説明

現像剤担持体、その製造方法及び現像装置

【課題】環境依存性の少ない現像剤担持体及び現像装置の提供。
【解決手段】基体及び樹脂層を有し、該樹脂層はアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂は下記式(1)で示されるユニット(1)及び下記式(2)で示されるユニット(2)を有している現像剤担持体。式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。「*」は、式(2)中の「**」との結合部を示す。式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R、R及びRは、炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真装置に用いる現像剤担持体、その製造方法及び現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像の形成に用いる現像剤(トナー)に適正な摩擦帯電を付与することを目的として、特許文献1には、基体上に結着樹脂として第4級アンモニウム塩基含有共重合体を有する樹脂層を設けた現像剤担持体が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第03740274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、特許文献1に係る現像剤担持体を用いた場合、使用する環境によっては画像濃度が低下し、特に高温高湿環境下に長期間放置されると画像濃度が低下し、低温低湿環境下での画像濃度と差が生じることがあった。
【0005】
そこで本発明の目的は、トナーへの摩擦帯電付与能に優れ、且つ、使用する環境による画像濃度の変化が少ない現像剤担持体及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高品位な電子写真画像を安定して形成可能な現像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、基体及び樹脂層を有し、該樹脂層はアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂は下記式(1)で示されるユニット(1)及び下記式(2)で示されるユニット(2)を有している現像剤担持体が提供される。
【0007】
【化1】

【0008】
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。「*」は、式(2)中の「**」との結合部を示す。
【0009】
【化2】

【0010】
式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R、R及びRは、炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。「**」は、式(1)中の「*」との結合部を示す。
【0011】
また、本発明によれば、上記現像剤担持体の製造方法であって、下記重合反応〔A〕及び下記重合反応〔B〕によってアクリル樹脂を得る工程と、基体上に該アクリル樹脂を含む樹脂層を形成する工程とを有する現像剤担持体の製造方法が提供される。
重合反応〔A〕;下記式(3)で示されるモノマー(3)及び下記式(4)で示されるモノマー(4)から選択されるモノマー同士のラジカル重合反応、
重合反応〔B〕;前記モノマー(3)の水酸基と前記モノマー(4)の水酸基の脱水重縮合反応。
【0012】
【化3】

【0013】
式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。
【0014】
【化4】

【0015】
式(4)中、R10は、水素原子又はメチル基を示し、R11は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R12、R13及びR14は、各々独立して炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。
【0016】
また本発明によれば、トナー粒子を有する負摩擦帯電性の現像剤と、該現像剤を収容している容器と、該容器に貯蔵された該現像剤を担持搬送するための現像剤担持体と、現像剤層厚規制部材とを有し、該現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら該現像剤担持体上の該現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へ搬送し、該静電潜像担持体の静電潜像を該現像剤により現像し、トナー画像を形成する現像装置であり、該現像剤担持体が、上記の現像剤担持体である現像装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、負摩擦帯電性の現像剤に対する摩擦帯電付与能が高く、且つ画像濃度の環境依存性の少ない現像剤担持体及び現像装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る現像装置の一態様を示す断面図である。
【図2】本発明に係る現像装置の他の態様を示す断面図である。
【図3】本発明に係る現像装置の更に他の態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る現像剤担持体は図1に示したように、基体102及び基体102の周面に形成された樹脂層101を有している。樹脂層101は特定の構造を持つ2つのユニットを有するアクリル樹脂を含有している。
【0020】
〔アクリル樹脂〕
本発明に係るアクリル樹脂は、負摩擦帯電性の現像剤の摩擦帯電量を高める役割を有する。更に、該アクリル樹脂が特定の架橋構造を有することにより、湿度の影響を抑制することができる。その結果、使用する環境によらず高い画像濃度にできる。係る効果をもたらすアクリル樹脂は、下記の式(1)で示されるユニット(以降「ユニット(1)」ともいう)、下記の式(2)で示されるユニット(以降「ユニット(2)」ともいう)を有する。
【0021】
【化5】

【0022】
式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。「*」は、式(2)中の「**」との結合部を示す。
【0023】
【化6】

【0024】
式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R、R及びRは、炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。「**」は、式(1)中の「*」との結合部を示す。
【0025】
ユニット(1)とユニット(2)とは、その側鎖同士で化学結合しており、3次元的に架橋されていることから、このアクリル樹脂を現像剤担持体の樹脂層に用いた場合、画像濃度の環境依存性が良好となる。
【0026】
ユニット(1)とユニット(2)が特定の結合部で3次元的に架橋することで、上記の効果が得られることは、理論的には未だ明らかでないが以下のように推察される。
【0027】
アクリル樹脂中において各ユニットは熱運動しており、側鎖の長さが長くなるほど運動性が上がる。ユニット(2)は4級アンモニウム塩基近傍に結合部を有する為、4級アンモニウム塩基の運動が抑制される。4級アンモニウム塩基は水分子を吸着しやすい為、4級アンモニウム塩基の運動が抑制されることで、アクリル樹脂が雰囲気中の水分と接する機会が減少し、樹脂層への水分の吸着が抑制される。その結果、本発明の現像剤担持体は、湿度環境の影響を受けにくく、良好な環境依存性を示すと考えられる。また、高温環境であればある程、上記運動が加速されるが、4級アンモニウム塩基の運動性を抑制した本発明のアクリル樹脂は、温度の影響を受けにくく、本発明の現像剤担持体は、良好な環境依存性を示すと考えられる。
【0028】
ユニット(2)は、現像剤担持体の、負摩擦帯電性の現像剤の摩擦帯電量の向上に寄与する。式(2)中のR、R及びRは炭素数1以上18以下のアルキル基である。炭素数18以下のアルキル基とすることで結晶性が抑制され溶媒との相溶性が良好となる。そこで、均一な樹脂層を得るために、R、R及びRは炭素数1以上18以下のアルキル基とする。式(2)中のR、RおよびRから選ばれる1つ以上のアルキル基が炭素数8乃至18の長鎖アルキル基であると、現像剤担持体の摩擦帯電付与能をより高めることができ、好ましい。式(2)中のAは、ハロゲン類、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸の如き無機酸類、カルボン酸、スルホン酸の如き有機酸類におけるアニオンである。Aは、負摩擦帯電性の現像剤の摩擦帯電量をさらに向上させるため、メチルスルホン酸イオン又はパラトルエンスルホン酸イオンであることがより好ましい。
【0029】
尚、上記のアクリル樹脂の摩擦帯電付与能をより良く制御するために、上記ユニット(1)及びユニット(2)以外に、下記式(5)で示される他のユニット(以降「ユニット(5)」ともいう)を含有しても良い。
【0030】
【化7】

