説明

現像ローラ、電子写真プロセスカートリッジおよび電子写真画像形成装置

【課題】高速出力下で、長期に亘って画像出力を行っても、バンディングの発生を抑制することができ、また、トナー初期固着や低温低湿下で繰り返し画像を出力した際のトナー融着を抑制することができる現像ローラを提供する。
【解決手段】軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた少なくとも一層の樹脂層とを有する現像ローラにおいて、該現像ローラの最表面層が、連続する層を形成する結着樹脂としてのポリウレタン樹脂(A)と該ポリウレタン樹脂(A)に分散されたポリウレタン樹脂粒子(B)とを含有し、該ポリウレタン樹脂(A)および該ポリウレタン樹脂粒子(B)の、測定温度T(T=−20℃〜40℃)、周波数10Hzで測定された損失正接(tanδ)をそれぞれ、tanδ(A)およびtanδ(B)と定義したときに、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする現像ローラ。0.40≦tanδ(B)≦1.10…式(1) 0.30≦tanδ(B)−tanδ(A)≦0.70…式(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真画像形成装置において感光体に接触させて使用される現像ローラおよびその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
接触現像方式を採用した電子写真画像形成装置においては、現像ローラに当接して設けられる弾性ローラによって、現像ローラ表面上にトナーが供給される。ついで、トナー規制部材により現像ローラ表面の余剰なトナーを除去して現像ローラ上にトナー層を薄膜状に形成すると同時に、摺擦によりトナー粒子に所定量の正または負の摩擦電荷を与える。さらに、現像ローラの回転により正または負に摩擦帯電したトナーを搬送し、現像ローラに接触して設けられる感光体表面の静電荷像にトナーを付着させ、現像を行う。このような現像ローラとしては、導電性軸芯体の周囲に樹脂層を設け、必要に応じてその外周に表面層が設けられたローラが使用される。
【0003】
また、省スペース、低コストの電子写真画像形成装置が広く普及し、昨今ではその使用環境が大きく変動している。ところが、高温高湿環境下と低温低湿環境下のような両極端の環境における画像品位の保持は非常に困難になる場合がある。具体的には、高温高湿環境下において、現像ローラ表面層やトナーが柔軟化し、タック性(表面粘着性)が上昇することで、トナー固着が発生しやすくなる場合があった。この現象は、画像出力初期に発生する現象であり、数枚から数十枚画像を出力することで、接触部材との摺擦により、トナー固着が消失する傾向にあることから、初期トナー固着と呼ばれる。一方で、低温低湿環境下においては、現像ローラ表面層の硬度が上昇することで、トナーに与えるストレスが増大して、カートリッジ寿命前に現像ローラ表面層にトナーがフィルミング(融着)する場合があった。かかる初期トナー固着への対策として、特許文献1では、トナーに対して離型性を示す特性を有する無機粒子を弾性層の表面にふりかけ、付着させて、トナーに対する良好な帯電性を有し、かつ初期トナー固着を抑制した弾性層付きの現像ローラが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−62086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の現像ローラにおいては、低温低湿環境下において、長期に亘って画像出力を行うことにより、トナー劣化によるトナー融着が生じる場合があった。
【0006】
本発明の目的は、高温高湿環境下における初期トナー固着を抑制し、また、低温低湿下での繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着の抑制し得る現像ローラを提供することにある。さらに高速で、長期に亘って画像出力を行っても、バンディングの発生しない高品位な画像形成を可能とする現像ローラを提供することを目的とする。さらに、このような現像ローラの製造方法、このような現像ローラを用いた高画質・高耐久な電子写真プロセスカートリッジ、及び電子写真画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記の課題に鑑み、高温高湿環境下における初期トナー固着および低温低湿環境下におけるトナー融着に起因した画像弊害およびバンディングの如き画像弊害の改善を試みた。その結果、現像ローラ最表面層が、結着樹脂であるマトリックス樹脂とマトリックス樹脂に分散されてなる樹脂粒子から構成され、かつ両者の樹脂材料と粘弾性特性の相関を最適化することで、上記目的を達成できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明にかかる現像ローラは、軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた少なくとも一層の樹脂層とを有する現像ローラであって、該現像ローラの最表面層は、結着樹脂としてのポリウレタン樹脂(A)と該ポリウレタン樹脂(A)に分散されたポリウレタン樹脂粒子(B)とを含有し、該ポリウレタン樹脂(A)および該ポリウレタン樹脂粒子(B)の、測定温度T(T=−20℃〜40℃)、周波数10Hzで測定された損失正接(tanδ)をそれぞれ、tanδ(A)およびtanδ(B)と定義したときに、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする。
0.40≦tanδ(B)≦1.10 …式(1)
0.30≦tanδ(B)−tanδ(A)≦0.70 …式(2)
【0009】
本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面にトナーを供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有し、電子写真画像形成装置に着脱可能に装着される電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
【0010】
また、本発明は、静電潜像を担持する感光体の表面にトナーを供給して静電潜像を現像してトナー像とする現像ローラを有する電子写真装置において、現像ローラが上記現像ローラであることを特徴とする電子写真画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、(1)長期に亘って高速で画像出力を行っても、バンディングの発生を抑制することができる、(2)表面における初期トナー固着の発生が抑制され、安定した画像を形成することができる、(3)低温低湿下で繰り返し画像を出力した際のトナー融着に起因した画像弊害を抑制することができる現像ローラを提供することができる。さらに、高寿命および高画質な画像形成が可能なプロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】樹脂層が多層構成である本発明の現像ローラの一例の断面図である。
【図2】中間層形成に使用する液循環型浸漬塗工装置の一例の模式図である。
【図3】本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例の概略構成図である。
【図4】本発明の電子写真画像形成装置の一例の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の現像ローラ1は、図1に示すように、円柱状または中空円筒状の導電性軸芯体2の外周面に樹脂層3が固定される。現像ローラが、単層構造である場合は、上記樹脂層3が最表面層4となる。樹脂層3は、材質やその組成が異なる多層構造であってもよい。この場合、本発明においては、最表面層4に、連続する層を形成する結着樹脂としてのポリウレタン樹脂(A)と、該ポリウレタン樹脂(A)中に分散されたポリウレタン樹脂粒子(B)が含有される。
【0014】
<導電性軸芯体2>
本発明の現像ローラに用いる導電性軸芯体2は、上層の少なくとも一層以上の樹脂層3を支持し感光体へトナーを搬送可能な強度と、帯電したトナーを感光体へ移動可能な電極となり得る導電性を有するものであればよい。
【0015】
<樹脂層3>
本発明の現像ローラは、図1に示したように、導電性軸芯体2の外周面に少なくとも一層以上の樹脂層3を有する。そして、最表面層に連続する層を形成する結着樹脂としてのポリウレタン樹脂(A)と、該ポリウレタン樹脂(A)に分散されたポリウレタン樹脂粒子(B)を含有することを特徴とする。また、本発明におけるポリウレタン樹脂(A)と、ポリウレタン樹脂粒子(B)は、必要とされる損失正接(tanδ)の範囲が異なる。
【0016】
ここで、損失正接(tanδ)について、説明をする。一般的に、ゴムや樹脂材料のような粘弾性体に応力を与えて変形させると、与えられた応力の多くは、内部変形のエネルギーとして貯蔵され、応力の除去に際して、復元の原動力となる。しかし、一部は応力印加時の歪みに伴う分子構造の摩擦のために消費されるため、熱エネルギーに変換される。この内部摩擦の大小の指標を示す値として、損失正接(tanδ)が用いられる。従って、機械的エネルギーを散逸させる、すなわち衝撃を吸収する手段として、従来からtanδの高いゴムや樹脂材料が用いられてきた。
【0017】
しかし、一般的にtanδが高いゴムや樹脂材料は、粘性が強い、もしくは塑性変形が生じやすい性質を示す。従って、本発明の現像ローラのような擦動部材に用いると、機械的エネルギーの散逸よりも、タック性上昇の弊害が強く、接触部材との摺擦時のスティックスリップ現象により、バンディングが発生する場合があった。逆に、tanδが低いゴムや樹脂材料は、一般的に粘性が低く、トナーの耐付着性に優れる。しかし一方で、機械的エネルギーを散逸しにくいために、特に高速で長期に亘って画像出力を行った場合に、機械的エネルギーの伝達経路に強い負担がかかり続け、ギア類の摩耗によるバンディングが悪化する場合があった。
