説明

現像ロール

【課題】低導電及び半導電領域での電気抵抗率の変動が小さく、圧縮永久歪も小さい導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロールを提供する。
【解決手段】芯体の外周に、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子結合アルケニル基を含有する重合度が800以下の液状オルガノポリシロキサン:97〜70質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個の珪素原子結合アルケニル基を含有する重合度が2,000以上の生ゴム状オルガノポリシロキサン:3〜30質量部、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量部。)
(C)一分子中に少なくとも2個の珪素原子結合水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部、
(D)カーボンブラック:0.5〜50質量部、
(E)付加反応触媒:触媒量
を含有してなり、室温で液状である導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造ロットによる電気抵抗率の変動が小さく、かつ圧縮永久歪が小さいゴム硬化物が得られる室温で液状の導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気絶縁性を示すゴム状物質に導電性材料を配合した導電性ゴムは種々知られており、例えば、導電性材料としてカーボンブラック等を配合し、電気抵抗率を10Ω・m〜10kΩ・mの範囲にした導電性ゴムが、広い分野で応用されている。
【0003】
一方、電気絶縁性ゴム状物質の一つであるシリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性に優れ、電気絶縁性ゴムとして多く利用されているが、他のゴム状物質と同様に導電性材料を添加することで、導電性ゴムとしても実用化されている。また、抵抗値を安定化する方法としては、特開平8−20725号公報(特許文献1)で導電性亜鉛華を配合する方法や、特開平3−195752号公報(特許文献2)に記載されている通り、シリコーンパウダーの添加などが知られている。しかしながら、これらはいずれもシリコーンミラブルゴムに配合されたもので、液状組成物で効果があるものではなかった。
【0004】
導電性シリコーンゴムに添加する導電性材料としては、例えば、カーボンブラックやグラファイト、銀,ニッケル,銅等の各種金属粉、各種非導電性粉体や短繊維表面を銀等の金属で処理したもの、炭素繊維,金属繊維などを混合したものが、シリコーンゴムがもつ特異な特性を損なうことなく、その導電性材料の種類及び充填量により、シリコーンゴムの電気抵抗率を10MΩ・m〜10-1Ω・m程度まで低下させ得ることから頻繁に使用されている。
【0005】
しかしながら、液状シリコーンゴムにこれら各種カーボンブラックや金属粉を配合した場合、10MΩ・m〜10Ω・mという低導電及び半導電領域では電気抵抗率のバラツキが極めて大きくなり、電気抵抗率を安定化させることは困難であった。これは成形条件により導電性粒子の分散性が著しく変化することが原因であると考えられる。
【0006】
ところが、最近においては、OA機器の部品、特に乾式複写機における帯電ロール、現像ロール、紙送りロール、定着ロール、加圧ロール、除電ロール、クリーニングロール、オイル塗布ロール等のゴムロールとして低導電及び半導電ロールの必要性が高まり、この領域での電気抵抗率変動が少なく、安定した電気抵抗率を示す導電性ロールが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−20725号公報
【特許文献2】特開平3−195752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、低導電及び半導電領域での電気抵抗率の変動が小さく、かつ圧縮永久歪も小さい導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、付加反応硬化型液状のオルガノポリシロキサン組成物に、導電性材料としてのカーボンブラックに加え、付加反応基を有した高分子量のシロキサンポリマーを配合することで、10MΩ・m〜10Ω・mという低導電及び半導電領域において安定した体積抵抗率が得られ、かつ圧縮永久歪が小さいシリコーンゴム組成物が得られること、更にカーボンブラックを高分子量ポリマーと同時に混練することで、カーボンブラックが十分にシロキサン中に分散し、より安定した導電性が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記に示す現像ロールを提供する。
〔請求項1〕
芯体の外周に、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が800以下の液状オルガノポリシロキサン:97〜70質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が2,000以上の生ゴム状オルガノポリシロキサン:3〜30質量部、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量部である。)
(C)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部、
(D)カーボンブラック:0.5〜50質量部、
(E)付加反応触媒:触媒量
を含有してなり、室温で液状である導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロール。
〔請求項2〕
芯体が、金属又は樹脂からなる中実又は中空の芯体である請求項1記載の現像ロール。
〔請求項3〕
芯体が、鉄、銅、洋白、ステンレススチール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂から選ばれる金属又は樹脂からなるものである請求項2記載の現像ロール。
〔請求項4〕
更に、表層を有するものである請求項1,2又は3記載の現像ロール。
〔請求項5〕
表層が、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びこれらの混合物から選ばれるものである請求項4記載の現像ロール。
〔請求項6〕
(A)成分の液状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の、分子鎖途中の珪素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜800の液状オルガノポリシロキサンであり、(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が2,000〜30,000の生ゴム状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の現像ロール。
