説明

現像剤収容器および画像形成装置

【課題】簡易な構成でありながら、現像剤の偏りに起因する画像形成不良を防止することができる現像剤収容器、および、その現像剤収容器を備える画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
現像剤を収容する現像剤収容室68と、現像剤収容室68に回転可能に設けられ、現像剤収容室68に収容された現像剤を搬送する弾性変形可能な搬送部材37とを備えた現像剤収容器(現像ユニット25)である。さらに、本現像剤収容器は、搬送部材37が摺擦して搬送部材37を弾性変形させる摺擦部80を有し、現像剤収容室68と上方の空間とを区画する区画壁59と、摺擦部80に対して搬送部材37の回転方向下流側に配置され、現像剤収容室68の内外を連通し、摺擦部80で弾性変形された搬送部材37を復元させる連通部60と、連通部60に対して搬送部材37の回転方向下流側に配置され、連通部60によって復元された搬送部材37が当接される当接部58とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式が採用される画像形成装置、および、その画像形成装置に装備される現像剤収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のカラープリンタとして、複数の現像装置と、各現像装置に対応して、各現像装置の上方に並列配置される感光ドラムと、各感光ドラムに上方から接触するエンドレスベルトと、エンドレスベルトの一端に接触する2次転写ローラとを備える中間転写型カラープリンタが知られている。
【0003】
そのような中間転写型カラープリンタに装備される現像装置としては、例えば、供給ローラ、現像ローラおよび攪拌部材が設けられる現像室と、現像室の下方に配置され、現像剤(トナー)を収容し、現像室に現像剤を搬送する搬送部材が設けられる現像剤収容室とを備える現像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、そのような現像装置では、現像剤収容室に収容される現像剤が、回転可能に設けられる搬送部材により、搬送部材の回転方向から現像室に投入され、現像室において攪拌部材により攪拌されながら、供給ローラに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−170951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、現像剤収容室の上方に現像室が配置される現像装置では、重力に反して、現像剤収容室から現像室に現像剤を供給するので、現像室において、現像剤が均一に供給されず、現像剤に偏りが生じる場合がある。そして、そのような現像剤の偏りに起因して、供給ローラに現像剤が均一に供給されず、さらには、現像ローラに現像剤が均一に担持されず、画像形成不良が生じる場合がある。
【0007】
そのため、特許文献1に記載の現像装置では、現像室内に、攪拌部材を設けて現像剤を攪拌することにより、現像剤の偏りを抑制している。
【0008】
しかし、現像室において攪拌部材を設けると、現像装置の構造が複雑になり、現像装置の小型化および低コスト化を図ることが困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成でありながら、現像剤の偏りに起因する画像形成不良を防止することができる現像剤収容器、および、その現像剤収容器を備える画像形成装置を提供することにある。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の現像剤収容器は、現像剤を収容する現像剤収容室と、前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、前記現像剤収容室に収容された現像剤を搬送する弾性変形可能な搬送部材とを備えた現像剤収容器であって、前記搬送部材が摺擦して前記搬送部材を弾性変形させる摺擦部を有し、前記現像剤収容室と上方の空間とを区画する区画壁と、前記摺擦部に対して前記搬送部材の回転方向下流側に配置され、前記現像剤収容室の内外を連通し、前記摺擦部で弾性変形された前記搬送部材を復元させる連通部と、前記連通部に対して前記搬送部材の回転方向下流側に配置され、前記連通部によって復元された前記搬送部材が当接される当接部とを備えている。
【0011】
このような構成によれば、搬送部材は、回転することで摺擦部と摺擦し、摺擦部の形状に沿って弾性変形される。そして、搬送部材は、さらに回転して摺擦部から連通部に移動すると、摺擦部と搬送部材との摺擦が解消され、変形された搬送部材が、回転方向下流側、すなわち、当接部側に向けて復元する。そのため、搬送部材に搬送される現像剤の一部は、搬送部材の復元とともに連通部へ放出されることで分散する。そして、連通部に放出されなかった現像剤は当接部に向けて搬送され、搬送部材と共に当接部に衝突する。
【0012】
そうすると、当接部に搬送された現像剤は分散し、搬送部材が当接部に衝突することで発生する空気流に乗って、連通部から現像剤収容室外に供給される。また、この空気流により、連通部へ放出された現像剤も現像剤収容室外へ供給される。つまり、分散された現像剤が、搬送部材の回転方向と逆方向から、現像剤収容室外に供給される。そのため、現像剤が、現像剤収容室外に搬送部材の回転方向から、搬送部材により投入される場合と比較して、現像剤収容室外に供給される現像剤の偏りを抑制することができる。
【0013】
従って、本発明の現像剤収容器は、小型化および低コスト化を図ることができながら、現像剤収容室外に供給される現像剤の偏りを抑制でき、それに起因する画像形成不良を防止することができる。
【0014】
また、前記当接部には、前記搬送部材に搬送される現像剤の流入を許容する凹部が設けられていてもよい。
【0015】
このような構成によれば、搬送部材が当接部と当接したときに、搬送部材に搬送される現像剤が、凹部により確保される空間に流入する。そのため、現像剤が搬送部材と当接部とに挟み込まれて、搬送部材の回転力により圧縮され、凝集することを防止することができる。その結果、現像剤の凝集物の発生を抑制することができる。
【0016】
また、前記当接部は、上下方向に沿って延び、水平方向に間隔を隔てて配置される複数の突条部材を備えていてもよい。また、前記凹部は、隣接する突条部材の間に形成されていてもよい。
【0017】
つまり、当接部が複数の突条部材を備える場合、各突条部材間には、それぞれ上方が開放される凹部が形成されている。このような構成によれば、搬送部材が当接部(突条部材)と当接したときに、搬送部材に搬送される現像剤が、各凹部に流入する。そして、各凹部の上方が開放されているために、各凹部に流入した現像剤が、各凹部から上方に向かって噴出する。そのため、現像剤の凝集物の発生を抑制することができながら、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0018】
また、前記凹部には、前記凹部に流入された現像剤の下方への流れを堰き止めるように、隣接する前記突条部材の間に前記凹部を塞ぐ堰止部が設けられていてもよい。
