説明

現像剤供給装置

【課題】 現像剤を安定的に供給すること。
【解決手段】 本発明の現像剤供給装置は、搬送基板と、ケーシングと、を備えている。搬送基板は、現像剤担持体と、現像剤搬送経路における途中の対向位置にて最近接しつつ対向する。ケーシングは、上流側現像剤収容部及び下流側現像剤収容部を有している。上流側現像剤収容部は、現像剤搬送経路の現像剤搬送方向における上流端側に設けられている。下流側現像剤収容部は、現像剤搬送経路の現像剤搬送方向における下流端側に設けられている。このケーシングは、対向位置に向けて搬送される前の現像剤を上流側現像剤収容部にて収容するとともに、対向位置を通過した後の現像剤を下流側現像剤収容部にて収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特開2008−70803号公報等に開示されているものが知られている。かかる公報に開示された装置は、感光体ドラムと、現像ローラと、現像剤電界搬送手段と、を備えている。
【0003】
前記現像ローラは、所定の現像領域にて前記感光体ドラムと対向するように設けられている。この現像ローラは、帯電した現像剤を担持するための現像剤担持面を有している。
【0004】
前記現像剤電界搬送手段は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向(前記現像ローラの回転による当該ローラの周面の移動方向)における上流側にて、当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向するように配置されている。この現像剤電界搬送手段は、複数の搬送電極を備えていて、これら複数の搬送電極への多相交流電圧である搬送バイアスの印加に伴って発生する進行波状の電界によって、前記現像剤を搬送するように構成されている。
【0005】
かかる構成においては、進行波状の電界によって搬送された前記現像剤は、前記現像剤電界搬送手段と前記現像剤担持面とが対向する位置にて、当該現像剤担持面に付着する。これにより、当該現像剤担持面上に、前記現像剤が担持される。
【0006】
前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤は、前記現像ローラの回転による当該現像剤担持面の移動によって前記現像領域に達することで、静電潜像の現像に供される。これにより、前記感光体ドラムの周面である静電潜像担持面上にて、前記現像剤が、前記静電潜像に対応して画像状に配列した状態で付着する。すなわち、前記静電潜像担持面上に、前記現像剤による画像が形成される。
【発明の概要】
【0007】
この種の装置において、現像剤を安定的に供給することが求められている。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものであって、その特徴は、下記の通りの構成を備えたことにある。
【0008】
<構成>
本発明の現像剤供給装置は、搬送基板と、ケーシングと、を備えている。
【0009】
前記搬送基板は、複数の搬送電極を備えている。複数の前記搬送電極は、帯電した粉末状の現像剤を進行波状の電界によって搬送するために、現像剤搬送経路に沿って配列されている。すなわち、前記搬送基板は、複数の前記搬送電極への多相交流電圧の印加によって発生する進行波状の電界によって、前記現像剤を前記現像剤搬送経路に沿って搬送するように構成されている。この搬送基板は、円柱面状の周面である現像剤担持面を有する現像剤担持体(例えば静電潜像担持体あるいはこれと対向配置された現像ローラ等)と、前記現像剤搬送経路における途中の対向位置にて最近接しつつ対向するように設けられている。
【0010】
前記ケーシングは、上流側現像剤収容部及び下流側現像剤収容部を有している。前記上流側現像剤収容部は、前記現像剤搬送経路の現像剤搬送方向(前記搬送基板による前記現像剤の搬送方向)における上流端側に設けられている。前記下流側現像剤収容部は、前記現像剤搬送経路の前記現像剤搬送方向における下流端側に設けられている。このケーシングは、前記対向位置に向けて搬送される前の前記現像剤を前記上流側現像剤収容部にて収容するとともに、前記対向位置を通過した後の前記現像剤を前記下流側現像剤収容部にて収容するように構成されている。
【0011】
本発明の現像剤供給装置は、現像剤回収部材をさらに備えていてもよい。この現像剤回収部材は、前記現像剤担持面から前記現像剤を回収するために、前記下流側現像剤収容部側にて前記現像剤担持体と対向配置されている。
【0012】
本発明の現像剤供給装置は、剥離部材をさらに備えていてもよい。この剥離部材は、前記現像剤搬送方向と直交する軸を中心として回転可能な前記現像剤回収部材と摺動することで、当該現像剤回収部材から前記現像剤を剥離させるように、前記現像剤回収部材と対向配置されている。
【0013】
前記搬送基板は、供給用搬送基板と、回収用搬送基板と、を備えていてもよい。前記供給用搬送基板は、前記上流側現像剤収容部から前記対向位置に向けて前記現像剤を搬送することで、当該対向位置の近傍にて前記現像剤担持体に前記現像剤を供給するようになっている。前記回収用搬送基板は、前記現像剤搬送方向における前記対向位置よりも下流側の回収位置にて前記現像剤回収部材と最近接しつつ対向するように設けられている。この回収用搬送基板は、前記現像剤を、前記回収位置の近傍にて前記現像剤回収部材を介して前記現像剤担持体から回収するとともに、当該回収位置から前記下流側現像剤収容部に向けて搬送するようになっている。
【0014】
本発明の現像剤供給装置は、現像剤還流手段をさらに備えていてもよい。この現像剤還流手段は、前記下流側現像剤収容部から前記上流側現像剤収容部に前記現像剤を還流させるように構成されている。具体的には、例えば、前記現像剤還流手段は、補助現像剤収容容器と、第一現像剤送出手段と、第二現像剤送出手段と、を備えている。なお、かかる現像剤供給装置は、第三現像剤送出手段をさらに備えていてもよい。