【0018】
さらには、ゴムや樹脂材料におけるtanδは、測定周波数および温度によって、値が大きく異なる場合がある。本発明の現像ローラにおける機械的エネルギーの散逸は、駆動系で発生する回転方向の振動成分を弾性部材内で主に熱に変換することに因るものである。従って、tanδ値を測定する場合、駆動系の周波数特性や伝達関数といった概念を考慮し、発生する振動の加振周波数に則った周波数条件で測定することが必要となる。
【0019】
また、ゴムや樹脂材料のtanδは、ガラス転移温度でピークとなる特徴を示す。従って、従来、制振材料としては、使用温度付近にてガラス転移温度を有するゴムや樹脂材料を用いられてきた。また、ガラス転移温度制御以外のtanδ制御の手法として、パラフィン系オイルのような軟化剤の如き、主成分のゴム材の架橋に寄与しない成分を多量に含有させる手法が用いられてきた。しかし、本発明における現像ローラは、広い温度範囲において、均一で高品質な画像形成を目的とするものである。従って、使用温度領域内にて、ガラス転移温度を有するゴム材料を用いた場合、ゴム材料の硬度が高過ぎるために、低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着が悪化する場合がある。また、パラフィン系オイルのような軟化剤を用いた場合、特に高温環境において長期保管した際に、ブリードし、トナー初期固着が悪化する場合がある。上述の通りに、低温低湿下におけるトナー融着および高温高湿下におけるトナー初期固着の抑制は、ゴムや樹脂材料のtanδの値によって、トレードオフの関係に陥りやすい。すなわち、本発明の効果を発現するためには、tanδの温度依存性を考慮するとともに、機能分離の観点から、現像ローラ最表面層の構成を設計することが重要である。
【0020】
上記技術的背景に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、本発明における現像ローラの最表面層は、マトリックス部としてのポリウレタン樹脂(A)に、特徴的に高tanδを示すポリウレタン樹脂粒子(B)が分散されていることが有効であることを見出した。さらに、測定温度T(T=−20℃〜40℃)、周波数10Hzで測定されたポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδ値がポリウレタン樹脂(A)のtanδ値よりも高く、それらの差が特定の範囲にあることで、本発明の効果を発現できることを見出した。
【0021】
ここで、tanδ(A)およびtanδ(B)とは、それぞれポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδ値を示す。そして、本発明においては、周波数10Hzおよび測定温度Tが−20℃〜40℃の温度範囲内で測定されたtanδ(B)を、以下の範囲に設定する。
0.40≦tanδ(B)≦1.10 …式(1)
また、本発明におけるtanδ(A)およびtanδ(B)とは、−20℃〜40℃の測定温度範囲内で測定された値の中で、それぞれ、最高値および最低値として定義される。このtanδ(B)の値は、一般的に電子写真用ゴムローラに用いられる樹脂粒子と比較して、非常に高い水準にある。本発明のように、上記特徴を示すポリウレタン樹脂粒子(B)が最表面層に存在することにより、現像ローラ駆動時における接触部材との摺擦による機械的エネルギーを効果的に散逸させることができる。さらには、回転方向の振動成分を効率的に熱エネルギーに変換することを可能とするため、高速下で長期に亘って画像を出力しても、機械的エネルギーの伝達経路であるギア類の摩耗を抑制することができる。また、tanδは、ゴムや樹脂材料のガラス転移温度を境に、温度変化に伴って、連続的に値が低下する傾向にある。しかし、ポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδを上記値にすることで、低温低湿環境から高温高湿環境のあらゆる環境において、長期に亘って画像出力を行っても、バンディングの発生を効果的に抑制することができる。一方で、ポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδ(B)が、0.40未満であると、機械的エネルギーの散逸が不十分で、ギア類の摩耗が進行し、バンディングが発生しやすくなる場合がある。また、1.10より大きいと、ゴム粘性の寄与の増加によって、初期トナー固着が発生しやすくなる場合がある。またさらに、表面タック性の上昇によって、接触部材との摺擦時にスティックスリップ現象が発生し、バンディングが発生しやすくなる場合がある。
【0022】
またさらに、本発明においては、周波数10Hzおよび測定温度Tが−20℃〜40℃の温度範囲内で測定されたtanδ(B)と、tanδ(A)との差を、以下の範囲に設定する。
0.30≦tanδ(B)−tanδ(A)≦0.70 …式(2)
この値は、マトリックスであるウレタン樹脂(A)とウレタン樹脂粒子(B)との相対的粘弾性特性の差異に関係し、両者の機能分離の指標を示すものである。また、本発明におけるtanδ(B)−tanδ(A)とは、−20℃〜40℃の測定温度範囲内で同温度にて測定された中での最低値として定義される。上述の通りに、本発明の現像ローラのような摺動部材は、tanδの値によって、低温低湿下と高温高湿下における画像性能を両立することが困難となる場合がある。本発明者らは、鋭意検討した結果、tanδ(B)−tanδ(A)を上記範囲にすることで、初期トナー固着、低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着、バンディング発生の抑制のすべてを同時に達成できることを見出した。つまり、tanδが低いマトリックスに、tanδが特徴的に高い樹脂粒子が分散することで、粘弾性特性(tanδ)の値によって、トレードオフ関係になりやすい画像形成に係わる特性性能の両立を達成できることを見出した。上述の構成を取ることによって、本発明の効果を発現できるメカニズムは、完全に解明されていないが、以下のように推定される。すなわち、マトリックスとしてのポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂粒子(B)の粘弾性特性を異なったものにすることにより、両者の固有振動数が異なるものになる。現像ローラ駆動時は、接触部材との摺擦が繰り返し行われるが、両者が異なる固有振動数を有することにより、現像ローラの回転方向における共振が低減されて、回転方向の振動成分の抑制を可能にしたものと考えられる。tanδ(B)−tanδ(A)が0.30未満であると、機械的エネルギーの効率的な散逸が不十分で、バンディングの如き画像弊害が発生しやすくなる場合がある。また、0.70より大きいと、初期トナー固着や低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着が発生しやすくなる場合がある。また、実際の駆動時に発生する振動の加振周波数は、現像ローラの回転速度、対接するドラムとの周速差、最表面層の構成のようなファクターによって異なる。従って、本発明におけるtanδは、実機における加振周波数の平均値付近である10Hzにおける値を用いた。
【0023】
さらには、本発明の効果を発現するのに、両者が同系統の樹脂材料であることが、非常に重要な点である。両者が同系統の樹脂であることで、マトリックスとしてのポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂粒子(B)の界面親和性が非常に良好であり、現像ローラ駆動時の機械的エネルギーの吸収が効率的に行われる。さらには、機械的エネルギーが熱的エネルギーのようなエネルギーに変換され、散逸する際にも、熱的エネルギーの伝達性が良好なため、効果的に機械的エネルギーを散逸し、高次元なレベルでのバンディング発生の抑制に寄与する。また、相対的に粘性(tanδ)の高いポリウレタン樹脂粒子(B)が、高弾性なポリウレタン樹脂(A)に分散され、より内部に存在することにより、最表面のタック性上昇を最大限に抑制することができる。
【0024】
また、ここでいうポリウレタン樹脂とは、単一の組成を持つポリマーを指す名称ではなく、ウレタン結合を含むポリマーの総称であり、ハードセグメントとソフトセグメントの二つのセグメントから構成される。ハードセグメントは、ウレタン結合、アロファネート結合、ビウレット結合の如き結合を含有するセグメントから構成される。ソフトセグメントは、エーテル基、エステル基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基の如き官能基を有するセグメントから構成される。ポリウレタンは一般にソフトセグメントを形成する化学結合種によって、ポリエステルポリウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン、アクリルポリウレタン、ポリオレフィンポリウレタンといった分類がされる。
【0025】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)の個数平均粒子径は、5μm以上50μm以下であることが好ましい。5μm以上であることで、ポリウレタン樹脂粒子(B)同士の過度な凝集が起こらず、機械的エネルギーの散逸が効率的に行われ、バンディングの発生を抑制することができる。また、50μm以下であることで、表面タック性の過度な上昇を抑制し、初期トナー固着を抑制することができる。またさらに、接触部材との摺擦時のスティックスリップ現象によるバンディングを抑制することができる。ポリウレタン樹脂粒子の個数平均粒子径は、現像ローラ1の樹脂層3および最表面層4を導電性軸芯体2に対して垂直方向にカミソリ刃で切り出し、その複数の切断面より任意に抽出した粒子1000個の直径を光学顕微鏡を用いて測定し、測定値の相加平均値と規定する。また、形状が真球状でなく、一律に粒子径が特定されない場合には、最長径と最短径をそれぞれ測定し、それらの相加平均値をその粒子の粒子径とする。
