説明

現像剤収納容器、プロセスカートリッジ、電子写真画像形成装置

【課題】現像剤を収納するための可撓性容器を開封するときの開封特性を良くする。
【解決手段】現像剤を収納するための現像剤収納容器であって、現像剤を入れるための注入口と現像剤を排出するための開口部35aとを備えた現像剤袋16と、開口部を封止するように現像剤袋16に接合した接合部を有し、移動されることによって接合部が現像剤袋16から剥離して開口部を露出することが可能な封止部材19とを有し、封止部材は、開口部を挟んで封止部材開封方向の上流側の第一の接合部22aと下流側の第二の接合部22bを有し、第二の接合部は開口部に接触しない位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤収納容器及びこれを用いるプロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関する。
【0002】
ここで画像形成装置とは、例えば電子写真画像形成プロセスを用いて記録媒体に画像を形成するもので、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ等)、電子写真ファクシミリ装置等が含まれる。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、感光体と、この感光体に作用する現像手段等のプロセス手段とを一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。
【0004】
また、現像剤収納ユニットは、少なくとも現像剤を収納するための可撓性容器を備えている。
【背景技術】
【0005】
従来の電子写真形成プロセスを用いた電子写真画像形成装置には、電子写真感光体及びそれに作用するプロセス手段を一体的にカートリッジ化して、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。
【0006】
このようなプロセスカートリッジでは、図25で示すように、現像剤(トナー、キャリア等)を収納する現像剤収納容器100に設けた開口部をシール部材等で構成した封止部材101で封止している。そして、使用時に封止部材101の接合部102を引き剥がすことで開口部が開封され現像剤の供給が可能となる方式が広く採用されている(特許文献1、図11)。
【0007】
また、プロセスカートリッジ製造時に現像剤の充填工程でプロセスカートリッジの機内に現像剤が飛散する問題に対して現像剤収納容器100を変形可能にしたものが考案されている(特許文献1、図12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平4−66980
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1のようなトナー袋を有する現像剤収納容器にあっては、トナー袋に現像剤を排出するための開口部を設け、この開口部に封止部材を結着して閉じており、使用時に前記封止部材を除去することで現像剤の供給を可能としている。
【0010】
しかし、変形可能な現像材収納容器の場合には、現像剤収納容器の開口部も変形可能であるために、この開口部を封止している封止部材を引っ張って開封するときに、開口部が封止部材と共にひっぱられて大きく変形する可能性がある。そして、封止部材を引っ張ったときに開口部が変形すると開封が安定しなくなる。
【0011】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、現像剤を収納するための可撓性容器を開封するときの開封特性を良くするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明に係る代表的な構成は、現像剤を収納するための現像剤収納容器であって、現像剤を排出するための開口部を備えた可撓性容器と、前記開口部を封止するように前記可撓性容器に接合した接合部を有し、移動されることによって前記接合部が前記可撓性容器から剥離して前記開口部を露出することが可能な封止部材と、を有し、前記封止部材は、前記開口部を挟んで封止部材開封方向の上流側の第一の接合部と下流側の第二の接合部を有し、前記第二の接合部は前記開口部に接触しない位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、封止部材を移動させて可撓性容器の開口部を開封するときに、開口部に係る力を弱くして開口部の変形を抑えることができ、安定した開封が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プロセスカートリッジの主断面図である。
【図2】画像形成装置の主断面図である。
【図3】現像剤収納ユニットの開封前の断面図である。
【図4】現像剤収納容器の説明図である。
【図5】開封部材を有した現像剤収納容器の断面からの斜視図である。
【図6】現像剤収納容器の開封前の説明図である。
【図7】現像剤収納容器の開封途中の説明図である。
【図8】現像剤収納容器の開口部の説明図である。
【図9】開口部及び第一の接合部の位置と現像剤溜まりの説明図である。
【図10】排出部の説明断面図である。
【図11】排出部の開封過程の説明断面図である。
【図12】排出部の開封過程の説明断面図である。
【図13】第二の接合部を開口部に接触させた場合の説明図である。
【図14】第二の接合部を開口部に接触させない場合の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態ではない現像剤収納容器の説明図である。
【図16】現像剤収納容器の説明図である。
【図17】現像剤収納容器の説明図である。
【図18】開封部材を有した現像剤収納容器の説明図である。
【図19】連結部を別体にした構成説明図である。
【図20】連結部を設けない開口部を開封するときの説明図である。
【図21】連結部を設けない開口部を開封するときの説明図である。
【図22】連結部を設けない開口部を開封するときの説明図である。
【図23】開封部材を回転させたときの押圧部材による現像剤袋の押圧を説明する図である。
【図24】開口部を丸長孔にしたときの説明図である。
【図25】従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明で、現像剤収納容器は、少なくとも、可撓性容器と可撓性容器に設けられた現像剤を排出するための開口部を封止する封止部材を備えるものを指す。
【0016】
現像剤を収納する前の現像剤収納容器を、現像剤を収納するための現像剤収納容器37とする。現像剤を収納し封止部材を開封するための開封部材を備えた現像剤収納容器を、開封部材を有した現像剤収納容器30とする。現像剤を収納し、封止部材を開封するための開封部材を備えていない現像剤収納容器を、現像剤を収納した現像剤収納容器26とする。
【0017】
なお、簡略化のため、現像剤収納容器37、現像剤収納容器30、現像剤収納容器26と符号を分けて説明をする。
【0018】
