説明

現像剤供給装置

【課題】 現像剤担持部材からの現像剤の回収をより良好に行う。
【解決手段】 現像剤担持部材は、その周面である現像剤担持面上に担持された現像剤を現像剤供給位置にて供給対象に供給するために、現像剤供給位置にて供給対象と対向するように設けられている。現像剤回収部材は、現像剤担持部材の回転による現像剤担持面の移動方向における現像剤供給位置よりも下流側にて、現像剤担持面と所定のギャップを隔てて対向するように配置された回転体であって、現像剤担持手段との間に所定の回収電界が形成されることで、現像剤担持面上から現像剤を回収するように設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特開平3−12678号公報、特開2008−70803号公報、等に開示されているものが知られている。かかる装置は、現像剤担持部材(現像ローラ)と、上流側現像剤搬送手段と、下流側現像剤搬送手段と、を備えている。
【0003】
前記現像剤担持部材は、所定の現像領域にて静電潜像担持体(感光体ドラム)と対向するように設けられている。この現像剤担持部材は、帯電した現像剤を担持するための現像剤担持面を有している。
【0004】
前記上流側現像剤搬送手段は、上流側搬送面を有している。この上流側搬送面は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における上流側にて、当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向するように配置されている。この上流側現像剤搬送手段は、上流側搬送電界(前記上流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持部材の前記移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。
【0005】
前記下流側現像剤搬送手段は、下流側搬送面を有している。この下流側搬送面は、前記現像領域よりも前記現像剤担持面の移動方向における下流側にて、当該現像剤担持面と所定の距離を隔てて対向するように配置されている。この下流側現像剤搬送手段は、下流側搬送電界(前記下流側搬送面上の前記現像剤を前記現像剤担持部材の前記移動方向における上流側から下流側に向けて移動させるための電界)を形成するように構成されている。
【0006】
かかる構成においては、帯電した前記現像剤を前記現像剤担持面の前記移動方向(前記現像ローラの回転方向)における上流側から下流側へ向けて移動させる電界が、前記上流側搬送面上及び前記下流側搬送面上の空間に形成する。これにより、前記現像剤は、前記上流側搬送面及び前記下流側搬送面のそれぞれにて、前記現像剤担持部材の前記移動方向における上流側から下流側へ向けて移動する。
【0007】
前記上流側現像剤搬送手段によって搬送された前記現像剤は、前記上流側搬送面と前記現像剤担持面(前記現像ローラの周面)とが対向する位置にて、当該現像剤担持面に向かう。これにより、前記現像剤は、前記現像剤担持面に付着する。すなわち、前記現像剤担持面上に、前記現像剤が担持される。
【0008】
前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤の一部は、静電潜像の現像に供されることで、前記現像領域にて消費される。すなわち、前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤の一部は、前記現像領域に到達すると、前記静電潜像担持体の周面である静電潜像担持面上の、静電潜像に応じた位置に付着する。
【0009】
前記現像剤担持面上に担持された前記現像剤のうちの、前記静電潜像担持面に付着しなかった(前記現像領域にて消費されなかった)残部は、前記下流側現像剤搬送手段によって回収され、前記下流側搬送面上を、前記現像剤担持面の前記移動方向(前記現像ローラの前記回転方向)における上流側から下流側へ搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この種の装置において、前記現像領域にて消費されずに前記現像剤担持面上に残留した前記現像剤の、前記現像剤担持部材(前記現像剤担持面)からの回収が、良好に行われないと、形成画像の乱れ等の不具合が生じるおそれがある。本発明は、かかる課題に対処するためになされたものである。すなわち、本発明の目的は、前記現像剤担持部材からの前記現像剤の回収をより良好に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、現像剤担持部材と、現像剤担持手段と、現像剤回収部材と、を備えている。
【0012】
前記現像剤担持部材は、主走査方向と平行な円柱面状の周面である現像剤担持面を有する、円柱状の部材であって、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられている。この現像剤担持部材は、回転することで、前記現像剤担持面を前記主走査方向と直交する方向に移動させつつ、当該現像剤担持面上に担持された前記現像剤を前記現像剤供給位置に供給するように構成されている。
【0013】
前記現像剤担持手段は、電界搬送基板を含んでいる。この電界搬送基板は、前記主走査方向に沿った長手方向を有する複数の搬送電極を備えている。複数の前記搬送電極は、前記主走査方向と交差する方向に沿って配列されている。すなわち、この電界搬送基板は、これら複数の搬送電極への多相交流電圧である搬送バイアスの印加に伴って発生する進行波状の電界により前記現像剤を前記現像剤担持部材に向けて搬送するように構成されている。そして、前記現像剤担持手段は、前記現像剤担持部材の回転による前記現像剤担持面の移動方向における前記現像剤供給位置よりも上流側にて、前記現像剤担持面上に、前記電界搬送基板によって搬送された前記現像剤を担持させるように構成されている。
