説明

現像ローラ及び現像装置

【課題】 微細発泡された導電性架橋ポリマーで構成される弾性半導電体からなる現像ローラにより、樹脂の導電性能を維持しながら、弾性体の硬度を低下させ、汚染・フィルミングのない現像ローラを提供することを課題とする。また、このような低硬度、非汚染性現像ローラを使用した良好な画像が得られる現像装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 現像ローラ12は、導電性軸体1と、該導電性軸体1の外周に形成された弾性半導電体2と、該弾性半導電体2の表面に形成された表面抵抗調整層3とからなる半導電性ローラであって、ゴム硬度が15〜70(JIS A)で、導電性軸体1と表面抵抗調整層3との間の電気抵抗が1×10〜10Ωであり、表面抵抗調整層3の外表面の表面粗さ(Rz)が2〜10μmであり、かつ少なくとも弾性半導電体の平均セル径が40μm以下であることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性軸体とその外側に位置する弾性半導電体とを有する現像ローラと、この現像ローラを備えた現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、複写機、FAX、プリンター等の電子写真方式の現像装置において、潜像を保持した感光ドラム等に非磁性一成分現像剤を供給し、感光ドラムの潜像に現像剤を付着させて潜像を可視化する現像方法として、接触現像法が知られている。
【0003】
そして、導電性軸体とその外周に位置する弾性半導電体をトナー担持層として具備し、該トナー担持層上に薄膜状態で担持された摩擦帯電トナーによって、潜像保持体上に形成された静電潜像を可視化する現像装置の現像ローラに対しては、導電性、耐環境性、低硬度、摩擦帯電特性、トナー搬送性等の特性が要求される。このような要求に対して、ウレタンゴム、NBR、シリコーンゴム等を素材とし、導電性付与剤を添加することにより半導電性とした現像ローラが広く知られている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0004】
近年、印字高速化に伴い、トナーの軟化点(溶融温度)は低くなる傾向があり、非磁性一成分トナーを使用する場合、現像ローラとトナーとの摩擦帯電によって現像ローラがトナーを担持しているので、硬度の高い現像ローラを使用する場合、トナーとの摩擦による高い発熱が発生し、トナーが溶ける(フィルミング現象)ことが起こり得る。
【0005】
また、現像ローラに担持するトナーを感光体に移行するには、十分な接触ニップが必要であり、低硬度な弾性半導電体によって構成される現像ローラが要求される。
【0006】
また、現像ローラの弾性半導電体は樹脂に導電性フィラーの添加した材料が使用されている。導電性フィラーとして、金属粉、カーボン等が使われている。十分な導電性を得るために導電性フィラーの添加を増量していくと、弾性体の硬度は高くなる傾向にある。硬度を低くするには、軟化剤(プロセスオイル)等を添加するのが有効な方法であるが、軟化剤を大量に添加すると、弾性体表面に軟化剤が浸出する(ブリード現象)ことがあり、その結果、感光体を汚染する恐れが生じる。
【0007】
一方、現像ローラ等の現像装置用のローラ部材に用いられる発泡体は、良好な画像を得るためには、発泡体のセル径を微細にする必要があるが、ゴムやウレタンのポリマーを発泡剤等により発泡させ、発泡ガスの作用によりセルを形成した発泡体が、現像ローラ等の現像装置のローラ部材として用いられているものは、この要求を満たしていない。
【0008】
なぜなら、これらの発泡体は、常圧状態で発泡させたものであるため、ポリマー中への発泡ガスの溶解性に限界があり、微細構造のセルを得ることができない。そのため、トナーの供給性やかきとり性が悪くなり、良好な画像を得ることができない。
【0009】
また、未架橋ゴムに超臨界流体又は亜臨界流体を含浸し、その含浸させた超臨界流体又は亜臨界流体を放出させて発泡させる工程によって、セル径が40〜350μmの発泡状態で架橋している現像装置用のゴム発泡体の製法もあるが、セル径が40〜350μmの発泡体はやはりセル径が大きい為、現像装置の部品として使用する場合には、良好な画像を得ることが困難である。また、含浸法は生産効率が悪いため、実用的な製法とはいえない。
【特許文献1】特開2002−286024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、以上のような従来の問題点を解消すべく、微細発泡された導電性架橋ポリマーで構成される弾性半導電体ローラにより、樹脂の導電性能を維持しながら、弾性体が低硬度で、汚染・フィルミングのない現像ローラを提供することを課題とする。また、このような低硬度、非汚染性現像ローラを使用した良好な画像が得られる現像装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を実現するために以下の手段を採った。
【0012】