〔請求項7〕
(A)成分の液状オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端が(R13SiO1/2(R1はアルキル基、アリール基又はアラルキル基)で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造のものである請求項1〜6のいずれか1項記載の現像ロール。
〔請求項8〕
(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の分子鎖途中の珪素原子に結合したアルケニル基を含有するものである請求項1〜7のいずれか1項記載の現像ロール。
〔請求項9〕
(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端が(R23SiO1/2(R2はアルキル基、アリール基又はアラルキル基)で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造のものである請求項1〜8のいずれか1項記載の現像ロール。
〔請求項10〕
導電性シリコーンゴム組成物の25℃での粘度が30〜600Pa・sの範囲である請求項1〜9のいずれか1項記載の現像ロール。
〔請求項11〕
導電性シリコーンゴム組成物の硬化後のシリコーンゴムの体積抵抗率が10MΩ・m〜10Ω・mの範囲である請求項1〜10のいずれか1項記載の現像ロール。
【発明の効果】
【0011】
本発明の現像ロールのシリコーンゴム層となり得る導電性シリコーンゴム組成物は、低導電及び半導電領域での電気抵抗率が安定で、特に製造ロットによる電気抵抗率のバラツキが少なく安定していると共に、圧縮永久歪が小さいという優れた特徴をもつものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の現像ロールのシリコーンゴム層となり得る導電性シリコーンゴム組成物は、下記(A)〜(E)成分を含有してなる室温で液状のものである。
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が800以下のオルガノポリシロキサン
(B)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が2,000以上のオルガノポリシロキサン
(C)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン
(D)カーボンブラック
(E)付加反応触媒
【0013】
(A)成分の一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
【0014】
1aSiO(4-a)/2 (1)
式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。
【0015】
ここで、上記R1で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90%以上がメチル基であることが好ましい。
【0016】
また、R1のうち少なくとも2個(通常、2〜50個)、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは炭素数2〜6のものであり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。このアルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-5〜1.0×10-2mol/g、特に2.0×10-5〜5.0×10-3mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-5mol/gより少ないと架橋が不十分でゲル状になってしまう場合があり、また1.0×10-2mol/gより多いと架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。
【0017】
なお、このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
【0018】
本発明のオルガノポリシロキサンの構造は、基本的に主鎖部分がR12SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がR13SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有することが好ましいが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。
【0019】
また、このオルガノポリシロキサンの分子量については、重合度が800以下、好ましくは100〜700で、室温(25℃)で液状(通常、25℃で100〜500,000mPa・s、好ましくは1,000〜100,000mPa・s程度)でなければならない。重合度が800を超えると、粘度が高くなりすぎて、成形圧力により抵抗がバラついたり、成形自体が困難になってしまう。なお、重合度の下限値としては、50以上、特に100以上であることが好ましい。
【0020】
次に、(B)成分の一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する平均重合度が2,000以上のオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(2)で示されるものを用いることができる。
【0021】
2bSiO(4-b)/2 (2)
式中、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換一価炭化水素基であり、bは1.8〜2.5、好ましくは1.9〜2.1、より好ましくは1.95〜2.05、更に好ましくは1.98〜2.01の範囲の正数である。
【0022】
ここで、上記R2で示される珪素原子に結合した非置換又は置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフロロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R2の90%以上がメチル基であることが好ましい。
【0023】
また、R2のうち少なくとも2個(通常、2〜30個)、好ましくは2〜20個、より好ましくは2〜10個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは炭素数2〜6のものであり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。このアルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-6〜1.0×10-2mol/g、特に5.0×10-6〜1.0×10-3mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-6mol/gより少ないと硬化後、未反応あるいは架橋点を持たないポリマーがブリードしてしまう場合がある。また1.0×10-2mol/gより多いと架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。