【0014】
前記現像剤回収部材は、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動可能な回転体であって、前記移動方向における前記現像剤供給位置よりも下流側にて、前記現像剤担持面と所定のギャップを隔てて対向するように配置されている。この現像剤回収部材は、前記現像剤担持手段との間に回収電圧が印加されるようになっている。すなわち、この現像剤回収部材は、前記回収電圧の印加によって発生する回収電界により、前記現像剤担持面上から前記現像剤を回収するように設けられている。
【0015】
本発明の現像剤供給装置は、また、前記現像剤回収部材によって前記現像剤担持面上から回収された前記現像剤を当該現像剤回収部材から除去する、除去手段をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
上述の構成においては、前記現像剤担持手段により、前記現像剤担持面上に前記現像剤が担持される。かかる現像剤は、前記現像剤担持部材の回転による前記現像剤担持面の移動により前記現像剤供給位置に到達することで、当該現像剤供給位置に供給される。前記現像剤供給位置(の近傍)にて消費されずに前記現像剤担持面上に残留した前記現像剤は、前記現像剤担持部材の回転による前記現像剤担持面のさらなる移動により、前記現像剤担持面と前記現像剤回収部材とが前記ギャップを隔てて対向する回収位置に到達する。
【0017】
前記現像剤回収部材と前記現像剤担持手段との間には、前記回収電圧が印加されている。このため、前記現像剤担持面上に残留していた前記現像剤は、前記回収位置の近傍にて、前記回収電圧の印加によって前記ギャップ間に形成される前記回収電界により、前記現像剤担持面上から前記現像剤回収部材側に移行(飛翔)する。
【0018】
このとき、前記現像剤回収部材は、前記現像剤担持面と非接触の状態で回転する。よって、前記現像剤回収部材(の周面)の前記回収位置に面する部分は、前記現像剤担持面と非接触の状態で前記現像剤回収部材が回転することで、前記現像剤担持面と摺動することなく移動する。このため、前記現像剤回収部材と前記現像剤担持面との接触や摺動による、前記現像剤担持面上での不用意な前記現像剤の残留状態(付着模様)の発生が、良好に抑制され得る。
【0019】
なお、前記現像剤回収部材に付着した前記現像剤は、前記回収位置とは異なる位置にて、前記除去手段によって除去され得る。この場合、前記現像剤回収部材の前記回収位置に面する部分は、前記現像剤担持面と非接触の状態で前記現像剤回収部材が回転することで実質的に次々と更新される。すなわち、前記現像剤の付着状態が軽減あるいは解消された状態の前記現像剤回収部材の部分が、前記回収位置に対して良好に供給され得る。
【0020】
このように、本発明の現像剤供給装置においては、前記現像剤供給位置を経て前記現像剤担持面上に残留した前記現像剤が、前記ギャップを隔てて前記現像剤担持面と対向するように設けられた回転体である前記現像剤回収部材によって、電界を用いて非接触的に回収される。よって、前記現像剤供給位置(の近傍)にて消費されずに前記現像剤担持面上に残留した前記現像剤の、前記現像剤担持面上からの回収が、より良好に行われる。したがって、本発明によれば、帯電した粉末状の前記現像剤を、前記供給対象に対して、より良好に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【図3】図2に示されている電界搬送基板を拡大した側断面図である。
【図4】図3に示されている各電源回路の出力波形の一例を示すグラフである。
【図5】トナーの挙動を示す概略図である。
【図6】図2に示されているトナー供給装置の一変形例の概略構成を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
<レーザープリンタの構成>
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、トナー供給装置6と、を備えている。レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。
【0024】
本発明の供給対象としての感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。この静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面であって、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーT(図2参照)を担持するようになっている。感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な軸を中心として図中矢印で示されている方向(時計回り)に回転駆動されることで、前記主走査方向と直交する副走査方向に沿って静電潜像担持面LSが移動するように構成されている。
【0025】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させるように構成されている。
【0026】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調された(画素の有無によって発光のON/OFFが制御された)所定の波長帯域のレーザービームLBを生成し、生成したレーザービームLBを静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させるとともに、その結像位置を前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0027】