請求項1に記載の発明は、導電性軸体と、該導電性軸体の表面に形成されたゴム状弾性体と、該ゴム状弾性体の表面に形成された表面抵抗調整層とからなる半導電性ローラであって、ゴム硬度が15〜70(JIS A)で、前記導電性軸体と前記表面抵抗調整層との間の電気抵抗が1×10〜10Ωであり、前記表面抵抗調整層の外表面の表面粗さ(Rz)が2〜10μmであり、かつ、少なくとも前記弾性半導電体の平均セル径が40μm以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明は、加硫剤及び加硫促進剤が含まれている未加硫液体ゴムを混合する際に、超臨界流体を同時に高速混合・溶解する工程と、その超臨界流体を含む混合した液体ゴムを金型に注型する工程と、注型した超臨界流体を部分開放させ発泡させる工程と、発泡状態のゴムを架橋する工程と、を備えた請求項1に記載の構成に加え、ことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の現像装置に係る発明は、請求項1に記載の半導電性ローラの表面に摩擦帯電トナーを担持して該摩擦帯電トナーの薄膜を形成した後、前記トナー担持層が静電潜像を表面に保持できる潜像保持体に接触して、前記摩擦帯電トナーの薄膜から前記摩擦帯電トナーを前記潜像保持体の表面に付着させて静電潜像を形成し、該静電潜像を可視化することを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載の現像装置に係る発明は、請求項2に記載の半導電性ローラの製造方法によって製造された半導電性ローラを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
この発明は、以上のような構成を採用しているため、請求項1及び3に記載の発明によれば、現像ローラの弾性半導電体が微細発泡された導電性架橋ポリマーの弾性層であるため低硬度であり、この現像ローラを使用した現像装置によれば良好な画像が得られる。また、現像ローラの表面のトナー担持層の表面粗さを所定の範囲に規定することにより、トナーを感光ドラムの帯電した箇所へ付着させる作用がより安定することとなり、微細発泡の効果に加えて、この現像ローラを使用した現像装置によればより高精細で高画質の印刷画像が得られる。さらに、導電性軸体とトナー担持層の表面との間の電気抵抗値を所定の範囲に規定することで、適度な現像バイアスが得られるため、この現像ローラを使用した現像装置によればトナーのかぶりやかすれを生じることなく、明瞭な印刷物が得られる。
【0017】
請求項2及び4に記載の発明によれば、超臨界流体のゴムへの溶解はゴムの混合と同時に行うので、追加工程が必要とせず、生産性の高い現像ローラ及び現像装置の製造方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図1及び2を用いて説明する。
【0019】
まず、この発明の実施の形態に係るに半導電性の現像ローラついて説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る半導電性の現像ローラを示す断面図である。
【0020】
図1において、半導電性の現像ローラ12は、導電性軸体1と、この導電性軸体1の上に形成されたゴム及び/又はエラストマーによる弾性半導電体2と、この弾性半導電体2の上に形成された熱硬化性ポリマー或いは熱可塑性ポリマーからなるトナー担持層(表面抵抗調整層)3とを有している。
【0021】
また、図2は、半導電性の現像ローラを用いた電子写真方式の現像装置の一例である。
【0022】
図2に示したように、現像装置Gは、10は潜像担持体としての感光ドラム、11は帯電ローラ、12は現像ローラ、13はトナー搬送ローラ、14は転写ローラ、15はクリーニングローラ、21は撹はん機、31は層形成部材としての摩擦帯電ブレード、41はLEDアレイ、51は筐体等を備えており、現像ローラ12の表面のトナー担持層3上に薄膜状態で担持された摩擦帯電トナーによって、感光ドラム10上に形成された静電潜像を記録紙61に転写して可視化する。
【0023】
また、トナー担持層(表面抵抗調整層)3の10点平均粗さRzを2〜10μmの範囲とすることで、より好ましい印字特性が得られるものである。
【0024】
この発明の半導電性の現像ローラ12の弾性半導電体2は、上記のように、導電性軸体1の上に、ゴム及び/又はエラストマー組成物の弾性半導電体2を、適宜の条件下でローラ状に成形した後、所望の表面状態に仕上げることにより得られる。
【0025】
導電性軸体1は、導電性材質として、特に材質を限定するものではないが、鉄、アルミ、SUS、真鍮で構成された、いわゆる「芯金」或いは熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の芯体にメッキ処理したもの、又は、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂に導電性付与剤として、カーボンブラック、金属粉末等を配合した芯体等が用いられる。
【0026】
