説明

現像ローラ、画像形成装置及び画像形成方法

【課題】軽量性に優れた現像ローラ、画像形成装置及び画像形成方法を提供すること。
【解決手段】対向する一対の端面が所定の間隔を空けて近接するように円筒状に形成された金属板からなり、前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームプリンタ等の画像形成装置は既によく知られている。かかる画像形成装置は、例えば、潜像を担持するための像担持体と、現像剤を担持した状態で回転することにより該現像剤を前記像担持体と対向する対向位置に搬送するための現像ローラとを有する構成になっている。画像形成装置は、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号等が送信されると、像担持体に担持された潜像を、現像ローラにより対向位置に搬送された現像剤で現像して像を形成し、当該像を媒体に転写して、最終的に媒体に画像を形成する。特許文献1に示すように、現像ローラとしては、例えば円柱状のローラが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−233196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、中実の円柱状の現像ローラを用いる場合、当該現像ローラが重くなってしまう。このため、画像形成装置全体の重量が大きくなってしまったり、現像ローラを駆動する駆動系の負担が大きくなってしまったりするという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、軽量性に優れた現像ローラ、画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る現像ローラは、一対の端面が所定の間隔を空けて対向するように円筒状に形成された金属板を有し、前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、金属板をプレス加工することにより中空の円筒状の現像ローラを形成することができる。これにより、中実の円柱状のローラに比べて軽量性に優れた現像ローラを得ることができる。また、本発明では、金属板の一対の端辺を密着させずに所定の間隔を空けて近接するようにしたので、圧縮空気の逃げ場を確保することができる。これにより、回転時の振動を防ぐことができる。
【0008】
上記の現像ローラは、前記金属板の円筒表面となる第1板面には、プレス加工による所定の凹凸パターンが形成されており、前記金属板は、平板状態で前記第1板面に凹凸パターンが形成されると共に、前記凹凸パターンが形成された前記第1板面が外面となるようにプレス加工によって円筒状に形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、金属板の第1板面に所定の凹凸パターンを形成した後に金属板のプレス加工が行われているので、金属板に形成可能な凹凸パターンの自由度が広がることになる。
【0009】
上記の現像ローラは、前記金属板を円筒状に形成する前記プレス加工は、前記金属板のうち前記第1板面とは反対側の第2板面を押圧することによって行われることを特徴とする。
本発明によれば、金属板を円筒状に形成するプレス加工が、金属板のうち第1板面とは反対側の第2板面を押圧することとしたので、第1板面にバリなどの加工痕が残ってしまうのを極力回避することができる。
【0010】
本発明に係る現像ローラは、金属板の第1板面にプレス加工によって所定の凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターンが形成された前記第1板面が外面となるように、かつ、前記金属板の対向する一対の端辺が所定の間隔を空けて近接するように、前記金属板をプレス加工によって円筒状に形成してなることを特徴とする。
本発明によれば、金属板をプレス加工することにより中空の円筒状のローラを形成することができる。これにより、中実の円柱状の現像ローラに比べて軽量性に優れた現像ローラを得ることができる。加えて、本発明では、金属板の第1板面に所定の凹凸パターンを形成した後に金属板のプレス加工を行うこととしたので、金属板に形成する凹凸パターンの自由度が広がることになる。また、本発明では、金属板の一対の端辺を密着させずに近接するようにしたので、圧縮空気の逃げ場を確保することができる。これにより、回転時の振動を防ぐことができる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた現像ローラと、前記像担持体と前記現像ローラとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、前記像担持体及び前記現像ローラを回転させる回転装置とを用いて行う画像形成方法であって、前記現像ローラとして、上記の現像ローラが用いられており、前記回転装置は、前記現像ローラの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記現像ローラを回転させることを特徴とする。
本発明によれば、軽量性に優れた現像ローラを用いているので、回転駆動の負担が少ない画像形成装置を得ることができる。加えて、回転時の振動を防ぐことができる現像ローラを用いているので、現像ムラの少ない画像形成装置を得ることができる。
【0012】
上記の画像形成装置は、前記電圧印加装置は、所定周期の交流電圧を印加し、前記現像ローラの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記現像ローラの周速のうち少なくとも一方を調整する制御部を有することを特徴とする。
一対の端面間には交流電圧が印加されないため、端面間が像担持体の回転面上の一点を通過する間は、像担持体と現像ローラとの間の電界が途切れる期間となる。当該期間が交流電圧の周期よりも長くなると、現像ローラと像担持体との間には交流電圧が印加されているにもかかわらず画像が形成されない状態となる。このため、画像に白スジが発生するなど、画像ムラが生じてしまう。
これに対して、本発明では、交流電圧の周期よりも、端面間が像担持体の回転面上の一点を通過する時間の方が長くなるようにし、1周期分の交流電圧が印加される期間よりも短い期間で端面間が像担持体の回転面上の一点を通過することとしたので、1周期分の交流電圧の少なくとも一部が常に印加されることとなる。このため、画像ムラの発生が抑制されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置を構成する主要構成要素を示した図である。
【図2】制御ユニットを示すブロック図である。
【図3】現像装置の概念図である。
【図4】現像装置の主要構成要素を示した断面図である。
【図5】現像ローラの斜視模式図である。
【図6】現像ローラの正面模式図である。
【図7】現像ローラの断面模式図である。
【図8】ホルダーの正面図である。
【図9】現像ローラに印加される交番電圧を示した模式図である。
【図10】現像ローラの製造工程を示すフローチャートである。
【図11】現像ローラの基材としての金属板を示す平面図である。
【図12】金属板に凹凸パターンを形成するプレス加工を説明するための工程図である。
【図13】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図14】(a)〜(c)は金属板のプレス加工を説明するための工程図である。
【図15】現像ローラの斜視図である。
【図16】塗装ブースの概略構成図である。
【図17】(a)は現像ローラの要部斜視図、(b)は要部側断面図である。
【図18】(a)は現像ローラの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図19】(a)は現像ローラの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図20】(a)は現像ローラの要部斜視図、(b)は側面図である。
【図21】(a)〜(c)は展開係合部を示す金属板の要部平面図である。
【図22】(a)、(c)は繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図23】(a)は現像ローラの繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図24】(a)は現像ローラの繋ぎ目を示す図、(b)は金属板の平面図である。
【図25】(a)〜(c)は繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【図26】(a)は繋ぎ目の形状説明図、(b)は作用説明図である。
