説明

現像剤収納ユニット、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置

【課題】現像剤収納容器の封止部材を巻き取り開封する機構の組み立てを容易にし、また精度良く組み付けることが可能にする。
【解決手段】現像剤を収納し、現像剤を排出するための開口部を封止部材により封止された可撓性を有する現像剤収納容器と、封止部材19を開口部から除去するために回転可能な開封部材20と、開封部材に回転力を伝達するための駆動軸であって、開封部材の長手方向の一方側端部に取り付けられ、枠体に回転可能に組み付けられる駆動軸41と、開封部材を組み付けるときに開封部材を支持する支持部材18eとを備え、支持部材は、駆動軸が枠体に組み込まれる前の状態において、開封部材が支持部材から脱落することを規制する規制部を有し、駆動軸を枠体に組み付けた状態において、駆動軸と枠体との隙間よりも開封部材と支持部材との隙間が大きく設けられ、開封部材が支持部材から離間する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収納ユニット及びこれを用いるプロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関する。
【0002】
ここで画像形成装置とは、例えば電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するもので、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置等が含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、感光体と、この感光体に作用する現像手段等のプロセス手段とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0004】
また、現像剤収納ユニットは、少なくとも現像剤を収納するための可撓性容器を備えている。
【背景技術】
【0005】
従来の電子写真形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置には、電子写真感光体及びそれに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0006】
このようなプロセスカートリッジでは、図10で示す様に現像剤(トナー、キャリア等)を収納する現像剤収納容器100に設けた開口部をシール部材等で構成した封止部材101で封止している。そして、使用時に封止部材101の接合部102を引き剥がすことで開口部が開封され現像剤の供給が可能となる方式が広く採用されている(特許文献1、図11)。
【0007】
またプロセスカートリッジ製造時に現像剤の充填工程でプロセスカートリッジの機内に現像剤が飛散する問題に対して現像剤収納容器100を変形可能にしたものが考案されている(特許文献1、図12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−66980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような現像剤収納容器にあって、封止部材101を装置内で自動的に巻き取って開封可能とすることが考えられる。しかし、そのためには封止部材を巻き取るための機構を組み込む必要があるが、近年ではカートリッジの小型化が求められており、駆動軸等を精度良く組み込むことは容易でない。
【0010】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像剤収納容器の封止部材を巻き取り開封する機構を組み込むにあたり、各部材の組み立てを容易にし、また精度良く組み付けることが可能にするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、現像剤を収納する現像剤収納ユニットであって、現像剤を収納し、現像剤を排出するための開口部を封止部材により封止された可撓性を有する現像剤収納容器と、前記封止部材を前記開口部から除去するために回転可能な開封部材と、前記開封部材に回転力を伝達するための駆動伝達部材であって、前記開封部材の長手方向の一方側端部に取り付けられ、枠体に回転可能に組み付けられる駆動伝達部材と、前記開封部材を組み付けるときに前記開封部材を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記駆動伝達部材が前記枠体に組み込まれる前の状態において、前記開封部材が前記支持部材から脱落することを規制する規制部を有し、前記駆動伝達部材を前記枠体に組み付けた状態において、前記駆動伝達部材と前記枠体との隙間よりも前記開封部材と前記支持部材との隙間が大きく設けられ、前記開封部材が前記支持部材から離間することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明にあっては、封止部材を開口部から除去するための開封部材を組み付けるときに、支持部材で仮支持することにより開封部材を容易に組み付けることができる。