現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体
【課題】スリーブゴーストの発生もなく、潜像に忠実で、良好な画像を得ることのできる現像剤を提供することにある。
【解決手段】静電潜像を担持するための潜像担持体;該潜像担持体を帯電するための帯電手段;該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置;上記潜像担持体に担持されている現像剤像を転写材に転写するための転写装置;該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする。
【解決手段】静電潜像を担持するための潜像担持体;該潜像担持体を帯電するための帯電手段;該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置;上記潜像担持体に担持されている現像剤像を転写材に転写するための転写装置;該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法或いはトナージェット記録法等を利用した記録方法において使用することのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真法としては特許文献1乃至3等に、種々の方法が記載されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光体)上に静電潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(以下、単に「トナー」と標記する場合もある)を用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力或いは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものである。
【0003】
近年、電子写真法を用いた機器は、従来の複写機以外にプリンターやファクシミリ等多数になってきている。現像方式にはキャリア粒子を用いる二成分現像方式とキャリア粒子を用いない一成分現像方式に大別される。一成分現像方式は、主としてトナーと摩擦帯電付与部材との摩擦によって、トナーへの摩擦帯電が行なわれるものであるが、磁性粒子をトナーに内包させて磁力の作用により現像剤の担持搬送を行う一成分磁性現像方式と、磁性粒子を用いずに現像剤の摩擦電荷の作用などで現像剤を現像剤担持体へ担持させる非磁性一成分現像方法とに大別される。一成分磁性現像方式においては、カーボンブラックなどの着色剤は用いず、磁性粒子を着色剤として兼用させることもできる。
【0004】
二成分現像方式は、トナーとの摩擦によってトナーに電荷を付与するために、ガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が必要な為、或いは現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知して必要量のトナーを補給する装置が必要となり、現像装置が大きくて重く、且つ複雑な構成となる。また二成分現像方式ではトナー成分のキャリアへの付着(スペント)が起こりやすいため、キャリアの交換頻度が高くなる。この点一成分現像方式では、このようなキャリアや上述の複雑な構成は不必要となり、現像装置自体の小型化・軽量化が可能であり、さらにはキャリアの交換が必要ないため長期にわたりメンテナンスの必要がなくなる。その一方で、磁性一成分現像方法は、暗黒色の磁性粒子をトナーに使用するためカラー化が困難であり、二成分現像方式は濃度検知装置などにより細かい現像状態の調整が可能であるため、カラー現像用に好ましく用いられる。
【0005】
また、一成分系、二成分系の差異によらず、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤(外添剤)として無機微粉末を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0006】
例えば、特許文献4,5等に疎水化処理を施した無機微粉末あるいは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉末を添加する方法、または特許文献6乃至8に疎水化処理した無機微粉末とシリコーンオイル処理した無機微粉末とを併用添加する方法が開示されている。
【0007】
また、外添剤として現像剤に導電性微粒子を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するために、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー粒子表面に付着または固着するための外添剤として用いられることが広く知られている。また、特許文献9乃至11には、高抵抗磁性トナーに酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子をそれぞれ外添することが開示されている。また、特許文献12では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立する現像剤が提案されている。更に、特許文献13乃至16では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粉末をトナーに添加することが知られている。
【0008】
電子写真感光体や静電記録誘電体等の潜像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、潜像担持体としての、光導電性物質を利用した感光体を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、この感光体上に画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0009】
従来、潜像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
【0010】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である潜像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に潜像担持体面をさらすことで潜像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0011】
近年では、潜像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0012】
接触帯電装置は、潜像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の電圧バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0013】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0014】
(1)接触帯電の放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体との間に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンなどの活性イオンによる弊害は避けられない。
【0015】
(2)接触帯電の直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被放電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はオゾンの如き活性イオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電体との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0016】
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0017】
従来のローラ帯電における帯電機構は、前記(1)の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材または発泡体を用いて作製され、さらにこれらのゴム材や発泡体を積層して所望の特性を得たものもある。
【0018】
帯電ローラは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下、接触性の不足やローラ形状による接触ムラ、被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0019】
図1は電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にその時得られた被帯電体(以下、感光体と記す)の帯電電位を表している。ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち、印加電圧がおよそ−500Vの放電閾値を過ぎてから感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対してほぼ傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。従って、−500Vに帯電する場合は、−1000Vの直流電圧を印加するか、または、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つように、例えばピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0020】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、Vd+Vthという必要とされる以上のDC電圧を帯電ローラに印加する必要がある。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0021】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0022】
このため、更なる帯電の均一化を図るために、特許文献17に開示されているような、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0023】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は接触帯電部材から感光体への放電現象を用いたものであるため、先に述べたように、接触帯電部材に印加する電圧は所望の感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には、さらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0024】
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、導電性繊維ブラシ部に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記(1)の放電帯電機構を支配的とすることが可能である。
【0025】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分である。直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには、ファーブラシ帯電器に感光体に対して機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0026】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性を図1のBに示す。従って、ファーブラシ帯電の場合においても、固定タイプ、ロールタイプのいずれも、多くは高い帯電バイアスを印加し放電現象を用いて帯電を行っている。
【0027】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合、その帯電機構は前記(2)の直接注入帯電機構が支配的である。
【0028】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5μm〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。
【0029】
磁気ブラシ帯電の直流印加時の帯電特性は、図1のCで表される。図1に示すように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能にある。
【0030】
しかしながら、磁気ブラシ帯電には、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。このように、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電装置が望まれている。
【0031】
また、特に近年になって、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活用という面から、転写残トナー即ち廃トナーの出ない画像形成装置が望まれている。従来、一般には、潜像をトナーにより現像して可視像とし、紙などの記録媒体にトナー像を転写した後に、記録媒体に転写されずに潜像担持体上に残余したトナーをクリーニング手段(クリーナー)によって除去し、廃トナーとして廃トナー容器内へ搬送及び格納されるクリーニング工程を経て、画像形成の工程が繰り返される画像形成装置が広く用いられてきた。
【0032】
このクリーニング工程については、従来より、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等が用いられてきた。いずれの方法も力学的に転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へ搬送されるものであった。よって、省資源、環境保全への気運の高まりに伴い、廃トナー容器内に蓄えられる廃トナーを回収した後に、再利用または廃棄処理するシステムを構築することが求められつつある。一方、クリーニング工程で回収されるトナーを現像装置内に循環させ再利用する、いわゆるトナーリユースも実用化されている。しかしながら、クリーニング部材が潜像担持体表面に押し当てられることに起因して潜像担持体が磨耗して短命化する問題があった。また、装置面からは、かかるトナーリユース装置及びクリーニング装置を具備するために画像形成装置が必然的に大きくなり、装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0033】
これに対し、廃トナーのでないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術は特許文献18に開示されているように、転写残トナーの画像への影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主であった。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対して満足し得るものではなかった。
【0034】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特許文献19乃至26等があるが、望ましい画像形成装置については述べられておらず、トナー構成についても言及されていなかった。
【0035】
本質的にクリーニング装置を有さない、現像同時クリーニングまたはクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は潜像担持体表面を現像剤(トナー)及び現像剤(トナー)担持体により摺擦する構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触する、所謂接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触し、摺擦する構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した、現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用により現像剤(トナー)劣化、現像剤(トナー)担持体表面の劣化又は磨耗、潜像担持体表面の劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像同時クリーニング方法が望まれていた。
【0036】
ここで、接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を用いないため、潜像担持体上に残余する転写残トナーがそのまま接触帯電部材と接触し、この接触帯電部材に付着または混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0037】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0038】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度の低下及びカブリの増大という弊害をもたらす。
【0039】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、潜像担持体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなる。このため、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。これについて一般的なレーザープリンターを例として具体的に説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の電圧を印加する転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残トナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、転写残トナーが転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、マイナス帯電性の潜像担持体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、表面と共に一様にマイナス側へ転写残トナーの帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残トナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上現像剤(トナー)担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナー粒子は残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残トナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0040】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像工程においてトナーを回収することが困難となる。また、転写残トナーが摺擦等の機械的力によって現像剤(トナー)担持体に回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、現像剤(トナー)担持体上のトナーの摩擦帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於いては、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0041】
現像同時クリーニング画像形成方法において、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像同時クリーニング性能を向上させるものとして、特許文献27では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像同時クリーニング画像形成方法において、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像同時クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0042】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に潜像担持体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー回収能力を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0043】
また、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特許文献28に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(潜像担持体)に従動回転(速度差駆動なし)する構成であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、前述のローラ帯電の場合と同様に、帯電原理は依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、上記構成をクリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0044】
また、特許文献29には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナーやシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電または近接帯電は放電帯電機構によるものであり直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、この構成をクリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して、多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナー粒子の現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナーによる現像剤の現像特性への影響に関しては何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0045】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより潜像担持体を均一帯電することが困難であり、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が得られないため、転写残トナーがパターン画像露光を遮光してパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時には現像剤による機内汚染が著しくなる。
【0046】
これらに対し、特許文献30において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0047】
また、特許文献31においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含む現像剤を、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0048】
更に、特許文献32では、導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粒子の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0049】
特許文献33では、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0050】
更に、特許文献34によれば、導電性微粒子の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害することや現像バイアスが導電性微粒子を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができることが記載されている。同時に、上記導電性微粒子の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、潜像担持体に導電性微粒子が埋め込まれ、露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法が記載されている。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0051】
特許文献30によれば、トナーに導電性微粒子を外添し、少なくとも可撓性の接触帯電部材と潜像担持体との接触部に、前記トナー中に含有の導電性微粒子が、現像工程で潜像担持体に付着し転写工程の後も潜像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成装置が開示されている。しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地があった。
【0052】
また、平均粒子径を規定した導電性粒子を外部添加する提案もなされている。例えば、特許文献35においては、平均粒子径5nm〜50nmの微粉末A及び平均粒子径0.1μm〜3μmの微粉末Bを外部添加剤とし、4μm〜12μmのトナー母粒子に規定する程度以上に強く付着させたトナーが提案されているが、微粉末Bの遊離しているもの及びトナー母粒子から離脱するものの割合を少なくする事を目的としている。また、特許文献36においては、粒径を規定した導電性シリカ粒子及び疎水化された無機酸化物を含むトナーが提案されているが、トナーに過剰に蓄積される電荷の、導電性シリカ粒子による外部へのリーク作用を目的としたものでしかない。
【0053】
更に、トナーの粒度分布及び形状を規定した提案も数多くなされており、近年では特許文献37のように、フロー式粒子像解析装置で測定された粒度分布及び円形度を規定した提案もある。外添剤の影響を考慮したトナーの粒度分布及び形状を規定した提案としては、例えば、特許文献38においては、円形度の規定された平均長径が10nm〜400nmの無機微粉体Aと非球形状無機微粉体Bを有するトナーが提案されているが、非球形状無機微粉体Bのスペーサ効果による無機微粉体Aのトナー母体への埋没抑制を目的をしたものである。特許文献39においてもトナーの粒度分布及び円形度に対する規定が提案されているが、トナー画像として現像されたトナー粒子の密度を密とすることにより尾引き現象を抑制し、高温高湿環境下でのトナーの保存性を改良することを目的としている。
【0054】
更に特許文献40においては、0.6μm〜4μmの外添剤微粒子A及び無機微粉末Bを有し、且つ粒度分布が規定されたトナーが提案されているが、外添剤微粒子Aの介在による無機微粉末Bのトナー母粒子への埋め込み等によるトナー劣化防止を目的としており、トナー母粒子への外添剤微粒子Aの付着・遊離に対して考慮されていない。また、特許文献41においては、着色剤が内包された球形樹脂微粒子表面に導電性微粒子及びシリカ微粒子が添加されたトナーが提案されているが、トナー粒子表面に導電性を持たせ、トナー粒子間の電荷の移動・交換を迅速化させ、トナーの摩擦帯電の均一性を高めることを目的としている。
【0055】
一方、前記注入帯電工程を有する画像形成方法、現像同時クリーニング画像形成方法又はクリーナレス画像形成方法を達成させるため、即ち前記現像剤(トナー)に対して最適な電荷を付与させるために、現像剤担持体からのアプローチも行なわれてきている。
【0056】
従来より、例えば電子写真方式の画像形成装置では、電子写真感光体からなる潜像担持体上に静電潜像を形成し、その潜像を現像器により現像することを行なっている。現像器は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有している。
【0057】
この現像スリーブの表面は、現像剤の搬送性のために凹凸に粗面化しており、古くは、例えば特許文献42に示されるように、主に二成分現像用の現像スリーブにおけるローレット溝や、特許文献43に示されるように、主に一成分現像用の現像スリーブにおけるブラスト処理が知られている。
【0058】
ブラスト処理した現像スリーブの場合、長期使用により表面の凹凸が摩耗減少しやすいので、それを防止するために、現像スリーブの材料には例えばSUS(ビッカース硬度Hv ≒180)等の高硬度材が多用され、また古くはアルミナ粒子をブラスト砥粒としたアランダムブラスト法が用いられている(特許文献44)。
【0059】
しかし、特許文献45乃至47等に示されるように、アランダムによるブラストでは、SUSの現像スリーブ表面に鋭い凹凸の粗面が形成される。図2に、アランダムブラスト処理した現像スリーブ表面の粗さ断面曲線の模式図を示す。長期使用時においては、この表面の鋭い凹部に特に粒径の細かいトナー粒子等が埋め込まれ(以下、このトナー等が埋め込まれる状態を「スリーブ汚染」という。)、その部分でトナーの帯電が阻害され、画像不良を引き起こすことが知られている。
【0060】
そこで、例えばガラスビーズなどの球形粒子を用いてブラスト処理する方法が考えられている。図3に、ガラスビーズブラスト処理による同様な粗さ断面曲線の模式図を示す。図3に示されるように、ガラスビーズブラスト処理によれば、SUSの現像スリーブ表面に滑らかな断面形状を有する粗面を得ることができ、十分ではないもののスリーブ汚染をある程度は軽減することができる。
【0061】
一方、現像スリーブ材質としてアルミニウムを用いることが主流となりつつある。SUSは高価であるが、アルミニウムならばスリーブをコストダウンできる等のメリットがある。
【0062】
しかしながら、アルミニウムスリーブはHv ≒100というように硬度が低いため、ブラスト処理による表面の凹凸が使用により簡単に摩耗し、早期に凹凸が減耗してしまう。
【0063】
更に近年、高画質化を達成するために、トナーの粒径を更に小さくする傾向があり、これまで以上にスリーブ汚染が発生しやすくなることがわかった。
【0064】
これを図4を用いて説明する。図4は、図3の粗さ断面曲線の凹凸を拡大した図である。図3は、前記したように、SUSの現像スリーブ表面を球状粒子のガラスビーズでブラスト処理したときの粗さ断面曲線である。図4において、大粒径トナーの場合、粗さ断面曲線の大きな凹凸の中のクラック、つまり小さな凹部、例えば凹部a、b、c等に入り込まないが、トナーを小径化すれば、小さな凹部a、b、c等に入り込むトナーが増加し、スリーブ汚染を生じるものと考えられる。
【0065】
例えば体積平均粒径が約7μmの粒度分布を有する小粒径トナー粒子中には、粒径4μm以下のより小さいトナー粒子が一般的に約15個数%〜20個数%程度含まれており、これが小さな凹部a、b、c等に入り込む。勿論、トナー中の微粉をカットすれば、より小さなトナーを減らすことができるが、完全になくすことは現状不可能である。
【0066】
また、上述のように、トナーを小粒径化しなくても、帯電性の低いトナーを用いた場合には、わずかなスリーブ汚染によってもトナーの帯電阻害が発生しやすく、濃度薄等の弊害をもたらす。
【0067】
或いは、トナー粒子に対して、該トナーと同極性の帯電系列を有する外添剤を外添した現像剤では、現像スリーブ上にプリントパターンの履歴である、所謂「スリーブゴースト」が生じ、これがプリント画像上にも現れることがある。このスリーブゴーストは、前記外添剤の帯電能が高いものほど発生し易い傾向が見られる。例えば、負帯電性トナーに負帯電性の微粒子を外添して得られた現像剤の場合に生じるスリーブゴーストは、図5に示すように、ポジゴーストになる。即ち、非印字部(白地)が続いていたために、プリントが行なわれても薄い現像しか行なわれない(X)部分と、プリントが継続されていたために濃い現像が行なわれる(Y)部分とで濃度ムラが生じる。
【0068】
このスリーブゴースト形成のメカニズムについて考えてみる。現像工程において、現像剤担持体(現像スリーブ)上で現像剤(トナー)が消費された箇所に、新たに帯電付与を受けたトナーが供給されて次の現像が行なわれる。この時、消費されずに現像スリーブ上に残っているトナーと、新たに供給されたトナーとでは帯電量が異なる。帯電量が高いトナーほど潜像担持体上の静電潜像への飛翔能力は高くなるが、同時にトナーと現像スリーブとの間に働く鏡映力により、静電的に強く拘束される傾向も見られる。このように、現像能力は上記の飛翔能力と鏡映力のバランスによって決定する。
【0069】
更に、このスリーブゴーストは、現像スリーブ上に存在するトナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤によって形成される層に深く関わっている。つまり、現像スリーブ上のトナー層の最下層を形成するトナーの粒度分布に、トナー消費部とトナー未消費部とで明らかな差が生じ、未消費部のトナー最下層に、トナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤によって形成される微粉層が形成されているためである。該微粉層を形成する粒子は体積当たりの表面積が大きいために、粒径の大きなトナーに比べると質量当たりに有する摩擦帯電電荷量が大きくなり、自らの鏡映力により現像スリーブに静電的に強く拘束される。このため微粉層が形成された部分の上にあるトナーは、現像スリーブ表面と十分に摩擦帯電しないために現像能力が低下し、画像上にスリーブゴーストとして現れてしまう。
【0070】
一般的に、トナーが消費された箇所に、新たに帯電付与を受けて供給されたトナーが、消費されずに現像スリーブ上に残っているトナーよりも現像能力が高い場合、先述したポジゴーストが発生し、これと逆に上述した新たに供給されたトナーが、他の部分のトナーと比較して現像能力が低い場合は、図5と反対に、非印字部(白地)が続いておりトナーの入れ替わりがなかった部分と比べ、プリントが継続されていたためにトナーの入れ替わりが行なわれた部分の方が低濃度になるという、ネガゴーストが発生する。
【0071】
以上のスリーブゴーストは、トナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤からなる微粉層の形成と共に、トナーの帯電が現像スリーブとの摩擦帯電に大きく依存しているために生じる現象である。従ってスリーブゴーストを解決するには、現像スリーブ表面近傍のチャージアップした微粉トナーの現像スリーブとの間に働く鏡映力を、何らかの方法で除去或いは軽減することが必要である。
【0072】
上記スリーブゴースト現象以外には、現像により得られる画像上に縦縞状に濃度の低い部分が発生するという問題が発生することもある。即ち、これは文字画像においては文字が細くなり、ハーフトーン画像やベタ黒画像では、図6に示したように濃度が低くなる現象である。
【0073】
この現象は「フェーディング現象」と言われている。我々は、このフェーディング現象が生じたときの現像スリーブを観察してみたが、スリーブ上には一様な厚みのトナー層は形成されていた。しかし、スリーブ上のトナーの摩擦帯電電荷量を測定してみると、画像中の低濃度の縦縞に対応する領域のトナーの電荷量が正常な値と比べて低い値であることが判明した。
【0074】
上記の如く部分的にトナーの帯電量が低下する理由については次のように考えられる。コピー画像又は画像出力パターンは、画像面内では必ずしも一様ではなく、トナーの消費が多い部分と少ない部分が発生する。このうち、トナー消費が少ない部分はトナーの入れ替わりが比較的少なくなるため、対応する部分の現像スリーブ近傍のトナーの循環が疎外され、スリーブ近傍にトナーがパッキングされることになる。そして、この状態でトナーがスリーブ表面と摺擦されることで、トナー粒子が劣化し、正規にトリボ付与を受けることができなくなる。その結果、この状態でコピー又はプリントを続けていくと、トナー劣化が促進され、この部分で濃度低下が起きることになる。
【0075】
いずれにせよ、低帯電トナーもスリーブとの摩擦力によって、現像剤層厚規制部を、正常帯電トナー層と同等の厚みを持つ層として通り抜ける。従ってトナー層の厚みはスリーブ上で均一である。
【0076】
上記フェーディング現象は、トナー粒径が小さいほど起こり易い。これは、微粒子トナーの凝集性が高いことに起因する。即ち、微粒子トナーは、粒径が小さく通常粒径トナーに比べ表面積が大きく過剰にトリボ付与を受けるため、静電凝集によってトナーの流動性が低下するからである。更に、トナー表面近傍に付着している外添剤による影響も大きく、トナーの流動性を阻害するような粒子或いはトナーの帯電量を著しく変化させるような粒子を添加する場合は注意を要する。
【0077】
また、上記フェーディング現象は、トナーの静電凝集による流動性低下が促進される低湿度環境のみならず、常温常湿度環境下、或いはトナーの帯電能が低下する高温高湿度環境下においても顕著に発生する。
【0078】
このように注入帯電工程を有する画像形成方法、現像同時クリーニング画像形成方法又はクリーナレス画像形成方法を達成させるため、現像剤(トナー)及び現像剤担持体からのアプローチも行なわれてきているものの、これまでに挙げた問題点をすべてクリアーできている系はこれまでのところ提案されておらず、まだ十分に検討がなされていないのが実状である。
【0079】
【特許文献1】米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】特公昭42−23910号公報(米国特許第3666363号明細書)
【特許文献3】特公昭43−24748号公報(米国特許第4071361号明細書)
【特許文献4】特開平5−66608号公報
【特許文献5】特開平4−9860号公報
【特許文献6】特開昭61−249059号公報
【特許文献7】特開平4−264453号公報
【特許文献8】特開平5−346682号公報
【特許文献9】特開昭57−151952号公報
【特許文献10】特開昭59−168458号公報
【特許文献11】特開昭60−69660号公報
【特許文献12】特開昭56−142540号公報
【特許文献13】特開昭61−275864号公報
【特許文献14】特開昭62−258472号公報
【特許文献15】特開昭61−141452号公報
【特許文献16】特開平02−120865号公報
【特許文献17】特開昭63−149669号公報
【特許文献18】特開平5−2287号公報
【特許文献19】特開昭59−133573号公報
【特許文献20】特開昭62−203182号公報
【特許文献21】特開昭63−133179号公報
【特許文献22】特開昭64−20587号公報
【特許文献23】特開平2−302772号公報
【特許文献24】特開平5−2289号公報
【特許文献25】特開平5−53482号公報
【特許文献26】特開平5−61383号公報
【特許文献27】特開平11−15206号公報
【特許文献28】特公平7−99442号公報
【特許文献29】特開平5−150539号公報
【特許文献30】特開平10−307456号公報
【特許文献31】特開平10−307421号公報
【特許文献32】特開平10−307455号公報
【特許文献33】特開平10−307457号公報
【特許文献34】特開平10−307458号公報
【特許文献35】特開平9−146293号公報
【特許文献36】特開平11−95479号公報
【特許文献37】日本特許第2862827号公報
【特許文献38】特開平11−174731号公報
【特許文献39】特開平11−202557号公報
【特許文献40】特開平11−194530号公報
【特許文献41】特開平10−83096号公報
【特許文献42】特開昭54−79043号
【特許文献43】特開昭55−26526号
【特許文献44】特開昭57−66455号
【特許文献45】特開昭57−116372号
【特許文献46】特開昭58−11974号
【特許文献47】特開平1−131586号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0080】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みなされたものであって、良好な現像特性が得られる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0081】
即ち本発明の目的は、前記スリーブゴーストの発生もなく、終始潜像に忠実であり、良好な画像特性を得ることのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0082】
更に本発明の目的は、いかなる環境下においても、先述したフェーディング現象の発生がなく、常時高濃度の画像を得ることができる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0083】
また本発明の他の目的は、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0084】
また、本発明の他の目的は、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像−クリーニング工程(現像同時クリーニング工程)を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0085】
また、本発明の他の目的は、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像を得ることのできる画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0086】
また、本発明の他の目的は、良好な一様帯電性を安定して得られる独立したクリーニング工程が不用なクリーナレス画像形成を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0087】
また、本発明の他の目的は転写残トナー粒子の回収性に優れた現像−クリーニング工程を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0088】
さらに、本発明の他の目的は、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像−クリーニング工程を有する画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0089】
上記の目的は、以下の構成によって達成することができる。即ち、
(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする現像剤によって達成することができる。
(2)また上記目的は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする画像形成方法によって達成することができる。
(3)また上記目的は、少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
該現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする現像剤担持体によって達成することができる。
【発明の効果】
【0090】
本発明によって、スリーブゴーストの発生もなく、終始潜像に忠実であり、良好な画像特性を得ることのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を得ることができる。
【0091】
また、いかなる環境下においても、フェーディング現象の発生がなく、常時高濃度の画像を得ることができる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を得ることができる。
【0092】
また、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0093】
また、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像−クリーニング工程(現像同時クリーニング工程)を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0094】
また、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像を得ることのできる画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0095】
また、良好な一様帯電性を安定して得られる独立したクリーニング工程が不用なクリーナレス画像形成を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0096】
また、転写残トナー粒子の回収性に優れた現像−クリーニング工程を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0097】
さらに、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像−クリーニング工程を有する画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0098】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0099】
まず、本発明の現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に好適に使用することができる現像剤担持体について説明する。
【0100】
本発明の現像装置は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、この静電潜像を、現像剤を担持しながら、上記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、上記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成が行なわれ、上記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって潜像担持体の帯電を行なう、接触帯電を行なうための画像形成装置、特に好ましくは、所謂直接注入帯電機構を有する画像形成装置、及び該画像形成装置に用いることのできる現像装置又はプロセスカートリッジ又は前記工程からなる画像形成方法に使用されることが好ましい。
【0101】
また本発明の現像装置は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、この静電潜像を、現像剤を担持しながら、上記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、上記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成が行なわれ、上記現像工程は、上記静電潜像を可視化するとともに、現像剤像が転写材に転写された後に、この潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程である、所謂現像同時クリーニングを行なうための画像形成装置、及び該画像形成装置に用いることのできる現像装置又はプロセスカートリッジ又は前記工程からなる画像形成方法に使用されることが好ましい。
【0102】
本発明の現像装置は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体を使用することを特徴とする。
【0103】
本発明に用いることができる現像剤担持体の一例を図7に示しながら作用を説明する。図中、(ア)はマグネットローラ(現像スリーブに内包されている)、(イ)はスリーブ基体、(ウ)は非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層(以下、「メッキ層」と記す)を示す。
【0104】
図8は、ガラスビーズブラスト処理したアルミニウムスリーブ(図9)に対して、メッキ層を設けたときのスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。メッキ層を設けた場合、そのメッキ層がクレーター状凹部内を鏡面状に覆って、微小凹部を埋め込むように形成される。従って、スリーブ汚染等を防止する効果が発揮される。
【0105】
上記のブラスト処理後にメッキ層を設けた時のスリーブの表面を光学顕微鏡で観察すると、基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部はメッキ層によって埋められていることが確認できた。
【0106】
また、先述したように、スリーブゴーストとは、トナー中の微粉及び該トナーに添加されている外添剤からなる微粉層が形成され、この層の上にあるトナーは、現像スリーブ表面と十分に摩擦帯電しないために現像能力が低下するために発生する現象である。特に、スリーブ基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部には、微粉が蓄積されやすくなり、これを起点として上記微粉層が形成され、その結果スリーブゴーストが発生する、というのが従来の現像剤担持体(現像スリーブ)における問題点であったが、表面のクレーター状凹部内の微小凹部をメッキ層によって埋めることで、スリーブゴーストのレベルは格段に良くなる。
【0107】
更に、部分的なトナーの静電凝集による流動性低下に伴うフェーディングに関しても、スリーブ基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部はメッキ層によって埋められていることで、凹部にトナーの微粉が蓄積されることがなくなるため、フェーディングのレベルも良化できる。
【0108】
また、メッキ層を設けた場合、上記のようにクレーター状凹部内の微小凹部はなくなるが、メッキ層はクレーター状凹部にかたどって形成されるので、メッキした表面の粗さRz、Ra、平均山間隔Sm等は、基体にブラストした状態のものと大差がなく、従って、現像剤の搬送性等が低下することがない。
【0109】
特に本発明においては、詳細は後述するが、現像剤中に導電性微粒子を添加する系を採用しており、該導電性微粒子がトナー粒子と共に現像されることによって潜像担持体上の非画像部にまで十分に供給され、転写工程においてトナー粒子表面から積極的に遊離することで、転写後の潜像担持面を経て効率良く帯電部に供給され、接触帯電を良好に行なうものである。よって、トナーの微粉以外に、遊離している導電性微粒子が現像系に多く存在しているが、これが現像スリーブ表面の微小凹部に蓄積されることに伴う現像性の低下、という現象も発生しないため、終始良好な現像性を保持することが可能となる。
【0110】
このようなメッキ層を基体表面に均一に保持させることにより、現像剤担持体の長手方向で、現像剤に対して均一な帯電を付与することが可能になり、良好な現像性を得ることができる。現像スリーブ基体表面に上記メッキ層を形成する方法としては、電界メッキや無電解メッキが好ましく用いることができる。特に無電解メッキは、化学メッキのために凸部粗面に関わらず均一に精度よくメッキ層を形成することができる。
【0111】
具体的には、メッキ層がニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層より形成されていることが好ましく、例えば無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、電界Moメッキ或いは無電界Moメッキなどが挙げられる。スリーブ表面の物性としては、スリーブ内部にマグネットロールを有しているため非磁性であることが好ましい。そのため、メッキ層は0.5μm〜20μm、より好ましくは3μm〜15μmであることが良い。メッキ層の厚さが0.5μm未満の場合は、層厚が薄いため、メッキ層を設けることによる効果が発揮されにくく、またメッキ層厚が20μmを超える場合は、基体表面に存在するメッキ層の厚みを長手方向で均一に保持することが困難になる。例えば、上記Ni−Pメッキに関しては、Niは単体では強磁性体であるが、無電解メッキ中ではリン或いはホウ素と反応することにより非晶質となり、非磁性化する。無電解Crメッキの場合も、メッキ層が20μm以下であれば、実際には内部のマグネットの磁場を乱すほどではなく、十分に使用できる。
【0112】
現像スリーブの基体としては、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料が好ましく使用できる。Hvが50未満の場合は、強度面で弱く、変形や削れの発生の恐れがある。Hvが200を超える場合は、ブラスト処理のような表面に凹凸を形成させる工程において、表面に均一に凹凸を形成することが困難になることがある。具体的な例としてアルミニウム合金、黄銅などの銅合金などが挙げられるが、コスト面からアルミニウム合金がより好ましい。
【0113】
金属層を設けた後の現像スリーブのビッカース硬度(Hv)は、選択した材料によっても異なるが、アニール処理時の温度によってコントロールすることが可能である。本発明に用いることができるものとしては、Hvが200〜1000のものが好ましい。Hvが200未満の場合は、強度的に不十分であり、スリーブ表面の傷や削れが発生しやすくなる。また、Hvを1000より大きくするには、製造面においての調整が困難になる。Hvを高くする方法としては、例えばアニール温度を高くする方法がある。しかし高温でアニール処理を行なうと、スリーブの偏心量が大きくなる傾向が見られ、その結果画像濃度や画質等に悪影響を及ぼすこともある。
【0114】
また、現像剤担持体の基体表面は、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層(メッキ層)を形成したものであることが好ましい。これは、予め粗面化処理を行なって基体表面に存在する微小なクラックを減らすことで、メッキ後の表面をより均一な表面粗さを有するものとできるためである。
【0115】
現像スリーブの表面粗さは、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることが好ましい。Raが0.1μm未満では、特に低湿度環境下において、現像剤担持体上の現像剤が鏡映力により現像剤担持体表面に不動層を形成し、現像剤への帯電付与が不十分となるため現像性が低下し、ムラ、飛び散り、画像濃度薄などの画像不良が発生する場合がある。Raが3.5μmを超えると、現像剤担持体上のトナーコート層の規制が不十分となり、画像の均一性が不十分となったり、帯電不十分のため画像濃度薄となったりする。尚、本発明において表面粗さの測定は、小坂研究所製:表面粗度計SE−3300Hを用い、測定条件としては、カットオフ0.8mm、規定距離8.0mm、送り速度0.5mm/sにて12箇所の測定値の平均をとった。
【0116】