半導電性の現像ローラ12の弾性半導電体2は、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ポリウレタン、クロロプレンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、及びこれらの混合物のゴム、或いはエラストマーのいずれか一つ以上に煙霧質シリカ、沈降性シリカ、補強性カーボンブラック、等の充填材及び導電性カーボンブラック、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属粉末、酸化亜鉛、酸化錫等の金属酸化物、硫酸バリウム、酸化チタン或いはチタン酸カリウム等の芯材に酸化錫をコーティングした導電性充填材等を配合し、パーオキサイド、白金触媒存在下でのハイドロジェンシロキサン、イソシアネート等の加硫剤と一緒に混練したものが用いられる。
【0027】
成形にあたっては、導電性軸体1とゴム及び/又はエラストマーの組成物の弾性半導電体2を、押出し機でクロスヘッドを用いて、一体化して分出しした後、ギヤーオーブン或いはIR炉で一次加硫する方法、導電性軸体1を金型にセットした後、シリコーンゴム組成物を注入し、常温或いは加熱下で一次加硫する方法、導電性軸体1とシリコーンゴム組成物の弾性半導電体2を同時に金型内で加熱、圧縮成形する方法等が用いられる。その後、ギヤーオーブン等で一定時間二次加硫を実施することにより、物性の安定化を図ることもできる。
【0028】
以上のようにして製作した成形品は、円筒研削盤、ショットブラスター、サンドブラスター、ラッピング機、バフ等により所望の表面状態(好適には、Rz3〜15μm)に処理する。
【0029】
トナー担持層(表面抵抗調整層)3に用いられる熱硬化性ポリマー或いは熱可塑性ポリマーの材質としては、特に制限はないが、アミノ基及び/又は水酸基を有するものが好適である。一例を示せばアルキッド樹脂、フェノール変性・シリコーン変性等のアルキッド樹脂変性物、オイルフリーアルキッド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂及びこれらの混合物が挙げられる。また、その架橋には、イソシアネート化合物、メラミン化合物、エポキシ化合物、過酸化物、フェノール化合物、ハイドロジェンシロキサン化合物等の架橋剤が用いられる。
【0030】
熱硬化性ポリマー或いは熱可塑性ポリマーを主成分とする樹脂層への充填材としては、湿式シリカ、珪藻土、酸化アルミ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム等の無機充填材及びシリコーンレジンパウダー、メタクリル酸メチルパウダー等の有機充填材等を用いることができる。
【0031】
この発明に半導電性の現像ローラ12に用いられる導電性軸体1は、その一端を接地或いはバイアス電圧を印加することにより、トナーへの電荷の注入、トナーの吸着、静電潜像担持体へのトナーの搬送による静電潜像の現像や帯電及び転写の性能を得るものであり、外周に形成される弾性半導電体2の支持体である。
【0032】
また、弾性半導電体2は、現像工程の電極、トナーへの接触帯電及び電荷注入用の電極として作用するものであり、そのゴム弾性により、感光体との間で均一な現像電界を形成するものである。また、弾性半導電体2の上に形成されたトナー担持層(表面抵抗調整層)3は、その表面の凹凸及びファンデルワールス力、鏡像力、クーロン力等によりローラ表面にトナーを担持・搬送するものである。
【0033】
この発明の実施の形態に係る現像ローラ12を製作するには、導電性軸体1として、例えば、SUS22に無電解ニッケルメッキを施した直径10mm、長さ275mmの金属製シャフトを使用し、この金属製シャフトにプライマーを塗布し、常温・常湿で1時間乾燥処理を施す。
【0034】
次に、その導電性軸体1を成形用金型にセットする。
【0035】
弾性半導電体2の材料として、例えば、絶縁性エーテル系ポリオール38.9%と導電性エーテル系ポリオール38.9%、及びMDI系イソシアネート22.2%を攪拌機にて真空状態で混合し、12MPa×35℃の条件で超臨界状態の窒素を含浸させた後、金型内の圧力を8MPaに維持しながら、150℃×30分の条件で窒素を放出して発泡させながら、架橋させる。そして、これを60℃で10時間二次加硫し、弾性半導電体2を形成する。
【0036】
次に、二次加硫した弾性半導電体2の外周表面を研磨し、直径16mm、ゴム部(弾性半導電体2)の長さ230mmのローラ基材を製作する。
【0037】
次に、研磨した現像ローラの弾性半導電体2の表面に、例えば、ウレタン系塗料に、煙霧質シリカ系充填材、ブロックイソシアネート系架橋剤を添加した塗布液をスプレーコーティングで一回塗りして、150℃、90分加熱硬化して完成品としての現像ローラ12を得る。
【0038】
以上のように、この発明の実施の形態に係る現像ローラ12においては、現像ローラ12の弾性半導電体2が超臨界不活性ガスによる微細発泡された導電性架橋ポリマーの弾性層であるため低硬度であり、この現像ローラ12を使用した現像装置51によれば良好な画像が得られる。また、現像ローラ12の表面のトナー担持層(表面抵抗調整層)3の表面粗さを所定の範囲に規定することにより、トナーを感光ドラムの帯電した箇所へ付着させる作用がより安定することとなり、微細発泡の効果に加えて、この現像ローラ12を使用した現像装置51によればより高精細で高画質の印刷画像が得られる。さらに、導電性軸体2とトナー担持層(表面抵抗調整層)3の表面との間の電気抵抗値を所定の範囲に規定することで、適度な現像バイアスが得られるため、この現像ローラ12を使用した現像装置Gによればトナーのかぶりやかすれを生じることなく、明瞭な記録紙61が得られる。