【0019】
このような構成によれば、凹部に流入された現像剤の下方への流れが規制される。そのため、凹部から上方に向かって噴出する現像剤の量の増加を図ることができるので、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0020】
また、前記当接部側から前記連通部側に向かって空気流を発生する空気流発生部を備えていてもよい。
【0021】
このような構成によれば、当接部から連通部に向かって空気流が発生するので、その空気流により、当接部に衝突して分散された現像剤が良好に回転方向とは逆方向の現像剤収容室外に供給される。そのため、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0022】
また、前記現像剤収容器は、前記当接部を含む当接壁を備え、前記当接壁は、上方に向かうに従って、前記連通部側に傾斜するように形成されていてもよい。
【0023】
このような構成によれば、当接部が連通部の近傍に配置される。そのため、当接部に衝突され反射されることにより、連通部から回転方向とは逆方向の現像剤収容室外に供給される現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0024】
また、前記当接壁の上端は、前記区画壁の前記連通部側の端部よりも上方に配置されていてもよい。
【0025】
このような構成によれば、当接部をより上方に設けることができる。そのため、連通部から現像剤収容室外に供給される現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0026】
また、前記区画壁に沿う直線と、前記当接壁に沿う直線とが形成する角の補角が、90度以上160度以下であってもよい。
【0027】
区画壁に沿う直線と、当接壁に沿う直線とが形成する角の補角が、90度未満または160度を超過すると、現像剤が、当接部と衝突しても回転方向とは逆方向の現像剤収容室外に供給されずに、現像剤収容室に落下する割合が増加する。一方、区画壁に沿う直線と、当接壁に沿う直線とが形成する角の補角が、上記範囲内であれば、現像剤収容室に落下する割合が比較的減少するので、回転方向とは逆方向の現像剤収容室外に供給される現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0028】
また、前記摺擦部には、弾性変形可能である弾性部が形成されていてもよい。
【0029】
このような構成によれば、搬送部材が摺擦部と摺擦したときに、搬送部材が弾性部と接触する。そのため、搬送部材が振動して、搬送部材に搬送される現像剤の凝集を防止することができる。
【0030】
また、前記現像剤収容器は、現像剤を担持する現像ローラと、当該現像ローラの下方に回転可能に配置され、前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラとが配置され、前記連通部で前記現像剤収容室と連通する現像室を備え、前記現像室は、前記搬送部材と前記供給ローラの間に前記摺擦部が配置されるように、前記区画壁の上方に配置されていてもよい。
【0031】
この構成によれば、搬送部材に搬送されることにより、連通部へ放出されることで分散した現像剤および当接部に衝突することで分散した現像剤が、搬送部材が当接部と衝突することで発生する空気流により、連通部から現像室に供給されるので、現像室における現像剤の偏りを抑制することができる。その結果、現像剤が、供給ローラに均一に供給され、現像ローラに均一に担持されるので、画像形成不良を防止することができる。
【0032】
また、前記供給ローラの回転方向は、前記搬送部材の回転方向と逆方向であってもよい。
【0033】
このような構成によれば、連通部側から供給された現像剤を供給ローラの下方に押し込むのではなく、連通部側の方に持ち上げるようにして、現像ローラへ供給することができるため、供給ローラと区画壁との間で現像剤がパッキングされることを防止でき、現像ローラに現像剤を十分に供給することができる。また、現像室において、貯留されることにより生じた現像剤の凝集物が、現像ローラに供給されることを抑制できる。従って、供給ローラと区画壁との間の現像剤のパッキング、および、現像剤の凝集物が現像ローラに供給されることに起因する画像形成不良の発生を抑制することができる。
【0034】
また、前記現像剤収容器は、前記区画壁に対して前記搬送部材の回転方向上流側である一方側の内側面と、前記区画壁に対して前記搬送部材の回転方向下流側である他方側の内側面とを備え、前記区画壁は、前記一方側の内側面から前記他方側の内側面に向かって上方に傾斜するように形成されていてもよい。
【0035】
このような構成によれば、現像室に供給された現像剤が、区画壁の傾斜に沿って移動し、現像室の一方側、すなわち、供給ローラの近傍に貯留される。そのため、供給ローラに現像剤を安定して供給でき、現像ローラに対する現像剤の供給不足に起因する画像形成不良の発生を抑制することができる。
【0036】
また、前記区画壁の上端部は、前記供給ローラの回転中心よりも上方に位置し、前記区画壁の上端部を含み鉛直方向に延びる直線と前記供給ローラの回転中心を含み水平方向に延びる直線との交差点と、前記供給ローラとの水平方向における間隔をA、前記区画壁の上端部と前記交差点との鉛直方向における間隔をh、前記現像室内の現像剤の崩壊角をθとしたとき、h>Atanθ(1)の関係を満足するように構成されていてもよい。
【0037】
通常、現像剤は、現像動作に伴ない、劣化して流動性が悪化するので、現像剤の崩壊角θは大きくなる。そうすると、Atanθの値が、hよりも大きくなり、供給ローラの回転中心よりも上方に、現像剤を供給することができない場合がある。
【0038】
一方、このような構成によれば、現像剤の崩壊角θが大きくなっても、供給ローラの回転中心よりも上方に、現像剤を供給することができる。そのため、供給ローラから現像ローラに現像剤を十分に供給することができる。
【0039】
また、前記連通部は、前記供給ローラの回転中心よりも上方に位置していてもよい。
【0040】
このような構成によれば、連通部の下端縁、すなわち、区画壁の遊端部が、供給ローラの回転中心よりも上方に位置するので、現像室には、現像剤の水位が供給ローラの回転中心よりも上方に位置するまで、現像剤を貯留することができる。その結果、供給ローラに現像剤を安定して供給でき、現像ローラに対する現像剤の供給不足に起因する画像形成不良の発生を、さらに抑制することができる。
【0041】
また、前記連通部の上方において、前記当接部側から、前記現像ローラに向かって延び、前記現像ローラに担持された現像剤の層厚を規制する層厚規制部材を備えていてもよい。
【0042】
このような構成によれば、現像室に供給された現像剤が、層厚規制部材の下面により、層厚規制部材よりも上方に移動することが規制されるので、現像剤が、供給ローラを介さずに現像ローラに供給(付着)されることを防止することができる。その結果、現像ローラに対する所望しない現像剤の供給(付着)に起因する画像形成不良を防止することができる。