次に、本発明の現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に好適に使用することができる現像剤について説明する。
【0117】
本発明の現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する。現像剤が有する導電性微粒子は、潜像担持体に形成された静電潜像が現像される際に、トナー粒子とともに適当量が現像剤担持体から潜像担持体に移行する。静電潜像が現像されることにより潜像担持体上に形成された現像剤像は、転写工程において紙などの転写材に転移する。このとき、潜像担持体上の導電性微粒子も一部は転写材に付着するが、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。トナー粒子の帯電極性と逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、潜像担持体上の導電性微粒子は導電性であるため転写材側に転移し難い。このため、導電性微粒子の一部は転写材に付着するものの残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。
【0118】
クリーニング工程のように、潜像担持体上に付着保持されて残留した導電性微粒子を潜像担持体上から取り除く工程を持たない画像形成方法では、転写工程後の潜像担持体表面に残存したトナー粒子(以下、これを「転写残トナー粒子」という)および導電性微粒子は、潜像担持体において像を担持する面(以下、これを「像担持面」という)の移動に伴って帯電部に持ち運ばれる。すなわち、帯電工程に接触帯電部材を用いる場合は、導電性微粒子は潜像担持体と接触帯電部材とが当接して形成される当接部に持ち運ばれ、接触帯電部材に付着・混入する。従って、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性微粒子が介在した状態で潜像担持体の接触帯電が行われる。
【0119】
本発明においては、導電性微粒子を帯電部に積極的に持ち運ぶことにより、転写残トナー粒子の付着・混入により接触帯電部材が汚染されるにも拘わらず、接触帯電部材の接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の帯電を良好に行うことができる。
【0120】
しかし、接触帯電部材の帯電部に十分な量の導電性微粒子が介在しない場合には、転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による潜像担持体の帯電の低下が容易に起こり、画像汚れをもたらす。
【0121】
更に、導電性微粒子を潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部に積極的に持ち運ぶことにより、接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の直接注入帯電を良好に行なわせることができる。
【0122】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナー粒子は、接触帯電部材から徐々に潜像担持体上に吐き出され、潜像担持面の移動に伴って現像部に至り、現像工程において現像同時クリーニング、すなわち転写残トナー粒子の回収が行われる。接触帯電部材に付着・混入した導電性微粒子も同様に接触帯電部材から徐々に潜像担持体上に吐き出され、潜像担持面の移動に伴って現像部に至る。すなわち、転写残トナー粒子とともに導電性微粒子が潜像担持体上に存在し、現像工程において転写残トナー粒子の回収が行われる。現像工程における転写残トナー粒子の回収が現像バイアス電界を利用するものである場合には、転写残トナー粒子が現像バイアス電界によって回収されるのに対して、潜像担持体上の導電性微粒子は導電性であるため回収され難い。このため、導電性微粒子の一部は回収されるものの、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。本発明者らの検討によれば、このように現像工程で回収され難い導電性微粒子が潜像担持体上に存在することで、潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果を有することが判明した。すなわち、潜像担持体上の導電性微粒子が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0123】
従来、現像剤に導電性微粒子を添加する目的の多くが、トナー粒子表面に導電性微粒子を付着させることによってトナーの摩擦帯電性を制御することであり、トナー粒子から遊離或いは脱離する導電性微粒子は、現像剤特性の変化或いは劣化を招く弊害として扱われてきた。これに対し、本発明の現像剤は、導電性微粒子をトナー粒子表面から積極的に遊離させる点で、従来多く検討されてきた現像剤への導電性微粒子の外添とは異なる。導電性微粒子を、転写後の潜像担持体上を経由させて潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部である帯電部に持ち運び、介在させることによって潜像担持体の帯電性を積極的に向上させることにより、安定して均一な一様帯電を可能とし、潜像担持体の帯電低下による画像不良の発生を防止する。また、現像工程において導電性微粒子が潜像担持体上に存在することで、導電性微粒子が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0124】
本発明の現像剤においては、トナー粒子表面に付着してトナー粒子と共に挙動する導電性微粒子は、本発明の現像剤が効果として発現する潜像担持体の帯電性の促進及び現像同時クリーニング性能の向上に対しての寄与が少なく、トナー粒子の現像性の低下、現像同時クリーニング工程での転写残トナー粒子回収性の低下、及び転写性の低下によって転写残トナー粒子量が増加することにより、一様帯電を阻害する等の弊害を生む場合がある。
【0125】
本発明の現像剤に含有される導電性微粒子は、画像形成が繰り返されることにより、帯電工程および現像工程を経て潜像担持面に移行し、さらに潜像担持面の移動に伴い転写工程を経て再び帯電部に持ち運ばれることにより、帯電部に導電性微粒子が逐次供給され続ける。従って、帯電部において導電性微粒子が脱落するなどして減少したり、導電性微粒子の一様帯電性促進能力が劣化した場合でも、帯電部に導電性微粒子が供給され続けるため、装置の長期にわたる繰り返し使用においても潜像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。
【0126】
現像剤に添加する導電性微粒子は、潜像担持体の帯電性促進効果及び現像同時クリーニング性に対する影響についての本発明者らの検討によれば、体積平均粒径が0.1μm未満の場合は、トナー粒子表面に導電性微粒子が強固に付着し易く、現像工程で潜像担持体上の非画像部に導電性微粉末を十分に供給することができず、転写工程においてもトナー粒子表面から導電性微粒子が遊離しない場合がある。このため、転写後の潜像担持体上に導電性微粒子を積極的に残留させ、帯電部に導電性微粒子を積極的に供給することができなくなることがある。従ってこの場合、潜像担持体の帯電性を向上させる効果が得られず、接触帯電部材に転写残トナー粒子が付着混入した場合には潜像担持体の帯電性低下による画像不良を生ずることがある。
【0127】
また、現像同時クリーニング工程においても、潜像担持体上に導電性微粒子を供給することができないため、また、潜像担持体上に供給されたとしても導電性微粒子の粒子径が小さすぎるために、転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果が得られず、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができなくなることがある。
【0128】
また、導電性微粒子の体積平均粒径が10μmを超える場合は、帯電部に供給されても粒径が大きいために、導電性微粒子が帯電部材から脱落しやすくなり、安定して十分な粒子数の導電性微粒子を帯電部に介在させ続けることが困難となり、均一な潜像担持体の帯電性を促進することができなくなることがある。更に、単位重量当たりの導電性微粒子の粒子数が減少するため、潜像担持体の均一帯電促進効果を十分に得られるだけの粒子数の導電性微粒子を帯電部に介在させる(帯電部における潜像担持体と導電性微粒子との接触点数を多くすることによって、潜像担持体の一様帯電性を促進する効果が高まるため、帯電部に介在する導電性微粒子の粒子数が多いことが求められる。)には、導電性微粒子の現像剤に対する添加量を多くせざるを得なくなる。しかし、導電性微粒子の添加量を多くしすぎると、現像剤全体としての摩擦帯電能や現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を等の弊害を生ずる。また、導電性微粒子の粒径が大きいために、現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果が十分には得られない。転写残トナー粒子の回収を高めるために、導電性微粒子の潜像担持体上での存在量を大きくしすぎると、粒径が大きいために潜像形成工程への悪影響、例えば画像露光を遮ることによる画像欠陥を生じる場合がある。
【0129】
ここで、上記導電性微粒子の体積平均粒径及び粒度分布の測定法を例示する。コールター社製、LS-230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04μm〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布より導電性微粒子の体積平均粒径を算出する。測定手順としては、純水10cm3に微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0130】
現像剤(トナー)からの測定においては、純水100gに対して、微量の界面活性剤を添加して現像剤(トナー)を2g〜10g加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、遠心分離機等により、現像剤(トナー)粒子と上記導電性微粒子を分離する。磁性トナー粒子を有する磁性現像剤の場合は磁石を利用することもできる。分離した分散液を測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0131】
本発明者らは、導電性微粒子の粒径の検討から、さらに実際の現像剤の挙動に直接関与する、添加剤を含む現像剤の粒度分布の検討へ進めた。
【0132】
その結果、現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有する構成であることで、接触帯電による潜像担持体の帯電不良をより有効に防止することができ、直接注入帯電機構での潜像担持体の一様帯電性を向上させることができることがわかった。また、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収を高め、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができることがわかった。その理由について次に説明する。
【0133】
本発明の現像剤が有する導電性微粒子は、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数墓準の粒度分布において、粒子径が1.00μm以上2.00μm未満の粒子を15個数%〜60個数%含有させることに寄与する。より具体的には、本発明の現像剤が有する導電性微粒子を、少なくとも1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を有するものとし、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粒子を現像剤中に含有させることにより、上記本発明の効果を得ることができる。本発明者らの検討によれば、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粒子が現像剤中に存在することにより、接触帯電における接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着・混入による潜像担持体の帯電不良を防止し、直接注入帯電における潜像担持体の一様帯電性を向上させ、現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における帯電不良および転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が大きいことが判明した。また、導電性微粒子の現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果には、導電性微粒子の粒径が大きく関与し、転写残トナー粒子の回収助剤として最適な導電性微粒子の粒径範囲が存在し、特に1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子径を有する導電性微粒子の含有量(個数%)が転写残トナー粒子の回収助剤として効果に深く関与することが判明した。
【0134】
1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粒子の粒子は、トナー粒子表面に強固に付着しにくく、現像工程において潜像担持体上の非画像部にまで十分に供給され、転写工程においてトナー粒子表面から積極的に遊離し、転写後の潜像担持面を経て効率良く帯電部に供給される。また、上記導電性微粒子は、帯電部において均一に分散して介在できることにより潜像担持体の帯電促進効果が高く、帯電部に安定して保持されるため、画像形成装置の長期にわたる繰り返し使用においても潜像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。また、帯電工程に接触帯電部材を用いた現像同時クリーニング画像形成方法のように、転写残トナー粒子による帯電部材の汚染が避けられない場合でも、潜像担持体の帯電性の低下を防止することができる。さらに、導電性微粒子の粒子が転写後の潜像担持面へ効率良く供給され、転写残トナー粒子の回収助剤として特に優れた効果を発揮することで、現像同時クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収性を高めることができる。
【0135】
上述したように、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が15個数%〜60個数%であることが好ましい。上記粒径測定範囲における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、帯電工程における潜像担持体の一様帯電性の向上を図ることができる。また、適度な量の導電性微粒子を帯電部に安定して存在させることができるため、後の露光工程において、導電性微粒子が潜像担持体上に過剰に存在することによる露光不良を防止することができる。現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性を充分に向上させることができにくくなり、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果を十分に発揮することが困難になることがある。また、現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合には、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給されるため、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が露光光を遮る程度までに潜像担持体上に排出され、露光不良による画像欠陥を生じたり、或いは飛散して機内を汚染する場合がある。
【0136】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒子径が1.00以上2.00μm未満の粒子の含有量は、20個数%〜50個数%であることがより好ましく、20個数%〜45個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性をより向上させ、且つ現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果がより高まる。更に、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給されることを防止し、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が多量に潜像担持体上に排出されることによる露光不良による画像欠陥の発生をより確実に抑制できる。
【0137】
上述したように、本発明の現像剤に、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有させるには、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粒子を現像剤中に含有させればよい。しかしながら、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子は上記導電性微粒子のみに限られるものではなく、トナー粒子や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもかまわない。
【0138】
本発明の現像剤に含有される少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子は、公知の製法によって得ることが可能であり、トナー製法及び製造条件(例えば、トナーの平均粒径や粉砕法によって作製される場合の粉砕条件)によって生じる1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の量は変化する。しかし、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、トナー粒子に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が10個数%を超えると、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子が有する摩擦帯電性が、平均粒径付近の粒径のトナー粒子が有する摩擦帯電性と大きく異なるため、トリボ分布(帯電量分布)がブロードになり、好ましくない。
【0139】
すなわち、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、導電性微粒子に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒子を5個数%〜60個数%含有することが好ましい。
【0140】
また、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することが好ましい。
【0141】
本発明の現像剤において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像して現像剤像を形成し、この現像剤像を転写材に転写することにより転写材上に現像剤像を形成するために、所定量が必要である。また、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子には、潜像担持体上に形成された静電潜像に静電的に付着し、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせることができる。
【0142】
3.00μm未満の粒子径の粒子は、過剰な帯電を保持するまたは過度に摩擦帯電電荷を減衰させる等、安定した摩擦帯電特性を持たせることが困難となる。そのため、潜像担持体上の静電潜像のない部分(画像の白地部)への付着量が多くなり易く、忠実に静電潜像を現像剤像として現像することが困難である。また、3.00μm未満の粒子径の粒子は、表面に凹凸を有する転写材(例えば、表面に繊維による凹凸を有する紙)に対しては良好な転写性を維持することが困難となるため、転写残トナー粒子が増大する。このため、転写残トナー粒子が潜像担持体に多量に付着した状態で帯電工程に供され、更には接触帯電部材に多量の転写残トナー粒子が付着・混入するため、潜像担持体の帯電が阻害され、導電性微粒子を介して接触帯電部材が潜像担持体と緻密な接触性を有することで潜像担持体の帯電性を高める本発明の効果を阻害する傾向がある。また、転写残トナー粒子の粒径が小さくなると、現像工程において転写残トナー粒子に働く機械的、静電的、さらに磁性トナーの場合には磁気的な回収力が小さくなるため、相対的に転写残トナー粒子と潜像担持体との付着力が大きくなり、現像工程での転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を生じやすくする傾向がある。
【0143】
また、8.96μm以上の粒子径の粒子は、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難である。一般に、現像剤の粒径が大きいほど得られる現像剤像の解像性が低いものになるが、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粒子を含有させた本発明の現像剤では、現像剤中に多くの導電性微粒子を含有するため、特に粒子径の大きいトナー粒子の摩擦帯電量がより低下し易くなり、8.96μm以上の粒子径の粒子には、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難となり、良好な解像性を有する現像剤像を得ることがより困難となる。
【0144】
従って、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせるトナー粒子を確保し、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粒子を含有させた本発明の現像剤を用いて、高画像濃度で解像性に優れた画像を得ることが可能となる。
【0145】
本発明において、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持つトナー粒子を確保することが困難となりやすい。このため、得られる画像は、カブリが多く、画像濃度が低いまたは解像性の低いものとなることがある。
【0146】
また、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合は、前述した1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量を本発明において規定する範囲内とすることが困難となる。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が本発明において規定する範囲内にあったとしても、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量に対して、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子が相対的に不足する。このため、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性を十分に向上させることができず、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が十分に得られなくなることがある。
【0147】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒子径が3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量は、20個数%〜65個数%であることがより好ましく、25個数%〜60個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性をより向上させ、現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果をより高めることができ、かつ高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得ることができる。
【0148】
上述したように、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせる粒子を確保し、高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得るために、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子は、15個数%〜70個数%含有していることが好ましい。従って、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が、トナー粒子に起因することが望ましい。しかしながら、現像剤中の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子はトナー粒子のみに限られるものではなく、導電性微粒子や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもよい。
【0149】
また、本発明に使用できる現像剤は、重量平均粒径(D4)が4μm〜10μmであることが好ましい。現像剤の重量平均粒径が4μm未満の場合は、白地部にカブリを生じやすくなる。現像剤の重量平均粒径が10μmを超える場合には、現像剤担持体上で適切な電荷を均一付与することが困難になる場合がある。
【0150】
本発明において、現像剤の粒径及び粒度分布は、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)によって測定される円相当径を「粒径」と定義し、粒径0.60μm以上159.21μm未満の個数基準の粒度分布を用いて求められる値である。
【0151】
フロー式粒子像分析装置による測定は以下の方法によって行われる。フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として103cm3中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下とした水10ml中に希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に薄めたもの)を数滴加える。これに測定試料を適当量(例えば、0.5mg〜20mg)加え、超音波ホモジナイザー(出力50W、6mm径ステップ型チップ)で3分間分散処理を行い、測定試料の粒子濃度を7000個/10-3cm3〜10000個/10-3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)に調整した試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布及び円形度分布を測定する。重量平均粒径(D4)は、上記個数基準の粒度分布より換算にて求めた。
【0152】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル及び特開平8−136439号公報に記載されているが、以下の通りである。
【0153】
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射される。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
【0154】
また、それぞれの粒子の2次元画像から各粒子の周長が求められ、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の周長との比を算出することにより円形度分布が求められる。
【0155】
測定結果(粒度分布及び円形度分布の頻度%及び累積%)は、下記の表1に示す通り、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0156】
【表1】
【0157】
なお、本発明における現像剤の粒度分布は、上記測定方法と同様の測定原理を用いた他の装置によって測定されるものであってもよい。
【0158】
また、本発明の現像剤は、導電性微粒子の含有量が現像剤全体の0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。導電性微粒子の含有量を上記範囲とすることにより、潜像担持体の帯電を促進するための適度な量の導電性微粒子を帯電部に供給することができ、現像同時クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性を高めるために必要な量の導電性微粒子を潜像担持体上に供給することができる。現像剤の導電性微粒子の含有量が上記範囲よりも小さい場合には、帯電部に供給される導電性微粒子の量が不足し易く、潜像担持体の安定した帯電促進効果が得られにくい。この場合、現像同時クリーニングを用いる画像形成においても、現像時に転写残トナー粒子とともに潜像担持体上に介在する導電性微粒子の量が不足し易く、転写残トナー粒子の回収性が十分には向上しない場合がある。また、現像剤の導電性微粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合には、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給され易く、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が多量に潜像担持体上に排出されることによる露光不良を生じ易くなる。また、現像剤の摩擦帯電特性を低下させる、或いは乱し、画像濃度低下やカブリの増加の原因となる場合がある。このような観点から、現像剤の導電性微粉末の含有量は、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0159】
また、導電性微粒子の体積抵抗は、潜像担持体の帯電促進効果および転写残トナー粒子回収性の向上効果を現像剤に付与するために、100〜109Ω・cmであることが好ましい。導電性微粒子の体積抵抗が109Ω・cmを超える場合は、導電性微粒子を帯電部材と潜像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、導電性微粒子を介しての接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性を維持させても、潜像担持体の良好な一様帯電性を得るための帯電促進効果が小さくなる。現像同時クリーニングにおいても、導電性微粒子が転写残トナー粒子と同極性の電荷を帯び易くなり、導電性微粒子の電荷が転写残トナー粒子と同極性で大きくなると、転写残トナー粒子回収性の向上効果が低下することがある。
【0160】
導電性微粒子による潜像担持体の帯電促進効果を十分に引き出し、潜像担持体の良好な一様帯電性を安定して得るためには、導電性微粒子の体積抵抗が接触帯電部材の表面部或いは潜像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましく、この接触帯電部材の抵抗の1/100以下であることがさらに好ましい。
【0161】
更に、導電性微粒子の抵抗が101〜106Ω・cmであることが、絶縁性の転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による帯電阻害に打ち勝って、潜像担持体の一様帯電をより良好に行わせる上で、また、現像同時クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性の向上効果をより安定して得る上で好ましい。
【0162】
本発明において、導電性微粒子の体積抵抗は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加して抵抗値を計測し、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0163】
また、導電性微粒子は、透明、白色または淡色であることが、転写材上に転写される導電性微粒子がカブリとして目立たないため好ましい。潜像形成工程における露光光の妨げになることを防ぐ点からも、導電性微粒子は透明、白色或いは淡色であることが好ましい。さらに、導電性微粒子はこの静電潜像を形成する像露光光に対する透過率が30%以上であることが好ましい。この透過率は35%以上であることがさらに好ましい。
【0164】
以下、本発明における導電性微粒子の光透過性の測定方法の一例を示す。片面に接着層を有する透明なフィルムの接着層上に導電性微粒子を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射し、フィルム背面まで透過した光を集光してその光量を測定する。フィルムのみの場合と導電性微粒子を付着したときの光量の差に基づいて、正味の光量としての光透過率を算出した。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0165】
また、導電性微粒子は非磁性であることが好ましい。導電性微粒子が非磁性であることで、透明、白色または淡色の導電性微粒子が得られやすい。反対に、磁性を有する導電性材料は、透明、白色または淡色とすることが困難である。また、現像剤担持のために磁気力による現像剤の搬送及び保持を行う画像形成法においては、磁性を有する導電性微粒子は現像されにくいため、潜像担持体上への導電性微粒子の供給が不足したり、現像剤担持体表面に導電性微粒子が蓄積することにより、トナー粒子の現像を妨げる等の弊害を起こし易い。更に、磁性トナー粒子に磁性を有する導電性微粒子を添加すると、磁気的凝集力によりトナー粒子から導電性微粒子が遊離しにくくなる傾向があり、導電性微粒子の潜像担持体上への供給性が低下し易い。
【0166】
本発明における導電性微粒子としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粒子;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粒子;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。
【0167】
導電性微粒子は、これらの中でも酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが好ましい。更には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の無機酸化物を少なくとも表面に有する微粒子が特に好ましい。これらの酸化物は、導電性微粒子としての抵抗を低く設定することが可能であり、非磁性であり、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電性微粒子がカブリとして目立たないため好ましい。
【0168】
更に前述した、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体(現像スリーブ)との相乗により、現像剤の帯電性を向上する効果も出現させることができるという点でも好ましい。
【0169】
また、導電性微粒子が導電性無機酸化物からなる場合或いは導電性無機酸化物を含む場合には、抵抗値を制御する等の目的で、該導電性無機酸化物の主金属元素と異なるアンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させた金属酸化物や、導電性材料を用いることもできる。例えば、アルミニウムを含有する酸化亜鉛、アンチモンを含有する酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化チタン、硫酸バリウム或いはホウ酸アルミニウムの表面をアンチモンを含有する酸化スズで処理して得られる微粒子などである。導電性無機酸化物にアンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させる量としては、0.05〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0170】
また、該無機酸化物を酸素欠損型とした導電性無機酸化物も好ましく用いられる。
【0171】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0172】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0173】
特に好ましいものとしては、高い白色度或いは透光性が得られる点で、アルミニウムを含有する酸化亜鉛等の金属酸化物、酸素欠損型の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物、及びこれらを少なくとも表面に有する微粒子が挙げられる。
【0174】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
【0175】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;例えば、アクリル酸又はアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル等のメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸又はマレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸エステル類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ブタジエン又は塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;等のビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0176】
ここで、架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えぼエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0177】
結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点温度が上記範囲よりも低すぎると場合には現像剤の保存性が低下し、高すぎる場合には定着性に劣る。
【0178】
本発明で用いられるトナー粒子にワックス成分を含有させるのは好ましい形態のひとつである。これは、トナーの示差熱分析装置(DSC)によるDSCチャートの吸熱曲線において、最大吸熱ピークが70℃以上120℃未満の温度領域にあることが好ましいためである。この最大吸熱ピーク温度は、トナーの融点、即ちトナー中に含有されているワックスの融点に相当するものである。
【0179】
よって、本発明に使用できるトナー中に含有されるワックスとしては、融点が70℃以上120℃未満であることが好ましい。融点が70℃より低い場合には、トナー製造時における溶融混練の際に、樹脂との粘度差が大きいために、樹脂中で分散しにくかったり、相分離しやすくなったりするので、ワックスの分散性が悪化しやすくなる。融点が120℃を超える場合は、トナーの粘性が高くなりすぎる場合があり、やはりトナー中でのワックスの分散が不均一になりやすい。
【0180】
なお、上記トナーの融点の測定方法は、示差熱分析装置(DSC測定装置)として、DSC−7(パーキンエルマー社)を用いて、ASTM D3418―82に準じて測定する。
【0181】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分での温度測定パターンにて、常温常湿度環境下で測定を行なう。そして、その最大吸熱ピークの温度、即ちトナーの融点を求める。
【0182】
本発明に用いられるトナー粒子に含有されるワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカブリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0183】
本発明においては、上記ワックスを結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲で用いられる。
【0184】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等、従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用することができる。
【0185】
本発明の現像剤は、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgである磁性現像剤であることが好ましい。現像剤の磁化の強さは20〜35Am2/kgであることがより好ましい。
【0186】
本発明において磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定する理由は以下の通りである。通常、磁性体の磁気特性を表す量としては磁気飽和における磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明においては画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場における磁性現像剤の磁化の強さが重要であるためである。画像形成装置に磁性現像剤が適用される場合、磁性現像剤に作用する磁場は、画像形成装置外への磁場の漏洩を大きくしないため或いは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販されている多くの画像形成装置において数十から百数十kA/mであり、画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定した。
【0187】
現像剤の磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さい場合には、磁気力により現像剤搬送を行うことが困難となり、現像剤担持体上に均一に現像剤を担持しにくくなる場合がある。また、磁気力により現像剤搬送を行う場合には、一成分系磁性現像剤の穂立ちを均一に形成できないために、導電性微粒子の潜像担持体への供給性が低下し、転写残トナー粒子の回収性も低下する。磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きい場合には、トナー粒子の磁気凝集性が高まり、導電性微粒子の現像剤中での均一な分散及び潜像担持体への供給が困難となり、本発明の効果である潜像担持体の帯電促進効果又はトナー回収性促進効果が損なわれる。
【0188】
このような磁性現像剤を得るためには、トナー粒子に磁性体を含有させればよい。本発明において現像剤を磁性現像剤とするためトナー粒子に含有させる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属の合金及びその混合物が挙げられる。
【0189】
これらの磁性体の磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが好ましく用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対し、20〜200質量部で用いられる。このような磁性体の中でもマグネタイトを主とするものが特に好ましい。
【0190】
本発明において磁性現像剤の磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定することができる。また、磁性体の磁気特性は、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0191】
本発明において現像剤は、荷電制御剤を含有することが好ましい。荷電制御剤のうち、現像剤を正荷電性に制御するものとして、例えば下記の物質がある。
【0192】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(1)で表されるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0193】
【化1】
〔式中、R1は水素原子またはCH3、R2及びR3は置換または未置換のアルキル基(好ましくはC1〜C4)〕
【0194】
特に下記一般式(2)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
【0195】
【化2】
〔式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R7,R8,R9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。A-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テトラフルオロボレートなどの陰イオンを示す。〕
【0196】
また、現像剤を負荷電性に制御するものとして次の物質が挙げられる。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0197】
また、次に示した一般式(3)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0198】
【化3】
〔式中、Mは配位中心金属を表わし、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等が挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基ハロゲン基、カルポキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基などがある。X、X’、Y、Y’は−O−、−CO−、−NH−又は−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。Kは水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウム、或いはなしを示す。〕
【0199】
特に中心金属としてはFe、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0200】
或いは、次の一般式(4)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。特に中心金属としてはFe、Al、Zn、Zr、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0201】
【化4】
【0202】
荷電制御剤を現像剤に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子表面近傍に外添する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0203】
本発明において、現像剤に流動性を付与させるために、表面近傍に流動化剤が添加されていることが好ましい。
【0204】
該流動化剤としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体からなるグループから選択されたものが好ましい。
【0205】
本発明に使用できる現像剤には、環境安定性,帯電安定性,現像性,流動性,保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添、即ち現像剤表面近傍に存在していることが好ましい。特にこの中でも、シリカ微粉体が好ましい。
【0206】
例えば、かかるシリカ微粉体は珪素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO32-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン、等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0207】
本発明で用いることのできる流動化剤としては、有機処理された無機微粉体を用いることもできる。このような有機処理方法としては、前記無機微粉体と反応あるいは物理吸着するシランカップリング剤,チタンカップリング剤等の有機金属化合物で処理する方法がある。このような処理を施すことにより、無機微粉体の疎水化が促進でき、特に高湿度下での環境安定性により優れたトナーを得ることができるため、好ましく用いることができる。有機処理に使用されるシランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0208】
また、窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン等のシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0209】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、スプレー法、有機溶媒法、水溶液法等があるが、特に限定されるものではない。
【0210】
他の有機処理として、シリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、250℃における粘度が0.5〜10000mm2/s、好ましくは1〜1000mm2/sのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられるが、正帯電性現像剤に用いる場合、アミノ変性シリコーンオイル等の側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いることが、より好ましい。
【0211】
本発明に用いられるシリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与え、また本発明に用いられるシリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体はトナー粒子100質量部に対して0.01〜8質量部使用されるのが良く、好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.2〜3質量部が良い。0.01質量部未満では、現像剤の凝集を改善する効果が乏しくなり、その結果流動性指数が高くなる傾向があり、8質量部を超える場合では、流動化剤がトナー粒子表面に付着せずに、遊離した状態で存在するものが生じやすくなり、一成分系現像剤が均一で且つ適切な帯電量を維持することが困難になり、現像特性の低下等の弊害をもたらす場合がある。
【0212】
本発明に用いることのできる現像剤には、上記流動化剤以外の外添剤を更に加えて用いても良い。例えば、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。その他ケーキング防止剤、或いは、例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、又は逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0213】
これらの外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01〜10質量部(好ましくは0.1〜7質量部)使用するのが良い。
【0214】
本発明に係るトナー粒子を製造するにあたっては、上述したような構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、粉砕、分級、必要に応じてトナー形状調整等の表面処理を行ってトナー粒子を得る方法が好ましく、他には、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナー粒子を得る方法;特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法;樹脂微粒子及び着色剤等を溶液中において会合させてトナー粒子を生成させる会合重合法;単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法;あるいはコア材、シェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、またはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法等の方法が応用できる。
【0215】
トナー粒子の形状調整のための処理としては、粉砕法により得られたトナー粒子を水中或いは有機溶液中に分散させ加熱或いは膨潤させる方法、熱気流中を通過させる熱処理法、機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などが挙げられる。機械的衝撃力を加える手段としては、例えばホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力又は/及び摩擦力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0216】
本発明においては、機械的衝撃を加える処理を行う場合には、処理時の雰囲気温度をトナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(Tg±30℃)とすることが、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、処理時の雰囲気温度がトナーのガラス転移点Tg±20℃の範囲の温度で、熱機械的衝撃によるトナー粒子の恭敬か処理を行うことが、導電性微粒子を有効に働かせるのに特に有効である。
【0217】
また、バッチ式の装置として、奈良機械(株)製として商品化されているハイブリタイゼーションシステムを用いるのも好ましい例の一つである。
【0218】
粉砕法により得られるトナー粒子の形状を制御するには、結着樹脂等のトナー粒子構成材料の選択及び粉砕時の条件を適宜設定することで可能であるが、気流式粉砕機でトナー粒子の円形度を高めようとすると生産性が低下し易く、機械式粉砕機を用いてトナー粒子の円形度を高める条件を設定することが好ましい。
【0219】
本発明においては、トナー粒子の粒度分布をシャープにしておくことが好ましく、そのため、分級工程において多分割分級機を用いることが生産性の点で好ましい。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の超微粒子を少なくするためには、粉砕工程において機械式粉砕機を用いることが好ましい。
【0220】