【0031】
式(5)中、R15は、水素原子又はメチル基を示し、R16は、炭素数1以上18以下のアルキル基を示す。
【0032】
本発明で使用可能なアクリル樹脂は、ヒドロキシル基変性アクリル系モノマーと第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーのラジカル重合反応〔A〕及び水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕により製造することが出来る。
【0033】
ヒドロキシル基変性アクリル系モノマーとしては、下記式(3)で示されるモノマー(3)が挙げられる。
【0034】
【化8】

【0035】
式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。式(3)の中でも、N−メチロールアクリルアミド、N−エチロールアクリルアミドが反応を制御する点で好ましい。
【0036】
第4級アンモニウム塩基を有するアクリル系モノマーとしては、下記式(4)で示されるモノマー(4)が挙げられる。
【0037】
【化9】

【0038】
式(4)中、R10は、水素原子又はメチル基を示し、R11は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R12、R13及びR14は、各々独立して炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。式(4)中のR12、R13及びR14を炭素数18以下のアルキル基とすることで、アクリル樹脂の結晶性が抑制され、アクリル樹脂と溶媒との相溶性が良好となる。相溶性が良好となることで、現像剤担持体とした時に樹脂層が均一に形成しやすく、摩擦帯電付与能を均一に制御し易くなる。そのため、アクリル樹脂の製造の容易性から、R12、R13及びR14は炭素数1以上18以下のアルキル基とする。式(4)中のR12、R13及びR14のうちの少なくとも一つのアルキル基が炭素数8以上18以下の長鎖アルキル基を有するモノマーである場合は、樹脂層が負摩擦帯電性の現像剤の摩擦帯電量をより高めることができるため、より好ましい。
【0039】
〔重合反応〕
上記のモノマー(3)及びモノマー(4)を用いて下記の重合反応を行うことで、本発明のアクリル樹脂を容易に得ることができる。
重合反応〔A〕;モノマー(3)及びモノマー(4)から選択されるモノマー同士のラジカル重合反応、及び、
重合反応〔B〕;モノマー(3)の水酸基とモノマー(4)の水酸基の脱水重縮合反応。
【0040】
ラジカル重合反応〔A〕及び水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕は、同時に行っても構わないが、ラジカル重合反応〔A〕の後に、水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕を行うことが、残留モノマーの量を低減できるため好ましい。
【0041】
ラジカル重合反応〔A〕としては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合の如き公知の重合方法を用いることできるが、中でも反応を容易に制御できる点から溶液重合法が好ましい。溶液重合法で使用する溶媒としては、アクリル樹脂を均一に溶解するものが適しており、メタノール、エタノール、n−ブタノール、イソプロピルアルコールの如き低級アルコールが好ましい。低級アルコールとすることで、樹脂層を形成するための塗料を調製した時にこの塗料が低粘度となり、樹脂層の成膜性が良好となりやすい。また、必要に応じて他の溶媒を混合して使用しても構わない。溶液重合法で使用する溶媒とモノマー成分の比は、モノマー成分100質量部に対して、溶媒25質量部以上400質量部以下で行うことが適切な粘度を制御する点で好ましい。
【0042】
モノマー混合物の重合は、例えば、モノマー混合物を重合開始剤の存在下で不活性ガス雰囲気下、温度50℃以上100℃以下に加熱することにより行うことができる。重合開始剤としては以下のものが挙げられる。t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミルパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)。重合開始剤は単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。通常は重合開始剤をモノマー溶液に添加して重合を開始するが、未反応モノマーを低減するために重合開始剤の一部を重合の途中に添加しても良い。また、紫外線や電子線の照射によって重合を促進させる方法も使用することが可能であり、これらの手法を組み合わせても構わない。重合開始剤の使用量は、モノマー成分100質量部に対し0.05質量部以上30質量部以下、特には、0.1質量部以上15質量部以下であることが好ましい。重合開始剤の使用量をこの範囲内にすることで、残留モノマーの量を低減でき、アクリル樹脂の分子量を制御することが容易となる。重合反応の温度としては、使用する溶媒、重合開始剤、モノマー成分の組成に応じて設定することができるが、温度40℃以上150℃以下で行うことが安定して重合反応を進める点で好ましい。
【0043】
また、モノマー(4)は、下記式(6)で示されるグリシジル基含有エステルモノマー(6)を下記式(7)で示される第4級アンモニウム塩で開環反応させることにより生成したものを用いることができる。
【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
式(6)中、R17は、水素原子またはメチル基を示し、R18は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。式(7)中、R19、R20及びR21は、炭素数1以上18のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。
【0047】
これらのモノマーの反応は、例えば、グリシジル基含有エステルモノマーと第4級アンモニウム塩とを溶媒中で温度50℃以上120℃以下に加熱することにより行うことができる。
【0048】
また、上記式(6)で示されるモノマーを酸成分の存在下で有機アミンと反応させることにより生成したものも用いることができる。
【0049】
有機アミンとしては、以下のものが挙げられる。トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリオクチルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジラウリルモノメチルアミン、ジメチルベヘニルアミンの如き3級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、メチルステアリルアミンの如き2級アミン。
【0050】
酸成分としては、以下のものが挙げられる。臭化水素、塩化水素の如きハロゲン化水素;メチルブロマイド、メチルクロライド、ブチルブロマイド、ブチルクロライド、オクチルブロマイド、オクチルクロライド、ラウリルブロマイド、ラウリルクロライド、オクタデシルブロマイド、オクタデシルクロライドの如きハロゲン化アルキル;メチルスルホン酸、パラトルエンスルホン酸の如き有機酸。
【0051】
水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕としては、前記溶液重合法でラジカル重合反応させたアクリル樹脂溶液を温度100℃以上160℃以下で加熱することで、溶媒の揮発と同時に反応を行うことができる。また、p−トルエンスルホン酸、ヒドロキシナフタレンスルホン酸の如き酸触媒を用いると、反応が制御しやすい為好ましい。尚、アクリル樹脂溶液を含む塗料を基体上へ塗工する前に水酸基同士の脱水重縮合反応〔B〕が進みすぎるとアクリル樹脂が架橋し、樹脂層を均一に形成することが困難になるため、基体上に塗工した後、加熱させることが好ましい。
【0052】
また、アクリル樹脂の帯電付与能を制御するために、または、アクリル樹脂の溶媒への溶解性を制御するために、上記以外のその他のモノマーをラジカル重合時に使用しても良い。その他のモノマーとしては、下記式(8)で示されるモノマー(8)が挙げられる。
【0053】
【化12】