本発明の現像剤供給装置としてのトナー供給装置6は、静電潜像担持面LSと対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。トナー供給装置6は、本発明の現像剤供給位置としての現像位置DPにて、トナーT(図2参照)を帯電した状態で感光体ドラム3(静電潜像担持面LS)に供給するように構成されている。ここで、現像位置DPとは、トナー供給装置6が静電潜像担持面LSと最近接しつつ対向する位置である。このトナー供給装置6の詳細な構成については後述する。
【0028】
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0029】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出すように構成されている。転写ローラ22は、転写位置TPにて用紙搬送経路PPを隔てて静電潜像担持面LSと対向するように配置されていて、図中矢印で示されている方向(反時計回り)に回転駆動されるようになっている。この転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナーT(図2参照)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアスが印加されるようになっている。
【0030】
<<トナー供給装置>>
トナー供給装置6の側断面図(前記主走査方向を法線とする面による断面図)である図2を参照すると、トナー供給装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、側断面視にて略U字状に形成された箱状部材であって、その長手方向が上下方向(図中y軸方向)と平行となるように配置されている。
【0031】
トナーボックス61の内部には、粉末状の乾式現像剤としてのトナーTが収容されている。すなわち、トナーTは、トナーボックス61における底部の略半円筒状の部分の内側に形成された空間である、トナー貯留部61a内に貯留されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性一成分の、黒色トナーである。トナーボックス61の頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置には、開口部61bが形成されている。すなわち、開口部61bは、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。
【0032】
本発明の現像剤担持部材としての現像ローラ62は、円柱面状の周面であるトナー担持面62aを有するローラ状の部材であって、感光体ドラム3と対向するように設けられている。すなわち、本発明の現像剤担持面としてのトナー担持面62aが現像位置DPにて感光体ドラム3における静電潜像担持面LSと所定間隔のギャップを介して対向するように、現像ローラ62が配置されている。
【0033】
現像ローラ62は、トナーボックス61における、開口部61bが形成された上端部にて、回動可能に支持されている。本実施形態においては、現像ローラ62は、前記主走査方向と平行な回転中心軸がトナーボックス61の内側に位置することで、トナー担持面62aのほぼ上半分がトナーボックス61の外側の露出するように、トナーボックス61に収容されている。
【0034】
トナーボックス61の内部には、側断面視にて反転J字状(J字を鏡に映した状態)に形成されたトナー搬送経路TTPに沿って、電界搬送基板63が設けられている。本発明の現像剤担持手段を構成する電界搬送基板63は、トナー搬送経路TTPに沿った表面であるトナー搬送面TTS上にてトナーTを進行波電界により搬送するように構成されている。本実施形態においては、電界搬送基板63は、底部電界搬送基板63aと、垂直電界搬送基板63bと、を備えている。なお、電界搬送基板63の内部構成の詳細については後述する。
【0035】
底部電界搬送基板63aは、トナー貯留部61aの底面を構成するように、トナーボックス61の内側の空間における底部にて、トナーボックス61の内壁面に固定されている。底部電界搬送基板63aは、側断面視にて半円筒形状に屈曲され上方に開口する凹状の曲板状部材であって、トナー貯留部61a内のトナーTを垂直電界搬送基板63bの下端部に向けて円滑に搬送するように、平板状の垂直電界搬送基板63bの下端部と滑らかに接続されている。
【0036】
垂直電界搬送基板63bは、底部電界搬送基板63aと接続された下端部からトナーTを垂直上方に搬送するように立設されつつ、トナーボックス61の内壁面に固定されている。垂直電界搬送基板63bの上端部(トナー搬送方向TTDにおける下流側の端部:トナー搬送方向TTDはトナー搬送経路TTPの任意の位置における接線方向である)は、現像ローラ62の中心とほぼ同じ高さに(より具体的には当該中心よりも若干上方まで)設けられている。この上端部は、現像ローラ62における円柱面状のトナー担持面62aと対向するように設けられている。この垂直電界搬送基板63bの上端部とトナー担持面62aとが最も近接しつつ対向するトナー担持位置TCPにて、両者の間には、所定間隔のギャップが設けられている。
【0037】
本実施形態においては、底部電界搬送基板63a及び垂直電界搬送基板63bは、継ぎ目なく一体に形成されている。そして、電界搬送基板63は、トナー貯留部61a内に貯留されたトナーTを、現像ローラ62の回転によるトナー担持面62aの移動方向における現像位置DPよりも上流側のトナー担持位置TCPに向けて、トナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。
【0038】
帯電補助電極64は、トナー担持面62aの上述の移動方向におけるトナー担持位置TCPと現像位置DPとの間の位置にて、トナー担持面62aと対向するように配置されている。この帯電補助電極64は、トナー担持面62a上に担持されたトナーTを、トナー担持面62aとの間の交番電界の作用によって帯電させるように構成されている。本実施形態においては、帯電補助電極64は、側断面視にて、現像ローラ62と同心円状に設けられた円弧状の、板状部材であって、ステンレス鋼等の金属板によって形成されている。帯電補助電極64とトナー担持面62aとの間には、所定間隔のギャップが設けられている。