【0026】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)は、ケイ素、チタン及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含む無機微粒子によって表面が部分的に被覆されていることが好ましい。代表的な例としてはシリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトのような物質が挙げられる。これらの無機微粒子は必要に応じて疎水化や親水化のような表面処理を施してもかまわない。特にシリカは、表面処理を施しやすく、ポリウレタン樹脂粒子(B)との親和性をコントロールしやすい点から好適に用いることができる。これらの無機微粒子は1種類でも複数種類でも、ポリウレタン樹脂粒子(B)に被覆してかまわない。無機微粒子の平均1次粒子径としては、5nm以上、200nm以下であることが、ポリウレタン樹脂粒子(B)に対する被覆性が適正となることから好ましい。さらに、少量添加で効果的に被覆できることから、5nm以上、50nm以下であることがより好ましい。これらの平均1次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察し、ポリウレタン樹脂粒子(B)と同様に測定することができる。また、これらの無機微粒子はEDAXやESCAのような公知の元素分析方法によって、ケイ素、チタン、アルミニウムの何れかの元素であるか否かを判断することが可能である。
【0027】
上記無機微粒子によって、表面が被覆されていることによって、ポリウレタン樹脂粒子(B)同士の凝集を抑制し、ポリウレタン樹脂(A)中への分散性が向上するため、機械的エネルギーがより効率的に散逸され、バンディング発生の抑制に寄与する。また、ポリウレタン樹脂粒子(B)表面のタック性を抑制することができるため、最表面にポリウレタン樹脂粒子(B)が露出した際にも、表面タック性の上昇を抑制し、初期トナー固着を抑制することができる。
【0028】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)の含有量は、ポリウレタン樹脂(A)の樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。ポリウレタン樹脂粒子(B)の含有量が5質量部以上であることで、十分に機械的エネルギーを散逸し、バンディング発生を抑制することができる。また、60質量部以下であることで、表面タック性の過度な上昇を抑制し、初期トナー固着を抑制することができる。またさらに、接触部材との摺擦時のスティックスリップ現象によるバンディングを抑制することができる。
【0029】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδは、導電剤、充填剤、可塑剤の配合量の制御や、ポリウレタン主原料の配合の最適化を行うことで、調整することが可能である。具体的には、ガラス転移温度の異なる複数の材料をブレンドすると共に、架橋間距離の分布をブロードにすることで、−20℃から40℃の温度範囲で連続的にガラス転移温度を変化させることで、広い温度範囲でtanδを制御することが可能である。さらには、主原料の分子量の選択やイソシアネートインデックスを制御することで、架橋後に形成される網目構造の中で、片末端が未反応な状態の分子鎖が形成され、tanδを制御することができる。なお、イソシアネートインデックスとは、イソシアネート化合物中のイソシアネート基のモル数とポリヒドロキシ化合物成分中の水酸基のモル数との比([NCO]/[OH])を示す。また、本発明における、ヒドロキシ化合物成分とは、ポリオールと短鎖ジオールを示す。このような片末端が架橋を形成し、片末端が未反応な状態の分子鎖が軟化剤のように振舞うことで、tanδの上昇とブリードによる初期固着抑制の両立を容易に達成することができる。さらに、この片末端が未反応な状態の分子鎖の長さ(分子量)や、存在量によっても、tanδを制御することができる。上記手法によって、ポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδを制御することによって、未反応物のブリードによる表面タック性の上昇の抑制とバンディングの抑制の両方を容易に達成することができる。
【0030】
前記ポリウレタン樹脂粒子(B)の主原料として、ポリオールや短鎖ジオールのようなポリヒドロキシ化合物の混合物とイソシアネート化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。本発明におけるポリオールは特に限定されるものでないが、例として、以下のものが挙げられる。ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、カプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール及びこれらの混合物。また、これらのポリオールをイソシアネートで再延長したプレポリマー型ポリオールも好適に用いることができる。
【0031】
例えば、ポリエーテルポリオール化合物として、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコール、THFとネオペンチルグリコールの共重合体(PTXG)が挙げられる。
【0032】
ポリエステルポリオールとしては、特に限定されるものではないが、直接エステル化反応、開環重合反応で得られたポリエステルポリオールを好適に用いることができる。または、ポリエステルポリオールとイソシアネートを鎖延長させたポリウレタンポリオールプレポリマーを好適に用いることができる。直接エステル化反応で合成されるポリエステルポリオールは、原料として多塩基酸と多価アルコールを脱水縮合することで得られる。
【0033】
多塩基酸としては、特に限定されるものではないが、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸が容易に入手できることから特に好ましい。
【0034】
多価アルコールとしては、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールを例として挙げることができる。
ポリカプロラクトンポリオールに関しては、特に限定されるものではないが、ε−カプロラクトンを原料として開環重合反応で得られたポリカプロラクトンポリオール、もしくはポリカプロラクトンポリオールをプレポリマー化して合成されたプレポリマー型ポリヒドロキシ化合物が例として挙げられる。
【0035】
また、本発明におけるポリオールは、硬化剤として用いるイソシアネートの種類及びウレタンプレポリマー化の可否によって、最適な数平均分子量(Mn)が異なる。構造中にウレタン基を含まないポリオールであれば、500≦Mn≦8000の範囲にあることが好ましい。Mnが500以上あることで、ウレタン樹脂粒子(B)の過度な架橋密度の上昇を抑制することができるため、本発明の効果発現に必要なtanδの制御が容易になる。一方で、Mnが8000以下であることで、ウレタン樹脂粒子(B)が、−20℃から40℃の温度領域付近にガラス転移温度を有することを容易とする。さらには、未反応状態の分子鎖が長くなり過ぎず、過度なtanδ上昇の抑制を可能とする。また、構造中にウレタン基を含むプレポリマー型ポリオールである場合は、4000≦Mn≦30000の範囲にあることが好ましい。
【0036】
本発明においては、これらのポリオール主原料の中で特に好ましくは、ポリエーテルポリオールに属するポリテトラメチレングリコール(C)とポリプロピレングリコール(D)の混合物である。これらの材料は、ウレタン樹脂原料の中でも、特に低温側にガラス転移温度を有するために、架橋反応によるガラス転移温度の調整が容易であり、広い温度領域におけるtanδ値の制御に寄与する。また、樹脂原料自体のtanδが比較的高いため、tanδの上昇に寄与する。また、ポリテトラメチレングリコール(C)の数平均分子量(Mn)は500≦Mn≦2000の範囲にあることが好ましい。Mnを500以上とすることで、過度な架橋密度の上昇を抑制するとともに、反応性の制御が容易であるため、ポリウレタン樹脂粒子(B)の過度なtanδの低下を抑制することができる。また、2000以下であることで、過度なtanδ上昇の抑制を可能とするとともに、−20℃から40℃の温度領域付近にガラス転移温度を有することを容易とする。
【0037】
また、ポリプロピレングリコール(D)の数平均分子量(Mn)は、ポリテトラメチレングリコール(C)と同様な理由で、3000≦Mn≦7000の範囲にあることが好ましい。
【0038】
また、異なるウレタン主原料(ポリオール)の混合割合は、原料の構造や分子量および混合種の数によって最適な範囲が異なるが、ウレタン樹脂出発原料におけるポリヒドロキシ化合物の総量に対して、各々単独で0.5〜80質量%の範囲にあることが好ましい。
【0039】
また、本発明におけるウレタン樹脂の原料たる短鎖ジオール材料は特に限定されるものでないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビスシクロヘサン、ビスフェノールA,ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、およびこれらの混合物が例として挙げられる。また、本発明における短鎖ジオールの分子量は、62〜300が好ましい。
【0040】
本発明においては、この中で特に好ましくは、1,4−ブタンジオールもしくは、1,3−プロパンジオールである。これらの材料は比較的コストが低いだけでなく、上記高分子量ポリオール化合物と併用する際に、ポリウレタンの網目構造の制御が容易であり、広い温度範囲におけるtanδの制御を容易にすることができる。
【0041】
また、本発明における短鎖ジオール材料の混合割合は、原料の構造や分子量および混合種の数によって最適な範囲が異なるが、ウレタン樹脂出発原料におけるポリヒドロキシ化合物の総量に対して、単独で0.1〜5質量%の範囲にあることが好ましい。
イソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、以下のものを例として挙げることができる。ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニルレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、これらの共重合物、そのブロック体及び混合物。上記に例示した中でも、変性部(ソフトセグメント部)にエーテル基およびエステル基を有するプレポリマー型イソシアネートがポリヒドロキシ化合物との相溶性および架橋反応性、tanδの制御が容易であることから、特に好ましい。さらに、好ましくは、変性部の構造、NCO%や数平均分子量(Mn)の異なるプレポリマー型イソシアネートの混合物が好ましい。異なる構造のプレポリマー型イソシアネートをブレンドすることによって、架橋間距離の分布をブロードになりやすくし、広い温度範囲でtanδを制御することが容易となる。
【0042】
また、前記イソシアネート化合物の数平均分子量は、1000〜10000の範囲が好ましく、より好ましくは、2000〜8000の範囲である。Mnが1000以上であることで、架橋点密度の過度な上昇を抑制することで、本発明の効果発現に必要なtanδ値の達成を容易とすることができる。また、10000以下であることで、本発明の効果発現に必要なtanδ値の達成を容易とすることができる。さらに、ポリウレタン樹脂粒子(B)表面の過度なタック性を抑制し、初期トナー固着を抑制することができる。
【0043】
前記ポリウレタン樹脂粒子(B)におけるイソシアネート化合物は、ポリヒドロキシ化合物に対して、イソシアネートインデックスが0.6から1.0の範囲となるように配合することが好ましい。特に好ましくは、0.7から0.9の範囲である。上記範囲に配合することによって、本発明に必要なtanδの達成の可能を容易とすることができる。0.6以上であることで、ポリウレタン樹脂粒子(B)表面の過度なタック上昇を抑制し、初期トナー固着の発生を抑制することができる。また、1.0以下であることで、ポリウレタン樹脂粒子(B)のtanδの過度な低下を抑制し、十分に機械的エネルギーを散逸できるため、バンディング発生を抑制することができる。
【0044】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)の合成/調製方法に関して、特に限定されるものではないが、乳化重合、縣濁重合、沈殿重合、分散重合のような従来公知の重合方法で合成することが可能である。さらには、上述のポリウレタン樹脂原料からポリウレタン樹脂成型体を形成後、ハンマーミルやエアージェット方式による微粉砕機で凍結粉砕することで、調製することができる。また、個数平均粒子径は、得られた微粉砕品を分級することで、適宜調整することができる。この分級処理は、粉砕処理と同時に行うこともできる。さらに、無機微粒子の外添の方法としては、従来の混合装置、例えばダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサーのような混合装置を用いて外添混合できる。また、合成途中段階で無機微粒子を添加することもできる。
【0045】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂(A)は、マトリックス部としての機能を要求されるため、トナー離型性、耐磨耗性、優れた圧縮永久歪みによる接触部材との応力緩和による高耐久性の発現という観点から、高弾性であることが好ましい。
【0046】
そのため、周波数10Hzおよび−20℃〜40℃の温度範囲内で測定された本発明におけるポリウレタン樹脂(A)のtanδ(A)は、0.10以上0.40以下であることが好ましい。tanδ(A)が0.10以上であることで、十分に機械的エネルギーを散逸し、バンディング発生を抑制することができる。また、0.40以下であることで、表面タック性の過度な上昇を抑制し、初期トナー固着を抑制することができる。さらには、低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着を抑制することができる。また、ゴムや樹脂材料のtanδは、ガラス転移温度でピークとなる特徴を示すため、本発明におけるポリウレタン樹脂(A)は、上述のtanδ値の範囲より、−20℃〜40℃の温度領域付近に、ガラス転移温度を持たないことを特徴とする。同温度領域内で、ガラス/ゴム状態の転移、もしくは両状態の混在を抑制することによって、ポリウレタン樹脂(A)の粘弾性特性の環境安定性が良化し、特に低温低湿から高温高湿まであらゆる環境における耐バンディング性能の向上に寄与する。
【0047】
また、本発明における周波数10Hzおよび−20℃〜40℃の温度範囲内で測定されたポリウレタン樹脂(A)の動的貯蔵弾性率(E‘)は、0.5MPa以上500MPa以下であることが好ましい。特に好ましくは、5MPa以上30MPa以下である。0.5MPa以上であることで、最表面層の過度なタック性上昇による初期トナー固着を抑制することができる。さらには、接触部材との摺擦時のスティックスリップ現象によるバンディングを抑制することができる。また、500MPa以下であることで、低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着を抑制することができる。
【0048】
ポリウレタン樹脂(A)の主原料として、前記ポリウレタン樹脂粒子(B)同様に、ポリヒドロキシ化合物とイソシアネート化合物を反応させて得られるものを挙げることができる。
【0049】
また、本発明におけるポリウレタン樹脂(A)の主原料であるポリヒドロキシ化合物において、硬化剤として用いるイソシアネートの種類やMn及びウレタンプレポリマー化の可否によって、最適なMnが異なる。構造中にウレタン基を含まないポリヒドロキシ化合物であれば、1000≦Mn≦6000の範囲にあることが好ましい。Mnが1000以上あることで、ポリウレタン樹脂(A)の過度な硬度の上昇を抑制し、低温低湿下で繰り返し画像を出力した際の現像ローラ表面層上へのトナー融着を抑制することができる。一方で、Mnが6000以下であることで、表面タック性の上昇を抑制し、初期トナー固着を防ぐことができる。さらには、未反応ヒドロキシ化合物の増大によるtanδ上昇を抑制することができる。また、構造中にウレタン基を含むプレポリマー型ポリヒドロキシ化合物である場合は、3000≦Mn≦12000の範囲にあることが好ましい。
【0050】
上記ポリウレタン樹脂(A)は、導電性の付与及び機械的物性の制御のため、カーボンブラックを含有していてもよい。ポリウレタン樹脂(A)におけるカーボンブラックの含有量は、現像ローラに適正な範囲の導電性の付与および機械的物性の制御の観点から、ポリウレタン樹脂(A)の樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下であることが好ましい。ポリウレタン樹脂(A)におけるカーボンブラックの含有量が5質量部以上であることで、適度な導電性が得られるだけでなく、圧縮永久歪の抑制が可能である。一方で、60質量部以下であることで、樹脂成分に対する分散均一性が得られるだけでなく、ポリウレタン樹脂(A)の硬度上昇およびtanδの抑制が可能であり、高品位な画像を得られることから好ましい。
【0051】
上記カーボンブラックの平均一次粒子粒径は、ポリウレタン樹脂(A)の強度を維持し、適切な導電性を発揮させることを考慮すると、15〜50nmとすることが好ましい。また、カーボンブラックのDBP吸収量としては、同様の理由から例えば、50〜300ml/100gとすることが好ましい。このようなカーボンブラックとしては、チャンネル法、ファーネス法のような方法で製造したものを好適に使用することができる。更に、必要な物性に合わせて、2種以上のカーボンブラックを配合してもよい。
【0052】
上記ポリウレタン樹脂(A)は、現像ローラの表面に適度な表面粗さを付与するため、ポリウレタン樹脂粒子(B)以外にも、微粒子を含有していてもよい。ポリウレタン樹脂(A)が微粒子を含有することによって、現像ローラ表面の表面粗度を制御することができると同時に、長期に亘って画像出力を行った場合でも、表面の磨耗を抑制することができる。微粒子としては、個数平均粒子径が2〜40μmであることが好ましい。また、微粒子の上記個数平均粒子径は、ポリウレタン樹脂粒子(B)同様に、最表面層からマニュピレーターの如き装置を用いて取り出し、測定することが可能である。
【0053】
微粒子の含有量としては、ポリウレタン樹脂(A)の樹脂100質量部に対して、1〜100質量部であることが好ましい。
【0054】
微粒子の材質としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。これらの微粒子は、ポリウレタン樹脂粒子(B)同様な方法により製造することができる。また、ポリウレタン樹脂(B)同様に、無機微粒子を外添していても良い。
【0055】
また、ポリウレタン樹脂(A)において、イソシアネート化合物は、ポリヒドロキシ化合物に対して、イソシアネートインデックスが1.0から1.5の範囲となるように配合することが特に好ましい。上記範囲に配合することによって、未反応ポリヒドロキシ化合物による過度なtanδおよび表面硬度の上昇を抑制することができる。
【0056】
また、上記ウレタン樹脂(A)やウレタン樹脂粒子(B)は、熱分解GC/MS、NMR、IR、元素分析のような分析によりウレタン種を特定することができる。
【0057】
最表面層の形成方法としては、未硬化の上記結着ポリウレタン樹脂、その他の成分の樹脂層材料を含有する組成物(未硬化組成物という。)を調製し、これを用いて樹脂層上に塗膜を形成し、硬化する方法を挙げることができる。未硬化組成物の調製は、溶媒としてメチルエチルケトン、トルエン、又はアルコールを用いて、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを使用した分散装置を使用することが好ましい。
【0058】