現像剤収納ユニットは、少なくとも現像剤収納容器と現像剤収納容器を収納する枠体を備えるものである。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1に本発明を適用できる現像剤収納ユニットを有するプロセスカートリッジの主断面図、図2に本発明を適用できる電子写真画像形成装置の主断面図を図示する。
【0020】
<プロセスカートリッジの構成概要>
プロセスカートリッジは、電子写真感光体である像担持体と、像担持体に作用するプロセス手段を備えたもので画像形成装置に着脱可能なものである。ここでプロセス手段としては、例えば像担持体の表面を帯電させる帯電手段、像担持体に像を形成する現像装置、像担持体表面に残留した現像剤(トナー、キャリア等を含む)を除去するためのクリーニング手段がある。
【0021】
本実施形態のプロセスカートリッジAは、図1に示すように、像担持体である感光体ドラム11の周囲に帯電手段である帯電ローラ12、そしてクリーニング手段として弾性を有するクリーニングブレード14を有するクリーナユニット24を備えている。また、プロセスカートリッジAは、第一の枠体17と、第二の枠体18を有する現像剤収納ユニット25を備えている。プロセスカートリッジAは、クリーナユニット24と現像剤収納ユニット25とを一体とし、図2に示すように、画像形成装置本体Bに対して、着脱自在に構成されている。現像装置38は、現像手段である現像ローラ13と現像ブレード15、現像剤供給ローラ23、現像剤を収納する現像剤を収納した現像剤収納容器26を備える。現像ローラ13と、現像ブレード15は、第一の枠体17に支持されている。
【0022】
<画像形成装置の構成概要>
プロセスカートリッジAは、図2に示すように、画像形成装置本体Bに装着されて画像形成に用いられる。画像形成は装置下部に装着されたシートカセット6から搬送ローラ7によってシートSを搬送し、このシート搬送と同期して、感光体ドラム11に露光装置8から選択的な露光をして潜像を形成する。現像剤は、スポンジ状の現像剤供給ローラ23によって現像ローラ13(現像剤担持体)に供給され、現像ブレード15により現像ローラ13表面に薄層担持される。現像ローラ13に現像バイアスを印加することによって、潜像に応じて現像剤を供給し現像剤像に現像する。この像を転写ローラ9へのバイアス電圧印加によって搬送されるシートSに転写する。シートSは定着装置10へ搬送されて画像定着され、排出ローラ1によって装置上部の排出部3に排出される。
【0023】
<現像剤収納ユニット>
現像剤収納ユニット25は、図3に示すように、現像剤収納容器30、現像ローラ13、現像ブレード15と、これらを支持する第一の枠体17と第二の枠体18から構成される。第一の枠体17と第二の枠体18を合わせたものが現像剤収納容器30を収納する枠体である。
【0024】
なお、本実施形態では現像剤収納ユニット25は現像装置38と同じである。これは現像剤収納ユニット25が現像ローラ13、現像ブレード15を有しているからである。しかし現像剤収納ユニット25と別枠体で現像ローラ13と現像ブレード15を支持し、現像剤収納ユニット25と分離してもよい。この場合、現像装置38は現像剤収納ユニット25と現像ローラ13、現像ブレード15(図3には不図示)で構成されたものとなる。
【0025】
<現像剤収容容器>
次に現像剤収納容器26の構成について、図4、図5を参照して説明する。図4は現像剤収納容器の斜視図であり、図5は現像剤収納容器26に開封部材20が取り付けられた状態の現像剤収納容器26の断面からの斜視図である。なお、断面図は、開封部材20と、開口部35aと、被固定部16dとを通る平面である。また、断面図は開封部材20の回転軸に垂直な平面である。
【0026】
図4(a)に示すように、粉体である現像剤を収納するための現像剤収納容器37は、可撓性容器である現像剤袋16と、現像剤を排出するための複数の開口部35aを封止するとともに移動されることによって開口部35aを露出する封止部材19から構成される。ここで現像剤を収納するための現像剤収納容器37の現像剤袋16は、現像剤を入れるための注入口39と現像剤を排出するための開口部35aを有している。
【0027】
ここで現像剤を収納するための現像剤収納容器37は未だ現像剤を充填しておらず、現像剤を入れるための注入口39が開口した状態である。
【0028】
図4(b)で示すように、上記現像剤収納容器37の注入口39から現像剤を充填する。このとき、現像剤袋16の可撓性により入れるための注入口39は充填装置に合わせて変形可能であり現像剤の飛散なく充填が容易になる。充填に際しては、公知のオーガー式充填装置を使用して行うが、同様の機能を有する他の方法を用いてもかまわない。
【0029】
次に、図4(c)で示すように、現像剤を入れるための注入口39を接合し封止する。現像剤を入れるための開口部の接合部39aの接合は、本実施形態では超音波溶着して接合しているが他に熱やレーザーなどで接合してもよい。
【0030】
そして充填するための開口部の接合部39aの接合が完了すると現像剤は封入され現像剤を収納した現像剤収納容器26となるのである。
【0031】
なお、充填するための注入口39の位置や大きさは現像剤の充填装置やプロセスカートリッジAの形状等に合わせて適宜配置すればよい。
【0032】
このように現像剤を収納した現像剤収納容器26のそれぞれの開口部35a、注入口39は封止されているため収納した現像剤を外に漏れず一つのユニットとして扱うことが可能である。また、封止部材19には開封部材20に係合する被係合部19bである孔が設けられており、開封部材20に係合可能となっている(図5参照)。
【0033】
現像剤を収納した現像剤収納容器26が袋形態をとることにより現像剤をユニットとして扱える。そのため、現像剤充填工程をプロセスカートリッジAのメインの組立工程(製造ライン)から分離できる。これによりプロセスカートリッジAのメインの組み立て工程(製造ライン)に現像剤が飛散することがなくなり製造ラインの清掃などのメンテナンスを削減することができる。組立工程時に現像剤の飛散がなくなることにより現像剤を充填した後のプロセスカートリッジAの清掃工程を省くことができる。
【0034】
また、現像剤袋16の充填工程においても現像剤袋16は可撓性を有しており充填のための注入口39も柔らかいため飛散少なく容易に封止できる。
【0035】
また、現像剤を収納した現像剤収納容器26は可撓性を有しているため枠体の形状に倣わせて組むことができる。
【0036】
また、充填工程において現像剤収納容器37は可撓性を有するため断面を変形させて容積を増やして充填することができるので充填時には充填量を増やすことができる。
【0037】
また、現像剤充填前の現像剤収納容器37は可撓性を有しているため小さく(薄く)することができて、樹脂の構造体である枠体に比べ充填前の保管時の保管スペースを小さくすることができる。
【0038】
<現像剤袋>
図3、図5に示すように、現像剤袋16は内部に現像剤を収納しており形状が変形可能な袋状のものであり、収納した現像剤を排出するために排出部35に複数の開口部35aを備えている。
【0039】