【0015】
前記補助現像剤収容容器は、前記上流側現像剤収容部及び前記下流側現像剤収容部とは異なる位置にて、前記現像剤を収容するための、補助現像剤収容部を備えている。前記第一現像剤送出手段は、前記下流側現像剤収容部から前記補助現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成されている。前記第二現像剤送出手段は、前記補助現像剤収容部から前記上流側現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成されている。前記第三現像剤送出手段は、未使用の前記現像剤を貯留する現像剤貯留部から前記補助現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成されている。
【0016】
<作用・効果>
かかる構成においては、前記上流側現像剤収容部内に収容された前記現像剤は、前記搬送基板によって、前記現像剤搬送経路における途中であって前記現像剤担持体と最近接しつつ対向する前記対向位置に向かって搬送される。そして、前記対向位置まで搬送されてきた前記現像剤は、当該対向位置(の近傍)にて、前記現像剤担持面に担持される。
【0017】
ここで、前記対向位置(の近傍)に達した前記現像剤は、前記搬送基板によって搬送され得る程度に帯電している。このような、或る程度の帯電量を有する現像剤を、そのまま前記上流側現像剤収容部に戻した場合、当該上流側現像剤収容部内にて、静電気力による前記現像剤の凝集が発生するおそれがある。そこで、本発明の構成においては、前記対向位置を経た(前記対向位置を通過した後の)前記現像剤は、前記下流側現像剤収容部に(一旦)収容される。
【0018】
このように、かかる構成においては、一旦前記対向位置まで搬送されてきた前記現像剤をそのまま前記上流側現像剤収容部に戻すことによる、当該上流側現像剤収容部内における前記現像剤の凝集の発生が、良好に防止され得る。したがって、かかる構成によれば、帯電した前記現像剤を安定的に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている搬送基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5】トナーの挙動を示す概略図である。
【図6】図2に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<レーザープリンタの構成>
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。
【0022】
感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。この静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面であって、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にてトナーT(図2参照)を担持するようになっている。なお、本実施形態においては、トナーTは、黒色、正帯電性の、非磁性一成分乾式現像剤であるものとする。感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な軸を中心として図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転駆動されることで、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面LSが移動するように構成されている。
【0023】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させるように構成されている。
【0024】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調された(画素の有無によって発光のON/OFFが制御された)所定の波長帯域のレーザービームLBを生成し、生成したレーザービームLBを静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させるとともに、その結像位置を前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0025】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、現像位置DPにて、トナーT(図2参照)を帯電した状態で感光体ドラム3(静電潜像担持面LS)に供給するように構成されている。ここで、現像位置DPとは、トナー供給装置6が静電潜像担持面LSに帯電したトナーTを供給するために静電潜像担持面LSと最近接しつつ対向する位置である。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0026】
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0027】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出すように構成されている。転写ローラ22は、転写位置TPにて用紙搬送経路PPを隔てて静電潜像担持面LSと対向するように配置されていて、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるようになっている。この転写ローラ22は、静電潜像担持面LS上に付着したトナーT(図2参照)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアスが印加されるようになっている。