また、開封部材の組み付け時には、可撓性を有する現像剤収納容器の反発力を受けても開封部材が支持部材から脱落すること防止し得る。また、駆動伝達部材を組み付けた状態では開封部材は支持部材から離隔し、駆動伝達部材は枠体によって精度良く位置決めされるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態におけるプロセスカートリッジの主断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置の主断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における現像剤収納容器の斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態における現像剤収納ユニットの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における現像剤収納ユニットの外観斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態における現像剤収納ユニットの断面斜視図であり(a)は駆動側、(b)は非駆動側の図である。
【図7】現像剤収納ユニットの長手一端(駆動側)の断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における仮軸支持部近傍の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における現像剤収納ユニットの組立方法を説明する図である。
【図10】従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明で、現像剤収納容器は、少なくとも、可撓性容器と可撓性容器に設けられた現像剤を排出するための開口部を封止する封止部材を備えるものを指す。現像剤収納ユニットは、少なくとも現像剤収納容器と現像剤収納容器を収納する枠体を備えるものである。
【0015】
〔第1実施形態〕
図1に本発明を適用できる現像剤収納ユニットを有するプロセスカートリッジの主断面図、図2に本発明を適用できる電子写真画像形成装置の主断面図を図示する。
【0016】
<プロセスカートリッジの構成概要>
プロセスカートリッジは、電子写真感光体である像担持体と、像担持体に作用するプロセス手段を備えたもので画像形成装置に着脱可能なものである。ここでプロセス手段としては、例えば像担持体の表面を帯電させる帯電手段、像担持体に像を形成する現像装置、像担持体表面に残留した現像剤(トナー、キャリア等を含む)を除去するためのクリーニング手段がある。
【0017】
本実施形態のプロセスカートリッジAは、図1に示すように、像担持体である感光体ドラム11の周囲に帯電手段である帯電ローラ12、そしてクリーニング手段として弾性を有するクリーニングブレード14を有するクリーナユニット24を備えている。また、プロセスカートリッジAは、第一の枠体17と、第二の枠体18を有する現像剤収納ユニット25を備えている。プロセスカートリッジAは、クリーナユニット24と現像剤収納ユニット25とを一体とし、図2に示すように、画像形成装置本体Bに対して、着脱自在に構成されている。現像装置38は、現像手段である現像ローラ13と現像ブレード15、現像剤供給ローラ23、現像剤を収納する現像剤を収納した現像剤収納容器26を備える。現像ローラ13と、現像ブレード15は、第一の枠体17に支持されている。
【0018】
<画像形成装置の構成概要>
このプロセスカートリッジAは、図2に示すように、画像形成装置本体Bに装着されて画像形成に用いられる。画像形成は装置下部に装着されたシートカセット6から搬送ローラ7によってシートSを搬送し、このシート搬送と同期して、感光体ドラム11に露光装置8から選択的な露光をして潜像を形成する。現像剤は、スポンジ状の現像剤供給ローラ23によって現像ローラ13(現像剤担持体)に供給され、現像ブレード15により現像ローラ13表面に薄層担持される。現像ローラ13に現像バイアスを印加する事によって、潜像に応じて現像剤を供給し現像剤像に現像する。この像を転写ローラ9へのバイアス電圧印加によって搬送されるシートSに転写する。シートSは定着装置10へ搬送され画像定着し、排出ローラ1によって装置上部の排出部3に排出される。
【0019】
<現像剤収納ユニットの構成>