上記のようにして得られたトナー粒子に(外部)添加剤を加え混合機により混合し、さらに必要に応じ篩を通過させることで、本発明に係る現像剤を製造することができる。
【0221】
粉砕法によってトナー粒子を製造する場合に用いられる製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);lDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(8曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、この中でもクリプトロン、ターボミル等の機械式粉砕機を用いることがより好ましい。分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、この中でもエルボージェット等の多分割分級機を用いることがより好ましい。粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0222】
次に、本発明に関わる現像装置、現像剤担持体及び現像剤を好適に用いることができる本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
【0223】
本発明のプロセスカートリッジの第一の態様は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、前記潜像担持体に形成された静電潜像を、先述の現像剤を用いて現像することにより現像剤像を形成するための現像装置とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記現像剤を担持し、現像領域に搬送する先述の現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有し、前記帯電手段は、該帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とするものである。
【0224】
本発明のプロセスカートリッジの第二の態様は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、前記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像装置とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、前記現像剤は先述した構成からなり、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記現像剤を担持し、現像領域に搬送する先述の現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しているものである。
【0225】
また、本発明の画像形成装置の第一の態様は、(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤及び前記現像剤担持体は、先述の構成をとったものであり、前記帯電手段は、該帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうものである。
【0226】
本発明の画像形成装置の第二の態様は、(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤及び前記現像剤担持体は、先述した構成をとったものであり、前記現像装置は、前記静電潜像を現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するものである。
【0227】
更に本発明の画像形成方法の第一の態様は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法であり、前記現像剤及び前記現像剤担持体は先述の構成をとっており、前記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なう方法である。
【0228】
本発明の画像形成方法の第二の態様は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、前記現像剤及び前記現像剤担持体は先述の構成をとっており、更に前記現像工程は、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程を有する画像形成方法である。
【0229】
即ち上記プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の夫々第一の態様は、帯電工程が少なくとも潜像担持体とこの潜像担持体に当接する帯電部材との当接部に、上記現像剤の成分が介在した状態で、帯電部材に電圧を引加することにより潜像担持体を帯電する、所謂接触帯電方法を用いたものである。
【0230】
また上記プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の夫々第二の態様は、現像工程が現像剤像を転写材に転写した後に潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程を兼ねる、所謂現像同時クリーニング法を用いたものである。
【0231】
以下、本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法ついて詳細に説明する。
【0232】
まず、帯電工程は、帯電手段としてのコロナ帯電器等の非接触型の帯電装置、または被帯電体である潜像担持体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この帯電部材(以下「接触帯電部材」と表記する)に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性および電位に帯電させる接触帯電装置によって行われる。本発明においては、コロナ帯電器等の非接触型の帯電装置と比較して低オゾン、低電力等の利点がある接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0233】
また、潜像担持体上の転写残トナー粒子は、形成する画像のパターンに対応するものと、画像の形成されていない部分の、所謂カブリトナーに起因するものが考えられる。形成する画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、現像同時クリーニングでの完全な回収が困難であり、回収が不十分であると回収不良のトナー粒子がそのまま次に形成される画像に現れてパターンゴーストを生ずる。このような画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、転写残トナー粒子のパターンをならすことによって現像同時クリーニングでの回収性を大幅に向上させることができる。例えば、現像工程が接触現像プロセスであれば、現像剤を担持する現像剤担持体の移動速度と、現像剤担持体に接触している潜像担持体の均度に相対的速度差を持たせることで、転写残トナー粒子のパターンを均すと同時に転写残トナー粒子を効率良く回収することができる。しかしながら、画像形成中の電源の瞬断または紙詰まり時のように多量の転写残トナー粒子が潜像担持体上に残る場合には、転写残トナー粒子が潜像担持体上に残ったパターンで画像露光等の潜像形成を阻害するためのパターンゴーストを生ずる。これに対し、接触帯電装置を用いた場合は、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンを均すことで、現像工程が非接触現像プロセスであっても転写残トナー粒子を効率良く回収することができ、回収不良によるパターンゴーストの発生を防止することができる。また、多量の転写残トナー粒子が潜像担持体上に残る場合にも、接触帯電部材が一旦転写残トナー粒子を堰き止め、転写残トナー粒子のパターンを均して徐々に転写残トナー粒子を潜像担持体上に吐き出すことにより、潜像形成阻害によるパターンゴーストを防止することができる。多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に堰き止められる場合の接触帯電部材の汚染による潜像担持体の帯電性の低下に関しては、本発明の特定の現像剤を用いることで潜像担持体の一様帯電性の低下を実用上問題ない範囲にまで低減することができる。この点からも、本発明においては接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0234】
本発明においては、帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に、相対的速度差を設けることが好ましい。帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設けると、接触帯電部材と潜像担持体との間での大幅なトルクの増大、接触帯電部材及び潜像担持体表面の顕著な削れ等を生じるが、接触帯電部材と潜像担持体との接触部に現像剤が有する成分を介在させることにより、潤滑効果(摩擦低減効果)が得られ、大幅なトルクの増大や顕著な削れを伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0235】
また、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも上述の導電性微粒子を含有することが好ましい。更には、この接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粒子(本発明の画像形成に供される前の現像剤中の導電性微粒子)の含有比率よりも高いことがより好ましい。上記接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも導電性微粒子を含有することで、潜像担持体と接触帯電部材との間の導通路が確保され、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下を抑制することができる。また、上記接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粒子の含有比率よりも高いことにより、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下をより安定して抑制することができる。更に、本発明の現像剤を用いることで、帯電部において接触帯電部材と潜像担持体との相対移動速度を比較的大きく持たせた場合でも、優れた潤滑性を発揮する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を多く含む導電性微粒子が帯電部に供給されることで、接触帯電部材及び潜像担持体表面の削れ及び傷を抑制することができる。
【0236】
接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、直流電圧のみであっても潜像担持体の良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。このような交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、交番電圧は、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波の電圧であっても良い。このように、交番電圧としては、周期的にその電圧値が変化するような波形を有するバイアスが使用できる。
【0237】
本発明において、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、放電生成物を生じない範囲で印加することが好ましい。すなわち、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。また、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法であることが好ましい。
【0238】
現像同時クリーニング方法では、潜像担持体上に残余する絶縁性の転写残トナー粒子が接触帯電部材に接触し、付着或いは混入することで潜像担持体の帯電性が低下するが、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着した現像剤層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから、潜像担持体の帯電性の低下が急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体(潜像担持体)の一様帯電性が低下し、これが静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。放電帯電機構および直接注入帯電機構の帯電性低下のメカニズムに基づくと、少なくとも潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粒子を介在させることによる潜像担持体の帯電性低下の防止効果及び帯電促進効果は、直接注入帯電機構においてより顕著であり、直接注入帯電機構に本発明の現像剤を適用することが好ましい。
【0239】
すなわち、放電帯電機構において潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に少なくとも導電性微粒子を介在させることによって、転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入して形成するトナー層が帯電部材から潜像担持体への放電電圧を阻害する抵抗とならないようにするためには、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部およびその近傍の帯電領域に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率をより大きくしなければならない。従って、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入する場合には、接触帯電部材に付着或いは混入したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗とならないように付着或いは混入する転写残トナー粒子量を制限するために、潜像担持体上により多くの転写残トナー粒子を吐き出さねばならず、潜像形成を阻害し易くなるのである。これに対し、直接注入帯電機構においては、少なくとも潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粒子を介在させることによって、容易に導電性微粒子を介して接触帯電部材と被帯電体との接触点を確保でき、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材と被帯電体との接触確率を低下させることを防止し、潜像担持体の帯電性の低下を抑制することができる。
【0240】
特に、接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける場合、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する現像剤成分全体の量が接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限されることで潜像担持体の帯電阻害をより確実に抑制し、かつ接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粒子が潜像担持体に接触する機会を格段に増加することで、接触帯電部材と潜像担持体のより高い接触性を得ることができ、導電性微粒子を介しての潜像担持体への直接注入帯電をより促進することができる。これに対して、放電帯電は潜像担持体と接触帯電部材との接触部ではなく、潜像担持体と接触帯電部材とが非接触で微小間隙を有する領域で放電が行われるため、接触部に介在する現像剤成分全体の量が制限されることによる帯電阻害を抑制する効果が期待できない。この観点からも、本発明においては直接注入帯電機構が支配的である帯電方法を用いることが好ましく、放電帯電機構に頼らない直接注入帯電機構が支配的である帯電方法を実現するために、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。
【0241】
接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動することによって速度差を設けることが好ましい。
【0242】
また、帯電部材の表面における移動方向と潜像担持体の表面における移動方向とは、互いに逆方向であることが好ましい。すなわち、帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動することが好ましい。接触帯電部材に持ち運ばれる潜像担持体上の転写残トナー粒子を接触帯電部材に一時的に回収し均す効果を高めるために、接触帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましい。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は潜像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。すなわち、逆方向回転で潜像担持体上の転写残トナー粒子を一旦潜像担持体から引き離し帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うこと、及び潜像形成の阻害を抑制することが可能である。更には、転写残トナー粒子のパターンをならす効果を高めることで、転写残トナー粒子の回収性を高め、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に防止することが可能となる。
【0243】
帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて相対的速度差をもたせることも可能である。しかし、直接注入帯電の帯電性は潜像担持体の移動速度と潜像担持体の移動遠度に対する帯電部材の相対移動速度との比に依存するため、逆方向と同じ相対移動速度比を得るには、順方向では帯電部材の移動速度が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が移動速度の点で有利である。また、転写残トナー粒子のパターンを均す効果においても、帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と逆方向に移動させる方が有利である。
【0244】
本発明においては、潜像担持体の移動速度と帯電部材の移動速度の比(相対移動速度比)は、10〜500%であることが好ましく、20〜400%であることがより好ましい。相対移動速度比が、上記範囲よりも小さい場合には、接触帯電部材と潜像担持体との接触確率を増加させることが十分にはできず、直接注入帯電による潜像担持体の帯電性を維持することが難しい場合がある。更に、上述の潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する導電性微粒子の量を接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限することにより潜像担持体の帯電阻害を抑制する効果、及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が十分には得られない場合もある。相対移動速度比が、上記範囲よりも大きい場合には、帯電部材の移動速度を高めることとなるために、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に持ち連ばれた現像剤成分が飛散することによる装置内の汚染を生じ易く、潜像担持体及び接触帯電部材が摩耗し易くなる、或いは傷の発生を生じ易くなり短寿命化する傾向がある。
【0245】
また、帯電部材の移動速度が0である場合(帯電部材が静止している状態)は、帯電部材の潜像担持体との接触点が定点となるため、帯電部材の潜像担持体への接触部の摩耗または劣化を生じ易く、潜像担持体の帯電阻害を抑制する効果及び転写残トナー粒子のパターンをならし、現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が低下しやすく好ましくない。
【0246】
ここで記述した相対的速度差を示す相対移動速度比は次式で表すことができる。なお、ここで帯電部材の移動速度をVc、潜像担持体の移動速度をVpとし、帯電部材の移動速度は接触部において帯電部材表面が潜像担持体表面と同じ方向に移動するときを潜像担持体の移動速度と同符号の値としている。
相対移動速度比(%)=|[(Vc−Vp)/Vp]×100|
【0247】
本発明においては、潜像担持体上の転写残トナー粒子を一時的に帯電部材に回収するとともに、導電性微粒子を帯電部材に担持し、潜像担持体と帯電部材との接触部を設けて直接注入帯電を優位に実行するために、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。また、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンをならすことで転写残トナー粒子の回収性を高める上でも、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。
【0248】
また、本発明においては、帯電部材に電圧を印加することにより潜像担持体を帯電するために、帯電部材は導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は弾性導電ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材、または導電性繊維からなるブラシであることが好ましい。帯電部材の構成が簡易化できる点で、帯電部材は弾性導電ローラ或いは導電性を有するブラシローラであることがより好ましく、帯電部材に付着或いは混入する現像剤成分(例えば、転写残トナー粒子や導電性微粉末)を飛散することなく安定して保持しやすい点で、帯電部材は弾性導電ローラであることが特に好ましい。
【0249】
ローラ部材としての弾性導電ローラの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と潜像担持体との接触部に介在する導電性微粒子が弾性導電ローラ表層を削る、或いは傷つけてしまうため、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電接触部を確保できないだけでなく、被帯電体(潜像担持体)表面へのミクロな接触性が悪くなるので、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。更には、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が低下して転写残トナー粒子の回収性を高めることができなくなる。そこで、帯電接触部及びならし効果が十分得られるように、潜像担持体への弾性導電ローラの接触圧を高めると、接触帯電部材或いは潜像担持体の削れ、傷等が発生し易くなる。これらの観点よりローラ部材としての弾性導電ローラのアスカーC硬度は20〜50の範囲であることが好ましく、25〜50の範囲であることがより好ましく、25〜40の範囲であることがさらに好ましい。ここで、アスカーC硬度は、JIS K6301で規定されるスプリング式硬度計アスカーC(高分子計器株式会社製)を用いて測定される硬度である。本発明においては、荷重を9.8Nとし、ローラの形態において測定を行なった。
【0250】
本発明においては、接触帯電部材としてのローラ部材表面は、導電性微粒子を安定して保持させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0251】
また、導電性弾性ローラは弾性を持たせて潜像担持体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する潜像担持体を充電するのに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では、潜像担持体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に、電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体等の潜像担持体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、導電性弾性ローラの抵抗は、103〜108Ω・cmであることが好ましく、104〜107Ω・cmであることがより好ましい。導電性弾性ローラの抵抗は、ローラに49N/mの当接圧があたるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することができる。
【0252】
例えば、導電性弾性ローラは芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作製される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成され、その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え導電性弾性ローラを作製することができる。
【0253】
導電性弾性ローラの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムやイソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものが挙げられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0254】
導電性弾性ローラは被帯電体である潜像担持体に対して、弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設され、導電性弾性ローラと潜像担持体との接触部である帯電接触部が形成される。この帯電接触部の幅は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラと潜像担持体とが安定して密な密着性を得るために1mm以上、より好ましくは2mm以上であることが好ましい。
【0255】
また、本発明の帯電工程に用いられる帯電部材は、導電性繊維からなるブラシ(ブラシ部材)に電圧を印加することにより潜像担持体を帯電するものであっても良い。このような接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものを用いることができる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られているものが使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性の金属酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。なお、使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して上記導電材を適宜選択して用いる。
【0256】
接触帯電部材としての帯電ブラシには、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の帯電ブラシとしては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。導電性繊維は、繊維の太さが1デニール〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万本〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107本〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
【0257】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電接触部及びその近傍の導電性微粒子の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0258】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電性ローラの場合と同様に、潜像担持体の十分な帯電性と耐リークを得るためには103〜108Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは104〜107Ω・cmである。
【0259】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10を用いることが特に好ましい。
【0260】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粒子が潜像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましい。つまり、接触帯電部材が導電性微粒子を介して密に潜像担持体に接触して、接触帯電部材と潜像担持体の接触部に存在する導電性微粒子が潜像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による潜像担持体の帯電は、放電現象を用いない、導電性微粒子を介した安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となる。従って、導電性微粒子を介しての直接注入帯電を適用することにより、従来の放電帯電によるローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を潜像担持体に与えることができる。更に、接触帯電部材が可撓性を有していることで、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に供給された場合に、一時的に転写残トナー粒子を堰き止める効果及び転写残トナー粒子のパターンをならす効果が高まることで、潜像形成阻害及び転写残トナー粒子の回収不良による画像不良の発生をより確実に防止することができる。
【0261】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は、少なすぎると導電性微粒子による潤滑効果が十分に得られず、潜像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくなるため、接触帯電部材を潜像担持体に対して速度差を持って回転駆動させることが困難となる。つまり、導電性微粒子の介在量が少ないと駆動トルクが過大となり、無理に回転させると接触帯電部材や潜像担持体の表面が削れやすくなる。更に導電性微粒子による接触機会増加の効果が十分には得られないこともあり、潜像担持体の良好な帯電性能が得られない場合がある。一方、上記接触部における導電性微粒子の介在量が多すぎると、導電性微粒子の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し、画像露光の遮光等の潜像形成阻害を起こして作像上に悪影響が出やすい。
【0262】
本発明者らの検討によると、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は、103個/mm2以上であることが好ましく、104個/mm2以上であることがより好ましい。この導電性微粒子の介在量が103個/mm2以上であることで、駆動トルクが過大となることがなく、導電性微粒子による潤滑効果が十分に得られる。介在量が103個/mm2より低い場合は十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られ難く、潜像担持体の帯電性の低下が生じる傾向がある。
【0263】
また、直接注入帯電方式を現像同時クリーニング画像形成における潜像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電性の低下が懸念される。転写残トナー粒子の帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電阻害に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量が104個/mm2以上であることが好ましい。介在量が104個/mm2より低いと、転写残トナー粒子が多い場合には潜像担持体の帯電性が低下しやすくなる傾向がある。
【0264】
帯電工程における潜像担持体上での導電性微粒子の存在量の適正範囲は、導電性微粒子をどれぐらいの密度で潜像担持体上に塗布することで、潜像担持体の均一帯電性の効果が得られるかによっても決定される。
【0265】
また、導電性微粒子の潜像担持体上での存在量の上限値は、導電性微粒子が潜像担持体上に1層が均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく、逆に帯電工程後に過剰の導電性微粉末が吐き出されることで露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0266】
塗布密度上限値は、導電性微粒子の粒径や接触帯電部材の導電性微粒子の保持性等によっても変わってくるために、一概にはいえないが、敢えて記述するならば導電性微粒子が潜像担持体上に1層が均一に塗布される量が上限とすることができる。
【0267】
導電性微粒子の潜像担持体上での存在量は、導電性微粒子の粒径等にもよるが、5×105個/mm2を超えると、導電性微粒子の潜像担持体からの脱落が著しく増加する傾向にあり、画像形成装置内を汚染するとともに、導電性微粉末自体の光透過性を問わず潜像担持体への露光量不足が生じる場合がある。この存在量が5×105個/mm2以下であれば、脱落する粒子量も低く抑えられ、導電性微粒子の飛散による装置内の汚染を低減するとともに、露光の阻害を改善できる。
【0268】
更に、現像同時クリーニング工程において、潜像担持体上での導電性微粒子の存在量による転写残トナー粒子の回収性の向上効果についても実験を行ったところ、帯電後現像前の潜像担持体上での導電性微粒子の存在量が102個/mm2を超えると、潜像担持体上に導電性微粒子が存在しない場合と比較して明らかに転写残トナー粒子の回収性が向上し、潜像担持体上に導電性微粒子が一層均一に塗布される程度まで画像欠陥のない現像同時クリーニングによる画像が得られた。転写後帯電前の潜像担持体上での導電性微粒子の存在量の場合と同様に、導電性微粒子の存在量が5×105個/mm2を超えるあたりから、徐々に導電性微粒子の潜像担持体からの脱落が顕著となり、潜像形成に影響を与えカブリが増加する傾向が見られた。
【0269】
すなわち、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量を103個/mm2以上に設定し、且つ潜像担持体上の導電性微粒子の存在量を102個/mm2以上とし5×105個/mm2を大きく超えないように設定することが、潜像担持体の帯電性が良好であり、転写残トナー粒子の回収性が良好であり、装置内汚染や露光阻害による画像欠陥のない画像を形成するためには好ましい。潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は104個/mm2以上に設定することがより好ましい。
【0270】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量と潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量との関係は、(1)潜像担持体と接触帯電部材との接触部への導電性微粒子の供給量、(2)潜像担持体及び接触帯電部材への導電性微粒子の付着性、(3)接触帯電部材の導電性微粒子に対する保持性、(4)潜像担持体の導電性微粒子に対する保持性等の要因があるため、一概には決定されない。実験的には、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量が103〜106個/mm2の範囲において、潜像担持体上に脱落した粒子の存在量(潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量)を測ると102〜105個/mm2であった。
【0271】
帯電接触部での導電性微粒子の介在量及び潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量の測定方法について述べる。帯電部での導電性微粒子の介在量は接触帯電部材と潜像担持体の接触面部における値を直接測ること力好ましいが、接触部を形成する接触帯電部材の表面の移動方向が潜像担持体の表面の移動方向とは逆方向である場合、接触帯電部材に接触する前に潜像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量としている。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で潜像担持体及び弾性導電性ローラの回転を停止し、潜像担持体及び弾性導電性ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。弾性導電性ローラについては、弾性導電性ローラを潜像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、潜像担持体上の存在量についても潜像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0272】
潜像担持体上の導電性微粒子の存在量は、上記と同様の手段で転写後帯電前及び帯電後現像前の潜像担持体上を撮影して画像処理ソフトを用いて計測する。
【0273】
本発明において、潜像担持体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cm、より好ましくは1×1010〜1×1014Ω・cmであることにより、より良好な潜像担持体の帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ω・cm以下であることが好ましい。一方、潜像担持体として静電潜像を一定時間保持するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ω・cm以上であることが好ましい。高湿環境下においても微小な潜像まで乱されることなく静電潜像を保持するためには抵抗値として1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。
【0274】
更に、潜像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、潜像担持体に十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0275】
また、潜像担持体はアモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトであることが好ましく、アモルファスシリコン感光層、又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0276】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0277】
潜像担持体の表面抵抗を調整することで、更に安定して潜像担持体の均一な帯電を行うことができる。
【0278】
潜像担持体の表面抵抗を調整することによって電荷注入をより効率化或いは促進する目的で、電子写真感光体の表面に電荷注入層を設けることも好ましい。電荷注入層は、樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態が好ましい。
【0279】
本発明においては、潜像担持体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成工程及び潜像形成手段が、潜像担持体表面に静電潜像としての画像情報を像露光により書き込む工程及び像露光手段であることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0280】
潜像担持体は静電記録誘電体等であっても良い。この場合は、像担持体面としての誘電体面を所定の極性、電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0281】
また、本発明においては、現像剤を担持する現像剤担持体表面は、潜像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合、潜像担持体の移動速度に対して比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると画像品質が悪くなる場合がある。
【0282】
現像剤担持体表面の移動速度の、潜像担持体表面の移動速度に対する移動速度比が100%以上(現像剤担持体表面の移動速度が、潜像担持体表面の移動逮度よりも大きいまたは同じ)であれば、現像剤担持体側から潜像担持体側へのトナー粒子の供給が十分に行われるため、十分な画像濃度を得易く、導電性微粒子の供給も十分に行われるため、潜像担持体の良好な帯電性を得ることができる。
【0283】
更に、現像剤担持体表面の移動速度が潜像担持体表面の移動速度に対し、1.05倍〜3.0倍の速度であることがより好ましい。移動速度比が高まるほど現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、転写残トナー粒子の回収性が向上し、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に抑制することができる。更には、潜像に忠実な画像が得られる。また、接触現像プロセスにおいては、移動速度比が高まるほど潜像担持体と現像剤担持体との摺擦により転写残トナー粒子の回収性がより向上する。しかし、移動速度比が上記範囲を大きく超えると、現像剤担持体上からの現像剤の飛散によるカブリ、画像汚れを生じ易くなり、接触現像プロセスでは潜像担持体あるいは現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易くなる。現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤層厚規制部材が現像剤を介して現像剤担持体に当接されている場合には、現像剤層厚規制部材または現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易い。上記観点から、現像剤担持体表面の移動速度が潜像担持体表面の移動速度に対し、1.1倍〜2.5倍の遠度であることがさらに好ましい。
【0284】
本発明において、非接触型現像方法を適用するために、現像剤担持体の潜像担持体に対する所定の離間距離よりも、現像剤担持体上の現像剤層を薄く形成することが好ましい。本発明によって、従来は困難であった非接触型現像方法を用いた現像同時クリーニング画像形成を高い画像品位で実現することが可能となった。現像工程において、潜像担持体に対して現像剤層を非接触とし、潜像担持体の静電潜像を現像剤画像として可視化する非接触型現像方法を適用することで、電気抵抗値が低い導電性微粒子を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが潜像担持体へ注入することによる現像カブリが発生しない。そのため、良好な画像を得ることができる。
【0285】
また、現像剤担持体は潜像担持体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像剤担持体の潜像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも小さすぎると、離間距離の振れに対する現像剤の現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像剤担持体の潜像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも大きいと、潜像担持体上の潜像に対するトナー粒子の追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招きやすい。また、潜像担持体上への導電性微粒子の供給性が低下し易く、潜像担持体の帯電性が低下し易くなる。より好ましくは、現像剤担持体は潜像担持体に対して100〜600μmの離間距離を有して対向して設置されることである。現像剤担持体の像担持体に対する離間距離が100〜600μmであることで、現像同時クリーニング工程における転写残トナー粒子の回収性がより優位に行える。離間距離が上記範囲よりも大きいと、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。
【0286】
本発明では、現像剤担持体と潜像担持体との間に交番電界(交流電界)を形成して現像を行う現像工程で現像されることが好ましい。交番電界は現像剤担持体と像担持体との間に交番電圧を印加することにより形成することができる。印加する現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。
【0287】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0288】
現像剤を担持する現像剤担持体と潜像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100Hz〜5000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することが好ましい。現像バイアスを印加することにより上記範囲の交流電界を形成することで、現像剤中に添加された導電性微粒子が均等に潜像担持体側に移行されやすく、帯電部において導電性微粒子を介しての接触帯電部材と潜像担持体との均一かつ緻密な接触を得ることで、潜像担持体の一様帯電(特に直接注入帯電)を顕著に促進することができる。また、交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤担持体と潜像担持体間に高電位差がある場合でも、現像部における潜像担持体への電荷注入が生じないため、導電性微粒子を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが潜像担持体へ電荷注入することによる現像かぶりが発生せず、良好な画像を得ることができる。現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さいと、潜像担持体に供給される導電性微粒子の量が不足しやすく、潜像担持体の一様帯電性が低下し易い。また、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。一方、交流電界の強度が上記範囲よりも大きいと、現像力が大き過ぎるために細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低下及び潜像担持体の帯電性の低下を生じ易く、現像バイアスの潜像担持体へのリークによる画像欠陥を生じ易くなる。また、現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さいと、潜像担持体に均一に導電性微粒子が供給されにくく、潜像担持体の一様帯電のむらを生じ易くなる。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きすぎると、潜像担持体に供給される導電性微粒子の量が不足しやすく、潜像担持体の一様帯電性が低下し易い。
【0289】
さらに、現像剤を担持をする現像剤担持体と潜像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で4×106〜10×106V/m、周波数500〜4000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することがより好ましい。上記範囲の交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤中に添加された導電性微粒子が均等に潜像担持体側に移行されやすく、転写後の潜像担持体に均一に導電性微粒子を塗布することができ、非接触型現像方法を適用した場合においても高い転写残トナー粒子の回収性が維持できる。
【0290】
現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さいと、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さいと、潜像に対するトナーの脱着頻度が少なくなり、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下しやすく、画像品質も低下し易い。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きいと、電界の変化に追従できるトナー粒子が少なくなるために、転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストを生じ易くなる。
【0291】
本発明において、転写工程は現像工程によって形成された現像剤画像を中間転写体に転写した後に、紙等の記録媒体に再転写する工程であっても良い。すなわち、潜像担持体から現像剤画像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの記録媒体に再度転写することで現像剤画像が得られる。中間転写体を適用することで厚紙等の種々の記録媒体に関わらず、潜像担持体上の転写残トナー粒子量を低減できる。
【0292】
また、本発明において、転写時に転写部材が転写材(記録媒体)を介して潜像担持体に当接していることが好ましく良い。
【0293】
潜像担持体と転写材を介して転写手段を当接しながら潜像担持体上の現像剤画像を転写材に転写する接触転写工程では、転写手段の当接圧力としては線圧2.94〜980N/mであることが好ましく、より好ましくは19.6〜490N/mである。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも小さすぎると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、潜像担持体表面の劣化やトナー粒子の付着を招き、結果として感光体表面へのトナー融着を生じる場合がある。
【0294】
また、接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が好ましく使用される。転写ローラは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有し、導電性弾性層はポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)の如き弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化硅素のごとき導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層等による弾性体であることが好ましい。
【0295】
転写ローラでの好ましい転写プロセス条件としては、転写ローラの当接圧が2.94〜490N/mであり、より好ましくは19.6〜294N/mである。当接圧力としての線圧が上記範囲よりも小さすぎる場合には、転写残トナー粒子が増加し潜像担持体の帯電性を阻害し易くなる。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも大きすぎると、押圧力により導電性微粒子が転写材に転写され易くなり、導電性微粒子の潜像担持体または接触帯電部材への供給量が減少することで、潜像担持体の帯電促進効果が低下し、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収性が低下する。また、画像上でのトナーの飛び散りが増加する。
【0296】
転写材を介して像担持体に転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写工程では、印加される直流電圧は±0.2〜±10kVであることが好ましい。
【0297】
また、本発明は、潜像担持体として直径が30mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、転写工程後かつ帯電工程前に独立したクリーニング工程を有さないことで、帯電、露光、現像、転写各工程の配置の自由度が高まり、直径が30mm以下の小径の感光体と組み合わせて、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成できる。ベルト状感光体でも同様に各工程の配置の自由度が高まることで、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成する上で、当接部での曲率半径が25mm以下の感光体ベルトを用いた画像形成装置に対しても有効である。
【実施例】
【0298】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0299】
まず、現像剤に含有されるトナー粒子の製造例、導電性微粒子の例及び現像剤の製造例について述べる。
【0300】
<トナー粒子の製造例1>
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸モノブチル共重合体(共重合比75:15:10、Mn=5000、Mw=30万、Tg=58℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及びフィッシャートロプシュワックス(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が6.9μmの負帯電性トナー粒子1(T−1)を得た。また、DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは96℃に存在していた。
【0301】
<トナー粒子の製造例2>
結着樹脂としてテレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAをモル比で33:14:7:24:22加え、縮合重合して得られたポリエステル樹脂(酸価:28、水酸基価:10、Mn=6000、Mw=40万、Tg=60℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸の鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及び低分子量ポリプロピレン(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が7.5μmの負帯電性トナー粒子2(T−2)を得た。DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは114℃に存在していた。