【0028】
<<トナー供給装置>>
トナー供給装置6の側断面図(前記主走査方向を法線とする面による断面図)である図2を参照すると、ケーシング61は、箱状部材であって、粉末状の乾式現像剤であるトナーTをその内側の空間における底部に収容可能に構成されている。本実施形態においては、ケーシング61は、第一ケーシング61aと、第二ケーシング61bと、を備えている。第一ケーシング61a及び第二ケーシング61bは、上方の感光体ドラム3に向かって開口するように設けられた側断面視にて略U字状の部分であって、両者は前後方向(図中x軸方向)に沿って互いに隣接するように配置されている。
【0029】
第一ケーシング61aは、現像位置DPでの静電潜像担持面LSの移動方向における、現像位置DPよりも上流側に配置されている。第一ケーシング61aの底部には、トナーTを収容するための側断面視にて略半円柱状の空間である、本発明の上流側現像剤収容部としての第一トナー収容部TA1が設けられている。第二ケーシング61bは、かかる移動方向における、現像位置DPよりも下流側に配置されている。第二ケーシング61bの底部には、トナーTを収容するための側断面視にて略半円柱状の空間である、本発明の下流側現像剤収容部としての第二トナー収容部TA2が設けられている。本実施形態においては、第二トナー収容部TA2は、第一トナー収容部TA1よりも上方に設けられている。
【0030】
第一ケーシング61aと第二ケーシング61bとが連結する連結部61cは、上方の感光体ドラム3に向かって突出する略逆U字状に形成されている。ケーシング61の上部を塞ぐように設けられた天板61dにおける、感光体ドラム3と近接対向する位置には、開口部61eが形成されている。ケーシング61における開口部61eの近傍には、ローラ状の部材である現像ローラ62が、前記主走査方向と平行な回転中心軸を中心として回転可能に支持されている。
【0031】
すなわち、開口部61eは、現像ローラ62の円柱面状の周面であるトナー担持面62aの一部(上部)を、トナー供給装置6の外部に露出させることで現像位置DPにて静電潜像担持面LSと対向させるように設けられている。また、現像ローラ62は、感光体ドラム3とは反対方向(図中矢印で示されている方向:反時計回り)に回転駆動されることで、現像位置DPにてトナー担持面62aが静電潜像担持面LSの移動方向に沿った(静電潜像担持面LSの移動方向と逆方向ではない)方向に移動するようになっている。
【0032】
<<<搬送基板>>>
ケーシング61の内部には、搬送基板63が収容されている。具体的には、本実施形態においては、搬送基板63は、第一トナー収容部TA1から連結部61cを経て第二トナー収容部TA2に至るまでの範囲で、ケーシング61の内壁に固定されている。この搬送基板63は、トナー搬送経路TTPに沿った表面であるトナー搬送面TTS上にてトナーTを進行波電界により第一トナー収容部TA1から第二トナー収容部TA2まで搬送するように構成されている。換言すれば、搬送基板63のトナー搬送方向TTDにおける上流端側に第一トナー収容部TA1が設けられていて、搬送基板63のトナー搬送方向TTDにおける下流端側に第二トナー収容部TA2が設けられている。なお、トナー搬送方向TTDとは、トナー搬送経路TTPの側断面視における任意の位置での、接線方向(トナーTの移動方向)である。
【0033】
搬送基板63は、連結部61cの上端部に支持された部分が、トナー搬送経路TTPにおける途中のトナー担持位置TCPにて、トナー担持面62aと所定のギャップ(0.5mm)を隔てて最近接しつつ対向するように設けられている。そして、ケーシング61は、トナー担持位置TCPに向けて搬送される前のトナーTを第一トナー収容部TA1にて収容するとともに、トナー担持位置TCPを通過した後のトナーTを第二トナー収容部TA2にて収容するようになっている。
【0034】
図3を参照すると、搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、搬送基板63は、搬送電極63aと、支持フィルム層63bと、電極被覆層63cと、オーバーコート層63dと、から構成されている。
【0035】
搬送電極63aは、前記主走査方向と平行な長手方向を有する線状の配線パターンであって、銅箔によって形成されている。複数の搬送電極63aは、トナー搬送経路TTPに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【0036】
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極63aは、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a,電源回路VDに接続された搬送電極63a,電源回路VAに接続された搬送電極63a,電源回路VBに接続された搬送電極63a,電源回路VCに接続された搬送電極63a・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている。
【0037】
ここで、図4は、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力するように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。このように、搬送基板63は、各搬送電極63aに対して上述のような駆動電圧(搬送バイアス)が印加されて、トナー搬送面TTSに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。
【0038】