【0039】
本発明の現像剤回収部材としての回収ローラ66は、主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動可能なローラ状部材(回転体)である。この回収ローラ66は、トナー担持面62aの上述の移動方向における現像位置DPとトナー担持位置TCPとの間(現像位置DPよりも下流側且つトナー担持位置TCPよりも上流側)のトナー回収位置TRPにて、現像ローラ62と所定間隔のギャップを隔てて対向するように配置されている。
【0040】
また、この回収ローラ66は、現像ローラ62との間に所定の回収電圧が印加されるようになっている。すなわち、この回収ローラ66は、上述の回収電圧の印加によって発生する回収電界の作用で、トナー担持面62a上からトナーTを回収するように設けられている。なお、本実施形態においては、回収ローラ66は、そのトナー回収位置TRPにおける周面の移動方向をトナー担持面62aの上述の移動方向と同一方向とするために、現像ローラ62の回転方向と逆方向に回転駆動されるようになっている。
【0041】
回収ローラ66の下方には、本発明の除去手段としての除去ブレード67が、回収ローラ66の回転中心軸を挟んでトナー回収位置TRPと反対側(すなわち回収ローラ66の回転による周面の移動方向におけるトナー回収位置TRPよりも下流側)にて、当該周面と当接(摺動)するように配置されている。この除去ブレード67は、回収ローラ66によってトナー担持面62a上から回収されたトナーTを、当該回収ローラ66の周面から除去するように設けられている。
【0042】
さらに、トナー供給装置6は、バイアス印加部68を備えている。バイアス印加部68は、現像ローラ62、電界搬送基板63、帯電補助電極64、及び回収ローラ66に対して、所定の電圧を印加するようになっている。バイアス印加部68の詳細については後述する。
【0043】
<<<電界搬送基板の内部構成>>>
図3を参照すると、電界搬送基板63は、薄板状の部材であって、フレキシブルプリント配線基板と同様の構成を有している。具体的には、電界搬送基板63は、搬送電極631と、支持フィルム層632と、電極被覆層633と、オーバーコート層634と、から構成されている。
【0044】
搬送電極631は、前記主走査方向と平行な長手方向を有する線状の配線パターンであって、例えば、銅箔によって形成されている。複数の搬送電極631は、トナー搬送経路TTPに沿って配列されていて、互いに平行に配置されている。
【0045】
トナー搬送経路TTPに沿って多数配列された各搬送電極631は、3本置きに同一の電源回路に接続されている。すなわち、電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631,電源回路VDに接続された搬送電極631,電源回路VAに接続された搬送電極631,電源回路VBに接続された搬送電極631,電源回路VCに接続された搬送電極631・・・が、トナー搬送経路TTPに沿って順に配列されている。
【0046】
ここで、図4は、図3に示されている各電源回路VAないしVDの出力波形の一例を示すグラフである。本実施形態においては、図4に示されているように、各電源回路VAないしVDは、ほぼ同一波形の交流電圧である駆動電圧を出力するように構成されている。また、各電源回路VAないしVDが発生する電圧の波形における位相が、90°ずつ異なるように、各電源回路VAないしVDが構成されている。すなわち、電源回路VAから電源回路VDに向かう順に、電圧の位相が90°ずつ遅れるようになっている。このように、電界搬送基板63は、各搬送電極631に対して上述のような駆動電圧(搬送バイアス)が印加されて、トナー搬送面TTSに沿った進行波状の電界が発生することで、正帯電したトナーTをトナー搬送方向TTDに搬送するように構成されている。
【0047】
複数の搬送電極631は、支持フィルム層632の表面上に形成されている。支持フィルム層632は、可撓性のフィルムであって、ポリイミド樹脂等の絶縁性の合成樹脂から構成されている。電極被覆層633は、絶縁性の合成樹脂から構成されている。この電極被覆層633は、支持フィルム層632における搬送電極631が設けられている表面、及び搬送電極631を覆うように設けられている電極被覆層633の上には、オーバーコート層634が設けられている。すなわち、上述の電極被覆層633は、オーバーコート層634と搬送電極631との間に形成されている。オーバーコート層634の表面(すなわちトナー搬送面TTS)は、トナーTがスムーズに搬送され得るように、凹凸の極めて少ない平滑な面として形成されている。
【0048】
<<<バイアス印加部>>>
再び図2を参照すると、バイアス印加部68は、搬送バイアス電源回路681と、現像バイアス電源回路682と、帯電補助バイアス電源回路683と、回収バイアス電源回路685と、を備えている。
【0049】
搬送バイアス電源回路681は、電界搬送基板63と電気的に接続されている。この搬送バイアス電源回路681は、トナーTをトナー搬送経路TTPに沿ってトナー担持位置TCPまで搬送するための搬送バイアスを、電界搬送基板63における複数の搬送電極631に印加するようになっている(図3に示されている電源回路VAないしVDは、この搬送バイアス電源回路681の構成要素である。)。
【0050】
現像バイアス電源回路682は、現像ローラ62と電気的に接続されている。電界搬送基板63とともに本発明の現像剤担持手段を構成する現像バイアス電源回路682は、現像バイアスを現像ローラ62に印加するようになっている。この現像バイアスは、トナーTをトナー担持位置TCPにてトナー搬送面TTSからトナー担持面62aに移行させることでトナー担持面62a上に担持させるとともに、現像位置DPにていわゆるジャンピング現像を行うことができるように、適宜設定されている。