【0302】
<トナー粒子の製造例3>
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸モノブチル共重合体(共重合比75:15:10、Mn=5000、Mw=30万、Tg=58℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及びフィッシャートロプシュワックス(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、機械式粉砕装置を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が6.0μmの負帯電性トナー粒子3(T−3)を得た。なお、DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは97℃に存在していた。
【0303】
<トナー粒子の製造例4>
磁性粉の代わりに、着色剤としてカーボンブラックを7質量部用いる以外は、トナー粒子の製造例1と同様にして重量平均粒径が6.8μmの負帯電性トナー粒子4を得た。DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは94℃に存在していた。
【0304】
<トナー粒子の製造例5>
トナー粒子の製造例1において、粉砕及び分級条件を変えることによって0.60μm以上159.21μm未満の粒度分布から求められる重量平均粒径8.7μmの負帯電性トナー粒子5(T−5)を得た。
【0305】
<トナー粒子の製造例6>
トナー粒子の製造例1において、粉砕及び分級条件を変えることによって0.60μm以上159.21μm未満の粒度分布から求められる重量平均粒径9.5μmの負帯電性トナー粒子6(T−6)を得た。
【0306】
<導電性微粒子の例1〜7>
酸化亜鉛の一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって導電性酸化亜鉛微粒子(C−1〜C−7)を得た。これらの粒子はすべて白色であった。なお、これらの導電性微粒子の物性値については、表2に挙げた通りである。
【0307】
<導電性微粒子の例8、9>
酸化スズの一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって導電性酸化亜鉛微粒子(C−8、C−9)を得た。これらの粒子はすべて白色であった。物性値については、表2に挙げた。
【0308】
<導電性微粒子の例10>
酸化チタンの一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって粗粒子を取り除いた後、水系に分散して濾過を繰り返すことで微粒子を除くことで、白色の酸化チタン微粒子(C−10)を得た。物性値については、表2に挙げた。
【0309】
【表2】
【0310】
<現像剤の製造例1>
磁性トナー粒子T−1を100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル及びヘキサメチルジシラザンによって表面処理を行なったシリカ微粒子(BET比表面積300m2/g)を1.0質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子(体積平均粒径は1.0μm)を0.6質量部及び前記導電性酸化亜鉛微粒子C−1を1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて均一に混合して負帯電性磁性現像剤(D−1)を得た。
【0311】
得られた磁性現像剤D−1の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布は、発明の実施の形態で述べようにフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いた方法で測定した。より詳細に記述すると、内径30mm、高さ65mmの硬質ガラス製ネジ口瓶(例えば、日電理化硝子株式会社製30ml用ネジ口瓶SV−30)に、フィルターを通して微細なごみを取り除いた水(円相当径0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒子数が103cm3中に測定20個以下とすることが好ましい)10mlと、希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に希釈したもの)を数滴加えた。これに測定試料を測定円相当径範囲の粒子を対象として測定試料の粒子濃度が7000〜10000個/103cm3となるように適当量(例えば、0.5〜20mg)加え、超音波ホモジナイザーで3分間分散処理(出力50W、周波数20kHzの株式会社エスエムテー社製ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−50に6mm径ステップ型チップを適用し、パワーコントロールボリュームの目盛りを7に設定して、すなわち同チップを用いた場合の最大出力の半分程度の分散力で処理)を行った試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。得られた粒度分布から、1.00μm以上2.00μm未満、3.00μm以上8.96μm未満の各粒径範囲の粒子の含有量(個数%)を求めた。なお、粒度分布等のデータに関しては、表3に記載した。
【0312】
<現像剤の製造例2〜17>
磁性トナー粒子を100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル及びヘキサメチルジシラザンによって表面処理を行なったシリカ微粒子(BET比表面積300m2/g)を1.0質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子(体積平均粒径は1.0μm)を0.6質量部及び導電性微粒子を添加し、ヘンシェルミキサーにて均一に混合して負帯電性磁性現像剤(D−2〜D−13、D−15〜D−17)及び負帯電性非磁性現像剤(D−14)を得た。そして、現像剤の製造例1と同じようにして、得られた現像剤の粒度分布測定を行なった。処方及び粒度分布データについては、表3に挙げた通りである。
【0313】
【表3】
【0314】
<現像剤担持体の製造例1>
ビッカース硬度(Hv)が100、外径20mm、肉厚0.65mmのアルミニウムスリーブ素管を用い、まずその表面をブラスト処理した。ブラスト砥粒として、粒径が25μmの球形ガラスビーズを用い、次のようにしてブラスト処理を行った。
【0315】
ガラスビーズを0.6s-1(36rpm)で回転しているスリーブに対して、スリーブから距離150mmの位置の7mm径のノズル4本より4方向から、ブラスト圧:各2.5kg/cm2で9秒間(トータル36秒間)吹き付けた。ブラスト処理後、スリーブ素管に残存しているブラスト砥粒を取り除くためにスリーブ表面を洗浄し、その後乾燥させた。乾燥/空冷後、スリーブの表面粗さ測定を行なったところ、Raは0.73μmであった。
【0316】
次に、メッキ前処理として、上記ブラストスリーブの表面をジンケート処理をして、表面に亜鉛を付着させた。このジンケート処理には、市販ジンケート処理剤(商品名:シューマ K−102,日本カニゼン株式会社製)を用いた。
【0317】
その後、上述の表面をジンケート処理スリーブをNi−Pメッキ液中に浸して7μm厚の無電界Ni−Pメッキ層を形成させた。Ni−Pメッキ層中のP濃度は10.3質量%で行なった。無電界Ni−Pメッキ液としては、市販のメッキ液(商品名:S−754,日本カニゼン株式会社製)を用いた。なお、Ni−Pメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは500、表面粗さは、Raで0.75μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体1(S−1)を製造した。該現像剤担持体1(S−1)の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0318】
<現像剤担持体の製造例2>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをCrメッキ液に浸してメッキ処理を行い、5μm厚のCrメッキ層を形成した。Crメッキ液としては市販品の触媒無水クロル酸液を用いた。Crメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは800、表面粗さは、Raで0.67μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体2(S−2)を製造した。該現像剤担持体2(S−2)の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0319】
<現像剤担持体の製造例3>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをNi−Bメッキ液中に浸して10μm厚の無電界Ni−Bメッキ層を形成した。Ni−Bメッキ層中のB濃度は6.1質量%にて実施した。なお、無電界Ni−Bメッキ液としては、硫酸ニッケル、ジメチルアミノボランおよびマロン酸ナトリウムの弱酸性溶液を用いた。Ni−Bメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは610、表面粗さは、Raで0.59μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体3(S−3)を製造した。S−3の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0320】
<現像剤担持体の製造例4>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをPd−Pメッキ液中に浸して12μm厚の無電界Pd−Pメッキ層を形成した。なお、無電界Pd−Pメッキ液としては、塩化パラジウム、ジメチルアミノボランおよび塩酸からなるの弱酸性溶液を用いた。Ni−Bメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは720、表面粗さは、Raで0.57μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体4(S−4)を製造した。S−4の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0321】
<現像剤担持体の製造例5>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをモリブデン酸溶液中に浸して、スリーブ表面に5μmの厚さの皮膜を形成した。モリブデン層が形成されたスリーブの硬さHvは350、表面粗さは、Raで0.64μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体5(S−5)を製造した。S−5の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0322】
<現像剤担持体の製造例6>
ビッカース硬度(Hv)が180、外径20mm,肉厚0.65mmのSUSスリーブを用い、まずその表面をブラスト処理した。ブラスト条件については、ブラスト圧を4.0kg/cm2に変更する以外は、現像剤担持体の製造例1のアルミニウムスリーブの場合と同条件にて実施した。ブラスト処理のあと乾燥/空冷を行ない、スリーブの表面粗さ測定を行なったところ、Raは0.75μmであった。このスリーブを現像剤担持体の製造例1の場合と同じようにしてNi−Pメッキ層を形成した。メッキ層形成後のスリーブの硬さHvは600、表面粗さは、Raで0.75μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体6(S−6)を製造した。S−6の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0323】
<現像剤担持体の製造例7>
現像剤担持体の製造例1にて、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、現像剤担持体7(S−7)を得た。S−7の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0324】
<現像剤担持体の製造例8>
現像剤担持体の製造例2にて、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例2と同様にして製造を行ない、現像剤担持体8(S−8)を得た。S−8の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0325】
<現像剤担持体の製造例9>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブを硫酸銅浴に浸してメッキ処理を行ない、0.7μm厚のCuメッキ層を形成した。Cuメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは230、表面粗さは、Raで0.72μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体9(S−9)を製造した。S−9の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0326】
<現像剤担持体の製造例10>
現像剤担持体の製造例1にて使用したアルミニウムスリーブ素管をブラスト処理を行わずに、そのままスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体10(S−10)とした。このスリーブの表面粗さは、Raで0.10μmであった。S−10の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0327】
なお、表4において表面Ra値が「カッコ」で記載してあるのは、表面に層形成を行なわなかったので、もともとの素管の表面粗さを記したためである(これは、後述するS−13も同じである)。
【0328】
<現像剤担持体の製造例11>
上記現像剤担持体10(S−10)を用いてメッキ処理を行なった。メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、Ni−Pメッキ層を表層に有する現像剤担持体11(S−11)を得た。S−11の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0329】
【表4】
【0330】
<現像剤担持体の製造例12>
現像剤担持体の製造例1において、表面をブラスト処理するためのブラスト砥粒として、粒径が150μmの球形ガラスビーズを用いる以外は同じ条件にて、アルミニウムスリーブ素管のブラスト処理を行った。得られたブラストスリーブを、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、Ni−Pメッキ層を表層に有する現像剤担持体12(S−12)を得た。S−12の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0331】
<現像剤担持体の製造例13>
現像剤担持体の製造例1にて使用した、メッキ層を設ける前のアルミニウムスリーブ(ブラストスリーブ)を用い、スリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体13(S−13)とした。S−13の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0332】
<実施例1>
図10に模式的に示した画像形成装置を用いて画像評価を行なった。この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングプレードなどのクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカートリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系現像剤(すなわち、外添剤と磁性トナー粒子を有する磁性トナー)を使用し、現像剤担持体上の現像剤層と潜像担持体とが非接触となるように配置された非接触現像の画像形成装置である。
【0333】
(1)画像形成装置の構成
1は潜像担持体としてのOPC感光体であり、時計方向(矢印の方向)に230mm/sの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0334】
2は接触帯電部材としての帯電ローラである。これは、直径6mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整えたもので、直径16mmの可撓性を有する発泡ウレタンローラを有する帯電ローラである。この帯電ローラは、発泡ウレタンローラの抵抗が105Ω・cmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。
【0335】
帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラ2との当接部である帯電部である。本実施例では、帯電ローラ2は感光体1との当接部である帯電部nにおいて対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に235mm/s(相対移動速度比200%)の周速度で回転駆動されている。また、帯電ローラ2の表面には、塗布量がおよそ一層で均一になるように、導電性微粒子C−1をあらかじめ塗付した。
【0336】
また帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加した。本実施例では、感光体1の表面は帯電ローラ2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式によって一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0337】
3はレーザダイオード、ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)である。このレーザビームスキャナは、目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光(波長740nm)を出力し、該レーザ光Lで感光体1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体1に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0338】
4は現像装置である。感光体1表面の静電潜像がこの現像装置により現像剤像として現像される。本実施例の現像装置4は、現像剤4dとして負帯電性一成分絶縁現像剤である現像剤D−1を用いた、非接触型の反転現像装置である。
【0339】
4aは現像剤担持体(現像スリーブ)であり、マグネットロール4bを内包させてある。この現像スリーブ4aは、感光体1に対して300μmの間隙を保って対向配設され、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の回転方向と順方向に感光体1の周速の120%の周速(周速度282mm/s)で回転される。
【0340】
この現像スリーブ4a上に、現像剤4dが現像剤層厚規制部材であるウレタンゴム製の弾性ブレード4cによって薄層にコートされる。現像剤1は、弾性ブレード4cによって現像スリーブ4上での層厚が規制されるとともに電荷が付与される。
【0341】
現像スリーブ4aにコートされた現像剤4dは、スリーブ4aが回転することによって、感光体1と当該スリーブ4aとの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには、現像バイアス印加電源S2により現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は−420Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧とを重畳したものを用いて、現像スリーブ4aと感光体1との間で一成分のジャンピング現像を行った。
【0342】
5は接触転写手段としての中抵抗の転写ローラであり、感光体1に98N/mの線圧で圧接させて転写部位bを形成している。この転写部位bに図示していない給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ5に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側の現像剤像が転写部位bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0343】
本実施例では、転写ローラ5は抵抗が5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写部位bに導入された転写材Pはこの転写部位bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されている現像剤像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0344】
6は熱定着方式等の定着装置である。転写部位bに給紙され感光体1側の現像剤像の転写を受けた転写材Pは、感光体1の表面から分離されてこの定着装置6に導入され、現像剤像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0345】
本例の画像形成装置はクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対する現像剤像転写後の感光体1の表面に残留した転写残りの現像剤(転写残トナー粒子)はクリーニング手段で除去されることなく、感光体1の回転に伴い帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0346】
本例の画像形成装置は、感光体1、帯電ローラ2、現像装置4の3つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ7として構成してある。本発明においてはプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。なお、8はプロセスカートリッジ着脱案内・保持部材である。
【0347】
(2)導電性微粒子の挙動
現像装置4の現像剤4dに混入された導電性微粒子mは、感光体1側の静電潜像の現像装置4による現像時に、トナー粒子tとともに適当量が感光体1側に移行する
感光体1上の現像剤像(すなわちトナー粒子)は、転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移する。しかし、感光体1上の導電性微粉末mは導電性であるため転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0348】
本実施例においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体1の表面に残存した転写残トナー粒子および導電性微粒子は、感光体1の回転に伴って、感光体1と接触帯電部材である帯電ローラ2の接触部である帯電部nに持ち運ばれて、帯電ローラ2に付着或いは混入する。従って、感光体1と帯電ローラ2との接触部nにこの導電性微粒子mが存在した状態で感光体1の直接注入帯電が行われる。
【0349】
この導電性微粒子mの存在により、帯電ローラ2に転写残トナー粒子が付着・混入した場合でも、帯電ローラ2の感光体1への綴密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ2による感光体1の直接注入帯電を行わせることができる。
【0350】
つまり、帯電ローラ2が導電性微粒子mを介して密に感光体1に当接し、この導電性微粒子mが感光体1表面を隙間なく摺擦する。これにより、帯電ローラ2による感光体1の帯電を、放電現象を用いない、安定かつ安全な直線注入帯電が支配的とすることが可能になり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られる。従って、帯電ローラ2に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。
【0351】
また帯電ローラ2に付着或いは混入した転写残トナー粒子は、帯電ローラ2から徐々に感光体1上に吐き出され、感光体1表面の移動に伴って現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0352】
現像同時クリーニングは、転写後に感光体1上に残留したトナー粒子を、画像形成工程の次回以降の現像時(現像後、再度帯電工程、露光工程を介した後の潜像の現像時)において、現像装置のカブリ取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるカブリ取り電位差Vback)によって回収するものである。本実施例における画像形成装置のように、反転現像の場合、この現像同時クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナー粒子を回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位ヘトナー粒子を付着させる(現像する)電界の作用でなされる。
【0353】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像装置4の現像剤に含有された導電性微粒子mが、現像部aで感光体1表面に移行し、感光体1表面の移動に伴って転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれることによって、帯電部nに新しい導電性微粒子mが逐次供給され続けるため、帯電部nにおいて導電性微粒子mが脱落等で減少したり、帯電部nの導電性微粒子mが劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて感光体1の良好な帯電性が安定して維持される。
【0354】
かくして、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ2を用いて、潜像担持体としての感光体1に均一な帯電性を低印加電圧で与えることができる。しかも、該帯電ローラ2が転写残トナー粒子により汚染されるにも拘わらず、オゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることができる。よって、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0355】
また、本実施例では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが感光体1に注入されることがなく、良好な画像を得ることができる。また、現像部aにおいて感光体1への電荷注入が生じないため、交流バイアスなど現像スリーブ4aと感光体1との間に高電位差を持たせることが可能となる。これにより導電性微粒子mが均等に現像されやすくなるため、均一に導電性微粒子mを感光体1表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることができる。
【0356】
帯電ローラ2と感光体1との接触面に介在された導電性微粒子の潤滑効果(摩擦低減効果)により、帯電ローラ2と感光体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。この潤滑効果により、帯電ローラ2と感光体1との摩擦を低減し、駆動トルクを低減し、帯電ローラ2や感光体1の表面の削れあるいは傷を防止できる。また、この速度差を設けることにより、帯電ローラ2と感光体1の相互接触部(帯電部)nにおいて導電性微粒子が感光体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができる。よって、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0357】
本実施例では、帯電ローラ2を回転駆動し、その回転方向は感光体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体1上の転写残トナー粒子を帯電ローラ2に一時的に回収し、帯電部nに介在する転写残トナー粒子の存在量を均す効果を得ている。このため、転写残トナー粒子の帯電部nでの偏在による帯電不良の発生が防止され、より安定した帯電性が得られる。
【0358】
さらに、帯電ローラ2を逆方向に回転することによって、感光体1上の転写残トナー粒子を感光体1から一旦引き離して帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うことが可態である。また、導電性微粒子の帯電ローラ2からの過度の脱落による帯電性の低下をより起こし難くすることができる。
【0359】
(3)評価
トナーカートリッジ内には1650gの現像剤D−1を充填して、5%カバレッジの画像の3万枚の連続プリントを、常温常湿度環境下(23℃/50%RH)にて実施した。なお、転写材としては90g/m2のLTRサイズの普通紙を用いた。その結果、初期および3万枚の連続プリント後においても画像濃度が十分に高く、カブリが少なく、また現像性の低下は見られなかった。
【0360】
また、3万枚の連続プリント後、帯電ローラ2上で感光体1との接触部nに対応する部分を観察したところ、微量の転写残トナー粒子が確認されるものの、ほぼ白色の導電性微粒子で覆われていた。
【0361】
また、感光体1と帯電ローラ2との接触部nに導電性微粒子が存在した状態で、かつ導電性微粒子の抵抗が十分に低いために、初期より3万枚の連続プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0362】
以下、プリント画像の評価法について述べる。
【0363】
(I)画像濃度
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後、2日放置した後の1枚目の画像濃度により評価した。ここで、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。評価結果を表5に示す。なお、表5中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、グラフィックな画像まで高品位に表現するために十分な画像(1.40以上)
B:良好で、ノングラフィックで高品位な画質を得るために十分な画像濃度(1.35以上1.40未満)
C:普通で、文字を認識する上では十分として許容される画像濃度(1.20以上1.35未満)
D:悪い。濃度が薄いとして許容されない画像濃度(1.20未満)
【0364】
(II)カブリ
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、プリントアウト画像をサンプリングし、プリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。白色度は「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した。評価結果を表5に示す。なお、表5中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、肉限では一般に認識されないカブリ(1.5%未満)
B:良好で、注意して見ないと認識できないカブリ(1.5%以上2.5%未満)
C:普通。カブリを認識することは容易であるが、許容されるカブリ(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い。画像汚れとして認識され許容できないカブリ(4%以上)
【0365】
(III)ゴースト
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、図11(A)に示した幅aで長さlのベタ黒の帯状画像Xをプリントアウトした後、図11(B)に示した幅b(>a)で長さlのハーフトーン画像Yをプリントアウトした際、該ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(図11(C)のA,B,Cの部分)を評価した。
A:濃度差が全く見られない。(濃度差が0.02未満)
B:BとCで軽微な濃度差が見られる。(濃度差が0.02以上0.04未満)
C:A,B,Cの各々で若干の濃度差が見られる。(濃度差が0.04以上0.07未満)
D:顕著な濃度差が見られる。(濃度差が0.07以上)
【0366】
(IV)フェーディング
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、ベタ黒画像をプリントアウトして、図6に示したような画像上で帯状に発生した濃度薄の部分の濃度と正常画像部の濃度との差で評価した。
A:濃度薄発生部分が全く見られない。(濃度差が0.02未満)
B:軽微な濃度薄発生部分が見られる。(濃度差が0.02以上0.08未満)
C:濃度薄発生部分が見られるものの、実用画像では問題にならないレベル。(濃度差が0.08以上0.20未満)
D:顕著な濃度差が見られ、実用画像でも問題とされるレベル。(濃度差が0.20以上)
【0367】
(V)現像剤担持体の表面粗さ(Ra)変化
評価前と3万枚の連続プリントアウト後の現像剤担持体の表面粗さ(Ra)の差(ΔRa)を比較することで、現像剤担持体表面の耐磨耗性を判断した。なお、Raの測定に関しては、小坂研究所製:表面粗度計SE−3300Hを用い、測定条件としては、カットオフ0.8mm、規定距離8.0mm、送り速度0.5mm/sにて12箇所の測定値の平均をとった。但し、初期よりRa値が0.1以下の現像剤担持体S−10を用いた実施例及び比較例については、この項目を評価から除外した。
A:耐磨耗性が極めて良好。(ΔRaが0.10μm未満)
B:耐磨耗性は比較的良好。(ΔRaが0.10μm以上0.15μm未満)
C:耐磨耗性はやや弱いものの実用上問題ない。(ΔRaが0.15μm以上0.20μm未満)
D:耐磨耗性は弱く、実用上でも問題になる。(ΔRaが0.20μm以上)
【0368】
(VI)転写効率
初期および3万枚プリントアウト終了後に、転写性の評価を行った。転写性は、ベタ黒画像形成時の感光体上の転写残トナー粒子を、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、はぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。評価結果を表5に示す。
A:非常に良好(0.04未満)
B:良好(0.04以上0.08未満)
C:普通(0.08以上乃至0.20未満)
D:悪い(0.20以上)
【0369】
(VII)潜像担持体の帯電性
初期(約40枚〜約50枚プリントアウト)に一様に帯電後の感光体表面電位を測定し、更に3万枚の連続プリントアウトを終了した後、現像器位置にセンサを配置して同様にして、一様帯電後の感光体表面電位を測定し、その差分により潜像担持体の帯電性を評価した。評価結果を表5に示す。差分がマイナスに大きくなるほど潜像担持体の帯電性の低下が大きいことを示す。
【0370】
(VIII)パターン回収不良
縦線の同一パターン(2ドット98スペースの縦線繰り返し)を連続プリントアウト後、ハーフトーン画像(2ドット3スペースの横線繰り返し)のプリントアウト試験を行い、ハーフトーン画像上に縦線のパターンに対応した濃淡が生じるかどうかを目視で評価した。評価結果を表5に示す。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに濃淡の発生が見られるが、画像への影響はない)
C:普通(濃淡むらを生じるが、実用上許容レベルの範囲である)
D:悪い(濃淡むらが顕著で許容できない)
【0371】
<実施例2〜90及び比較例1〜4>
実施例1と同様の方法にて画像評価を実施した。結果を表5〜8に挙げた。ここで、実施例24、実施例31、実施例38、実施例45、実施例59及び実施例66については、現像装置を非磁性一成分系現像剤を現像するための現像装置に変えたもので、画像評価を行なった。また、実施例89については、現像剤層厚規制部材である弾性ブレードを磁性ブレードに変更して実施した。更に、実施例90では、転写後に潜像担持体である感光ドラム上に残存していた転写残トナー粒子を、クリーナーによって回収し、再度現像系に戻す操作を実施しない系にて評価を行なった。
【0372】
【表5】
【0373】
【表6】
【0374】
【表7】
【0375】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0376】
【図1】各帯電部材の帯電特性を示すグラフである。
【図2】SUSスリーブにアランダムブラスト処理した現像スリーブ表面の粗さ断面曲線の模式図である。
【図3】SUSスリーブにガラスビーズブラスト処理による同様な粗さ断面曲線の模式図である。
【図4】図3のスリーブ表面の粗さ断面曲線の凹凸を拡大した図である。
【図5】スリーブゴーストを説明するために用いたプリント画像の模式図である。
【図6】フェーディングを説明するために用いたプリント画像の模式図である。
【図7】本発明において用いることのできる、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体の断面を模式的に示した図である。
【図8】本発明において用いることのできる、ガラスビーズブラスト処理したアルミニウムスリーブの表面にメッキ層を設けたときのスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。
【図9】基体表面にメッキ層を設ける前のスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。
【図10】本発明において用いることのできる、画像形成装置の概略を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例における、スリーブゴーストの評価方法を説明するためのプリント画像の模式図である。
【符号の説明】
【0377】
1、21 潜像担持体(感光体、被帯電体)
2 帯電ローラ(接触帯電部材)
3、23 レーザビームスキャナ(潜像形成手段、露光装置)
4、24 現像装置
4a 現像剤担持体(現像スリーブ)
4c 現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)
5、25 転写部材(転写ローラ)
6、26 定着装置
7、27 プロセスカートリッジ
22 接触帯電部材(帯電ブラシ)
24a 現像剤担持体(現像スリーブ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法或いはトナージェット記録法等を利用した記録方法において使用することのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真法としては特許文献1乃至3等に、種々の方法が記載されているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により静電潜像担持体(感光体)上に静電潜像を形成し、次いで該静電潜像を現像剤(以下、単に「トナー」と標記する場合もある)を用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー画像を転写した後、加熱、圧力或いは溶剤蒸気等により定着し、複写物を得るものである。
【0003】
近年、電子写真法を用いた機器は、従来の複写機以外にプリンターやファクシミリ等多数になってきている。現像方式にはキャリア粒子を用いる二成分現像方式とキャリア粒子を用いない一成分現像方式に大別される。一成分現像方式は、主としてトナーと摩擦帯電付与部材との摩擦によって、トナーへの摩擦帯電が行なわれるものであるが、磁性粒子をトナーに内包させて磁力の作用により現像剤の担持搬送を行う一成分磁性現像方式と、磁性粒子を用いずに現像剤の摩擦電荷の作用などで現像剤を現像剤担持体へ担持させる非磁性一成分現像方法とに大別される。一成分磁性現像方式においては、カーボンブラックなどの着色剤は用いず、磁性粒子を着色剤として兼用させることもできる。
【0004】
二成分現像方式は、トナーとの摩擦によってトナーに電荷を付与するために、ガラスビーズや鉄粉等のキャリア粒子が必要な為、或いは現像剤中のトナー濃度を一定に保つ必要がある為、トナー濃度を検知して必要量のトナーを補給する装置が必要となり、現像装置が大きくて重く、且つ複雑な構成となる。また二成分現像方式ではトナー成分のキャリアへの付着(スペント)が起こりやすいため、キャリアの交換頻度が高くなる。この点一成分現像方式では、このようなキャリアや上述の複雑な構成は不必要となり、現像装置自体の小型化・軽量化が可能であり、さらにはキャリアの交換が必要ないため長期にわたりメンテナンスの必要がなくなる。その一方で、磁性一成分現像方法は、暗黒色の磁性粒子をトナーに使用するためカラー化が困難であり、二成分現像方式は濃度検知装置などにより細かい現像状態の調整が可能であるため、カラー現像用に好ましく用いられる。
【0005】
また、一成分系、二成分系の差異によらず、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子に外部添加剤(外添剤)として無機微粉末を添加する方法が提案され、広く用いられている。
【0006】
例えば、特許文献4,5等に疎水化処理を施した無機微粉末あるいは疎水化処理した後さらにシリコーンオイル等で処理した無機微粉末を添加する方法、または特許文献6乃至8に疎水化処理した無機微粉末とシリコーンオイル処理した無機微粉末とを併用添加する方法が開示されている。
【0007】
また、外添剤として現像剤に導電性微粒子を添加する方法は数多く提案されている。例えば、導電性微粒子としてのカーボンブラックは、トナーに導電性を付与するために、またはトナーの過剰な帯電を抑制しトリボ分布を均一化させるため等の目的で、トナー粒子表面に付着または固着するための外添剤として用いられることが広く知られている。また、特許文献9乃至11には、高抵抗磁性トナーに酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタンの導電性微粒子をそれぞれ外添することが開示されている。また、特許文献12では、高抵抗磁性トナーに酸化鉄、鉄粉、フェライトの如き導電性磁性粒子を添加し、導電性磁性粒子に磁性トナーへの電荷誘導を促進させることで現像性と転写性を両立する現像剤が提案されている。更に、特許文献13乃至16では、トナーにグラファイト、マグネタイト、ポリピロール導電性粒子、ポリアニリン導電性粒子を添加することが開示されているほか、多種多様な導電性微粉末をトナーに添加することが知られている。
【0008】
電子写真感光体や静電記録誘電体等の潜像担持体上に潜像を形成する方法についても様々な方法が知られている。例えば、電子写真法では、潜像担持体としての、光導電性物質を利用した感光体を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、この感光体上に画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成する方法が一般的である。
【0009】
従来、潜像担持体を所要の極性・電位に一様に帯電処理(除電処理も含む)する帯電装置としてはコロナ帯電器(コロナ放電器)がよく使用されていた。
【0010】
コロナ帯電器は非接触型の帯電装置であり、ワイヤ電極等の放電電極と該放電電極を囲むシールド電極を備え、放電開口部を被帯電体である潜像担持体に対向させて非接触に配設し、放電電極とシールド電極に高圧を印加することにより生じる放電電流(コロナシャワー)に潜像担持体面をさらすことで潜像担持体面を所定に帯電させるものである。
【0011】
近年では、潜像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0012】
接触帯電装置は、潜像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の電圧バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0013】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)には、(1)放電帯電機構と(2)直接注入帯電機構の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0014】
(1)接触帯電の放電帯電機構
接触帯電部材と被帯電体との微小間隙に生じる放電現象により被帯電体表面が帯電する機構である。放電帯電機構は接触帯電部材と被帯電体との間に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じることが原理的に避けられないため、オゾンなどの活性イオンによる弊害は避けられない。
【0015】
(2)接触帯電の直接注入帯電機構
接触帯電部材から被帯電体に直接に電荷が注入されることで被帯電体表面が帯電する系である。直接帯電、あるいは注入帯電、あるいは電荷注入帯電とも称される。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が被帯電体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで被放電体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電閾値以下の印加電圧であっても、被帯電体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この帯電系はオゾンの如き活性イオンの発生を伴わないため放電生成物による弊害は生じない。しかし、直接注入帯電であるため、接触帯電部材の被帯電体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこでより高い頻度で被帯電体に接触する構成をとるため、接触帯電部材はより密な接触点を持つ、被帯電体との速度差を多く持つ等の構成が必要となる。
【0016】
接触帯電装置は、接触帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式が帯電の安定性という点で好ましく、広く用いられている。
【0017】
従来のローラ帯電における帯電機構は、前記(1)の放電帯電機構が支配的である。帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材または発泡体を用いて作製され、さらにこれらのゴム材や発泡体を積層して所望の特性を得たものもある。
【0018】
帯電ローラは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下、接触性の不足やローラ形状による接触ムラ、被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0019】
図1は電子写真法における接触帯電の帯電効率例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にその時得られた被帯電体(以下、感光体と記す)の帯電電位を表している。ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち、印加電圧がおよそ−500Vの放電閾値を過ぎてから感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対してほぼ傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。従って、−500Vに帯電する場合は、−1000Vの直流電圧を印加するか、または、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つように、例えばピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0020】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、Vd+Vthという必要とされる以上のDC電圧を帯電ローラに印加する必要がある。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0021】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0022】
このため、更なる帯電の均一化を図るために、特許文献17に開示されているような、所望のVdに相当するDC電圧に2×Vth以上のピーク間電圧を持つAC成分を重畳した電圧を接触帯電部材に印加する「AC帯電方式」が用いられる。これは、ACによる電位のならし効果を目的としたものであり、被帯電体の電位はAC電圧のピークの中央であるVdに収束し、環境等の外乱には影響されることはない。
【0023】
ところが、このような接触帯電装置においても、その本質的な帯電機構は接触帯電部材から感光体への放電現象を用いたものであるため、先に述べたように、接触帯電部材に印加する電圧は所望の感光体表面電位以上の値が必要とされ、微量のオゾンは発生する。また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には、さらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0024】
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、導電性繊維ブラシ部に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。このファーブラシ帯電もその帯電機構は前記(1)の放電帯電機構を支配的とすることが可能である。
【0025】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分である。直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには、ファーブラシ帯電器に感光体に対して機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0026】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性を図1のBに示す。従って、ファーブラシ帯電の場合においても、固定タイプ、ロールタイプのいずれも、多くは高い帯電バイアスを印加し放電現象を用いて帯電を行っている。
【0027】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合、その帯電機構は前記(2)の直接注入帯電機構が支配的である。
【0028】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5μm〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に直接注入帯電を可能にする。
【0029】
磁気ブラシ帯電の直流印加時の帯電特性は、図1のCで表される。図1に示すように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能にある。
【0030】
しかしながら、磁気ブラシ帯電には、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。このように、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電装置が望まれている。
【0031】
また、特に近年になって、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活用という面から、転写残トナー即ち廃トナーの出ない画像形成装置が望まれている。従来、一般には、潜像をトナーにより現像して可視像とし、紙などの記録媒体にトナー像を転写した後に、記録媒体に転写されずに潜像担持体上に残余したトナーをクリーニング手段(クリーナー)によって除去し、廃トナーとして廃トナー容器内へ搬送及び格納されるクリーニング工程を経て、画像形成の工程が繰り返される画像形成装置が広く用いられてきた。
【0032】
このクリーニング工程については、従来より、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等が用いられてきた。いずれの方法も力学的に転写残トナーを掻き落とすか、またはせき止めて廃トナー容器へ搬送されるものであった。よって、省資源、環境保全への気運の高まりに伴い、廃トナー容器内に蓄えられる廃トナーを回収した後に、再利用または廃棄処理するシステムを構築することが求められつつある。一方、クリーニング工程で回収されるトナーを現像装置内に循環させ再利用する、いわゆるトナーリユースも実用化されている。しかしながら、クリーニング部材が潜像担持体表面に押し当てられることに起因して潜像担持体が磨耗して短命化する問題があった。また、装置面からは、かかるトナーリユース装置及びクリーニング装置を具備するために画像形成装置が必然的に大きくなり、装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0033】
これに対し、廃トナーのでないシステムとして、現像同時クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。従来の現像同時クリーニング又はクリーナレスに関する技術は特許文献18に開示されているように、転写残トナーの画像への影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主であった。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対して満足し得るものではなかった。
【0034】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特許文献19乃至26等があるが、望ましい画像形成装置については述べられておらず、トナー構成についても言及されていなかった。
【0035】