【0043】
本発明の画像形成装置は、上記に記載の複数の現像剤収容器と、複数の前記現像剤収容器に対応して、各前記現像剤収容器の上方に配置される複数の感光体と、各前記感光体の上方に配置されるエンドレスベルトと、各前記感光体との間で前記エンドレスベルトを挟んで、各前記感光体と対向するように配置される複数の一次転写ローラと、前記エンドレスベルトの一端側に配置される二次転写ローラとを備えている。
【0044】
このような構成によれば、現像剤が、供給ローラに均一に供給され、現像ローラに均一に担持されるので、画像形成不良を防止することができる。
【0045】
従って、本発明の画像形成装置は、小型化および低コスト化を図ることができながら、現像室における現像剤の偏りを抑制でき、それに起因する画像形成不良を防止することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の現像剤収容器および画像形成装置では、小型化および低コスト化を図ることができながら、現像剤収容室外に供給される現像剤の偏りを抑制でき、それに起因する画像形成不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのカラープリンタを示す側断面図である。
【図2】図1に示す現像カートリッジの一実施形態を示す側断面図である。
【図3】図1に示す現像カートリッジの当接部の正面図である。
【図4】図1に示す現像カートリッジの現像室の拡大図である。
【図5】本発明の現像カートリッジの他の実施形態を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
1.カラープリンタの全体構成
図1に示すように、画像形成装置の一例としてのカラープリンタ1は、横置きタイプの中間転写型カラープリンタである。
【0049】
また、カラープリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、給紙部3および画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス形状に形成されており、その一方側壁には、フロントカバー5が、その下端部を支点として揺動(移動)可能に設けられている。
【0050】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における紙面左側)を前側とし、その反対側(図1における紙面右側)を後側とする。また、カラープリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Pを収容する給紙トレイ6を備えている。給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着されている。
【0051】
また、給紙部3には、給紙トレイ6の後端部上側に配置されるピックアップローラ9と、ピックアップローラ9の後側に配置される給紙ローラ10と、給紙ローラ10の下側に対向配置される給紙パッド11と、給紙ローラ10の後上方に配置される1対の搬送ローラ12と、搬送ローラ12の前上方に配置され、互いに対向される1対のレジストローラ13とが設けられている。
【0052】
給紙トレイ6に収容されている用紙P(図1実線参照)は、ピックアップローラ9の回転により、給紙ローラ10と給紙パッド11との間に送られ、給紙ローラ10の回転により1枚ずつ捌かれる。その後、捌かれた用紙Pは、1対の搬送ローラ12の回転により、上方の両レジストローラ13間に向けて給紙され、レジストローラ13の回転により、所定のタイミングで、画像形成部4(中間転写ベルト30(後述)と二次転写ローラ27(後述)との間)に供給される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、給紙部3の上側に配置されており、プロセスユニット15、転写ユニット17および定着ユニット18を備えている。
(3−1)プロセスユニット
プロセスユニット15は、給紙トレイ6の上側において、本体ケーシング2内に装着される装着位置と、本体ケーシング2から引き出される引出位置とに、前後方向に沿って移動可能に設けられている。
【0053】
プロセスユニット15は、プロセスフレーム20と、プロセスフレーム20に着脱可能に保持される、現像剤収容器の一例としての現像ユニット25とを備えている。
【0054】
プロセスフレーム20は、前後方向に長手の側面視略矩形状のボックス形状に形成され、前後方向に沿ってスライド可能に設けられている。
【0055】
また、プロセスフレーム20は、感光体の一例としての4つの感光ドラム22と、4つのスコロトロン型帯電器23と、4つのドラムクリーニングローラ24と、4つのLEDユニット44と、ベルトクリーニングユニット43とを備えている。
【0056】
各感光ドラム22は、左右方向に長手の略円筒形状に形成され、プロセスフレーム20の上端縁から上側部分が露出するように、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。また、各感光ドラム22は、プロセスフレーム20の両側壁(図示せず)に回転可能に支持されている。
【0057】
各スコロトロン型帯電器23は、対応する感光ドラム22の後下側に、感光ドラム22と間隔を隔てて対向配置され、左右方向に延びて、プロセスフレーム20の両側壁(図示せず)に支持されている。
【0058】
各ドラムクリーニングローラ24は、スコロトロン型帯電器23の上側であって、対応する感光ドラム22の後側において、感光ドラム22と対向して接触するように配置され、左右方向に延びて、プロセスフレーム20の両側壁(図示せず)に回転可能に支持されている。
【0059】
各LEDユニット44は、対応する感光ドラム22に下方から対向するように、プロセスフレーム20に支持されている。LEDユニット44は、所定の画像データに基づいて、対応する感光ドラム22の表面を露光する。
【0060】
ベルトクリーニングユニット43は、プロセスフレーム20内の前側に配置され、側面視矩形状のボックス形状に形成される廃現像剤収容部45と、廃現像剤収容部45内の上端に設けられるクリーニングローラ46、掻き取りローラ47、および掻き取りブレード48を備えている。中間転写ベルト30(後述)の表面に残存した現像剤は、クリーニングローラ46によってクリーニングされ、一旦、掻き取りローラ47に保持された後、掻き取りブレード48で掻き取られることにより、廃現像剤収容部45内に収容される。
【0061】
現像ユニット25は、各色に対応して4つ設けられ、プロセスフレーム20に保持された状態において、対応する感光ドラム22の前下側に配置され、前後方向に互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0062】
また、現像ユニット25は、詳しくは後述するが、現像室67と現像剤収容室68とを備える現像フレーム32を備えている。
【0063】
また、現像室67には、現像ローラ33と、供給ローラ34と、層厚規制ブレード35とが設けられている。
【0064】