【0051】
帯電補助バイアス電源回路683は、帯電補助電極64と電気的に接続されている。この帯電補助バイアス電源回路683は、帯電補助バイアスを帯電補助電極64に印加するようになっている。この帯電補助バイアスは、現像ローラ62(トナー担持面62a)と帯電補助電極64とが対向する位置にて、トナー担持面62a上に担持されたトナーTが、振動によって帯電補助電極64の表面に衝突することでさらに帯電しつつ、トナー担持面62a上に残留するように、適宜設定されている。具体的には、帯電補助バイアス電源回路683は、上述の現像バイアス電源回路682による交流電圧成分によって現像ローラ62と帯電補助電極64との間に交番電界を形成すべく、直流電圧成分を、帯電補助電極64に対して出力するようになっている。
【0052】
回収バイアス電源回路685は、回収ローラ66と電気的に接続されている。この回収バイアス電源回路685は、回収バイアスを現像ローラ62に印加するようになっている。この回収バイアスは、トナー回収位置TRPの近傍に形成されたギャップにて、現像ローラ62と回収ローラ66との間に電位差(回収電圧)を形成することで、トナー担持面62a上から回収ローラ66にトナーTを回収できるように、適宜設定されている。
【0053】
<<<<具体例>>>>
具体的には、搬送バイアス電源回路681は、+800Vの直流電圧成分と振幅300V、周波数300Hzの多相交流電圧成分とが重畳された搬送バイアス(+500〜+1100V)を出力するようになっている。現像ローラ62(トナー担持面62a)と電界搬送基板63との間には、トナー担持位置TCPにて、0.5mmのギャップが設けられている。
【0054】
現像ローラ62は、アルミニウム製のローラであって、直径20mmに形成されている。現像バイアス電源回路682は、+500Vの直流電圧成分と振幅1300V、周波数2kHzの交流電圧成分とが重畳された現像バイアス(−800〜1800V)を出力するようになっている。
【0055】
帯電補助電極64は、側断面視における長さが9mmで略円弧状に屈曲されたステンレス鋼板によって形成されている。現像ローラ62(トナー担持面62a)と帯電補助電極64との間には、0.3mmのギャップが設けられている。帯電補助バイアス電源回路683は、+640Vの直流電圧成分のみを含む帯電補助バイアスを出力するようになっている。
【0056】
回収ローラ66は、アルミニウム製のローラであって、直径11mmに形成されている。現像ローラ62(トナー担持面62a)と回収ローラ66との間には、トナー回収位置TRPにて、0.7mmのギャップが設けられている。回収バイアス電源回路685は、0Vの直流電圧成分と振幅1300V、周波数2kHzの交流電圧成分とが重畳された回収バイアス(−1300〜1300V)を出力するようになっている。
【0057】
なお、本例においては、現像バイアスと回収バイアスとによって現像ローラ62と回収ローラ66との間に形成される電位差である回収電圧が直流及び交流電圧成分を有することで、正帯電のトナーTが回収ローラ66と現像ローラ62(トナー担持面62a)との間で振動しながら回収ローラ66側に移行するような電界がトナー回収位置TRPの近傍のギャップにて発生するように、回収バイアス電源回路685は、回収バイアスを、現像バイアスと位相が180°(半波長)ずれた波形で発生させるようになっている。
【0058】
<レーザープリンタの動作説明>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0059】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0060】
<<潜像形成面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0061】
<<<静電潜像の形成>>>
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで、前記副走査方向に沿って移動する。
【0062】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBによって静電潜像担持面LSが露光される。すなわち、レーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、トナー供給装置6と対向する現像位置DPに向かって移動する。
【0063】
<<<帯電トナーの搬送・供給>>>
図2及び図3を参照すると、トナーボックス61内に貯留されているトナーTは、底部電界搬送基板63aにおけるオーバーコート層634との接触や摩擦等により帯電する。底部電界搬送基板63aにおけるオーバーコート層634と接触あるいは近接している、帯電したトナーTは、底部電界搬送基板63aにおける搬送電極631に対する多相交流電圧成分を含む上述の搬送バイアスの印加によって発生する進行波状の電界により、トナー搬送方向TTDに搬送され、垂直電界搬送基板63bにスムーズに受け渡される。
【0064】
垂直電界搬送基板63bは、その下端部にて底部電界搬送基板63aから受け渡されたトナーTを、垂直電界搬送基板63bにおける搬送電極631に対する上述の搬送バイアスの印加によって発生する進行波状の電界により、トナー担持位置TCPに向けて、垂直上方に搬送する。
【0065】