【0054】
式(8)中、R22は、水素原子又はメチル基を示し、R23は、炭素数1以上18以下のアルキル基を示す。式(8)中、R23の炭素数は、アクリル樹脂の溶媒への溶解性を制御するために適宜設定することが可能である。上記アクリル樹脂を製造する為の各モノマーの組成比率は、モノマー(3)のモル数をa[モル]、モノマー(4)のモル数をb[モル]、モノマー(8)のモル数をc[モル]とする時、a/(a+b+c)が0.4以上0.8以下、b/(a+b+c)が0.2以上0.6以下、且つ、c/(a+b+c)が0.0以上0.4以下であることが好ましい。a/(a+b+c)が0.4以上であると、モノマー(3)とモノマー(4)との反応が増加し、画像濃度の環境依存性を改善させやすくなる。b/(a+b+c)が0.2以上であると、現像剤担持体とした時に負摩擦帯電性の現像剤に対する摩擦帯電付与能が向上し、容易に負摩擦帯電性の現像剤の摩擦帯電量を高めることができる。また、a/(a+b+c)が0.8以下、且つ、b/(a+b+c)が0.6以下であると、モノマー(3)及びモノマー(4)の導入による前記の効果が得られやすい。更に、c/(a+b+c)が0.4以下であると、モノマー(3)及びモノマー(4)の導入による前記の効果が得られやすい。なお、前記組成比率において、モノマー(3)がアクリル樹脂中に複数種含有される場合は、モノマー(3)の構造を満たす複数種のユニット組成比の合計モル数をa[モル]とする。また、モノマー(4)がアクリル樹脂中に複数種含有される場合は、モノマー(4)の構造を満たす複数種のユニット組成比の合計モル数をb[モル]とする。更に、モノマー(8)がアクリル樹脂中に複数種含有される場合は、モノマー(8)の構造を満たす複数種のユニット組成比の合計モル数をc[モル]とする。
【0055】
〔樹脂層の体積抵抗値〕
本発明では樹脂層の体積抵抗値を調整するために、導電性粒子を樹脂層中に含有させることが好ましい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物、カーボンブラックやグラファイトの如き炭化物が挙げられる。樹脂層の体積抵抗値の目安としては、10Ω・cm以下であり、特には10−3Ω・cm以上、10Ω・cm以下である。
【0056】
〔樹脂層の表面粗さ〕
樹脂層の表面粗さの目安としては、算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)で0.3μm〜2.5μmである。樹脂層の表面粗さを所望の値にする方法としては、樹脂層を形成する基体にサンドブラストにより粗さを付与し、その上に樹脂層を形成する方法や、樹脂層に凹凸付与粒子を含有させる方法がある。
【0057】
〔樹脂層の製造方法〕
次に樹脂層の製造方法について説明する。樹脂層は、例えば以下の工程により形成することが可能である。
〔1〕各モノマーをラジカル重合させてアクリル樹脂溶液を製造する工程、
〔2〕前記アクリル樹脂溶液を基体上に塗工する工程、
〔3〕前記基体上に塗工された塗料を乾燥固化あるいは硬化させる工程。
【0058】
工程〔1〕のラジカル重合(重合反応〔A〕)方法としては、上記溶液重合法が好ましい。
【0059】
工程〔2〕のアクリル樹脂溶液の基体上への塗工方法としては、ディッピング法、スプレー法、ロールコート法の如き公知の方法が適用可能であるが、樹脂層中の各成分を均一にする為には、スプレー法が好ましい。
【0060】
工程〔3〕の乾燥固化あるいは硬化には、熱風乾燥機、赤外線ヒーターの如き公知の加熱装置が好適に利用可能である。この工程により、モノマーの水酸基同士の脱水重縮合反応(重合反応〔B〕)が起こる。また、乾燥固化あるいは硬化する際の温度は100℃以上160℃以下で処理することが、重合反応〔B〕を行う点で好ましい。
【0061】
尚、樹脂層の体積抵抗値及び表面粗さを調整する為に、導電性粒子や凹凸付与粒子の如き他の材料を使用する場合は、例えば前記工程〔1〕と工程〔2〕の間に、以下に示す工程〔4〕を行うことが好ましい。
〔4〕前記アクリル樹脂溶液と他の材料を分散混合し塗料化させる工程。
【0062】
工程〔4〕の分散混合には、サンドミル、ペイントシェーカー、ダイノミル、パールミルの如きビーズを利用した公知の分散装置が好適に利用可能である。
【0063】
また、樹脂層の膜厚は、均一な膜厚に成形することが容易であることから、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは40μm以下であり、更に好ましくは4μm以上、30μm以下である。
【0064】
〔基体〕
基体としては、円筒状部材、円柱状部材、ベルト状の部材が挙げられる。基体の材質としてはアルミニウム、ステンレス鋼、真鍮の如き非磁性の金属又は合金が挙げられる。また、前記基体上にゴム層又は樹脂層を形成したものを、基体として用いても良い。
【0065】
〔現像装置〕
本発明に係る現像装置は、トナー粒子を有する負摩擦帯電性の現像剤と、該現像剤を収容している容器と、該容器に貯蔵された該現像剤を担持搬送するための現像剤担持体と、現像剤層厚規制部材とを有する。そして、該現像装置は、該現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら該現像剤担持体上の該現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へ搬送し、該静電潜像担持体の静電潜像を該現像剤により現像し、トナー画像を形成するものである。そして、該現像剤担持体が、上記した本発明に係る現像剤担持体である。
【0066】
本発明に係る現像装置は、磁性一成分現像剤や非磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置及び接触型現像装置や、二成分現像剤を用いた現像装置のいずれにも適用することができる。特に、本発明の現像装置としては、現像剤担持体上の現像剤の摩擦帯電量にばらつきが生じやすい傾向を有する磁性一成分現像剤もしくは非磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置に好適に適用することができる。
【0067】
図1は本発明に係る磁性一成分非接触型現像装置の断面図である。現像剤を収容するための容器(現像容器109)と、この容器に貯蔵された磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤(不図示)(磁性トナー)を担持搬送するための現像剤担持体105を有している。現像剤担持体105には、基体102である金属円筒管上に樹脂層101が形成された現像スリーブ103が設けられている。また、現像スリーブの内部には磁石(マグネットローラ)104が配置され、磁性トナーを表面上に磁気的に保持するようになっている。一方、静電潜像を担持する感光体ドラム106は、矢印B方向に回転する。そして、現像剤担持体105と感光体ドラム106とが対向する現像領域Dにおいて、現像剤担持体105上の磁性トナーを静電潜像に付着させ、磁性トナー像を形成する。
【0068】