また、現像剤収容室68には、搬送部材37が設けられ、各色に対応する現像剤が収容されている。
(3−2)転写ユニット
転写ユニット17は、プロセスユニット15の上方に配置され、ベルトユニット26と二次転写ローラ27とを備えている。
【0065】
ベルトユニット26は、各感光ドラム22に上側から対向するように、前後方向に沿って配置されている。
【0066】
ベルトユニット26は、駆動ローラ28、従動ローラ29、エンドレスベルトの一例としての中間転写ベルト30、および、4つの一次転写ローラ31を備えている。
【0067】
駆動ローラ28および従動ローラ29は、互いに前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0068】
中間転写ベルト30は、その下側部分が各感光ドラム22に接触されるように、各感光ドラム22の上方に配置され、駆動ローラ28および従動ローラ29の周りに掛け渡されている。また、中間転写ベルト30は、駆動ローラ28の駆動および従動ローラ29の従動により、各感光ドラム22と接触する下側部分が前側から後側に向かって移動するように、周回移動されている。
【0069】
各一次転写ローラ31は、各感光ドラム22と、それぞれ中間転写ベルト30の下側部分を挟んで対向するように、設けられている。
【0070】
二次転写ローラ27は、駆動ローラ28と、中間転写ベルト30を挟んで対向するように、ベルトユニット26の後方(中間転写ベルト30の一端側)に設けられている。
(3−3)定着ユニット
定着ユニット18は、二次転写ローラ27の上方に配置され、加熱ローラ38、および、加熱ローラ38に対して下側から圧接される加圧ローラ39を備えている。
(3−4)画像形成動作
(3−4−1)現像動作
現像ユニット25内の現像剤は、供給ローラ34に供給され、さらに、現像ローラ33に供給される。
【0071】
現像ローラ33に供給された現像剤は、現像ローラ33の回転に伴って、層厚規制ブレード35によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ33の表面に担持される。
【0072】
一方、感光ドラム22の表面は、感光ドラム22の回転に伴って、スコロトロン型帯電器23により一様に正帯電された後、LEDユニット44により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム22の表面に形成される。
【0073】
感光ドラム22がさらに回転すると、現像ローラ33の表面に担持される現像剤が、感光ドラム22の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム22の静電潜像は可視像化され、感光ドラム22の表面には、反転現像による現像剤像が担持される。
(3−4−2)転写・定着動作
感光ドラム22の表面に担持された現像剤像は、前側から後側へ移動される中間転写ベルト30の下側部分に順次、一次転写される。これにより、中間転写ベルト30にカラー画像が形成される。
【0074】
中間転写ベルト30に形成されたカラー画像は、中間転写ベルト30が二次転写ローラ27との対向位置を通過する間に、給紙部3から供給される用紙Pに、二次転写される。
【0075】
そして、用紙Pに転写されたカラー画像は、定着ユニット18において、用紙Pが加熱ローラ38と加圧ローラ39との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
定着ユニット18において現像剤像を定着された用紙Pは、排紙ローラ50によって、本体ケーシング2の上面に形成される排紙トレイ51上に排紙される。
2.現像ユニットの詳細
(1)現像フレーム
現像フレーム32(筐体)は、図2に示すように、左右方向に延びる中空形状に形成され、その左右両端部が両側壁(図示せず)により閉鎖されている。
【0076】
また、現像フレーム32は、下側フレーム54と、下側フレーム54の上側に隣接配置される上側フレーム55とを備えている。
【0077】
下側フレーム54は、円弧壁56と、当接壁57とを備えている。
【0078】
円弧壁56は、後上側に向かって開放される側面視略円弧形状に形成されている。
【0079】
当接壁57は、略平板形状に形成され、円弧壁56の後端部から、上方に向かうに従って前方に傾斜するように突出して形成されている。
【0080】
また、当接壁57は、その内側面(前面)が、当接部58として区画されている。
【0081】
当接部58には、上下方向に沿って延びる複数の突条部材62が設けられている。
【0082】
各突条部材62は、図3に示すように、前方に向かって突出する断面略三角形状に形成され、左右方向(水平方向)に互いに間隔を隔てて並列配置されている。また、隣接する突条部材62の間は、凹部の一例としての凹条部66として形成されている。
【0083】
凹条部66には、隣接する各突条部材62の間に各凹条部66を塞ぐ堰止部88が設けられている。
【0084】
堰止部88は、側面視略矩形状に形成され(図2参照)、上下方向において、各凹条部66の上端部から略1/3の位置に配置されている。
【0085】
また、当接壁57は、その外側面(後面)に、ブレード支持部63が設けられている。
【0086】
ブレード支持部63は、台座64と、支持板65とを備えている。
【0087】
台座64は、後方に向かって突出する側面視略矩形状に形成され、当接壁57の外側面上端部に形成されている。
【0088】
支持板65は、前方に向かって屈曲する側面視略L字状に形成され、台座64の後面に固定されている。また、支持板65の前方に屈曲する部分と、台座64の上面とは、上下方向に間隔を隔てて対向するように配置されている。
【0089】
上側フレーム55は、その下側部分83が、供給ローラ34の外周面に沿う略円弧形状に形成され、その上側部分84が、下側部分83の上端部から上方に向かって延び、前方に向かって屈曲するように形成されている。
【0090】
そして、下側フレーム54と上側フレーム55とは、円弧壁56の上端部と下側部分83の下端部とが接合されることにより、連結されている。
【0091】
また、現像フレーム32の内部空間には、区画壁59が設けられている。
【0092】
区画壁59は、略平板形状に形成され、円弧壁56と下側部分83との接合部分から、搬送部材37の回転方向X(後述)に沿って、当接部58に向かって上方に傾斜するように突出して形成されている。また、区画壁59の上端部は、下方から上方に向かうに従って後方に向けて斜めに切り欠かれている。
【0093】
そして、区画壁59は、その上端部が、当接壁57の上端部に対して、前下側に位置するように配置されている。すなわち、区画壁59の上端部と、当接壁57の上端部とは、間隔を隔てて対向配置されている。また、区画壁59の上端部は、突条部材62の先端部と、前後方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0094】
また、区画壁59の突出方向に沿う直線L1と、当接壁57の突出方向に沿う直線L2とが形成する角θ1の補角θ2は、例えば、90度以上160度以下、具体的には、126度である。