また、現像剤袋16は第一の枠体17、第二の枠体18枠体に固定されている現像剤袋固定部(被固定部)16d,16eを有している。
【0040】
(現像剤袋の通気性)
図5に示すように、現像剤袋16は排出部35を有し、通気性を有さないシート(以下「非通気シート」)16uと、通気部となる通気性を有するシート(以下「通気シート」)16sを貼り合わせて現像剤袋16は構成されている。
【0041】
ここで、通気シート16sの通気度は収納する現像剤の大きさ(粉体の粒径)との兼ね合いで現像剤が現像剤袋16の外に漏れないものを適宜選定すればよい。
【0042】
通気シート16sの素材としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等で、厚さは0.03〜0.3mmの不織布などが好ましい。また、通気シート16sの素材が不織布ではなくても現像剤袋16に収納する現像剤等の粉体よりも微細な孔が開いているものでもよい。
【0043】
また、通気シート16sの配置は本実施形態では、図3に示すように、第二の枠体18側に現像剤袋16の長手方向全域にわたり通気シート16sを配している。なお、現像剤袋16全体を通気シート16sで構成してもよい。
【0044】
なお、通気シート16s以外の現像剤袋16の素材としては後述する現像剤排出時の効率を良くするように可撓性を有するものが好ましい。また、通気シート16sの素材に可撓性をもたせてもよい。
【0045】
このように現像剤袋16に通気性をもたせる理由としては、製造時、ユーザーがカートリッジAを使用するまでの物流時、および保管時に対応するためである。
【0046】
まず、製造時の理由としては、現像剤袋16を枠体17、18に組み込み易いように現像剤袋16を変形、縮小可能とするためである。現像剤袋16に通気部が無い場合は現像剤袋16に現像剤を充填した状態(袋を閉じた状態)の大きさから変えられず、そのため変形もさせにくい。そのため組立に時間を要したり、工程が複雑化する。そこで現像剤袋16の少なくとも一部に通気性を持たせると現像剤袋16に現像剤を充填して袋を閉じた状態の大きさから変えることが可能となり組み立てしやすくなる。
【0047】
次に物流時および保管時の理由としては、プロセスカートリッジAの輸送時および保管時に異なる気圧の変化に対応するためである。物流などで製造時より低い気圧環境下となる場合や、製造時より高い温度となる保管される場合などにより現像剤袋16内外の気圧差が発生する。そのため現像剤袋16が膨張することで現像剤袋16と接する各部品が変型や破損の恐れがある。そのための物流時や保管時に気圧や温度の管理が必要となり設備、コストがかかる。しかし一部に通気性を持たせることにより気圧による現像剤袋16内外の気圧差による問題を解消できるのである。
【0048】
また、通気性を有する不織布に排出部35、排出部35周囲の接合部22を設けた場合は、開封時に封止部材19の剥離に伴い不織布の繊維がとれて現像剤の中に入り画像に悪影響を与える恐れがある。そのため非通気シート16uに排出部35を設けることにより前述のような不織布の繊維が抜け落ちることがなくなる。
【0049】
また、通気シート16sから脱気しながら現像剤を充填することにより充填密度を上げることができる。
【0050】
図5、図6に示すように、現像剤袋16は内部の現像剤を排出するための複数の開口部35a、および複数の開口部35aを定義する連結部35bからなる現像剤排出部35を有している。そして、後述するように封止部材19により、排出部35の周囲を接合部22で連続して取り囲み開封可能に接合し現像剤袋16に収納する現像剤を封止している。そして、前記封止部材19開封部材20によって巻き取ることにより開封可能としている。
【0051】
(現像剤袋の開口部の配置)
次に、図6、図7を用いて開口部35aの配置について説明する。開口部35aは封止部材19によって封止され、この封止部材19が移動されることによって露出して開封される。このときの封止部材19の移動方向(開封部材20に引っ張られる方向)は矢印D方向である。封止部材19の移動により開口部35aは開封方向(矢印E方向)に露出が進む。以下、封止部材19の移動方向をDとする。
【0052】
本実施形態の開口部35aは、現像剤袋16に丸形状の孔が所定間隔をもって複数設けられ、それぞれの開口部35aの間が連結部35bによって連結されている。この複数の開口部35a及び連結部35bは、開封方向Eに対して垂直な方向Fに並ぶように配置されている。
【0053】
ここで現像ローラ13の回転軸方向と複数の開口部35aの並ぶ方向Fを揃えるのは、現像剤を排出時に現像ローラ13の長手方向全体に現像剤が偏りなく供給され易くするためである。
【0054】
上記のように、複数の開口部35aは矢印Fの方向にずれて配置されているため排出部35は方向Fに長く、これと直交する方向Eに短いものとなる。つまり、方向Fにおける複数の開口部35aの端から端までの距離は、方向Eにおける開口部35aの端から端までの長さより長い。
【0055】
そして、封止部材19は開封部材20を回転させて巻きとる構成としているが、前記方向Fは開封部材20の回転軸の軸線と同じ方向である。このように、開封方向Eに対して直交する方向Fにずれて複数の開口部35aが配置されている排出部35は、方向Fに長く方向Eに短いものとなるため開封に要する距離が長い方向Fに開封するより短くてすみ、開封に要る時間も短くなる。
【0056】
また、排出部35を覆う封止部材19を開封部材20で巻きとる構成としている。開封部材20の回転軸方向と開封方向Eに対して略垂直な方向Fは同じ方向とすることで、封止部材19の巻きとり距離、時間を短くできる。
【0057】
なお、開口部35aの配置は開封方向Eに対して垂直な方向Fに対してずれていれば良く、図8(c)に示すように、開口部35aが開封方向Eに垂直な方向Fに重なっていても、図8(d)に示すように、重なっていなくても後述する連結部35bの効果がある。
【0058】
また、開口部35aの方向は画像形成時の姿勢で収納する現像剤を排出しやすいようになっているのが好ましい。そのため、画像形成時の姿勢において、開口部35aは、重力方向の下方向に開くように配置される。ここで、開口部35aが重力方向の下方向に開くとは、開口部35aの開口の向きが重力方向下方向の成分を持つことを指す。
【0059】
(現像剤袋と枠体の固定)
図3に示すように、現像剤袋16は二つの固定部16d、16eにより第一の枠体17、第二の枠体18の内部に固定される。
【0060】
まず、一つ目の固定部として、後述する封止部材19を現像剤袋16から開封する時に力を受ける現像剤袋16の第一の固定部16dを設けている。複数の開口部35aが配置されている方向Fと平行に、固定部16dは複数個設けられている。なお、固定部16dはこのように複数個設けられる以外に方向Fと平行に長いひとつのものでもよい(不図示)。
【0061】
また、第一の固定部16dの位置は現像剤袋16の開口部35aの近傍に設けられ、この第一の固定部16dが枠体の第一の固定部18aに固定されている。
【0062】
二つ目の固定部として、現像剤袋16が下方、もしくは現像ローラ13、現像剤供給ローラ23の方へ移動するのを防ぐため第二の固定部16eを設けている。この第二の固定部16eが枠体の第二の固定部18bに固定される。
