がクリーニングされ、必要により除電装置(不図示)によって除電される。その後、感光体205は次の画像形成に供される。
【0067】
なお、図2において、225、226はそれぞれ吸着ローラ221、画像転写装置210へのバイアス電源を示す。
【0068】
ここでは、タンデム型の転写材へ直接各色のトナー像を転写する装置で説明した。しかし、本発明に係る現像ローラを有する限り、以下の3つの態様に係る画像形成装置もまた本発明に係る画像形成装置の範疇である。
1)白黒の単色画像形成装置。
2)転写ローラや転写ベルトに一旦各色のトナー像を重ねてカラー画像を形成し、一括して転写する画像形成装置。
3)各色の現像ユニットがロータ上に配置されたり、感光体に並列して配置されたりした画像形成装置等。
【0069】
また、プロセスカートリッジではなく、感光体、帯電装置、現像装置等が直接画像形成装置に組み込まれていても構わない。
【実施例】
【0070】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。まず実施例において行った各種評価及び測定方法について説明する。部は質量部を示す。
【0071】
<カーボンブラックの粒径の測定方法>
カーボンブラック(CB)の粒径は以下の方法により求められる値とすることができる。
【0072】
すなわち、図9(A)に示すように、ローラ長手方向を4等分する3箇所から試料を取り出す。具体的には、ローラの側面から垂直に鋭利な刃物を投入して軸心体まで到達させて、数ミリ程度の厚みの輪切りにし、切断面を観察できる試料を採取する。切断面において最も厚い層(弾性層)の中から超薄切片を作製し、観察用のサンプルとする。
【0073】
当該超薄切片の調製には、凍結切片作製装置(商品名:Leica EM FCS;ライカマイクロシステムズ(株)製)を使用する。ナイフには、ダイヤモンドナイフ(商品名:Cryo dry 35°;ディアトーム社製)を用い、試料とナイフとは温度−120℃乃至−50℃に冷却し、厚さが約50nmの超薄切片を作成する。作成した3つの観察用サンプルの各々について3箇所(弾性層表面付近、表面と軸芯体との中間、軸芯体付近)を透過型電子顕微鏡で観察する。直接観察倍率は14万倍とする。撮影されたフィルムを2倍に拡大して現像し、最終的に28万倍の写真を得る。
【0074】
該写真から、カーボンブラックの粒子20000個をランダムに選び出し、各々のカーボンブラック粒子についてその粒径を求める。なお、任意に選んだカーボンブラックの粒子が、隣接するカーボンブラックの粒子と重なり合いが多い場合は、そのカーボンブラックの粒子の粒径は求めず、他の粒子を選択する。即ち、凝集(アグリゲート)により粒子自体の輪郭を認識できない粒子は粒径の算出の対象とはしない。
【0075】
隣接するカーボンブラックの粒子との重なり合いが多いか少ないかの判断について図3を用いて説明する。図3において、中央のカーボンブラック粒子Yは、2つの隣接するカーボンブラック粒子X及びZに接しているため、粒子Yの正確な輪郭は不明である。しかし、カーボンブラックは、アグリゲート(ストラクチャー)を形成しやすい物質であり、図3のように重なり合っている粒子がほとんどである。
【0076】
図4に示すように、粒子Yと粒子Xの輪郭線が交わる2点(A点、B点とする)を直線で結ぶ。粒子Yと粒子Zについても同様に、C点、D点を求めて直線で結び、直線AB、曲線BC、直線CD、曲線DAで結ばれる閉平面を作る。線分ABの長さと線分CDの長さの和が、曲線ADの長さと曲線BCの長さの和の40%以下で、かつ曲線BCの長さが線A−B−C−D−Aの長さの50%以上ならば、隣接するカーボンブラック粒子との重なり合いが少ないと判断する。そして、曲線AD上の任意の1点と曲線BCを三等分する2点の計3点から得られる円の直径を算出する。算出された直径(単位:nm)の小数点第一位を四捨五入して、整数にした値を、粒子Yの粒径と定義する。
【0077】
また、粒子Xについては、曲線ABの長さが、直線ABの長さと曲線ABの長さの和の70%以上ならば、隣接するカーボンブラックとの重なり合いが少ないと判断する。そして、点A、点B、及び曲線ABを二等分する1点の計3点から得られる円の直径を算出する。算出された直径の小数点第一位を四捨五入して、整数にした値を、粒子Xの粒径と定義する。
【0078】
粒子Zについても同様に、曲線CDの長さが、直線CDの長さと曲線CDの長さの和の70%以上ならば、隣接するカーボンブラックとの重なり合いが少ないと判断する。そして、点C、点D、及び曲線CDを二等分する1点の計3点から得られる円の直径を算出する。算出された直径の小数点第一位を四捨五入して、整数にした値を、粒子Zの粒径と定義する。
【0079】
以上の手順で、上記でランダムに選択した20000個の粒子について、粒径を求める。
【0080】
<粒径個数分布におけるピークの求め方>
当該20000個の粒子から求めた粒子径をヒストグラム上で表す。図5で表すように、得られたヒストグラム中のいくつかのピークから最小径のもの(グラフで一番左側のピーク)をAとする。このとき、最も高い位置(個数の多いところ)をピーク中心とする。また、得られたいくつかのピークからAの割合を求めたものが、ピークAの個数比割合となる。