【0095】
そして、区画壁59の上端部と当接壁57の上端部との間は、連通部60として形成されている。
【0096】
これにより、現像フレーム32の内部空間は、区画壁59よりも上方の空間と下方の空間とに区画され、それぞれの空間は連通部60により連通されている。
【0097】
詳しくは、区画壁59よりも上方の空間は、上側フレーム55の内側面および区画壁59の上面により、現像室67として区画されている。また、区画壁59よりも下方の空間は、下側フレーム54の内側面(円弧壁56の内側面および当接部58)および区画壁59の下面(摺擦部80(後述))により、現像剤収容室68として区画されている。
【0098】
すなわち、区画壁59は、現像フレーム32の内部空間を、上方に配置される現像室67と下方に配置される現像剤収容室68とに区画している。そして、現像室67と現像剤収容室68とは、連通部60により連通されている。
【0099】
また、区画壁59は、その下面が摺擦部80として区画されている。
【0100】
摺擦部80は、搬送部材37および供給ローラ34の間において、搬送部材37および供給ローラ34に対向する領域に配置されている。
(2)現像剤収容室
現像剤収容室68には、現像剤が収容されている。
【0101】
このような現像剤としては、例えば、トナー、具体的には、正帯電性の非磁性1成分のトナー、好ましくは、重合トナーが挙げられる。重合トナーは、球状をなし、流動性が極めて良好であり、高画質の画像を形成することができる。
【0102】
また、現像剤収容室68には、現像剤収容室68に収容された現像剤を攪拌し、かつ、現像剤を現像室67に搬送するための搬送部材37が設けられている。
【0103】
搬送部材37は、搬送部材回転軸70と、搬送羽71とを備えている。
【0104】
搬送部材回転軸70は、現像剤収容室68の側断面略中央部分に位置し、左右方向に延びて、現像フレーム32の両側壁(図示せず)に、回転可能に支持されている。
【0105】
また、搬送部材回転軸70には、搬送羽固定部72が一体的に形成されている。
【0106】
搬送羽固定部72は、側面視略L字状に形成され、その一端部が、搬送部材回転軸70の周面に接合されている。本実施形態では、搬送羽固定部72は、1つであるが、搬送部材回転軸70の径方向において、対向するように2つ設けられていてもよい(図5参照)。
【0107】
搬送羽71は、弾性変形可能な略平板形状(図2点線参照)の可撓性フィルムから形成され、搬送部材37の回転方向外側に向かって延びるように、搬送羽固定部72の遊端部にそれぞれ固定されている。
【0108】
また、搬送羽71は、搬送部材37が回転駆動したときに、搬送羽71の遊端部が、円弧壁56の内側面、摺擦部80および当接部58(突条部材62の先端部)とそれぞれ摺擦する。
【0109】
そして、搬送部材37は、本体ケーシング2に設けられるモータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が搬送部材回転軸70に入力されると、搬送部材回転軸70が回転駆動され、これによって、搬送羽71が図2において矢印で示す回転方向X(右側面視時計方向)に回転する。
【0110】
つまり、区画壁59において、基端部側が、搬送部材37の回転方向X上流側(一方側)であり、遊端部側が、搬送部材37の回転方向X下流側(他方側)である。
【0111】
また、摺擦部80、連通部60および当接部58においては、搬送部材37の回転方向Xの上流側から下流側に向かって、摺擦部80、連通部60および当接部58が順次配置されている。
(3)現像室
現像室67には、供給ローラ34と、現像ローラ33と、層厚規制部材の一例としての層厚規制ブレード35とが備えられている。
【0112】
供給ローラ34は、上側フレーム55の下側部分83の内側であり、かつ、区画壁59の基端部上方において、回転中心が、上側フレーム55の下側部分83の円弧中心と一致するように配置されている。
【0113】
また、供給ローラ34は、左右方向に延びて、現像フレーム32の両側壁(図示せず)に回転可能に支持されている。
【0114】
供給ローラ34は、左右方向に投影したときに、その回転中心が、連通部60の下端縁、すなわち、区画壁59の上端部よりも下方に位置している。
【0115】
また、供給ローラ34は、図4に示すように、区画壁59の上端部を含み上下方向(鉛直方向)に延びる直線L3と供給ローラ34の回転中心を含み水平方向に延びる直線L4との交差点Qと、供給ローラ34の表面(Q1)との水平方向における間隔A、区画壁59の上端部と交差点Qとの鉛直方向における間隔h、および、現像剤の崩壊角θの関係が、下記式(1)の関係を満足するように配置されている。
式(1):
h>Atanθ(1)
また、現像剤の崩壊角θは、現像剤を安息角の状態から、現像室67に供給される現像剤の衝撃によって、円錐積角を崩壊させたときの斜面の角度であって、現像ユニット25の最大印刷枚数の現像が終了したときに、現像剤収容室68に収容されている現像剤を基準として求められる。
【0116】
具体的には、現像剤の崩壊角θは、例えば、14〜20度である。
【0117】
そして、供給ローラ34は、現像時において、本体ケーシング2に設けられるモータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達される。また、供給ローラ34には、現像時において、電源(図示せず)から供給バイアスが印加される。駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達されると、供給ローラ34は、図2に示すように、現像ローラ33と対向接触する部分(後述)において、現像ローラ33と逆方向に回転するように、図2において矢印で示す回転方向Y(右側面視反時計方向)に回転駆動される。すなわち、供給ローラ34の回転方向Yは、搬送部材37の回転方向Xと逆方向である。
【0118】
現像ローラ33は、供給ローラ34の回転中心よりも上方であって、現像ローラ33の前下側の外周面と、供給ローラ34の後上側の外周面とが圧接するように、供給ローラ34に対向配置されている。また、現像ローラ33は、その上側および後側の表面が、現像フレーム32から露出するように、現像室67内の上側に配置されている。
【0119】
また、現像ローラ33は、左右方向に延びて、現像フレーム32の両側壁(図示せず)に回転自在に支持されている。
【0120】
そして、現像ローラ33は、現像時には、本体ケーシング2に設けられるモータなどの駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達される。また、現像ローラ33には、現像時において、電源(図示せず)から現像バイアスが印加される。駆動源(図示せず)からの駆動力が伝達されると、現像ローラ33は、供給ローラ34と対向接触する部分において、供給ローラ34と逆方向に回転するように、図2に示す矢印方向(右側面視反時計方向)に回転駆動される。
【0121】
層厚規制ブレード35は、略平板形状に形成され、現像フレーム32の左右方向全体にわたって設けられている。
【0122】