複数の搬送電極63aは、支持フィルム層63bの表面上に形成されている。支持フィルム層63bは、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。電極被覆層63cは、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この電極被覆層63cは、支持フィルム層63bにおける搬送電極63aが設けられている表面、及び搬送電極63aを覆うように設けられている。電極被覆層63cの上には、オーバーコート層63dが設けられている。すなわち、上述の電極被覆層63cは、オーバーコート層63dと搬送電極63aとの間に形成されている。オーバーコート層63dの表面(すなわちトナー搬送面TTS)は、トナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0039】
<<<帯電補助部>>>
再び図2を参照すると、帯電補助電極64は、現像ローラ62の回転によるトナー担持面62aの移動方向におけるトナー担持位置TCPと現像位置DPとの間の位置にて、トナー担持面62aと対向するように配置されている。すなわち、帯電補助電極64は、第一ケーシング61a側に設けられている。この帯電補助電極64は、トナー担持面62a上に担持されたトナーTを、トナー担持面62aとの間の交番電界の作用によって帯電させるように構成されている。帯電補助電極64とトナー担持面62aとの間には、所定間隔のギャップ(0.3mm)が設けられている。
【0040】
<<<トナー回収部>>>
回収ローラ65は、主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動可能なローラ状部材(回転体)であって、現像ローラ62の回転によるトナー担持面62aの移動方向における現像位置DPとトナー担持位置TCPとの間(現像位置DPよりも下流側且つトナー担持位置TCPよりも上流側)のトナー回収位置TRPにて、現像ローラ62と所定間隔のギャップ(0.7mm)を隔てて対向するように配置されている。すなわち、回収ローラ65は、第二ケーシング61b側に設けられている。この回収ローラ65は、現像ローラ62との間に所定の回収電圧が印加されることで、トナー担持面62a上からトナーTを回収するように設けられている。本実施形態においては、回収ローラ65は、そのトナー回収位置TRPにおける周面の移動方向をトナー担持面62aの上述の移動方向と逆方向とするために、現像ローラ62の回転方向と同一方向に回転駆動されるようになっている。
【0041】
回収ローラ65の下方には、剥離ブレード66が、回収ローラ65の回転中心軸を挟んでトナー回収位置TRPと反対側(すなわち回収ローラ65の回転による周面の移動方向におけるトナー回収位置TRPよりも下流側)にて、当該周面と当接(摺動)するように配置されている。この剥離ブレード66は、回収ローラ65によってトナー担持面62a上から回収されたトナーTを、当該回収ローラ65の周面から剥離して第二トナー収容部TA2に向けて落下させるように設けられている。
【0042】
<<<トナー還流部>>>
トナー還流部67は、搬送基板63によって第一トナー収容部TA1から第二トナー収容部TA2に送られて第二トナー収容部TA2内に収容されたトナーTを、第二トナー収容部TA2から第一トナー収容部TA1に還流させるように構成されている。本実施形態においては、トナー還流部67は、補助トナーケース67aと、アジテータ67bと、第一オーガ67c(第一オーガスクリュー67c1を含む)と、第二オーガ67d(第二オーガスクリュー67d1を含む)と、を備えている。
【0043】
補助トナーケース67aは、ケーシング61とは別体に設けられた箱状部材であって、第二トナー収容部TA2の下方にて、第一トナー収容部TA1と隣接するように配置されている。アジテータ67bは、補助トナーケース67a内に収容されていて、補助トナーケース67aの内側の空間である補助トナー収容部TA3内に収容されたトナーTを攪拌可能に構成されている。第一オーガ67cは、屈曲した管内にフレキシブルな第一オーガスクリュー67c1を収容してなり、第二トナー収容部TA2内に収容されたトナーTを、第一オーガスクリュー67c1の回転によって補助トナー収容部TA3に送出するように構成されている。第二オーガ67dは、屈曲した管内にフレキシブルな第二オーガスクリュー67d1を収容してなり、補助トナー収容部TA3内に収容されたトナーTを、第二オーガスクリュー67d1の回転によって第一トナー収容部TA1に送出するように構成されている。
【0044】
本実施形態においては、トナー還流部67は、さらに、未使用トナー貯留タンク67eと、未使用トナー送出部67fと、を備えている。未使用トナー貯留タンク67eは、ケーシング61及び補助トナーケース67aとは別体に設けられた箱状部材であって、補助トナーケース67aの上方にて第二ケーシング61bと隣接するように配置されている。この未使用トナー貯留タンク67eには、未使用のトナーTが貯留されている。
【0045】
未使用トナー送出部67fは、未使用トナー貯留タンク67eの底部と補助トナーケース67aとを接続するように設けられた管状のトナー輸送路中に介装されている。未使用トナー送出部67fは、未使用トナー貯留タンク67e内に貯留された未使用のトナーTを補助トナーケース67aに向けて送出するように構成されている。
【0046】
