説明

現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】2成分現像方式において現像剤の連れ回りを抑制して、コンパクトで高画質な画像が得られる現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供する。
【解決手段】回転可能な現像スリーブ21と、内包されるマグネットロール22とを有し、キャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて現像スリーブ表面に磁気ブラシを形成して、感光体40にトナーを供給する現像ローラにおいて、マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、現像剤汲み上げ磁極24の半値幅を25°以下とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ、現像ローラを有する現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置においてはコンパクト化のニーズが高まっている。これに伴い、2成分現像装置もコンパクト化する必要があり、現像ローラの小径化や、現像ユニット内の空間を少なくし現像剤の量を少量にする方法が採用されている。しかし、副作用として現像剤の連れ回りが発生しやすくなり、画像ムラの異常画像を発生させやすくなっている。
【0003】
一般に、2成分現像装置の現像ローラは、非磁性体よりなる円筒状の現像スリーブと、現像スリーブに内包されるマグネットロールとを有している。マグネットローラは、複数の磁極が磁石等で形成され、現像領域で現像スリーブ表面に磁気ブラシを形成して潜像担持体にトナーを供給するための主磁極、現像領域通過後に使用した現像剤を現像スリーブ表面から離脱させるための現像剤剥離磁極、現像容器内から現像剤を汲み上げるための現像剤汲み上げ磁極、現像スリーブ表面で現像剤を搬送する現像剤搬送磁極から構成されている。
【0004】
上記現像剤の連れ回りは、使用した現像剤を現像スリーブから離脱し、現像容器内を搬送されてくる現像剤と十分攪拌されリフレッシュされた現像剤を現像スリーブに汲み上げれば、発生しない。しかし、現像スリーブの小径化により、マグネットローラの現像剤剥離磁極とその下流に隣接して配置されるの現像剤汲み上げ磁極の距離が近くなってしまい、現像スリーブから離れようとする現像剤をそのまま汲み上げてしまうために起こる。
【0005】
また、近年、画像形成装置においては高画質化のニーズも高まっており、2成分現像方式では現像剤に用いるキャリア・トナーの小径化が採用され、高画質化に効果があることが確認されている。しかし、キャリア・トナーの小径化により現像剤の流動性が低下してしまうので、現像スリーブから現像剤の離脱が遅くなり、現像剤の連れ回りが発生しやすくなる。また、現像剤の流動性低下により、現像容器内からの汲み上げムラも発生しやすくなるため、画像ムラとして顕れ易くなっている。
【0006】
この現像剤の連れ回りは、現像剤剥離磁極と現像剤汲み上げ磁極とを離して配置することにより抑制できるが、現像装置構成とのマッチングを考慮すると磁気特性設計自由度が高いとはいえず、改善が困難である。
【0007】
また、特許文献1には、現像スリーブを離脱した現像剤が、現像ケースの内壁に跳ね返って現像剤攪拌部に落下するようにして、直接、現像剤汲み上げ磁極に汲み上げられないようにするために、現像剤剥離位置で現像スリーブ表面の法線ベクトルがケース部材の内壁面で反射して作られる法線反射ベクトルの向きと、現像剤汲み上げ磁極の磁力とを規定したものが提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開2005−266366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の装置では、連れ回りを十分に抑制できるとは言えず、画像濃度ムラに対して余裕度が無いものとなっていた。
【0010】
本発明者は、現像剤の連れ回りを抑制するために、特願2006−266928号にて、現像剤剥離磁極の半値幅が25°であることを特徴とする現像装置を提案している。この現像装置では、現像剤剥離磁極の半値幅を上記のように規定することにより、現像剤剥離磁極による法線方向磁束密度の広がりを小さく抑える。これにより、現像剤離脱位置と現像剤汲み上げ極とが離れるようにして、現像剤汲み上げ磁極から離れたところで現像剤を離脱させて、脱離した現像剤がそのまま汲み上げられないようにする。また、同特願にて現像剤剥離磁極の法線方向の磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする現像装置も提案している。この現像装置では、現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の半径方向の減衰率を上記のように規定することにより、磁束密度はローラ表面から離れるに従って急激に低下するようになる。このため、現像スリーブ表面に形成される磁気ブラシは短い状態となり、現像剤は現像スリーブからスムーズに離脱するようになる。
【0011】
しかし、この現像装置では、現像剤剥離極近傍のケース形状をある程度大きくしなければ効果が小さいことが解った。このため、現像装置の設計上で制限が残ってしまう。
【0012】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、2成分現像方式において現像剤の連れ回りを抑制して、コンパクトで高画質な画像の得られる現像ローラ、現像装置、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有し、キャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラにおいて、上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の半値幅が25°以下であることを特徴とするものである。ここで、半値幅とは、法線方向の磁力分布曲線の最高法線磁力の半分の値を指す部分の角度幅のことである。