【図27】繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【図28】(a)〜(c)は繋ぎ目の形状を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図1を用いて、画像形成装置としてレーザビームプリンタ(以下、プリンタともいう)10を例にとって、その概要について説明する。図1は、プリンタ10を構成する主要構成要素を示した図である。なお、図1には、矢印にて上下方向を示しており、例えば、給紙トレイ92は、プリンタ10の下部に配置されており、定着ユニット90は、プリンタ10の上部に配置されている。
【0015】
本実施の形態に係るプリンタ10は、図1に示すように、潜像を担持するための像担持体の一例としての感光体20の回転方向に沿って、帯電ユニット30、露光ユニット40、YMCK現像ユニット50、一次転写ユニット60、中間転写体70、クリーニングユニット75を有し、さらに、二次転写ユニット80、定着ユニット90、ユーザへの報知手段をなし液晶パネルでなる表示ユニット95、及び、これらのユニット等を制御しプリンタとしての動作を司る制御ユニット100を有している。
【0016】
感光体20は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層を有し、中心軸を中心に回転可能であり、本実施の形態においては、図1中の矢印で示すように時計回りに回転する。
【0017】
帯電ユニット30は、感光体20を帯電するための装置であり、露光ユニット40は、レーザを照射することによって帯電された感光体20上に潜像を形成する装置である。この露光ユニット40は、半導体レーザ、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有しており、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等の不図示のホストコンピュータから入力された画像信号に基づいて、変調されたレーザを帯電された感光体20上に照射する。
【0018】
YMCK現像ユニット50は、感光体20上に形成された潜像を、現像装置に収容された現像剤の一例としてのトナー、すなわち、ブラック現像装置51に収容されたブラック(K)トナー、マゼンタ現像装置52に収容されたマゼンタ(M)トナー、シアン現像装置53に収容されたシアン(C)トナー、及び、イエロー現像装置54に収容されたイエロー(Y)トナーを用いて現像するための装置である。
【0019】
このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置51、52、53、54が装着された状態で回転することにより、前記4つの現像装置51、52、53、54の位置を動かすことを可能としている。すなわち、このYMCK現像ユニット50は、前記4つの現像装置51、52、53、54を4つの保持部55a、55b、55c、55dにより保持しており、前記4つの現像装置51、52、53、54は、中心軸50aを中心として、それらの相対位置を維持したまま回転可能となっている。そして、1ページ分の画像形成が終了する毎に選択的に感光体20に対向し、それぞれの現像装置51、52、53、54に収容されたトナーにて、感光体20上に形成された潜像を順次現像する。なお、前述した4つの現像装置51,52,53,54の各々は、YMCK現像ユニット50の前記保持部に対して着脱可能となっている。また、各現像装置の詳細については後述する。
【0020】
一次転写ユニット60は、感光体20に形成された単色トナー像を中間転写体70に転写するための装置であり、4色のトナーが順次重ねて転写されると、中間転写体70にフルカラートナー像が形成される。
【0021】
この中間転写体70は、PETフィルムの表面に錫蒸着層を設けさらにその表層に半導電塗料を形成、積層したエンドレスのベルトであり、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動される。
【0022】
二次転写ユニット80は、中間転写体70上に形成された単色トナー像やフルカラートナー像を紙、フィルム、布等の媒体に転写するための装置である。
定着ユニット90は、媒体上に転写された単色トナー像やフルカラートナー像を媒体に融着させて永久像とするための装置である。
【0023】
クリーニングユニット75は、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間に設けられ、感光体20の表面に当接されたゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
【0024】
制御ユニット100は、図2に示すようにメインコントローラ101と、ユニットコントローラ102とで構成され、メインコントローラ101には画像信号及び制御信号が入力され、この画像信号及び制御信号に基づく指令に応じてユニットコントローラ102が前記各ユニット等を制御して画像を形成する。
【0025】
次に、このように構成されたプリンタ10の動作について説明する。
まず、不図示のホストコンピュータからの画像信号及び制御信号がインターフェイス(I/F)112を介してプリンタ10のメインコントローラ101に入力されると、このメインコントローラ101からの指令に基づくユニットコントローラ102の制御により感光体20、及び、中間転写体70が回転する。感光体20は、回転しながら、帯電位置において帯電ユニット30により順次帯電される。
【0026】
感光体20の帯電された領域は、感光体20の回転に伴って露光位置に至り、露光ユニット40によって、第1色目、例えばイエローYの画像情報に応じた潜像が該領域に形成される。また、YMCK現像ユニット50は、イエロー(Y)トナーを収容したイエロー現像装置54が、感光体20に対向した現像位置に位置している。
【0027】
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。
【0028】
感光体20上に形成されたイエロートナー像は、感光体20の回転に伴って一次転写位置に至り、一次転写ユニット60によって、中間転写体70に転写される。この際、一次転写ユニット60には、トナーTの帯電極性(本実施の形態においては、負極性)とは逆の極性の一次転写電圧が印加される。なお、この間、感光体20と中間転写体70とは接触しており、また、二次転写ユニット80は、中間転写体70から離間している。
【0029】
上記の処理が、第2色目、第3色目、及び、第4色目について、各々の現像装置毎に順次実行されることにより、各画像信号に対応した4色のトナー像が、中間転写体70に重なり合って転写される。これにより、中間転写体70上にはフルカラートナー像が形成される。
【0030】
中間転写体70上に形成されたフルカラートナー像は、中間転写体70の回転に伴って二次転写位置に至り、二次転写ユニット80によって媒体に転写される。なお、媒体は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96を介して二次転写ユニット80へ搬送される。また、転写動作を行う際、二次転写ユニット80は中間転写体70に押圧されるとともに二次転写電圧が印加される。
媒体に転写されたフルカラートナー像は、定着ユニット90によって加熱加圧されて媒体に融着される。
【0031】
一方、感光体20は一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75に支持されたクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーTが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーTは、クリーニングユニット75が備える残存トナー回収部に回収される。
【0032】
次に、制御ユニット100の構成について図2を参照しつつ説明する。制御ユニット100のメインコントローラ101は、インターフェイス112を介してホストコンピュータと電気的に接続され、このホストコンピュータから入力された画像信号を記憶するための画像メモリ113を備えている。ユニットコントローラ102は、装置本体の各ユニット(帯電ユニット30、露光ユニット40、YMCK現像ユニット50、一次転写ユニット60、クリーニングユニット75、二次転写ユニット80、定着ユニット90、表示ユニット95)と電気的に接続され、それらが備えるセンサからの信号を受信することによって、各ユニットの状態を検出しつつ、メインコントローラ101から入力される信号に基づいて、各ユニットを制御する。
【0033】
なお、YMCK現像ユニット50に接続されたYMCK現像ユニット駆動制御回路128には、電圧印加部132が備えられている。この電圧印加部132は、トナーによる前記潜像の現像のために、交番電圧を現像ローラ510に印加し、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界を形成させる役割を果たす。