<レーザープリンタの動作説明>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0047】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0048】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0049】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0050】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBによって静電潜像担持面LSが露光される。すなわち、レーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が(実質的に)消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷あるいは電位のパターン(画像状分布)である静電潜像が形成される。静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0051】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2及び図3を参照すると、第一トナー収容部TA1内に収容されているトナーTは、搬送基板63におけるオーバーコート層63dとの接触や摩擦等により帯電する。帯電したトナーTは、搬送基板63における複数の搬送電極63aに対する多相交流電圧成分を含む搬送バイアス(+500〜+1100V,300Hz)の印加によって発生する進行波状の電界により、トナー搬送方向TTDに搬送される。
【0052】
第一トナー収容部TA1から出発した直後のトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや、低帯電あるいは無帯電のもの、等。)が混入していることがある。もっとも、本実施形態の構成においては、搬送基板63によってトナー担持位置TCPに向けて垂直上方に搬送されている際に、帯電状態が不良なトナーTは、重力の作用により、トナー搬送経路TTPから逸脱し、下方に落下する。これにより、帯電状態が良好なトナーTが選択的に、トナー担持位置TCPまで搬送される。
【0053】
搬送基板63によってトナー担持位置TCPまで搬送されたトナーTは、このトナー担持位置TCPの近傍にて、上述の搬送バイアス及び現像ローラ62に印加される現像バイアス(−800〜1800V,2kHz)の作用により、トナー担持面62a上に担持される。なお、トナー担持面62a上に担持されずにトナー担持位置TCPを通過したトナーTは、搬送基板63によって、第二トナー収容部TA2まで搬送される。
【0054】
そして、トナーTを担持したトナー担持面62aが、現像ローラ62の回転駆動によって現像位置DPまで移動することで、トナーTが現像位置DPに供給される。この現像位置DPの近傍にて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、現像バイアスの作用により、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTがトナー担持面62aから移行し付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0055】
ところで、本出願人は、鋭意研究により、従来のこの種(以下、「電界搬送方式」と称する。)の装置において、トナー担持面62aから静電潜像担持面LSへのトナーTの移行効率(現像効率すなわちトナーTの供給効率)が充分ではないことを見出した。これは、トナー担持面62a上に対するトナーTの付着力が強すぎることが原因であると考えられる。
【0056】
図5(A)に示されているように、通常の非磁性一成分現像装置(現像ローラ62に対して帯電したトナーTをスポンジローラやブレード等によって担持させる方式の装置)においては、トナーTは現像ローラ62とスポンジローラやブレードとの間で摩擦帯電させられるため、トナーTにおける帯電位置(図中グレーの塗りつぶし部分参照)は均一に散らばっているものと想定される。
【0057】
一方、図5(B)に示されているように、従来の電界搬送方式の装置においては、以下の理由により、トナーTにおける帯電位置が局所的に集中している(トナーTにおける特定の部分が集中的に帯電している)ものと想定される。したがって、図5(B)に示されている状態においては、図5(A)に示されている状態に比べ、静電気力によるトナーTの付着力が強力になっているものと考えられる(図中下向き矢印参照)。
【0058】
図5(C)に示されているように、搬送基板63による電界搬送中に、トナーTは、ループ状の電気力線に沿ってホッピングしながら進行する(図中破線参照)。このとき、トナーTは、(最も)帯電した特定の位置を先頭として飛翔する。このため、かかる特定の位置が集中的にトナー搬送面TTSと衝突し、摩擦帯電する。よって、当該位置が、搬送基板63による電界搬送中に集中的にチャージアップしていく。
【0059】
これに対し、本実施形態の構成においては、トナー担持位置TCPの近傍にて図5(B)に示されているような帯電状態となってトナー担持面62a上に一旦担持されたトナーTは、現像ローラ62(−800〜1800V,2kHzの現像バイアスが印加されている)と帯電補助電極64(+640Vの直流電圧成分のみを含む帯電補助バイアスが印加されている)とが対向する位置にて、図5(D)に示されているように、比較的強い交番電界の作用により大きく振動させられることで、帯電補助電極64(及び現像ローラ62)と衝突して帯電させられる。かかる交番電界の作用による帯電によって、トナーTの帯電状態が、より均一化される。
【0060】
すなわち、現像ローラ62と帯電補助電極64とが対向する位置を経たトナーTは、図5(D)に示されているような帯電作用によって、図5(A)に示されているような、帯電位置が均一に散らばった状態に近づく。これにより、トナー担持面62a上におけるトナーTの付着力が、従来(図5(B)参照)よりも緩和される。したがって、現像位置DPにおける現像効率が向上するとともに、後述する回収ローラ65によるトナー担持面62a上からのトナーTの回収効率も向上する。