塗膜の形成には、スプレー、ディップコート、又はロールコートの如き塗工方法を使用することができ、上記弾性層上に、塗膜を形成した後、乾燥して溶媒を除去し加熱硬化する方法を使用することができる。硬化および乾燥は、加熱、又は電子線照射のいずれの方法であってもよい。さらには、予めチューブ形状に成形した最表面層を、樹脂層を形成したローラ上に被覆してもよい。
【0059】
上記塗膜形成に浸漬塗工を使用する場合、図2の概略構成図に示す塗料の循環機構を有する塗布装置を用いることが好ましい。
【0060】
図2に示す塗布装置には、浸漬槽5が設けられる。浸漬槽は樹脂層3が形成されたローラ6の外径よりわずかに大きな内径と、ローラ6の軸方向長より長い深さを備えた円筒形を有し、軸方向を垂直方向にして設置される。その上端部外周には環状の液受け部7が設けられ、液受け部はその底面に接続される管9により、攪拌タンク8に接続される。一方、浸漬槽5の底部は管12を介して最表面層形成用塗料10を循環させるポンプ11に接続され、更に、ポンプ11と攪拌タンク8を接続する管12によって攪拌タンク8に接続される。攪拌タンク8には内部に収納する最表面層形成用塗料10を攪拌するための攪拌翼14が設けられる。
【0061】
この塗布装置には、浸漬槽の上部において昇降板16を浸漬槽の軸方向に昇降させる昇降装置15が設けられ、昇降板16に懸架されるローラ6を浸漬槽中に進入、後退可能となっている。
【0062】
このような塗布装置を用いて樹脂層上に最表面層を成形するには、ポンプ11を駆動し、攪拌タンク8に収納する最表面層形成用塗料10を、管12、13を通って浸漬槽5に供給する。昇降装置15を駆動させ昇降板16を降下させ、ローラ6を最表面層形成用塗料10が充填された浸漬槽5に進入させる。ローラ6の進入により浸漬槽の上端5aから溢れ出た最表面層形成用塗料10は液受け部7に受けられ、管9を通って攪拌タンク8に戻される。その後、昇降装置を駆動して昇降板を上昇させ、ローラ6を所定の速度で浸漬槽から後退させ、樹脂層上に塗布膜を形成する。この間、攪拌タンク内で攪拌翼14を回転させ、塗布液を攪拌して含有物の沈降を抑制し、塗布液の均一性を維持する。
【0063】
塗膜が形成されたローラは、昇降板16から取り外され、塗膜を乾燥硬化して、最表面層が成形される。
【0064】
また、導電性軸芯体2の周囲に設けられる樹脂層3は、原料主成分としてゴム又は樹脂を用いた成型体である。また、樹脂層3は発泡体、非発泡体のいずれであってもよい。なお、原料主成分のゴムとして、従来、現像ローラに用いられている種々のゴムを用いることができる。具体的には、以下のものが挙げられる。エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、多硫化ゴム、ウレタンゴム。また、原料主成分の樹脂は主に熱可塑性樹脂であり、以下のものが挙げられる。低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の如きポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン系樹脂;ABS樹脂;ポリイミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートの如きポリエステル樹脂;フッ素樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、MXD6の如きポリアミド樹脂。そして、これらゴム及び樹脂は、単独であるいは2種以上を混合して用いられる。
【0065】
本発明における樹脂層の原材料は特に限定されるものではないが、これらの材料の中でも、耐候性、化学的不活性および優れた圧縮永久歪み特性を示すことから、ウレタンゴムもしくはシリコーンゴムを用いることが好ましい。
【0066】
さらに、本発明の現像ローラでは、樹脂層自体に要求される機能に必要な、導電剤や非導電性充填剤のような成分、また、ゴム及び樹脂成型体とする際に利用される各種添加剤成分、例えば、架橋剤、触媒、分散促進剤の如きを主成分のゴム材料に適宜配合できる。
【0067】
導電剤としては、イオン導電機構によるイオン導電性物質と、電子導電機構による導電付与剤があり、どちらか一方、或いは併用することも可能である。
電子導電機構による導電剤としては、以下のものが挙げられる。アルミニウム、パラジウム、鉄、銅、銀の如き金属の粉体や繊維;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛の如き金属酸化物;ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、PAN系カーボンブラック、ピッチ系カーボンブラック、カーボンナノチューブの如きカーボンの導電剤。
また、イオン導電機構による導電付与剤として、以下のものが挙げられる。LiCF3SO3、NaClO4、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaClの如きアルカリ金属塩;NH4Cl、NH4SO4、NH4NO3のようなアンモニウム塩;Ca(ClO42、Ba(ClO42の如きアルカリ土類金属塩;第四級アンモニウム塩の如き陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩の如き陰イオン性界面活性剤;ベタインの如き両性界面活性剤。これら導電剤は、単独で又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0068】
これらの内、カーボンブラック系の導電剤は、比較的安価かつ容易に入手でき、また、主成分のゴム及び樹脂材料の種類に依らず、良好な導電性を付与できるため、好適である。主成分のゴム及び樹脂材料中に、微粉末状の導電剤を分散させる手段としては、従来から利用される下記の手段を主成分のゴム及び樹脂材料に応じて適宜利用すればよい。例えば、ロールニーダー、バンバリーミキサーの如き手段が挙げられる。
【0069】
例えば、ゴム成型体をシリコーンゴムで作製するには、液状シリコーンゴムを主剤として用い、ポリオルガノハイドロジェンシロキサンを架橋成分とし、白金系触媒を用いて、ゴム成分相互の架橋を図る。
【0070】
なお、感光体と当接して、ニップ幅を確保し、加えて、好適なセット性を満たすものとするためには、樹脂層の厚さは、好ましくは、0.5mm以上、より好ましくは1.0mm以上とする。また、樹脂層の厚さの上限は、作製される現像ローラの外径精度を損なわない限り、特にない。しかしながら、樹脂層の厚さを過度に厚くすると、現像ローラと当接部材を長時間当接させたまま放置すると、当接箇所の変形が大きくなり、歪みが残るので好ましくない。したがって、実用上、樹脂層の厚さは6.0mm以下とするのが適当であり、5.0mm以下がより好ましい。
【0071】
また、樹脂層の成型後、必要に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、UV処理といった表面処理を施すこともできる。これらの表面処理を施すことで、樹脂層の最表面に反応活性基が形成され、最表面層との層間接着性を向上させることができる。
【0072】
なお、本発明では、この樹脂層の成形は、従来から知られている押出成形法、圧縮成形、射出成形法のような成形法によって可能であるが、特に限定されない。層構成としては本発明に記載された特徴を有すれば、限定されず、二層以上の構成とすることもできる。
【0073】
さらに、樹脂層が二層以上の構成の場合、本発明における最表面層の膜厚は2μm以上100μm以下であることが好ましい。2μm以上であることで、樹脂粒子(B)の過度の表面露出による表面タック性上昇を抑制し、初期トナー固着の発生を防ぐことができる。また、100μm以下であることで、過度な硬度上昇を抑制し、繰り返し画像出力によるトナー劣化起因の画像弊害を抑制することができる。
【0074】
尚、形成された最表面層の膜厚は、デジタルマイクロスコープ(VH−2450:キーエンス株式会社)を用いて、現像ローラの長手方向を端部より等間隔に3箇所、かつ周方向に等間隔に3箇所の合計9箇所を測定し、得られた値の相加平均値である。また、本発明のように測定サンプルが微粒子を含有する場合は、連続する面を持つ層を形成するマトリックス部の測定値を本発明における最表面層の膜厚と定義する。
【0075】
また、本発明における現像ローラは、接触する感光体、トナー規制部材、トナーのような部材に対する損傷の低減するために、その硬さはアスカーC硬度が40度以上80度以下であることが好ましい。特に好ましくは、アスカーC硬度が50度上70度以下であることが好ましい。アスカーC硬度が上記範囲内にあることで、現像ローラ駆動時において、接触する様々な部材との相対速度むらの影響が緩和され、バンディングを効果的に抑制することができる。
【0076】
尚、「アスカーC硬度」とは、日本ゴム協会標準規格SRIS101に準拠したAsker−C硬度型スプリング式ゴム硬度計(高分子計器(株)社製)を用いて測定した硬度であり、常温常湿(温度23℃、湿度50%RH)の環境中に12時間以上放置した現像ローラに対して、上記硬度計を10Nの力で当接させてから30秒後の測定値とした。また、アスカーC硬度の測定試料は、樹脂層および最表面層を切り出して重ねたものであり、厚さは最低5mm以上あればよい。
【0077】
また、本発明は、少なくとも現像ローラ1、トナー規制部材21、トナー容器20を有し、前記現像ローラを具備した電子写真画像形成装置に着脱可能な図3に示すプロセスカートリッジである。さらに、本発明は、前記現像ローラの表面にトナーの薄層を形成し、その現像ローラを感光体に接触させて感光体表面にトナーを供給することにより、感光体に可視画像を形成させる電子写真画像形成装置である。この電子写真プロセスカートリッジ17は、図3に示す電子写真プロセスカートリッジのように、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電部材24とともに一体のオールインワンプロセスカートリッジとすることができる。
【0078】