かかる現像装置を用いた現像方法を以下に説明する。現像容器109は、第一室112と第二室111に分割されており、第一室112に充填された磁性トナーは攪拌搬送部材110により現像容器109及び仕切り部材113により形成される隙間を通過して第二室111に送られる。第二室111中には攪拌部材114が設けられ、磁性トナーが滞留するのを防止する。現像容器には、現像剤層厚規制部材として、ウレタンゴム、シリコーンゴムの如きゴム製、あるいはリン青銅、ステンレス鋼の如き金属製の弾性板を有する弾性ブレード107が備えられている。この弾性ブレード107は、現像剤担持体105に、トナーを介して接触又は押し当てられ、トナーは図2に示す非接触型現像装置と比較してより強い規制を受けて現像剤担持体105上に薄い層に形成される。この種の現像装置においては、トナーは現像剤担持体表面の摩擦帯電付与能の影響を受けやすく、使用する環境によって現像剤担持体上のトナーの摩擦帯電量がばらつきやすい。しかしながら、このような現像装置においても、本発明の現像剤担持体を用いることで、負摩擦帯電性の現像剤に対する摩擦帯電付与能が高く、使用する環境によらず画像濃度を高くすることができる。ここで、現像剤担持体105に対する弾性ブレード107の当接圧力は、線圧4.9N/m以上49N/m以下であることが、トナーの規制を安定化させ、トナー層の厚みを好適に規制できる点で好ましい。弾性ブレード107の当接圧力を線圧4.9N/m以上とすると、現像剤担持体上に形成するトナー層の厚さを高精度に制御することができ、得られる画像においてカブリやトナーもれの発生を抑制することができる。また、線圧49N/m以下とすると、トナーの摺擦力が適度な大きさとなり、トナーの劣化や現像剤担持体105及び弾性ブレード107へのトナーの融着を防止することができる。また、現像剤担持体105に担持された磁性トナーを感光体ドラム上の静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像剤担持体105に現像バイアス電源108から現像バイアス電圧を印加することが好ましい。現像剤担持体105に印加する現像バイアス電圧として直流電圧を使用するときは、静電潜像の電位と背景部の電位との中間値に相当する電圧が好ましい。現像された画像の濃度を高め、かつ階調性を向上させるために、現像剤担持体105に交番バイアス電圧を印加し、現像領域Dに向きが交互に反転する振動電界を形成してもよい。この場合にも、現像剤担持体105に印加する電圧として、静電潜像の電位と背景部の電位との中間値に相当する直流電圧成分を重畳した交番バイアス電圧が好ましい。このとき、高電位の静電潜像に磁性トナーを付着させる正規現像の場合には、静電潜像の極性と逆極性に摩擦帯電する磁性一成分現像剤を使用する。低電位の静電潜像に磁性トナーを付着させる反転現像の場合には、静電潜像の極性と同極性に摩擦帯電する磁性トナーを使用する。ここで、高電位、低電位というのは、絶対値による表現である。上記例は磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置であるが、本発明の現像装置は、現像剤担持体上の現像剤の層厚が、現像領域Dにおける現像剤担持体と感光体ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、接触型現像装置にも適用することができる。
【0069】
図2は本発明に係る磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置の他の例の断面図である。現像剤を収容するための容器(現像容器209)と、この容器に貯蔵された磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤(不図示)(磁性トナー)を担持搬送するための現像剤担持体205を有している。現像剤担持体205には、基体202である金属円筒管上に樹脂層201が被覆形成された現像スリーブ203が設けられている。また、現像スリーブの内部には磁石(マグネットローラ)204が配置され、磁性トナーを表面上に磁気的に保持するようになっている。一方、静電潜像を担持する静電潜像担持体(例えば、感光体ドラム)206は、矢印B方向に回転する。そして、現像剤担持体205と感光体ドラム206とが対向する現像領域Dにおいて、現像剤担持体205上の磁性トナーを静電潜像に付着させ、磁性トナー像を形成する。
【0070】
かかる現像装置を用いた現像方法を以下に説明する。現像容器209内へ、現像剤補給容器(不図示)から現像剤供給部材(スクリューなど)215を経由して磁性トナーが送り込まれてくる。現像容器209は、第一室212と第二室211に分割されており、第一室212に送り込まれた磁性トナーは攪拌搬送部材210により現像容器209及び仕切り部材213により形成される隙間を通過して第二室211に送られる。第二室211中には攪拌部材214が設けられ、磁性トナーの滞留を抑制する。現像容器には、現像剤担持体205に約50μm以上500μm以下の間隙を有して対向するように、現像剤層厚規制部材である磁性ブレード207が装着される。マグネットローラ204の磁極N1からの磁力線を磁性ブレード間に集中させ、現像剤担持体が矢印A方向に回転し、現像剤担持体205上に磁性トナーの薄層を形成する。尚、磁性ブレード207の代わりに非磁性の現像剤層厚規制部材を使用してもよい。磁性トナーは相互間及び現像剤担持体205表面の樹脂層201間の摩擦により、感光体ドラム206上の静電潜像を現像することが可能な摩擦帯電電荷を得る。現像剤担持体205上に形成される磁性トナー層の厚みは、現像領域Dにおける現像剤担持体205と感光体ドラム206との間の最小間隙よりも更に薄いことが好ましい。また、現像剤担持体205に担持された磁性トナーを感光体ドラム上の静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像剤担持体205に現像バイアス電源208から現像バイアス電圧を印加することが好ましい。
【0071】
図3は本発明に係る非磁性トナーを用いる非磁性一成分非接触型現像装置の断面図である。静電潜像を担持する感光体ドラム306は、矢印B方向に回転される。現像剤担持体305は、基体(金属製円筒管)302とその表面に形成される樹脂層301から構成されている。基体として金属製円筒管の代わりに円柱状部材を用いることもでき、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)が用いられるため、基体302の内部に磁石は内設されていない。
【0072】
このような現像装置における現像方法を以下に説明する。現像容器309内には非磁性一成分現像剤312(非磁性トナー)を撹拌搬送するための撹拌搬送部材310が設けられている。更に、現像容器内には、現像剤担持体305に非磁性トナー312を供給し、かつ現像後の現像剤担持体305の表面に残存する非磁性トナー312を剥ぎ取るための、現像剤供給剥ぎ取り部材(RSローラ)311が現像剤担持体305に当接して設けられている。RSローラ311が現像剤担持体305と同方向又は反対方向に回転することにより、現像容器309内で現像剤担持体305に残留する非磁性トナー312を剥ぎ取り、新たな非磁性トナー312が供給される。現像剤担持体305は、供給された非磁性トナー312を担持して、矢印A方向に回転することにより、現像剤担持体305と感光体ドラム306とが対向した現像領域Dに非磁性トナー312を搬送する。現像剤担持体305に担持されている非磁性トナーは、現像剤層厚規制部材307により現像剤担持体305の表面に押し当てられ、その厚みが一定に形成される。非磁性トナーは、相互間の摩擦、現像剤担持体305との間の摩擦、現像剤層厚規制部材307との間の摩擦により、感光体ドラム306上の静電潜像を現像するのに十分な摩擦帯電が付与される。