現像剤収容ユニットは画像形成に応じて現像ローラ13へ供給する現像剤を収納するものである。本実施形態の現像剤収納ユニットは、枠体内に可撓性を有する現像剤収納容器26を有する。この現像剤収納容器26は、現像剤袋内に現像剤を収納し、排出部35を封止部材19で封止している。そして、使用時には前記封止部材19を開封部材20によって開封することで現像ローラ13へ現像剤を供給するものである。
【0020】
(現像剤収納容器)
次に現像剤収納容器26の構成について、図3、図4を参照して説明する。図3は現像剤収納容器26に開封部材20が取り付けられた状態の現像剤収納容器26の断面からの斜視図、図4は現像剤収納ユニット25の断面図である。なお、断面図は、開封部材20と、開口部35aと、被固定部16dとを通る平面である。また、断面図は、開封部材20の回転軸に垂直な平面である。
【0021】
図3に示すように、現像剤収納容器26は、現像剤Tと、現像剤袋16と、封止部材19から構成される。ここで現像剤Tは粉体である。
【0022】
現像剤収納容器26の現像剤袋16は、現像剤を排出する複数の開口部35aを封止部材19で封止し、現像剤Tを入れるための不図示の注入口を有している。注入口は現像剤Tの注入後に接合される。このように現像剤Tを収納した現像剤収納容器26のそれぞれの開口部35a及び注入口は封止されているため、収納した現像剤は外に漏れず、一つのユニットとして扱うことが可能である。また、図3に示すように、封止部材19には開封部材20に係合する被係合部19bが設けられており、開封部材20に係合可能となっている。
【0023】
(現像剤袋)
図3、図4に示すように、現像剤袋16は内部に現像剤を収納しており、形状が変形可能な袋状のものであり、収納した現像剤を排出するために排出部35に複数の開口部35aを備えている。
【0024】
また、現像剤袋16は第一の枠体17、第二の枠体18枠体に固定される現像剤袋固定部(被固定部)16d、16eを有している。
【0025】
本実施形態の現像剤袋16は、排出部35を有し通気性を有さないシート(以下「非通気シート」)16uと、現像剤を漏らすことなく通気性を有するシート(以下「通気シート」)16sを貼り合わせて構成されている。
【0026】
通気シート16sの素材としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等で、厚さは0.03〜0.15mmの不織布などが好ましい。また、通気シート16sの素材が不織布ではなくても現像剤袋16に収納する現像剤等の粉体よりも微細な孔が開いているものでもよい。
【0027】
なお、通気シート16s以外の現像剤袋16の素材としては現像剤排出時の効率を良くするように可撓性を有するものが好ましい。また、通気シート16sの素材に可撓性をもたせてもよい。
【0028】
このように現像剤袋16に通気性をもたせる理由としては、製造時、ユーザーがカートリッジAを使用するまでの物流時、および保管時に対応するためである。すなわち、製造時の理由としては、現像剤袋16を枠体17,18に組み込み易いように現像剤袋16を変形、縮小可能とするためである。また、物流時および保管時の理由としては、プロセスカートリッジAの輸送時および保管時に異なる気圧の変化に対応するためである。物流などで製造時より低い気圧環境下となる場合や、製造時より高い温度となる保管される場合などにより現像剤袋16内外の気圧差が発生する。そのため現像剤袋16が膨張することで現像剤袋16と接する各部品が変型や破損の恐れがある。そのための物流時や保管時に気圧や温度の管理が必要となり設備、コストがかかる。しかし一部に通気性を持たせることにより気圧による現像剤袋16内外の気圧差による問題を解消できるのである。
【0029】
図3に示すように、現像剤袋16は内部の現像剤を排出するための複数の開口部35a、及び複数の開口部35aを連結する連結部35bからなる現像剤排出部35を有している。そして封止部材19により、排出部35の周囲を溶着した接合部22で連続して取り囲み開封可能に接合し現像剤袋16に収納する現像剤を封止している。
【0030】
接合部22は長い方向(方向F)に2本、短い方向(方向E)に2本とで囲んだ「ロの字」形状で連続しているため排出部35の封止を可能としている。
【0031】
ここで長い方向(方向F)に溶着された2本の接合部のうち先に開封されるものを第一の接合部22a、後に開封されるものを第二の接合部22bとする。本実施形態では、図4に示すように、封止部材19の表面に沿ってみた場合に、折り返し部19dに近い側の接合部を第一の接合部22aである。また、開口部35aを挟んで第一の接合部22aに対向する接合部が第二の接合部22bである。
【0032】