【0034】
次に、現像装置の構成を説明する。
図3は、現像装置の概念図である。図4は、現像装置の主構成要素を示した断面図である。図5は、現像ローラ510の斜視模式図である。図6は、現像ローラ510の正面模式図である。図7は、現像ローラ510の一部の断面形状を示した模式図である。図8は、現像ローラ510が組み付けられている様子を示した模式図である。なお、図4に示す断面図は、図3に示す長手方向に垂直な面で現像装置を切り取った断面を表したものである。また、図4においては、図1同様、矢印にて上下方向を示しており、例えば、現像ローラ510の中心軸は、感光体20の中心軸よりも下方にある。また、図4では、イエロー現像装置54が、感光体20と対向する現像位置に位置している状態にて示されている。
【0035】
YMCK現像ユニット50には、ブラック(K)トナーを収容したブラック現像装置51、マゼンタ(M)トナーを収容したマゼンタ現像装置52、シアン(C)トナーを収容したシアン現像装置53、及び、イエロー(Y)トナーを収容したイエロー現像装置54が設けられているが、各現像装置の構成は同様であるので、以下、イエロー現像装置54について説明する。
【0036】
イエロー現像装置54は、現像剤担持体の一例としての現像ローラ510、上シール520、トナー収容体530、ハウジング540、トナー供給ローラ550、規制ブレード560、ホルダー526等を有している。
【0037】
現像ローラ510は、トナーTを担持した状態で回転することによりトナーTを感光体20と対向する対向位置(現像位置)に搬送する。現像ローラ510は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス板等の金属板がプレス加工されて円筒状に形成されている。このように現像ローラ510は中空に形成されているため中実に形成される現像ローラに比べて軽量であり、中実の現像ローラを用いる場合に比べて駆動に要する負担が軽減されることになる。
【0038】
現像ローラ510は、プレス加工された金属板の一対の端面が僅かながら離間しており、該端面間に隙間が形成されている。当該隙間は、現像ローラ510の長手方向に沿って例えば直線状に形成されている。隙間の形状については、直線状に形成される場合に限られず、他の形状としても構わない。図7に示すように、本実施形態では、端面間の距離d1は、0.01mm〜0.09mm程度に形成されている。
【0039】
現像ローラ510は、図5及び図6に示すように、トナーTを適切に担持させるためにその中央部510aの表面に凹部の一例としての溝部512を有している。本実施の形態においては、当該溝部512として、互いに直交する2種類の溝部512、すなわち、第1溝部512a及び第2溝部512bが形成されている。第1溝部512aは、現像ローラ510の長手方向に沿って形成された溝部である。第2溝部512bは、現像ローラ510の円周方向に沿って形成された溝部である。
【0040】
第1溝部512a及び第2溝部512bは、図5及び図6に示すように、現像ローラ510の中央部510aの表面に、規則的に配置され、かつ、互いに交差して格子形状をなしている。したがって、溝部512に四方を囲われた矩形の頂面515が、前記中央部510aに、網目上に多数形成されていることとなる。現像ローラ510の長手方向の両端は、軸部510bとなっている。当該軸部510bは、図8に示すように、ホルダー526の現像ローラ支持部526bによって軸受け576を介して回転可能に支持されている。
【0041】
図4に示すように、現像ローラ510は、感光体20の回転方向(図4において時計方向)と逆の方向(図4において反時計方向)に回転するようになっている。本実施の形態において、現像ローラ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さV(すなわち、現像ローラ510の表面における、現像ローラ510の線速度)は、例えば300mm/sである。また、感光体20が回転する際の感光体20の表面の移動速さ(すなわち、感光体20の表面における、感光体20の線速度)は、例えば210mm/sとなっており、現像ローラ510の感光体20に対する周速比は約1.4である。
【0042】
また、イエロー現像装置54が感光体20と対向している状態で、現像ローラ510と感光体20との間には空隙が存在する。すなわち、イエロー現像装置54は、感光体20上に形成された潜像を非接触状態で現像する。なお、本実施の形態に係るプリンタ10においては、ジャンピング現像方式が用いられ、感光体20上に形成された潜像を現像する際に、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界が形成されるようになっている。
【0043】
ハウジング540は、一体成型された複数の樹脂製のハウジング部、すなわち、上ハウジング部542と下ハウジング部544、とを溶着して製造されたものであり、その内部に、トナーTを収容するためのトナー収容体530が形成されている。トナー収容体530は、内壁から内方へ(図4の上下方向)突出させたトナーTを仕切るための仕切り壁545により、二つのトナー収容部、すなわち、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bと、に分けられている。そして、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bとは、上部が連通され、図4に示す状態で、仕切り壁545によりトナーTの移動が規制されている。しかしながら、YMCK現像ユニット50が回転する際には、第一トナー収容部530aと第二トナー収容部530bとに収容されていたトナーが、現像位置における上部側の連通している部位側に一旦集められ、図4に示す状態に戻るときには、それらのトナーが混合されて第一トナー収容部530a及び第二トナー収容部530bに戻されることになる。すなわち、YMCK現像ユニット50が回転することにより現像装置内のトナーTは適切に撹拌されることになる。
【0044】
このため、本実施の形態では、トナー収容体530に攪拌部材を設けていないが、トナー収容体530に収容されたトナーTを攪拌するための攪拌部材を設けてもよい。また、図4に示すように、ハウジング540(すなわち、第一トナー収容部530a)は下部に開口572を有しており、現像ローラ510が、この開口572に臨ませて設けられている。
【0045】
トナー供給ローラ550は、前述した第一トナー収容部530aに設けられ、当該第一トナー収容部530aに収容されたトナーTを現像ローラ510に供給するとともに、現像後に現像ローラ510に残存しているトナーTを、現像ローラ510から剥ぎ取る。このトナー供給ローラ550は、ポリウレタンフォーム等からなり、弾性変形された状態で現像ローラ510に当接している。トナー供給ローラ550は、第一トナー収容部530aの下部に配置されており、第一トナー収容部530aに収容されたトナーTは、該第一トナー収容部530aの下部にてトナー供給ローラ550によって現像ローラ510に供給される。トナー供給ローラ550は、中心軸を中心として回転可能であり、その中心軸は、現像ローラ510の回転中心軸よりも下方にある。また、トナー供給ローラ550は、現像ローラ510の回転方向(図4において反時計方向)と逆の方向(図4において時計方向)に回転する。
【0046】
上シール520は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接して、現像位置を通過後に現像ローラ510上に残留しているトナーTのハウジング540内への移動を許容し、かつ、ハウジング540内のトナーTのハウジング540外への移動を規制する。この上シール520は、ポリエチレンフィルム等からなるシールである。上シール520は、後述するホルダー526の上シール支持部526aによって支持されており、また、その長手方向が現像ローラ510の軸方向に沿うように設けられている(図11)。上シール520が現像ローラ510に当接する当接位置は、現像ローラ510の中心軸よりも上方である。
【0047】
また、上シール520の、現像ローラ510に当接する当接面520b、とは反対側の面(当該面を、反対面520cとも呼ぶ)と、前記上シール支持部526aとの間には、モルトプレーン等の弾性体からなる上シール付勢部材524が圧縮した状態で設けられている。この上シール付勢部材524は、その付勢力で上シール520を現像ローラ510側へ付勢することにより、上シール520を現像ローラ510に押しつけている。
【0048】