本質的にクリーニング装置を有さない、現像同時クリーニングまたはクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は潜像担持体表面を現像剤(トナー)及び現像剤(トナー)担持体により摺擦する構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触する、所謂接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナーを回収するために、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触し、摺擦する構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した、現像同時クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用により現像剤(トナー)劣化、現像剤(トナー)担持体表面の劣化又は磨耗、潜像担持体表面の劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像同時クリーニング方法が望まれていた。
【0036】
ここで、接触帯電方法を現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法に適用した場合を考える。現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、クリーニング部材を用いないため、潜像担持体上に残余する転写残トナーがそのまま接触帯電部材と接触し、この接触帯電部材に付着または混入する。また、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、放電エネルギーによるトナー劣化に起因する帯電部材への付着性の悪化も生ずる。一般的に用いられている絶縁性トナーが接触帯電部材に付着或いは混入すると、帯電性の低下が起こる。
【0037】
この被帯電体の帯電性の低下は、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、付着或いは混入した転写残トナーが接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体の帯電性が低下する。
【0038】
この被帯電体の一様帯電性の低下は、画像露光後の静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度の低下及びカブリの増大という弊害をもたらす。
【0039】
また、現像同時クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、潜像担持体上の転写残トナーの帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナーを回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなる。このため、転写残トナーの帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。これについて一般的なレーザープリンターを例として具体的に説明する。マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の電圧を印加する転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残トナーの帯電極性がプラスからマイナスまで変動する。しかし、転写残トナーが転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、マイナス帯電性の潜像担持体を帯電する際のマイナス極性の帯電部材により、表面と共に一様にマイナス側へ転写残トナーの帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された、転写残トナーが残り、トナーの現像されるべきでない暗部電位には、現像電界の関係上現像剤(トナー)担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナー粒子は残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残トナーの帯電極性を制御することにより、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0040】
しかしながら、転写残トナーが接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力以上に、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナーの帯電極性を揃えることができず、現像工程においてトナーを回収することが困難となる。また、転写残トナーが摺擦等の機械的力によって現像剤(トナー)担持体に回収されたとしても、転写残トナーの帯電が均一に揃えられていないと、現像剤(トナー)担持体上のトナーの摩擦帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。すなわち、現像同時クリーニング、クリーナレス画像形成方法に於いては、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0041】
現像同時クリーニング画像形成方法において、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像同時クリーニング性能を向上させるものとして、特許文献27では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像同時クリーニング画像形成方法において、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー量を減少させることで現像同時クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナーによる帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0042】
更には、市販の電子写真プリンターの中には、転写工程と帯電工程の間に潜像担持体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー回収能力を補助或いは制御する現像同時クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像同時クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像同時クリーニングの利点を損ねている。
【0043】
また、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特許文献28に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(潜像担持体)に従動回転(速度差駆動なし)する構成であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、前述のローラ帯電の場合と同様に、帯電原理は依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、上記構成をクリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナーの混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行なう効果が薄れてしまう。
【0044】
また、特許文献29には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナーやシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電または近接帯電は放電帯電機構によるものであり直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、この構成をクリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して、多量の導電性微粒子及び転写残トナーが帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナー粒子の現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナーによる現像剤の現像特性への影響に関しては何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナーの影響による帯電不良を生じてしまう。
【0045】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナーにより潜像担持体を均一帯電することが困難であり、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が得られないため、転写残トナーがパターン画像露光を遮光してパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時には現像剤による機内汚染が著しくなる。
【0046】
これらに対し、特許文献30において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像同時クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0047】
また、特許文献31においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含む現像剤を、直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0048】
更に、特許文献32では、導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粒子の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0049】
特許文献33では、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0050】
更に、特許文献34によれば、導電性微粒子の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害することや現像バイアスが導電性微粒子を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができることが記載されている。同時に、上記導電性微粒子の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、潜像担持体に導電性微粒子が埋め込まれ、露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像同時クリーニング画像形成方法が記載されている。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0051】
特許文献30によれば、トナーに導電性微粒子を外添し、少なくとも可撓性の接触帯電部材と潜像担持体との接触部に、前記トナー中に含有の導電性微粒子が、現像工程で潜像担持体に付着し転写工程の後も潜像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像同時クリーニング画像形成装置が開示されている。しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地があった。
【0052】
また、平均粒子径を規定した導電性粒子を外部添加する提案もなされている。例えば、特許文献35においては、平均粒子径5nm〜50nmの微粉末A及び平均粒子径0.1μm〜3μmの微粉末Bを外部添加剤とし、4μm〜12μmのトナー母粒子に規定する程度以上に強く付着させたトナーが提案されているが、微粉末Bの遊離しているもの及びトナー母粒子から離脱するものの割合を少なくする事を目的としている。また、特許文献36においては、粒径を規定した導電性シリカ粒子及び疎水化された無機酸化物を含むトナーが提案されているが、トナーに過剰に蓄積される電荷の、導電性シリカ粒子による外部へのリーク作用を目的としたものでしかない。
【0053】
更に、トナーの粒度分布及び形状を規定した提案も数多くなされており、近年では特許文献37のように、フロー式粒子像解析装置で測定された粒度分布及び円形度を規定した提案もある。外添剤の影響を考慮したトナーの粒度分布及び形状を規定した提案としては、例えば、特許文献38においては、円形度の規定された平均長径が10nm〜400nmの無機微粉体Aと非球形状無機微粉体Bを有するトナーが提案されているが、非球形状無機微粉体Bのスペーサ効果による無機微粉体Aのトナー母体への埋没抑制を目的をしたものである。特許文献39においてもトナーの粒度分布及び円形度に対する規定が提案されているが、トナー画像として現像されたトナー粒子の密度を密とすることにより尾引き現象を抑制し、高温高湿環境下でのトナーの保存性を改良することを目的としている。
【0054】
更に特許文献40においては、0.6μm〜4μmの外添剤微粒子A及び無機微粉末Bを有し、且つ粒度分布が規定されたトナーが提案されているが、外添剤微粒子Aの介在による無機微粉末Bのトナー母粒子への埋め込み等によるトナー劣化防止を目的としており、トナー母粒子への外添剤微粒子Aの付着・遊離に対して考慮されていない。また、特許文献41においては、着色剤が内包された球形樹脂微粒子表面に導電性微粒子及びシリカ微粒子が添加されたトナーが提案されているが、トナー粒子表面に導電性を持たせ、トナー粒子間の電荷の移動・交換を迅速化させ、トナーの摩擦帯電の均一性を高めることを目的としている。
【0055】
一方、前記注入帯電工程を有する画像形成方法、現像同時クリーニング画像形成方法又はクリーナレス画像形成方法を達成させるため、即ち前記現像剤(トナー)に対して最適な電荷を付与させるために、現像剤担持体からのアプローチも行なわれてきている。
【0056】
従来より、例えば電子写真方式の画像形成装置では、電子写真感光体からなる潜像担持体上に静電潜像を形成し、その潜像を現像器により現像することを行なっている。現像器は、現像剤を担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブを有している。
【0057】
この現像スリーブの表面は、現像剤の搬送性のために凹凸に粗面化しており、古くは、例えば特許文献42に示されるように、主に二成分現像用の現像スリーブにおけるローレット溝や、特許文献43に示されるように、主に一成分現像用の現像スリーブにおけるブラスト処理が知られている。
【0058】
ブラスト処理した現像スリーブの場合、長期使用により表面の凹凸が摩耗減少しやすいので、それを防止するために、現像スリーブの材料には例えばSUS(ビッカース硬度Hv ≒180)等の高硬度材が多用され、また古くはアルミナ粒子をブラスト砥粒としたアランダムブラスト法が用いられている(特許文献44)。
【0059】
しかし、特許文献45乃至47等に示されるように、アランダムによるブラストでは、SUSの現像スリーブ表面に鋭い凹凸の粗面が形成される。図2に、アランダムブラスト処理した現像スリーブ表面の粗さ断面曲線の模式図を示す。長期使用時においては、この表面の鋭い凹部に特に粒径の細かいトナー粒子等が埋め込まれ(以下、このトナー等が埋め込まれる状態を「スリーブ汚染」という。)、その部分でトナーの帯電が阻害され、画像不良を引き起こすことが知られている。
【0060】
そこで、例えばガラスビーズなどの球形粒子を用いてブラスト処理する方法が考えられている。図3に、ガラスビーズブラスト処理による同様な粗さ断面曲線の模式図を示す。図3に示されるように、ガラスビーズブラスト処理によれば、SUSの現像スリーブ表面に滑らかな断面形状を有する粗面を得ることができ、十分ではないもののスリーブ汚染をある程度は軽減することができる。
【0061】
一方、現像スリーブ材質としてアルミニウムを用いることが主流となりつつある。SUSは高価であるが、アルミニウムならばスリーブをコストダウンできる等のメリットがある。
【0062】
しかしながら、アルミニウムスリーブはHv ≒100というように硬度が低いため、ブラスト処理による表面の凹凸が使用により簡単に摩耗し、早期に凹凸が減耗してしまう。
【0063】
更に近年、高画質化を達成するために、トナーの粒径を更に小さくする傾向があり、これまで以上にスリーブ汚染が発生しやすくなることがわかった。
【0064】
これを図4を用いて説明する。図4は、図3の粗さ断面曲線の凹凸を拡大した図である。図3は、前記したように、SUSの現像スリーブ表面を球状粒子のガラスビーズでブラスト処理したときの粗さ断面曲線である。図4において、大粒径トナーの場合、粗さ断面曲線の大きな凹凸の中のクラック、つまり小さな凹部、例えば凹部a、b、c等に入り込まないが、トナーを小径化すれば、小さな凹部a、b、c等に入り込むトナーが増加し、スリーブ汚染を生じるものと考えられる。
【0065】
例えば体積平均粒径が約7μmの粒度分布を有する小粒径トナー粒子中には、粒径4μm以下のより小さいトナー粒子が一般的に約15個数%〜20個数%程度含まれており、これが小さな凹部a、b、c等に入り込む。勿論、トナー中の微粉をカットすれば、より小さなトナーを減らすことができるが、完全になくすことは現状不可能である。
【0066】
また、上述のように、トナーを小粒径化しなくても、帯電性の低いトナーを用いた場合には、わずかなスリーブ汚染によってもトナーの帯電阻害が発生しやすく、濃度薄等の弊害をもたらす。
【0067】
或いは、トナー粒子に対して、該トナーと同極性の帯電系列を有する外添剤を外添した現像剤では、現像スリーブ上にプリントパターンの履歴である、所謂「スリーブゴースト」が生じ、これがプリント画像上にも現れることがある。このスリーブゴーストは、前記外添剤の帯電能が高いものほど発生し易い傾向が見られる。例えば、負帯電性トナーに負帯電性の微粒子を外添して得られた現像剤の場合に生じるスリーブゴーストは、図5に示すように、ポジゴーストになる。即ち、非印字部(白地)が続いていたために、プリントが行なわれても薄い現像しか行なわれない(X)部分と、プリントが継続されていたために濃い現像が行なわれる(Y)部分とで濃度ムラが生じる。
【0068】
このスリーブゴースト形成のメカニズムについて考えてみる。現像工程において、現像剤担持体(現像スリーブ)上で現像剤(トナー)が消費された箇所に、新たに帯電付与を受けたトナーが供給されて次の現像が行なわれる。この時、消費されずに現像スリーブ上に残っているトナーと、新たに供給されたトナーとでは帯電量が異なる。帯電量が高いトナーほど潜像担持体上の静電潜像への飛翔能力は高くなるが、同時にトナーと現像スリーブとの間に働く鏡映力により、静電的に強く拘束される傾向も見られる。このように、現像能力は上記の飛翔能力と鏡映力のバランスによって決定する。
【0069】
更に、このスリーブゴーストは、現像スリーブ上に存在するトナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤によって形成される層に深く関わっている。つまり、現像スリーブ上のトナー層の最下層を形成するトナーの粒度分布に、トナー消費部とトナー未消費部とで明らかな差が生じ、未消費部のトナー最下層に、トナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤によって形成される微粉層が形成されているためである。該微粉層を形成する粒子は体積当たりの表面積が大きいために、粒径の大きなトナーに比べると質量当たりに有する摩擦帯電電荷量が大きくなり、自らの鏡映力により現像スリーブに静電的に強く拘束される。このため微粉層が形成された部分の上にあるトナーは、現像スリーブ表面と十分に摩擦帯電しないために現像能力が低下し、画像上にスリーブゴーストとして現れてしまう。
【0070】
一般的に、トナーが消費された箇所に、新たに帯電付与を受けて供給されたトナーが、消費されずに現像スリーブ上に残っているトナーよりも現像能力が高い場合、先述したポジゴーストが発生し、これと逆に上述した新たに供給されたトナーが、他の部分のトナーと比較して現像能力が低い場合は、図5と反対に、非印字部(白地)が続いておりトナーの入れ替わりがなかった部分と比べ、プリントが継続されていたためにトナーの入れ替わりが行なわれた部分の方が低濃度になるという、ネガゴーストが発生する。
【0071】
以上のスリーブゴーストは、トナー中の微粉及び該トナーに外添されている外添剤からなる微粉層の形成と共に、トナーの帯電が現像スリーブとの摩擦帯電に大きく依存しているために生じる現象である。従ってスリーブゴーストを解決するには、現像スリーブ表面近傍のチャージアップした微粉トナーの現像スリーブとの間に働く鏡映力を、何らかの方法で除去或いは軽減することが必要である。
【0072】
上記スリーブゴースト現象以外には、現像により得られる画像上に縦縞状に濃度の低い部分が発生するという問題が発生することもある。即ち、これは文字画像においては文字が細くなり、ハーフトーン画像やベタ黒画像では、図6に示したように濃度が低くなる現象である。
【0073】
この現象は「フェーディング現象」と言われている。我々は、このフェーディング現象が生じたときの現像スリーブを観察してみたが、スリーブ上には一様な厚みのトナー層は形成されていた。しかし、スリーブ上のトナーの摩擦帯電電荷量を測定してみると、画像中の低濃度の縦縞に対応する領域のトナーの電荷量が正常な値と比べて低い値であることが判明した。
【0074】
上記の如く部分的にトナーの帯電量が低下する理由については次のように考えられる。コピー画像又は画像出力パターンは、画像面内では必ずしも一様ではなく、トナーの消費が多い部分と少ない部分が発生する。このうち、トナー消費が少ない部分はトナーの入れ替わりが比較的少なくなるため、対応する部分の現像スリーブ近傍のトナーの循環が疎外され、スリーブ近傍にトナーがパッキングされることになる。そして、この状態でトナーがスリーブ表面と摺擦されることで、トナー粒子が劣化し、正規にトリボ付与を受けることができなくなる。その結果、この状態でコピー又はプリントを続けていくと、トナー劣化が促進され、この部分で濃度低下が起きることになる。
【0075】
いずれにせよ、低帯電トナーもスリーブとの摩擦力によって、現像剤層厚規制部を、正常帯電トナー層と同等の厚みを持つ層として通り抜ける。従ってトナー層の厚みはスリーブ上で均一である。
【0076】
上記フェーディング現象は、トナー粒径が小さいほど起こり易い。これは、微粒子トナーの凝集性が高いことに起因する。即ち、微粒子トナーは、粒径が小さく通常粒径トナーに比べ表面積が大きく過剰にトリボ付与を受けるため、静電凝集によってトナーの流動性が低下するからである。更に、トナー表面近傍に付着している外添剤による影響も大きく、トナーの流動性を阻害するような粒子或いはトナーの帯電量を著しく変化させるような粒子を添加する場合は注意を要する。
【0077】
また、上記フェーディング現象は、トナーの静電凝集による流動性低下が促進される低湿度環境のみならず、常温常湿度環境下、或いはトナーの帯電能が低下する高温高湿度環境下においても顕著に発生する。
【0078】
このように注入帯電工程を有する画像形成方法、現像同時クリーニング画像形成方法又はクリーナレス画像形成方法を達成させるため、現像剤(トナー)及び現像剤担持体からのアプローチも行なわれてきているものの、これまでに挙げた問題点をすべてクリアーできている系はこれまでのところ提案されておらず、まだ十分に検討がなされていないのが実状である。
【0079】
【特許文献1】米国特許第2297691号明細書
【特許文献2】特公昭42−23910号公報(米国特許第3666363号明細書)
【特許文献3】特公昭43−24748号公報(米国特許第4071361号明細書)
【特許文献4】特開平5−66608号公報
【特許文献5】特開平4−9860号公報
【特許文献6】特開昭61−249059号公報
【特許文献7】特開平4−264453号公報
【特許文献8】特開平5−346682号公報
【特許文献9】特開昭57−151952号公報
【特許文献10】特開昭59−168458号公報
【特許文献11】特開昭60−69660号公報
【特許文献12】特開昭56−142540号公報
【特許文献13】特開昭61−275864号公報
【特許文献14】特開昭62−258472号公報
【特許文献15】特開昭61−141452号公報
【特許文献16】特開平02−120865号公報
【特許文献17】特開昭63−149669号公報
【特許文献18】特開平5−2287号公報
【特許文献19】特開昭59−133573号公報
【特許文献20】特開昭62−203182号公報
【特許文献21】特開昭63−133179号公報
【特許文献22】特開昭64−20587号公報
【特許文献23】特開平2−302772号公報
【特許文献24】特開平5−2289号公報
【特許文献25】特開平5−53482号公報
【特許文献26】特開平5−61383号公報
【特許文献27】特開平11−15206号公報
【特許文献28】特公平7−99442号公報
【特許文献29】特開平5−150539号公報
【特許文献30】特開平10−307456号公報
【特許文献31】特開平10−307421号公報
【特許文献32】特開平10−307455号公報
【特許文献33】特開平10−307457号公報
【特許文献34】特開平10−307458号公報
【特許文献35】特開平9−146293号公報
【特許文献36】特開平11−95479号公報
【特許文献37】日本特許第2862827号公報
【特許文献38】特開平11−174731号公報
【特許文献39】特開平11−202557号公報
【特許文献40】特開平11−194530号公報
【特許文献41】特開平10−83096号公報
【特許文献42】特開昭54−79043号
【特許文献43】特開昭55−26526号
【特許文献44】特開昭57−66455号
【特許文献45】特開昭57−116372号
【特許文献46】特開昭58−11974号
【特許文献47】特開平1−131586号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0080】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みなされたものであって、良好な現像特性が得られる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0081】
即ち本発明の目的は、前記スリーブゴーストの発生もなく、終始潜像に忠実であり、良好な画像特性を得ることのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0082】
更に本発明の目的は、いかなる環境下においても、先述したフェーディング現象の発生がなく、常時高濃度の画像を得ることができる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を提供することにある。
【0083】
また本発明の他の目的は、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0084】
また、本発明の他の目的は、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像−クリーニング工程(現像同時クリーニング工程)を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0085】
また、本発明の他の目的は、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像を得ることのできる画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0086】
また、本発明の他の目的は、良好な一様帯電性を安定して得られる独立したクリーニング工程が不用なクリーナレス画像形成を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0087】
また、本発明の他の目的は転写残トナー粒子の回収性に優れた現像−クリーニング工程を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【0088】
さらに、本発明の他の目的は、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像−クリーニング工程を有する画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0089】
上記の目的は、以下の構成によって達成することができる。即ち、
(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする現像剤によって達成することができる。
(2)また上記目的は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする画像形成方法によって達成することができる。
(3)また上記目的は、少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
該現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする現像剤担持体によって達成することができる。
【発明の効果】
【0090】
本発明によって、スリーブゴーストの発生もなく、終始潜像に忠実であり、良好な画像特性を得ることのできる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を得ることができる。
【0091】
また、いかなる環境下においても、フェーディング現象の発生がなく、常時高濃度の画像を得ることができる現像剤、画像形成方法及び現像剤担持体を得ることができる。
【0092】
また、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0093】
また、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像−クリーニング工程(現像同時クリーニング工程)を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0094】
また、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とし、かつ長期にわたる繰り返し使用においても、帯電不良を生じない良好な画像を得ることのできる画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0095】
また、良好な一様帯電性を安定して得られる独立したクリーニング工程が不用なクリーナレス画像形成を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0096】
また、転写残トナー粒子の回収性に優れた現像−クリーニング工程を可能とする画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【0097】
さらに、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像−クリーニング工程を有する画像形成方法、及び該画像形成方法に用いられる現像剤及び現像剤担持体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0098】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0099】
まず、本発明の現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に好適に使用することができる現像剤担持体について説明する。
【0100】
本発明の現像装置は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、この静電潜像を、現像剤を担持しながら、上記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、上記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成が行なわれ、上記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって潜像担持体の帯電を行なう、接触帯電を行なうための画像形成装置、特に好ましくは、所謂直接注入帯電機構を有する画像形成装置、及び該画像形成装置に用いることのできる現像装置又はプロセスカートリッジ又は前記工程からなる画像形成方法に使用されることが好ましい。
【0101】
また本発明の現像装置は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、この静電潜像を、現像剤を担持しながら、上記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、上記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成が行なわれ、上記現像工程は、上記静電潜像を可視化するとともに、現像剤像が転写材に転写された後に、この潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程である、所謂現像同時クリーニングを行なうための画像形成装置、及び該画像形成装置に用いることのできる現像装置又はプロセスカートリッジ又は前記工程からなる画像形成方法に使用されることが好ましい。
【0102】
本発明の現像装置は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体を使用することを特徴とする。
【0103】
本発明に用いることができる現像剤担持体の一例を図7に示しながら作用を説明する。図中、(ア)はマグネットローラ(現像スリーブに内包されている)、(イ)はスリーブ基体、(ウ)は非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層(以下、「メッキ層」と記す)を示す。
【0104】
図8は、ガラスビーズブラスト処理したアルミニウムスリーブ(図9)に対して、メッキ層を設けたときのスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。メッキ層を設けた場合、そのメッキ層がクレーター状凹部内を鏡面状に覆って、微小凹部を埋め込むように形成される。従って、スリーブ汚染等を防止する効果が発揮される。
【0105】
上記のブラスト処理後にメッキ層を設けた時のスリーブの表面を光学顕微鏡で観察すると、基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部はメッキ層によって埋められていることが確認できた。
【0106】
また、先述したように、スリーブゴーストとは、トナー中の微粉及び該トナーに添加されている外添剤からなる微粉層が形成され、この層の上にあるトナーは、現像スリーブ表面と十分に摩擦帯電しないために現像能力が低下するために発生する現象である。特に、スリーブ基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部には、微粉が蓄積されやすくなり、これを起点として上記微粉層が形成され、その結果スリーブゴーストが発生する、というのが従来の現像剤担持体(現像スリーブ)における問題点であったが、表面のクレーター状凹部内の微小凹部をメッキ層によって埋めることで、スリーブゴーストのレベルは格段に良くなる。
【0107】
更に、部分的なトナーの静電凝集による流動性低下に伴うフェーディングに関しても、スリーブ基体表面のクレーター状凹部内の微小凹部はメッキ層によって埋められていることで、凹部にトナーの微粉が蓄積されることがなくなるため、フェーディングのレベルも良化できる。
【0108】
また、メッキ層を設けた場合、上記のようにクレーター状凹部内の微小凹部はなくなるが、メッキ層はクレーター状凹部にかたどって形成されるので、メッキした表面の粗さRz、Ra、平均山間隔Sm等は、基体にブラストした状態のものと大差がなく、従って、現像剤の搬送性等が低下することがない。
【0109】
特に本発明においては、詳細は後述するが、現像剤中に導電性微粒子を添加する系を採用しており、該導電性微粒子がトナー粒子と共に現像されることによって潜像担持体上の非画像部にまで十分に供給され、転写工程においてトナー粒子表面から積極的に遊離することで、転写後の潜像担持面を経て効率良く帯電部に供給され、接触帯電を良好に行なうものである。よって、トナーの微粉以外に、遊離している導電性微粒子が現像系に多く存在しているが、これが現像スリーブ表面の微小凹部に蓄積されることに伴う現像性の低下、という現象も発生しないため、終始良好な現像性を保持することが可能となる。
【0110】
このようなメッキ層を基体表面に均一に保持させることにより、現像剤担持体の長手方向で、現像剤に対して均一な帯電を付与することが可能になり、良好な現像性を得ることができる。現像スリーブ基体表面に上記メッキ層を形成する方法としては、電界メッキや無電解メッキが好ましく用いることができる。特に無電解メッキは、化学メッキのために凸部粗面に関わらず均一に精度よくメッキ層を形成することができる。
【0111】
具体的には、メッキ層がニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層より形成されていることが好ましく、例えば無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、電界Moメッキ或いは無電界Moメッキなどが挙げられる。スリーブ表面の物性としては、スリーブ内部にマグネットロールを有しているため非磁性であることが好ましい。そのため、メッキ層は0.5μm〜20μm、より好ましくは3μm〜15μmであることが良い。メッキ層の厚さが0.5μm未満の場合は、層厚が薄いため、メッキ層を設けることによる効果が発揮されにくく、またメッキ層厚が20μmを超える場合は、基体表面に存在するメッキ層の厚みを長手方向で均一に保持することが困難になる。例えば、上記Ni−Pメッキに関しては、Niは単体では強磁性体であるが、無電解メッキ中ではリン或いはホウ素と反応することにより非晶質となり、非磁性化する。無電解Crメッキの場合も、メッキ層が20μm以下であれば、実際には内部のマグネットの磁場を乱すほどではなく、十分に使用できる。
【0112】
現像スリーブの基体としては、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料が好ましく使用できる。Hvが50未満の場合は、強度面で弱く、変形や削れの発生の恐れがある。Hvが200を超える場合は、ブラスト処理のような表面に凹凸を形成させる工程において、表面に均一に凹凸を形成することが困難になることがある。具体的な例としてアルミニウム合金、黄銅などの銅合金などが挙げられるが、コスト面からアルミニウム合金がより好ましい。
【0113】
金属層を設けた後の現像スリーブのビッカース硬度(Hv)は、選択した材料によっても異なるが、アニール処理時の温度によってコントロールすることが可能である。本発明に用いることができるものとしては、Hvが200〜1000のものが好ましい。Hvが200未満の場合は、強度的に不十分であり、スリーブ表面の傷や削れが発生しやすくなる。また、Hvを1000より大きくするには、製造面においての調整が困難になる。Hvを高くする方法としては、例えばアニール温度を高くする方法がある。しかし高温でアニール処理を行なうと、スリーブの偏心量が大きくなる傾向が見られ、その結果画像濃度や画質等に悪影響を及ぼすこともある。
【0114】
また、現像剤担持体の基体表面は、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層(メッキ層)を形成したものであることが好ましい。これは、予め粗面化処理を行なって基体表面に存在する微小なクラックを減らすことで、メッキ後の表面をより均一な表面粗さを有するものとできるためである。
【0115】
現像スリーブの表面粗さは、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることが好ましい。Raが0.1μm未満では、特に低湿度環境下において、現像剤担持体上の現像剤が鏡映力により現像剤担持体表面に不動層を形成し、現像剤への帯電付与が不十分となるため現像性が低下し、ムラ、飛び散り、画像濃度薄などの画像不良が発生する場合がある。Raが3.5μmを超えると、現像剤担持体上のトナーコート層の規制が不十分となり、画像の均一性が不十分となったり、帯電不十分のため画像濃度薄となったりする。尚、本発明において表面粗さの測定は、小坂研究所製:表面粗度計SE−3300Hを用い、測定条件としては、カットオフ0.8mm、規定距離8.0mm、送り速度0.5mm/sにて12箇所の測定値の平均をとった。
【0116】
次に、本発明の現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に好適に使用することができる現像剤について説明する。
【0117】
本発明の現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する。現像剤が有する導電性微粒子は、潜像担持体に形成された静電潜像が現像される際に、トナー粒子とともに適当量が現像剤担持体から潜像担持体に移行する。静電潜像が現像されることにより潜像担持体上に形成された現像剤像は、転写工程において紙などの転写材に転移する。このとき、潜像担持体上の導電性微粒子も一部は転写材に付着するが、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。トナー粒子の帯電極性と逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、潜像担持体上の導電性微粒子は導電性であるため転写材側に転移し難い。このため、導電性微粒子の一部は転写材に付着するものの残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。
【0118】
クリーニング工程のように、潜像担持体上に付着保持されて残留した導電性微粒子を潜像担持体上から取り除く工程を持たない画像形成方法では、転写工程後の潜像担持体表面に残存したトナー粒子(以下、これを「転写残トナー粒子」という)および導電性微粒子は、潜像担持体において像を担持する面(以下、これを「像担持面」という)の移動に伴って帯電部に持ち運ばれる。すなわち、帯電工程に接触帯電部材を用いる場合は、導電性微粒子は潜像担持体と接触帯電部材とが当接して形成される当接部に持ち運ばれ、接触帯電部材に付着・混入する。従って、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性微粒子が介在した状態で潜像担持体の接触帯電が行われる。
【0119】
本発明においては、導電性微粒子を帯電部に積極的に持ち運ぶことにより、転写残トナー粒子の付着・混入により接触帯電部材が汚染されるにも拘わらず、接触帯電部材の接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の帯電を良好に行うことができる。
【0120】
しかし、接触帯電部材の帯電部に十分な量の導電性微粒子が介在しない場合には、転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による潜像担持体の帯電の低下が容易に起こり、画像汚れをもたらす。
【0121】
更に、導電性微粒子を潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部に積極的に持ち運ぶことにより、接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の直接注入帯電を良好に行なわせることができる。
【0122】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナー粒子は、接触帯電部材から徐々に潜像担持体上に吐き出され、潜像担持面の移動に伴って現像部に至り、現像工程において現像同時クリーニング、すなわち転写残トナー粒子の回収が行われる。接触帯電部材に付着・混入した導電性微粒子も同様に接触帯電部材から徐々に潜像担持体上に吐き出され、潜像担持面の移動に伴って現像部に至る。すなわち、転写残トナー粒子とともに導電性微粒子が潜像担持体上に存在し、現像工程において転写残トナー粒子の回収が行われる。現像工程における転写残トナー粒子の回収が現像バイアス電界を利用するものである場合には、転写残トナー粒子が現像バイアス電界によって回収されるのに対して、潜像担持体上の導電性微粒子は導電性であるため回収され難い。このため、導電性微粒子の一部は回収されるものの、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。本発明者らの検討によれば、このように現像工程で回収され難い導電性微粒子が潜像担持体上に存在することで、潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果を有することが判明した。すなわち、潜像担持体上の導電性微粒子が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0123】
従来、現像剤に導電性微粒子を添加する目的の多くが、トナー粒子表面に導電性微粒子を付着させることによってトナーの摩擦帯電性を制御することであり、トナー粒子から遊離或いは脱離する導電性微粒子は、現像剤特性の変化或いは劣化を招く弊害として扱われてきた。これに対し、本発明の現像剤は、導電性微粒子をトナー粒子表面から積極的に遊離させる点で、従来多く検討されてきた現像剤への導電性微粒子の外添とは異なる。導電性微粒子を、転写後の潜像担持体上を経由させて潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部である帯電部に持ち運び、介在させることによって潜像担持体の帯電性を積極的に向上させることにより、安定して均一な一様帯電を可能とし、潜像担持体の帯電低下による画像不良の発生を防止する。また、現像工程において導電性微粒子が潜像担持体上に存在することで、導電性微粒子が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0124】
本発明の現像剤においては、トナー粒子表面に付着してトナー粒子と共に挙動する導電性微粒子は、本発明の現像剤が効果として発現する潜像担持体の帯電性の促進及び現像同時クリーニング性能の向上に対しての寄与が少なく、トナー粒子の現像性の低下、現像同時クリーニング工程での転写残トナー粒子回収性の低下、及び転写性の低下によって転写残トナー粒子量が増加することにより、一様帯電を阻害する等の弊害を生む場合がある。
【0125】
本発明の現像剤に含有される導電性微粒子は、画像形成が繰り返されることにより、帯電工程および現像工程を経て潜像担持面に移行し、さらに潜像担持面の移動に伴い転写工程を経て再び帯電部に持ち運ばれることにより、帯電部に導電性微粒子が逐次供給され続ける。従って、帯電部において導電性微粒子が脱落するなどして減少したり、導電性微粒子の一様帯電性促進能力が劣化した場合でも、帯電部に導電性微粒子が供給され続けるため、装置の長期にわたる繰り返し使用においても潜像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。
【0126】
現像剤に添加する導電性微粒子は、潜像担持体の帯電性促進効果及び現像同時クリーニング性に対する影響についての本発明者らの検討によれば、体積平均粒径が0.1μm未満の場合は、トナー粒子表面に導電性微粒子が強固に付着し易く、現像工程で潜像担持体上の非画像部に導電性微粉末を十分に供給することができず、転写工程においてもトナー粒子表面から導電性微粒子が遊離しない場合がある。このため、転写後の潜像担持体上に導電性微粒子を積極的に残留させ、帯電部に導電性微粒子を積極的に供給することができなくなることがある。従ってこの場合、潜像担持体の帯電性を向上させる効果が得られず、接触帯電部材に転写残トナー粒子が付着混入した場合には潜像担持体の帯電性低下による画像不良を生ずることがある。
【0127】
また、現像同時クリーニング工程においても、潜像担持体上に導電性微粒子を供給することができないため、また、潜像担持体上に供給されたとしても導電性微粒子の粒子径が小さすぎるために、転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果が得られず、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができなくなることがある。
【0128】
また、導電性微粒子の体積平均粒径が10μmを超える場合は、帯電部に供給されても粒径が大きいために、導電性微粒子が帯電部材から脱落しやすくなり、安定して十分な粒子数の導電性微粒子を帯電部に介在させ続けることが困難となり、均一な潜像担持体の帯電性を促進することができなくなることがある。更に、単位重量当たりの導電性微粒子の粒子数が減少するため、潜像担持体の均一帯電促進効果を十分に得られるだけの粒子数の導電性微粒子を帯電部に介在させる(帯電部における潜像担持体と導電性微粒子との接触点数を多くすることによって、潜像担持体の一様帯電性を促進する効果が高まるため、帯電部に介在する導電性微粒子の粒子数が多いことが求められる。)には、導電性微粒子の現像剤に対する添加量を多くせざるを得なくなる。しかし、導電性微粒子の添加量を多くしすぎると、現像剤全体としての摩擦帯電能や現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を等の弊害を生ずる。また、導電性微粒子の粒径が大きいために、現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果が十分には得られない。転写残トナー粒子の回収を高めるために、導電性微粒子の潜像担持体上での存在量を大きくしすぎると、粒径が大きいために潜像形成工程への悪影響、例えば画像露光を遮ることによる画像欠陥を生じる場合がある。
【0129】
ここで、上記導電性微粒子の体積平均粒径及び粒度分布の測定法を例示する。コールター社製、LS-230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04μm〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布より導電性微粒子の体積平均粒径を算出する。測定手順としては、純水10cm3に微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0130】
現像剤(トナー)からの測定においては、純水100gに対して、微量の界面活性剤を添加して現像剤(トナー)を2g〜10g加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、遠心分離機等により、現像剤(トナー)粒子と上記導電性微粒子を分離する。磁性トナー粒子を有する磁性現像剤の場合は磁石を利用することもできる。分離した分散液を測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0131】
本発明者らは、導電性微粒子の粒径の検討から、さらに実際の現像剤の挙動に直接関与する、添加剤を含む現像剤の粒度分布の検討へ進めた。
【0132】
その結果、現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有する構成であることで、接触帯電による潜像担持体の帯電不良をより有効に防止することができ、直接注入帯電機構での潜像担持体の一様帯電性を向上させることができることがわかった。また、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収を高め、転写残トナー粒子の回収不良によるカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができることがわかった。その理由について次に説明する。
【0133】
本発明の現像剤が有する導電性微粒子は、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数墓準の粒度分布において、粒子径が1.00μm以上2.00μm未満の粒子を15個数%〜60個数%含有させることに寄与する。より具体的には、本発明の現像剤が有する導電性微粒子を、少なくとも1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を有するものとし、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粒子を現像剤中に含有させることにより、上記本発明の効果を得ることができる。本発明者らの検討によれば、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粒子が現像剤中に存在することにより、接触帯電における接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着・混入による潜像担持体の帯電不良を防止し、直接注入帯電における潜像担持体の一様帯電性を向上させ、現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における帯電不良および転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が大きいことが判明した。また、導電性微粒子の現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果には、導電性微粒子の粒径が大きく関与し、転写残トナー粒子の回収助剤として最適な導電性微粒子の粒径範囲が存在し、特に1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子径を有する導電性微粒子の含有量(個数%)が転写残トナー粒子の回収助剤として効果に深く関与することが判明した。
【0134】