【0024】
なお、このアルケニル基は、分子鎖末端の珪素原子に結合していても、分子鎖途中の珪素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
【0025】
本発明のオルガノポリシロキサンの構造は、基本的に主鎖部分がR22SiO2/2で示されるジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がR23SiO1/2で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有することが好ましいが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。
【0026】
また、このオルガノポリシロキサンの分子量については、重合度が2,000以上、好ましくは4,000以上で、室温(25℃)で生ゴム状でなければならない。重合度が2,000未満では、増粘効果が不十分で、カーボンブラックを十分に分散させ、安定した体積抵抗率を得ることが困難になってしまう。なお、重合度の上限値としては、30,000以下、特に20,000以下であることが好ましい。
【0027】
この生ゴム状オルガノポリシロキサンである(B)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量に対し、3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%となる量である。3質量%より少ないと十分な増粘効果が得られず、30質量%を超える量では、粘度が高すぎて成形が困難になるばかりでなく、圧縮永久歪も高くなってしまう。
【0028】
本発明の(C)成分は、一分子中に珪素原子と結合する水素原子(Si−H基)を少なくとも2個、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子中のSi−H基が前記(A),(B)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
【0029】
この(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(3)で示されるものを用いることができる。
3cdSiO(4-c-d)/2 (3)
(式中、R3は炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基である。またcは0.7〜2.1、dは0.001〜1.0で、かつc+dは0.8〜3.0を満足する正数である。)
【0030】
ここで、R3の非置換又は置換の一価炭化水素基としては、R1で例示したものと同様のものを挙げることができるが、脂肪族不飽和基(アルケニル基)を有しないものが好ましく、特に、メチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましい。また、cは0.8〜2.0、dは0.01〜1.0、c+dは1.0〜2.5を満たす正数であることが好ましい。
【0031】
本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも2個(通常、2〜300個)、好ましくは3個以上(通常、3〜100個)、より好ましくは3〜50個の珪素原子結合水素原子(Si−H基)を有するものである。
【0032】
この珪素原子結合水素原子(Si−H基)の含有量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中0.001〜0.017mol/g、特に0.002〜0.015mol/gとすることが好ましい。珪素原子結合水素原子(Si−H基)の量が少なすぎると架橋が不十分でゲル状になってしまう場合があり、また多すぎると架橋密度が高くなりすぎて、脆いゴムとなってしまうおそれがある。
【0033】
なお、この珪素原子に結合する水素原子(Si−H基)は、分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
【0034】
本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中の珪素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜150個程度の室温(25℃)で液状(通常、25℃で1,000mPa・s以下、好ましくは0.1〜500mPa・s程度)のものが好適に用いられる。
【0035】
上記(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位と(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位とから成る共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とから成る共重合体などが挙げられる。
【0036】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対して0.1〜30質量部、特に0.3〜20質量部であることが好ましい。0.1質量部未満では架橋が不十分で、目的とするロールとしてのゴム物性が得られず、30質量部を超えると圧縮永久歪が増大してしまう。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A),(B)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基に対する(C)成分中の珪素原子結合水素原子(Si−H基)の量がモル比で、通常0.3〜10.0、好ましくは0.5〜5.0となる量で配合することもできる。
【0037】
(D)成分のカーボンブラックとしては、通常、導電性ゴム組成物に常用されているものを使用し得、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1,500℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック等を挙げることができる。
【0038】