ここで、底部電界搬送基板63aから垂直電界搬送基板63bに受け渡されたトナーTには、帯電状態が不良なもの(逆極性すなわち負極性に帯電したものや、低帯電あるいは無帯電のもの、等。)が混入している。もっとも、本実施形態の構成においては、垂直電界搬送基板63bによってトナー担持位置TCPに向けて垂直上方に搬送されている際や、垂直電界搬送基板63bと現像ローラ62との間に形成された電界によって正帯電のトナーTがトナー担持位置TCPの近傍にて現像ローラ62に担持される際に、帯電状態が不良なトナーTは、重力や上述の電界の作用により、トナー搬送経路TTPから逸脱し、垂直電界搬送基板63bから下方に落下する。
【0066】
これにより、帯電状態が良好なトナーTが選択的に、トナー担持位置TCPまで搬送される。すなわち、垂直電界搬送基板63bにて、トナーTにおける、帯電状態が良好なものと不良なものとが、良好に選別される。トナー搬送経路TTPから逸脱して下方に落下してきたトナーTは、トナー貯留部61aに還流する。
【0067】
上述のようにして、正帯電のトナーTが、垂直電界搬送基板63bによってトナー担持位置TCPまで搬送される。なお、この搬送の間に、トナー搬送面TTSとの接触により、トナーTの帯電量が徐々に増加する。
【0068】
垂直電界搬送基板63bによってトナー担持位置TCPまで搬送されたトナーTは、このトナー担持位置TCPの近傍にて、搬送バイアス及び現像バイアスの作用(これらによって発生する電界)により、トナー担持面62a上に担持される。そして、トナーTを担持したトナー担持面62aが、現像ローラ62の回転駆動によって現像位置DPまで移動することで、トナーTが現像位置DPに供給される。この現像位置DPの近傍にて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、現像バイアスの作用により、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTがトナー担持面62aから移行し付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0069】
ところで、本出願人は、鋭意研究により、従来のこの種(以下、「電界搬送方式」と称する。)の装置において、トナー担持面62aから静電潜像担持面LSへのトナーTの移行効率(現像効率すなわちトナーTの供給効率)が充分ではないことを見出した。これは、トナー担持面62a上に対するトナーTの付着力が強すぎることが原因であると考えられる。
【0070】
図5(A)に示されているように、通常の非磁性一成分現像装置(現像ローラ62に対して帯電したトナーTをスポンジローラやブレード等によって担持させる方式の装置)においては、トナーTは現像ローラ62とスポンジローラやブレードとの間で摩擦帯電させられるため、トナーTにおける帯電位置(図中グレーの塗りつぶし部分参照)は均一に散らばっているものと想定される。
【0071】
一方、図5(B)に示されているように、従来の電界搬送方式の装置においては、以下の理由により、トナーTにおける帯電位置が局所的に集中している(トナーTにおける特定の部分が集中的に帯電している)ものと想定される。したがって、図5(B)に示されている状態においては、図5(A)に示されている状態に比べ、静電気力によるトナーTの付着力が強力になっているものと考えられる(図中下向き矢印参照)。
【0072】
図5(C)に示されているように、電界搬送基板63による電界搬送中に、トナーTは、ループ状の電気力線に沿ってホッピングしながら進行する(図中破線参照)。このとき、トナーTは、(最も)帯電した特定の位置を先頭として飛翔する。このため、かかる特定の位置が集中的にトナー搬送面TTSと衝突し、摩擦帯電する。よって、当該位置が、電界搬送基板63による電界搬送中に集中的にチャージアップしていく。
【0073】
これに対し、本実施形態の構成においては、トナー担持位置TCPの近傍にて図5(B)に示されているような帯電状態となってトナー担持面62a上に一旦担持されたトナーTは、現像ローラ62と帯電補助電極64とが対向する位置にて、図5(D)に示されているように、比較的強い交番電界の作用により大きく振動させられることで、帯電補助電極64(及び現像ローラ62)と衝突して帯電させられる。かかる交番電界の作用による帯電によって、トナーTの帯電状態が、より均一化される。
【0074】
すなわち、現像ローラ62と帯電補助電極64とが対向する位置を経たトナーTは、図5(D)に示されているような帯電作用によって、図5(A)に示されているような、帯電位置が均一に散らばった状態に近づく。これにより、トナー担持面62a上におけるトナーTの付着力が、従来(図5(B)参照)よりも緩和される。したがって、現像位置DPにおける現像効率が向上するとともに、後述する回収ローラ66によるトナー担持面62a上からのトナーTの回収効率も向上する。
【0075】
現像位置DPを通過した(現像位置DPにて消費されなかった)トナー担持面62a上のトナーTは、現像ローラ62の回転によって、トナー回収位置TRP(の近傍)に達する。このトナー回収位置TRPの近傍にて、トナーTは、上述の現像バイアス及び回収バイアスの作用で、回収ローラ66と現像ローラ62(トナー担持面62a)との間で振動しつつ、回収ローラ66側に移行(飛翔)する。
【0076】
この回収ローラ66は、トナー担持面62a上からトナーTを回収しつつ回転する。そして、回収ローラ66に付着したトナーTは、トナー回収位置TRPとは反対側の位置にて、除去ブレード67によって除去され、トナー貯留部61aまで落下する。このため、トナーTの付着状態が軽減あるいは解消された状態の回収ローラ66の部分が、トナー回収位置TRPに対して次々と供給される。
【0077】
ここで、上述のように、回収ローラ66は、トナー担持面62aと非接触の状態で回転する。このため、回収ローラ66の周面の、トナー回収位置TRPに面する部分は、回収ローラ66の回転に伴い、トナー担持面62aと摺動することなく移動する。よって、(除去ブレード67による回収ローラ66からのトナーTの除去が不完全であっても、)回収ローラ66とトナー担持面62aとの接触や摺動によるトナー担持面62a上での不用意なトナーTの残留状態(付着模様)の発生が、良好に抑制される。