本実施形態において開封方向は図4の方向Eである。封止部材19を矢印D方向に移動させて開封を行う場合に、開口部35aを挟んだ第一の接合部22aと第二の接合部22bとでは、第一の接合部22aが先に開封(剥離)される。このように、先に開封される第一の接合部22aから第二の接合部22bに向かう方向を開封方向Eとする。
【0033】
複数の開口部35a及び連結部35bは、開封方向Eに対して垂直な方向Fにずれて配置されている。また封止部材19は、開封部材20を回転させて巻きとる構成としているが、前記の方向Fは開封部材20の回転軸の軸線と同じ方向である。
【0034】
上記のように開口部35aを配置することにより、現像剤を排出時に現像ローラ13の長手方向全体に現像剤が偏りなく供給され易くなる。また、複数の開口部35aを配置している排出部35は方向Fに長く方向Eに短いものとなるため開封に要する距離が、長い方向Fに開封するより短くてすむため開封に要る時間も短くできる。
【0035】
また、開口部35aの方向は画像形成時の姿勢で収納する現像剤を排出しやすいように画像形成時の姿勢において、開口部35aは、重力方向の下方向に開くように配置されている。
【0036】
上記現像剤袋16は、図3、図4に示すように、二つの固定部16d,16eにより第一の枠体17、第二の枠体18の内部に固定される。
【0037】
(封止部材)
図3、図4に示すように、封止部材19は、プロセスカートリッジAの使用前に現像剤袋16の排出部35を覆い現像剤袋16内の現像剤を封止している。封止部材19は開封部材20に巻き取られることによって前記開口部35aを露出させる。封止部材19の構成は、現像剤袋16の排出部35を覆う封止部19aと、開封部材20と固定される被係合部19bと、封止部19aと被係合部19bを連結している封止部材連結部19cを有しているシート状のものである。当該シートは易開封性を発揮するシーラント層を持つラミネート材で、基材はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等で、厚さは0.03〜0.15mmのものを適宜選定すればよい。
【0038】
封止部19aは、封止部材19が、現像剤袋16の複数の開口部35aと、連結部35bを封止する領域を指している。封止部19aにより、プロセスカートリッジAの使用前までは現像剤が現像剤袋16内部から漏れないようにしている。封止部材19には、開封方向Eの一端側に自由端部を有しており、当該自由端部に封止部材を巻き取るための開封部材に係合される被係合部19bが設けられている。
【0039】
封止部材19にあって、接合部22と被係合部19bとの間を連結している部分が封止部材連結部19cである。この封止部材連結部19cは開封部材20からの力を受けて接合部22を引き剥がすように力を伝達する部分である。
【0040】
また、封止部材19と開封部材20の固定は、本実施形態においては第一の固定部16dと同様の超音波カシメで固定している。超音波カシメ以外に第一の固定部16dおよび第二の固定部16eの固定の手段と同様に熱溶着、超音波溶着、接着、枠体間への挟み込み、穴と凸による引っ掛け等でもよい。
【0041】
(開封部材)
開封部材20は封止部材19に力を与えて封止部材19を移動させることにより、現像剤袋16から引き剥がすものである。本実施形態の開封部材20は四角い軸形状をしており、その長さは、現像枠体44の一方の長手内壁から他方の長手内壁との距離よりもわずかに短く、両端を第二の枠体18に回転可能に支持されている。そして、開封部材20の四角い軸の一面に封止部材19の被係合部19bを係合して固定している。そして、開封部材20を回転させて封止部材19を巻き取ることにより現像剤袋16から引き剥がす。
【0042】
<駆動伝達構成>
次に現像剤収納ユニット25の駆動伝達構成について、図5、図6を用いて説明する。図5は現像剤収納ユニット25の外観斜視図、図6(a)は現像剤収納ユニット25の長手方向一方側端部(駆動側)の断面斜視図、図6(b)は長手方向他方側端部(非駆動側)の断面斜視図である。
【0043】
現像剤収納ユニット25は、図5に示すように、現像ローラ13と現像ブレード15を支持する第一の枠体17と、第二の枠体18が合体した一つの現像枠体44の内部に現像剤収納容器26を収容する。
【0044】
現像ローラ13は第一の枠体17に長手方向両端を回転可能に支持されている。現像ローラ13の長手方向端部には現像ギア42が一体的に取り付けられている。また、装置本体Bに設けられた不図示の駆動付与部に係合する入力ギア43が第一の枠体17の長手側端に回転可能に支持されている。入力ギア43は現像ギア42と係合する位置に配置されている。また、現像剤収納容器26を開封する駆動力を伝達する駆動伝達部材である駆動軸41が設けられている。この駆動軸41は、図6に示すように、第一の枠体17の長手方向一方側端部に設けられた駆動軸支持部17aに駆動軸41の被支持部41dが回転可能に位置決め支持されている。