また、請求項2の発明は、回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有し、キャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラにおいて、上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の現像ローラにおいて、上記現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3のいずれかの現像ローラにおいて、上記現像剤汲み上げ磁極が希土類マグネットブロックで構成されることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の現像ローラにおいて、上記希土類マグネットブロックが磁気異方性を有することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項5の現像ローラにおいて、上記希土類マグネットブロックの磁化方向が半径方向に対して前記非磁性スリーブ回転下流側に向いていることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6のいずれかの現像ローラにおいて、上記マグネットロールは高分子化合物としてエチレン・エチル重合体で構成されることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の現像ローラにおいて、上記エチレン・エチル重合体のエチル成分が25%〜35%であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有する現像ローラを備え、該現像ローラでキャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して潜像担持体にトナーを供給して現像する現像装置において、上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の半値幅が25°以下であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有する現像ローラを備え、該現像ローラでキャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して潜像担持体にトナーを供給して現像する現像装置において、上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項9または10の現像装置において、上記現像ローラ表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材を、該現像ローラの略下側に配設することを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項9、10または11のいずれかの現像装置において、現像剤は50μm以下のキャリアを有することを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項12の現像装置において、トナーは平均粒径10μm以下の重合トナーであることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体に形成し、装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として請求項9、10、11、12または13のいずれかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として請求項9、10、11、12または13のいずれかの現像装置を採用することを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項14の画像形成装置において、請求項14のプロセスカートリッジを採用することを特徴とするものである。
【0014】
請求項1、または、請求項3乃至16の発明においては、現像剤汲み上げ磁極の半値幅を上記のように規定することにより、現像剤汲み上げ磁極による法線方向磁束密度の広がりを小さく抑える。これにより、現像剤剥離磁極と現像剤の汲み上げ位置との距離が大きくなり、スリーブから離脱した現像剤をそのまま汲み上げないようにするとともに、現像剤汲み上げ磁極は磁極近傍の現像剤のみを汲み上げるようになる。よって、現像剤の連れ回りを抑制できる。
請求項2乃至16の発明においては、現像剤汲み上げ磁極の減衰率を上記のように規定することにより、磁束密度は現像スリーブ表面から離れるに従って急激に低下するようになる。これにより、現像スリーブ表面に形成される磁気ブラシは短くなり、現像剤汲み上げ磁極は磁極近傍の現像剤のみを汲み上げて、現像スリーブから離脱した現像剤をそのまま汲み上げないようになる。よって、現像剤の連れ回りを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、2成分現像方式において現像剤の連れ回りを抑制して、コンパクトで高画質な画像が得られるという優れた効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を画像形成装置に適用した実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置としての電子写真方式フルカラープリンタの概略構成図である。このプリンタの画像ユニット10は、矢印方向に無端移動する像担持体としての中間転写ベルト11を備え、中間転写ベルト11の下部張架面には、トナー像形成手段である4個の画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kが配置されている。画像形成ユニット12の番号に沿えたY、C、M、Kは、扱うトナーの色と対応するもので、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタ、Kはブラックを意味している。画像形成ユニット12に備えられ、中間転写ベルト11とともに回転する潜像担持体(以下、感光体)40に対しても同じようにY、C、M、Kを沿えている。なお、感光体40Y〜40Kは等間隔に配置され、少なくとも画像形成時には中間転写ベルト11との張架部の一部と接触するようになっている。