規制ブレード560は、現像ローラ510の軸方向一端部から他端部に亘って現像ローラ510に当接部562aにて当接して、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制し、また、現像ローラ510に担持されたトナーTに電荷を付与する。この規制ブレード560は、図4及び図9に示すように、ゴム部562と、ゴム支持部564と、を有している。
【0049】
ゴム部562は、シリコンゴム、ウレタンゴム等からなり、現像ローラ510に当接している。ゴム支持部564は、薄板564aと薄板支持部564bとから構成されており、その短手方向一端部564d(すなわち、薄板564a側の端部)でゴム部562を支持する。薄板564aは、リン青銅、ステンレス等からなり、バネ性を有している。薄板564aは、ゴム部562を支持しており、その付勢力によってゴム部562を現像ローラ510に押しつけている。薄板支持部564bは、ゴム支持部564の短手方向他端部564eに配置された金属製の板金であり、当該薄板支持部564bは、前記薄板564aの、ゴム部562を支持している側とは逆側の端、を支持した状態で、当該薄板564aに取り付けられている。
【0050】
規制ブレード560は、薄板支持部564bの長手方向両端部564cが後述するホルダー526の規制ブレード支持部526cによって支持された状態で、当該規制ブレード支持部526cに取付けられている。
【0051】
規制ブレード560の、薄板支持部564b側とは逆側の端、すなわち、先端560aは、現像ローラ510に接触しておらず、該先端560aから所定距離だけ離れた部分(すなわち、当接部562a)が、現像ローラ510に幅を持って接触している。すなわち、規制ブレード560は、現像ローラ510にエッジにて当接しておらず、腹当たりにて当接しており、規制ブレード560が有する平面が現像ローラ510に当接することにより、前記層厚を規制する。また、規制ブレード560は、その先端560aが現像ローラ510の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。なお、規制ブレード560が現像ローラ510に当接する当接位置は、現像ローラ510の中心軸よりも下方であり、かつ、トナー供給ローラ550の中心軸よりも下方である。また、当該規制ブレード560は、現像ローラ510にその軸方向に沿って当接することにより、トナー収容体530からのトナーTの漏れを防止する機能も発揮する。
【0052】
規制ブレード560のゴム部562の長手方向外側には、不図示の端部シールが設けられている。当該端部シールは、不織布により形成されており、現像ローラ510の軸方向端部に、当該現像ローラ510の周面に沿って接触して、その周面とハウジング540との間からのトナーTの漏れを防止する機能を発揮する。
【0053】
ホルダー526は、現像ローラ510等の種々の部材を組み付けるための金属製の部材であり、図8に示すように、その長手方向(すなわち、現像ローラ510の軸方向)に沿った上シール支持部526aと、前記長手方向(前記軸方向)において上シール支持部526aの外側に設けられ、前記長手方向(前記軸方向)と交差する現像ローラ支持部526bと、当該現像ローラ支持部と交差し、前記上シール支持部526aの長手方向端部に対向する規制ブレード支持部526cと、を有している。
【0054】
上シール520は、その短手方向端部520a(図4)にて、上シール支持部526aによって支持されており、また、現像ローラ510は、その端にて、現像ローラ支持部526bにより支持されている。規制ブレード560は、その長手方向両端部564cにて、規制ブレード支持部526cにより、支持されている。規制ブレード560は、規制ブレード支持部526cにネジ止めされることにより、ホルダー526に固定されている。
【0055】
このように、上シール520と、現像ローラ510と、規制ブレード560とが組付けられたホルダー526は、ホルダー526とハウジング540との間からのトナーTの漏れを防止するためのハウジングシール546(図4)を介して、前述したハウジング540に取り付けられている。
【0056】
このように構成されたイエロー現像装置54において、トナー供給ローラ550がトナー収容体530に収容されているトナーTを現像ローラ510に供給する。現像ローラ510に供給されたトナーTは、現像ローラ510の回転に伴って、規制ブレード560の当接位置に至り、該当接位置を通過する際に、層厚が規制されるとともに、負の電荷が付与される(負極性に帯電される)。層厚が規制され、負の電荷が付与された現像ローラ510上のトナーTは、現像ローラ510のさらなる回転によって、感光体20に対向する対向位置(現像位置)に搬送され、該対向位置にて感光体20上に形成された潜像の現像に供される。
【0057】
ここで、当該潜像の現像について説明する。前述したとおり、本実施の形態に係るプリンタ10においては、ジャンピング現像方式が用いられる。ジャンピング現像が実行される際には、前記電圧印加部132により、矩形状の交番電圧が現像ローラ510に印加される。この交番電圧は、図9に示すように、第一電圧V1と第二電圧V2とを備えている。
【0058】
第一電圧V1は、現像ローラ510から感光体20へトナーを向かわせるための電圧であり、その値は−900Vである。本実施の形態においては、図9に示すように、現像の際に、感光体20の電位が、非画像部(白画像に対応する部分)において−500V、画像部(黒画像に対応する部分)において−50Vとなっており、かつ、トナーは負の極性に帯電している。現像ローラ510に第一電圧V1が印加される際には、現像ローラ510と感光体20との間に現像ローラ510から感光体20へトナーを向かわせる電界が形成され、現像ローラ510上のトナーが感光体20の方へ移動することとなる。
【0059】
一方、第二電圧V2は、感光体20から現像ローラ510へトナーを向かわせるための電圧であり、その値は500Vである。現像ローラ510に第二電圧V2が印加される際には、現像ローラ510と感光体20との間に、感光体20から現像ローラ510へトナーを向かわせる電界が形成され、感光体20上のトナーが現像ローラ510へ移動する(引き戻される)こととなる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、電圧印加部132が第一電圧V1を継続して印加している時間と、第二電圧V2を継続している時間は、双方とも、例えば0.15ms(ミリ秒)である(すなわち、duty比率は50%)。したがって、交番電圧の周期の大きさTは、例えば0.3ms(ミリ秒)である(図9参照)。また、電圧印加部132が現像ローラ510に印加する平均電圧は、非画像部の電位(−500V)より大きく、かつ、画像部の電位(−50V)より小さくなっており、その値は−200V(=(−900+500)/2)である。
【0061】
次に、現像ローラ510の製造方法を説明する。
現像ローラ510を製造するには、まず、図11に示すように矩形板状または帯状の大型金属板165を用意する。この大型金属板165としては、例えば厚さ1mm程度の亜鉛メッキ鋼板が用いられる。続いて、この大型金属板165をプレス加工することにより、図11に示すように前記現像ローラ510に対応する大きさの細長い矩形板状の金属板(第2金属板)160、すなわち現像ローラ510の基材となる金属板160を形成する。
【0062】
次に、図12に示すように、金属板160の第1板面160aにパターンPTNを形成する。パターンPTNの形成については、例えばプレス加工など、周知の板金加工によって行うことができる。
【0063】
次いで、金属板160を図13(a)〜(c)、図14(a)〜(c)のプレス加工工程図に示すように円筒状(パイプ状)にプレス加工し、その両側(長辺側)の端面161a、161bを近接させる。
【0064】
すなわち、まず、図13(a)に示す雄型101と雌型102とで金属板160をプレス加工し、金属板160の両側部162a、162bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。なお、図13(a)においては、各部材を分かりやすくするため、金属板160と雄型101と雌型102との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、金属板160と雄型101、雌型102とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図13(b)、(c)、図14(a)〜(c)においても同様である。
【0065】
続いて、図13(a)で得られた金属板160の幅方向(曲げ方向)における中央部を、図13(b)に示す雄型103と雌型104とでプレス加工し、円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
【0066】