【0039】
また、超臨界流体のゴムへの溶解はゴムの混合と同時に行うので、追加工程を必要とせず、生産性の高い現像ローラ12及び現像装置Gの製造方法が得られる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例に基づいて、この発明を更に具体的に説明するが、この発明は、以下に示した実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
【0041】
導電性軸体1として、SUS22に無電解ニッケルメッキを施した直径10mm、長さ275mmの金属製シャフトを使用し、この金属製シャフトにプライマー(商品名:ケムロック213、ロード・ファー・イースト・インコーポレイテッド社製)を塗布し、常温・常湿で1時間乾燥処理を施した。
【0042】
次に、そのシャフトを成形用金型にセットする。
【0043】
弾性半導電体2の材料として、絶縁性エーテル系ポリオール(商品名:ON−E59、日本ポリウレタン工業(株)製)38.9%と導電性エーテル系ポリオール(商品名:ON−E60、日本ポリウレタン工業(株)製)38.9%、及びMDI系イソシアネート(商品名:MC−C23、日本ポリウレタン工業(株)製)22.2%を攪拌機にて真空状態で混合し、金型内の窒素ガス圧力12MPa×30℃の条件で超臨界状態の窒素を含浸させた後(含浸方法としては、液体ポリマー自体を衝突させながら、超臨界状態の窒素を混合させる)、金型内の圧力を8MPaに維持しながら(圧力の維持方法としては、樹脂注入口の反対側に、8MPaの窒素ガスにつながる出入り口を設ける)、150℃×30分の条件で窒素を放出して発泡させながら、架橋させる。そして、これを60℃で10時間二次加硫し、弾性半導電体2を形成する。形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜50μmであって、平均セル径は25μmであった。
【0044】
次に、二次加硫した後、GC#400の砥石を備えた円筒研削盤で弾性半導電体2の外周表面を研磨し、直径16mm、ゴム部(弾性半導電体2)の長さ230mmのローラ基材を作製する。
【0045】
次に、弾性半導電体2の表面に、ウレタン系塗料(商品名:ニッポラン5196、日本ポリウレタン(株)製)100質量部に、煙霧質シリカ系充填材(商品名:AEROSIL 200、日本エアロジル(株)製)10質量部、ブロックイソシアネート系架橋剤18質量部を添加した塗布液をスプレーコーティングで一回塗りして、温度150℃で90分間加熱硬化して、トナー担持層(表面抵抗調整層)3を形成する。形成したトナー担持体層(表面抵抗調整層)3の膜厚は約10μmである。
【0046】
このようにして完成した現像ローラ12の表面粗さRzは4μmであり、また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗値は1×10Ωである(電圧:100V)。
[実施例2]
【0047】
実施例2は実施例1と同様な作製方法であるが、成形時金型内の窒素ガス圧の設定は6MPaであり、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜70μmであって、平均セル径は35μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3の厚さは14μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さRzは5μmであった。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗値は7×10Ωである。
[実施例3]
【0048】
実施例3は実施例1と同様な作製方法であるが、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜55μmであって、平均セル径は26μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3の厚さは18μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さはRz2.1であった。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗は2×10Ωである。
[実施例4]
【0049】
実施例4は実施例1と同様な作製方法であるが、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜55μmであって、平均セル径は25μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3は二回薄塗りで、厚さは4.6μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さは9.7μmであった。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の、電気抵抗は3×10Ωである。