【0063】
<封止部材>
図3、図5に示すように、封止部材19は、プロセスカートリッジAの使用前に現像剤袋16の排出部35を覆い現像剤袋16内の現像剤を封止している。封止部材19は、移動されることによって前記開口部35aを露出させるものである。封止部材19の構成は、現像剤袋16の排出部35を覆う封止部19aと、開封部材20と固定される被係合部19bと、封止部19aと被係合部19bを連結している封止部材連結部19cを有しているシート状のものである。当該シートは後述する易開封性を発揮するシーラント層を持つラミネート材で、基材はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等で、厚さは0.03〜0.15mmのものを適宜選定すればよい。
【0064】
上記封止部材19を現像剤袋16の排出部35の所定位置に接合して取り付けるものであるが、開口部35aに対して接合する位置については後述する。
【0065】
<開封部材の構成>
開封部材20は封止部材19に力を与えて封止部材19を移動させ現像剤袋16から引き剥がす目的のものである。開封部材20は軸形状で(図5参照)、両端を第二の枠体18に回転可能に支持されている支持部(不図示)と、封止部材19の被係合部19bを固定する係合部20bを有している(図3参照)。本実施形態では開封部材20は四角い軸形状で、その四角い軸の一面に封止部材19の被係合部19bを係合部20bで係合している。
【0066】
駆動系(不図示)からの駆動伝達により前記開封部材20を回転させ、開封部材20に封止部材19を巻き取ることで封止部材19を現像剤袋16から剥離して開口部35aを開封する。
【0067】
<現像剤袋の開口部と封止部材の接合部の関係>
次に、本実施形態における現像剤排出部35を密封封止する封止部材19の接合部22の配置について図6乃至図14を用いて説明する。
【0068】
接合部22は長い方向(方向F)に2本、短い方向(方向E)に2本とで囲んだ「ロの字」形状で連続しているため排出部35の封止を可能としている。ここで長い方向(方向F)に溶着された2本の接合部のうち先に開封されるもの(開封方向の上流側に位置)を第一の接合部22a、後に開封されるもの(開封方向下流側に位置)を第二の接合部22bとする。
【0069】
本実施形態では、封止部材19の開封前における封止部材19の表面に沿ってみた場合に、後述する返し部19d(又は被係合部19b)に近い側の接合部を第一の接合部22aである。また、開口部を挟んで第一の接合部22aに対向する接合部が第二の接合部22bである。また、短い方向の接合部を短手接合部22cとする。
【0070】
本実施形態において開封方向は方向Eである。開封方向は次のように定義する。封止部材19を移動させて開封を行う場合に、開口部35aを挟んだ第一の接合部22aと第二の接合部22bとでは、第一の接合部22aが先に開封(剥離)される。このように、先に開封される第一の接合部22aから第二の接合部22bに向かう方向を開封方向Eとする。
【0071】
なお、現像剤袋16から封止部材19をE方向に開封する時(剥離する時)に、微視的に見ると第一の接合部22aや第二の接合部22bの中においても開封力による現像剤袋16の変形により矢印F方向にも剥離が進む場合がある。しかしながら、本実施形態における開封方向は、このような微視的な開封の方向を指すものではない。
【0072】
(第一の接合部の位置)
図6、図7に示すように、第一の接合部22aは開口部35aの開封方向上流側縁部と接触する位置に配置されている。このように第一の接合部22aを配置することにより、開口部35aを開封方向上流側に面積を広くとることが可能になり、現像剤の排出性が向上させることが可能になる。
【0073】
そして、第一の接合部22aを開口部35aと接触させた配置にすることで、図9に示すように、開口部35aの鉛直方向下側縁部(剥離方向上流側縁部)を可能な限り第一の固定部16d側(下側)に配置することが可能となる。
【0074】
すなわち、第一の接合部22aは剥離方向において第一の固定部16dから開口部35aに接触する位置までの間に形成しなければならない。また、開口部35aは前記第一の接合部22aよりも剥離方向下流側に配置される。したがって、第一の接合部22aを開口部35aと接触させて配置することにより、現像剤収納部材34の下方に配置される開口部35aを可能な限り下方(剥離方向上流側)に位置させることができる。
【0075】
このため、図9に示すように、例えば開口部35aの鉛直方向下側縁部が第一の接合部22aから剥離方向においてβ離れて配置されている場合に比べ、トナー残量のトナー剤面高さをZ分減少させることが可能となる。このことでトナーを有効に使用することが可能になる。
【0076】
なお、前記第一の接合部22aは、開封安定性において開口部35aと接触しない位置に配置することも適宜可能であり、開口部35aの求める面積により選択可能である。
【0077】
(第二の接合部の位置)
次に、第二の接合部22bは、図6に示すように、開口部35aの剥離方向下流側縁部から間隔α離間して開封方向下流側にに配置されている。このように、第二の接合部22bを開口部35aと接触しない位置に配置することにより、封止部材19の開封安定性が確保されるが、その理由は封止部材19の開封動作の説明とともに後述する。
【0078】
<封止部材の易開封性を有する構成>
ここで、図10に示すように、前記接合部22で現像剤袋16に接合された封止部材19は、開封部材20によって巻き取られるときに、接合部が容易に剥離されるように折り返されている。
【0079】
図10に示すように、開封される瞬間において第一の接合部22aと第二の接合部22bとで形成された面N1とする。そして面N1に対して垂直で、且つ、第一の接合部22aを通る面N2とする。ここで開封部材20は、第一の接合部22aを通る面N2よりも第二の接合部22b側に配置されている。言い換えると封止部材19は、シート状である封止部材19の表面に沿って見たときに、接合部22と開封部材20との被係合部19bとの間の部分(連結部19c)で折り返されている返し部19dを有しているのである。返し部19dは折り目がついていても、折り目が付いていなくてもよい。
【0080】
ここで封止部材19の返しの角度Qは90度以下が好ましい。折り返し角度Qは、現像剤袋16の接合部22の面と封止部材19の引っ張られる方向Dに沿った面の挟角Qである。
【0081】
また、封止部材19と開封部材20の固定は、本実施形態において、第一の固定部16dと同様の超音波カシメで固定している。超音波カシメ以外に第一の固定部16dおよび第二の固定部16eの固定の手段と同様に熱溶着、超音波溶着、接着、枠体間への挟み込み、孔と凸による引っ掛け等でもよい。
【0082】
(封止部材の易開封性を有する部分)
次に、接合部22の剥離力を所望の値にする方法について説明をする。本実施の形態では前記剥離力を所望の値(ここでは、トナー封止性を保てる範囲内でできるだけ小さい力)にするために、主に2つの方法をとっている。