【0061】
現像位置DPを通過した(現像位置DPにて消費されなかった)トナー担持面62a上のトナーTは、現像ローラ62の回転によって、トナー回収位置TRP(の近傍)に達する。このトナー回収位置TRPの近傍にて、トナーTは、上述の現像バイアス及び回収ローラ65に印加される回収バイアス(−1300〜1300V,2kHz)の作用で、回収ローラ65と現像ローラ62(トナー担持面62a)との間で振動しつつ、回収ローラ65側に移行(飛翔)する。なお、本例においては、現像バイアスと回収バイアスとによって現像ローラ62と回収ローラ65との間に形成される電位差である回収電圧が直流及び交流電圧成分を有することで、正帯電のトナーTが回収ローラ65と現像ローラ62(トナー担持面62a)との間で振動しながら回収ローラ65側に移行するような電界が、トナー回収位置TRPの近傍のギャップにて発生するように、回収バイアスは、現像バイアスと位相が180°(半波長)ずれた波形となっている。
【0062】
回収ローラ65は、トナー担持面62aと非接触の状態で、トナー担持面62a上からトナーTを回収しつつ回転する。このとき、回収ローラ65の周面の、トナー回収位置TRPに面する部分は、回収ローラ65の回転に伴い、トナー担持面62aと摺動することなく移動する。そして、回収ローラ65に付着したトナーTは、トナー回収位置TRPとは反対側の位置にて、剥離ブレード66によって除去され、第二トナー収容部TA2まで落下する。したがって、トナーTの付着状態が軽減あるいは解消された状態の回収ローラ65の部分が、トナー回収位置TRPに対して次々と供給される。また、回収ローラ65とトナー担持面62aとの接触や摺動によるトナー担持面62a上での不用意なトナーTの残留状態(付着模様)の発生が、良好に抑制される。
【0063】
ところで、トナー担持位置TCP近傍に到達したトナーTは、搬送基板63によってトナー担持位置TCPに達するまで電界搬送され得る程度の帯電量を有している。また、搬送基板63によってトナー担持位置TCPの近傍まで搬送されている間に、トナーTは、搬送基板63(オーバーコート層63d)の表面であるトナー搬送面TTSとの衝突や摩擦によって、チャージアップする場合もある。
【0064】
このため、トナー担持面62a上に担持されずにトナー担持位置TCPを通過して搬送基板63によって第二トナー収容部TA2まで搬送されたトナーTや、一旦トナー担持面62a上に担持された後に回収ローラ65によって回収されて剥離ブレード66によって第二トナー収容部TA2まで落下したトナーT(以下、「トナー担持位置TCPを経たトナーT」と称する。)は、比較的高い帯電量(電荷)を有している。このようなトナーTをそのまま第一トナー収容部TA1に戻した場合、第一トナー収容部TA1内にて、電荷(静電気力)によるトナーTの凝集が発生するおそれがある。
【0065】
そこで、本実施形態の構成においては、トナー担持位置TCPを経たトナーTは、第一トナー収容部TA1に還流される前に、一旦第二トナー収容部TA2にて収容される。そして、一旦第二トナー収容部TA2にて収容されたトナーTが、(補助トナー収容部TA3を経て)第一トナー収容部TA1に還流する。これにより、トナー担持位置TCPを経たトナーTをそのまま第一トナー収容部TA1に戻すことによる、第一トナー収容部TA1内におけるトナーTの凝集の発生が、良好に防止され得る。
【0066】
トナーTの凝集が防止される理由については、本発明の発明者らによって鋭意検討中であるが、例えば、以下のように考えられる:トナー担持位置TCPを経た、比較的帯電量の高いトナーTは、第二トナー収容部TA2に収容されている間に、補助トナー収容部TA3内あるいは第一トナー収容部TA1内にて凝集を引き起こさない程度に、電荷が減少(減衰)する。
【0067】
このように、本実施形態の構成においては、トナー担持位置TCPを経たトナーTをそのまま第一トナー収容部TA1に戻すことによる、第一トナー収容部TA1内におけるトナーTの凝集の発生が、良好に防止され得る。したがって、かかる構成によれば、帯電したトナーTを安定的に供給することが可能になる。
【0068】
また、本実施形態の構成においては、未使用のトナーTが、第一トナー収容部TA1及び第二トナー収容部TA2内に収容されたトナーTとは別に、未使用トナー貯留タンク67e内に貯留されている。さらに、ケーシング61内のトナーTの量等に応じて未使用トナー送出部67fが駆動されることで、補助トナー収容部TA3内に、未使用のトナーTが、適宜量補充される。そして、第一オーガ67cによって第二トナー収容部TA2から送られてきたトナーTと、未使用トナー送出部67fによって補充された未使用のトナーTとが、補助トナー収容部TA3内にてアジテータ67bによって攪拌された後に、第二オーガ67dによって第一トナー収容部TA1に送出される。したがって、かかる構成によれば、トナー供給装置6内にてトナーTが良好に循環する。
【0069】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0070】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0071】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0072】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0073】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0074】