【0017】
図2は、画像形成ユニットを示す図である。扱うトナーの色は異なるが、画像形成ユニット12Y、12C、12M、12Kの構成はそれぞれ同じであるので、その構成を画像形成ユニット12として図2により説明する。図2において、プリンタの動作時に、不図示の駆動源により、矢印方向に回転するよう支持された円筒状の感光体40が配設されている。そして、感光体40の周囲には、静電写真プロセスに従い帯電装置41、露光装置、現像装置1、クリーニング装置42、光除電装置などの作像部材や電位センサ、画像センサが配されているが、それらの構成・作動は基本的に公知であるので、説明の簡略化のために、ここでは本発明と特に関わりのある部分について述べる。
【0018】
一様帯電された感光体40の表面は、画像情報に基づいた露光43により静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置1により現像され、感光体表面上にトナー像が形成される。トナー像は転写帯電器13により中間転写ベルト11(図1)に転写させられる。中間転写ベルト11に転写されたイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色トナー像は重ね合わされ、給紙ユニット14(図1)から給紙ローラ、レジストローラ対を経て搬送された用紙上に二次転写ローラ15を用いて転写される。転写終了後の用紙は、定着ユニット16によりトナー像を定着され、片面画像形成の場合には、そのまま機外に排出され、両面画像形成の場合には、公知のように、反転路(図示せず)を介した後、両面部(図示せず)を通って再び二次転写ユニットへ送られる。
なお、本実施形態では、少なくとも感光体40と現像装置1とでカートリッジユニットが構成され、更に帯電装置41、クリーニング装置42、除電装置を備えてプロセスカートリッジが構成可能である。プロセスカートリッジと称する場合、現像装置1と他のプロセス手段が一体となって着脱可能にされたものであり、上記カートリッジユニットだけでもプロセスカートリッジとなり得るし、現像装置1と感光体40と帯電装置41、現像装置1と感光体40と帯電装置41とクリーニング装置42など、様々なバリエーションが存在し得る。
【0019】
次に作像部について図2を用いて説明する。図2の画像形成ユニットは感光体40と現像装置1、帯電装置41(本実施例では帯電ローラ)、クリーニング装置42(本実施例ではクリーニングブレード)を一体としたプロセスカートリッジである。現像装置1には感光体40上に書込手段の露光43により光学的に形成された感光体40上の潜像に対しトナーの可視化像を形成する現像ローラ2があり、その現像ローラ現像領域の上流側には現像ローラ2上の現像剤量をある一定量に規制する規制部材4(以降の現像ドクタ4とする)がある。現像装置1内の現像タンク部にはトナー粒子と磁性粒子(キャリア)を混合した2成分現像剤が納められており、その現像剤は2本の搬送スクリュ、第1搬送スクリュ5aと第2搬送スクリュ5bにより循環している。また、第2搬送スクリュ5bの下側にはトナー濃度センサ6が配置され、現像タンク内のトナー濃度を随時計測し、適正値に収まるよう制御している。また、現像ドクタ4右側には現像ニップ部からのトナー飛散を防止するための入口シール7が配置されている。
【0020】
現像ローラ2は、非磁性スリーブである現像スリーブ21とマグネットロール22からなり、マグネットロール22は、複数の磁極が磁石等で形成され、現像領域で現像スリーブ21表面に磁気ブラシを形成して現像をおこなう主磁極、現像領域通過後に使用した現像剤を現像スリーブ21から離脱させるための現像剤剥離磁極、現像タンク内から現像剤を汲み上げるための現像剤汲み上げ磁極、現像スリーブ表面で現像剤を搬送する現像剤搬送磁極等から構成されている。これらは、それぞれ役割によって着磁幅や、磁束密度が異なっている。本実施形態のマグネットローラ22では、現像剤汲み上げ磁極24の法線方向磁束密度の半径方向の減衰率を40%以上としている。このように減衰率を規定することにより、磁束密度は現像スリーブ21表面から離れるに従って急激に低下するため、現像剤によって形成される磁気ブラシは短くなる。そのため、現像剤汲み上げ磁極24近傍のみから現像剤を汲み上げることができると共に、現像剤剥離極23との合成磁束密度を低く抑えることができ、現像スリーブ21からスムーズに剥離し、現像剤が連れ回りしにくい現像ローラ2を得ることができる。
【0021】
ここで、高い磁束密度を得るためには、マグネットロール22に高い磁気特性を持った材料を用いることで達成できるが、これらの材料は一般的に高価なため、マグネットローラ22全体に用いるとローラコストが高くなってしまうという問題点がある。そこで、少なくとも現像剤汲み上げ磁極24を、希土類金属を含む材料を用いることにより、低コストで磁束密度の高い現像ローラ2を提供することができる。希土類磁石材料としては、一般的にはNd−Fe−B磁石粉やSm−Fe−N磁石粉を高分子化合物に混合・混錬したプラスチックマグネットを用いることが加工上・コスト上望ましい。この場合の磁気特性としては最大エネルギー積(BHmax)で8MGOe以上であることが望ましく、材料としては磁気異方性を持った材料をマグネット成形時に磁界を印加させながら成形を行い、材料を異方化して用いることで高い磁気特性を得ることができる。また磁気異方性を持つことにより現像剤汲み上げ磁極24の磁束密度の法線方向を半径方向に対して現像スリーブ回転下流側に向けることができる(図3参照)。