現像剤担持体305上に形成される非磁性トナー層の厚みは、現像部における現像剤担持体305と感光体ドラム306との間の最小の間隙よりも薄くてもよい。現像剤担持体305に担持された非磁性トナー312を感光体ドラム306の静電潜像へ飛翔させ、これを現像するため、現像剤担持体305に現像バイアス電源308から現像バイアス電圧を印加することも可能である。現像バイアス電圧308としては、直流電圧、交番バイアス電圧いずれであってもよく、その電圧も上記と同様の電圧とすることが好ましい。上記現像装置の現像容器において、RSローラ311としては、例えば、樹脂、ゴム、スポンジの如き弾性ローラが好ましい。RSローラ311の代わりに、場合により、ベルト、ブラシ部材を用いてもよい。現像剤層厚規制部材である弾性ブレード307としては、図1に示す磁性一成分非接触型現像装置の弾性ブレード107と同様の材質、同様の湾曲形状を有し、現像剤担持体305に押し当てられるように設置されたものが好ましい。現像剤担持体305に対する弾性ブレード307の当接は、図1に示す磁性一成分非接触型における現像剤担持体105に対する弾性ブレード107の場合と同じ当接力とすることが同様の理由から好ましい。上記例は非磁性一成分非接触型であるが、現像剤担持体上の非磁性一成分現像剤の層厚が、現像領域Dにおける現像剤担持体と感光体ドラムとの間の間隙距離以上の厚さに形成される、非磁性一成分接触型現像装置にも好適に適用できる。
【0073】
〔現像剤〕
本発明に係る現像剤(トナー)は、結着樹脂に着色剤、荷電制御剤、離型剤、無機微粒子等を含む、磁性材料を必須成分とする磁性トナーであっても、磁性材料を含まない非磁性トナーであってもよい。質量平均粒径は、4μm以上10μm以下の範囲内にあることが好ましい。トナーの摩擦帯電量あるいは画質及び画像濃度がバランスのとれたものとなるからである。トナーの質量平均粒径が10μm以下であれば、微小ドット画像の再現性が低下するのを抑制することができる。一方、トナーの質量平均粒径が4μm以上であれば、摩擦帯電不良による濃度薄の発生を抑制することができる。トナーの結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂を使用することができる。中でもビニル系樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。上記トナーには摩擦帯電特性を向上させる目的で、荷電制御剤をトナー粒子に包含させること(内添)、又はトナー粒子と混合して用いること(外添)ができる。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが容易となる。
【0074】
一成分現像装置に適用する場合は、上記の帯電量をコントロールしたトナーを負帯電性の現像剤として用いることで、本発明の現像剤担持体の帯電付与能の向上効果が得やすい。
【実施例】
【0075】
以下の実施例における部及び%は、特にことわらない限り、各々、質量部及び質量%である。
【0076】
〔1.物性の測定方法〕
まず、本発明に関わる測定方法について説明する。
【0077】
(1)アクリル樹脂の分析方法
アクリル樹脂のポリマーの構造は、現像剤担持体の樹脂層を削り取った試料を熱分解GC/MS装置:「Voyager」(商品名、サーモエレクトロン社製)で分析して求めた。なお、熱分解温度:600℃、カラム:HP−1(15m×0.25mm×0.25μm)、Inlet:温度300℃、Split:20.0、注入量:1.2ml/min、昇温:50℃(4min)−300℃(20℃/min)の条件で行った。
【0078】
(2)樹脂層の体積抵抗値
100μmの厚さのPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に、7μm乃至20μmの樹脂層を形成し、抵抗率計:「ロレスタAP」(商品名、三菱化学株式会社製)にて4端子プローブを用いて樹脂層の体積抵抗値を測定した。測定環境は温度20℃乃至25℃、湿度50%RH乃至60%RHとした。
【0079】
(3)現像剤担持体表面の算術平均粗さRa
現像剤担持体表面の算術平均粗さRaはJIS B0601(2001)に基づき、表面粗さ計:「サーフコーダーSE−3500」(商品名、株式会社小坂研究所製)を用いて測定した。測定条件としては、カットオフ0.8mm、評価長さ4mm、送り速度0.5mm/sとし、長手方向3箇所(中心部、及び中心部から両端へ各80mmの位置)、周方向3箇所(120度間隔)の合計9箇所について測定し、その平均値を当該試料の現像剤担持体表面の算術平均粗さRaとした。
【0080】
(4)樹脂層の膜厚
樹脂層の膜厚の測定には、レーザー光にて円筒の外径を測定するレーザー寸法測定器(コントローラ:「LS−5500」(商品名、株式会社キーエンス製)及びセンサーヘッド:「LS−5040T」(商品名、株式会社キーエンス製))を用いた。現像剤担持体固定治具及び現像剤担持体送り機構を取り付けた装置にセンサー部を別途固定し、現像剤担持体の外径寸法を測定した。現像剤担持体の長手方向を30分割して30箇所測定し、更に現像剤担持体を周方向に90度回転させた後更に30箇所測定し、合計60箇所について測定した。得られた測定値の平均値を当該試料の外径寸法とした。樹脂層形成前に基体の外径を測定しておき、樹脂層形成後に再び外径を測定し、その差分を樹脂層の膜厚とした。
【0081】
〔2.各種材料〕
実施例で使用される、アクリル樹脂溶液の製造例、並びに、導電性粒子及び凹凸付与粒子の入手先を、以下に記載した。
【0082】
<2−1.アクリル樹脂溶液の製造例>
(1)アクリル樹脂溶液A−1の製造例
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・ジメチルラウリルアミン:31.4質量部、
・P−トルエンスルホン酸:25.4質量部、
・イソプロピルアルコール:80質量部。
【0083】
上記材料を撹拌しながら、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して、4級アンモニウム塩含有溶液を得た。得られた溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート20.9質量部を加え、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して4級アンモニウム塩含有モノマーを有する反応溶液を得た。得られた反応溶液を冷却した後、共重合性成分としてN−メチロールアクリルアミド22.3質量部を反応系内に仕込み、系が均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌を続けながら、反応系内が70℃になるまで昇温した。そこに、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部をイソプロピルアルコール50質量部に溶解した重合開始剤溶液を滴下ロートから1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後1時間反応させて、重合反応を終了させた。この溶液に、p―トルエンスルホン酸を0.1質量部添加し、更にイソプロピルアルコールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液A−1を得た。この樹脂溶液を温度150℃で30分間加熱乾燥してアクリル樹脂を得た。分析により、このアクリル樹脂が式(9)の構造を含むことを確認した。
【0084】
【化13】