また、層厚規制ブレード35は、その一端部が、現像ローラ33の下側の外周面と弾性的に接触するように、支持板65の遊端部に固定されている。詳しくは、層厚規制ブレード35は、連通部60の上方において、当接部58側から現像ローラ33に向かって延びるように配置されている。
【0123】
なお、層厚規制ブレード35と現像ローラ33との接触部分は、現像ローラ33の下半部において、現像ローラ33と供給ローラ34との接触部分よりも、現像ローラ33の回転方向下流側に位置している。
【0124】
また、層厚規制ブレード35と現像ローラ33との接触部分は、上下方向に投影したときに、連通部60よりも前方に位置している。
(4)現像動作の詳細
次いで、現像ユニット25における、現像動作の詳細について説明する。
【0125】
搬送部材37は、現像動作時において、搬送部材回転軸70に駆動力が入力されると、回転方向Xに回転する。
【0126】
このとき、搬送羽71の遊端部が円弧壁56の内周面の形状に沿って弾性力に抗して変形される。具体的には、搬送羽71は、回転方向Xの逆方向に反るように湾曲する。
【0127】
また、現像剤収容室68内に収容される現像剤は、搬送部材37の回転に伴ない、円弧壁56の内周面と搬送羽71とにはさまれつつ、摺擦部80に向けて搬送される。
【0128】
次いで、搬送羽71の遊端部が摺擦部80に到達すると、搬送羽71の遊端部と摺擦部80とが摺擦する。そして、搬送羽71は、現像剤を保持したまま、摺擦部80の形状に沿って弾性変形された状態が維持される。
【0129】
次いで、さらに搬送部材37が回転すると、搬送羽71の遊端部は、摺擦部80に摺擦しながら、区画壁59の傾斜に沿って移動される。
【0130】
そして、搬送羽71の遊端部は、区画壁59の遊端部に到達すると、区画壁59の遊端部の傾斜に沿って、さらに後上方に向けて移動された後、連通部60に到達する。
【0131】
このとき、搬送羽71は、搬送羽71の遊端部と摺擦部80との摺擦が解消されるので、弾性変形された状態(回転方向Xの逆方向に反るように湾曲した状態)から、弾性力により、略平板形状に復元する。すなわち、搬送羽71の遊端部は、搬送部材37の回転方向X下流側に向けて移動する。
【0132】
これにより、搬送羽71に搬送される現像剤の一部は、搬送羽71の復元にともない、連通部60で放出されることで分散し、連通部60に放出されなかった現像剤は搬送部材37の回転方向X下流側、すなわち、当接部58側に向けて搬送され、当接部58と衝突して分散する。
【0133】
そして、分散した現像剤は、搬送部材37が当接部58と衝突することで発生する空気流によって搬送部材37の回転方向Xの逆方向である供給方向Z(図2中において、矢印(右側面視反時計方向)で示す。)から、連通部60を介して現像室67に供給される。
【0134】
詳しくは、現像剤は、当接部58に設けられる凹条部66に確保される空間に流入し、凹条部66の底部(凹条部66の前面)と衝突する。そうすると、現像剤は、凹条部66の底部で反射されることにより分散される。
【0135】
また、分散された現像剤は、各凹条部66間に設けられる堰止部88により下方への流れが堰き止められ、また、各凹条部66の上方が開放されているので、各凹条部66の上方から噴出して、空中に舞って、搬送部材37の回転方向Xの逆方向である供給方向Z(図2中において、矢印(右側面視反時計方向)で示す。)から、現像室67に供給される。
【0136】
このとき、連通部60の上方には、層厚規制ブレード35が設けられているので、空中に舞った現像剤は、層厚規制ブレード35の下面により、層厚規制ブレード35よりも上方に移動することが規制される。
【0137】
次いで、現像室67に供給された現像剤は、重力により落下して、区画壁59の上面に略均一に堆積され、現像室67に貯留される。
【0138】
そして、現像剤は、区画壁59が傾斜していることから、その傾斜に沿って、区画壁59の基端部側、すなわち、供給ローラ34の近傍に向けて移動される。
【0139】
このとき、現像室67に貯留される現像剤よりも、新たに供給された現像剤のほうが、供給ローラ34の連通部60側(後半分)における、供給ローラ34の回転方向下流側に位置される。そのため、貯留されている現像剤よりも、新たに供給された現像剤が、優先的に供給ローラ34により現像ローラ33に供給される。
【0140】
また、現像ローラ33に供給された現像剤は、上記したように、層厚規制ブレード35によって厚さが規制され、現像ローラ33の表面に担持される。
【0141】
そして、現像ローラ33の表面に担持される現像剤が、感光ドラム22の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム22の表面に、反転現像による現像剤像が担持される。
【0142】
一方、連通部60を通過した搬送羽71は、各突条部材62の先端部と当接して、搬送部材37の回転に伴なって、再度弾性変形される。
7.作用効果
(1)この現像ユニット25によれば、図2に示すように、搬送部材37の搬送羽71の遊端部が、連通部60に到達すると、摺擦部80との摺擦が解消され、弾性力により搬送羽71が、湾曲するように変形された状態から、略平板形状に復元する。
【0143】
そのため、搬送羽71に搬送される現像剤の一部は、搬送羽71の復元とともに、連通部60へ放出されることで分散し、連通部60に放出されなかった現像剤は当接部58に向けて搬送され、搬送部材37と共に当接部58に衝突することで分散する。
【0144】
これによって、分散した現像剤が、当接部58に衝突した搬送部材37が作り出す空気流により、連通部60から現像室67に供給される。つまり、良好に分散された現像剤が、搬送部材37の回転方向Xと逆方向の供給方向Zから、現像室67に供給される。
【0145】
そのため、現像室67における現像剤の偏りを抑制することができる。
【0146】
その結果、現像剤が、供給ローラ34に均一に供給され、現像ローラ33に均一に担持されるので、画像形成不良を防止することができる。
【0147】
従って、現像ユニット25は、小型化および低コスト化を図ることができながら、現像室67における現像剤の偏りを抑制でき、それに起因する画像形成不良を防止することができる。
(2)また、供給ローラ34の回転方向Yは、搬送部材37の回転方向Xと逆方向である。
【0148】
そのため、供給ローラ34が現像ローラ33に現像剤を搬送する側(図2において供給ローラ34の後側)において、供給ローラ34に現像剤を供給することができるため、供給ローラ34と区画壁59の上面との間で現像剤がパッキングされることを防止でき、現像ローラ33に現像剤を十分に供給することができる。また、現像室67おいて、貯留されることにより生じた現像剤の凝集物が、現像ローラ33に供給されることを抑制できる。
【0149】
従って、供給ローラ34と区画壁59の上面との間の現像剤のパッキング、および、現像剤の凝集物が現像ローラ33に供給されることに起因する画像形成不良を防止することができる。
(3)また、当接部58は、上下方向に沿って延びる、現像剤の流入を許容するように、水平方向に間隔を隔てて配置される複数の突条部材62を備えている。そして、隣接する各突条部材62の間は、凹条部66として区画されている。