【0022】
このように、現像剤汲み上げ磁極24に高い磁気特性を持った材料を用いることで、現像剤汲み上げ磁極24としての法線方向磁束密度を得るために必要な体積を従来のマグネットよりも狭くすることができるため、着磁幅も狭くすることができる。よって現像剤剥離磁極23と現像剤汲み上げ磁極24の磁極間を広げることができ、現像剤の剥離がしやすくなる効果を得られることができる。
【0023】
希土類磁石以外の材料としては、磁性粉に高分子化合物を混合した、プラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。磁性粉としては、SrフェライトもしくはBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。特にEA成分25%〜35%であるエチレンエチルアクリレートでは、生産性に優れた押出し成型に適切であり、低コストの現像ローラ2を提供することができる。
【0024】
また、上記に示した現像ローラ2は粒径が50μm以下のキャリア、10μm以下の重合トナーを用いた場合、より顕著な現像剤連れ回り余裕度を高める効果が期待できる。すなわち、小粒径キャリア/重合トナーを用いることで感光体40上の潜像を忠実に再現でき、高画質の画像を得られ、かつ現像剤連れ回り性能に優れた現像装置を得ることができるためである。
【0025】
また、本発明の現像ローラ2は画像形成装置にプロセスカートリッジ形態で使用すれば、交換が容易であり、常に高画質画像を提供することができる。
【0026】
次に、マグネットローラ22を、実施例1,2,3を用いて具体的に説明する。図4は、従来例のマグネットローラの磁束密度分布を示す図である。また、図5は実施例1のマグネットローラの磁束密度分布を示す図であり、図6は実施例2のマグネットローラの磁束密度分布を示す図であり、図7は実施例3のマグネットローラの磁束密度分布を示す図である。従来例は現像剤汲み上げ磁極24の半値幅が40°である。実施例1は現像剤汲み上げ磁極24の半値幅が25°、実施例2は15°、実施例3は、実施例1の半値幅で磁化方向が半径方向に対して現像スリーブ回転上流側に向けたものである。
【0027】
これらの現像ローラ2を用い、平均粒径55μmと35μmのキャリアを用いて画像の確認を行った。評価は5段階評価とし、5が最も良好で、画像ムラ、画像均一性、画像の滑らかさである粒状度について評価を行った。
【0028】
【表1】

【0029】
表1に示すように、従来例に対して画質を改善する効果が得られた。現像剤汲み上げ磁極24の半値幅を25°以下とすることで、現像剤連れ回りによる画像ムラや画像濃度均一性が改善された。さらに、磁化方向が半径方向に対して現像スリーブ回転上流側に向けるとより高い改善効果が確認された。
【0030】
以上、本実施形態によれば、マグネットローラ22の現像剤汲み上げ磁極24の半値幅を25°以下とすることにより、現像剤汲み上げ磁極24による法線方向磁束密度の広がりを小さく抑える。これにより、現像剤剥離磁極と現像剤の汲み上げ位置との距離を大きくして、現像スリーブ21から離脱した現像剤をそのまま汲み上げないようにするとともに、現像剤汲み上げ磁極24は磁極近傍の現像剤のみを汲み上げるようにする。よって、現像剤の連れ回りを抑制できる。
また、マグネットローラ22の現像剤汲み上げ磁極24の減衰率を40%以上とすることにより、磁束密度は現像スリーブ21表面から離れるに従って急激に低下するようになるため、現像スリーブ21表面に形成される磁気ブラシは短くなる。これにより、現像剤汲み上げ磁極24は磁極近傍の現像剤のみを汲み上げるようになり、現像スリーブ21から離脱した現像剤をそのまま汲み上げないようにする。よって、現像剤の連れ回りを抑制できる。
また、磁気特性の高い希土類元素を含むマグネットブロックを現像剤汲み上げ磁極24に使用することにより、磁束密度の半値幅を狭く、減衰率が高いマグネットローラが構成でき、現像剤の連れ回り余裕度の高い現像ローラ2を提供することができる。
また、希土類元素を含むマグネットブロックが磁気異方性を有することにより、磁束密度の方向に自由度があり、現像剤連れ回り余裕度の高い現像ローラ2を提供することができる。さらに、磁束密度の方向をより現像剤剥離磁極より遠くすることができ、現像剤連れ回り余裕度の高い現像ローラを提供することができる。また、生産性に優れた押出し成型が可能なため、低コストの現像ローラを提供することができる。また、押出成型における配向性が高い材料を使用しているため、低コストで現像剤連れ回り余裕度の高い現像ローラを提供することができる。
また、現像剤規制部材としての現像ドクタ4が、現像ローラ2の略下側に配置されている現像装置に対して、現像剤連れ回り余裕度の高い現像ローラを提供することができる。
また、粒径50μm以下のキャリアを用いるため、現像剤連れ回り余裕度の高い良好な画像特性の現像装置を得ることができる。
また、平均粒径10μm以下の重合トナーを用いるため、現像剤連れ回り余裕度の高い良好な画像特性の現像装置を得ることができる。
また、プロセスカートリッジとすることにより、交換が容易であり、常に高画質画像を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】画像形成ユニットの概略構成図。
【図3】現像剤剥離磁極の磁束密度の法線方向を、半径方向に対して現像スリーブ回転上流側に向けた図。