図4は、本発明の現像ローラを具備した電子写真プロセスカートリッジを用いた電子写真画像形成装置の概略構成を示す断面図である。図4の電子写真画像形成装置には、感光体18に当接して配置される現像ローラ1、トナー供給ローラ19、トナー容器20及びトナー規制部材21からなる現像装置22と、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電部材24からなる電子写真プロセスカートリッジ17が脱着可能に装着されている。また、感光体18、クリーニングブレード26、廃トナー収容容器25、帯電部材24は電子写真画像形成装置に配備されていてもよい。感光体18は矢印方向に回転し、感光体18を帯電処理するための帯電部材24によって一様に帯電され、感光体18に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光23により、その表面に静電潜像が形成される。上記静電潜像は、感光体18に対して接触配置される現像装置22によってトナー20aを付与されることにより現像され、トナー像として可視化される。
【0079】
現像は露光部にトナー像を形成する所謂反転現像を行っている。可視化された感光体18上のトナー像は、転写部材である転写ローラ29によって記録媒体である紙34に転写される。紙34は、給紙ローラ35及び吸着ローラ36を経て装置内に給紙され、エンドレスベルト状の転写搬送ベルト32により感光体18と転写ローラ29の間に搬送される。転写搬送ベルトは、従動ローラ33、駆動ローラ28、テンションローラ31により稼働される。転写ローラ29及び吸着ローラ36には、バイアス電源30から電圧が印加されている。トナー像が転写された紙34は、定着装置27により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。
【0080】
一方、転写されずに感光体18上に残存した転写残トナーは、感光体表面をクリーニングするためのクリーニング部材であるクリーニングブレード26により掻き取られ廃トナー収容容器25に収納される。クリーニングされた感光体18は上述の動作を繰り返し行う。
【0081】
現像装置22は、一成分現像剤としてトナー20aを収容した現像容器と、現像容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体18と対向配置された現像剤担持体としての現像ローラ1とを備え、感光体18上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
【0082】
また、トナー規制部材21として、金属製の板金にゴム弾性体を固定した部材や、SUSやリン青銅の薄板の様なバネ性を有する部材、もしくはその表面に樹脂やゴムを積層した部材が用いられる。また、トナー規制部材21に、現像ローラ1に印加する電圧よりも高い電圧を印加することにより、現像ローラ上のトナー層を制御することが可能であり、そのためにはトナー規制部材21はSUSやリン青銅の薄板を用いることが好ましい。なお、現像ローラ1及びトナー規制部材21にはバイアス電源30から電圧が印加されているが、現像ブレード21に印加する電圧は、現像ローラ1に印加する電圧に対し、絶対値で100Vから300V大きい電圧とすることが好ましい。
【0083】
現像装置22における現像プロセスを、以下に説明する。回転可能に支持されたトナー供給ローラ19により現像ローラ1上にトナーが塗布される。現像ローラ1上に塗布されたトナーは、現像ローラ1の回転によりトナー規制部材21と摺擦される。ここで、トナー規制部材21に印加されたバイアスにより、現像ローラ上のトナーが現像ローラ上に均一にコートされる。現像ローラ1は感光体18と回転しながら接触し、感光体18上に形成された静電潜像を、現像ローラ1上にコートされたトナーにより、現像することでトナー画像が形成される。
【0084】
トナー供給ローラ19の構造としては、発泡骨格状スポンジ構造や軸芯体上にレーヨン、ポリアミドのような繊維を植毛したファーブラシ構造のものが、現像ローラ1へのトナー20a供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から好ましい。下記の実施例では、軸芯体上にポリウレタンフォームを設けた弾性ローラを用いた。このトナー供給ローラ19の現像ローラ1に対する当接幅としては、1〜8mmが好ましく、また、現像ローラ1に対してその当接部において相対速度をもたせることが好ましい。
【実施例】
【0085】
以下に、本発明に係る現像ローラ等について実施例を用いて具体的に詳細に説明する。
【0086】
まず、本発明の実施例および比較例におけるポリウレタン樹脂粒子(B)母体の作製を下記の出発原料を用いて行った。
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)母体の出発原料〕
・ポリテトラメチレングリコール(C)
商品名:PTG500SN、数平均分子量:500、保土ヶ谷化学株式会社製
商品名:PTG1000SN、数平均分子量:1000、保土ヶ谷化学株式会社製
商品名:テラタン2000、数平均分子量:2000、デユポン製
ポリプロピレングリコール(D)
商品名:エクセノール5030、数平均分子量:5100、旭硝子株式会社製
商品名:エクセノール230、数平均分子量:3000、旭硝子株式会社製
商品名:エクセノール851、数平均分子量:6700、旭硝子株式会社製
短鎖ジオール(F)
商品名:1,4−ブタンジオール、三協化学株式会社製
商品名:1,3−プロパンジオール、三協化学株式会社製
・イソシアネート化合物
商品名:コロネート4192、日本ポリウレタン工業株式会社製
商品名:コロネート2515、日本ポリウレタン工業株式会社製
また、ポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)の作製方法を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)の作製〕
本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)は、表1に記載の出発原料をMEK溶媒に溶解混合させた後に、140℃で4時間加熱して架橋反応を進行させることによって作製した。
・ポリテトラメチレングリコール(C)(商品名:PTG500SN、数平均分子量:500、保土ヶ谷化学株式会社製) 30質量部
・ポリプロピレングリコール(D)(商品名:エクセノール5030、数平均分子量:5100、旭硝子株式会社製) 68質量部
・短鎖ジオール(商品名:1,4−ブタンジオール、三協化学株式会社製) 2質量部
・イソシアネート化合物1(商品名:コロネート4192、日本ポリウレタン工業株式会社製) 148.3質量部
・イソシアネート化合物2(商品名:コロネート2515、日本ポリウレタン工業株式会社製) 68.2質量部
作製したポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)の−20°〜40℃の温度領域におけるtanδの最低値は、0.40(40℃)であった。
【0088】
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)母体(2)〜(9)の作製〕
本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)母体(2)〜(9)は、表1および2に記載の出発原料を用いて、ポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)と同様の方法で作製した。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
次に、本発明の実施例および比較例におけるポリウレタン樹脂粒子(B)の作製を、上述のポリウレタン樹脂粒子(B)母体と下記の無機微粒子を用いて行った。
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)作製に用いた無機微粒子〕
シリカ(商品名:レオロシールMT−10、トクヤマ社製
酸化チタン(商品名:JA−1、テイカ社製)
アルミナ(商品名:AluC805、日本アエロジル社製)
尚、ポリウレタン樹脂粒子(B)1の作製方法を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)1の作製〕
上記得られたポリウレタン樹脂粒子(B)母体(1)を液体窒素中に48時間浸漬し、完全に凍結させた後に、ハンマーで砕き粗粉を形成した。その後、衝突式超音速ジェット粉砕機(商品名:CPY+USF−TYPE、日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて、凍結粉砕および分級処理を同時に行った。その後、シリカ(商品名:レオロシールMT−10、トクヤマ社製)3質量部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)を用いて、3000回転/分で15分間処理し、外添処理することで、個数平均粒子径10μmのポリウレタン樹脂粒子(B)1を得た。
【0093】
〔ポリウレタン樹脂粒子(B)母体(2)〜(36)の作製〕
本発明におけるポリウレタン樹脂粒子(B)(2)〜(36)は、上述のポリウレタン樹脂粒子(B)母体および無機微粒子を用いて、ポリウレタン樹脂粒子(B)(1)と同様の方法で作製した。また、各々の個数平均粒子径は、分級処理を施すことで制御した。各々のポリウレタン樹脂粒子(B)の作製に用いたポリウレタン樹脂粒子(B)母体番号、個数平均粒子径および無機微粒子種を表3に示す。
【0094】
【表3】

【0095】
続いて以下に本発明の実施例および比較例における、樹脂層ローラの作製方法を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない
【0096】
[樹脂層ローラ1の作製]