1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粒子の粒子は、トナー粒子表面に強固に付着しにくく、現像工程において潜像担持体上の非画像部にまで十分に供給され、転写工程においてトナー粒子表面から積極的に遊離し、転写後の潜像担持面を経て効率良く帯電部に供給される。また、上記導電性微粒子は、帯電部において均一に分散して介在できることにより潜像担持体の帯電促進効果が高く、帯電部に安定して保持されるため、画像形成装置の長期にわたる繰り返し使用においても潜像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。また、帯電工程に接触帯電部材を用いた現像同時クリーニング画像形成方法のように、転写残トナー粒子による帯電部材の汚染が避けられない場合でも、潜像担持体の帯電性の低下を防止することができる。さらに、導電性微粒子の粒子が転写後の潜像担持面へ効率良く供給され、転写残トナー粒子の回収助剤として特に優れた効果を発揮することで、現像同時クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収性を高めることができる。
【0135】
上述したように、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が15個数%〜60個数%であることが好ましい。上記粒径測定範囲における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、帯電工程における潜像担持体の一様帯電性の向上を図ることができる。また、適度な量の導電性微粒子を帯電部に安定して存在させることができるため、後の露光工程において、導電性微粒子が潜像担持体上に過剰に存在することによる露光不良を防止することができる。現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性を充分に向上させることができにくくなり、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果を十分に発揮することが困難になることがある。また、現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合には、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給されるため、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が露光光を遮る程度までに潜像担持体上に排出され、露光不良による画像欠陥を生じたり、或いは飛散して機内を汚染する場合がある。
【0136】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒子径が1.00以上2.00μm未満の粒子の含有量は、20個数%〜50個数%であることがより好ましく、20個数%〜45個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性をより向上させ、且つ現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果がより高まる。更に、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給されることを防止し、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が多量に潜像担持体上に排出されることによる露光不良による画像欠陥の発生をより確実に抑制できる。
【0137】
上述したように、本発明の現像剤に、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有させるには、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粒子を現像剤中に含有させればよい。しかしながら、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子は上記導電性微粒子のみに限られるものではなく、トナー粒子や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもかまわない。
【0138】
本発明の現像剤に含有される少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子は、公知の製法によって得ることが可能であり、トナー製法及び製造条件(例えば、トナーの平均粒径や粉砕法によって作製される場合の粉砕条件)によって生じる1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の量は変化する。しかし、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、トナー粒子に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が10個数%を超えると、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子が有する摩擦帯電性が、平均粒径付近の粒径のトナー粒子が有する摩擦帯電性と大きく異なるため、トリボ分布(帯電量分布)がブロードになり、好ましくない。
【0139】
すなわち、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、導電性微粒子に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒子を5個数%〜60個数%含有することが好ましい。
【0140】
また、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することが好ましい。
【0141】
本発明の現像剤において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像して現像剤像を形成し、この現像剤像を転写材に転写することにより転写材上に現像剤像を形成するために、所定量が必要である。また、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子には、潜像担持体上に形成された静電潜像に静電的に付着し、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせることができる。
【0142】
3.00μm未満の粒子径の粒子は、過剰な帯電を保持するまたは過度に摩擦帯電電荷を減衰させる等、安定した摩擦帯電特性を持たせることが困難となる。そのため、潜像担持体上の静電潜像のない部分(画像の白地部)への付着量が多くなり易く、忠実に静電潜像を現像剤像として現像することが困難である。また、3.00μm未満の粒子径の粒子は、表面に凹凸を有する転写材(例えば、表面に繊維による凹凸を有する紙)に対しては良好な転写性を維持することが困難となるため、転写残トナー粒子が増大する。このため、転写残トナー粒子が潜像担持体に多量に付着した状態で帯電工程に供され、更には接触帯電部材に多量の転写残トナー粒子が付着・混入するため、潜像担持体の帯電が阻害され、導電性微粒子を介して接触帯電部材が潜像担持体と緻密な接触性を有することで潜像担持体の帯電性を高める本発明の効果を阻害する傾向がある。また、転写残トナー粒子の粒径が小さくなると、現像工程において転写残トナー粒子に働く機械的、静電的、さらに磁性トナーの場合には磁気的な回収力が小さくなるため、相対的に転写残トナー粒子と潜像担持体との付着力が大きくなり、現像工程での転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を生じやすくする傾向がある。
【0143】
また、8.96μm以上の粒子径の粒子は、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難である。一般に、現像剤の粒径が大きいほど得られる現像剤像の解像性が低いものになるが、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粒子を含有させた本発明の現像剤では、現像剤中に多くの導電性微粒子を含有するため、特に粒子径の大きいトナー粒子の摩擦帯電量がより低下し易くなり、8.96μm以上の粒子径の粒子には、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難となり、良好な解像性を有する現像剤像を得ることがより困難となる。
【0144】
従って、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせるトナー粒子を確保し、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粒子を含有させた本発明の現像剤を用いて、高画像濃度で解像性に優れた画像を得ることが可能となる。
【0145】
本発明において、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少ない場合には、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持つトナー粒子を確保することが困難となりやすい。このため、得られる画像は、カブリが多く、画像濃度が低いまたは解像性の低いものとなることがある。
【0146】
また、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合は、前述した1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量を本発明において規定する範囲内とすることが困難となる。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が本発明において規定する範囲内にあったとしても、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量に対して、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子が相対的に不足する。このため、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性を十分に向上させることができず、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が十分に得られなくなることがある。
【0147】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒子径が3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量は、20個数%〜65個数%であることがより好ましく、25個数%〜60個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性をより向上させ、現像同時クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果をより高めることができ、かつ高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得ることができる。
【0148】
上述したように、静電潜像を忠実に現像剤像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせる粒子を確保し、高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得るために、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子は、15個数%〜70個数%含有していることが好ましい。従って、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が、トナー粒子に起因することが望ましい。しかしながら、現像剤中の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子はトナー粒子のみに限られるものではなく、導電性微粒子や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもよい。
【0149】
また、本発明に使用できる現像剤は、重量平均粒径(D4)が4μm〜10μmであることが好ましい。現像剤の重量平均粒径が4μm未満の場合は、白地部にカブリを生じやすくなる。現像剤の重量平均粒径が10μmを超える場合には、現像剤担持体上で適切な電荷を均一付与することが困難になる場合がある。
【0150】
本発明において、現像剤の粒径及び粒度分布は、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)によって測定される円相当径を「粒径」と定義し、粒径0.60μm以上159.21μm未満の個数基準の粒度分布を用いて求められる値である。
【0151】
フロー式粒子像分析装置による測定は以下の方法によって行われる。フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として103cm3中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下とした水10ml中に希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に薄めたもの)を数滴加える。これに測定試料を適当量(例えば、0.5mg〜20mg)加え、超音波ホモジナイザー(出力50W、6mm径ステップ型チップ)で3分間分散処理を行い、測定試料の粒子濃度を7000個/10-3cm3〜10000個/10-3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)に調整した試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布及び円形度分布を測定する。重量平均粒径(D4)は、上記個数基準の粒度分布より換算にて求めた。
【0152】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル及び特開平8−136439号公報に記載されているが、以下の通りである。
【0153】
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射される。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
【0154】
また、それぞれの粒子の2次元画像から各粒子の周長が求められ、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の周長との比を算出することにより円形度分布が求められる。
【0155】
測定結果(粒度分布及び円形度分布の頻度%及び累積%)は、下記の表1に示す通り、0.06μm〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0156】
【表1】
【0157】
なお、本発明における現像剤の粒度分布は、上記測定方法と同様の測定原理を用いた他の装置によって測定されるものであってもよい。
【0158】
また、本発明の現像剤は、導電性微粒子の含有量が現像剤全体の0.5質量%〜10質量%であることが好ましい。導電性微粒子の含有量を上記範囲とすることにより、潜像担持体の帯電を促進するための適度な量の導電性微粒子を帯電部に供給することができ、現像同時クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性を高めるために必要な量の導電性微粒子を潜像担持体上に供給することができる。現像剤の導電性微粒子の含有量が上記範囲よりも小さい場合には、帯電部に供給される導電性微粒子の量が不足し易く、潜像担持体の安定した帯電促進効果が得られにくい。この場合、現像同時クリーニングを用いる画像形成においても、現像時に転写残トナー粒子とともに潜像担持体上に介在する導電性微粒子の量が不足し易く、転写残トナー粒子の回収性が十分には向上しない場合がある。また、現像剤の導電性微粒子の含有量が上記範囲よりも多い場合には、過剰の導電性微粒子が帯電部に供給され易く、帯電部に保持しきれない導電性微粒子が多量に潜像担持体上に排出されることによる露光不良を生じ易くなる。また、現像剤の摩擦帯電特性を低下させる、或いは乱し、画像濃度低下やカブリの増加の原因となる場合がある。このような観点から、現像剤の導電性微粉末の含有量は、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0159】
また、導電性微粒子の体積抵抗は、潜像担持体の帯電促進効果および転写残トナー粒子回収性の向上効果を現像剤に付与するために、100〜109Ω・cmであることが好ましい。導電性微粒子の体積抵抗が109Ω・cmを超える場合は、導電性微粒子を帯電部材と潜像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、導電性微粒子を介しての接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性を維持させても、潜像担持体の良好な一様帯電性を得るための帯電促進効果が小さくなる。現像同時クリーニングにおいても、導電性微粒子が転写残トナー粒子と同極性の電荷を帯び易くなり、導電性微粒子の電荷が転写残トナー粒子と同極性で大きくなると、転写残トナー粒子回収性の向上効果が低下することがある。
【0160】
導電性微粒子による潜像担持体の帯電促進効果を十分に引き出し、潜像担持体の良好な一様帯電性を安定して得るためには、導電性微粒子の体積抵抗が接触帯電部材の表面部或いは潜像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましく、この接触帯電部材の抵抗の1/100以下であることがさらに好ましい。
【0161】
更に、導電性微粒子の抵抗が101〜106Ω・cmであることが、絶縁性の転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による帯電阻害に打ち勝って、潜像担持体の一様帯電をより良好に行わせる上で、また、現像同時クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性の向上効果をより安定して得る上で好ましい。
【0162】
本発明において、導電性微粒子の体積抵抗は、錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加して抵抗値を計測し、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0163】
また、導電性微粒子は、透明、白色または淡色であることが、転写材上に転写される導電性微粒子がカブリとして目立たないため好ましい。潜像形成工程における露光光の妨げになることを防ぐ点からも、導電性微粒子は透明、白色或いは淡色であることが好ましい。さらに、導電性微粒子はこの静電潜像を形成する像露光光に対する透過率が30%以上であることが好ましい。この透過率は35%以上であることがさらに好ましい。
【0164】
以下、本発明における導電性微粒子の光透過性の測定方法の一例を示す。片面に接着層を有する透明なフィルムの接着層上に導電性微粒子を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射し、フィルム背面まで透過した光を集光してその光量を測定する。フィルムのみの場合と導電性微粒子を付着したときの光量の差に基づいて、正味の光量としての光透過率を算出した。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0165】
また、導電性微粒子は非磁性であることが好ましい。導電性微粒子が非磁性であることで、透明、白色または淡色の導電性微粒子が得られやすい。反対に、磁性を有する導電性材料は、透明、白色または淡色とすることが困難である。また、現像剤担持のために磁気力による現像剤の搬送及び保持を行う画像形成法においては、磁性を有する導電性微粒子は現像されにくいため、潜像担持体上への導電性微粒子の供給が不足したり、現像剤担持体表面に導電性微粒子が蓄積することにより、トナー粒子の現像を妨げる等の弊害を起こし易い。更に、磁性トナー粒子に磁性を有する導電性微粒子を添加すると、磁気的凝集力によりトナー粒子から導電性微粒子が遊離しにくくなる傾向があり、導電性微粒子の潜像担持体上への供給性が低下し易い。
【0166】
本発明における導電性微粒子としては、例えばカーボンブラック、グラファイトなどの炭素微粒子;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルなどの金属微粒子;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンなどの金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリなどの金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物などが必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。
【0167】
導電性微粒子は、これらの中でも酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが好ましい。更には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の無機酸化物を少なくとも表面に有する微粒子が特に好ましい。これらの酸化物は、導電性微粒子としての抵抗を低く設定することが可能であり、非磁性であり、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電性微粒子がカブリとして目立たないため好ましい。
【0168】
更に前述した、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体(現像スリーブ)との相乗により、現像剤の帯電性を向上する効果も出現させることができるという点でも好ましい。
【0169】
また、導電性微粒子が導電性無機酸化物からなる場合或いは導電性無機酸化物を含む場合には、抵抗値を制御する等の目的で、該導電性無機酸化物の主金属元素と異なるアンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させた金属酸化物や、導電性材料を用いることもできる。例えば、アルミニウムを含有する酸化亜鉛、アンチモンを含有する酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化チタン、硫酸バリウム或いはホウ酸アルミニウムの表面をアンチモンを含有する酸化スズで処理して得られる微粒子などである。導電性無機酸化物にアンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させる量としては、0.05〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0170】
また、該無機酸化物を酸素欠損型とした導電性無機酸化物も好ましく用いられる。
【0171】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0172】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0173】
特に好ましいものとしては、高い白色度或いは透光性が得られる点で、アルミニウムを含有する酸化亜鉛等の金属酸化物、酸素欠損型の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物、及びこれらを少なくとも表面に有する微粒子が挙げられる。
【0174】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が挙げられる。
【0175】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;例えば、アクリル酸又はアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル等のメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸又はマレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチル等のような二重結合を有するジカルボン酸エステル類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、ブタジエン又は塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のようなビニルエーテル類;等のビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0176】
ここで、架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等のような芳香族ジビニル化合物;例えぼエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0177】
結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点温度が上記範囲よりも低すぎると場合には現像剤の保存性が低下し、高すぎる場合には定着性に劣る。
【0178】
本発明で用いられるトナー粒子にワックス成分を含有させるのは好ましい形態のひとつである。これは、トナーの示差熱分析装置(DSC)によるDSCチャートの吸熱曲線において、最大吸熱ピークが70℃以上120℃未満の温度領域にあることが好ましいためである。この最大吸熱ピーク温度は、トナーの融点、即ちトナー中に含有されているワックスの融点に相当するものである。
【0179】
よって、本発明に使用できるトナー中に含有されるワックスとしては、融点が70℃以上120℃未満であることが好ましい。融点が70℃より低い場合には、トナー製造時における溶融混練の際に、樹脂との粘度差が大きいために、樹脂中で分散しにくかったり、相分離しやすくなったりするので、ワックスの分散性が悪化しやすくなる。融点が120℃を超える場合は、トナーの粘性が高くなりすぎる場合があり、やはりトナー中でのワックスの分散が不均一になりやすい。
【0180】
なお、上記トナーの融点の測定方法は、示差熱分析装置(DSC測定装置)として、DSC−7(パーキンエルマー社)を用いて、ASTM D3418―82に準じて測定する。
【0181】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/分での温度測定パターンにて、常温常湿度環境下で測定を行なう。そして、その最大吸熱ピークの温度、即ちトナーの融点を求める。
【0182】
本発明に用いられるトナー粒子に含有されるワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカブリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0183】
本発明においては、上記ワックスを結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲で用いられる。
【0184】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系染顔料等、従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用することができる。
【0185】
本発明の現像剤は、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgである磁性現像剤であることが好ましい。現像剤の磁化の強さは20〜35Am2/kgであることがより好ましい。
【0186】
本発明において磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定する理由は以下の通りである。通常、磁性体の磁気特性を表す量としては磁気飽和における磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明においては画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場における磁性現像剤の磁化の強さが重要であるためである。画像形成装置に磁性現像剤が適用される場合、磁性現像剤に作用する磁場は、画像形成装置外への磁場の漏洩を大きくしないため或いは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販されている多くの画像形成装置において数十から百数十kA/mであり、画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定した。
【0187】
現像剤の磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さい場合には、磁気力により現像剤搬送を行うことが困難となり、現像剤担持体上に均一に現像剤を担持しにくくなる場合がある。また、磁気力により現像剤搬送を行う場合には、一成分系磁性現像剤の穂立ちを均一に形成できないために、導電性微粒子の潜像担持体への供給性が低下し、転写残トナー粒子の回収性も低下する。磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きい場合には、トナー粒子の磁気凝集性が高まり、導電性微粒子の現像剤中での均一な分散及び潜像担持体への供給が困難となり、本発明の効果である潜像担持体の帯電促進効果又はトナー回収性促進効果が損なわれる。
【0188】
このような磁性現像剤を得るためには、トナー粒子に磁性体を含有させればよい。本発明において現像剤を磁性現像剤とするためトナー粒子に含有させる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属の合金及びその混合物が挙げられる。
【0189】
これらの磁性体の磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが好ましく用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対し、20〜200質量部で用いられる。このような磁性体の中でもマグネタイトを主とするものが特に好ましい。
【0190】
本発明において磁性現像剤の磁化の強さは、振動型磁力計VSM P−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定することができる。また、磁性体の磁気特性は、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0191】
本発明において現像剤は、荷電制御剤を含有することが好ましい。荷電制御剤のうち、現像剤を正荷電性に制御するものとして、例えば下記の物質がある。
【0192】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変成物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料、(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(1)で表されるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0193】
【化1】
〔式中、R1は水素原子またはCH3、R2及びR3は置換または未置換のアルキル基(好ましくはC1〜C4)〕
【0194】
特に下記一般式(2)で表される化合物が本発明の構成においては好ましい。
【0195】
【化2】
〔式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R7,R8,R9は、各々互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。A-は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テトラフルオロボレートなどの陰イオンを示す。〕
【0196】
また、現像剤を負荷電性に制御するものとして次の物質が挙げられる。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
【0197】
また、次に示した一般式(3)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0198】
【化3】
〔式中、Mは配位中心金属を表わし、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Fe等が挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基ハロゲン基、カルポキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基などがある。X、X’、Y、Y’は−O−、−CO−、−NH−又は−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。Kは水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウム、或いはなしを示す。〕
【0199】
特に中心金属としてはFe、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0200】
或いは、次の一般式(4)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。特に中心金属としてはFe、Al、Zn、Zr、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0201】
【化4】
【0202】
荷電制御剤を現像剤に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法とトナー粒子表面近傍に外添する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0203】
本発明において、現像剤に流動性を付与させるために、表面近傍に流動化剤が添加されていることが好ましい。
【0204】
該流動化剤としては、シリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体からなるグループから選択されたものが好ましい。
【0205】
本発明に使用できる現像剤には、環境安定性,帯電安定性,現像性,流動性,保存性向上及びクリーニング性向上のために、シリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ等の無機微粉体を外添、即ち現像剤表面近傍に存在していることが好ましい。特にこの中でも、シリカ微粉体が好ましい。
【0206】
例えば、かかるシリカ微粉体は珪素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO32-等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタン、等他の金属ハロゲン化合物を硅素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0207】
本発明で用いることのできる流動化剤としては、有機処理された無機微粉体を用いることもできる。このような有機処理方法としては、前記無機微粉体と反応あるいは物理吸着するシランカップリング剤,チタンカップリング剤等の有機金属化合物で処理する方法がある。このような処理を施すことにより、無機微粉体の疎水化が促進でき、特に高湿度下での環境安定性により優れたトナーを得ることができるため、好ましく用いることができる。有機処理に使用されるシランカップリング剤としては、例えばヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛の硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0208】
また、窒素原子を有するアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジプロピルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、モノブチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ジオクチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルジメトキシシラン、ジブチルアミノプロピルモノメトキシシラン、ジメチルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシリル−γ−プロピルフェニルアミン、トリメトキシシリル−γ−プロピルベンジルアミン等のシランカップリング剤も単独あるいは併用して使用される。好ましいシランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0209】
上記シランカップリング剤により無機微粉体を処理する方法としては、例えば、スプレー法、有機溶媒法、水溶液法等があるが、特に限定されるものではない。
【0210】
他の有機処理として、シリコーンオイルで処理された微粉体を用いることも可能である。好ましいシリコーンオイルとしては、250℃における粘度が0.5〜10000mm2/s、好ましくは1〜1000mm2/sのものが用いられ、例えば、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、クロルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリオキシアルキレン変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられるが、正帯電性現像剤に用いる場合、アミノ変性シリコーンオイル等の側鎖に窒素原子を有するシリコーンオイルを用いることが、より好ましい。
【0211】
本発明に用いられるシリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与え、また本発明に用いられるシリカ微粉体、酸化チタン微粉体及びアルミナ微粉体はトナー粒子100質量部に対して0.01〜8質量部使用されるのが良く、好ましくは0.1〜5質量部、特に好ましくは0.2〜3質量部が良い。0.01質量部未満では、現像剤の凝集を改善する効果が乏しくなり、その結果流動性指数が高くなる傾向があり、8質量部を超える場合では、流動化剤がトナー粒子表面に付着せずに、遊離した状態で存在するものが生じやすくなり、一成分系現像剤が均一で且つ適切な帯電量を維持することが困難になり、現像特性の低下等の弊害をもたらす場合がある。
【0212】
本発明に用いることのできる現像剤には、上記流動化剤以外の外添剤を更に加えて用いても良い。例えば、ポリフッ化エチレン、ステアリン酸亜鉛、ポリフッ化ビニリデンの如き滑剤、中でもポリフッ化ビニリデンが好ましい。あるいは酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。その他ケーキング防止剤、或いは、例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、又は逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0213】
これらの外添剤は、トナー粒子100質量部に対して、0.01〜10質量部(好ましくは0.1〜7質量部)使用するのが良い。
【0214】
本発明に係るトナー粒子を製造するにあたっては、上述したような構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、粉砕、分級、必要に応じてトナー形状調整等の表面処理を行ってトナー粒子を得る方法が好ましく、他には、特公昭56−13945号公報等に記載のディスク又は多流体ノズルを用い溶融混合物を空気中に霧化し球状トナー粒子を得る方法;結着樹脂溶液中に構成材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナー粒子を得る方法;特公昭36−10231号公報、特開昭59−53856号公報、特開昭59−61842号公報に述べられている懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表される乳化重合方法;樹脂微粒子及び着色剤等を溶液中において会合させてトナー粒子を生成させる会合重合法;単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法;あるいはコア材、シェル材から成るいわゆるマイクロカプセルトナーにおいて、コア材あるいはシェル材、またはこれらの両方に所定の材料を含有させる方法等の方法が応用できる。
【0215】
トナー粒子の形状調整のための処理としては、粉砕法により得られたトナー粒子を水中或いは有機溶液中に分散させ加熱或いは膨潤させる方法、熱気流中を通過させる熱処理法、機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などが挙げられる。機械的衝撃力を加える手段としては、例えばホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力又は/及び摩擦力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0216】
本発明においては、機械的衝撃を加える処理を行う場合には、処理時の雰囲気温度をトナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(Tg±30℃)とすることが、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、処理時の雰囲気温度がトナーのガラス転移点Tg±20℃の範囲の温度で、熱機械的衝撃によるトナー粒子の恭敬か処理を行うことが、導電性微粒子を有効に働かせるのに特に有効である。
【0217】
また、バッチ式の装置として、奈良機械(株)製として商品化されているハイブリタイゼーションシステムを用いるのも好ましい例の一つである。
【0218】
粉砕法により得られるトナー粒子の形状を制御するには、結着樹脂等のトナー粒子構成材料の選択及び粉砕時の条件を適宜設定することで可能であるが、気流式粉砕機でトナー粒子の円形度を高めようとすると生産性が低下し易く、機械式粉砕機を用いてトナー粒子の円形度を高める条件を設定することが好ましい。
【0219】
本発明においては、トナー粒子の粒度分布をシャープにしておくことが好ましく、そのため、分級工程において多分割分級機を用いることが生産性の点で好ましい。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の超微粒子を少なくするためには、粉砕工程において機械式粉砕機を用いることが好ましい。
【0220】
上記のようにして得られたトナー粒子に(外部)添加剤を加え混合機により混合し、さらに必要に応じ篩を通過させることで、本発明に係る現像剤を製造することができる。
【0221】
粉砕法によってトナー粒子を製造する場合に用いられる製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);lDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(8曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、この中でもクリプトロン、ターボミル等の機械式粉砕機を用いることがより好ましい。分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、この中でもエルボージェット等の多分割分級機を用いることがより好ましい。粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0222】
次に、本発明に関わる現像装置、現像剤担持体及び現像剤を好適に用いることができる本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
【0223】
本発明のプロセスカートリッジの第一の態様は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、前記潜像担持体に形成された静電潜像を、先述の現像剤を用いて現像することにより現像剤像を形成するための現像装置とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記現像剤を担持し、現像領域に搬送する先述の現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有し、前記帯電手段は、該帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とするものである。
【0224】
本発明のプロセスカートリッジの第二の態様は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像剤像として可視化し、この可視化された現像剤像を転写材に転写することにより画像形成をするためのプロセスカートリッジであって、該プロセスカートリッジは静電潜像を担持するための潜像担持体と、該潜像担持体を帯電するための帯電手段と、前記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が記録媒体たる転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するための現像装置とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成をとっており、前記現像剤は先述した構成からなり、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている前記現像剤を担持し、現像領域に搬送する先述の現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しているものである。
【0225】
また、本発明の画像形成装置の第一の態様は、(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤及び前記現像剤担持体は、先述の構成をとったものであり、前記帯電手段は、該帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうものである。
【0226】
本発明の画像形成装置の第二の態様は、(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置であって、前記現像剤及び前記現像剤担持体は、先述した構成をとったものであり、前記現像装置は、前記静電潜像を現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するものである。
【0227】
更に本発明の画像形成方法の第一の態様は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法であり、前記現像剤及び前記現像剤担持体は先述の構成をとっており、前記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なう方法である。
【0228】
本発明の画像形成方法の第二の態様は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、前記現像剤及び前記現像剤担持体は先述の構成をとっており、更に前記現像工程は、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程を有する画像形成方法である。
【0229】
即ち上記プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の夫々第一の態様は、帯電工程が少なくとも潜像担持体とこの潜像担持体に当接する帯電部材との当接部に、上記現像剤の成分が介在した状態で、帯電部材に電圧を引加することにより潜像担持体を帯電する、所謂接触帯電方法を用いたものである。
【0230】
また上記プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法の夫々第二の態様は、現像工程が現像剤像を転写材に転写した後に潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程を兼ねる、所謂現像同時クリーニング法を用いたものである。
【0231】
以下、本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法ついて詳細に説明する。
【0232】
まず、帯電工程は、帯電手段としてのコロナ帯電器等の非接触型の帯電装置、または被帯電体である潜像担持体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この帯電部材(以下「接触帯電部材」と表記する)に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性および電位に帯電させる接触帯電装置によって行われる。本発明においては、コロナ帯電器等の非接触型の帯電装置と比較して低オゾン、低電力等の利点がある接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0233】
また、潜像担持体上の転写残トナー粒子は、形成する画像のパターンに対応するものと、画像の形成されていない部分の、所謂カブリトナーに起因するものが考えられる。形成する画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、現像同時クリーニングでの完全な回収が困難であり、回収が不十分であると回収不良のトナー粒子がそのまま次に形成される画像に現れてパターンゴーストを生ずる。このような画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、転写残トナー粒子のパターンをならすことによって現像同時クリーニングでの回収性を大幅に向上させることができる。例えば、現像工程が接触現像プロセスであれば、現像剤を担持する現像剤担持体の移動速度と、現像剤担持体に接触している潜像担持体の均度に相対的速度差を持たせることで、転写残トナー粒子のパターンを均すと同時に転写残トナー粒子を効率良く回収することができる。しかしながら、画像形成中の電源の瞬断または紙詰まり時のように多量の転写残トナー粒子が潜像担持体上に残る場合には、転写残トナー粒子が潜像担持体上に残ったパターンで画像露光等の潜像形成を阻害するためのパターンゴーストを生ずる。これに対し、接触帯電装置を用いた場合は、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンを均すことで、現像工程が非接触現像プロセスであっても転写残トナー粒子を効率良く回収することができ、回収不良によるパターンゴーストの発生を防止することができる。また、多量の転写残トナー粒子が潜像担持体上に残る場合にも、接触帯電部材が一旦転写残トナー粒子を堰き止め、転写残トナー粒子のパターンを均して徐々に転写残トナー粒子を潜像担持体上に吐き出すことにより、潜像形成阻害によるパターンゴーストを防止することができる。多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に堰き止められる場合の接触帯電部材の汚染による潜像担持体の帯電性の低下に関しては、本発明の特定の現像剤を用いることで潜像担持体の一様帯電性の低下を実用上問題ない範囲にまで低減することができる。この点からも、本発明においては接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0234】
本発明においては、帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に、相対的速度差を設けることが好ましい。帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設けると、接触帯電部材と潜像担持体との間での大幅なトルクの増大、接触帯電部材及び潜像担持体表面の顕著な削れ等を生じるが、接触帯電部材と潜像担持体との接触部に現像剤が有する成分を介在させることにより、潤滑効果(摩擦低減効果)が得られ、大幅なトルクの増大や顕著な削れを伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0235】
また、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも上述の導電性微粒子を含有することが好ましい。更には、この接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粒子(本発明の画像形成に供される前の現像剤中の導電性微粒子)の含有比率よりも高いことがより好ましい。上記接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも導電性微粒子を含有することで、潜像担持体と接触帯電部材との間の導通路が確保され、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下を抑制することができる。また、上記接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粒子の含有比率よりも高いことにより、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下をより安定して抑制することができる。更に、本発明の現像剤を用いることで、帯電部において接触帯電部材と潜像担持体との相対移動速度を比較的大きく持たせた場合でも、優れた潤滑性を発揮する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を多く含む導電性微粒子が帯電部に供給されることで、接触帯電部材及び潜像担持体表面の削れ及び傷を抑制することができる。
【0236】
接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、直流電圧のみであっても潜像担持体の良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。このような交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、交番電圧は、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波の電圧であっても良い。このように、交番電圧としては、周期的にその電圧値が変化するような波形を有するバイアスが使用できる。