・本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0075】
露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子(LED等)の配列方向と平行な方向となる。すなわち、「主走査方向」は、「用紙幅方向(用紙搬送方向と常時直交する方向)」又は「装置幅方向」とも称され得る。
【0076】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0077】
・現像ローラ62は、現像位置DPにてトナー担持面62aと静電潜像担持面LSとの間に所定間隔のギャップが形成されるように配置されていてもよい。あるいは、現像ローラ62は、現像位置DPにてトナー担持面62aと静電潜像担持面LSとが接触するように配置されていてもよい。さらに、現像ローラ62は、スリーブ状のものに代替可能である。
【0078】
・本発明は、現像ローラ62を介して感光体ドラム3等にトナーTを供給する態様に限定されない。すなわち、例えば、図2において、搬送基板63がトナー担持位置TCPにて感光体ドラム3と対向するようになっていてもよい(この場合、帯電補助電極64、回収ローラ65、及び剥離ブレード66は省略される。)。
【0079】
・搬送基板63の構成や配置は、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、オーバーコート層63dは、省略され得る。
【0080】
図6は、図2に示されているトナー供給装置6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。図6を参照すると、図2における搬送基板63が、トナー担持位置TCPにて、供給用搬送基板631と回収用搬送基板632とに二分されている。また、回収ローラ65は、第一トナー回収位置TRP1にて現像ローラ62と対向するとともに、第二トナー回収位置TRP2にて回収用搬送基板632と対向するように配置されている。すなわち、回収用搬送基板632とは、トナー搬送方向TTDにおけるトナー担持位置TCPよりも下流側の第二トナー回収位置TRP2にて回収ローラ65と最近接しつつ対向するように設けられている。なお、本変形例においては、図2における剥離ブレード66は省略されている。
【0081】
具体的には、供給用搬送基板631は、第一トナー収容部TA1からトナー担持位置TCPに向けてトナーTを搬送することで、トナー担持位置TCPの近傍にて現像ローラ62にトナーTを供給するようになっている。また、回収用搬送基板632は、トナーTを、第二トナー回収位置TRP2の近傍にて回収ローラ65を介して現像ローラ62から回収するとともに、第二トナー回収位置TRP2から第二トナー収容部TA2に向けて搬送するようになっている。
【0082】
このとき、第一トナー回収位置TRP1にて、現像ローラ62と回収ローラ65との間には、所定間隔のギャップ(0.7mm)が設けられている。また、第二トナー回収位置TRP2にて、回収ローラ65と回収用搬送基板632との間には、所定間隔のギャップ(0.5mm)が設けられている。さらに、供給用搬送基板631には上述の搬送バイアスと同様の供給用搬送バイアス(+500〜+1100V,300Hz)が印加され、回収用搬送基板632には回収用搬送バイアス(−500〜−1100V,300Hz)が印加され、回収ローラ65には上述と同様の回収バイアス(−1300〜1300V,2kHz)が印加される。
【0083】
・帯電補助電極64の構成も、特に限定はない。例えば、帯電補助電極64は、前記主走査方向と平行な中心軸線を有する円柱状部材(ローラ状部材)によって構成され得る。あるいは、帯電補助電極64は、側断面視にて、現像ローラ62と同心円状に設けられた円弧状の板状部材によって構成され得る。あるいは、帯電補助電極64は、平板状、メッシュ状、ワイヤ状その他の任意の形状に形成され得る。帯電補助電極64は、典型的には、ステンレス鋼や銅等の金属によって形成されている。
【0084】
本発明は、上述の実施形態のような、搬送基板63によるトナー担持位置TCPまでの搬送経路の全体によってトナーTがチャージアップするような構成に限定されない。すなわち、例えば、搬送基板63の第一トナー収容部TA1よりも上方の部分におけるオーバーコート層63dの材質を適宜選択することで、搬送基板63による搬送中のトナーTのチャージアップが可及的に抑制される場合があり得る。
【0085】
・上述の各種のバイアスは、適宜変更され得る。例えば、図4を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する搬送バイアスの波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する搬送バイアスの波形の位相が90°ずつ異なっていた(4相)。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する搬送バイアスの波形の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい(3相)。
【0086】
現像バイアスは、直流電圧成分(接地を含む)のみであってもよい(これに対応して他のバイアスも適宜変更される)。あるいは、回収バイアスは、現像バイアスと位相が完全に同期(一致)していてもよい。すなわち、現像バイアスと回収バイアスとによって現像ローラ62と回収ローラ65との間に形成される電位差である回収電圧は、直流電圧成分のみであってもよい。あるいは、回収バイアスは、直流電圧成分のみであってもよい。
【0087】
・本発明の現像剤回収部材は、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、回収ローラ65に代えて、ブラシローラが用いられ得る。また、回収ローラ65からトナーTを剥離させるための剥離部材としては、剥離ブレード66に代えて、ブラシローラが用いられ得る。