【0045】
前記駆動軸41にはギア部41aが形成されている。また、図5に示すように、第一の枠体17には段ギア46が回転可能に取り付けられており、この段ギア46に駆動軸41のギア部41aと入力ギア43とが係合している。これにより、入力ギア43の駆動力が段ギア46を介して駆動軸41に伝達される。なお、以下の説明で駆動軸41が設けられている長手方向一方側端部を駆動側、反対側を非駆動側と称す。
【0046】
開封部材20の駆動側の長手側端には駆動軸41が係合するためのDカット穴形状の被係合部20aが形成されている。一方、駆動軸41は、前記被係合部20aと同じDカット断面形状であって突起形状の係合部41bを有しており、この係合部41bが前記被係合部20aと係合することで、駆動軸41が開封部材20に一体的に係止され、駆動軸41と開封部材20とが一体的に回転可能になっている。
【0047】
そして、駆動軸41が被支持部41dにおいて、第一の枠体17の駆動軸支持部17aに回転可能に位置決め支持されることで、開封部材20は第一の枠体17の所定位置に位置決めされている。
【0048】
また、駆動軸41と、これを支持する駆動軸支持部17aとの間には弾性を有する軸封止部材47(図7参照)が設けられており、駆動軸41の係合部から現像剤の漏れ出しを封止している。
【0049】
一方、開封部材20の非駆動側の軸端20bは、図6(b)に示すように、第一の枠体17の軸端支持部17bと、第二の枠体18の軸端支持部18cに挟まれて回転自在に支持されている。第二の枠体18の軸端支持部18cは軸端20bの外径よりも、わずかに大きい円弧の切り欠き形状を有し、円弧の開放部18fは軸端20bの外径よりもわずかに狭く形成されている。一方、第一の枠体17の軸端支持部17bは軸端20bの外径よりも、わずかに大きい直径の円弧のU字溝形状を有しており、その円弧は第二の枠体18の軸端支持部18cの円弧の開放部18fを塞ぐように形成されている。
【0050】
<開封および排出動作>
次に現像剤収納容器26の開封について図3、図4を用いて説明する。装置本体Bより入力ギア43に駆動が入力されると、段ギア46を経て駆動軸41に駆動が伝達され、駆動軸41と一体となっている開封部材20に回転力が伝達されて開封部材20が図4の矢印Cの方向に回転する。この回転に伴い開封部材20に固定された封止部材19が矢印Dの方向に引っ張られる。ここで現像剤袋16は被固定部16dが第二の枠体17の固定部18aに固定されているため、第一の接合部22aの部分に矢印Dの方向に力がかかり、まず第一の接合部22aがはがれる。開封部材20の回転が進むにつれて長手方向両端の溶着部が剥がれて矢印E方向に開封が進み、開口部35aが露出し、最後に第二の接合部22bが剥がれ開封が完了する。
【0051】
開封部材20には、封止部材19の被係合部19bより回転方向Cの下流側に、現像剤袋16を押す押圧部材21が設けられている。押圧部材21は現像枠体44の内壁両端よりわずかに短い長さで長手方向に延びた可撓性を有するシートである。開封部材20が回転すると、押圧部材21が現像剤袋16を外側から押しながら回転する。この動作により現像剤収納容器内部の現像剤Tが開口部35aに向かって押し出され、開口部35aより排出される。また、本実施形態では、押圧部材21は現像剤収納容器26から排出された現像剤を撹拌する作用を有している。また、現像剤収納容器26より排出された現像剤を現像ローラ13側へ搬送する作用も有している。
【0052】
<現像剤収納容器及び開封部材の現像枠体への組み込み構成>
次に開封部材20を取り付けた現像剤収納容器26を現像枠体44に組み込む工程について説明する。初めに、封止部材19が接合され、排出部35が封止された現像剤袋16に現像剤Tを封入し、現像剤収納容器26を作成する。次いで封止部材19の被係合部19bに開封部材20を係合し、現像剤袋16、封止部材19および開封部材20とを一体化して図3に示す現像剤収納容器26を作成する。
【0053】
上記現像剤収納容器26を、開封部材20の回転半径方向(図6(a)の図中正面手前から奥に向かう方向)に第二の枠体18に組み込み、被固定部16dを第二の枠体18の固定部18aに取り付ける。
【0054】
(仮軸支持部)
現像剤収納容器26を第二の枠体18に組み込んだ後、開封部材20を第二の枠体18に取り付ける。このとき、本実施形態では開封部材20を第二の枠体18に設けられた支持部材である仮軸支持部18eに仮支持させて取り付ける。
【0055】
ここで、仮軸支持部18eの構成について、図7、図8、図9を参照して説明する。なお、図7は現像剤収納ユニット25の長手一端(駆動側)の断面図であり、図8は仮軸支持部18e近傍の断面図、図9は現像剤収納容器を現像枠体へ組み込む工程を表す図である。