【0085】
(2)アクリル樹脂溶液A−2〜A−13の製造例
表1に示すモノマーを用い、且つ表1に示す配合比にしたこと以外は、アクリル樹脂溶液A−1の場合と同様にして、アクリル樹脂溶液A−2〜A−13を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂について分析し、表2に示すユニットの存在を確認した。
【0086】
(3)アクリル樹脂溶液A−14の製造例
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・ジメチルラウリルアミン:25.4質量部、
・塩化水素(35%塩化水素水溶液中の有効成分として):9.6質量部。
【0087】
上記材料を撹拌しながら、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して、4級アンモニウム塩含有水溶液を得た。得られた水溶液を乾燥した後、グリシジルメタクリレート16.9質量部及びイソプロピルアルコール80質量部を加え、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して4級アンモニウム塩含有モノマーを得た。得られた反応溶液を冷却した後、共重合性成分としてN−メチロールアクリルアミド48.1質量部を反応系内に仕込み、系が均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌を続けながら、反応系内が70℃になるまで昇温した。そこに、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部をイソプロピルアルコール50質量部に溶解した重合開始剤溶液を滴下ロートから1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後1時間反応させて、重合反応を終了させた。この溶液に、p―トルエンスルホン酸を0.1質量部添加し、更にイソプロピルアルコールで希釈して固形分40%のアクリル樹脂溶液A−14を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂の構造の一部を表2に示す。
【0088】
(4)アクリル樹脂溶液A−15〜A−17の製造例
表1に示すモノマーを用い、且つ表1に示す配合比にしたこと以外は、アクリル樹脂溶液A−14の場合と同様にして、アクリル樹脂溶液A−15〜A−17を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂について分析し、表2に示すユニットの存在を確認した。
【0089】
(5)アクリル樹脂溶液A−18〜A−22及びa−4の製造例
表1に示すモノマーを用い、且つ表1に示す配合比にしたこと以外は、アクリル樹脂溶液A−1の場合と同様にして、アクリル樹脂溶液A−18〜A−22、及びa−4を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂について分析し、表2に示すユニットの存在を確認した。
【0090】
(6)アクリル樹脂溶液a−1の製造例
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・ジメチルラウリルアミン:31.5質量部、
・P−トルエンスルホン酸:25.4質量部、
・イソプロピルアルコール:80質量部。
【0091】
上記材料を撹拌しながら、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して、4級アンモニウム塩含有溶液を得た。得られた溶液を冷却した後、グリシジルメタクリレート21.0質量部を加え、温度80℃まで昇温した後2時間撹拌して4級アンモニウム塩含有モノマーを有する反応溶液を得た。得られた反応溶液を冷却した後、共重合性成分としてメチルメタクリレート22.2質量部を反応系内に仕込み、系が均一になるまで撹拌した。次いで、撹拌を続けながら、反応系内が70℃になるまで昇温した。そこに、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部をイソプロピルアルコール50質量部に溶解した重合開始剤溶液を滴下ロートから1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後1時間反応させて、重合反応を終了させた。この溶液にイソプロピルアルコールを添加して固形分40%のアクリル樹脂溶液a−1を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂には、ユニット(1)及びユニット(2)の存在は確認されなかった。
【0092】
(7)アクリル樹脂溶液a−2の製造例
撹拌機、冷却器、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを付した4つ口セパラブルフラスコ内で、以下の材料を混合し、系が均一になるまで攪拌した。
・N−メチロールアクリルアミド:60.2質量部、
・メチルメタクリレート:39.8質量部、
・イソプロピルアルコール:100質量部。
【0093】
上記材料を撹拌しながら、温度70℃まで昇温した。そこに、重合開始剤としての2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.0質量部をイソプロピルアルコール50質量部に溶解した重合開始剤溶液を滴下ロートから1時間かけて添加した。滴下終了後、窒素導入下還流状態で更に5時間反応させ、さらにAIBNを0.2質量部添加した後1時間反応させて、重合反応を終了させた。この溶液に、イソプロピルアルコールを添加して固形分40%のアクリル樹脂溶液a−2を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂には、ユニット(1)及びユニット(2)の存在は確認されなかった。
【0094】
(8)アクリル樹脂溶液a−3の製造例
表1に示すモノマーを用い、且つ表1に示す配合比にしたこと以外は、アクリル樹脂溶液a−2の場合と同様にして、アクリル樹脂溶液a−3を得た。次いで加熱乾燥(150℃、30分間)して得られたアクリル樹脂には、ユニット(1)及びユニット(2)の存在は確認されなかった。
【0095】
【表1】