次いで、図13(c)に示すように、図13(b)で得られた金属板160の内部に芯型105を配置し、図13(c)に示す上型106と下型107とを用いて、図14(a)〜(c)に示すようにして金属板160の両側部162a、162bの各端面161a、161bを近接させる。
【0067】
図13(c)および図14(a)〜(c)に示す芯型105の外径は、形成する円筒状の中空パイプの内径と等しくしてある。また、上型106のプレス面106cの半径と下型107のプレス面107aの半径は、それぞれ、形成する中空パイプの外径の半径と等しくしてある。また、図14(a)〜(c)に示すように上型106は左右一対の割型であり、これら割型106a、106bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
【0068】
図13(c)に示す状態から、図14(a)に示すように右側の上型106aを下型107に対して相対的に下降させ(以下、同様に型の移動は相対的移動を意味する)、金属板160の一方の側をプレス加工し、略半円形状にプレス加工する。なお、下型107も上型106と同様左右一対の割型とし(割面107b参照)、この図14(a)に示す工程の際に、同じ側の下型を上昇させてもよい。
【0069】
図14(b)に示すように、芯型106を少し(一方の側の端面161aと他方の側の端面161bとを近接させることができる程度に)下降させるとともに、他方の側の上型106bを下降させ、金属板160の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
【0070】
その後、図14(c)に示すように、芯型105および一対の上型106a、106bをともに下降させ、円筒状の中空パイプ(現像ローラ510)を形成する。この状態で左右両側の端面161a、161bは、僅かな隙間を介して十分に近接した状態となる。すなわち、この円筒状の中空パイプにあっては、基材である金属板160の両端面161a、161bが互いに近接してなることでこれら両端面161a、161b間に繋ぎ目が形成され、したがってこの繋ぎ目は、両端面161a、161bが離間していることによって隙間を有したものとなっている。
【0071】
次いで、本実施形態では、形成した中空パイプ(現像ローラ510)の真円度を高め、振れを少なくするべく、従来公知のセンターレス研磨加工を行い、前記中空パイプ(現像ローラ510)の外周面を研磨する。
【0072】
すると、この中空パイプは、センターレス研磨加工前に比べその真円度がより良好になり、また、振れ量も小さい現像ローラ510となる。また、この現像ローラ510にあっては、前記の両端面161a、161b間がより狭まることで、図14(a)に示すようにこれら両端面161a、161b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目180が形成される。
【0073】
このようにして現像ローラ510を形成したら、この現像ローラ510の表面に塗装を施す。塗装方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。具体的には、樹脂粒子を用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
【0074】
樹脂粒子を用意したら、まず、現像ローラ510に樹脂粒子を塗布する。すなわち、現像ローラ510を図16に示すような塗装ブース190内に配置する。この塗装ブース190には、その下部に一対の回転駆動部材191が設けられており、これら回転駆動部材191には、現像ローラ510を略水平に支持するためのチャック192が設けられている。そして、現像ローラ510の両端部をチャック192に保持させて固定し、さらに回転駆動部材191によってチャック192を回転させる。これにより、現像ローラ510をその軸廻りに、例えば100rpm〜500rpm程度の低速でゆっくり回転駆動させる。なお、現像ローラ510については、若干斜めに支持してもよいのはもちろんである。
【0075】
塗装ブース190には、その上部にトリボガン193が配置されており、このトリボガン193は、シャフト194上を図16中左右方向に移動するようになっている。また、塗装ブース190の底部には排気機構294が設けられており、これによって塗装ブース190内には下方に向かうゆっくりとした気流が形成されるようになっている。なお、この排気機構294の吸引風量は適宜に設定されるようになっている。
【0076】
この現像ローラ510を単体の状態で例えば−(マイナス)電位にしておく。樹脂粒子195を、トリボガン193を用いて現像ローラ510に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子は現像ローラ510の外周面に吸着され、樹脂膜151(図17参照)を形成する。
【0077】
樹脂粒子の吹付による樹脂膜の形成は、パターンPTNの形成領域に対応する領域に行う。したがって、現像ローラ510の全長に亘って行うことなく、例えばその両端部をテープ等でマスキングしておくことにより、両端部を除いた中央部のみに行い、現像ローラ510の中央部にのみ、選択的に樹脂膜151を形成する。
【0078】
この吹付塗装に際しては、現像ローラ510を軸廻りに回転させることにより、その全周に亘って樹脂膜をほぼ均一な厚さに形成する。この樹脂膜の膜厚については、例えば10μm〜30μm程度に形成する。このような膜厚については、前記樹脂粒子の噴出量及び噴出時間等によって適宜に調整することができる。
【0079】
現像ローラ510の両端部510bには、その一方あるいは両方に、例えば搬送駆動ギアやインナーギアなど、種々の連結部品に連結するための係合部が形成可能になっている。例えば、図17(a)、(b)に示すように、円筒状のパイプ(中空パイプ)からなる現像ローラ510の相対向する位置、すなわち現像ローラ510の直径を規定する二点の形成面に、それぞれ貫通孔71a、71aを形成し、これら一対の貫通孔71a、71aを含んでなる係合孔(係合部)71を形成することができる。この係合孔71によれば、歯車等の連結部品72を軸やピン等(図示せず)によって固定することができる。
【0080】
図18(a)、(b)に示すように、現像ローラ510の端部にDカット状の係合部73を形成することもできる。この係合部73は、円筒状の中空パイプ(現像ローラ510)の端部に形成されたもので、図18(a)に示すようにその一部が平面視矩形状に切り欠かれて開口73aを形成し、これによって図18(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0081】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、この見掛け上D状に形成された係合部73に係合させることにより、該連結部品を現像ローラ510に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部73については、中空パイプ(現像ローラ510)の内部孔に通じる溝状の開口73aが形成されていることから、この開口73aを利用することによっても、連結部品を現像ローラ510に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口73aに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0082】
また、図19(a)、(b)に示すように、現像ローラ510の端部に溝74aとDカット部74bとを有した係合部74を形成することもできる。この係合部74において、Dカット部74bは現像ローラ510の外端に形成されており、溝74aはDカット部74bより内側に形成されている。溝74aは、図19(a)に示すように、現像ローラ510がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。Dカット部74bは、溝74aの外側において該溝74aと直交する方向に延在する開口74cを有し、この開口74cの両側に、一対の折曲片74d、74dを有したものである。すなわち、図19(b)に示すようにこれら一対の折曲片74d、74dが現像ローラ510の中心軸側に折曲させられたことにより、これら折曲片74d、74dに対応する部分が、現像ローラ510の円形の外周面から凹んだ状態となっている。
【0083】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝74aに係合させまたはDカット部74bに係合させることにより、該連結部品を現像ローラ510(搬送ローラー15)に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部74では、折曲片74d間に形成された開口74cを利用することによっても、連結部品を現像ローラ510に対し空回りさせることなく取り付けることができる。具体的には、連結部品に凸部を形成しておき、この凸部を前記開口74cに嵌合させることにより、空回りを防止することができる。