【0150】
そのため、搬送羽71が各突条部材62の先端部分と当接したときに、搬送羽71に搬送される現像剤は、各凹条部66により確保される空間に流入する。
【0151】
その結果、現像剤が、搬送羽71と当接部58とに挟み込まれて、搬送部材37の回転力により圧縮され、凝集することを防止することができる。
【0152】
また、各凹条部66の上方が開放されているために、各凹条部66に流入した現像剤は、各凹条部66から上方に向かって噴出する。
【0153】
そのため、現像剤の凝集物の発生を抑制することができながら、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
(4)また、各凹条部66には、隣接する各突条部材62の間に、各凹条部66を塞ぐ堰止部88が設けられている。
【0154】
そのため、各凹条部66に流入された現像剤の下方への流れが規制される。
【0155】
その結果、各凹条部66から上方に向かって噴出する現像剤の量の増加を図ることができ、現像室67に対する現像剤の供給量の増加を図ることができる。
(5)また、区画壁59は、下側フレーム54と上側フレーム55との接合部分から、後方に向かうに従って上方に傾斜するように形成されている。つまり、現像フレーム32の前側(一方側)の内側面から後側(他方側)の内側面に向かって上方に傾斜するように形成されている。
【0156】
そのため、現像室67に供給された現像剤が、区画壁59の傾斜に沿って移動し、現像室67の前側、すなわち、供給ローラ34の近傍に貯留される。
【0157】
そのため、供給ローラ34に現像剤を安定して供給でき、現像ローラ33に対する現像剤の供給不足に起因する画像形成不良の発生を抑制することができる。
(6)また、区画壁59の上端部は、供給ローラ34の回転中心よりも上方に位置している。また、図4に示すように、区画壁59の上端部を含み上下方向(鉛直方向)に延びる直線L3と供給ローラ34の回転中心を含み水平方向に延びる直線L4との交差点Qと、供給ローラ34の表面(Q1)との水平方向における間隔A、区画壁59の上端部と交差点Qとの鉛直方向における間隔h、および、現像剤の崩壊角θの関係が、h>Atanθ(1)を満足するように構成されている。
【0158】
そのため、現像ユニット25の現像動作に伴ない、現像剤の崩壊角θが大きくなっても、供給ローラ34の回転中心よりも上方に、現像剤を供給することができる。
【0159】
具体的には、直線L4と供給ローラ34の表面との交点Q1よりも上方に、現像剤を供給することができる。
【0160】
その結果、供給ローラ34から現像ローラ33に現像剤を十分に供給することができる。
(7)また、当接壁57は、上方に向かうに従って、連通部60側(前側)に傾斜するように突出して形成され、その前面が当接部58として区画されている。
【0161】
これによって、当接部58が連通部60の近傍に配置される。
【0162】
そのため、当接部58に衝突され反射されることにより、連通部60から、供給方向Zに沿って、現像室67に供給される現像剤の供給量の増加を図ることができる。
(8)また、当接壁57の上端は、区画壁59の上端よりも上方に配置されている。
【0163】
そのため、当接部58をより上方、すなわち、現像室67側に設けることができる。そのため、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
(9)また、連通部60は、左右方向に投影したときに、供給ローラ34の回転中心よりも上方に位置している。つまり、連通部60の下端縁、すなわち、区画壁59の遊端部(上端部)が、供給ローラ34の回転中心よりも上方に位置している。
【0164】
そのため、現像室67には、現像剤の水位が供給ローラ34の回転中心よりも上方に位置するまで、現像剤を貯留することができる。
【0165】
その結果、供給ローラ34に現像剤を安定して供給でき、現像ローラ33に対する現像剤の供給不足に起因する画像形成不良の発生を、さらに抑制することができる。
(10)また、現像ユニット25は、層厚規制ブレード35を備えている。
【0166】
層厚規制ブレード35は、連通部60の上方において、当接部58側から現像ローラ33に向かって延びるように配置されている。
【0167】
そのため、現像室67に供給された現像剤、とりわけ、空中に舞った現像剤が、層厚規制ブレード35の下面により、層厚規制ブレード35よりも上方に移動することが規制される。
【0168】
そのため、現像剤が、供給ローラ34を介さずに現像ローラ33に供給(付着)されることを防止することができる。
【0169】
その結果、現像ローラ33に対する所望しない現像剤の供給(付着)に起因する画像形成不良を防止することができる。
(11)また、区画壁59の突出方向に沿う直線と、当接壁57の突出方向に沿う直線とが形成する角の補角が、90度以上160度以下、具体的には、126度である。
【0170】
そのため、現像室67に供給される現像剤の供給量の増加を図ることができる。
(12)このカラープリンタ1は、現像ユニット25を備えている。
【0171】
そのため、カラープリンタ1は、小型化および低コスト化を図ることができながら、現像室67における現像剤の偏りを抑制でき、それに起因する画像形成不良を防止することができる。
8.変形例
上記した現像ユニット25では、さらに、空気流発生部の一例としてのファン86を備えることもできる。
【0172】
この場合には、ファン86は、図2の仮想線で示すように、当接壁57の上端部に設けられている。詳しくは、ファン86は、連通部60の上方において、当接部58側(後側)から連通部60側(前側)に向かって、空気流を発生させるように、台座64の上面に設けられている。
【0173】
この変形例では、当接部58側(後側)から連通部60側(前側)に向かって、空気流が発生するので、その空気流により、当接部58に衝突して反射されることにより、空中に舞った現像剤が良好に現像室67に供給される。そのため、現像剤の供給量の増加を図ることができる。
【0174】
また、上記した現像ユニット25では、さらに、弾性部87を備えることもできる。
【0175】
この場合には、弾性部87は、弾性変形可能な部材(例えば、ゴム)から略シート状に形成され、図2の仮想線で示すように、摺擦部80に貼着されている。
【0176】
この変形例では、搬送羽71が摺擦部80と摺擦したときに、搬送羽71が弾性部87と接触する。そのため、搬送羽71が振動して、搬送羽71に搬送される現像剤の凝集を防止することができる。
【0177】
また、上記した現像ユニット25では、搬送部材37は、搬送羽71および搬送羽固定部72をそれぞれ1つ備えたが、図5に示すように、搬送羽71および搬送羽固定部72をそれぞれ2つ備えていてもよい。
【0178】
この場合には、搬送羽固定部72は、搬送部材回転軸70の径方向において、対向するように2つ設けられている。
【0179】
この変形例では、現像剤収容室68に収容される現像剤を、より効率よく現像室67に、搬送することができる。