【0081】
また、ピーク数の判別の仕方を図6(A)及び図6(B)に表す。ヒストグラムカーブ上に接線を引き、その傾きがプラスからマイナスに変わるところを1つのピークとする(図6(A))。たとえばショルダーピークの場合、接線の傾きがプラスからマイナスに変わることが無ければピークとみなさない(図6(B))。図6(A)は2つのピークと認められる場合を示し、図6(B)は2つのピークと認められない場合を示す。ヒストグラムの階級幅はE24系列の等比数列(1.1の倍数)とし、階級数は40とする。
【0082】
<密度測定方法>
ローラの弾性層中からサンプルを切り取り、固体密度測定装置(商品名:SGM−200;島津製作所製)にて測定した。一回の測定に約3ccのサンプルを使用し、3回分のサンプル9ccを取り出して3回測定した平均値を弾性層の密度とした
【0083】
<カーボンブラック量の測定法>
ローラ長手方向の弾性層部を4等分する3箇所のさらに深さ方向3箇所(表面付近、表面と軸芯体の中間、軸芯体付近)の計9箇所から、それぞれサンプル10mgを試料として採取した。JIS K6227:1998に準拠して、理学電気株式会社製 ThermoPlus2 TG8120を用いて測定し、平均値を測定データとした。
【0084】
測定条件は、窒素ガスを200ml/minで流しながら、50℃で5分間キープし、その後50℃/minで800度まで昇温させ、有機成分のすべてを熱分解させる。このときの重量減少によりゴム成分中の有機成分(ポリマー)比率の情報が得られる。さらに、50℃/minで300℃まで冷却し、5分間保持し安定させる。次に窒素ガスをエアーに切り替え200ml/minで流しながら同様に50℃/minで900℃まで昇温する。この間の重量減少によりゴム成分中のカーボンブラック重量の情報が得られ、構成物質全体との比率の関係から、カーボンブラックの含有量(質量%)が得られる。
【0085】
<C/Si元素比率測定法>
ローラの側面から垂直に鋭利な刃物を投入して軸心体まで到達させて、数ミリ程度の厚みの輪切りにし、断面観察できるような試料とする。ローラ長手方向の弾性層部を4等分する3箇所から試料を取り出して、後述する所定の位置を測定し3個のデータからの平均値を用いて測定データとした。
【0086】
測定装置に電子顕微鏡(商品名:S4800;日立製作所製)に付属のエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製)を用い、加速電圧20kV、取り込み時間100秒で測定した。測定位置は、Xについては、図7(A)に示したように、弾性層表面701から約5μmの位置とした。Y及びZについては各々、図7(B)に示したように、弾性層700の表面から100μm、200μmとした。また、電子顕微鏡の倍率は2000倍とし、測定には、当該倍率における直接観察画像(縦約50μm×横約60μm)を用いた。得られたデータは、上記分析装置に付属のソフトウェア(商品名:eDX ZAF32 Ver3.0(J))を用いて、炭素原子とケイ素原子を選択し定性を行った。具体的には、炭素原子については、0.24eV以上0.28eV以下、ケイ素原子については、1.71eV以上1.76eV以下のピーク幅で定量し、C/Si元素比率とした。
【0087】
<カーボンブラック面積相当割合の測定法>
C/Si元素比率測定法と同様にして試料を取り出した。ローラ長手方向の弾性層部を4等分する3箇所から試料を取り出して、それぞれ重ならないように10枚の画像を撮影した。図8(A)に示すように、倍率10000倍の直接観察画像を用いて、画像中に見られる粒子状のものからすべての凝集単位に分別する。それぞれの凝集単位を選択し、図8(B)に示したように、その粒子が画像上の60%以上を占めるように電子線照射エリアを絞って照射を行った。測定装置には電子顕微鏡(商品名:S4800;日立製作所製)に付属のエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製)を用い、加速電圧10kV、取り込み時間100秒で原子比率(Atomic%)を測定した。このときの炭素(C)のAtomic%と酸素(O)のAtomic%の比率(C/O)が2.0以上のものをカーボンブラック粒子とし、2.0未満のものをカーボンブラック以外の粒子とした。30枚の画像からカーボンブラックとそれ以外の粒子の面積を合計し、そのうちのカーボンブラック粒子の面積を割合として算出した。
【0088】
<ローラ抵抗値測定法>
本発明の導電性ローラの抵抗値は、各環境(高温高湿:温度30度、湿度85%RH、低温低湿:温度15℃、湿度10%RH)に24時間以上放置した。その後、各環境下で現像剤担持体を円柱状の金属性ローラ(直径30mm)に片側500gの定圧荷重で押し当て、60rpmで回転させ50Vの直流電圧を印加したときの抵抗値を測定したものである。
【0089】
<弾性層厚み測定法>