【0083】
1つ目は、封止部材19に易開封を可能とするシーラント層を持つラミネート材を適用している。そして現像剤袋16の素材には前記シーラント層と溶着可能で可撓性のあるシート材質(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)を適用することで該接合部において易開封を可能とする方法である。シーラント層の処方及び貼り合わせる材質の組み合わせを変えることにより剥離力を所望の条件に合わせて調整させることが可能である。本実施形態においてはJIS−Z0238の密封軟包装袋の試験において剥離強さが3N/15mm程度のものを用いている。
【0084】
2つ目は、図3に示すように、現像剤袋16の排出部35を開封が進む方向(図中矢印E)に対して折り返された状態にする方法である。例えば、図3の状態で開封部材20を回転(図中矢印C)させ封止部材19を開封部材20で引っ張られる方向(図中矢印D)に引っ張る。このようにすることで、現像剤袋16と封止部材19は、図10に示すような、現像剤袋16の接合部22の面と封止部材19の引っ張られる方向Dに沿った面の挟角Qが90度以下の傾斜剥離位置関係になる。従来、傾斜剥離にすることにより両者の引き剥がしに必要な剥離力を低減できることが知られている。従って、前述したように封止部材19を開封が進む方向(図中矢印E)に対して折り返された状態にすることで接合部22部分の封止部材19と現像剤袋16が傾斜剥離の位置関係となり前記剥離力を低減するように調整することができる。
【0085】
<現像剤袋の開封>
次に現像剤袋16の開封動作について、図11、図12を用いて説明する。開封のため開封部材20が封止部材19を引っ張る力を与える力点部20aと、引っ張られる現像剤袋16を固定する枠体の固定部18aを現像装置38は有している。
【0086】
力点部20aとは開封の瞬間に封止部材19と開封部材20の接している部分の最も接合部22に近い部分である。図11(b)では開封部材20の角部20cが力点部20aである。また、第二の枠体18の固定部18aは開封時の力による現像剤袋16の移動を抑制する固定部18cを有している。また、接合部22から本実施形態では枠体の第一の固定部18aと現像剤袋の第一の固定部16dは超音波カシメにより接合されており、図11(b)(c)、図12(a)で示すように、第一の固定部18aの超音波カシメ部分のうち接合部22に近い部分が固定部18cとなる。
【0087】
まず、開封部材20は不図示の本体からの駆動手段により駆動力が伝達され矢印Cの方向に回転する。そして開封部材20の回転が進むことで封止部材19が引っ張られて第一の接合部22aの開封が始まる。開封が始まる直前の状態を、図11(b)示す。開封部材20の回転に伴い封止部材19は四角い開封部材20の角部20c(力点部20a)により矢印Dの方向に引っ張られる。
【0088】
封止部材19が引っ張られると接合部22を介して現像剤袋16が引っ張られる。すると現像剤袋16は第一の固定部16dに力が加わり、固定部18cから力点部20aに向けて現像剤袋16は引っ張られる。すると、開封部材20の回転軸に垂直な断面において、第一の接合部22aは力点部20aと固定部18cを結んだ線上に近づくように動く。このとき、矢印Dの方向において、開封部材20の回転軸に近い方から、開口部35a、第一の接合部22a、返し部19d、固定部18cの順に配置されている(図11(b))。
【0089】
そして、封止部材19が第一の接合部22aと被係合部19bの間で折り返されているため第一の接合部22aの部分に矢印Dの方向に傾斜剥離するように力がかかる。そして第一の接合部22aの剥離が行われて排出部35の開封が始まる。
【0090】
このように、第一の接合部22aが剥離する時の力は、固定部16dにかかる過程において、第一の接合部22aと固定部16dの間を現像剤袋16が全域で受けることになる。このことより、現像剤袋16が大きく変形することなく安定した剥離が可能になる。
【0091】
従って、第一の接合部22aの剥離は、第一の接合部22aが開口部35aと接触しているか接触していないかに関わらず、安定した剥離が可能になる。
【0092】
また、角部20cと共に力点部20aも矢印Cの方向に移動し、角部20dと封止部材19が接すると角部20cから角部20dへ力点部は移動する。ここで、図11(b)が力点部20aが角部20cの状態を示し、図11(c)が更に開封部材20の回転が進み角部20dへ力点部が移った状態を示す。
【0093】
図11(c)に示すように、開封部材20の回転が進むにつれて封止部材19の開封が進むと共に、返し部19dも矢印E方向に進む。そして更に開封が進み開口部35aが露出する。開口部35aが露出した後に第二の接合部22bの剥離に入る状態を、図12(a)に示す。この時も第一の接合部22aの剥離と同様に封止部材19は力点部20aの方へ引っ張り、現像剤袋16は固定部18cの方向(矢印H)に踏ん張ろうとする。すると、開封部材20の回転軸に垂直な断面において、第二の接合部22bは力点部20aと固定部18cを結んだ線上に近づくように動く。そして第二の接合部22bの部分に矢印Dの方向の力がかかり第二の接合部が剥離する。
【0094】
(封止部材を剥離するときの第二の接合部の開口部への作用)
ここで、封止部材19を移動させて第二の接合部22bが現像剤袋16から剥離するときにおける、第二の接合部22bの開口部35aへの作用について、図13および図14を用いてに説明する。
【0095】
図13は、図12(a)に示す第二の接合部22bが剥離する状態における矢印J方向から見た開口部35a付近の平面図であり、第二の接合部22bが開口部35aに接触して配置されている状態を示す図である。
【0096】
図14は、図12(a)に示す第二の接合部22bが剥離する状態における矢印J方向から見た開口部35a付近の平面図であり、第二の接合部22bが開口部35aに接触せず、開口部35aの剥離方向下流側縁部から距離α離れた状態を示す図である。ここで、22b1は封止部材19に残る第二の接合部を示し、22b2は現像剤袋16に残る第二の接合部を示す。
【0097】
図13、図14に示すように、第二の接合部22bの剥離進行方向は、開口部35aが変形することで、本来の剥がれ方向であるE方向への移動を伴いながら開口部35aの中央付近に向かう。従って、開口部35aにおける第二の接合部22bの最終剥離部は、開口部35aの中央付近になる。
【0098】
この状況において、図13(b)に示すように、第二の接合部22bが開口部35aに接触した状態では、最終剥離部と開口部35aの外形をそれぞれ結んだ直線が第一の接合部22aと交差する領域Z1において、開口部35aに応力が遮断されることで、第二の接合部22bの線上で現像剤袋16が開封力を受けられない領域となる。一方で本来現像剤袋16が受けるべき応力のうち前記Z1領域分、開口部35aが受けることになる。このため、開口部35aの形状が大きく変形することになり、開封の安定性が充分とは言えない。
【0099】