【0237】
本発明において、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、放電生成物を生じない範囲で印加することが好ましい。すなわち、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。また、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法であることが好ましい。
【0238】
現像同時クリーニング方法では、潜像担持体上に残余する絶縁性の転写残トナー粒子が接触帯電部材に接触し、付着或いは混入することで潜像担持体の帯電性が低下するが、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着した現像剤層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから、潜像担持体の帯電性の低下が急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体(潜像担持体)の一様帯電性が低下し、これが静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。放電帯電機構および直接注入帯電機構の帯電性低下のメカニズムに基づくと、少なくとも潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粒子を介在させることによる潜像担持体の帯電性低下の防止効果及び帯電促進効果は、直接注入帯電機構においてより顕著であり、直接注入帯電機構に本発明の現像剤を適用することが好ましい。
【0239】
すなわち、放電帯電機構において潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に少なくとも導電性微粒子を介在させることによって、転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入して形成するトナー層が帯電部材から潜像担持体への放電電圧を阻害する抵抗とならないようにするためには、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部およびその近傍の帯電領域に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粒子の含有比率をより大きくしなければならない。従って、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入する場合には、接触帯電部材に付着或いは混入したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗とならないように付着或いは混入する転写残トナー粒子量を制限するために、潜像担持体上により多くの転写残トナー粒子を吐き出さねばならず、潜像形成を阻害し易くなるのである。これに対し、直接注入帯電機構においては、少なくとも潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粒子を介在させることによって、容易に導電性微粒子を介して接触帯電部材と被帯電体との接触点を確保でき、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材と被帯電体との接触確率を低下させることを防止し、潜像担持体の帯電性の低下を抑制することができる。
【0240】
特に、接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける場合、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する現像剤成分全体の量が接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限されることで潜像担持体の帯電阻害をより確実に抑制し、かつ接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粒子が潜像担持体に接触する機会を格段に増加することで、接触帯電部材と潜像担持体のより高い接触性を得ることができ、導電性微粒子を介しての潜像担持体への直接注入帯電をより促進することができる。これに対して、放電帯電は潜像担持体と接触帯電部材との接触部ではなく、潜像担持体と接触帯電部材とが非接触で微小間隙を有する領域で放電が行われるため、接触部に介在する現像剤成分全体の量が制限されることによる帯電阻害を抑制する効果が期待できない。この観点からも、本発明においては直接注入帯電機構が支配的である帯電方法を用いることが好ましく、放電帯電機構に頼らない直接注入帯電機構が支配的である帯電方法を実現するために、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。
【0241】
接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動することによって速度差を設けることが好ましい。
【0242】
また、帯電部材の表面における移動方向と潜像担持体の表面における移動方向とは、互いに逆方向であることが好ましい。すなわち、帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動することが好ましい。接触帯電部材に持ち運ばれる潜像担持体上の転写残トナー粒子を接触帯電部材に一時的に回収し均す効果を高めるために、接触帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましい。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は潜像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。すなわち、逆方向回転で潜像担持体上の転写残トナー粒子を一旦潜像担持体から引き離し帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うこと、及び潜像形成の阻害を抑制することが可能である。更には、転写残トナー粒子のパターンをならす効果を高めることで、転写残トナー粒子の回収性を高め、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に防止することが可能となる。
【0243】
帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて相対的速度差をもたせることも可能である。しかし、直接注入帯電の帯電性は潜像担持体の移動速度と潜像担持体の移動遠度に対する帯電部材の相対移動速度との比に依存するため、逆方向と同じ相対移動速度比を得るには、順方向では帯電部材の移動速度が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が移動速度の点で有利である。また、転写残トナー粒子のパターンを均す効果においても、帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と逆方向に移動させる方が有利である。
【0244】
本発明においては、潜像担持体の移動速度と帯電部材の移動速度の比(相対移動速度比)は、10〜500%であることが好ましく、20〜400%であることがより好ましい。相対移動速度比が、上記範囲よりも小さい場合には、接触帯電部材と潜像担持体との接触確率を増加させることが十分にはできず、直接注入帯電による潜像担持体の帯電性を維持することが難しい場合がある。更に、上述の潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する導電性微粒子の量を接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限することにより潜像担持体の帯電阻害を抑制する効果、及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が十分には得られない場合もある。相対移動速度比が、上記範囲よりも大きい場合には、帯電部材の移動速度を高めることとなるために、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に持ち連ばれた現像剤成分が飛散することによる装置内の汚染を生じ易く、潜像担持体及び接触帯電部材が摩耗し易くなる、或いは傷の発生を生じ易くなり短寿命化する傾向がある。
【0245】
また、帯電部材の移動速度が0である場合(帯電部材が静止している状態)は、帯電部材の潜像担持体との接触点が定点となるため、帯電部材の潜像担持体への接触部の摩耗または劣化を生じ易く、潜像担持体の帯電阻害を抑制する効果及び転写残トナー粒子のパターンをならし、現像同時クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が低下しやすく好ましくない。
【0246】
ここで記述した相対的速度差を示す相対移動速度比は次式で表すことができる。なお、ここで帯電部材の移動速度をVc、潜像担持体の移動速度をVpとし、帯電部材の移動速度は接触部において帯電部材表面が潜像担持体表面と同じ方向に移動するときを潜像担持体の移動速度と同符号の値としている。
相対移動速度比(%)=|[(Vc−Vp)/Vp]×100|
【0247】
本発明においては、潜像担持体上の転写残トナー粒子を一時的に帯電部材に回収するとともに、導電性微粒子を帯電部材に担持し、潜像担持体と帯電部材との接触部を設けて直接注入帯電を優位に実行するために、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。また、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンをならすことで転写残トナー粒子の回収性を高める上でも、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。
【0248】
また、本発明においては、帯電部材に電圧を印加することにより潜像担持体を帯電するために、帯電部材は導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は弾性導電ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材、または導電性繊維からなるブラシであることが好ましい。帯電部材の構成が簡易化できる点で、帯電部材は弾性導電ローラ或いは導電性を有するブラシローラであることがより好ましく、帯電部材に付着或いは混入する現像剤成分(例えば、転写残トナー粒子や導電性微粉末)を飛散することなく安定して保持しやすい点で、帯電部材は弾性導電ローラであることが特に好ましい。
【0249】
ローラ部材としての弾性導電ローラの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と潜像担持体との接触部に介在する導電性微粒子が弾性導電ローラ表層を削る、或いは傷つけてしまうため、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電接触部を確保できないだけでなく、被帯電体(潜像担持体)表面へのミクロな接触性が悪くなるので、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。更には、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が低下して転写残トナー粒子の回収性を高めることができなくなる。そこで、帯電接触部及びならし効果が十分得られるように、潜像担持体への弾性導電ローラの接触圧を高めると、接触帯電部材或いは潜像担持体の削れ、傷等が発生し易くなる。これらの観点よりローラ部材としての弾性導電ローラのアスカーC硬度は20〜50の範囲であることが好ましく、25〜50の範囲であることがより好ましく、25〜40の範囲であることがさらに好ましい。ここで、アスカーC硬度は、JIS K6301で規定されるスプリング式硬度計アスカーC(高分子計器株式会社製)を用いて測定される硬度である。本発明においては、荷重を9.8Nとし、ローラの形態において測定を行なった。
【0250】
本発明においては、接触帯電部材としてのローラ部材表面は、導電性微粒子を安定して保持させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0251】
また、導電性弾性ローラは弾性を持たせて潜像担持体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する潜像担持体を充電するのに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では、潜像担持体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に、電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体等の潜像担持体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、導電性弾性ローラの抵抗は、103〜108Ω・cmであることが好ましく、104〜107Ω・cmであることがより好ましい。導電性弾性ローラの抵抗は、ローラに49N/mの当接圧があたるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することができる。
【0252】
例えば、導電性弾性ローラは芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作製される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成され、その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え導電性弾性ローラを作製することができる。
【0253】
導電性弾性ローラの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムやイソプレンゴム等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム材や、またこれらを発泡させたものが挙げられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0254】
導電性弾性ローラは被帯電体である潜像担持体に対して、弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設され、導電性弾性ローラと潜像担持体との接触部である帯電接触部が形成される。この帯電接触部の幅は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラと潜像担持体とが安定して密な密着性を得るために1mm以上、より好ましくは2mm以上であることが好ましい。
【0255】
また、本発明の帯電工程に用いられる帯電部材は、導電性繊維からなるブラシ(ブラシ部材)に電圧を印加することにより潜像担持体を帯電するものであっても良い。このような接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものを用いることができる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。導電材としては、一般に知られているものが使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀等の導電性金属或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタン等の導電性の金属酸化物、更にはカーボンブラック等の導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。なお、使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して上記導電材を適宜選択して用いる。
【0256】
接触帯電部材としての帯電ブラシには、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の帯電ブラシとしては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。導電性繊維は、繊維の太さが1デニール〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万本〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107本〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
【0257】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と像担持体との帯電接触部及びその近傍の導電性微粒子の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0258】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電性ローラの場合と同様に、潜像担持体の十分な帯電性と耐リークを得るためには103〜108Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは104〜107Ω・cmである。
【0259】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10を用いることが特に好ましい。
【0260】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粒子が潜像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましい。つまり、接触帯電部材が導電性微粒子を介して密に潜像担持体に接触して、接触帯電部材と潜像担持体の接触部に存在する導電性微粒子が潜像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による潜像担持体の帯電は、放電現象を用いない、導電性微粒子を介した安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となる。従って、導電性微粒子を介しての直接注入帯電を適用することにより、従来の放電帯電によるローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を潜像担持体に与えることができる。更に、接触帯電部材が可撓性を有していることで、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に供給された場合に、一時的に転写残トナー粒子を堰き止める効果及び転写残トナー粒子のパターンをならす効果が高まることで、潜像形成阻害及び転写残トナー粒子の回収不良による画像不良の発生をより確実に防止することができる。
【0261】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は、少なすぎると導電性微粒子による潤滑効果が十分に得られず、潜像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくなるため、接触帯電部材を潜像担持体に対して速度差を持って回転駆動させることが困難となる。つまり、導電性微粒子の介在量が少ないと駆動トルクが過大となり、無理に回転させると接触帯電部材や潜像担持体の表面が削れやすくなる。更に導電性微粒子による接触機会増加の効果が十分には得られないこともあり、潜像担持体の良好な帯電性能が得られない場合がある。一方、上記接触部における導電性微粒子の介在量が多すぎると、導電性微粒子の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し、画像露光の遮光等の潜像形成阻害を起こして作像上に悪影響が出やすい。
【0262】
本発明者らの検討によると、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は、103個/mm2以上であることが好ましく、104個/mm2以上であることがより好ましい。この導電性微粒子の介在量が103個/mm2以上であることで、駆動トルクが過大となることがなく、導電性微粒子による潤滑効果が十分に得られる。介在量が103個/mm2より低い場合は十分な潤滑効果と接触機会増加の効果が得られ難く、潜像担持体の帯電性の低下が生じる傾向がある。
【0263】
また、直接注入帯電方式を現像同時クリーニング画像形成における潜像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電性の低下が懸念される。転写残トナー粒子の帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電阻害に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量が104個/mm2以上であることが好ましい。介在量が104個/mm2より低いと、転写残トナー粒子が多い場合には潜像担持体の帯電性が低下しやすくなる傾向がある。
【0264】
帯電工程における潜像担持体上での導電性微粒子の存在量の適正範囲は、導電性微粒子をどれぐらいの密度で潜像担持体上に塗布することで、潜像担持体の均一帯電性の効果が得られるかによっても決定される。
【0265】
また、導電性微粒子の潜像担持体上での存在量の上限値は、導電性微粒子が潜像担持体上に1層が均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく、逆に帯電工程後に過剰の導電性微粉末が吐き出されることで露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0266】
塗布密度上限値は、導電性微粒子の粒径や接触帯電部材の導電性微粒子の保持性等によっても変わってくるために、一概にはいえないが、敢えて記述するならば導電性微粒子が潜像担持体上に1層が均一に塗布される量が上限とすることができる。
【0267】
導電性微粒子の潜像担持体上での存在量は、導電性微粒子の粒径等にもよるが、5×105個/mm2を超えると、導電性微粒子の潜像担持体からの脱落が著しく増加する傾向にあり、画像形成装置内を汚染するとともに、導電性微粉末自体の光透過性を問わず潜像担持体への露光量不足が生じる場合がある。この存在量が5×105個/mm2以下であれば、脱落する粒子量も低く抑えられ、導電性微粒子の飛散による装置内の汚染を低減するとともに、露光の阻害を改善できる。
【0268】
更に、現像同時クリーニング工程において、潜像担持体上での導電性微粒子の存在量による転写残トナー粒子の回収性の向上効果についても実験を行ったところ、帯電後現像前の潜像担持体上での導電性微粒子の存在量が102個/mm2を超えると、潜像担持体上に導電性微粒子が存在しない場合と比較して明らかに転写残トナー粒子の回収性が向上し、潜像担持体上に導電性微粒子が一層均一に塗布される程度まで画像欠陥のない現像同時クリーニングによる画像が得られた。転写後帯電前の潜像担持体上での導電性微粒子の存在量の場合と同様に、導電性微粒子の存在量が5×105個/mm2を超えるあたりから、徐々に導電性微粒子の潜像担持体からの脱落が顕著となり、潜像形成に影響を与えカブリが増加する傾向が見られた。
【0269】
すなわち、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量を103個/mm2以上に設定し、且つ潜像担持体上の導電性微粒子の存在量を102個/mm2以上とし5×105個/mm2を大きく超えないように設定することが、潜像担持体の帯電性が良好であり、転写残トナー粒子の回収性が良好であり、装置内汚染や露光阻害による画像欠陥のない画像を形成するためには好ましい。潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量は104個/mm2以上に設定することがより好ましい。
【0270】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量と潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量との関係は、(1)潜像担持体と接触帯電部材との接触部への導電性微粒子の供給量、(2)潜像担持体及び接触帯電部材への導電性微粒子の付着性、(3)接触帯電部材の導電性微粒子に対する保持性、(4)潜像担持体の導電性微粒子に対する保持性等の要因があるため、一概には決定されない。実験的には、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粒子の介在量が103〜106個/mm2の範囲において、潜像担持体上に脱落した粒子の存在量(潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量)を測ると102〜105個/mm2であった。
【0271】
帯電接触部での導電性微粒子の介在量及び潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粒子の存在量の測定方法について述べる。帯電部での導電性微粒子の介在量は接触帯電部材と潜像担持体の接触面部における値を直接測ること力好ましいが、接触部を形成する接触帯電部材の表面の移動方向が潜像担持体の表面の移動方向とは逆方向である場合、接触帯電部材に接触する前に潜像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量としている。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で潜像担持体及び弾性導電性ローラの回転を停止し、潜像担持体及び弾性導電性ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。弾性導電性ローラについては、弾性導電性ローラを潜像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、潜像担持体上の存在量についても潜像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0272】
潜像担持体上の導電性微粒子の存在量は、上記と同様の手段で転写後帯電前及び帯電後現像前の潜像担持体上を撮影して画像処理ソフトを用いて計測する。
【0273】
本発明において、潜像担持体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cm、より好ましくは1×1010〜1×1014Ω・cmであることにより、より良好な潜像担持体の帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ω・cm以下であることが好ましい。一方、潜像担持体として静電潜像を一定時間保持するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ω・cm以上であることが好ましい。高湿環境下においても微小な潜像まで乱されることなく静電潜像を保持するためには抵抗値として1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。
【0274】
更に、潜像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、潜像担持体に十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0275】
また、潜像担持体はアモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトであることが好ましく、アモルファスシリコン感光層、又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0276】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0277】
潜像担持体の表面抵抗を調整することで、更に安定して潜像担持体の均一な帯電を行うことができる。
【0278】
潜像担持体の表面抵抗を調整することによって電荷注入をより効率化或いは促進する目的で、電子写真感光体の表面に電荷注入層を設けることも好ましい。電荷注入層は、樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態が好ましい。
【0279】
本発明においては、潜像担持体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成工程及び潜像形成手段が、潜像担持体表面に静電潜像としての画像情報を像露光により書き込む工程及び像露光手段であることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0280】
潜像担持体は静電記録誘電体等であっても良い。この場合は、像担持体面としての誘電体面を所定の極性、電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0281】
また、本発明においては、現像剤を担持する現像剤担持体表面は、潜像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合、潜像担持体の移動速度に対して比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると画像品質が悪くなる場合がある。
【0282】
現像剤担持体表面の移動速度の、潜像担持体表面の移動速度に対する移動速度比が100%以上(現像剤担持体表面の移動速度が、潜像担持体表面の移動逮度よりも大きいまたは同じ)であれば、現像剤担持体側から潜像担持体側へのトナー粒子の供給が十分に行われるため、十分な画像濃度を得易く、導電性微粒子の供給も十分に行われるため、潜像担持体の良好な帯電性を得ることができる。
【0283】
更に、現像剤担持体表面の移動速度が潜像担持体表面の移動速度に対し、1.05倍〜3.0倍の速度であることがより好ましい。移動速度比が高まるほど現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、転写残トナー粒子の回収性が向上し、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に抑制することができる。更には、潜像に忠実な画像が得られる。また、接触現像プロセスにおいては、移動速度比が高まるほど潜像担持体と現像剤担持体との摺擦により転写残トナー粒子の回収性がより向上する。しかし、移動速度比が上記範囲を大きく超えると、現像剤担持体上からの現像剤の飛散によるカブリ、画像汚れを生じ易くなり、接触現像プロセスでは潜像担持体あるいは現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易くなる。現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤層厚規制部材が現像剤を介して現像剤担持体に当接されている場合には、現像剤層厚規制部材または現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易い。上記観点から、現像剤担持体表面の移動速度が潜像担持体表面の移動速度に対し、1.1倍〜2.5倍の遠度であることがさらに好ましい。
【0284】
本発明において、非接触型現像方法を適用するために、現像剤担持体の潜像担持体に対する所定の離間距離よりも、現像剤担持体上の現像剤層を薄く形成することが好ましい。本発明によって、従来は困難であった非接触型現像方法を用いた現像同時クリーニング画像形成を高い画像品位で実現することが可能となった。現像工程において、潜像担持体に対して現像剤層を非接触とし、潜像担持体の静電潜像を現像剤画像として可視化する非接触型現像方法を適用することで、電気抵抗値が低い導電性微粒子を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが潜像担持体へ注入することによる現像カブリが発生しない。そのため、良好な画像を得ることができる。
【0285】
また、現像剤担持体は潜像担持体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像剤担持体の潜像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも小さすぎると、離間距離の振れに対する現像剤の現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像剤担持体の潜像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも大きいと、潜像担持体上の潜像に対するトナー粒子の追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招きやすい。また、潜像担持体上への導電性微粒子の供給性が低下し易く、潜像担持体の帯電性が低下し易くなる。より好ましくは、現像剤担持体は潜像担持体に対して100〜600μmの離間距離を有して対向して設置されることである。現像剤担持体の像担持体に対する離間距離が100〜600μmであることで、現像同時クリーニング工程における転写残トナー粒子の回収性がより優位に行える。離間距離が上記範囲よりも大きいと、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。
【0286】
本発明では、現像剤担持体と潜像担持体との間に交番電界(交流電界)を形成して現像を行う現像工程で現像されることが好ましい。交番電界は現像剤担持体と像担持体との間に交番電圧を印加することにより形成することができる。印加する現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。
【0287】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0288】
現像剤を担持する現像剤担持体と潜像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100Hz〜5000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することが好ましい。現像バイアスを印加することにより上記範囲の交流電界を形成することで、現像剤中に添加された導電性微粒子が均等に潜像担持体側に移行されやすく、帯電部において導電性微粒子を介しての接触帯電部材と潜像担持体との均一かつ緻密な接触を得ることで、潜像担持体の一様帯電(特に直接注入帯電)を顕著に促進することができる。また、交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤担持体と潜像担持体間に高電位差がある場合でも、現像部における潜像担持体への電荷注入が生じないため、導電性微粒子を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが潜像担持体へ電荷注入することによる現像かぶりが発生せず、良好な画像を得ることができる。現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さいと、潜像担持体に供給される導電性微粒子の量が不足しやすく、潜像担持体の一様帯電性が低下し易い。また、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。一方、交流電界の強度が上記範囲よりも大きいと、現像力が大き過ぎるために細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低下及び潜像担持体の帯電性の低下を生じ易く、現像バイアスの潜像担持体へのリークによる画像欠陥を生じ易くなる。また、現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さいと、潜像担持体に均一に導電性微粒子が供給されにくく、潜像担持体の一様帯電のむらを生じ易くなる。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きすぎると、潜像担持体に供給される導電性微粒子の量が不足しやすく、潜像担持体の一様帯電性が低下し易い。
【0289】
さらに、現像剤を担持をする現像剤担持体と潜像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で4×106〜10×106V/m、周波数500〜4000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することがより好ましい。上記範囲の交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤中に添加された導電性微粒子が均等に潜像担持体側に移行されやすく、転写後の潜像担持体に均一に導電性微粒子を塗布することができ、非接触型現像方法を適用した場合においても高い転写残トナー粒子の回収性が維持できる。
【0290】
現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さいと、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さいと、潜像に対するトナーの脱着頻度が少なくなり、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下しやすく、画像品質も低下し易い。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きいと、電界の変化に追従できるトナー粒子が少なくなるために、転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストを生じ易くなる。
【0291】
本発明において、転写工程は現像工程によって形成された現像剤画像を中間転写体に転写した後に、紙等の記録媒体に再転写する工程であっても良い。すなわち、潜像担持体から現像剤画像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの記録媒体に再度転写することで現像剤画像が得られる。中間転写体を適用することで厚紙等の種々の記録媒体に関わらず、潜像担持体上の転写残トナー粒子量を低減できる。
【0292】
また、本発明において、転写時に転写部材が転写材(記録媒体)を介して潜像担持体に当接していることが好ましく良い。
【0293】
潜像担持体と転写材を介して転写手段を当接しながら潜像担持体上の現像剤画像を転写材に転写する接触転写工程では、転写手段の当接圧力としては線圧2.94〜980N/mであることが好ましく、より好ましくは19.6〜490N/mである。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも小さすぎると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、潜像担持体表面の劣化やトナー粒子の付着を招き、結果として感光体表面へのトナー融着を生じる場合がある。
【0294】
また、接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が好ましく使用される。転写ローラは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有し、導電性弾性層はポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)の如き弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化硅素のごとき導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層等による弾性体であることが好ましい。
【0295】
転写ローラでの好ましい転写プロセス条件としては、転写ローラの当接圧が2.94〜490N/mであり、より好ましくは19.6〜294N/mである。当接圧力としての線圧が上記範囲よりも小さすぎる場合には、転写残トナー粒子が増加し潜像担持体の帯電性を阻害し易くなる。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも大きすぎると、押圧力により導電性微粒子が転写材に転写され易くなり、導電性微粒子の潜像担持体または接触帯電部材への供給量が減少することで、潜像担持体の帯電促進効果が低下し、現像同時クリーニングでの転写残トナー粒子の回収性が低下する。また、画像上でのトナーの飛び散りが増加する。
【0296】
転写材を介して像担持体に転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写工程では、印加される直流電圧は±0.2〜±10kVであることが好ましい。
【0297】
また、本発明は、潜像担持体として直径が30mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、転写工程後かつ帯電工程前に独立したクリーニング工程を有さないことで、帯電、露光、現像、転写各工程の配置の自由度が高まり、直径が30mm以下の小径の感光体と組み合わせて、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成できる。ベルト状感光体でも同様に各工程の配置の自由度が高まることで、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成する上で、当接部での曲率半径が25mm以下の感光体ベルトを用いた画像形成装置に対しても有効である。
【実施例】
【0298】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0299】
まず、現像剤に含有されるトナー粒子の製造例、導電性微粒子の例及び現像剤の製造例について述べる。
【0300】
<トナー粒子の製造例1>
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸モノブチル共重合体(共重合比75:15:10、Mn=5000、Mw=30万、Tg=58℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及びフィッシャートロプシュワックス(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が6.9μmの負帯電性トナー粒子1(T−1)を得た。また、DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは96℃に存在していた。
【0301】
<トナー粒子の製造例2>
結着樹脂としてテレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAをモル比で33:14:7:24:22加え、縮合重合して得られたポリエステル樹脂(酸価:28、水酸基価:10、Mn=6000、Mw=40万、Tg=60℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸の鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及び低分子量ポリプロピレン(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が7.5μmの負帯電性トナー粒子2(T−2)を得た。DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは114℃に存在していた。
【0302】
<トナー粒子の製造例3>
結着樹脂としてスチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸モノブチル共重合体(共重合比75:15:10、Mn=5000、Mw=30万、Tg=58℃)100質量部、磁性粉としてマグネタイト(磁場795.8kA/m下で飽和磁化が85Am2/kg、残留磁化が6Am2/kg、抗磁力が5kA/m)90質量部、モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤)2質量部及びフィッシャートロプシュワックス(離型剤)4質量部をヘンシェルミキサーにて混合し、混合物を130℃に加熱した二軸混練押し出し機により溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、機械式粉砕装置を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒度分布から求められる重量平均粒径(D4)が6.0μmの負帯電性トナー粒子3(T−3)を得た。なお、DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは97℃に存在していた。
【0303】
<トナー粒子の製造例4>
磁性粉の代わりに、着色剤としてカーボンブラックを7質量部用いる以外は、トナー粒子の製造例1と同様にして重量平均粒径が6.8μmの負帯電性トナー粒子4を得た。DSCチャートの吸熱曲線において、最大吸収ピークは94℃に存在していた。
【0304】
<トナー粒子の製造例5>
トナー粒子の製造例1において、粉砕及び分級条件を変えることによって0.60μm以上159.21μm未満の粒度分布から求められる重量平均粒径8.7μmの負帯電性トナー粒子5(T−5)を得た。
【0305】
<トナー粒子の製造例6>
トナー粒子の製造例1において、粉砕及び分級条件を変えることによって0.60μm以上159.21μm未満の粒度分布から求められる重量平均粒径9.5μmの負帯電性トナー粒子6(T−6)を得た。
【0306】
<導電性微粒子の例1〜7>
酸化亜鉛の一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって導電性酸化亜鉛微粒子(C−1〜C−7)を得た。これらの粒子はすべて白色であった。なお、これらの導電性微粒子の物性値については、表2に挙げた通りである。
【0307】
<導電性微粒子の例8、9>
酸化スズの一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって導電性酸化亜鉛微粒子(C−8、C−9)を得た。これらの粒子はすべて白色であった。物性値については、表2に挙げた。
【0308】
<導電性微粒子の例10>
酸化チタンの一次粒子を圧力により造粒後、風力分級することによって粗粒子を取り除いた後、水系に分散して濾過を繰り返すことで微粒子を除くことで、白色の酸化チタン微粒子(C−10)を得た。物性値については、表2に挙げた。
【0309】
【表2】
【0310】
<現像剤の製造例1>
磁性トナー粒子T−1を100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル及びヘキサメチルジシラザンによって表面処理を行なったシリカ微粒子(BET比表面積300m2/g)を1.0質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子(体積平均粒径は1.0μm)を0.6質量部及び前記導電性酸化亜鉛微粒子C−1を1.0質量部添加し、ヘンシェルミキサーにて均一に混合して負帯電性磁性現像剤(D−1)を得た。
【0311】
得られた磁性現像剤D−1の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布は、発明の実施の形態で述べようにフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いた方法で測定した。より詳細に記述すると、内径30mm、高さ65mmの硬質ガラス製ネジ口瓶(例えば、日電理化硝子株式会社製30ml用ネジ口瓶SV−30)に、フィルターを通して微細なごみを取り除いた水(円相当径0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒子数が103cm3中に測定20個以下とすることが好ましい)10mlと、希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に希釈したもの)を数滴加えた。これに測定試料を測定円相当径範囲の粒子を対象として測定試料の粒子濃度が7000〜10000個/103cm3となるように適当量(例えば、0.5〜20mg)加え、超音波ホモジナイザーで3分間分散処理(出力50W、周波数20kHzの株式会社エスエムテー社製ULTRA SONIC HOMOGENIZER UH−50に6mm径ステップ型チップを適用し、パワーコントロールボリュームの目盛りを7に設定して、すなわち同チップを用いた場合の最大出力の半分程度の分散力で処理)を行った試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布を測定した。得られた粒度分布から、1.00μm以上2.00μm未満、3.00μm以上8.96μm未満の各粒径範囲の粒子の含有量(個数%)を求めた。なお、粒度分布等のデータに関しては、表3に記載した。
【0312】
<現像剤の製造例2〜17>
磁性トナー粒子を100質量部に対し、ジメチルシリコーンオイル及びヘキサメチルジシラザンによって表面処理を行なったシリカ微粒子(BET比表面積300m2/g)を1.0質量部、チタン酸ストロンチウム微粒子(体積平均粒径は1.0μm)を0.6質量部及び導電性微粒子を添加し、ヘンシェルミキサーにて均一に混合して負帯電性磁性現像剤(D−2〜D−13、D−15〜D−17)及び負帯電性非磁性現像剤(D−14)を得た。そして、現像剤の製造例1と同じようにして、得られた現像剤の粒度分布測定を行なった。処方及び粒度分布データについては、表3に挙げた通りである。
【0313】
【表3】
【0314】
<現像剤担持体の製造例1>
ビッカース硬度(Hv)が100、外径20mm、肉厚0.65mmのアルミニウムスリーブ素管を用い、まずその表面をブラスト処理した。ブラスト砥粒として、粒径が25μmの球形ガラスビーズを用い、次のようにしてブラスト処理を行った。
【0315】
ガラスビーズを0.6s-1(36rpm)で回転しているスリーブに対して、スリーブから距離150mmの位置の7mm径のノズル4本より4方向から、ブラスト圧:各2.5kg/cm2で9秒間(トータル36秒間)吹き付けた。ブラスト処理後、スリーブ素管に残存しているブラスト砥粒を取り除くためにスリーブ表面を洗浄し、その後乾燥させた。乾燥/空冷後、スリーブの表面粗さ測定を行なったところ、Raは0.73μmであった。
【0316】
次に、メッキ前処理として、上記ブラストスリーブの表面をジンケート処理をして、表面に亜鉛を付着させた。このジンケート処理には、市販ジンケート処理剤(商品名:シューマ K−102,日本カニゼン株式会社製)を用いた。
【0317】
その後、上述の表面をジンケート処理スリーブをNi−Pメッキ液中に浸して7μm厚の無電界Ni−Pメッキ層を形成させた。Ni−Pメッキ層中のP濃度は10.3質量%で行なった。無電界Ni−Pメッキ液としては、市販のメッキ液(商品名:S−754,日本カニゼン株式会社製)を用いた。なお、Ni−Pメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは500、表面粗さは、Raで0.75μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体1(S−1)を製造した。該現像剤担持体1(S−1)の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0318】
<現像剤担持体の製造例2>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをCrメッキ液に浸してメッキ処理を行い、5μm厚のCrメッキ層を形成した。Crメッキ液としては市販品の触媒無水クロル酸液を用いた。Crメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは800、表面粗さは、Raで0.67μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体2(S−2)を製造した。該現像剤担持体2(S−2)の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0319】
<現像剤担持体の製造例3>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをNi−Bメッキ液中に浸して10μm厚の無電界Ni−Bメッキ層を形成した。Ni−Bメッキ層中のB濃度は6.1質量%にて実施した。なお、無電界Ni−Bメッキ液としては、硫酸ニッケル、ジメチルアミノボランおよびマロン酸ナトリウムの弱酸性溶液を用いた。Ni−Bメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは610、表面粗さは、Raで0.59μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体3(S−3)を製造した。S−3の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0320】
<現像剤担持体の製造例4>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをPd−Pメッキ液中に浸して12μm厚の無電界Pd−Pメッキ層を形成した。なお、無電界Pd−Pメッキ液としては、塩化パラジウム、ジメチルアミノボランおよび塩酸からなるの弱酸性溶液を用いた。Ni−Bメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは720、表面粗さは、Raで0.57μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体4(S−4)を製造した。S−4の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0321】