ローラの側面から垂直に鋭利な刃物を投入して軸心体まで到達させて、断面観察できるような試料とする。図9(A)に示すように、ローラ長手方向のゴム部を4等分する3箇所の試料を用いて、最も肉厚の厚い層をビデオマイクロ(商品名:VHX100;キーエンス社製)で測定し3個のデータからの平均値を用いて弾性層の厚み(図9(B))とした。
【0090】
<降伏応力測定法>
粘弾性測定装置(商品名:RheoStress600;Haake社製)による液状ゴム材料の降伏応力測定法を以下に記す。
【0091】
材料約1gを採取し試料台の上にのせ、コーンプレートを徐々に近づけて、試料台から約50μmの位置で測定ギャップを設定した(コーンプレートには直径35mm、傾斜角度1°のモノを用いた)。そのとき、まわりに押し出された材料を奇麗に除去し測定に影響の出ないようにした。材料温度が25℃になるようにプレート台の温度は設定され、試料をセットしてから10分間放置後、測定を開始した。試料にかける応力は0.00Paからスタートし50000Paまでの範囲(周波数は1Hz)を、180秒かけて変動させ、そのときのG’(貯蔵弾性率)、G’’(損失弾性率)、位相差(tanδ)の変化を32ポイント測定した。G’は、はじめ線形粘弾性領域で一定の値となり、その後、G’とG’’が交差する点の応力値を読み取り、降伏応力とした。
【0092】
<ゴースト画像評価>
現像ローラを図2中の208に示すような現像カートリッジに組み込んだ。このカートリッジを温度15℃、湿度10%の環境に24時間放置した後、同環境において画像形成装置本体(商品名:Color Laser Jet3700(600dpi);HP社製)を1200dpiに改造したものに搭載した。そして、ゴースト評価用画像として15mm×15mmのベタ(ソリッド)領域(マクベス濃度計での測定値:1.3)を15mm間隔で横一列に配置し、その下部にハーフトーン領域(マクベス濃度計での測定値:0.3)が配置したパターン画像を出力した。
【0093】
このようなパターン画像においては、ハーフトーン領域に現像ローラ周期で上記ベタ領域と同じ模様が白抜け状に現れることがある。本発明では、これをゴーストと定義する。そして、上記ゴースト評価用画像を目視で観察し、ゴーストの有無、程度を以下の基準に基づいて評価した。
A:ゴーストがまったく確認されず画像上良好なもの;
B:わずかにゴーストが確認されたが肉眼ではほとんど見えず画像上問題とならないもの;
C:現像ローラピッチで一周分のゴーストがわずかに確認されたが画像上問題とならないもの;
D:現像ローラピッチで何周にも渡ってゴーストが発生し画像上問題となるもの;
E:現像ローラの寸法精度が得られないため印字ムラがひどく画像評価できないもの;
F:バイアスリークによりスジが発生し画像上問題となるもの。
【0094】
(実施例1)
(液状シリコーンゴム組成物の配合)
下記の材料を混合して液状シリコーンゴム組成物を調製した。
・分子鎖両末端ジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基含有量0.15質量%):100部、
・架橋剤としての分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン−メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(Si原子に結合するH含有量0.30質量%):1.5部、
・塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体(0.5質量%):0.5部、
・1−エチル−1−シクロヘキサノール:0.04部、
・カーボンブラック(CB−1):5.7部、
・カーボンブラック(CB−5):7.9部。
【0095】
なお、表1に本実施例で用いたカーボンブラック(CB−1、CB−5)の詳細を示す。
【0096】
【表1】

【0097】
(弾性ローラの作成)
図1に示すリング型の塗工ヘッドを有するリングコート機の軸芯体保持軸(軸芯体上保持軸10及び軸芯体下保持軸9)で外径の直径が6mmの鉄製軸芯体をクランプした。
【0098】
軸芯体102と内径の直径が12.0mmのリング形状の塗工ヘッド8のノズルとのクリアランスは、3.0mmとした。
【0099】
軸芯体保持部材を下から上に垂直に上昇(60mm/秒)させ軸芯体を移動させた。それと同時に、上記液状シリコーンゴム組成物を吐出速度5040mm3/秒で吐出し、軸芯体の外周にシリコーンゴム組成物からなる円筒形状(ローラ形状)の未硬化物の層を形成した。
【0100】
次に、この未硬化物の層に赤外線加熱を施した。赤外線加熱ランプ(ハイベック製HYL25)を熱処理温度(被加熱体の表面温度)200℃(出力1000W)とし、ランプと未硬化物の層表面との距離が60mmとなるように配置した。そして、未硬化物の層を設けた軸芯体を周方向に60rpmで回転させ、4分間加熱し弾性層を硬化した。その後、シリコーンゴム弾性層の硬化後の物性を安定させ、シリコーンゴム弾性層中の反応残渣及び未反応低分子分を除去する等を目的として、電気炉で温度200℃、4時間の二次硬化を行った。表2に液状シリコーンゴム組成物の配合割合と降伏値、及び形成した弾性層の厚さを示す。