【0078】
このように、本実施形態の構成においては、トナー担持面62a上に残留したトナーTが、上述のギャップを隔ててトナー担持面62aと対向するように設けられた回転体である回収ローラ66によって、電界を用いて非接触的に回収される。よって、現像位置DPにて消費されずにトナー担持面62a上に残留したトナーTの、トナー担持面62a上からの回収が、より良好に行われる。したがって、本実施形態の構成によれば、帯電した粉末状のトナーTを、供給対象としての感光体ドラム3に対して、より良好に供給することが可能になる。
【0079】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0080】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0081】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0082】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0083】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(特に先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0084】
・本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0085】
露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。この場合、「主走査方向」は、発光素子(LED等)の配列方向と平行な方向となる。すなわち、「主走査方向」は、「用紙幅方向(用紙搬送方向と常時直交する方向)」又は「装置幅方向」とも称され得る。
【0086】
また、帯電極性も、上述の実施形態に開示された具体的態様(正帯電現像剤・正帯電感光体)に限定されない。すなわち、例えば、負帯電現像剤や負帯電感光体にも本発明は好適に適用され得ることは、いうまでもない。
【0087】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0088】
・感光体ドラム3と現像ローラ62とは、接触していてもよい。
【0089】
・電界搬送基板63の構成や配置は、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、オーバーコート層634は、省略され得る。
【0090】
底部電界搬送基板63aの中央部は、平坦であってもよい。すなわち、底部電界搬送基板63aにおける曲面状の部分は、垂直電界搬送基板63bの下端部との接続部のみであってもよい。
【0091】
底部電界搬送基板63aは、垂直電界搬送基板63bと別体に構成されていてもよい。この場合、底部電界搬送基板63aと垂直電界搬送基板63bとは、それぞれ別々の電源回路と接続されていてもよい。
【0092】
垂直電界搬送基板63bは、実質的に上下方向に沿って立設していればよく、多少傾いていてもよい。
【0093】
本発明は、現像ローラ62が電界搬送基板63(垂直電界搬送基板63b)の端部と対向配置される構成に限定されない。すなわち、トナー担持位置TCPは、電界搬送基板63(垂直電界搬送基板63b)の端部に対応する位置でなくてもよい。
【0094】
・本発明の現像剤担持手段は、電界搬送基板63及び現像バイアス電源回路682(並びに搬送バイアス電源回路681)に限定されない。例えば、上述のような通常の非磁性一成分現像装置と同様に、スポンジローラ等の供給ローラが本発明の現像剤担持手段として用いられてもよい。
【0095】
・帯電補助電極64の構成も、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、帯電補助電極64は、銅板によって形成され得る。また、帯電補助電極64は、平板状、メッシュ状、ワイヤ状その他の任意の形状に形成され得る。
【0096】
帯電補助電極64が回転駆動可能なローラ状部材によって構成された場合、かかるローラ状部材の周面に付着したトナーTを除去するためのクリーニング機構(クリーニングブレードやブラシローラ等)が設けられ得る。
【0097】
本発明は、上述の実施形態のような、底部電界搬送基板63a及び垂直電界搬送基板63bによるトナー担持位置TCPまでの搬送経路の全体によってトナーTを帯電させる構成に限定されない。すなわち、例えば、垂直電界搬送基板63bにおけるオーバーコート層634の材質を適宜選択することで、垂直電界搬送基板63bによる搬送中のトナーTのチャージアップが可及的に抑制される場合があり得る。
【0098】
この場合、トナーTの帯電は、主としてトナー搬送経路TTPにおける上流側の端部(すなわち底部電界搬送基板63a)にて行われることとなる。かかる場合であっても、現像ローラ62と帯電補助電極64とが対向する位置にてトナーTが交番電界の作用により帯電させられることで、現像位置DPにおける無帯電あるいは低帯電のトナーTの割合が可及的に減少され得る。
【0099】
・上述の各種のバイアスは、適宜変更され得る。例えば、図4を参照すると、各電源回路VA〜VDが発生する搬送バイアスの波形は、矩形波状以外にも、正弦波状や三角波状等の任意のものが用いられ得る。また、上述の実施形態においては、4つの電源回路VA〜VDが設けられるとともに、各電源回路VA〜VDが発生する搬送バイアスの波形の位相が90°ずつ異なっていた(4相)。もっとも、本発明はこれに限定されず、例えば、3つの電源回路が備えられるとともに、各電源回路が発生する搬送バイアスの波形の位相が120°ずつ異なるようになっていてもよい(3相)。
【0100】