<現像剤担持体の製造例5>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブをモリブデン酸溶液中に浸して、スリーブ表面に5μmの厚さの皮膜を形成した。モリブデン層が形成されたスリーブの硬さHvは350、表面粗さは、Raで0.64μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体5(S−5)を製造した。S−5の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0322】
<現像剤担持体の製造例6>
ビッカース硬度(Hv)が180、外径20mm,肉厚0.65mmのSUSスリーブを用い、まずその表面をブラスト処理した。ブラスト条件については、ブラスト圧を4.0kg/cm2に変更する以外は、現像剤担持体の製造例1のアルミニウムスリーブの場合と同条件にて実施した。ブラスト処理のあと乾燥/空冷を行ない、スリーブの表面粗さ測定を行なったところ、Raは0.75μmであった。このスリーブを現像剤担持体の製造例1の場合と同じようにしてNi−Pメッキ層を形成した。メッキ層形成後のスリーブの硬さHvは600、表面粗さは、Raで0.75μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体6(S−6)を製造した。S−6の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0323】
<現像剤担持体の製造例7>
現像剤担持体の製造例1にて、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、現像剤担持体7(S−7)を得た。S−7の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0324】
<現像剤担持体の製造例8>
現像剤担持体の製造例2にて、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例2と同様にして製造を行ない、現像剤担持体8(S−8)を得た。S−8の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0325】
<現像剤担持体の製造例9>
現像剤担持体の製造例1に記載したようにして得られた、表面をジンケート処理したアルミニウムスリーブを硫酸銅浴に浸してメッキ処理を行ない、0.7μm厚のCuメッキ層を形成した。Cuメッキ層が形成されたスリーブの硬さHvは230、表面粗さは、Raで0.72μmであった。このようにして表面にメッキ層を設けたスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体9(S−9)を製造した。S−9の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0326】
<現像剤担持体の製造例10>
現像剤担持体の製造例1にて使用したアルミニウムスリーブ素管をブラスト処理を行わずに、そのままスリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体10(S−10)とした。このスリーブの表面粗さは、Raで0.10μmであった。S−10の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0327】
なお、表4において表面Ra値が「カッコ」で記載してあるのは、表面に層形成を行なわなかったので、もともとの素管の表面粗さを記したためである(これは、後述するS−13も同じである)。
【0328】
<現像剤担持体の製造例11>
上記現像剤担持体10(S−10)を用いてメッキ処理を行なった。メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、Ni−Pメッキ層を表層に有する現像剤担持体11(S−11)を得た。S−11の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0329】
【表4】
【0330】
<現像剤担持体の製造例12>
現像剤担持体の製造例1において、表面をブラスト処理するためのブラスト砥粒として、粒径が150μmの球形ガラスビーズを用いる以外は同じ条件にて、アルミニウムスリーブ素管のブラスト処理を行った。得られたブラストスリーブを、メッキ時の条件を変える以外は現像剤担持体の製造例1と同様にして製造を行ない、Ni−Pメッキ層を表層に有する現像剤担持体12(S−12)を得た。S−12の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0331】
<現像剤担持体の製造例13>
現像剤担持体の製造例1にて使用した、メッキ層を設ける前のアルミニウムスリーブ(ブラストスリーブ)を用い、スリーブ内部にマグネットローラを組み込み、フランジを取り付けることによって、現像剤担持体13(S−13)とした。S−13の処方及び表面硬度/粗さデータについては、表4に記した。
【0332】
<実施例1>
図10に模式的に示した画像形成装置を用いて画像評価を行なった。この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像同時クリーニングプロセス(クリーナレスシステム)のレーザプリンタ(記録装置)である。クリーニングプレードなどのクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカートリッジを有し、現像剤としては磁性一成分系現像剤(すなわち、外添剤と磁性トナー粒子を有する磁性トナー)を使用し、現像剤担持体上の現像剤層と潜像担持体とが非接触となるように配置された非接触現像の画像形成装置である。
【0333】
(1)画像形成装置の構成
1は潜像担持体としてのOPC感光体であり、時計方向(矢印の方向)に230mm/sの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0334】
2は接触帯電部材としての帯電ローラである。これは、直径6mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整えたもので、直径16mmの可撓性を有する発泡ウレタンローラを有する帯電ローラである。この帯電ローラは、発泡ウレタンローラの抵抗が105Ω・cmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。
【0335】
帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラ2との当接部である帯電部である。本実施例では、帯電ローラ2は感光体1との当接部である帯電部nにおいて対向方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に235mm/s(相対移動速度比200%)の周速度で回転駆動されている。また、帯電ローラ2の表面には、塗布量がおよそ一層で均一になるように、導電性微粒子C−1をあらかじめ塗付した。
【0336】
また帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加した。本実施例では、感光体1の表面は帯電ローラ2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式によって一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0337】
3はレーザダイオード、ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)である。このレーザビームスキャナは、目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザ光(波長740nm)を出力し、該レーザ光Lで感光体1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により回転感光体1に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0338】
4は現像装置である。感光体1表面の静電潜像がこの現像装置により現像剤像として現像される。本実施例の現像装置4は、現像剤4dとして負帯電性一成分絶縁現像剤である現像剤D−1を用いた、非接触型の反転現像装置である。
【0339】
4aは現像剤担持体(現像スリーブ)であり、マグネットロール4bを内包させてある。この現像スリーブ4aは、感光体1に対して300μmの間隙を保って対向配設され、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の回転方向と順方向に感光体1の周速の120%の周速(周速度282mm/s)で回転される。
【0340】
この現像スリーブ4a上に、現像剤4dが現像剤層厚規制部材であるウレタンゴム製の弾性ブレード4cによって薄層にコートされる。現像剤1は、弾性ブレード4cによって現像スリーブ4上での層厚が規制されるとともに電荷が付与される。
【0341】
現像スリーブ4aにコートされた現像剤4dは、スリーブ4aが回転することによって、感光体1と当該スリーブ4aとの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには、現像バイアス印加電源S2により現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は−420Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧とを重畳したものを用いて、現像スリーブ4aと感光体1との間で一成分のジャンピング現像を行った。
【0342】
5は接触転写手段としての中抵抗の転写ローラであり、感光体1に98N/mの線圧で圧接させて転写部位bを形成している。この転写部位bに図示していない給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ5に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側の現像剤像が転写部位bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0343】
本実施例では、転写ローラ5は抵抗が5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写部位bに導入された転写材Pはこの転写部位bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されている現像剤像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0344】
6は熱定着方式等の定着装置である。転写部位bに給紙され感光体1側の現像剤像の転写を受けた転写材Pは、感光体1の表面から分離されてこの定着装置6に導入され、現像剤像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0345】
本例の画像形成装置はクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対する現像剤像転写後の感光体1の表面に残留した転写残りの現像剤(転写残トナー粒子)はクリーニング手段で除去されることなく、感光体1の回転に伴い帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0346】
本例の画像形成装置は、感光体1、帯電ローラ2、現像装置4の3つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ7として構成してある。本発明においてはプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。なお、8はプロセスカートリッジ着脱案内・保持部材である。
【0347】
(2)導電性微粒子の挙動
現像装置4の現像剤4dに混入された導電性微粒子mは、感光体1側の静電潜像の現像装置4による現像時に、トナー粒子tとともに適当量が感光体1側に移行する
感光体1上の現像剤像(すなわちトナー粒子)は、転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移する。しかし、感光体1上の導電性微粉末mは導電性であるため転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0348】
本実施例においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体1の表面に残存した転写残トナー粒子および導電性微粒子は、感光体1の回転に伴って、感光体1と接触帯電部材である帯電ローラ2の接触部である帯電部nに持ち運ばれて、帯電ローラ2に付着或いは混入する。従って、感光体1と帯電ローラ2との接触部nにこの導電性微粒子mが存在した状態で感光体1の直接注入帯電が行われる。
【0349】
この導電性微粒子mの存在により、帯電ローラ2に転写残トナー粒子が付着・混入した場合でも、帯電ローラ2の感光体1への綴密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ2による感光体1の直接注入帯電を行わせることができる。
【0350】
つまり、帯電ローラ2が導電性微粒子mを介して密に感光体1に当接し、この導電性微粒子mが感光体1表面を隙間なく摺擦する。これにより、帯電ローラ2による感光体1の帯電を、放電現象を用いない、安定かつ安全な直線注入帯電が支配的とすることが可能になり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られる。従って、帯電ローラ2に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。
【0351】
また帯電ローラ2に付着或いは混入した転写残トナー粒子は、帯電ローラ2から徐々に感光体1上に吐き出され、感光体1表面の移動に伴って現像部aに至り、現像装置4において現像同時クリーニング(回収)される。
【0352】
現像同時クリーニングは、転写後に感光体1上に残留したトナー粒子を、画像形成工程の次回以降の現像時(現像後、再度帯電工程、露光工程を介した後の潜像の現像時)において、現像装置のカブリ取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるカブリ取り電位差Vback)によって回収するものである。本実施例における画像形成装置のように、反転現像の場合、この現像同時クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナー粒子を回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位ヘトナー粒子を付着させる(現像する)電界の作用でなされる。
【0353】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像装置4の現像剤に含有された導電性微粒子mが、現像部aで感光体1表面に移行し、感光体1表面の移動に伴って転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれることによって、帯電部nに新しい導電性微粒子mが逐次供給され続けるため、帯電部nにおいて導電性微粒子mが脱落等で減少したり、帯電部nの導電性微粒子mが劣化するなどしても、帯電性の低下が生じることが防止されて感光体1の良好な帯電性が安定して維持される。
【0354】
かくして、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ2を用いて、潜像担持体としての感光体1に均一な帯電性を低印加電圧で与えることができる。しかも、該帯電ローラ2が転写残トナー粒子により汚染されるにも拘わらず、オゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることができる。よって、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0355】
また、本実施例では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが感光体1に注入されることがなく、良好な画像を得ることができる。また、現像部aにおいて感光体1への電荷注入が生じないため、交流バイアスなど現像スリーブ4aと感光体1との間に高電位差を持たせることが可能となる。これにより導電性微粒子mが均等に現像されやすくなるため、均一に導電性微粒子mを感光体1表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることができる。
【0356】
帯電ローラ2と感光体1との接触面に介在された導電性微粒子の潤滑効果(摩擦低減効果)により、帯電ローラ2と感光体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。この潤滑効果により、帯電ローラ2と感光体1との摩擦を低減し、駆動トルクを低減し、帯電ローラ2や感光体1の表面の削れあるいは傷を防止できる。また、この速度差を設けることにより、帯電ローラ2と感光体1の相互接触部(帯電部)nにおいて導電性微粒子が感光体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができる。よって、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0357】
本実施例では、帯電ローラ2を回転駆動し、その回転方向は感光体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体1上の転写残トナー粒子を帯電ローラ2に一時的に回収し、帯電部nに介在する転写残トナー粒子の存在量を均す効果を得ている。このため、転写残トナー粒子の帯電部nでの偏在による帯電不良の発生が防止され、より安定した帯電性が得られる。
【0358】
さらに、帯電ローラ2を逆方向に回転することによって、感光体1上の転写残トナー粒子を感光体1から一旦引き離して帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うことが可態である。また、導電性微粒子の帯電ローラ2からの過度の脱落による帯電性の低下をより起こし難くすることができる。
【0359】
(3)評価
トナーカートリッジ内には1650gの現像剤D−1を充填して、5%カバレッジの画像の3万枚の連続プリントを、常温常湿度環境下(23℃/50%RH)にて実施した。なお、転写材としては90g/m2のLTRサイズの普通紙を用いた。その結果、初期および3万枚の連続プリント後においても画像濃度が十分に高く、カブリが少なく、また現像性の低下は見られなかった。
【0360】
また、3万枚の連続プリント後、帯電ローラ2上で感光体1との接触部nに対応する部分を観察したところ、微量の転写残トナー粒子が確認されるものの、ほぼ白色の導電性微粒子で覆われていた。
【0361】
また、感光体1と帯電ローラ2との接触部nに導電性微粒子が存在した状態で、かつ導電性微粒子の抵抗が十分に低いために、初期より3万枚の連続プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0362】
以下、プリント画像の評価法について述べる。
【0363】
(I)画像濃度
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後、2日放置した後の1枚目の画像濃度により評価した。ここで、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。評価結果を表5に示す。なお、表5中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、グラフィックな画像まで高品位に表現するために十分な画像(1.40以上)
B:良好で、ノングラフィックで高品位な画質を得るために十分な画像濃度(1.35以上1.40未満)
C:普通で、文字を認識する上では十分として許容される画像濃度(1.20以上1.35未満)
D:悪い。濃度が薄いとして許容されない画像濃度(1.20未満)
【0364】
(II)カブリ
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、プリントアウト画像をサンプリングし、プリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。白色度は「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定した。評価結果を表5に示す。なお、表5中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、肉限では一般に認識されないカブリ(1.5%未満)
B:良好で、注意して見ないと認識できないカブリ(1.5%以上2.5%未満)
C:普通。カブリを認識することは容易であるが、許容されるカブリ(2.5%以上4.0%未満)
D:悪い。画像汚れとして認識され許容できないカブリ(4%以上)
【0365】
(III)ゴースト
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、図11(A)に示した幅aで長さlのベタ黒の帯状画像Xをプリントアウトした後、図11(B)に示した幅b(>a)で長さlのハーフトーン画像Yをプリントアウトした際、該ハーフトーン画像上に現れる濃淡差(図11(C)のA,B,Cの部分)を評価した。
A:濃度差が全く見られない。(濃度差が0.02未満)
B:BとCで軽微な濃度差が見られる。(濃度差が0.02以上0.04未満)
C:A,B,Cの各々で若干の濃度差が見られる。(濃度差が0.04以上0.07未満)
D:顕著な濃度差が見られる。(濃度差が0.07以上)
【0366】
(IV)フェーディング
初期及び3万枚の連続プリントアウトを終了した後に、ベタ黒画像をプリントアウトして、図6に示したような画像上で帯状に発生した濃度薄の部分の濃度と正常画像部の濃度との差で評価した。
A:濃度薄発生部分が全く見られない。(濃度差が0.02未満)
B:軽微な濃度薄発生部分が見られる。(濃度差が0.02以上0.08未満)
C:濃度薄発生部分が見られるものの、実用画像では問題にならないレベル。(濃度差が0.08以上0.20未満)
D:顕著な濃度差が見られ、実用画像でも問題とされるレベル。(濃度差が0.20以上)
【0367】
(V)現像剤担持体の表面粗さ(Ra)変化
評価前と3万枚の連続プリントアウト後の現像剤担持体の表面粗さ(Ra)の差(ΔRa)を比較することで、現像剤担持体表面の耐磨耗性を判断した。なお、Raの測定に関しては、小坂研究所製:表面粗度計SE−3300Hを用い、測定条件としては、カットオフ0.8mm、規定距離8.0mm、送り速度0.5mm/sにて12箇所の測定値の平均をとった。但し、初期よりRa値が0.1以下の現像剤担持体S−10を用いた実施例及び比較例については、この項目を評価から除外した。
A:耐磨耗性が極めて良好。(ΔRaが0.10μm未満)
B:耐磨耗性は比較的良好。(ΔRaが0.10μm以上0.15μm未満)
C:耐磨耗性はやや弱いものの実用上問題ない。(ΔRaが0.15μm以上0.20μm未満)
D:耐磨耗性は弱く、実用上でも問題になる。(ΔRaが0.20μm以上)
【0368】
(VI)転写効率
初期および3万枚プリントアウト終了後に、転写性の評価を行った。転写性は、ベタ黒画像形成時の感光体上の転写残トナー粒子を、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、はぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。評価結果を表5に示す。
A:非常に良好(0.04未満)
B:良好(0.04以上0.08未満)
C:普通(0.08以上乃至0.20未満)
D:悪い(0.20以上)
【0369】
(VII)潜像担持体の帯電性
初期(約40枚〜約50枚プリントアウト)に一様に帯電後の感光体表面電位を測定し、更に3万枚の連続プリントアウトを終了した後、現像器位置にセンサを配置して同様にして、一様帯電後の感光体表面電位を測定し、その差分により潜像担持体の帯電性を評価した。評価結果を表5に示す。差分がマイナスに大きくなるほど潜像担持体の帯電性の低下が大きいことを示す。
【0370】
(VIII)パターン回収不良
縦線の同一パターン(2ドット98スペースの縦線繰り返し)を連続プリントアウト後、ハーフトーン画像(2ドット3スペースの横線繰り返し)のプリントアウト試験を行い、ハーフトーン画像上に縦線のパターンに対応した濃淡が生じるかどうかを目視で評価した。評価結果を表5に示す。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに濃淡の発生が見られるが、画像への影響はない)
C:普通(濃淡むらを生じるが、実用上許容レベルの範囲である)
D:悪い(濃淡むらが顕著で許容できない)
【0371】
<実施例2〜90及び比較例1〜4>
実施例1と同様の方法にて画像評価を実施した。結果を表5〜8に挙げた。ここで、実施例24、実施例31、実施例38、実施例45、実施例59及び実施例66については、現像装置を非磁性一成分系現像剤を現像するための現像装置に変えたもので、画像評価を行なった。また、実施例89については、現像剤層厚規制部材である弾性ブレードを磁性ブレードに変更して実施した。更に、実施例90では、転写後に潜像担持体である感光ドラム上に残存していた転写残トナー粒子を、クリーナーによって回収し、再度現像系に戻す操作を実施しない系にて評価を行なった。
【0372】
【表5】
【0373】
【表6】
【0374】
【表7】
【0375】
【表8】
【図面の簡単な説明】
【0376】
【図1】各帯電部材の帯電特性を示すグラフである。
【図2】SUSスリーブにアランダムブラスト処理した現像スリーブ表面の粗さ断面曲線の模式図である。
【図3】SUSスリーブにガラスビーズブラスト処理による同様な粗さ断面曲線の模式図である。
【図4】図3のスリーブ表面の粗さ断面曲線の凹凸を拡大した図である。
【図5】スリーブゴーストを説明するために用いたプリント画像の模式図である。
【図6】フェーディングを説明するために用いたプリント画像の模式図である。
【図7】本発明において用いることのできる、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有する現像剤担持体の断面を模式的に示した図である。
【図8】本発明において用いることのできる、ガラスビーズブラスト処理したアルミニウムスリーブの表面にメッキ層を設けたときのスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。
【図9】基体表面にメッキ層を設ける前のスリーブ表面の粗さ断面曲線を示す模式図である。
【図10】本発明において用いることのできる、画像形成装置の概略を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例における、スリーブゴーストの評価方法を説明するためのプリント画像の模式図である。
【符号の説明】
【0377】
1、21 潜像担持体(感光体、被帯電体)
2 帯電ローラ(接触帯電部材)
3、23 レーザビームスキャナ(潜像形成手段、露光装置)
4、24 現像装置
4a 現像剤担持体(現像スリーブ)
4c 現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)
5、25 転写部材(転写ローラ)
6、26 定着装置
7、27 プロセスカートリッジ
22 接触帯電部材(帯電ブラシ)
24a 現像剤担持体(現像スリーブ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする現像剤。
【請求項2】
前記現像装置は、前記静電潜像を現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の現像剤。
【請求項3】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤。
【請求項4】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至64のいずれかに記載の現像剤。
【請求項5】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤。
【請求項6】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の現像剤。
【請求項7】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像剤。
【請求項8】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像剤。
【請求項9】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の現像剤。
【請求項10】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の現像剤。
【請求項11】
前記現像剤の示差熱分析測定装置(DSC)によるDSCチャートの吸熱曲線において、最大吸熱ピークが70℃以上120℃未満の温度領域にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の現像剤。
【請求項12】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像剤。
【請求項13】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像剤。
【請求項14】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の現像剤。
【請求項15】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の現像剤。
【請求項16】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の現像剤。
【請求項17】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の現像剤。
【請求項18】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の現像剤。
【請求項19】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の現像剤。
【請求項20】
潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項21】
前記現像工程は、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程であることを特徴とする請求項20に記載の画像形成方法。
【請求項22】
前記帯電工程は、前記潜像担持体に帯電手段が当接しており、該当接部に電圧が印加されることにより前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とする請求項20又は21に記載の画像形成方法。
【請求項23】
前記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項20乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項20乃至25のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項27】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項20乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項20乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項20乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項33】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項20乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項34】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項20乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項35】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項20乃至34のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項36】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項20乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項37】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項20乃至36のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項38】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項20乃至37のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項39】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項20乃至38のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項40】
少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
該現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする現像剤担持体。
【請求項41】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項40に記載の現像剤担持体。
【請求項42】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項40に記載の現像剤担持体。
【請求項43】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項40乃至42のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項44】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項40乃至43のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項45】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項40乃至44のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項46】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項40乃至45のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項47】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項40乃至46のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項48】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項49】
前記現像剤層厚規制部材が磁性ブレードであることを特徴とする請求項40乃至48のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項50】
前記現像剤層厚規制部材が弾性ブレードであることを特徴とする請求項41乃至48のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項51】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項41乃至50のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項52】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項41乃至51のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項53】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項41乃至52のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項54】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至53のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項55】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至54のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項56】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至54のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項57】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項41乃至56のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項58】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項41乃至57のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項1】
(1)静電潜像を担持するための潜像担持体、(2)該潜像担持体を帯電するための帯電手段、(3)現像剤を担持しながら、該潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備え、該潜像担持体に形成された静電潜像を、前記現像剤担持体に担持されている現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像を得るための現像装置、(4)上記潜像担持体に担持されている現像剤像を記録媒体たる転写材に転写するための転写装置、(5)該転写材を定着部位を移動通過させることにより、転写材上の現像剤像を転写材面に定着させるための定着手段を少なくとも有する画像形成装置に用いられる現像剤であって、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有し、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有することを特徴とする現像剤。
【請求項2】
前記現像装置は、前記静電潜像を現像剤を用いて現像を行なうことにより現像剤像として可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収するためのものであることを特徴とする請求項1に記載の現像剤。
【請求項3】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤。
【請求項4】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項1乃至64のいずれかに記載の現像剤。
【請求項5】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の現像剤。
【請求項6】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の現像剤。
【請求項7】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像剤。
【請求項8】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の現像剤。
【請求項9】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の現像剤。
【請求項10】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の現像剤。
【請求項11】
前記現像剤の示差熱分析測定装置(DSC)によるDSCチャートの吸熱曲線において、最大吸熱ピークが70℃以上120℃未満の温度領域にあることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の現像剤。
【請求項12】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像剤。
【請求項13】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の現像剤。
【請求項14】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の現像剤。
【請求項15】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の現像剤。
【請求項16】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の現像剤。
【請求項17】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の現像剤。
【請求項18】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の現像剤。
【請求項19】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の現像剤。
【請求項20】
潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら、前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤は少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項21】
前記現像工程は、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程であることを特徴とする請求項20に記載の画像形成方法。
【請求項22】
前記帯電工程は、前記潜像担持体に帯電手段が当接しており、該当接部に電圧が印加されることにより前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とする請求項20又は21に記載の画像形成方法。
【請求項23】
前記帯電工程は、少なくとも帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行なうことを特徴とする請求項20乃至22のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項24】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項20乃至23のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項25】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項20乃至24のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項26】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項20乃至25のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項27】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至26のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項28】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項29】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項20乃至27のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項30】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項20乃至28のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項31】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項20乃至30のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項32】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項20乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項33】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項20乃至31のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項34】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項20乃至33のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項35】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項20乃至34のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項36】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項20乃至35のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項37】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項20乃至36のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項38】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項20乃至37のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項39】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項20乃至38のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項40】
少なくとも、結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有する現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有する現像装置に用いられる現像剤担持体であって、
該現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする現像剤担持体。
【請求項41】
前記現像剤担持体が、基体上に0.5μm〜20μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項40に記載の現像剤担持体。
【請求項42】
前記現像剤担持体が、基体上に3μm〜15μmの非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を有することを特徴とする請求項40に記載の現像剤担持体。
【請求項43】
前記現像剤担持体が、基体上にニッケル、クロム、モリブデン、パラジウムからなる群から選択される非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項40乃至42のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項44】
前記現像剤担持体の基体上に形成されている層が、無電解Ni−Pメッキ、無電解Ni−Bメッキ、無電解Pdメッキ、無電解Pd−Pメッキ、無電解Crメッキ、又は電解Moメッキ若しくは無電解Moメッキであることを特徴とする請求項40乃至43のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項45】
前記現像剤担持体の基体表面を、球状粒子によって粗面化処理して凹凸面を形成した後に、非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成したものであることを特徴とする請求項40乃至44のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項46】
前記現像剤担持体の基体が、ビッカース硬度(Hv)が50〜200の金属材料からなることを特徴とする請求項40乃至45のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項47】
前記現像剤担持体は、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後の、表面の凹凸の算術平均粗さRa値が、0.1μm〜3.5μmであることを特徴とする請求項40乃至46のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項48】
前記現像剤担持体が、基体上に非磁性金属又は合金又は金属化合物からなる層を形成した後のビッカース硬度(Hv)が200〜1000であることを特徴とする請求項40乃至47のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項49】
前記現像剤層厚規制部材が磁性ブレードであることを特徴とする請求項40乃至48のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項50】
前記現像剤層厚規制部材が弾性ブレードであることを特徴とする請求項41乃至48のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項51】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることを特徴とする請求項41乃至50のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項52】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4μm〜10μmであることを特徴とする請求項41乃至51のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項53】
前記現像剤が0.60μm〜159.21μmの粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15個数%〜70個数%含有することを特徴とする請求項41乃至52のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項54】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1μm〜10μmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至53のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項55】
前記現像剤は、体積抵抗値が100Ω・cm〜109Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至54のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項56】
前記現像剤は、体積抵抗値が101Ω・cm〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることを特徴とする請求項41乃至54のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項57】
前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項41乃至56のいずれかに記載の現像剤担持体。
【請求項58】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項41乃至57のいずれかに記載の現像剤担持体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−268055(P2006−268055A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127386(P2006−127386)
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【分割の表示】特願2001−248675(P2001−248675)の分割
【原出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月1日(2006.5.1)
【分割の表示】特願2001−248675(P2001−248675)の分割
【原出願日】平成13年8月20日(2001.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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