【0101】
(表面層の形成)
以下の材料を、メチルエチルケトン(MEK)を加え、サンドミルで1時間分散した。
・ポリウレタンポリオールプレポリマー(商品名:タケラックTE5060;三井武田ケミカル社製):100部、
・イソシアネート(商品名:コロネート2521;日本ポリウレタン株式会社製):77部、
・カーボンブラック(商品名:MA100;三菱化学社製)24部。
【0102】
分散後さらにMEKを加え、固形分20質量%以上30質量以下%の範囲で(膜厚が20μmとなるように)調整したものを表面層の原料液とした。この原料液中に、上記の弾性ローラを浸漬して、引上げて自然乾燥させた。次いで、温度140℃にて60分間加熱処理することで、表面層の原料の硬化を行い、表面層が形成された弾性ローラを得た。
【0103】
表3−1及び表3−2に表面層の各種物性を示す。また表3−3に本実施例にかかる弾性ローラを用いた画像評価の結果を示す。
【0104】
(実施例2)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は、実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを製造した。この弾性ローラを現像ローラ2として用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−2):14.5部、
・カーボンブラック(CB−4):6.0部。
【0105】
(実施例3)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。この弾性ローラを現像ローラ3として用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−3):4.3部、
・カーボンブラック(CB−5):3.2部。
【0106】
(実施例4)
鉄製軸心体として外径が11mm(両端部は外径6mmのまま)のものを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを製造した。この弾性ローラを現像ローラ4として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0107】
(実施例5)
鉄製軸心体として外径が4mm(両端部は6mmのまま)を用いると共に弾性層の厚さが6.0mmとなるように液状シリコーンゴム組成物の吐出量を調整した。それ以外は、実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを製造した。この弾性ローラを現像ローラ5として用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0108】
(実施例6)
カーボンブラックの添加量を下記の通りとし、またシリカ(平均一次粒径1.7μm、Nipsil E−220A、日本シリカ工業製)を0.7部配合したシリコーンゴム組成物を用いた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。この弾性ローラを現像ローラ6として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−1):5.7部、
・カーボンブラック(CB−5):8.0部。
【0109】
(実施例7)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ7として用いて、実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−3):2.8部、
・カーボンブラック(CB−4):10.7部。
【0110】
(実施例8)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ8として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−2):9.0部、
・カーボンブラック(CB−5):3.4部。
【0111】
(実施例9)
カーボンブラックに以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。この弾性ローラを現像ローラ9として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−1):4.5部、
・カーボンブラック(CB−4):3.4部、
・カーボンブラック(CB−5):4.5部。
【0112】
(実施例10)
シリカの量を1.7部とした以外は実施例6と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ10として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0113】
(実施例11)
材料吐出量を弾性層の厚さが6.5mmとなるようにした以外は実施例5と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ11として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0114】