具体的に、アセチレンブラックとしては、電化アセチレンブラック(電気化学社製),シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等が、コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製),バルカンC(キャボット社製)等が、スーパーコンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製),バルカンSC(キャボット社製)等が、エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては、旭HS−500(旭カーボン社製),バルカンXC−72(キャボット社製)等が、コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製)等が例示され、また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC及びケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)を用いることもできる。
【0039】
なお、これらのうちでは、アセチレンブラックが不純物含有率が少ない上、発達した二次ストラクチャー構造を有することから導電性に優れており、本発明において特に好適に用いられる。また、その卓越した比表面積から低充填量でも優れた導電性を示すケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用できる。
【0040】
なお、これらカーボンブラックは、表面疎水化処理したものを使用してもよい。表面処理剤としては、ステアリン酸エチルなどの脂肪酸エステル、テトラブチルチタネートなどの有機チタン酸エステル類、トリアルコキシビニルシランなどのシラン及びシラン系カップリング剤、ヘキサメチルジシラザンなどのシラザン類、両末端ヒドロキシシロキサンなどの有機官能基含有シロキサン類、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの低分子シリコーンなど、表面処理剤として公知なものであればいかなるものでもよい。
【0041】
(D)成分であるカーボンブラックの配合量としては、上述した(A)成分と(B)成分のオルガノポリシロキサン合計量100質量部に対して0.5〜50質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部である。添加量が0.5質量部未満では所望の導電性を得ることができず、50質量部を超えると、配合が困難であるばかりか、ゴム物性も著しく低下してしまう。なお、上記(D)成分の配合量は、本シリコーンゴム組成物の硬化物(シリコーンゴム)の体積抵抗率を10MΩ・m〜10Ω・mとする量であることが好ましい。
【0042】
このカーボンブラックの添加・混合方法は、(A)〜(E)成分と同時に添加することも可能であるが、好ましくは、より粘度の高い状態で予め分散させた状態のものに、液状オイル((A)成分の液状オルガノポリシロキサン)を添加して成形し易いように粘度を調整する方法が好ましい。具体的には、まずカーボンブラックの全量、(B)成分の生ゴム状シロキサンの全量及び(A)成分の液状シロキサンの一部を混合し、カーボンブラックを十分に分散させる。なお、この時、表面処理剤を加えたり、100℃〜180℃くらいの加熱をしながら混合してもよい。混合後、残りの(A)成分、及びその他の成分を加え、再度十分に攪拌することにより所望の粘度を有する液状のシリコーンゴム組成物を得ることができる。
【0043】
(E)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。なお、この付加反応触媒の配合量は触媒量とすることができるが、通常、金属分として(A)成分及び(B)成分の合計質量に対して0.5〜1,000ppm、特に1〜500ppm程度配合することが好ましい。
【0044】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物には、必要に応じて、シリカヒドロゲル(含水けい酸)、シリカエアロゲル(無水けい酸−煙霧質シリカ)等の補強性シリカ充填剤、クレイ、炭酸カルシウム、ケイソウ土、二酸化チタン等の充填剤、低分子シロキサンエステル、シラノール、例えばジフェニルシランジオール等の分散剤、酸化鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、エチニルシクロヘキサノールなどのアセチレンアルコール、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ビニルシロキサン、ベンゾトリアゾールなどのトリアゾール化合物等の反応制御剤、接着性や成形加工性を向上させるための各種カーボンファンクショナルシラン、難燃性を付与させるハロゲン化合物などを本発明の目的を損なわない範囲で添加混合してもよい。
【0045】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物の室温(25℃)における粘度は、好ましくは30〜600Pa・s、より好ましくは50〜500Pa・sの範囲である。30Pa・s未満では体積抵抗率が安定しない場合があり、600Pa・sを超える粘度では、成形時の圧力が高くなりすぎて、やはり体積抵抗率が安定しなくなってしまう場合がある。なお、本発明において、粘度はBH型、BS型等の回転粘度計などにより測定することができる。
【0046】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、これを硬化させてなるシリコーンゴムの体積抵抗率が、好ましくは10MΩ・m〜10Ω・m、より好ましくは100kΩ・m〜10Ω・mとなるものである。体積抵抗率が10Ω・m未満では現像ロールとして使用した場合、画像が不鮮明になるおそれがあり、10MΩ・mより大きいと現像ロールとして使用できない場合がある。ここで、体積抵抗率はSRIS(日本ゴム協会標準規格)2301−1969に準じて測定することができる。
【0047】
このような安定した低導電及び半導電が得られる本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、電気・電子部品、自動車用部品、事務機用部品など各種の導電性を必要とする用途に使用できるが、特に複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真式画像形成装置のロール用として好適に用いられる。このようなロールとしては、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、定着ロールなどがあるが、中でも特に現像ロール用として好適である。
【0048】
ここで、現像ロールとしては、芯体の外周に本発明の導電性シリコーンゴム層を設けたもので、更にその周囲にトナーと接触する表層を有するものがより効果的である。
【0049】
芯体は特に制限はなく、各種金属や樹脂からなる中実又は中空の芯体が用いられ、例えば、金属としては、鉄、銅、洋白、ステンレススチールなどが例示され、また樹脂としては、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂などが例示される。
【0050】
この芯体外周にシリコーンゴム層を形成する方法としては特に制限はなく、公知の方法を採用することができ、一般には芯体上にコーティング、あるいは予め芯体を金型中央に設置し、金型壁面と芯体の間にシリコーンゴム組成物を注入あるいは射出により成形する方法などがある。なお、芯体とシリコーンゴム層の間には必要に応じてプライマーを塗布したり、接着剤層を設けてもよい。
ここで、上記シリコーンゴム組成物の硬化条件としては、室温(25℃)〜250℃、特に80〜220℃で30秒〜4時間、とりわけ120〜200℃で1分〜1時間、次いで150〜250℃、特に160〜200℃で30分〜12時間、特に1〜6時間の後硬化(ポストキュアー)を行うことが好ましい。
【0051】
また、トナーと接触する表層としては、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びこれらの混合物等が挙げられる。この表層には、必要に応じて、カーボンブラック等の充填材、オイル等の可塑剤、帯電制御剤等の添加剤を、適宜添加して差し支えない。この表層をシリコーンゴム層の周囲に形成する方法も特に制限はなく、例えば、コーティング、インモールドコート法、或いは予め円筒状に形成されたシュリンクチューブを加熱収縮させて被覆する方法などが適宜選択される。なお、シリコーンゴム層とこれら表層との間に必要に応じてプライマー層、接着剤層を設けることもできる。
【実施例】
【0052】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下の例において部はいずれも質量部を示す。
【0053】
[実施例1]
両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンA(重合度600、ビニル基含有量0.0001mol/g)40部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有する生ゴム状ジメチルポリシロキサンB(重合度8,000、ビニル基含有量0.00008mol/g)10部、BET法による比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)1部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)3部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。これをプラネタリーミキサーに戻した後、更にジメチルポリシロキサンAを50部加えて、30分間攪拌を継続した。その後、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.6部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。この組成物の室温(25℃)での粘度をBH型粘度計、ローター7番を使用し、10rpmの条件で測定し、結果を表1に記した。
【0054】
このシリコーンゴム組成物を120℃で10分間プレス成形し、更に200℃の乾燥機で4時間ポストキュアを行った後、ゴム硬度、圧縮永久歪、体積抵抗率を測定し、表1に記した。なお、測定は、2mmのシートからJIS K6249に準じて硬度測定を行い、直径29mm×高さ12.7mmの円柱成形物から180℃×22時間、25%圧縮により圧縮永久歪を測定した。体積抵抗率の測定は、SRIS(日本ゴム協会標準規格)2301−1969に準じて測定した。なお、製造ロットによる体積抵抗率のバラツキを見るために、同組成、同製造法で10回組成物を製造し、同じ方法で硬化させたシートから体積抵抗率を測定した結果を表2に記した(即ち、体積抵抗率についてのみ合計11回測定した。)。
【0055】
[実施例2]
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサンC(重合度200)40部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有する生ゴム状ジメチルポリシロキサンD(重合度5,000、ビニル基含有量0.00022mol/g)20部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−200、電気化学工業社製)2.3部、白色導電性酸化チタンET−500W(石原産業(株)製)5部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。その後プラネタリーミキサーに戻し、更にジメチルポリシロキサンCを40部添加して30分間攪拌を続けた。その後、架橋剤として側鎖のみにSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度50、Si−H量0.0045mol/g)4.0部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。この組成物の室温(25℃)での粘度をBH型粘度計、ローター7番を使用し、10rpmの条件で測定し、結果を表1に記した。
【0056】
このシリコーンゴム組成物から実施例1と同様にゴム硬度、圧縮永久歪、体積抵抗率を測定した結果を表1に記した。また、製造ロットによる体積抵抗率についても同様に表2に記した。
【0057】
[実施例3]
実施例1のジメチルポリシロキサンA(重合度600、ビニル基含有量0.0001mol/g)40部、実施例1の生ゴム状ジメチルポリシロキサンB(重合度8,000、ビニル基含有量0.00008mol/g)10部、BET法による比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)1部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)1.5部、ファーネスブラック(ケッチェンEC600JD、ライオン社製)0.5部をプラネタリーミキサーに入れ、150℃に昇温し、1時間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。これをプラネタリーミキサーに戻し、室温に冷却後、更に実施例2のジメチルポリシロキサンCを50部加えて、30分間攪拌を継続した。その後、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)3.5部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。この組成物の室温(25℃)での粘度をBH型粘度計、ローター7番を使用し、10rpmの条件で測定し、結果を表1に記した。
【0058】
このシリコーンゴム組成物から実施例1と同様にゴム硬度、圧縮永久歪、体積抵抗率を測定した結果を表1に記した。また、製造ロットによる体積抵抗率についても同様に表2に記した。
【0059】
[比較例1]