【0180】
また、前記実施形態では、現像剤収容器として現像ユニット25を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、トナーカートリッジであってもよい。
【0181】
なお、これらの変形例は、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0182】
1 カラープリンタ
22 感光ドラム
25 現像ユニット
27 二次転写ローラ
30 中間転写ベルト
31 一次転写ローラ
32 現像フレーム
33 現像ローラ
34 供給ローラ
35 層厚規制ブレード
37 搬送部材
57 当接壁
58 当接部
59 区画壁
60 連通部
62 突条部材
66 凹条部
67 現像室
68 現像剤収容器
80 摺擦部
86 ファン
87 弾性部
88 堰止部
L1 区画壁の突出方向に沿う直線
L2 当接壁の突出方向に沿う直線
L3 区画壁の上端部を含み鉛直方向に延びる直線
L4 供給ローラの回転中心を含み水平方向に延びる直線
X 搬送部材の回転方向
Y 供給ローラの回転方向
Q L3とL4との交差点
A 交差点Qと供給ローラとの水平方向における間隔
h 区画壁の上端部と交差点Qとの鉛直方向における間隔
θ 現像剤の崩壊角
θ1 L1とL2とが形成する角
θ2 L1とL2とが形成する角の補角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容室と、
前記現像剤収容室に回転可能に設けられ、前記現像剤収容室に収容された現像剤を搬送する弾性変形可能な搬送部材とを備えた現像剤収容器であって、
前記搬送部材が摺擦して前記搬送部材を弾性変形させる摺擦部を有し、前記現像剤収容室と上方の空間とを区画する区画壁と、
前記摺擦部に対して前記搬送部材の回転方向下流側に配置され、前記現像剤収容室の内外を連通し、前記摺擦部で弾性変形された前記搬送部材を復元させる連通部と、
前記連通部に対して前記搬送部材の回転方向下流側に配置され、前記連通部によって復元された前記搬送部材が当接される当接部とを備えたことを特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
前記当接部には、前記搬送部材に搬送される現像剤の流入を許容する凹部が設けられることを特徴とする請求項1に記載の現像剤収容器。
【請求項3】
前記当接部は、上下方向に沿って延び、水平方向に間隔を隔てて配置される複数の突条部材を備え、
前記凹部は、隣接する突条部材の間に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記凹部には、前記凹部に流入された現像剤の下方への流れを堰き止めるように、隣接する前記突条部材の間に前記凹部を塞ぐ堰止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の現像剤収容器。
【請求項5】
前記当接部側から前記連通部側に向かって空気流を発生する空気流発生部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項6】
前記当接部を含む当接壁を備え、
前記当接壁は、上方に向かうに従って、前記連通部側に傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項7】
前記当接壁の上端は、前記区画壁の前記連通部側の端部よりも上方に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の現像剤収容器。
【請求項8】
前記区画壁に沿う直線と、前記当接壁に沿う直線とが形成する角の補角が、90度以上160度以下であることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の現像剤収容器。
【請求項9】
前記摺擦部には、弾性変形可能である弾性部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項10】
現像剤を担持する現像ローラと、当該現像ローラの下方に回転可能に配置され、前記現像ローラに現像剤を供給する供給ローラとが配置され、前記連通部で前記現像剤収容室と連通する現像室を備え、
前記現像室は、前記搬送部材と前記供給ローラの間に前記摺擦部が配置されるように、前記区画壁の上方に配置されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項11】
前記供給ローラの回転方向は、前記搬送部材の回転方向と逆方向であることを特徴とする請求項10に記載の現像剤収容器。
【請求項12】
前記区画壁に対して前記搬送部材の回転方向上流側である一方側の内側面と、前記区画壁に対して前記搬送部材の回転方向下流側である他方側の内側面とを備え、
前記区画壁は、前記一方側の内側面から前記他方側の内側面に向かって上方に傾斜するように形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の現像剤収容器。
【請求項13】
前記区画壁の上端部は、前記供給ローラの回転中心よりも上方に位置し、
前記区画壁の上端部を含み鉛直方向に延びる直線と前記供給ローラの回転中心を含み水平方向に延びる直線との交差点と前記供給ローラとの水平方向における間隔をA、
前記区画壁の上端部と前記交差点との鉛直方向における間隔をh、
前記現像室内の現像剤の崩壊角をθとしたときに、下記式(1)
h>Atanθ(1)の関係を満足するように構成されていることを特徴とする請求項12に記載の現像剤収容器。
【請求項14】
前記連通部は、前記供給ローラの回転中心よりも上方に位置していることを特徴とする請求項10〜請求項13のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項15】
前記連通部の上方において、前記当接部側から、前記現像ローラに向かって延び、前記現像ローラに担持された現像剤の層厚を規制する層厚規制部材を備えることを特徴とする請求項10〜請求項14のいずれか一項に記載の現像剤収容器。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の複数の現像剤収容器と、
複数の前記現像剤収容器に対応して、各前記現像剤収容器の上方に配置される複数の感光体と、
各前記感光体の上方に配置されるエンドレスベルトと、
各前記感光体との間で前記エンドレスベルトを挟んで、各前記感光体と対向するように配置される複数の一次転写ローラと、
前記エンドレスベルトの一端側に配置される二次転写ローラとを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−37343(P2013−37343A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137523(P2012−137523)
【出願日】平成24年6月19日(2012.6.19)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】