(比較例1)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ12として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−2):3.2部、
・カーボンブラック(CB−4):2.1部。
【0115】
(比較例2)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ13として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−1):7.5部、
・カーボンブラック(CB−5):17.5部。
【0116】
(比較例3)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ14として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−4):5.7部、
・カーボンブラック(CB−5):7.9部。
【0117】
(比較例4)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ15として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−6):5.7部、
・カーボンブラック(CB−4):7.9部。
【0118】
(比較例5)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを得た。これを現像ローラ16として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
・カーボンブラック(CB−1):13.6部。
【0119】
(比較例6)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして表面層を形成する前の弾性ローラを調製した。
・カーボンブラック(CB−6):5.7部、
・カーボンブラック(CB−4):7.9部。
【0120】
また、表面層の原料液中のカーボンブラック(商品名:MA100;三菱化学社製)の量を40部にした以外は実施例1と同様にして中間層形成用の原料液を調製した。この原料液を用いて上記弾性ローラの周面に厚さ10μmの中間層を形成した。当該中間層上に実施例1の表面層の原料液を用いて実施例1と同様に表面層を形成した。こうして得た中間層及び表面層付きの弾性ローラを現像ローラ17として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。表面層の各種物性を表3−1及び表3−2に示す。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0121】
(比較例7)
カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして弾性層形成用の液状シリコーンゴム組成物を調製した。この液状シリコーンゴム組成物を用いると共に吐出速度を4972mm3/秒とした以外は実施例1と同様にして軸芯体の周面に第1の弾性層を形成して直径11.8mmの弾性ローラを得た。
・カーボンブラック(CB−4):5.7部、
・カーボンブラック(CB−5):7.9部。
【0122】
次に、カーボンブラックを以下のものに換えた以外は実施例1と同様にして弾性層形成用の液状シリコーンゴム組成物を調製した。この液状シリコーンゴム組成物を用いると共に吐出速度68mm3/秒とした以外は実施例1と同様にして第1の弾性層の周面に厚さ0.1mmの第2の弾性層を形成して直径が12.0mmの弾性ローラを得た。
・カーボンブラック(CB−1):27.0部。
【0123】
次に、実施例1と同様にして第2の弾性層の周面に表面層を形成して表面層付きの弾性ローラを得た。この弾性ローラについて、第1及び第2の弾性層を1つの弾性層とみなしたときに元素比率(X/Y、Y/Z)は、各々1.80、1.06であった。この弾性ローラを現像ローラ18として用いて実施例1と同様に画像評価を行った。画像評価の結果を表3−3に示す。
【0124】
【表2】

【0125】
【表3−1】

【0126】
【表3−2】

【0127】
【表3−3】

【0128】
<評価結果>
表3−3に示すように実施例1乃至実施例11で得られた現像ローラは評価上問題となるようなゴースト画像は発生しなかった。特に、実施例1、実施例5で得られた、弾性層表面近傍のカーボンブラック傾斜が強い現像ローラにおいては、ゴースト残像が全く確認されず、さらにバイアスリークの発生しない非常に良好な画像が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本実施形態の塗工装置の概略を表す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の概略を表す構成図である。