両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンE(重合度1,000、ビニル基含有量0.00009mol/g)40部、実施例1の生ゴム状ジメチルポリシロキサンB(重合度8,000、ビニル基含有量0.00008mol/g)10部、BET法による比表面積が110m2/gである疎水化処理されたヒュームドシリカ(R−972、日本アエロジル社製)1部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−100、電気化学工業社製)3部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。これをプラネタリーミキサーに戻した後、更にジメチルポリシロキサンBを50部加えて、30分間攪拌を継続した。その後、架橋剤として両末端及び側鎖にSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度17、Si−H量0.0060mol/g)2.1部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。この組成物の室温(25℃)での粘度をBH型粘度計、ローター7番を使用し、10rpmの条件で測定し、結果を表1に記した。
【0060】
このシリコーンゴム組成物から実施例1と同様にゴム硬度、圧縮永久歪、体積抵抗率を測定した結果を表1に記した。また、製造ロットによる体積抵抗率についても同様に表2に記した。
【0061】
[比較例2]
実施例2のジメチルポリシロキサンC(重合度200)60部、アセチレンブラック(デンカブラックHS−200、電気化学工業社製)2.3部、白色導電性酸化チタンET−500W(石原産業(株)製)5部をプラネタリーミキサーに入れ、30分間撹拌を続けた後、3本ロールに1回通した。その後プラネタリーミキサーに戻し、更にジメチルポリシロキサンCを40部添加して30分間攪拌を続けた。その後、架橋剤として側鎖のみにSi−H基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(重合度50、Si−H量0.0045mol/g)3.6部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部、白金触媒(Pt濃度1%)0.1部を添加し、15分間撹拌を続けてシリコーンゴム組成物を得た。この組成物の室温(25℃)での粘度をBH型粘度計、ローター7番を使用し、10rpmの条件で測定し、結果を表1に記した。
【0062】
このシリコーンゴム組成物から実施例1と同様にゴム硬度、圧縮永久歪、体積抵抗率を測定した結果を表1に記した。また、製造ロットによる体積抵抗率についても同様に表2に記した。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯体の外周に、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が800以下の液状オルガノポリシロキサン:97〜70質量部、
(B)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が2,000以上の生ゴム状オルガノポリシロキサン:3〜30質量部、
(但し、(A),(B)成分の合計は100質量部である。)
(C)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部、
(D)カーボンブラック:0.5〜50質量部、
(E)付加反応触媒:触媒量
を含有してなり、室温で液状である導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる導電性シリコーンゴム層を設けてなる現像ロール。
【請求項2】
芯体が、金属又は樹脂からなる中実又は中空の芯体である請求項1記載の現像ロール。
【請求項3】
芯体が、鉄、銅、洋白、ステンレススチール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂から選ばれる金属又は樹脂からなるものである請求項2記載の現像ロール。
【請求項4】
更に、表層を有するものである請求項1,2又は3記載の現像ロール。
【請求項5】
表層が、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びこれらの混合物から選ばれるものである請求項4記載の現像ロール。
【請求項6】
(A)成分の液状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の、分子鎖途中の珪素原子に結合したアルケニル基を含有する重合度が100〜800の液状オルガノポリシロキサンであり、(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有する重合度が2,000〜30,000の生ゴム状オルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の現像ロール。
【請求項7】
(A)成分の液状オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端が(R13SiO1/2(R1はアルキル基、アリール基又はアラルキル基)で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造のものである請求項1〜6のいずれか1項記載の現像ロール。
【請求項8】
(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、一分子中に少なくとも2個の分子鎖途中の珪素原子に結合したアルケニル基を含有するものである請求項1〜7のいずれか1項記載の現像ロール。
【請求項9】
(B)成分の生ゴム状オルガノポリシロキサンが、分子鎖両末端が(R23SiO1/2(R2はアルキル基、アリール基又はアラルキル基)で示されるトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造のものである請求項1〜8のいずれか1項記載の現像ロール。
【請求項10】
導電性シリコーンゴム組成物の25℃での粘度が30〜600Pa・sの範囲である請求項1〜9のいずれか1項記載の現像ロール。
【請求項11】
導電性シリコーンゴム組成物の硬化後のシリコーンゴムの体積抵抗率が10MΩ・m〜10Ω・mの範囲である請求項1〜10のいずれか1項記載の現像ロール。

【公開番号】特開2009−85436(P2009−85436A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7483(P2009−7483)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【分割の表示】特願2004−234462(P2004−234462)の分割
【原出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】