【0084】
また、図20(a)、(b)に示すように、現像ローラ510の端部に溝75aと開口75bとを有した係合部75を形成することもできる。この係合部75において、開口75bは現像ローラ510の外端に形成されており、溝75aは開口75bより内側に形成されている。溝75aは、図20(a)に示すように、現像ローラ510がその周方向に略半分切り欠かれて形成されたものである。開口75bは、溝75aの外側において現像ローラ510の一部が平面視矩形状に切り欠かれ、これによって図20(b)に示すように端部側面の外形が見掛け上D状に形成されたものである。
【0085】
したがって、歯車等の連結部品(図示せず)を、前記溝75aに係合させまたは開口75bによって形成された見掛け上D状に形成された部位に係合させることにより、該連結部品を現像ローラ510に対し空回りさせることなく、取り付けることができる。また、この係合部75でも、図18(a)、(b)に示した係合部73と同様に、開口75bを利用することによって、連結部品を現像ローラ510に対し空回りさせることなく取り付けることができる。
【0086】
このような係合孔71や係合部73、74、75を形成するには、金属板160をプレス加工して得られた現像ローラ510に対して、さらに切削加工等を施すことで行うことができる。例えば、図18(a)、(b)に示した係合部73については、その端部を切削加工して開口73aを形成することにより、見掛け上D状の係合部73を形成することができる。また、図17(a)、(b)に示した係合孔71についても、現像ローラ510に対して孔開け加工することで、一対の貫通孔71a、71aをより良好に対向させることができる。
【0087】
しかしながら、このように現像ローラ510に対してさらに加工を施すのでは、係合部の形成だけのために別途加工工程を追加することで、コストや時間についての効率が低下してしまう。そこで、現像ローラ510にプレス加工する前に、プレス加工によって係合部となる展開係合部を金属板に形成しておき、この金属板をプレス加工して現像ローラ510とする際に、係合部も同時に形成するのが好ましい。
【0088】
具体的には、図11(a)に示した大型の金属板(第1金属板)165を細長い矩形板状の金属板(第2金属板)160にプレス加工する際、この大型金属板165から小型の金属板160への加工と同時に、得られる金属板160の端部に、切欠状、突片状、孔状、あるいは溝状等の展開係合部を形成する。例えば、図21(a)に示すように金属板160の端部の所定位置に一対の貫通孔71a、71aを加工し、これらを展開係合部76aとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで前記一対の貫通孔71a、71aを対向させ、図17(a)、(b)に示した係合孔71を形成することができる。
【0089】
図21(b)に示すように、金属板160の端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76bとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで図19(a)、(b)に示した係合部74を形成することができる。すなわち、展開係合部76bとして、一対の切欠部(凹部)74e、74eと一対の突片74f、74fとを形成しておくことにより、係合部74を形成することができる。ただし、この例では、金属板160をプレス加工した後、一対の突片74f、74fを内側に折りプレス加工して折曲片74dとする必要があるため、加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めるにはやや不十分である。
【0090】
そこで、図21(c)に示すように、金属板160の端部を所定形状に切り欠いて展開係合部76cとしておくことにより、この金属板160をプレス加工することで図20(a)、(b)に示した係合部75を形成することができる。すなわち、展開係合部76cとして、一対の切欠部(凹部)75c、75cと一対の突片75d、75dとを形成しておくことにより、係合部75を形成することができる。この例では、金属板160をプレス加工した際に一対の突片75d、75dも円弧状に曲げることにより、これら突片75d、75d間に図20(b)に示した開口75bを形成することができる。したがって、プレス加工によって形成した現像ローラ510に対し、さらに加工を追加する必要がなく、これにより加工工程についてのコストや時間の効率化を十分に高めることができる。
【0091】
また、図6などに示したように本実施形態に係る現像ローラ510では、その繋ぎ目180を、円筒状の中空パイプからなる現像ローラ510の中心軸と平行になるように形成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば基材となる金属板160の一対の端部間に形成される繋ぎ目を、前記円筒状パイプ(ローラー本体)の外周面上における、該円筒状パイプの中心軸に平行な直線上において、該直線に対して線分で重なることなく、一つあるいは複数の点でのみ重なるように形成してもよい。
【0092】
具体的には、図22(a)に示すように繋ぎ目81として、現像ローラ510の中心軸510cに平行となることなくこれに交差するように、現像ローラ510の外周面をその周方向に延びつつ、現像ローラ510の一端から他端にかけて延在するように形成してもよい。このように繋ぎ目181を形成するには、基材となる金属板として、細長い矩形状の金属板160でなく、図22(b)に示すように細長い平行四辺形の金属板160aを用い、符号510cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。これにより、図22(a)に示した現像ローラ510が得られ、繋ぎ目181が中心軸510cに対して非平行となる。
【0093】
図22(a)に示した現像ローラ510では、その繋ぎ目181が、現像ローラ510の一端から他端にかけて、その周面を一周未満しか回らないように形成している。これは、金属板160aのプレス加工を容易にするためである。ただし、図22(c)に示すように繋ぎ目182が、現像ローラ510の一端から他端にかけて、その周面を一周以上回るように、すなわち螺旋状に回るように形成してもよい。その場合には、基材となる金属板として、図22(b)に示した細長い平行四辺形の金属板160aにおける、角度θをより鋭角にすればよい。
【0094】
図23(a)に示すように繋ぎ目183を、サイン波等の曲線からなる波線状に形成してもよい。このように繋ぎ目183を形成するには、基材となる金属板として、図23(b)に示すように、細長い略矩形状で、その両方の長辺が波線状に形成された金属板160bを用い、符号510cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。なお、波線状に形成された一対の長辺は、プレス加工によってこれらが近接させられるため、当然ながら互いに対応する箇所間では、一方の長辺が山部となる場合に他方の長辺では谷部となり、逆に、一方の長辺が谷部となる場合に他方の長辺では山部となるように形成する。また、この例では、繋ぎ目183の中心線が現像ローラ510の中心軸と平行になるように形成したが、この繋ぎ目183の中心線も、現像ローラ510の中心軸と非平行になるように形成してもよい。その場合に、基材となる金属板として、図22(b)に示したような細長い平行四辺形の金属板で、かつ、その両方の長辺が波線状に形成されたものを用いればよい。
【0095】
図24(a)に示すように繋ぎ目184を、鉤状に折れ曲がった波線状に形成してもよい。このように繋ぎ目184を形成するには、基材となる金属板として、図24(b)に示すように、細長い略矩形状で、その両方の長辺が鉤状に折れ曲がった波線状に形成された金属板160cを用い、符号510cで示す直線が中心軸となるようにプレス加工する。この金属板160cにおいても、波線状に形成された一対の長辺において互いに対応する箇所間では、一方の長辺が山部となる場合に他方の長辺では谷部となり、逆に、一方の長辺が谷部となる場合に他方の長辺では山部となるように形成する。なお、この例でも、繋ぎ目184の中心線が現像ローラ510の中心軸と平行になるように形成したが、前記繋ぎ目183の場合と同様に、現像ローラ510の中心軸と非平行になるように形成してもよい。
【0096】
繋ぎ目については、図22〜図24に示した例に限定されることなく、種々の形状を採用することができる。例えば、図23(a)に示した曲線からなる波線と、図24(a)に示した折れ曲がった波線とを組み合わせてもよく、これらに、図22に示したような斜めの線を組み合わせてもよい。