【0056】
図8に示すように、開封部材20の駆動側の軸端20cの断面は円形状を有する。一方、第二の枠体18の内部の駆動側端部には開封部材20の軸端20cの外径d2よりもわずかに大きい内径D2を有する仮軸支持部18eが開封部材20の回転中心軸Lと同軸上に設けられている。仮軸支持部18eには開封部材20の軸端20cの外径d2よりもわずかに小さい幅の開放部18dが形成されている。この開放部18dの向きは、封止部材19の折り返し部19d(本実施形態ではほぼ第一の接合部22aで折り返しているため、第一の接合部22a)を中心軸とした円周Rに沿った向きに開放されている。
【0057】
現像剤袋16の被固定部16dを第二の枠体18の固定部18aに取り付けた後に開封部材20を仮軸支持部18eに開放部18dから係合させる。その際、封止部材19に張力が働くと、第一の接合部22aより誤って封止部材19が剥がれるおそれがある。そのため、封止部材19の第一の接合部22aから開封部材20の被係合部19bまでの長さにある程度の余裕を設ける必要がある。しかし、前記の向きに開放部18dを構成することで開封部材20は円周Rに沿って仮軸支持部18eに係合させることができるため、封止部材19の長さの余裕を極力短くすることができる。
【0058】
(規制部)
また、開放部18dは開封部材20の軸端20cの外径d2よりもわずかに小さい幅に構成されている。これにより、仮軸支持部18eには組み付けられた開封部材20が仮軸支持部18eから脱落することを規制する規制部18hが形成されている。軸端20cを仮軸支持部18eに係合させる時には開放部18dが軸端20cの外径d2と同じ大きさになるまで弾性変形し、軸端20cが完全に係合されると開放部18dが弾性復帰して係合が完了する。
【0059】
なお、前記開放部18dの弾性変形は、開封部材20を組み付けるときに押し込む力では変形するが、後述する開封部材20が現像剤袋16に当接したときの反発力程度の力では変形しない構成となっている。
【0060】
本実施形態にあっては、開封部材20を仮軸支持部18eに組み付けると、開封部材20が現像剤袋16に当接するために、開封部材20は可撓性を有する現像剤袋16によって図8の矢印Pの方向に押し戻す力を受ける。また、封止部材19は第一の接合部22aより折り曲げられて組み付けられているため、元の伸びた形状に復元しようとする力が生じ、その結果、開封部材20は封止部材19の前記復元力によって図8の矢印Qの方向に力を受ける。
【0061】
しかしながら、前述したように開放部18dが軸端20cの外径よりも狭く構成され、これによって開封部材が前記支持部材から脱落することを規制する規制部18hが形成されている。このため、一旦、開封部材20の軸端20cが仮軸支持部18eに完全に係合されると上記の矢印P、矢印Qの方向の力がかかっても係合が外れて開封部材20が脱落することがない。
【0062】
(開封部材の位置決め)
上記のように開封部材20を仮軸支持部18eに係合した後、図9に示すように、第一の枠体17を第二の枠体18に溶着して現像枠体44として一体化する。このようにして現像枠体44は内部に現像剤収納容器26および開封部材20を収納する。
【0063】
さらにその後、駆動軸41を駆動軸支持部17aに向けて長手方向(図9矢印V方向)から軸封止部材47と共に挿入する。このとき開封部材20の被係合部20aは前記仮軸支持部18eの構成により、図8に示す開封部材20の軸端20cの外径d2と仮軸支持部18eの内径D2の隙間の範囲で現像枠体44内部で待機している。
【0064】
本実施形態にあっては、駆動軸41の先端(嵌合開始側端部)は、図7に示すように、テーパ面41cを有している。また、開封部材20の被係合部20aの口元(嵌合開始側端部)にもまたテーパ面20eが形成されている。ここで、駆動軸41のテーパ面41cの大きさ(テーパの軸半径方向の長さ)t1と、被係合部20aのテーパ面20eの大きさT1は、両方のテーパの大きさの和が開封部材20の軸端20cの外径d2と仮軸支持部18eの内径D2の係合隙間よりも大きくなるように設定している。すなわち、2×(T1+t1)>(D2−d2)となるように設定している。
【0065】
このように構成することで、開封部材20の軸端20cの外周部が仮軸支持部18eの内周部に当接して支持された状態で、駆動軸41の係合部41bを開封部材20の被係合部20aに挿入していくと駆動軸41のテーパ面41cが開封部材20のテーパ面20eに案内される。このため、駆動軸41の係合部41bが開封部材20の被係合部20aに挿入され係合し、同時に駆動軸41の被支持部41dが第一の枠体17の駆動軸支持部17aに嵌合する。
【0066】