現像バイアスは、直流電圧成分(接地を含む)のみであってもよい(これに対応して他のバイアスも適宜変更される)。
【0101】
回収バイアス電源回路685の出力であって回収ローラ66に印加される回収バイアスは、現像バイアスと位相が完全に同期(一致)していてもよい。すなわち、現像バイアスと回収バイアスとによって現像ローラ62と回収ローラ66との間に形成される電位差である回収電圧は、直流電圧成分のみであってもよい。あるいは、回収バイアスは、直流電圧成分のみであってもよい。この直流電圧成分が接地電位(0V)に対応する場合、回収ローラ66が接地された部材(レーザープリンタ1の金属製の本体フレーム等)と電気的に接続されることで、回収バイアス電源回路685は省略され得る。
【0102】
本発明の現像剤回収部材は、上述の実施形態にて開示されたものに限定されない。例えば、回収ローラ66に代えて、ブラシローラが用いられ得る。
【0103】
本発明の除去手段(クリーニング手段とも称され得る)は、上述の実施形態にて開示された除去ブレード(クリーニングブレード)67に限定されない。例えば、除去ブレード67に代えて、ブラシローラが用いられ得る。
【0104】
図6は、図2に示されているトナー供給装置6の一変形例の概略構成を示す側断面図である。図6を参照すると、本変形例においては、図2における除去ブレード67に代えて、電界搬送基板63の一部である回収用電界搬送基板63cが用いられている。
【0105】
回収用電界搬送基板63cは、平板状に形成されていて、垂直電界搬送基板63bと対向するように、トナーボックス61の内壁面に固定されている。回収用電界搬送基板63cの、トナー搬送方向TTDにおける始端部である上端部は、回収ローラ66と最近接しつつ対向する位置に設けられている。回収用電界搬送基板63cの、トナー搬送方向TTDにおける終端部である下端部は、トナー貯留部61aに向けて、上述の始端部から下方に向けて延出するように設けられている(かかる終端部は図6に示されているようにトナー貯留部61aに達するように設けられていてもよい)。
【0106】
回収用電界搬送基板63cは、回収搬送バイアス電源回路686と電気的に接続されている。回収搬送バイアス電源回路686は、回収用電界搬送基板63cと回収ローラ66とが最近接しつつ対向する位置にて、トナーTを回収ローラ66から回収しつつ下方のトナー貯留部61aに向けて搬送するための回収搬送バイアスを、回収用電界搬送基板63cにおける複数の搬送電極631に印加するようになっている。
【0107】
この場合、回収バイアス電源回路686は、−500Vの直流電圧成分と振幅300V、周波数300Hzの多相交流電圧成分とが重畳された搬送バイアス(−800〜−200V)を出力するようになっている。また、現像ローラ62(トナー担持面62a)と回収用電界搬送基板63cとの間には、トナー回収位置TRPにて、0.5mmのギャップが設けられている。
【0108】
・その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0109】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0110】
1…レーザープリンタ 3…感光体ドラム
6…トナー供給装置
62…現像ローラ 62a…トナー担持面
63…電界搬送基板 63a…底部電界搬送基板
63b…垂直電界搬送基板 63c…回収用電界搬送基板
66…回収ローラ 67…除去ブレード
68…バイアス印加部
681…搬送バイアス電源回路 682…現像バイアス電源回路
685…回収バイアス電源回路 686…回収搬送バイアス電源回路
DP…現像位置 LS…静電潜像担持面
T…トナー TCP…トナー担持位置
TRP…トナー回収位置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0111】
【特許文献1】特開平3−12678号公報
【特許文献2】特開2008−70803号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を供給対象に対して供給するように構成された、現像剤供給装置において、
主走査方向と平行な円柱面状の周面である現像剤担持面を有する、円柱状の部材であって、当該現像剤担持面が現像剤供給位置にて前記供給対象と対向するように設けられ、回転することで前記現像剤担持面が前記主走査方向と直交する方向に移動するように構成された、現像剤担持部材と、
前記主走査方向に沿った長手方向を有するとともに当該主走査方向と交差する方向に沿って複数配列された搬送電極を備えていてこれら複数の搬送電極への多相交流電圧である搬送バイアスの印加に伴って発生する進行波状の電界により前記現像剤を前記現像剤担持部材に向けて搬送するように構成された電界搬送基板を含み、前記現像剤担持部材の回転による前記現像剤担持面の移動方向における前記現像剤供給位置よりも上流側にて、前記現像剤担持面上に、前記電界搬送基板によって搬送された前記現像剤を担持させる、前記現像剤担持手段と、
前記移動方向における前記現像剤供給位置よりも下流側にて前記現像剤担持面と所定のギャップを隔てて対向するように配置された、前記主走査方向と平行な軸を中心として回転駆動可能な回転体であって、前記現像剤担持手段との間の回収電圧の印加によって発生する回収電界により前記現像剤担持面上から前記現像剤を回収するように設けられた、現像剤回収部材と、
を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置において、
前記現像剤回収部材によって前記現像剤担持面上から回収された前記現像剤を当該現像剤回収部材から除去する、除去手段をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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