本発明における樹脂層ローラ1は、反応基として、各々、ビニル基とSiH基を有する液状シリコーンゴムベース材料AおよびBを質量比1:1で混合し、未加硫のシリコーンゴムを熱硬化することで、作製した。
(ビニル基を有する液状シリコーンゴムベース材料A)
・両末端にビニル基を有し、重量平均分子量(Mw)が85000のジメチルポリシロキサン 100質量部
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC−DJ600、ケッチェンブラックインターナショナル製) 2質量部
・カーボンブラック(商品名:Printex L、エボニック・デグサ・ジャパン製) 3質量部
(SiH基およびビニル基を有する液状シリコーンゴムベース材料B)
・両末端にビニル基を有し、重量平均分子量(Mw)が85000のジメチルポリシロキサン 100質量部
・カーボンブラック(商品名:ケッチェンブラックEC−DJ600、ケッチェンブラックインターナショナル製) 2質量部
・カーボンブラック(商品名:Printex L、エボニック・デグサ・ジャパン製) 3質量部
・硬化触媒(2質量%の塩化白金酸のイソプロパノール溶液をジメチルポリシロ
キサンに対して10ppm配合したもの) 0.5質量部
・メチルハイドロジェンポリシロキサン 3質量部(ベース材料AおよびBに含有するビニル基1モルに対して、SiH基が1.1モルとなる量)
軸芯体として、SUS304製の直径8mmの芯金に、プライマー(商品名:DY35−051、東レダウコーニング社製)を、厚み約1μmになるように塗布し、150℃、30分間焼き付けしたものを用いた。ついで、軸芯体を金型に配置し、上記未加硫のシリコーンゴムを金型内に形成されたキャビティに注入した。続いて、金型を加熱して未加硫のシリコーンゴムを150℃、15分間加硫硬化し、冷却後脱型した。その後、さらに180℃、1時間加熱し硬化反応を完結させ、樹脂層を軸芯体の周囲に設けた。作製した樹脂層ローラ1の直径は12mmであった。
【0097】
[樹脂層ローラ2の作製]
本発明における樹脂層ローラ2の原料として、下記未硬化のウレタンゴム原料を用い、80℃、1時間で熱硬化した以外は、樹脂層ローラ1と同様に、直径が12mmの樹脂層ローラ3を作製した。
・ポリエステルポリオール(商品名:N−4748、日本ポリウレタン工業株式会社製)
100質量部
・脂肪族系変性イソシアネート(商品名:HC−210、日本ポリウレタン工業株式会社製) 24質量部
・ポリウレタン樹脂粒子(B)5 25質量部(ポリウレタン樹脂(A)原料100質量部に対して、20質量部)
・反応触媒(商品名:ジブチル錫ジラウレート、共同薬品株式会社製)
0.1質量部
・カーボンブラック(商品名:Printex L、エボニック・デグサ・ジャパン製)
8質量部
【0098】
[樹脂層ローラ3の作製]
ポリウレタン樹脂粒子(B)5の代わりに、ポリウレタン樹脂粒子(B)6を用いた以外は、樹脂層ローラ2と同様に、直径が12mmの樹脂層ローラ3を作製した。
【0099】
[樹脂層ローラ4の作製]
ポリウレタン樹脂粒子(B)5の代わりに、ポリウレタン樹脂粒子(B)7を用いた以外は、樹脂層ローラ2と同様に、直径が12mmの樹脂層ローラ4を作製した。
【0100】
[樹脂層ローラ5の作製]
ポリウレタン樹脂粒子(B)5の代わりに、ポリウレタン樹脂粒子(B)9を用いた以外は、樹脂層ローラ2と同様に、直径が12mmの樹脂層ローラ5を作製した。
続いて、以下に本発明の実施例および比較例における、ポリウレタン樹脂(A)を含有する最表面層形成用塗料液を、下記に示すポリオールとイソシアネート化合物から成る出発原料を用いて調製した。
【0101】
〔最表面層形成用塗料液の出発原料〕
(ポリオール)
・エステルジオール(商品名:P−3010、P−4010、P−5010、P−3050、株式会社クラレ製)
・ポリカプロラクトンジオール(商品名:L−220AL、ダイセル化学工業株式会社製)
(イソシアネート化合物)
・エステル変性イソシアネート(商品名:コロネート4047、日本ポリウレタン工業株式会社製)
・エ−テル変性イソシアネート(商品名:コロネート4190、日本ポリウレタン工業株式会社製)
尚、下記に塗料調製方法を具体的に例示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0102】
「最表面層形成用塗料液(1)の調製」
・ エステルジオール(商品名:P−5010、株式会社クラレ製) 100質量部
・ エステル変性イソシアネート(商品名:コロネート4047、日本ポリウレタン工業株式会社製) 57.8質量部
最表面層形成用塗料液の材料として、上記成分を混合してポリウレタン樹脂成分(A)とした。続いて、この樹脂成分の固形分100質量部に対して、カーボンブラック(商品名:MA−100、三菱化学株式会社製)20質量部およびメチルエチルケトンを加え、モーターで一時間混合攪拌した。続いて、総固形分比33質量%になるようにMEKをさらに加え、モーターで更に一時間混合攪拌をした。続いて、上記混合溶液を横型分散NVM−03(商品名、アイメックス社製)で周速7m/sec、流量1cc/min、分散液温度15℃の条件下で、3時間均一に分散した。なお、この分散の際に、SΦ=1.5mmのガラスビーズ(商品名:DMB503B、ホッターズバロティニーズ社製)を用いた。次に、ポリウレタン樹脂粒子(B)1を樹脂成分の固形分100質量部に対して20質量部添加し、さらに15分間分散した。次に、この溶液を固形分27質量%になるようにMEKで希釈し、この溶液を200メッシュの網でろ過したものを最表面層形成用塗料液(1)とした。
【0103】
「最表面層形成用塗料液(2)〜(43)の調製」
本発明における最表面層形成用塗料液(2)〜(43)は、上述の出発原料およびポリウレタン樹脂粒子(B)を用いた以外は、最表面層形成用塗料液(1)と同様の方法で調製した。各々の最表面層形成用塗料液の調製に用いた出発原料の商品名、質量部およびポリウレタン樹脂粒子(B)番号、質量部を表4に示す。尚、ここで、ポリウレタン樹脂粒子(B)の質量部とは、各塗料液のポリオールとイソシアネート化合物の混合樹脂成分の固形分100質量部に対する値である。
【0104】
【表4】

【0105】
続いて、以下に本発明の実施例、比較例中における動的粘弾性装置を用いたtanδの測定、ウレタン主原料の数平均分子量(Mn)の測定方法に関して説明する。
【0106】
[tanδの測定/ウレタン主原料の測定方法]
(動的粘弾性測定によるtanδ測定)
本発明におけるtanδの測定は、動的粘弾性測定装置(商品名:EPLEXOR−500N、GABO社製)を用いて、下記条件で測定を行った。また、測定サンプルは、現像ローラ最表面層から、ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂粒子(B)を、マニュピレーターを用いて、分取した後に、各々を圧縮成型することで調製した。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける測定結果を表5〜10に示す。
〔測定条件〕
・ 測定モード:圧縮試験モード
・ 測定周波数;10Hz
測定温度領域;‐60℃〜60℃
昇温速度;3℃/min
トランスデユーサー:25N
測定サンプル形状:直径2mm×高さ1mm
【0107】
(ウレタン粒子(B)の個数平均粒子径測定)
本発明におけるウレタン樹脂粒子(B)の個数平均粒子径は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3、ベックマン・コールター社製)を用いて測定した。測定条件の設定及び測定データの解析には、付属の専用ソフト(商品名、ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いた。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行った。測定に使用する電解水溶液として、ISOTON II(商品名、ベックマン・コールター社製)を使用した。
(ウレタン樹脂原料の水酸基価およびNCO%の測定方法)
なお、本発明において、ポリヒドロキシ化合物の水酸基価はJIS K−1557に準じて測定した。さらに、本発明におけるイソシアネート化合物固形分当たりのNCO%の測定は次のように行った。試料をトルエンに溶解し、ジブチルアミン0.5mol/Lのモノクロロベンゼン溶液を加え、還流条件下30分間加熱反応させ、室温まで冷却した。その後、助溶剤としてメタノールを加え、過剰のアミンを0.5mol/Lの塩酸で逆滴定して求めた値を固形分換算した。数値はn=3で測定した平均値を用いた。
【0108】
(GPCによるウレタン主原料のMnの測定)
GPCカラム「TSKgel SuperHM−M」(商品名、東ソー株式会社製)2本を直列につないだ高速液体クロマトグラフ分析装置「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー株式会社製)を用いた。溶媒テトラヒドロフラン(THF)、温度40℃、流速0.6 ml/min、RI(屈折率)検出器の測定条件下において、0.1質量%のTHF溶液として調製した測定サンプルを用いて測定を行なった。検量線作成用の標準試料として数種の単分散標準ポリスチレン(東ソー株式会社製)を用いて検量線の作成を行い、これを基に得られた測定サンプルの保持時間から、数平均分子量(Mn)を求めた。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける測定結果を表5〜10に示す。
【0109】
(実施例1)
まず、樹脂層ローラ1にエキシマUV処理を施すことで、表面処理を行った。樹脂層ローラ1の軸芯体を回転軸として30rpmで回転させながら、波長172nmの紫外線を細管エキシマランプ(ハリソン東芝ライティング製)により、積算光量が150mJ/cm2となるように照射して処理を行った。照射時の樹脂層表面とエキシマランプの距離は2mmとした。その後、デイッピング塗工法を用いて最表面層形成用塗料1を塗工することで、最表面層を形成した。
【0110】