【図4】従来例のマグネットローラの磁束密度分布図。
【図5】実施例1のマグネットローラの磁束密度分布図。
【図6】実施例2のマグネットローラの磁束密度分布図。
【図7】実施例3のマグネットローラの磁束密度分布図。
【符号の説明】
【0032】
1 現像装置
2 現像ローラ
4 規制部材(現像ドクタ)
5a 第1搬送スクリュ
5b 第2搬送スクリュ
6 トナー濃度センサ
7 入口シール
10 画像ユニット
11 中間転写ベルト
12 画像形成ユニット
13 転写帯電器
14 給紙ユニット
15 二次転写ローラ
16 定着ユニット
21 現像スリーブ(非磁性スリーブ)
22 マグネットロール
23 現像剤剥離磁極
24 現像剤汲み上げ磁極
40 感光体(潜像担持体)
41 帯電装置
42 クリーニング装置
43 露光(書込手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有し、キャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラにおいて、
上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の半値幅が25°以下であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有し、キャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して、潜像担持体にトナーを供給する現像ローラにおいて、
上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項3】
請求項1の現像ローラにおいて、上記現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項4】
請求項1、2または3のいずれかの現像ローラにおいて、上記現像剤汲み上げ磁極が希土類マグネットブロックで構成されることを特徴とする現像ローラ。
【請求項5】
請求項4の現像ローラにおいて、上記希土類マグネットブロックが磁気異方性を有することを特徴とする現像ローラ。
【請求項6】
請求項5の現像ローラにおいて、上記希土類マグネットブロックの磁化方向が半径方向に対して前記非磁性スリーブ回転下流側に向いていることを特徴とする現像ローラ。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6のいずれかの現像ローラにおいて、上記マグネットロールは高分子化合物としてエチレン・エチル重合体で構成されることを特徴とする現像ローラ。
【請求項8】
請求項7の現像ローラにおいて、上記エチレン・エチル重合体のエチル成分が25%〜35%であることを特徴とする現像ローラ。
【請求項9】
回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有する現像ローラを備え、該現像ローラでキャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して潜像担持体にトナーを供給して現像する現像装置において、
上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の半値幅が25°以下であることを特徴とする現像装置。
【請求項10】
回転可能な非磁性スリーブと、該非磁性スリーブ内に固定配置されたマグネットロールとを有する現像ローラを備え、該現像ローラでキャリアとトナーとからなる現像剤を汲み上げて表面に磁気ブラシを形成して潜像担持体にトナーを供給して現像する現像装置において、
上記マグネットロールが、現像剤汲み上げ磁極と、現像剤搬送磁極と、現像領域での現像剤穂立ちのための主磁極と、現像剤剥離磁極とを備え、該現像剤汲み上げ磁極の法線方向磁束密度の減衰率が40%以上であることを特徴とする現像装置。
【請求項11】
請求項9または10の現像装置において、上記現像ローラ表面に担持される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材を、該現像ローラの略下側に配設することを特徴とする現像装置。
【請求項12】
請求項9、10または11のいずれかの現像装置において、現像剤は50μm以下のキャリアを有することを特徴とする現像装置。
【請求項13】
請求項12の現像装置において、トナーは平均粒径10μm以下の重合トナーであることを特徴とする現像装置。
【請求項14】
少なくとも潜像担持体と現像手段とを一体に形成し、装置本体に脱着可能なプロセスカートリッジにおいて、上記現像手段として請求項9、10、11、12または13のいずれかの現像装置を採用することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項15】
潜像担持体と、該潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上に形成された静電潜像を現像する現像手段とを備えた画像形成装置において、上記現像手段として請求項9、10、11、12または13のいずれかの現像装置を採用することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項14の画像形成装置において、請求項14のプロセスカートリッジを採用することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−251075(P2009−251075A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95721(P2008−95721)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】