ここで、本実施形態にあっては図7に示すように、駆動軸41の被支持部41dの外径d1と駆動軸支持部17aの内径D1との差(D1−d1)よりも開封部材20の軸端の外径d2と仮軸支持部18eの内径D2との差(D2−d2)が大きくなるように設定している。すなわち、駆動軸41を第一の枠体17に組み付けた状態において、駆動軸41の被支持部41dと駆動軸支持部17aの嵌合隙間よりも開封部材20と仮軸支持部18eとの隙間のほうが大きくなるように構成されている。すなわち、(D1−d1)<(D2−d2)となるように構成されている。
【0067】
これにより、駆動軸41を第一の枠体17に回転可能に組み付けたときに、開封部材20の軸端20cは仮軸支持部18eから離間することになる。そして、開封部材20と一体となった駆動軸41は、駆動軸41の被支持部41dと駆動軸支持部17aとの嵌合によって位置決めされる。
【0068】
上記のような仮軸支持部18eを設け、これを用いて開封部材20を枠体内に組み付けることにより、開封部材20の組み付けが容易となる。また、駆動軸41が組み込まれる前に、組立搬送中の衝撃などにより開封部材20が現像枠体44内部で移動し、駆動軸41との係合ができなくなることを防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
A …プロセスカートリッジ
B …画像形成装置本体
16 …現像剤袋
17 …第一の枠体
17a …駆動軸支持部
17b …軸端支持部
18 …第二の枠体
18a …固定部
18c …軸端支持部
18d …開放部
18e …仮軸支持部
18f …開放部
18h …規制部
19 …封止部材
19d …折り返し部
20 …開封部材
20a …被係合部
20b …軸端
20c …軸端
20e …テーパ面
25 …現像剤収納ユニット
26 …現像剤収納容器
35 …排出部
35a …開口部
35b …連結部
38 …現像装置
41 …駆動軸
41a …ギア部
41b …係合部
41c …テーパ面
41d …被支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収納する現像剤収納ユニットであって、
現像剤を収納し、現像剤を排出するための開口部を封止部材により封止された可撓性を有する現像剤収納容器と、
前記封止部材を前記開口部から除去するために回転可能な開封部材と、
前記開封部材に回転力を伝達するための駆動伝達部材であって、前記開封部材の長手方向の一方側端部に取り付けられ、枠体に回転可能に組み付けられる駆動伝達部材と、
前記開封部材を組み付けるときに前記開封部材を支持する支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、前記駆動伝達部材が前記枠体に組み込まれる前の状態において、前記開封部材が前記支持部材から脱落することを規制する規制部を有し、
前記駆動伝達部材を前記枠体に組み付けた状態において、前記駆動伝達部材と前記枠体との隙間よりも前記開封部材と前記支持部材との隙間が大きく設けられ、前記開封部材が前記支持部材から離間することを特徴とする現像剤収納ユニット。
【請求項2】
前記規制部は前記開封部材が前記現像剤収納容器に当接したときに受ける反発力により前記開封部材が前記支持部材から脱落することを規制することを特徴とする請求項1記載の現像剤収納ユニット。
【請求項3】
前記開封部材は長手方向の一方側端部に係合部を有し、前記駆動伝達部材は前記係合部に嵌合する被係合部を有し、前記係合部と前記被係合部の嵌合開始側端部にはそれぞれテーパが形成され、前記それぞれのテーパの大きさの和は前記開封部材と前記支持部材との隙間よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像剤収納ユニット。
【請求項4】
前記現像剤収納容器及び前記開封部材が枠体に組み込まれた状態において、前記封止部材は前記現像剤収納容器と前記開封部材との間で折り返され、
前記支持部材は前記開封部材を組み込むための開放部を有し、前記開放部は前記封止部材の折り返し部分を中心とした円周に沿った向きに開放していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の現像剤収納ユニット。
【請求項5】
画像形成装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジであって、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像剤収納ユニットと電子写真感光体とを一体としたプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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