【図3】本発明におけるカーボンブラックの粒径を求める説明図である。
【図4】本発明におけるカーボンブラックの粒径を求める説明図である。
【図5】本発明におけるカーボンブラックの粒径分布の説明図である。
【図6】本発明におけるカーボンブラックの粒径分布より求めるピークを判別する説明図である。
【図7】本発明における弾性層のC/Si元素比率の測定位置を説明する図である。
【図8】本発明におけるカーボンブラック割合を求める説明図である。
【図9】本発明における弾性層のカーボンブラックの粒径の測定位置を説明する図である。
【符号の説明】
【0130】
1 架台
2 コラム
3 ボールネジ
4 LMガイド
5 サーボモータ
6 プーリ
7 ブラケット
8 塗工ヘッド
9 軸芯体下保持軸
10 軸芯体上保持軸
11 供給口
12 配管
13 材料供給弁
14 リニアガイド
101 液状シリコーンゴム組成物からなる未硬化物の層
102 軸芯体
201 現像ローラ
205 感光体(感光ドラム)
206 帯電装置
207 画像露光装置(書き込みビーム)
208 現像装置
209 クリーニング装置
210 画像転写装置(転写ローラ)
211 転写材(紙)
212a−d 画像形成ユニット
213 一成分トナー
214 現像容器
215 トナー供給ローラ
216 現像ブレ−ド
217 転写搬送ベルト
218 駆動ローラ
219 テンションローラ
220 従動ローラ
221 吸着ローラ
222 供給ローラ
223 剥離装置
224 定着装置
225 吸着ローラバイアス電源
226 画像転写装置バイアス電源
700 弾性層
701 弾性層表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の軸芯体と、該軸芯体の周囲に形成された厚さ0.5mm乃至6.0mmの導電性の弾性層と、表面層とを有している現像ローラであって、
該弾性層は、カーボンブラックと、該カーボンブラックのバインダーとしてのシリコーンゴムとを含み、該カーボンブラックの含有量が、該弾性層に対して7質量%乃至17質量%であり、かつ該弾性層中の該カーボンブラックは、その粒径個数分布において少なくとも2つのピークを有し、該粒径個数分布の最小径ピーク中心が10nm乃至40nmの範囲にあり、
該弾性層の密度が1.01g/cm3乃至1.07g/cm3の範囲にあり、更に、
該弾性層の表面近傍における炭素原子とケイ素原子との比率(C/Si)をX、該弾性層の表面からの深さ100μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をY、該弾性層の表面からの深さ200μmにおける炭素原子とケイ素原子との比率をZとしたとき、X、Y及びZが下記式(1)及び(2)の関係を満足することを特徴とする現像ローラ:
1.50≧X/Y≧1.10・・・(1)
1.10≧Y/Z≧1.02・・・(2)。
【請求項2】
前記粒径個数分布における最小径ピークのピーク位置個数比の割合が25%以上70%以下である請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記シリコーンゴム中の全フィラー中の前記カーボンブラックの面積相当割合が、95%以上100%以下である請求項1又は2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の現像ローラの製造方法であって、
軸芯体の外周側に該軸芯体と同芯となるようにリング型の塗工ヘッドを配し、該軸芯体を該塗工ヘッドに対して相対的に軸方向に移動させつつ、該塗工ヘッドから液状シリコーンゴム組成物を該軸芯体の周囲に向けて供給し、該軸芯体の周囲に該液状シリコーンゴム組成物の層を形成する工程と、
該液状シリコーンゴム組成物を硬化させる工程と、を有し、
該液状シリコーンゴム組成物が、粒径個数分布において少なくとも2つのピークを有し、該粒径個数分布の最小径ピーク中心が10nm以上40nm以下の範囲にあるようにカーボンブラックが液状シリコーンゴムに配合されたものであることを特徴とする現像ローラの製造方法。
【請求項5】
現像ローラと、現像剤と、該現像剤を収容している現像容器とを有する現像装置を有し、画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジであって、該現像ローラが、請求項1乃至3のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
現像ローラの表面に現像剤の層を形成し、静電潜像が形成された感光体に該現像剤の層を搬送して該静電潜像を現像する画像形成装置であって、該現像ローラが、請求項1乃至3のいずれかに記載の現像ローラであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−287230(P2008−287230A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95119(P2008−95119)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】