そこで、本実施形態では第二の接合部22bを開口部35aと接触しないように配置することで、開口部35aへ掛かる応力をそれぞれの開口部の間に位置する連結部35bに分散させ、開口部35aの変形が小さくなるようにしている。
【0100】
具体的には、図14に示すように、第二の接合部22bが開口部35aから距離α離間している。このため、最終剥離部と開口部35aの外形をそれぞれ結んだ直線が第一の接合部22aと交差する領域Z2は、第二の接合部22bが開口部35aに接触している場合の前記領域Z1(図13参照)より狭い領域になる。
【0101】
このことにより、Z1からZ2引いた領域分の応力が現像剤袋16にかかることになり、結果、開口部35aに掛かる応力が、開口部35aと第二の接合部22bが接した状態よりも小さくなる。このため、開口部35aの変形が抑制可能となり、開封の安定性が向上する。
【0102】
なお、第二の接合部22bの開口部35aとの距離αの上限は、封止部材19において、前記封止部材開封方向E方向における開封部材20と反対側の端面である。
【0103】
また、第二の接合部22bの開口部35aとの距離αの上限は、図12(c)に示すように、第二の接合部22bが巻き取り軸である開封部材20に巻きつくことで発生する摩擦力と、前記第二の接合部22bが現像剤袋の主材16bと挟まったことによる摩擦力により、第二の接合部22bの剥離力が働かなくなる位置である。
【0104】
実際の設計においては、前記を考慮して、第二の接合部22bがせん断剥離にならない最大限の距離αを設定することで、効果的に開口部35aの変形が抑制され、開封の安定性を得ることが可能になる。
【0105】
そして第二の接合部22bが剥がされて開封が完了する(図12(b)参照)。そして現像剤袋16内部の現像剤が排出部35の開口部35aを通り矢印Iの方向に排出される。
【0106】
このように開封部材20の回転により封止部材19が開封部材20に巻きとられて接合部22を開封するのである。封止部材19は回転で巻き取られるため開封部材20の移動に要するスペースは開封部材20の回転スペースがあれば良く、回転以外の移動により封止部材19を移動させる場合に比べ省スペース化することができる。
【0107】
また、封止部材19が返し部19dを設けられていることで接合部22をせん断剥離せずに傾斜剥離とすることができ確実に開封できる。
【0108】
また、複数の開口部35aが並んでいる方向Fと略垂直方向の封止部材19の一端側に封止部材19を開封するための開封部材20に係合される被係合部(19b)が設けられることで確実に封止部材19を係合して開封することができる。
【0109】
また、枠体に固定部18cを設けて、現像剤袋16を開封時に支持することにより柔らかく変形可能な現像剤袋16でも確実に開封可能となる。
【0110】
また、開封時の現像剤の排出に関して、前述のように開封時に力点部20aと固定部18cで結んだ線上に接合部22が動く(図11(a)→図11(b)→図11(c)→図12(a))。この動きにより開口部35a周辺の現像剤が動かされ現像剤の凝集を崩すことができる。
【0111】
<開封のための現像剤袋の固定部の配置>
図3に示すように、第一の接合部22bを確実に剥がすためには第一の接合部22bと固定部18cの間には次のような配置の関係が求められる。開封時には固定部18cに対して封止部材19を矢印Dの方向に開封部材20が引っ張る。この時、開封部材20による封止部材19の移動方向Dにおいて、固定部18cは開口部35aの上流側に設けられている。そのため矢印Hの方向(図11参照)に固定部18cの力が加わる。よって、開封の力を加えた時に固定部18cと開封部材20の間で矢印Hと矢印Dの方向に引っ張られて第一の接合部22aに力を加え矢印Eの方向に開封が進む。このように封止部材19の移動方向Dにおいて上流に固定部18cを設けていなければ開封部材20が引っ張られた方向に現像剤袋16全体が引っ張られてしまい第一の接合部22aに力を加えることができず開封できない。
【0112】
このように封止部材19の移動方向Dにおいて上流に固定部18cを設けていることにより確実な開封が可能となるのである。
【0113】
図15、図16に示すように、第一の接合部22bを確実に剥がすためには第一の接合部22bと固定部18cの間には次のような長さの関係が求められる。まず、開封部材20と、開口部35aと、固定部18cと、を通り、開封部材20の回転軸に垂直な平面を見た時に、第一の接合部22aの中で最後にはがされる点を第一の点22dとする。第一の点22dは、第一の接合部22aのなかで開口部に近い側の端部の点である。そして固定部18cから現像剤袋16に沿って第一の点22dとの距離をM1とする。そして開口部35aを含む方向に、固定部18dから第一の点22dまで現像剤袋16の沿って測った距離をM2とする。なお、開口部35aは現像剤袋16の素材が存在しない空間であるが、この開口部16aの幅も距離に含める。この時、M1<M2を満たすようにして第一の接合部22aを剥がせるようにしている。
【0114】
ここで上記M1<M2の関係について詳細に述べる。
【0115】
まず、M1<M2を満たす場合は、図15に示すように、第一の接合部22aに開封部材20の封止部材19を引っ張る力(矢印D)と固定部18cの踏ん張る力(矢印H)が第一の接合部22aにかかり第一の接合部22aに対して傾斜剥離とすることができる。傾斜剥離とすることで剥離力を低く設定することができる。ここで、図15(a)は開封前、図15(b)は第一の接合部22aが開封する直前である。
【0116】
一方、M1>M2の場合は、図16に示すように、第一の接合部22aに開封部材20の引っ張る力がかからず第二の接合部22bに力がかかる。この場合、第一の接合部22aには力がかからないため剥離しない。この場合、第二の接合部22bに開封部材20からの力(矢印D)と固定部18cの踏ん張る力(矢印H)がかかる。この状態では第二の接合部22bには開封部材20の封止部材19を引っ張る力(矢印D)と固定部18cの踏ん張る力(矢印H)がかかり、第二の接合部22bの部分には剥離関係がせん断剥離の関係となるため第二の接合部22bを開封することが困難である。これは、せん断剥離が傾斜剥離に比べ大きな力が必要であるからである。
【0117】
ここで、図16(a)は開封前、図16(b)は開封部材20が回転し接合部(この場合は第二の接合部)に開封部材20により封止部材19が引っ張られる力(矢印D)かがかかる時の図である。また、第二の接合部22bには力が加わるがせん断剥離の関係で力がかかるため傾斜剥離の場合に比べて非常に大きな力が必要となり剥離力を低減させることが難しくなる。
【0118】
なお、ここで前述のM1、M2の距離の測りかたの定義について述べる。M1、M2の距離は開封時に引っ張られた時の距離が重要なのであり、M1、M2経路の途中にヒダ16tが無い場合は、図15、図16に示すように、展開した距離を測ればよい。また、図17で示すように、M1、M2の経路の途中に製造上貼り合わせでできるヒダ16tがある場合は、開封時に引っ張った場合でもヒダ16tは伸びない(剥がれない)ためヒダ16tの部分はM1、M2の距離には含まれない。つまりヒダ16tのように力の伝達に影響しない部分はためM1やM2距離に含めない。