【0096】
【表2】

【0097】
<2−2.導電性粒子>
現像剤担持体に用いる導電性粒子として以下のものを使用した。
導電性粒子B−1:トーカブラック「#5500」(商品名、東海カーボン株式会社製)、
導電性粒子B−2:黒鉛粒子「CSP−E」(商品名、日本黒鉛工業株式会社製;一次平均粒径=4.6μm)。
【0098】
<2−3.凹凸付与粒子>
現像剤担持体に用いる凹凸付与粒子として以下のものを使用した。
凹凸付与粒子C−1:ニカビーズ「ICB−0520」(商品名、日本カーボン株式会社製)。
【0099】
〔実施例1〕
(1)現像剤担持体D−1の製造
現像剤担持体D−1を以下の方法により製造した。先ず、下記の各材料を、混合し、サンドミル「横型レディーミルNVM−03」(商品名、アイメックス社製)(直径1.0mmのガラスビーズの充填率85%)にて分散処理し、塗工液を得た。
・アクリル樹脂溶液A−1:250質量部(固形分100質量部)、
・導電性粒子B−1:7質量部、
・導電性粒子B−2:60質量部、
・凹凸付与粒子C−1:10質量部、
・イソプロピルアルコール:200質量部。
【0100】
「LaserJet4350n」(商品名、ヒューレットパッカード社製)の純正カートリッジ「LaserJetQ5942Aプリントカートリッジ黒」(商品名、ヒューレットパッカード社製)に組み込まれている現像剤担持体のアルミニウム製円筒管と同形状の物を基体として用意した。当該基体の両端部各6mmをマスキングした後、当該基体を、その軸が鉛直と平行になるように配置した。そして、当該基体を1500rpmで回転させ、エアスプレーガンを35mm/秒で下降させながら前記塗工液を塗布して硬化後の厚さが7μmとなるように塗膜を形成した。続いて温度150℃の熱風乾燥炉中で30分間加熱して前記塗膜を硬化させて現像剤担持体D−1を得た。
【0101】
(2)電子写真画像形成装置の形成、及びそれを用いた画像評価
得られた現像剤担持体D−1にマグネットローラを組み付け、これをカートリッジ「LaserJetQ5942Aプリントカートリッジ黒」(商品名、ヒューレットパッカード社製)に組み込み、現像装置とした。これをプリンター「LaserJet4350n」(商品名、ヒューレットパッカード社製)に搭載し、下記の画像評価を行った。なお、上記プリンター「LaserJet4350n」は、図1において示した磁性一成分非接触型現像装置を備えた電子写真画像形成装置である。すなわち、当該現像装置は、磁性一成分現像剤を備え、かつ、現像剤層厚規制部材として、弾性ブレードを具備している。また、現像剤担持体の内部には、磁石が配置されている。
【0102】
画像評価の環境は、高温高湿環境(H/H)、常温常湿環境(N/N)、及び低温低湿環境(L/L)の3環境下とした。高温高湿環境での評価は、現像装置を温度40℃、湿度85%RHに2週間放置した後、温度32.5℃、湿度80%RHの環境で評価を行った。常温常湿環境での評価は、現像装置を温度23℃、湿度50%RHに2週間放置した後、同環境で評価を行った。低温低湿環境での評価は、デシケーター内にシリカゲルと現像装置を入れ、温度15℃で2週間放置した後、温度15℃、湿度10%RHの環境で評価を行った。
【0103】
上記の各環境において、レターサイズの用紙「Business4200」(商品名、XEROX社製;75g/m)を使用し、印字比率3%の文字画像をA4縦送りで100枚まで連続複写した後に画像評価を行った。
【0104】
評価項目は画像濃度であり、反射濃度計:「RD918」(商品名、マクベス社製)を使用し、ベタ画像を印字した際のベタ黒部の濃度を5点測定し、算術平均値を画像濃度とした。また、低温低湿環境の画像濃度と高温高湿環境の画像濃度の変化率を算出した。評価結果を表4に示す。
【0105】
〔実施例2〜22及び比較例1〜4〕
塗工液として、それぞれ表3に示したものを用いた他は、実施例1と同様に現像剤担持体D−2〜D−22及びd−1〜d−4を作製し、カートリッジに組み込み、プリンターに搭載し、画像評価を行った。結果を表4に示す。
【0106】
【表3】

【0107】
【表4】

【0108】
表4が示す通り、実施例1乃至22の評価結果は良好であった。一方、比較例1の現像剤担持体d−1は、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、比較例2及び比較例3の現像剤担持体d−2及びd−3はいずれも、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、帯電付与能が低い為、画像濃度が低かった。比較例4の現像剤担持体d−4は、アクリル樹脂の構造のRのアルキル基の炭素数が22と大きく、分散性が不十分の為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。
【0109】
〔実施例23〕
(1)現像剤担持体E−23の製造
塗工液の組成を以下に示す割合とし、その他は実施例1と同様にして塗工液を得た。
・アクリル樹脂溶液A−1:250質量部(固形分100質量部)、
・導電性粒子B−1:4質量部、
・導電性粒子B−2:36質量部、
・凹凸付与粒子C−1:8質量部、
・イソプロピルアルコール:150質量部。
【0110】
「iR2545」(商品名、キヤノン株式会社製)の現像器に組み込まれている現像剤担持体のアルミニウム製円筒管と同形状の物を基体として用意した。当該基体の両端部各8mmをマスキングした後、当該基体を、その軸が鉛直と平行になるように配置した。そして、当該基体を1000rpmで回転させ、エアスプレーガンを25mm/秒で下降させながら前記塗工液を塗布して硬化後の厚さが13mmとなるように塗膜を形成した。続いて温度150℃の熱風乾燥炉中で30分間加熱して前記塗膜を硬化させて現像剤担持体E−23を得た。
【0111】
(2)電子写真画像形成装置の形成、及びそれを用いた画像評価
得られた現像剤担持体E−23にマグネットローラを挿入し、両端にフランジを取り付けて、電子写真画像形成装置:「iR2545」(商品名、キヤノン株式会社製)の現像器の現像ローラとして装着した。なお、磁性ドクターブレードと現像剤担持体E−23との間隙は230μmとした。これを、上記の電子写真画像形成装置に搭載し、実施例1と同様の3環境下で画像評価を行った。なお、上記電子写真画像形成装置「iR2545」は、図2に示した磁性一成分現像剤を用いた非接触型現像装置を備えているものである。すなわち、当該現像装置は、磁性一成分現像剤を備え、かつ、現像剤層厚規制部材として、磁性ブレードを具備している。また、現像剤担持体の内部には、磁石が配置されている。
【0112】
尚、画像評価には、A4の普通紙「CS−680」(商品名、キヤノン株式会社製;68g/m)を使用し、印字比率3%の文字画像をA4縦送りで1000枚まで連続複写した後に画像評価を行った。結果を表6に示す。
【0113】
〔比較例5及び6〕
塗工液として、それぞれ表5に示したものを用いた他は、実施例23と同様に現像剤担持体e−5及びe−6を作製し、現像器に組み込み、電子写真画像形成装置に装着し、画像評価を行った。結果を表6に示す。
【0114】
【表5】