【0097】
円筒状の中空パイプからなる現像ローラ510の繋ぎ目については、上記に例示した構成以外にも、例えば図25(a)に示すように、現像ローラ510の中心軸と平行な直線部185aとこれに直交する直線部185bとからなる、矩形波状の折曲部185を有して形成されていてもよい。このような折曲部185を有してなる繋ぎ目にあっても、この繋ぎ目に起因して仮に溝が形成された場合に、この溝が紙送りの際に用紙Pの幅全体に同時に接触することがないため、用紙Pの搬送速度がほぼ一定になり、現像ムラが防止される。
【0098】
この折曲部185については、図25(b)に示すように現像ローラ510の長さ全体に亘って形成されていてもよく、図25(c)に示すように、その中央部を除く両端部に選択的に形成されていてもよい。図25(c)に示したように折曲部185を両端部にのみ形成する場合には、これら折曲部185間は現像ローラ510の中心軸と平行な中央直線部186となる。ただし、図示しないものの、折曲部185間の中央直線部を、図21(a)に示したように中心軸510cと非平行となる斜め線に形成してもよい。
【0099】
繋ぎ目に折曲部185を形成し、したがってこの折曲部185を凹凸による嵌合部にすると、これら折曲部185(嵌合部)では設計通りに嵌合させ、凸部の先端とこれに対応する凹部との間を隙間なく近接させる(突き合わせる)のが難しくなる。したがって、現像ローラ510の全長に亘って折曲部185を形成すると、現像ローラ510に歪みや捩れ等が生じ易くなる。そこで、図25(c)に示したように折曲部185を両端部にのみ形成すれば、このような歪みや捩れ等が生じるのを抑えることができる。
【0100】
図25(b)に示したように、折曲部185を現像ローラ510の長さ全体に亘って形成した場合、図26(a)に示すようにこの折曲部185からなる繋ぎ目187を、前記直線部185bからなる複数の交差部187aと、該交差部187aの一方の側の端部間を結ぶ第1直線部187bと、他方の側の端部間を結ぶ第2直線部187cとからなるように形成してもよい。ここで、第1直線部187bおよび第2直線部187cは現像ローラ510の中心軸に略平行となるように形成し、交差部187aはこれら第1直線部187bおよび第2直線部187cと直交するように、つまり現像ローラ510の中心軸に直交するように形成する。また、第2直線部187cは第1直線部187bより短く形成する。
【0101】
このような構成の繋ぎ目187を形成する場合、特に、第2直線部187cにおいて互いに対向する前記一対の端部間の距離d3を、前記第1直線部187bにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d4より長く形成するのが好ましい。なお、ここでいう一対の端部間の距離d3、d4は、いずれも現像ローラ510における外周面に形成される隙間における端部間の距離とする。
【0102】
このようにすれば、現像ローラ510の、円筒状中空パイプとしての形状や寸法の精度をより高くすることができ、したがって、現像ローラ510の変形等に起因する現像ムラを防止することができる。すなわち、このような現像ローラ510を形成するための基材となる金属板では、前記第2直線部187cを構成する一方の端部は、隣り合う一対の交差部187a、187aとこれらの端部間を結ぶ第2直線部187cとを外形とする凸片187dとなる。したがって、金属板をプレス加工してこの凸片187dを対向する端部に近接させようとした際、図26(b)中に二点鎖線で示すように、この凸片187dの先端側が円周面状に十分に曲げられずに、対向する端部に対して寸法t1分浮いた状態になり、結果としてこの第2直線部187cおいて段差を形成してしまう。すると、この段差に起因して、得られる現像ローラ510には変形等が生じ易くなり、形状や寸法について良好な精度が得られにくくなってしまう。
【0103】
そこで、この第2直線部187cにおける端部間の距離d3を、この第2直線部187cより長く形成されている第1直線部187bにおける端部間の距離d4よりも長くすることにより、図26(b)中に実線で示すように、凸片187dの先端側が浮く分の寸法t2が前記のt1に比べて少なく(小さく)なり、これによって第2直線部187cにおいて段差が形成されるのを抑えることができる。なお、図26(b)では、理解を容易にするため寸法t2も大きく記しているが、実際にはこの寸法t2はほとんど零に近くなり、実質的な段差がなくなるようになる。つまり、このように第2直線部187cにおいて段差が形成されるのを抑えることにより、この段差に起因する現像ローラ510の変形等を抑え、形状や寸法についての精度を高めることができるのである。
【0104】
図25(c)に示したように、折曲部185を現像ローラ510の両端部にのみ形成した場合、図27に示すようにこの折曲部185における交差部187a(直線部185b)において互いに対向する前記一対の端部間の距離d5を、前記中央直線部186において互いに対向する一対の端部間の距離d6より短く形成するのが好ましい。
【0105】
このようにすれば、距離d5が相対的に短くなって交差部187aにおける端部間の隙間が非常に狭くなるため、現像ローラ510を形成するための基材となる金属板をプレス加工した際、一方の端部と他方の端部との間の長さ方向(軸方向)でのずれが、交差部187aを構成する一対の対向する端部によって規制されるようになる。したがって、得られる現像ローラ510に歪みや捩れ等が生じにくくなり、このような歪みや捩れ等に起因する現像ムラが防止される。
【0106】
図25(c)に示したように、折曲部185を現像ローラ510の両端部にのみ形成した場合には、図27に示すようにこの折曲部185の前記凸片187dを構成する第2直線部187cにおいて互いに対向する一対の端部間の距離d7を、前記中央直線部186において互いに対向する一対の端部間の距離d6より短く形成してもよく、また、長く形成してもよい。
【0107】
距離d7を距離d6より短く形成すれば、繋ぎ目の全長を見た場合に、対向する一対の端部間にできる隙間がより均一化し易くなり、これによって得られる現像ローラ510の形状や寸法についての精度がより高くなる。すなわち、中央直線部186の長さは折曲部185における第2直線部187cの長さより長くなり、したがって中央直線部186における一対の端部間の方が第2直線部187cに比べて精度良く近接させることができる。よって、相対的に端部間の精度をより良好にすることができる中央直線部186の方の一対の端部間の距離を、第2直線部187cに比べて長くしてその隙間を大きくしても、この隙間を十分均一にすることが可能になり、したがって得られる現像ローラ510の歪みや捩れ等に起因する現像ムラが防止される。
【0108】
一方、距離d7を距離d6より長く形成すれば、図26(b)に示したように凸片187dの先端側が浮く分の寸法t2が少なく(小さく)なり、これによって第2直線部187cにおいて段差が形成されるのが抑えられる。よって、このように第2直線部187cにおいて段差が形成されるのが抑えられることにより、この段差に起因する現像ローラ510の変形等が抑えられ、形状や寸法についての精度が高めることによって現像ムラが防止される。
【0109】
円筒状の中空パイプからなる現像ローラ510の繋ぎ目については、前記例以外にも、例えば図28(a)に示すように折曲部188における交差部188aを、現像ローラ510の中心軸に対して非平行とし、折曲部188における凸片188bの先端側の角度αを鈍角(180°未満)に形成してもよい。このようにすれば、金属板のプレス加工において一対の端面を近接させた際、凸片188bの先端を対応する凹部に嵌合させ易くなり、したがって、現像ローラ510に歪みや捩れ等が生じるのを抑制することができる。
【0110】
図25(c)に示したように折曲部185を両端部のみに形成した構造において、折曲部185を、例えば図28(b)に示すように図23(a)に示した曲線からなる波線89aに代えてもよく、さらに、図28(c)に示すように図24(a)に示した折れ曲がった波線189bに代えてもよい。
【0111】
図25(a)に示した矩形波状の折曲部185と、図28(b)に示した曲線からなる波線189aとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよく、矩形波状の折曲部185と、図28(c)に示した折れ曲がった波線189bとを組み合わせて繋ぎ目を形成してもよい。
【0112】
上記のように構成されたレーザビームプリンタ10によって画像を形成する際、感光体20及び現像ローラ510を逆方向に回転させると共に、電圧印加部132によって矩形状の交番電圧(図9の第一電圧V1及び第二電圧V2)を感光体20と現像ローラ510との間に印加する。
【0113】