【0119】
以上のようにM1<M2の関係として第一の接合部22aが第二の接合部22bより先に開封される。第一の接合部22aが第二の接合部22bより先に開封されることで第一の接合部22aが封止部材19の返し部19dができる。この返し部19dによりせん断剥離にならず傾斜剥離となる。これにより確実に現像剤袋16から封止部材19を確実に剥離できて開封可能な現像装置38を提供できる。
【0120】
ここで、複数の固定部と開封の関係について、図18を用いて述べる。図18(a)の状態から開封部材20が回転して第一の接合部22aが開封する直前が図18(b)である。本実施形態では第一の固定部18aと第二の固定部18bを有している。ここで開口部35aを挟んで最初に開封される第一の接合部22aに近い場所に配置されている第一の固定部18aの方に開封時の力が加わる。そのため前述のM1、M2の距離の測りかたに第二の固定部18aは考慮しなくてよい。このように複数の固定部がある場合には開封時の力が加わる開口部35aを挟んで最初に開封される第一の接合部22aに近い場所に配置されている固定部を基準とすればよい。
【0121】
次に第一の接合部22aの開封直前の状態を示す図10を用いて、第二の接合部22bが開封部材20に巻き込まれずにより良好に開封できる配置について述べる。
【0122】
まず、第一の接合部22aの開口部35aから遠い側の端部を第二の点22eとする。第二の接合部22bの開口部35aから遠い側の端部を第三の点22fとする。ここで第二の点22eから第三の点22fの距離をL1とする。また、第二の点22eから力点部20aの距離をL2とする。この時に前記距離L1と前記距離L2の関係はL1<L2の関係が必要である。
【0123】
その理由は、L1がL2より大きい場合は第二の接合部22bの剥離が終わる前に第二の接合部22bが力点部20aに到達してしまい、第二の接合部22bが開封部材20に巻きついてしまう。第二の接合部22bに対して剥離するように力をかけることができない。そのため現像剤袋16から封止部材19を開封困難となるのである。
【0124】
以上のように前記距離L1と前記距離L2の関係はL1<L2とすることで封止部材19を開封部材20に巻き込まれず良好に開封可能となるのである。
【0125】
<複数の開口部とこれを連結する連結部>
次に、現像剤袋16の開封動作において、開口部の変形を抑える機能を有する連結部35bについて説明する。
【0126】
図7は、最初に開封する第一の接合部22aの部分の剥離を終えて、開口部35aが露出した時の図であり、第二の接合部22bの剥離を終えていない状態である。前述したように、排出部35は開口部35aの露出が進行する開封方向Eに対して直交する方向Fにずれて複数の開口部35aを有している。
【0127】
そのため、複数の開口部を定義する連結部35bもFの方向に複数配されることになる。これにより、複数の連結部35bは、排出部35の開封が進行する方向Eの方向において、第一の接合部22aと第二の接合部22bとを橋渡ししていることになる。
【0128】
したがって、第一の接合部22aの開封を終えた時に(図12(a)の状態)、第二の接合部22aが開封する時の力は前記連結部35bを介して第一の固定部16dで受けることが可能となり、封止部材19を現像剤袋16から剥す力を伝えることができる。すなわち、第二の接合部22bに矢印Dと矢印Eの方向に力がかかり、第二の接合部22bも剥離可能となるのである。
【0129】
以上のように、図8(b)に示すように、開封方向Eに対して直交する方向Fに開口部が並んだ場合以外にも同様の効果を得られる。図8(c)のように開封方向Eに対して直交する方向に完全に並んでいなくても連結部35bは封止部材19を現像剤袋16から剥す力を第二の接合部22bに矢印Pのように伝えることができる。また、図8(d)のように開封方向Eに対して開口部35aが重なっていても連結部35bは斜めに封止部材19を現像剤袋16から剥す力を第二の接合部22bに矢印Pのように伝えることができる。即ち、複数の開口部35aが開封方向Eに直交する方向Fにずれて配置されていればよい。
【0130】
また、図8(b)のように連結部35bを含む開口部35aの周囲の部分を接合部22としてもよい。この場合でも連結部35bがあることで接合部22がはがれる最後まで力をつたえることができるので開封が確実に行われる。
【0131】
また、開封部材20の回転軸と開口部35aとの関係で言えば、開口部35aは開封部材20の回転軸の方向Rにずれて配置されていると言える。このようにすることで、開封部材20の回転軸と直交方向(矢印E)に橋渡しする連結部35bを有する。開口部35aの配置は、開封部材の回転軸方向Rにずれていればよい。図8(b)に示すように、開口部35aが回転軸方向Rに重なっていても、図8(d)に示すように、回転軸方向Rに完全に重なっていなくても矢印Pのように力を伝えることができて連結部35bの効果がある。
【0132】
このように現像剤を収納した現像剤収納容器26と開封部材を有した現像剤収納容器30は排出部35に橋渡しする連結部35bがあることにより開封部材20の開封力を第二の接合部22bを開封するまで伝えることができて確実に開封することができる。
【0133】
また、開口部35aと、封止部材の被係合部19bとの関係を説明する(図5)。被係合部19bは、複数の開口部35aが並んでいる方向と略直交方する方向の封止部材19の一端側に設けられている。
【0134】
また、開口部35aと、開封部材20との関係を説明する(図5)。開封部材20は、複数の開口部35aが並んでいる方向と略直交する方向の封止部材19の一端側に設けられている。
【0135】
このような構成でも、連結部35bにより開封部材20の開封力を第二の接合部22bを開封するまで伝えることができる効果をえることができる。
【0136】
(連結部が別部材の例)
また、図19に示すように、排出部35開口部35aを定義する連結部35bを別の部材(連結部材16f)としてもよい。この場合開封方向Eに直交する方向Fに長い一つの開口部16aを設け前記長い一つの開口部16aに開封方向Eに沿って橋渡しする別部材である連結部材16fを設ける構成である。この時長い一つの開口部16aの第一の接合部22a側と第二の接合部22b側にそれぞれ連結部材16fを接着、溶着等で接合されている。
【0137】
なお、現像剤袋16に連結部材16fを設けた場合においても封止部材19は前述のように接合部22と被係合部19bの間で折り返されていることで開封部材20に封止部材19を巻きつけることで開封可能としている。このような構成をとることにより複数の開口部35aを設けた場合の開口部を定義する連結部35bと連結部材16fは同じ役割を果たす。つまり長い一つの開口部16aは連結部材16fにより複数の開口部35aがある場合と同じなのである。
【0138】
よって第一の接合部22aの開封を終えて第二の接合部22bを剥離する時に、開封部材20が第二の接合部22aが開封する時の力(矢印D)は前記連結部材16fを介して第一の固定部16dで矢印Hに受けることが可能となる。よって、封止部材19を現像剤袋16から剥す力を伝えることができる。つまり第二の接合部22bに矢印Dと矢印Hの方向に力がかかり第二の接合部22bも可能となるのである。