【0115】
【表6】

【0116】
表6が示す通り実施例23の評価結果は良好であった。一方、比較例5の現像剤担持体e−5は、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、比較例6の現像剤担持体e−6は、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、帯電付与能が低い為、画像濃度が低かった。
【0117】
〔実施例24〕
(1)現像剤担持体F−24の製造
塗工液の組成を以下に示す割合とし、その他は実施例1と同様にして塗工液を得た。
・アクリル樹脂溶液A−1:250質量部(固形分100質量部)、
・導電性粒子B−1:4質量部、
・導電性粒子B−2:30質量部、
・凹凸付与粒子C−1:10質量部、
・イソプロピルアルコール:100質量部。
【0118】
「LBP2160」(商品名、キヤノン株式会社製)のマゼンタカートリッジ「EP82」(商品名、キヤノン株式会社製)に組み込まれている現像剤担持体のアルミニウム製円筒管と同形状の物を基体として用意した。当該基体の両端部各6mmをマスキングした後、当該基体を、その軸が鉛直と平行になるように配置した。そして、当該基体の回転数を1500rpm、エアスプレーガンを35mm/秒で下降させながら前記塗工液を塗布し、硬化後の厚さを10μmとなるように塗工し、その他の条件は実施例1と同様にして塗膜を形成し、硬化させて現像剤担持体F−24を得た。
【0119】
(2)電子写真画像形成装置の形成、及びそれを用いた画像評価
得られた現像剤担持体F−24をカートリッジ「EP82」(商品名、キヤノン株式会社製)に組み込み、現像装置とした。これをプリンター「LBP2160」(商品名、キヤノン株式会社製)に搭載し、実施例1と同様にして3環境下で画像評価を行った。結果を表8に示す。なお、上記プリンター「LBP2160」は、図3に示す、非磁性トナーを用いる非磁性一成分非接触型現像装置を備えているものである。すなわち、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)を備え、かつ、現像剤層厚規制部材として、弾性ブレードを備えている。
【0120】
〔比較例7及び8〕
塗工液として、それぞれ表7に示したものを用いた他は、実施例24と同様に現像剤担持体f−7及びf−8を作製し、カートリッジに組み込み、プリンターに搭載し、画像評価を行った。結果を表8に示す。
【0121】
【表7】

【0122】
【表8】

【0123】
表8が示す通り、実施例24の評価結果は良好であった。一方、比較例7の現像剤担持体f−7は、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、比較例8の現像剤担持体f−8は、アクリル樹脂中にユニット(1)及びユニット(2)を含有しておらず、水分の影響を受けやすい為、高温高湿環境と低温低湿環境の画像濃度の変化率が大きかった。また、帯電付与能が低い為、画像濃度が低かった。
【符号の説明】
【0124】
101 樹脂層
102 基体
103 現像スリーブ
104 マグネットローラ
105 現像剤担持体
106 静電潜像担持体(感光体ドラム)
107 現像剤層厚規制部材(弾性ブレード)
108 現像バイアス電源
109 現像容器
110 撹拌搬送部材
111 第二室
112 第一室
113 仕切り部材
114 撹拌部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体及び樹脂層を有し、該樹脂層はアクリル樹脂を含有しており、該アクリル樹脂は下記式(1)で示されるユニット(1)及び下記式(2)で示されるユニット(2)を有していることを特徴とする現像剤担持体:
【化1】

[式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。「*」は、式(2)中の「**」との結合部を示す。]、
【化2】

[式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R、R及びRは、炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。「**」は、式(1)中の「*」との結合部を示す。]。
【請求項2】
前記アクリル樹脂が下記式(5)で示されるユニット(5)を更に有する請求項1に記載の現像剤担持体:
【化3】

[式(5)中、R15は、水素原子又はメチル基を示し、R16は、炭素数1以上18以下のアルキル基を示す。]。
【請求項3】
前記樹脂層の膜厚が4μm以上、30μm以下である請求項1または2に記載の現像剤担持体。
【請求項4】
前記樹脂層が導電性粒子を更に含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像剤担持体。
【請求項5】
前記樹脂層の体積抵抗値が10−3Ω・cm以上、10Ω・cm以下である請求項4に記載の現像剤担持体。
【請求項6】
トナー粒子を有する負摩擦帯電性の現像剤と、該現像剤を収容している容器と、該容器に貯蔵された該現像剤を担持搬送するための現像剤担持体と、現像剤層厚規制部材とを有し、該現像剤層厚規制部材により該現像剤担持体上に現像剤層を形成しながら該現像剤担持体上の該現像剤を静電潜像担持体と対向する現像領域へ搬送し、該静電潜像担持体の静電潜像を該現像剤により現像し、トナー画像を形成する現像装置であり、該現像剤担持体が、請求項1〜5のいずれか一項に記載の現像剤担持体であることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
前記現像剤が磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤であって、前記現像剤担持体の内部には磁石が配置されており、前記現像剤層厚規制部材が弾性ブレードである請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像剤が磁性トナー粒子を有する磁性一成分現像剤であって、前記現像剤担持体の内部に磁石が配置されており、かつ、前記現像剤層厚規制部材が磁性ブレードである請求項6に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像剤が非磁性一成分現像剤であり、かつ、前記現像剤層厚規制部材が弾性ブレードである請求項6に記載の現像装置。
【請求項10】
請求項1に記載の現像剤担持体の製造方法であって、下記重合反応〔A〕及び下記重合反応〔B〕によってアクリル樹脂を得る工程と、基体上に該アクリル樹脂を含む樹脂層を形成する工程とを有することを特徴とする現像剤担持体の製造方法:
重合反応〔A〕;下記式(3)で示されるモノマー(3)及び下記式(4)で示されるモノマー(4)から選択されるモノマー同士のラジカル重合反応、
重合反応〔B〕;前記モノマー(3)の水酸基と前記モノマー(4)の水酸基の脱水重縮合反応、
【化4】

[式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示す。]、
【化5】

[式(4)中、R10は、水素原子又はメチル基を示し、R11は、炭素数1以上4以下のアルキレン基を示し、R12、R13及びR14は、各々独立して炭素数1以上18以下のアルキル基を示し、Aは、アニオンを示す。]。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−50715(P2013−50715A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−172946(P2012−172946)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】