最表面層の形成にあたっては、内径32mm、長さ300mmのシリンダーの下方から、液温を23℃に保った最表面層形成用塗料(1)を毎分250cc注入し、該シリンダーの上端からあふれ出た液を再び該シリンダーの下方に循環させた。シリンダーに浸入速度100mm/sで、前記樹脂層ローラ(1)を浸漬させ、10秒間停止させた後に、初速300mm/s、終速200mm/sの条件で樹脂層ローラ(1)を引き上げて60分間、自然乾燥させた。次いで、140℃にて2時間加熱処理することで、最表面層の原料の硬化を行い、実施例(1)の現像ローラ1を作製した。
【0111】
さらに、ポリウレタン樹脂(A)およびポリウレタン樹脂粒子(B)をマニュピレーターを用いて分取し、動的粘弾性装置を用いて、下記条件で各々のtanδを測定したところ、tanδ(A)の最高値=0.05(T=−20℃〜40℃)、tanδ(B)の最低値=0.40(T=40℃)であった。また、−20℃から40℃の温度領域におけるtan(B)−tan(A)の最低値は、0.35(T=40℃)であった。この現像ローラ1の各種特性の評価および画像評価結果を表5に示す。
【0112】
(実施例2〜40)
実施例2〜40における現像ローラ2〜40の各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ1と同様に行った。現像ローラ2〜40の評価結果を表5〜10に示す。
【0113】
(比較例1〜7)
比較例1〜7における現像ローラ41〜47の各種特性の評価および画像評価を実施例1の現像ローラ1と同様に行った。現像ローラ41〜47の評価結果を表10に示す。
【0114】
続いて以下に本発明の実施例および比較例における、画像評価の方法を具体的に例示して説明する。
【0115】
[画像評価]
本発明の画像評価に用いたレーザープリンタは、市販のレ−ザープリンタ(商品名:HP Color LaserJet CP3505dn、ヒューレッドパッカード社製)の記録メディアの出力スピードを48ppmに改造したものである。また、現像ローラのトナー量規制部材(現像ブレード)への当接圧力及び進入量は、現像ローラ上のトナー担持量が0.40mg/cm2となるように調節した。
【0116】
[高温硬湿環境における初期トナー固着の画像評価]
現像ローラを電子写真プロセスカートリッジQ6470A(商品名、ヒューレッドパッカード社製、色:黒)に組み込み、この電子写真プロセスカートリッジを温度40℃、湿度95%RHの環境に30日間放置した。その後、新たに用意した電子写真プロセスカートリッジに該現像ローラを装着し直し、さらに温度30℃、湿度85%RHの環境に24時間放置した。放置後、同環境において、電子写真プロセスカートリッジをヒューレッドパッカード製プリンター(商品名:HP Color LaserJet CP3505dn)改造機に組み込み、ベタ白画像を10枚出力した。このベタ白画像において、下記評価基準で、放置中の初期トナー固着による画像欠陥を評価した。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける評価結果を表5〜10に示す。
A:ベタ白画像において初期トナー固着によるカブリのような画像欠陥が全く確認されない。B:ベタ白画像において初期トナー固着起因のカブリのような画像欠陥が確認されるが、初期3枚以内の画像出力で消失する。
C:ベタ白画像において初期トナー固着起因のカブリのような画像欠陥が確認されるが、初期4枚以上、10枚以内の画像出力で消失する。
D:ベタ白画像において初期トナー固着起因のカブリのような画像欠陥が確認され、初期ベタ白画像出力10枚以内で消失しない。
【0117】
[低温低湿環境におけるトナー融着評価]
新品の現像ローラを新品の電子写真プロセスカートリッジQ6470A(商品名、ヒューレッドパッカード社製、色:黒)に組み込み、この電子写真プロセスカートリッジを温度5℃、湿度10%RHの環境に48時間放置した。放置後、同環境において、電子写真プロセスカートリッジをヒューレッドパッカード製プリンター(商品名:HP Color LaserJet CP3505dn)改造機に組み込み、1%の印字率で連続画像出力を行った。耐久試験におけるカブリの評価は、ベタ白部分に3%を超えるカブリが観察される出力枚数を数え、下記評価基準で行った。また、出力5000枚毎にマクベス社製の反射濃度計を用い、非印字部分(基準)および印字範囲のベタ白部の反射率を測定し、基準に対する反射率の低下量(%)を「カブリ」とした。さらに、連続印字枚数が10000枚を超えた場合、該現像ローラを新品の電子写真プロセスカートリッジに組み込み、継続してトナー融着の評価を行った。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける評価結果を表5〜9に示す。
A:3%以上のカブリが、連続印字で15000枚印字しても確認されない。
B:3%以上のカブリが、連続印字10000枚以上15000枚未満で確認された。
C:3%以上のカブリが、連続印字5000枚以上10000枚未満で確認された。
D:3%以上のカブリが、連続印字5000枚未満で確認された。
【0118】
〔バンディングの評価〕
高温高湿環境における初期トナー固着の画像評価後、同環境において、電子写真プロセスカートリッジをヒューレッドパッカード製プリンター(商品名:HP Color LaserJet CP3505dn)改造機に組み込み、1%の印字率で連続画像出力を行った。出力5000枚毎にベタ画像およびハーフトーン画像を出力し、画像印字方向と垂直な方向に現像ローラの駆動ギア周期で発生するスジをバンディング画像とし、下記条件でバンディングの評価を行った。さらに、連続印字枚数が10000枚を超えた場合、該現像ローラを新品の電子写真プロセスカートリッジに組み込み、継続して評価を行った。尚、低温低湿環境におけるバンディングの評価は、上記のトナー融着評価と同時に行った。各実施例及び比較例で作製した現像ローラにおける評価結果を表5〜10に示す。
A:連続15000枚印字後も、両環境においてバンディング画像が認められなかった。
B:連続15000枚印字後に、両環境もしくはどちらかの環境において、軽微なバンディング画像が認められるが、実用上問題ない。
C:連続5000枚から15000枚印字以内に、両環境もしくはどちらかの環境において、バンディング画像が認められた。
D:連続5000枚印字以内に、両環境もしくは、どちらかの環境においてバンディング画像が認められた。
【0119】
【表5】

【0120】
【表6】

【0121】
【表7】

【0122】
【表8】

【0123】
【表9】

【0124】
【表10】

【符号の説明】
【0125】
1 現像ローラ
2 導電性軸芯体
3 樹脂層
4 最表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体と該軸芯体の周囲に設けられた少なくとも一層の樹脂層とを有する現像ローラであって、
該現像ローラの最表面層が、結着樹脂としてのポリウレタン樹脂(A)と該ポリウレタン樹脂(A)に分散されてなるポリウレタン樹脂粒子(B)とを含有し、
該ポリウレタン樹脂(A)および該ポリウレタン樹脂粒子(B)の、測定温度T(T=−20℃〜40℃)、周波数10Hzで測定された損失正接(tanδ)をそれぞれ、tanδ(A)およびtanδ(B)と定義したときに、下記式(1)および(2)を満たすことを特徴とする現像ローラ。
0.40≦tanδ(B)≦1.10 …式(1)
0.30≦tanδ(B)−tanδ(A)≦0.70 …式(2)
【請求項2】
該ポリウレタン樹脂粒子(B)の個数平均粒子径が5μm以上50μm以下である請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
該ポリウレタン樹脂粒子(B)は、ケイ素、チタン及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含む無機微粒子によって表面が被覆されている請求項1または2に記載の現像ローラ。
【請求項4】
該ポリウレタン樹脂(A)の、−20℃〜40℃の測定温度、周波数10Hzで測定されたtanδ(A)が0.10以上0.40以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像ローラ。
【請求項5】
前記ポリウレタン樹脂粒子(B)が、下記(C)、(D)および(E)のポリヒドロキシ化合物の混合物とイソシアネート化合物とを、イソシアネートインデックスが0.6から1.0の範囲で反応させて得られたものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載現像ローラ。
(C) 500≦Mn≦2000のポリテトラメチレングリコール
(D) 3000≦Mn≦7000のポリプロピレングリコール
(E) 1,4−ブタンジオールおよび1,3−プロパンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種の短鎖ジオール
【請求項6】
電子写真画像形成装置に脱着可能に装着される電子写真プロセスカートリッジであって、該電子写真プロセスカートリッジは、少なくとも現像ローラ、トナー規制部材およびトナー容器を有し、該現像ローラが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真プロセスカートリッジ。
【請求項7】
感光体および感光体に当接して配置される現像ローラを有する電子写真画像形成装置であって、該現像ローラが、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像ローラであることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−103581(P2012−103581A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253582(P2010−253582)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】