【0139】
このように長い一つの開口部16aは連結部材16fにより複数の開口部35aをつくることで連結部材16fのみを強くしたりすることも可能となる。
【0140】
(連結部を設けない場合の開封性の課題)
ここで、排出部35に連結部35bを設けない場合について説明する。これは、図20、図21に示すように、連結部35bが存在せず開封が困難になる場合である。図20は連結部35bが存在せず開口部16aが一つの例であり、図20(a)は第二の接合部22bの剥離前の状態で、図20(b)と図22は第二の接合部を剥離する時の状態を示した図である。また、図21は連結部35bが存在せず開封が困難になる場合の開口部35a周囲の断面図である。
【0141】
この場合、第二の接合部22bまで開封が進んだ状態が図21(a)であり、この状態から更に開封部材20の回転により封止部材19が矢印Dの方向に引っ張られ移動する。すると連結部35bを有さないために、第一の固定部16dからの力を、開口部16aの中央の第二の接合部22b側に伝達することができない。そのため、図21(b)、図20(b)に示すように、第二の接合部22bは枠体の固定部18aからの拘束力がなくなり、開口部16aが矢印Dの方向に大きく開いていく。
【0142】
更に第二の接合部22bが封止部材19に引っ張られて、図21(c)に示すように、開口部16aが変形する。この場合、第二の接合部22bに働く力は、傾斜剥離の位置関係(図12参照)にならず、図21(b)に示すように、開口部35aが変形することでせん断剥離(略0°剥離)となるため、剥離するために大きな力が必要となる。しかも、第一の固定部16dが支持する力を第二の接合部22bに伝達できないため、第二の接合部22bは剥離できないまま開封部材20に引っ張られていく。
【0143】
そのため、第二の接合部22bの長手中央付近の開口部16aが更に大きく開いてしまい、開封部材20に巻きついてしまう。このような場合においても、図14に示すように、第二の接合部22bを開口部35aから離れた配置にすることで、開口部35aの変形が抑制可能となる。このことで、開封安定性が向上する。
【0144】
なお、現像剤を収納するものが構造体のように硬いものであればこのような変形は無く従来例のように開封可能である。しかし、現像剤を変形可能な柔らかい袋状のものに収納し、開口部が開封時変形するようなものを開封する構成の場合は、前述のように複数の開口部35aを設けるとともに、隣接する開口部35aの間に連結部35bを設けることが望ましい。
【0145】
<開封時に現像剤袋を押圧する構成>
図23に示すように、開封部材20には押圧部材21が取り付けられている。本実施形態では押圧部材としてはPET、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、ポリカーボネイト、等の可撓性シートを用い、厚みは0.05〜0.1mm程度を用い、その先端は開封部材20の外接円より外側に突出させている。
【0146】
この押圧部材21は、開封部材20が回転したときに現像剤袋16の外部から押圧するように作用し、現像剤袋内の現像剤の排出を促進させる機能を有するものである。
【0147】
<開口部の形状の他例>
前述した実施形態では開口部35aを丸形状にした例を示した。しかし、開口部35aの形状は丸形状以外に、例えば図24に示すように、長丸形状にしてもよい。長丸形状や四角形状等のように、封止部材19の開封方向と交差する方向に直線部を有する形状にすると、開口部の剥離方向下流側縁部から第二の接合部22bまでの距離αを出し易くなる。
【0148】
<可撓性容器の他例>
また、前述した実施形態では現像剤を収納する可撓性容器として現像剤袋16を用いた例を示したが、袋の代わりにシート状の素材を真空成形、圧空成形、プレス成形により形つくったものを使用してもよい。真空成形等により枠体の形状に沿った形状に成形でき、また成形品自体が形を保とうとするため、枠体に全体的に支えられ可撓性容器が現像剤供給ローラ23や現像ローラ13の方へ移動しにくくなる利点がある。
【符号の説明】
【0149】
A …プロセスカートリッジ
11 …感光体ドラム
16 …現像剤袋
16d …第一の固定部
16e …第二の固定部
17 …第一の枠体
18 …第二の枠体
18a …第一の固定部
18b …第二の固定部
19 …封止部材
20 …開封部材
22 …接合部
22a …第一の接合部
22b …第二の接合部
25 …現像剤収納ユニット
26 …現像剤収納容器
30 …現像剤収納容器
35 …排出部
35a …開口部
35b …連結部
37 …現像剤収納容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収納するための現像剤収納容器であって、
現像剤を排出するための開口部を備えた可撓性容器と、
前記開口部を封止するように前記可撓性容器に接合した接合部を有し、移動されることによって前記接合部が前記可撓性容器から剥離して前記開口部を露出することが可能な封止部材と、
を有し、
前記封止部材は、前記開口部を挟んで封止部材開封方向の上流側の第一の接合部と下流側の第二の接合部を有し、前記第二の接合部は前記開口部に接触しない位置に配置されていることを特徴とする現像剤収納容器。
【請求項2】
前記第一の接合部は前記開口部と接触した位置に配置されていることを特徴とする請求項1記載の現像剤収納容器。
【請求項3】
前記現像剤収納容器は、前記開口部が前記封止部材開封方向と交差する方向に直線部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像剤収納容器。
【請求項4】
前記開口部は前記可撓性容器に複数設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の現像剤収納容器。
【請求項5】
画像形成装置本体に着脱可能としたプロセスカートリッジであって、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像剤収納容器と電子写真感光体とを一体としたプロセスカートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスカートリッジを備えることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図14】
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【図20】
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【公開番号】特開2013−114026(P2013−114026A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260030(P2011−260030)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】