[比較例1]
【0050】
比較例1は実施例1と同様な作製方法であるが、成形時金型内の窒素ガス圧の設定は3MPaであり、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜100μmであって、平均セル径は45μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3の厚さを20μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さRzは5μmである。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗値は2×10Ωである。
[比較例2]
【0051】
比較例2は実施例1と同様な作製方法であるが、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜55μmであって、平均セル径は25μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3の厚さを20μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さRzは1.8μmである。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗値は7×10Ωである。
[比較例3]
【0052】
比較例3は実施例1と同様な作製方法であるが、形成した弾性発泡体(弾性半導電体2)のセル径は5〜55μmであって、平均セル径は25μmである。トナー担持層(表面抵抗調整層)3は二回薄塗りで、厚さは3.8μmに調整した。完成した現像ローラ12の表面粗さRzは10.5μmである。また、導電性軸体1とトナー担持層3の表面との間の電気抵抗は3×10Ωである。
【0053】
実施例1乃至4、比較例1乃至3のそれぞれについて、平均セル径、電気抵抗及び硬度(JIS A)の測定結果とセルの均一性、電気抵抗の均一性、現像特性及び保管性を確認した結果は、表1に示したとおりである。
【0054】
ここで、セルの均一性は電気抵抗ムラ及び印字画像でその良否を判定した。電気抵抗の均一性は印字画像でその良否を判定した。現像特性は帯電特性、印字画像の評価でその良否を判定した。保管性は、保管後のOPC表面への汚染でその良否を判定した。
【0055】
その結果、実施例1乃至4については、セルの均一性、電気抵抗の均一性、現像特性及び保管性のすべてが良好であったが、比較例1ではセルの均一性、電気抵抗の均一性、現像特性、保管性のすべてが不良であり、比較例2及び3はセルの均一性と電気抵抗の均一性は良好であるものの現像特性と保管性が不良である。
【0056】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の実施の形態に係る現像ローラの断面図である。
【図2】同現像ローラが組み込まれる現像装置の概念図である。
【符号の説明】
【0058】
1 導電性軸体
2 弾性半導電体
3 トナー担持層(表面抵抗調整層)
10 感光ドラム(潜像担持体)
12 現像ローラ
31 摩擦帯電ブレード(層形成部材)
G 現像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性軸体と、該導電性軸体の外周に形成された弾性半導電体と、該弾性半導電体の表面に形成された表面抵抗調整層とからなる半導電性ローラであって、前記弾性半導電体の硬度が15〜70(JIS A)で、前記導電性軸体と前記表面抵抗調整層との間の電気抵抗が1×10〜10Ωであり、前記表面抵抗調整層の外表面の表面粗さ(Rz)が2〜10μmであり、かつ、少なくとも前記弾性半導電体の平均セル径が40μm以下であることを特徴とする半導電性ローラ。
【請求項2】
加硫剤及び加硫促進剤が含まれている未加硫液体ゴムを混合する際に、超臨界流体を同時に高速混合・溶解する工程と、その超臨界流体を含む混合した液体ゴムを金型に注型する工程と、注型した超臨界流体を部分開放させ発泡させる工程と、発泡状態のゴムを架橋する工程と、を備えたことを特徴とする半導電性ローラの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の半導電性ローラの表面に摩擦帯電トナーを担持して該摩擦帯電トナーの薄膜を形成した後、前記トナー担持層が静電潜像を表面に保持できる潜像保持体に接触して、前記摩擦帯電トナーの薄膜から前記摩擦帯電トナーを前記潜像保持体の表面に付着させて静電潜像を形成し、該静電潜像を可視化することを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導電性ローラの製造方法によって製造された半導電性ローラを備えたことを特徴とする現像装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−33843(P2007−33843A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216678(P2005−216678)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】