【0088】
補助トナーケース67a、アジテータ67b、未使用トナー貯留タンク67e、及び未使用トナー送出部67fの少なくともいずれか一つは、省略され得る。
【0089】
典型的には、例えば、第一オーガ67cと第二オーガ67dとが一体化された還流オーガによって、第二トナー収容部TA2から直接的に第一トナー収容部TA1にトナーTが送出されてもよい。かかる構成によっても、第二トナー収容部TA2に収容されている間に、トナーTの電荷が、第一トナー収容部TA1内にて凝集を引き起こさない程度に減少(減衰)するものと考えられるので、上述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0090】
・その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0091】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1…レーザープリンタ 3…感光体ドラム
6…トナー供給装置 61…ケーシング
61a…第一ケーシング 61b…第二ケーシング
62…現像ローラ 62a…トナー担持面
63…搬送基板 63a…搬送電極
631…供給用搬送基板 632…回収用搬送基板
65…回収ローラ 66…剥離ブレード
67…トナー還流部 67a…補助トナーケース
67b…アジテータ 67c…第一オーガ
67d…第二オーガ 67e…未使用トナー貯留タンク
67f…未使用トナー送出部
DP…現像位置 LS…静電潜像担持面
T…トナー TA1…第一トナー収容部
TA2…第二トナー収容部 TA3…補助トナー収容部
TCP…トナー担持位置 TRP…トナー回収位置
TRP1…第一トナー回収位置 TRP2…第二トナー回収位置
TTD…トナー搬送方向 TTP…トナー搬送経路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2008−70803号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を進行波状の電界によって搬送するために現像剤搬送経路に沿って配列された複数の搬送電極を備えていて、円柱面状の周面である現像剤担持面を有する現像剤担持体と前記現像剤搬送経路における途中の対向位置にて最近接しつつ対向するように設けられた、搬送基板と、
前記現像剤搬送経路の前記搬送基板による前記現像剤の搬送方向における上流端側に設けられた上流側現像剤収容部と下流端側に設けられた下流側現像剤収容部とを有し、前記対向位置に向けて搬送される前の前記現像剤を前記上流側現像剤収容部にて収容するとともに前記対向位置を通過した後の前記現像剤を前記下流側現像剤収容部にて収容するように構成された、ケーシングと、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置において、
前記現像剤担持面から前記現像剤を回収するために、前記下流側現像剤収容部側にて前記現像剤担持体と対向配置された、現像剤回収部材をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の、現像剤供給装置において、
前記搬送方向と直交する軸を中心として回転可能な前記現像剤回収部材と摺動することで、当該現像剤回収部材から前記現像剤を剥離させるように、前記現像剤回収部材と対向配置された、剥離部材をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項2に記載の、現像剤供給装置であって、
前記搬送基板は、
前記上流側現像剤収容部から前記対向位置に向けて前記現像剤を搬送することで当該対向位置の近傍にて前記現像剤担持体に前記現像剤を供給する、供給用搬送基板と、
前記搬送方向における前記対向位置よりも下流側の回収位置にて前記現像剤回収部材と最近接しつつ対向するように設けられていて、前記現像剤を前記回収位置の近傍にて前記現像剤回収部材を介して前記現像剤担持体から回収するとともに当該回収位置から前記下流側現像剤収容部に向けて搬送する、回収用搬送基板と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置において、
前記下流側現像剤収容部から前記上流側現像剤収容部に前記現像剤を還流させる、現像剤還流手段をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤還流手段は、
前記上流側現像剤収容部及び前記下流側現像剤収容部とは異なる位置にて前記現像剤を収容するための補助現像剤収容部を備えた、補助現像剤収容容器と、
前記下流側現像剤収容部から前記補助現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成された、第一現像剤送出手段と、
前記補助現像剤収容部から前記上流側現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成された、第二現像剤送出手段と、
未使用の前記現像剤を貯留する現像剤貯留部から前記補助現像剤収容部に前記現像剤を送出するように構成された、第三現像剤送出手段と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−248265(P2011−248265A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123878(P2010−123878)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】