当該第一電圧V1と第二電圧V2とが電圧印加部132により交互に印加されるため、潜像の現像の際には、トナーは、現像ローラ510から感光体20への移動と、感光体20から現像ローラ510への移動(戻り)と、を交互に繰り返す。現像ローラ510の回転によって現像位置を通過した現像ローラ510上のトナーTは、上シール520を通過して、上シール520によって掻き落とされることなく現像装置内に回収される。さらに、未だ現像ローラ510に残存しているトナーTは、前記トナー供給ローラ550によって剥ぎ取られる。
【0114】
本実施形態では、現像ローラ510に形成されている隙間180の間隔(端面161a、161b間の距離)d1が0.01mm〜0.09mm程度であり、現像ローラ510が回転する際の現像ローラ510の表面の移動速さVは、300mm/s(0.3mm/ms)である。このため、感光体20の回転面上の一点を隙間180が回転によって通過するのに要する時間は、0.03ms〜0.3msとなる。一方、交番電圧の周期Tは、例えば0.3ms(ミリ秒)である。このため、1周期分の交番電圧が印加される期間よりも短い期間で隙間180が感光体20の回転面上の一点を通過することになる。
【0115】
隙間180には交番電圧が印加されないため、隙間180が感光体20の回転面上の一点を通過する間は、トナーに電界が印加されない期間となる。当該期間が交番電圧の周期Tよりも長くなると、現像ローラ510と感光体20との間に交番電圧が印加されている(すなわち、画像形成の制御が行われている)にもかかわらずトナーの移動が発生せず、その期間は画像が形成されない状態となる。このため、画像に白スジが発生するなど、画像ムラが生じてしまう。
【0116】
これに対して、本実施形態では、交番電圧の周期Tよりも、隙間180が感光体20の回転面上の一点を通過する時間の方が長くなるようにし、1周期分の交番電圧が印加される期間よりも短い期間で隙間180が感光体20の回転面上の一点を通過することとしたので、1周期分の交番電圧の少なくとも一部が常にトナーに印加されることとなる。このため、画像ムラの発生が抑制されることとなる。
【0117】
以上のように、本実施形態によれば、現像ローラ510を形成する際に、金属板160の第1板面160aにプレス加工によって第1溝部512a及び第2溝部512bを構成する凹凸パターンPTNを形成するステップと、当該凹凸パターンPTNが形成された第1板面160aが外面となるように、かつ、金属板160の対向する一対の端辺161a及び161bが近接するように、金属板160をプレス加工によって円筒状に形成するステップとを含むこととした。
【0118】
金属板160をプレス加工することにより中空の円筒状の現像ローラ510を形成することができるため、中実の円柱状のローラに比べて軽量な現像ローラ510を製造することができる。加えて、金属板160の第1板面160aに所定の凹凸パターンPTNを形成した後に金属板160のプレス加工を行うこととしたので、金属板160に形成することができる凹凸パターンPTNの自由度が広がることになる。また、金属板160の一対の端面161a、161bを密着させずに近接するようにしたので、圧縮空気の逃げ場を確保することができる。これにより、現像ローラ510の回転時の振動を防ぐことができる。
【0119】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、現像ローラ510を形成する際、金属板160の一対の端面161a、161bの全面を離した状態とする例を説明したが、これに限られることは無く、例えば端面161a及び161b間の一部について、溶接工程によって固定することとしても構わない。この場合、金属板160に塗装工程が行われる前に溶接工程を行うことが好ましい。
【0120】
また、上記実施形態では、金属板160の第1板面160aに形成する凹凸パターンPTNとして、格子状の溝部を形成する例を挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば曲線状の溝部や、平面視四角形、三角形を含む多角形パターン、円形パターンなどの各種形状のパターンや、これらを組み合わせたパターンなどを適宜形成することが可能である。本発明では、円筒状あるいは円柱状の側面にパターンを形成するのではなく、金属板160上にパターンを形成することができるため、幅広い形状のパターンを形成することができる。なお、プレス加工に限られず、他の加工法によってこれらの凹凸パターンPTNを形成しても構わない。
【符号の説明】
【0121】
10…レーザービームプリンタ(画像形成装置) 160…金属板 160a…第1板面 PTN…凹凸パターン 510…現像ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端面が所定の間隔を空けて対向するように円筒状に形成された金属板を有し、
前記金属板には、前記一対の端面間に接合部が形成されている
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記金属板の円筒表面となる第1板面には、プレス加工による所定の凹凸パターンが形成されており、
前記金属板は、平板状態で前記第1板面に凹凸パターンが形成されると共に、前記凹凸パターンが形成された前記第1板面が外面となるようにプレス加工によって円筒状に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記金属板を円筒状に形成する前記プレス加工は、前記金属板のうち前記第1板面とは反対側の第2板面を押圧することによって行われる
ことを特徴とする請求項2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
金属板の第1板面にプレス加工によって所定の凹凸パターンを形成し、
前記凹凸パターンが形成された前記第1板面が外面となるように、かつ、前記金属板の対向する一対の端辺が所定の間隔を空けて近接するように、前記金属板をプレス加工によって円筒状に形成してなる
ことを特徴とする現像ローラ。
【請求項5】
回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた現像ローラと、
前記像担持体と前記現像ローラとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、
前記像担持体及び前記現像ローラを回転させる回転装置と
を備え、
前記現像ローラとして請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の現像ローラが用いられており、
前記回転装置は、前記現像ローラの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記現像ローラを回転させる
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記電圧印加装置は、所定周期の交流電圧を印加し、
前記現像ローラの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記現像ローラの周速のうち少なくとも一方を調整する制御部を有する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
回転可能に設けられ、潜像を担持する像担持体と、
前記像担持体に非接触で対向する位置に回転可能に設けられた現像ローラと、
前記像担持体と前記現像ローラとの間に所定電圧を印加する電圧印加装置と、
前記像担持体及び前記現像ローラを回転させる回転装置と
を用いて行う画像形成方法であって、
前記現像ローラとして、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の現像ローラが用いられており、
前記回転装置は、前記現像ローラの周速が前記像担持体の周速よりも大きくなるように前記像担持体及び前記現像ローラを回転させる
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記像担持体と前記現像ローラとの間に、所定周期の交流電圧を印加し、
前記現像ローラの回転によって前記接合部が前記像担持体の回転面上の一点を通過する時間よりも前記所定周期の方が大きくなるように前記所定周期及び前記現像ローラの周速のうち少なくとも一方を調整する
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−230736(P2010−230736A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75294(P2009−75294)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】